再生医療の可能性と倫理的限界 所属 : 医学 歯学 医療系 Ⅱ 2 年 7 組 39 番山中智裕 第 1 章はじめに 第 1 節主題設定の理由 2012 年に京都大学の山中伸弥教授が ips 細胞に関する論文によってノーベル医学 生理学賞を受賞したことを一つの契機に 現代の社会では世界規模で再生医学

Size: px
Start display at page:

Download "再生医療の可能性と倫理的限界 所属 : 医学 歯学 医療系 Ⅱ 2 年 7 組 39 番山中智裕 第 1 章はじめに 第 1 節主題設定の理由 2012 年に京都大学の山中伸弥教授が ips 細胞に関する論文によってノーベル医学 生理学賞を受賞したことを一つの契機に 現代の社会では世界規模で再生医学"

Transcription

1 再生医療の可能性と倫理的限界 2 年 7 組 39 番山中智裕 第 1 章はじめに 2 第 1 節主題設定の理由第 2 節研究のねらい第 3 節研究の内容と方法 1 研究の内容 2 研究の方法 第 2 章研究の展開 3 第 1 節再生医療の必要性 3 1 臓器移植における必要性 (1) 臓器の不足 (2) 免疫反応による移植臓器への拒絶 2 薬剤の安全な使用における必要性第 2 節これまでの再生医学の変遷と倫理的観点による評価 4 1 クローン (1) 技術的要点 (2) 倫理的評価 2 ES 細胞 ( 胚性幹細胞 ) (1) 技術的要点 (2) 倫理的評価 3 ips 細胞 ( 人工多能性幹細胞 ) (1) 技術的要点 (2) 倫理的評価第 3 節これからの再生医学 医療の可能性 10 1 細胞単位での再生 (1) 血液細胞 (2) 神経細胞 2 組織単位での再生 (1) 軟骨 (2) 角膜 網膜 (3) 心筋 3 器官単位での再生 (1) 皮膚 (2) その他の臓器第 4 節再生医療の倫理的限界 14 1 人間の誕生に関する限界 2 人間の終末に関する限界 第 3 章終わりに 15 図 17

2 再生医療の可能性と倫理的限界 所属 : 医学 歯学 医療系 Ⅱ 2 年 7 組 39 番山中智裕 第 1 章はじめに 第 1 節主題設定の理由 2012 年に京都大学の山中伸弥教授が ips 細胞に関する論文によってノーベル医学 生理学賞を受賞したことを一つの契機に 現代の社会では世界規模で再生医学 医療に関する関心が高まってきていると言える したがって 今後 技術開発やその応用において再生医学の重要度が高まっていくことは想像に難くない しかし 人体の一部を再生するといいうことは 見方によっては人格の一部を複製することであると捉えることも可能である そのような技術を医療において活用する際には 当然倫理的な観点から何らかの制限が掛けられるはずである 又 私は医療従事者を志す者として その可能性を理解することや 倫理的限界を見極めること あるいはその限界を知ることは有意であると判断した これは 今後拡大が予想される技術への理解が深まると同時に 他者の健康や命に少なからず影響を与える職業に就くにあたって不可欠な生命倫理 医療倫理について その一端を知ることができると考えたためである 以上の理由より 私は上記のテーマを設定した 第 2 節研究のねらい本研究は 再生医療の変遷を辿るとともにその倫理的問題点の推移を理解し その上で今後想定される再生医療のあり方について 倫理的観点からその可否を考察することをねらいとする また 研究全体を通して生命倫理についての理解を深め 将来職業に就くにあたっての価値観を構築する一助とすることもねらいとしている 第 3 節研究の内容と方法 1 研究の内容本研究は 現在の先端医療の一つである再生医療について その変遷を辿ることを通して今後の可能性を調査するとともに 倫理的観点からその内容を検討し 技術的側面だけではなく倫理的な側面からも理解を深めるものである 2 研究の方法 本研究は 文献及びインターネット上の情報を用いて行った 尚 論文中の図表は全て後方のページにまとめた 2

3 第 2 章研究の展開 第 1 節再生医療の必要性これから再生医療の可能性について考察するにあたって まずはその必要性について検証する必要がある この節では 再生医療が必要とされる理由について記す 1 移植臓器における必要性技術が進歩した現代においては 臓器が疾患に冒された場合に 他者の臓器を移植することによってその機能を補完することが可能となった しかし このような解決法には大きく二つの問題が残っている (1) 臓器の不足第一に挙げられるのが 絶対的な臓器数の不足である 臓器移植には大きく生体移植と脳死移植がある 生体移植については移植可能な臓器の種類に限りがあったり あるいは生きているうちから自分の臓器を手放すことへの心理的拒絶があったりするために あまり多くの移植はなされていない 一方の脳死移植も 近年はドナー登録への理解 関心が高まっており 移植され得る数は増加してきているが 脳死者から臓器を必要とする患者まで臓器を運搬する時間を考慮する必要があったり 特定の種類の臓器を希望する患者が多かったりするために 未だに十分であるとは言えない また 心臓などの一部の臓器を除いて その機能を人工的な機械で補完することは極めて難しいとされている つまり 不足する臓器を工業技術によって補うことは絶望的であると言える しかし 再生医療に関する技術が十分に発展すれば 患者自身の体細胞をその素材として 新たに臓器を作り そして移植することが可能になる この技術が実用化されれば 金銭的な問題を除き 全ての患者が 必要とする臓器を手にすることができる (2) 免疫反応による移植臓器への拒絶ヒトが 他者の臓器に対して拒絶反応を示すことはよく知られている これは特に HLA( ヒト白血球型抗原 ) と呼ばれるタンパク質が引き起こす したがって 臓器移植を行う際には できるだけこの HLA の型が近い臓器を用いる必要がある しかし この型が完全に一致する人物がいる可能性は限りなくゼロに等しい そのため 臓器を移植した後は一生 免疫抑制剤を使用し続けなければならない 免疫抑制剤を使用すれば 当然本来の免疫作用も抑制され 感染症に対するリスクは大きくなる 又 服用を忘れればすぐに拒絶反応が起こる危険もある これらのリスクはその人の QOL ( 生活の質 ) を低下させかねない しかし 再生医療技術によって 患者自身の体細胞から作られた臓器を移植するのであれば この問題は容易に解決できる ( ただし 現在の ips 細胞生成技術を用いた場合 完全に安全とは言い切れない これは 生成段階で使用する 患者自身のものでない 因子 がどこまで影響力を持つかについて 現段階では明確な研究結果が 3

4 出ていないためである ) 2, 薬剤の安全な使用における必要性現在使用されている薬剤のほとんどは 適正な審査を経て安全性が確認されている しかし 患者のほんの少しの異型遺伝子によって 予期しない重大な副作用が発生する場合がある その数はアメリカのみでも年間約 200 万人であり そのうち 10 万人が死亡しているとも言われる これらの異型遺伝子は通常の生活においては特に問題をきたさないため 現在では予期することが難しい しかし 培養された ips 細胞や ES 細胞 ( 詳細は後述 ) のような多能性の細胞を利用することによってこの問題は解決可能である これは 培養した細胞から体組織を作り 体外で薬剤を投与することによって 患者に直接投与することなくその安全性を 患者一人ひとりに対して確認することができるためである 尚 現在の段階では 前項で挙げた 臓器を再生するという利用法よりも この薬剤の安全性を確認するという利用法の方がより早期に実現可能なものとして研究されている 第 2 節これまでの再生医学の変遷と倫理的観点による評価この節では 実際にこれまで研究されてきた再生医学の内容について その変遷を辿り またその倫理的観点における評価を示す ここで これらの内容を倫理的に評価するにあたって 一定の倫理基準を定める必要がある そこで 本研究では書籍及び WMA の定める綱領等を参考にして 以下のようにその基準を定めるものとする 人命は最大限に尊重される 医療は患者の最善の利益のために行使される つまり 医療の最大の目的は 患者の QOL を向上させることである 医学研究はその利益が患者のリスクや負担に勝る場合のみ行われる 全ての人命は同等の価値を持つ 人命は 受精卵より定義される 1はジュネーブ宣言 2は医の国際倫理綱領 3はヘルシンキ宣言 ( いずれも WMA) の内容を解釈し直したものである 4は 基本的人権の尊重を掲げる日本国憲法を参考にした 5については 受精以前の生殖細胞は自然の状態で放置しても人間とならないが 受精卵以降の段階においては人間となり得ることを考慮して定めた これは人工妊娠中絶を容認する日本の法律に矛盾をきたすようであるが 法律によって妊娠 22 週未満のみに規制されていることから この場合は妊娠による親の QOL の低下が 望まれない中でも生存することによる胎児の QOL の向上に勝ると判断されるものと解釈する 尚 以降本論文中で用いる丸番号は 上記の基準の番号を示すものとする 1 クローン 4

5 (1) 技術的要点クローンが再生医療の第一段階であると捉えることは 視点によっては誤りかもしれない しかし クローンの代名詞のように扱われる 羊の ドリー に関する一連の研究は それまで不可逆的であるとされてきた遺伝子発現の可逆性を示した点において その後の再生医学研究に大きな役割を果たした 遺伝子は生体に関するあらゆる情報を持っているものの 細胞分裂をしてそれぞれの細胞が組織や器官の一部になるにしたがって 利用されない情報は読み取れなくなってしまい これを メチル化 と呼ぶ 一般的に メチル化が解かれることはないため 一度分化した細胞は他の機能を持つ細胞に分裂することはできない ( 図 1) 例えば 怪我をして出血したとき 血球や血小板は止血こそするが 皮膚を修復することはできない これをできるのは 皮膚のもととなる線維芽細胞のみである しかし ドリー においては もともと成体の羊の分化した細胞から採取した細胞核を用いて新たな生体を作ることに成功した これは メチル化した DNA が再びメチル化以前の状態に戻ったこと ( リプログラミングされたこと ) を示す なぜなら もしこの DNA がメチル化した状態のままであれば その DNA からは分化した組織のみしか構成されないはずだからである クローニングの手順を簡略化すると 次のようになる ( 図 2) Ⅰ 体細胞から核を取り出す Ⅱ 核を取り出した卵細胞にⅠの核を融合させる Ⅲ Ⅱの卵細胞を代理母の胎内に入れ 育てる ドリー の研究を成功させた Ian Wilmut 以前にも 受精卵の核を別の受精卵に移植することによってクローンを作成した成功例はあったが これはメチル化する以前の DNA を用いているという点で再生医学の発端とは言い難い したがってクローン技術の中でも特に この ドリー に関する実験をここでは再生医学の発端と捉える この技術を用いることで 理論的には自分と同じ遺伝子を持った人間を作ることが可能である (2) 倫理的評価クローニングは技術的に価値がある一方で 多くの倫理的課題があることは広く知られている 特に この技術をヒトに対して用いようとする場合 その障壁は大きい 第一に 材料である卵子の入手方法に課題がある 考えられる方法としては ボランティア女性からの提供 体外受精用の余剰の提供 中絶胎児の卵巣からの摘出などがあるが いずれにおいてもその是非を問う余地がある そもそも生きている人間から卵子を取り出す際には提供者に多大な負担を背負わせることになる これは 倫理的観点 2からして不適切である 提供者との間で同意がなされているとしても その QOL が他者のために低下することは容易に認められるべきではない 又 亡くなった胎児から摘出する際には そもそも所有者である胎児との同意がなされるはずがない 同意がなされない医療は傷害として捉えられる危険をはらむ 第二に 作成されたヒトクローンのアイデンティティや人権に課題がある クロー 5

6 ンとして生まれた人間であっても 個人としての意思が存在することは疑う余地もない 又 最近の研究では 人格は遺伝子だけではなく その生育環境にも大きく左右されることがわかって来ている したがって 仮にヒトクローンを作成したとしても その意思はもとの遺伝子所有者と異なるものであると予測される そのような一つの独立した人格として存在するにもかかわらず その存在理由は生命の自然摂理に反し 又自分は他の人間と根本的に違うことを突きつけられるクローンのアイデンティティは 他の人間に比べて自由を損なうものである これもまた 2の QOL 低下に直結する問題であり 容認されるべきではない 加えて クローンの HLA はもとの遺伝子所有者と同一であるために クローンは臓器のストックとして存在させられる可能性がある これは1や4の観点から認められるべきではない 人命は最大限に尊重され それぞれの人命には同等の価値があるとする以上 一方の人命を救うために他方の人命を失わせることは許されない そして最後に 技術的な安全性に問題がある ドリー の例を挙げれば ドリー は一般的な羊よりも短命で それにもかかわらず死期には老化現象が見られた このことから 一般にクローンは最初から老化しているのではないかという考え方がある これは DNA に備わっている テロメア という塩基配列の影響だとされている テロメアは染色体の末端の領域であり ここでは TATGGG という塩基配列が 2000 回ほど繰り返されている この繰り返し部分が 細胞分裂によって染色体が分裂する度に数個から数十個ずつ失われ 全て無くなるとそれ以上細胞は分裂しなくなる クローンの場合は 細胞分裂を繰り返した段階にある体細胞の DNA を用いるために 卵子に DNA を入れた時点で 既にテロメアが少なかったのではないかと言われている これが事実だとすれば クローンは他の個体に対して著しく短命であることになる これは4の基準を踏まえて考えると クローンの QOL は低下させられていると捉えられるため 2の観点からして許されない 又 体細胞の遺伝子を卵子に入れる行程では 遺伝子に異常が生じることもある これはクローンが重大な先天性異常を持って生まれてくる可能性を示唆するが これも QOL を低下させる要因となるため 許されることではない 以上のことから クローンは技術研究的分野 或いはヒト以外の種における改良等については価値のあるものだが ヒトに対する研究や治療には倫理的課題が多く 開発は推奨できないものである 2 ES 細胞 ( 胚性幹細胞 ) (1) 技術的要点 ES 細胞は 正式名称を 胚性幹細胞 といい 次のような手順で作成される Ⅰ 受精卵を一定の段階まで成長させる Ⅱ 成長した胚から幹細胞 (ES 細胞 ) を取り出す ここで言う 一定の段階 とは 生物学的には 胚盤胞 と呼ばれる段階であり これはヒトの受精卵の場合は受精後 5~7 日目にあたる 受精直後の受精卵は細胞分裂を繰り返すが この胚盤胞に至るまでは全ての細胞が同じ働きをしている しかし 胚盤胞になる段階では 栄養外胚葉 という羊水や胎盤に分化する細胞と 内部細 6

