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1 上原記念生命科学財団研究報告集, 26 (2012) 71. 分泌性 PLA 2 分子群の総合的機能解析 村上誠 Key words: ホスホリパーゼ A 2, 脂質メディエーター, ノックアウトマウス, 脂質メタボローム, リン脂質 * 東京都臨床医学総合研究所脂質代謝プロジェクト 緒言細胞外に分泌されるホスホリパーゼ A 2 (spla 2 ) には 10 種類を超える多数のアイソザイムが存在するが, その機能は殆ど不明であった. 著者はこれまでに,sPLA 2 群の遺伝子改変マウスの解析を通じて, それぞれ固有の発現パターンを示す各アイソザイムが従来全く提唱されていなかった機能を有する事を見出してきた. 例えば, 気道上皮細胞より分泌される spla 2 -V による肺サーファクタントの分解 1),sPLA 2 -III 過剰発現に伴うリポタンパク質分解と動脈硬化 2) ならびに全身炎症 3), 精巣上体上皮細胞より分泌される spla 2 -III による精子膜のリモデリング 4), 精子アクロソームから分泌される spla 2 -X による精子活性化 5) などはその一例である. 本研究では,sPLA 2 分子群の網羅的な遺伝子改変マウスの解析を展開し, 従来提唱された事のない細胞外リン脂質代謝酵素の新しい機能を解明することを目的とした. 各アイソザイムが制御する脂質ネットワークを解明し, この新しい概念を世界に向けて発信する. 方法 spla 2 アイソザイムのノックアウトマウスならびにトランスジェニックマウスを用い, 以下の項目に関する表現型を精査するとともに, 脂質メタボローム解析を行い, 各アイソザイムが制御する脂質代謝反応を解析した. (1) 高脂肪食負荷によるメタボリックシンドローム. (2) 即時型 ( アナフィラキシー ) ならびに慢性 ( アトピー性皮膚炎 ) のアレルギー疾患. (3) 皮膚コンパートメントにおける恒常性維持と疾患. 結果および考察 1. メタボロックシンドロームにおける spla 2 ネットワーク 1)sPLA 2 -V とメタボリックシンドローム ( 投稿中 ) spla 2 がリポタンパク質 (LDL,HDL) のリン脂質を加水分解することは以前から知られていた.sPLA 2 が反応した LDL 粒子はマクロファージの泡沫化を促進することから, 動脈硬化との関連が指摘されていた 2). しかしながら,sPLA 2 がリポタンパク質を分解する性質は 動脈硬化の病態 を引き起こすためだけに存在するのか, そもそも生理的条件下において spla 2 がリポタンパク質を分解する状況が生じ得るのか, などは未解決の課題であった. 著者は, 内臓脂肪組織 (WAT) における spla 2 群の発現解析を行い, 脂肪を過剰摂取した C57BL/6 マウスの WAT の脂肪細胞において spla 2 -V が著しく発現誘導されることを発見した. そこで,sPLA 2 -V 欠損マウスに高脂肪食負荷試験を施行した結果, 体重の増加, 体脂肪の蓄積, エネルギー消費の低下, 高インスリン血症, 高レプチン血症, 高血糖, 脂肪肝, インスリン抵抗性,WAT の慢性炎症など, 調べた限りあらゆるメタボリックシンドロームの生理的パラメーターに関して増悪が認められた. このメタボリックシンドローム増悪の表現型のメカニズムを精査した結果,sPLA 2 -V 欠損マウスでは LDL に脂質が異常蓄積し,LDL/HDL のバランスが大きく前者に傾いていることが判明した. 脂質メタボローム分析の結果, 過栄養により誘導された spla 2 -V は脂質過剰 LDL 中のオレイン酸含有ホスファチジルコリン (PC) を分解していることがわかった. 一方, 脂 * 現所属 : 東京都医学総合研究所脂質代謝プロジェクト 1

