ISSN X 山梨衛公研年報第53号 2009 山梨の名水百選における水質調査について辻敬太郎佐々木裕也小林浩清水源治 Survey of the water quality in the Japanese brand-name water best 100 of

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ともなりさかど
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ISSN 915-37X 山梨衛公研年報第53号 9 山梨の名水百選における水質調査について辻敬太郎佐々木

水質山梨県は豊かな自然環境に恵まれ水資源が豊富であり環境省から新たに平成の名水百選として御岳昇仙峡

水環境の保護に十分な努力が払われていることが認められた河川や湧水であるしかしその水質の把握は十分ではない

八ヶ岳南麓高原湧水群(三分一湧水)のヵ所を加えたカ所で水質を調査し各名水の特徴を明らかにしようとしたまた

について考察するとともに平成19年度以降の保全状況について考察した山梨県調査方法図１に

電気伝導率(EC) 水素イオン濃度(pH やNa K Mg Ca Cl NO3 SOの各イオン濃度やSiO

昇仙峡西沢渓谷瑞がき山源流などの河川については可能なかぎり上流で採水したまた三分一湧水の平成19年度

1 ISSN X 山梨衛公研年報第53号 9 山梨の名水百選における水質調査について辻敬太郎佐々木裕也小林浩清水源治 Survey of the water quality in the Japanese brand-name water best of Yamanashi Keitaro Tsuji,Yuya Sasaki,Hiroshi Kobayashi and Genji Shimizu キーワード名水百選湧水水質山梨県は豊かな自然環境に恵まれ水資源が豊富であり環境省から新たに平成の名水百選として御岳昇仙峡十日市場夏狩湧水群西沢渓谷及び金 1) 峰山瑞がき山源流などヵ所が認定されたこれらは水環境の保護に十分な努力が払われていることが認められた河川や湧水であるしかしその水質の把握は十分ではないそこで昭 ) 和の名水百選としてかつて水質を調査したことのある白州尾白川八ヶ岳南麓高原湧水群(三分一湧水)のヵ所を加えたカ所で水質を調査し各名水の特徴を明らかにしようとしたまた三分一湧水については水質の常時監視を行っていることから今回の調査結果と比較しその意義について考察するとともに平成19年度以降の保全状況について考察した山梨県調査方法図１にカ所の名水の位置を示したこれらについて平成1年月から年3月まで毎月１回年間回にわたり採水し電気伝導率(EC) 水素イオン濃度(pH やNa K Mg Ca Cl NO3 SOの各イオン濃度やSiO 総窒素濃度(TN) 総リン濃度(TP)を２従来法により測定した採水時には水温を測定したなお尾白川昇仙峡西沢渓谷瑞がき山源流などの河川については可能なかぎり上流で採水したまた三分一湧水の平成19年度以降の水温および ECの常時監視結果を解析し今回の調査結果と比較した ①白州尾白川 ②三分一湧水右写真上 ③金峰山瑞がき山源流 ④御岳昇仙峡 ⑤西沢渓谷 ⑥十日市場夏狩湧水群右写真下図１常時監視各湧水群の位置 - 5 -

2 水温 EC ph Ca Mg K Na NO SO 3 Cl TN TP SiO 1 白州尾白川三分一湧水金峰山水がき山御岳昇仙峡西沢渓谷十日市場夏狩湧水群表 1 各名水における水質の平均値 ( 網掛けは表流水を表す ) 単位 :mg/l(ec ms/m 水温 ) 月月尾白川三分一水がき山昇仙峡西沢渓谷夏狩月月月月月月月月月図水温年間変化 ( ) 図 3 EC 年間変化 (ms/m) 結果と考察 1. 各名水の概況各名水の水質の概況を知るために表 1に平均値を示した表中河川は網掛けで示した年間を通じて最も変動が大きかったのが図に示した水温であった三分一湧水や夏狩湧水などの湧水では水温は気温の変動に関係なく年間を通じてほぼ一定であったのに対して河川は気温の変動に伴って大きく変化した水温以外の項目では図 3に示したECをはじめ年間を通じてほぼ一定であったが一部の項目については濃度の違いによる各名水の特徴が明確にみられた河川や湧水の特徴は岩石や土壌の溶出成分を含むことでありその水質は地質や周辺環境の影響尾白川三分一水がき山昇仙峡西沢渓谷夏狩を受けやすいことである月主な地下環境の指標成分としてはSiO やTP 地表からの負荷成分にCa NO 3 などが知られている Caは地質成分でもあるが八ヶ岳南麓湧水群の調査例では湧水量が特に少なかったり畑に湧出する場合に著しく濃度が高かったため地表からの負荷成分に分類された各項目の中で最も高い値であったのがこのCaでありどの名水においても最も高い数値が検出された Caの各名水における年間変化の様子を図に示したこの濃度は三分一湧水と西沢渓谷で高く特に夏狩湧水では年平均値が.mg/Lと他の湧水と比較して突出して高かった地表からの負荷成分としてはNO3 も挙げられるが西沢渓谷で平均値が3.3mg/Lと高くやはり夏狩湧水で平均値が.mg/Lと最も高い数値を示した

