ドーハラウンド交渉とは農業鉱工業サービスの自由化のみならず貿易円滑化アンチダンピング等のルールの策定強化も含んだ包括的な貿易交渉 2001 年にカタールのドーハで交渉が開始されたことからドーハラウンドという貿易を通じた途上国の開発が最重要課題の一つ主な交渉分野 ( 下線は農林

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ともみつちかね
5 years ago
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1 WTO 農業交渉の現状大臣官房国際部平成 24 年 12 月

2 ドーハラウンド交渉とは農業鉱工業サービスの自由化のみならず貿易円滑化アンチダンピング等のルールの策定強化も含んだ包括的な貿易交渉 2001 年にカタールのドーハで交渉が開始されたことからドーハラウンドという貿易を通じた途上国の開発が最重要課題の一つ主な交渉分野 ( 下線は農林水産関係分野 ) 農業関税国内補助金の輸出補助金の撤廃等に関する交渉 NAMA ( 鉱工業品分野 ) ルールサービス TRIPS ( 知的財産権 ) 鉱工業品及び林水産品の関税非関税障壁の等に関する交渉ダンピング防止及び補助金 ( 漁業補助金を含む ) 及び地域貿易協定についてのルールに関する交渉サービスの市場アクセス ( 外資規制等 ) 国内規制 ( 免許制等 ) サービス分野におけるルール ( セーフガード等 ) に関する交渉地理的表示 (GI) の多国間通報登録制度の設立開発途上国に対する特別かつ異なる待遇 (S&D) の検討等貿易円滑化貿易手続の透明性予見可能性公平性の向上簡素化迅速化の促進を目的とする交渉環境環境物品の関税等の撤廃等 1

3 ドーハラウンドの現状交渉は11 年目加盟途上国の増加と多岐にわたる交渉分野 (8つ) で一括合意できず長期化交渉開始時と比べ中国インドブラジルなど新興途上国の貿易における存在感が飛躍的に増大ラウンド交渉の結果は今後 10~15 年の貿易枠組みとして続くことになるため米国は特に新興途上国には更なる自由化を求めており途上国はこれに反発, 交渉が膠着 2011 年に入り一括合意から先行する形で部分合意を目指すも各国の意見が対立し断念第 8 回閣僚会合にて近い将来の一括合意は困難であるが部分合意も含め新たな手法により打開の道を探るべきとの議長総括が出される米国の立場これまでの交渉では, 農業補助金の等, 米国の失う物が大きいのに比して, 途上国から何が得られるか不明確国内の理解が得られない ( 米議会業界の反発 ) 米はこれまでの成果に合意したことなし対立新興国の立場これまでの交渉の経緯を踏まえ, 途上国としての各種の柔軟性 ( 関税の例外等 ) が認められるべき鉱工業品では全加盟国でこれまで議論してきた, 関税方式 ( フォーミュラ ) が合意事項自由貿易体制で恩恵を受ける新興途上国が応分の貢献をすべき ( 特に鉱工業品やサービスの更なる自由化 ) 二国間の協議を積み重ね, 関心品目について交渉することを重視米国の要求はこれまでの交渉のバランスを崩すもの更に求めるのであれば, 先進国も譲歩 ( 農業の補助金や関税の一層の等 ) が必要 2

4 WTO 農業交渉とは WTO ドーハラウンドでは 1 市場アクセス 2 国内支持 3 輸出競争という 3 つの分野について農業交渉が行われている農業交渉の 3 つの分野我が国における高関税品目の例分野交渉の目的国土条件などにより外国と国内で特に価格差が大きいコメ小麦乳製品等一部の品目は高関税市場アクセス関税や関税割当 ( 低関税輸入枠 ) の拡大などにより農産物等の貿易機会を実質的に改善 800% 341 円 /kg ( 精米 : 778%) 119 円 /kg タピオカでん粉 (583%) ( ) 内は従価税換算値国内支持価格支持政策や生産刺激的補助金など貿易に歪曲的な影響を及ぼす国内農業施策を実質的に 600% 400% 55 円 /kg (252%) 39 円 /kg (256%) 21.3%+ 396 円 /kg (218%) 29.8%+ 985 円 /kg (360%) 354 円 /kg 小豆 (403%) 71.8 円 / kg(328%) 200% 輸出競争輸出補助金など輸出の競争力に歪曲的な影響を及ぼす補助金の撤廃 0% コメ小麦大麦脱脂粉乳バターでん粉雑豆粗糖 3

