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1 ハイリスク薬のポイントブック<6> 不整脈用剤 ジキタリス製剤 目次 参考診療報酬におけるハイリスク薬の考え方 1 薬学的管理指導において特に注意すべき事項 2 対応時の注意 2 服薬指導のポイント 2 自覚症状確認 2 服薬状況確認 3 検査状況や主治医の説明内容の確認 3 他剤併用の確認 3 薬剤の特徴を把握する 3 適応症の確認 3 用法 用量等の確認 4 注意を要する疾患の確認 4 薬剤群別の注意事項 ( 副作用 ) 4 OTC 薬 民間療法 健康食品の使用確認 5 リスク因子の有無 5 日常生活の指導 6 食事 嗜好品摂取の指導 6 家族への情報 6 治療薬物モニタリング (TDM) 7 機器を植え込んだ患者の自動車の運転 7 不整脈の治療 7 治療の選択 8 不整脈の薬物治療 9 1.Vaughan Williams 分類 9 2.Sicilian Gambit 分類 11 抗不整脈薬の禁忌疾患 14 心機能低下患者への投与 15 腎機能障害患者への投与 15 肝機能障害患者への投与 15 妊婦への投与 15 高齢者への投与 16 催不整脈 ( プロアリズミア ) 徐脈性不整脈 薬剤依存性上室頻拍 薬剤依存性心室頻拍 17 Trsades de pointes(tdp) 18 陰性変力作用 19 アップストリーム治療戦略 20 最新の動向 20 心臓の構造 21 心臓の刺激伝導系 21 心筋の活動電位 22 心電図 (electrocardiogram:ecg) 22 不整脈とは 23 不整脈の発生機序 23 不整脈の分類と治療 25 Ⅰ. 徐脈性不整脈 25 Ⅱ. 頻脈性不整脈 27 Ⅲ. 伝導障害 34 Ⅳ. 不整脈をきたす心電図症候群 34 ジキタリス製剤 36 服薬指導のポイント 36 ジキタリスとは 38 ジギタリスの作用機序 39 治療薬物モニタリング (TDM) 39 ジギタリス中毒 39 不整脈の非薬物療法について 41 [ 心臓ペースメーカーと植込型除細動器 ] < 表 > 不整脈の分類 43 主な抗不整脈薬一覧 44 主な抗不整脈薬一覧 -Sicilian Gambit 分類 ( 日本版 )- 47 抗不整脈薬の 重要な基本的注意 と副作用症状 49 抗不整脈薬の 重大な副作用 と初期症状 52 添付文書に QT 延長 の記載のある薬剤 55 抗不整脈薬の治療薬物モニタリング (TDM) 対象薬物と有効血中濃度域 62 抗不整脈薬の健康食品 サプリメント等食品との相互作用 63 ジギタリス製剤一覧 注意すべき副作用と初期症状 66 ジギタリス製剤の相互作用 67 ジゴキシンの健康食品 サプリメント等食品との相互作用 70

2 この冊子は 現在 愛知県薬剤師会薬事情報センターと岐阜県薬剤師会ぎふ薬事情報センターが共同し県薬剤師会ホームページの会員情報に提供している ハイリスク薬の薬学的管理指導薬局向け参考資料 より作成しました 今回はハイリスク薬の 不整脈用剤 ジキタリス製剤 について冊子にまとめました 日常業務にお役立てください 参考診療報酬におけるハイリスク薬の考え方 ハイリスク薬の薬学的管理指導を実施する上で必要な 薬局 薬剤師が行うべき標準的な業務を示したものが 薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン ( 第 2 版 ) [ 日本薬剤師会平成 23 年 4 月 15 日 ] です このガイドラインは 平成 28 年度調剤報酬点数表 特定薬剤管理指導加算 の参考にするものです 特にハイリスク薬については 下記の5-Components と薬物動態学的な視点 ( 体重 身長 腎機能検査値 肝機能検査値等 ) を意識した服薬指導が望まれています 1 薬剤の効果 ( 作用 ) : どういう効果があるか いつごろ効果が期待できるか 2 副作用 ( 副作用の自覚症状 ) : どのような副作用が起こりうるか いつ頃から どのように自覚されるか 3 服薬手順 : どのように いつ いつまで服用するか 食事との関係 最大用量 服用を継続する意義 4 注意事項 : 保管方法 残薬の取り扱い 自己判断による服薬や管理の危険性 5 再診の予定 ( 次回受診日 ) : いつ再診するか 予定より早く受診するのはどのような時か 個々の患者さんを薬剤のハイリスクから守るため 薬局薬剤師が投薬時に患者さんと対面において 情報収集し考え フォロー 指導を行うものであり 画一的な内容では網羅しきれない綿密な薬学的管理指導です 患者さん又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点については 薬剤服用歴の記録に記載することが基本となります 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について ( 通知 ): 抜粋平成 28 年 3 月 4 日保医発 0304 第 3 号別添 3( 調剤報酬点数表 ) よりア特定薬剤管理指導加算は 薬剤服用歴管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指導等に加えて 患者又はその家族等に当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬品である旨を伝え 当該薬剤についてこれまでの指導内容等も踏まえ適切な指導を行った場合に算定する なお 薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン ( 日本薬剤師会 ) 等を参照し 特に安全管理が必要な医薬品に関して薬学的管理及び指導等を行う上で必要な情報については事前に情報を収集することが望ましいが 薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集については必ずしも必要とはしない イ ( 省略 ) 具体的な対象薬剤については その一覧を厚生労働省のホームページに掲載している -1-

3 不整脈用剤 薬学的管理指導において特に注意すべき事項 1) 患者に対する処方内容 ( 薬剤名 用法 用量等 ) の確認 2) 服用患者のアドヒアランスの確認 3) 副作用モニタリング ( ふらつき 動悸 低血糖等の症状 ) 及び重篤な副作用 ( 催不整脈等 ) 発生時の対処方法の教育 検査状況やその値 ( 腎 肝機能等 ) の確認 4) 効果の確認 ( 最近の発作状況を聞き取り 適正な用量 可能な場合の検査値のモニター ) 5) 一般用医薬品やサプリメント等を含め QT 延長を起こしやすい薬剤等 併用薬及び食事との相互作用の確認 対応時の注意抗不整脈薬は 不整脈の原因である心臓の刺激伝導系の異常な刺激の伝わりを正常に改善することで効果を示すが 有効治療域が狭く 体内動態の個人差 個体内変動が大きな薬剤である また 使用により不整脈は抑制するが 新たな不整脈を誘発する催不整脈作用を起こす可能性もある これは 心室頻拍と torsades de pointes(tdp) 型の多形性心室頻拍がその代表疾患で 突然死の危険性が高い その予防と早期発見 対応が重要となる 催不整脈発生を防ぐ 不適切な薬剤投与量を避ける 徐脈 低 K 血症の予防 血中濃度が上昇しやすい腎機能および肝機能障害への影響を考慮する 薬物代謝酵素 CYP2D6 3A4 の代謝阻害剤併用時の用量調節 高齢者への安易な使用を控える 抗不整脈薬の利点と欠点を考慮し 漫然とした使用を避ける 抗不整脈薬を服用している患者を注意深く観察する( めまい 動悸等の症状がないか ) 頻回に心電図モニター検査を行う 使用している抗不整脈薬の適応を把握する 服薬指導のポイント 資料 抗不整脈薬の重要な基本的注意と副作用症状 P49 患者の自覚症状を確認する めまい 動悸 胸が痛む 胸部不快感 脈が飛ぶような感じなどの症状がないか 新たな不整脈の誘発 安静時または運動時に息切れがないか 心拍出量の減少 -2-

4 正常洞調律 : 心拍数が 60~100 回 / 分頻脈性不整脈 : 心拍数が 100 回 / 分以上徐脈性不整脈 : 心拍数が 60 回 / 分未満 激しい空腹感 ふらつき 冷や汗 低血糖砂糖やブドウ糖などを携帯して症状がある時に速やかに摂取するように指導 失神 めまいの既往 心房細動の患者への催不整脈 呼吸数の変化 息切れ むくみ 体重増加 心不全症状 服薬状況の確認 医師の指示とおりに決められた時間に 決められた量を服用できているか服用を急に中止すると重篤な変化をきたすことがあるので 勝手に変更しない 定期的に心電図 血液の検査も行っているか 最近の発作状況を聞き取る日記やお薬手帳に記録してもらうことで 薬剤の効果を確認することができる 服用に対して不安 質問がないか 検査状況や主治医の説明内容の確認 定期的に心電図検査 血圧測定を行い異常な変動がないか 病状の理解 また 服薬の必要性を理解しているか( 基礎疾患がなく 生命予後や QOL に影響しない場合は治療を必要としないこともある ) 抗不整脈薬では病態そのものを治すのでなく 症状の緩和で QOL を改善することはあっても生命予後を改善するとは限らないことがある 漫然とした治療により心機能悪化や致死的不整脈を誘発するリスクがある β 遮断薬と一部の不整脈に対するアミオダロンを除くすべての抗不整脈薬にいえることである 他剤併用の確認 不整脈を引き起こす薬剤がないかの確認 QT 延長を増強する薬剤との併用はないか バルデナフィル モキシフロキサシン アミオダロン ( 注射剤 ) トレミフェン スパルフロキサシン スニチニブ等 資料 添付文書に QT 延長 の記載のある薬剤 P55 CYP3A4 阻害作用のある薬剤との併用はないか CYP2D6 に関与する薬剤との併用はないか 薬剤の特徴を把握する 半減期が短い 遊離型薬剤の血中濃度が臨床効果と相関する 蛋白結合率の確認 陰性変力作用の有無 アプリンジンとピルシカイニドは陰性変力作用が少ない 代謝経路 腎排泄型か肝排泄型か腎排泄 ジソピラミド シベンゾリン ピルメノール ナドロール ソタロール肝排泄 メキシレチン アプリンジン プロパフェノン プロプラノロール アミオダロン 催不整脈作用の有無 アプリンジン ピルシカイニド フレカイニド プロパフェノンには TdP がない -3-

5 -4- 病態が薬剤の適応であるか確認する 資料 主な抗不整脈薬一覧 P44 Naチャネル遮断薬 キニジン プロカインアミド ジソピラミド シベンゾリン ピルメノール プロカインアミドのみ 手術及び麻酔に伴う不整脈の予防 適応あり ピルメノールのみ心室性に限る リドカイン メキシレチン アプリンジン メキシレチンのみ心室性に限る フレカイニド プロパフェノン ピルシカイニド フレカイニドのみ小児適応あり β 遮断薬 洞性頻脈の適応あり プロプラノロール徐放剤は不整脈の適応なし K チャネル遮断薬 アミオダロンのみ肥大型心筋症を合併した発作性心房細動適応あり Ca チャネル遮断薬 ベプリジルは心室性 ジルチアゼムは上室性 アトロピン 徐脈や房室伝導障害に適応あり ジギタリス 手術 急性熱性疾患 出産 ショック 急急性中毒における心不全及び各種頻脈の予防 治療に適応あり 用法 用量等の確認 資料 主な抗不整脈薬一覧 P44 用法を誤ると危険な不整脈や重大な副作用を生じる 有効治療域が狭いため 用法 用量 上限量の確認を行う 腎機能低下時 腎排泄薬剤の投与量の確認メキシレチン 食道に停留し 崩壊すると食道潰瘍を起こすことがあるので 多めの水で服用させ 特に就寝直前の服用等には注意すること 注意を要する疾患の確認腎排泄の薬剤においては腎機能低下者では血中濃度が上昇する可能性がある Na チャネル遮断薬 キニジン プロカインアミド ジソピラミド シベンゾリン ピルメノール 基礎心疾患( 心筋梗塞 弁膜症 心筋症等 ) 高齢者 低 K 血症 重篤な肝 腎障害 リドカイン メキシレチン アプリンジン 心刺激伝導障害 重篤な肝 腎障害 高齢者 フレカイニド プロパフェノン ピルシカイニド 基礎心疾患 心刺激伝導障害 重篤な肝 腎障害 高齢者 著明な洞性徐脈 低 K 血症 β 遮断薬 うっ血性心不全 重篤な肝 腎障害 甲状腺中毒症 高齢者 低血糖 徐脈 房室ブロック (Ⅰ 度 ) 長期間絶食状態 末梢循環障害 喘息 気管支痙攣 K チャネル遮断薬 心刺激伝導障害 薬剤群別の注意事項 ( 副作用 ) 資料 重要な基本的注意と副作用症状 P49 資料 重大な副作用と初期症状 P52 体調変化 ふらつき 動悸 低血糖などの副作用症状の有無の確認を行う Naチャネル遮断薬 キニジン プロカインアミド ジソピラミド シベンゾリン ピルメノール 抗コリン作用( 口渇 排尿障害 便秘 視力障害 ) TdP 型心室性不整脈 リドカイン メキシレチン アプリンジン めまい 振戦 痙攣 意識変調 口のもつれ

6 フレカイニド プロパフェノン ピルシカイニド 催不整脈作用 β 遮断薬 血圧低下 喘息 K チャネル遮断薬 TdP 型心室性不整脈 催不整脈作用 アミオダロン 間質性肺炎 肺線維症 甲状腺機能症 Ca チャネル遮断薬 血圧低下 抗不整脈薬と主な副作用成分名キニジンプロカインアミド Na ジソピラミドチシベンゾリンャピルメノールネリドカインルメキシレチン遮アプリンジン断フレカイニド薬プロパフェノンピルシカイニド β 遮ナドロール断薬プロプラノロール K ソタロールチャネルアミオダロン遮断薬ニフェカラント Ca ベプリジル拮抗ベラパミル薬ジルチアゼム 副作用キニジン中毒 ( 頭痛 めまい ) 腹痛 下痢 顔面紅斑頭痛 不眠 幻覚 SLE 様症状低血圧 徐脈 抗コリン作用 低血糖頭痛 抗コリン作用催不整脈作用めまい しびれ 痙攣 嘔吐 血圧低下消化器系 ( 胃不快感 ) めまい ふらつき精神神経系 ( 振戦 めまい ) 肝障害精神神経系 ( めまい ふらつき 頭痛 ) 消化器系( 胃痛 食欲不振 嘔気 下痢 ) 徐脈 血圧低下 めまい 頭痛 不眠 うつ状態 喘息喘息催不整脈作用肝障害 間質性肺炎 角膜色素沈着 甲状腺機能障害徐脈 血圧低下 めまい 頭痛 ほてり 便秘 OTC 薬 民間療法 健康食品の使用状況の確認 資料 健康食品 サプリメント等食品との相互作用 P63 健康食品や民間薬などを摂っていないか また摂りたいと考えていないか むやみに OTC 薬や民間薬を使用して 薬物療法の妨げにならないよう注意し 治療薬との併用に問題がないか確認する セント ジョーンズ ワート含有食品 ジギタリス キニジン アミオダロン プロパフェノン ジソピラミド リスク因子の有無 抗不整脈薬の禁忌疾患 P14 高齢者 女性( 月経周期により QT 延長作用をもつ薬剤への反応が異なる ) -5-

