大分工業高等専門学校紀要第 51 号 ( 平成 26 年 11 月 ) ノンフォトリアリスティックレンダリングのための逆バイラテラルフィルタによる墨絵風画像平岡透 1 1 情報工学科 We introduce a non-photorealistic rendering technique fo

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きゅういちこいたばし
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ノンフォトリアリスティックレンダリングのための逆バイラテラルフィルタによる墨絵風画像平岡透 1 1 情報工学科 We introuce a non-photorealistic renering technique for generating inian-ink rawing-like images from photographs.

In this letter, inian-ink rawing-like images are generate with inverse bilateral filter an an iea of unsharp mask.

1 ノンフォトリアリスティックレンダリングのための逆バイラテラルフィルタによる墨絵風画像平岡透 1 1 情報工学科 We introuce a non-photorealistic renering technique for generating inian-ink rawing-like images from photographs. Inian-ink rawing-like images have a touch ifferent from the traitional chinese-ink painting. In this letter, inian-ink rawing-like images are generate with inverse bilateral filter an an iea of unsharp mask. In orer to evaluate the performance of our metho for generating inian-ink rawing-like images, we conuct experiments using some example images. キーワード : ノンフォトリアリスティックレンダリング, 墨絵, 逆バイラテラルフィルタ, アンシャープマスク, 非等方フィルタ 1. はじめに現在, 写真画像を貼り絵や油絵, 鉛筆画などのような画像に変換するノンフォトリアリスティックレンダリングの研究 123 が数多く行われている. 同じく水墨画のノンフォトリアリスティックレンダリング法の研究もこれまでに数多く発表されている 456 が, それらは中国の伝統的な水墨画を模倣したものである. 本稿では, それらの水墨画とは異なるタッチの水墨画として, 図 -1 に示すような墨絵を模倣するノンフォトリアリスティックレンダリング法を提案する. 墨絵は, 主に筆でなぞった線によって構成され, 筆のかすれもある. また, 主に黒色などの単色で構成され, 中図 -1 墨絵の例図 -2 レナの画像間色の数が少なく, 当然コントラストが高い. そのため, 提案法は, まず筆でなぞったような線を表現するために, 写真画像を非等方フィルタ 2 を用いて流れのある滑らかな画像に変換する. その後, 逆バイラテラルフィルタ 7 とアンシャープマスクの考え方を組合せた反復処理によって墨絵風画像を生成する. 提案法と類似した処理として, バイラテラルフィルタを数回かけた後にアンシャープマスクを数回かけることによってモアレ風画像を生成する処理 8 ( 以下, 従来法が提案されている. しかし提案法では, バイラテラルフィルタの代わりに逆バイラテラルフィルタを用い, 逆バイラテラルフィルタとアンシャープマスクを交互にかけることによって, 従来法とは異なる効果を発生させる. 提案法によって生成された墨絵風画像は, 反復処理が進むにつれて輪郭線部からコントラストの高 28

図 -3 非等方フィルタ処理後の画像い二値画像に収束し, 筆でなぞった線が輪郭線部に生成され, 筆のかすれも表現された画像になる. 提案法の有効性を検証するために, 図 -2 に示すレナの画像を用いた実験を行い, 各種パラメータを変えた場合に生成される墨絵風画像の変化を確認する. また, レナの画像以外のいくつかの風景画像にも提案法を適用して, 生成される墨絵風画像の見栄えを確認する.

