家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック

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ゆきひらそや
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オフィス家具類の転倒落下移動防止対策東日本大震災における東京都内のオフィス内の被害東日本大震災後都内の中高層建物のオフィスにアンケートを実施した結果 20% のオフィスで転倒落下移動が発生したとの回答がありました階層別にみると高層階でオフィス家具類や家電製品などの転倒落下移動が多く発生しており

2% (N=646) ( 平成 23 年東京消防庁調べ ) 家具類の転倒落下移動の有無 11 階以上 (N=105) 6~10 階 (N=197) 26.9% 4.6% 5.8% 13.3% 東日本大震災における東京都におけるオフィス内の被害 9.

1 オフィス家具類の転倒落下移動防止対策東日本大震災における東京都内のオフィス内の被害東日本大震災後都内の中高層建物のオフィスにアンケートを実施した結果 20% のオフィスで転倒落下移動が発生したとの回答がありました階層別にみると高層階でオフィス家具類や家電製品などの転倒落下移動が多く発生しており特に長周期地震動によると考えられる家具類の移動は階層が高くなるほど多く発生している傾向が確認されています (N=1,224) 無回答 2% あった 20% 17.1% 3~5 階 12.8% なかった 78% (N=484) 1 又は2 階 10.2% (N=646) ( 平成 23 年東京消防庁調べ ) 家具類の転倒落下移動の有無 11 階以上 (N=105) 6~10 階 (N=197) 26.9% 4.6% 5.8% 13.3% 東日本大震災における東京都におけるオフィス内の被害 9.1% 転倒落移動 ( 平成 23 年東京消防庁調べ ) 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 階層別の家具類の転倒落下移動発生割合移動とは家具類が転倒せずに概ね 60cm 動いた場合をいいますオフィスなどの職場における家具類の転倒落下移動防止対策は地震が発生した場合に職場で働く人々や訪れた人々の負傷を防ぐことに加え大切なデータや書類などの経営資源を守り事業継続を図る上でも大切な対策です大崎地域広域行政事務組合消防本部提供東日本大震災発生時の東北地方にあるオフィスの被害状況 22

家具類を置く方向にも注意しましょう避難誘導灯がどこからでも見えるよう遮蔽物を置かないようにしましょう 1 壁面以外は全体を見通せる高さにする 2 避難するのに十分なスペースを設ける 3 ドアは

窓などの開口部は避難経路として活用できる場合もあるので窓際に背の高い家具を配置することは避けるようにしますまた屋外にガラスの破片や収納物が落下した場合通行人がけがをする危険性もあります

2 家具の配置物の置き方メインとなる避難通路は直線状に確保し幅 1.2m 以上を確保しましょう避難通路出入口周辺に転倒移動しやすい家具類を置かないようにしましょう引き出しが飛び出すことでつまずいてケガをしたり避難の妨げになることがあるので家具類を置く方向にも注意しましょう避難誘導灯がどこからでも見えるよう遮蔽物を置かないようにしましょう 1 壁面以外は全体を見通せる高さにする 2 避難するのに十分なスペースを設ける 3 ドアは避難する方向に開くようにする 4 家具類が転倒移動しても避難経路を塞がないレイアウトにする 4 移動扉が開かない転倒 (*) 一部加筆地震時には家具類が窓ガラスに衝突し割れる危険性があります窓などの開口部は避難経路として活用できる場合もあるので窓際に背の高い家具を配置することは避けるようにしますまた屋外にガラスの破片や収納物が落下した場合通行人がけがをする危険性もありますオフィス等で室内の中央に間仕切壁の代わりに大型のオフィス家具を配置することは固定が床に限られることになります大型のオフィス家具は壁に沿って配置し床壁の両方と固定するのが最も確実な転倒落下移動防止方法です収容物の飛び出しを防ぐためには引き戸式の収納庫を選択することも効果的です観音開きのロッカーでラッチが付いていないものには扉開放防止器具 ( 感震ラッチなど ) を取付けるなどの対策をしましょう 23

