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1 平成 28 年度 海外における特定複合観光施設に関する調査分析業務委託 報告書 平成 29 年 3 月

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3 目 次 用語定義等... 1 第 1 章はじめに 調査分析の目的 調査分析対象国 地域選定の考え方 調査分析方法... 3 第 2 章 IR カジノの現状 韓国 国 地域の概要 IR カジノの開業状況 運営概要 マカオ 国 地域の概要 IR カジノの開業状況 運営概要 シンガポール 国 地域の概要 IR カジノの開業状況 運営概要 カンボジア 国 地域の概要 IR カジノの開業状況 運営概要 参考情報 北朝鮮 国 地域の概要 IR カジノの開業状況 運営概要 フィリピン 国 地域の概要 IR カジノの開業状況 運営概要 ベトナム 国 地域の概要 IR カジノの開業状況 運営概要 参考情報 マレーシア 国 地域の概要 IR カジノの開業状況 運営概要 ミャンマー 国 地域の概要 IR カジノの開業状況... 87

4 2.9.3 運営概要 ラオス 国 地域の概要 IR カジノの開業状況 運営概要 ロシア沿海地方 国 地域の概要 IR カジノの開業状況 運営概要 参考情報 カジノが合法化されていない国 地域 インドネシア タイ 台湾 中国 東ティモール ブルネイ 香港 モンゴル 第 3 章新規 IR カジノの開発動向 韓国 新規 IR カジノの開発動向 計画概要 マカオ 新規 IR カジノの開発動向 計画概要 カンボジア 新規 IR カジノの開発動向 計画概要 フィリピン 新規 IR カジノの開発動向 計画概要 ベトナム 新規 IR カジノの開発動向 計画概要 ロシア沿海地方 新規 IR カジノの開発動向 計画概要 参考情報 第 4 章 IR カジノ市場の分析及び IR 導入にあたっての課題 アジアを取り巻く IR カジノ市場の分析 主要国におけるカジノ市場の動向 主要国における顧客属性及び売上分析 マス層の獲得に向けた動き 日本及び東京の特性 外国人旅行者数の推移

5 4.2.2 各国 地域の分析 競合分析 IR 導入にあたっての課題...164

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7 用語定義等 IR Integrated Resort の略で 一般的には 統合型リゾート と呼称される 本報告書では 平成 28 年 12 月に成立した 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律 に準拠し カジノ施設 及び 会議場施設 レクリエーション施設 展示施設 宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設 が一体となっている施設を指す ただし 海外の国 地域では IR の概念及び定義が必ずしも明確でないところもある MICE M:Meeting( 企業系会議 ) I:Incentive( 企業の報奨 研修旅行 ) C:Convention( 国際会議 ) E:Exhibition/Event( 展示会 見本市 イベント等 ) を総称した造語である ギャンブル金銭を賭ける行為をいう VIP Very Important Person の略であり カジノにおいては 主に特別エリアでプレイし 賭け金が大きい客層を指す マス mass( 大衆 一般客 ) のことであり カジノにおいては VIP 以外の客層を指す 売上高各社の年次報告書等で記載されている売上高の数字 特に カジノ等のギャンブルに関する売上高は 顧客の賭け金の総額から 顧客に支払った額を差し引いたものを基本とし 金額を調整したもの 各国の会計基準や各社でそれぞれ Casino Revenue Operating Revenue Casino Sales 等の用語が用いられ調整項目が異なるが 本報告書においては便宜的に カジノ売上高 等としている 為替レート本報告書において 現地通貨を記載した部分については 参考として次のレートで換算した日本円額を併記している 図表為替レート 通貨レート通貨レート 1 米ドル 115 円 1 フィリピンペソ 2.3 円 1 韓国ウォン 0.1 円 1 ベトナムドン 円 1 マカオパカタ 15 円 1 マレーシアリンギット 25 円 1 香港ドル 15 円 1 ロシアルーブル 1.8 円 1 シンガポールドル 80 円 1 モンゴルトゥグル 0.05 円 本報告書のグラフ等の数値は 単位未満四捨五入による端数処理のため 合計が一致しないことがある 1

8 第 1 章はじめに 1.1 調査分析の目的 都はこれまで 外国人旅行者の増加 都内産業のビジネス機会やイノベーションの創出等を図るため MICE 誘致を積極的に推進してきた 2015( 平成 27) 年 7 月に策定した 東京都 MICE 誘致戦略 においても MICE 開催都市東京としての揺るぎないプレゼンスを確立するため 2024( 平成 36) 年頃までに国際会議の開催件数を世界トップクラスとなる年間 330 件とする目標を掲げている 一方で 海外に目を向けると シンガポールやマカオでは MICE 施設だけではなく ホテルやエンターテイメント施設 ショッピングモール カジノ等を含む統合型リゾート いわゆる IR(Integrated Resort) の整備等を行い MICE 開催件数及び外国人旅行者数を増やしてきた また 韓国やフィリピン ロシア沿海地方等では 新たに IR を建設し 外国人旅行者を呼び込む計画を進めている 加えて カジノ合法化や自国民へのカジノ開放の動きを見せるアジアの国 地域も存在する 我が国においても 2016 年 ( 平成 28 年 )12 月に 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律 いわゆる IR 推進法 が成立した 今後 IR 実施法案 が国会に提出されることとなっており これから国内で具体的な議論が進むことが見込まれる このような中 IR に関する検討を進めるにあたっては 上述のような日本の周辺諸国 地域における IR カジノの現状や 新規 IR カジノの建設予定 合法化検討状況等の情報を収集 分析し IR カジノをめぐる最新の動きを把握することが重要である このため IR の検討に資することを目的として 次の事項について調査分析を行った 各国 地域における IR カジノの現状 各国 地域における IR カジノの開発動向 合法化検討状況 アジアを取り巻く IR カジノ市場の分析 IR 導入にあたっての課題 1.2 調査分析対象国 地域選定の考え方 調査対象国 地域は 日本に距離的に近く 近年 IR カジノ建設の動きが活発な東アジア 東南アジア及びロシア沿海地方とした 具体的には 外務省 HP 1 で公表されている国 地域から インド スリランカ ネパール パキスタン バングラデシュ ブータン モルディブを除き ロシア沿海地方を加えた国 地域である 調査対象国 地域 (19 箇国 地域 ) 韓国 マカオ シンガポール インドネシア カンボジア 北朝鮮 タイ 台湾 中国 ( 香港 マカオ除く ) 東ティモール フィリピン ブルネイ ベトナム 香港 マレーシア ミャンマー モンゴル ラオス ロシア沿海地方 1 外務省 HP 2

9 1.3 調査分析方法 本調査 分析においては 行政機関やカジノ運営事業者等のウェブサイトや関連書籍等で公表されている情報を調査するとともに 調査対象国 地域のうち 韓国 マカオ シンガポールについては 現地の規制当局の職員やカジノ運営事業者へのヒアリング等を行うことにより情報を収集した 本報告書に記載した内容は こうして収集した情報を総合的に分析した上でまとめたものである したがって 報告書本文の出所のうち 関係機関のウェブサイト等で公表されている資料のように出典として明記できるものはその旨を記しているが ヒアリングによって得られた情報についてはその都度説明していない なお 本報告書は 原則として 2017 年 ( 平成 29 年 )2 月時点の情報に基づき 記載している 3

10 第 2 章 IR カジノの現状 本章では 調査対象国 地域の IR カジノの開業状況や各施設の概要 運営事業者の収益状況等について取り上げるとともに カジノが合法されていない国 地域における合法化検討状況について述べる 調査対象国 地域における IR カジノの開業状況は以下のとおりである 図表 2-1 IR カジノの開業状況 国 地域施設数備考 韓国 17 マカオ 36 廃鉱跡地に政策的に開業したカンウォンランドカジノ 1 箇所を除き 16 箇所は外国人専用カジノである 長らく一社独占市場であったが 2002 年に外国資本へ市場開放し 6 事業者にカジノライセンスが付与された 近年は コタイ地区を中心に大型 IR 建設が進み アジアにおける IR カジノ施設の一大集積地となっている シンガポール 年にカジノが合法化され 2010 年に 2 つの IR が開業した カンボジア 32 多数の外国人専用カジノが開業している このうち 国内最大の IR 施設であるナガワールドが 政府のカジノ税収の約 4 割を占めている 北朝鮮 2 外国人が宿泊するホテル 2 箇所にカジノが併設されている フィリピン 54 ベトナム 年以降 複数の大型 IR が開業している このほかフィリピン人を主な顧客とした小 中規模のカジノが多数存在する 外国人専用カジノが 7 箇所開業している 注 )2017 年 3 月より試験的に 条件付きでベトナム人のカジノ利用が認められる マレーシア 1 リゾートワールド ゲンティン 1 箇所のみが開業している ミャンマー 3 タイとの国境近くに 3 箇所の外国人専用カジノが開業している ラオス 3 ロシア沿海地方 1 インドネシア 0 非合法 タイ 0 非合法 台湾 0 非合法 中国 0 非合法 東ティモール 0 非合法 ブルネイ 0 非合法 香港 0 非合法 モンゴル 0 非合法 タイとの国境沿いに 3 箇所の外国人専用カジノが開業している 特別経済区に限りカジノの設置が認められている ロシア国内でカジノの設置が認められた特区の一つである 4 つの IR カジノ計画のうち ティグレ デ クリスタル 1 箇所が開業済みである カンボジアにおいては 77 のカジノにライセンスが与えられており そのうち 65 のカジノが営業しているが 本調査で確認できたのは 32 施設であった 4

11 2.1 韓国 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 韓国は アジア大陸北東部に位置する 面積約 10 万 km 2 の国である 首都はソウル 人口は約 5,150 万人 人口の約 50% が首都圏 ( ソウル 仁川 京畿道 ) に集中し うち約 20% がソウルに集中している 図表 2-2 国 地域の概要 摘要 備考 面積約 10 万 km 2 人口約 5,150 万人 2015 年 言語 宗教 通貨 韓国語 仏教 プロテスタント カトリック その他 韓国ウォン 名目 GDP 1 兆 3,770 億米ドル (158 兆 3,550 億円 ) 2015 年 1 人あたり名目 GDP 27,397 米ドル (315 万円 ) 2015 年 実質経済成長率 2.6% 2015 年 出典 :JETRO HP 2 3 国連統計を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (2) 日本 中国からの交通アクセス ソウルの西約 50km に位置する仁川国際空港及びソウル市内の金浦国際空港へ 日本 中国の各都市から就航している 図表 2-3 日本 中国からの交通アクセス 直行便所要時間 備考 日本から 中国から 成田 ソウル羽田 ソウル大阪 ソウル札幌 ソウル福岡 ソウル北京 ソウル上海 ソウル 2 時間 30 分 2 時間 20 分 1 時間 50 分 3 時間 1 時間 20 分 2 時間 1 時間 50 分 香港 ソウル 3 時間 40 分 出典 : 各社航空ダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 JETRO HP 3 国連統計 5

12 (3) 外国人旅行者の状況 韓国への外国人旅行者数の推移をみると 2005 年からの 10 年間で約 2.2 倍に増加し 2015 年は約 1,323 万人であった 日本からの旅行者数は 2015 年時点で全体の 13.9 であり 2012 年の約 352 万人を ピークとして減少傾向である 一方 中国からの旅行者数は急増しており 2015 年時 点で約 598 万人と全体の 45.2 を占めている 図表 2-4 韓国への外国人旅行者数 2005 年 2015 年の推移 人 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 16,000,000 14,201,516 13,231,651 14,000,000 12,175,550 11,140,028 12,000,000 9,794,796 8,797,658 10,000,000 7,817,533 6,890,841 8,000,000 6,155,046 6,448,240 6,022,752 6,000,000 4,000,000 2,000,000 0 合計 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 2005年 6,022,752 2,439, ,836 1,291,713 92,588 14, , ,739 16,998 13, , 年 6,155,046 2,338, ,696 1,322,252 91,571 16, , ,017 19,044 14, , 年 6,448,240 2,235,963 1,068,925 1,383, ,488 19, , ,486 24,772 15, , 年 6,890,841 2,378,102 1,167,891 1,479, ,169 20, , ,357 24,247 18, , 年 7,817,533 3,053,311 1,342,317 1,616, ,013 22, , ,048 25,642 19, , 年 8,797,658 3,023,009 1,875,157 1,858, ,895 26, , ,037 31,810 24, , 年 2012年 2013年 2014年 2015年 9,794,796 11,140,028 12,175,550 14,201,516 13,231,651 3,289,051 3,518,792 2,747,750 2,280,434 1,837,782 2,220,196 2,836,892 4,326,869 6,126,865 5,984,170 2,161,448 2,536,947 2,777,603 3,306,327 2,981, , , , , ,404 30,334 32,237 33,564 34,753 35, , , , , , , , , , ,209 35,295 39,819 48,713 44,245 46,944 29,340 34,693 39,669 45,975 41, , , , , ,732 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 2-5 韓国への外国人旅行者数 2015 年の上位 5 箇国 地域 その他 3,600,469人 27.2% 台湾 中国 5,984,170人 45.2% 518,190人 3.9% 香港 523,427人 4.0% 米国 767,613人 5.8% 日本 1,837,782人 13.9% 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 6

13 2.1.2 IR カジノの開業状況 韓国においては 外国人旅行者の誘客や外貨獲得等を目的としてカジノを合法化し 1967 年に仁川のオリンポスホテル内に国内初のカジノが開業した 当初は韓国人も入場が可能であったが 社会的問題が発生したため 1969 年に 観光振興法 を改正し 韓国人の入場を禁止した それ以降 ソウルや釜山 済州島などを中心として 外国人専用カジノが設置され その数は 16 施設に上る 一方 1995 年には 廃鉱地域の振興を目的として 廃鉱地域開発支援に関する特別措置法 が制定された これを受け 国内で唯一韓国人が入場可能なカジノを備えたカンウォンランドが 2003 年に全面開業した 同施設は カジノの他に スキー場やゴルフ場 観光ホテルを備えた総合的なリゾート施設である 現在 韓国国内には 17 のカジノ施設があり うち 16 箇所が外国人専用カジノ 残り 1 箇所が韓国人も入場可能なカンウォンランドカジノである 図表 2-6 韓国の IR カジノ施設一覧 No 施設名立地運営事業者許可年 パラダイスカジノウォーカーヒル (Paradise Casino Walker-Hill) セブンラックカジノソウル江南 (Seven Luck Casino Gangnam) セブンラックカジノミレニアムソウルヒルトン (Seven Luck Casino Millennium Seoul Hilton) パラダイスカジノ釜山 (Paradise Casino Busan) セブンラックカジノ釜山ロッテ (Seven Luck Casino Busan Lotte) パラダイスカジノ仁川 (Paradise Casino Incheon) アルペンシアカジノ (Alpensia Casino) インターブルゴテグ (Hotel Inter-Burgo Casino) ケイ済州ホテルカジノ (The-K Casino) ソウル ソウル ソウル パラダイス (Paradise) グランドコリアレジャー (Grand Korea Leisure) グランドコリアレジャー 従事者数 ( 人 ) 4 売上高 ( 億円 ) 5 訪問者数 ( 人 ) 6 営業面積 ( m2 ) 1968 年 ,959 3, 年 ,735 6, 年 ,799 2, 釜山パラダイス 1978 年 ,098 2, 釜山 仁川 グランドコリアレジャー パラダイスセガサミー (Paradisesegasa mmy) 2005 年 ,276 2, 年 ,526 1, 江原カバス (Cozana) 1980 年 8 0 3, 大邱 済州 ゴールデンクラウン (Golde Crown) エンエスディーヤングサング (NSD Media) 2016 年 6 月現在 1979 年 ,483 3, 年 ,734 2, 数値は 2015 年度 5 数値は 2015 年度 6 政府から許可された営業面積 7

14 No 施設名立地運営事業者許可年 パラダイスカジノ済州ロッテ (Paradise Casino Jeju Lotte) パラダイスカジノ済州グランド (Paradise Casino Jeju Grand) ロイヤルパレスカジノ ( 済州オリエンタルホテル )(Royal Palace Casino) 済州サンホテル & カジノ (Lvegas Casino) ランディングカジノ ( ハイアットホテル )(Hyatt Hotel Casino) シェラカジノ (Shilla Hotel Casino) ゴールデンビーチカジノ (Golden Beach Casino) カンウォンランドカジノ (Kangwon Land Casino) 従事者数 ( 人 ) 4 売上高 ( 億円 ) 5 訪問者数 ( 人 ) 6 営業面積 ( m2 ) 済州パラダイス 1985 年 ,461 1, 済州パラダイス 1990 年 ,702 2, 済州 ゴンハ (Pung hwa) 1990 年 ,362 1, 済州 GNL(GNL) 1990 年 ,559 2, 済州 済州 済州 江原 グランド エクスプレス コリア (Beluga OCEAN) マジェスタ (Majesta) ゴールデンビーチ (GoldenBeach) カンウォンランド (Kangwon Land) 出典 : 韓国政府文化体育観光部 HP 7 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 1990 年 , 年 ,597 2, 年 ,962 1, 年 ,561 3,133,391 12, 韓国政府文化体育観光部 HP 2016 年 6 月 30 日付公表 %A7%80%EB%85%B8 8

15 図表 2-7 韓国における IR カジノ位置図 6 仁川 ソウル 江原 大邱 釜山 済州 1 パラダイスカジノウォーカーヒル 10 パラダイスカジノ済州ロッテ 2 セブンラックカジノソウル江南 11 パラダイスカジノ済州グランド 3 セブンラックカジノミレニアムソウルヒルトン 12 ロイヤルパレスカジノ 4 パラダイスカジノ釜山 13 済州サンホテル & カジノ 5 セブンラックカジノ釜山ロッテ 14 ランディングカジノ ( ハイアットホテル ) 6 パラダイスカジノ仁川 15 シェラカジノ 7 アルペンシアカジノ 16 ゴールデンビーチカジノ 8 インターブルゴテグ 17 カンウォンランドカジノ 9 ケイ済州ホテルカジノ 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 9

16 2.1.3 運営概要 (1) パラダイスグループ 1 運営事業者の概要 パラダイスグループは 韓国に本社を置くカジノ運営事業者である 1967 年に韓国で最初のカジノ施設を仁川に開業した 8 現在は 韓国において 5 箇所の外国人専用カジノを運営している 事業者名所在地設立主な事業 図表 2-8 運営事業者の概要 パラダイスグループ (Paradise Group) 韓国ソウル 1972 年 IR カジノの運営 ホームページ 出典 : パラダイスグループ HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 パラダイスグループが韓国で運営している IR カジノ施設のうち 主な施設の概要は以下のとおりである 図表 2-9 主な運営施設の概要 ( パラダイスグループ ) パラダイスカジノウォーカーヒル パラダイスカジノ釜山 外観 日本能率協会総合研究所撮影 パラダイスグループ HP より引用 地区ソウル釜山 面積カジノ面積 3,178 m2カジノ面積 2,284 m2 開業時期 1968 年 1978 年 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 841 室 ) カジノ ( テーブル 105 台 スロットマシン 135 台 電子ゲーム 34 台 ) その他 ( 宴会場 スパ ショッピングセンター シアター 免税店 ) ホテル ( 客室数 481 室 ) カジノ ( テーブル 36 台 スロットマシン 58 台 電子ゲーム 21 台 ) その他 ( 宴会場 スパ スポーツジム 免税店 ) 出典 : パラダイスグループ HP 韓国政府文化体育観光部 HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 8 当時は パラダイスグループの前身となるオリンポス観光産業 ( 株 ) であった 10

17 図表 2-10 主な運営施設の概要 ( パラダイスグループ ) パラダイスカジノ済州グランド パラダイスカジノ仁川 外観 パラダイスグループ HP より引用 パラダイスグループ HP より引用 地区済州仁川 面積カジノ面積 2,757 m2カジノ面積 1,311 m2 開業時期 1990 年 1967 年 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 512 室 ) カジノ ( テーブル 41 台 スロットマシン 52 台 ) その他 ( フィットネスクラブ スパ 宴会場 プール ) ホテル ( 客室数 1,022 室 ) カジノ ( テーブル 52 台 スロットマシン 45 台 電子ゲーム 20 台 ) その他 ( スポーツクラブ スパ ) 出典 : パラダイスグループ HP 韓国政府文化体育観光部 HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 3 顧客内訳 2014 年度においてパラダイスカジノ仁川の国籍別顧客数の割合は 中国人 6 割 日本人 2 割程度である 4 売上高等の推移 パラダイスグループの売上高等の推移をみると 2011 年以降 堅調に売上高 カジノ売上高を伸ばしてきたが 2015 年に減少に転じた 2016 年は売上高 カジノ売上高ともに 2014 年の水準を回復している 図表 2-11 売上高等の推移 ( パラダイスグループ ) ( 億円 ) 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 売上高 カジノ売上高 営業利益 出典 : パラダイスグループ Earnings Result を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 11

18 5 事業別売上高の推移 売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が高く 2016 年は全体の 86.8% を占めている ( 億円 ) 図表 2-12 事業別売上高等の推移 ( パラダイスグループ ) 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 その他 ホテル カジノ 計 出典 : パラダイスグループ Earnings Result を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 施設別カジノ売上高の推移 カジノ売上高を施設別にみると ソウルのパラダイスカジノが売上高の半分以上を占めている 図表 2-13 施設別売上高等の推移 ( パラダイスグループ ) ( 億円 ) 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 ハ ラタ イスカシ ノ済州ロッテ パラダイスカジノ釜山 パラダイスカジノ仁川 ハ ラタ イスカシ ノ済州グランド ハ ラタ イスカシ ノウォーカーヒル 計 出典 : パラダイスグループ Earnings Result 9 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 9 パラダイスグループ Earnings Result において韓国カジノ協会 (Korean Casino Association) の数値を引用したものであり 集計方法が異なるため 本図表の合計の数値は前出のカジノ売上高の数値と一致しない 12

19 (2) グランドコリアレジャー 1 運営事業者の概要 グランドコリアレジャーは 韓国観光公社の子会社であり 2006 年からセブンラックブランドでカジノを展開するカジノ運営事業者である 現在は 韓国において 3 箇所の外国人専用カジノを運営している 図表 2-14 運営事業者の概要 事業者名所在地設立主な事業ホームページ グランドコリアレジャー (Grand Korea Leisure Co., Ltd) 韓国ソウル 2005 年 IR カジノの運営 出典 : グランドコリアレジャー HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 グランドコリアレジャーが韓国で運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 2-15 運営施設の概要 ( グランドコリアレジャー ) セブンラックカジノソウル江南 セブンラックカジノミレニアムソウルヒルトン セブンラックカジノ釜山ロッテ 外観 グランドコリアレジャー HP よりグランドコリアレジャー HP よりグランドコリアレジャー HP より 地区ソウル江南地区ソウル中心街釜山 面積 営業面積 6,094 m2カジノ面積 6,093 m2 営業面積 2,812 m2カジノ面積 2,812 m2 営業面積 2,555 m2カジノ面積 1,583 m2 開業時期 2006 年 2006 年 2006 年 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル カジノ ( テーブル 82 台 スロットマシン 121 台 ) コンベンション その他 ( ショッピングモール 水族館 ) ホテル カジノ ( テーブル 51 台 スロットマシン 152 台 ) ホテル カジノ ( テーブル 45 台 スロットマシン 116 台 ) ショッピングモール 出典 : グランドコリアレジャー GKL Invester Relations Q 韓国政府文化体育観光部 HP を基に株式会社日 本能率協会総合研究所作成 13

20 3 顧客内訳 国籍別入場者数をみると 日本と中国の顧客が大半を占めている 2013 年から 2016 年にかけて 日本人の入場者数が減少する一方 中国人の入場者数は年々増加している 図表 2-16 国籍別入場者数 ( グランドコリアレジャー ) ( 人 ) 2,000,000 1,500,000 1,617,669 1,570,608 1,600,810 1,518,755 1,000, , 年 2014 年 2015 年 2016 年 その他 539, , , ,184 中国 527, , , ,082 日本 550, , , ,489 計 1,617,669 1,570,608 1,600,810 1,518,755 出典 : グランドコリアレジャー 2016 年度第 4 四半期の Fact Sheet 10 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 売上高等の推移 グランドコリアレジャーの売上高等の推移をみると 近年の売上高は 2013 年をピークとして 横ばい傾向である ( 億円 ) 図表 2-17 売上高等の推移 ( グランドコリアレジャー ) 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 売上高 営業利益 出典 : グランドコリアレジャー GKL INVESTOR RELATIONS 11 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 10 グランドコリアレジャー 2016 年度第 4 四半期の Fact Sheet NUID=&EMENUID=&URL_JSP=&sel_lang_typ=KR&REC_SEQ=&seq=8849&PAGENUM= 11 グランドコリアレジャー GKL INVESTOR RELATIONS ENUID=&EMENUID=&URL_JSP=&sel_lang_typ=KR&REC_SEQ= 14

21 5 施設別カジノ売上高の推移 カジノ売上高を施設別にみると 2015 年は セブンラックカジノソウル江南とセブンラックカジノミレニアムソウルヒルトンがそれぞれ全体の売上高の約 4 割ずつを占めている 図表 2-18 施設別カジノ売上高等 12 の推移 ( グランドコリアレジャー ) 700 ( 億円 ) 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 セブンラックカジノ釜山ロッテ セフ ンラックカシ ノミレニアムソウルヒルトン セブンラックカジノソウル江南 計 出典 : 韓国政府文化体育観光部 HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 12 韓国政府文化体育観光部集計の資料を基に作成 集計方法が異なるためグランドコリアレジャーが発表してい る売上高とは一致しない 15

22 (3) カンウォンランド 1 運営事業者の概要 カンウォンランドは 韓国の江原道に本社を置くカジノ運営事業者であり 韓国においてカンウォンランドカジノを運営している 同社は 江原道が設立した江原道開発公社 政府管轄の韓国鉱山開拓株式会社及び 4 つの地方自治体が株式の 51% を保有している なお カンウォンランドカジノは 国内で韓国人が入場できる唯一のカジノ施設である 事業者名所在地設立主な事業 図表 2-19 運営事業者の概要 カンウォンランド (Kangwon land Co., Ltd) 韓国江原道 1998 年 IR カジノの運営 ホームページ 出典 : カンウォンランド HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 カンウォンランドが韓国で運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 2-20 運営施設の概要 ( カンウォンランド ) カンウォンランドカジノ 外観 地区 カンウォンランド HP より引用 江原道 面積カジノ面積 12,793 m2 13 開業時期 同一建物 敷地内にある施設の内容 2000 年 ホテル ( 客室数 1,827 室 ) カジノ施設 ( テーブル 200 台 スロットマシン 1,360 台 ) その他 ( ゴルフ場 スキー場 ) 出典 : カンウォンランド HP 韓国政府文化体育観光部 HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 13 政府から許可された営業面積 16

23 3 顧客内訳 カンウォンランドにおける直近 1 年間の顧客内訳をみると 韓国人が 313 万 6 千人 外国人が 3 万 8 千人であり 韓国人が 98.8% を占めている 図表 2-21 直近 1 年間における顧客内訳 ( カンウォンランド ) 外国人 1.2% 韓国人 98.8% 直近 1 年間 (2015 年第 4 四半期から 2016 年第 3 四半期 ) の計 出典 : カンウォンランド四半期 Results 14 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 売上高等の推移 カンウォンランドの売上高等の推移をみると 2011 年以降 売上高 カジノ売上高ともに堅調に伸びている ( 億円 ) 1,800 1,600 1,400 1,200 1, 図表 2-22 売上高等の推移 ( カンウォンランド ) 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 1,266 1,296 1,361 1,497 1,634 カジノ売上高 1,192 1,213 1,277 1,419 1,556 営業利益 出典 : カンウォンランド四半期 Results を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 14 カンウォンランド四半期 Results (Earnings) 17

24 5 事業別売上高の推移 売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が圧倒的に高く 2015 年は全体の 95.2% を占めている ( 億円 ) 1,800 1,600 1,400 1,200 1, 図表 2-23 事業別売上高等の推移 ( カンウォンランド ) 1,266 1, 年の その他 はホテルを含む 1,361 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 その他 ホテル カジノ 1,192 1,213 1,277 1,419 1,556 計 1,266 1,296 1,361 1,497 1,634 出典 : カンウォンランド四半期 Results を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 1,634 18

25 2.2 マカオ 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 マカオは 中国広東省南部 珠江デルタの西岸 香港の西約 60km の距離に位置し マカオ半島 タイパ島 コロアネ島及び両島をつなぐ埋め立て地に新しく開発されたコタイ地区により構成されている 香港と同様 外交 国防を除き 高度の自治権が認められた中国の特別行政区の一つである 観光及びカジノ産業がマカオの主要産業であり カジノ産業は GDP の約 6 割を占めている 年の一人あたり名目 GDP は 71,077 米ドル (817 万円 ) で世界第 4 位の高い水準である 図表 2-24 国 地域の概要 摘要 備考 面積約 30km 年 人口約 65 万人 2015 年 言語ポルトガル語 中国語 ( 広東語と北京語 ) 宗教 通貨 仏教 道教 キリスト教 イスラム教 ゾロアスター教 マカオパタカ 名目 GDP 462 億米ドル (5 兆 3,130 億円 ) 2015 年 1 人あたり名目 GDP 71,077 米ドル (817 万円 ) 2015 年 実質経済成長率 -20.3% 2015 年 出典 :IMF 世界銀行 マカオ政府統計局 (DSEC) 2015 Yearbook of Statistics を基に株式会社日本能率協会総 合研究所作成 15 マカオ政府統計局 (DSEC) 2015 Yearbook of Statistics 19