2 図 -3 非等方フィルタ処理後の画像い二値画像に収束し, 筆でなぞった線が輪郭線部に生成され, 筆のかすれも表現された画像になる. 提案法の有効性を検証するために, 図 -2 に示すレナの画像を用いた実験を行い, 各種パラメータを変えた場合に生成される墨絵風画像の変化を確認する. また, レナの画像以外のいくつかの風景画像にも提案法を適用して, 生成される墨絵風画像の見栄えを確認する. さらに, アンケート調査によって墨絵風画像の主観評価も行う. 2. 方法提案法は, 大きく二つの処理で実行される. 一つ目の処理では, 非等方フィルタを用いて写真画像を変換する. 二つ目の処理では, 一つ目の処理で得られた画像を逆バイラテラルフィルタとアンシャープマスクの考え方を組合せた反復処理を用いて墨絵風画像に変換する. (1 非等方フィルタ一つ目の処理で用いる非等方フィルタは, バイラテラルフィルタ 9 の空間的重みを画素値の勾配に基づいて非等方にして勾配と垂直方向に平滑化するもので, エッジを保存して縞模様を強調する. 非等方フィルタの詳細は, 文献 $2$ を参照されたい. 図 -2 のレナの画像を非等方フィルタを用いて変換した画像が図 -3 である. 図 -3 のレナの髪や帽子の羽毛飾りを見ると, 流れのある滑らかな画像に変換されていることがわかる. (2 墨絵風画像の生成墨絵風画像は, 逆バイラテラルフィルタとアンシャープマスクの考え方を組合せた反復処理によって生成される. 逆バイラテラルフィルタとは, バイラテラルフィルタでぼかされた画像を元に戻すものである. この処理は, 画像鮮鋭化と似ているが, 鮮鋭化は画像を強調するのに対して, 前の鮮鋭な画像に戻す逆問題として定式化される点が異なる. アンシャープマスクとは, 画像鮮鋭化を行うものである. この反復処理では, 逆バイラテラルフィルタによって画像の輪郭線部を強調し, 一方で画像の輪郭線部以外では変化を最小限に止め, アンシャープマスクによって輪郭線部から二値画像に近づけていくことになる. このため, 墨絵風画像では, 輪郭線部に筆でなぞった線が生成され, 筆でなぞった線にかすれも残る. この反復処理の手順を以下に示す. 1 非等方フィルタの処理後の画像の座標を ( i,, 画素値をb とする. 2 画像の画素値を式 (1 の逆バイラテラルフィルタを用いて計算する. s k, l e 2 2 ( t ( t (( i k ( l ( i, k, l ここで, t( 0,1,2, は反復処理の回数である. 反 (0 復処理の初期値は b とする. また, とは正定数, w はウィンドウサイズである. は座標 ( からの距離の影響を調節するパラメータであり, の値が大きいほど座標 ( から離れている画素の影響を受けにくくなる. は座標 $($ の画素値との差の絶対値の影響を調整するパラメータであり, の値が大きいほど画素値との差の絶対値の大きい画素の影響を受けにくくなる. 3 画像の画素値 f をアンシャープマスクの考え i w w sk, l k i w l w i w w sk, l k i w l w 方を用いた式 (2 で計算する. f 2 4 f として, 式 (1 と式 (2 をT 回繰り返す. ( T 5 g 255 f として得られた画像が墨絵風画像となる. 3. 実験まず, 図 -2のレナの画像に提案法を適用し, 各種パラメータを変えた場合に生成される墨絵風画像の変化を確認する. その後, レナの画像以外のいくつかの画像にも提案法を適用して, 生成される墨絵風画像を確認する. さらに, アンケート調査によって墨絵風画像の主観評価も行う. (1 レナの画像での実験画素の大きさで256 階調のレナの画像に提案法を適用した. 最終の反復処理の回数 T を変えることによって生成される墨絵風画像の変化を調べた. このとき, 0. 01, 0.01, w 20 とした. この結果を図 -4に示す. 図 -4 k, l b (1 (2 29

