電気事故事例

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1 電気事故事例

2 < 事例 1> 公衆が構内第 1 柱に昇柱し高圧充電部に接触したために 発生した感電負傷事故 受電電圧 6.6kV 受電電力 270kW 事故発生月 天候 8 月 曇り 事故発生の電気工作物 構内第 1 柱上高圧ケーブル 被害内容 感電負傷 主任技術者選任形態 外部委託 使用電圧 :6.6kV 事故原因 被害者の過失 経験年数 ー < 事故概要 > 当該事業場は 6.6kV 受電の高圧需要家である 被災者は設置者の従業員である 当日 事業場内で開催されるイベントの準備をしており 被災者は 仕掛け花火のロープを高所に結びつけるため 構内第一柱に昇柱し 誤って右肩が充電部に触れ 感電した 幸い 感電直後に座っていた腕金上にうずくまった形となったため 墜落しなかった ( 腕金は地表約 7 メートルの位置 ) 被災者の服装は 長袖シャツ 半ズボン 運動靴であり 皮手袋を着用していた SOG が正常に作動し 需要家のみの停電となった

3 < 事故原因 > 設置者 ( 被災者 ) において 当該設備と接触すると大変危険であるという認識がなかった ( 足場ボルトは地上から 2.2m の位置にあり 被災者はこの位置まではしごを掛けて登った ) < 再発防止 > 従業員等関係者を対象に保安教育を実施し 設置者 ( 被災者 ) において 電気の安全な取り扱いと事故防止のための遵守事項等について教育を実施した 構内第一柱に注意喚起の危険標識を取り付けた 写真 被災状況 ( 想定図 )

4 < 事例 2> 外部委託先の指示を仰がずに自らキュービクル内を覗き込んだことによる 感電負傷事故 受電電圧 6.6kV 受電電力 105kW 事故発生月 天候 8 月 晴れ 事故発生の電気工作物 屋内キュービクル内電力ヒューズ (PF) 中相下部 被害内容 感電負傷 主任技術者選任形態 外部委託 使用電圧 :6.6kV 事故原因 被害者の過失 経験年数 ー 事故概要 当該事業場において 事務所内及びキュービクル内のブザー ( 漏電警報 ) が鳴動したため 設置者は外部委託先へ出向依頼の連絡をした 外部委託先の到着までの間 被災者を含む職員 (2 名 ) は 事務所内のブザーを止めた後 自らブザーの原因を確かめようとしたが原因はわからず 再度事務所に戻ったが ブザーのスイッチを入れるとやはり鳴るため 再度オフにした そのため 今度は被災者が 1 人でキュービクル内を覗き込んだ ( 枠に両手をかけて覗きこむようにした ) その際 足場がふらつき 電力ヒューズ (PF) 中相下部に頭部が触れ 感電負傷した ( 転倒した際頭部が地面に当たり裂傷も負った ) 被災者の服装は 作業着 ( 半袖シャツ 長ズボン ) ゴムシューズを履き 帽子を着用していた

5 < 事故原因 > 設置者従業員は十分な知識を有していないにもかかわらず 外部委託先の到着を待たずに自ら対処しようとした 高圧部を保護するアクリル板が十分な面積がなかった ( キュービクルが地面より高い位置にあり 下部から接触しうる面積しか確保されていなかった ) 再発防止策 従業員等関係者を対象に保安教育を実施し 外部委託先の指導 助言を受けるまでは手を出さない旨再徹底した キュービクル内の保護用アクリル板を 大きなものに変更し 充電部に触れないようにした 写真左 保護板の設置状況 ( 事故時 ) 写真右 事故概要図

6 < 事例 3> 作業準備不良により高圧ケーブルにアークを発生させ負傷した 感電以外の負傷事故 受電電圧 77kV 受電電力 7,130 kw 主任技術者選任形態 専任 事故発生月 天候 11 月 曇り 事故発生の電気工作物 高圧ケーブル 被害内容 アークによる負傷 熱傷 ( 顔面 両腕 両膝 気道 ) 熱傷 ( 右耳介 ) 右腕 右膝 ) 使用電圧 :6.6kV 事故原因 被害者の過失 経験年数 21 年 34 年 事故概要 当該事業場において 高圧配線の張替え工事を実施していた ケーブルを延線するために使用していたケーブルグリップが外れたため 現場作業者は作業打合せをした後に作業のためケーブルピット内 ( 床下 2m 幅 3.9m) に入ったが 作業者 (4 人 ) のうちの 1 人が現場監督者の指示を待たずに 通電中のケーブルの入った樹脂製配管をのこぎりで切断したため 刃先がケーブルにも接触し アークが発生した 作業人 4 人中 2 人が発生したアークにより熱傷し 残り 2 名も燃焼したケーブルによる煙を吸った 当該ケーブルの上位遮断器が OC により遮断した 被災者の服装は 作業着 ( 半袖シャツ 長ズボン ) ゴムシューズを履き 帽子を着用していた