7 徐脈 低 K 血症や低 Mg 血症などの電解質異常 心筋梗塞などの心疾患 糖尿病 高血圧 利尿薬の多用 過度のダイエット 遺伝的素因 生活の乱れ ストレス 日常生活の指導心房細動は 生活習慣病との関わりが強く 生活習慣の乱れが発症に影響する そのため 規則正しい生活を心がけ 心臓に病気がある人は 心臓に負担をかけないことが 不整脈の予防につながる 過労 睡眠不足 疲れていると不整脈を起こしやすくなるため 十分な休息をとる 運動 過度の運動により不整脈が起こることがあるので 適度な運動習慣を身につける 運動量は医師に従う 喫煙 ニコチンが冠動脈の動脈硬化など心臓に負担をかけるため 原則禁止 ストレス 過度のストレスにより不整脈が起こることがあるので 穏やかな気持ちで過ごす 入浴 入浴により不整脈が発生する場合は 心臓への負担を軽減した入浴法を心がける お湯の温度は 41 以下にし 深くまでつからず 水面が鎖骨より下になるようにする つかるのは 10 分程度にする 脈拍数やリズムの自己確認をし 記録する 定期的に心電図 血液の検査を行う 自動車の運転が可能かどうか担当医に指示をうけておく 食事 嗜好品摂取の指導 過度の飲酒により不整脈が起こることがあるため 原則禁止 喫煙は不整脈に悪影響を及ぼすため禁煙 塩分や動物性脂肪は高血圧や動脈硬化を促進するためできるだけ控える心不全のある人 重症食塩摂取量 3g/ 日以下軽症食塩摂取量 7g/ 日以下高血圧のある人 食塩摂取量 6g 未満 / 日 高塩食はキニジン ベラパミルの血中濃度を低下する バランスのとれた食事を摂る 脂肪の摂取を控え 不足がちな野菜を意識的に摂る 食物繊維を多く摂る 太りすぎに注意する コーヒーの飲み過ぎは不整脈の誘因になるので なるべく控える 家族への情報意識消失 失神 痙攣等の副作用が起こる可能性があることを知らせる また このような症状がみられた場合には 救急車等で医療機関に受診するよう説明する -6-

8 治療薬物モニタリング (TDM) 薬剤の効果および副作用を判断するためにも TDM は有用である 有効血中濃度の幅が狭い TDM の測定が必要 容易に中毒濃度に達する TDM の測定が必要 資料 治療薬物モニタリング(TDM) 対症薬物と有効血中濃度域 P62 機器を植え込んだ患者の自動車の運転自動車の運転に関しては 機器によって異なる ペースメーカーであれば 植え込んだ後に失神したことがなく 主治医から運転の禁止が言い渡されていなければ 原則として運転は認められる 一方 植込型除細動器 (implantable cardioverter defibrillator;icd) および両心室ペーシング機能付き植込型除細動器 (CRT-D) を植え込んだ場合には 突然失神を起こして倒れる可能性があるため 原則禁止される ただし 発作の頻度が低く 主治医であり日本不整脈心電学会あるいは日本心不全学会が主催する ICD 研修を履修した医師により 運転を控えるべきとはいえない という診断書を警察署へ提出し 許可された場合に限り運転が認められる また 不整脈から起こる失神があり 機器を植え込んでいない場合も原則禁止とされる 医師により運転してはいけないと指導された場合には患者は指導に従うと共に必ず自己申告する必要があり 運転が許可されない状況を隠して運転を続けて事故を起こした場合 重い責任が問われる可能性がある 不整脈の治療治療するに際しては すべての不整脈が薬物治療の適応になるのではなく 生命予後や QOL を障害する不整脈であるか判断し 病因または誘因となる基礎疾患 薬剤 生活習慣などがある場合には まずその治療や除去を行う 不整脈は その場で治療しなければ死に直結するような極めて危険な状態が予測される 致死性不整脈 と 現時点では不整脈自体は致死的ではないが 致死性不整脈の前兆であったり 持続することにより心不全を惹起しうる 警告不整脈 に分類される 致死性不整脈は 心室細動と心静止 (asystole) に分けられ 心肺蘇生 (CPR) を行い 速やかに電気的除細動の適切な処置が行われないと確実に死に至る 心静止とは 心室の電気的活動が停止した状態で 直ちに心マッサージを含む心肺蘇生が必要である 心静止 : 血液を送り出すポンプとしての心臓の働きが停止した 心停止 の一状態を指す 心停止 : 心室細動 (VF) や無脈性心室頻拍 (PulselessVT) 無脈性電気活動(PEA) 心静止をすべて含み 本来の心拍出量がほぼもしくは全くなくなった状態である 電気的除細動が有効なのは VF と PulselessVT のみで PEA と心静止には除細動の適用はない 治療を要する不整脈としては 1 不快な自覚症状が強いもの ( 期外収縮も含む ) 2 致死性不整脈 ( 心室細動 心室頻拍 高度房室ブロック ) 3 心機能を低下させるもの ( 心室期外収縮など ) 4 生活に支障をきたし社会的適応となるもの があげられる また 抗不整脈薬は頻脈性不整脈に対して頻拍の停止または予防を目的とする 使用にあたっては -7-

9 不整脈を誘発 ( 催不整脈作用 ) する可能性に注意が必要であり 心機能低下例に使用する場合には抗不整脈薬の心抑制作用に注意する 最近は実際に不整脈が起きてから抗不整脈薬やカテーテルアブレーション 植込型除細動器 (ICD) やペースメーカーなどでの治療をダウンストリーム (downstream approach) とし これに対し不整脈の発生をもたらす病態 ( 虚血 心不全 電気的リモデリングなど ) そのものの進行を抑えるアップストリーム (upstream approach) 治療に期待が寄せられている 治療を要する不整脈 治療の適応とならない不整脈治療を要する不整脈治療の適応とならない不整脈 ( 警告不整脈 ) 1. 致死的不整脈 1. 頻脈性不整脈 a. 頻脈性不整脈 a. 心室期外収縮 ( 基礎疾患無 + 症状無 / 軽度 ) 心室細動 心室頻拍 心房粗動 (1:1 房室伝導 ) b. 上室期外収縮 ( 症状無 / 軽度 ) 発作性上室頻拍 ( 心拍数著しく多い ) c. 心房細動 心房粗動 b. 徐脈性不整脈 ( 自覚症状無 + 血行動態安定 ) 房室ブロック (MobitzⅡ 型 Ⅲ 型 ) 洞不全症候群 2. 徐脈性不整脈 2. 致死的不整脈を誘因 a. 洞徐脈 洞停止 洞房ブロック WPW 症候群 QT 延長症候群 ( 症状無 + 運動時心拍数増 ) 3. 頻脈性不整脈を誘因 b. 房室ブロック心房 心室期外収縮 Ⅰ 度 Ⅱ 度 (Wenckebach 型 + 症状無 ) Ⅲ 度 3. 脚ブロック 治療の選択 1 抗不整脈薬の分類表の選択抗不整脈薬の分類として以前から使用されてきた Vaughan Williams 分類には限界と大規模臨床試験の CAST により 心筋梗塞後の患者であっても 不整脈治療薬 (Ic 群 ) により不整脈を減少させても生命予後は改善せず むしろ悪化することが明らかにされた問題点があり 最近ではエビデンスに基づいたガイドラインとは根本的に異なるが より理論的な作用機序に基づく Sicilian Gambit の分類が使用されるようになっている その基本的な考え方は 1) 不整脈の機序 の決定 2) 治療に最も反応しうる電気生理学的指標である 受攻性因子 の同定 3) 治療の 標的 としての細胞膜レベルのチャネルや受容体の決定を行い 最終的に 4) この標的に作用する 薬剤 を抗不整脈薬一覧表から選択するという論理過程である 我が国でも Sicilian Gambit に基づき 抗不整脈薬ガイドライン委員会編 日本心電学会 日本循環器学会による The Sicilian Gambit Guideline on CD が刊行され 日本循環器学会を中心とする合同研究班の 不整脈薬物治療に関するガイドライン (JCS2009) においても この分類による論理的な薬剤選択が重視されている 2 基礎疾患や誘因を考慮する抗不整脈薬の使用の前に 基礎疾患や誘因に対する一般的治療を考慮する 例えば 血清 K など電解質のチェックと補正 また心不全や代謝異常が存在すれば不整脈の治療だけではなく 原疾患の改善も図り 心筋梗塞であれば不整脈の基質となる梗塞の拡大を抑え 心室拡張 ( リモデリング ) を抑制することが慢性期の致死的不整脈の発生を予防することになる -8-

10 3 薬剤の薬物動態 副作用を確認薬剤の吸収 代謝 排泄等を知ることにより有効血中濃度が得られるよう投与し 抗不整脈薬の不整脈を誘発 ( 催不整脈作用 ) する可能性に注意する 4 患者の状況を把握腎機能 肝機能 心不全の状況により血中濃度も影響される 特に高齢者は代謝 排泄機能が低下しているため少量投与から開始する また 心機能低下例に使用する場合には抗不整脈薬の心抑制作用に注意する 漫然と長期投与することなく 不整脈が減少ないし消失した時点で一時中止を考慮する 5 薬剤併用 抗不整脈薬以外の選択抗不整脈薬は単剤投与が基本であるが 十分な効果が得られない場合には Na チャネル遮断薬 + β 遮断薬ないし Ca チャネル遮断薬 Na チャネル遮断薬の slow+fast-intermediate など作用機序の異なる薬剤の併用を考慮する また 抗不整脈薬以外にもジギタリス アトロピン ATP 製剤等が各種の不整脈に使用される アトロピンは徐脈性不整脈の治療に使われる 非薬物治療としては電気的除細動 (DC ショック ) 高周波カテーテルアブレーション 植込型除細動器(ICD) などが使用されている 不整脈の薬物治療 1.Vaughan Williams 分類 Vaughan Williams 分類は各種薬剤の薬理学的作用の特徴を簡潔に表現している点で優れており 多くの臨床家により利用されてきた Ⅰ 群は Na チャネル遮断薬 Ⅱ 群はβ 遮断薬 Ⅲ 群は K チャネル遮断薬 Ⅳ 群は Ca 拮抗薬に分類される しかし 実際は多くの抗不整脈が複数の作用をもち 細分類が難しく またジゴキシンやアデノシンなどが含まれていないことからこの分類で表すには限界が生じた また Na チャネル遮断薬を主作用とする薬物を心筋梗塞後の不整脈患者に使用すると 心室性不整脈は抑制したにもかかわらず生命予後が悪化する結果が報告された 1Ⅰ 群 (Na チャネル遮断薬 ) 心筋細胞の Na チャネルの抑制作用により 心房筋 心室筋 プルキンエ線維に対して活動電位第 0 相 ( 脱分極相 ) の最大立ち上がり速度を低下させ 伝導速度を遅らせることで 心房や心室での頻拍 期外収縮の発生を抑制するため Na チャネルとの結合の解離速度が遅いほど抗不整脈作用は強力である 活動電位持続時間 (APD) に対する作用からⅠa(APD 延長 ) Ⅰb(APD 短縮 ) Ⅰc(APD 不変 ) と分類される Ⅰa 群 : APD および不応期 (ERP) を延長させるタイプ 心筋収縮力抑制作用があり 上室性および心室性の頻拍性不整脈に使用されるが K チャネル遮断に伴う QT 延長 torsade de pointes(tdp) といった重篤な心室性不整脈を引き起こす可能性があるため 低 K 血症 高 K 血症 心不全 伝導障害 ( 房室ブロック 脚ブロック 洞房ブロック ) 洞不全症候群などの心機能低下症例には注意する Ⅰb 群 : Na チャネルを遮断するが APD を短縮させ ERP は不変かやや短縮させるタイプ 心室性不整脈 TdP に対して有効であるが 上室性不整脈には無効 ( アプリジンを除く ) 心筋抑制作用はⅠa 群に比べて弱いが 重篤な不整脈の誘発も少ない -9-

11 a Ⅰc 群 : APD を変えず ERP は不変かやや延長させるタイプ 上室性および心室性の不整脈に有効で Ⅰa 同様伝導抑制作用を有し 伝導障害 洞不全症候群 高度徐脈を有する症例には禁忌である 陰性変力作用はⅠ 群の中でⅠc 群が最も強いとされるが 第 1 選択になることはなく 他の抗不整脈薬が無効かあるいは何らかの理由で使用できない場合に用いられる フレカイニドにおいては 心筋梗塞後の無症候性心室性期外収縮あるいは非持続型心室頻拍に対して 生存率を悪化するとして投与禁忌となっている 他 Ⅱ Ⅲ Ⅳ 群については Sicilian Gambit 分類 P11 参照 Vaughan Williams 分類 [APD: 活動電位持続時間 ERP: 不応期 ] 分類一般名 ( 商品名 ) 特徴 Ⅰa NⅠ 群 チャネル遮断キニジン ( キニジン ) ( 上室性 / 心室性 ) 不整脈に有効 プロカインアミド ( アミサリン ) 重大な副作用 : 催不整脈作用 APD ERP 延長 シベンゾリン ( シベノール ) ジソピラミド ( リスモダン ) ( 心房 / 上室性 / 心室性 ) 他の薬剤が不可 無効の頻拍性不整脈 ( 迷走神経作用亢進型 ) Na チャネルとの解離が遅い 心機能抑制強 Ⅰb APD 短縮 ピルメノール ( ピルメノール ) リドカイン ( キシロカイン ) メキシレチン ( メキシチール ) 抗コリン作用 口渇 排尿障害 便秘頻脈性不整脈 ( 心室性 ) を抑制上室性不整脈には無効 Ⅰa 群に比べて心筋抑制作用が少ない 重篤な不整脈の誘発 アプリンジン ( アスペノン ) 少副作用 : めまい ふるえ 精神症状 プロパフェノン ( プロノン ) ( 心房 / 上室性 / 心室性 ) 他の薬剤が不可 無効の頻拍性不整 Ⅰc APD 不変 フレカイニド ( タンボコール ) ピルシカイニド ( サンリズム ) 脈 ( プロパフェノン : 交感神経亢進型 ) 重大な副作用 : 催不整脈作用 Na チャネルとの解離が遅い 心機能抑制強 ナドロール ( ナディック ) Ca 流入抑制 洞結節 房室結節の自動能抑制 興奮伝播を遅 Ⅱ 群 β 遮断 プロプラノロール ( インデラル ) らせ ( カテコラミン作用に拮抗 ) 頻脈性不整脈を抑制 抗不整脈 アテノロール ( テノーミン ) 効果は弱い アミオダロン ( アンカロン ) ( 上室性 / 心室性 ) 不整脈に有効 Ⅲ 群 K チャネル遮断 APD ERP 延長 ソタロール ( ソタコール ) ニフェカラント ( シンビット ) 重大な副作用 : 催不整脈作用心拍が遅い 薬理作用強心筋収縮の抑制なし ベプリジル ( ベプリコール ) 頻脈性不整脈 ( 上室性 ) など Ⅳ 群 Ca チャネル遮断 ベラパミル ( ワソラン ) Ca 流入抑制 洞結節 房室結節の自動能抑制 興奮伝播を遅 ジルチアゼム ( ヘルベッサー ) らせる -10-

