図１査の平均を示した政治専門サイトリアアメリカの大統領選挙の仕組み党内手続き共和党民主党ルクリアポリティクスのグラフ図 2 予備選挙党員集会代議員選出予備選挙党員集会代議員選出をみると全米でのトランプ氏とクリント共和党全国大会大統領候補を指名民主党全国大会

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ちかこあさま
5 years ago
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1 米大統領選挙で世論調査は外れたのかアメリカ世論調査協会の報告から世論調査部政木みき / 大滝昭彦 16 年のアメリカ大統領選挙はクリントン氏優勢という大方の世論調査の予想を覆しトランプ氏が勝利した世論調査の信頼が揺らぐなか開かれたアメリカ世論調査協会の 17年総会は関係者らによる検証の場となり本稿で紹介する協会が設置した調査委員会の検証報告では世論調査がトランプ氏勝利を読めなかったいくつかの理由が示されたただ調査の精度を向上させるには多額の費用や専門知識のある人材を必要とし具体策は見出せていないアメリカの大統領選挙では多くの票を集めた候補ではなく州ごとの勝者が獲得する選挙人を過半数得た候補が当選する世論調査は全米の情勢をみる全米調査と州別の情勢をみる州調査に分かれるが 16 年の選挙では州調査の精度が低く勝敗予測が外れる要因になったと指摘された調査委員会の検証では州調査がなぜトランプ氏への支持を過小評価したかが焦点となり民主党の支持基盤の州で最終盤まで投票先を決めていなかった有権者がトランプ氏支持に向かった流れを把握できていなかったこと低学歴層の支持傾向が変化していたこと民主党支持の傾向が強い黒人の投票率低下を考慮していなかった可能性があることなどが指摘されたこのほか総会のセッションでは隠れトランプ支持説がいくつかの検証を経ても証明できなかったことや世論調査を使った予測報道が有権者の投票行動に与える影響を検証する重要性についても議論が行われたはじめに境沿いに不法移民対策の壁を築くなど過激昨今世論調査の信頼性に疑問符が投げかな発言で物議を醸した共和党トランプ氏が民けられている 15 年のイギリスの総選挙に続主党クリントン氏を制し第 45 代大統領に選き 16 年のアメリカの大統領選挙でも世論ばれたアメリカ第一主義を掲げオバマ調査は外れたと批判を受けた大統領選前大統領の内政外交政策の大幅な見直しを挙の世論調査は本当に外れたのか外れた訴えたトランプ氏の勝利はアメリカだけでなとすれば何が原因だったのかく世界に衝撃を与えた 5月アメリカルイジアナ州ニューオーリン世論調査の検証に入る前にアメリカの大ズで開催された第 72 回アメリカ世論調査協会統領選挙の仕組みをみておこう図 1 共和 American Association for Public Opinion 党民主党ともまず各州で予備選挙や党員 Research 以下AA P OR の年次総会では集会を行って代議員を選出し続く代議員によ 16 年の大統領選挙に関する数多くの発表が行る全国大会で大統領候補者を指名する本選われた本稿ではこの中からAAPOR が設置挙では有権者による一般投票が実施されほした調査委員会の検証結果について報告するとんどの州では州ごとの集計で得票数 1位となった候補者がその州の選挙人をすべ外れたと批判された世論調査 16 年の大統領選挙ではメキシコとの国 2 て獲得する勝者総取り方式がとられているそして全米で 538人いる選挙人のうち過半数の