2 肪細胞特異的 spla 2 -V 過剰発現マウスを作出した結果, 体脂肪が蓄積しにくく, 血中の LDL が減少し,WAT の炎症マーカーが低下していた. 更に, ヒト内臓脂肪における spla 2 -V の発現を検討した結果,BMI や LDL レベルと逆相関しており, マウスの解析結果と合致する傾向が得られた. 従来, 炎症時に誘導されるアイソザイム spla 2 -IIA は inflammatory spla 2 とも呼ばれ, 生理的には微生物の膜を分解することにより感染防御に関わる一方, リウマチ性関節炎などの炎症局所に高濃度に蓄積すると病理作用として炎症を増悪することが知られていた. 本研究の結果から,sPLA 2 -V は脂質過栄養に応じて肥大化脂肪細胞に誘導される metabolic spla 2 であり, 本質的には脂質過剰となった異常 LDL を除去することにより, メタボリックシンドロームに対して防御的に機能しているものと結論した. 一方, マクロファージの spla 2 -V が局所 ( 動脈 ) に過度に蓄積すると動脈硬化の病理作用を示すものと考えられる. この成果は spla 2 によるリポタンパク質代謝の生理的意義を始めて明らかにしたものである. 2)sPLA 2 -III とメタボリックシンドローム ( 投稿準備中 ) マウスの WAT には, 先述の高脂肪食負荷に伴って誘導される spla 2 -V に加えて,sPLA 2 -III が構成的に発現しており, 前脂肪細胞と一部の免疫細胞に局在することを見出した. そこで,sPLA 2 -III 欠損マウスに高脂肪食を負荷すると, 野生型マウスと比べて体重増加が鈍く, 体脂肪が溜まりにくく, 高インスリン血症, 高レプチン血症, 脂肪肝, 高血糖, 高脂血症, 耐糖能, インスリン抵抗性など, 調べた限りあらゆるメタボリックシンドロームの生理的パラメーターに関して改善が認められた. これに対し,sPLA 2 -III 過剰発現マウスに高脂肪食を負荷すると, メタボリックシンドロームの全パラメーターが欠損マウスとは逆の傾向 ( すなわち増悪 ) を示した.sPLA 2 -III 欠損マウスの WAT では脂肪細胞分化に関わる遺伝子群の発現が減少しており, 逆に前脂肪細胞マーカー遺伝子の発現が増加していたことから, 本酵素が脂肪細胞分化に関わることが明らかとなった. 脂質メタボローム解析の結果, 欠損マウスでは血漿中および WAT 組織中のリゾホスファチジルコリン (LPC) とプロスタグランジン D 2 (PGD 2 ) の量が有意に減少していた. また,sPLA 2 -III 欠損マウスの WAT では,M1 マクロファージ,T 細胞, マスト細胞が激減しており, 慢性炎症が改善していた.WAT の慢性炎症はインスリン抵抗性の増悪にリンクすることから, 免疫細胞に発現している spla 2 -III がどの程度この表現型に寄与しているのかを調べる目的で, 骨髄キメラマウスを用いて解析した. その結果, ドナー骨髄細胞に spla 2 -III が欠損していてもメタボリックシンドローム改善の表現型は顕在化しなかったことから, 免疫細胞以外の局所環境に発現している spla 2 -III が重要であると結論した. 3)sPLA 2 -X と食物消化 6) spla 2 -X は脂肪組織には殆ど発現が見られなかったが,sPLA 2 -X 欠損マウスは加齢に伴う体脂肪の増加が緩慢で, 一年齢の時点で野生型マウスと比べて有意な体脂肪率の低下を示した. 本酵素は胃から腸全体に渡って粘膜上皮に強い発現が認められたことから, その基質は食餌中のリン脂質であることが予想された. そこで糞便中に残存している PC を脂質メタボローム解析により分析すると, 野生型マウスではリン脂質が完全に消化されるため糞便中に PC が全く検出されなかったが,sPLA 2 -X 欠損マウスの糞便には PC が有意に残存していた. したがって,sPLA 2 -X 欠損マウスでは消化管での脂質消化が減少すると体内に吸収される脂質量が減少するため, 体脂肪の蓄積が減少したものと結論した. 従来, 膵臓から分泌される spla 2 -IB が食餌リン脂質の消化に関わることが報告されていたが 7),sPLA 2 -X は消化管上皮から分泌される第二の digestive spla 2 であることが明らかとなった. 本研究を通じて, 複数の spla 2 アイソザイムがメタボリックシンドロームに関わることが明らかとなった ( 図 1).sPLA 2 -III は前脂肪細胞に発現して脂肪細胞への分化を促す方向に作用しており, メタボリックシンドロームに対して促進的に働く. spla 2 -V は過栄養により肥大化した脂肪細胞から分泌され, 脂質過多となった LDL をクリアランスすることによりメタボリックシンドロームに防御的に働く. 膵臓の spla 2 -IB や消化管粘膜上皮の spla 2 -X は食事由来のリン脂質を分解することにより間接的に脂質吸収量に影響を与える. 更に spla 2 -IIE や spla 2 -IID が WAT の脂肪細胞と間質細胞にそれぞれ高発現していることを見出しており, 現在解析中である. 本研究は, これまで全く想定されていなかった spla 2 群のメタボリックシンドロームにおける役割を解明したものである. 2