12 2.Sicilian Gambit 分類 資料 主な抗不整脈薬一覧-Sicilian Gambit 分類 ( 日本版 )- P47 Sicilian Gambit では スプレッドシート方式ですべての薬剤のチャネルや受容体への作用を詳細に記載している この表では 一番左の列に薬剤名が記載され 次いでチャネル 受容体 ポンプに対する作用を示し 右半分には左室機能 洞調律への影響 心外性の副作用の有無 さらには PQ QRS QT 等の心電図上の指標に対する効果を示す欄が設けてある Na チャネルに対する作用では Na チャネルへの結合解離動態の差から fast intermediate slow に分けている この分類は薬効ならびに副作用 ( 陰性変力作用, 催不整脈作用 ) の判断材料となる 次いで Ca チャネル K チャネルへの作用と続き さらにペースメーカー電流 (If) への作用を挙げているのが特徴である 受容体に対する作用では Vaughan Williams 分類で挙げられていなかったα 受容体 ムスカリン受容体 プリン受容体への作用も含まれている 最後に Na/K ポンプへの作用を載せることにより ジゴキシンをこの表に含めることができており 各作用の強弱は 3 段階に表示されている 1Na チャネル遮断作用 Na チャネル遮断薬を Na チャネル解離速度で分類している 薬物の解離が十分でない時に次の活動電位が発生すると蓄積的に Na チャネルのブロックが起こる これを頻度依存性ブロック (usedependent block) という Na チャネルとの解離速度が遅いものほどチャネル抑制作用が強く 伝導抑制作用も顕著である また理論的には薬物解離が遅いと連結期の長い期外収縮にも有用とされている fast kinetic drug 薬剤が結合して解離するまでに 1 秒以下と短いため 遅い心拍数では薬剤の蓄積が起こらずに効果を発揮しにくい反面 頻脈時 ( 高頻度時 ) では 頻度依存性ブロックが起こり 解離の速い薬物では効果を発揮する 正常洞調律時 ( 低頻度時 ) には伝導を抑制しない -11-

13 この分類に該当するリドカイン メキシレチンは心室性不整脈に効果を示す slow kinetic drug 薬剤が常に結合しているため ブロック作用が強い 心電図上では洞調律でも興奮伝導は抑えられているので QRS 幅は拡大する 抗不整脈作用は強く 催不整脈の副作用が発現しやすい シベンゾリン ジソピラミド ピルメノール フレカイニド ピルシカイニドが該当する intermediate kinetic drug 中間にあたり 結合して解離するまでに 1 秒以上かかるため心拍数に関係なく作用があらわれる キニジン プロカインアミド プロパフェノンが該当する 2β 遮断作用 camp の濃度を減少させ Ca 2+ の流入を抑制し 交感神経による過剰興奮を抑える 洞性頻脈や上室性 心室性期外収縮 交感神経緊張時 ( 労作 日中など ) に多発する不整脈 房室結節におけるエントリーによる頻脈などに有効である β 遮断作用により心機能を抑制するため 徐脈や心不全 気管支喘息 末梢循環障害などの副作用が見られる 3K チャネル遮断作用 K チャネルを抑制することで外向き K + の流出を抑制し 再分極を遅らせて心筋の APD と不応期を延長する Na チャネル遮断に比べて伝導速度や心筋収縮力の抑制作用は弱く 上室性不整脈 心室性不整脈いずれにも有効であるが TdP や間質肺炎 甲状腺機能異常などの重篤な副作用があるため 他の抗不整脈薬が無効かあるいは何らかの理由で使用できない場合に用いる 例として Na チャネル遮断薬が無効と考えられる持続性心房細動例を対象とした J-BAF 試験で K チャネル遮断作用の強いベプリジルの高い除細動効果が証明されている 4Ca チャネル遮断作用 Ca 拮抗作用で Ca チャネル依存性の洞結節 房室結節の自動能 伝達能の抑制 不応期の延長により効果を示すため 洞房結節や房室結節での異常自動能の亢進やリエントリー性不整脈また 発作性上室不整脈には有効である 反対に洞不全症候群や房室ブロックには不適である 5ムスカリン M2 受容体遮断薬 : アトロピン副交感神経を抑制することで 低用量では通常徐脈があらわれるが 高用量では洞結節や房室結節の興奮伝導を促進し 心房細動時の心拍数の増加作用を示す 抗コリン作用による口渇 排尿障害に注意する 6ムスカリン M2 受容体作動薬 : ジゴキシン心筋細胞膜での Na + /K + ATPase 阻害作用に基づく心筋収縮力増強作用 ( 陽性変力作用 ) 迷走神経刺激作用により心拍数を低下 ( 陰性変時作用 ) 房室結節の不応期を延長させ房室伝導を抑制する作用 ( 陰性変導作用 ) を有することから 心房細動や発作性上室頻拍の治療に用いられる 過量投与や相互作用によるジギタリス中毒に注意する 陰性変力作用 = 心臓の収縮力を低下 陰性変時作用 = 心拍数を低下 7アデノシン A1 受容体作動薬 :ATP( アデノシン ) 心筋のATP 感受性 K チャネル活性化とアデニル酸シクラーゼの抑制により 虚血時の APD の短縮を抑制する また 副交感神経刺激作用による洞結節や房室結節の伝導能を抑制するため 特に発作性上室頻拍の停止効果がある ( 静注 保険適応外 ) また 一過性の房室ブロックを誘発することから頻拍の診断に使用されることもある -12-

14 * 不整脈とその受攻性因子不整脈 発生機序 受攻性因子 代表的薬剤 自動能 洞性頻脈 正常自動能亢進 第 4 相脱分極 ( 抑制 ) β 遮断薬 Na チャネル遮断薬 最大拡張期電位 ( 過分極 ) ムスカリン作動薬 異所性心房頻拍 異常自動能亢進 第 4 相脱分極 ( 抑制 ) Ca チャネル遮断薬 Na チャネル 遮断薬 ムスカリン作動薬 心室固有調律亢進異常自動能亢進第 4 相脱分極 ( 抑制 ) Ca チャネル遮断薬 Na チャネル 遮断薬 撃発活動 torsade de poibtes 早期後脱分極 APD( 短縮 ) 早期脱分極 ( 抑制 ) β 作動薬 迷走神経抑制薬 Ca チャネル遮断薬 β 遮断薬 ジギタリス誘発性不整脈 遅延後脱分極 Ca overload( 減少 ) 遅延後脱分極 ( 抑制 ) Ca チャネル遮断薬 Na チャネル遮断薬 自動能亢進による心室頻拍 Ca overload( 減少 ) 遅延後脱分極 ( 抑制 ) Ca チャネル遮断薬 β 遮断薬 アデノシン リエントリー (Na チャネル依存性 ) 心房粗動 ( タイプ Ⅰ) 長い興奮間隙伝導と興奮 ( 抑制 ) Na チャネル遮断薬 ( リドカイン メキシレチンを除く ) 房室リエントリー性頻拍 (WPW) 伝導と興奮 ( 抑制 ) Na チャネル遮断薬 ( リドカイン メキシレチンを除く ) 持続性単形性心室頻拍 伝導と興奮 ( 抑制 ) Na チャネル遮断薬 心房粗動 ( タイプⅡ) 短い興奮間隙 不応期 ( 延長 ) K チャネル遮断薬 心房細動 不応期 ( 延長 ) K チャネル遮断薬 房室リエントリー性頻拍 (WPW) 不応期 ( 延長 ) アミオダロン ソタロール 多形性心室頻拍と持続性単形 性心室頻拍 不応期 ( 延長 ) キニジン プロカインアミド ジソ ピラミド 脚枝間リエントリー不応期 ( 延長 ) キニジン プロカインアミド ジソ ピラミド 心室細動 不応期 ( 延長 ) K チャネル遮断薬 リエントリー (Ca チャネル依存性 ) 房室結節リエントリー性頻拍 伝導と興奮 ( 抑制 ) Ca チャネル遮断薬 房室リエントリー性頻拍 (WPW) 伝導と興奮 ( 抑制 ) Ca チャネル遮断薬 ペラパミル感受性心室頻拍 伝導と興奮 ( 抑制 ) Ca チャネル遮断薬 * 受攻性因子 : 修飾を受けることによって最も不整脈停止につながり易い電気生理学的特性 リエントリー回路の弱点 -13-

15 抗不整脈薬の禁忌疾患 抗不整脈薬には多くの禁忌疾患が示されているので確認を行う 患者の病態に特異的な抗不整脈薬の禁忌 病態 禁忌または要注意 刺激伝導障害 ( 房室ブロック 洞房ブロック 脚ブロック等 ) キニジン プロカインアミド ジソピラミド シベンゾリン ピルメノール メキシレチン アプリンジン フレカイニド プロパフェノン ピルシカイニド プロプラノロール ナドロール ソタロール ベラパミル ベプリジル キニジン プロカインアミド ジソピラミド シベンゾリン ピルメノール アプリン 重篤なうっ血性心不全 ジン フレカイニド プロパフェノン ピルシカイニド プロプラノロール ナドロー ル ソタロール ベプリジル ( 警告 ) ベラパミル ジルチアゼム 肺高血圧による右心不全 プロプラノロール ナドロール 徐脈 房室ブロック (II III 度 ) プロプラノロール ナドロール ソタロール アミオダロン ベラパミル ジルチアゼム 洞不全症候群 プロプラノロール ナドロール アミオダロン 高度の洞性徐脈 ソタロール ベプリジル 心原性ショック プロプラノロール ナドロール ソタロール 心筋梗塞後の無症候性心室期外収縮あるいは非持続型心室頻拍 フレカイニド QT 延長症候群 ソタロール ベプリジル キニジン プロカインアミド ジソピラミド アミオダロン 異型狭心症 プロプラノロール ナドロール 高 K 血症 キニジン 重症筋無力症 プロカインアミド 緑内障 尿貯留傾向 ジソピラミド シベンゾリン ピルメノール 重篤な腎障害 ソタロール 透析中 シベンゾリン 妊婦 アプリンジン フレカイニド ナドロール ベプリジル ベラパミル ジルチアゼム 気管支喘息 気管支痙攣 プロプラノロール ナドロール ソタロール 糖尿病性ケトアシドーシス 代謝性アシドーシス プロプラノロール ナドロール 低血圧症 プロプラノロール アミオダロン 長期間絶食状態重度の末梢循環障害 ( 壊疽等 ) 未治療の褐色細胞腫下痢重篤な呼吸不全振戦 プロプラノロールプロプラノロールプロプラノロールキニジンアミオダロンメキシレチン ( ) -14-

16 心機能低下患者への投与心不全の患者の約半数が突然死し その多くは心室性不整脈によると報告されている 抗不整脈薬の種類により心機能への影響が異なり 一般に slow kinetic の Na チャネル遮断作用を持つものは心機能抑制作用が強いため fast kinetic の Na チャネル遮断薬か K チャネル遮断薬を選択する ただし 不整脈が継続する場合は slow kinetic の Na チャネル遮断薬を使用せざる得ない K チャネル遮断薬は不応期延長作用により 抗不整脈作用を示す 心筋梗塞後で心機能が低下している患者には Na チャネル遮断薬では予後を悪化させ Ca チャネル遮断薬では有用性が認められなかった しかし β 遮断薬と K チャネル遮断薬は予後を改善する可能性が示唆されている このことから心機能抑制の少ない リドカイン メキシレチン アプリンジン アミオダロン ベプリジル ニフェカラント β 遮断作用をもつソタロールが選択できる ただし ベプリジルは催不整脈作用から ソタロールは陰性変力作用から うっ血性心不全への投与は禁忌とされる 急性心不全には 利尿薬 ACE 阻害薬 カテコラミン等を投与し 上室頻拍があれば心拍数調節のためにジギタリスを投与する 慢性心不全に対しては 継続的に ACE 阻害薬 β 遮断薬 利尿薬を用いるが ループ利尿薬は低 K 血症を生じやすいので 腎障害がなければ抗アルドステロン薬がよい 腎機能障害患者への投与治療濃度と中毒濃度が近いため 腎あるいは肝障害時には副作用の発現が生じやすい 腎機能障害の程度はクレアチニン-クリアランス (Ccr) がおおよそ 50mL/min 以上あるいは血清クレアチン値 (Scr)1.3mg/dL 以下であれば常用量を投与しても良く Ccr が 50~30mL/min あるいは Scr 1.3~2.0mg/dL であれば 中等度腎障害として通常量の 2/3~1/2 量を投与するか 投与間隔を少し空けて投与する Ccr が 30mL/min 以下あるいは Scr 2.0mg/dL 以上であれば高度腎障害として常用量の 1/3 量以下を注意しながら投与するか隔日に投与する 肝機能障害患者への投与肝機能障害のある場合は できるだけ腎排泄型の薬剤を選択することが望ましい 特にアプリンジン アミオダロンなどは肝機能障害が生じやすい しかし 肝代謝型の薬剤を使用せざるを得ない場合は 肝疾患の種類と門脈圧亢進の程度により薬剤選択を判断する 門脈圧が亢進しているときの肝機能障害の程度を表す Child-Pugh 分類の A( 軽度肝機能障害 ) ではビリルビン値が 1~2mg/dL であり 常用量の 2/3 量から投与するのが無難で B( 中等度肝機能障害 ) ではビリルビン値が 2~3mg/dL であり 常用量の 1/2~1/3 C( 高等度肝機能障害 ) ではビリルビン値が 3mg/dL 以上であり ソタロールとニフェカラント以外の抗不整脈薬は禁忌である 生命の危険があるか 血行動態を著しく障害する頻脈性不整脈があるときは カテーテルアブレーションなどの非薬物療法を選択する 妊婦への投与妊娠による血漿蛋白濃度の低下により蛋白結合は減少し 遊離型の薬物濃度は上昇するが 血管内容量は増加し 腎血流量の増加により薬剤の腎排泄は促進される また プロゲステロンにより肝代謝が亢進されて薬剤のクリアランスは促進されるため 結果的に薬物血中濃度は低下する傾向にある しかし 可能ならば 薬物治療を避けるべきで 不整脈を助長させる生活習慣の改善を優先させる 症状が強く 不整脈が妊娠継続に支障になる場合には 半減期が短く 妊婦に対する使用経験が蓄積されている リドカイン 一部のβ 遮断薬 ソタロール ジゴキシンが安全とされる 一方 妊娠初 -15-

17 期の 10 週まではフレカイニド ベプリジル ベラパミル ジルチアゼム ニフェカラントは禁忌と考えられる 妊娠後期には抗不整脈薬の使用も可能とされる 高齢者への投与高齢者では無症候性心房細動も多く 抗不整脈薬を使用するよりは合併症に対して ARB や ACE 阻害薬 HMG-CoA 還元酵素阻害薬などを積極的に取り入れることが勧められる 心機能維持のため心拍数調節治療を必要に応じて行う 薬物治療に際しては 高齢者では肝 腎機能が低下していることが多く 体重が少ない傾向があるなど 副作用が発現しやすいため 入院させて投与を開始することが望ましい また 心房細動治療においては高齢自体が塞栓症のリスクであり 原則として抗凝固療法が必要となる ジソピラミド キニジンは抗不整脈薬の中で最も強力な陰性変力作用を有するため 高齢者において心不全を誘発するおそれがある また 強力な抗コリン薬でもあるため認知機能の低下 ふらつき 便秘等の副作用にも注意する ジギタリスにおいては中毒症状としてせん妄や認知症症状を呈する場合がある 催不整脈 ( プロアリズミア ) 抗不整脈薬による催不整脈作用とは 抗不整脈効果を期待して使用したのに副作用として 症状を悪化または 新たな不整脈を発生させてしまうことである 使用する薬剤により催不整脈機序も異なり 心室性 心房性 徐脈性不整脈 ( 刺激伝導系の異常 ) に分けられる 特に心室性不整脈のなかでも QT 延長を伴う多形性心室頻拍は失神をきたし 心室細動に移行しうることから注意を必要とする 抗不整脈薬の投与に関しては 催不整脈作用に十分注意し 投与開始時には心電図モニターを行い 投与中も頻回に心電図検査を行い めまい 動悸 胸が痛む 胸部不快感 脈が飛ぶような感じなどの症状がないか確認する必要がある 特に Na チャネル遮断薬 ( シベンゾリン ジソピラミド ピルシカイニド フレカイニド プロパフェノン ) K チャネル遮断薬に属する薬剤には 重篤な QT 延長を引き起こす可能性が高いとされる 1. 徐脈性不整脈抗不整脈薬投与で洞機能不全 ( 洞性徐脈 洞停止 洞房ブロック ) や房室ブロックを生じることがある 特に心房細動の徐細動直後に 洞結節の疾患がある場合には極度の洞性徐脈や洞停止が生じる場合がある 洞機能不全 : あらゆる抗不整脈薬で生じる可能性があり ソタロール アミオダロン β 遮断薬 ベラパミル ジルチアゼム Na チャネル遮断薬 ジギタリスなどで生じる 高齢者でよくみられ 心房細動での投与には 失神やめまいの既往がないかどうか確認する 薬剤依存性房室ブロック : 房室結節あるいはヒス-プルキンエ系を抑制することにより薬剤依存性房室ブロックを生じる可能性がある β 遮断薬 Ca 拮抗薬 K チャネル遮断薬 ジギタリスで生じる ヒス-プルキンエ系の障害は Na チャネル遮断薬で生じやすく ピルシカイニド フレカイニド プロパフェノンなどが最も強く メキシレチン アプリンジンは生じにくい ブロックが生じた場合は 投与薬剤を中止し 血行動態が不安定な場合は アトロピンを投与するか一時的なペーシングを行う -16-