7 < 事故原因 > 作業員が現場監督の指示を待たずに作業を行った ケーブルグリップが外れるという予期せぬ事象により作業員に焦りが生じていた < 再発防止策 > 単独判断による作業禁止の徹底 管路の誤認を防ぐため テープにて識別を実施 設置者と工事業者との連絡会に 工事業者の請負業者についても参加させる < 図 > 切断箇所 ( 延焼状況 )

8 < 事例 4> 作業者の思い込みにより手順を怠ったことと経年劣化が重なったことにより アークを発生させ負傷した 感電以外の負傷事故 受電電圧 77kV 受電電力 7400kW 主任技術者選任形態 専任 事故発生月 天候 4 月 雨 事故発生の電気工作物 高圧真空開閉器 (VS) 被害内容 熱傷 ( 両上肢 顔 頚部 胸部 ) 使用電圧 :3.3kV 事故原因 被害者の過失 経験年数 27 年 事故概要 当該事業場は 77kv 受電の特高需要家である 中央監視室で監視中 高圧進相コンデンサが切状態にもかかわらず力率表示がコンデンサの入状態と同様の数値を指し示していたため監視員 ( 被害者 ) は現場に 1 人で向かった 現場の盤面表示を確認したところ 当該コンデンサにつながり高圧開閉器が 切 表示であったことから 切 状態であることを前提に盤のユニットを引き出そうとしたところ 実際には切れていなかったことから コンデンサ負荷電流の遮断によるアークを上半身に浴び 熱傷を負った ( 被災者の服装は 作業着 ( 半袖シャツ 長ズボン ) 安全靴を履き ヘルメットをを着用していたが 手袋は着用していなかった ( 素手 ) 熱傷 ( 両上肢 顔 頚部 胸部 ) 入院 1 ヶ月

9 < 事故原因 > 真空遮断器の投入コイルが長年連続通電していたこと等によりレアショートしており これによる発熱の結果遮断ばねが熱変形していた このコイルの発熱 損傷するまでの過電流の状況を検知し保護する回路がなかったため 気づくことがなかった 被災者は ユニットを引き出す為にロックを外すとインターロックにて遮断する機構になっているのを知っており そのインターロックがはたらくものと思い込んでユニットを引き出した < 図 > 遮断バネの溶着状況 < 再発防止策 > 内部点検時は必ず主任技術者の指示のもと実施し 加圧状態では実施しない 故障時の点検は 複数人により実施する 保安教育を実施する 電磁接触用コイルの過電流を保護する回路を敷設する 設備更新を計画的に実施する

10 < 事例 5> 停電点検時に保守が不完全な非常用予備発電装置の不良により放送が中断したことにより社会的影響を与えた事故 受電電圧 6.6kV 受電電力 465kW 事故発生月 天候 7 月 晴れ 事故発生の電気工作物 非常用予備発電機 被害内容 - 主任技術者選任形態 外部委託 使用電圧 :6.6kV 事故原因 保守不完全 経験年数 - 事故概要 当該事業場は 6.6kV 受電の高圧需要家 ( 放送メディア会社 ) である 当日は年次点検 ( 停電点検 ) を実施することとなっており 非常用予備発電機を起動させ 放送設備への電源供給をこの発電機によるものに切り替えた後 点検を進めていった 約 1 時間後 非常用予備発電機が冷却水の 断水 表示により異常停止した 年次点検の継続は困難であると判断し 商用電源を復電した ( それまでの間放送が停止した ( 約 20 分視聴不能, 約 11,000 件 )

11 < 事故原因 > 非常用発電機用冷却水貯留槽内の吸い込み配管が腐食しており 水位低下時にエアーを吸い込んでしまった 冷却水関係の保守管理が明確でなかった ( 実施していなかった ) < 再発防止策 > 冷却水関係の設備についても定期的に点検を実施することを明確にした ( 非常用発電機の点検に同調して冷却水関係 ( 水槽 配管等 ) の点検を実施することにした ) < 図 > 腐食した配管断面 ( 貯留槽内の冷却水配管 )