26 (2) 日本 中国からの交通アクセス マカオへは 成田 大阪 福岡から直行便が就航している 中国の各都市からも概ね就航しているが 隣の香港からは空路ではなく フェリーでの移動となる また マカオまで直行便のほかに 便数の多い香港まで空路で行き そこからフェリーでマカオに向かうルートもよく利用される なお 2017 年末に マカオと香港を結ぶ港珠澳大橋が完成する予定であり 開通後は 香港 マカオ間の移動が車で約 30 分程度に短縮される見込みである 図表 2-25 日本 中国からの交通アクセス 直行便所要時間成田 マカオ 5 時間 備考 日本から 大阪 マカオ福岡 マカオ北京 マカオ上海 マカオ 4 時間 10 分 3 時間 30 分 3 時間 50 分 2 時間 40 分 中国から 香港 マカオ ( 飛行機 ) 香港 マカオ ( フェリー ) 香港 マカオ ( ヘリコプター ) 直行便なし 約 60 分 約 15 分 出典 : 各社航空ダイヤ フェリーダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 香港 ( 香港国際空港 ) マカオ ( マカオ アウター ハーハ ー フェリーターミナル ) 香港島 ( 上環 ) マカオ( マカオ フェリーターミナル ) 料金は2,200 香港ドル (3 万 3,000 円 ) と高額 20

27 (3) 外国人旅行者の状況 マカオへの外国人旅行者数の推移をみると 2005 年からの 10 年間で約 1.6 倍に増加し 2015 年は約 3,071 万人であった 日本からの旅行者数は 2015 年時点で全体の 0.9% であり 2010 年の約 41 万人をピークとして減少傾向である 一方 中国からの旅行者数は増加傾向にあり 2015 年時点で約 2,041 万人と全体の 66.5% を占めている 図表 2-26 マカオへの外国人旅行者数 (2005 年 ~2015 年の推移 ) ( 人 ) 日本中国その他アジアオセアニアアフリカ欧州北米中南米中東その他 35,000,000 30,000,000 25,000,000 18,711,187 21,998,580 26,992,995 22,933,185 21,752,751 24,965,411 28,002,279 29,324,822 28,082,292 31,525,632 30,714,628 20,000,000 15,000,000 10,000,000 5,000, 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 合計 18,711,187 21,998,580 26,992,995 22,933,185 21,752,751 24,965,411 28,002,279 28,082,292 29,324,822 31,525,632 30,714,628 日本 169, , , , , , , , , , ,138 中国 10,462,787 11,985,655 14,866,477 11,613,064 10,988,796 13,228,418 16,161,927 16,900,964 18,631,640 21,252,070 20,411,350 その他アジア 7,649,209 9,277,672 11,089,301 10,180,367 9,692,336 10,601,992 10,696,367 10,024,169 9,648,082 9,224,591 9,304,406 オセアニア 71,908 84, , , , , , , , , ,825 アフリカ 8,082 13,693 30,049 22,095 16,702 21,736 25,161 27,945 31,317 35,841 31,532 欧州 161, , , , , , , , , , ,930 北米 170, , , , , , , , , , ,398 中南米 12,129 13,765 19,926 21,545 20,629 24,587 29,364 29,244 30,637 28,794 27,580 中東 2,679 3,747 7,276 7,537 7,364 9,844 12,158 14,144 14,939 13,764 15,469 その他 3,001 5,701 6, 出典 : 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 2-27 マカオへの外国人旅行者数 (2015 年の上位 5 箇国 地域 ) 韓国 553,991 人 1.8% 台湾 987,684 人 3.2% 日本 282,138 人 0.9% 香港 6,533,147 人 21.3% その他 1,946,318 人 6.3% 中国 20,411,350 人 66.5% 出典 : 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 21

28 2.2.2 IR カジノの開業状況 マカオでは ポルトガルの植民地時代の 1847 年にカジノが合法化されて以降 単一事業者によるカジノ経営が続いた 1962 年からは カジノ王と呼ばれるスタンレー ホー氏が経営するマカオ旅遊娯楽有限公司 (STDM) が 40 年間 カジノの経営権を独占していた しかし 1999 年に中国へマカオが返還された後 2001 年にマカオ政府は 観光産業の振興による経済発展を目的として カジノ市場の自由化に舵を切り カジノライセンスの国際入札を行った その結果 2002 年に STDM の後継企業である SJM を含め 3 社にカジノの運営ライセンスが付与された さらに 各社から 1 社のみサブライセンスの付与が認められ 合計 6 事業者にライセンスが付与されることとなった 図表 2-28 マカオでのカジノの運営ライセンスを付与された 6 事業者 ライセンス形態事業者名 16 備考 1 メイン SJM 2002 年ライセンス契約 2 メインウィンリゾーツ 2002 年ライセンス契約 3 メインギャラクシー 2002 年ライセンス契約 4 サブラスベガス サンズ 5 サブ MGM 6 サブメルコ クラウン 2002 年サブライセンス契約ギャラクシーのサブライセンス 2005 年サブライセンス契約 SJM のサブライセンス 2006 年サブライセンス契約ウィンのサブライセンス マカオでは 現在 これら 6 事業者が 36 箇所の IR カジノ施設を運営している 2002 年の市場開放以降 コンベンションやシアター等のエンターテイメントを備えた大規模な IR 施設が多く建設され 世界有数の IR カジノ施設の集積地となっている 図表 2-29 マカオの IR カジノ施設一覧 No. 施設名立地運営事業者開業年 1 カジノリスボア (Casino Lisboa) マカオ SJM 1970 年 2 グランドリスボア (Grand Lisboa) マカオ SJM 2007 年 3 カムペックパラダイスカジノ (Casino Kam Pek Paradise) マカオ SJM 2007 年 4 ポンテ 16 カジノ (Casino Ponte 16) マカオ SJM 2008 年 5 ラルクマカオカジノ (Casino L'Arc Macau) マカオ SJM 2009 年 6 オセアナスカジノ (Casino Oceanus at Jai Alai) マカオ SJM 2009 年 7 ジーメイカジノ (Casino Jimei) マカオ SJM 不明 8 ゴールデンドラゴンカジノ (Casino Golden Dragon) マカオ SJM 不明 9 バビロンカジノ (Casino Babylon) マカオ SJM 不明 10 カーサレアルカジノ (Casino Casa Real) マカオ SJM 不明 11 クラブ VIP レジェンドカジノ (Casino Club VIP Legend) マカオ SJM 不明 16 ライセンスを受けた事業者の正式名称は次のとおり (1) Sociedade de Jogos de Macau, S. A. (2) Wynn Resorts (Macau), S.A. (3) Galaxy Casino, S.A. (4) Venetian Macau, S.A. (5) MGM Grand Paradise, S.A. (6) Melco Crown (Macau) Limited 22

29 No. 施設名立地運営事業者開業年 12 エンペラーパレスカジノ (Casino Emperor Palace) マカオ SJM 不明 13 ダイヤモンドカジノ (Casino Diamond) マカオ SJM 不明 14 フォーチュナカジノ (Casino Fortuna) マカオ SJM 不明 15 ランカイフォンカジノ (Casino Lan Kwai Fong) マカオ SJM 不明 16 グランドビューカジノ (Casino GrandView) タイパ SJM 1998 年 17 タイパカジノ (Casino Taipa) タイパ SJM 不明 18 マカオジョッキークラブカジノ (Casino Macau Jockey Club) タイパ SJM 不明 19 ウィンマカオ (Wynn Macau) マカオウィンリゾーツ 2006 年 20 ウィンパレス (Wynn Palace) コタイウィンリゾーツ 2016 年 21 プレジデントカジノ (President Casino ) マカオギャラクシー 2006 年 22 リオカジノ (Rio Casino) マカオギャラクシー 2006 年 23 ワルドカジノ (Waldo Casino) マカオギャラクシー 2004 年 24 スターワールドホテル (StarWorld Hotel) マカオギャラクシー 2006 年 25 ギャラクシーマカオ (Galaxy Macau) コタイギャラクシー 2011 年 26 ブロードウェイマカオ (Broadway Macau) コタイギャラクシー 2015 年 27 サンズマカオ (Sands Macao) マカオラスベガス サンズ 2004 年 28 ヴェネチアンマカオ (The Venetian Macao) コタイラスベガス サンズ 2007 年 29 サンズコタイセントラル (Sands Cotai Central) コタイラスベガス サンズ 2012 年 30 プラザマカオ (The Plaza Macao ) コタイラスベガス サンズ 2008 年 31 パリジャンマカオ (The Parisian Macao) コタイラスベガス サンズ 2016 年 32 MGM マカオ (MGM Macau) マカオ MGM 2007 年 33 シティオブドリームス (City of Dreams) コタイメルコ クラウン 2009 年 34 スタジオシティ (Studio City) コタイメルコ クラウン 2015 年 35 アルティラマカオ (Altira Macau) タイパメルコ クラウン 2007 年 36 タイパスクエアカジノ (Casino Taipa Square) タイパメルコ クラウン不明 23

30 図表 2-30 マカオにおける IR カジノ位置図 マカオ タイパ コタイ カジノリスボア 11 2 グランドリスボア 12 3 カムペックパラダイスカジノ クラブ VIP レジェンドカジノ エンペラーパレスカジノ 21 プレジデントカジノ 31 パリジャンマカオ 22 リオカジノ 32 MGM マカオ 13 ダイヤモンドカジノ 23 ワルドカジノ 33 シティオブドリームス 4 ポンテ 16 カジノ 14 フォーチュナカジノ 24 スターワールドホテル 34 スタジオシティ 5 ラルクマカオカジノ 15 ランカイフォンカジノ 25 ギャラクシーマカオ 35 アルティラマカオ 6 オセアナスカジノ 16 グランドビューカジノ 26 ブロードウェイマカオ 36 タイパスクエアカジノ 7 ジーメイカジノ 17 タイパカジノ 27 サンズマカオ 8 ゴールデンドラゴンカジノ 18 マカオジョッキークラブカジノ 9 バビロンカジノ 19 ウィンマカオ ヴェネチアンマカオ サンズコタイセントラル 10 カーサレアルカジノ 20 ウィンパレス 30 プラザマカオ 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 24

31 2.2.3 運営概要 (1) SJM ホールディングス 1 運営事業者の概要 SJM ホールディングス ( 以下 SJM という ) は 香港に本社を置くカジノ運営事業者である 同社の前身は 2002 年のカジノ市場の自由化以前に マカオのカジノ経営権を 40 年にわたり独占していたマカオ旅遊娯楽有限公司 (STDM) である 現在 マカオにおいて 18 箇所の IR カジノ施設を運営している 図表 2-31 運営事業者の概要 事業者名所在地設立主な事業ホームページ SJM ホールディングス (SJM Holdings Limited) 香港特別行政区 2006 年 IR カジノの運営 出典 :SJM HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 SJM がマカオで運営している IR カジノ施設のうち 主な施設の概要は以下のとおりである 図表 2-32 主な運営施設の概要 (SJM) カジノリスボア グランドリスボア 外観 SJM HP より引用 SJM Annual Report2015 より引用 地区マカオ地区マカオ地区 面積 カジノ面積 17,670 m2コンベンション面積 279 m2 カジノ面積 38,382 m2コンベンション面積 1,933 m2 開業時期 1970 年 2007 年 2 月 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 1,000 室 ) カジノ ( テーブル 146 台 スロットマシン 107 台 ) その他 ( ショッピングモール ) ホテル ( 客室数 431 室 ) カジノ ( テーブル 404 台 スロットマシン 794 台 ) その他 ( シアター フィットネス ) 出典 :SJM HP Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 を基に株式会社日本能率協会 総合研究所作成 25

32 3 売上高等の推移 マカオにおける SJM の売上高等の推移をみると 2011 年以降 売上高 カジノ売上高は着実に伸びていたが 2014 年に減少に転じ 2015 年に大きく落ち込んだ ( 億円 ) 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 図表 2-33 売上高等の推移 (SJM) 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 11,414 11,928 13,148 11,990 7,376 カジノ売上高 11,327 11,833 13,043 11,890 7,289 EBITDA 1,038 1,145 1,301 1, 営業利益 796 1,012 1,156 1, 出典 :SJM Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 事業別売上高の推移 マカオにおける売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が圧倒的に高く 2015 年は全体の 98.8% を占めている 図表 2-34 事業別売上高等の推移 (SJM) ( 億円 ) 14,000 12,000 11,414 11,928 13,148 11,990 10,000 8,000 7,376 6,000 4,000 2, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 ホテル その他 カジノ 11,327 11,833 13,043 11,890 7,289 計 11,414 11,928 13,148 11,990 7,376 出典 :SJM Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 26

33 5 顧客別カジノ売上高の推移 マカオにおけるカジノ売上高の内訳の推移をみると 2014 年まで全体の 6 割以上を占めていた VIP 売上高が 2015 年に前年の約半分にまで落ち込んだ結果 全体のカジノ売上高が 38.7% も減少した 一方 スロット売上高 マス売上高はそれぞれ 2014 年比 14.9% 24.6% の減少と VIP 売上高ほどの落ち込みはなかった ( 億円 ) 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 図表 2-35 顧客別カジノ売上高等の推移 (SJM) 11,327 11,833 13, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 スロット マス 3,192 3,616 4,088 4,453 3,358 VIP 7,917 7,992 8,746 7,237 3,760 計 11,327 11,833 13,043 11,890 7,289 出典 :SJM Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 11,890 7,289 27

34 (2) MGM リゾーツ インターナショナル 1 運営事業者の概要 MGM リゾーツ インターナショナル ( 以下 MGM という ) は 米国ネバダ州ラスベガスに本社を置くカジノ運営事業者である 米国とマカオにおいて IR カジノを運営している 現在 マカオにおいては 子会社の MGM チャイナ ホールディングスを通じて 1 箇所の IR カジノ施設を運営している 図表 2-36 運営事業者の概要 事業者名所在地設立主な事業ホームページ MGM リゾーツ インターナショナル (MGM Resorts International) 米国ネバダ州ラスベガス 1986 年 IR カジノの運営 出典 :MGM HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 MGM がマカオで運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 2-37 運営施設の概要 (MGM) MGM マカオ 外観 MGM チャイナ ホールディングス Annual Report 2015 より引用 地区 面積 開業時期 マカオ地区 カジノ面積 25,500 m2コンベンション面積 1,600 m 年 12 月 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 579 室 ) カジノ ( テーブル 427 台 スロットマシン 1,174 台 ) コンベンション その他 ( シアター ショッピングモール フィットネス プール ) 出典 :MGM HP Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 を基に株式会社日本能率協会 総合研究所作成 28

35 3 売上高等の内訳の推移 マカオにおける MGM の売上高等の推移をみると 2011 年以降 売上高 カジノ売上高 営業利益のいずれも着実に伸びていたが 2015 年に大きく落ち込んだ ( 億円 ) 5,000 図表 2-38 売上高等の推移 (MGM) 4,000 3,000 2,000 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 3,044 3,266 3,859 3,818 2,576 カジノ売上高 2,996 3,218 3,812 3,771 2,526 EBITDA , 営業利益 出典 :MGM Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 事業別売上高の推移 マカオにおける売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が圧倒的に高く 2015 年は全体の 98.1% を占めている ( 億円 ) 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 図表 2-39 事業別売上高等の推移 (MGM) 3,859 3,818 3,266 3,044 2, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 ショッピング等 飲食 ホテル カジノ 2,996 3,218 3,812 3,771 2,526 計 3,044 3,266 3,859 3,818 2,576 出典 :MGM Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 29

36 5 顧客別カジノ売上高の推移 マカオにおけるカジノ売上高の内訳の推移をみると 2013 年まで全体の 6 割以上を占めていた VIP 売上高が 2014 年に減少に転じ 2015 年には前年比で 43.9% も減少した 一方 スロット売上高 マス売上高いずれも 2014 年比 20.3% の減少であり VIP 売上高ほどの落ち込みはなかった この結果 2015 年はマス売上高が VIP 売上高をわずかに上回った ( 億円 ) 5,000 4,000 3,000 2,000 図表 2-40 顧客別カジノ売上高の推移 (MGM) 3,812 3,771 3,218 2,996 2,526 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 スロット マス ,074 1,440 1,147 VIP 2,072 2,051 2,399 2,026 1,136 計 2,996 3,218 3,812 3,771 2,526 出典 :MGM Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 30

37 (3) ウィンリゾーツ 1 運営事業者の概要 ウィンリゾーツは 米国ネバダ州ラスベガスに本社を置くカジノ運営事業者である 米国とマカオにおいて IR カジノを運営している 現在 マカオにおいては 子会社のウィン マカオを通じて 2 箇所の IR カジノ施設を運営している 図表 2-41 運営事業者の概要 事業者名所在地設立主な事業ホームページ ウィンリゾーツ (Wynn Resorts Limited) 米国ネバダ州ラスベガス 2002 年 IR カジノの運営 出典 : ウィンリゾーツ HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 マカオにおけるウィンリゾーツが運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 2-42 運営施設の概要 ( ウィンリゾーツ ) ウィンマカオ ウィンパレス 外観 ウィンリゾーツ HP より引用 ウィンリゾーツ HP より引用 地区マカオ地区コタイ地区 面積 カジノ面積約 26,400 m2コンベンション面積 2,900 m2ショッピングモール面積 5,300 m2 17 敷地面積 450,000 m2以上カジノ面積約 46,500 m2コンベンション面積約 3,700 m2ショッピングモール面積約 18,600 m2 開業時期 2006 年 9 月 2016 年 8 月 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 1,008 室 ) カジノ ( テーブル 422 台 スロットマシン 805 台 ) その他 ( スパ フィットネス プール ショッピングモール シアター パフォーマンスレイク ) ホテル ( 客室数 1,706 室 ) カジノ ( テーブル 350 台 スロットマシン 1,145 台 ) その他 ( スパ フィットネス プール ショッピングモール ゴンドラ パフォーマンスレイク ) 出典 : ウィンリゾーツ HP ウィンリゾーツ Interim Report 2016 Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 17 THE AUSTRALIAN BUSINESS REVIEW HP ort-in-macau/news-story/41bfae9efdec01c2d593626a1a371a94 31

38 3 売上高等の推移 マカオにおけるウィンリゾーツの売上高等の推移をみると 2011 年以降 売上高 カジノ売上高 営業利益のいずれも安定して推移していたが 2015 年に大きく減少した ( 億円 ) 5,000 図表 2-43 売上高等の推移 ( ウィンリゾーツ ) 4,000 3,000 2,000 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 4,425 4,268 4,701 4,417 2,864 カジノ売上高 4,163 4,006 4,430 4,168 2,683 EBITDA 1,193 1,161 1,330 1, 営業利益 , 出典 : ウィンリゾーツ Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 事業別売上高の推移 マカオにおける売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が圧倒的に高く 2015 年は全体の 93.7% を占めている 図表 2-44 事業別売上高の推移 ( ウィンリゾーツ ) ( 億円 ) 5,000 4,425 4,268 4,701 4,417 4,000 3,000 2,864 2,000 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 ショッピング等 飲食 ホテル カジノ 4,163 4,006 4,430 4,168 2,683 計 4,425 4,268 4,701 4,417 2,864 出典 : ウィンリゾーツ Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 32

39 5 顧客別カジノ売上高の推移 マカオにおけるカジノ売上高の内訳の推移をみると 2013 年まで全体の約 75% を占めていた VIP 売上高が 2014 年に減少に転じ 2015 年に前年比で 45.6% 減少した 一方 マス売上高は 2014 年比 20.1% の減少であり VIP 売上高ほどの落ち込みはなかった ( 億円 ) 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 図表 2-45 顧客別カジノ売上高の推移 ( ウィンリゾーツ ) 5,471 5,235 5,762 5, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 ポーカー ,276 スロット マス ,155 1,379 1,102 VIP 4,208 3,944 4,301 3,549 1,930 計 5,471 5,235 5,762 5,261 3,276 関連手数料を引く前の売上高 出典 : ウィンリゾーツ Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 33

40 (4) ギャラクシーエンターテイメントグループ 1 運営事業者の概要 ギャラクシーエンターテイメントグループ ( 以下 ギャラクシー という ) は 香港に本社を置くカジノ運営事業者である 現在 マカオにおいて 6 箇所の IR カジノ施設を運営している 図表 2-46 運営事業者の概要 事業者名所在地設立主な事業ホームページ ギャラクシーエンターテイメントグループ (Galaxy Entertainment Group Ltd) 香港特別行政区 2005 年 IR カジノの運営 出典 : ギャラクシー HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 ギャラクシーがマカオで運営している IR カジノ施設のうち 主な施設の概要は以下のとおりである 図表 2-47 主な運営施設の概要 ( ギャラクシー ) ギャラクシーマカオブロードウェイマカオスターワールドホテル 外観 ギャラクシー HP より引用ギャラクシー HP より引用ギャラクシー HP より引用 地区コタイ地区コタイ地区マカオ地区 面積 開業時期 同一建物 敷地内にある施設の内容 敷地面積 110 万m2ショッピングモール面積 100,000 m2以上 第一期 2011 年 5 月第二期 2015 年 5 月 ホテル ( 客室数 3,600 室 ) カジノ ( テーブル約 950 台 スロットマシン 2,500 台以上 ) 18 その他 ( シアター プール ショッピングモール テーマパーク ) カジノ面積 57,226 m2 カジノ面積 13,020 m 年 5 月 2006 年 10 月 ホテル ( 客室数 320 室 ) カジノ ( テーブル 40 台 スロットマシン 150 台 ) その他 ( シアター ) ホテル ( 客室数 500 室以上 ) カジノ ( テーブル 247 台 スロットマシン 250 台 ) 出典 : ギャラクシー HP ギャラクシー Interim Report 2016 Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 18 テーブル台数及びスロットマシン台数については 第二期の計画当初の数値を記載 設置台数はマカオ政府により段階的に承認されており 最終的に当初計画通りに設置されていない可能性がある GALAXY MACAU PHASE 2 A new chapter BEGINS 2012 年 4 月 26 日 34

41 3 売上高等の推移 2011 年以降着実に売上を伸ばしてきたものの 2015 年に大きく減少した ( 億円 ) 12,000 図表 2-48 売上高等の推移 ( ギャラクシー ) 10,000 8,000 6,000 4,000 2, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 6,178 8,512 9,905 10,763 7,649 EBITDA 862 1,477 1,886 1,983 1,310 営業利益 451 1,107 1,508 1, 出典 : ギャラクシー Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 顧客別カジノ売上高の推移 主要 3 施設 19 のカジノ売上高の内訳の推移をみると 2014 年まで全体の 7 割以上を占めていた VIP 売上高が 2015 年には前年比で 42.4% も減少した 一方 スロット売上高とマス売上高は 2011 年以降順調に推移しており VIP 売上高が大きく減少した 2015 年も落ち込みは見られなかった ( 億円 ) 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 図表 2-49 顧客別カジノ売上高の推移 ( ギャラクシー ) 10,144 9,242 7,897 5,662 6, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 スロット マス 669 1,459 2,149 2,467 2,405 VIP 4,860 6,220 6,835 7,414 4,267 計 5,662 7,897 9,242 10,144 6,932 出典 : ギャラクシー Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 19 ギャラクシーマカオ ブロードウェイマカオ スターワールドホテルの 3 施設 35

42 5 施設別カジノ売上高の推移 カジノ売上高を施設別にみると ギャラクシーマカオが全体に占める割合が年々増している 2015 年 5 月に開業したブロードウェイマカオは カジノ台数が少なく また 2015 年時点では VIP テーブルを持っていなかったこともあり カジノ売上高は他 2 施設よりも少ない 図表 2-50 施設別カジノ売上高の推移 ( ギャラクシー ) ( 億円 ) 12,000 10,000 8,000 6,000 5,662 7,897 9,242 10,144 6,932 4,000 2, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 スターワールドホテル 3,315 3,159 3,472 3,339 1,914 ブロードウェイマカオ ギャラクシーマカオ 2,347 4,738 5,770 6,806 4,972 計 5,662 7,897 9,242 10,144 6,932 出典 : ギャラクシー Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 36

43 (5) ラスベガス サンズ 1 運営事業者の概要 ラスベガス サンズは 米国ネバダ州ラスベガスに本社を置くカジノ運営事業者である 米国 マカオ シンガポールにおいて IR カジノを運営している 現在 マカオにおいては 子会社のサンズ チャイナを通じて 5 箇所の IR カジノ施設を運営している 事業者名 所在地 設立 主な事業 ホームページ 図表 2-51 運営事業者の概要 ラスベガス サンズ (Las Vegas Sands Corporation) 米国ネバダ州ラスベガス 2004 年 IR カジノの運営 コンベンション等の運営 出典 : ラスベガス サンズ HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 ラスベガス サンズがマカオで運営している IR カジノ施設のうち 主な施設の概要は以下のとおりである 図表 2-52 主な運営施設の概要 ( ラスベガス サンズ ) サンズマカオ ヴェネチアンマカオ 外観 ラスベガス サンズ HP より引用 ラスベガス サンズ HP より引用 地区マカオ地区コタイ地区 面積 カジノ面積 19,800 m2ショッピングモール面積 1,500 m2 カジノ面積 34,700 m2コンベンション面積 111,500 m2 ( ボールルーム約 80,000 m2 ) ショッピングモール面積 85,300 m2 開業時期 2004 年 5 月 2007 年 8 月 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 238 室 ) カジノ ( テーブル 210 台 スロットマシン 634 台 ) その他 ( スパ プール シアター ショーラウンジ ) ホテル ( 客室 2,841 室 ) カジノ ( テーブル 540 台 スロットマシン 1,265 台 ) コンベンション その他 ( ショッピングモール アリーナ シアター プール キッズコーナー ゴンドラ ) 37

44 サンズコタイセントラル パリジャンマカオ 外観 ラスベガス サンズ HP より引用 ラスベガス サンズ HP より引用 地区コタイ地区コタイ地区 面積 カジノ面積 34,100 m2コンベンション面積 34,300 m2ショッピングモール面積 37,800 m2 カジノ面積 23,500 m2コンベンション面積 5,900 m2ショッピングモール面積 27,900 m2 開業時期 2012 年 4 月 2016 年 9 月 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 6,246 室 ) カジノ ( テーブル 410 台 スロットママシン 1,184 台 ) コンベンション その他 ( ショーラウンジ テーマパーク シアター キッズコーナー ショッピングモール ) ホテル ( 客室数 2,743 室 ) カジノ ( テーブル 382 台 スロットマシン 1,296 台 ) コンベンション その他 ( ショッピングモール シアター ) 出典 : ラスベガス サンズ HP サンズマカオ HP 20 ヴェネチアンマカオ HP 21 サンズコタイセントラル HP 22 パリジャンマカオ HP 23 サンズチャイナ Auunal Report2016 Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 3 売上高等の推移 マカオにおけるラスベガス サンズの売上高等の推移をみると 2011 年以降 売上高 カジノ売上高 営業利益のいずれも着実に伸びていたが 2015 年に大きく減少した ( 億円 ) 1,600 1,400 1,200 1, 図表 2-53 売上高等の推移 ( ラスベガス サンズ ) 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 ,336 1,426 1,023 カジノ売上高 ,186 1, EBITDA 営業利益 出典 : サンズチャイナ Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 20 サンズマカオ HP 21 ヴェネチアンマカオ HP 22 サンズコタイセントラル HP 23 パリジャンマカオ HP 38

45 4 事業別売上高の推移 マカオにおける売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が高く 2015 年は全体の 84.1% を占めている ( 億円 ) 1,600 1,400 1,200 1, 図表 2-54 事業別売上高の推移 ( ラスベガス サンズ ) ,336 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 コンベンション等 レストラン ホテル モール カジノ ,186 1, ,023 計 ,336 1,426 1,023 出典 : サンズチャイナ Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 5 施設別カジノ売上高の推移 マカオにおけるカジノ売上高を施設別にみると ヴェネチアンマカオと 2012 年に開業したサンズコタイラントラルが売上高をけん引し 2014 年には全体のカジノ売上高が 2011 年の約 2 倍にまで増加したが 2015 年はいずれの施設も減少した 図表 2-55 施設別カジノ売上高の推移 ( ラスベガス サンズ ) ( 億円 ) 1,400 1,200 1, ,186 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 プラザマカオ サンズコタイセントラル ヴェネチアンマカオ サンズマカオ 計 ,186 1, 出典 : サンズチャイナ Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 39

