地域経済論Ⅰ④                    2011年5月○日

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1 地域経済論 Ⅰ4 全国総合開発計画 (1980 年代 ~) 2011 年 5 月 日 1. 第 3 次全国総合開発計画 ( 三全総 ) (1) 工業開発優先の国土計画に転機 1 高度成長期から低成長期に ( 石油危機後 ) 2 産業構造の転換臨海工業地帯 内陸部の工業都市の育成 地方都市の育成に関心 3 公共事業費などの地方への傾斜配分地方都市 農村部の雇用機会の拡大 Uターン Jターンの増大 定住化の傾向 地域間の所得格差も縮小 農村の生活様式の都市化生活の質 安定志向 環境問題への関心 (2) 3 度目の全総計画 年 : 全総計画 ( 三全総 ) の策定背景 : 日本経済は安定成長 人口分散に進む 2 定住構想生活 生産 自然の3つの環境の調和のとれた総合的居住環境の整備地方都市を中核とする 定住圏 モデル定住圏の設定 地方を再評価 新たな国土政策は打ち出せず : 目標の架け替えで終わる (3) 三全総の課題 1977 年以降 東京への人口集中が再開 80 年代に加速 1 東京が国際金融センターとして世界都市化 2 情報化 サービス化の進展 ~ 産業構造の転換 3 先端的情報技術 研究開発を重視した地域産業 工業以外の産業振興 1983 年 : 高度技術工業集積地域開発促進法 ( テクノポリス法 ) 1987 年 : 総合保養地域整備法 ( リゾート法 ) 1988 年 : 地方産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律 ( 頭脳立地法 ) 東京一極集中という国土構造の変化 国際化に対応できず 三全総の見直し 1

2 2. 第 4 次全国総合開発計画 (1) 策定の背景ビジネス情報集積の東京の優位性 1987 年 : 四全総策定 (2) 四全総の目標 1 国土計画の軸足を都市に移す知識 サービス産業の全国展開 規模の大きな都市の活力を土台に据える 2 世界都市 東京の経済力を評価東京からの分散 東京と連携した地方の活性化 (3) バブル経済の発生 1 開発ブームの再来 首都圏の開発ブームの再来 地方中枢都市 ( 札幌 仙台 広島 福岡 ) にミニ一極集中 農村地区 : 企業の資金がリゾート開発に流入 2 バブル崩壊資金の流出 リゾート開発の挫折 長期不況に突入 失われた 10 年 (4) 国土計画の変化 1 経済の国際化 知識 サービス産業への転換 2 製造業 サービス系産業 : 政府のコントロールの枠を超えてグローバルに展開国際競争の源泉 : 知識 情報の集積 集散拠点から生まれる 集積 : 工業基地のように上から進めることは困難 3 国土計画の限界 物理的基盤整備による誘導手法の限界 1 国内で産業活動の秩序を完結させる手法の限界 国際分業が進む中で地方の中小企業や農林水産業を保護効果の限界 国土計画の有効性が消滅 最後の国土計画 に 3. 全国総合開発計画 21 世紀の国土グランドデザイン~ 地域の自立と美しい国土の創造 (1) バブル崩壊後の日本経済 社会 1 経済停滞 ~ 経済不振 不良債権 2 阪神 淡路大震災 : 都市施設の脆弱さ露呈 生活の安全に対する不安 3 高齢化 人口減尐 2

3 4 地球環境問題への対処 5 グローバル化 高度情報化 : 国境を超えた地域間競争に直面 1998 年 全国総合開発計画 21 世紀の国土のグランドデザイン 全国総合計画とは異なる考え (2) 5 番目の計画の目標 1 多軸的国土構造の形成 4つの国土軸 : 北東国土軸 日本海国土軸 太平洋新国土軸 西日本国土軸 各国土軸の自立 水平的ネットワークの形成 2 地域政策の転換新たな国土計画 : 地域の内発的な発展を重視 年 : 新事業創出促進法地域の産業資源を活かした事業環境を整備 地域主導の新事業創出 年 : 産業活力再生特別措置法生産性の向上を通して産業の活力の再生を目指すテクノポリス法 頭脳立地法は廃止 2005 年 : 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律 に改編 (3) 構造改革と地域政策の変化 1 規制緩和と行財政の効率化地域政策 : 既存の政策見直しや規制緩和などの改革 2 既存政策の見直し 2001 年 : 新産業都市建設促進法 工業整備特別地域整備促進法 の廃止 産業振興の手法 : 国主導から地域主導に転換 3 構造改革特別区域法 2002 年 : 構造改革特別区域推進本部の設置と 構造改革特別区域法 の制定 4 地域再生法 (2005 年 ) 自助による地域活性化 持続可能な地域の実現 国は権限委譲などで支援策 (4) 国土形成計画法 21 世紀のグランドデザイン 1 21 世紀の国土構造のあり方 ~ 多軸的国土構造国土計画制度の見直しと新たな体制づくり 3