12 < 事例 6> 蒸気タービンローター損傷事故 ( 火力発電所 ) 発電電圧 22,000V 定格出力 24,000kW 事故発生月 天候 7 月 晴れ ( 事故発生時 ) 事故発生の電気工作物 蒸気タービン 被害内容 - 主任技術者選任形態 専任 使用電圧 - 事故原因 施工不完全 経験年数 - 事故概要 工場プラントの一部停止に伴い 発電設備への空気の送付が停止し 計装用空気の圧力が低下したため コンプレッサーを追加起動した しかし 他系統へ空気が逆流したことにより計装用空気の圧力保持が出来ず その結果給水制御弁が制御不能 ( 全開 ) となったため 蒸気ドラムレベル高警報が発報した 給水制御弁全閉を指示していることを確認したが 給水流量指示を確認しなかったため 全開状態であることに気付かず給水が継続された タービン主蒸気温度低警報及びタービン軸受振動大警報が発報したため プラントを手動にて緊急停止したが ドレンが蒸気タービンに流入したことにより蒸気タービンローターが損傷した

13 < 事故原因 > 他系統への計装用空気ラインに逆止弁が取り付けて無く 計装用空気の圧力が低下した 計装用空気の圧力が低下することで 給水制御弁が制御不能の状態であった 保護装置であるタービン軸位置計には急激な変化に対して 異常信号 ( 機器故障 ) と判断する機能が備わっているため 遮断回路が働かなかった また 同計器の動作機構の認識不足があった < 再発防止策 > 他系統への計装用空気ラインに逆止弁を設置し 逆流する空気を最小限に抑える タービン軸位置計を 2 台にし 2 台共動作することでトリップする様にシーケンス改造を行う スラスト軸受本体のパットへ温度センサーを 2 台取り付け 2 台共動作することで 警報を発報する様にシーケンスの改造を行う ボイラー主蒸気温度低下 + タービン主蒸気温度低下にてタービントリップする様にシーケンスの改造を行う

14 < 事例 7> 発電機回転子コイル焼損事故 ( 風力発電所 ) 発電電圧 690V 定格出力 750kW 事故発生月 天候 5 月 晴れ ( 事故発生時 ) 事故発生の電気工作物 発電機 被害内容 - 主任技術者選任形態 専任 使用電圧 - 事故原因 自然現象 ( 風雨 ) 経験年数 - 事故概要 風力発電設備の制御と状態を監視する制御盤に重故障表示 ( 風車と周波数変換装置が停止 ) 発電機内を確認したところ 目視にて回転子コイル 1 個の焼損を発見 発電機カバーとローターの回転部における隙間より湿気の浸入があったことにより コイルの焼損に至ったものと推測 ( この隙間は風力発電機の構造上防ぎようのないものであるため 防止対策を検討 )

15 < 事故原因 > 発電機が開放型であるため 雨や濃霧による湿気が発電機カバー内に浸入し 回転子の鉄心表面部とコイルの間やコイルとコイルの間に溜まり コイルの絶縁能力を低下させて地絡焼損した また 固定子コイルの相間の窪み部分に湿気が溜まり 絶縁低下させてシステム間短絡に至った 電気工作物の被害は発電機の回転子コイル 1 個の焼損 発電機の固定子コイル 2 個の短絡による焼損 全て取り替えた < 再発防止策 > 発電機製造当時より 性能の向上した絶縁テープを使用し 綿密な施工で絶縁強化を図った 発電機が開放型のため 固定子コイル 回転子コイルへの雨水 湿気の浸入を完全に阻止することは不可能であるが 浸入箇所を減少させる策を検討し 計画的に改良を実施する 焼損箇所 固定子 回転子

16 < 事例 8> 施設状況を確認せずに安易に操作したことによる波及事故 受電電圧 6.6kV 受電電力 180kW 事故発生月 天候 7 月 曇り 事故発生の電気工作物 高圧引込ケーブル (CV) 被害内容 4100kw 58 分 主任技術者選任形態 外部委託 使用電圧 :6.6kV 事故原因 作業者の過失 経験年数 - 事故概要 当該事業場は 6.6kV 受電の高圧需要家である 当日朝 電気工事業者が出勤したところ SOG が開放し所内が停電していた 当該作業者は設備を確認することなく また外部委託先に連絡することなく SOG を入り切りし 最終的に投入したところ 通路付近で火花が発生したため SOG を再度開放して火花が発生した付近に行ったところ ケーブルが盗難されており その切断面がコンクリートの床に接触していたことが確認された ( アーク痕あり ) 火花が出た箇所を確認した後 はじめて電力と外部委託先に通報した

17 < 事故原因 > 工事業者作業員が 朝出勤後 停電原因を調べないまま 安易に制御電源のない SOG を入り切りさせた < 再発防止策 > 異常な状況があった場合は 所定の連絡ルートを通じて設置者及び電気主任技術者 ( 外部委託先 ) へ連絡し 所要の指示を仰ぐ旨のルール及び緊急連絡先の再徹底を図る教育を実施 < 図 > 発火箇所 高圧引込ケーブルを地中埋設にした < 図 > 従前のケーブル敷設方法