18 2. 薬剤依存性上室頻拍ジギタリス ジルチアゼム ベラパミルなどは心房粗動および心房頻拍に使用されるが 逆に発作頻度や期間を悪化させる 房室ブロックを伴う心房頻拍は ジギタリス中毒の典型的な徴候である ジソピラミドとキニジンは 抗コリン作用により心室応答が増加する シベンゾリン ジソピラミドでは房室結節伝導を増強し 心室応答が増加し ピルシカイニド フレカイニド プロパフェノンは心房細動停止時に細動リズムが一定になることがある この一定な心房興奮によって心室応答が速くなる傾向があり 心房粗動の誘発となる 特にアミオダロンは 粗洞周期を延長する結果 しばしば房室結節を1:1で伝導できるようになり 逆に心室応答が増加して心室細動に至る可能性がある このような薬剤による心房粗動に対しては 三尖弁と下大静脈間の峡部カテーテルアブレーション ( ハイブリッド療法 ) が行われる また 心房細動に対しては 薬物治療が行われるが 最近では カテーテルアブレーションが良好な結果を得ている ピルシカイニド フレカイニド プロパフェノンを投与する際は 予防としてβ 遮断薬を同時に投与すべきである 3. 薬剤依存性心室頻拍心室での催不整脈は 無症状のものから心室期外収縮の増加 心室細動から突然死に至るまで様々である 治療としては通常 原因薬剤の中止 虚血の解除や電解質異常の補正などの原因治療を要する 心室期外収縮あまり重篤でない催不整脈として 心室期外収縮や非持続性心室頻拍などの増加などがある この症状はどの抗不整脈薬にも起こりえるが 特にピルシカイニド フレカイニド プロパフェノンを投与するときは注意する インセサント型心室頻拍抗不整脈薬治療中に危険で致死的になりうる合併症にインセサント型心室頻拍がある この不整脈は直流除細動やオーバードライブページング * によっても頻拍が停止せず 1 回停止した頻拍がまたすぐに始まるという現象を示す 幅広い QRS を示し しばしばサイン波 ( 正弦波 ) のような波形をし 比較的遅い拍数 (100~160 回 / 分 ) を有する インセサント型心室頻拍は 抗不整脈薬導入時期や増量期 左室機能低下例 持続性心室頻拍の既往 ピルシカイニド フレカイニド プロパフェノン投与中の状況下で起こりやすく しばしば血行動態が悪化し ショック状態になる ピルシカイニド フレカイニド プロパフェノン投与による場合にはアミオダロンの静注を行い ショック状態であれば大動脈バルーン パンピングを必要とする * 一定の心拍数より少し早いレートでペーシングすることにより期外収縮を抑える 後天性 ( 二次性 )QT 延長症候群心室興奮の再分極過程が緩やかになり活動電位時間 (APD) が延長すると QT 間隔が延長する QT 間隔は年齢 性別 心拍数 自律神経系基礎疾患などにより影響を受け QT 延長症候群には先天性と後天性があり 先天性は家族内発生が多く Na チャネル K チャネルをコードする遺伝子の異常が原因とされている 一方 後天性の原因となる病態は様々で K チャネル遮断作用を併せ持つ抗不整脈薬以外の薬物が 心電図 QT 間隔を過度に延長し TdP を誘発することを 薬剤性 QT 延長症候群 という K チャネル遮断作用は 心筋細胞の外向き K 電流を抑制することから APD を延長し 心筋の電気的な不応期延長をもたらす -17-

19 <QT 延長を避けるためには> いつも心電図での QT 時間を薬剤投与前に確認する うっ血性心不全や左室肥大などの患者に投与しない 腎機能や血中の電解質を頻回にチェックする 低 K 血症を避ける キニジンを使用せず ソタロールをある特定の適応のためだけに使用する 入院のうえ心電図モニターをしながら抗不整脈薬を開始する 資料 添付文書に QT 延長 の記載のある薬剤 P55 後天性 ( 二次性 )QT 延長症候群の主な原因 1) 薬物抗不整脈薬 Na チャネル遮断薬 ( ジソピラミド プロカインアミド キニジン ジベンゾリン プロパフェノン フレカイニド等 ) K チャネル遮断薬 ( アミオダロン ソタロール ニフェカラント ) 抗生物質 ( エリスロマイシン クラリスロマイシン ST 合剤等 ) 抗真菌薬 ( イトコナゾール ケトコナゾール ) 抗精神病薬 ( ハロペリドール クロルプロマジン リチウム等 ) 三環系抗うつ薬 ( イミプラミン アミトリプチリン等 ) 抗がん薬 ( ドキソルビシン等 ) 抗高脂血症薬 ( プロブコール等 ) 2) 徐脈房室ブロック 洞不全症候群 3) 低 K 血症 低 Mg 血症 4) 急性心筋梗塞 5) くも膜下出血 頭蓋骨内出血 他の中枢神経疾患 Trsades de pointes(tdp) 過度に活動電位持続時間 (APD) を延長するとかえって心室内の心筋不応期にばらつきが増すことになり その間隙を縫うように電気興奮が旋回し多形性心室頻拍を惹起する 心電図上 ねじれるように変化する波形から Trsades de pointes(tdp) とも呼ばれる QT 延長に付随して生じ 通常短時間で自然停止するが 発作は何度も生じ ふらつきや失神をきたし 心室細動に陥り突然死を生じる可能性もある シベンゾリン ジソピラミドやソタロールなどの治療中 (5 日以内 ) に最も発症し 通常薬剤の過剰投与や悪化因子の存在下で TdP は生じることが多い リドカインやメキシレチンでも生じるが ピルシカイニド フレカイニド プロパフェノンでは生じない < 悪化因子 > 後天性 QT 延長とそれに伴う TdP は多くの心疾患患者で認められるが 基礎疾患がない例でも生じうる -18-

20 TdP を惹起する危険因子 女性 高齢者 低 K 血症 低 Mg 血症 徐脈 脚ブロック 利尿薬 心血管障害( 慢性心不全 心筋梗塞 ) 心房細動から正常洞調律への転換 高血中薬物濃度 左室肥大 急速静注 腎機能低下 腎不全 先天性 QT 延長症候群 女性では 性ホルモンが心筋のイオンチャネル 薬物代謝酵素や細胞膜の薬物トランスポーターに影響し QT 間隔が延長しやすい 徐脈時の再分極過程では外向き K 電流に大きく寄与しており 抗不整脈薬の心拍数抑制作用と K チャネル遮断作用により QT 延長をきたす可能性がある また 低 K 血症においても 再分極過程では外向き K 電流を減少させることから抗不整脈薬の K チャネル遮断作用が加わることでさらに作用が強まる 血漿 K 値を減少させるループ利尿薬や下痢なども低 K 血症をきたす < 治療 > 原因となる薬剤の投与中止 電解質バランスの改善 高用量の硫酸マグネシウム静注内投与を頻拍消失まで行う 1~2 時間以上かけ 4~8g を投与し その後時間当たり 1~2g の持続投与を行う 心房 心室よりオーバードライブペーシングを行うか 静脈内イソプロテレノール投与を行う 陰性変力作用心筋の収縮性をかえる作用を変力作用 (inotropic action) と呼ぶが 心筋の収縮性は心筋固有のものではなく 急性には交感 副交感神経によっても増減する 心筋の収縮は 細胞内の Ca 2+ と ATP で調整しており Ca 2+ 濃度に強く依存している 細胞膜や筋小胞体の Ca チャネルに対する作用 または Na/K ポンプ Na/Ca ポンプが影響する Na チャネル抑制作用は 細胞内の Na を減少させることにより Na/Ca ポンプが働き細胞内の Ca イオンが減少する Na チャネル遮断薬 特にシベンゾリン ジソピラミド ピルシカイニド フレカイニド プロパフェノンは心筋の収縮力を低下させる作用があり 特に intermediate~slow の Na チャネル遮断作用薬は心抑制が大きい また アプリンジンとシベンゾリンは弱いながら Ca チャネル抑制作用を有し 活動電位プラトー相で流れる遅い内向き電流を抑制し 細胞内の Ca イオンを減少させることで 収縮力を低下させる可能性がある β 遮断薬は 心筋収縮力抑制作用を主作用とする -19-

21 アップストリーム治療戦略近年の心房細動大規模臨床試験において 抗不整脈薬の洞調律維持効果は低く また 生命予後の改善は得られないことが示された 従来から行われてきた抗不整脈薬療法をダウンストリームというのに対して 発生してしまった心房細動を治療するよりも 不整脈の発生をもたらす病態 ( 心筋の電気的 構造的リモデリング ) の進行を抑制することで不整脈の発生を予防することをアップストリーム治療と呼んでいる これまで 動物実験ではβ 遮断薬は 心室性不整脈の抑制効果が示され ACE 阻害薬や ARB の心筋リモデリング抑制効果 スタチンの抗炎症効果 抗酸化ビタミンの抗酸化効果による心房細動に対するアップストリーム治療の有用性が示唆されている 上室期外収縮で心機能が中等度以上低下の場合や 虚血性心疾患に伴う心室期外収縮の心筋梗塞亜急性期 ( 発症 48 時間 ~1 ヵ月 ) では アップストリームアプローチとして β 遮断薬 ACE 阻害薬 ARB の併用を積極的に考慮することとしている 最新の動向 心房細動治療( 薬物 ) ガイドライン (2013 年改訂版 ) では 非ビタミン K 拮抗経口抗凝固薬 (NOAC) 4 剤 ( ダビガトラン リバーロキサバン アピキサバン エドキサバン ) が追加され ワルファリンよりも NOAC の方をより強く勧めるとしている 抜歯および白内障手術は内服継続下に行ってよいとされ 消化管内視鏡では 生検のみであれば出血低危険度の手技と同様の扱いで 出血高危険度の手技の場合は休薬または置換が推奨され NOAC の場合はヘパリンに置換するとされている 最近の不整脈治療の考え方としては 薬剤の催不整脈作用を考慮し どうしても必要な場合に限って治療を行い 軽症の不整脈は経過観察を行うのみでよい また いざ治療する場合の治療目標も 完全抑制を目指すのではなく 患者の QOL の改善が得られること あるいは多少の不整脈が残っても長期予後の改善が得られることのほうが重要とされている 不整脈の原因に対する治療 ( 根治 ) を目指すようになり さらには個々の患者の特性に応じた個別の治療の構築へと 変貌しつつある 注 ) ダビガトラン ( プラザキサ ) 投与により消化管出血等の出血による死亡例が認められたことにより 使用にあたっては 出血の危険性を考慮し 投与の適否を慎重に判断する 警告 が示された ( 11.08) -20-

22 心臓の構造心臓は 心筋という筋肉でできており 心筋がタイミング良く収縮と拡張を繰り返すことにより 血液を送り出す 心臓の右側に位置する右心系と左側に位置する左心系に分かれ さらにそれぞれ心房と心室と 4 つの部屋に分けられる 右心系は肺へ 左心系は肺以外の全身へと血液を送り出す 心房と心室は同時に収縮せず 心房の方が少し早く収縮する 1 回の収縮と拡張 ( 拍動 ) で全身に血液を送り出すようになっている また 心房と心室の間は 心臓骨格と呼ばれる線維性結合組織で隔てられており 電気的には絶縁されている これに対して通常の心筋細胞は枝分かれのある横紋筋であり 互いに密に隣接しており すべての心筋細胞は機能的合胞体を形成しているため 心筋のある部位に活動電位が起こると その刺激は隣接する部位に伝わり 心筋全体に広がる 心臓の刺激伝導系右心房の上部にある洞結節より 何も刺激を受けなくても一定時間ごとに繰り返し発生した電気刺激が心房に伝わって房室結節に届き 心房の興奮により心房が収縮し 三尖弁と僧帽弁が十分に開いて 心房に溜まった血液は心室へと送られる 電気刺激を受け取った房室結節は 心房が収縮しきる前に心室が収縮を始めないようにわずかに伝達時間を遅らせ ヒス束から右脚 左脚へ伝導し プルキンエ線維を介して左右の心室に規則正しく伝わる こうして心室が収縮し 心室に溜まっていた血液を心臓から全身へと送り出す この経路を刺激伝導系という 洞結節では 60~80 回 / 分 房室結節では 40~60 回 / 分 プルキンエ線維では 20~40 回 / 分の電気刺激を発生 ( 自動能 *- 1 ) させることができる -21-

23 *-1 自動能 : 細胞に外から刺激が加わることなしに自然に興奮して活動電位を発生するもの 刺激頻度が最も高い洞結節が心臓全体のリズムを支配するが 洞不全や房室ブロックが生じると下位から刺激が生じるが その刺激発生頻度は少ない これに対して 撃発活動は自動能をまったく示さず 外からの刺激や伝搬してきた興奮によってその細胞は興奮させられ この興奮で新たな興奮が惹起される現象 心筋の活動電位電気刺激が伝わって心筋が収縮する活動には イオンがそれぞれの専用の経路であるチャネルから心筋細胞に出入りする働きが関わっている 心臓の刺激伝導系の部位や状態によって 出入りしやすいイオンが異なり 洞結節や房室結節では Ca イオンが 心房や心室の心筋では Na イオンが主に働く 陽イオンが心筋の細胞内に入ることで マイナスだった細胞内 ( 分極 ) がプラスに傾き ( 脱分極 0 相 ) 陽イオンは細胞間のギャップ結合を通じて隣接する細胞にも流入( 興奮伝導 ) し 心筋が収縮する その後 K イオンが一時的に心筋細胞外に出ることで 次の興奮に備えるため再分極過程 (1 ~3 相 ) を経て 心筋細胞はマイナスの状態に戻る (4 相 ) また 心筋は 1 回収縮して 心臓から血液を送り出した直後に 再び収縮してしまうと 血液が十分に溜まっていないので 心臓がポンプとしての役割を果たすことができなくなることを避けるため 反応せず収縮しない時期 不応期 がある この不応期には K イオンが主に関係している この不応期は どのような強い刺激がきても全く反応できない 絶対不応期 ( 電位が下がり始めて-50mV までの間 ) と通常より強い刺激がきたときのみ反応する 相対不応期 の二つに分けられる 0 相 ( 脱分極相 ):Na+ チャネル開口により Na+ が細胞内に流入し 脱分極が起こる 1 相 ( オーハ ーシュート ):-40mV を超えると Na+ チャネルの不活性が起こり Na+ の流入停止が起こる 2 相 ( プラトー相 ): 電位依存性であり Ca2+ 開口によって Ca2+ が細胞内に流入する 3 相 ( 再分極相 ): 電位依存性であり K+ 開口によって K+ が細胞外に流出する 4 相 ( 静止期 ):Na+ チャネル K+ チャネルが閉口し 静止膜電位に再分極する 心電図 (electrocardiogram:ecg) 心電図とは 心臓で発生する電気的な活動の総和を記録したものである 日常臨床で利用される心電図には 以下の1~3がある -22-