3 これらのことからカ所の名水の中では夏狩湧水西沢渓谷三分一湧水が地表からの負荷が大きいことがわかった西沢渓谷については周辺にキャンプ場なども多く多くの観光客が渓谷に立ち入ることまた夏狩湧水については周辺に住宅が立ち並び農業地も多数存在すること等による人為的な影響が現れているものと推測された月月図 5 月月 SiO 年間変化月月単位 :mg/l.. 月月図月月 Ca 年間変化月月単位 :mg/l.1... 地下環境の指標となるSiO について年変化の様子. を図 5 に示した SiO については他の項目と少し性質が異なり水晶の産地であった昇仙峡や湧水である三分一湧水夏狩湧水で濃度が高かった逆に尾白川瑞がき山や西沢渓谷では低い濃度を示すといった二極化がみられ名水を取り巻く自然環境によっても水質が大きく異なることがわかった図 TP 年間変化単位 :mg/l TPについても図に示すとおり SiO と同じような湧水均値で.53mg/Lから.mg/Lに Clが. 5) で濃度が高い傾向であることが分かったまた尾白川及び三分一湧水については昭和 1 ) 年の調査結果が既報で報告されており湧水の採取地点や調査回数が異なるがこれらと今回の調査結果を比較したところ尾白川については各項目について濃度がよく一致しており水質の保全状況については良好であることが分かった一方三分一湧水についてはSiO や TPの濃度変ら1.mg/Lで約倍に 3 NO が.35mg/Lから1. 約 3 倍に上昇していたこれらの項目の濃度は湧水量に影響され当時と今で水量の比較が出来ないものの人為的な影響が少なからず水質に影響を与えたのではないかと推測された三分一湧水については年の間に上流部 ( 標高の高い側 ) に採草場や別荘地ができており土地の利月月化が少ないのに対してこの約年間でSO が年平用形態の変化が影響していると推測される月月月月 - 5 -

4 年. 月気温 ( ) 最高値最低値水温 ( ) 最高値最低値 EC(mS/m) 最高値最低値 H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H 表三分一湧水館常時監視データの月平均値 H 気温 ( ) 水温 ( ) EC(mS/m) H1 H 水温 EC ph Na K Mg Ca TN TP Cl NO3 SO 図 7 気温水温 EC の月平均値経年変化図三分一湧水の各項目の年間変化月月月月月月 3 SiO 水温 EC ph Na K Mg Ca TN TP Cl NO3 SO SiO 単位 :mg/l(ec ms/m 水温 ). 三分一湧水の常時監視の結果については既報で考察が行われているところ三分一湧水館は県内で唯一湧水の常時監視 ( 水であるが今回は平成年度から1 年度末の常時監温 EC) を行っており平成 15 年から平成 19 年度末まで視結果について考察を行った