18 < 事例 9> 鳥獣被害及び設備保守管理不備による波及事故 受電電圧 6.6kV 受電電力 120kW 事故発生月 天候 7 月 雷 事故発生の電気工作物 構内第一柱上の AOG 被害内容 1300kw 2 時間 41 分 主任技術者選任形態 外部委託 使用電圧 :6.6kV 事故原因 鳥獣接触及び保守不完全 経験年数 27 年 事故概要 当該事業場は 6.6kV 受電の高圧需要家である 当日 電力より電気管理技術者へ 当該事業場構内に起因する波及事故が発生した旨連絡があり 現場へ急行した 現場で電力職員より 事故点 ( 構内第 1 柱上の AOG) において蛇が接触し死んでいたため撤去した旨の報告があった 地絡継電器が動作表示していたにもかかわらず AOG が開放していなかったので確認したところ 地絡継電器からトリップコイルに接続する制御ケーブルが 端子から抜けていたことが判明した

19 < 事故原因 > 支線から昇柱もしくは付近の樹木から落下した蛇が AOG の高圧部分に落下した 至近の巡視点検記録では 試験端子のゆるみ 確認をしていたことになっていたが 実際には見落としていた < 再発防止策 > 端子のゆるみを直した 付近の樹木を伐採し および支線にカバーをつけ 蛇が昇柱しにくいような設備措置をした 巡視点検について項目どおりに確実に実施する < 図 > 蛇の接触状況

20 < 事例 10> キュービクルの雨漏りにより焼損し短絡 地絡したことによる波及事故 受電電圧 6.6kV 受電電力 32kW 事故発生月 天候 5 月 雨 事故発生の電気工作物 高圧受電用キュービクル 被害内容 1615kw 3 分 主任技術者選任形態 外部委託 使用電圧 :6.6kV 事故原因 保守不完全 経験年数 - 事故概要 当該事業場は 6.6kV 受電の高圧需要家である 現場へ急行した外部委託先の調査の結果 折からの雨によりキュービクル天井部分 ( 継ぎ目 ) から内部に雨水が侵入し 高圧コンデンサ用絶縁電線と引き下げ用電線支持物 ( 樹脂製碍子 ) に水滴が垂れ 絶縁低下し短絡 地絡し波及事故となった LBS はストライカ引外し機構付でなかったため開放せず また SOG は LB S の電力ヒューズ溶断のため地絡継電器電源が喪失し 開放しなかったため波及事故となった なお 当該事業場は塩害地区である ( 外置き )

21 < 事故原因 > 外部委託先においては取替え推奨を行っていたが 設置者の理解が得られず 2 年前に塗装を実施したのみであった ( 但し錆の処理 防錆塗装の有無等不明 ) < 再発防止策 > LBS をストライカ引外し機構付きに取り替えた その他 電力ヒューズ 高圧コンデンサ 樹脂製碍子を取り替えた 雨水浸入箇所 ( キュービクルの屋根部分及び上部側面 ) について 継ぎ目処理等の防水処理を実施した < 図 > 設備損傷状況

22 < 事例 11> 未選任事業場における波及事故 受電電圧 6.6kV 受電電力 32kW 事故発生月 天候 7 月 晴れ 事故発生の電気工作物 SOG 被害内容 3420kw 1 時間 29 分 主任技術者選任形態 外部委託( 未選任 ) 使用電圧 :6.6kV 事故原因 保守不完全 経験年数 - 事故概要 当該事業場は 6.6kV 受電の高圧需要家である 以前外部委託をしていたが 解約後は点検等の管理も全く実施していない状況であった ( 未選任期間中は設置者による外観確認程度のみ ) 外部委託 ( 不選任承認 ) がされていた時期において設備老朽化による指摘がされていたが 金銭的理由等により交換等がなされず 事故当日までに至った 事故点は SOG の電源側のブッシングの亀裂による地絡で発生したが 地絡箇所が電力会社側であり 設置者側の ZCT で検地できず 波及事故に至った

23 < 事故原因 > SOG の劣化が進んでいた ( 製造年 :1980 年 ) 保守点検を実施していなかった 年次点検については未選任期間中未実施 < 再発防止策 > SOG を新品に取替え 外部委託を申請し 今後は管理技術者の指導の下 保安管理に努める 電気事業法第 43 条第 1 項の規定に違反して電気主任技術者を選任しなかった者は 300 万円以下の罰金 同条第 3 項の規定による届出をせず 又は虚偽の届出をした者は 30 万円以下の罰金に処せられることがあります