24 1 標準 12 誘導心電図 肢誘導 胸部誘導からなる最も基本的な心電図 2ホルター ( 長時間 ) 心電図 携帯型の心電図記録器で 長時間にわたる記録を行う 3 運動負荷心電図 運動により心血管系に負荷を与え心電図をとる 心電図の基本波型 P 波 : 心房の収縮 ( 脱分極 ) PR 間隔 : 興奮通過時間 (0.12~0.20 秒 ) QRS 波 : 心室の収縮 (0.05~0.1 秒 ) ST 部分 : 不応期 T 波 : 心室の再分極 QT 間隔 : 心室の興奮伝導時間 (0.35~0.44 秒 ) 不整脈とは不整脈とは 正常洞律以外の調律 と定義される 正常洞律では 健康な成人の心拍数は 60~ 100 回 / 分とされるが この心臓の調律に異常がみられる病態の総称を不整脈といい 心拍数から 徐脈性 (60 回 / 分未満 ) と 頻脈性 (100 回 / 分以上 ) に大別される さらに発現部位から上室性不整脈と心室性不整脈に分類される 緊張して一時的に拍動が速くなることがあるが これも一種の不整脈で生理現象として起こるものもある 不整脈の発生機序正常の状態では 洞結節の興奮が刺激伝導系を伝わり 固有心筋 ( 心房筋や心室筋 ) に至って心筋収縮を起こすこととなるが 不整脈の発生は心筋細胞から刺激生成の異常によるものと 発生した興奮が細胞間を伝導する際に生じる興奮伝導の異常によるものとがある 刺激生成の異常によるものの機序は異所性自動能の亢進と triggered-activity( 撃発活動 ) であり 興奮伝導の異常によるものはリエントリーであるとされる 1. 刺激生成異常自動能は 細胞に外から刺激が加わることなしに自然に興奮して活動電位を発生するのに対して 撃発活動は 自動能をまったく示さず 外からの刺激や伝搬してきた興奮によってその細胞は興奮させられ この興奮で新たな興奮が惹起される現象である 1 異所性自動能亢進通常自動能は洞結節や房室接合部 ( 房室結節 ヒス束 ) に存在し自発興奮が認められるが それ以外の固有心筋 ( 心房筋や心室筋 ) から虚血や電解質異常などの病的な状況下で静止電位が浅くなった場合は 外部からの刺激とは無関係に自発的に興奮するようになる 心筋梗塞の急性期にはプルキンエ線維なども異所性自動能を示し頻拍を起こす 心房期外収縮 心室期外収縮 非リエントリー性の心房頻拍などがあてはまる -23-

25 洞刺激生成異常洞結節の自動能の更新 / 低下異2triggered-activity( 撃発活動 ) 異所性自動能とは異なり 受動的に発生した活動電位の再分極の途中または終了後に 外部からの刺激 (trigger) が引き金となって異常な活動電位が誘発される 撃発活動を生じる成因としては 再分極に引き続いてあらわれてくる後脱分極で 第 2 相の終わりから第 3 相の途中にあらわれる早期後脱分極 (early afterdepolarization;ead) と再分極が終わってから出てくる遅延後脱分極 (delayed afterdepolarization;dad) がある 早期後脱分極による撃発活動は 高度の低 K や低 Ca 血症時にみられ 遅延後脱分極によるものはジギタリス中毒 低 K または高 Ca 血症などでみられる また 1 度なら期外収縮 連続して起これば頻拍となり torsades de pointes(tdp) の起き始めに関係する 2. 興奮伝導異常 : リエントリーリエントリーとは 興奮の先回りを意味し 興奮がある経路を伝導してもとの部位に戻ったときにその部位がすでに興奮を終えて不応期から脱していると その部位に再び興奮を起こす現象をいい 不整脈の多くはここの機序によることが知られている リエントリーは 一方向性ブロックの存在と遅い伝導の存在の2つの条件さえ整えば 心臓のどの位置でも発生する < 正常 > 心筋細胞は脱分極によって活動電位を生じて興奮し その興奮が刺激となって近隣の細胞に伝わる 興奮 ( 脱分極 ) した細胞は不応期に入り しばらく次の刺激に反応しない 正常では 興奮の伝わる報告は一方向で 伝導速度 不応期は一定である <リエントリー回路 > 興奮がその回路のある部分 ( 侵害部位 ) に到達した際に その部分がブロック ( 不応期 ) されていると 興奮は他の部分に伝わり 迂回して最初に不応期であった部分に再侵入 ( リエントリー ) する その時点ではブロック地点は 不応期を脱しているため興奮 ( 脱分極 ) できる さらにその先で不応期を脱し 脱分極でき 興奮はこのリエントリー回路をぐるぐる回り続ける 不整脈の発生機序 刺激生成異常 所性刺激生成異常自動能 triggered-activity ( 撃発活動 ) 刺激伝導異常 ブロック ( 興奮伝導障害 ) リエントリー ( 興奮の再侵入 ) 心筋細胞の障害等で刺激伝導系以外の特別な刺激を受けなくても 細胞が自ら興奮する再分極の初期の段階 あるいは再分極終了直後に 外部からの刺激が引き金となり 異常な活動電位が誘発される刺激伝導系が興奮を一部もしくは全く伝えない心臓の電気的に興奮しにくい部位で伝導が遮断される通常 洞結節から出た興奮信号は心房を通り房室結節を通過して心室に一方向に伝播するが 異常な電気回路が形成され その中を電気的興奮が高速でぐるぐる旋回し続ける -24-

26 不整脈の分類と治療詳細は 不整脈薬物治療に関するガイドライン (2009 年改訂版 ) をご覧下さい 資料 不整脈の分類 P43 心拍数から 徐脈性 (60 回 / 分未満 ) と 頻脈性 (100 回 / 分以上 ) に大別される Ⅰ. 徐脈性不整脈徐脈性不整脈は 60 回未満 / 分の脈を徐脈と定義し 電気信号を出す洞結節の異常 ( 洞不全症候群 ) や電気刺激の経路に何らかの障害があり伝導が遅延したり 途絶えること ( 房室ブロック ) によって起こる 心脈拍数が 50 回以下 / 分と少なくなり 心拍の抜けの程度に応じて 主として脳への血流が低下するため 3 秒以上拍動が停止するとめまい 眼前暗黒感 数秒間 (5 秒以上 ) にわたって停止すれば 意識を失うような症状があらわれる 徐脈に伴う意識喪失は発作的に繰り返し起こるのが特徴である 高齢者に多いことから 電気刺激を伝える心筋細胞の減少が加齢によって起こることや心筋炎や狭心症 心筋梗塞 薬剤の副作用など他の病気が原因となって 心拍数が少なくなることが考えられる 徐脈の程度の軽いものは健康人にもみられ 徐脈に伴う症状がなければ特に治療の必要はなく 経過観察ができる 第 1 度房室ブロック 運動選手や夜間睡眠中にみられる洞徐脈や第 2 度房室ブロック (Wenckebach 型 ) は治療の対象とはならない 洞不全症候群 (SSS:sick sinus syndrome) 洞結節およびその周辺組織の伝導障害により 高度の洞徐脈 洞房ブロック 洞停止を生じ Adams Stokes 発作 *- 2 心不全などを呈する症候群をいう 洞不全症候群の病型分類(Rubenstein 分類 ) により Ⅰ 型 ( 洞徐脈 ) Ⅱ 型 ( 洞停止 洞房ブロック ) Ⅲ 型 ( 徐脈頻脈症候群 ) に分けられる 自覚症状としては心拍数の減少により めまいや立ちくらみがあらわれるが 症状が明らかでない場合がある < 治療 > 1 症状がない場合 無治療または経過観察 2 症状がある場合 薬剤服用が原因の場合はその薬剤の服用を中止するペースメーカーの植え込みまたは薬物療法 ( アトロピン イソプロテレノール 保険適用外であるがテオフィリン シロスタゾール ) *-2 Adams Stokes 発作 : 徐脈が原因で心拍出量が減少することで 一過性の脳虚血を生じ めまい 失神 痙攣を起こす Ⅰ 型 : 洞徐脈洞結節が電気刺激を発生する頻度が 50 回 / 分以下と遅くなった洞調律で 他に原因を認めない 多くの場合は放置しても問題ない 健常者でも睡眠中に洞徐脈になっていることもある P 波から QRS 波 T 波へと正常の波形を示す Ⅱ 型 : 洞停止一時的に洞結節から電気刺激が発生しなくなる状態で P 波の脱落を認め 心室補充収縮 *- 3 を伴う -25-

27 *-3 心室補充収縮 ( 洞律 ): 洞結節からの電気刺激が発生できなくなった時に 洞結節に代わって他の刺激伝導系が興奮を起こすこと Ⅱ 型 : 洞房ブロック洞結節は規則正しく電気刺激を発生しているが 途中で遮断されて 心房の心筋や房室結節にうまく伝わらない状態 Ⅲ 型 : 徐脈頻脈症候群徐脈性不整脈と頻脈性不整脈を交互に繰り返し 頻脈性不整脈が治まった際に 5~10 秒程電気刺激が発生しない状態 ( 洞停止 ) を伴うことがあり 多くは加齢に伴い 頻脈による動悸 息切れと徐脈による失神 めまいを主訴とすることもある 房室ブロック (AV-block:atrioventricular block) 心房から心室への電気経路のどこかにブロック ( 障害 ) が起こり 電気刺激が遅延または途絶するもので 重症度により第 1 度房室ブロック 第 2 度房室ブロック (Wenckebach 型 MobitzⅡ 型 ) 第 3 度房室ブロック ( 完全房室ブロック ) に分けられる 原因は不明の場合が最も多く 加齢が関係しているとも考えられるが 他の病気 ( 狭心症 心筋梗塞 心筋症など ) が関与している場合もある MobitzⅡ 型房室ブロック 第 3 度房室ブロック ( 完全房室ブロック ) は徐脈や失神 心停止を引き起こす場合もある < 治療 > 1 第 1 度房室ブロックおよび Wenckebach 型第 2 度房室ブロック 無治療または経過観察 2MobitzⅡ 型第 2 度房室ブロック 第 3 度房室ブロック ( 完全房室ブロック ) ペースメーカー植え込み ペースメーカー不適応の場合は薬物治療 ( イソプロテレノール アトロピン ) 第 1 度房室ブロック房室結節およびその周辺での伝導障害によって 心房からの心室に伝わるのに本来より時間がかかるが 心拍数や血圧には影響がない QRS 波の脱落はないが PQ 間隔が 0.2 秒以上と延長する 健常者にもみられることが多く 危険度は低い Wenckebach 型第 2 度房室ブロック 1 度房室ブロックと同様に房室結節の機能低下が原因と考えられる 心房からの心室に伝わる時間が徐々に延びていき やがて途絶える 続く心拍で再び回復した後 また徐々に延長して脱落する この周期を Wenckebach 周期という 心電図では PQ 間隔は徐々に延長し その後 QRS 波は脱落する 危険度は低い MobitzⅡ 型ヒス束以下の異常が原因で 電気刺激の伝導時間の延長なしに突然心室への伝導が途絶えて その後再び回復する PQ 間隔の延長を伴わず 突然 QRS 波の脱落を認める 高度房室ブロックや完全房室ブロックに進行することがあり 危険度は高く 不可逆的なため厳重な経過観察を必要とする -26-

28 高度房室ブロック P 波と QRS 波の関係 ( 房室伝導比 ) が P 波 2 個以上に対して QRS 波 1 個以下の場合を呼び この状態は脳虚血を招きやすい 第 3 度房室ブロック ( 完全房室ブロック ) 心房からの心室への電気刺激が完全に途絶えたもので P 波は正常に示すがその後に QRS 波が続かず 波形はそれぞれ無関係に独立して出現する 心室への補充収縮の出現部位により QRS 波の形や幅が異なる 徐脈によるめまい 失神 息切れ 倦怠感が認められる場合は ペースメーカーの植え込みが必要とされる Ⅱ. 頻脈性不整脈脈拍数が 100 回 / 分以上と異常に多くなり 動悸を感じたり 意識が遠くなるような症状があらわれる 心臓に何らかの原因があって心拍数が増える場合は 心臓が血液を十分に送り出せなくなり 脳虚血が生じ 失神 さらには突然死を招くことがある 1. 上室性 ( 心房性 ) 不整脈 洞性頻脈 (sinus tachycardia) 洞結節自動能の亢進により 洞調律が 100 回 / 分を超えた場合だが 洞調律の状態は変わっていない P 波から QRS T 波へと続く関係は正常で 心拍は徐々に高くなり 血圧は正常かやや上昇する 上室期外収縮 (SVPC:supraventricular premature contraction) 心室より上位の刺激伝導系 ( 上室 : 洞結節 心房 房室結節 ヒス束 ) で異常な電気刺激が発生し 通常よりも早期に心房の収縮が起こるため ドキンッと脈が飛んだと感じることがある 発生部位により 洞性期外収縮 心房性期外収縮 (APC または PAC) 房室性接合部期外収縮と区別される 心電図では 洞調律よりも早期に波形の異なる P 波が認められ 正常波形の QRS 波を伴う 多くの場合 ストレスや睡眠不足 喫煙 飲酒などによる自律神経のバランスの乱れが原因とされる < 治療 > 基本的には自覚症状の有無により治療を考慮し 心配のいらない不整脈である 1 自覚症状がないもしくは軽度 特に投薬の必要はない 2 自覚症状が強い 誘因となる生活習慣の改善 第 1 選択薬としてβ 遮断薬 第 2 選択薬として Na チャネル遮断薬の slow kinetic ジソピラミド シベンゾリン ピルシカイニド 第 3 選択薬として intermediate kinetic のプロパフェノン アプリンジンなどが推奨される 3 基礎疾患がある 自覚症状の有無にかかわらず薬物治療軽度の心機能低下あり β 遮断薬 >intermediate kinetic drug>slow kinetic drug 心機能軽度 + 虚血 + 心筋梗塞あり β 遮断薬 >intermediate kinetic drug 心機能中等度以上低下 アップストリーム治療 :β 遮断薬 ACE 阻害薬 ARB 心房細動 (AF:atrial fibrillation) 心房各部位でリエントリーが発生し 不規則で連続的な興奮による 心房が細かく震えるため 心室への伝導が不規則になり 心拍数は 250~400 回 / 分以上となる P 波は認められず 不規則な -27-

