JAYE

Transcription

1 著作権について当教材は 著作権法で保護されている著作物である 使用に関しては 以下の点に留意すること 作者の書面による事前許可なく 本教材の一部 または全部をインターネット上に公開すること およびオークションサイトなどで転売することを禁じる 本教材の一部 または全部をあらゆるデータ蓄積手段 ( 印刷物 電子ファイル ビデオ DVD およびその他電子メディアなど) により複製 流用および転載することを禁じる 使用許諾契約書本契約は 本教材を利用する法人 個人 ( 以下 甲とする ) と教材作成者 ( 以下 乙とする ) との間で合意した契約である 本教材を甲が受けとることにより 甲はこの契約は成立する 第 1 条 ( 目的 ) 本契約は 本教材に含まれる情報を 本契約に基づき 甲が非独占的に使用する権利を承諾するものである 第 2 条 ( 第三者への公開の禁止 ) 本教材に含まれる情報は 著作権法によって保護されている また 本教材の内容は 秘匿性の高い内容であり 甲はその情報を乙との書面による事前許可を得ずにいかなる第三者にも公開することを禁じる 第 3 条 ( 損害賠償 ) 甲が本契約の第 2 条の規定に違反した場合 本契約の解除に関わらず 甲は乙に対し 違約金として 違反件数と金壱萬円を乗じた価格の 10 倍の金額を支払うものとする 第 4 条 ( その他 ) 当教材に沿って実行し 期待通りの効果を得ることができず 万一如何なる損益が生じた場合でも 乙は甲に対して責任を負わないものとする

2 JAYE 高音ボイストレーニング Lesson 0 1

3 こんにちは! それでは高音をしっかり出すためのトレーニングを始めましょう ここではガイダンスとして 教材の全体像をお話します 高音を出すためのステップとしてこの教材ではチェストボイス ( 簡単のために 地声と考えて下さい ) を鍛えていきます 安定したチェストボイスを出すことができると ミックスボイスやヘッドボイスといった色々な声が出せるようになるんですね 思い通りの高音を出すために まずチェストボイスを徹底的にマスターしまし ょう! 2

4 0-1 高音を出すためには? 高音を出すために何をすればか ということですが 高音を出すためには 良い発声をする ということが必要になります では良い発声をするためにはどうすればいいでしょうか? まず声の仕組みを説明しましょう 図 1 を見てください 呼吸をすると 肺にあった空気が上に上がってきますね そしてノドにある 声帯というところを揺らします そして その振動が 口 鼻といったところで振動が増幅されて 外に出てい き 声になるのです つまりみなさんがトレーニングするべきなのは 良い呼吸を身につけること そして しっかりと振動ができるような良い声帯を身につけること そして最 後に 良く振動を増幅させるスキルを身につけることです! このトレーニングを積めば 誰でも高音を出すことができるようになるので しっかりとトレーニングを行って 思い通りの高音を出せるようになりましょ う!! 図 1 断面図 ( 日本耳鼻咽喉科学会 HP より引用改変 ) 3

5 教材の進め方 まずは基礎をじっくり固めましょう 具体的には 最初はカリキュラム1 呼吸法カリキュラム2 声帯ストレッチカリキュラム3 ブレスタンカリキュラム4 PUSH 式発声法を毎日行いましょう 基礎ができてきたら カリキュラム 5 ストレートボイス 以降に進みましょう Q&A Q: 毎日何分くらいやればいいんでしょうか? A: 基本は 時間で言うと毎日 15 分以上を目安に行いましょう ただ時間ではなく 以下のことに注意しましょう 1レッスンを行っているとき 途中でノドに違和感をかんじていませんか? 違和感がでているうちはあまりいい状況ではありませんので 無理して続けることは禁物です 2レッスンの目的をしっかり理解していますか? ただレッスンを こなす のではあまり効果はありません しっかりとねらいがあって カリキュラムを組んでいます 量よりも質が重要です しっかりと自分がそこでやるべき発声ができているか確認しながらレッスンしましょう 3いつからストレートボイスのカリキュラムを始めていいでしょうか? 目安としてはカリキュラム1~4を通して行って まったくノドに違和感がない状態になったらストレートボイスのレッスンを開始してよいでしょう 4

6 JAYE 高音ボイストレーニング Lesson 1 5

7 ここでは正しい呼吸を学びましょう 基本は 鼻から空気を吸って 口から吐くようにしてください このトレーニングで学ぶ呼吸法をマスターすると 一気に発声力がアップします! みなさん 今 鼻から一気に吸ってみてください! いっぱいすえましたか? それでは今度は口で空気を一気に吸ってみてください! ほら 鼻から吸うよりも口から吸ったほうがいっぱい吸えますよね? 6