3 家具の置き場所は使いやすさ第一のレイアウトにしがちですが併せて地震時の安全も考慮しておく必要があります家具類を固定しておくことはもちろんですが万が一固定していた器具がはずれて転倒や移動した場合でも被害を受けにくいレイアウトの工夫を行うことが大切ですデスクまわりやオフィスの中央には背の高い家具を置かないようにします家具類はできるだけ人のいる場所と離しましょうまたなるべく背の低い家具を選択しましょう転倒家具移動背が高い家具背が低い家具家具の上に物を置かないで下さい落下建物の構造体に結合されていないパーテーションや間仕切り壁などは家具を支える十分な強度がなく壁体や釣り天井の破損につながる危険があるため重量のある家具類を置かないようにします壁が構造体に結合されているかどうか不明な場合は建物管理会社等に問い合わせて確認します 24

4 オフィスの安全スペースオフィス内でなるべくものを置かない安全スペースを作っておきましょう緊急地震速報を受けた場合は予め定めた安全スペースへ退避し姿勢を低くして身の安全を図りましょう安全スペースの例廊下エレベーターホール什器を置かない会議室やミーティングエリアなど ( 安全スペースにはその旨を明示しておきましょう ) ( 例 ) 地震の時はここに退避して下さい什器を置かないミーティングエリアや廊下に退避します 25

キャビネットの転倒防止対策金具で床壁下地の鉄骨コンクリート等とボルトで固定することと家具等の上部を壁と固定する方式が最も効果的です

壁と固定しましょう壁に付けられない場合は高さを 120cm 程度までのものを背合わせに連結し倒れないようにしましょうボルトは直径

扉を閉めておく引き出し扉をラッチ付きにするオフィス内で壁面以外に設置する場合は家具同士を左右又は背面で連結します

5 キャビネットの転倒防止対策金具で床壁下地の鉄骨コンクリート等とボルトで固定することと家具等の上部を壁と固定する方式が最も効果的です壁に沿って設置し左右の家具等と相互に連結するなどしてレイアウトによる安定化を図りましょう二段に重ねる場合は必ず上下を連結した上で床壁と固定しましょう壁に付けられない場合は高さを 120cm 程度までのものを背合わせに連結し倒れないようにしましょうボルトは直径 6mm 以上のボルトを使用します横連結するガラスには飛散防止フィルムを貼る棚からの収納の落下を防止する床壁天井に固定する扉を閉めておく引き出し扉をラッチ付きにするオフィス内で壁面以外に設置する場合は家具同士を左右又は背面で連結します背中あわせに連結し奥行きを増す横連結する壁に沿ったレイアウトと横連結による転倒防止の例床固定する 26 扉を閉めておく引き出し扉をラッチ付きにする

6 書架物品棚移動ラックの転倒防止対策床壁天井と必ず固定しましょう上部をツナギ材で連結しましょう ( 必ず床固定と併用する ) 落下防止材を取付けましょう筋交い ( ブレース ) などで補強しましょう上部ツナギ材で連結する筋交い ( ブレース ) 補強する壁固定床固定する落下防止材を取付ける上部転倒防止バーを取り付ける転倒防止金具付き台車を使用する転倒防止金具受けレールを使用する 27

コンクリート壁への固定方法ボードコンクリート壁固定金具あと打ちアンカーボルト石膏ボードやビニールクロスが仕上材として張られている場合

壁といった防露壁には石膏ボードとコンクリートの間に断熱材や接着剤が入っていますアンカーボルトは

壁のイメージ軽量鉄骨下地中空壁への固定方法下地軽量鉄骨ボード壁固定金具タッピングビス下地軽量鉄骨にはタッピングビス

7 コンクリート壁への固定方法ボードコンクリート壁固定金具あと打ちアンカーボルト石膏ボードやビニールクロスが仕上材として張られている場合その下地に強度のしっかりとしたコンクリート壁があればコンクリート壁に達するようにアンカーボルトを打ち込み固定しますただし S1 壁や GL 壁といった防露壁には石膏ボードとコンクリートの間に断熱材や接着剤が入っていますアンカーボルトはボードとコンクリートの空間を考慮した大きさのものを使用する必要がありますので専門家に相談して施工することをお勧めします接着剤 S1 壁のイメージ GL 壁のイメージ軽量鉄骨下地中空壁への固定方法下地軽量鉄骨ボード壁固定金具タッピングビス下地軽量鉄骨にはタッピングビスボードにはボードアンカーなどを利用して固定しますしかしコンクリート壁に比べて壁自体の強度が弱いためどのくらいの強度が確保できているのか確認が困難です軽量鉄骨下地中空壁への固定はあくまでも補助的な固定方法と考え家具の種類やオフィスの環境に応じて下地補強材などを追加する必要があります 28