29 基線の揺れ (F 波 ) と RR 間隔が不整である 心房細動の持続時間から発作性 (7 日以内 ) 持続性 (7 日以上 ) 永続性( 除細動不能 ) に分類される 高齢者や弁膜疾患 高血圧 心不全などの基礎疾患を有する患者に多く 動悸 息切れや胸部不快感などがあらわれるが 自覚症状はなく 睡眠中に発生しやすいといわれる 心房細動が続くと心不全などの合併症を起こしやすくなり また 心房内に形成された血栓により全身の閉塞症を生じる危険性もある < 治療 > 血栓閉塞症予防と脈拍管理を目標とする 1 血栓予防 (CHADS2 スコア活用 ) 抗血栓療法 ( ワルファリン ダビガトラン等 ) 2 心拍数調節 ( レートコントロール ) 安静時心拍数 60~80 回 / 分を目標 β 遮断薬 ( プロプラノール ) Ca 拮抗薬 ( ベラパミル ジルチアゼム ) ジギタリス( 効果不十分な場合補強 ) 急速に徐拍化が必要時は 静注薬使用 3 洞調律維持 ( リズムコントロール ) 再発予防を図る a. 臨床上有意な器質的心疾患を認めない心房細動 発作性 持続 7 日以内で洞調律と心房細動を繰り返している 第 1 選択は Na チャネル遮断薬 slow kinetic( ジソピラミド シベンゾリン ピルシカイニド フレカイニド ) プロパフェノンの効果が高い 第 2 第 3 選択に電気的除細動 カテーテルアブレーション 肺静脈隔離術 *- 4 夜間 食後 :M2 受容体拮抗薬 持続性 心房細動が 7 日以上持続リモデリングが進行した心房筋では 抗不整脈薬による除細動は困難 K チャネル遮断薬のベプリジル ソタロール ( 保険適用外 ) アミオダロン 第 2 第 3 選択に電気的除細動 カテーテルアブレーション 肺静脈隔離術 メイズ手術 b. 器質的疾患を有する心房細動 基礎疾患の原因改善治療 ( アップストリーム治療 ) 次に心拍数調節治療 第 2 第 3 選択に電気的除細動 カテーテルアブレーション 肺静脈隔離術 *-4 非薬物治療 : カテーテルアブレーション( 約 80% は有効 ) 血管を通してカテーテルをリエントリー回路の特定部位に挿入し 先端のチップを通して高周波電流を流して その回路を断ち切る手法 ( カテーテル心筋焼灼術 ) 不整脈の種類にもよるが 手技時間は大体 2 時間 ~4 時間ほどで 体に負担がかからないよう 局部麻酔や静脈麻酔で行われる 肺静脈隔離術( 約 70% は有効 ) 約 90% の期外収縮が肺静脈から発生していることから 肺静脈を左房から電気的に切り離して ( 焼灼 ) して部分の筋肉が変性し電気を通さなくなり 肺静脈内にある発電所からの興奮が心房に拡散しなくなる メイズ手術(70~90% 回復 ) 心房細動に対する手術で 心房筋を一定の幅以下で切り離し再縫合することで リエントリー回路をすべて切断する 左右の肺静脈と左房の間の電気的連結を遮断する肺静脈隔離も同時に行われる -28-

30 心房粗動 (AFL:atrial flutter) 電気的興奮が規則正しく心房内をリエントリーし 一定の頻度で心室に伝導する状態をいう P 波の代わりに心拍数約 300 回 / 分の粗動波を生じる 心房拍数が 240~340 回 / 分の比較的遅い粗動をタイプⅠ 340~440 回 / 分の比較的速い粗動をタイプⅡと分類している 心電図では RR 鋸歯状波 (F 波 ) を特徴とし 房室伝導比は 4 つの粗動ごとに QRS 波が1つの 4:1 2 つの粗動ごとに QRS 波が1つの 2:1 が多い 心拍数の多い心房粗動の状態が長く続くと 心臓に負担がかかり心不全 または血栓 脳塞栓症が起こることもあり 心房細動に移行する場合もある < 治療 > すぐ洞調律維持を図るか 心房粗細動のまま心拍数調節をすべきか さらに血栓形成の問題から抗凝固療法をすべきか否かを検討する 1 血栓予防 抗凝固療法 ( ワルファリン ダビガトラン等 ) 2 血行動態が不安定 *-5 DC( 電気 ) ショック *-5 血行動態が不安定 : 頻脈 徐脈を問わず 有効な心拍数が保てなくなると血行動態 ( 血液の状態 ) が悪化し 様々な症状をきたす状態を 血行動態が不安定 という 血行動態が不安定な不整脈の症状 不整脈の種類 緊急治療 ショックの所見 ( 血圧低下 意識障害 乏尿 無 頻脈心拍数 >150 DC ショック 尿 冷汗 末梢の冷感 ) 回 / 分が多い 失神 痙攣 呼吸困難 一時ペーシ うっ血性心不全 徐脈 ング 持続する胸痛 一時ペーシング : 電気的に心筋を刺激して心拍数を増加させる一時的な処置 3 血行動態が安定している 心拍数が 100 回 / 分以上の場合は まず心拍数調節 99 回 / 分以下は洞調律維持を行う a. 心拍数調節 ( レートコントロール ) 房室結節抑制薬 :β 遮断薬 ( アテノロール ビソプロロール ) ジゴキシン Ca 拮抗薬 ( ベラパミル ジルチアゼム ) b. 洞調律維持 ( リズムコントロール ) 中等度以上の K チャネル遮断薬 ( ニフェカラント ( 適応外 ) プロカインアミド) 第 2 選択薬に Na チャネル遮断薬 intermediate~slow kinetic drug( ジソピラミド シベンゾリン ピルシカイニド フレカイニド ) 薬剤投与後に粗動周期の延長などにより心室レート増加 房室結節抑制薬を併用 細動粗動化 ( 頻拍 ) が疑われる場合 減量中止 K チャネル遮断薬に変更する -29-

31 4 再発予防 a. 正常 ~ 軽度低下 ( 保険適用外 )K チャネル遮断薬 ( ベプリジル ソタロール ) 第 2 選択薬に Na チャネル遮断薬 intermediate~slow kinetic drug( ジソピラミド プロパフェノン シベンゾリン アプリンジン ピルシカイニド フレカイニド ) 房室結節抑制薬と併用 b. 中等度以上低下 WPW 症候群 ( デルタ波 ) がなければジゴキシン 次にプロカインアミドかキニジン 峡部依存性心房粗動 第 1 選択 : カテーテルアブレーションにより根治可能 高齢者で薬剤投与困難 カテーテルアブレーション ペースメーカーの植え込み 5WPW 症候群を伴う心房粗動 β 遮断薬 ジゴキシン ベラパミルは禁忌 カテーテルアブレーションにより根治可能 発作性上室頻拍 (PSVT:paroxysmal supraventricular tachycardia) 突然の発症と発症から 7 日以内に自然に停止する特徴を有する 心拍数は 200 回 / 分前後で 規則正しい RP 間隔で 幅狭の QRS 波を示す 心臓刺激伝導系のうちで洞房結節 心房筋 房室結節 Kent 束が関与する頻拍の総称である リエントリー ( 再入あるいは回帰 ) を機序とする頻拍がほとんどであり 臨床的には発作性に頻拍が生じることから発作性の名称がつけられている 発作性上室頻拍のうち 最も頻度が高いのが房室結節リエントリー性頻拍 (AVNRT) で 50% 次に多い房室回帰性頻拍(AVRT) と合わせると全体の 90% 以上を占める AVNRT は女性に AVRT は男性に多く 発作性上室頻拍の 50% は 30 歳前後までに発症する 症状として 動悸があらわれ 重症例ではめまいや浮遊感 失神する場合がある < 治療 > ほとんどの発作性上室頻拍は カテーテルアブレーションで根治できる そのため 薬物治療は 発作の停止にほぼ限られる アブレーション不成功例やアブレーションを希望しない例では 抗不整脈薬適応となる 1 発作時に血行動態が安定している ( 発作停止 ) a. 迷走神経刺激法 ( 息こらえ 顔面を冷水に浸す 嘔吐反射 深呼吸など ) 迷走神経が刺激されると房室伝導が抑制される性質を利用した方法だが 有効率は高くない b. 静注では Ca 拮抗薬 ( ベラパミル ジルチアゼムなど ) ATP( 保険適用外 ) 経口ではβ 遮断薬 ベラパミル 房室結節内の伝導を抑制 Naチャネル遮断薬 ( シベンゾリン アミサリン ジソピラミド ) 副伝導路*- 6 心房筋 房室結節の伝導を抑制し停止 効果は高くない (40%~60%) 2 発作時に血行動態が不安定 ( 発作停止 ) DC ショック ( 心電図の R 波を検知し 易刺激性の受攻期 *- 7 を避けるタイミングで通電するもの 同期通電 ) 高頻度ペーシング 3 慢性期の治療発作頻度が低く 短時間で停止し 自覚症状が軽微な例では発作間欠期の治療は必要ない アブレーションを勧める a. 心機能が中等度以上低下している場合第 1 選択薬は 陰性変力作用の少ない Na チャネル遮断薬 -30-

32 房室結節リエントリー性頻拍では第 1 選択薬ジゴキシン b. 心機能が正常 ~ 軽度低下の場合房室結節リエントリー性頻拍では第 1 選択薬 β 遮断薬 Ca チャネル遮断薬 ( ベラパミル ジルチアゼム ) ジゴキシン WPW 症候群 ( 顕在性 ) では第 1 選択薬 K チャネル遮断薬 非発作性上室頻拍 / 心房頻拍 (AT:atrial tachycardia) 心房の心筋から異常な電気刺激が発生し 心房の中を電気刺激が回り続けるため 心房が速く収縮し ダダダダという機関銃のような小刻みな動悸を感じる 多くは一過性であるが ときには長時間持続することもあり 心機能低下を認める場合には治療が必要となる 心電図上は洞性 P 波と異なる P 波が QRS 波に先行し 期外収縮が 3 連以上連続して出現する 拍数は 120~240 回 / 分である 異所性心房頻拍は慢性反復型と持続型があり 若年者に多く 持続型は心不全をきたしやすい 心房内リエントリー性頻拍は発作性に生じ 高齢者に多く 拍数は比較的に少ない 頻拍の原因としてジギタリス中毒や各種心疾患 肺性心 低酸素血症 外科手術後などがあるが 特発性のことも多い < 治療 > 1 有症候例や薬物療法抵抗性の症例 カテーテルアブレーション洞結節や房室接合部領域の頻拍に対するアブレーション治療は 洞機能不全 房室伝導障害の合併症を招く可能性があるため 実施はしない 2 薬物療法 β 遮断薬 ( プロプラノロール ) Ca チャネル遮断薬 ( ベラパミル ) Na チャネル遮断薬 ( ジソピラミド シベンゾリン フレカイニド ) など頻拍が停止しない 心室拍数の調節としてβ 遮断薬 ( プロプラノロール ) Ca チャネル遮断薬 ( ベラパミル ) ジゴキシン 2. 心室性不整脈 心室期外収縮 (VPC:premature ventricular contraction or PVC) 予期する心室の興奮よりも早期に心室から異所性興奮が発生する 心筋梗塞などの基礎心疾患を有する患者が 心室期外収縮を頻発 連発することは生命予後を悪化させる 発現頻度は加齢と共に増加し 男性に多いとされる 異所性興奮のため先行する P 波を欠き 予期するよりも早期に心室が興奮するため QRS 波は早期に出現し 幅広い QRS 波を認める 重篤な基礎疾患がなく 期外収縮に伴う自覚症状が軽度の場合はあえて薬物療法を行わず 生活習慣の改善や軽い精神安定剤のみで様子を見ることも多い 一方 薬物療法に抵抗し自覚症状が強く 非薬物治療による根治を強く希望する場合ではカテーテルアブレーション治療も選択肢の1つとなっている < 治療 > 心室期外収縮自体の治療は必ず必要ではない むしろ 睡眠不足や喫煙など不整脈を悪化させる生活習慣の改善を指導すべきである 動悸などの症状が中等度または高度の場合 不整脈の存在によって QOL が低下し患者が薬物による治療を望む場合には 心電図波形等によって用いる薬剤を選択する 基礎疾患を有する場合は治療の対象となる ( 薬剤選択フローチャートは削除 ) *-6 副伝導路 : 正常な刺激伝導路以外にある伝導路をいい Kent 束 ( 房室副伝導路 ) James 線維 ( 結節内副伝導路 ) Mahaim 線維 ( 心房束枝副伝導路 ) などがある Kent 束が臨床上最も重要で 通常 副伝導路というときは Kent 束を指す *-7 受攻期 : 心電図上の T 波の頂上から下降部分に相当する部分を指す -31-

33 1 心筋梗塞急性期を伴う場合 Na チャネル遮断薬 ( リドカイン プロカインアミド ) 持続性心室頻拍 心室細動危惧の場合 ニフェカラント静注 アミオダロン静注 2 基礎心疾患 ( 心筋梗塞亜急性期 心筋梗塞慢性期 ) を伴う場合 Na チャネル遮断薬 slow kinetic は禁忌 a. 心機能正常 第 1 選択薬はβ 遮断薬 Na チャネル遮断薬 fast~intermediate kinetic 第 2 選択薬はソタロール b. 心機能軽度低下 Na チャネル遮断薬 fast kinetic( 長期使用は避ける ) 原疾患に対する治療は積極的に行う ( 低用量 β 遮断薬 ACE 阻害薬 ARB 併用 ) c. 心機能中等度以上 Na チャネル遮断薬 ( メキシレチン ) 長期使用は避ける 非持続性心室頻拍ではアミオダロン推奨 アミオダロン ソタロール β 遮断薬 Na チャネル遮断薬 ACE 阻害薬 ARB 心室頻拍 (VT:ventricular tachycardia) 心室期外収縮の連発がきっかけでリエントリーが起こり 3 連発以上続いた状態を心室頻拍という 心電図では 幅広い QRS 波 ( 心室の収縮 ) が規則正しく連続してあらわれ 脚ブロック型となり P 波 ( 心房の収縮 ) は消滅している状態が続く 3 連発以上が 30 秒以上続く 持続性心室頻拍 と 30 秒未満で治まる 非持続性心室頻拍 に大きく分けられる 持続性心室頻拍から状況によっては心室細動に移行する危険な場合もある 心拍数は 120~250 回 / 分程度で動悸 めまい 息切れなどの症状があらわれるが 自覚症状がないこともある 心室頻拍が発生すると 心室から拍出される血液量が著しく減少するため血圧低下が起こりやすい 狭心症 心筋梗塞 心臓弁膜症 心筋症などの基礎疾患などがあると心室頻拍を起こしやすいが ストレス 睡眠不足 過労なども引き金となる < 治療 > 非持続性心室頻拍 : 原因となる基礎疾患がない場合には 特に治療を行う必要はないとされる 持続性心室頻拍 : まず持続性心室頻拍の停止を行う 1 血行動態が安定している場合 a. 心機能正常 Na チャネル遮断薬 ( プロカインアミド リドカイン ) K チャネル遮断薬 ( アミオダロン ) など 右脚ブロック 左軸偏位型 ベラパミルなど 左脚ブロック 右軸偏位型 ATP など b. 心機能低下 アミオダロン ニフェカラントジギタリスは異所性興奮を亢進するため禁忌 2 血行動態が不安定な場合 DC ショック ( 心電図の R 波を検知し 易刺激性の受攻期を避けるタイミングで通電するもの 同期通電 ) 到死的不整脈 緊急に DC ショック ( 除細動 ; 心電図に同期せず 心筋に直流電気を通電して正常調律に復帰させるもの 直流通電 ) 再発する場合はアミオダロン ニフェカラントまたはリドカインの静注後 再度 DC ショックを行う -32-