8 このトレーニングでは 空気を吸いにくい鼻から一気に空気を吸うトレーニングを重ねていきます つまり呼吸の負荷が大きいんですね あえて普段から鼻呼吸をすることで 口から呼吸するときにいままで以上にいっぱい空気を吸えるわけです! さて これは腹式呼吸をやるぞぉー! というトレーニングとは全く違います 腹式呼吸をするだけであれば 空気を吸う時にお腹を膨らませる意識をすればいいだけですが このトレーニングを行えば そんなことを意識しなくても自然と腹式呼吸ができてしまうんですね! さらに意図的に腹式呼吸をしようとすると 実は空気が声に変わる割合があんまり増えないんです 腹式呼吸をやるときに お腹の方を意識しすぎると 空気を声帯の振動のために使う という集中力が薄れてしまい 息が漏れやすくなってしまいます なので 腹式呼吸をしようという余計なことは考えずに このトレーニングをしっかり行いましょう 7

9 JAYE 高音ボイストレーニング Lesson 2 8

10 ここでは 声帯をじっくりトレーニングしていきましょう 声帯自体の詳しい解説は 動画でこまかく解説していますので そちらをご覧ください ただ一回で完璧に理解するのは難しいと思いますので 時間のあるときに何回かご覧下さいね (^^) といっても 声帯自体をしっかり理解しなくとも トレーニングをちゃんと行えば高音は出せるようになるので 声帯の勉強が大変であれば 最初の声帯解説動画は飛ばして頂いても大丈夫です さて 最初に声帯ストレッチを行います 私達は普段 声をだすとき体は正面を向いています つまり正面をむきやすいような体になってしまっているんですね 9

11 ずっとパソコンに向かうなど 同じ姿勢をとっているとカラダは固くなってしまいます 声帯も同じで いつも同じポジションにいることが多いと 声帯の動きが悪くなってしまうわけです ここでは声帯ストレッチといって いつもとは違う発声の仕方をすることで 声帯のコンディションを整えていきます しっかり行って 良い声帯をつくっていきましょう! タンロールのトレーニング 次はタンロールというトレーニングも行いましょう 舌は声帯周辺の筋肉と直接繋がっています なので舌を使ったこのタンロールというトレーニングをすることで あなたの声帯を鍛えることができるのです 日本語にはスペイン語やその他の国の言語のように タンロールを使って発音する言葉がありません ( 例 : スペイン語の R の発音 ) よって 意識的にこのトレーニングをすることで 今まで使ってこなかった筋肉を鍛えることができるわけです 舌を口の中でロールすることによって 声帯筋を鍛え 耐久力のある声帯を作っていきましょう! 最初に口を う を発音する状態にし うる と言ってみましょう 上の歯の裏側少し奥に舌をあてるように うる を早く言うと ル の発音のみが残って タンロールが出来るようになります 10

12 また あら から ラ おろ から ロ のラ行 3 種類のタンロールを練習 してみましょう 最初はうまくできないかもしれませんが このトレーニングを重ねることによって きっとできるようになり 声帯が鍛えられるので 一緒に頑張りましょう! 11

13 JAYE 高音ボイストレーニング Lesson 3 12

14 ここではブレスタンというトレーニングを行います いわば 発声の準備のようなトレーニングですね 人間の筋肉は 刺激によって酵素やホルモンなどが分泌されます たとえばランニングをしたあと 足の筋肉では乳酸が出て痛みが出るので マ ッサージするわけです その刺激により酵素が分泌され 痛みが和らぐのです それと同じように 声帯をしっかりマッサージするために ブレスタンを行います 声帯周辺の筋肉に振動という刺激を与えることで 粘液が分泌されて粘膜が増加するので 声帯が膜で保護されるわけですね ブレスタンをしっかり行うことで 長時間歌っても疲れないようなノドのコンディションを維持できるので 発声の前には必ずこのトレーニングを行いましょう! 13

15 JAYE 高音ボイストレーニング Lesson 4 14

16 このトレーニングでは Push 式発声法というものを行いましょう Push 式発声法とは 横隔膜を前後させることによって 肺の中にある空気を力強く押し上げて 声帯を力強く振動させる発声法です 身体の中の空気を素早く 力強く押し上げ 声帯をたくさん振動させて 息が声に変わる割合を増やしましょう この発声ができないと アップテンポの曲ですぐバテてしまったり 息をどれだけ出しても声に変わらないので 体力の消費が激しくすぐノドを痛めてしまったりします なので 力強い声 ノドを作るために このトレーニングでしっかりとした発声を身に付けましょう このトレーニングをマスターすると 息の使い方もうまくなるので 息で声のトーンを変えることができたり 声に表情を付けることができるようになります たとえば息漏れの多い 平井堅さんのような味のある歌も ハードロックのような息漏れの少ない芯のある声もどんな曲でも思い通りの表現ができるようになるので頑張ってトレーニングしましょう! 15