4 国土総合開発法の全面改定 2005 年 7 月 : 国土形成計画法 制定 2 国土形成計画国土形成計画 : 全国計画 と 広域地方計画 で構成 全国計画 : 総合的な国土形成にかかわる施策の指針 計画策定 : 国土利用計画の全国計画と一体のものとして作成 策定から一定期間で見直し 都道府県 政令市提案権を与える 広域地方計画 : 広域地方計画区域を指定 広域地方計画区域首都圏 近畿圏 中部圏 その他密接な関係が認められる2 県以上の地域 計画策定と実施広域地方計画協議 : 国 関係都道府県 関連市町村で構成 4. 条件不利地域の対応 (1) 個別の財政特別措置全総計画 : 拠点都市と育成とそれを結ぶネットワーク形成 1 条件不利地域への対応 2 財政特別措置 1950 年 : 積雪寒冷地帯 特殊土壌地帯 急傾斜地帯など農業関連援助法 財政特別措置の内容 公共事業に対する国庫補助率の優遇 地方債適債事業枠と充当率の拡大 工場誘致のための固定資産税減免 : 自治体税収の減収分を国が補てん (2) 財政特別措置の効果国家財政の支援 : 社会資本整備が加速公共事業による雇用拡大 (3) 補助金漬けの縦割り行政の拡大 1 財政力の弱い自治体の補助金頼み 地元の創意工夫の余地が小さい事業 2 分権化の必要性地域の潜在能力向上には分権化 地域を自ら育てる能力を育成 4

5 条件不利地域を整備する主な法律 離島振興法 (1953 年 ) 積雪寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法 (1956 年 ) 後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律 (1961 年 ) 豪雪地帯対策特別措置法 (1962 年 ) 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律 (1962 年 ) 山村新興法 (1965 年 ) 過疎地域対策緊急措置法 (1970 年 ) 半島新興法 (1985 年 ) 特定農山村地域における農林業の活性化のための基盤整備の促進に関する法律 (1993 年 ) 5. 国土政策のなかでの国家と地域 (1) 戦前の国土計画 1 国家総動員令 : 国民を組織し動員するための一元体制づくり戦前 国家が責任を持った国家戦略は不在冷害 凶作の東北の振興策 日本初の地域振興策 2 東北振興策が全国を対象にした政策に発展 1940 年 : 総力戦体制の国家基盤として 国土計画 を策定 3 国土計画策定の理由 国防体制の強化を目的にした産業 人口 文化などの配分 生産力拡充に伴う問題の解決 4 戦後の国土計画 工場疎開の受け皿 振興工業都市計画 新産業都市建設構想で復活 1943 年 全国自動車国道網計画 二全総の高速交通ネットワークへ (2) 住民の組織化 1 国土総合開発法から国土形成計画法へ可能性のある地域を選び 政策資源を傾斜配分 選択と集中 2 住民の組織化新たな国土計画 : 地域コミュニティの重視 次の政策 : 住民の組織化 が予想される 5

6 3 都市への戦略的な投資と農山村の空洞化地方 : 高齢化 産業の空洞化 財政難による地域社会の空洞化 (3) 産業クラスター戦略 年代後半 : 構造改革の推進 地域産業政策の転換地域の自立的な取り組みでイノベーションを興すような経済の集積 2 政府の施策 2001 年 : 経済産業省 産業クラスター計画 全国 19 のプロジェクトを展開 世界に通用する地域産業の育成 発展 年 : 文部科学省 知的クラスター創生事業 地域の可能性を活かした科学技術の高度化 多様化 18 地域を指定 4 クラスターの概念マイケル ポーター 国の競争優位 (Competitive Advantage of Nations) 投入要素条件 関連 支援産業 需要条件 企業の戦略と競争 4つの決定要因の相互作用 : ダイヤモンド 5 クラスター計画の目的イノベーションの基盤になる経済集積の形成 多様な産業の地理的集中 (4) 地域枠組みの再編 国際競争力維持と財政効率化に向けた行政の効率化 企業のニーズに合う生活産業の整備 暮らし方の改革 (5) 分権化の可能性日本 : 国家が制度的にサポートする内発的な地域政策の仕組みは存在しない 1 地域おこし戦前 : 町村是( ちょうそんぜ ) 運動 戦後 : ムラおこし 地域おこし (1960 年代 自然発生的に誕生 ) 2 地方分権 地域の自主的運営の促進 : 地方に国の権限委譲 国家の役割 地域間の調整と緩やかなビジョン 地域が取捨選択できる広いレベルの政策 6

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