7 胞塊 という胎児の身体に分化する細胞に分かれる ES 細胞は このうちの後者のみを取り出し 人工的に培養したものである ( 図 3) したがって ES 細胞は身体を構成するあらゆる細胞に分化できるが 胎盤や羊水だけには分化できない ES 細胞自体が発見されたのは 先述の ドリー 誕生よりも前である しかし 発見当初の ES 細胞の主な使用目的は 遺伝子操作をした細胞 組織 或いは個体を作り 遺伝子に関する様々な研究を容易にすることにほとんど限定されていた ES 細胞によって様々な遺伝子操作をした個体を生み出せるようになった結果 あらゆる遺伝子がどのような働きをするのかが解明された 例えば 灰色のマウスの DNA のうち A という遺伝子だけを働かせないようにした結果として白色のマウスが生まれたとすれば A という遺伝子は毛を灰色にする働きのある遺伝子であるとわかる 加えて 人工的に細胞や組織を作り出せるために 薬品やあらゆる物質がヒトにどのような影響を与えるかについて 実際に患者に投与することなく実験することができる これは技術的なハードルを下げることだけではなく 実験のコストを削減することにも繋がることから 基礎研究の発展に大きく寄与する 又 ES 細胞には多能性が備わっていることを考慮すれば 理論的には組織や臓器を作成することも可能である これが可能であれば 提供者が現れるまで臓器を待つことなく臓器提供を受けられるため より多くの人命を助けることに繋がると期待された しかしこれらは 再生医学の直接的な成果とはなっていない ES 細胞が再生医学を担う重要な技術となり得たのは クローンに関する一連の研究によって DNA のメチル化を解除できること すなわちリプログラミングが可能なことが示されたためである 従来の ES 細胞の遺伝子は 元々その受精卵が持っている遺伝子であった しかし これにクローンの技術を導入し リプログラミングされた遺伝子を組み込むことができれば これらの技術は患者自身の遺伝子を持った細胞の培養に繋がる ( この細胞をクローン ES 細胞と呼ぶ 図 4) この結果 患者個々に対する薬剤反応を事前に調査したり 患者が免疫反応によって拒絶することのない組織や臓器を生産できたりする可能性が生まれた そしてこれこそが 現在に至るまで再生医学の根幹をなす考え方であると言える (2) 倫理的評価再生医療について大きな可能性を見いだしたのが ES 細胞であるが ES 細胞もまた いくつかの倫理的課題を持っている 第一には その材料が受精卵 胚であることである このことは多くの国で議論を呼び 倫理的観点から ES 細胞について一切の研究を禁止する国や 研究のみを目的とする胚の作成を禁止する国なども多い 又 研究のみを目的としない 不妊治療に用いた胚の余りを研究材料として活用するという考え方もある しかし いずれの方法を用いたとしても 胚を破壊するという現実に変わりはなく これは5の観点から許されるべきではない 又 クローンと同様に 胚を採取するためには卵子を提供してもらう必要があり これは提供者の QOL を低下させる一因と言える 第二には 技術的な問題で ES 細胞はしばらく培養すると がん化 してしまう 7

8 ことである そもそも ES 細胞とがん細胞は その遺伝子発現状況からよく似ている そのためか ES 細胞は 移植して分化させる際に 目的の細胞に分化するよう誘導しておかないと高い確率でがん化する 又 この処理を行ってもがん化の確率がないとは言えない がん化する危険のある細胞を人間の体内に不用意に移植することは極めて危険である 治療目的の疾病が完治したとしても 後にがんが発生するとすれば それは患者にリスクに見合った利益を与えているかどうか判断することを難しくする これは3の観点から考えると躊躇せざるを得ない しかし ES 細胞が再生医学に対して与える利益は非常に大きい 一連の研究が示した各遺伝子の働きやリプログラミングの技術は後の ips 細胞の研究にも大きく役立っているし 今後同様に有意な成果が上げられることが予測されている これらのことを考慮に入れると 研究のために胚の提供者に強いる負担や 或いはただ廃棄される運命にある不妊治療の余りを活用することによるデメリットは 研究成果によるメリットに及ばない可能性もある 以上のことから ES 細胞は現段階では技術的な安全性のために臨床研究に用いることは推奨できないものの 基礎研究によって生命の仕組みを探るという観点においては推奨されるべき技術であると考える ただし その材料が胚であることを十分に考慮した上で 研究の名の下に過剰に胚が生産されたり 或いは胚の提供を金銭取引にしたりすることは避けるべきである 3 ips 細胞 ( 人工多能性幹細胞 ) (1) 技術的要点 ips 細胞は正式名称を 人工多能性細胞 といい 次のような手順で作成される Ⅰ 皮膚などの体細胞を採取する Ⅱ 細胞核に特定の遺伝子を組み込む ips 細胞の最大の利点は 生殖細胞を用いることなく多能性を持った細胞を作成できることにある 又 材料となる細胞が患者自身のものであることも大きな利点である しかしその性質は ES 細胞とほぼ同様であり ES 細胞における倫理的障壁を取り払いながらも ES 細胞と同様の治療効果をもたらす可能性を期待されている 細胞核に組み込む遺伝子は 2006 年の最初の論文では Oct3/4 Klf4 Sox2 c-myc の四つの因子であり これらは一般に 山中因子 と呼ばれる これらの因子を予め毒性をなくしたウイルスの RNA に転写し そのウイルスを細胞に送り込む このウイルスはベクターと呼ばれ 送り込まれた細胞の核にある DNA を切断し そこに自分の持つ RNA つまり山中因子を含んだ RNA の情報を取り込ませる この情報をもとにして作成されたタンパク質の働きによって 細胞はそれまで分化したものであっても リプログラミング され 多能性を得る ( 図 5) ただし ips 細胞の場合も ES 細胞と同じく胎盤に分化することはできない しかし 山中因子のうちの一つ c-myc はがんを引き起こす因子として知られるものである そのため ips 細胞はがん化が懸念され 実際に研究段階で作成された ips 細胞の多くはがん化 もしくは ( 良性の ) 腫瘍化を起こした ES 細胞の倫理的評価でも述べたように これは医学 医療分野での応用において大きな問題となり得る 8

9 そこで現在は c-myc を用いない方法や その構造によく似た別の因子を使用する方法などで ips 細胞を作成する技術が開発され がん化のリスクは大きく減少したと言える 又 ES 細胞と同様に移植の際には目的とする組織に分化するよう予め制限することで 更にそのがん化のリスクは低下している 加えて 遺伝子を組み込む方法にも問題はある 当初の方法ではもともとある DNA の中に新たに RNA の情報を加えるため 結果としてできる DNA はもとの DNA と異なっている この変化は僅かなものであるが この遺伝子改変が将来的に何らかの疾病に繋がる可能性も否定できない そこで現在ではもとの DNA に遺伝子を組み込まないで ips 細胞を作成する技術が新たにいくつも開発されている 例えば 同じようにウイルスを用いる方法でも 自己の RNA の情報を DNA 化できないウイルスを用いれば もとの DNA に新たな情報を加えることなく目的のタンパク質を作らせ 細胞をリプログラミングすることができる ( 図 6) このような特徴から ips 細胞は ES 細胞のあらゆる役割を代替することができ 今後 ES 細胞の必要性はなくなると考えられることがあるが これは誤りである なぜなら ips 細胞があくまで人工的な混入物を用いてリプログラミングをし 多能性を獲得している一方で ES 細胞は人工的に分離させる行程があるとはいえ もととなる内部細胞塊は自然発生的に多能性を獲得しているためだ このことから 多能性の精度についてはあくまで ES 細胞が基準とされ それを追随する形で ips 細胞の多能性が確認される つまり ES 細胞は多能性の絶対的な基準として これからも存在意義があり続ける (2) 倫理的評価 ips 細胞は これまで再生医学に関する技術につきまとっていたあらゆる倫理的課題を克服したと言ってもよい クローニングにおける倫理的課題はその作成過程と作成物の両方にあった しかし ES 細胞は人格を形成し得ないために このうち作成物における倫理的課題をほとんど克服した そして ips 細胞は その材料として生殖細胞や胚を用いないために 遂に作成過程における課題をも克服した それでは ips 細胞において倫理的な課題は全くないかというと そうではない 現在最大の課題と考えられているのは 細胞のリプログラミングの行程が解明されていないことである 本来リプログラミングは 生殖など一部を除いて自然界では起き得ない それを人工的に起こすことによって 何らかの異常が発生する可能性もある より患者に対する安全性を確保し この技術を2のように患者の最善の利益のために使うためには 行程に問題がないことを示す必要がある そのためには行程自体を科学的に解明するか 或いはマウス等を用いて 長期的 遺伝的に問題がないことを実験的に示すかしなければならない しかし いずれの方法を採ったとしても時間が掛かることは確かである 又 がん化のリスクについても考慮すべきである 様々な技術によってそのリスクは低下しているが その発現の原理が解明されていない以上は リプログラミングの問題と同様に 安全とは言い切れない 最後に ips 細胞があらゆる細胞に分化できる故の問題として 生殖細胞の生産が 9

10 挙げられる この技術を用いることで 理論的には男性の細胞から卵子を作ることも 女性の細胞から精子を作ることも可能である 更には 一人の細胞から両方の細胞を作ることも可能である すなわち 有性生殖の原則にとらわれることなく生殖を行うことが可能になる このことを先に挙げた倫理基準によって評価することは難しいが 同性婚が認められていない現在の日本における倫理観から鑑みて 現段階では倫理的に不適当だと結論づけるべきである 以上のことから ips 細胞はその医学研究分野における活用にはほとんど問題が無いものと考える ただし その成果を医療分野において応用する際には 患者の利益を損ない QOL の低下を招くことがないように 事前にリスクを十分に低減しておくことが必要である 又 その活用分野は個々の人間の組織にとどめ 自然の摂理に反する生殖医療に用いるべきではないと考える 第 3 節これからの再生医学 医療の可能性前節では再生医療に関する様々な技術について検討してきたが この節ではそれらの技術が今後どのように利用される可能性を秘めているかについて検討する また 前節を受けて クローンや ES 細胞など 数々の技術は技術開発分野においては大きな価値がある一方で 倫理的観点を考慮すると 臨床応用には問題を抱えていると考える したがって この節では再生医療に関する技術の中でも特に ips 細胞に焦点を当てて検討していく 尚 検討内容は主に細胞から器官までの再生に関する技術であるが これらの倫理的問題は 前節第 3 項 (2) から 個々の人間における再生ではほとんどないものと考えられる したがって 以降の項においてその検討は省略する 1 細胞単位での再生 ips 細胞を用いた臨床応用の中でも 最も早期に実現が期待されるのは ips 細胞を用いて目的の細胞を作成し それをそのまま臨床医療に用いることである これは 細胞単体を作成することは 様々な細胞の集合によってできている組織 或いは器官を作成するよりも技術的に容易であるためである (1) 血液細胞まず研究されているのは 血小板を工業的に大量生産する技術である 血小板は体外に出ると脆い上 容易に凝固するために 現在 保存することは困難であり 献血等で人間から採取した血液がある場合でもこれを保存することはできない しかし 血小板はヒトの止血作用の上で重要な役割を果たす細胞である したがって 血小板を常に使えるように用意しておくことは 手術や治療に直接的に役立つ可能性がある 又 遺伝的にその質が低い血小板無力症の患者に定期的に供給することが可能になれば 止血作用を向上させることもできるだろう この技術については 2014 年 1 月に東京大学や京都大学と民間企業が合同研究を行い 臨床医療への実用化を目指す考えを表明しており 実現は秒読み段階にあると言える 更に 血液関連の技術としては 造血幹細胞 (HSC) を作成 移植する技術も研究されている HSC は血液中の細胞を作る働きを持つ細胞であるが 白血病や再生不良 10