17 JAYE 高音ボイストレーニング Lesson 5 16

18 ここではストレートボイスのトレーニングを行いましょう!!!!! ただし!!!!! これまでのトレーニングを完璧に行ってこそ ストレートボイスのトレーニングが最大限効果を発揮するので これまでのトレーニングに不安がある人は はやる気持ちを抑えて まずは復習を優先しましょう さて それではこれまでのトレーニングに自信をもっている方だけ ストレートボイスのトレーニングを行って下さい 歌が上手い 下手というのを決める要素として 声の高さがふらふらしていないで 求める音にピシッと声を出すこと があります つまりちゃんとした音をブレなくずっと出せるスキルが必要なわけです そして 音程 ( ピッチ ) は声帯のポジションによってほぼ決まります ピッチがズレてしまう人は ノド仏が小刻みに動いてしまっていることが多いのです ノド仏をしっかりとキープするためには 声帯の周りの筋肉を鍛えないといけないんですね なので声帯の位置をしっかり定められるように ストレッチや Push 式発声法 またタンロールなどのカリキュラムを繰り返し練習をすることによって ブレない喉を作りましょう 17

19 そうすれば まっすぐでブレのない声を出すことができます! ここでは これまでのトレーニングを繰り返し行なって 強いノドを作った状態で さらに 高みを目指すためのトレーニングを行います! このトレーニングをしっかり行って ブレのないまっすぐな声をマスターしましょう! 18

20 JAYE 高音ボイストレーニング Lesson 6 19

21 ここではソルフェージュというトレーニングを行います ピアノの鍵盤を思い浮かべて下さい 音は半音の刻みで上下していきますね この一つ一つの音をしっかり出せることが重要です そのために 一つ一つの音をよく聞いて ズレなく狙った音を出せるよう集中してトレーニングしましょう また このソルフェージュというトレーニングをしっかり行えば 着実に半音ずつ音域を広げていくことができます! トレーニングを重ねるに連れて 呼吸も仕方 声帯周辺の筋肉の増加 発声法の獲得といったことができるようになります 毎日着実にトレーニングすることで 音域を広げていきましょう! しかし 無理は禁物です 無理して自分の最高音を出そうとすると 余計な力が入って 体を壊してしまうこともあります この教材も基礎トレーニングをしっかり行って 万全のコンディションにして 毎日ソルフェージュトレーニングで音域を広げていきましょう! 20

22 JAYE 高音ボイストレーニング Lesson 7 21

23 ここではオクターブというトレーニングを行います 狙った音をしっかり出すというねらいと 着実に音域を広げて 高音を獲得するというねらいがあります 音をねらうときに 音程を点から点へと移動するように 気をつけて下さい 音から音にうつるときに なぞるように移動してしまうと しっかり音が出せてない印象を持たれてしまい なんかこの人音痴だなー と思われてしまうことが多いです もちろん音をなめらかにつなげる表現方法として歌に取り入れているプロ歌手もおりますが それは点から点に音を移動することもできるという前提であえてその歌唱法を採用しているだけの話です まず基本として 点から点にしっかり移って発声できるように トレーニングを頑張りましょう! さて 点から点へとしっかり移動するためには ブレない声帯が必要です なぜなら 声帯がブレてしまうと 狙った音にピッタリあてることができないので しかたなく音をなぞるように出すようになってしまうのです なので 基礎訓練がやはり重要です この 点から点へのオクターブトレーニングがうまくできないときは 一度基礎訓練に立ち返ってみてください 何事も基礎が重要です 焦らず基本に忠実に 頑張りましょう! 22

24 JAYE 高音ボイストレーニング Lesson 8 23

25 ここでは こもった声を解消して 響きのある声を作るトレーニングを行っていきましょう 響きがある声になることで こもった声を解消できます どうすれば響きをもった声になるのでしょうか? それは 倍音 をいっぱい含んだ声を出せばよいのです 普通に発声すると 息漏れをしている人が大半です ここでは極端に声を出し比べてみましょう まずは思いっきり息漏れをさせて発声してみてください 次は声帯をしっかり締めて よく響く声を出そうと思って発声してみてください 声帯を締める感覚を養うために 口を開いて呼吸を止めてみてください はい このときあなたの声帯は閉まっています 逆に今度は息をはーはーしてみてください このとき声帯は開いています どうでしたか 響く声の方が空気が減りましたか? まずは基礎トレーニングとして感覚を身につけるために この響く声を意識的に発声するようにしましょう! 24