46 (6) メルコ クラウン エンターテイメント 1 運営事業者の概要 メルコ クラウン エンターテイメント ( 以下 メルコ クラウン という ) は マカオでの IR 開発のため 香港の企業 メルコ インターナショナル ディベロプメント とオーストラリアのカジノ運営事業者 クラウンリゾート の共同出資で設立された 現在 マカオにおいては 3 箇所の IR カジノ施設のほか カフェスタイルの電子ゲーミング施設 モカクラブ を運営している また 近年は フィリピンにも進出している 図表 2-56 運営事業者の概要 事業者名所在地設立主な事業ホームページ メルコ クラウン エンターテイメント (Melco Crown Entertainment Limited) 香港特別行政区 2003 年 IR カジノの運営 エンターテイメント事業 出典 : メルコ クラウン HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 メルコ クラウンがマカオで運営している IR カジノ施設のうち 主な施設の概要は以下のとおりである 図表 2-57 主な運営施設の概要 ( メルコ クラウン ) シティオブドリームス スタジオシティ 外観 メルコ クラウン HP より引用 メルコ クラウン HP より引用 地区コタイ地区コタイ地区 面積 敷地面積 113,325 m2カジノ面積 41,600 m2 敷地面積 130,789 m2延床面積 477,336 m2カジノ面積 46,500 m2 開業時期 2009 年 6 月 2015 年 10 月 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 2,500 室 ) カジノ ( テーブル 500 台 スロットマシン 1,250 台 ) コンベンション その他 ( シアター ショッピングモール スパ フィットネス ナイトクラブ ) ホテル ( 客室数 1,600 室 ) カジノ ( テーブル 200 台 スロットマシン 1,175 台 ) その他 ( シアター 観覧車 ショッピングモール アリーナ テーマパーク ) 出典 : メルコ クラウン HP メルコ クラウン Annual Report 2015 Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 40

47 3 売上高等の推移 マカオにおけるメルコ クラウンの売上高等の推移をみると 2011 年以降 売上高は着実に伸びていたが 2014 年に減少に転じ 2015 年に大きく落ち込んだ ( 億円 ) 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 図表 2-58 売上高等 24 の推移 ( メルコ クラウン ) 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 4,405 4,690 5,797 5,454 4,176 EBITDA 1,013 1,145 1,587 1,478 1,008 出典 : メルコ クラウン Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 施設別売上高等の推移 施設別売上高等 25 をみると シティオブドリームスが売上高の大半を占めている ( 億円 ) 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 図表 2-59 施設別カジノ売上高推移 4,215 4, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 - アルティラマカオ 1,350 1,112 1, スタジオシティ シティオブドリームス 2,865 3,359 4,436 4,426 3,214 計 4,215 4,471 5,626 5,285 4,019 スタジオシティは 2015 年から開業しているが 2012 年から 2014 年までは利子収入が計上されている 5,626 5,285 出典 : メルコ クラウン Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4, シティオブドリームス スタジオシティ アルティラマカオのほか mocha clubs の売上高等も含まれる 25 カジノ以外の売上高も含まれる 41

48 2.3 シンガポール 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 シンガポールは マレー半島南端沖に位置する島国で 面積約 716km 2 の国土に人口は約 547 万人もの人口を抱える都市国家である 発展の過程で多くの移民が流入したシンガポールでは 様々な民族が暮らしている 強い政府主導のもと 外資を活用してハブ機能を強化し 産業の育成や高度化を図っており 2015 年の一人あたり名目 GDP は 52,888 米ドル (608 万円 ) で 世界第 8 位の高い水準である 図表 2-60 国 地域の概要 摘要 面積約 716 km 2 東京 23 区と同程度 人口 言語 宗教 通貨 約 547 万人 マレー語 仏教 イスラム教 キリスト教 道教 ヒンズー教 シンガポールドル 名目 GDP 2,927 億米ドル (33 兆 6,605 億円 ) 2015 年 1 人あたり名目 GDP 52,888 米ドル (608 万円 ) 2015 年 実質経済成長率 2.0% 2015 年 出典 :JETRO HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (2) 日本 中国からの交通アクセス 備考 2013 年 ( うちシンガポール人 永住者は 387 万人 ) 公用語として英語 中国語 マレー語 タミール語 シンガポールのシンガポール チャンギ国際空港は 東南アジア有数のハブ空港であり 日本 中国の各都市から直行便が就航している 図表 2-61 日本 中国からの交通アクセス 直行便所要時間 備考 日本から 成田 シンガポール羽田 シンガポール大阪 シンガポール名古屋 シンガポール 7 時間 20 分 7 時間 6 時間 40 分 6 時間 50 分 福岡 シンガポール 6 時間 20 分 北京 シンガポール 6 時間 10 分 中国から 上海 シンガポール 5 時間 20 分 香港 シンガポール 3 時間 50 分 出典 : 各社航空ダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 42

49 (3) 外国人旅行者の状況 シンガポールへの外国人旅行者数の推移をみると 後述する 2 箇所の IR が開業した 2010 年以降旅行者数を伸ばしており 2015 年は 1,523 万人であった 2015 年に最も 旅行者数の割合が多かったのは隣国インドネシアで 全体の 17.9 である 日本からの旅行者数は ここ数年は横ばい傾向であり 2015 年時点で約 85 万人と 全体の 5.6 である 一方 中国からの旅行者数は増加傾向にあり 2015 年時点で約 257 万人と全体の 16.8 を占めている 図表 2-62 シンガポールへの外国人旅行者数 2005 年 2015 年の推移 人 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 18,000,000 中南米 15,567,923 16,000,000 中東 その他 15,231,469 15,095,152 14,496,092 13,171,303 14,000,000 11,641,701 9,751,141 12,000,000 10,284,545 10,116,054 9,682,690 8,943,029 10,000,000 8,000,000 6,000,000 4,000,000 2,000,000 0 合計 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 2005年 8,943, , ,858 4,786, ,537 77,754 1,324, ,238 21,268 27,744 6, 年 2007年 2008年 9,751,141 10,284,545 10,116, , , ,111 1,015,661 1,090,287 1,053,659 5,189,069 5,472,573 5,299, , , ,538 86,771 90,461 85,142 1,418,531 1,488,333 1,544, , , ,333 25,947 28,093 28,782 31,901 37,777 38,347 8,751 23,894 6, 年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 9,682,690 11,641,701 13,171,303 14,496,092 15,567,923 15,095,152 15,231, , , , , , , , ,067 1,150,027 1,554,480 2,198,157 2,645,728 2,191,830 2,566,184 5,203,495 6,648,514 7,439,084 7,724,419 8,088,664 8,070,332 7,871, , ,964 1,029,431 1,107,575 1,176,664 1,142,187 1,130,584 72,110 71,190 73,345 69,407 69,027 67,694 67,790 1,515,203 1,609,141 1,656,961 1,812,580 1,879,764 1,912,961 1,917, , , , , , , ,205 29,736 35,128 43,796 50,938 55,177 58,409 59,604 35,875 44,730 48,960 51,920 65,277 75,011 67, ,819 2,921 1, 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 2-63 シンガポールへの外国人旅行者数 2015 年の上位 5 箇国 地域 その他 インドネシア 2,719,027人 17.9% 6,918,061人 45.4% 中国 2,566,184人 16.8% インド 1,084, % マレーシア 966,012人 6.3% オーストラリア 977,547人 6.4% 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 43

50 2.3.2 IR カジノの開業状況 シンガポールでは 1965 年の建国以来 内需中心の経済発展が期待できないという制約から 海外の多国籍企業を誘致し 輸出促進に努めるとともに 国際観光客を呼び込むため 観光資源の開発に力を入れてきた カジノが禁止されていたシンガポールにおいては カジノ導入案が度々浮上していたものの 建国の父と呼ばれるリー クアンユー元首相の反対姿勢やギャンブル依存等の社会的影響への懸念を理由に 実現に至らなかった しかし 1997 年のアジア経済危機や 2003 年の SARS 発生等により観光収入が低迷したことや 近隣諸国の観光産業の台頭への危機感から カジノ導入の議論が再燃した 2004 年に就任したリー シェンロン首相の下 政府は IR 導入の検討を開始し 2005 年 4 月に 単なるカジノ施設でなく 滞在型複合観光施設としての IR 導入を決定した 2006 年にマリーナベイ地区 セントーサ島の IR 建設の国際入札が行われ 2010 年に 2 つの IR が開業した 図表 2-64 シンガポールの IR カジノ施設一覧 No. 施設名立地 1 マリーナベイサンズ (Marina Bay Sands) マリーナベイ地区 2 リゾートワールドセントーサ (Resorts World Sentosa) セントーサ島 図表 2-65 シンガポールにおける IR カジノ位置図 1 2 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 44

51 2.3.3 運営概要 (1) ラスベガス サンズ 1 運営事業者の概要 ラスベガス サンズは 米国ネバダ州ラスベガスに本社を置くカジノ運営事業者である 米国 マカオ シンガポールにおいて IR カジノを運営している 現在 シンガポールにおいては 1 箇所の IR カジノ施設を運営している 事業者名所在地設立主な事業ホームページ 図表 2-66 運営事業者の概要 ラスベガス サンズ (Las Vegas Sands Corporation) 米国ネバダ州ラスベガス 2004 年 IR カジノの運営 出典 : ラスベガス サンズ HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 ラスベガス サンズがシンガポールで運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 2-67 運営施設の概要 ( ラスベガス サンズ ) マリーナベイサンズ 外観 ラスベガス サンズ HP より引用 地区 26 面積 開業時期 マリーナベイ地区 敷地面積 154,938 m2延床面積 581,400 m2カジノ面積約 15,000 m2コンベンション面積 120,000 m2以上ショッピングモール面積 74,322 m2以上 2010 年 4 月 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数約 2,600 室 ) カジノ ( テーブル約 610 台 スロットマシン約 2,500 台 ) コンベンション (45,000 人収容可能 (8,000 m2のボールルームを含む )) ショッピングモール エンターテイメント施設 ( スカイパーク ( 総面積 12,400 m2 ) 科学美術館 シアター 4,000 席 ) 出典 : ラスベガス サンズ HP ラスベガス サンズ Annual Report2015 を基に株式会社日本能率協会総合研究所 作成 26 敷地面積 延床面積及びショッピングモール面積 Safadie Architects HP 45

52 3 売上高等の推移 シンガポールにおけるラスベガス サンズの売上高等の推移をみると 2011 年から 2013 年までは売上高 カジノ売上高ともほぼ横ばいであった 2014 年にはいずれも伸びをみせたが 2015 年にはやや減少した ( 億円 ) 4,000 図表 2-68 売上高等の推移 ( ラスベガス サンズ ) 3,000 2,000 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 3,360 3,319 3,414 3,696 3,395 カジノ売上高 2,720 2,613 2,718 2,961 2,663 EBITDA 1,760 1,571 1,592 1,982 1,732 出典 : ラスベガス サンズ Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 事業別売上高の推移 シンガポールにおける売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が高く 2016 年は全体の 72.0% を占めている ( 億円 ) 4,500 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 図表 2-69 事業別売上高の推移 ( ラスベガス サンズ ) 3,510 3,645 3, 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 その他 モール 飲食 ホテル カジノ 2,613 2,718 2,961 2,663 2,489 計 3,510 3,645 3,936 3,604 3,456 広告費等の手数料を差し引く前の値 また 四半期報告の合計であるため 前表のカジノ売上高と端数が一致しない 出典 : ラスベガス サンズ Quarter Result を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 3,604 3,456 46

53 (2) ゲンティン シンガポール 1 運営事業者の概要 ゲンティン シンガポールは マレーシアに本社を置くゲンティン バーハッドの子会社として設立されたカジノ運営事業者である 現在 シンガポールにおいては 1 箇所の IR カジノ施設を運営している 事業者名所在地設立主な事業 図表 2-70 運営事業者の概要 ゲンティン シンガポール (Genting Singapore PLC) シンガポール 1988 年 IR カジノの運営 観光関連事業 ホームページ 出典 : ゲンティン シンガポール HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 ゲンティン シンガポールがシンガポールで運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 2-71 運営施設の概要 ( ゲンティン シンガポール ) リゾートワールドセントーサ 外観 ゲンティン シンガポール HP より引用 地区 27 面積 開業時期 セントーサ島 敷地面積 490,000 m2延床面積 343,000 m2カジノ面積 15,000 m2コンベンション面積 61,064 m2ショッピングモール面積 30,658 m 年 2 月 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 1,500 室以上 ) カジノ ( テーブル 500 台以上 スロットマシンと電子ゲーム 2,400 台以上 ) コンベンション ショッピングモール エンターテイメント施設 ( ユニバーサルスタジオ 海洋水族館 シアター ) 出典 : ゲンティン シンガポール HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 27 敷地面積 延床面積 カジノ面積及びショッピングモール面積月刊レジャー産業資料 2014 年 2 月 47

54 3 売上高等の推移 シンガポールにおけるゲンティン シンガポールの売上高等の推移をみると 2011 年以降 売上高は減少傾向で推移しており 2015 年にはさらに落ち込んだ 図表 2-72 売上高等の推移 ( ゲンティン シンガポール ) ( 億円 ) 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 2,578 2,358 2,278 2,290 1,921 カジノ売上高 2,155 1,898 1,748 1,766 1,399 EBITDA 1,280 1, 営業利益 1, 出典 : ゲンティン シンガポール Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 事業別売上高の推移 シンガポールにおける売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が高く 2015 年は全体の 72.8% を占めている ( 億円 ) 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 図表 2-73 事業別売上高の推移 ( ゲンティン シンガポール ) 2,578 2,358 2,278 2,290 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 その他 非カジノ カジノ 2,155 1,898 1,748 1,766 1,399 計 2,578 2,358 2,278 2,290 1,921 出典 : ゲンティン シンガポール Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 48

55 2.4 カンボジア 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 カンボジアは 東南アジアのインドシナ半島南部に位置する国土面積約 18 万 km 2 の国である 北はラオス 東はベトナム 西はタイと国境を接している 首都はプノンペン 人口は約 1,470 万人で 90% 以上が仏教徒である 2015 年の一人あたり名目 GDP は 1,168 米ドル (13 万円 ) と 東南アジアでも低い水準であるが 近年 高い経済成長を続けており 2015 年の経済成長率は 6.9% である 図表 2-74 当該国 地域の概要 摘要 面積約 18 万 km 2 日本の約 2 分の 1 弱 人口約 1,470 万人 2013 年 備考 言語 宗教 通貨 カンボジア語 仏教 カンボジアリエル 名目 GDP 182 億米ドル (2 兆 930 億円 ) 2015 年 1 人あたり名目 GDP 1,168 米ドル (13 万円 ) 2015 年 実質経済成長率 6.9% 2015 年 出典 :JETRO HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (2) 日本 中国からの交通アクセス プノンペンの西 7km に立地するプノンペン国際空港が首都への玄関口となっている 現在 成田及び中国の各都市から直行便が就航している この他 世界遺産アンコールワット観光の拠点となるシェムリアップ国際空港もあるが 日本からの直行便は就航していない 図表 2-75 日本 中国からの交通アクセス 日本から成田 プノンペン 6 時間 20 分 中国から 直行便所要時間 備考 北京 プノンペン直行便なし乗継便 7 時間 40 分 ~ 上海 プノンペン 香港 プノンペン 4 時間 20 分 2 時間 40 分 出典 : 各社航空ダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 49

56 (3) 外国人旅行者の状況 カンボジアへの外国人旅行者数の推移をみると 2005 年からの 10 年間で約 3.4 倍に 増加し 2015 年は約 478 万人であった 2015 年に最も旅行者数の割合が多かったのは 隣国ベトナムで 全体の 20.7 である 日本からの旅行者数は 2015 年時点で約 19 万人と全体の 4.0 である 一方 中国 からの旅行者数は増加傾向にあり 2015 年は約 69 万人と全体の 14.5 を占めている 図表 2-76 カンボジアへの外国人旅行者数 2005 年 2015 年の推移 人 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 6,000,000 4,775,231 4,502,775 5,000,000 4,210,165 3,584,307 4,000,000 2,881,862 2,508,289 3,000,000 2,015,128 2,161,577 2,125,465 1,700,041 1,421,615 2,000,000 1,000,000 0 合計 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 2005年 1,421, ,849 59, ,871 95, , , , 年 1,700, ,353 80, ,116 81, , , , 年 2,015, , , , ,358 3, , ,983 5,622 1, , 年 2,125, , ,626 1,045, ,325 4, , ,349 6, 年 2,161, , ,210 1,098, ,323 5, , ,544 7,541 1, 年 2,508, , ,636 1,367, ,199 4, , ,880 8,803 1, 年 2,881, , ,197 1,568, ,732 5, , ,901 14,912 1, 年 3,584, , ,894 2,052, ,773 5, , ,069 15,596 2, 年 2014年 2015年 4,210,165 4,502,775 4,775, , , , , , ,712 2,403,021 2,560,515 2,663, , , ,375 5,902 6,212 9, , , , , , ,472 20,278 25,587 30,426 2,700 2,357 4,563 - 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による は Arrivals of non-resident visitors at national borders は Arrivals of non-resident tourists at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 2-77 カンボジアへの外国人旅行者数 2015 年の上位 5 箇国 地域 その他 1,942,201人 40.7% タイ 349,908人 7.3% ベトナム 987,792人 20.7% 中国 694,712人 14.5% 韓国 395,259人 8.3% ラオス 405,359人 8.5% 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident tourists at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 50

57 2.4.2 IR カジノの開業状況 カンボジアでは 1996 年に成立した賭博禁止法 28 により 賭博は禁止されており カジノに入場できるのは外国人に限定されている 現在 77 のカジノにライセンスが与えられており そのうち 65 のカジノが営業を行っている 29 首都プノンペン リゾート地のシアヌークビルのほか ベトナム国境のバベットやタイ国境のポイペトなどに施設が集積している これは 自国民のカジノ利用を認めていないベトナムやカジノ非合法のタイといった隣国からの誘客を意図したものである プノンペンにあるナガワールドは国内最大の IR 施設で 2016 年 1~9 月までの政府のカジノ税収 3,740 万米ドル (43 億円 ) のうち ナガワールドからの税収が 1,600 万米ドル (18 億円 ) 約 43% を占めている 30 現在開業している IR カジノ施設のうち 本調査で確認できたものは以下のとおりである 図表 2-78 カンボジアの IR カジノ施設一覧 No. 施設名立地 コンフォートスロットクラブ (Comfort Slot Club) マカオクラブ (Macau Club) ナガワールド (Naga World) ティンテインスロットクラブ (Tin Tin Slot Club) カジノトロピカーナ (Casino Tropicana) ドリームワールドポイペト (Dreamworld Poipet) ゴールデンクラウンカジノ (Golden Crown Casino) グランドダイヤモンドシティ (Grand Diamond City) ホリデイパレスホテル リゾート (Holiday Palace Hotel & Resort) ホリデイポイペト (Holiday Poipet) プリンセスホテル カジノ (Princess Hotel and Casino) スターベガスインターナショナルリゾート カジノ (Star Vegas International Resort and Casino) カジノバベット モクバイ (Casino Bavet - Muckbay) フルハウスホテル カジノ (Full House Hotel & Casino) ラスベガスサンホテル カジノ (Las Vegas Sun Hotel & Casino) プノンペン プノンペン プノンペン プノンペン ポイペト ポイペト ポイペト ポイペト ポイペト ポイペト ポイペト ポイペト バベット バベット バベット 28 Law on the Suppression of Gambling 29 Khmer Times 2016 年 12 月 8 日記事 30 Khmer Times 2016 年 12 月 8 日記事 51

58 No. 施設名立地 ルマカオカジノ ホテル (Le Macau Casino & Hotel) ニューワールドカジノホテル (New World Casino Hotel) チタンキングリゾート カジノ (Titan King Resort and Casino) ゴールデンキャッスルカジノ ホテル (Golden Castle Casino and Hotel) ホリデイパレスリゾート カジノ (Holiday Palace Resort & Casino) ジンディンインターナショナルカジノ (Jin Ding International Casino) ピークホテル カジノ (Peak Hotel and Casino) クイーンコホテル カジノ (Queenco Hotel and Casino) ラッキーラグビーカジノ リゾート (Lucky Ruby Casino & Resort) ラッキー 89カジノ リゾート (Lucky89 Casino & Resort) カジノオサメ (Casino O Samet) タンスールボコールハイランドリゾート カジノ (Thansur Bokor Highland Resort and Casino) ラッキーダイヤモンドカジノ (Lucky Diamond Casino) コーコンカジノ (Koh Kong Casino) トップダイヤモンドカジノ (Top Diamond Casino) トライペップミトカジノエンターテイメントリゾート (Try Pheap Mittapheap Casino Entertainment Resort) ハティアンベガス (Ha Tien Vegas) バベット バベット バベット シアヌークビル シアヌークビル シアヌークビル シアヌークビル シアヌークビル コンポンロウ地区 コンポンロウ地区 アスメチ コンポット シエムリアップ スロックモンドルセイマ プノンデン ラタナキリ ラックザー 52

59 図表 2-79 カンボジアにおける IR カジノ位置図 コンフォートスロットクラブ 17 ニューワールドカジノホテル 2 マカオクラブ 18 チタンキングリゾート カジノ 3 ナガワールド 19 ゴールデンキャッスルカジノ ホテル 4 ティンテインスロットクラブ 20 ホリデイパレスリゾート カジノ 5 カジノトロピカーナ 21 ジンディンインターナショナルカジノ 6 ドリームワールドポイペト 22 ピークホテル カジノ 7 ゴールデンクラウンカジノ 23 クイーンコホテル カジノ 8 グランドダイヤモンドシティ 24 ラッキールビーカジノ リゾート 9 ホリデイパレスホテル リゾート 25 ラッキー 89カジノ リゾート 10 ホリデイポイペト 26 カジノオサメ 11 プリンセスホテル カジノ 27 タンスールボコールハイランドリゾート カジノ 12 スターベガスインターナショナルリゾート カジノ 28 ラッキーダイヤモンドカジノ 13 カジノバベット モクバイ 29 コーコンカジノ 14 フルハウスホテル カジノ 30 トップダイヤモンドカジノ 15 ラスベガスサンホテル カジノ 31 トライペップミトカジノエンターテイメントリゾート 16 ルマカオカジノ ホテル 32 ハティアンベガス 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 53

60 2.4.3 運営概要 (1) ナガコープ 1 運営事業者の概要 ナガコープは カンボジアを本拠としたカジノ運営事業者である 今後 ロシアのウラジオストクにも新規 IR の建設を予定している カンボジアにおいては 首都プノンペンで 国内最大の IR 施設 ナガワールドを運営している ナガワールドへの誘客のため 隣国のベトナムとタイに現地事務所を置いて営業活動を行っている 図表 2-80 運営事業者の概要 事業者名所在地設立主な事業ホームページ ナガコープ (Naga Corp Ltd.) カンボジアプノンペン 1995 年 IR カジノの運営 出典 : ナガコープ HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 ナガコープがカンボジアで運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 2-81 運営施設の概要 ( ナガコープ ) ナガワールド 外観 ナガワールドの HP 31 より引用 地区 面積 開業時期 プノンペン 延床面積 113,307 m2カジノ面積 24,400 m 年 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 700 室 ) カジノ ( テーブル 262 台 スロットマシン 1,600 台 ) コンベンション その他 ( スパ フィットネス シアター ) 出典 : ナガコープ HP Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 を基に株式会社日本能 率協会総合研究所作成 31 ナガワールド HP 54

61 3 売上高等の推移 カンボジアにおけるナガコープの売上高等の推移をみると 2011 年以降 順調に売上高 カジノ売上高を伸ばしてきた 2015 年の売上高は 2014 年比 24.5% の増加であった ( 億円 ) 図表 2-82 売上高等の推移 ( ナガコープ ) 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 カジノ売上高 EBITDA 営業利益 出典 : ナガコープ Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 事業別売上高の推移 売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が高く 2015 年は全体の 95.5% を占めている ( 億円 ) 図表 2-83 事業別売上高等の推移 ( ナガコープ ) 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 その他 カジノ 計 出典 : ナガコープ Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成

62 5 顧客別カジノ売上高の推移 顧客別カジノ売上高の推移をみると 全体的に増加している中でも特に VIP 売上高が増加しており 2015 年はカジノ売上高の 46.3% を占めている 図表 2-84 顧客別カジノ売上高等の推移 ( ナガコープ ) ( 億円 ) 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 マス スロット VIP 計 出典 : ナガコープ Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 参考情報 カンボジアでは ギャンブルに関する法整備が不十分な状況であった そのため 政府は 新たなギャンブル法制による国際基準の規制の構築を検討している Khmer Times 2016 年 9 月 21 日記事 56

63 2.5 北朝鮮 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 北朝鮮は アジア北東の朝鮮半島の北部に位置し 面積は約 12 万 km 2 である 首都は平壌 人口は約 2,516 万人 食糧 原油など重要物資の多くを中国に依存しており 中国と緊密な関係を保っている 図表 2-85 国 地域の概要 摘要 面積約 12 万 km 2 日本の約 3 分の 1 に相当 人口約 2,516 万人 2015 年 言語 宗教 通貨 朝鮮語 仏教 キリスト教 北朝鮮ウォン 名目 GDP 161 億米ドル (1 兆 8,515 億円 ) 2015 年 1 人あたり名目 GDP 642 米ドル (7 万円 ) 2015 年 実質経済成長率 -1.1% 2015 年 出典 :JETRO HP 国連統計 外務省資料 33 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (2) 日本 中国からの交通アクセス 平壌市の北 24km に平壌国際空港が立地しており 国際線は北京 上海 瀋陽 ウラジオストクから出ている 香港からは平壌までの直行便はなく 乗継便を利用することとなる 日本では平成 28 年 2 月に 外交上の観点から 外務省より北朝鮮への渡航自粛要請が通達された これにより 現在 乗継便としての航空券も販売されていない なお 入国にあたっては 政府が指定したガイドを同伴することが必要であり 宿泊可能な施設も限られる また ガイドの許可を得ない自由な移動や写真撮影などはできない 34 図表 2-86 日本 中国からの交通アクセス 直行便所要時間 備考 備考 日本から - 直行便なし 乗継便の設定なし 中国から 北京 平壌 上海 平壌 2 時間 2 時間 20 分 香港 平壌直行便なし乗継便 6 時間 50 分 ~ 出典 : 各社航空ダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (3) 外国人旅行者の状況 北朝鮮への外国人旅行者の状況に関する統計情報は得られなかった 33 外務省 HP 34 New Korea Tours HP 57

64 2.5.2 IR カジノの開業状況 北朝鮮では カジノに入場できるのは外国人に限定されている 現在 北朝鮮においては ホテル内に併設された 2 箇所のカジノが開業している 図表 2-87 北朝鮮の IR カジノ施設一覧 No. 施設名立地 1 エンペラー ホテル カジノ (Emperor Hotel & Casino) 羅先 2 平壌カジノ 羊角島国際ホテル (Pyongyang Casino and Yanggakdo Hotel) 平壌 図表 2-88 北朝鮮における IR カジノ位置図 1 2 平壌 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 58

65 2.5.3 運営概要 北朝鮮における IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 2-89 北朝鮮の IR カジノ施設の概要 エンペラー ホテル カジノ 平壌カジノ 羊角島国際ホテル 外観 35 Daily NKより引用 羊角島国際ホテル公式コマーシャル映像 (YouTube) より引用 地区羅先平壌 面積延床面積 120,000 m2不明 運営企業 エンペラー エンターテイメント ホテル (Emperor Entertainment Hot el Limited) 不明 36 開業時期 2000 年 1999 年 7 月 同一建物 敷地内にある施設の内容 備考 ホテル ( 客室数 150 室以上 ) カジノ ( テーブル 16 台 スロットマシン 52 台 ) その他 ( プール サウナ スポーツセンター ) 中国 ロシアとの国境付近に立地する香港資本の北朝鮮最高級のホテルの一つ 中国延辺州の幹部が 2004 年にカジノで公金約 425,000 米ドル (4,888 万円 ) 相当を使い果たした事件を機に 中国政府からの要求で一旦閉鎖されたが 2007 年に営業を再開している 38 ホテル ( 客室数 1,001 室 37 ) カジノ その他 ( ボーリング カラオケ プール ) 外国人が平壌に泊まる際に宿泊地として選択できるホテルの一つ 出典 :DailyNK NK News You Tube 39 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 35 DailyNK 2007 年 6 月 14 日記事 36 Casino City Press Casino City's Global Gaming Almanac 2016 GamingDirectory HP 37 株式会社中外旅行社 HP 38 DailyNK 2007 年 6 月 13 日記事 NK News 2013 年 8 月 23 日記事 39 羊角島国際ホテル公式コマーシャル映像 (YouTube) 59

66 2.6 フィリピン 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 フィリピンは 東南アジアに位置し 南北 1,851km にわたって散在する 7,109 の島々からなる島嶼国家である 国土面積は約 30 万 km 2 で ルソン ミンダナオ ミンドロ サマール レイテ セブなどの 11 の大きな島がその面積の 96% を占める 首都はマニラ 人口は約 1 億 98 万人 近年 経済成長が目覚ましいが その一方で 貧富の差が大きく 貧困撲滅が国家の直面する課題の一つになっている 面積約 30 万 km 2 図表 2-90 国 地域の概要 摘要 人口約 1 億 98 万人 2015 年 備考 日本の約 8 割 7,109 の島々がある 言語 国語はフィリピノ語 公用語はフィリピノ語及び英語 80 前後の言語がある 宗教キリスト教 イスラム教 90% 強がキリスト教 通貨フィリピンペソ補助通貨センタボ 名目 GDP 2,850 億米ドル (32 兆 7,750 億円 ) 2014 年 1 人あたり名目 GDP 2,850 米ドル (33 万円 ) 2014 年 実質経済成長率 6.1% 2014 年 出典 :JETRO HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (2) 日本 中国からの交通アクセス フィリピンへは 日本 中国の各都市から首都マニラ郊外のニノイ アキノ国際空港へ直行便が出ている 図表 2-91 日本 中国からの交通アクセス 直行便所要時間 備考 日本から 中国から 成田 マニラ羽田 マニラ大阪 マニラ名古屋 マニラ福岡 マニラ北京 マニラ上海 マニラ 5 時間 4 時間 40 分 4 時間 4 時間 10 分 3 時間 50 分 4 時間 40 分 3 時間 40 分 香港 マニラ 2 時間 10 分 出典 : 各社航空ダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 60