5 事項の具体例WTO 農業交渉の流れ農業枠交組渉開始日ウ本ンド提立案上3 月 12 月 11 月 00 年 01 年ドーハ閣僚会議げ) 我が国は多様な農業の共存を主張 ( 各国の農業が発展できる貿易ルールづくりが必要 ) 再( ラみ合意7 月 < 現時点 > (輸香LD出補議議長案に基改モ譲港Cづく集中的閣が進許最対助長訂ダ閣専門的議論僚対国表終策金案議リ僚会立と合等撤提途長テ交宣合しィ意を廃示上案渉言合決決国提定裂示) )04 年 05 年 07 年 08 年 12 月 7 月 7 月 12 月モダリティ交渉 ( 先意4 枠組み合意モダリティ合意譲許表作成定基本的な概念一般品目のほかに重要品目を設定重要品目はより低い関税と関税割当の拡大等関税等の方式関税率は % 重要品目の数は % 重要品目の関税率は一般品目の1/ まで緩和関税割当を国内消費量の % 拡大等個別品目毎の関税率等決品目 A 品目 Bを重要品目に指定重要品目 Aの関税率と関税割当の組み合わせを決定等

6 農業交渉をめぐる主要国グループ農業交渉においては米国 EU 等の主要国のほか食料純輸入国で構成する G10 有力途上国が属する G20 途上国の特別扱い (S&D) に関心の高い G33 食料輸出国で構成するケアンズグループ等が存在我が国は G10 に所属 G10 諸国と連携し食料純輸入国としての立場を交渉のあらゆる場面で主張 G10 日本スイスノルウェー韓国台湾アイスランドイスラエルリヒテンシュタインモーリシャス先進国EU 各国の立場 ( 食料輸入国グループ ) G10 農業の多面的機能を重視カナダ豪州輸入国ケアンズグループ ( 食料輸出国グループ ) ( 有力途上国グループ ) G20 中国インドブラジル等 G33 ( 途上国の特別扱いに関心が高いグループ ) トルコ等途上国米国輸出国 5

7 (75% 以上の 23 %市場アクセス一般品目と重要品目一般品目 50%~70% の ( 階層別に高関税の品目ほど高い率 ) 重要品目率を緩和し関税割当を拡大関税率 75%~ 70% 関税の品目 ) 50~75% 20~50% 64% 57% 70 %関税率特例関税割当国内消費量の 4% 分の拡大 0~20% 50% 率をどの程度まで緩和するか 3 通りの選択が可能それに応じて関税割当の拡大幅が異なる 6

8 ( 議長テキストの内容 ) ( 基本 ) 重要品目の数全品目の4% + 関税割当の拡大幅国内消費量の 4% 分 ( イメージ ) 関税割当の拡国内消費量の大4% 分幅重要品目の数と関税割当の拡大幅 ( 基本 )4% ( 追加 )2% ( 一部の国 ) 全品目の 2% 国内消費量の 4.5% 分 4.5% 分重要品目の数 7

9 国内支持 ( 注 ) 国内支持 : 農業生産者のために行われる助成のこと価格支持を含む議長テキストの内容黄の政策 45~70% ( 階層別に額が大きい国ほど大きな ) 貿易歪曲的国内支持全体 (OTDS) = 黄 + デミニミス + 青 55~80% ( 階層別に額が大きい国ほど大きな ) 現行約束額基準額 (OTDS のイメージ ) 青 400 億ドル ~ 70% EU 日本 600 億ドル ~ 80% EU デミニミス 150~400 億ドル 60% 米国 100~600 億ドル日本は 75% 70% 米国黄更なる 0~150 億ドル 45% 0~100 億ドル 55% OTDS 現行水準黄デミニミス青の等このほかデミニミス青の政策品目別 AMS などの制限も強化される 8

10 WTO ルールにおける国内支持の類型黄の政策 (AMS) 青の政策緑の政策最も貿易歪曲的な国内支持 ( デミニミス青緑以外 ) 市場価格支持不足払いデミニミス等農業生産額の5% 以下の助成 ( 生産全体に大きな影響は与えないという位置付け ) 直接支払いのうち生産調整等の要件を満たすもの ( 黄と緑の中間との位置付け ) 貿易歪曲性がないか最小限試験研究基盤整備生産に関連しない収入支持等 ( 農業協定に要件が詳細に列挙されている ) 貿易歪曲的国内支持全体 (OTDS) 9

11 廃輸出競争議長テキストの内容 1. 輸出補助金 ( 日本は該当なし ) 2013 年末までの撤廃数量ベース金額ベース撤2. 輸出信用 ( 輸出保険など日本では ( 独 ) 日本貿易保険が実施 ) 輸出補助金的な性格を廃止 ( 償還期間は最大 180 日など ) 3. 食料援助 ( 日本は食糧不足の途上国に対して食糧援助を実施現在は無償 ) 完全無償化ほか 4. 輸出国家貿易企業 ( 日本は該当なし ) 独占権の廃止撤廃10

