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目次 1 はじめに... 3 2 RAID コントローラの種類... 3 3 RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) の新機能... 4 3.1 RAID コントローラの基本性能の向上...4 3.2 新 HDD/SSD のサポート...5 3.3 RAID 60 対応...5 3.4 スペアディスクの電力を抑える HDD 電源制御機能...6 3.5 EXPRESSSCOPE エンジン 3との連携...7 4 MegaRAID CacheCade... 9 4.1 MegaRAID CacheCade とは...9 4.2 導入にあたっての注意事項...10 4.3 性能分析 ( 詳細 )... 11 4.4 ホットスポットデータの分析...12 5 まとめ... 15 商標について Microsoft とそのロゴおよび Windows, Windows Server は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です Intel インテル Intel ロゴ Xeon は アメリカ合衆国およびその他の国における登録商標または商標です Linux は Linus Torvalds 氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です LSI Corporation MegaRAID および CacheCade は LSI 社の登録商標または商標です ESMPRO EXPRESSBUILDER Universal RAID Utility EXPRESSSCOPE は 日本電気株式会社の商標です その他 記載されている会社名 製品名は 各社の登録商標または商標です

1 はじめに NEC Express5800/100 シリーズの RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) は LSI 社のデュアルコア IO プロセッサ キャッシュメモリに DDR3 メモリを採用し RAID アクセス性能が従来の RAID コントローラに比べてシーケンシャルリードで約 2 倍 シーケンシャルライトで約 1.6 倍向上します また 新たに SSD (Solid State Drive) を RAID コントローラのキャッシュメモリとして割り当て RAID 性能を高める MegaRAID CacheCade にも対応し より高速なパフォーマンスを実現することが可能です 本ホワイトペーパーでは RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) で追加される新機能についての概要と MegaRAID CacheCade について 説明します 2 RAID コントローラの種類 Express5800/100 シリーズでは 2012 年度の製品より下記の RAID コントローラを採用します N8103-149 は RAID 0, 1, 10 の小規模な RAID 構成を組むお客様に最適な RAID コントローラとなります N8103-150 および N8103-151 は RAID 0, 1, 5, 6, 10, 50, 60 のサーバ用途で利用される一般的な RAID レベルを全てサポートした RAID コントローラとなります N8103-160 は 外付ストレージと接続するための RAID コントローラで RAID 0, 1, 5, 6, 10, 50, 60 をサポートします 図表 1. RAID コントローラ仕様 型名製品名称タイプ RAID レベル RAID コントローラ N8103-149 (512MB, RAID 0/1) RAID コントローラ N8103-150 (512MB, RAID 0/1/5/6) RAID コントローラ N8103-151 (1GB, RAID 0/1/5/6) RAID コントローラ N8103-160 (1GB, RAID 0/1/5/6) 内蔵用 (8 ポート ) 外付用 (8 ポート ) RAID 0,1,10 (SATA/SAS 対応 ) RAID 0,1,5,6 10,50,60 (SATA/SAS 対応 ) キャッシュ容量 512MB 1GB 増設バッテリ サポート MegaRAID CacheCade 非サポート サポート 非サポート N8103-149/150/151 N8103-160 NEC Corporation - 3 -

3 RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) の新機能 RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) は従来製品と比較して 次の新機能があります RAID 演算プロセッサとして デュアルコアの IO プロセッサを採用 (LSISAS2208 チップ搭載 ) キャッシュメモリに DDR3 メモリを採用 512MB もしくは 1GB のキャッシュ容量を搭載 ( 従来製品は 256MB もしくは 512MB キャッシュ ) SSD (Solid State Drive) を RAID のキャッシュメモリとして割り当て RAID 性能を高める MegaRAID CacheCade に対応 ( 4 章参照 ) 6Gb/s に対応した SATA HDD (Hard Disk Drive) および SAS SSD (Solid State Drive) を新規サポート RAID60 に対応 (RAID システム管理ユーティリティ Universal RAID Utility も対応 ) スペアディスクの電力を抑える HDD 電源制御機能 (Manage Powersave) を採用し システムの電力を削減 NEC サーバマネージメント機能である EXPRESSSCOPE エンジン 3 と連動した RAID コントローラおよび HDD 情報を取得 3.1 RAID コントローラの基本性能の向上 RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) では RAID 演算用のプロセッサとして LSI 社製の LSISAS2208 チップを採用し 512MB もしくは 1GB のキャッシュ容量を搭載しております ( 従来製品 (N8103-129/130/134/135) は 256MB もしくは 512MB キャッシュ ) NEC 社内での測定では HDD3 台の RAID 5 システムの場合 RAID アクセス性能がシーケンシャルリードで約 2 倍 シーケンシャルライトで約 1.6 倍向上する結果が得られました 図表 2. RAID コントローラ性能比較 (N8103-130 RAID コントローラの性能を 1.0 とした時の RAID アクセス性能向上率 ) N8103-151 (1GB Cache) N8103-150 (512MB Cache) N8103-130 (256MB Cache) Sequential Read Sequential Write 測定環境について (NEC 社内での測定 ) Iometer, 3x SAS HDD (10,000rpm), RAID 5, Data Size 8KB, Windows Server 2008 NEC Corporation - 4 -