2 図１査の平均を示した政治専門サイトリアアメリカの大統領選挙の仕組み党内手続き共和党民主党ルクリアポリティクスのグラフ図 2 予備選挙党員集会代議員選出予備選挙党員集会代議員選出をみると全米でのトランプ氏とクリント共和党全国大会大統領候補を指名民主党全国大会大統領候補を指名期を除きクリントン氏が一貫してリードしン氏の支持率は 16 年 7月末の一時投票直前でも約 3 ポイントの差をつけていたこうした世論調査をもとに多くのメディアが勝率とばらつきは本選挙一般投票各州の選挙人を選出あったもののいずれも高い確率でクリントン氏が勝利すると予測していた選挙人投票トランプ氏の勝利を読めなかった世論調査の信頼性は大きく揺らぎ調査が外当選者確定れたことについて隠れトランプ支持 27人以上を獲得した候補者が大統領に選ば者を把握していなかったメディアの伝え方れるが問題だったなどさまざまな批判の声があがったトランプ氏は一般投票の得票総数でクリントン氏に 28万票を超える差をつけられてい選挙世論調査の検証が焦点となった AAPOR 総会たにもかかわらず勝者総取り方式の結果選挙人獲得数で 36人対 232人と大差をつけて勝利をおさめた世論調査の信頼をどう取り戻すのか危こうした選挙情勢を事前の世論調査はどうと機感を抱いた当事者らの検証報告の場となっらえていたのかメディアや調査機関の世論調た 17年のAAPOR 年次総会を取材した 5月18 21日までの 4日間図2 ニューオーリンズで開催されたトランプ候補とクリントン候補の平均支持率 16 年 6 11 月総会にはアメリカ内外から過 46.8 クリントン民主党最大の関心事となった 16 年 46 大統領選挙の世論調査の検証年6月について 17ものセッションが催された AAPOR事務局によれば 1つのテーマでこれだ去最多の約1,人が参加しクリントン 3.2 トランプ共和党け多くのセッションが行われるのは過去に例がなかったとい 7月両候補者の差 8月 9月 1月 11月8日リアルクリアポリティクスのグラフをもとに作成 1 うこの中には AAPOR が大統領選挙の調査を分析する 3

じ本選挙の投票日前 2 週間以内に実施され AAPOR 総会初日の会場た 39 の全米調査 423 の州調査そして457 の予備選挙期間中の調査が分析対象となった検証の結果調査委員会が歴史的にみて非常に正確だったとしたのが全米調査である図 3 の折れ線グラフは全米調査の各調査の平均をもとに民主党共和党両候補の調査での支持率の差が実際の得票率の差とどれ

3 じ本選挙の投票日前 2 週間以内に実施され AAPOR 総会初日の会場た 39 の全米調査 423 の州調査そして457 の予備選挙期間中の調査が分析対象となった検証の結果調査委員会が歴史的にみて非常に正確だったとしたのが全米調査である図 3 の折れ線グラフは全米調査の各調査の平均をもとに民主党共和党両候補の調査での支持率の差が実際の得票率の差とどれだけかい離していたかを平均誤差として示している常にプラスで示す絶対値で計算また棒グラフの下向きは平均誤差が共和ために 16 年春に設置した調査委員会の発党側にどれだけ偏っていたか上向きは民主党表も含まれた調査委員会は統計学の専門側にどれだけ偏っていたかを表す 16 年の家や調査会社やメディアの関係者大学の研全米調査は実際の投票結果と平均で 2.2 ポ究者など 13 人の委員で構成され大手調査イントかい離しまた民主党クリントン氏を研究機関ピューリサーチセンターのコート平均 1.3 ポイント過大評価していたどちらのニーケネディ Courtney Kennedy 氏が委誤差も36 年以降の大統領選挙の中でかなり員長を務めたここからは調査委員会がまと小さかった一方過去と比べ精度が低かったとしたの 2 めた報告をみていくが州調査である図 4 16 年の投票結果と精度に差が出た全米調査と州調査のかい離は平均 5.1ポイントで民主党クリント大統領選挙の世論調査には全米の各候補ン氏を平均 3. ポイント過大評価していた誤の得票率を予測するための全米調査と州差は全米調査と比べて大きく年以降のごとの勝者と選挙人獲得数を予測するための州調査とがある一般投票の -3-6 容認 44 沖縄年など 23 の組織が詳細なデータ提供に応 -15 の協力要請に対し大手メディアや大学査の精度の比較を行った調査委員会 44 AAPORとして初めて全米調査と州調過大評価共和党候補の目点となったこのため調査委員会は 6 がどれだけ正確につかめていたかが注 9 4 り合った接戦州の情勢を州調査平均誤差 12 の大統領選挙では両候補が激しく競 4 全米調査の平均誤差年 15 獲得数の勝者が一致しなかった 16 年 3 図3 過大評価民主党候補の得票総数が 1位だった候補と選挙人否定 29 8