67 (3) 外国人旅行者の状況 フィリピンへの外国人旅行者数の推移をみると 2005 年からの 10 年間で約 2 倍に 増加し 2015 年は約 536 万人であった 2015 年に旅行者数の割合が多かったのは韓国 次いで米国で それぞれ全体の である 日本からの旅行者数は 2010 年以降増加傾向にあり 2015 年時点で約 50 万人と全体 の 9.2 を占めている 一方 中国からの旅行者数も増加傾向にあり 2015 年は日本と ほぼ同じ約 49 万人であった 図表 2-92 フィリピンへの外国人旅行者数 2005 年 2015 年の推移 人 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 6,000,000 5,360,682 4,833,368 4,681,307 5,000,000 4,272,811 3,917,454 4,000,000 3,520,472 3,000,000 3,091,993 3,139,422 3,017,099 2,843,345 2,623,084 2,000,000 1,000,000 0 合計 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 2005年 2,623, , , , ,455 2, , ,250 2,543 24, , 年 2,843, , ,585 1,018, ,276 2, , ,929 2,776 27, , 年 3,091, , ,601 1,150, ,403 3, , ,744 3,177 31, , 年 3,139, , ,689 1,144, ,583 3, , ,922 3,505 36, , 年 3,017, , ,019 1,025, ,014 3, , ,696 3,597 46, , 年 3,520, , ,446 1,365, ,211 3, , ,706 3,650 48, , 年 3,917, , ,137 1,619, ,144 4, , ,448 4,208 55, , 年 4,272, , ,883 1,814, ,711 5, , ,162 5,133 57, , 年 2014年 2015年 4,681,307 4,833,368 5,360, , , , , , ,841 1,929,934 1,980,759 2,225, , , ,958 5,515 5,319 6, , , , , , ,725 6,058 5,835 7,250 68,916 76,163 83, , , ,937 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 2-93 フィリピンへの外国人旅行者数 2015 年の上位 5 箇国 地域 その他 2,014,097人 37.6% オーストラリア 241,187人 4.5% 韓国 1,339,678人 25.0% 米国 779,217人 14.5% 日本 中国 495,662人 9.2% 490,841人 9.2% 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 61

68 2.6.2 IR カジノの開業状況 フィリピンでは 1976 年に政府により設立されたフィリピン娯楽賭博公社 (Philippines Amusement and Gaming Corporation 以下 PAGCOR という ) が 国内のギャンブルを規制するとともに 自らもカジノ施設等を運営している フィリピン人にもカジノ利用が認められているため フィリピン人を主な顧客とした小規模 中規模のカジノが多く存在する 一方で 2009 年にニノイ アキノ国際空港の隣に国内初の大型 IR が開業したのを皮切りに マニラ首都圏に大型 IR の開業が相次いでいる エンターテイメントシティ マニラ プロジェクトは 外国人観光客を呼び込むため マニラ湾の埋立地に 4 つの IR を集積させ 魅力のあるエンターテイメント地区を開発する計画であり このうちすでに 3 つの IR が開業している 図表 2-94 フィリピンにおける大型 IR 開業の動き 時期経緯備考 2009 年 2013 年 リゾートワールドマニラ ( Resorts World Manila) が開業 ソレアリゾート カジノ (Solaire Resort & Casino) 開業 国内第 1 号の IR エンターテイメントシティ マニラ プロジェクトにおける最初の IR 2014 年 シティオブドリームスマニラ (City of Dreams Manila) 開業 エンターテイメントシティ マニラ プロジェクト 2016 年オカダマニラ (Okada Manila) 一部開業 エンターテイメントシティ マニラ プロジェクト 2017 年 3 月全面開業 現在 フィリピンにおいては 54 箇所の施設が営業を行っている なお オカダマニラはこれら施設に含めず 新規 IR 施設として 3 章で述べる 図表 2-95 フィリピンの IR カジノ施設一覧 No. 施設名立地 カジノフィリピノヘリテージ (Casino Filipino Heritage) カジノフィリピノニューワールドマニラベイホテル カジノ (Casino Filipino New World Manila Bay Hotel & Casino) カジノフィリピノミダス (Casino Filipino Midas) カジノフィリピノパビリオン (Casino Filipino Pavilion) シティオブドリームスマニラ (City of Dreams Manila) グランドヴィラVIPスロットクラブ (Grand Villa VIP Slot Club) PAGCORクラブ アドリアティコスクエア (PAGCOR Club - Adriatico Square) PAGCORクラブ ビノンド (PAGCOR Club Binondo) PAGCORクラブ マディソン (PAGCOR Club Madison) マニラ マニラ マニラ マニラ マニラ マニラ マニラ マニラ マニラ 40 定着したカタカナ表記がない地名については 発音を基に株式会社日本能率協会総合研究所にて記載 現地名は次の通り : ラオアグ / Laoag マバラカト / Mabalacat バコオル / Bacoor バカラー / Bacolor バカケイ / Bacacay 62

69 No. 施設名立地 PAGCORクラブ マニラグランドオペラ (PAGCOR Club - Manila Grand Opera) PAGCORクラブ ロンキージョ (PAGCOR Club Ronquillo) PAGCORクラブ トロピカーナサンタメサ (PAGCOR Club - Tropicana Santa Mesa) PAGCORクラブ ユニバーサル (PAGCOR Club Universal) ソレアリゾート カジノ (Solaire Resort & Casino) ウィンフォードホテル カジノ (Winford Hotel and Casino) カジノフィリピノバコロド (Casino Filipino Bacolod) ストッマシンアルケード バコロド (Slot Machine Arcade Bacolod) PAGCORクラブ レジャーワールド (PAGCOR Club - Leisure World) PAGCORクラブ カヴィテコロッセオ (PAGCOR Club - Cavite Coliseum) アトリウムホテル (Atrium Hotel) PAGCORクラブ マジェスティック (PAGCOR Club Majestic) PAGCORクラブ ソフィテル (PAGCOR Club Sofitel) リゾートワールドマニラ (Resorts World Manila) ミドリホテル カジノ (Midori Hotel and Casino) パラダイスアイランドカジノ (Paradise Island Casino) ウィダスリゾート カジノ (Widus Resort & Casino) カジノフィリピノアポビューホテル (Casino Filipino Apo View Hotel) カジノフィリピノダバオ (Casino Filipino Davao) メトロカードクラブダバオ (The Metro Card Club Davao) カジノフィリピノオロンガポ (Casino Filipino Olongapo VIP Club) PAGCORクラブ オリエンタルパラダイスカジノ (PAGCOR Club - Oriental Paradise Casino) PAGCORクラブ ヴェネチア (PAGCOR Club Venezia) カサブランカカジノ (Casablanca Casino) カジノフィリピノエンゼルス (Casino Filipino Angeles) カジノフィリピノセブ (Casino Filipino Cebu) VIPクラブ ラジャパークホテル (VIP Club and Rajah Park Hotel) カジノフィリピノミモザ (Casino Filipino Mimosa) マニラ マニラ マニラ マニラ マニラ マニラ バコロド バコロド バカラー バカラー パサイ パサイ パサイ パサイ クラーク経済特別区 クラーク経済特別区 クラーク経済特別区 ダバオ ダバオ ダバオ オロンガポ オロンガポ オロンガポ アンヘレス アンヘレス セブ セブ マバラカト 63

70 No. 施設名立地 フォンタナレジャーパーク (Fontana Leisure Park) PAGCORクラブ オリエンタルパビリオン (PAGCOR Club - Oriental Pavilion) PAGCORクラブ カルティーニ (PAGCOR Club Kartini) PAGCORクラブ ミシビス (PAGCOR Club Misibis) カジノフィリピノイロイロ (Casino Filipino Iloilo) PAGCORクラブ サンタローザ (PAGCOR Club - Paseo de Santa Rosa) カジノフィリピノラオアグ (Casino Filipino Laoag) カジノフィリピノマクタン (Casino Filipino Mactan) PAGCORクラブ トロピカーナラスピニャス (PAGCOR Club - Tropicana Las Pinas) PAGCORクラブ マラボン (PAGCOR Club Malabon) PAGCORクラブ ランカスター (PAGCOR Club Lancaster) サンダーバードリゾートリサール (Thunderbird Resort Rizal and Fiesta Casino) フィースタカジノポロポイント (Fiesta Casino at Poro Point) PAGCORクラブ サンペドロ (PAGCOR Club - San Pedro) レジェンダホテル カジノ (Legenda Hotel and Casino) オリエンタルパラダイスカジノ (Oriental Paradise Casino) ( 旧スービックダイヤモンドカジノSubic Diamond Casino) カジノフィリピノタガイタイ (Casino Filipino Tagaytay) マバラカト ブラカン カビテ バカカイ イロイロ ラグナ ラオアグ ラプ ラプ ラスピニャス マラボン マンダルーヨン リサール サン フェルナンド サン ペドロ スービック スービック湾経済特別区 タガイタイ 64

71 図表 2-96 フィリピンにおける IR カジノ位置図 ( フィリピン全体図 ) カジノフィリピノバコロド 36 VIP クラブ ラジャパークホテル 17 ストッマシンアルケード バコロド 41 PAGCOR クラブ ミシビス 27 カジノフィリピノアポビューホテル 42 カジノフィリピノイロイロ 28 カジノフィリピノダバオ 44 カジノフィリピノラオアグ 29 メトロカードクラブダバオ 45 カジノフィリピノマクタン 35 カジノフィリピノセブ 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 65

72 図表 2-97 フィリピンにおける IR カジノ位置図 ( ルソン島近郊 ) PAGCOR クラブ レジャーワールド 39 PAGCOR クラブ オリエンタルパビリオン 19 PAGCOR クラブ カヴィテコロッセオ 40 PAGCOR クラブ カルティーニ 24 ミドリホテル カジノ 43 PAGCOR クラブ サンタローザ 25 パラダイスアイランドカジノ 46 PAGCOR クラブ トロピカーナラスピニャス 26 ウィダスリゾート カジノ 47 PAGCOR クラブ マラボン 30 カジノフィリピノオロンガポ 49 サンダーバードリゾートリサール 31 PAGCOR クラブ オリエンタルパラダイスカジノ 50 フィースタカジノポロポイント 32 PAGCOR クラブ ヴェネチア 51 PAGCOR クラブ サンペドロ 33 カサブランカカジノ 52 レジェンダホテル カジノ 34 カジノフィリピノエンゼルス 53 オリエンタルパラダイスカジノ 37 カジノフィリピノミモザ 54 カジノフィリピノタガイタイ 38 フォンタナレジャーパーク 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 66

73 図表 2-98 フィリピンにおける IR カジノ位置図 ( マニラ近郊 ) カジノフィリピノヘリテージ 11 PAGCOR クラブ ロンキージョ 2 カジノフィリピノニューワールドマニラベイホテル カジノ 12 PAGCOR クラブ トロピカーナサンタメサ 3 カジノフィリピノミダス 13 PAGCOR クラブ ユニバーサル 4 カジノフィリピノパビリオン 14 ソレアリゾート カジノ 5 シティオブドリームスマニラ 15 ウィンフォードホテル カジノ 6 グランドヴィラ VIP スロットクラブ 20 アトリウムホテル 7 PAGCOR クラブ アドリアティコスクエア 21 PAGCOR クラブ マジェスティック 8 PAGCOR クラブ ビノンド 22 PAGCOR クラブ ソフィテル 9 PAGCOR クラブ マディソン 23 リゾートワールドマニラ 10 PAGCOR クラブ マニラグランドオペラ 48 PAGCOR クラブ ランカスター 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 67

74 2.6.3 運営概要 (1) PAGCOR 1 運営事業者の概要 PAGCOR は 1976 年に設立された政府所有の公社であり 国内のギャンブルを規制するとともに 自らもカジノ施設等を運営している 現在 13 の中規模なカジノ施設 カジノフィリピノ と スロットを中心とする多数の PAGCOR クラブ を国内各地で運営している なお PAGCOR の収益は 約半分が政府に納められるほか スポーツ振興や政府の優先的なプロジェクト等のために用いられている 事業者名所在地設立主な事業 図表 2-99 運営事業者の概要 PAGCOR (Philippines Amusement and Gaming Corporation) フィリピンマニラ 1976 年 IR カジノの運営 エンターテイメント事業 ホームページ 出典 :PAGCOR HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 PAGCOR がフィリピンで運営している IR カジノ施設のうち 主な施設の概要は以下のとおりである 図表 主な運営施設の概要 (PAGCOR) カジノフィリピノパビリオンカジノフィリピノセブカジノフィリピノタガイタイ 外観 カジノフィリピノ HP より引用カジノフィリピノ HP より引用カジノフィリピノ HP より引用 地区マニラセブタガイタイ 面積不明不明不明 開業時期不明不明不明 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 590 室 ) カジノ ( テーブル 105 台 スロットマシン 700 台 ) ホテル ( 客室数 438 室 ) カジノ ( テーブル 61 台 スロットマシン 429 台 ) ホテル ( 客室数 88 室 ) カジノ ( テーブル 31 台 スロットマシン 302 台 ) 出典 :PAGCOR HP カジノフィリピノ HP 41 とカジノシティ 42 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 41 カジノフィリピノ HP 42 カジノシティ HP 68

75 3 売上高等の推移 フィリピンにおける PAGCOR の売上高等の推移をみると 2011 年以降 売上高 カジノ売上高は着実に伸びている ( 億円 ) 1,200 図表 売上高等の推移 (PAGCOR) 1, 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 ,086 カジノ売上高 出典 :PAGCOR の各年の Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 69

76 (2) トラベラーズ インターナショナル ホテル グループ 1 運営事業者の概要 トラベラーズ インターナショナル ホテル グループ ( 以下 トラベラーズ という ) は フィリピンのアライアンスグローバルグループ (Alliance Global Group) とゲンティン香港 (Genting Hong Kong ) の合弁企業である 現在 フィリピンにおいて 1 箇所の IR カジノ施設を運営している 事業者名 所在地 設立 主な事業 ホームページ 図表 運営事業者の概要 トラベラーズ インターナショナル ホテル グループ (Travellers International Hotel Group, Inc.) フィリピンパサイ 2003 年 IR カジノの運営 出典 : トラベラーズ HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 トラベラーズがフィリピンで運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 運営施設の概要 ( トラベラーズ ) リゾートワールドマニラ 外観 トラベラーズ HP より引用 地区 面積 開業時期 パサイ 敷地面積 76,000 m2カジノ面積 13,167 m 年 8 月 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 1,226 室 ) カジノ ( テーブル 311 台 スロットマシン 1,798 台 電子ゲーム 210 台 ) その他 ( ショッピングモール スパ 映画館 オフィス棟 ) 出典 : リゾートワールドマニラ HP 43 トラベラーズ HP トラベラーズ Annual Report2015 を基に株式会社日本能 率協会総合研究所作成 43 リゾートワールドマニラ HP 70

77 3 売上高等の推移 フィリピンにおけるトラベラーズの売上高等の推移をみると 2011 年以降 売上高を伸ばしてきたが 2014 年からは減少している ( 億円 ) 図表 売上高等の推移 ( トラベラーズ ) 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 カジノ売上高 EBITDA 営業利益 出典 : トラベラーズの Financial Highlights Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 事業別売上高の推移 売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が高く 2015 年は全体の 87.3% を占めている ( 億円 ) 図表 事業別売上高の推移 ( トラベラーズ ) 年 2013 年 2014 年 2015 年 その他 ホテル 飲食 カジノ 計 広告費を差し引く前の売上高のため 合計値が前表の売上高と一致しない 出典 : トラベラーズの Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成

78 (3) メルコ クラウン エンターテインメント 1 運営事業者の概要 メルコ クラウンは マカオでの IR 開発のため 香港の企業 メルコ インターナショナル ディベロプメント とオーストラリアのカジノ運営事業者 クラウンリゾート の共同出資で設立された 現在 フィリピンにおいては 子会社のメルコ クラウン ( フィリピン ) リゾーツコーポレーション (Melco Crown (Philippines) Resorts Corporation ) を通じて 1 箇所の IR カジノ施設を運営している 図表 運営事業者の概要 事業者名所在地設立主な事業ホームページ メルコ クラウン エンターテイメント (Melco Crown Entertainment Limited) 香港特別行政区 2003 年 IR カジノの運営 エンターテイメント事業 出典 : メルコ クラウン HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 メルコ クラウンがフィリピンで運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 運営施設の概要 ( メルコ クラウン ) シティオブドリームスマニラ 外観 シティオブドリームスマニラ HP より引用 地区 面積 開業時期 マニラ郊外 敷地面積 62,000 m2延床面積 300,100 m2カジノ面積 20,100 m 年 12 月一部開業 2015 年 2 月に全面開業 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数約 950 室 ) カジノ ( テーブル 261 台 スロットマシン 1,579 台 電子ゲーム 83 台 ) その他 ( スパ ショッピングモール シアター テーマパーク ) 出典 : シティオブドリームスマニラ HP 45 メルコ クラウン Annual Report 2015 Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 44 Brand Launch Press release 2013 年 10 月 9 日 45 シティオブドリームスマニラ HP 72

79 3 売上高等の推移 フィリピンにおけるメルコ クラウンの四半期ごとの売上高等の推移をみると 2015 年第 4 四半期にやや落ち込みをみせたものの 2014 年 12 月に開業して以降 売上高 カジノ売上高のいずれも 全体として順調に伸びている 図表 四半期ごとの売上高等の推移 ( メルコ クラウン ) ( 億円 ) Q2014 1Q2015 2Q2015 3Q2015 4Q2015 1Q2016 2Q2016 3Q2016 売上高 カジノ売上高 出典 : メルコ クラウンの Quartely Report と Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 事業別売上高の推移 フィリピンにおける 2015 年の売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が高く 全体の 86.7% を占めている 図表 年の事業別売上高 ( メルコ クラウン ) (100 万ペソ ) 飲食宿泊 4.9% 5.2% 娯楽 その他 3.1% カジノ 86.7% ( 億円 ) カジノ 274 宿泊 17 飲食 16 娯楽 その他 10 計 316 出典 : メルコ クラウンの Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 73

80 (4) ブルームべリー リゾーツ 1 運営事業者の概要 ブルームベリー リゾーツ ( 以下 ブルームベリー という ) は フィリピンに本社を置くカジノ運営事業者である 2015 年には 韓国においても 子会社を通じてカジノ事業を開始したが 業績が伸び悩み 売却を検討している 現在 フィリピンにおいては 1 箇所の IR カジノ施設を運営している 図表 運営事業者の概要 事業者名所在地設立主な事業ホームページ ブルームベリー リゾーツ (Bloomberry Resorts Corporation) フィリピンパラニャーケ 1999 年 IR カジノの運営 ホテル エンターテイメント事業 出典 : ブルームベリー HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 ブルームベリーがフィリピンで運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 運営施設の概要 ( ブルームベリー ) ソレアリゾート カジノ 外観 ソレアリゾート カジノ HP より引用 地区 面積 開業時期 マニラ郊外 敷地面積 83,000 m2カジノ面積 18,500 m 年 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 800 室以上 ) カジノ ( テーブル 361 台 スロットマシン 1,623 台 電子ゲーム 88 台 ) コンベンション その他 ( シアター フィットネス スパ ショッピングモール ) 出典 : ソレアリゾート カジノ HP 46 ブルームベリー Annual Report2015 Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 46 ソレアリゾート カジノ HP 74

81 3 売上高等の推移 フィリピンにおけるブルームベリーの売上高等の推移をみると 2013 年の開業以降 売上高 カジノ売上高のいずれも 増加傾向となっている しかし 税引前利益をみると 黒字となっているのは 2014 年のみであり 2015 年は赤字に転落している 売上高には利子収入を含む 図表 売上高等の推移 ( ブルームベリー ) ( 億円 ) 年 2014 年 2015 年 売上高 カジノ売上高 EBITDA 税引前利益 出典 : ブルームベリー リゾーツの Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 4 事業別売上高の推移 売上高を事業別にみると カジノ事業の割合が高く 2015 年は全体の 93.3% を占めている 図表 事業別売上高の推移 ( ブルームベリー ) ( 億円 ) 年 2014 年 2015 年 物販 ホテル 飲食 カジノ 計 出典 : ブルームベリー リゾーツの Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 75

82 2.7 ベトナム 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 ベトナムは インドシナ半島東部に位置する面積約 33 万 km 2 の国である 南シナ海に面した国土は南北に長く 北は中国 西はラオス カンボジアと国境を接している 首都はハノイ 人口は約 9,340 万人 2015 年の経済成長率は 6.0% であり 1990 年代以降 安定した経済成長を続けている 図表 国 地域の概要 摘要 備考 面積約 33 万 km 2 人口約 9,340 万人 2015 年 言語 宗教 通貨 ベトナム語 仏教 カトリック カオダイ教他 ベトナムドン 名目 GDP 1,854 億米ドル (21 兆 3,210 億円 ) 2014 年 1 人あたり名目 GDP 2,052 米ドル (24 万円 ) 2014 年 実質経済成長率 6.0% 2014 年 出典 :JETRO HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (2) 日本 中国からの交通アクセス 日本からベトナムへは ホーチミン ハノイへ成田 羽田 関西 名古屋 福岡から直行便が就航している 中国各都市からもホーチミン ハノイ ニャチャンなどに直行便が就航している 図表 日本 中国からの交通アクセス 成田 ハノイ 羽田 ハノイ 6 時間 直行便所要時間 5 時間 30 分 備考 日本から 大阪 ハノイ名古屋 ハノイ福岡 ハノイ北京 ハノイ 5 時間 10 分 5 時間 30 分 4 時間 30 分 3 時間 40 分 中国から 上海 ハノイ 3 時間 30 分 香港 ハノイ 2 時間 出典 : 各社航空ダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 76

83 (3) 外国人旅行者の状況 ベトナムへの外国人旅行者数の推移をみると 2005 年からの 10 年間で約 2.3 倍に増 加し 2015 年は約 794 万人であった 日本からの旅行者数は順調に増加しており 2015 年時点で約 67 万人と全体の 8.5 を占めている 一方 中国からの旅行者数も増加傾向にあり 2015 年は約 178 万人と 全体の 22.4 を占めている 図表 ベトナムへの外国人旅行者数 2005 年 2015 年の推移 人 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 7,572,352 7,874, 年 7,572, ,050 1,907,794 2,598, ,593 1,046, , , 年 7,874, ,956 1,947,236 2,746, ,209 1,198, , ,676 その他 9,000,000 8,000,000 7,943,651 6,847,680 7,000,000 6,014,000 5,049,800 6,000,000 4,243,626 5,000,000 4,000,000 4,235,800 3,747,400 3,583,488 3,467,757 3,000,000 2,000,000 1,000,000 0 合計 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 2005年 3,467, , ,576 1,132, , , , , 年 3,583, , ,286 1,274, , , , , 年 4,243, , ,369 1,504, , , , , 年 4,235, , ,300 1,498, , , , , 年 3,747, , ,900 1,311, , , , , 年 5,049, , ,400 1,847, , , , , 年 6,014, ,500 1,416,800 2,169, , , , , 年 6,847, ,386 1,428,693 2,487, , , , , 年 7,943, ,379 1,780,918 2,852, ,681 1,199, , ,091 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 ベトナムへの外国人旅行者数 2015 年の上位 5 箇国 地域 その他 3,448,423人 43.4% 中国 1,780,918人 22.4% 韓国 1,112, % 日本 台湾 438,704人 5.5% 米国 491,249人 6.2% 671,379人 8.5% 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 77

84 2.7.2 IR カジノの開業状況 ベトナムにおいては 現在 カジノに入場できるのは外国人に限定されている 1994 年に最初のカジノが開業し 現在では 7 箇所の IR カジノ施設が開業している 47 このうち グランドホトラムは大規模な施設であることが確認できる 図表 ベトナムの IR カジノ施設一覧 No. 施設名立地 1 クラウンインターナショナルクラブ (Crowne International Club) ダナン 2 ドソンカジノ (Do Son Casino) ドソン 3 グランドホトラム (Grand Ho Tram) バリア 4 クラブベガス (Club Vegas) ホーチミン 5 ラオカイインターナショナルカジノ (Lao Cai International Casino) ラオカイ 6 ロイヤルカジノ (Royal Casino) ハロン 7 ハイニンロアライ (The Hai Ninh Loi Lai) ロアライ 図表 ベトナムにおける IR カジノ位置図 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 47 Casino Ctiy Press Casino City s Global Gaming Almanac

85 2.7.3 運営概要ベトナムにおける主な IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 ベトナムの主な IR カジノ施設の概要 グランドホトラムクラブベガスロイヤルカジノ 外観 地区 面積 運営企業 グランドホトラム HP より引用 バリア ブンタウ省 ( ホーチミン近郊 ) カジノ面積 13,600 m2敷地面積 1,620,000 m2以上 アジアンコーストディベロプメントリミテッド ( Asian Coast Development Limited) カラベル サイゴン HP より引用 ホーチミン カジノ面積 900 m2 カラベルサイゴン (Caravelle Saigon) 開業時期 2013 年 2004 年 48 ロイヤルハロンホテル HP より引用 ハロン カジノ面積 870 m2 ロイヤルインターナショナル ( Royal International Corporation) 年 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 1,100 室 ) カジノ ( テーブル 90 台 スロットマシン 500 台 ) その他 ( プール ショッピングモール カラオケ スパ フィットネス ) ホテル ( 客室数 335 室 ) カジノ ( テーブル 10 台 ) コンベンション その他 ( プール スパ ) ホテル カジノ ( テーブル 18 台 スロットマシン 70 台 ) その他 ( スパ シアター ) 出典 : グランドホトラム HP 50 カラベル サイゴン HP 51 ロイヤルハロンホテル HP 52 Vetnam Investment Review 53 Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 World Casino Directory 54 を基に株式 会社日本能率協会総合研究所作成 参考情報 ベトナム政府は 2017 年 3 月から試験的に ベトナム人のカジノ入場を条件付きで許可する政令を発表した 条件は 121 歳以上 2 月収 1000 万ベトナムドン (5 万円 ) 以上 55 3 入場料を支払うこと等である ベトナム人が国外でカジノを利用することによる資金流出を防止するとともに違法賭博を排除する等の目的がある 政府は 3 年間の試行期間の結果により 自国民のカジノ入場を継続するかどうかを決める方針である 一般社団法人日本海外ツアーオペレーター協会海外旅行現地情報 49 ベトナムカジノクラブ HP 50 グランドホトラム HP 51 カラベル サイゴン HP 52 ロイヤルハロンホテル HP 53 Vetnam Investment Review 2012 年 5 月 14 日記事 54 World Casino Directory HP 年のベトナム人の平均年収は約 25 万円であった 56 VN Express 2017 年 1 月 21 日記事 79

86 2.8 マレーシア 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 マレーシアは マレー半島南部とボルネオ島北部を領域とする面積約 33 万 km 2 の国である タイ インドネシア ブルネイと国境を接し シンガポール フィリピンと海を隔てて近接している 首都はクアラルンプール 人口約 3,099 万人 2015 年の 1 人当り名目 GDP は 9,560 米ドル (110 万円 ) と 東南アジア諸国の中でも高い水準である 図表 国 地域の概要 摘要 備考 面積約 33 万 km 2 人口約 3,099 万人 2015 年 言語 宗教 通貨 マレー語 英語 中国語 タミール語 イスラム教 (60%) 仏教 ヒンドゥー教 キリスト教など マレーシアリンギット 名目 GDP 2,970 億米ドル (34 兆 1,550 億円 ) 2015 年 1 人あたり名目 GDP 9,560 米ドル (110 万円 ) 2015 年 実質経済成長率 3.5% 年 出典 :JETRO HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (2) 日本 中国からの交通アクセス マレーシアへは クアラルンプールの南約 50km にクアラルンプール国際空港が立地しており 日本や中国の主要都市からの直行便を含む国際線が数多く就航している 日本から 中国から 図表 日本 中国からの交通アクセス 羽田 クアラルンフ ール 成田 クアラルンフ ール 大阪 クアラルンフ ール 札幌 クアラルンフ ール 北京 クアラルンフ ール 上海 クアラルンフ ール 香港 クアラルンフ ール 直行便所要時間 7 時間 30 分 7 時間 10 分 6 時間 40 分 8 時間 6 時間 10 分 5 時間 30 分 3 時間 50 分 出典 : 各社航空ダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 備考 57 国連統計 80