26 JAYE 高音ボイストレーニング Lesson 9 25

27 それでは ダイナミックレンジのトレーニングを行っていきましょう これは簡単に言うと 3 つの種類の音を出す訓練です この訓練を行うことで 人の耳に聞こえやすいダイナミックな声を手に入れられます ダイナミックな声にするには 倍音 というものを声に乗せる必要があります 倍音をつけるには 体に声をうまく響かせるのが重要です そのためのトレーニングについて解説していきましょう 1 鼻腔共鳴のトレーニング最初に a( ア ) を発音する際に ha( ハ ) と発音してみましょう そうすると鼻から息が抜けながら鼻腔が共鳴しはじめます そうすると次は声帯のやや上側に少し圧力をかけて 息が洩れないように a( ア ) と発音してみましょう そうすると上の領域の倍音が増加して 高音が耳に響きやすくなります 2 胸郭共鳴のトレーニング背筋をしっかり伸ばし 口を大きく開き a( ア ) を発音してみましょう そうすると胸全体が筐体の役割をし 共鳴し始めます 声帯全体を使って声を出すようにしてみましょう すると下の領域の倍音が増加し 低音が耳に響きやすくなります 3 ダイナミックレンジのトレーニング 鼻腔共鳴 ~ チェストボイス ~ 胸郭共鳴を交互にやることによって 同じ音を発声しても声の響き方が違うことに気づきます 26

28 そうすると歌っている最中 どのレンジを強調するかを選ぶことによって 歌の聞こえ方にバリエーションが付き 表情が豊かに歌えるようになります このトレーニングをしっかり行って 思い通りの歌を歌うための表現力を身に付けましょう! 27

29 JAYE 高音ボイストレーニング ビブラート編 28

30 ここではビブラートのトレーニングを行いましょう ビブラートがつくと なんとも言えないプロっぽさが出ますよね! ただ注意として とりあえず語尾は全部ビブラートにしておけばいいや! ということは避けましょう 曲によっては この部分はビブラートではなくストレートボイスでしっかり訴えかけるように歌ったほうがかっこよくなるなどのようなこともあります 自分はこの部分をどのように歌ったら一番気持ちを伝えられるのか? をじっくり考えて 歌い方を選べるようにしましょう! また そのような観点とは別に ただ適当にビブラートをかけていると 歌が下手になっていく場合があります ビブラートをかけるということは フレーズをしっかりストレートボイスで伸ばさないでビブラートでごまかすということも可能になってしまうので 音をしっかりブラさず伸ばすというストレートボイスができなくなっていく可能性があります よって まっすぐ伸ばして歌うのはしんどいからビブラート! というのではなく まっすぐ伸ばすこともできるけど 今回はビブラート! という風になっていけると良いですね 29

31 さて では実際のトレーニングについて解説しましょう ビブラートをかけるに 実は色々な方法があります ただここでは代表的な 2 つのアプローチをご紹介しましょう 1 横隔膜を激しく上下させることで 息をコントロールしてビブラートにする 2 ノドの筋肉を動かすことで ビブラートにする 1について説明しましょう 詳しくは動画で解説していますが ああああというのを連続して言うときにものすごく横隔膜が動いているのが分かるでしょうか? この感覚を活かして 音を揺らしてビブラートをかけていきます 30

32 また 2ノドの筋肉を動かすことで ビブラートにするについても説明しましょう たとえば 人に話しかけるときのような感じでねぇ ~ねぇ ~ といってみてください 31

33 またはあいずちで そぅそぅ でも良いです このとき 音の高さが上下しているのが分かるでしょうか さきほどは 息をコントロールしようと意識することでかかるビブラートでしたが 今回は音の高さを意識することでかかるビブラートです ただ実際はビブラートをかけようとするときはどちらか一方だけでかけるとい うことは少なく 両者をどちらも使って ビブラートをかけることが多いです ビブラートがかかるのは結果であって かける方法はいくつもある ということですね それでは トレーニングをしっかり行って 歌の表現力を身に付けていきましょう! 32

34 JAYE 高音ボイストレーニング 滑舌編 33

35 ここでは滑舌を良くするトレーニングを行いましょう あなたは 歌詞がよく聞き取れないといわれたことはありますか? 歌は音程がしっかりとれる以外にも 歌詞の意味をしっかり表現できることも重要です 言葉にこめられた想いをしっかり伝えるためにも しっかりした滑舌をマスターしましょう 日本語は母音が 5 つあります それで たとえば か を発音しようと思ったら k というクッという子音のあとに a をつけて か と発音することになります よって 元になる母音をしっかり発音することで 滑舌が飛躍的に良くなるわけです ここでは 各母音を発声するときのバランスをしっかり整えることで 滑舌を良くしていきます 着実にトレーニングを行い 歌に込められた想いをきちんと表現できるようになりましょう! 34