11 性貧血などの血液疾患はその働きが十分でない 又は正常でないために発症し 難治性の疾病とされている 現段階では 移植に必要な HSC は 骨髄移植や へその緒 の血液である臍帯血からの採取などで賄っている どちらも骨髄バンク 臍帯血バンクが整備されてきたことによって HLA 型の適合するドナーを探すことが容易になって来ているために 免疫拒絶反応が起こる可能性は低下してきている しかし HSC は体外で増幅することが困難で 細胞数の不足が懸念されている したがってこれを ips 細胞の応用によって作ることができれば その問題を解決することに繋がる 加えて 生体由来の血液を導入する際には 感染症の危険を排除しきれない 世界有数の検査技術を誇る日本の献血でさえも 昨年 HIV の感染問題が発生したことが これを象徴していると言えよう ips 細胞由来の HSC は もととなる患者の細胞さえ感染していなければ この危険性は排除できると言ってよい (2) 神経細胞神経疾患には 脳梗塞などの虚血性疾患 脊髄損傷などの外傷性疾患 パーキンソン病などの神経変性疾患などが挙げられるが いずれの場合も重大な後遺症や運動障害が発生する場合が多い これは 神経細胞は損傷後の修復能力が低いためである 又 神経細胞を作る神経幹細胞 (NSC) は脳において存在が確認されているものの それ以外の部位においては極めて少ないか 或いは存在しないとされており これも神経ネットワークが修復されない大きな原因であると考えられる そこで現在研究されているのは ips 細胞を用いて体外で人工的に NSC を作成し それを体内で神経ネットワークの再生が必要とされている部位に移植して神経細胞を作成させるという技術である もっとも NSC の移植による治療は ips 細胞を用いずに生体から直接移植する方法で既に臨床実験がなされているが その普遍的かつ十分な有効性は証明されていない したがって 今後この技術を利用していくためには ただ細胞を作成 再生するのみではなく それらの細胞が体内でどのように働いているかについて更に研究し 効果的な治療法を模索する必要があると言える 2 組織単位での再生組織単位での再生は その構造が複雑であるために 一般的に細胞単位での再生よりも技術的に困難であるとされる しかし ヒトの体内において細胞単位で働いている部位は極めて少ないため それに関する再生医療の成果は大きく制限されると言える したがって それよりも大きな単位 すなわち組織単位での再生は 再生医療の成果を向上させるために必要な技術である (1) 軟骨軟骨は血管に乏しい組織であり 通常は損傷時にも生体内では増殖しない そのため 加齢とともにその減少は著しくなり 結果的に関節炎を引き起こす しかし 軟骨細胞自体は増殖能力を持つため 軟骨細胞を一度採取して体外で培養した後で 再び体内に戻すことで治療は成立する ただし 軟骨細胞を患者の関節から採取することは患者にとって負担となるために 現在では骨髄由来の間葉系幹細胞 ( 骨 軟骨 11

12 脂肪等を生産する細胞 ) を利用した培養方法が研究されている 間葉系幹細胞も ips 細胞を使って生産することは可能であるため より効率的な生産方法として ips 細胞 の利用は検討されている (2) 角膜 網膜角膜は免疫拒絶反応が比較的生じにくい組織と考えられているために 容易に他者から移植することが可能であるが 現段階では角膜のドナーが不足しており 十分な移植は行われていない 又 角膜の中でも血管が進入している部位では免疫拒絶反応が起きるために 他者からの移植は困難である したがって 角膜の細胞を作る角膜上皮幹細胞を採取して移植する方法や 角膜上皮幹細胞を体外で培養して角膜シートを作り 移植する方法が臨床でも実験されており 良好な結果が報告されている この分野において ips 細胞が期待されているのは 専ら効率的な角膜細胞の生産であり 技術的な問題はほとんど解決されていると言える 一方網膜に関しては 網膜疾患の例として加齢黄斑変性 ( 網膜の細胞が変性し 視覚以上を起こす疾病 ) などがあるが 現段階で根本的な治療法は発見されていない 現在研究されている治療法の一つは ips 細胞から網膜細胞を作成 培養して移植する方法である ES 細胞を用いた研究では既に一定の改善傾向があることが報告されており ips 細胞によって効率的な生産が可能になれば 網膜疾患の多くは治療可能になり 成人失明者は大きく減少すると考えられている (3) 心筋心臓はヒトの生命活動において重要な役割を果たしているだけに 心筋梗塞後の心不全や 心肥大などの疾病は生命に直結する問題である しかし これまで幹細胞等の移植がなされてきたものの 明確な成果は上がっておらず 治療は困難であると考えられている そこで 障害された心筋を直接的に再生する手段として ips 細胞を心筋細胞に分化させ 移植する技術が研究されている これまで移植されてきた細胞は 厳密には心筋細胞とは異なる細胞であったため この技術によって心筋細胞自体を移植することが可能になった場合 有効な治療方法となり得るのではないかと期待されている 一方で研究は未だ初期段階にあるため 実現には時間が掛かると予想される 3 器官単位での再生ヒトの器官は極めて複雑な構造をしている そのため 再生医療技術によって再建することは困難だと考えられている しかし同時に 再生医療の研究者達が目指している究極の目的は この器官 すなわち臓器の再生という分野にある 臓器を自在に再生することができれば あらゆる疾病を治療することが可能であろう 例えば肝臓が がんに侵されたとする 肝臓はあらゆる機能を持った器官であり その喪失は生命に直結するが 重度に進行した肝臓がんを治療する手だてはほとんどない つまり 進行した肝臓がんはそのまま死に結びつく しかし 肝臓を体外で再生できる技術があれば 患者の肝臓を取り替え 12

13 がんを根本的に治療することも可能である 再生医療の目的がより多くの患者の QOL を向上させることにあることを踏まえると 臓器単位での再生は最高の技術であると いえる (1) 皮膚現在 器官単位での再生において成果を上げている分野は 唯一皮膚であるといっても過言ではない 皮膚は生理的に一定の再生機能を有するが 重度な火傷や外傷などで再生機能を損なった場合や 損傷の範囲が広い場合には自然治癒は見込めない 移植をする方法としては 患者自身の他の部位から移植する方法と他者の皮膚を移植する場合があるが 前者は新たな損傷部位ができてしまうこと 後者はそれに加えて免疫拒絶反応が起きることから どちらも有効な方法とはなっていない 皮膚は他の器官と比較して立体構造が複雑でないために 比較的容易に体外での培養が可能で 既にアメリカでは医療用製品として培養皮膚が承認されている この分野において ips 細胞に期待されていることは 主にその生産効率を上げることである 又 患者の HLA 型に適合した皮膚の生産が可能なために より安全なものを生産することも可能であると考えられている (2) その他の臓器現在ほとんどの臓器は 臓器単位での再生を可能とする技術の開発の目処が立っていない 実際 体外で細胞の立体構造を構成することは極めて難しく この課題を解決するためにあらゆる手段が考案されているものの 実用化には至っていない しかし 臓器を再生する方法には大きく二つの方法が考えられる まず一つは 多能性幹細胞を体外環境で培養し 臓器を再生する方法である DNA には臓器を自然に構成する情報があり 幹細胞を特定の種類の細胞に分化するよう制限した後で環境を整えれば 必要な細胞に分化し 臓器を再生することが動物実験によってわかっている したがって その環境を人工的に整えることができれば 理論的には体外で臓器を再生することも可能なはずである しかし 現在の段階ではこの方法はヒト以外の動物実験においても成果は出ていない もう一つは 多能性幹細胞を他の生物の体内に入れ その状態で臓器を再生する方法であり この方法は体外環境で再生する方法よりも有力視されている 2010 年 東京大学では 遺伝子操作によって膵臓を作れないようにしたマウスの胚盤胞内にラットの ips 細胞を導入することで ラットの膵臓をマウスの体内で作成する実験に成功している ( 図 7) この技術を応用することで ヒトの ips 細胞を他の動物の胚盤胞に導入し 臓器を作成できると考えられている もっとも 他の動物の体内で作成された臓器を人間に移植することについては議論の余地がある 尚 この方法は導入する動物が目的とする臓器を持たない状態で誕生することが条件となるため 患者本人の体内で行うことは不可能であると考えられる しかし これらの技術が進歩していることには疑う余地もない あまり希望的観測を述べるわけにはいかないが 臓器単位での再生を可能にする技術が発見され あらゆる臓器を再生できる日は来ると言えると考える 13

14 第 4 節再生医療の倫理的限界私は 再生医療に限らず 医療の限界は大きく二つに分類されると考える それは 人間の誕生と 終末である 人間はよりよく生まれ よりよく生き そしてよりよく死ぬことを目指して医学 医療を発展させてきたと言っても良いだろう しかし 人間が手を加えて良いのは あくまでその生を受け そして生を全うするまでの間に限定されるべきであると考える その範囲を超越して人間が人間に手を加えることは 人間が他の人間の人格を左右することに繋がりかねない 人間は全て個人の尊厳を持つべきであるし それは倫理的に疑いのないことであると考える したがって この節では人間の誕生と終末 それぞれの観点における限界を検討する 1 人間の誕生に関する限界人間の誕生をどのように定義するかは難しいが 第 2 節では その誕生は受精卵にあると定義したため ここでもその定義を用いることとする 第 2 節第 3 項 (2) では ips 細胞を利用することで 様々な形式の生殖の可能性が生まれることを示した そして その中でも自然の摂理に反する形式において 技術は用いられるべきではないという見解も示した ここではその理由を詳しく記す 主な理由は 再生医学技術を用いて本来自然の状態ならば作られ得なかった生殖細胞を作成することは 本来あり得ない個体を生むことになるからである 例えば 同性間の生殖や一人の細胞から両性の生殖細胞を作成しての生殖は 再生医学技術を用いることで理論的には可能になるが そのようにして生まれる個体は 自然の摂理に従えば決して生まれることのなかった個体である 自然の摂理に反して生み出された人間にも 当然その他の人間と同等の尊厳が与えられるべきであるが 一般的には余りに不可解なその誕生について疑問を呈する人間が少ないとは考えられない これは その生み出された人間が 好奇の目にさらされ 社会的な尊厳を損なう可能性があることを 少なからず示唆する 結果的にその人間の尊厳が損なわれる可能性がある以上 そういった人間を生み出すことは 倫理的に許されないだろう そして そのような個体を生み出すことが許されない以上 これを目的とした生殖細胞の作成も許されるべきではない 以上より 人間の誕生に関する限界として 自然の摂理に反する生殖に再生医学技術を用いることは許されるべきではないと判断する 尚 これは生殖医療において 再生医学技術の使用を全面的に否定する訳ではない 純粋な不妊治療などの 自然の摂理を逸脱しない分野であれば 当然患者の利益のためにこれらの技術は活用されるべきである 2 人間の終末に関する限界人間の終末とは言うまでもなくその人命が尽きることを意味する そして 多くの場合それは心臓死を定義とする このために日本では 臓器移植の場合を除いて 脳死状態の人間もそのように定義される しかし この定義には議論の余地があるように思われる なぜなら 臓器を提供する場合に限って脳死を死と定義することは そ 14

15 の人間の一部が他者のために利用され得る場合のみその人間は死者として定義されることになり これはその人間の命を他の命のために活用していると捉えることができるためだ その点を考慮すると この日本における定義は 移植用臓器の必要性と国民感情の板挟みにあったために折衷案として作られた 極めて不自然なものであるように思われる 私は 人間の死は脳の活動の停止によって定義するべきだと考える なぜなら 人間がその人格とアイデンティティを持って活動するためには脳が活動している必要があるためだ 言い換えるならば 脳死の状態は 生物的には生きているが 人間的には死んでいるのである そして 多くの欧米諸国ではこの考え方が主流となっている 日本の法的定義には矛盾が生じるものの この考え方がグローバルスタンダードになりつつあることや 今後臓器移植が広まるにつれて日本国内でも意識に変化が見られる可能性が大いにあることなどから ここでは人間の死は脳の活動停止によって定義されるとする この考え方を用いると 逆に人間の生は脳の活動によって定義されることになる そして 人間がそれぞれ独立した個体である以上は それを定義する脳もそれぞれ独立したものでなければならないだろう したがって あらゆる臓器の再生が可能になったとしても 脳だけは再生の対象としてはならないと考える 患者の脳を再生し 移植するということは 患者は元々持つ脳を失うと言うことである たとえ記憶や思考がもとの脳と全く同じだったとしても 独立し 固有であった脳が変わってしまったならば それは患者本人であると言えないだろう つまり 脳の再生は 患者の生物的寿命を延ばすことにはなるが 人間的寿命を延ばしているとは言えない そして 人間的寿命が延びていないからには その治療は患者の QOL を向上させる治療だとは言い難い むしろ 脳の移植によって まだ働いている脳を摘出するために 人間的寿命を短縮し QOL を低下させたと言える 以上より 人間の終末に関する限界として 再生医療によって脳を再生することは許されるべきではないと判断する 第 3 章終わりに 本研究では 先端医療の一つである再生医療について その可能性を検証するとともに倫理的限界を検討した この目的については 自分なりの考察を深めることができたという点において 達成できたと言って良いと考える しかし 論文を終えるにあたって一つ述べなくてはならないことは 倫理は社会が決めることであり その基準は日々変化すると言うことである 例えば 死 という概念は倫理観に大きく左右される事項であるが 現在日本では 脳死は臓器移植をする場合のみに限って人の死であるとされている しかし 少し前の日本では脳死はいかなる場合も人の死として認められていなかったし 一方で 欧米諸国では臓器移植をする場合に限らず人の死として認められている 今後日本でも脳死が普遍的に人の死として認められる可能性もあるが 逆に 再生医療の発達によって臓器移植の必要性がなくなってくれば 再び人の死とは認められなくなる可能性もある 加えて 再生医学技術も日々進歩していること 15

