saigaihoshou-daninmuke-tebiki.xdw

Transcription

1 消防団員向け 公務災害補償制度について ( 平成 27 年 9 月 1 日現在 ) 福島県市町村総合事務組合 1

2 消防団員等公務災害補償制度の概略 公務災害補償制度とは非常勤消防団員又は民間協力者 ( 以下 消防団員等 という ) の方は 火災や風水害などが発生した場合には災害活動に従事しますが これらの活動は しばしば危険を伴うもので 負傷をしたり 不幸にして亡くなられることがあります このように 消防団員等の方が公務により病気や負傷をしたり 亡くなった場合には 市町村消防団員等公務災害補償条例に基づき消防団員等又は遺族の方に 福島県市町村総合事務組合が その損害補償を行います また 消防団員の方には消防団員等公務災害補償等責任共済に関する法律 ( 以下 責任共済法 という ) 第 13 条の規定に基づき福島県市町村総合事務組合に代わって 消防団員等公務災害補償等共済基金が福祉事業を行います 活動 ( 公務 ) 中に負傷したら病気や負傷した場合 できるかぎり専門の医療機関 ( 例えば 骨折 脱臼は整形外科 頭部外傷は脳神経外科など ) に受診するようにしてください 医療費の支払いは 健康保険証は使わず 医療機関に 市町村が消防団員の公務災害の手続きをとる予定である ことを告げて 医療費の請求を待ってもらいます なお 負傷後は速やかに上司 ( 団長 副団長 分団長等 ) に災害発生の報告をしてください 公務災害について 1 消防の任務消防の任務の定義は 消防組織法第 1 条にありますが 次の4つに集約することができます (1) 国民の生命 身体及び財産を火災から保護すること 予防 警戒 鎮圧 救護等あらゆる方法や手段を講じて 国民の生命 身体及び財産を火災から守ることです (2) 水火災又は地震等の災害を防除すること 水害 火災 地震のほか 暴風 暴雨 豪雨 豪雪 洪水 津波 山崩れ等の災害を防除することです 防除 とは 国民の生命 身体及び財産に対する被害が発生するおそれがある場合に 応急措置的又は予防措置的に災害の直接的な原因を除去することです (3) 災害による被害を軽減すること 2

3 いったん災害が発生した場合に 災害を最小限にくいとめ その被害の拡大を防止することです (4) 災害による傷病者の搬送を適切に行うこと 2 公務災害認定の基本的な考え方について公務災害に該当する ( 公務上 ) か 該当しない ( 公務外 ) かは まず 公務遂行性があるか否か 次に公務起因性が認められるか否かにより判断します (1) 公務遂行性について 公務遂行性 とは 上司( 団長 副団長 分団長等 ) の命令に従い正規の消防団活動 ( 公務 ) に従事していることを言います (2) 公務起因性について 公務起因性 とは 当該公務に従事したことにより負傷し 又は肉体的 精神的に過重な負荷がかかり疾病にかかったことを言います その場合 公務に従事したことと 負傷又は疾病にかかったこととの間に社会常識ないし経験則に照らし合わせて原因と結果の関係が認められること ( 相当因果関係の成立 ) が必要とされます 1 負傷についての公務起因性の判断負傷の場合には可視的であることが多いので おおむね医学的判断を待たず公務起因性を判断することができます ただし 時間的経過がある場合や外観のみでは判断できない場合には医学的判断が必要になります 2 疾病についての公務起因性の判断疾病の場合には 外観から判断することができないので 専ら医学的判断により公務起因性を判断します 3 基礎疾患 ( 持病 ) と公務起因性の判断高血圧症等の基礎疾患がある場合には 公務による肉体的 精神的な過重な負荷が基礎疾患の自然経過 ( 加齢や通常の生活 ) を超えて 脳血管疾患 心臓疾患等を発症させたと認められる場合に公務起因性があると判断されます 4 過労の認定 ( 過重負荷の認定 ) 公務起因性を判断する際の過重負荷の評価については 発症の時期における肉体的 精神的負荷の有無のほか その時点からおおむね 6 箇月遡及した期間における当該負荷 ( 過労 ) の有無も考慮することとしています 3