87 (3) 外国人旅行者の状況 マレーシアの外国人旅行者数の推移をみると 政府が早くから観光政策に重点を置いて取り組んできたことから 東南アジア諸国の中でも特に旅行者数が多く 2007 年には 2,000 万人を突破し 2015 年は約 2,570 万人であった 旅行者の内訳としては 近隣の東南アジア諸国からの旅行者が多く 2015 年に旅行者数の割合が多かったのはシンガポール 次いでインドネシアで それぞれ全体の 50.3% 10.8% である 日本からの旅行者数は 2015 年時点で約 48 万人と全体の 1.9% である 一方 中国からの旅行者数は増加傾向であり 2015 年は約 168 万人と全体の 6.5% を占めている 図表 マレーシアへの外国人旅行者数 (2005 年 ~2015 年の推移 ) ( 人 ) 30,000,000 25,000,000 20,000,000 16,431,055 日本中国その他アジアオセアニアアフリカ欧州北米中南米中東その他 17,546,863 20,972,822 22,051,798 23,645,337 24,577,196 24,714,324 25,032,722 25,715,460 27,437,315 25,721,251 15,000,000 10,000,000 5,000, 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 合計 16,431,055 17,546,863 20,972,822 22,051,798 23,645,337 24,577,196 24,714,324 25,032,722 25,715,460 27,437,315 25,721,251 日本 340, , , , , , , , , , ,569 中国 352, , , ,787 1,015,550 1,130,261 1,245,475 1,557,960 1,790,079 1,612,523 1,676,518 その他アジア 13,975,947 14,719,601 16,845,291 17,935,001 19,749,396 20,409,530 20,516,312 20,526,185 20,827,687 22,420,504 21,018,268 オセアニア 339, , , , , , , , , , ,703 アフリカ 128, , , ,361 84,549 41, ,182 98, , ,302 96,076 欧州 618, , ,653 1,025,342 1,164,953 1,133,235 1,136,443 1,161,319 1,226,655 1,372,157 1,242,267 北米 186, , , , , , , , , , ,985 中南米 88,470 99, ,437 38,620 24,300 13,841 36,872 29,201 34,205 37,623 36,145 中東 145, , , , , , , , , , ,534 その他 257, , , ,502 92, ,670 97,918 14,075 12,349 15,182 14,186 出典 : 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident tourists at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 マレーシアへの外国人旅行者数 (2015 年の上位 5 箇国 地域 ) その他ブルネイ 5,848,822 人 22.7% 1,133,555 人 4.4% タイ 1,343,569 人 5.2% シンガポール 12,930,754 人 50.3% 中国 インドネシア 1,676,518 人 6.5% 2,788,033 人 10.8% 出典 : 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident tourists at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 81

88 2.8.2 IR カジノの開業状況 マレーシアにおいてカジノが許可されているのは 1971 年に開業した クアラルンプール近郊の高原地帯ゲンティンハイランドにある複合観光施設リゾートワールドゲンティンのみである 年 マレーシアの大手財閥ベルジャヤグループに国内 2 番目のカジノのライセンスが付与されたとの憶測が流れた しかし 当時のマハティール首相はこれを否定し これ以上カジノのライセンスを付与するつもりはないと明言した 59 これ以降 現在に至るまで ゲンティン マレーシアによるカジノ事業の独占が続いている マレーシア国民の約 60% はイスラム教を信仰しており イスラム教では賭博を禁止しているため カジノへの入場が許されるのは 中国系やインド系を中心とした非イスラム教徒や外国人に限られる そのため リゾートワールドゲンティンは イスラム教徒でも楽しめるよう テーマパークや映画館 ショッピングモールなどのカジノ以外の施設の充実を図っている 図表 マレーシアの IR カジノ施設一覧 No. 施設名立地 1 リゾートワールドゲンティン (Resorts World Genting) クアラルンプール 図表 マレーシアにおける IR カジノ位置図 1 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 58 Casino Ctiy Press Casino City s Global Gaming Almanac The Star 2003 年 5 月 21 日記事 82

89 2.8.3 運営概要 (1) ゲンティン マレーシア 1 運営事業者の概要 ゲンティン マレーシアは マレーシアに本社を置くカジノ運営事業者である 1989 年に親会社のゲンティン バーハッドからカジノ事業やホテル事業等を引き継いだ 現在 マレーシアや英国 米国 バハマにおいて IR カジノ施設等を展開している マレーシアにおいては リゾートワールドゲンティンのほか 2 箇所のリゾート施設を運営している 事業者名 図表 運営事業者の概要 ゲンティン マレーシア (Genting Malaysia Berhad) 所在地 設立 1980 年 60 マレーシアクアラルンプール 主な事業 IR カジノの運営 ホテル運営 ホームページ 出典 : ゲンティン マレーシア HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 ゲンティン マレーシアがマレーシアにおいて運営している IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 運営施設の概要 ( ゲンティン マレーシア ) リゾートワールドゲンティン 外観 ゲンティン マレーシア HP より引用 地区 面積 開業時期 クアラルンプールの北東約 55km 敷地面積 6,000 万m2カジノ面積 19,000 m 年 60 設立時は Resorts World Sdn Bhd 2009 年より Genting Malaysia Berhad 83

90 リゾートワールドゲンティン 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 10,000 室 ) うち ファースト ワールド ホテル (First World Hotel) の客室数は 7,351 室と世界最大 カジノ ( テーブル 500 台 スロット 3,000 台 ) レストラン (29 店舗 ) エンターテイメント ( ナイトクラブ 遊園地 映画館 ショッピングモール ホール等 8 施設 ) 備考 ゲンティン マレーシアは 2016 年にリゾートワールドゲンティンに対する 10 年間の長期投資計画の拡大を発表し 現在 総額 億リンギット (2,595 億円 ) の大規模な再開発が行われている 2017 年末には 20 億リンギット (500 億円 ) を投じた 20 世紀 FOX のテーマパークが完成予定である 61 出典 : ゲンティン マレーシア HP Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 を基に株 式会社日本能率協会総合研究所作成 3 顧客内訳 2015 年の来場者は約 1,940 万人であり そのうち ホテルへの宿泊客が 29% 日帰り客が 71% である 62 4 売上高等の推移 マレーシアにおけるゲンティン マレーシアのレジャー ホスピタリティ事業の売上高の推移をみると 2011 年以降 ほぼ横ばいで推移している ( 億円 ) 1,600 1,400 1,200 1,000 図表 売上高等の推移 ( ゲンティン マレーシア ) レジャー ホスピタリティ事業のマレーシア分を計上 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 売上高 1,354 1,372 1,421 1,341 1,394 EBITDA 出典 : ゲンティン マレーシア Annual Report を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 61 ゲンティン マレーシア 2016 年 2 月 23 日付報道発表資料 62 ゲンティン マレーシア Annual Report

91 2.9 ミャンマー 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 ミャンマーは 東南アジアのインドシナ半島西部に位置する面積約 68 万 km 2 の国である 国土は南北に長く 北は中国 東はラオス タイ 西はインド バングラディシュと国境を接している 首都はネーピードー 人口は約 5,148 万人 1998 年まで軍事政権のもとビルマ式社会主義が敷かれ 国際経済界とはほぼ隔絶した状態にあったが 2011 年に開放路線へ転換して以来 アジア最後のフロンティアと呼ばれ 海外投資が加速している 図表 国 地域の概要 摘要 備考 面積約 68 万 km 2 人口約 5,148 万人 2015 年 言語 宗教 通貨 ミャンマー語 シャン語 カレン語 英語 仏教 (90%) キリスト教 回教等 ミャンマーチャット 名目 GDP 670 億米ドル (7 兆 7,050 億円 ) 2015 年 1 人あたり名目 GDP 1,292 米ドル (15 万円 ) 2015 年 実質経済成長率 7.0% 2015 年 出典 :JETRO HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (2) 日本 中国からの交通アクセス ミャンマーの国際空港は ヤンゴン国際空港 マンダレー国際空港 ネーピードー国際空港であるが いずれも手狭であり 東南アジア諸国の中では比較的便数が少ない 現在 ヤンゴン国際空港への直行便は 日本は成田から 中国は北京 広州 昆明から就航している なお ヤンゴンから北東約 80km に 新しくハンタワディ国際空港が建設されており 2022 年に供用を開始する予定である 図表 日本 中国からの交通アクセス 直行便所要時間 備考 日本から 成田 ヤンゴン 7 時間 10 分 北京 ヤンゴン 4 時間 50 分 中国から 上海 ヤンゴン 直行便なし 乗継便 6 時間 40 分 香港 ヤンゴン 3 時間 10 分 出典 : 各社航空ダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 85

92 (3) 外国人旅行者の状況 ミャンマーは 軍事政権時代に多くの国からの経済制裁を受け観光業が低迷していた が 民主化の進展に伴い経済制裁が徐々に解除されたことから 外国人旅行者数は 2009 年からの 6 年間で約 19.2 倍に増加し 2015 年は約 468 万人であった 日本からの旅行者数は 2015 年時点で約 9 万人と全体の 1.9 である 一方 中国 からの旅行者数は急増しており 2015 年は約 210 万人と全体の 44.9 を占めている また 中国に次いで旅行者が多いのはタイであり 2015 年は全体の 34.3 を占めてい る 図表 ミャンマーへの外国人旅行者数 2005 年 2015 年の推移 人 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 5,000,000 4,681,020 4,500,000 4,000,000 3,081,412 3,500,000 3,000,000 2,044,307 2,500,000 1,058,995 2,000, ,369 1,500, ,505 1,000, , ,000 0 合計 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 248, , , , 年 232,218 19,584 19,596 89,112 12, ,933 19,509 1, 年 263,514 18,945 24,893 97,073 16, ,791 21,350 2, 年 248,076 15,623 29,551 92,302 15, ,827 17,854 2, 年 193,319 10,881 30,792 86,537 6, ,885 15,229 1, 年 243,278 13,809 36, ,899 8, ,150 17,440 1, 年 791,505 16, , ,274 8, ,935 18,911 2, 年 816,369 21, , ,480 11, ,517 25,365 2, 年 1,058,995 47, , ,693 26,481 1, ,373 44,074 3, 年 2014年 2,044,307 3,081,412 68,761 83, , ,399 1,422,691 1,771, , ,751 2,688 3, , ,420 62,628 74,899 3,396 4, 年 4,681,020 90,312 2,102,677 1,935, ,279 3, ,733 83,866 5,527 - 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident tourists at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 ミャンマーへの外国人旅行者数 2015 年の上位 5 箇国 地域 韓国 63,715人 1.4% その他 750,289人 16.0% 中国 米国 69,815人 1.5% 日本 90,312人 1.9% タイ 2,102,677人 44.9% 1,604,212人 34.3% 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident tourists at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 86

93 2.9.2 IR カジノの開業状況 ミャンマーでは カジノは禁止されているが 以前より許可を得ずに営業しているカジノが 中国との国境付近をはじめとする各地に多数存在している 63 このような中 近年ミャンマー政府は 観光振興を目的として カジノに関する法整備を進めている 2013 年に制定された外国投資法 64 では 外国企業等は政府の許可を得れば 特定の地域のホテルで外国人を対象としたカジノ事業を行うことができる旨が定められた また 2014 年には国境地域の特定のホテルにカジノ開設が許可され 事業者が申請すれば正式に外国人専用カジノを運営できることとなった 本調査において営業が確認されたミャンマーの IR カジノは 以下の 3 箇所である 65 図表 IR カジノ施設一覧 No. 施設名立地 アリュールリゾート (Allure Resort) アンダマンクラブ (Andaman Club) レジーナエンターテイメントリゾート (Regina Entertainment Resort) タチレク タタイクン島 タチレク 63 Myanmar Times 2015 年 7 月 31 日記事 Myanmar Times 2015 年 11 月 30 日記事 Myanmar Times 2016 年 8 月 8 日記事 html 64 Myanmar Foreign Investment Law 65 Casino Ctiy Press Casino City s Global Gaming Almanac

94 図表 ミャンマーにおける IR カジノ位置図 アリュールリゾート 2 アンダマンクラブ 3 レジーナエンターテイメントリゾート 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 88

95 2.9.3 運営概要 ミャンマーにおける主な IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 ミャンマーの主な IR カジノ施設の概要 アリュールリゾート アンダマンクラブ 外観 アリュールリゾート HP より引用 アンダマンクラブ HP より引用 地区タチレクタタイクン島 面積 運営企業 カジノ面積 330 m2 ミャンマーアリュールグループ (Myanmar Allure Group Co., Ltd.) カジノ面積 650 m2コンベンション面積 1,460 m2 グランドアンダマントラベル (Grand Andaman Travel) 開業時期不明 1995 年 同一建物 敷地内にある施設の内容 備考 ホテル ( 客室数 90 室 ) カジノ ( テーブル 13 台 スロット 120 台 ) チェンライ国際空港 ( タイ ) より 62km カジノでの使用通貨はタイバーツ ホテル ( 客室数 205 室 ) カジノ ( テーブル 24 台 スロット 25 台 ) その他 ( ゴルフコース プール フィットネス スパ プール ) ラノーン空港 ( タイ ) から 20km 出典 : アリュールリゾート HP 66 アンダマンクラブ HP 67 Casino Avenue Casino City Press World Casino Directory, Casino City s Global Gaming Almanac 2016 Myanmar Times インタビュー記 68 事等を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 66 アリュールリゾート HP 67 アンダマンクラブ HP 68 Myanmar Times 2016 年 8 月 8 日記事 html 89

96 2.10 ラオス 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 ラオスはインドシナ半島に位置し 北は中国 東はベトナム 南はカンボジア タイ 西はミャンマーと国境を接する内陸国である 面積は約 24 万 km 2 首都はビエンチャン 人口約 649 万人 2015 年の一人あたり名目 GDP は 1,779 米ドル (20 万円 ) と 東南アジアでも低い水準であるが 近年の経済成長は目覚ましく 2015 年の実質経済成長率は 7.0% と高い伸びを示している 図表 国 地域の概要 摘要 備考 面積約 24 万 km 2 人口約 649 万人 2015 年 言語 宗教 通貨 ラオス語 仏教 ラオスキープ 名目 GDP 125 億米ドル (1 兆 4,375 億円 ) 2015 年 1 人あたり名目 GDP 1,779 米ドル (20 万円 ) 2015 年 実質経済成長率 7.0% 2015 年 出典 :JETRO HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (2) 日本 中国からの交通アクセス 首都ビエンチャン西 8km にワットタイ国際空港が立地しているが 便数が限られており 国際線はタイ シンガポール ベトナム 中国 マレーシア 韓国間のみで 日本からの直行便は就航していない 中国は 主要都市からの直行便はないが 昆明から毎日直行便が出ているほか 広州 常州 南寧 長沙の 4 都市から週に数便が出ている 図表 日本 中国からの交通アクセス 直行便所要時間 備考 日本から成田 ヒ エンチャン直行便なし乗継便 10 時間 20 分 ~ 中国から 北京 ヒ エンチャン直行便なし乗継便 7 時間 ~ 上海 ヒ エンチャン 香港 ヒ エンチャン 直行便なし 直行便なし 出典 : 各社航空ダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 乗継便 7 時間 ~ 常州から直行便 3 時間 20 分乗継便 5 時間 20 分 ~ 広州から直行便 2 時間 30 分 90

97 (3) 外国人旅行者の状況 ラオスの外国人旅行者数の推移をみると 2005 年からの 10 年間で約 4.3 倍に増加し 2015 年は約 468 万人であった 2015 年に旅行者数の割合が多かったのは隣国のタイと ベトナムで それぞれ全体の である 日本からの旅行者数は 2015 年時点で約 4 万人と全体の 0.9 である 一方 中国 からの旅行者数は増加傾向であり 2015 年は約 51 万人と全体の 10.9 を占めている 図表 ラオスへの外国人旅行者数 2005 年 2015 年の推移 人 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 5,000,000 中東 その他 4,684,429 4,158,719 4,500,000 3,779,490 4,000,000 3,330,072 2,723,564 3,500,000 2,513,028 3,000,000 2,008,363 2,500,000 1,736,787 1,623,943 2,000,000 1,215,107 1,500,000 1,095,315 1,000, ,000 0 合計 日本 中国 その他アジア オセアニア アフリカ 欧州 北米 中南米 中東 その他 2005年 1,095,315 22,601 39, ,068 27, ,472 58,874 1, 年 1,215,107 23,147 50, ,901 27, ,716 59,248 1, 年 1,623,943 29,770 54,920 1,290,876 30, ,023 58,741 4, 年 1,736,787 31, ,852 1,308,913 36, ,846 69,412 6, 年 2,008,363 28, ,226 1,633,684 30, ,412 50,294 2, 年 2,513,028 34, ,854 2,024,911 39, ,840 63,419 3, 年 2,723,564 37, ,791 2,234,187 41, ,771 64,514 3, 年 3,330,072 42, ,857 2,773,578 45, ,043 70,124 4, 年 2014年 2015年 3,779,490 4,158,719 4,684,429 48,644 44,877 43, , , ,436 3,132,354 3,330,190 3,765,489 47,080 56,934 46, , , ,470 78,740 80,556 82,843 4,550 4,852 6,492 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 ラオスへの外国人旅行者数 2015 年の上位 5 箇国 地域 米国 63,058人 1.3% その他 435,301人 9.3% 韓国 タイ 165,328人 3.5% 2,321,352人 49.6% 中国 511,436人 10.9% ベトナム 1,187,954人 25.4% 出典 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 91

98 IR カジノの開業状況 ラオスでは 原則としてカジノは非合法であるが 特別経済区に限りカジノの設置が認められている また カジノへの入場は外国人に限定されている 現在 タイとの国境沿いに 3 箇所の IR カジノ施設が開業している 図表 ラオスの IR カジノ施設一覧 No. 施設名立地 ダンサバーンナムグムリゾート (Dansavanh Nam Ngum Resort) サワン ベガスホテル カジノ (Savan Vegas Hotel and Casino) キングス ロマン カジノ (Kings Roman Casino) ヴィエンチャン郊外 サワンナケート ボケオ 図表 ラオスにおける IR カジノ位置図 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 92

99 運営概要 ラオスにおける IR カジノ施設の概要は 以下のとおりである 図表 ラオスの IR カジノ施設の概要 ダンサバーンナムグムリゾート サワン ベガスホテル カジノ キングス ロマン カジノ 外観 ダンサバーンナムグムリゾート HP より引用 サワン ベガスホテル カジノ HP より引用 チェンライ県 ( タイ ) の観光 HP より引用 地区ヴィエンチャンサワンナケートボケオ 面積カジノ面積 600 m2カジノ面積 4,950 m2敷地面積 10,000 m2 運営企業 開業時期 同一建物 敷地内にある施設の内容 備考 69 ラオス季節開発株式会社 ( 老挝寮舜发展有限公司 ) 1996 年 2014 年リニューアルオープン ホテル ( 客室数 185 室 ) カジノ ( テーブル 60 台 スロットマシン 150 台 ) その他 ( スパ ゴルフ ) 国定公園内の湖に面したリゾート地区 マカオレジェンド (Macau Legend Development Limited) 年 ホテル ( 客室数 482 室 ) カジノ ( テーブル 85 台 スロットマシン 500 台以上 ) レストラン (7 店舗 ) その他 ( レジャー施設 スパ 免税店 ) 2016 年にマカオレジェンドが経営権を取得 今後拡 72 張工事予定 キングスロマングループ (Kings Romans Group) 年 ホテル カジノ ( テーブル 30 台 スロットマシン 30 台 ) その他 ( スパ ゴルフ ヨット ) ゴールデントライアングル特別経済区における観光開発事業の一つ 出典 : ダンサバーンナムグムリゾート HP 73 Vansana Hotel Group HP 74 サワン ベガスホテル カジノ HP 75 チェンライ県観光 HP 76 Casino Avenue World Casino Directory Los Angels Times 77 Casino City Press Casino City s Global Gaming Almanac 2016 等を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 69 老挝寮 ( ラオス ) 舜 ( 季節 ) 发展 ( 開発 ) 有限公司 ( 株式会社 ) と直訳した 70 Poverty-Environment Intiative of Lao PDR Assessment of Economic, Social and Environmental Costs and Benefits of Savan Vegas Casino & Hotel: Case Study in Savannakhet Province 2011 年 71 Chris Lyttelton Intimate Economies of Development 2014 年 Routledge 72 マカオレジェンド 2016 年 8 月 19 日付報道発表資料 73 ダンサバーンナムグムリゾート HP 74 バンサナホテルグループ HP 75 サワン ベガスホテル カジノ HP 76 チェンライ県観光 HP 77 Los Angels Times 2015 年 9 月 8 日記事 93

100 2.11 ロシア沿海地方 国 地域の概要 (1) 国 地域の概要 ロシア沿海地方は ロシア連邦を構成する連邦主体の一つで ロシアの南東部に位置し 西は中国 南は北朝鮮と国境を接し 東及び南は日本海に面している 面積は約 17 万 km 2 で うち約 70% が森林地帯である 人口は約 193 万人で 主要都市であるウラジオストクの人口が 1/3 を占める 主要産業の貿易業 商業 漁業 林業等に加え シベリア鉄道の発着点であることや極東地域の主要港を有することから 極東地域の物流拠点としての役割を担っている 78 面積約 17 万 km 2 図表 国 地域の概要 摘要 備考 北海道の約 2 倍 ロシア全体の 0.9% 人口約 193 万人 2016 年 ロシア全体の 1.3% 言語 宗教 通貨 ロシア語 ロシア正教 イスラム教 仏教 ユダヤ教等 ロシアルーブル 名目 GDP 6,435 億ルーブル (1 兆 1,583 億円 ) 年 ロシア全体の 1.1% 1 人あたり名目 GDP 333,420 ルーブル (60 万円 ) 年 ロシア全体は 401,943 ルーブル (72 万円 ) 実質経済成長率 - 出典 : 在ウラジオストク日本国総領事館 沿海地方経済概要 ( 平成 28 年 9 月 ) JETRO HP IMF World Economic Outlook Database 2016 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 (2) 日本 中国からの交通アクセス ウラジオストクまでは 日本の成田や中国の各都市から直行便が就航している また 2017 年 4 月からは 大阪からの直行便も就航予定である 81 図表 日本 中国からの交通アクセス 直行便所要時間 備考 日本から成田 ウラジオストク 2 時間 40 分 中国から 北京 ウラジオストク 上海 ウラジオストク 香港 ウラジオストク 2 時間 20 分 3 時間 4 時間 40 分 出典 : 各社航空ダイヤを基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 78 在ウラジオストク日本国総領事館 沿海地方概要 ( 平成 28 年 9 月 ) 在ウラジオストク日本国総領事館 沿海地方経済概要 ( 平成 29 年 3 月 ) 79 沿海地方 GRP 80 沿海地方 GRP 81 関西国際空港 2017 年 1 月 26 日付報道発表資料 94

101 (3) 外国人旅行者の状況 2015 年にロシア沿海地方を訪問した外国人観光客数は 171,275 人であり 2014 年に比べて 58% の増加となっている そのうち 中国人の訪問者数は 134,200 人と全体の 78.4% を占め 韓国人 日本人と続いている 2014 年比では中国人 韓国人が増加する一方 日本人は減少している 図表 ロシア沿海地方を訪問した外国人観光客数 (2015 年 ) 6,127 人 (-12%) 5,478 人 25,470 人 (+53%) 韓国 14.9% 日本 3.6% その他 3.2% 全体 171,275 人 (2014 年比 +58%) 中国 78.4% 134,200 人 (+64%) 出典 : 在ウラジオストク日本国総領事館 沿海地方経済概要 ( 平成 29 年 3 月 ) を基に株式会社日本能率協会総合 研究所作成 95

102 IR カジノの開業状況 ロシア国内には ソ連崩壊後 多数のカジノやスロットパーラーが存在したが ロシア政府は 2006 年に賭博法でこれらの閉鎖を決定した 82 同時に 4 つの地方 83 に特区を設け この特区においてのみカジノ開設を認めることとした そのうちの一つ ロシア沿海地方ウラジオストク近郊のプリモリエ特区は マカオと比較して 東京 北京 ソウルとの距離が近いという強みをもつ 4 つの IR カジノ建設が計画され 2015 年 10 月には 第 1 号となるティグレデクリスタルが開業した 図表 ロシア沿海地方の IR カジノ施設一覧 No. 施設名立地 1 ティグレデクリスタル (Tigre de Cristal) ウラジオストク近郊 図表 ロシア沿海地方における IR カジノ位置図 1 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 82 ロイター通信 2007 年 7 月 1 日記事 83 特区の取消や追加があり 現在は 5 つの地方に特区の設置が認められている 96

103 運営概要 (1) G1 エンターテイメント 1 運営事業者の概要 G1 エンターテイメントは 香港のサミットアセットホールディングス (Summit Ascent Holdings Limited ) の子会社で 2010 年にロシア プリモリエ地区での IR 開発のため設立された サミットアセットホールディングスは メルコ クラウンの関連会社である 現在 ロシア沿海地方において 1 箇所の IR カジノ施設を運営している 図表 運営事業者の概要 事業者名所在地設立主な事業 G1 エンターテイメント (G1 Entertainment Limited Liability Company) ロシアアルチョーム 2010 年 IR カジノの運営 ホームページ (Facebook) 出典 :G1 エンターテイメント Facebook B3 Group HP 84 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 2 運営施設の概要 G1 エンターテイメントがロシア沿海地方で運営している IR カジノ施設は 以下のとおりである 図表 運営施設の概要 (G1 エンターテイメント ) ティグレデクリスタル 外観 Russia Visa Center HP より引用 地区 面積 開業時期 同一建物 敷地内にある施設の内容 ウラジオストク近郊 カジノ面積 3,350 m 年 10 月一部開業 2015 年 11 月全面開業 ホテル ( 客室数 121 室 ) カジノ ( テーブル 61 台 スロットマシン 238 台 ) その他 ( スパ フィットネス ) 84 B3 Group HP 97

104 備考 ティグレデクリスタル 開業以降 1 年間の来場者数は約 20 万人 投資額は約 1 億 7,200 万米ドル (198 億円 )( 第一期 ) 最終的には約 5 億米ドル (575 億円 ) を予定 雇用者数は 1,000 人以上 出典 : ティグレデクリスタル HP 85 サミットアセントホールディングス HP 86 G1 エンターテイメント Facebook JETRO 通商弘報 87 Russia Visa Center HP 88 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 参考情報 2016 年 8 月 サミットアセントホールディングスは 韓国のカンウォンランドと戦略的協業パートナーシップに関する覚書を締結した 89 内容は ティグレ デ クリスタルとカンウォンランド間のマーケティングプログラムの構築や 両施設の第二期開発における協業を図ることなどである 85 ティグレデクリスタル HP 86 サミットアセットホールディングス HP 87 JETRO 通商弘報 2016 年 12 月 27 日記事 88 Russia Visa Center HP 89 サミットアセットホールディングス 2016 年 8 月 12 日付報道発表資料 98

105 2.12 カジノが合法化されていない国 地域 インドネシア インドネシアでは 国民の 9 割近くがイスラム教徒であり イスラム教は賭博を禁止しているため カジノは非合法である 過去の歴史においては オランダ統治時代のインドネシアでは ギャンブルが認められており 植民地支配の収入源とされていた また 独立後は 首都ジャカルタにおいて アリ サディキン州知事の下 1967 年から 3 つのカジノが合法的に営業を行っていた 90 が 1977 年の同知事の辞任から間もなく閉鎖された 近年では 2002 年に ジャカルタ州知事がスリブ群島におけるカジノ構想を発表した 本土において公然と営業している違法カジノを離島に誘導することなどを目的としていた 91 が 宗教指導者らの猛烈な反対により 計画を断念した 92 また 2007 年には ビンタン島の観光開発の一部として カジノ構想が持ち上がったが 地元の反対により 許可されなかった 93 これ以降 カジノ合法化の具体的な動きは特に見当たらない タイ タイでは 公営の宝くじと競馬を除き 法律 94 により賭博が禁止されており カジノは非合法である ただし 周辺のラオス ミャンマー カンボジア マレーシア ベトナムなどではカジノが合法的に営業されており タイとの国境近くには タイ人顧客をターゲットとした施設が多く設置されている タイでは 自国民のカジノ利用による周辺国への資金流出を懸念し 過去には国内における合法化も検討されてきた タクシン政権下の 2005 年には プーケットにおける大規模開発事業 プーケットベイ インターナショナル シティー の一環として カジノ建設の構想が浮上した 95 が 実現には至らなかった 軍主導の暫定政権下の 2015 年には 国家改革評議会 (NRC) 96 の一部議員が カジノ合法化を求める動きをみせたことで 再びカジノ合法化の機運が高まった 97 リゾート地パタヤを候補地とするこの提案に対しては 国家警察長官が 合法カジノを開設しないかぎり 非合法カジノが蔓延する として積極的に支持する考えを明らかにした 98 ほか 財務大臣も賛意を表したが 99 プラユット首相がカジノ合法化に否定的な見解を示した 90 Indonesiaexpat 2011 年 11 月 30 日記事 91 Liputan6.com 2002 年 4 月 15 日記事 92 NNA 2002 年 4 月 24 日記事 93 The Star 2008 年 4 月 19 日記事 94 Gambling Act B.E.2478 (1935) 95 NNA 2005 年 10 月 21 日記事 96 National Reform Council 97 Nation 2015 年 6 月 16 日記事 98 Nation 2015 年 6 月 19 日記事 99 Nation 2015 年 6 月 22 日記事 99