16 も忘れてはならない 実際 今年 1 月 30 日付の英科学誌 Nature 上で 理化学研究所やハーバード大学などの共同研究グループが ips 細胞のようにがん化の危険性が無い上にリプログラミング効率の高い 多能性を持つ新しい細胞の作成に成功したことを発表したという この細胞は STAP 細胞 ( 刺激惹起性多能性獲得細胞 ) と名付けられたそうだが 今後の応用に期待される このような新しい技術が開発されれば 当然倫理的評価も変化していくことになるだろう 又 倫理観は社会が決めることである以上 本論文で私が述べた内容が全ての人を納得させることはないだろう それらを考慮した上で 本論文では結論を出している 最後に 論文自体とは関係ないが 今後医学 医療系の研究をする方がいれば 是非一度群馬大学の医学図書館に足を運んでいただきたく思う 医学関係の専門書はなかなか手に入りにくいのだが こちらの図書館では大変有益な資料をお借りすることができた 少しでも参考になればと思う 以上をもって 本論文のまとめとする < 主な参考文献等 > Tony Hope 著 / 児玉聡 赤林朗 訳 医療倫理 岩波書店 2007 年 石浦章一 監修 この一冊で ips 細胞が全部わかる 青春出版社 2012 年 田中幹人 編著 ips 細胞ヒトはどこまで再生できるか? 日本実業出版社 2008 年 Newton 別冊夢の再生医療を実現する ips 細胞第 2 版 ニュートンプレス 2012 年 シリーズ生命倫理学編集委員会 編 シリーズ生命倫理学第 12 巻先端医療 丸善出版 2012 年 ヘルシンキ宣言 ジュネーブ宣言 WMA 医の国際倫理綱領 科学技術会議生命倫理委員会クローン小委員会 クローン技術による人個体の産生等に関する基本的考え方 16

17 17

18 18

( 平成 22 年 12 月 17 日ヒト ES 委員会説明資料 ) 幹細胞から臓器を作成する 動物性集合胚作成の必要性について 中内啓光 東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO 型研究研究プロジェクト名 : 中内幹細胞制御プロジェクト 1

( 平成 22 年 12 月 17 日ヒト ES 委員会説明資料 ) 幹細胞から臓器を作成する 動物性集合胚作成の必要性について 中内啓光 東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO 型研究研究プロジェクト名 : 中内幹細胞制御プロジェクト 1 ( 平成 22 年 12 月 17 日ヒト ES 委員会説明資料 ) 幹細胞から臓器を作成する 動物性集合胚作成の必要性について 中内啓光 東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO 型研究研究プロジェクト名 : 中内幹細胞制御プロジェクト 1 幹細胞研究の現状 腎不全 各種心臓疾患など 臓器不全症に対する根本的な治療には臓器移植が必要 しかし移植臓器は圧倒的に不足している

More information

資料110-4-1 核置換(ヒト胚核移植胚)に関する規制の状況について

資料110-4-1 核置換(ヒト胚核移植胚)に関する規制の状況について 第 110 回特定胚等研究専門委員会平成 31 年 4 月 9 日 資料 110-4-1 核置換 ( 胚 ) に関する規制の状況について 核置換 ( ミトコンドリア置換 ) 技術について 受精胚核置換 ( 胚 ) 受精卵の核を別の除核卵に移植 人の胎内に移植した場合 精子 卵 体外受精 ( 有性生殖 ) 胚 核正常ミトコンドリア異常ミトコンドリア 核 DNA はカップル由来 ミトコンドリア DNA

More information

を行った 2.iPS 細胞の由来の探索 3.MEF および TTF 以外の細胞からの ips 細胞誘導 4.Fbx15 以外の遺伝子発現を指標とした ips 細胞の樹立 ips 細胞はこれまでのところレトロウイルスを用いた場合しか樹立できていない また 4 因子を導入した線維芽細胞の中で ips 細

を行った 2.iPS 細胞の由来の探索 3.MEF および TTF 以外の細胞からの ips 細胞誘導 4.Fbx15 以外の遺伝子発現を指標とした ips 細胞の樹立 ips 細胞はこれまでのところレトロウイルスを用いた場合しか樹立できていない また 4 因子を導入した線維芽細胞の中で ips 細 平成 19 年度実績報告 免疫難病 感染症等の先進医療技術 平成 15 年度採択研究代表者 山中伸弥 京都大学物質 - 細胞統合システム拠点 / 再生医科学研究所 教授 真に臨床応用できる多能性幹細胞の樹立 1. 研究実施の概要 胚性幹 (ES) 細胞は受精後間もない胚から樹立する幹細胞であり 様々な細胞へと分化する多能性を維持したまま 長期かつ大量に培養することが可能であることから 脊髄損傷 若年性糖尿病

More information

スライド 1

スライド 1 新技術で分離した ヒト骨質由来微小幹細胞の医療応用 薗田精昭 関西医科大学大学院医学研究科先端医療学専攻修復医療応用系幹細胞生物学 2001 背景 (1): 微小幹細胞とは Journal of Cellular Biochemistry 80;455-460(2001) 微小幹細胞に関する最初の報告生体の組織内に非常に小さな spore-like stem cell が存在することが初めて報告された

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 基礎から学ぶ 再生医療 第 20 回 血液学を学ぼう! 2016.2.8 採取部位による造血幹細胞移植の種類 骨髄移植 古くから行われている最も一般的な方法 ドナーの骨髄から造血幹細胞を採取して移植する方法 末梢血幹細胞移植 臍帯血移植 へその緒の血 ( さい帯血 ) を有効活用する ドナーの末梢血から造血幹細胞を採取して移植する方法 赤ちゃんの出産後に へその緒や胎盤に含まれている造血幹細胞を採取して移植する方法

More information

STAP現象の検証の実施について

STAP現象の検証の実施について STAP 現象の検証の実施について 実験総括責任者 : 独立行政法人理化学研究所発生 再生科学総合研究センター特別顧問 ( 相澤研究ユニット研究ユニットリーダー兼務 ) 相澤慎一 研究実施責任者 : 独立行政法人理化学研究所発生 再生科学総合研究センター多能性幹細胞研究プロジェクトプロジェクトリーダー丹羽仁史 2014 年 4 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 1 検証実験の目的 STAP 現象が存在するか否かを一から検証する

More information

長期/島本1

長期/島本1 公益財団法人京都大学教育研究振興財団 京都大学教育研究振興財団助成事業成果報告書 平成 28 年 4 月 25 日 会長辻井昭雄様 所属部局 研究科 ( 申請時 ) ips 細胞研究所特定研究員 ( 報告時 ) ETH Zurich Department of Biosystems Science and Engineering ポスドク研究員 氏名島本廉 助成の種類 平成 27 年度 若手研究者在外研究支援

More information

<4D F736F F D20322E CA48B8690AC89CA5B90B688E38CA E525D>

<4D F736F F D20322E CA48B8690AC89CA5B90B688E38CA E525D> PRESS RELEASE(2017/07/18) 九州大学広報室 819-0395 福岡市西区元岡 744 TEL:092-802-2130 FAX:092-802-2139 MAIL:koho@jimu.kyushu-u.ac.jp URL:http://www.kyushu-u.ac.jp 造血幹細胞の過剰鉄が血液産生を阻害する仕組みを解明 骨髄異形成症候群の新たな治療法開発に期待 - 九州大学生体防御医学研究所の中山敬一主幹教授

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 多能性幹細胞を利用した毒性の判定方法 教授 森田隆 准教授 吉田佳世 ( 大阪市立大学大学院医学研究科遺伝子制御学 ) これまでの問題点 化学物質の人体および環境に及ぼす影響については 迅速にその評価を行うことが社会的に要請されている 一方 マウスやラットなど動物を用いた実験は必要ではあるが 動物愛護や費用 時間的な問題がある そこで 哺乳動物細胞を用いたリスク評価系の開発が望まれる 我々は DNA

More information

Untitled

Untitled 上原記念生命科学財団研究報告集, 25 (2011) 86. 線虫 C. elegans およびマウスをモデル動物とした体細胞レベルで生じる性差の解析 井上英樹 Key words: 性差, ストレス応答,DMRT 立命館大学生命科学部生命医科学科 緒言性差は雌雄の性に分かれた動物にみられ, 生殖能力の違いだけでなく形態, 行動などそれぞれの性の間でみられる様々な差異と定義される. 性差は, 形態や行動だけでなく疾患の発症リスクの男女差といった生理的なレベルの差異も含まれる.

More information

系統看護学講座 クイックリファレンス 2012年 母性看護学

系統看護学講座 クイックリファレンス 2012年 母性看護学 母性看護学 母性看護学 目標 Ⅰ. 母性看護の対象となる人々 関連する保健医療の仕組み 倫理的問題 人間の性と生殖のしくみについての理解を問う 1 母性看護の概念 母性看護の主な概念 a 母性の概念 母性の発達 母性看護学 [1]( 母性看護学概論 ): 第 1 章 母性とは (p.2 12) 公衆衛生 : 第 5 章 C リプロダクティヴ ヘルス / ライツ (p.115 130) 家族論 家族関係論

More information

2

2 資料 3-2 ヒト胚の作成 利用に係る指針の規定の現状について 平成 26 年 3 月 12 日 1 2 関係用語の定義の状況について ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律 胚 : 一の細胞 ( 生殖細胞を除く ) 又は細胞群であって そのまま人又は動物の胎内にお いて発生の過程を経ることにより一の個体に成長する可能性のあるもののうち 胎盤 の形成を開始する前のものをいう 生殖細胞 : 精子

More information

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お 論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お金に対する信念の構造の把握と関連領域の整理を試みた 第 Ⅰ 部の理論的検討は第 1 章から第 5 章までであった

More information

移植治療による効果と危険性について説明し 書面にて移植の同意を得なければならない 意識のない患者においては代諾者の同意を得るものとする 6 レシピエントが未成年者の場合には 親権者からインフォームド コンセントを得る ただし 可能なかぎり未成年者のレシピエント本人にも分かりやすい説明を行い 可能であ

移植治療による効果と危険性について説明し 書面にて移植の同意を得なければならない 意識のない患者においては代諾者の同意を得るものとする 6 レシピエントが未成年者の場合には 親権者からインフォームド コンセントを得る ただし 可能なかぎり未成年者のレシピエント本人にも分かりやすい説明を行い 可能であ 日本移植学会倫理指針 序文 移植医療を通して人々の生命を守り 生活の質を向上させることに寄与することが この分野の医療従事者の使命である この使命を果たすために 新しい技術を開発し普及させることは 国民から移植医療に携わる者に付託された責務と考える この医療は 日本国憲法で保障される生存権 幸福追求権によって裏付けられるものであり 臓器 ( 腎臓 心臓 肺臓 肝臓 膵臓 小腸など ) 組織 ( 角膜

More information

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス PRESS RELEASE(2015/11/05) 九州大学広報室 819-0395 福岡市西区元岡 744 TEL:092-802-2130 FAX:092-802-2139 MAIL:koho@jimu.kyushu-u.ac.jp URL:http://www.kyushu-u.ac.jp 免疫細胞が自分自身を攻撃しないために必要な新たな仕組みを発見 - 自己免疫疾患の発症機構の解明に期待 -

More information

<4D F736F F F696E74202D2097D58FB08E8E8CB1838F815B834E F197D58FB E96D8816A66696E616C CF68A4A2E >

<4D F736F F F696E74202D2097D58FB08E8E8CB1838F815B834E F197D58FB E96D8816A66696E616C CF68A4A2E > 再生医療等製品の非臨床安全性評価の考え方 ex vivo 遺伝子治療を中心に 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 (PMDA) 再生医療製品等審査部 真木一茂 様式 1-B 第 24 回日本遺伝子細胞治療学会学術集会 CO I 開示 発表者名 : 真木一茂 演題発表に関連し 開示すべき CO I 関係にある企業などはありません 2 1 本日の話 1.Ex vivo 遺伝子治療について 2. 治験開始に必要な非臨床試験

More information

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝 エンテカビル トーワ を服用されている方へ B 型慢性肝疾患の治療のために 監修 国立大学法人高知大学医学部消化器内科学講座 教授西原利治先生 施設名 2017 年 10 月作成 (C-1) 肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが

More information

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典 報道機関各位 2013 年 6 月 19 日 日本神経科学学会 東北大学大学院医学系研究科 マウスの超音波発声に対する遺伝および環境要因の相互作用 : 父親の加齢や体外受精が自閉症のリスクとなるメカニズム解明への手がかり 概要 近年 先進国では自閉症の発症率の増加が社会的問題となっています これまでの疫学研究により 父親の高齢化や体外受精 (IVF) はその子供における自閉症の発症率を増大させることが報告されています

More information

2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は 2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は 自己複製能と胎盤の細胞に分化する能力を持った胎盤由来の特殊な細胞である 本研究において ヒト胎盤の細胞

More information

( 樹立の用に供されるヒト胚に関する要件 ) 第 6 条第 1 種樹立の用に供されるヒト受精胚は 次に掲げる要件を満たすものとする 一生殖補助医療に用いる目的で作成されたヒト受精胚であって 当該目的に用いる予定がないもののうち 提供する者による当該ヒト受精胚を滅失させることについての意思が確認されて