3.2 新 HDD/SSD のサポート RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) では 最大 6Gb/s のデータ転送レートを持つ SATA HDD や SAS SSD を新たにサポートします バリエーションのあるメディアをサポートすることで お客様の運用形態に合わせた最適なソリューションを提供できます 図表 3. サポート HDD/SSD 一覧 サポートドライブ RAID コントローラ従来の RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) (N8103-129/130/134/135) SATA HDD 6Gb/s 3Gb/s SAS HDD 6Gb/s 6Gb/s SATA SSD 3Gb/s 3Gb/s SAS SSD 6Gb/s 非サポート 3.3 RAID 60 対応 RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) では 新たに RAID60 に対応しました サーバ本体に同梱されている RAID システム管理ユーティリティ Universal RAID Utility により RAID コントローラおよび HDD を監視することができます Universal RAID Utility は Windows Server OS を利用時に日本語表示され Windows と親和性の高いインタフェースを採用しています また RAID システムにおいて発生したイベントや異常がログに登録され システムの障害解決や診断に有効活用できます なお Linux では CLI( コマンドラインインタフェース ) で 同様の利用ができます 図表 4. Universal RAID Utility の RAID ビューア画面 NEC Corporation - 5 -

3.4 スペアディスクの電力を抑える HDD 電源制御機能 RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) では システムの通常稼働時にスペアディスクを省電力モードに移行させる HDD 電源制御機能 (Manage Powersave) を採用しており システムの待機電力を抑えることができます スペアディスクは通常 故障時用に待機されているため システムが通常稼働している場合は 常に動作させる必要はありません SATA HDD や SAS HDD は待機時で 5-10W 程度の電力を消費するため 例えばシステムに 3 台のスペアディスクが用意されていれば システムで 15W 以上の電力を削減することができます また パトロールリード ( ハードディスクドライブ全領域の不良をチェックする機能 ) により スペアディスクも定期的にチェックするため HDD の故障を早期に発見することができます HDD 電源制御機能は 工場出荷時は無効化されているため 利用する際は RAID システム管理ユーティリティ Universal RAID Utility やサーバ管理ユーティリティ ESMPRO/Server Manager から HDD 電源制御の項目を 有効 に設定する必要があります なお 省電力モードへの移行時間も設定できます なお Linux では CLI( コマンドラインインタフェース ) で 同様の利用ができます 図表 5. HDD 電源制御機能の設定画面 ( 上部 ) と RAID ビューア画面 ( 下部 ) NEC Corporation - 6 -