106 ことで 100 議論は収束した これ以降 カジノ合法化の具体的な動きは特に見当たらない 台湾 台湾では 公営の宝くじを除き 法律 101 で賭博が禁止されており カジノは非合法である ただし 2009 年に改正された離島開発法では 離島に限り 一定の条件を満たせば カジノを含むリゾート施設を誘致することが認められている 同法においては 当該自治体の住民投票で過半数の同意を得ることを条件としている また 同法のみでカジノが認められるわけではなく カジノの申請手続きや設置基準等の詳細は 別途関連法を定めることとされている 図表 離島開発法抜粋 離島開発法第 10-2 条 ( 離島建設條例第 10-2 條 ) 離島において観光用カジノが開設される前に 住民投票法に基づく地方住民投票を実施しなければならず この住民投票の結果が 有効投票数の 2 分の 1 以上の同意を得 投票総数は県 ( 市 ) の有権者数の 2 分の 1 以上の投票がなければならない 前項における観光用カジノは国際観光地帯に設置するものとする 国際観光地帯の施設には 国際観光ホテル 観光 旅行施設 国際会議 展示施設 ショッピングモール 観光開発に関連するその他のサービス施設も含まれなければならない 国際観光地帯への投資計画の申請は 中央観光局に提出するものとする 申請スケジュール 審査および承認基準 関連手続およびその他の事項は 中央観光局により決定され 行政院の同意後に公布される 観光カジノの申請手続き 設置基準 許可手数料 カジノ特別税及びその他監督管理に関する事項は法律により別途定める 前項による観光カジノの経営 カジノ事業へ参加者は 刑法の賭博罪の規定の適用を受けない 台湾の離島 6 島のうち 候補となるのは 中国に距離的に近く 中国人観光客の誘客が期待できる 馬祖 金門 澎湖の 3 島である このうち 澎湖島では 2009 年 2016 年に住民投票が実施されたが いずれも賛成は過半数を得られなかった 一方 馬祖島では 2012 年に住民投票が行われ 賛成票が過半数を占めた これに対し 中国政府は警戒を強め 2015 年に中国政府の台湾担当者が金門島を訪問した際には カジノ構想が実現するならば 小三通 ( 中国福建省と台湾の金門島及び馬祖島間の郵便 交通 通商を可能とする協定 ) を無効とする考えを示し 強く牽制した 102 このような事情もあり 現在のところ 政府による カジノ設置のための関連法の整備は進んでいない 100 Nation 2015 年 6 月 24 日記事 中華民国刑法第 266 条から第 270 条 102 EJ インサイト 2015 年 5 月 26 日記事 100

107 図表 台湾における IR カジノ設置候補地位置図 出典 : 台湾観光局の地図を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 中国 中国では 公営の宝くじを除き 法律 103 で賭博が禁止されており カジノは非合法である 2013 年 2 月 中国南端のリゾート地 海南島にあるマングローブツリーリゾートワールド内に 当局の許可を得たとして カジノバーが開業した 104 通常のカジノと異なり カジノで勝てば現金ではなく ホテル代の精算やリゾート内でのショッピングモールで使用できるショッピングポイントが渡される仕組みであった マカオを除き中国でカジノが認められるのは初めてのことであったため 報道機関が大きく報じたが 報道から 2 日後に当局の査察が入り カジノバーは閉鎖された 地元当局は 本来エンターテイメントとして許可をしたが 実際はその範囲を超えていたため閉鎖したと説明しており 105 同島ではカジノは認められないとの姿勢を明らかにしている 106 これ以降 カジノ合法化の具体的な動きは特に見当たらない 東ティモール 東ティモールでは 賭博は禁止されており カジノは非合法である また 現在のところ カジノ合法化の具体的な動きは特に見当たらない 103 中華人民共和国刑法第 303 条 中華人民共和国治安管理処罰法第 70 条 104 ロイター通信 2013 年 2 月 17 日記事 ロイター通信 2013 年 2 月 19 日記事 ロイター通信 2014 年 5 月 6 日記事 101

108 ブルネイ ブルネイでは 国教であるイスラム教が賭博を認めていないことを背景に あらゆる賭博が法律 107 により禁止されており カジノは非合法である また 現在のところ カジノ合法化の具体的な動きは特に見当たらない 香港 香港では 賭博条例 108 により 政府が認めた競馬やくじ等を除いて賭博は禁止されており カジノは非合法である また 現在のところ カジノ合法化の具体的な動きは特に見当たらない ただし 船内にカジノを備えたクルーズ船が 8 隻営業しており 109 香港政府の規制外となる公海上に出ている時間のみカジノを開いている モンゴル モンゴルでは 一部のくじ等を除き 法律 110 により賭博は禁止されており カジノは非合法である モンゴルでは 1998 年にカジノの合法化法案が議会で審議されて以降 2007 年 2010 年 2015 年と たびたびカジノ合法化が議論されてきた 背景には 鉱業生産に依存した産業構造からの脱却を目指す狙いがあるが 汚職や社会問題への懸念から いずれも実現しなかった そのような中 2017 年に入り 再びカジノ合法化に向けた動きを見せている 2017 年 1 月に 国家大会議司法常任委員会は カジノ法案策定のワーキンググループを立ち上げることを決定した 草案によると 121 歳以上の外国人のみ入場可能 2 国内では最大 2 箇所までの開設を認める 3350 億トゥグルグ (18 億円 ) 以上のライセンス料で 10 年間の運営権利を得るという内容である Common Gaming House Act, Cap Gambling Ordinance, Cap Casino Ctiy Press Casino City s Global Gaming Almanac Criminal Code of Mongolia 111 Medee.MN 2017 年 1 月 10 日記事 102

109 第 3 章新規 IR カジノの開発動向 調査対象国 地域における新規 IR カジノの開発計画の状況及びカジノ合法化の検討状況は以下のとおりである 本章では 調査において新規開発計画が確認された韓国 マカオ カンボジア フィリピン ベトナム ロシア沿海地方を取り上げる 図表 3-1 新規開発予定の IR カジノ及び合法化検討状況 韓国 国 地域 マカオ 新規開発計画の有無 計画あり 計画あり 新規開発予定の IR カジノ / 合法化検討の状況 (1) パラダイスシティ (2) シーザーズカジノ仁川 ( 仮称 ) (3) インスパイアインテグレーテッドリゾート (4) 済州シンファワールド (5) ドリームタワープロジェクト (1)MGM コタイ (2) グランドリスボアパレス (3) ギャラクシーマカオ ( 第 3 期 第 4 期 ) カンボジア計画あり (1) ナガ 2 フィリピン ベトナム ロシア沿海地方 シンガポール 計画あり 計画あり 計画あり 計画なし (1) オカダマニラ (2) ウェストサイドシティリゾートワールド (3) マクタンレジャーシティー (4) ブルームベリーリゾーツケソンシティ (5) リゾートワールドマニラ ( 第 3 期 ) (1) ヴィンパールフーコックカジノ リゾート (2) ナムホイアンカジノリゾート 2017 年 3 月より試験的に 条件付きでベトナム人のカジノ利用が認められる (1) プリモリエエンターテイメントリゾートシティ (2) セレナワールドリゾート カジノ (3) フェニックスリゾートカジノプリモリエ (4) ティグレデクリスタル ( 第 2 期 ) カジノ管理法 112 に基づくライセンス制度において 既存 2 社に 2017 年までの独占ライセンスを認めているため 新規 IR カジノを建設する動きはみられない また 2017 年以降も当面の間 政府が新規ライセンスを発行する可能性は低いとみられている 北朝鮮計画なし新規 IR カジノを建設する動きはみられない マレーシア 計画なし 既存のリゾートワールド ゲンティンのリニューアル計画があるのみで 新規 IR カジノを建設する動きはみられない ミャンマー計画なし新規 IR カジノを建設する動きはみられない ラオス計画なし新規 IR カジノを建設する動きはみられない インドネシア非合法合法化の動きはみられない タイ非合法合法化の動きはみられない 台湾 非合法 中国非合法合法化の動きはみられない 東ティモール非合法合法化の動きはみられない 離島に限って IR 設置を認める制度的な枠組みはあるものの IR 実現のための関連法整備は進んでおらず 合法化の見通しは立っていない また 2016 年に澎湖島で行われた IR 誘致についての住民投票では 反対票が過半数を占めた 112 Casino Control Act 103

110 国 地域 新規開発計画の有無 ブルネイ非合法合法化の動きはみられない 香港非合法合法化の動きはみられない モンゴル 非合法 新規開発予定の IR カジノ / 合法化検討の状況 2017 年 1 月に 国家大会議司法常任委員会が カジノ法案策定のワーキンググループを立ち上げることを決定するなど 外国人専用カジノの合法化に向けた動きがみられる 104

111 3.1 韓国 新規 IR カジノの開発動向 近年韓国政府は 外国企業のカジノ事業参入に関する規制緩和を行うなど 外貨獲得を目的として IR 建設を推進してきた その結果 IR 建設の動きが活発化し 現在 韓国では 外国人を対象とした 5 つの IR カジノの建設計画が進められている このうちの 3 つは ソウルの西約 50km に位置する仁川 永宗島における計画である アジアを代表するハブ空港である仁川国際空港周辺に IR を集積し 海外からの旅行者を呼び込むことを狙いとしている また 朝鮮半島の西南に位置する済州島においては すでに 8 箇所の外国人専用カジノが存在するが 加えて 中国人を中心とする外国人旅行者の増加を背景に 2 つの新規 IR カジノの建設が予定されている なお 済州島には済州特別自治道が置かれ 韓国政府が持つカジノ許可及び指導 監督に対する権限が道知事に委譲されている 図表 3-2 韓国において開発予定の IR カジノ一覧 No. 施設名 立地 新規 拡張 1 パラダイスシティ (Paradise City) 仁川 新規 2 シーザーズカジノ仁川 ( 仮称 )(Caesar's Casino Incheon) 仁川 新規 3 インスパイアインテグレーテッドリゾート (Inspire Integrated Resort) 仁川 新規 4 済州シンファワールド (Jeju Shinhwa World) 済州 新規 5 ドリームタワープロジェクト (Dream Tower Project) 済州 新規 105

112 図表 3-3 韓国において開発予定の IR カジノ位置図 ソウル 江原 仁川 大邱 新規 IR カジノ 既存 IR カジノ 釜山 5 4 済州 1 パラダイスシティ 2 シーザーズカジノ仁川 ( 仮称 ) 3 インスパイアインテグレーテッドリゾート 4 済州シンファワールド 5 ドリームタワープロジェクト出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 106

113 3.1.2 計画概要 (1) パラダイスシティ 1 開発事業者の概要 パラダイスシティの開発事業者は パラダイスセガサミー ( PARADISE SEGASAMMY Co., Ltd.) である 同社は 韓国で外国人専用カジノを手掛けるパラダイスと 遊技機事業やゲーム事業などを手掛ける日本のセガサミーホールディングス ( 以下 セガサミー という ) の合弁会社である 2 開発経緯等 2012 年 パラダイスグループとセガサミーは仁川における IR 開発のための合弁会社を設立することで合意した この時すでに パラダイスグループは 仁川における IR 事業の入札に参加して優先交渉権を獲得しており 仁川国際空港公社と契約締結に向けて交渉を行っている段階であった 113 一方 セガサミーは グループの中 長期構想として 日本における IR 事業への参入 を掲げており カジノ施設の運営ノウハウを直接習得すること等を狙いとしていた 2013 年には パラダイスセガサミーは パラダイスグループが仁川国際空港隣接地で運営していたパラダイスカジノ仁川を取得した これは パラダイスカジノ仁川のライセンスを活用し 施設拡張という形でパラダイスシティを開発するためであった 114 同施設の建設は 2014 年に着工し 段階的に進められている 2017 年 4 月には 当初の予定通り 第 1 段階 1 次開発としてホテルやカジノ等が開業する その後 第 1 段階第 2 次開発としてショッピングモールやエンターテイメント施設等が 2018 年上期に開業する予定である 113 セガサミー 2012 年 5 月 11 日付報道発表資料 セガサミー 2013 年 7 月 1 日付報道発表資料 final_j.pdf 107

114 3 計画概要 パラダイスシティの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-4 パラダイスシティの計画概要 115 パラダイスシティ 外観 パラダイスセガサミー HP より引用 立地 開業予定時期 仁川 第 1 段階 1 次 2017 年 4 月第 1 段階 2 次 2018 年上期 投資額 1 兆 3,000 億韓国ウォン (1,300 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 備考 敷地面積 330,000 m2カジノ面積 15,632 m2コンベンション面積 2,935 m2 < 第 1 段階 1 次 > ホテル ( 客室数 711 室 ) カジノ ( テーブル 154 台 スロットマシン 281 台 電子ゲーム 4 台 62 席 ) コンベンション < 第 1 段階 2 次 > ショッピングモール 文化施設 スパ エンターテイメント施設 デザイナーズホテル 仁川国際空港からモノレールで 5 分 115 セガサミー 2017 年 3 月 8 日付報道発表資料 108

115 (2) シーザーズカジノ仁川 ( 仮称 ) 1 開発事業者の概要 シーザーズカジノ仁川 ( 仮称 )( 以下 シーザーズカジノ仁川 という ) の開発は 米国を中心にカジノ事業を手掛けるシーザーズエンターテイメント ( Caesars Entertainment Corporation) と 中国の不動産開発会社広州 R&F プロパティ (Guangzhou R&F Properties Co., Ltd.) との合弁事業として行われる予定である 2 開発経緯等 シーザーズカジノ仁川は 仁川国際空港周辺における IR 開発計画である 当初 同計画は LOCZ korea の呼称で シーザーズエンターテイメントとインドネシアの大手財閥リッポー 116 シンガポールの OUE インターナショナルホールディングス 117 との合弁事業として進められていた 2014 年には 外資系企業として初めて 韓国政府文化体育観光部から条件付きで IR 開発の許可を得たものの 2016 年にリッポーが アジアのカジノ市場の見通しと世界経済の不安定性を理由に 計画からの撤退を表明した その後 2016 年 12 月 同計画はシーザーズエンターテイメントと広州 R&F プロパティとの合弁会社によって 引き継がれることが明らかとなった 計画概要 シーザーズカジノ仁川の計画概要は 以下のとおりである 図表 3-5 シーザーズカジノ仁川の計画概要 119 シーザーズカジノ仁川 外観 ワールドカジノディレクトリ HP より引用 立地 開業予定時期 仁川 2020 年 投資額 億米ドル (805 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 敷地面積 38,000 m2延床面積 170,000 m2以上 ホテル ( 客室数 720 室以上 ) カジノ エンターテイメント施設 コンベンション ショッピングモール 116 Lippo Limited 117 OUE International Holdings Pte Ltd 118 広州 R&F プロパティ 2016 年 12 月 5 日付報道発表資料 広州 R&F プロパティ 2016 年 12 月 5 日付報道発表資料 GGRAsia 2017 年 1 月 20 日記事 109

116 (3) インスパイアインテグレーテッドリゾート 1 開発事業者の概要 インスパイアインテグレーテッドリゾートの開発事業者は 米国でカジノ事業等を手掛けるモヒガンサン 121 と韓国の建設資材 化学製品製造メーカーである KKC 122 により設立されたインスパイア インテグレーテッドリゾート (Inspire Integrated Resort Co., Ltd.) である 2 開発経緯等 2016 年 2 月 韓国政府文化体育観光部は 仁川空港周辺における IR 開発の事業者として インスパイア インテグレーテッドリゾートを選定した 同年 8 月には 仁川国際空港公社と土地の長期賃貸と開発の契約を行い インスパイアは 2020 年完成に向けて建設を開始した 計画概要 インスパイアインテグレーテッドリゾートの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-6 インスパイアインテグレーテッドリゾートの計画概要 124 インスパイアインテグレーテッドリゾート 外観 モヒガンサンインスパイア HP より引用 立地 開業予定時期 投資額 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 仁川 2020 年 第 1 期 16 億米ドル (1,840 億円 ) 総額 50 億米ドル (5,750 億円 ) 敷地面積 125 2,670,000 m2カジノ面積 20,000 m2 ホテル ( 客室数 1,350 室 ) カジノ ( テーブル 250 台 スロットマシン 1,500 台 ) ショッピングモール エンターテイメントアリーナ (15,000 名収容 ) テーマパーク 121 Mohegan Sun 122 KCC Corporation 123 Mohegan Tribal Gaming Authority の Annual Report2016 年 モヒガンサンインスパイア HP The Korea Herald 2016 年 8 月 1 日記事 110

117 (4) 済州シンファワールド 1 開発事業者の概要 済州シンファワールドの開発事業者は 中国の不動産開発会社ランディング インターナショナル デペロップメント (Landing International Development Limited 以下 ランディング インターナショナル という ) である 2 開発経緯等 同計画は 当初 ランディング インターナショナルとゲンティン シンガポールとの合弁事業として リゾートワールド済州 (Resorts World Jeju ) の計画名で進められていた しかし 2016 年 11 月 ゲンティン シンガポールは 日本において IR 法案が成立した場合に備え 同計画からの撤退を発表した 126 これに伴い 済州シンファワールド として ランディング インターナショナルにより計画が継続されることになった 127 現在 2017 年第 4 四半期の開業を目指して 建設が進められている 3 計画概要 済州シンファワールドの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-7 済州シンファワールドの計画概要 128 済州シンファワールド 外観 ランディング インターナショナルの HP より引用 立地 開業予定時期 済州 年第 4 四半期 投資額 24 億米ドル (2,760 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 備考 敷地面積 2,500,000 m2 ホテル ( 客室数 2,000 室以上 ) カジノ テーマパーク エンターテイメント複合施設 コンベンション ショッピングモール 全面開業時には直接雇用約 5,000 人を見込んでいる 126 ゲンティン シンガポール 2016 年 11 月 11 日付報道発表資料 ランディング インターナショナル 2017 年 1 月 3 日付報道発表資料 128 ランディング インターナショナル HP ランディング インターナショナル 2017 年 1 月 3 日付報道発表資料 111

118 (5) ドリームタワープロジェクト 1 開発事業者の概要 ドリームタワープロジェクトの開発事業者は 韓国の総合旅行会社であるロッテ観光開発 (Lotte Tour Development Co., Ltd.) と中国最大の不動産開発会社である緑地グループ (Greenland Group) のコンソーシアムである 2 開発経緯等 2016 年 4 月 ロッテ観光開発と緑地グループは 同プロジェクトの施工業者として 中国の大手建設会社である中国建築工程総公司を選定した 現在 2019 年の開業を目指して建設中である なお 開発後は ロッテ観光開発は ホテル 外国人専用カジノ 複合ショッピングモールなどを所有及び運営し 一方の中国緑地グループは ホテルレジデンスを韓国及び中国において分譲する計画である 計画概要 ドリームタワープロジェクトの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-8 ドリームタワープロジェクトの計画概要 131 ドリームタワープロジェクト 外観 132 ニューデイリー経済より引用 立地 開業予定時期 済州 2019 年 投資額 7,000 億韓国ウォン (700 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 備考 延床面積 302,777 m2 ホテル ( 客室数 776 室 ) ホテルレジデンス ( 客室数 850 室 ) 外国人専用カジノ 複合ショッピングモール 済州道で最も高い地上 38 階建てのツインビルとなる計画である 130 中央日報 2016 年 4 月 6 日記事 main top_news 131 中央日報 2016 年 4 月 6 日記事 main top_news 132 ニューデイリー経済 2015 年 10 月 5 日記事 112

119 3.2 マカオ 新規 IR カジノの開発動向 マカオでは 2002 年のカジノ市場の自由化以降 ライセンスをもつ 6 つのカジノ運営事業者による IR カジノ施設の建設が続いている 近年 開発の中心となっているのは タイパ島とコロアネ島の間を埋め立てて造成されたコタイ地区である コタイ地区においては カジノリゾートから国際観光都市への転換を掲げるマカオ政府の方針の下 すでに 4 社が ホテルや MICE 施設 エンターテイメント施設 ショッピングモールなど カジノ以外の要素にも力を入れた大型 IR を開業している 現在 残る 2 社による 2 箇所の IR の新規建設と既存施設 1 箇所の拡張が計画されている 図表 3-9 マカオにおいて開発予定の IR カジノ一覧 No. 施設名立地新規 拡張 1 MGM コタイ (MGM Cotai) コタイ地区新規 2 3 グランドリスボアパレス (Grand Lisboa Place) ギャラクシーマカオ ( 第 3 期 第 4 期 )(Galaxy Macau) コタイ地区 コタイ地区 新規 拡張 113

120 図表 3-10 マカオにおいて開発予定の IR カジノ位置図 マカオ 新規 IR カジノ 拡張 IR カジノ 既存 IR カジノ タイパ 3 コタイ MGM コタイ 2 グランドリスボアパレス 3 ギャラクシーマカオ ( 第 3 期 第 4 期 ) 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 114

121 3.2.2 計画概要 (1) MGM コタイ 1 開発事業者の概要 MGM コタイの開発事業者は MGM である 現在 マカオにおいては 子会社の MGM チャイナ ホールディングス ( 以下 MGM チャイナ という ) を通じて MGM マカオを運営している 2 開発経緯等 MGM コタイはコタイの宝石箱としてデザインされ 2013 年に起工した 133 当初は 2016 年の開業を予定していたが 2014 年から 2015 年にかけてのカジノ市場の低迷や競合施設の開業時期を考慮し 2017 年へ開業時期を延期した 計画概要 MGM コタイの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-11 MGM コタイの計画概要 135 MGM コタイ 外観 MGM チャイナ 2013 年 2 月 27 日付報道発表資料より引用 立地 開業予定時期 コタイ地区 2017 年下期 投資額 240 億香港ドル (3,600 億円 ) 136 カジノ面積 46,500 m2面積コンベンション面積 27,900 m2 同一建物 敷地内にある ホテル ( 客室数約 1,500 室 ) カジノ ( テーブル 500 台 スロットマシン 2,500 台 ) 133 MGM チャイナ 2013 年 2 月 27 日付報道発表資料 MGM チャイナ 2016 年 12 月 15 日付報道発表資料 Las Vegas Review-Journal 2016 年 7 月 17 日記事 MGM チャイナ 2013 年 2 月 27 日付報道発表資料 MGM チャイナ HP Las Vegas Review-Journal 2016 年 7 月 17 日記事 115

122 MGM コタイ 施設の内容 備考 コンベンション スパ ショッピングモール シアター 総面積の 85% 以上をカジノ以外の施設が占める 116

123 (2) グランドリスボアパレス 1 開発事業者の概要 グランドリスボアパレスの開発事業者は 香港に本社を置く SJM である 同社は 現在マカオにおいて 18 箇所の IR カジノ施設を運営している 2 開発経緯等 SJM は 2014 年にグランドリスボアパレス ( 当初計画名リスボアパレス ) の建設計画を発表した 137 当初は総面積の 90% 以上をカジノ以外の施設とする計画であったが 非カジノ比率の向上を目指すマカオ政府の方針を受け 総面積の 95% 以上に引き上げた 現在 2018 年上期の開業を目指して計画を進めている 計画概要 グランドリスボアパレスの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-12 グランドリスボアパレスの計画概要 グランドリスボアパレス 外観 139 SJM の HP より引用 立地 開業予定時期 コタイ地区 2018 年上期 投資額 300 億香港ドル (4,500 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 備考 延床面積 521,435 m2カジノ面積 27,000 m2 ホテル ( 客室数約 2,000 室 ) カジノ ( テーブル最大 700 台 スロットマシン 1,200 台 ) ショッピングモール 多目的シアター 総面積の 95% 以上をカジノ以外の施設が占める 137 SJM 2014 年 2 月 13 日付報道発表資料 pdf 138 NNA ASIA 2017 年 3 月 2 日記事 SJM HP 117

124 (3) ギャラクシーマカオ ( 第 3 期 第 4 期 ) 1 開発事業者の概要 ギャラクシーマカオ ( 第 3 期 第 4 期 ) の開発事業者は 香港に本社を置くギャラクシーである 現在 マカオにおいては 6 箇所の IR カジノ施設を運営している 2 開発経緯等 ギャラクシーマカオは 2011 年にコタイ地区 3 番目の IR として開業した 2015 年には 第 2 期拡張工事を終え 同施設の隣接地にあったホテルを買収 改修したブロードウェイマカオと同時に営業を開始した これにより 施設の総面積は従来のおよそ 2 倍にあたる 110 万m2となった 年に発表された第 3 期 第 4 期計画は MICE やエンターテイメント ファミリー向けの施設に重点を置いたリゾート施設で カジノ以外の施設面積が全体の 95% 以上を占める 141 当初は 2013 年末から 2014 年初めに着工する予定であったが 計画は見直され 同社の最新の発表では 2017 年上期に着工する可能性があるとしている 計画概要 ギャラクシーマカオ ( 第 3 期 第 4 期 ) の計画概要は 以下のとおりである 外観 立地 開業予定時期 投資額 143 図表 3-13 ギャラクシーマカオ ( 第 3 期 第 4 期 ) の計画概要 コタイ地区 ギャラクシーマカオ ( 第 3 期 第 4 期 ) 第 3 期 :2018 年 12 月 144 第 4 期 :2020 年 10 月 500~600 億香港ドル (7,500~9,000 億円 )( 第 3 期 第 4 期計 ) 面積敷地面積 100 万m2以上 145 同一建物 敷地内にある施設の内容 備考 ホテル ( 客室数 5,500 室 ) カジノ ( テーブル最大 1,000 台 スロットマシン 3,000 台 ) 多目的アリーナ (10,000 席 ) コンベンション (50,000 m2 ) 総面積の 95% 以上をカジノ以外の施設が占める 140 ギャラクシー Interim Report Annual Report 2012, p.3, Galaxy Entertainment Group Ltd. 142 ギャラクシー 2017 年 2 月 28 日付報道発表資料 ギャラクシー Annual Report マカオ政府によって完成開業を求められている期日 ギャラクシー Annual Report2016 によると ギャラクシーは ギャラクシーマカオの土地利用権に基づいて 第 3 期 第 4 期の開業をそれぞれの期日までに完成させることを マカオ政府から要求されている 145 ギャラクシー 2017 年 2 月 28 日付報道発表資料 118

125 3.3 カンボジア 新規 IR カジノの開発動向 カンボジアでは 1 箇所の IR カジノの拡張が計画されている 図表 3-14 カンボジアにおいて開発予定の IR カジノ一覧 No. 施設名立地新規 拡張 1 ナガ 2(Naga2) プノンペン拡張 図表 3-15 カンボジアにおいて開発予定の IR カジノ位置図 5 1 拡張 IR カジノ 既存 IR カジノ 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 119

126 3.3.2 計画概要 (1) ナガ 2 1 開発事業者の概要 ナガ 2 の開発事業者は ナガコープである ナガコープは 首都プノンペンで 国内最大の IR 施設ナガワールドを運営している なお ナガワールドについては 運営概要 (1) ナガコープ を参照すること 2 開発経緯等 既存のナガワールドは 客室稼働率は通常でも 80~90% であり 施設能力の限界に達しつつある そのため ナガコープは ナガワールドを拡張し ナガ 2 を建設することを決定した 3 計画概要 ナガ 2 の計画概要は 以下のとおりである 図表 3-16 ナガ 2 の計画概要 146 ナガ 2 外観 ナガコープの HP より引用 立地 開業予定時期 プノンペン 2017 年 投資額 3 億 6,900 万米ドル (424 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 延床面積 110,105 m2 ホテル ( 客室数 1,033 室 ) カジノ ( テーブル 200~300 台 スロットマシン 500 台 ) ショッピング施設 多目的シアター (2,100 席 ) 146 ナガコープ HP 120

127 ナガ 2 の延床面積は 110,105 m2であり ( うち 13,248 m2はナガシティウォーク ) 延床面積 113,307 m2のナガワールドとほぼ同じ規模である ナガ 2 は TSCLK コンプレックスとナガシティウォークから構成される TSCLK コンプレックスはホテルや カジノ 多目的シアター等を備えた複合施設である ショッピング施設や公共スペースを備えるナガシティウォークにより 既存施設のナガワールドと結ばれる計画になっている 147 図表 3-17 ナガ 2 の建設予定地 出典 :NagaCorp Ltd の HP より引用 147 ナガコープ HP 121

128 3.4 フィリピン 新規 IR カジノの開発動向 フィリピンにおいては 2009 年にニノイ アキノ国際空港の隣に国内初の大型 IR リゾートワールドマニラが開業したのを皮切りに マニラ首都圏に大型 IR の開業が相次いでいる 政府が国を挙げて進めるエンターテイメントシティ マニラ プロジェクトは マニラ湾の埋立地に 4 つの IR を集積させる計画で 同プロジェクト 3 番目となるオカダマニラが 2017 年 3 月に全面開業を予定している また 残る 1 箇所のウェストサイドシティリゾートワールドの開発計画も進行中である このほか マニラ以外の地域においても IR カジノの新規建設の計画があり 現在 合計で 4 箇所の IR カジノの新規建設と 既存施設 1 箇所の拡張が計画されている なお オカダマニラについては 2016 年 12 月に一部開業しているが 新規施設として本章で取り上げる 図表 3-18 フィリピンにおいて開発予定の IR カジノ一覧 No. 施設名立地新規 拡張 1 オカダマニラ (Okada Manila) マニラ新規 2 ウェストサイドシティリゾートワールド (Westside City Resorts World) マニラ新規 3 マクタンレジャーシティー (Mactan Leisure City) マクタン島新規 4 ブルームベリーリゾーツケソンシティ (Bloomberry Resorts Quezon City) ケソン 5 リゾートワールドマニラ ( 第 3 期 )(Resorts World Manila) マニラ拡張 新規 122