( 樹立の用に供されるヒト胚に関する要件 ) 第 6 条第 1 種樹立の用に供されるヒト受精胚は 次に掲げる要件を満たすものとする 一生殖補助医療に用いる目的で作成されたヒト受精胚であって 当該目的に用いる予定がないもののうち 提供する者による当該ヒト受精胚を滅失させることについての意思が確認されて 資料 2 平成 25 年 9 月 20 日 生殖細胞の作成 利用等の研究に係る関係指針の規定について 1. 生殖細胞作成 利用に関係する指針 (1) ヒト ES 細胞の樹立及び分配に関する指針 ( 平成 22 年 5 月 20 日文部科学省告示 ) (2) ヒト ES 細胞の使用に関する指針 ( 平成 22 年 5 月 20 日文部科学省告示 ) (3) ヒト ips 細胞又はヒト組織幹細胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針

More information

「ゲノムインプリント消去には能動的脱メチル化が必要である」【石野史敏教授】

「ゲノムインプリント消去には能動的脱メチル化が必要である」【石野史敏教授】 プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 平成 26 年 2 月 17 日国立大学法人東京医科歯科大学 ゲノムインプリント消去には能動的脱メチル化が必要である マウスの生殖細胞系列で起こる能動的脱メチル化を明らかに ポイント 将来 精子 卵子になる始原生殖細胞 (PGC) のゲノムインプリント消去に能動的脱メチル化機構が関係することを初めて実証しました この能動的脱メチル化機構には DNA 塩基除去修復反応が関与しています

More information

報道発表資料 2007 年 10 月 22 日 独立行政法人理化学研究所 ヒト白血病の再発は ゆっくり分裂する白血病幹細胞が原因 - 抗がん剤に抵抗性を示す白血病の新しい治療戦略にむけた第一歩 - ポイント 患者の急性骨髄性白血病を再現する 白血病ヒト化マウス を開発 白血病幹細胞の抗がん剤抵抗性が

報道発表資料 2007 年 10 月 22 日 独立行政法人理化学研究所 ヒト白血病の再発は ゆっくり分裂する白血病幹細胞が原因 - 抗がん剤に抵抗性を示す白血病の新しい治療戦略にむけた第一歩 - ポイント 患者の急性骨髄性白血病を再現する 白血病ヒト化マウス を開発 白血病幹細胞の抗がん剤抵抗性が 60 秒でわかるプレスリリース 2007 年 10 月 22 日 独立行政法人理化学研究所 ヒト白血病の再発は ゆっくり分裂する白血病幹細胞が原因 - 抗がん剤に抵抗性を示す白血病の新しい治療戦略にむけた第一歩 - 身体に侵入した異物を排除し 病気の見張り役をつとめる血液中の白血球が 異常増殖してがん化する白血病は 治療が難しく不治の病というイメージが定着しています 白血病細胞は血液中で自在に移動できるため

More information

資料2_ヒト幹同等性

資料2_ヒト幹同等性 資料 2 文科省指針とヒト幹指針の倫理的事項における同等性について 樹立の要件において既に同等性が担保されている事項 1 ヒト ES 細胞の樹立に用いるヒト受精胚の要件は両指針とも同じ ( 無償提供 余剰胚 IC 凍結保存 受精後 14 日以内 ) 2 ヒト受精胚の提供者の同意撤回に関する要件も同じ (30 日の撤回期間確保 ) 樹立の要件が異なっており同等性を確認すべき事項 3 ヒト幹指針では 余剰胚の提供者の個人情報を連結可能匿名化した後

More information

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者 217 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 で 前年から 29 増加した HIV 感染者は前年から 3 AIDS 患者は前年から 26 増加した 図 -1 2 HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた報告数の概要として 主に以下のことが挙げられる 図 -2 3 4 外国籍男性は前年から 11

More information

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル 60 秒でわかるプレスリリース 2007 年 12 月 17 日 独立行政法人理化学研究所 免疫の要 NF-κB の活性化シグナルを増幅する機構を発見 - リン酸化酵素 IKK が正のフィーッドバックを担当 - 身体に病原菌などの異物 ( 抗原 ) が侵入すると 誰にでも備わっている免疫システムが働いて 異物を認識し 排除するために さまざまな反応を起こします その一つに 免疫細胞である B 細胞が

More information

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果 2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果汁飲料 ) の飲用試験を実施した結果 アトピー性皮膚炎症状を改善する効果が確認されました なお 本研究成果は

More information

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a murine model of rheumatoid arthritis ( 論文内容の要旨 ) < 要旨

More information

公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研究事業 ( 平成 28 年度 ) 公募について 平成 27 年 12 月 1 日 信濃町地区研究者各位 信濃町キャンパス学術研究支援課 公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研

公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研究事業 ( 平成 28 年度 ) 公募について 平成 27 年 12 月 1 日 信濃町地区研究者各位 信濃町キャンパス学術研究支援課 公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研 公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研究事業 ( 平成 28 年度 ) 公募について 平成 27 年 12 月 1 日 信濃町地区研究者各位 信濃町キャンパス学術研究支援課 公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研究事業 ( 平成 28 年度 ) 公募について 11 月 27 日付で平成 28 年度 成育疾患克服等総合研究事業

More information

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文 博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文 目次 はじめに第一章診断横断的なメタ認知モデルに関する研究動向 1. 診断横断的な観点から心理的症状のメカニズムを検討する重要性 2 2. 反復思考 (RNT) 研究の歴史的経緯 4 3. RNT の高まりを予測することが期待されるメタ認知モデル

More information

精子・卵子・胚研究の現状(久慈 直昭 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室 講師提出資料)

精子・卵子・胚研究の現状(久慈 直昭 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室 講師提出資料) 精子 卵子 胚研究の現状 慶應義塾大学医学部産婦人科学教室 久慈直昭 背景 2004 年 7 月 総合科学技術会議は 生殖補助医療研究 に限定して ヒト胚の研究目的での新たな作成と利用を認めた しかし海外には ヒト個体発生が可能であるため 実験目的での新たな胚作成を認めない国も存在する 現在わが国における胚研究を規制する指針は日本産科婦人科学会会告と クローン規制法のみである ここでは今後のわが国の新しい研究の枠組みを構築するための基礎資料として

More information

<4D F736F F D208CFA90B6984A93AD8FC A CF8D5882C98C5782E BD90AC E82528C8E825593FA817A2E646F63>

<4D F736F F D208CFA90B6984A93AD8FC A CF8D5882C98C5782E BD90AC E82528C8E825593FA817A2E646F63> 不妊に悩む方への特定治療支援事業 Q&A 事例集 総論 Q1. どうして今回助成制度を見直すこととしたのか A1. 近年の結婚年齢の上昇等に伴い 特定不妊治療を受ける方の年齢も上昇しており 一方で 一般的に 高年齢での妊娠 出産は 様々なリスクが高まるとともに 出産に至る確率も低くなることが医学的に明らかになっています そのため こうした最新の医学的知見も踏まえ 本人の身体的 精神的負担の軽減や より安心

More information

Microsoft PowerPoint - 資料6-1_高橋委員(公開用修正).pptx

Microsoft PowerPoint - 資料6-1_高橋委員(公開用修正).pptx 第 1 回遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会 平成 29 年 4 月 12 日 ( 水 ) 資料 6-1 ゲノム編集技術の概要と問題点 筑波大学生命科学動物資源センター筑波大学医学医療系解剖学発生学研究室 WPI-IIIS 筑波大学国際睡眠医科学研究機構筑波大学生命領域学際研究 (TARA) センター 高橋智 ゲノム編集技術の概要と問題点 ゲノム編集とは? なぜゲノム編集は遺伝子改変に有効?

More information

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe ( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 森脇真一 井上善博 副査副査 東 治 人 上 田 晃 一 副査 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independent rejection of D d -, K d -, or D d K d -transgened mouse skin

More information

タイトル 著 者 引 用 ips 細 胞 ( 人 工 多 能 性 幹 細 胞 ) 時 代 の 人 間 の 性 と 性 愛 に 関 する 一 考 察 安 岡, 譽 ; 橋 本, 忠 行 札 幌 学 院 大 学 人 文 学 会 紀 要 = Journal of the Society of Humanities(98): 83-113 発 行 日 2015-10-01 URL http://hdl.handle.net/10742/2016

More information

Interview Zero bleedingeding -- ここ 10 年を振り返っても 血友病の治療は大きく進歩していますね 最も大きな進歩は 遺伝子組換え凝固因子製剤が普及したことでしょう これにより 安全性や安定供給に関する心配が大きく減りました そして昨年には 従来の製剤に比べて長時間作

Interview Zero bleedingeding -- ここ 10 年を振り返っても 血友病の治療は大きく進歩していますね 最も大きな進歩は 遺伝子組換え凝固因子製剤が普及したことでしょう これにより 安全性や安定供給に関する心配が大きく減りました そして昨年には 従来の製剤に比べて長時間作 Science Matters because Patients Matter - サイエンスは患者さんのためにある - No.2 2017 FOCUS 血友病治療の明日 Interview Report Interview Zero bleedingeding -- ここ 10 年を振り返っても 血友病の治療は大きく進歩していますね 最も大きな進歩は 遺伝子組換え凝固因子製剤が普及したことでしょう

More information

ASC は 8 週齢 ICR メスマウスの皮下脂肪組織をコラゲナーゼ処理後 遠心分離で得たペレットとして単離し BMSC は同じマウスの大腿骨からフラッシュアウトにより獲得した 10%FBS 1% 抗生剤を含む DMEM にて それぞれ培養を行った FACS Passage 2 (P2) の ASC

ASC は 8 週齢 ICR メスマウスの皮下脂肪組織をコラゲナーゼ処理後 遠心分離で得たペレットとして単離し BMSC は同じマウスの大腿骨からフラッシュアウトにより獲得した 10%FBS 1% 抗生剤を含む DMEM にて それぞれ培養を行った FACS Passage 2 (P2) の ASC 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 山本麻衣子 論文審査担当者 主査 : 井関祥子副査 : 柴田俊一 青木和広 Osteogenic Potential of Mouse Adipose-Derived Stem Cells Sorted 論文題目 for CD90 and CD105 in Vitro ( 論文の内容の要旨 ) < 緒言 > 脂肪組織は皮下の浅層に存在するため 採取が低侵襲で容易であり

More information

表紙.indd

表紙.indd 教育実践学研究 23,2018 1 Studies of Educational Psychology for Children (Adults) with Intellectual Disabilities * 鳥海順子 TORIUMI Junko 要約 : 本研究では, の動向を把握するために, 日本特殊教育学会における過去 25 年間の学会発表論文について分析を行った 具体的には, 日本特殊教育学会の1982

More information

報道発表資料 2002 年 10 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 頭にだけ脳ができるように制御している遺伝子を世界で初めて発見 - 再生医療につながる重要な基礎研究成果として期待 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は プラナリアを用いて 全能性幹細胞 ( 万能細胞 ) が頭部以外で脳

報道発表資料 2002 年 10 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 頭にだけ脳ができるように制御している遺伝子を世界で初めて発見 - 再生医療につながる重要な基礎研究成果として期待 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は プラナリアを用いて 全能性幹細胞 ( 万能細胞 ) が頭部以外で脳 報道発表資料 2002 年 10 月 10 日 独立行政法人理化学研究所 頭にだけ脳ができるように制御している遺伝子を世界で初めて発見 - 再生医療につながる重要な基礎研究成果として期待 - 理化学研究所 ( 小林俊一理事長 ) は プラナリアを用いて 全能性幹細胞 ( 万能細胞 ) が頭部以外で脳の神経細胞に分化しないように制御している遺伝子を発見しました 発生 再生科学総合研究センター ( 竹市雅俊センター長

More information

免疫リンパ球療法とは はじめに あなたは免疫細胞 ( 以下免疫と言います ) の役割を知っていますか 免疫という言葉はよく耳にしますね では 身体で免疫は何をしているのでしょう? 免疫の大きな役割は 外から身体に侵入してくる病原菌や異物からあなたの身体を守る ことです あなたの身体には自分を守る 病

免疫リンパ球療法とは はじめに あなたは免疫細胞 ( 以下免疫と言います ) の役割を知っていますか 免疫という言葉はよく耳にしますね では 身体で免疫は何をしているのでしょう? 免疫の大きな役割は 外から身体に侵入してくる病原菌や異物からあなたの身体を守る ことです あなたの身体には自分を守る 病 免疫リンパ球療法とは はじめに あなたは免疫細胞 ( 以下免疫と言います ) の役割を知っていますか 免疫という言葉はよく耳にしますね では 身体で免疫は何をしているのでしょう? 免疫の大きな役割は 外から身体に侵入してくる病原菌や異物からあなたの身体を守る ことです あなたの身体には自分を守る 病気と闘う力 ( 免疫力 ) があります もし生まれつき免疫が欠けていると 様々な微生物や菌が存在する

More information

医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では 皮膚から侵入したアレルゲンが 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 喘息 アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を引き起こすきっかけになる

医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では 皮膚から侵入したアレルゲンが 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 喘息 アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を引き起こすきっかけになる 化粧品用コラーゲンの原料 現在は 魚由来が中心 かつては ウシの皮膚由来がほとんど BSE 等病原体混入の危険 人に感染する病原体をもたない アレルギーの問題は未解決 ( むしろ問題は大きくなったかもしれない ) アレルギーを引き起こす可能性 医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では