3 図 1 メタボリックシンドロームにおける spla2 ネットワーク spla2-iii は前脂肪細胞に発現して脂肪細胞分化を促す方向に作用しており メタボリックシンドロームに対して促進的 に働く spla2-v は過栄養により肥大化した脂肪細胞から分泌され 脂質過多となった LDL をクリアランスすることに よりメタボリックシンドロームに防御的に働く 膵臓の spla2-ib や消化管粘膜上皮の spla2-x は食事由来のリン脂質 を分解することにより間接的に脂質吸収量に影響を与える 更に WAT の脂肪細胞と間質細胞には spla2-iie や spla2-iid がそれぞれ高発現している 2 アレルギー応答における spla2 の機能 1 spla2-iii とアナフィラキシー 投稿中 全身の間質組織に分布するマスト細胞は骨髄多能性幹細胞の子孫であり 抗原 アレルゲン による IgE 受容体の架橋を はじめ 様々な生理活性物質や環境物質に応じてヒスタミンをはじめとする多様な炎症物質を分泌し アレルギー応答の中心と なる マスト細胞の組織中での分化成熟は間質線維芽細胞が産生するサイトカイン SCF (stem cell factor) に依存する し かしながら SCF はマスト細胞の分化成熟に必須ではあるが それ単独では十分ではなく マスト細胞と線維芽細胞の相互作 用にはプラス α のメカニズムが存在することが想定されていた 一方 ハチ毒が激しいアナフィラキシーショックを誘発することは よく知られており その主成分はユニークな構造を持つ spla2 である 哺乳動物のゲノムにはハチ毒 PLA2 と相同性の高い分 子が唯一コードされており それが spla2-iii である そこで著者は spla2-iii が内在的なマスト細胞調節因子として機能 することを想定し これを検証した マウス皮膚にヒト spla2-iii リコンビナント酵素を投与すると ハチ毒 PLA2 を投与した時と同様に酵素活性依存的にマスト細 胞が活性化し 浮腫が惹起された spla2-iii はマスト細胞の分泌顆粒に局在し 脱顆粒に伴い分泌された spla2-iii 欠 損マウスは IgE/抗原依存的あるいは非依存的な局所性あるいは全身性アナフィラキシーモデルに不応答であり 逆に spla2-3

4 III 過剰発現マウスではアナフィラキシーの増悪が見られた 他の spla2 アイソザイムの欠損マウスではアナフィラキシー改善の 表現型は認められなかった spla2-iii 欠損マウスの組織マスト細胞は刺激に伴う活性化が起こりにくく 更に分泌顆粒が未発 達でヒスタミンが少なく 明らかに未熟細胞の性質を示した spla2-iii 欠損マウスより調製した骨髄由来マスト細胞 (BMMC 未成熟マスト細胞) をマスト細胞欠損 Wsh/Wsh マウスに移植したところ 組織中に再構成されたマスト細胞は数的に は正常であったが未成熟でアナフィラキシーに応答せず spla2-iii 欠損マウスの表現型は局所環境ではなくマスト細胞そのも のの異常に起因することが確かめられた BMMC を SCF 存在下に線維芽細胞と共培養し in vitro で成熟させる系を導入した ところ spla2-iii 欠損 BMMC はマスト細胞成熟が大きく損なわれていた マイクロアレイ解析の結果 野生型 BMMC では 細胞成熟に伴い約 6,400 遺伝子の発現上昇が見られたが このうち 60%の遺伝子の発現誘導が spla2-iii 欠損 BMMC で 減弱していた spla2-iii 欠損 BMMC にリコンビナント spla2-iii を添加するとヒスタミン含量が回復し 更に spla2-iii 過 剰発現 BMMC ではヒスタミン合成酵素の発現が増加した したがって spla2-iii はマスト細胞由来のマスト細胞成熟因子と して機能することが明らかとなった 図 2 spla2-iii は局所環境の PGD2 を動員してマスト細胞の成熟を制御する spla2-iii はマスト細胞に発現しており 欠損マウスでは局所性 (A) および全身性 (B) のアナフィラキシー反応が起 こらない 欠損マウスの組織マスト細胞は分泌顆粒が未熟で 抗原 (Ag) で刺激しても脱顆粒しない (C) マスト細胞 の成熟マーカーの誘導発現は spla2-iii の欠損により大きく低下する (**p < 0.01; mean ± SEM; n=5; t-検 定 (D) spla2-iii は未成熟マスト細胞から分泌され paracrine 的に線維芽細胞の L-PGDS と機能的にカップル して PGD2 を産生する この PGD2 はマスト細胞上の DP1 に作用してマスト細胞の分化を促進する (E) spla2-iii の欠損はマスト細胞の成熟を妨げるため アナフィラキシー反応の減弱を導く そこで次に spla2-iii が如何なるメカニズムを介してマスト細胞の成熟を制御するかについて 代謝系下流に位置する脂 質メディエーターに着目した 脂質メディエーター受容体群の欠損マウスに網羅的にアナフィラキシーモデルを施した結果 4