3.5 EXPRESSSCOPE エンジン 3 との連携 RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) では 従来製品でもサポートしている HDD/SSD の接続 / リビルド / 障害監視機能に加えて 新たにサーバ起動時の RAID コントローラおよび HDD/SSD 情報を OS に依存せず取得する機能を追加しました ( 図表 6, 図表 7 参照 ) NEC Express5800 シリーズのサーバマネージメント機能である EXPRESSSCOPE エンジン 3 は 利用する OS に依存せず リモートからサーバを管理 / 監視することが可能です 特別なソフトウェアをサーバにインストールする必要がないため サーバをまるごと貸し出す専用ホスティングサービスなどでも簡単にサーバを管理することができます HDD/SSD の型番やファームウェアバージョンもリモートから管理できるようになるため 自営保守を行うお客様 / データセンタ業者様の資産管理にも活用できます なお EXPRESSSCOPE エンジン 3 の HDD/SSD 情報取得機能は サーバ起動時に情報を取得するため 起動後に HDD/SSD を増設 / 交換した場合は サーバの再起動後に情報を確認することができます また これらの機能は HDD/SSD の障害を予兆監視するものではありませんので ご留意下さい 図表 6. EXPRESSSCOPE エンジン 3 との連携機能 (OS 非依存で取得が可能 ) HDD/SSD の障害監視 HDD/SSD の接続 リビルド 障害監視 HDD/SSD の情報取得 HDD/SSD の種別 ベンダ名 型番 容量 ファームウェアバー ( 新機能 ) ジョン RAID コントローラの RAID コントローラのベンダ名 カード名称 ファームウェア情報取得 ( 新機能 ) /BIOS バージョン バッテリ接続状況 接続されているバス番号 NEC Corporation - 7 -

図表 7. EXPRESSSCOPE エンジン 3 での RAID コントローラ, HDD 情報表示 ( 上部 : ブラウザによる表示, 下部 : ssh による表示 ) NEC Corporation - 8 -

4 MegaRAID CacheCade 4.1 MegaRAID CacheCade とは MegaRAID CacheCade は SSD をリードキャッシュとして使い ランダムリード処理性能を向上させる機能です 一般的に SSD は HDD に比べて高い性能を持ちますが 1 台あたりの導入コストが高く 全ての RAID システムを SSD で構築することは 投資対効果の観点でも容易ではありません 本機能は SSD を RAID コントローラのキャッシュとして扱うことで HDD の RAID システムはそのままに 導入コストを最小限に抑えながらパフォーマンスを向上させることができます 弊社内で実運用に即した性能分析を行った結果 HDD だけの RAID システムに比べて約 3 倍の性能向上が得られることがわかりました ( 図表 8 参照 ) 図表 8. MegaRAID CacheCade 利用時の性能向上率 (CacheCade 利用していない状態 (SATA HDD 利用時 ) を 1.0 とした時の 性能向上率 ) 測定環境について (NEC 社内での測定 ) - 2x インテル Xeon プロセッサー E5520, 2GB メモリ, N8103-151 および N8103-156 搭載 - SATA HDD システム : 6x 1TB(7.2K) SATA HDD (RAID5 構成 ) - SAS HDD システム : 6x 600GB(10K) SAS HDD (RAID 5 構成 ) - CacheCade 用のキャッシュは 100GB SATA もしくは SAS SSD を使用 - SATA SSD システム : 6x 100GB SATA SSD - ホットスポットデータは 90GB 内に収まるよう設定 - Web File Server (I/O Size: 8KB) 用途を想定 [ 項 4.3 参照 ] - 利用 OS は Windows Server 2008 NEC Corporation - 9 -

4.2 導入にあたっての注意事項 本機能は N8103-151 RAID コントローラ (1GB, RAID 0/1/5/6) に N8103-156 MegaRAID CacheCade を組み合わせることで実現できます N8103-156 には MegaRAID CacheCade を有効化するためのハードウェアキーが付属されておりますので N8103-151 に実装して有効化にします BTO 組込出荷の場合は 標準でハードウェアキーが組み込まれた状態で出荷されます MegaRAID CacheCade は Windows Linux VMware など OS を問わず利用可能です N8103-156 MegaRAID CacheCade N8103-151 RAID コントローラ (1GB, RAID 0/1/5/6) MegaRAID CacheCade は 合計で最大 512GB のキャッシュを割り当てることが可能です 100GB の SATA SSD を利用する場合は最大 6 台使いキャッシュを割り当てることができます SSD は SATA および SAS どちらにも対応していますが 混在した割り当てはできません また OS 上からはディスクとして認識されません SATA もしくは SAS SSD を接続後 RAID 管理ユーティリティの Universal RAID Utility もしくは Web BIOS にて MegaRAID CacheCade として割り当てを行って下さい MegaRAID CacheCade は 主にランダムリード性能を向上させる機能であり シーケンシャルリードやライトが多い RAID システムの場合は 性能向上が見込まれません また ランダムリード性能を高めるためには キャッシュとして使われる SSD にデータが効率よく格納されることが重要となります ( ホットスポットデータの検証 ; 項 4.4 参照 ) NEC Corporation - 10 -