More information

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst 東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epstein Barr nuclear antigen 1 の変異増岡, 正太郎東邦大学 発行日 2019.03.13

More information

Microsoft Word - 博士論文概要.docx

Microsoft Word - 博士論文概要.docx [ 博士論文概要 ] 平成 25 年度 金多賢 筑波大学大学院人間総合科学研究科 感性認知脳科学専攻 1. 背景と目的映像メディアは, 情報伝達における効果的なメディアの一つでありながら, 容易に感情喚起が可能な媒体である. 誰でも簡単に映像を配信できるメディア社会への変化にともない, 見る人の状態が配慮されていない映像が氾濫することで見る人の不快な感情を生起させる問題が生じている. したがって,

More information

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32 白血球増加の初期対応 白血球増加が 30,000~50,000/μL 以上と著明であれば, 白血病の可能性が高い すぐに専門施設 ( ) に紹介しよう ( 図 1) 白血球増加があれば, まず発熱など感染症を疑う症状 所見に注目しよう ( 図 1) 白血球増加があれば, 白血球分画を必ずチェックしよう 成熟好中球 ( 分葉核球や桿状核球 ) 主体の増加なら, 反応性好中球増加として対応しよう ( 図

More information

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産 TOKYO UNIVERSITY OF SCIENCE 1-3 KAGURAZAKA, SHINJUKU-KU, TOKYO 162-8601, JAPAN Phone: +81-3-5228-8107 報道関係各位 2018 年 8 月 6 日 免疫細胞が記憶した病原体を効果的に排除する機構の解明 ~ 記憶 B 細胞の二次抗体産生応答は IL-9 シグナルによって促進される ~ 東京理科大学 研究の要旨東京理科大学生命医科学研究所

More information

体外受精についての同意書 ( 保管用 ) 卵管性 男性 免疫性 原因不明不妊のため 体外受精を施行します 体外受精の具体的な治療法については マニュアルをご参照ください 当施設での体外受精の妊娠率については別刷りの表をご参照ください 1) 現時点では体外受精により出生した児とそれ以外の児との先天異常

体外受精についての同意書 ( 保管用 ) 卵管性 男性 免疫性 原因不明不妊のため 体外受精を施行します 体外受精の具体的な治療法については マニュアルをご参照ください 当施設での体外受精の妊娠率については別刷りの表をご参照ください 1) 現時点では体外受精により出生した児とそれ以外の児との先天異常 生殖補助医療に関する同意書 体外受精 顕微授精 受精卵の凍結保存 融解移植に際しては 下記の同意書 が必要です ご夫婦で署名捺印した上で提出してください 体外受精に関する同意書 ( 初回採卵に必要 ) 顕微授精に関する同意書 ( 初回採卵に必要 ) 受精卵凍結保存に関する同意書 ( 初回採卵に必要 ) 凍結受精卵融解胚移植に関する同意書 ( その都度必要 ) 同意書は 保管用 と 提出用 の 2 部からなります

More information

1. 背景生殖細胞は 哺乳類の体を構成する細胞の中で 次世代へと受け継がれ 新たな個体をつくり出すことが可能な唯一の細胞です 生殖細胞系列の分化過程や 生殖細胞に特徴的なDNAのメチル化を含むエピゲノム情報 8 の再構成注メカニズムを解明することは 不妊の原因究明や世代を経たエピゲノム情報の伝達メカ

1. 背景生殖細胞は 哺乳類の体を構成する細胞の中で 次世代へと受け継がれ 新たな個体をつくり出すことが可能な唯一の細胞です 生殖細胞系列の分化過程や 生殖細胞に特徴的なDNAのメチル化を含むエピゲノム情報 8 の再構成注メカニズムを解明することは 不妊の原因究明や世代を経たエピゲノム情報の伝達メカ マウス多能性幹細胞から精子幹細胞を試験管内で誘導 精子形成全過程の試験管内誘導の基盤形成 ポイント マウス多能性幹細胞注 1 から精子幹細胞様細胞注 2 の試験管内での誘導に成功 精子幹細胞様細胞は成体の精巣内で精子に分化し 健常な子孫を産生 精子幹細胞注 3 注 4 におけるDNAのメチル化異常が精子形成不全につながることを発見 京都大学大学院医学研究科の斎藤通紀教授 [ 兼科学技術振興機構 (JST)ERATO

More information

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ 再発した前立腺癌の増殖を制御する新たな分子メカニズムの発見乳癌治療薬が効果的 発表者筑波大学先端領域学際研究センター教授柳澤純 (junny@agbi.tsukuba.ac.jp TEL: 029-853-7320) ポイント 女性ホルモンが制御する新たな前立腺癌の増殖 細胞死メカニズムを発見 女性ホルモン及び女性ホルモン抑制剤は ERβ 及び KLF5 を通じ FOXO1 の発現量を変化することで前立腺癌の増殖

More information

論文の内容の要旨

論文の内容の要旨 1. 2. 3. 4. 5. 6. WASP-interacting protein(wip) CR16 7. 8..pdf Adobe Acrobat WINDOWS2000 論文の内容の要旨 論文題目 WASP-interacting protein(wip) ファミリー遺伝子 CR16 の機能解析 氏名坂西義史 序 WASP(Wiskott-Aldrich syndrome protein)

More information

<4D F736F F D208C8C E293608E718EA197C38CA48B8682CC8CBB8DDD F4390B394C C52E646F63>

<4D F736F F D208C8C E293608E718EA197C38CA48B8682CC8CBB8DDD F4390B394C C52E646F63> 血友病遺伝子治療研究の現在 自治医科大学分子病態研究センター 坂田洋一 血友病の治療は これまで 出血時 或いは予防的に血友病因子を濃縮製剤の形で補充することが中心でした 紆余曲折しながらも 確かに製剤の質と利便性は著しく向上しました しかし それでも不慮の頭蓋内出血等の致死的出血を防ぐことは出来ません 常時 数 % の正常因子活性が血中に存在すれば 不慮の出血は基本的に抑制できます この目的を果たすには遺伝子治療が理にかなっています

More information

<4D F736F F D20819B8CA48B868C7689E68F D A8CA9967B5F E646F63>

<4D F736F F D20819B8CA48B868C7689E68F D A8CA9967B5F E646F63> 研究計画書 本委員会ではゲノム解析研究を審査対象としている 臨床試験などは対象とならないため, 試験計画 ではない 以下, 計画書では 研究 を使用する 委員には, 医学の専門外の方もいます 研究計画は専門外の者にも理解しやすいように, 平易な表現で分かり易く記載する 研究課題名 : 1. 提供者を選ぶ方針 申請者氏名 ( 所属 職名 ): 合理的に選択していることが分かる具体的な方法を記載する 提供者が疾病や薬剤反応性異常を有する場合等にあっては,

More information

遺伝子の近傍に別の遺伝子の発現制御領域 ( エンハンサーなど ) が移動してくることによって その遺伝子の発現様式を変化させるものです ( 図 2) 融合タンパク質は比較的容易に検出できるので 前者のような二つの遺伝子組み換えの例はこれまで数多く発見されてきたのに対して 後者の場合は 広範囲のゲノム

遺伝子の近傍に別の遺伝子の発現制御領域 ( エンハンサーなど ) が移動してくることによって その遺伝子の発現様式を変化させるものです ( 図 2) 融合タンパク質は比較的容易に検出できるので 前者のような二つの遺伝子組み換えの例はこれまで数多く発見されてきたのに対して 後者の場合は 広範囲のゲノム 2014 年 4 月 4 日 東北大学大学院医学系研究科 染色体転座 逆位による白血病の発症機構を解明 染色体異常に起因する疾病の病因解明に向けた新たな解析手法の確立 東北大学大学院医学系研究科の鈴木未来子講師 ( ラジオアイソトープセンター ) 山㟢博未博士 ( 医化学分野 ) 清水律子教授 ( 分子血液学分野 ) 山本雅之教授 ( 医化学分野 東北メディカル メガバンク機構機構長 ) らは 3

More information

SNPs( スニップス ) について 個人差に関係があると考えられている SNPs 遺伝子に保存されている情報は A( アデニン ) T( チミン ) C( シトシン ) G( グアニン ) という 4 つの物質の並びによってつくられています この並びは人類でほとんど同じですが 個人で異なる部分もあ

SNPs( スニップス ) について 個人差に関係があると考えられている SNPs 遺伝子に保存されている情報は A( アデニン ) T( チミン ) C( シトシン ) G( グアニン ) という 4 つの物質の並びによってつくられています この並びは人類でほとんど同じですが 個人で異なる部分もあ 別紙 1: 遺伝子 SNPs 多因子遺伝病 遺伝形式の説明例 個々の疾患 研究 そのほかの状況から説明しなければならない内 容は異なります 適切に削除 追加してください この説明例では 常染色体優性遺伝 などの言葉を使用しました が 実際の説明文書では必ずしも専門用語は必要ではありません 遺伝子について体をつくる設計図が遺伝子体はたくさんの細胞から作られています 一つ一つの細胞には体をつくるための全ての遺伝子が入っていて

More information

O-27567

O-27567 そこに そこがあるのか? 自明性 (Obviousness) における固有性 (Inherency) と 機能的クレーム (Functional Claiming) 最近の判決において 連邦巡回裁判所は 当事者系レビューにおける電気ケーブルの製造を対象とする特許について その無効を支持した この支持は 特許審判部 (Patent and Trial and Appeal Board (PTAB))

More information

大学院博士課程共通科目ベーシックプログラム

大学院博士課程共通科目ベーシックプログラム 平成 30 年度医科学専攻共通科目 共通基礎科目実習 ( 旧コア実習 ) 概要 1 ). 大学院生が所属する教育研究分野における実習により単位認定可能な実習項目 ( コア実習項目 ) 1. 組換え DNA 技術実習 2. 生体物質の調製と解析実習 3. 薬理学実習 4. ウイルス学実習 5. 免疫学実習 6. 顕微鏡試料作成法実習 7. ゲノム医学実習 8. 共焦点レーザー顕微鏡実習 2 ). 実習を担当する教育研究分野においてのみ単位認定可能な実習項目

More information

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http 脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date 2009-03-23 URL http://hdl.handle.net/2433/124054 Right Type Thesis or

More information

平成14年度研究報告

平成14年度研究報告 平成 14 年度研究報告 研究テーマ 多嚢胞性卵巣発症に関する遺伝性素因の解析 - PCO の解析 - 北海道大学大学院医学研究科 助手菅原照夫 現所属 : 北海道大学大学院医学研究科 医学部連携研究センター サマリー 多嚢胞性卵巣 (PCO) は生殖可能年齢の婦人の 5 10% に発症する内分泌疾患である 臨床症状は 月経不順 多毛 肥満 排卵障害が主な特徴であり 難治性の不妊症の主な原因である

More information

景品の換金行為と「三店方式」について

景品の換金行為と「三店方式」について 景品の換金行為と 三店方式 について 1 景品の換金が行われる背景と法令の規定について 2 三店方式 の歴史について 3 三店方式 を構成する3つの要素について 4 三店方式 に関する行政の見解について 5 三店方式 に関する裁判所の見解について 6 三店方式 とパチンコ店の営業について 株式会社大商姫路 - 1 - 1 景品の換金が行われる背景と法令の規定についてパチンコは 遊技客が 遊技機で遊技した結果獲得した玉

More information

報道発表資料 2007 年 4 月 11 日 独立行政法人理化学研究所 傷害を受けた網膜細胞を薬で再生する手法を発見 - 移植治療と異なる薬物による新たな再生治療への第一歩 - ポイント マウス サルの網膜の再生を促進することに成功 網膜だけでなく 難治性神経変性疾患の再生治療にも期待できる 神経回

報道発表資料 2007 年 4 月 11 日 独立行政法人理化学研究所 傷害を受けた網膜細胞を薬で再生する手法を発見 - 移植治療と異なる薬物による新たな再生治療への第一歩 - ポイント マウス サルの網膜の再生を促進することに成功 網膜だけでなく 難治性神経変性疾患の再生治療にも期待できる 神経回 60 秒でわかるプレスリリース 2007 年 4 月 11 日 独立行政法人理化学研究所 傷害を受けた網膜細胞を薬で再生する手法を発見 - 移植治療と異なる薬物による新たな再生治療への第一歩 - 五感の中でも 視覚 は 私たちが世界を感知するためにとても重要です この視覚をもたらすのが眼 その構造と機能は よく カメラ にたとえられ レンズの役目 水晶体 を通して得られる光の情報を フイルムである

More information

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化 ISO 9001:2015 におけるプロセスアプローチ この文書の目的 : この文書の目的は ISO 9001:2015 におけるプロセスアプローチについて説明することである プロセスアプローチは 業種 形態 規模又は複雑さに関わらず あらゆる組織及びマネジメントシステムに適用することができる プロセスアプローチとは何か? 全ての組織が目標達成のためにプロセスを用いている プロセスとは : インプットを使用して意図した結果を生み出す