36 ~ もっと歌がうまくなるための秘訣 ~ Tips for the Singing 35

37 高音ボイストレーニングの基本 まず声を出す仕組みから説明しましょう 1 肺から空気が口の方に流れる 2 ノドの声帯という組織を振動させて 小さな音が出る 3 小さな音を色々な空間で増幅させて 大きな音にする 以上が大まかな発声のメカニズムです さて それぞれじっくり見ていきましょう 1からいきましょう 肺から空気を送るところですが みなさん呼吸というと 腹式呼吸が重要だしょうか と思ってらっしゃる方が多いので 腹式呼吸とはざっくり言うと 横隔膜をふんだんに使って呼吸することです 寝ているときは大抵の方は腹式呼吸ですね また胸式呼吸というのもあって こちらは呼吸するときにお腹はあまり使わず 胸が大きく動きます どちらの呼吸がいいか といったことは少し後回しにして さきに進みます うまい呼吸ができるメリット さてここでうまい呼吸ができるとどんなメリットがあるかに触れましょう うまい呼吸のトレーニングについては後ほどお伝えします うまい呼吸ができることで 息のスピードがコントロールできますこれはすごく重要なポイントで たとえば同じスピードで歌う箇所があったときに 呼吸が乱れているとキレイ 36

38 に歌いきれないですよね ここはずっと同じペースで歌う ここは少し早めのペースで歌う といった調 整を可能にするのが呼吸なのです そして この呼吸は高音ボイストレーニングにおいても重要です なぜかというと2の声帯でも説明しますが 高音を出す時に声帯を強く振動させる必要があるので 強い呼吸を行って声帯を揺らすことが必要になるからです さて では呼吸のトレーニング方法をご紹介しましょう色々なトレーニングがあるのですが 今日は基本のトレーニングをお教えします 体に呼吸のメカニズムを覚えさせる基本の呼吸ですので しっかりマスターしてくださいね キホンは 鼻から吸って 口から吐きます なぜかというと 鼻からは空気を吸いにくいので 鼻から吸う訓練を重ねるこ とで口から吸うときはより楽に吸えるようになるからですね さて 具体的なトレーニングは (1) 最初に肺に残っている空気を全て吐ききる (2) 空気を吐き切ったら 8 拍分 鼻から空気をゆっくり吸う (3)8 拍すったら 歯と歯の間から スーッ! っと音を立てて 8 拍分息を 吐く 8 拍たってちょうど息を吐ききるくらいに調節して吐く (4)(1) に戻る です これを 1 分間行ったら 次のトレーニングを行います (1) 最初に肺に残っている空気を全て吐ききる 37

39 (2) 空気を吐き切ったら 1 拍で 鼻から空気を一気に吸う (3) 歯と歯の間から スーッ! っと音を立てて 7 拍分息を吐く 最後の一拍は 一旦息を止める (4)(2) に戻る です これは一気に空気を吸う練習をプラスしています なぜ最後の一拍は息を止めるのかと言うと 実際にやってみると初心者のかたは空気を吐いている途中に空気を一気に吸うことが難しいからです 慣れてきたら8 拍吐いてすぐ一気に吸うパターンにもチャレンジしてみてくださいね 次に 2 の声帯の説明に移ります まず声帯ってご存知ですか? ノドにある図の赤いところです 日本耳鼻咽喉科学会 HP より引用 38

40 さてこの声帯を拡大した図がこちらです こだま耳鼻科 HP より引用 ハの字になっているのが声帯です この声帯が振動して 音が作られるわけです 声帯がぎゅっと閉じると 空気が漏れません 逆に声帯が開いていると 空気はダダ漏れなわけです いま簡単な実験をしてみましょう まず ためいきをしてみてください できましたか? これは声帯が開いている状態ですね 声帯が開いているから 空気の流れが邪魔されずにスーッと抜けていったわけ です 逆に今度は声帯を閉めてみましょう 39

41 口をあけてください そして息を止めて下さい はい 今あなたの声帯は閉まっています 声帯がきちんと閉じているから 空気の流れが邪魔されて 息を止めることができるんです さて ではこの声帯 高音ボイストレーニングにとってどのように捉えればい いでしょうか まず高音とはなんでしょうか 音は 空気が振動しているから耳に聞こえてきます 低い音は その振動の回数が少ないんですね 高い音は その振動の回数が多いんです つまり 高い音を出すには 声帯の振動回数を多くしなければなりません 今回は少し話をざっくりにしますが 声帯をいっぱい振動させるためには 当然ですが声帯はいっぱい振動しなければいけませんつまり振動できるだけの強い声帯が必要なわけです 50m を 6 秒で走ろうと思ったら そもそも筋トレしなければ無理ですよね 基礎的なカラダができてないのに 50m を 6 秒で走ることは難しいわけです 歌も 基本的なカラダがないのに うまく歌うことは難しいのですただじゃあ腹筋を毎日 100 回やりましょうとかそういうことじゃないですよ ( 笑 ) 歌いために必要なところを必要なだけトレーニングしたら十分です そのためにまずは声帯のトレーニングをしましょう 40