5 PGD 2 第一受容体 (DP1) の欠損マウスのみが類似の表現型を示すことを見出した. すなわち,DP1 欠損マウスではアナフィラキシー反応が減弱し, 組織中のマスト細胞が未熟でヒスタミン含量が少なく,DP1 欠損 BMMC を線維芽細胞と共培養しても成熟遺伝子の発現誘導が部分的にしか見られなかった. また,DP1 欠損 BMMC を W sh /W sh マウスに移植するとマスト細胞の異常が再現されたことから, 局所環境ではなくマスト細胞の DP1 が重要であることがわかった. 野生型 BMMC を線維芽細胞と共培養すると DP1 の発現が強く誘導されたが, ここに DP1 アンタゴニストを添加するとマスト細胞の成熟は阻害された. 一方, DP1 シグナル (camp 経路 ) を活性化させるフォルスコリンを spla 2 -III 欠損 BMMC に添加すると, 線維芽細胞との共培養による成熟が回復した. 以上の結果から,sPLA 2 -III は PGD 2 受容体 DP1 を介してマスト細胞の成熟を制御しているものと考えられた. もしこの仮説が正しいとすると,sPLA 2 -III の下流で PGD 2 を産生する酵素 (PGD 2 合成酵素 :PGDS) の欠損マウスにも spla 2 -III 欠損マウスや DP1 欠損マウスと類似の表現型が認められるはずである.PGDS には造血器型酵素 (H-PGDS) とリポカリン型酵素 (L-PGDS) の二つのサブタイプが存在するが, 予想外なことにマスト細胞の酵素である H-PGDS の欠損マウスではなく, 線維芽細胞の酵素である L-PGDS の欠損マウスが spla 2 -III または DP1 の欠損マウスと類似の表現型を示した. すなわち,L-PGDS 欠損マウスではアナフィラキシー反応が改善し, 組織マスト細胞が未成熟で, ヒスタミン含量が減少していた. しかしながら,L-PGDS 欠損マウス由来の BMMC を線維芽細胞と共培養すると正常に成熟し, またこれを W sh / W sh マウスに移植するとマスト細胞の異常が消失したことから,L-PGDS 欠損マウスで見られたマスト細胞の成熟不全は局所環境の異常に起因すると考えられた. 実際,siRNA を用いて線維芽細胞の L-PGDS をノックダウンすると野生型 BMMC の成熟が抑制されたことから, 線維芽細胞の L-PGDS がマスト細胞成熟に必要な PGD 2 を供給していることが確かめられた. 更に,sPLA 2 -III 欠損マウスの皮膚では構成的に PGD 2 の量が減少していた. 以上の結果から, マスト細胞の成熟を制御する新しい脂質マシナリーが明らかとなった ( 図 2).sPLA 2 -III は未成熟マスト細胞から分泌される anaphylactic spla 2 であり,paracrine 的に線維芽細胞の L-PGDS と機能的にカップルして PGD 2 を産生する. この PGD 2 は, 分化刺激に伴いマスト細胞上に誘導された DP1 に作用して, マスト細胞の成熟を促進する. この発見は,1sPLA 2 はなぜ分泌されるのか?2DP1 は樹状細胞の機能を抑制するにもかかわらず, なぜ全身性 DP1 欠損はアレルギーに抑制的なのか?3 SCF 以外にマスト細胞成熟に関わるマスト細胞 / 線維芽細胞相互作用の実体は何か?4ハチ毒 PLA 2 はなぜアナフィラキシー誘発物質として作用するのか, などの長年の疑問に答えるものである. 