4.3 性能分析 ( 詳細 ) Microsoft 社が仮想化関連のホワイトペーパーを公開しており その中でサーバアプリケーションとワークロードを下記のように定義しています 下記のカテゴリに基づいて 弊社内で MegaRAID CacheCade の性能分析を行った結果 下記傾向を掴むことができました Web サーバのようなランダムリードが中心のアプリケーションで大きな性能向上が見込まれる 書き込みやシーケンシャルリードの多いアプリケーションでは MegaRAID CacheCade を利用した場合の方が性能劣化する MegaRAID CacheCade の効果は お客様の利用環境により異なるため一概には言えませんが 下記の指標をもとに導入をご検討ください 図表 9. アプリケーション別の MegaRAID CacheCade による RAID アクセス性能向上率 (CacheCade 利用していない状態を 1.0 とした時の 性能向上率 ) http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/hardware/gg487522 の Virtual Hard Disk Performance より CacheCade 利用時の Workload I/O Workload configuration Category Size 性能向上率 SAS HDD SATA HDD Web File Server 4KB 1.29 1.24 95% Read 75% Random 8KB 3.09 2.67 5% Write 25% Sequential 64KB 2.06 2.16 Web Server Log 8KB Write Sequential 0.93 0.89 OLTP (Online Transaction 70% Read 8KB Random Processing) DB 30% Write 1.04 1.13 Decision Support System DB 1MB Read Random 0.47 0.90 SQL Server Log 64KB Write Sequential 1.03 0.63 Exchange Server 4KB 67% Read Random 33% Write 1.07 1.06 Video on Demand 512KB Read Random 0.61 0.94 Workstation 8KB 80% Read 80% Random 20% Write 20% Sequential 1.19 1.25 OS Paging 64KB 90% Read Sequential 10% Write 0.70 0.76 測定環境について (NEC 社内での測定 ) - 2x インテル Xeon プロセッサー E5520, 2GB メモリ, N8103-151 および N8103-156 搭載 - SAS HDD システム : 6x 600GB(10K) SAS HDD (RAID 5 構成 ) - SATA HDD システムと 6x 1TB(7.2K) SATA HDD (RAID5 構成 ) - CacheCade 用のキャッシュは 100GB SATA SSD を 1 台適用 - ホットスポットデータは 90GB 内に収まるよう設定 - 利用 OS は Windows Server 2008 NEC Corporation - 11 -

4.4 ホットスポットデータの分析 MegaRAID CacheCade は HDD のアクセスが集中する部分 ( ホットスポットデータ ) を SSD キャッシュに割り当てることで パフォーマンスをあげる仕組みのため お客様の環境でホットスポットデータがどの程度使われているかを正しく分析することが重要となります 本項では Windows Server 2008 におけるホットスポットの分析方法について説明します 次の手順に沿ってホットスポットデータを分析して下さい 手順 1: Windows Performance Toolkit のダウンロードホットスポットを分析するためには Windows Performance Toolkit が必要となります Windows 7 SDK に含まれているため まずは 下記 URL より SDK の ISO イメージ (GRMSDK_EN_DVD.iso (567.3MB)) をダウンロードしてください URL http://www.microsoft.com/download/en/details.aspx?displaylang=en&id=8442 手順 2: Windows Performance Toolkit のインストールダウンロードした ISO イメージを使って (CD に焼くか ISO イメージマウントツールを使用 ) SDK の中にある Setup WinSDKPerformanceToolkit wpt_x86.msi をインストールします 手順 3: 性能データの採取コマンドプロンプトを立ち上げ 以下のコマンドを実行します < 性能データの採取開始 > 以下のコマンドを実行すると 性能データの採取が開始します 性能を測定したい業務アプリケーションを実行状態にしてコマンドを実行してください xperf -on DISK_IO < 性能データの採取終了 > 以下のコマンドを実行すると 指定したファイルに性能データが格納され データの採取が終了します xperf -d ファイル名 ( 性能データを格納するファイル名をフルパスで指定します ) 手順 4: 性能データの分析 グラフ化コマンドプロンプトで以下のコマンドを実行すると 指定した性能データファイルを分析し グラフ表示を行います xperf ファイル名 ( 手順 2 の性能データが格納されたファイルを指定します ) データ量によってグラフ表示に時間が掛かりますが 最初は以下のようなグラフ ( 図表 10) が表示されます NEC Corporation - 12 -