More information

資料 4 生命倫理専門調査会における主な議論 平成 25 年 12 月 20 日 1 海外における規制の状況 内閣府は平成 24 年度 ES 細胞 ips 細胞から作成した生殖細胞によるヒト胚作成に関する法規制の状況を確認するため 米国 英国 ドイツ フランス スペイン オーストラリア及び韓国を対象

資料 4 生命倫理専門調査会における主な議論 平成 25 年 12 月 20 日 1 海外における規制の状況 内閣府は平成 24 年度 ES 細胞 ips 細胞から作成した生殖細胞によるヒト胚作成に関する法規制の状況を確認するため 米国 英国 ドイツ フランス スペイン オーストラリア及び韓国を対象 生命倫理専門調査会における主な議論 平成 25 年 12 月 20 日 1 海外における規制の状況 内閣府は平成 24 年度 ES 細胞 ips 細胞から作成した生殖細胞によるヒト胚作成に関する法規制の状況を確認するため 米国 英国 ドイツ フランス スペイン オーストラリア及び韓国を対象とする実地調査を実施した 実地調査は各国の生命倫理に関する規制当局 研究機関 大学研究者等を訪問し行った (1)

More information

PT51_p69_77.indd

PT51_p69_77.indd 臨床講座 特発性血小板減少性紫斑病 ITP の登場によりその危険性は下がりました また これまで 1 ヘリコバクター ピロリの除菌療法 治療の中心はステロイドであり 糖尿病 不眠症 胃炎 ヘリコバクター ピロリ ピロリ菌 は 胃炎や胃 十二指 満月様顔貌と肥満などに悩む患者が多かったのですが 腸潰瘍に深く関わっています ピロリ菌除菌療法により約 受容体作動薬によりステロイドの減量 6 割の患者で 血小板数が

More information

臨床評価とは何か ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部方眞美

臨床評価とは何か ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部方眞美 臨床評価とは何か ( 独 ) 医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部方眞美 本日の Agenda 1. 臨床評価とは 2. 医療機器の特性を踏まえた有効性 安全性評価 3. 各国の規制の違い 4. 臨床評価報告書について 5. 臨床評価報告書の概念 6. 臨床研究と治験の違いは? 7. 文献評価の問題点 8. 治験活性化にむけて 臨床評価 とは そのものの有効性と安全性をヒトで評価すること 自己認証の欧州から出てきた概念

More information

Microsoft Word - 概要3.doc

Microsoft Word - 概要3.doc 装い としてのダイエットと痩身願望 - 印象管理の視点から - 東洋大学大学院社会学研究科鈴木公啓 要旨 本論文は, 痩身願望とダイエットを装いの中に位置づけたうえで, 印象管理の視点からその心理的メカニズムを検討することを目的とした 全体として, 明らかになったのは以下のとおりである まず, 痩身が装いの一つであること, そして, それは独特の位置づけであり, また, 他の装いの前提条件的な位置づけであることが明らかになった

More information

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital 6459 8. その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May. 2017 EGFR 遺伝子変異検査 ( 院内測定 ) c-erbb/egfr [tissues] 基本情報 8C051 c-erbb/egfr JLAC10 診療報酬 分析物 識別材料測定法

More information

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM

く 細胞傷害活性の無い CD4 + ヘルパー T 細胞が必須と判明した 吉田らは 1988 年 C57BL/6 マウスが腹腔内に移植した BALB/c マウス由来の Meth A 腫瘍細胞 (CTL 耐性細胞株 ) を拒絶すること 1991 年 同種異系移植によって誘導されるマクロファージ (AIM ( 様式甲 5) 氏 名 山名秀典 ( ふりがな ) ( やまなひでのり ) 学 位 の 種 類 博士 ( 医学 ) 学位授与番号 甲 第 号 学位審査年月日 平成 26 年 7 月 30 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 Down-regulated expression of 学位論文題名 monocyte/macrophage major histocompatibility

More information

早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月

早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月 早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月 本研究は ネパール人日本語学習者 ( 以下 NPLS) のリズム生成の特徴を明らかにし NPLS に対する発音学習支援 リズム習得研究に示唆を与えるものである 以下 本論文 の流れに沿って 概要を記述する 第一章序論 第一章では 本研究の問題意識 意義 目的 本論文の構成を記した

More information

謔」閠・錐

謔」閠・錐 受精卵 ( 胚 ) 卵子凍結の説明書 2009 年 9 月 28 日作成 患者氏名 ID 治療の必要性 / 適応について 受精卵 ( 胚 ) の凍結は 体外受精または顕微授精において 以下のような場合に行われる治療です 胚移植後に 妊娠につながる可能性のある受精卵 ( いわゆる余剰胚 ) が残っていた場合 採卵数が多い 血中エストロゲン値が高いなど 卵巣過剰刺激症候群を起こす可能性が高いために 胚移植がキャンセルとなった場合

More information

臨床研究の概要および研究計画

臨床研究の概要および研究計画 別紙第 2 説明書 1 原発性免疫不全症の早期診断法について ( 臍帯血採取用 ) 原発性免疫不全症は 免疫系を作るプログラムが一部障害されたために起こる疾患です 感染に対する抵抗力が極めて弱く 乳児期に重症の感染症を起こして発見される場合もあります 早期に適切な治療が施されなければ命に関わる疾患ですが 早期発見および早期治療により重症化を防ぐことができ 最近では造血幹細胞移植により根治も可能となってきました

More information

妊よう性とは 妊よう性とは 妊娠する力 のことを意味します がん治療の影響によって妊よう性が失われたり 低下することがあります 妊よう性を残す方法として 生殖補助医療を用いた妊よう性温存方法があります 目次 はじめにがん治療と妊よう性温存治療抗がん剤治療に伴う卵巣機能低下について妊娠の可能性を残す方

妊よう性とは 妊よう性とは 妊娠する力 のことを意味します がん治療の影響によって妊よう性が失われたり 低下することがあります 妊よう性を残す方法として 生殖補助医療を用いた妊よう性温存方法があります 目次 はじめにがん治療と妊よう性温存治療抗がん剤治療に伴う卵巣機能低下について妊娠の可能性を残す方 妊よう性とは 妊よう性とは 妊娠する力 のことを意味します がん治療の影響によって妊よう性が失われたり 低下することがあります 妊よう性を残す方法として 生殖補助医療を用いた妊よう性温存方法があります 目次 はじめにがん治療と妊よう性温存治療抗がん剤治療に伴う卵巣機能低下について妊娠の可能性を残す方法妊よう性温存方法がん治療後の妊娠に関して生殖医療機関を受診するまでの流れ生殖医療機関を探すには受診するまでにかかる費用マイカレンダー紹介状への記載内容について

More information

資料 3-1 CREST 人工多能性幹細胞 (ips 細胞 ) 作製 制御等の医療基盤技術 平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度 10 件 7 件 6 件 進捗状況報告 9.28,2010 総括須田年生

資料 3-1 CREST 人工多能性幹細胞 (ips 細胞 ) 作製 制御等の医療基盤技術 平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度 10 件 7 件 6 件 進捗状況報告 9.28,2010 総括須田年生 資料 3-1 CREST 人工多能性幹細胞 (ips 細胞 ) 作製 制御等の医療基盤技術 平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度 10 件 7 件 6 件 進捗状況報告 9.28,2010 総括須田年生 報道関係者 CREST レクチャー会資料 (2009 年 12 月 4 日 ) からの抜粋 選考基準 1) ips 作成技術は センダイウイルス たんぱく質導入による方法など染色体組み込みを避ける方向で

More information

<4D F736F F D F D F095AA89F082CC82B582AD82DD202E646F63>

<4D F736F F D F D F095AA89F082CC82B582AD82DD202E646F63> 平成 23 年 2 月 12 日筑波大学 不要な mrna を選択的に分解するしくみを解明 医療応用への新規基盤をめざす < 概要 > 真核生物の遺伝子の発現は DNA のもつ遺伝情報をメッセンジャー RNA(mRNA) に写し取る転写の段階だけでなく 転写の結果つくられた mrna 自体に対しても様々な制御がなされています 例えば mrna を細胞内の特定の場所に引き留めておくことや 正確につくられなかった

More information

背景 歯はエナメル質 象牙質 セメント質の3つの硬い組織から構成されます この中でエナメル質は 生体内で最も硬い組織であり 人が食生活を営む上できわめて重要な役割を持ちます これまでエナメル質は 一旦齲蝕 ( むし歯 ) などで破壊されると 再生させることは不可能であり 人工物による修復しかできませ

背景 歯はエナメル質 象牙質 セメント質の3つの硬い組織から構成されます この中でエナメル質は 生体内で最も硬い組織であり 人が食生活を営む上できわめて重要な役割を持ちます これまでエナメル質は 一旦齲蝕 ( むし歯 ) などで破壊されると 再生させることは不可能であり 人工物による修復しかできませ 報道機関各位 ips 細胞からエナメル質をつくる細胞を誘導 歯の再生への応用が期待 平成 24 年 2 月 10 日 東北大学大学院歯学研究科 ポイント 歯のエナメル質をつくる細胞( エナメル芽細胞 ) は 歯の萌出後に失われる ips 細胞からエナメル芽細胞を世界で初めて誘導 エナメル芽細胞の分化機序解明や 歯の再生への細胞ソースとして利用可能 概要 国立大学法人東北大学は 幹細胞が上皮細胞との相互作用により

More information

Excelによる統計分析検定_知識編_小塚明_5_9章.indd

Excelによる統計分析検定_知識編_小塚明_5_9章.indd 第7章57766 検定と推定 サンプリングによって得られた標本から, 母集団の統計的性質に対して推測を行うことを統計的推測といいます 本章では, 推測統計の根幹をなす仮説検定と推定の基本的な考え方について説明します 前章までの知識を用いて, 具体的な分析を行います 本章以降の知識は操作編での操作に直接関連していますので, 少し聞きなれない言葉ですが, 帰無仮説 有意水準 棄却域 などの意味を理解して,

More information

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する 大阪府立病院機構医療事故公表基準 1 公表の目的この基準は 府立 5 病院における医療事故の公表に関する取り扱いについて必要な事項を定めるものとする 病院職員は 次に掲げる公表の意義を正しく認識し 医療事故防止に努めるものとする (1) 病院職員が事故原因の分析や再発防止への取組みなどの情報を共有化し 医療における安全管理の徹底を図るため 自発的に医療事故を公表していくことが求められていること (2)

More information

本成果は 主に以下の事業 研究領域 研究課題によって得られました 日本医療研究開発機構 (AMED) 脳科学研究戦略推進プログラム ( 平成 27 年度より文部科学省より移管 ) 研究課題名 : 遺伝子改変マーモセットの汎用性拡大および作出技術の高度化とその脳科学への応用 研究代表者 : 佐々木えり

本成果は 主に以下の事業 研究領域 研究課題によって得られました 日本医療研究開発機構 (AMED) 脳科学研究戦略推進プログラム ( 平成 27 年度より文部科学省より移管 ) 研究課題名 : 遺伝子改変マーモセットの汎用性拡大および作出技術の高度化とその脳科学への応用 研究代表者 : 佐々木えり 平成 28 年 7 月 1 日 公益財団法人実験動物中央研究所慶應義塾大学医学部国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ゲノム編集技術により免疫不全霊長類の作出に成功 ( 霊長類を用いた自閉症 統合失調症などの精神神経疾患研究も可能に ) 日本医療研究開発機構 脳科学研究戦略推進プログラムの一環として ( 公益財団法人 ) 実験動物中央研究所 ( 実中研 ) マーモセット研究部の佐々木えりか部長 (

More information

release

release 国立大学法人熊本大学 報道機関各位 平成 27 年 11 月 13 日 マウスにおける超過剰排卵誘起剤の 実用化について -1 匹の雌マウスから 100 個の卵子 - 熊本大学 ( 概要 ) 熊本大学生命資源研究 支援センター動物資源開発研究施設 (CARD) の中潟直己教授 竹尾透講師らは 1 匹の雌マウスから 100 個以上 ( 従来法の 3~4 倍 ) の卵子を排卵させる技術を開発し 平成 27

More information

Microsoft PowerPoint - 4_河邊先生_改.ppt

Microsoft PowerPoint - 4_河邊先生_改.ppt 組換え酵素を用いた配列部位 特異的逐次遺伝子導入方法 Accumulative gene integration system using recombinase 工学研究院化学工学部門河邉佳典 2009 年 2 月 27 日 < 研究背景 > 1 染色体上での遺伝子増幅の有用性 動物細胞での場合 新鮮培地 空気 + 炭酸ガス 使用済み培地 医薬品タンパク質を生産する遺伝子を導入 目的遺伝子の多重化

More information

2. 看護に必要な栄養と代謝について説明できる 栄養素としての糖質 脂質 蛋白質 核酸 ビタミンなどの性質と役割 およびこれらの栄養素に関連する生命活動について具体例を挙げて説明できる 生体内では常に物質が交代していることを説明できる 代謝とは エネルギーを生み出し 生体成分を作り出す反応であること