2)sPLA 2 -III とアトピー性皮膚炎 ( 投稿準備中 ) アナフィラキシーがマスト細胞活性化を主因とする急性のアレルギー反応であるのに対し, アトピー性皮膚炎は痒みを伴う湿疹病変を生じる慢性的な皮膚疾患であり, 皮膚バリア機能異常および免疫異常が複雑に絡み合った多因子性のアレルギー疾患として位置づけられる. そこで,sPLA 2 分子群がアトピー性皮膚炎にどのように関わるかについて, 卵白アルブミン (OVA) 反復塗布誘導アトピー性皮膚炎モデルを適用して解析した. その結果, 全ての spla 2 群の欠損マウスのうち,sPLA 2 -III 欠損マウスにおいてのみ著明なアトピー性皮膚炎症状の増悪が見られた. すなわち,sPLA 2 -III 欠損マウスでは野生型マウスと比較して血清中総 IgE 濃度および OVA 特異的 IgE 抗体価の増加, リンパ節肥大, 好酸球増加, 皮膚肥厚などの所見が認められた. また spla 2 -III 欠損マウスではアトピー性皮膚炎発症時のみならず, 通常飼育条件下においてもナイーブ T 細胞の減少とエフェクター T 細胞の増加,IL-4 産生の増加,Th2 細胞の増殖亢進が認められた. そこで次に, マスト細胞の spla 2 -III がアトピー性皮膚炎に寄与するかどうかを検討するため,BMMC を移植再構成した W sh /W sh マウスにアトピー性皮膚炎モデルを適用し, その表現型を血清中 IgE 抗体価で評価した. しかしながら, マスト細胞欠損マウスでは野生型マウスと比較して IgE 抗体価の上昇に有意な差は見られず, 更に BMMC 再構成の影響も認められなかったことから, マスト細胞に発現している spla 2 -III の寄与は小さいものと判断した.sPLA 2 -III 欠損マウスでは, 抗原感作に伴う皮膚樹状細胞のリンパ節への遊走が亢進していたことから,sPLA 2 -III 欠損マウスの骨髄由来樹状細胞 (BMDC) を用いて樹状細胞の機能を精査したが, 抗原取り込み, 活性化, 抗原提示能は正常であり, そもそも樹状細胞に spla 2 -III は殆ど発現していなかった. そこで, アトピー性皮膚炎の表現型が免疫細胞あるいは局所環境に存在する spla 2 -III のどちらに起因するのかを特定するため, 骨髄キメラマウスを用いて解析した. その結果, ドナー骨髄細胞の遺伝子型の影響は小さく, レシピエントの遺伝子型が spla 2 -III 欠損であった場合に IgE 抗体価の増加が見られたことから, アトピー性皮膚炎の病態には骨髄細胞以外の局所環境中の spla 2 -III が主に重要であることが明らかとなった. 以上の結果を受けて, 次に spla 2 -III が機能する場 ( 局所環境 ) の探索を行った. その結果, 本酵素がマウスやアトピー性皮膚炎患者の皮膚の表皮細胞に強く発現して 5

6 いることを見出した アトピー性皮膚炎の病態には表皮のバリア機能の破綻が深く関与することから spla2-iii 欠損マウスにお ける皮膚バリア機能を検討した その結果 spla2-iii 欠損マウスでは野生型マウスと比較して 感作前から経皮水分蒸散量 が増加しており 皮膚バリア機能の低下が認められた 以上の結果から spla2-iii がアトピー性皮膚炎の病態に抑制的に関与することが明らかとなった 図3 spla2-iii 欠損 マウスでは皮膚バリア機能の破綻が引き金となって抗原の曝露が亢進し その結果獲得免疫のトリガーである皮膚樹状細胞のリ ンパ節遊走が促進する これにより下流に位置する Th2 を主体とした免疫反応の亢進が引き起こされた結果 アトピー性皮膚 炎が増悪するものと考えられる また 上述のように spla2-iii 欠損マウスでは皮膚の PGD2 量が構成的に減少していた PGD2 は DP1 を介して樹状細胞の遊走にブレーキをかける役割を持つことを踏まえると spla2-iii 欠損による PGD2 産生の 減少が皮膚樹状細胞のリンパ節への移動の亢進の一因となっているものと予想している 図 3 spla2-iii の欠損はアトピー性皮膚炎を増悪する spla2-iii は表皮に強く発現している (A) spla2-iii 欠損マウスに OVA 誘導アトピー性皮膚炎モデルを施行する と 血中 OVA 特異的 IgE の抗体価 (B) 脾臓リンパ球の IL-4 産生 (C) 表皮への好酸球浸潤 (D) が増悪する spla2-iii 欠損マウスでは皮膚バリア機能の破綻が引き金となって抗原の暴露が亢進するとともに 皮膚 PGD2 量が減 少する結果 獲得免疫のトリガーとなる皮膚樹状細胞のリンパ節遊走が促進する これにより下流に位置する Th2 を主 体とした免疫応答が亢進した結果 アトピー性皮膚炎が増悪するものと考えられる (E) (B-D) *p < 0.05, **p < 0.01; mean ± SEM; n=7~8; t-検定 3 皮膚ホメオスタシスにおける spla2 の機能 1 spla2-x と体毛成育8 著者は spla2-x を全身に過剰発現させたトランスジェニックマウスが第一毛周期に完全に脱毛することを見出した この発 見を契機に内因性 spla2-x のマウス皮膚における発現を調べたところ 本酵素は毛周期の増殖期 anagen に毛包の最外 6