図表 10. Windows Performance Analyzer による I/O アクセス状況 凡例表示 上のグラフは リード / ライトアクセスの分布を表示しており 下のグラフはディスクの使用率を表示しています 各グラフの右上にあるプルダウンメニューをクリックするとグラフの凡例が表示されます 次にグラフ上で右クリックするとメニュー ( 図表 11) が表示されるので 最下位にある Detail Graph を選択すると 物理ディスク単位で時間対アクセス位置のグラフが表示されます ( 図表 12) 着目したいディスクを左のプルダウンメニューから選択し アクセスの分布を確認してください 図表 11. Windows Performance Analyzer プルダウンメニュー NEC Corporation - 13 -

図表 12. ホットスポットデータの表示 ディスク選択 約 5GB 約 5GB 約 5GB 約 10GB 約 10GB 約 40GB 図表 12 の場合 横軸が時間 縦軸が論理ドライブの容量を示しており 青色の点がアクセスされた位置となります 青の点が集中している部分がホットスポットデータとなります 図表 12 の場合のホットスポットデータサイズは およそ約 75GB と見積もることができます 他の論理ドライブのホットスポットデータサイズも見積もり 全ホットスポットデータサイズを算出します サイズが 150GB であれば 2 台の 100GB SATA SSD を Mega RAID CacheCade のデータキャッシュとして手配して下さい NEC Corporation - 14 -

5 まとめ RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) は パフォーマンスや運用管理機能の向上により 従来の RAID コントローラに比べて利便性がさらに向上します ビッグデータ環境での大容量ストレージシステム構築 クラウドコンピューティング環境でのデータセンタ運用に欠かせないリモート運用管理など 新たな運用形態にも十分に対応できるといえるでしょう 図表 13. RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) の機能強化 ( まとめ ) 新機能 デュアルコア IO プロセッサ DDR3 対応の 512MB もしくは 1GB キャッシュメモリを採用し RAID システムのパフォーマンスを約 2 倍の向上させることが可能 SSD (Solid State Drive) を RAID のキャッシュメモリとして割り当て RAID 性能をさらに高める MegaRAID CacheCade に対応 6Gb/s に対応した SATA/SAS HDD および SSD をサポート RAID60 に対応 RAID システム管理ユーティリティ Universal RAID Utility で RAID 60 や CacheCade の管理が可能 スペアディスクの電力を抑える HDD 電源制御機能 (Manage Powersave) を採用し システムの電力を削減 NEC サーバマネージメント機能である EXPRESSSCOPE エンジン 3 と連動した OS 非依存 ( エージェントレス ) の RAID コントローラ /HDD 情報機能に対応 RAID コントローラ (N8103-149/150/151/160) の新機能である MegaRAID CacheCade は SSD だけでの RAID 構成に比べ 低コストで HDD アレイのパフォーマンスを高速化できますが お客様のアプリケーションや運用形態によって 性能の向上率が大きくことなる可能性がありますため 導入にあたっては 留意する必要があります NEC では MegaRAID CacheCade の運用を検討されているお客様 /SE 様に対し RAID コントローラおよび MegaRAID CacheCade SATA SSD の検証用キットを用意しております 導入をご検討している方は 弊社販売点または営業までお問い合わせ下さい 図表 14. MegaRAID CacheCade 導入にあって ( まとめ ) メリット 低コストで RAID システムのパフォーマンスを高速化できるアプリケーション 閲覧中心の Web サーバ OLTP サーバなど ランダムリード集中型のアプリケーションには 大きな効果が見込める ストリーミングサービス Web ログ収集サーバなど シーケンシャルリードや書き込みが中心のアプリケーションには向かない 注意事項 割り当てるキャッシュ容量 (SSD 容量 ) を正しく設定するために ホットスポットデータ ( アクセス頻度の高いデータ ) を把握しておくことが重要 NEC Corporation - 15 -

改版履歴 Rev.1.0 2012 年 4 月初版作成 NEC Corporation - 16 -