8 フリーアクセスフロアで固定する場合床材とフリーアクセスフロアの床パネルまでが一体となっていないため床パネルへの固定だけでは家具は固定できません家具と床スラブを固定するために床パネルの下に補強材などを挿入した上で長いアンカーボルトで床パネルを挟み込み床材へ固定します床パネルの種類支柱分離型 ( 独立支柱ロック無タイプ ) 支柱一体型 ( 支柱固定タイプ ) 溝構法 ( 置敷きタイプ ) 固定されていない床に補強材を挿入し直接床スラブに連結した例木桟 29

9 床材とフリーアクセスフロアの床パネルが連結されているものでは家具類を床パネルに固定できるものもありますただし床材と支柱支柱と床パネルパネルと什器との固定強度などを事前に製造メーカーに確認しておく必要があります床パネルの種類支柱分離型 ( 独立支柱ロック有タイプ ) 固定された二重床に対する取付け例ロックナット固定金具支柱脚以上の固定方法はいずれも一例でありフリーアクセスフロアへの固定方法は床材に比べて弱いので補強材の追加や壁固定との併用で固定することが望まれます床材質と家具の転倒移動フローリングのような滑りやすい床よりも滑りにくい床に置いた家具の方が転倒しやすい傾向があります一方滑りやすいフローリングやプラスチックタイルのような床では地震動による家具類の移動が大きくなり何かに当たると転倒するケースもあります家具はなるべく壁や床に固定しましょう 30

10 デスク周辺での注意デスクテーブルは連結し安定させましょう OA 機器はデスク等へ固定しましょうデスクは床に固定しましょうボルトは直径 6mm 以上のボルトを使用しましょうデスク上の落下しやすいものをストラップ式器具で固定します連結テーブルはデスクにジョイント重いものを置かないデスクへ固定重いものは下段へ床に固定する避難できるよう空間確保デスクの転倒防止相互に連結しますラッチ付きの物を選びましょう引き出しが飛び出すことにより転倒する可能性がありますデスクは地震の揺れにより引き出しが飛び出すと重心が前に偏り転倒する可能性がありますデスクは互いに連結するなどして転倒防止対策をします 31

11 ローパーテーションの固定方法レイアウトにより安定化を図りましょう長い直線を作る場合には補強のパネルを入れましょう床壁に固定しましょうガラスに飛散防止フィルムを貼りましょう壁に固定する I 型 L 型コの字型 H 型ガラスには飛散防止フィルムを貼る床に固定する I 型 L 型コの字型 H 型に従い安定性が高くなります複写機複合機デジタル印刷機の転倒移動防止対策キャスターをロックしアジャスターを使用しましょうベルトなどで壁面に連結しましょうベルト式器具などで壁面に連結しますキャスターは必ずロックしますアジャスターを使用します! 一般的なコピー機 ( 複合機 ) は使用時重量が 150kg 程度となり移動すると大変危険なため転倒移動防止対策が重要です機器によって固定方法が異なります取扱説明書に従い固定するかメーカーに問合せて適切な方法で固定してください 32

(*) 一部加筆

東日本大震災改定版家具類の転倒落下移動防止対策ハンドブック室内の地震対策やくみつる画 1 2 3 4 平成 24 年 7 月東京消防庁 (*) 一部加筆はじめに東京消防庁では大きな被害を伴う地震が発生した場合被害状況の現地調査を行っていますその結果近年発生した地震被害では負傷者の3~5 割の方々が屋内における家具類の転倒落下によって負傷していることが判明しましたそこで東京消防庁では