129 図表 3-19 フィリピンにおいて開発予定の IR カジノ位置図 ( マニラ近郊 ) 新規 IR カジノ 拡張 IR カジノ 既存 IR カジノ 1 オカダマニラ 2 ウェストサイドシティリゾートワールド 5 リゾートワールドマニラ ( 第 3 期 ) 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 123

130 図表 3-20 フィリピンにおいて開発予定の IR カジノ位置図 ( フィリピン全体図 ) 新規 IR カジノ 4 既存 IR カジノ 3 3 マクタンレジャーシティー 4 ブルームベリーリゾーツケソンシティ 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 124

131 3.4.2 計画概要 (1) オカダマニラ 1 開発業者の概要 オカダマニラの開発事業者は パチスロ機 パチンコ機 周辺機器の開発 製造 販売を行う日本企業 ( 株 ) ユニバーサルエンターテイメント ( 以下 ユニバーサル という ) である フィリピンにおける IR 開発は 同社は 現地子会社のタイガー リゾート レジャー アンド エンターテインメント (Tiger Resort Leisure and Entertainment) を通じ 単独で開発を進めている なお ユニバーサルにとって 自らが主体となる IR 開発は初めてである 2 開発経緯等 ユニバーサルは 2008 年にプロジェクト用地を取得し 2010 年に外資 100% 企業としてカジノ事業の運営を許可された 従来であれば フィリピン国内でカジノ事業を行うためには地元フィリピンのパートナーとの合弁事業とすることが必要であったが これにより単独で事業を行うことが可能となった 148 しかし 当初は 2014 年の上半期の開業を予定していたものの 149 現地パートナー企業との提携解消や資金面の問題で計画は遅延し 当局にプロジェクト保証金を没収される事態となった 150 これに対し ユニバーサルは 新しい現地パートナー企業との提携や 海外私募債の発行等によって事態を乗り切り 2016 年 12 月にオカダマニラを一部開業した 引き続き ホテルや噴水施設等の建設を進め 2017 年 3 月に第 1 期の全面開業を予定している 151 また 第 1 期開業後も 段階的に拡張を進める計画である 148 ユニバーサル 2010 年 4 月 19 日付報道発表資料 ユニバーサル 2012 年 1 月 31 日付報道発表資料 ロイター通信 2015 年 5 月 20 日記事 ユニバーサル 2017 年 2 月 10 日付報道発表資料 125

132 3 計画概要 オカダマニラの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-21 オカダマニラの計画概要 152 オカダマニラ 外観 153 ユニバーサルの報道発表資料より引用 立地 開業予定時期 マニラ 2016 年 12 月一部開業 2017 年 3 月全面開業 154 第 1 期 24 億米ドル (2,760 億円 ) 以上投資額総額 40 億米ドル (4,600 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 敷地面積 450,000 m2 第 1 期は 220,000 m2延床面積 600,000 m2カジノ面積 28,000 m2 ホテル ( 第 1 期客室数 993 室 ) カジノ ( テーブル 500 台 スロットマシン 3,000 台 ) ショッピングモール 152 ユニバーサル 2012 年 1 月 31 日付報道発表資料 オカダマニラ HP ユニバーサル 2017 年 2 月 10 日付報道発表資料 Manila Bulletin 2016 年 7 月 19 日記事 126

133 (2) ウェストサイドシティリゾートワールド 1 開発事業者の概要 ウェストサイドシティリゾートワールドの開発事業者は トラベラーズである 同社は フィリピンのアライアンスグローバルグループ 155 とゲンティン香港の合弁企業で 2009 年にニノイ アキノ国際空港の隣に大型 IR のリゾートワールドマニラを開業した なお 開業済みの同施設については 運営概要 (2) トラベラーズ インターナショナル ホテル グループ を参照すること 2 開発経緯等 ウェストサイドシティリゾートワールド 156 は 4 つの大型 IR 施設を集積させるエンターテイメントシティ マニラ プロジェクトにおける最後の IR 計画である 2015 年には住居棟の開発が追加され 住居棟部分については トラベラーズとメガワールド 157 の合弁会社が開発を担当している トラベラーズが単独で進める IR 部分については 基本計画を策定している段階であり 完成は 2020~2021 年の予定としている 計画概要 ウェストサイドシティリゾートワールドの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-22 ウェストサイドシティリゾートワールドの計画概要 159 ウェストサイドシティリゾートワールド 外観 Megaworld Bayshore Property Holdings Inc. の Facebook より引用 160 立地 マニラ 155 Alliance Global Group 156 当初の計画名称はリゾートワールドベイショア (Resorts World Bayshore) であった 157 Megaworld 158 calvinayre.com 2016 年 6 月 17 日記事 Manilastandard.net 2016 年 6 月 17 日記事 トラベラーズ 2014 年 10 月 1 日付報道発表資料 roject/ 160 メガワールド Facebook / /?type=3&theater 127

134 ウェストサイドシティリゾートワールド 開業予定時期 投資額 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 2020 年 ~2021 年 総投資額は 14 億米ドル (1,610 億円 ) IR 部分投資額 11 億米ドル (1,265 億円 ) 住宅棟部分投資額 3 億米ドル (345 億円 ) 敷地面積 310,000 m2 ホテル ( 客室数約 1,500 室 ) カジノ オペラハウス ( 座席数 3,000 席 ) ショッピングモール 128

135 (3) マクタンレジャーシティー 1 開発事業者の概要 マクタンレジャーシティの開発事業者は フィリピンで農業関連事業を手掛けるカラタ コーポレーション (Calata Corporation) である 開発経緯等 2016 年 8 月 カラタコーポレーションは 米投資会社シノ アメリカ ゲーミング インベストメント グループ (Sino-America Gaming Investment Group ) と英国領ヴァージン諸島に設立されたレジャー関連企業マカオ リソーシズ グループ (Macau Resources Group Limited) と提携し フィリピン セブ州のリゾート地マクタン島にカジノリゾート マクタンレジャーシティー を開発すると発表した 年に開発を開始する予定で 2020 年の開業を目指している 3 計画概要 マクタンレジャーシティーの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-23 マクタンレジャーシティーの計画概要 163 マクタンレジャーシティー 外観 164 マクタンレジャーシティーの Facebook より引用 立地 開業予定時期 マクタン島 2022 年 投資額 億フィリピンペソ (1,495 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 敷地面積 140,000 m2 ホテル カジノ エンターテイメント施設 コンベンション ショッピングモール ヨットクラブ 161 Rappler 2016 年 8 月 23 日記事 年 8 月 26 日のフィリピン証券取引所回覧 号 International Business Times 年 8 月 29 日記事 マクタン レジャー シティー Facebook NNA ASIA 2016 年 8 月 25 日記事 129

136 (4) ブルームベリーリゾーツケソンシティ 1 開発事業者の概要 ブルームベリーリゾーツケソンシティの開発事業者は ブルームベリーである 同社をフィリピンに本社を置くカジノ運営事業者で 2013 年にマニラベイ地区に大型 IR ソレアリゾート カジノを開業した なお 開業済みの同施設については 運営概要 (4) ブルームベリー リゾーツ を参照すること 2 開発経緯等 2015 年に ブルームベリーは 子会社を通じて ケソン市内のヴァーティスノースプロジェクト 166 対象地域の一角に 19 億ペソ (44 億円 ) で 15,676 m2の土地を取得した 167 同社は この土地において ソレアリゾート カジノに続く 2 箇所目の IR カジノ施設を 2019 年に開業する計画を進めており 2017 年半ばには建設を始める予定である 168 なお ヴァーティスノースプロジェクトは 45 万m2の区画に ビジネス 商業 ホテル 住居などを含む 45 棟の高層ビルを建築する大規模開発計画である 計画概要 ブルームベリーリゾーツケソンシティの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-24 ブルームベリーリゾーツケソンシティの計画概要 170 ブルームベリーリゾーツケソンシティ 外観 立地 開業予定時期 ケソン 2019 年 投資額 200 億フィリピンペソ (460 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 敷地面積 15,676 m2 ホテル カジノ ショッピングモール コンベンション 166 Vertis North Project 167 Philstar Global 2016 年 4 月 25 日記事 Malaya Business Insight 2016 年 6 月 8 日記事 ヴァーティスノースプロジェクト HP Bloomberg 2016 年 9 月 19 日記事 -crackdown 130

137 (5) リゾートワールドマニラ ( 第 3 期 ) 1 開発事業者の概要 リゾートワールドマニラ ( 第 3 期 ) の開発事業者は トラベラーズである なお 開業済みのリゾートワールドマニラについては 運営概要 (2) トラベラーズ インターナショナル ホテル グループ を参照すること 2 開発経緯等 トラベラーズは 2009 年にリゾートワールドマニラを開業した後 施設拡張計画を進めており 2016 年 9 月には第 2 期計画としてホテル 228 室と 4,000 人収容のボールルームが完成した さらに 第 3 期計画では ホテルの新設や拡張及びカジノの新設を予定している 計画概要 リゾートワールドマニラの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-25 リゾートワールドマニラの計画概要 172 リゾートワールドマニラ ( 第 3 期 ) 外観 トラベラーズ HP より引用 立地 開業予定時期 マニラ 2017 年末から 2018 年に順次開業予定 投資額 95 億フィリピンペソ (219 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 備考 敷地面積 ,000 m2 カジノ面積 14,000 m2 ショッピングモール面積 3,200 m2 ホテル ( 客室数 855 室 ) カジノ 174 ( テーブル最大 285 台 スロットマシン最大 1,710 台 電子ゲーム最大 1,710 台 ) ショッピングモール これに続く第 4 期では カジノ施設は含まない計画で 2018 年以降に建設開始予定である 171 The Manila Times 2017 年 1 月 18 日記事 Business World online 2016 年 6 月 11 日記事 nsion&id= トラベラーズ HP トラベラーズ HP 131

138 3.5 ベトナム 新規 IR カジノの開発動向 近年ベトナム政府は 観光産業の促進のため IR の開発を推進してきた しかし ベトナム人が入場できない外国人専用カジノであることや 政府が求める投資条件が厳しいこともあり IR の建設は思うように進まなかった そこで ベトナム政府は 2017 年 3 月から試験的に ベトナム人のカジノ入場を条件付きで許可するとともに 大型 IR 計画に対して求めてきた最低投資額を 40 億米ドル (4,600 億円 ) から 20 億米ドル (2,300 億円 ) に引き下げた 現在 ベトナムでは 以下のとおり 2 箇所の IR カジノの新規建設が計画されているが 上述のベトナム人のカジノ利用の容認や投資条件の緩和により 今後 IR 開発がより活発化する可能性がある 175 図表 3-26 ベトナムにおいて開発予定の IR カジノ一覧 No. 施設名立地新規 拡張 1 2 ヴィンパールフーコックカジノ リゾート (Vinpearl Phu Quoc Casino and Resort) ナムホイアンカジノリゾート (Nam Hoi An Casino Resort) フーコック島 ホイアン 新規 新規 175 VN Express 2017 年 1 月 21 日記事 132

139 図表 3-27 ベトナムにおいて開発予定の IR カジノ位置図 2 1 新規 IR カジノ 既存 IR カジノ 1 ヴィンパールフーコックカジノ リゾート 2 ナムホイアンカジノリゾート 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 133

140 3.5.2 計画概要 (1) ヴィンパールフーコックカジノ リゾート 1 開発事業者の概要 ヴィンパールフーコックカジノ リゾートの開発事業者は ベトナムの不動産会社ヴィングループ (Vingroup) である 同社は ベトナム国内で多くのホテルやリゾート施設を展開しており フーコック島においては 同施設のほかにも複数のリゾート施設の開発を手掛けている 2 開発経緯等 2015 年 ベトナム政府は 観光の拠点として期待を寄せるフーコック島の長期開発計画の中で カジノリゾートの設置を承認した 当初 ヴィングループは 2017 年 4 月の開業を目指して計画を進めていたが 最終的な開業時期については明らかにされていない 3 計画概要 ヴィンパールフーコックカジノ リゾートの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-28 ヴィンパールフーコックカジノ リゾートの計画概要 176 ヴィンパールフーコックカジノ リゾート 外観 177 hotel.com HP より引用 立地 開業予定時期 フーコック島 不明 投資額 40 億米ドル (4,600 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 敷地面積 30,000 m2カジノ面積 18,800 m2 ホテル ( 客室数 1,440 室 ) カジノ ( テーブル 200~400 台 スロットマシン 2,000 台 ) ショッピングモール コンベンション シアター スパ 176 Casino on Phu Quoc HP Hotels.com HP ation-anchor 134

141 (2) ナムホイアンカジノリゾート 1 開発事業者の概要 ナムホイアンカジノリゾートは ベトナムに拠点を置く投資会社ビナキャピタル (VinaCapital) と 香港の複合企業である周大福 マカオの VIP カジノ大手のサンシティグループ (SunCity Group) の三社による合弁事業として開発が進められている 2 開発経緯等 ナムホイアンカジノリゾート計画は 2010 年に開発許可を得た 当初 ビナキャピタルはゲンティンマレーシアと開発を計画していたが ベトナム政府が新規カジノ開発に課す 40 億米ドル (4,600 億円 ) 以上という厳しい投資条件を背景に 2012 年にゲンティンマレーシアが事業から離脱した その後 計画は停滞していたが 2015 年に周大福とサンシティグループが参画し オーストラリア等でのカジノ開発の経験をもつ周大福を中心に計画が再開されることとなった 2016 年 4 月に着工し 2019 年の開業を目指して建設が進められている 計画概要 ナムホイアンカジノリゾートの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-29 ナムホイアンカジノリゾートの計画概要 179 ナムホイアンカジノリゾート 外観 立地 開業予定時期 投資額 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 GGR Asia HP より引用 ホイアン 第 1 期 2019 年全体の開業は 2035 年 総投資額 40 億米ドル (4,600 億円 ) 第 1 期 5 億米ドル (575 億円 ) 敷地面積 9,850,000 m2第 1 期 1,600,000 m2 ホテル カジノ ゴルフコース エンターテイメント施設 178 Asia Gaming Brief 2016 年 4 月 13 日記事 GGR Asia2016 年 5 月 4 日記事 Viet Num News 2016 年 4 月 12 日記事 135

142 3.6 ロシア沿海地方 新規 IR カジノの開発動向 沿海地方ウラジオストク近郊プリモリエ特区は ロシアにおいてカジノ開設が認められている特区の一つである プリモリエ特区は ウラジオストク国際空港から約 15km に位置し 東京 北京 ソウルなどの大都市との距離が近いことを強みとしている 総面積 619 万m2のうち 当面 263 万m2が開発の対象とされており 2012 年に開発事業者 4 社が選定された 2015 年には プリモリエ特区で第 1 号となるティグレデクリスタルが開業した 180 現在 残る 3 箇所の IR カジノの新規建設と ティグレデクリスタルの拡張が計画されている 図表 3-30 ロシア沿海地方において開発予定の IR カジノ一覧 No. 施設名立地新規 拡張 プリモリエエンターテイメントリゾートシティ (Primorye Entertainment Resort City) セレナワールドリゾート カジノ (Selena World Resort & Casino) フェニックスリゾートカジノプリモリエ (Phoenix Resort Casino Primorye) ティグレデクリスタル ( 第 2 期 ) (Tigre de Cristal) ウラジオストク ウラジオストク ウラジオストク ウラジオストク 図表 3-31 ロシア沿海地方において開発予定の IR カジノの位置図 新規 新規 新規 拡張 新規 IR カジノ 拡張 IR カジノ 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 180 Primorsky Krai Development Corporation HP 136

143 3.6.2 計画概要 (1) プリモリエエンターテイメントリゾートシティ 1 開発事業者の概要 プリモリエエンターテイメントリゾートシティの開発事業者は ナガコープ (Naga Corp Ltd.) である ナガコープは カンボジアの首都プノンペンで 同国最大の IR 施設ナガワールドを運営している 同社にとって カンボジア以外の国への進出はロシアが初めてである なお ナガワールドについては 運営概要 (1) ナガコープ を参照すること 2 開発経緯等 2013 年 9 月 ナガコープは プリモリエ特区におけるプリモリエエンターテイメントリゾートシティ計画を発表した 181 その後 ナガコープは 2016 年 11 月から建設を開始することを明らかにし 2018 年夏の第 1 期開業を目指して計画を進めている 計画全体では第 3 期まで予定されており 投資規模は 3 億 5,000 万米ドル (403 億円 ) 以上 2021 年の完成を予定している 計画概要 プリモリエエンターテイメントリゾートシティの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-32 プリモリエエンターテイメントリゾートシティの計画概要 183 プリモリエエンターテイメントリゾートシティ 外観 立地 開業予定時期 184 ナガコープ HP より引用 ウラジオストク 第 1 期開業 2018 年 全面開業 2021 年 投資額 3 億 5,000 万米ドル以上 (403 億円 ) 面積敷地面積 216,083 m2 185 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 1,000 室 ) カジノ ( テーブル 100 台 スロットマシン 500 台 ) シアター (2,000 席 ) エンターテイメント施設 飲食施設 181 ナガコープ 2013 年 9 月 9 日付報道発表資料 182 Asia Gaming Brief 2016 年 10 月 16 日記事 The Cambodia Daily 2013 年 9 月 10 日記事 ナガコープ HP "Primorsky Krai Development Corporation" JSC HP 137

144 (2) セレナワールドリゾート カジノ 1 開発事業者の概要 セレナワールドリゾート カジノの開発事業者は ダイアモンドフォーチュンホールディングス (Diamond Fortune Holdings) である 同社は 2010 年に ロシア沿海地方におけるリゾート開発計画のために設立された 開発経緯等 2016 年 3 月 ダイアモンドフォーチュンホールディングスは 当局からプリモリエ特区におけるセレナワールドリゾート カジノの建設計画の承認を得た 同施設は サンカジノ リゾート ゴールデンゲート ムーンゲートの三つの区画からなる 現在 2018 年の開業を目指して 第 1 期のサンカジノ リゾートを建設中である 計画概要 セレナワールドリゾート カジノの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-33 セレナワールドリゾート カジノの計画概要 188 セレナワールドリゾート カジノ 外観 ダイアモンドフォーチュンホールディングスの HP より引用 立地 開業予定時期 ウラジオストク 第 1 期 2018 年 投資額 9 億 1400 万米ドル (1,051 億円 ) 189 敷地面積 ( 第 1 期 ) 200,000 m2面積延床面積 ( 第 1 期 ) 120,000 m2 同一建物 敷地内にある施設の内容 ホテル ( 客室数 1,936 室 ) カジノ ( テーブル 686 台 スロットマシン 5,040 台 ) スパ その他 ( スキー施設 ) 186 ダイアモンドフォーチュンホールディングス HP Asia Gaming Brief 2016 年 3 月 8 日記事 GGRAsia 2016 年 5 月 18 日記事 ダイアモンドフォーチュンホールディングス HP 138

145 (3) フェニックスリゾートカジノプリモリエ 1 開発事業者の概要 フェニックスリゾートカジノプリモリエの開発事業者は ロイヤルタイムグループ (Royal Time Group) である 同社は 2008 年に設立された投資会社であり ロシアや周辺諸国において カジノ エンターテイメント 建設等の事業を行っている 開発経緯等 2015 年 4 月 ロイヤルタイムグループは プリモリエ特区におけるフェニックスリゾートカジノプリモリエ計画を発表した 同計画は 2 期で構成されており 第 1 期開業は 2017 年下期を予定している 計画概要 フェニックスリゾートカジノプリモリエの計画概要は 以下のとおりである 図表 3-34 フェニックスリゾートカジノプリモリエの計画概要 192 フェニックスリゾートカジノプリモリエ 外観 ロイヤルタイムグループ HP より引用 立地 開業予定時期 投資額 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 ウラジオストク 第 1 期 2017 年下期 2 億 1500 万米ドル (247 億円 ) 以上 敷地面積 151,901 m2延床面積第 1 期 43,000 m2 最終 250,000 m2 ホテル ( 客室数 400 室 ) カジノ ( 第 1 期 : テーブル 30 台 スロットマシン 500 台最終 : テーブル 150 台 スロットマシン 3,000 台 ) シアター (1,500 席 ) エンターテイメント施設 コンベンション 190 ロイヤルタイムグループ HP ロイヤルタイムグループ 2016 年 4 月 16 日付報道発表資料 ロイヤルタイムグループ 2016 年 4 月 16 日付報道発表資料 GGRAsia 2016 年 5 月 18 日記事 139

146 (4) ティグレデクリスタル ( 第 2 期 ) 1 開発事業者の概要 ティグレデクリスタル ( 第 2 期 ) の開発事業者は G1 エンターテイメント (G1 Entertainment) である 同社は 香港のサミットアセットホールディングスの子会社で 2015 年にティグレデクリスタル ( 第 1 期 ) を開業した なお 開業済みの同施設については 運営概要 (1) G1 エンターテイメント を参照すること 2 開発経緯等 ティグレデクリスタルは 2015 年 10 月に開業した 第 2 期計画は 2017 年下期に着工し 2019 年上期に開業の予定である 計画概要 ティグレデクリスタル ( 第 2 期 ) の計画概要は 以下のとおりである 図表 3-35 ティグレデクリスタル ( 第 2 期 ) の計画概要 194 ティグレデクリスタル ( 第 2 期 ) 外観 立地 開業予定時期 ウラジオストク 2019 年上期 投資額 5 億米ドル (575 億円 ) 面積 同一建物 敷地内にある施設の内容 敷地面積 100,000 m2 ホテル ( 客室数 500 室 ) カジノ (VIP テーブル 100 台 一般テーブル 70 台 スロットマシン 500 台 ) ショッピングモール コンベンション 備考雇用創出は約 2,000 人を想定 参考情報 観光客やビジネス客を増やすことで極東地域の発展を促すため ウラジオストクなどロシア極東地域の一部で 入国手続きを大幅に簡素化する法案が 2017 年 2 月 下院議会で可決された 今後大統領が承認すれば 外国人は 4 日前までにインターネットで申請を行うことで 入国の際にビザを取得できるようになる 193 サミットアセットホールディングス Interim Results 2016 年 サミットアセットホールディングス HP GGRAsia 2016 年 11 月 24 日記事 140

147 第 4 章 IR カジノ市場の分析及び IR 導入にあたっての課題 4.1 アジアを取り巻く IR カジノ市場の分析 本節では 第 2 章及び第 3 章を踏まえ アジアを取り巻く IR カジノ市場の動向について 韓国 マカオ シンガポールを中心に分析する 主要国におけるカジノ市場の動向 (1) 韓国 韓国におけるカジノ売上高の推移をみると 外国人専用カジノ 16 施設のカジノ売上高合計は 2012 年以降 2014 年まで増加傾向であったが 2015 年は前年比 9.6% の減少であった 一方 唯一韓国人が入場可能なカンウォンランドは 2012 年以降順調に増加している 図表 4-1 韓国におけるカジノ売上高の推移 ( 外国人専用カジノ ) ( 億円 ) 1,800 1,600 1,400 1,254 1,376 1,378 1,246 1,200 1, 年 2013 年 2014 年 2015 年 出典 : パラダイスグループの四半期 Earnings Results を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 4-2 カンウォンランドにおけるカジノ売上高の推移 1,800 ( 億円 ) 1,600 1,400 1,200 1, ,556 1,419 1,213 1, 年 2013 年 2014 年 2015 年 出典 : カンウォンランド四半期 Results を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 141

148 韓国への外国人観光客とカジノ利用外国人客数の推移 196 をみると 2009 年度以降 2014 年度までは いずれも順調な伸びを見せていたが 2015 年度には減少に転じた 図表 4-3 韓国における外国人観光客及びカジノ利用外国人客数の推移 ( 千人 ) 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2, 年度 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度 外国人観光客 7,818 8,798 9,795 11,140 12,176 14,202 13,232 カジノ利用外国人客 1,676 1,946 2,101 2,384 2,707 2,962 2,614 出典 : 韓国政府文化体育観光部 HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 196 韓国政府文化体育観光部 HP %A7%80%EB%85%B8 142

149 韓国の主要な外国人専用カジノ運営事業者であるパラダイスグループとグランドコリアレジャー 2 社のカジノ売上高合計の推移を四半期単位でみると 2014 年第 4 四半期をピークに 2015 年第 3 四半期にかけてカジノ売上高が減少したが 2015 年第 4 四半期以降は回復傾向をみせている また 対前年比をみると 2015 年第 3 四半期に底を打ち 2016 年第 2 四半期よりプラスに転じている 197 一方 カンウォンランドのカジノ売上高は順調に推移している 図表 4-4 主要な外国人専用カジノ運営事業者のカジノ売上高の推移 ( 四半期 ) % ( 億円 ) % % 250 0% % % % 50-40% Q Q Q Q Q Q Q Q Q ク ラント コリアレシ ャー ハ ラタ イスク ルーフ 対前年比 11.2% 6.3% 11.7% 8.1% 3.3% 14.4% 19.1% 13.6% 15.5% 1.1% -3.8% 6.9% -4.0% -7.5% -16.9% -6.8% -2.3% 21.3% 23.4% 7.5% Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q -50% 出典 : パラダイスグループの四半期 Earnings Results 及びグランドコリアレジャー提供資料を基に株式会社日本能 率協会総合研究所作成 図表 4-5 カンウォンランドのカジノ売上高の推移 ( 四半期 ) ( 億円 ) % 20% % 300 0% % % Q Q Q Q Q Q Q Q Q カンウォンランド 対前年比 2.5% 3.0% 6.2% 0.6% -1.3% 1.0% 12.5% 9.1% 10.8% 16.2% 5.9% 12.3% 14.8% 9.5% 5.1% 9.9% 3.2% 5.9% 6.2% Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q -30% 出典 : カンウォンランド四半期 Results を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 197 パラダイスグループ HP カンウォンランド HP 143

150 (2) マカオ マカオにおけるカジノ売上高の推移をみると 2009 年以降カジノ売上高が急増していたが 2013 年をピークに 2014 年には減少に転じ 2015 年には 2014 年比 34.3% 減少と大幅に売上高が落ち込んだ 図表 4-6 マカオにおけるカジノ売上高の推移 60,000 ( 億円 ) 50,000 45,621 54,112 52,728 40,000 40,180 34,626 33,482 30,000 28,251 20,000 17,905 10, 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 出典 : マカオ政府博彩監察協調局 (DICJ) の HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 マカオにおける最近の四半期単位のカジノ売上高をみると 2016 年第 3 四半期以降 下げ止まりの傾向をみせている また 対前年比をみると 2015 年第 3 四半期以降は改善をみせ 2016 年第 3 四半期にはプラスに転じた 図表 4-7 マカオにおけるカジノ売上高及び対前年比の推移 ( 四半期 ) ( 億円 ) 20,000 18,000 16,000 60% 40% 14,000 12,000 10,000 20% 0% 8,000 6,000-20% 4,000 2,000-40% Q Q Q Q Q Q Q Q Q 売上高 ( 左目盛 ) 11,147 11,162 11,187 12,124 12,793 12,924 13,378 15,017 15,330 13,633 12,428 11,337 9,717 8,530 8,156 8,224 8,426 7,742 8,251 9,063 対前年比 ( 右目盛 ) 27.0% 13.4% 6.2% 9.9% 14.8% 15.8% 19.6% 23.9% 19.8% 5.5% -7.1% -24.5% -36.6% -37.4% -34.4% -27.5% -13.3% -9.2% 1.2% 10.2% Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q -60% 出典 : マカオ政府博彩監察協調局 (DICJ) の HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 144

151 (3) シンガポール シンガポールにおいては 2010 年 1 月にリゾートワールドセントーサ 2010 年 4 月にマリーナベイサンズの IR カジノが開業した 開業以降 2 社のカジノ売上高の合計は 多少の増減はありつつも安定的に推移してきたが 2015 年は前年比 14.1% の減少であった 図表 4-8 シンガポールにおけるカジノ売上高の推移 ( 億円 ) 6,000 5,000 4,000 3,000 3,109 4,874 4,511 4,466 4,727 4,062 2,000 1, 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 出典 : ラスベガス サンズ Annual Report 及びゲンティン シンガポール Annual Report を基に株式会社日本能率 協会総合研究所作成 シンガポールにおける 四半期単位の 2 社合計のカジノ売上高及び対前年比をみると 2012 年以降 増減を繰り返していることがわかる 2015 年第 1 四半期以降は 対前年比がマイナスの状態が続いていたが 2016 年第 2 四半期 第 3 四半期と改善をみせている 図表 4-9 シンガポールにおけるカジノ売上高及び対前年比の推移 ( 四半期 ) ( 億円 ) 1,600 1,400 30% 20% 1,200 10% 1,000 0% % % % % Q Q Q Q Q Q Q Q マリーナベイサンズ リゾートワールドセントーサ 社対前年比 13.0% -5.9% -24.6%-10.6%-13.3% 3.2% 25.3% -12.9% 14.5% 9.2% -13.8% 15.9% -15.0%-18.6% -0.7% -20.3%-21.4% -8.8% -2.7% Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q -50% 出典 : ラスベガス サンズ Annual Report 及びゲンティン シンガポール Annual Report を基に株式会社日本能率 協会総合研究所作成 145