42 今回は本当にキホンとなるトレーニングだけご紹介します さきほど声帯の動きを実際にやってみて確認していただきましたが それをトレーニングに応用します (1) めいっぱい空気を吸って下さい お腹がパンパンに膨れるまで吸ったら 次は胸もいっぱいになるまで吸って下さい (2) めいっぱい吸ったら 息を止めます 1 分間測って下さい このときに少しでも空気が漏れたらもう一度最初からやりましょう このトレーニングでは 声帯をしっかり閉めきることができるようになるトレ ーニングです 声帯をあけたり閉めたりするのは 声帯周辺の筋肉の働きによるものです このトレーニングを行うことで 声帯を動かす筋肉の基礎トレーニングができ ます さて 最後に 3 について簡単に説明しましょう ここまでで 安定した呼吸を声帯に送り 声帯を振動させました この声帯で作られる音は 実はとても小さい音なのです なので この音を ノドや口 鼻といった色々な場所で 大きな音に変えてやる必要があります そのトレーニングについてはまた改めてお伝えします 今日レッスンしたトレーニング ぜひスキマ時間を見つけてやってみてくださ いね あなたの歌がもっともっと良くなることを願ってます 41

43 てっとり早く高音を出すためのテクニック 口角を上げる ことについて解説します 口唇の端を 口角 ( こうかく ) と言います この口角を上げる それだけですぐに高音が出しやすくなるんですね なぜでしょうか これは音の性質に関わっています ちょっと想像してもらいたいのですが たとえばトンネルの中で手をはたくと パーンッ 42

44 とものすごく響き渡る硬い音がしますよね このように 硬いものに音がぶつかると 音がすごく硬く聞こえるわけです この 硬い というのがポイントなのですが 高音って じつはこの硬い音が含まれているんですね 硬い芯が音の中に出てくると それだけあなたが求めている高音に近づいていくんです さてここで最初の話題 なぜ口角を上げると高音が出しやすくなるの ということですが 口唇ってすごく柔らかいですよね それに対して歯ってすごく硬くないですか 口角が下がっていると 口唇もすぼまっているので 音が口唇にあたって硬い成分が消えてしまうんです 43

45 だから高音を出そうとしているのにモヤーってしちゃうから もっと頑張って高音を出そうとして体が余計力んでしまう でも口角を上げると 口唇に音が当たりにくくなって 歯に音があたるから 硬い音が出しやすくなるんですね なので高音がさっきよりも出しやすくなるんです さぁ 今日から口角を上げてハキハキと発声しましょう 呼吸 声帯 共鳴 44

46 太くて良い高音を出そうとして ヤボったい声 を出してませんか? 太くて良い高音 について解説します 大抵の日本人は 太くて良い声を出そうとすると モサッ としてダサい声になってしまいます 全然かっこ良くない 笑 これはなぜか みんな 良い声を出すぞーッ と力んでしまうと その分だけ過度に緊張してしまい 下顎周辺に力が入ってしまう そして口から音がモワッと漏れだしてしまって 汚い音になってしまうわけです 45

47 では太くて良い声を出すにはどうすればいいの ポイントは 2 つ 1 力まないこと リラックスすること 2 口からモワッと息を出さないで 鼻からしっかり音を出すこと くれぐれも太い声と のぶとくてヤボったい声を混同しないでくださいね ちなみに太くて良い声を出せる人として 秦基博 さんがいますが 彼は初心者がマネしようとすると 99% の確率でただの太い声になってしまいますの で まずは正反対の タイトで硬い高音 を出せる人をマネた方がいいです たとえば小野正利さん または鈴木トオルさんですね クリスタルキングさん ( 特に愛情 Again) も代表的ですが ちょっと真似するには高級すぎますので 笑 これらの歌手をまずはマネして クリアな高音を出せるようになってから 低音がしっかり出てくる歌い方をマスターしましょう 46

48 強い裏声を出すトレーニング高音発声に必要な裏声 ] 今日は裏声のトレーニングについてです 裏声が弱くてかすれてしまうとか 息が漏れ漏れになってしまう といったお悩みをよくききます そこで, 裏声のトレーニングのポイントとして エッジボイス を意識しましょう エッジボイスってなんだ って思ったかもしれませんね 呪怨 という映画をご存知でしょうか そこで あ あ あ あ あ あ という声が出てきます このとき, 声帯はきつく閉じられて, 47

49 しかも一回一回の声帯の振動がつかみやすいのです このエッジボイスを何度も行って, 自分の声帯がどうやって振動しているかをカラダで理解しましょう さて, このエッジボイスを, 裏声のときにやるイメージで 裏声を出すのです この意識を持つと, 裏声を出したときに声帯がしっかり締まらず 息漏れしてしまう というのが防げます この息漏れの少ない声で だんだんと音が下がっていく音階トレーニングを行うと しっかりした裏声が出せるようになります 毎日継続的にトレーニングしましょう 48