4 消防団員等及びその者の遺族等が死亡等の原因によって受ける損害に応じ 次 の種類に分けられます 1 療養補償 2 休業補償 3 傷病補償年金 4 障害補償 (1 障害補償年金 2 障害補償一時金 ) 5 介護補償費 6 遺族補償 (1 遺族補償年金 2 遺族補償一時金 ) 7 葬祭補償なお それぞれの補償の内容を略述すると次のとおりです 種類理由内容 療養補償 休業補償 公務により負傷し 又は疾病にかかった場合 公務により負傷し 又は疾病にかかり療養のため勤務することができない場合で給与等の収入を得られないとき その負傷又は疾病が治ゆするまでの期間 医師の診察 薬剤や治療材料の支給 処置 手術 その他の治療等の必要な療養の費用が支給されます 収入を得ることができない期間 1 日につき 補償基礎額の 100 分の 60 に相当する金額が支給されます 傷病補償年金 障害補償年金 一時金 介護補償 遺族補償年金 一時金 葬祭補償 療養の開始後 1 年 6 箇月を経過しても傷病が治らず一定の傷病等級に該当する場合 公務による傷病が治ゆした後もなお 一定の障害が残った場合 傷病補償年金 ( 第 2 級以上 ) や障害補償年金 ( 第 2 級以上 ) の受給者のうち 神経系統 胸腹部臓器等の機能の著しい障害により介護を必要とする場合 公務により死亡した場合 公務により死亡した者の葬祭を行った場合 傷病の程度に応じ第 1 級から第 3 級に該当する場合は年金が支給されます 障害の程度に応じ 第 1 級から第 7 級までは年金 第 8 級から第 14 級までは一時金が支給されます また 受給権者が死亡した場合 既に支払われた年金等の額が障害の程度に応じた一定額に満たない時に遺族に対してその差額が支給されます 介護を必要とする者であって現に自宅で介護を受けている者に対し 一定月額が支給されます また 親族等介護の場合にも一定月額が支給されます 消防団員等の死亡の当時その収入によって生計を維持していた者に年金又年金を受けることができる遺族がいないときは その他の遺族に一時金が支給されます 葬祭を行う者に対し 315,000 円に補償基礎額の 30 倍に相当する額を加えた額又は補償基礎額の 60 倍の額のいずれか高い額が支給されます 4

5 1 補償基礎額 1 消防団員 階 級 勤務年数 10 年未満 10 年以上 20 年未満 20 年以上 団長 副団長 12,400 円 13,300 円 14,200 円 分団長 副分団長 10,600 円 11,500 円 12,400 円 部長 班長 団員 8,800 円 9,700 円 10,600 円 2 民間協力者民間協力者の補償基礎額は 8,800 円です ただし その者が通常得ている収入日額が 8,800 円を超える場合は 8,800 円から 14,200 円の間の収入日額となります 2 扶養親族加算額 区分 扶養親族である配偶者 配偶者以外の扶養親族 1 人につき配偶者がいない場合 ( 扶養親族のうち 1 人に限り ) 加算額 433 円 217 円 367 円特定期間 (15 歳から 22 歳 ) にある子がいる場合 1 人 167 円の加算 3 扶養親族の範囲扶養親族の範囲は 次に掲げる者で 災害発生日において他に生計を維持するみちがなく 主として被災消防団員等の扶養を受けていた者です 1 配偶者 ( 婚姻の届出をしないが 事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む ) 2 22 歳に達する日以後の最初の3 月 31 日までの間にある子及び孫 3 60 歳以上の父母及び祖父母 4 22 歳に達する日以後の最初の3 月 31 日までの間にある弟妹 5 重度心身障害者 4 障害補償負傷したり疾病にかかったりした場合で その傷病は治ったが一定の障害が残ったときに 障害等級第 1 級から第 7 級までの者には年金として 障害等級第 8 級から第 14 級までの者には一時金として 次により算定した額が支給されます 5