152 (4) 総括 韓国やマカオ シンガポールのカジノ売上高の推移をみると 近年堅調に推移してきたが いずれの国 地域も 2014 年から 2015 年にかけて売上高が減少した しかし 2016 年後半は回復傾向がみられた 146

153 4.1.2 主要国における顧客属性及び売上分析 (1) 韓国 韓国における国籍別カジノ入者場数の推移をみると 2011 年度以降 日本人客は減少の一途をたどっている 一方 中国人客は急増しており 2014 年度には 2011 年度の約 2.4 倍になった しかし 2015 年度には減少に転じ 2014 年度比 14.8% の減少であった 図表 4-10 韓国における国籍別カジノ入場者数の推移 ( 千人 ) 3,500 3,000 2,500 2, ,500 1, ,264 1,692 1, 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度 日本 中国 その他 出典 : 韓国政府文化体育観光部 HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 韓国における国籍別カジノ入者場数の構成比をみると 2011 年度には 日本人客が一番多かったが 2012 年度に中国と逆転し 以降は中国人客が最多となっている 100% 図表 4-11 韓国における国籍別カジノ入場者数の推移 ( 構成比 ) 80% 26.7% 26.3% 27.2% 22.8% 25.8% 60% 40% 33.4% 40.7% 46.7% 57.1% 55.1% 20% 40.0% 33.0% 26.1% 20.0% 19.1% 0% 2011 年度 2012 年度 2013 年度 2014 年度 2015 年度 日本 中国 その他 出典 : 韓国政府文化体育観光部 HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 147

154 パラダイスグループの顧客別チップ売上高 198 をみると 2015 年第 1 四半期から第 3 四半期にかけて 全体のチップ売上高が大きく減少した 特に 2014 年第 4 四半期には VIP チップ売上高全体の約 75% を占めていた中国人 VIP のチップ売上高が大幅に落ち込んでおり 2015 年第 3 四半期には 2014 年第 4 四半期の約半分になっている 一方のマスチップ売上高は 2014 年第 4 四半期と比較すると 22.6% の減少であり VIP チップ売上高ほどの落ち込みは見られなかった これらの結果 パラダイスグループのカジノ売上高も 2014 年第 4 四半期から 2015 年第 3 四半期にかけて 3 割近く減少した なお VIP とマスではチップ売上高の集計方法が異なるため チップ売上高における VIP とマスの比率は カジノ売上高における VIP とマスの比率とは異なる 図表 4-12 顧客別チップ売上高の推移 ( パラダイスグループ四半期 ) ( 億円 ) 2,000 1,800 1,600 1,400 1,200 1, Q Q Q Q Q Q Q マス VIP その他 VIP 日本 VIP 中国 ,072 1,251 1,145 1,100 1, Q Q Q Q Q Q Q Q Q 出典 : パラダイスグループ四半期 Earnings Results を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 4-13 カジノ売上高の推移 ( パラダイスグループ四半期 ) ( 億円 ) Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q 出典 : パラダイスグループ四半期 Earnings Results を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 198 soft drop: ゲーム中にディーラーやピットボス ( 複数テーブル単位でディーラー等を監督する責任者 ) が手作業で記録したチップの売上高 148

155 (2) マカオ マカオにおけるカジノ入場者の国籍別内訳は公表されていないが ギャラクシーエンターテイメントグループの国籍別顧客内訳は 中国人が約 7 割 香港人が約 2 割を占め 残り約 1 割は日本人 台湾人 韓国人が中心である マカオのカジノ売上高における VIP とマスの構成比をみると 売上高が好調であった 2012 年から 2013 年にかけては 7 割近くを VIP の売上高が占めていた その後 VIP 売上高の減少やマス向け施設を充実させた新規 IR カジノが開業したことなどから 徐々に VIP の割合は低下してきており 2016 年は VIP53.3% マス 46.7% となっている 図表 4-14 マカオの VIP マス別のカジノ売上高構成比の推移 100% VIP マス 80% % 40% 20% % 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 出典 : マカオ政府博彩監察協調局 (DICJ) の HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 149

156 マカオの VIP マス別のカジノ売上高の推移をみると 2014 年から 2015 年にかけての売上高減少においては 特に VIP のカジノ売上高の落ち込みが大きく マスは比較的落ち込みが小さい 対前年比の推移をみると VIP は 2014 年第 2 四半期から 2016 年第 3 四半期まで 10 四半期にわたってマイナスが続いたが 2016 年第 4 四半期にプラスに転じた 一方のマスは 2014 年第 4 四半期から 2016 年第 2 四半期までの 7 四半期にわたってマイナスが続いたが VIP に比較して回復が早く 2016 年第 3 四半期にプラスに転じた 図表 4-15 マカオの VIP 売上高及び対前年比の推移 ( 四半期 ) ( 億円 ) 12,000 11,000 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1, Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q VIP 6,386 7,281 7,763 7,990 7,902 7,826 7,675 8,225 8,672 8,704 8,669 9,733 9,759 8,196 7,016 6,909 5,651 4,735 4,349 4,438 4,557 3,990 4,297 5,000 対前年比 48.0% 50.0% 52.0% 31.6% 23.7% 7.5% -1.1% 2.9% 9.8% 11.2% 13.0% 18.3% 12.5% -5.8% -19.1% -29.0% -42.1% -42.2% -38.0% -35.8% -19.3% -15.7% -1.2% 12.7% 60% 40% 20% 0% -20% -40% -60% 出典 : マカオ政府博彩監察協調局 (DICJ) の HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 4-16 マカオのマス売上高及び対前年比の推移 ( 四半期 ) ( 億円 ) 6,000 60% 5,000 40% 4,000 20% 3,000 0% 2,000-20% 1,000-40% Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q マス 2,393 2,560 2,771 3,038 3,245 3,336 3,512 3,900 4,120 4,220 4,709 5,284 5,571 5,437 5,413 4,428 4,066 3,795 3,807 3,785 3,869 3,752 3,954 4,063 対前年比 30.9% 36.2% 38.5% 38.4% 35.6% 30.3% 26.8% 28.4% 27.0% 26.5% 34.1% 35.5% 35.2% 28.8% 14.9% -16.2% -27.0% -30.2% -29.7% -14.5% -4.8% -1.1% 3.9% 7.3% Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q -60% 出典 : マカオ政府博彩監察協調局 (DICJ) の HP を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 150

157 (3) シンガポール シンガポールにおけるカジノ入場者の国籍別内訳は公表されていない なお マカオを訪れる外国人旅行者の 6 割以上が中国からであるのに対し シンガポールへの中国人旅行者は 16.8%(2015 年 ) にとどまる 図表 4-17 シンガポールへの外国人旅行者数 (2015 年の上位 5 箇国 地域 ) その他 6,918,061 人 45.4% インドネシア 2,719,027 人 17.9% 中国 2,566,184 人 16.8% マレーシア 966,012 人 6.3% オーストラリア 977,547 人 6.4% インド 1,084, % 出典 : 国連世界観光機関 Yearbook of Tourism Statistics/World Tourism Organization による Arrivals of non-resident visitors at national borders を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 マリーナベイサンズのカジノ売上高全体に占める VIP 売上高の割合は 2015 年は 40%~45% 2016 年は約 33% である 前述のとおり マカオにおけるカジノ売上高全体に占める VIP 売上高の割合は 2013 年時点では 66.1% VIP 売上高の割合が減少した 2016 年でも 53.3% であることと比べると シンガポールは比較的 VIP への依存度合が低いと言える 主要国におけるカジノ市場の動向 (3) シンガポール でみたとおり 2015 年のシンガポールにおけるカジノ売上高は 前年比 14.1% の減少であった 前年比 34.3% の減少であったマカオに比べ カジノ売上高減少が少なかったのは VIP への依存度合が比較的低かったことが一因と考えられる (4) 総括 韓国 マカオ シンガポールにおける 2014 年から 2015 年にかけてのカジノ売上高減少について 国籍や VIP マスといった顧客属性から分析した結果 当該期間におけるカジノ売上高減少の要因としては 国 地域によって影響の度合いは異なるものの 中国人客 とりわけ中国人 VIP の減少が影響したと考えられる なお 中国人 VIP の減少の理由としては 中国の景気減速と習近平政権が進める反腐敗運動 199 の影響が挙げられる 199 習近平政権が進める政府幹部や国有企業幹部の汚職 腐敗摘発を強化する取組 この一環として 政府幹部等のマカオへの出入りやクレジットカードの決済等を監視しているとされる 151

158 4.1.3 マス層の獲得に向けた動き (1) マス層の獲得に向けた動き 前述のとおり 中国の景気減速や習近平政権が進める反腐敗運動の影響により 高額な掛け金で遊ぶ VIP が減少し 2014 年から 2015 年にかけて アジア主要国のカジノ売上高は落ち込んだ 特に 中国人 VIP に大きく依存していたマカオにおいては 2015 年のカジノ売上高が前年比で 34.3% 減少 VIP のカジノ売上高は 39.9% も減少した このように 特定の国 地域の顧客や VIP 客に依存していると 売上高の変動が大きく 安定的な経営が難しい そこで 各国 地域の政府やカジノ運営事業者は VIP 以外のマス層の獲得に乗り出している 1 マカオ政府の方針 2016 年 マカオ政府は 世界における観光とレジャーの中心を目指す ことを目標に掲げた初の 5 か年発展計画 200 を発表した かねてよりカジノに依存した経済構造に危機感を覚えていた政府は 同計画において 2020 年までに官民の協力の下 カジノ運営 6 事業者の売上高のうちカジノ以外の売上高が占める割合を 2014 年の約 6.6% から約 9% まで拡大する目標を定め 非カジノの拡大方針を明確に打ち出している また 同じく 2016 年に政府により公開されたカジノ産業の中間レビュー 201 においても 今後 VIP への依存度を下げ マスを拡大していくため 非カジノを強化していくことに言及している 200 The Five-Year Development Plan of the Macao Special Administrative Region ( ) Interim Review of Gaming Liberalization for Games of Fortune in Macao: economical, social, livelihood impacts and operating conditions of the Concessionaires 152

159 2 マカオ 6 事業者によるコタイ地区開発 マカオでは コタイ地区において ライセンスが付与されている 6 事業者それぞれが マスの拡大を見据えた開発を進めてきており 2015 年から 2017 年にかけてマス向けの施設を充実させた新しい IR カジノの開業が続いている また これらの新しい IR カジノの開業においては マカオ政府がコタイ地区の土地の割り振りを調整し 計画的に建設を進めた 図表 4-18 マカオ コタイ地区における各事業者の新規 IR カジノ建設用地 点線 : 各社既存施設実線 : 新規 IR カジノ施設 (2015 年以降 ) ブロードウェイマカオ ギャラクシー パリジャンマカオ ラスベガス サンズ メルコ クラウン M G M ウィンリゾーツ MGM コタイ ウィンパレス メルコ クラウン ラスベガス サンズ SJM スタジオシティ グランドリスボアパレス 出典 :MGM 提供資料を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 SJM 運営事業者 ウィンリゾーツ 図表 4-19 マカオ コタイ地区における新規開業 施設拡張の状況 新規開業 施設拡張の状況 新規 グランドリスボアパレス (2018 年予定 ) 有名デザイナーが手掛けるホテルや多目的シアターなど 新規 ウィンパレス (2016 年 ) 施設前の噴水ショーと施設を周遊するゴンドラが特徴 レストラン スパ ショッピングエリアなど ギャラクシー ラスベガス サンズ MGM メルコ クラウン 新規 ブロードウェイマカオ (2015 年 ) 3,000 席のシアターや 飲食店や小売店が軒を連ねる ザ ブロードウェイ など 拡張 ギャラクシー マカオ ( 第 3 期 第 4 期 )( 開業時期未定 ) MICE やファミリー向けの施設に重点を置いた施設となる予定 新規 パリジャンマカオ (2016 年 ) 20 世紀のフランスを彷彿とさせるエンターテイメントホテル 世界トップクラスの演劇やショー ショッピングエリア レストランなど 新規 MGM コタイ (2017 年予定 ) ショッピングモール レストラン スパ シアター コンベンションなど 新規 スタジオシティ (2015 年 ) 映画そのものをテーマにしたリゾート 8 の字の観覧車やショッピングモール エンターテイメント施設など 153

160 3 マカオ以外の国 地域における開発計画 第 3 章で述べたとおり 近年 韓国やフィリピン ロシア沿海地方など マカオ以外の国 地域においても 新規 IR カジノを建設する動きが活発になっている 近年の傾向としては カジノ中心ではなく 幅広い客層を取り込むべくカジノ以外の施設の充実を図った複合型の施設が主流となっている 例えば 韓国のパラダイスシティでは 2017 年に開業予定のホテルやカジノ施設などに続き 2 次開発として プレミアムスパやショッピングモールのほか文化施設や韓流テーマパーク等 エンターテイメントを意識した施設づくりを進めている 図表 4-20 パラダイスシティにおける開発計画 出典 : パラダイスセガサミー社提供資料より引用 154

161 (2) マス層獲得に向けた動きの背景 前述のように 各国 地域の政府やカジノ運営事業者は 特定の国 地域の顧客や VIP 客に過度に依存せず 安定的な経営を実現するため マス層を呼び込むための取組を進めている この背景には アジア地域において 富裕層だけでなく中間所得層の人口増加が見込まれることがある 国 地域別の所得階層別人口をみると 特に中国においては 低所得層の人口が大幅に減少する一方 2010 年には 7 億 3,000 万人だった上位中間層 下位中間層の人口が 2020 年には 9 億 7,700 万人と 2 億 4,700 万人増加することが見込まれている 図表 4-21 国 地域別の所得階層別人口 ( 百万人 ) 2,000 1,800 1,600 低所得層 : 5,000 ドル ( 58 万円 ) 未満下位中間層 : 5,000 ドル ( 58 万円 ) 以上 ~15,000 ドル ( 173 万円 ) 未満上位中間層 : 15,000 ドル (173 万円 ) 以上 ~35,000 ドル ( 403 万円 ) 未満富裕層 : 35,000 ドル ( 403 万円 ) 以上 1,400 1,200 1, 数値は世帯年間可処分所得 年 2015 年 2020 年 2010 年 2015 年 2020 年 2010 年 2015 年 2020 年 先進国中国 ASEAN 世帯可処分所得別の家計人口 各所得層の家計比率 人口で算出 2015 年 2020 年の各所得階層の家計比率は推計 出典 : 経済産業省 通商白書 2013 を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 155

162 また マスは VIP と比較して カジノ売上高における利益率が高いという特徴を持つ マカオにおける年間カジノ売上高と推定営業利益をみると カジノ売上高では 46% であったマスの比率が 利益では 77% となっている 図表 4-22 マカオにおける年間カジノ売上高と推定営業利益 100% 80% 60% 40% 20% 3 兆 1,947 億円 7,581 億円 約 1.7 倍 VIP マス 0% カジノ売上高 営業利益 営業利益は マカオ政府博彩監察協調局 (DICJ) が発表のカジノ売上高 (2015 年第 2 四半期 ~2016 年第 1 四半期 実績 ) を基にラスベガス サンズが推計したものである 出典 : Las Vegas Sands Investor Update June 2016 加えて 前述のマカオ政府が発表したカジノ産業中間レビューでは カジノに参加した客が 飲食 ショッピング 娯楽 観光などのカジノ以外の消費に貢献すると同時に カジノ以外に魅力を感じて訪れた客がカジノでの消費にも貢献するといった カジノと非カジノ間の相乗効果が存在すると述べられている すなわち カジノ以外の施設を充実させてマス層を呼び込むことは カジノ以外の売上を拡大するだけでなく 相乗効果によるカジノ売上高の増加も期待できると言える これらのことを背景として 各カジノ運営事業者は カジノ以外の施設に重点を置いた開発を行って他事業者との差別化を図り マス層の獲得に努めている 156

163 4.2 日本及び東京の特性 本節では アジアの IR カジノ市場からみた日本及び東京の特性について述べる 外国人旅行者数の推移 (1) 世界の外国人旅行者数の推移 国連世界観光機関によると 世界の旅行者数は増加傾向が続いており 2015 年には 11.9 億人に達している こうした傾向は今後も長期間に渡って継続することが見込まれており 2020 年には約 13.6 億人 2030 年には約 18.1 億人まで増加することが予測されている 図表 4-23 世界の外国人旅行者数の推移 ( 百万人 ) 2,000 1,800 実績 見通し 1,600 1,400 1,200 1, ヨーロッパアジア 太平洋米州中東アフリカ 年 1995 年 2000 年 2005 年 2010 年 2014 年 2015 年 2020 年 2030 年 アフリカ 中東 米州 アジア 太平洋 ヨーロッパ [ 単位 : 百万人 ] 出典 : 世界観光機関 Tourism Highlights 2016 Edition を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 157

164 (2) 訪日外国人旅行者数の推移 日本を訪れる外国人旅行者は 2003 年に政府がビジット ジャパン キャンペーンの取組を開始して以来 一時的な落ち込みはあるものの 順調に伸びており 2016 年の外国人旅行者数は 2,403 万 9 千人に達した 2015 年の訪日外国人旅行者数の内訳をみると アジアからの旅行者が 1,665 万人と全体の約 84% を占めている 図表 4-24 訪日外国人旅行者数の推移 ( 万人 ) 3,000 2,400 万人突破 アジアからの旅行者数 2,500 2,404 2,000 1,000 万人突破 1,974 2,043 1,500 1, リーマン 東日本大震災ショックビジットジャパン開 1,341 1,665 始 1, , 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年 出典 : 日本政府観光局 (JNTO) を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 図表 4-25 訪日外国人旅行者数の内訳 (2015 年 ) 出典 : 日本政府観光局 (JNTO) を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 タイ 796,731 シンガポール 308,783 マレーシア 305,447 フィリピン 268,361 インドネシア 205,083 ベトナム 185,395 [ 人 ] 158

165 (3) 訪都外国人旅行者数の推移 2015 年に東京都を訪れた外国人旅行者は約 1,189 万人 ( 対前年比 34.0% 増 ) となった 訪都外国人旅行者数は 円安や消費税免税制度の拡充 中国及び東南アジア諸国の査証発給要件の大幅緩和措置等の影響を受け 過去最多となった 図表 4-26 訪都外国人旅行者数の推移 [ 千人 ] [ 千人 ] 20, , , , , , , , , , , ,200 15, , , ,978 11, ,000 10,000 5, ,874 6,812 4,180 4,489 4,808 5,330 5,336 5,942 5,562 4,760 4,098 外国人旅行者数国内旅行者数 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年出典 : 東京都観光客数等実態調査( 東京都 ) を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 300, , ,

166 4.2.2 各国 地域の分析 東京から飛行機で 3 時間 5 時間 8 時間以内のアクセス圏内をみると 以下の国 地域が含まれる 図表 4-27 各国 地域の状況 モンゴル アクセス :5 時間 30 分人口 :313 万人 1 人あたり GDP:4,182 米ドル (48 万円 ) マカオ アクセス :5 時間人口 :65 万人 1 人あたり GDP:71,077 米ドル (817 万円 ) ミャンマー アクセス :7 時間 10 分人口 :5,148 万人 1 人あたり GDP:1,292 米ドル (15 万円 ) 中国 アクセス :3 時間 10 分人口 :13 億 7,462 万人 1 人あたり GDP:8,154 米ドル (94 万円 ) 香港 アクセス :4 時間 30 分人口 :732 万人 1 人あたり GDP:42,390 米ドル (487 万円 ) ロシア沿海地方 3 時間圏内 韓国 アクセス :2 時間 20 分人口 :5,150 万人 1 人あたり GDP:27,397 米ドル (315 万円 ) ロシア沿海地方 アクセス :2 時間 40 分人口 :193 万人 1 人あたり GDP:333,420 ルーブル (60 万円 ) タイ アクセス :6 時間 30 分人口 :6,676 万人 1 人あたり GDP:5,445 米ドル (63 万円 ) マカオ 台湾 アクセス :3 時間 30 分人口 :2,349 万人 1 人あたり GDP:22,598 米ドル (260 万円 ) 5 時間圏内 カンボジア アクセス :6 時間 20 分人口 :1,470 万人 1 人あたり GDP:1,168 米ドル (13 万円 ) マレーシア アクセス :7 時間 10 分人口 :3,099 万人 1 人あたり GDP:9,560 米ドル (110 万円 ) ベトナム アクセス :5 時間 30 分人口 :9,340 万人 1 人あたり GDP:2,052 米ドル (24 万円 ) シンガポール アクセス :7 時間人口 :547 万人 1 人あたり GDP:52,888 米ドル (608 万円 ) フィリピン アクセス :4 時間 40 分人口 :1 億 98 万人 1 人あたり GDP:2,850 米ドル (33 万円 ) インドネシア アクセス :7 時間 20 分人口 :2 億 5,217 万人 1 人あたり GDP:3,531 米ドル (41 万円 ) 8 時間圏内 外務省から渡航自粛要請が通達されている北朝鮮は分析から除外した 出典 :Google Map を基に株式会社日本能率協会総合研究所作成 160

167 各国 地域について 東京からのアクセス 人口 訪日者数 1 人あたり GDP について整理すると以下のとおりである 東京からのアクセスが 5 時間以内の国 地域をみると 韓国 台湾 香港 マカオといった 1 人あたり GDP が高い国 地域が含まれていることがわかる 中国については 現在の 1 人あたり GDP は他の国 地域と比べて低いものの (2) マス層獲得に向けた動きの背景 で述べたように 今後富裕層だけでなく上位中間層 下位中間層の人口が大幅に増加することが見込まれている また 中国のエリアごとの所得分布をみると 日本に近い沿海部に 1 人あたり GDP が高い地域が集中していることがわかる 2015 年の訪日者数が約 500 万人と最多であり 前年比 % と大きく増加していることも併せて考えると 日本にとって重要な市場であると言える 国 地域 人口 [ 万人 ] 図表 4-28 各国 地域の比較 2015 年訪日者数 [ 万人 ] 2015 年訪日者数前年比伸率 [%] 東京からの 1 人あたりアクセス GDP [ 万円 ] [ 分 ] 分類 韓国 5, ロシア沿海地方 中国 137, 時間 台湾 2, 香港 フィリピン 10, マカオ 時間 モンゴル ベトナム 9, カンボジア 1, タイ 6, シンガポール マレーシア 3, 時間 ミャンマー 5, インドネシア 25, 各国 地域における 1 人あたり GDP は 2015 年の数値 ただし 台湾 フィリピン ベトナム タイ インドネシアは 2014 年の数値 161

168 図表 4-29 中国のエリアごとの所得分布 出典 : Las Vegas Sands Investor Update June 2016 を基に株式会社日本能率総合研究所作成 162

169 4.2.3 競合分析 本調査の対象国 地域のうち カジノ売上高が大きい韓国 マカオ シンガポール並びに近年複数の IR カジノの建設が計画されているフィリピン及びロシア沿海地方について その特徴や日本との競合関係を整理した 図表 4-30 各国 地域の特徴と競合関係 国 地域特徴競合関係 韓国 マカオ シンガポール フィリピン ロシア沿海地方 既存の 17 のカジノに加え 今後複数の大型 IR カジノの開業が予定されている 36 の IR カジノが開業しており 世界でも有数の IR カジノが集積した都市である 近年は政府の方針として カジノ以外の施設も強化した大型 IR カジノが開業している 2 つの大型 IR カジノが開業している 1 つは MICE 機能が充実したシンガポールのアイコンとなる IR であり もう 1 つはリゾートをコンセプトとした IR である 多数の小 中規模カジノ施設のほか 4 つの大型 IR カジノが開業しており 更に今後も複数の大型 IR カジノの開業が予定されている また 観光立国を目指し 治安の改善を進めている 1 つの IR カジノが開業しており 更に今後も複数の IR カジノの開業が予定されている 日本より先に大型 IR カジノが開業する予定であり また 日本との距離も近く 競合となりうる 多様な観光資源を持つ日本とは 旅行者の目的が異なると考えられ 差別化を図りやすい 日本との距離が離れており また 当面 新規 IR カジノの開業予定もないことから 直接の影響は大きくないと考えられる IR カジノ以外の観光資源が限られているため 誘客において 多様な観光資源を有することが日本の強みとなりうる 中国等 一部市場圏が重なる可能性がある フィリピンは道路 鉄道 空港などのインフラが整備途上にあり 成熟した都市としての魅力という面では日本に強みがある また 治安面についても 日本に強みがある 日本で想定される IR に比べると小規模であり また ロシア沿海地方には観光資源も少ないことから 影響は限定的と考えられる 163

170 4.3 IR 導入にあたっての課題 本節では 前項までの内容を踏まえ IR 導入にあたっての課題について整理する (1) 地域にふさわしいコンセプト 世界を代表する IR は それぞれ明確なコンセプトに基づいて設置されており 地域にふさわしいコンセプトを持った IR であることが必要である 施設名 図表 4-31 シンガポールにおける IR のコンセプト コンセプト マリーナベイサンズ 世界有数の MICE 施設を有する シンガポールのアイコンとなる IR リゾートワールドセントーサ ファミリー層もターゲットとしたリゾート型 IR 出典 : 画像は各社公式 HP より引用 また シンガポール政府のように IR 運営事業者を選定するにあたり 基本的なコンセプトを政府が決定した上で そのコンセプトに沿った提案を募集した例もある この方法を用いる場合は 自治体は事前に十分なコンセプトの検討を行い 事業者への提案募集前にコンセプトを決定しておく必要がある (2) 良好な交通アクセス 海外から IR に誘客するためには 国際空港からのアクセスが良い場所に IR を設置することが好ましい (3) 幅広い顧客層の誘客 IR カジノにおいて カジノ売上高が全体に占める比率は依然として大きいものの 安定的に施設を運営していくためには幅広い顧客層の誘客が重要であり エンターテイメント施設や MICE 施設など カジノ以外の施設の充実が求められる 164

171 図表 4-32 各国 地域の IR におけるカジノ以外の施設 国 地域施設名特徴的な施設 韓国 パラダイスシティ ( 新規開業予定 ) 韓流コンテンツや韓国文化を発信するショッピングモール 国際会議が開催可能な会議施設 プレミアムスパ プレミアムスパ ブロードウェイマカオ ブロードウェイ シアター ザ ブロードウェイ ( ショッピングモール ) ブロードウェイ シアター マカオ ゴールデンリール スタジオシティ ゴールデンリール (8 の字の観覧車 ) 有名キャラクターをテーマにしたアトラクション マリーナベイサンズ スカイパーク (3 つの建物の屋上をつなぐ船型の庭園及びプール ) 科学美術館 シアター (4,000 席 ) コンベンション (4 万 5,000 人収容 ボールルーム含む ) 科学美術館 シンガポール リゾートワールドセントーサ ユニバーサルスタジオ シンガポール シー アクアリウム ( アジア最大級の規模を誇る海洋水族館 ) ユニバーサルスタジオ シンガポール フィリピン オカダマニラ ショッピングモール 大規模噴水 屋内ビーチ 屋内ビーチ 出典 : 画像は各社公式 HP より引用 165

172 (4) 国際観光誘致との一体化 IR への誘客にあたっては 都市景観 水辺 夜景等の地域を象徴する様々な景観や 歴史 文化 食 アニメ ファッション等の観光資源を活用し 外国人旅行者の誘致と一体的な計画づくりが必要である (5) 営業活動 ターゲットとする国の旅行客や旅行代理店等に対して IR を含めた観光資源の魅力をアピールするなどの営業活動が必要である また MICE 施設を活用した国際会議の誘致については 旅行者とは異なるアプローチでの営業活動が必要である シンガポール政府観光局では マリーナベイサンズをシンガポールのアイコンとした HP パンフレット テレビ CM 等による観光客誘致活動を積極的に行っている また 同施設を運営するラスベガス サンズが世界に保有する支店等を通じた営業ネットワークを活用し MICE 施設への国際会議の誘致に成功している (6) ギャンブル依存症対策 IR 導入にともない懸念されるギャンブル依存症問題に対する対策の実施が必要である シンガポールでは ギャンブル依存症対策として様々な検討を行い 本人または家族の申請により カジノ施設への入場を自主的に規制する等の仕組みを導入し IR 導入前よりもギャンブル依存症患者の有病率を低減することに成功している (7) セキュリティ対策 IR カジノ導入にともない懸念される反社会勢力の関与リスクや IR 設置地域の治安悪化リスクに対する対策の実施が必要である また 大勢の客が集まる場所となるため 近年世界的に多発しているテロ事件のターゲットとなるリスクも考えられ 対策の実施が必要である シンガポールの IR 運営事業者においては シンガポール警察のセキュリティライセンスを持った人材を採用する等の取組例がある 166

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174 平成 28 年度海外における特定複合観光施設に関する調査分析業務委託報告書 発行月 平成 29 年 3 月 発行東京都港湾局 東京都新宿区西新宿二丁目 8 番 1 号 Tel 調査分析実施 株式会社日本能率協会総合研究所