50 高音を出すための 入口 と 出口 こんにちは 今日は高音を出すときに意識したほうが良い 入口 と 出口 についてお話します 声を出すときは, 肺にあった空気が上にあがってきて ノドにある声帯を揺らして音の源をつくります そしてその音が上にあがって, 豊かな声になるのです さて, その豊かな声にする部分が非常に重要です その際に 入口 と 出口 を意識すると 高音が格段に出しやすくなります それではまず 入口 ですね この図をご覧ください 49

51 この上咽頭 ( じょういんとう ) という部分が, 声を豊かにするときの 入口 です 高音をマスターするためには 鼻腔共鳴 というものを完璧にする必要があり, 鼻腔共鳴というのは, つまり空気を鼻から出すということです 鼻から空気を出すには, この上咽頭をしっかりあけないといけませんね ただこの上咽頭, 日本人の 99% は閉じる傾向にありますので 日常的にあける意識がないと簡単に閉じていってしまいます なので, この 入口 をしっかりあける意識を毎日持ちましょう 50

52 次に出口についてお教えしましょう この上咽頭から入った空気を鼻の穴から出していくわけですが, 鼻から出るまでに様々なところに 共鳴 させて, 音をたくさん増幅させると 良い声になります 鼻で音をいっぱい増幅させたいのですが, その際に意識していただきたいのは この前頭洞 ( ぜんとうどう ) です 鼻で共鳴させるためには, 主に副鼻腔 ( ふくびくう ) という空間を使うとよいのですが, とくにこの前頭洞から音が出て行く意識をもつと, 格段に鼻腔共鳴をしやすくなります ぜひ毎日のトレーニングで活かしてくださいね 51

53 声量を大きくする方法空気の正しい吐き方とは? こんにちは 今日は声量を大きくする方法について書きます これまで何度も登場しましたが, 声を出すときに重要なのは 1 良い呼吸をすること 2 声帯でしっかり振動させられること 3 振動を大きくする 共鳴 をしっかりすること でしたね さて今日は 3 の 共鳴 により詳しく説明しましょう 共鳴の中でも, 鼻で共鳴させる 鼻腔共鳴 ということについて考えましょう 52

54 空気を吐いて, それが声帯で音に変わって 口の中とか鼻で音がもっと大きくなるんですね さて, ここで声量が大きくなる つまり人が聞きやすい音にするためには, どういう共鳴をすればいいでしょうか 答えは 鼻から空気をちゃんと出す ということです 人は, 高い音に関して敏感な性質があります さてここで, 鼻から空気をちゃんと出すと 音の高い周波数が増幅されやすいんですね つまり鼻から音を出すだけで, 人が聴きやすい声になってしまうんですよ 53

55 さぁではどうやって鼻からちゃんと声を出すのか について解説しましょう この図を見て下さいね 赤丸がついているところを上咽頭 ( じょういんとう ) といいます ここをしっかり開けると, 当然鼻の方に空気が入っていくので, 鼻から空気を抜けるようになるんですね それでは, この上咽頭を開けるエクササイズについて解説しましょう 54

56 声量を大きくする鼻腔共鳴のエクササイズ 1 こんにちは それでは今日は, 声量を大きくするための 鼻腔共鳴のエクササイズを行いましょう 鼻腔共鳴って難しく聞こえますが, ただ空気を鼻から出そう という目的のことなので, 安心してエクササイズしましょう さて, 前回出した図がこちらです 55

57 ここの上咽頭 ( じょういんとう ) というところをしっかり開けると 鼻に空気が入って行きやすくなるので, 鼻で声が増幅されやすい, つまり鼻で共鳴がおきるようになるわけですね じゃあさっそくエクササイズしましょう この上咽頭, どこにあるか感覚つかめますか いや難しいですよね ( 笑 ) ではここで 鼻から息をスッと吸ってみてください なんか鼻の奥のほうがヒンヤリしませんでしたか そのあたりがまさに上咽頭です まず最初のエクササイズは このヒンヤリしたあたりに 思いっきり空気をぶつけるように声を出してみてください 56

58 すると体の中でだんだん感覚がつかめてくるようになります さて, このエクササイズで上咽頭の感覚をつかんだら, 今度は空気の量を減らすエクササイズに移ります 思いっきり空気を出していると, ノドに余計な負担はかかるし, なにより逆に鼻に空気が入らないで, 口から漏れていってしまうんです なのでちゃんとした量の空気を吐くエクササイズを次で紹介します 57