7 層 外根鞘 に限局して発現していることがわかった spla2-x 欠損マウスの皮膚では体毛関連遺伝子の発現が選択的に減 少しており 体毛が部分的に湾曲し 超微細形態的には外根鞘上皮細胞の成育不全を認めた したがって spla2-x は皮 膚コンパートメントの中で毛包に時空間的に発現し 体毛成長を制御するユニークな spla2 であることが明らかとなった 図 4 皮膚コンパートメントにおける spla2 の機能 皮膚コンパートメントにおいて spla2-x は毛包に spla2-iif は表皮に発現している (A) spla2-x が欠損する と体毛が部分的に湾曲する (B) spla2-iif が欠損すると表皮角質 図中四角で囲った部分 が脆弱となる (C) spla2-iif は表皮細胞から分泌された PE を基質として PUFA を遊離する この PUFA プールは角質の弱酸性化に 寄与する一方で 表皮分化を促進する脂質メディエーターの生成とリンクし 表皮細胞の分化を促進する 表皮分化が 進むと spla2-iif の発現が更に誘導され PUFA の生成が更に促進される このようにして spla2-iif を介した表 皮分化 弱酸性化 バリア脂質形成のフォワードループが持続的な表皮の再生サイクルを支えているものと考えられる (D) 2 spla2-iif と表皮分化 投稿準備中 皮膚表層 表皮 の角質の細胞間を埋めるバリア脂質は主にセラミドからなり 外界からの異物侵入を阻止するとともに 体 内からの水分の蒸発を防ぐ役割を持つ このセラミドの生合成には角質が弱酸性環境にあることが重要であり この弱酸性化に は細胞外で spla2 によりリン脂質から遊離される脂肪酸が関わることが提唱されていたが これを担う spla2 アイソザイムは長 らく不明であった 先に触れた spla2-x 過剰発現マウスは脱毛に加えて著明な表皮肥厚を認めたが 内因性 spla2-x は毛 包に限局し 表皮には発現していなかった そこで spla2-x 過剰発現マウスと野生型マウスの間で皮膚のマイクロアレイ解析 を行った結果 別のアイソザイムである spla2-iif の発現が spla2-x 過剰発現マウスで顕著に増加していた 詳細な発現 解析の結果 spla2-iif は表皮に限局しており マウス皮膚の主要な spla2 アイソザイムであることが判明した 7

8 全身性または皮膚特異的 spla 2 -IIF 過剰発現マウスでは表皮の過増殖と過分化が顕著であり, 顆粒層や角質層に分布す る分化マーカーの発現が著しく増加していた. 更に spla 2 -IIF 欠損マウスの皮膚では, 加齢に伴い外見的な皮膚異常が顕在 化し, 組織学的には角質の不全が認められた. これと合致して, 経皮水分蒸散量が spla 2 -IIF 欠損マウスでは有意に増加し ており, 角質バリア機能が損なわれていることがわかった. また, 欠損マウスでは角質の ph が中性に保たれており, バリア脂 質形成に重要な要素である角質弱酸性化が消失していた. 次に, 初代培養表皮細胞を調製し in vitro で分化を誘導する系 を導入したところ, 野生型マウスの表皮細胞では Krt1, Krt10 などの分化マーカーの発現誘導と並行して spla 2 -IIF の発現 が顕著に誘導され, 細胞外に分泌された. これに対し,sPLA 2 -IIF 欠損マウスでは分化マーカーの発現誘導が殆ど見られ ず, 表皮細胞の分化が損なわれていることがわかった. また, 野生型マウス由来の表皮細胞の培養上清には多量のリン脂質 ( 主にホスファチジルエタノールアミン :PE) と遊離脂肪酸 ( 主にリノール酸 ) が検出されたが, 欠損マウス由来の表皮細胞で は上清のリン脂質や脂肪酸が著しく減少していた. 脂質メタボローム解析の結果,sPLA 2 -IIF 過剰発現マウスの皮膚では高度 不飽和脂肪酸 (PUFA) を有する PE が野生型マウスと比べて大きく減少しており, これに対応してドコサヘキサエン酸 (DHA) 代謝物であるプロテクチン D1(PD1) とリノール酸代謝物である 9- ヒドロキシオクタデカジエノイン酸 (9-HODE) の 産生量が著しく増加していた. 