2. 看護に必要な栄養と代謝について説明できる 栄養素としての糖質 脂質 蛋白質 核酸 ビタミンなどの性質と役割 およびこれらの栄養素に関連する生命活動について具体例を挙げて説明できる 生体内では常に物質が交代していることを説明できる 代謝とは エネルギーを生み出し 生体成分を作り出す反応であること 生化学 責任者 コーディネーター 看護専門基礎講座塚本恭正准教授 担当講座 学科 ( 分野 ) 看護専門基礎講座 対象学年 1 期間後期 区分 時間数 講義 22.5 時間 単位数 2 単位 学習方針 ( 講義概要等 ) 生化学反応の場となる細胞と細胞小器官の構造と機能を理解する エネルギー ATP を産生し 生体成分を作り出す代謝反応が生命活動で果たす役割を理解し 代謝反応での酵素の働きを学ぶ からだを構成する蛋白質

More information

~ 副腎に腫瘍がある といわれたら ~ 副腎腫瘍? そもそも 副腎って何? 小さいけれど働き者の 副腎 副腎は 左右の腎臓の上にある臓器です 副腎皮質ホルモンやカテコラミンと呼ばれる 生命や血圧を維持するために欠かせない 重要なホルモンを分泌している大切な臓器です 副腎 副腎 NEXT ホルモンって 何? 全身を調整する大切な ホルモン 特定の臓器 ( 内分泌臓器 ) から血液の中に出てくる物質をホルモンと呼びます

More information

Microsoft Word - 【プレスリリース・J】毛包再生非臨床 説明文 最終版.docx

Microsoft Word - 【プレスリリース・J】毛包再生非臨床 説明文 最終版.docx 2018 年 6 月 4 日 毛包器官再生医療に向けた非臨床試験開始について 株式会社オーガンテクノロジーズ ( 代表取締役 : 杉村泰宏以下 オーガンテクノロジーズ ) 並びに国立研究開発法人理化学研究所 ( 理事長 : 松本紘以下 理研 ) は 再生医療分野である 毛包器官再生による脱毛症の治療 に向けた臨床研究の前段階である非臨床試験を開始することといたしましたのでお知らせいたします 1. 脱毛症とその治療

More information

診療のガイドライン産科編2014(A4)/fujgs2014‐114(大扉)

診療のガイドライン産科編2014(A4)/fujgs2014‐114(大扉) !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! α!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

More information

Microsoft Word - youshi1113

Microsoft Word - youshi1113 異文化能力の概念化と応用 : 批判的再考 ケンパー マティアス 08VT008S 要旨 本研究の目的は1) 既存の異文化能力論の批判的再考 2) 文化的差異の共有 を中心とする異文化能力の概念化及び3) 提唱された異文化能力モデルの応用についての考察である 本稿は4 章の構造からなる 第 1 章において異文化コミュニケーション能力の概念化に必要な理論的条件と概論としての問題点を考察し 続く第 2 章において既存の異文化コミュニケーション能力の諸定義とモデルの批判的再考を行った

More information

1 BCM BCM BCM BCM BCM BCMS

1 BCM BCM BCM BCM BCM BCMS 1 BCM BCM BCM BCM BCM BCMS わが国では BCP と BCM BCM と BCMS を混同している人を多く 見受けます 専門家のなかにもそうした傾向があるので BCMS を正 しく理解するためにも 用語の理解はきちんとしておきましょう 1-1 用語を組織内で明確にしておかないと BCMS や BCM を組織内に普及啓発していく際に齟齬をきたすことがあります そこで 2012

More information

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ 介護職員初任者研修 ほほえみ介護塾 シラバス 研修事業者名 使用教材 一般財団法人宇治市福祉サービス公社 介護職員初任者研修テキスト 公益財団法人介護労働安定センター 科目名 職務の理解 6 時間 研修に先立ち これからの介護が目指すべき その人の生活を支える 在宅におけるケ ア 等の実践について 介護職がどのような環境で どのような形で どのような仕事を 行うのか 具体的イメージを持って実感し 以降の研修に実践的に取り組めるようにす

More information

Microsoft Word - Seminar14.doc

Microsoft Word - Seminar14.doc 第 14 回健康セミナー [ テーマ ] 遺伝子疾病 その原因と治療法の開発 [ 講師 ] コペンハーゲン大学細胞分子医学科講師白石竹彦 [ 日時 ] 2011 年 10 月 6 日 [ 場所 ] 在デンマーク日本国大使館多目的ホール セミナーは 最初 遺伝子 (DNA) の基本的な働き 制御の仕組みについて再確認し その後 遺伝子治療について 展望と課題について話をした その内容を以下要約する 遺伝子は生命の設計図

More information

平成18年3月17日

平成18年3月17日 平成 29 年 9 月 5 日 情報提供 体細胞初期化因子の本来の生理機能を解明 ips 細胞の樹立メカニズムの解明による再生医療への応用に期待 本学動物生命科学研究センター浅見拓哉特任助教 依馬正次教授らの研究グループは JST 戦略的創造研究推進事業 ( さきがけ ) ips 細胞と生命機能 の一環として 体細胞初期化因子である Klf5 が マウス初期胚で ES 細胞の起源であるエピブラスト

More information

Microsoft Word - 9章3 v3.2.docx

Microsoft Word - 9章3 v3.2.docx 3. 内歯歯車 K--V 機構の効率 3. 退行駆動前項では外歯の K--V 機構の効率について考察した ここでは内歯歯車の K--V 機構を対象とする その考え方は外歯の場合と同じであるが 一部外歯の場合とは違った現象が起こるのでその部分に焦点を当てて述べる 先に固定したラックとピニオンの例を取り上げた そこではピニオン軸心を押す場合と ピニオンにモーメントを加える方法とではラックの役割が違うことを示した

More information

かし この技術に必要となる遺伝子改変技術は ヒトの組織細胞ではこれまで実現できず ヒトがん組織の細胞系譜解析は困難でした 正常の大腸上皮の組織には幹細胞が存在し 自分自身と同じ幹細胞を永続的に産み出す ( 自己複製 ) とともに 寿命が短く自己複製できない分化した細胞を次々と産み出すことで組織構造を

かし この技術に必要となる遺伝子改変技術は ヒトの組織細胞ではこれまで実現できず ヒトがん組織の細胞系譜解析は困難でした 正常の大腸上皮の組織には幹細胞が存在し 自分自身と同じ幹細胞を永続的に産み出す ( 自己複製 ) とともに 寿命が短く自己複製できない分化した細胞を次々と産み出すことで組織構造を プレスリリース 報道関係者各位 2017 年 3 月 31 日 慶應義塾大学医学部 大腸がん幹細胞標的治療モデルの開発に成功 - がんの根治治療の開発に期待 - このたび慶應義塾大学医学部内科学 ( 消化器 ) 佐藤俊朗准教授らは 大腸がんの増殖を司る がん幹細胞 の詳細な機能の解析と がん幹細胞を標的とした治療モデルの開発に成功しました がん幹細胞 は がん組織の中に少数存在し 再発や転移の原動力となると考えられ

More information

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被験者 ( 研究の対象者 ) として研究にご参加くださいますようお願い申し上げます この研究に参加されない場合でも,

More information

ヘルシンキ宣言

ヘルシンキ宣言 日本医師会訳 WORLD MEDICAL ASSOCIATION ヘルシンキ宣言 人間を対象とする医学研究の倫理的原則 1964 年 6 月 第 18 回 WMA 総会 ( ヘルシンキ フィンランド ) で採択 1975 年 10 月 第 29 回 WMA 総会 ( 東京 日本 ) で修正 1983 年 10 月 第 35 回 WMA 総会 ( ベニス イタリア ) で修正 1989 年 9 月 第

More information

調査委員会 報告

調査委員会 報告 調査委員会報告 1 論文 1: Obokata et al., Nature 505:641 647(2014) (1 1) 1) Figure 1f の画像の不自然さ (1 2) Figure 1iの画像切り貼りの疑い (1 3) Methods の記載の一部の盗用の疑い (1 4) Methods の記載の一部の間違い (1 5) Figure 2d, 2eの画像の取り違えと 学位論文画像との酷似

More information

TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他

TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他 CONTENTS 1 2 3 4 5 6 7 8 2008 8 980-8574 1 1 T E L 022 717 7000 T E L 022 717 7131 FAX 022 717 7132 SPECIAL 1 TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います

More information

新しい概念に基づく第 3 世代のがん免疫治療 inkt がん治療 inkt Cancer Therapy 監修 : 谷口克先生株式会社アンビシオン inktがん治療 これまでのがん治療の最大の問題であるがんの進行 再発 転移 この問題を克服することを 目指し 新しい概念に基づく第3世代のがん免疫治療である inktがん治療 が開発されました inktがん治療 は 患者末梢血細胞を加工して作った オーダーメイドがんワクチン

More information

Microsoft Word - 【変更済】プレスリリース要旨_飯島・関谷H29_R6.docx

Microsoft Word - 【変更済】プレスリリース要旨_飯島・関谷H29_R6.docx 解禁日時 : 平成 29 年 6 月 20 日午前 1 時 ( 日本時間 ) 資料配布先 : 厚生労働記者会 厚生日比谷クラブ 文部科学記者会会見場所 日時 : 厚生労働記者会 6 月 14 日 15 時から ( 厚生日比谷クラブと合同 ) 神経変性疾患治療法開発への期待 = 国立長寿医療センター認知症先進医療開発センター = ストレス応答系を 制御する 2017 年 6 月 20 日 要旨 ( 理事長

More information

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」 2017 年 2 月 1 日 作成者 : 山田さおり 慢性心不全看護エキスパートナース育成コース 1. 目的江南厚生病院に通院あるいは入院している心不全患者に質の高いケアを提供できるようになるために 看護師が慢性心不全看護分野の知識や技術を習得することを目的とする 2. 対象レベルⅡ 以上で各分野の知識と技術習得を希望する者 ( 今年度は院内スタッフを対象にしています ) 期間中 80% 以上参加できる者

More information

研究の詳細な説明 1. 背景細菌 ウイルス ワクチンなどの抗原が人の体内に入るとリンパ組織の中で胚中心が形成されます メモリー B 細胞は胚中心に存在する胚中心 B 細胞から誘導されてくること知られています しかし その誘導の仕組みについてはよくわかっておらず その仕組みの解明は重要な課題として残っ

研究の詳細な説明 1. 背景細菌 ウイルス ワクチンなどの抗原が人の体内に入るとリンパ組織の中で胚中心が形成されます メモリー B 細胞は胚中心に存在する胚中心 B 細胞から誘導されてくること知られています しかし その誘導の仕組みについてはよくわかっておらず その仕組みの解明は重要な課題として残っ メモリー B 細胞の分化誘導メカニズムを解明 抗原を記憶する免疫細胞を効率的に誘導し 新たなワクチン開発へ キーワード : 免疫 メモリー B 細胞 胚中心 親和性成熟 転写因子 Bach2 研究成果のポイント 抗原を記憶する免疫細胞 : メモリー B 細胞注 1 がどのように分化誘導されていくのかは不明だった リンパ節における胚中心注 2 B 細胞からメモリー B 細胞への分化誘導は初期の胚中心で起こりやすく

More information

【1

【1 輸血拒否患者に対するマニュアル はじめに 2008 年 2 月 日本輸血 細胞治療学会 日本麻酔科学会 日本小児科学会 日本産婦人科学会および日本外科学会の輸血治療に関与する 5 学会合同で 宗教的輸血拒否に関するガイドライン が示された 本ガイドラインは過去の宗教的輸血拒否に関係する判例等を考慮しつつ 年齢や医療に対する判断能力等を考慮したものである 特に 15 歳未満または医療に対する判断能力がない場合に

More information

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効 60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - がんやウイルスなど身体を蝕む病原体から身を守る物質として インターフェロン が注目されています このインターフェロンのことは ご存知の方も多いと思いますが 私たちが生まれながらに持っている免疫をつかさどる物質です 免疫細胞の情報の交換やウイルス感染に強い防御を示す役割を担っています

More information

患者学講座第1講「医療と社会」

患者学講座第1講「医療と社会」 ILC セミナー 2012/2/3 国際比較調査報告 2 ~ 各国の看取りと専門職の役割 ~ 成蹊大学アジア太平洋研究センター 渡邉大輔 (dwatanabe@ejs.seikei.ac.jp) 本報告の背景と目的 終末期におけるチームの重要性 専門職間の考え方の違い 調査データから看取りと専門職の関連について分析する 各国の 文化 に還元しない理解を試みる 2 分析で用いるデータ 1. 2010~2011

More information

4.2 リスクリテラシーの修得 と受容との関 ( ) リスクリテラシーと 当該の科学技術に対する基礎知識と共に 科学技術のリスクやベネフィット あるいは受容の判断を適切に行う上で基本的に必要な思考方法を獲得している程度のこと GMOのリスクリテラシーは GMOの技術に関する基礎知識およびGMOのリス

4.2 リスクリテラシーの修得 と受容との関 ( ) リスクリテラシーと 当該の科学技術に対する基礎知識と共に 科学技術のリスクやベネフィット あるいは受容の判断を適切に行う上で基本的に必要な思考方法を獲得している程度のこと GMOのリスクリテラシーは GMOの技術に関する基礎知識およびGMOのリス 4. 的 か の 受容の 4.1 に る の態度の に る態度 に る態度東京都内在住の成人男女 600 人を無作為抽出し 社会調査を実施した 3 ( 有効回収率 :67.5%) その結果 一般市民はGMOに対し 従来型の品種改良農作物と比較して かなり否定的な態度を持っていることが示された 品種改良農作物に対しては 約 7 割の者が 安心 と回答し 一方 GMOに対しては 8 割近くの者が 不安

More information