5 まず気温水温 ECについて平成年月から平を把握していくことが重要であると考えられる成年末までの常時監視結果の月平均値について表に示しその変化の推移を図 7 に示したなまとめおデータについて機器の故障や点検センサーが水面に出るなどの影響と考えられる不連続に変化した値山梨県内の各名水について水温やCaなどの成分などは除外したを調査したその結果周辺環境の影響を強く受気温については-1.5 から. と季節変化に伴うけている名水があるなど各々の特徴がわかった変動がみられたが水温やECについては変動は小さかった図には示していないが気温の平均値をプロッ1) 西沢渓谷及び夏狩湧水が地表からの負荷成分のトし近似式を求めたところ傾きが-.となり気温が経一つであるCaやNO 3 が高かった夏狩湧水は民家は年的には. / 月で低下する傾向がみられた畑地が近くに密集していることからそれらの影響水温は平均値に対して.1から. の差であったが示唆された三分一湧水についてはCaは高いも気温と同じく水温の平均値について近似式を求めたとののNO3 については低い値であったまた昇仙峡やころその傾きが-. 経年的にはとなり. / 月三分一湧水夏狩湧水が地質の影響を示すSiO の低下する傾向がみられた水温の平均値は9. か濃度が高かったら9. と前回調査 ( 平成 15 年度から平成 19 年度 ) の平均値 9. と比較すると.から. 低かった ) 約年前の調査結果と比較した尾白川は保全 ECは平均値に対して ±.1mS/mと全体を通じて変状況が良好であった三分一湧水はここ数年間で動は大きくなかったこちらも同じく近似式を求めたとこは水質は大きく変化していないものの約年前ろその傾きが.7となり経年的には.7mS/m/ に比較すると人為的負荷が大きくなっていること月上昇する傾向にあり ECは前回調査でも上昇傾向がが推測されたみられたものの今回の調査では若干ではあるがその上昇の割合が減少していることが分かった ECの平均名水については環境省がホームページを通じて値は5.9から.1mS/mと前回調査の平均値 5.7mS/m 一般に広く情報提供を行っており観光客の増加と比較して-.から +.ms/mの範囲で変動していることがなどが湧水の水質に影響を及ぼす可能性もあるこわかったとから引き続き湧水について水質の把握を行っこれらのことから推測して前回調査時と比較して三分一湧水の水質について大きな変化はみられないことが分かった次に常時監視の結果と今回の調査結果の比較を行った図に今回調査を行った三分一湧水における各項目についての年間変化を示した水温については年間を通じてほぼ一定であり年平均値が 9.5 で平成 1 年度の常時監視結果の平均値 9. と.1 の差で良く一致していた EC についても年間を通じてほぼ一定であり年ていくことが重要であると考えられたまた三分一湧水館の水質常時監視についても経年的な保全状況を把握するのに有用であり山梨県内の他の湧水についても保全状況を把握する上での有効な手段の一つとして活躍が期待された平均値が.5mS/mで平成 1 年度の常時監視結果の平選均値.mS/mと比較して.5mS/mの差であった isui/ また常時監視している水温やECと同じく各イ ) 高橋照美ら : 県内の名水の水質について, オン成分の濃度も年間を通じてほぼ一定の傾向を山梨県衛公研年報 3,~9(19) 示した清水源治ら : 三分一湧水の水質の常時測定につこれらのことからここ年間の三分一湧水の水いて, 山梨県衛公研年報 51,~(7) 質については変化はみられず常時監視について ) 高橋照美ら : 八ヶ岳南麓湧水群の水質, 山梨県も今回の調査結果の傾向と良く一致していた衛公研年報 31,9~5(197) 今後も保全状況の把握のために常時監視を引き続き行うことが望ましいと考えられたまた保全状況の詳細を解析するため今後は 5) 小林浩ら : 山梨県内の地下水及び湧水中のリン及びバナジウム濃度, 山梨県衛公研年報 3,5~ (1999) 各イオン成分についても併せて解析しその動向文 1) 環境省ホームページ : 環境省選定平成の名水百献 - -

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<4D F736F F D F5F8F4390B3816A95788E6D8CDC8CCE82CC90858EBF8AC28BAB82CC95CF89BB8F4390B B7924A90EC816A2E646F63> 富士五湖の水質環境の変化長谷川裕弥, 吉沢一家 Change of the Water quality environment of Fuji Five Lakes Yuya Hasegawa, Kazuya Yoshizawa キーワード : 富士五湖, 透明度, 水質変動, クロロフィル a, リン, 窒素富士五湖の水質調査は1973 年より山梨県により公共用水域調査として継続して行われている

ISSN X 山梨衛公研年報 第53号 2009 山梨の名水百選における水質調査について 辻 敬太郎 佐々木 裕也 小林 浩 清水 源治 Survey of the water quality in the Japanese brand-name water best 100 of

ISSN X 山梨衛公研年報第53号 2009 山梨の名水百選における水質調査について辻敬太郎佐々木裕也小林浩清水源治 Survey of the water quality in the Japanese brand-name water best 100 of