一方,sPLA 2 -IIF 欠損マウスでは野生型マウスと比べて PD1 と 9-HODE が有意に減少して いた. 更に,PD1 または 9-HODE を spla 2 -IIF 欠損マウス由来の培養表皮細胞に添加すると, 分化マーカーの発現が正常 レベルに回復した. このことから,sPLA 2 -IIF は表皮において PD1,9-HODE などの特殊な脂質メディエーターを産生し, 表 皮の恒常性維持に関わることが明らかとなった. ヒト皮膚疾患における spla 2 -IIF の発現を検討した結果, 乾癬などの皮膚炎症疾患や扁平上皮癌において本酵素の発現 が上昇していることを見出した. そこで次に, 皮膚病態 ( 炎症, 癌 ) における本酵素の寄与について, マウスモデルを用いて 検討した.sPLA 2 -IIF 欠損マウスに皮膚炎症モデル ( 接触性皮膚炎 ) を施行すると, 野生型マウスと比べて皮膚の腫脹が緩 慢で, 皮膚炎症が軽減していることが示唆された. また, 化学物質誘発皮膚癌モデルを適用すると,sPLA 2 -IIF 欠損マウス では野生型マウスと比べて皮膚癌の発症と進展が顕著に抑制された. 以上の結果から,sPLA 2 -IIF は長年探し求められていた epidermal spla 2 であり, 表皮細胞から分泌された PE を 基質として PUFA を遊離する. この PUFA プールは角質の弱酸性化に寄与する一方で, 表皮分化を促進する PD1,9-HODE の生成とリンクする. これらの脂質メディエーターの作用により表皮分化が進むと spla 2 -IIF の発現が更に誘導され,PUFA の 生成を促進する. このようにして,sPLA 2 -IIF を介した表皮分化 弱酸性化 バリア脂質形成のフォワードループが形成さ れ, 個体の生存中に絶え間なく起こる表皮の再生サイクルを支えているものと考えられる ( 図 4). 一方, この経路が過度に進 行すると表皮肥厚を伴う様々な皮膚疾患, 例えば皮膚炎や皮膚癌の増悪に結びつくものと考えられる. 共同研究者 本研究の共同研究者は, 東京都医学総合研究所 脂質代謝プロジェクトの山本圭研究員, 武富芳隆研究員, 佐藤弘泰研究 員である. 本研究は数多くの共同研究者ならびに上原記念生命科学財団助成金に支えられながら行われたものであり, この場 を借りて深く感謝の意を表します. 文献 1) Ohtsuki, M., Taketomi, Y., Arata, S., Masuda, S., Ishikawa, Y., Ishii, T., Takanezawa, Y., Aoki, J., Arai, H., Yamamoto, K., Kudo, I. & Murakami, M.:Transgenic expression of group V, but not group X, secreted phospholipase A 2 in mice leads to neonatal lethality because of lung dysfunction. J. Biol. Chem., 281: , ) Sato, H., Kato, R., Isogai, Y., Saka, G., Ohtsuki, M., Taketomi, Y., Yamamoto, K., Tsutsumi, K., Yamada, J., Masuda, S., Ishikawa, Y., Ishii, T., Kobayashi, T., Ikeda, K., Taguchi, R., Hatakeyama, S., Hara, S., Kudo, I., Itabe, H. & Murakami, M.:Analyses of group III secreted phospholipase A 2 transgenic mice reveal potential participation of this enzyme in plasma lipoprotein modification, macrophage foam cell formation, and atherosclerosis. J. Biol. Chem., 283: , ) Sato, H., Taketomi, Y., Isogai, Y., Masuda, S., Kobayashi, T., Yamamoto, K. & Murakami, M.:Group III secreted phospholipase A 2 transgenic mice spontaneously develop inflammation. Biochem. J., 421: 17-27, ) Sato, H., Taketomi, Y., Isogai, Y., Miki, Y., Yamamoto, K., Masuda, S., Hosono, T., Arata, S., Ishikawa, Y., Ishii, T., Kobayashi, T., Nakanishi, H., Ikeda, K., Taguchi, R., Hara, S., Kudo, I. & Murakami, 8