4 図4 4 平均誤差過大評価民主党候補の 15 6 図5 州調査の平均誤差 16 年投票日前 2 週間以内の世論調査の方法全米調査接戦州の州調査過大評価共和党候補の調査員あり電話調査 RDD 調査員あり電話調査有権者名簿によるサンプリング自動音声の電話調査 14 自動音声調査員あり電話調査 1 自動音声の電話調査とウェブ調査 16 ウェブ調査その他 / 不明 38 年 16 州調査の中で最大となった調査委員会は 8 4 全米調査 n=39 接戦州の州調査 n=8 16 年の大統領選では州調査の精度の低さが最終的な勝敗予測を見誤る要因になったと分析している全米調査と州調査の違いどまった背景にあるのが経費の問題だアメリカで自動音声による電話調査やウェブ調査を実施する費用は 5, 1万 5,ドル程度であるが全米調査と州調査はそれぞれどのように実施調査員が直接聞き取る電話調査 RDD の費されていたのかまず調査主体をみると全米用は1万ドル日本円にして約1,1万円に上調査は大手のメディアや調査機関が実施するのるという5 州調査を実施する地方メディアはに対し州調査の主体は規模が小さい地方のメ経費を抑えるため低コストの自動音声によるディアが多いというこれまでの大統領選挙で電話調査やウェブ調査に頼らざるを得ない現状は一般投票の得票総数で1位だった候補ががある 95 の確率で選挙人獲得数でも勝利し大統領に選ばれてきた全米の情勢がつかめれば州調査がトランプ氏を過小評価した理由勝敗の見通しが大方つくこともあって大手メなぜ州調査はトランプ氏への支持を過小ディアは州調査よりも全米調査に力を入れてき評価したのか調査委員会が挙げた要因からた調査主体の違いは調査方法にも表れる図 5 は投票日前 2 週間以内に実施された全米 1 接戦州の最終盤での有権者の異変 2 学歴別にみた投票行動の変化 3 投票者の人種構成の変化についてみていきたい調査と接戦州における州調査の調査方法である州調査では自動音声による電話調 1 接戦州の最終盤での有権者の異変査が 4 と全米調査 18 の2 倍以上を占めアメリカの主要メディアでつくるナショナルたのに対し調査員が聞き取りを行う電話調査エレクションプール the National Election RDD は18 と全米調査 36 の半分にと Pool 以下 NEP 6 の出口調査によると選挙 5