12 輸出規制輸出規制とは自国の農産物等の輸出を抑制する輸出禁止制限措置のこと輸出禁止制限措置について規律強化を求める我が国とスイスの共同提案が 2008 年 12 月の農業交渉議長改訂モダリティ案に反映された輸出規制に対する規律現行農業協定実施期限の定めなし ( いつまででも輸出禁止制限措置を維持することが可能 ) 輸出禁止制限措置を新設する国は農業委員会に実行可能な限り事前かつ速やかに通報 2008 年 12 月の改訂モダリティ案現行の措置は実施初年度に撤廃新規の措置は原則 1 年以内に撤廃新規の措置を導入する加盟国は通報後関心国と協議し農業委員会に報告農業委員会における輸出禁止制限措置に対する監視機能の強化我が国とスイスの共同提案を反映レバノン小麦 : 輸出禁止 (2010 年 8 月 ~) ナイジェリアとうもろこし : 輸出禁止 (2008 年 ~) 農産物の輸出規制の状況 (2012 年 11 月現在 ) モロッコ小麦米等 : 輸出ライセンス制導入 (2008 年 7 月 ~) ケニアとうもろこし : 輸出禁止 (2008 年 9 月 ~) ヨルダン砂糖米 (2008 年 ~) 小麦 (2010 年 ~) 等 : ライセンス制導入イラン小麦等 : 輸出禁止米等 : 輸出税賦課 (2012 年 10 月 ~) エジプト砂糖 : 輸出禁止 (2010 年 11 月 ~) 米 : 輸出許可制と輸出許可制と輸出税賦課を実輸出税賦課を実施 (2009 (2009 年 2 月 ~) ~) インド食用油 : 輸出禁止 (2008 年 3 月 ~) 米小麦 : 輸出枠設定 (2011 年 9 月 ~) ネパール米小麦 (2008 年 4 月 ~) 豆類 (2009 年 7 月 ~): 輸出禁止キルギス小麦 : 輸出禁止 (2012 年 10 月 ~) バングラデシュ米等 : 輸出禁止 (2008 年 5 月 ~) インドネシア米 : 輸出禁止 (2008 年 4 月 ~ 2009 年 3 月, 2009 年 7 月 ~) ミャンマー米 : 輸出許可制 (2008 年 ~) は輸出禁止は輸出税の賦課輸出枠設定等ラオス米 : 輸出許可制 (2010 年 ~) フィリピン米とうもろこし : 輸出許可制 (2005 年 ~) 台湾米 : 輸出許可制 (2008 年 4 月 ~) アルゼンチン小麦とうもろこし大豆牛肉等 : 輸出枠設定輸出税賦課等ボリビア小麦等 : 輸出禁止等 (2008 年 2 月 ~) とうもろこし (2012 年 3 月 ~) 米 (2009 年 12 月 ~) 等 : 輸出枠設定 11

13 漁業補助金の規律 ( ルール交渉 ) WTO ルール交渉においては漁業補助金を原則禁止とするよう求めるグループ (NZ 米等 ) と香港閣僚宣言に従って過剰漁獲につながる補助金に限定して禁止することを主張する日韓台 EC 等とが対立途上国は途上国への特別な配慮を要求過剰漁獲につながる補助金に限定した禁止を主張日本韓国ルール議長テキスト (07 年 11 月末 ) 漁船建造改造操業経費漁港等インフラ所得支持価格支持等への補助金を禁止安全等限定された事項を例外扱い途上国は一定の条件下小規模漁業等に対し特別に配慮漁業補助金の原則禁止を主張一部の例外 ( 安全環境保全減船等 ) を除き漁業補助金を原則禁止台湾禁止の範囲が広すぎる先進国の小規模漁業への配慮が必要原則禁止形式の方が望ましい米国ニュージーランドオーストラリア E C カナダ途上国への配慮の条件が厳しすぎる途上国ノルウェーブラジルインド途上国の漁業発展を妨げることがないよう要求メキシコアルゼンチンペルーチリ等中国 2008 年 3 月漁業補助金に関し共通の関心事項を有する 5 カ国 ( 日本 EC カナダ韓国台湾 ) が協調関係を維持しつつルール会合に臨み必要に応じ共通ポジションを作成すること等について認識を共有 12

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<4D F736F F F696E74202D A8E518D6C8E9197BF E95FB90E096BE89EF816A> 参考資料要品より大きい拡大重交渉分野論点一般品目 WTO 農業交渉の主な構図米国途上国より高い削減率 (75%) 以上交渉の構図 ( 改訂議長テキスト ) 最高階層の削減率 66~73% 削減平均削減率先進国 :54% 削減 ( 重要品目の削減率も計算に含む ) 改訂箇所は下線付き太字で記載 EC 日本 G10 より低い削減率 ( 1) 市場アクセス上限関税数米国途上国設定例外は代償