9 M.:Group III secreted phospholipase A 2 regulates epididymal sperm maturation and fertility in mice. J. Clin. Invest., 120: , ) Escoffier, J., Jemel, I., Tanemoto, A., Taketomi, Y., Payre, C., Coatrieux, C., Sato, H., Yamamoto, K., Masuda, S., Pernet-Gallay, K., Pierre, V., Hara, S., Murakami, M., De Waard, M., Lambeau, G. & Arnoult, C.:Group X phospholipase A 2 is released during sperm acrosome reaction and controls fertility outcome in mice. J. Clin. Invest., 120: , ) Sato, H., Isogai, Y., Masuda, S., Taketomi, Y., Miki, Y., Kamei, D., Hara, S., Kobayashi, T., Ishikawa, Y., Ishii, T., Ikeda, K., Taguchi, R., Ishimoto, Y., Suzuki, N., Yokota, Y., Hanasaki, K., Suzuki- Yamamoto, T., Yamamoto, K. & Murakami, M.:Physiological roles of group X-secreted phospholipase A 2 in reproduction, gastrointestinal phospholipid digestion, and neuronal function. J. Biol. Chem., 286: , ) Murakami, M., Taketomi, Y., Miki, Y., Sato, H., Hirabayashi, T. & Yamamoto, K.:Recent progress in phospholipase A 2 research:from cells to animals to humans. Prog. Lipid Res., 50: , ) Yamamoto, K., Taketomi, Y., Isogai, Y., Miki, Y., Sato, H., Masuda, S., Nishito, Y., Morioka, K., Ishimoto, Y., Suzuki, N., Yokota, Y., Hanasaki, K., Ishikawa, Y., Ishii, T., Kobayashi, T., Fukami, K., Ikeda, K., Nakanishi, H., Taguchi, R. & Murakami, M.:Hair follicular expression and function of group X secreted phospholipase A 2 in mouse skin. J. Biol. Chem., 286: ,

研究成果報告書

研究成果報告書 様式 C-19 F-19 Z-19( 共通 ) 1. 研究開始当初の背景膜リン脂質を加水分解して脂肪酸とリゾリン脂質を生成する酵素ホスホリパーゼ A 2 (PLA 2 ) には 30 種類を超す分子種が存在し 大きく spla 2 ( 分泌性 PLA 2 ) cpla 2 ( 細胞質 PLA 2 ) ipla 2 (Ca 2+ 非依存性 PLA 2 ) に分類される PLA2 分子群は 多岐に渡る生理活性を有する脂質メディエーターの生合成の初発律速反応を制御するとともに

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