5 表 1 トランプ氏が勝利した接戦州での有権者の決定時期と投票先フロリダ州ミシガン州ペンシルべニア州ウィスコンシン州全米最終週に決定した有権者の投票先トランプクリントン最終週に決定した有権者最終週より前に決定した有権者の投票先トランプクリントントランプとクリントンの得票率差 NEP 出口調査を使った Aaron Blake の分析 16 より直前の最終週になってから投票先を決めた有アウィスコンシンの3 州は 8 年代後半ない権者の割合は全米で13 トランプ氏が勝し9 年代前半の大統領選挙以降民主党が利した接戦州のフロリダミシガンペンシル勝ち続けていた地域である今回の選挙前のベニアウィスコンシンの 4 州ではだっ世論調査ではいずれの州も民主党クリントンた表 1 中傷合戦が続いた今回の大統領選氏のリードを予想していたしかしその民主挙ではトランプ氏クリントン氏双方が不人党の地盤で最終盤に長年の政治状況を覆すほ気だったため有権者が投票先を決めかねたどの異変が起きていたのである調査委員会とみられているは勝敗を分けた接戦州での有権者の動向をトランプ氏が勝利した4つの接戦州ではい正しくとらえられなかったことが州調査がトラずれの州でも最終週に決定した人の半数以上ンプ氏支持を過小評価し全体の勝敗を見誤がトランプ氏に投票した表 1 太字特にウィる要因になったと指摘したスコンシン州では 59 に上る一方全米レベ終盤にトランプ氏支持に流れた動きは大ルでみると最終週に投票先を決定した人の統領選挙後の 16 年11月に選挙前の電話票は両候補でほぼ半々に割れていたまた調査 16 年 8月と1月に実施の回答者に対同じ接戦州でも最終週より前に投票先を決めして行った追跡調査でも明らかになっているた人では両候補に大きな差はなく接戦州の最大統領選で投票したと答えた 1,254 人のう終盤に起きたトランプ氏支持への流れがいかにち選挙前の回答のとおり投票した有権者は特徴的だったかが示された合わせて 89 だった表 2 網掛け部分の計表 1のうち中西部のミシガンペンシルベニ言い換えれば 11 の有権者が事前回答から投票先が変わっていたこの割合自表 2 投票先の回答選挙前と選挙後調査選挙前調査の回答での投票予定体は年以降 5 回行った追跡調査の平均値 12 と同程度である追跡調査の回答による投票先クリントンに投票トランプその他の無回答に投票候補者に投票回答拒否に投票先を変えた有権者が共和党に傾いたという点で特徴的だった図 6 その他の候補者は選挙前の回答と投票先が異なっ無回答回答拒否た有権者が共和党と民主党のどちクリントンどちらかといえばクリントントランプどちらかといえばトランプピューリサーチセンターの 16 年の選挙後追跡調査より補正なし 6 しかし16 年は選挙前調査の後らの候補に投票したかの差を示してい

図 6 選挙前調査から変化した有権者の投票先 Courtney Kennedy 委員長共和党候補民主党候補の差 16 15 1 7 5-5 n=6-1 -1 4 n=139 8 n=174 2 12 n=82 16 年 n=135 ピューリサーチセンターの選挙後追跡調査よりる上向きは共和党候補が上回った割合下向党支持に転じたのは異例だったと16 年の選挙の特異性を振り返った

6 図 6 選挙前調査から変化した有権者の投票先 Courtney Kennedy 委員長共和党候補民主党候補の差 n= n=139 8 n= n=82 16 年 n=135 ピューリサーチセンターの選挙後追跡調査よりる上向きは共和党候補が上回った割合下向党支持に転じたのは異例だったと16 年の選挙の特異性を振り返った隠れトランプ支持説は立証できずきは民主党候補が上回った割合である 4 今回の大統領選挙後過激な発言を繰り返年 8 年 12 年は両者の差が小さかっすトランプ氏を支持していることを有権者が調たのに対し年 7 と16 年 16 は査員に明かすのをためらったため世論調査が共和党候補に傾いている年の大統領選挙は共和党ブッシュ氏外れたとする隠れトランプ支持説が注目を集めたが一般投票では民主党ゴア氏に差をつけら調査委員会は調査員の介在の有無がトラれたものの選挙人の獲得数で逆転した選挙ンプ氏の支持率の出方に影響したのかどうかである 16 年の選挙の構図はこの年を検証するため調査員のいる電話調査以下と似ていたが年の2 倍を超える割合で RDD 電話調査と調査員を用いない自共和党のトランプ氏が民主党のクリントン氏を動音声による電話調査および自記式のウェ上回ったトランプ氏は終盤に投票先を変えブ調査を比較したその結果投票日前 2 た有権者の票を多く取り込む勢いがあった週間以内の調査では自動音声調査より総会のセッション後筆者の単独インタビューに答えた調査委員会のケネディ委員長はア調査員がいる RDD 電話調査のほうがトランプ氏の支持率が低い傾向がみられたしかしメリカの政治状況は 2 極化が進み民主党支 RDD 電話調査と調査員が不在のウェブ調持者は民主党共和党支持者は共和党を支持査との比較では顕著な差が確認されず調査し続け中間層はほとんどいないというのが一員の有無が支持率に影響しているという結論に般的な認識だったしかしこれほど多くの人は至らなかったがどちらに投票するかを決めかねそれでも投調査委員会は調査相手の抽出方法やデー票した人たちが最終盤で一気にトランプに投票タ補正の方法など調査結果を変動させうるし長年民主党の地盤だった州が突然共和重要な要素がほかにもあることまた自動音声 7