34 3 再発予防 a. 基礎心疾患がない ( 特発性 ) カテーテルアブレーション不成功 拒否 Ca チャネル遮断薬 β 遮断薬 Na チャネル遮断薬 b. 基礎心疾患合併あり 植込型除細動器 (ICD) ソタロールまたはアミオダロンとβ 遮断薬との併用で ICD 作動回数を減少させる 4 突然死一次予防 重症心不全 β 遮断薬 抗不整脈薬以外に ACE 阻害薬 抗アルドステロン薬が予後を改善する 心筋梗塞後の心機能低下 ICD 心室細動 (VF:Ventricular fibrillation) 心室内での興奮が無秩序に行われ 心室全体としての均一な収縮がなく 心拍出量が 0( 心停止 ) になった状態で 速やかに治療しなければ死に至る 心拍数は 300 回 / 分以上になり 心臓が細かく震えて痙攣し 心室が収縮できないため全身に血液が送れず 血圧は著しく低下して脈は触れない これは リエントリー によって 心室の心筋の多数の部位で電気刺激がぐるぐると回り続けるためである P 波は認められず 振幅も周波数も全く不規則な波形が連続して ただ揺れているようにみられる 心室細動は 狭心症 心筋梗塞 心不全などの心疾患や他の不整脈から引き起こされるケースが大半で 睡眠中と午前中に起こりやすいとされる 突然死は午前 10 時頃に最も多いといわれ 80% は頻脈性不整脈でそのほとんどは心室細動が原因とされる < 治療 > 直ちに心臓の痙攣を止めるために 迅速に対応 治療しなければ数分で死亡する 1 自然停止しない場合 : a. 直ちに一次救命処置 (BLS) の手順に基づき 心肺蘇生術 (CPR) を絶え間なく行い 早期に AED( 自動体外式除細動器 ) または除細動 (DC ショック ) を試みる b.3 回の除細動でも停止しない 二次的救命処置 (ACLS) アドレナリンまたはバソプレシンを静注 c. これでも停止しない アミオダロン ニフェカラントを第 1 選択としリドカイン ( 第 2 選択 ) を静注し 再度 DC ショック 2 自然停止するが再発を繰り返す場合 : 洞調律の心電図において QT 延長の有無を確認する a.qt 延長を認める マグネシウムの静注 b. 先天性 QT 延長群 β 遮断薬の静注 c. 後天性 QT 延長群 原因治療 心室ペーシング 3 再発予防 a. 器質的心疾患を有し心機能低下 植込型除細動器 (ICD) b. 器質的心疾患を有するが心機能正常または軽度低下 アミオダロン c. 器質的心疾患を認めない 植込型除細動器 (ICD) -33-

35 Ⅲ. 伝導障害 脚ブロック脚は心室に電気刺激を伝えるケーブルのように働く 右心室側に広がる 右脚 と左心室側に広がる 左脚 があり さらに左脚は 左脚前枝 と 左脚後枝 に分かれ これら 3 枝の脚により心室に電気刺激が伝わる 脚は補い合うため 1 枝がブロックされても他の 2 枝から電気が伝わる 3 枝がブロックされると 房室ブロック になるが 実際に進行するのは 1% 程度である 右脚ブロック(RBBB:right bundle branch block) 右脚の刺激伝導系が障害された状態で ヒス束より伝えられた刺激は右脚に伝導されず 左脚のみに伝わるため 左室の興奮が先に起こる 心室の興奮伝導に時間がかかるため QRS 波は幅広く変形し V1 誘導で波形が上向きを示し 山が 2 つあらわれる 多くの場合 原因は不明で原因となる病気がない場合は 特に治療を行う必要はない 左脚ブロック(LBBB:left bundle branch block) 心室内の興奮は 左脚の障害により右脚のみ通過し 右脚が興奮を伝え終わってから左室に遅れて伝わる このため心電図では 深く幅の広い S 波となり 標準 12 誘導心電図における V1 誘導で波形が下向きを示す V5 6 誘導では M のような形になる 基礎疾患として狭心症 心筋梗塞 拡張型心筋症やサルコイドーシスなどを有していることがあるので 右脚ブロックより注意したい Ⅳ. 不整脈をきたす心電図症候群 WPW 症候群 (Wolff-Parkinson-White syndrome) 心房と心室とを連結する副伝導路 (Kent 束 ) が存在し 心室の早期興奮が生じる疾患で 房室回帰頻拍 (AVRT) や心房細動 (AF) を引き起こす WPW 症候群の特徴としては 心室が早期に興奮することで デルタ (Δ) 波が P 波の後にあらわれる PQ 間隔が短縮され 幅広い QRS 波となる また Kent 束の存在部位により A 型 B 型 C 型の 3 種類に分けられる A 型は Kent 束が左房と左室間に存在し 左室が右室より早期に興奮するため心電図波形は右脚ブロック型を示す これに対して B 型は Kent 束が右房と右室間に存在し 右室が左室より早期に興奮するため心電図波形は左脚ブロック型を示す C 型は中隔に存在する < 治療 > 1 発作がない 経過観察 2 発作時の治療 a. 房室回帰頻拍の合併 逆行性 P 波 Δ 波の消失 迷走神経刺激法 無効なら ATP Ca 拮抗薬 ( べラパミルなど ) 静注 b. 心房細動の合併 Δ 波 RR 間隔の不整 基線 (F 波 ) の細かな動揺 Na チャネル遮断薬の静注ジギタリス Ca 拮抗薬は禁忌 正常伝導路を抑制し 副伝導路の伝導が逆に促進されることでますます頻脈となる 3 根治治療 カテーテルアブレーション QT 延長症候群 (LQTS:long QT syndrome) QT 延長とは心筋活動電位の延長により QT 間隔が延長するもので torsade de pointes(tdp) *- 8 という特殊な多形性心室頻拍をきたすのが特徴である QT 間隔が延長しているだけでは無症状だが TdP が発生すると痙攣や失神が起こる 失神発作を繰り返すと 突然死に至ることもある -34-

36 心電図では非発作時に QT 間隔が (QTc=QT/ RR>0.48)0.48 秒を超える 原因には先天性 ( 遺伝性 ) と二次性 ( 後天性 ) がある 先天性 LQTS は種々の心筋細胞イオンチャネル (K + チャネルや Na + チャネル ) の遺伝的異常により 心筋活動電位の再分極異常が原因とされており 二次性 LQTS では 抗不整脈薬 向精神薬 抗菌薬 電解質異常 徐脈などが原因となる < 治療 > TdP を繰り返す場合は硫酸マグネシウムの静注が有効 1 先天性 LQTS β 遮断薬 ( プロプラノロール ) 徐脈が高度な場合 一時ペーシングイソプロテレノールは禁忌 薬剤抵抗性 植込型除細動器 (ICD) 2 二次性 LQTS 原因除去 ( 原因薬剤の中止 ) 徐脈が高度な場合は一時ペーシング イソプロテレノール点滴 低 K 血症があれば K 製剤 *-8 torsade de pointes(tdp): QRS 軸が時間と共にねじれるように変化するものを示す 再分極の途中に興奮が生じる早期後脱分極 (EAD) が原因となって発生し 発作間欠時に QT 延長を伴い発作自体は 30 秒以内で洞調律に戻ることが多い しかし 中には心室細動 (VF) に移行し 突然死に至る場合もある Brugada 症候群器質的疾患を伴わず 心室細動 (VF) の原因となり 日本の人口の約 1% の割合で若年者 ~ 中高年 ( 特に男性に多く ) の突然死を引き起こす 健康な男性が夜間就寝中に ウーッ とうなり声を上げて心室細動が発生し突然死を起こすことから ぽっくり病 の原因の 1 つといわれており Na + チャネルの先天的な異常が原因と指摘されている 心電図では 非発作時の 12 誘導心電図で不完全右脚ブロックと右側胸部誘導 (V1~V3) で coved 型 ( 断崖や渓谷の窪みの意味 ) あるいは saddle back 型 ( 馬鞍 または馬鞍様 ) の ST 上昇を伴う 治療としては 突然死の予防のために 植込型除細動器 (ICD) を用いる -35-

37 ジギタリス製剤 薬学的管理指導において特に注意すべき事項 1) 患者に対する処方内容 ( 薬剤名 用法 用量等 ) の確認 2) 服用患者のアドヒアランスの確認 3) 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育 ( 特にジギタリス中毒症状 ( 食欲不振 悪心 嘔吐 めまい 頭痛 不整脈 ) の発現の確認とその対策 ) 検査状況やその値 ( 腎 肝機能等 ) の確認 4) 効果の確認 ( 適正な用量 可能な場合の検査値のモニター ) 5) 一般用医薬品やサプリメント等を含め K 排泄型利尿薬やCa 含有製剤 β 遮断薬等 併用薬及び食事との相互作用の確認 服薬指導のポイントジギタリス製剤は 有効血中濃度の治療域が狭く コントロールが難しい薬剤であるため 指示通りに服用する必要性を指導し 定期的に受診し 心電図や血液検査を行うことの必要性を説明する 資料 ジギタリス製剤一覧 注意すべき副作用と初期症状 P66 患者の自覚症状を確認する おくすり手帳などから過去 2~3 週間以内にジギタリス剤又はその他の強心配糖体が投与されているか否かを確認 投与開始 投与量を変更する際は 患者の状態や病態の変化を観察する ジギタリス中毒の初期症状の把握 食欲不振 悪心 嘔吐 下痢 光がないのにちらちらみえる 黄視 緑視 複視 めまい 頭痛など 脈がとんだり 徐脈はないかを確認 下痢 嘔吐が継続していないか 朝と晩で体重が急激に増加または減少していないか 心不全の悪化が考えられる 服薬状況の確認 医師の指示とおりに決められた時間に 決められた量を服用できているか 服用に不安を持ち 自己判断で投与量を変えていないか 医師の説明を理解しているか 服用に対して 質問がないか 服用量を厳重に守らなければいけない 過量服用により副作用 ( 中毒 ) が発現しやすい薬剤であることを指導する 大量服用に気をつける 中毒症状の発現 検査モニタリングの確認血中濃度の測定を行っている場合は 患者に結果を尋ねるなどしてジギタリス濃度に変動がないか 中毒域になっていないかを確認する また 血清電解質のモニタリングも低 K 血症 高 Ca 血症の防止に必要である -36-

38 副作用 中毒症状の説明 資料 ジギタリス製剤一覧 注意すべき副作用と初期症状 P66 消化器( 食欲不振 悪心 嘔吐 下痢等 ) 視覚異常( 光がないのにちらちら見える 黄視 緑視 複視等 ) 精神神経系症状( めまい 頭痛 失見当識 錯乱 譫妄等 ) 不整脈が出現( 初期症状より先行する可能性あり ) リスク因子の有無 低 K 血症の有無 筋肉の力が落ち 全身の倦怠感 薄い尿で頻尿 低 Mg 血症の有無 吐き気 嘔吐 眠気 脱力感 性格の変化 筋肉の痙攣 ふるえ 食欲不振 高 Ca 血症の有無 便秘 吐き気 腹痛 多尿 高齢者 小児 他の疾患にかかっていないかの確認 腎疾患がないか または透析を受けていないか 甲状腺機能亢進又は低下症のある患者甲状腺機能低下症のある患者では ジゴキシンの血中濃度が高くなり 中毒を起こすおそれがある また 甲状腺機能亢進のある患者では ジゴキシンの血中濃度が低くなり 作用が減弱し 大量投与が必要になる場合がある 他の薬剤の併用 資料 ジギタリス製剤の相互作用 P67 種々の薬剤との相互作用が報告されている 他剤と併用したり 本剤又は他剤を休薬する場合はジギタリスの血中濃度の推移 自覚症状 心電図等に注意し 慎重に服用すること Ca 注射剤 スキサメトニウムを投与することはないか エリキシル アルコール摂取 ジスルフィラム シアナミド エタノールを含有しているため ジスルフィラム シアナミド -アルコール反応を起こすことがある ジギタリスの作用を増強する薬剤( 利尿薬 解熱 鎮痛 消炎薬 不整脈用薬 β 遮断薬 血圧降下薬 HMG-CoA 還元酵素阻害薬 PPI ビタミンD 製剤 Ca 含有製剤 抗生物質など ) ジゴキシンの作用を減弱する薬剤( カルバマゼピン コレスチラミン スクラルファート 制酸剤 リファンピシン 甲状腺製剤 アカルボースなど ) 制吐作用を有する薬剤 ジギタリス中毒の症状を不顕化するおそれがある 利尿薬 低 K 血症からジギタリス中毒の症状を起こしやすくなる K 保持性利尿薬の使用を薦める OTC 薬 民間療法の使用状況の確認 資料 ジゴキシンの健康食品 サプリメント等食品との相互作用 P70 健康食品や民間薬などを摂っていないか また摂りたいと考えていないか セント ジョーンズ ワート グレープフルーツジュース 食物繊維を含む食品など むやみに OTC 薬や民間薬を使用して 薬物療法の妨げにならないよう注意し 治療薬との併用に問題がないか確認する -37-

39 救心( センソ ) センソに強心作用があるとされている ビタミン D Ca 含有製剤 血中 Ca 濃度が上昇し ジゴキシンの作用を増強することにより ジギタリス中毒の症状 ( 嘔気 嘔吐 不整脈等 ) があらわれる カンゾウを含む漢方薬やサプリメント 偽アルドステロン症などの副作用が起こりやすい 併用により K の腎排泄が促進され 低 K 血症が起こり ジゴキシンの作用が増強される セイヨウサンザシ セイヨウサンザシ中成分にジギタリス様作用がある 生活習慣の確認 食事 食欲不振または過食になっていないか 適正な食事をとっているか 朝 夕での急激な体重の変化 睡眠状況 十分な休養をとっているか 自動車の運転 カフェイン アルコール摂取の有無 利尿作用により血中 K 値の低下 普段から脈拍数やリズムを確認する習慣を付ける 定期的に受診し 心電図や血液検査を行うようにする ダイエット 高温 運動による過度の発汗 脱水 減塩食の有無 電解質の異常をきたしやすい 家族への協力 ジギタリス中毒の初期症状( 食欲低下 嘔気 嘔吐 下痢 光がないのにちらちら見える 黄視 緑視 複視 めまい 頭痛 失見当識 錯乱 譫妄等 ) があらわれた場合は直ちに医師に連絡をする 医師への連絡先の確認ができているか 薬剤管理の協力ができるか 本人と家族の両方から情報収集ができるか ジギタリスとはジギタリスは ゴマノハグサ科の多年草で 200 年以上にわたりうっ血性心不全の治療剤として使用されている 日本薬局方ではジギタリスの一種 Digitalis purpurea が医薬品として収録されている ステロイド骨格の C17 位に不飽和ラクトン環と C3 位に糖が結合した構造を有する強心配糖体である -38-