59 声量を大きくする鼻腔共鳴のエクササイズ 2 こんにちは それでは今回は鼻腔共鳴のエクササイズ 2 を紹介します 前回のエクササイズ 1 では 上咽頭を開ける ( ムリヤリ ) ということをやりました ただそれだと呼吸の圧力が大きすぎて ノドに負担が大きい という話をしました そこで今回は, エクササイズ 1 で鼻腔共鳴の感覚を掴んだ後に どうやって呼吸の圧力を小さくするか ということを解説します 吐く息が強すぎるから, もっと弱くしましょう ということを言うと, 58

60 大抵みなさんがやってしまうのは かなり息を弱くしてしまって極端に声が弱々しくなることです つまり, 条件付けで呼吸をマスターするしかないのです ではどんな条件によって, 強制的に適切な息の量を身につけるかというと 1 手のひらの口の回りを覆う 2 指と指の間をしっかりくっつける 3 あーっ! と発声する これです 手のひらを当てて声を出そうとすると, 声が出しにくいですよね つまりこれで余計な息がなくなるので, 何も考えずに体が適切な息の量をわかるようになるんです 歌う前にこれをやるだけで, その後のトレーニング効果が見違えるほど良くなりますよ ぜひ試してみてください! 59

61 英語と日本語の発音の違い 今日は言語による発音の違いをみていきましょう 突然ですが あなたは英語をきいて あぁー この人の英語はいかにも日本人って英語だなぁ と感じたことはありませんか こうなってしまう原因のひとつは 母音と子音の発音にあります 母音について 先に結論を言ってしまうと 日本語はどちらかというと全体的に 口の外へ音を出す 言語です それに対して, 英語はどちらかというと全体的に 口の中で音を出す 言語です ( ただし have の a などはアッシュという発音で, これは前に出す傾向にあります ) 60

62 そして日本語では母音を強調しますが 英語では子音を強調します このように, 自分が発音する際に, 口の中でどう発音しているんだろう 空気はどうやって外に出しているだろう という意識をもって練習すると, 格段に上達していきますので, ぜひ今日から意識してみてくださいね 61

63 ボイトレで 脱力してはいけない 本当の理由とは? ボイトレを習い始めると 多くの人が 先生から 脱力しましょう 変なところに力が入っていると ノドを壊しますよ と言われて ひたすら脱力させられます そして今度は あくびをするときみたいに ノドを開きましょう ~ といって 聞くに耐えない変な声を出すレッスンをやります 実はこれ 本当に意味のないレッスンだと私は思います ここから高音を習得すること 特にミックスボイスを習得することに話を絞りますが 高音の習得 ミックスボイスのマスターでは 脱力 を最初にやってはいけません 62

64 まずミックスボイスを簡単に説明すると 声帯は地声の振動形態であるが 口の形は地声のときの形の発声 となります いや どゆこと? 笑 となったかもしれませんね 大丈夫です まだここではこんなもんか と思ってください つまり大事なことはミックスボイスとは 裏声 だということです 裏声なんですから 普通に出しただけではめっちゃ弱いわけです ( 共鳴を使って大きくしますが やはりそのままでは強度は下がります ) なのでどうするとかというと 口の形を地声の形にすることで 裏声だけどあたかも地声のような発声ができるわけです 63

65 この地声のような口の形にするときに 脱力を意識すると 99% の人はうまく地声の口の形にできないんです なのにボイトレの先生は さぁ脱力ですよ!!!! といってくるわけです 生徒としては混乱するしかないですよね 笑 まとめ 高音を出すトレーニング ミックスボイスをマスターするときは まず脱力などは一切考えずに 地声の口の形を意識して裏声を出しましょう! 地声の形にするってどういうこと? と思った方は次のページへ 64

66 地声のような裏声を出す方法とは? ここでは 裏声なのに地声のように聞こえる発声法 について解説します これをマスターすることで 限界を超えた高音を出すことができるようになりますので 楽しみにしていてくださいね 最初に 実際に声を出しながら確認していきましょうか いま軽く 裏声を出してみてください はい でましたか そのとき あなたの舌はどうなっているでしょうか 舌が後ろにひっこんでいませんか 65

67 では今度は 低い音から 徐々に音を上げていってください 発音は アー でいきましょうか そのときに 音があがるにつれて自分の舌がどうなっていくかを意識してみてください ではいきましょう アーー 裏声になっていくにつれて 舌が後ろに引っ込みませんでしたか もうお分かりですね 人間 ( 特に日本人 ) は 裏声を出そうとすると 自然と舌が後ろに下がっていってしまう傾向にあるのです そして舌が後ろに下がってしまった声を 人は 裏声 だと思ってしまうのです 66

68 では 裏声を出しているのに 人には裏声には聞こえない そんな発声法をマスターするために一番最初にやるべきなのは何でしょうか そう 舌を前にキープして発声することですよね これがミックスボイスの基礎になるのです ミックスボイスをマスターすると 高音域の発声も簡単にできるようになります この地声の口の形 マスターできるよう頑張りましょう 67