7 調査の実施機関から詳細な情報が提供されな見で明らかにされているただ過去のほとんかったことさらに選挙後にトランプ支持者だどの大統領選挙では低学歴層と大学院卒のと判明した人が隠れトランプ支持だったの有権者の回答傾向が似ていたため調査相手かただ直前に投票先を決めた人だったのかをが高学歴層に偏っていても勝敗予測のうえで厳密に判別することは難しいことなどから今は深刻な問題は起きなかったしかし学歴回の検証では隠れトランプ支持説は立証で別の投票モデルが変化した 16 年は低学歴きないとするにとどめた層への調査不足がそのままトランプ氏支持の過小評価を招く要因になったとされた 2 学歴別にみた投票行動の変化とらえられなかった低学歴層調査相手の構成が偏った場合もともとの母集団の人口比率に合わせて回答数に重みウエ有権者の学歴別の投票行動の変化をとらえられなかったことも州調査がトランプ氏への図 7 民主党候補共和党候補の得票率の差支持を過小評価した要因だと指摘された学歴別全米ウィスコンシン州ペンシルベニア州ミシガン州調査委員会が分析した 16 年の大統領選挙の際立った特徴の1つが低学歴層の支持傾向が従来の民主党から共和党に移った点である図 7 は出口調査の結果から全米そして16 年の接戦州だった中西部のウィスコンシンペンシルベニアミシガンの3 州で 16 年の学歴別の投票傾向が前回 12 年からどう変化したかを示している折れ線グラフは学歴別にみた民主党共和党両候補の得票率の差を示しプラス方向は民主党候補が上回った割合マイナス方向は共和党候補が上回った割合である 12 年は全米でも中西部 3 州でも高卒以下の層と高学歴層の大学院卒でとラフは過去のほとんどの大統領選挙の傾向と 3 一致するしかし16 年は低学歴層で軒並み共和党支持が増えた学歴が高くなるほど 1 民主党支持の割合が高まるモデルとなり従来短大大学中退など大卒大学院卒年全米ウィスコンシン州ペンシルベニア州ミシガン州 -1 学歴をめぐってはアメリカの世論調査は低 - 学歴層からの回答が十分得られず調査相手 -3 高卒以下 -3 4 が高学歴層に偏っているということが多くの知全米ウィスコンシン州ペンシルベニア州ミシガン州 1 もに民主党支持が多かったこのU字型のグの学歴と投票傾向の関係が大きく変化した年高卒以下短大大学中退など大卒大学院卒 12 年と 16 年の NEP 出口調査より

8 イト ) をかける補正を行う場合もあるところが, 調査委員会が投票日前 2 週間以内に実施された 12 の調査を検証したところ ( 表 3), 全米調査の 52% が低学歴層の回答を反映させる重みづけをしていたのに対し, 接戦州の州調査で行っていたのは 18 ~ 36% にとどまり, 大半が補正をしていなかった州調査がほとんど補正をしていないのは, 自動音声による電話調査を多く用いているためではないかと調査委員会は指摘する自動音声の電話調査では, 調査相手を抽出する際に, 性や年齢, 政党の党員登録状況, 投票履歴などが掲載された有権者の名簿を使っているこの名簿に学歴に関する情報は載っていないため, 学歴別に投票傾向を分析するためには, 学歴に関する質問をしなければならないしかし, 接戦州のミシガン, ウィスコンシン, ペンシルベニア各州で実施された自動音声調査を調べた結果, 約半数が学歴に関する情報を公表しておらず, 質問もしていなかったとみられている調査委員会は, 低学歴層がトランプ氏支持に動いたことが 2 16 年の選挙の重要なポイントだったにもかかわらず, それを的確に集計に反映させる補正を行っていなかったことが, 州調査がトランプ氏支持を過小評価した一因だったと指摘し, 調査の質にかかわる違いが全米調査と州調査の精度の差をもたらしたと結論づけた一方, 総会のセッションでは, 学歴による補正をしても, 必ずしも投票結果を正確に予測できたケースばかりではなかったことも報告されたしかし, 筆者の取材に対し調査委員会のケネディ委員長は, 学歴補正によってデータの正確性が落ちることは考えられないすべての調査機関が学歴補正を実施していれば, 実際の結果とこれほどの開きは生まれず, 想定以上の接戦になると予測できていたはずだと述べ, データ補正の必要性を改めて強調した (3) 投票者の人種構成の変化調査委員会は, 投票した有権者の人種構成が過去から変化した点を織り込まなかったことも, 州調査が外れる要因となった可能性を指摘した 16 年の人種別の投票率をみると, 前回 12 年に比べ, 地方の白人では伸びた一方, 図 8のように黒人では低下した事前の多くの世論調査や出口調査によると, クリントン氏は黒人の 9 % 近くの票を固めていて, その投票 8) 図 8 人種別の投票率 7) 表 3 学歴による補正を行った調査の割合調査数補正ありミシガン州調査 11 本 18% ウィスコンシン州調査ノースカロライナ州調査フロリダ州調査ペンシルベニア州調査オハイオ州調査全米調査ピューリサーチセンターの 88 ~ 16 年の分析による 9