3 図 -4 反復回数による墨絵風画像の変化 ( T [3,6,9,12] 図 -6 ( 0. 01, [0.1,0.01,0.001] 図 -5 ( 0. 1, [0.1,0.01,0.001] の左上の画像がT 3, 右上の画像がT 6, 左下の画像がT 9, 右下の画像がT 12 の場合である. 図 -4より, T の値が大きくなるにつれて, 輪郭線を保存しながら筆のかすれも現れ, 二値画像に近づいていくことがわかる. との値を変えることによって生成される墨絵風画像の変化を調べた. このとき, T 10, w 20 とした. この結果を図 -5から図-7に示す. 図 -5の画像が 0. 1, 図 -6の画像が 0. 01, 図 -7の画像がの場合で図 -7 ( , [0.1,0.01,0.001] ある. 図 -5から図-7の左上の画像が 0. 1, 右上の画像が 0. 01, 下の画像がの場合である. 図 -5から図 -7 より, との値が大きいほど, より細い筆を使ったような墨絵風画像が生成されることがわかる. また, の値が小さいほど, 少ない反復処理の回数 T で二値画像に収束することがわかる. 30

図 -10 提案法処理前後の画像 ( 杵築城図 -8 提案法処理前後の画像 ( 宇佐神宮観光名所の風景画像は, 宇佐神宮, 原尻の滝, 杵築城の 3 枚である. ここで,3.

001, の値を 0.1, 0.01,0.001,T の値を 1 から 15 まで変えて, そのなかで最も図 1 の墨絵の風合いに似た結果を与えるパラメータの値として, 0.

図 -8 から図 -10 の上または左の画像が原画像であり, 下または右の画像が墨絵風画像である.

図 -9 提案法処理前後の画像 ( 原尻の滝 (2 他の画像での実験大分県内の観光名所の風景画像 (800 480 画素または 480 800 画素,256 階調に対して,

(3 アンケート調査 30 名の被験者に対して, 提案法によって生成された図 -8 から図 -10の墨絵風画像と図-1の墨絵を比較して," 大変似ている "," 似ている ","

30 名の被験者の内, 男が24 名, 女が6 名であり, 学生 (18 歳から20 歳が26 名, 教職員が4 名 (30 代が2 名,40 代が1 名,60 代が1 名

4 図 -10 提案法処理前後の画像 ( 杵築城図 -8 提案法処理前後の画像 ( 宇佐神宮観光名所の風景画像は, 宇佐神宮, 原尻の滝, 杵築城の 3 枚である. ここで,3.1 節の実験と同様にして, w の値を 20 で固定して, の値を 0.1,0.01,0.001, の値を 0.1, 0.01,0.001,T の値を 1 から 15 まで変えて, そのなかで最も図 1 の墨絵の風合いに似た結果を与えるパラメータの値として, 0. 01, 0. 01, T 10, w 20 とした. この3 枚の観光名所の風景画像と提案法によって生成された墨絵風画像をそれぞれ図 -8 から図 -10 に示す. 図 -8 から図 -10 の上または左の画像が原画像であり, 下または右の画像が墨絵風画像である. 図 -8 から図 -10 より, 筆でなぞった線と筆のかすれのある良好な墨絵風画像が生成されていることがわかる. 図 -9 提案法処理前後の画像 ( 原尻の滝 (2 他の画像での実験大分県内の観光名所の風景画像 ( 画素または画素,256 階調に対して, 提案法を適用した. (3 アンケート調査 30 名の被験者に対して, 提案法によって生成された図 -8 から図 -10の墨絵風画像と図-1の墨絵を比較して," 大変似ている "," 似ている "," どちらともいえない "," 似ていない "," まったく似ていない " という5 段階で評価してもらうアンケート調査を行った.30 名の被験者の内, 男が24 名, 女が6 名であり, 学生 (18 歳から20 歳が26 名, 教職員が4 名 (30 代が2 名,40 代が1 名,60 代が1 名であった. 被験者には, 全体的な印象や筆の運びと墨のかすれの具合などを比較して回答させた. アンケート調査の結果," 大変似ている " が3 名," 似ている " が10 名," どちらともいえない " が11 名," 似ていない " が5 名," まったく似ていない " が1 名という回答が得られた. " 大変似ている " を5 点," 似ている " を2.5 点," どちらともいえない " を0 点," 似ていない " を-2.5 点," まったく似ていない " を-5 点として得点を計算すると平均が0.75 点になるので, 提案法によって生成された墨絵風画像は人が描いた墨絵をある程度表現できていると評価する. 31