6 障害補償年金 障害補償一時金 障害等級支給額障害等級支給額 第 1 級補償基礎額 313 第 8 級補償基礎額 503 第 2 級補償基礎額 277 第 9 級補償基礎額 391 第 3 級補償基礎額 245 第 10 級補償基礎額 302 第 4 級補償基礎額 213 第 11 級補償基礎額 223 第 5 級補償基礎額 184 第 12 級補償基礎額 156 第 6 級補償基礎額 156 第 13 級補償基礎額 101 第 7 級 補償基礎額 131 第 14 級 補償基礎額 56 5 遺族補償 消防団員等が死亡した場合に その遺族に対して 遺族補償年金又は遺族補 償一時金が支給されます 1 遺族補償年金 消防団員等の死亡の当時 その収入によって生計を維持していた者のう ち その最先順位にある者に対して その者及びその者と生計を同じくし ている遺族の人数に応じて 次により算定した年金が支給されます 遺族の人数 年金の額 アイ以外の者である場合 補償基礎額 人イ 55 歳以上の妻又は特定障害状態にある妻 補償基礎額 人 補償基礎額 人 補償基礎額 人以上 補償基礎額 遺族補償一時金 消防団員等の死亡の当時 遺族補償年金を受けることができる遺族がいないとき 次の区分に応じて算定した一時金が支給されます 支給対象一時金の額 配偶者 子 父母 孫 祖父母及び兄弟姉妹補償基礎額 1,000 三親等内の親族のうち 18 歳未満若しくは 55 歳以上の者又は特定障害状態にある者で主として生計維持関係にあったもの ( 配偶者の父母 おじ おば おい めい等 ) 上記以外の者で 主として生計維持関係にあったもの 6 補償基礎額 700 補償基礎額 400

7 福祉事業の種類及びその概略 福祉事業については 市町村に代わって消防団員等公務災害補償等共済基金が公務上の災害を受けた消防団員又はその遺族の福祉を増進するため 法的義務として行う損害補償を補完する付加的給付として次のような事業を行っています ただし これらの福祉事業は民間協力者には対象外です 1 休業援護金休業補償を受ける者に対して 原則として補償基礎額の100 分の20に相当する額が支給されます 2 奨学援護金年金受給権者 ( 障害補償年金の受給者は 障害等級第 1 級から第 3 級までの等級に該当する者に限る ) のうち 本人やその子が在学者であるなど一定の支給事由に該当する者に対し 援護金が支給されます 3 就労保育援護金年金受給権者 ( 障害補償年金の受給者のうち 障害等級第 1 級から第 3 級までの等級に該当する者に限る ) のうち 本人やその未就学の子が保育所に預けられるなど一定の支給事由に該当する者に対し 援護金が支給されます 4 傷病特別支給金傷病補償年金の受給権者に対し 傷病等級の区分に応じて それぞれ一時金が支給されます 5 障害特別支給金 障害特別援護金障害補償の受給権者に対し 障害等級の区分に応じて それぞれ一時金が支給されます 6 遺族特別支給金 遺族特別援護金遺族補償の受給権者に対し 年金受給権者又は一時金受給権者について受給要件に応じて一時金が支給されます ( 次頁参照 (1),(2) 参照 ) 7 傷病特別給付金 障害特別給付金 遺族特別給付金傷病補償年金 障害補償年金及び障害補償一時金並びに遺族補償年金及び遺族補償一時金の受給権者に対しそれぞれの年金額又は 一時金の額の100 分の20に相当する額が支給されます 8 障害差額特別給付金障害補償年金差額一時金の受給権者に対し その差額一時金の額の100 分の2 0に相当する額が支給されます なお 一定の限度額が定められています 9 その他の給付障害等級に該当する者にあっては 外科後処置 補装具及びリハビリテーションの費用及び一定の傷病を有する者に対してはアフターケアの費用がそれぞれ必要に応じて支給されます 7

8 参考 (1) 遺族特別支給金 支給対象者支給額 遺族補償年金の受給権者 遺族補償一時金の受給権者 配偶者 子 父母 孫 祖父母及び兄弟姉妹 三親等内の親族のうち 18 歳未満若しくは 55 歳以上の者又は特定障害状態にある者で主として生計維持関係にあったもの ( 配偶者の父母 おじ おば おい めい等 ) 上記以外の者で 主として生計維持関係にあったもの 300 万円 300 万円 210 万円 120 万円 (2) 遺族特別援護金 支給対象者支給額 遺族補償年金の受給権者 遺族補償一時金の受給権者 配偶者 子 父母 孫 祖父母及び兄弟姉妹 三親等内の親族のうち 18 歳未満若しくは 55 歳以上の者又は特定障害状態にある者で主として生計維持関係にあったもの ( 配偶者の父母 おじ おば おい めい等 ) 上記以外の者で 主として生計維持関係にあったもの 1,860 万円 1,860 万円 1,302 万円 744 万円 8