9 率低下は前回の大統領選挙のときに比べ予測報道が飛び交いクリントンが勝利するクリントン氏に不利な状況を生み出していたと考という誤った予測が既成事実のように伝えられえられるていったとの指摘もあった多種多様な選挙調投票結果を予測する世論調査では誰に投査が行われるなか選挙報道に携わるメディア票するかだけでなく回答した人のうちどのが信頼性の高い世論調査を見極めデータ層がどの程度投票に行くかを見極め人種やの解釈を正確に伝える重要性はこれまで以上年代などによって実際の調査結果に補正をかけに高まっているそのために世論調査が必ずる調査委員会は投票率に関する国の統計誤差をともなうことや回答率の低下が調査結が出揃っていないこと州調査の十分なデータ果をゆがめるおそれ多様化細分化する調が得られなかったことなどから今回は十分な査方法の長所短所についてなどデータにつ検証ができなかったとしているが仮に前回いての理解を深める姿勢も求められるの実績をもとに投票しそうな人の人種構成世論調査を使った勝敗予測の是非についてを想定していたとしたら黒人の投票率が高くは今回の直接の検証対象ではなく踏み込見積もられクリントン氏への支持を過大評価んだ議論は行われなかったしかしケネディした可能性が高いとした委員長は仮に 99 の確率でどちらかの候補世論調査の信頼回復のために難しい州調査の精度向上者が勝つと伝えられたら自分は投票に行かなくてもいいやと考える有権者が出てくる可能性は大いにある結果予測が投票意欲に与大統領選挙における世論調査の信頼を取りえる影響については重要な問題でさらなる調戻すためには州調査の精度向上が急務であ査が必要だと述べ予測が投票行動に与えるるとして調査委員会は州調査の調査相手リスクについても今後検討すべきだという考の数を増やしたり包括的なデータ補正をしたえを示したりすることなどが必要だと提言しているしかし州調査を実施する多くの調査主体は資金力がなく専門知識を持つ人材も不足していおわりに今回の調査委員会の報告は一言で言えばる一方全米調査を実施する大手メディアも全米調査は概ね正しかったが州調査の精度調査予算は削られる傾向にあって州調査にまが低かったというものだ選挙における世論調で乗り出すのは現実的ではないという具体査は有権者の関心も高く投票行動にも影響策は見出せておらず課題解決は容易ではなさを与えかねないましてやアメリカの大統領選そうだ挙制度は票数ではなく各州の選挙人の獲得数を競うという独特な制度だけに今回の検問われるメディアの伝え方調査委員会によるセッションでは世論調査証は州調査の精度向上の重要性を浮き彫りにしたを使った予測やメディアによる伝え方について選挙における世論調査をめぐっては 15 も意見が交わされた今回の選挙では多くの年のイギリスの総選挙でも外れたと指摘さ 1