40 ジギタリスの作用機序ジギタリスの心収縮力増強作用のメカニズムは不明であるが 細胞膜にある Na/K-ATPase のαサブユニットに結合することで この酵素の活性を抑制して 細胞内から細胞外への Na イオン流出を抑制する このため細胞内に Na イオンが蓄積され これにより細胞内の Na 濃度勾配を減少し Na/Ca ポンプによる Ca イオンの放出が抑制される また Na/K ポンプの代わりに Na イオンを放出し同時に Ca イオンが細胞内に流入する ( 逆交換 ) 細胞内で増加した Ca イオンは 細胞内の筋小胞体膜にある Ca -ATPase により筋小胞体に取り込まれ 脱分極時の Ca イオン流入により遊離し 心臓の収縮力を強める ( 陽性変性力作用 強心作用 ) またこの他に迷走神経刺激作用によるムスカリン M2 受容体刺激作用 ( 陰性変時作用 心拍数抑制作用 ) 副交感神経緊張を高め 交感神経緊張を下げることにより 洞結節の自動能を抑え房室結節への伝導を抑制する 陰性変伝導作用も併せもつ 臨床的に ジギタリス製剤は強心薬に分類され 頻脈性心房細動を合併した慢性心不全に有効である 心房細動中の心室応答のコントロールに主に使用され 副交感神経活動を更新させる作用のため運動中やストレス 交感神経緊張状態による心拍数の増加には効果を示さない また 発作性心房細動を予防することはできない 慢性持続性心房細動に対して適応する 治療薬物モニタリング (TDM) ジゴキシンの中毒域と有効治療域の間には明確な境界がなくかなりの重なりがあり 治療上有効な血中濃度は 一般的に 0.8~2.0ng/mL とされているが 心不全に対する至的血中濃度は 0.5~0.8ng/mL で予後の改善が見られると推奨されている 2.0ng/mL 以上では血中濃度に比例して死亡率が増加すると報告されている ジギタリス中毒ジギタリス製剤は治療域と中毒域の幅が狭く 過量投与以外に電解質異常 ( 低 K 血症 低 Mg 血症 高 Ca 血症 ) によっても起こる 中毒症状を発現する血中濃度 ( 成人 ): 一般に 2.0ng/mL 以上が中毒レベル 2.0~3.0ng/mL: 中毒例と非中毒例が混在するレベル 3.0ng/mL 以上 : ほぼ全例が中毒初期症状 : 消化器 ( 食欲不振 悪心 嘔吐 下痢等 ) 視覚異常( 光がないのにちらちら見える 黄視 緑視 複視等 ) 精神神経系症状( めまい 頭痛 失見当識 錯乱 譫妄等 ) 不整脈が出現( 初期症状より先行する可能性あり ) 中毒症状 : 高度の徐脈 二段脈 多源性心室性期外収縮 発作性心房性頻拍等の不整脈があらわれることがある また さらに重篤な房室ブロック 心室性頻拍症あるいは心室細動に移行することあり処置法 : (1) 薬物排泄胃内のジゴキシンの吸収を防止するために活性炭が有効と報告されている (2) 心電図直ちに心電図による監視を行い 上記のジギタリス中毒特有の不整脈の発現に注意する -39-

41 (3) 重篤な不整脈の治療法徐脈性不整脈及びブロックにはアトロピン等が用いられる ( 徐脈性不整脈に通常用いられる交感神経刺激剤はジギタリス中毒には用いない ) 重篤な頻脈性不整脈が頻発するときは塩化カリウム リドカイン プロプラノロール等が用いられる (4) 血清電解質 1) 特に低 K 血症に注意し 異常があれば補正する 2) 高 K 血症には 炭酸水素ナトリウム グルコース インスリン療法 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が用いられる (5) 腎機能ジゴキシンは腎排泄型であるので腎機能を正常に保つ 血液透析は一般に無効であるとされている ハイリスク薬の薬学的管理指導薬局向け参考資料 掲載ホームページ紹介 薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン( 第 2 版 ) ( 日本薬剤師会編 ) に基づいて資料を作成し 下記ホームページにて提供しております どうぞご利用下さい 本冊子の内容も全て掲載しております 提供の PDF ファイルは A4 用紙に印刷できるよう文字等を小さくしてある場合があります ご了承下さい また エクセル ワードファイルは 薬局様それぞれで加工できる資料として提供しております 本冊子には掲載できなかった製剤概要なども提供しています どうぞご利用下さい 愛知県薬剤師会ホームページ HOME > 医療関係者用サイト > ハイリスク薬 岐阜県薬剤師会ホームページ HOME > 会員情報 > ハイリスク薬参考資料

42 不整脈の非薬物療法について [ 心臓ペースメーカーと植込型除細動器 ] 心臓ペースメーカー心臓の動きを連続的にモニターし 脈拍が病的に遅くなった場合には弱い電気刺激をリード経由で心臓へ送り その電気刺激によって心臓を収縮させることで脈拍を補正するための植込型医療機器をいう : 本体 ( パルス発生器 約 25g) は小さな金属製 ( 主にチタン製 ) のケースに電気回路と電池が内蔵されている 不整脈や作動状態 電池やリードの状況等の情報を記憶 報告する機能を持つ : 本体から送り出す電気刺激を心臓に伝える細い導線をリードという 絶縁部分はシリコンやポリウレタン等 導線部分は特殊な合金や白金が使用されている 心臓ペースメーカーの形と機能用語センシング : 心臓の動き 呼吸 体温などを感知すること シングルチャンバペーシング : 心臓への電気刺激を行うこと : 本体に 1 本のリードを接続し 心房又は心室のいずれか一方で センシング及びペーシングを行うものをいう : 洞結節からの信号が遅い場合などに選択される デュアルチャンバ : 本体に 2 本のリードを接続し 1 本は右心房に もう 1 本は右心室に留置することで心房 心室の両方をセンシング又はペーシングを行うものをいう : 洞結節から送られる信号が遅い場合や 心房から心室への刺激伝導路に何らかの問題がある場合 ( 房室ブロック ) 心房と心室の収縮のタイミングがずれている場合にも選択される :1 本のリードで心房 心室の両方を監視して心室のみに電気刺激を送るタイプもある MRI 対応型 (1.5~3 テスラの装置による MRI 検査が可能となる構造 機能を有するもの ) や レート応答機能 ( 身体活動又は代謝性需要に対応してペーシングレートを増加させる機能 ) 等が付い ているものもある 電池は 一般的に 5 年 ~10 年で交換する 植込み数量 2016 年ペースメーカー市場調査 岐阜県新規 540 台交換 293 台 愛知県新規 1,651 台交換 762 台日本不整脈デバイス工業会調べより 植込型除細動器 (Implantable Cardioverter Defibrillator : ICD) 心室頻拍や心室細動等の命に関わる重篤な不整脈やその可能性が高い場合に適応される : 心室センシング ペーシング 抗頻拍ペーシング治療及び除細動のうち 除細動を含む1つ以上を行うもの : ペースメーカーよりやや大きい シングルチャンバ デュアルチャンバがあり ペーシング機能が無いものでは リードが無いものも開発されている MRI 対応型もある 心臓再同期療法 (CRT:Cardiac Resynchronization Therapy) 心不全において両室ペーシングを行う療法 CRT 用ペースメーカー =トリプルチャンバ :2 本のリード線 ( 右心房 右心室 ) に加えて冠静脈から左心室へもう 1 本リード線を追加したもの 除細動機能付きのペースメーカーもある -41-

43 参考 日本循環学会他合同研究班 : 不整脈薬物治療に関するガイドライン (2009 年改訂版 ) 日本循環学会他合同研究班 : 心房細動治療 ( 薬物 ) ガイドライン (2013 年改訂版 ) 医学情報科学研究所編 : 病気がみえる Vol.2 循環器, メディックメディア,2010 医学情報科学研究所編 : 薬がみえる vol.1 循環器系の疾患と薬, メディックメディア,2014 堀美智子 : ハイリスク薬説明支援ガイドブック, じほう,2011 ハイリスク薬の薬学的管理, 調剤と情報 Nol.16 No.9,66-74, じほう,2010 小川聡他 : 不整脈テキスト, 西村書店,2008 小川聡 : 不整脈, 別冊きょうの健康,NHK 出版,2009 村川裕二 : 不整脈治療薬ファイル, メディカル サイエンス インターナショナル,2010 日本医療薬学会編 : 薬剤師のための疾患別薬物療法 Ⅲ, 南江堂,2011 グッドマン ギルマン : 薬理書第 12 版, 廣川書店,2013 樋口宗史他 : ラング デール薬理学, , 西村書店,2011 田中千賀子他 :NEW 薬理学改訂第 6 版, 南江堂,2011 清野裕他 : 病態生理に基づく臨床薬理学, メディカル サイエンス インターナショナル,2008 大内尉義他 : 疾患と治療薬改訂第 6 版,70-78, 南江堂,2010 松本有右他 : よくわかるハイリスク薬の服薬指導, 秀和システム,2010 病気と薬パーフェクト BOOK, 薬局増刊号, 南山堂,2011 中島光好 : 器官別病態生理と治療薬第 2 版, じほう,2006 今泉勉企画 : 循環器薬の使い方,Heart View Vol.14 No.12, メジカルビュー社,2010 山下武志企画 : 不整脈薬物療法を再考する,Heart View Vol.15 No.2, メジカルビュー社,2011 相澤万象他 : 不整脈, レシピ Vol.6 No.4, 南山堂,2007 田中芳夫 : ひと目でわかる薬の作用機序 - 抗不整脈薬, 調剤と情報 Vol.13 No.11, 42-44, じほう,2007 志賀剛 :QT 延長を招く薬剤と催不整脈作用, 日医雑誌第 139 号第 11 号, , 日本医師会, 2011 岩崎雄樹 : 催不整脈作用がわからない,medicina Vol.47 No.1,88-90, 医学書院,2010 黒山政一他 : 続違いがわかる! 同種 同効薬 1 章抗不整脈薬, 南江堂,2013 荒木博陽他 : ハイリスク薬チェックシート第 3 版 不整脈用薬, じほう,2016 小野克重 : 心不全とジギタリス,medicina Vol.46 No.8, , 医学書院,2009 吉川勉 : 心不全治療 1ジギタリスと経口強心薬,Heart View Vol14 No.12, , メジカルビュー社,2010 上條吉人 : 臨床中毒学 -ジギタリス, , 医学書院,2009 各社添付文書及びインタビューフォーム愛知県薬剤師会薬事情報センター岐阜県薬剤師会ぎふ薬事情報センター作成 -42-

44 不整脈の分類 Ⅰ. 徐脈性不整脈 ( 心拍数 :60 回 / 分未満 ) 洞不全症候群洞結節およびその周辺組織の伝導障害により病的徐脈きたす Ⅰ 型洞徐脈洞結節の正常自動能の低下による50 回 / 分以下の洞調律で 他に原因を認めない Ⅱ 型洞停止 洞房ブロック洞結節で生成された興奮が心房に伝導されない Ⅲ 型徐脈頻脈症候群発作性心房細動 心房粗動を合併し 頻脈が停止後 洞結節自動能が著しく抑制され心停止をきたし 失神を引き起こす 房室ブロック心房から心室への伝導障害による Ⅰ 度房室ブロック PQ 間隔は0.21 秒以上と延長し 伝導断絶を認めない. 房室結節の機能低下が原因といわれる 安静時などの副交感神経が優位な状態で認めることが多い. 危険性は低い Ⅱ 度房室ブロック Wenckebach 型房室ブロック PQ 間隔は0.16から0.28 秒まで延長し ついにはQRS 波が脱落 ( 房室間で刺激の伝導途絶 ) する. 房室結節の機能低下が原因といわれる 危険性は低い MobitzⅡ 型房室ブロック PQ 間隔の延長を伴わない突然のQRS 波が脱落を認める ヒス束以下の異常が原因で 高度房室ブロックや完全房室ブロックに進行することがあり 付可逆的なため厳重な経過観察を必要とする 2:1 房室ブロック P 波とQRS 波 ( 心房から心室 ) が2:1 伝導している高度房室ブロック P 波とQRS 波 ( 心房から心室 ) が3:1 伝導している Ⅲ 度房室ブロック房室伝導が完全に途絶し 心房からの刺激がまったく心室に伝導されな ( 完全房室ブロック ) い.P 波とQRS 波が別個に出現する房室解離の所見を示す Ⅱ. 頻脈性不整脈 ( 心拍数 :100 回 / 分以上 ) 1. 上室性 ( 心房性 ) 不整脈 洞性頻脈洞結節自動能の亢進により 洞調律が100 回 / 分以上となる上室性期外収縮洞調律周期より早期に出現する心房あるいは房室接合部上部の異所性 興奮をいう心房細動心房の不規則で連続的な興奮により 心室への伝導が不規則になり400 回 / 分以上 心房粗動心房の規則的な連続的興奮により240~400 回 / 分以上心房頻拍心房の心筋から異常な電気刺激が発生し 機関銃のような小刻みな動悸 を感じる発作性上室性頻拍発作の始まりと終わりが突然で 200 回 / 分前後の規則正しい幅狭のQRS 波を呈する頻拍発作 2. 心室性不整脈心室性期外収縮予期する心室の興奮よりも早期に心室から異所性興奮が発生する. 先行 するP 波を欠き 幅広いQRS 波を認める 心室頻拍心室性期外収縮の連発心室細動最も重症な心室性不整脈. 心臓のポンプ作用がほとんどみられなくなるも ので 血液駆出がなくなり ショック状態から意識喪失 突然死に至る Ⅲ. 心拍数正常の不整脈 脚ブロック右脚 左脚前枝 左脚後枝のどこで電気刺激がブロックされる Ⅳ. 不整脈をきたす心電図症候群 WPW 症候群心房筋と心室筋を直接連結する副伝導路 (Kent 束 ) が存在し 心房の刺激が正常伝導路よりも早期に副伝導路を下行して心室を興奮させる QT 延長症候群心筋活動電位の延長によりQT 間隔が延長する.torsade de poibtesをきたすのが特徴 Brudaga 症候群心室細動の原因になり 若年者 ~ 中高年の突然死を引き起こす -43-

1. 期外収縮 正常なリズムより早いタイミングで心収縮が起きる場合を期外収縮と呼び期外収縮の発生場所によって 心房性期外収縮と心室性期外収縮があります 期外収縮は最も発生頻度の高い不整脈で わずかな期外収縮は多くの健康な人でも発生します また 年齢とともに発生頻度が高くなり 小学生でもみられる事もあ

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Ⅰ 向精神薬の合理的な用い方 ④ 3 理学的および生化学的検査 身長 体重 体温 脈拍 血圧などの測定とともに 心電図およ び血液生化学的検査を施行し生体の病的状態の有無を評価してお く 脳波 CT MRI SPECT PET NIRS 等も必要に応じて施行 する 2 薬物療法の実際 ① 適切な薬剤 2 Ⅰ 向精神薬の合理的な用い方 向精神薬による薬物療法の導入は精神医療を一変させ 多くの患 者達に多大な恩恵をもたらしたことは 万人の認めるところとなっ ている 精神障害は生物学的基盤を有するのみでなく 心理社会的 な側面も無視できないが 精神薬理学はあくまで科学の一分野であ り 薬物療法に際しては その薬理学的および生化学的基礎の充分 な認識を必要とする それゆえ適切かつ有効で科学的 合理的な薬

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規 論文の内容の要旨 論文題目アンジオテンシン受容体拮抗薬テルミサルタンの メタボリックシンドロームに対する効果の検討 指導教員門脇孝教授 東京大学大学院医学系研究科 平成 19 年 4 月入学 医学博士課程 内科学専攻 氏名廣瀬理沙 要旨 背景 目的 わが国の死因の第二位と第三位を占める心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患を引き起こす基盤となる病態として 過剰なエネルギー摂取と運動不足などの生活習慣により内臓脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満を中心に

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