5 4. まとめ墨絵風画像を生成するノンフォトリアスティックレンダリングの方法を提案し, レナの画像といくつかの風景画像を用いた実験を通して, 提案法の有効性を検証した. また, 提案法で使用する各種パラメータを変えた場合に生成される墨絵風画像の変化と反復処理の回数によって生成される墨絵風画像の発生の過程を確認した. さらに, アンケート調査によって墨絵風画像の主観評価も行った. 今後の課題は, より多くの画像で実験を行い, 提案法に改良を加えることである. また, 写真画像に応じた最適なパラメータの自動設定の方法を考えることも今後の課題である. 参考文献 1 牧野大輔, 井上光平, 原健二, 浦浜喜一 : 紙の厚みとテクスチャを考慮した貼り絵風画像の生成, 映像情報メディア学会誌,Vol.60,No.7,pp , 井上光平, 浦浜喜一 : 非等方フィルタによる鉛筆画風画像と油彩画風画像の生成, 映像情報メディア学会誌, Vol.58,No.10,pp , 井上光平, 浦浜喜一 :3D 物体の鉛筆画風画像の生成, 映像情報メディア学会誌,Vol.60,No.10,pp , J. Lee: Simulating Oriental Black-Ink Painting, IEEE Computer Craphics & Applications, Vol.10, No.3, pp.74-81, D-L. Way an R. Z-C. Shin: The Synthesisi of Rock Textures in Chinese Lanscape Painting, Computer Graphics Forum, Vol.20, No.3, pp , 佐藤陽悦, 藤本忠博, 村岡一信, 千葉則茂 : ポリゴンベース幾何モデルの水墨画調レンダリング法, 情報処理学会技術報告, グラフィックスとCAD,Vol.35,pp , 于子涵, 周渓陽, 常セン, 小野直樹, 井上光平, 原健二, 浦浜喜一 : 逆バイラテラルフィルタによる画像のぼけの修復, 画像の認識理解シンポジウム,IS2-44, 平岡透, 浦浜喜一 : バイラテラルフィルタによるモアレ風画像の生成, 映像情報メディア学会誌,Vol.67,No.1, pp.j74-j77, C. Tomasi an R. Manuchi: Bilateral Filtering for Gray an Color Images, Proc. ICCV, pp , ( 受付 32

す局所領域 ωk において線形変換に用いる係数 (ak 画素の係数 (ak bk ) を算出し入力画像の信号成分を bk ) は次式のコスト関数 E を最小化するように最適化有さない画素に対して式 (2) より画素値を算出するされるこれにより低解像度な画像から補間によるアップサ E(

す局所領域 ωk において線形変換に用いる係数 (ak 画素の係数 (ak bk ) を算出し入力画像の信号成分を bk ) は次式のコスト関数 E を最小化するように最適化有さない画素に対して式 (2) より画素値を算出するされるこれにより低解像度な画像から補間によるアップサ E( IR E-mail: hf@cs.chubu.ac.jp Abstract IR RGB ( ) IR IR IR RGB RGB PSNR 1 Time-Of- Flight(TOF)[1] Kinect [2] TOF LED TOF [3] [6] [4][5] 2 [6] RGB ( ) Infrared(IR) IR 2 2.1 1 す局所領域 ωk において線形変換に用いる係数 (ak

大分工業高等専門学校紀要第 51 号 ( 平成 26 年 11 月 ) ノンフォトリアリスティックレンダリングのための 逆バイラテラルフィルタによる墨絵風画像 平岡透 1 1 情報工学科 We introduce a non-photorealistic rendering technique fo

大分工業高等専門学校紀要第 51 号 ( 平成 26 年 11 月 ) ノンフォトリアリスティックレンダリングのための逆バイラテラルフィルタによる墨絵風画像平岡透 1 1 情報工学科 We introduce a non-photorealistic rendering technique fo