10 れ, イギリス世論調査協議会などが設置した独立調査委員会は, サンプルの代表性がなかったことが最大の要因と結論づけた 9) 選挙の世論調査は, 有権者, それも実際に投票することが見込まれる有権者の意向をどれだけ正確に把握できるかにつきるアメリカではこれまで州や人種, 教育水準によって投票傾向がある程度はっきりしていたが, 異端児のトランプ氏が旋風を巻き起こした今回の大統領選挙では, 従来の常識が通用しなかったにもかかわらず, 州調査の調査機関の多くが過去の事例にとらわれ情勢に応じた分析モデルを構築していなかった, と調査委員会のケネディ委員長は指摘し, 調査の進め方に問題があったとの認識を筆者に示した一方で, 世論調査を選挙の勝者予測に利用することについては慎重な動きも出ているケネディ委員長も世論調査は, 国民が選挙戦や各候補者が訴える政策についてどのように思っているかを知るうえでは価値があるが, 勝者の予想に使うことは好ましくなく無益だとして, 予測がもたらすリスクを懸念する立場をとるこうした流れの中, 世論調査の老舗として有名なギャラップ社は, 今回の大統領選挙より勝者予測のための世論調査から撤退している選挙制度は大きく異なるが, 日本でも, 注目される選挙については報道機関が投票前に世論調査を実施し, 有権者の動向を調べているただ, 世論調査の回答率は, 日本もアメリカなどと同様に低下傾向にあり, 確度の高い分析を行うための調査環境は厳しさを増している選挙の調査にあたる者は, 実際に投票する有権者の代表となるサンプルにどれだけ迫れるか努力を怠ってはならず, またこれまでの選挙分析モデルが通用するのかどうかを見極める目を持たなければならないだろう ( まさきみき / おおたきあきひこ * ) * 現在は NHK グローバルメディアサービス所属注 : 1) 16/president/us/general_election_trump_ vs_clinton-5491.html 17 年 7 月 25 日閲覧 2) 報告書 AN EVALUATION OF 16 ELEC- TION POLLS IN THE UNITED STATES は以下の AAPOR のサイトに掲載されているまた, 図 3 7 表 1 3 は, この報告書をもとに作成している Resources/Reports/An-Evaluation-of-16- Election-Polls-in-the-U-S.aspx 17 年 7 月 25 日閲覧 3)16 年は投票日前 2 週間以内の調査の分析結果 16 年より前は the National Council for Public Polls の分析で投票日前 2 週間より前に実施された調査を含む 36 ~ 6 年は Gallup 社の調査による 4) ~ 12 年の数値は Five ThirtyEight.com の公表データをもとに計算 5) 執筆時 17 年 7 月 25 日現在,1 ドル =111 円で計算 6)the National Election Pool は 3 年に設立され, 現在は ABC News, CBS News, CNN, NBC News で構成される以下サイトを参照 17 年 7 月 25 日閲覧 7) 投票日前 2 週間以内での実施かつ各調査機関の最終調査が対象調査対象のうち 23 の調査については学歴による補正に関する情報がなく, 補正変数が公表されていない同種の調査の情報に基づき, 補正なしの扱いとしている 8)AAPOR 年次総会での調査委員会の発表で引用されたグラフ PEW RESEARCH CENTER のサイトから引用 tank/17/5/12/black-voter-turnout-fell-in- 16-even-as-a-record-number-of-americanscast-ballots/ 17 年 7 月 25 日閲覧 9) Report of the Inquiry into the 15 British general election opinion polls より final_revised.pdf 17 年 7 月 25 日閲覧 11

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Microsoft Word - ギャラップ：民主党は資本主義より社会主義についてより肯定的.docx 民主党員は資本主義より社会主義に肯定的フランクニューポートストーリーハイライト民主党員の 47% が資本主義を肯定的に見ており 2016 年の 56% から低下している民主党員の 57% が社会主義を肯定的に見ており 2010 年からはほとんど変わっていない共和党員は資本主義について非常に肯定的で社会主義に 16% が肯定的だワシントン DC 過去 10 年間のギャラップの調査において