ユニバーサル／商業銀行の融資残高と期間構成：各行別2000年以降の推移

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しらんやまがた
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1 柏原編フィリピン企業の投資資金調達行動に関する実証分析調査研究報告書アジア経済研究所 215 年補論および資料ユニバーサル / 商業銀行の融資残高と期間構成 : 各行別年以降の推移柏原千英要約 : 本論では第 2 章で使用した与信データの各行別推移を分散図にまとめている対象はフィリピン中央銀行 (BSP) からユニバーサル / 商業銀行として認可されている国内資本 / 外資系民間金融機関 33 行であるデータ元となった財務諸表に各行別の表記相違があるため 33 行全てに統一的な基準を適用してはいないがおおまかな傾向の有無や特徴を読み取れよう表記相違の詳細については本文を参照されたいキーワード : 銀行融資融資期間構成ユニバーサル / 商業銀行 43

2 各行別データについての留意点フィリピンにおいても 199 年代末に発生したアジア危機を契機に国内会計基準の国際標準化は段階的に進められている銀行部門に関する主要な変更点として 1 業務および投資事業上の各種リスク管理体制とその推計に関する記述の詳細化 (1 年実施 ) 1 2 産業別融資残高や契約上の与信期間の集計と明記 (1 年実施 ) 3セグメント ( 事業部門 ) 別収支の明記 (7 年実施 ) などがユニバーサル銀行を中心として導入されているまたこれら財務諸表は上場 / 非上場に関わらず企業登記および各種届出を管轄する証券取引委員会 (Securities and Exchange Commission: SEC) に蓄積され公開されている本論では 1 2 に関して集計したユニバーサル / 商業銀行について各会計年度末融資残高そのうち短期 / 長期融資残高データを収集し年代から直近決算までの推移を2 種類の分散図にて示した ( 図 1および図 2) 図 1は縦軸に基準年 (1 年あるいは 2 年 ) の残高をとした各年度末融資残高の増減比横軸にはそのうち長期 ( 本論では 1 年超をまとめた ) 融資残高が全残高に占める割合を取っている図 2では短期融資と長期融資の各年度末残高を基準年 ( 例外はあるが基本的に図 1に同じ ) の残高をとした増減比で示したなお国内資本銀行については行名の後に系列企業グループ名を表示している ( 各図かっこ内第 1 章の企業グループ概要も参照 ) これらから各行の与信量とその期間構成の推移を示し傾向の有無や国内外資本あるいは本社所在国地域での差異の有無がある程度把握できようまとめの記述については第 2 章本文を参照されたい参考のため以下に各行財務諸表上の表記相違点やデータの欠落事由を列挙する 2 (1) 与信項目の内容与信項目に含まれる対顧客( 企業あるいは個人 ) 取引の内容は統一されていない例えば以下のような項目立てで表記集計が行われている Loans Receivable from customers 1 流動性 (liquidity) 金利(interest rate) 為替(foreign exchange) 期間(maturity) 業務(operational) リスク等 2 図 1および図 2の各図のなかでは紙幅および簡便性の観点から注として明記していないため各行別詳細については筆者に照会されたい 44

3 Loans and receivables Loans and other receivables Loans and advances Loans and advances to customers 各財務諸表からは Loan を含む項目を抽出している会計上用語としては Receivable(s) は売掛金ないし売掛債権 Advance(s) は前払い ( 金 ) である 2つの用語が単一項目のなかに併記されているので金融機関が顧客から約束手形等の支払証券を買い取りその後債権として保有しているものと解釈したこのような場合用語別の明細を ( 例えば Loans と Advances の各金額 ) を補足文書 (Notes) のなかで明記している銀行と単一項目としてまとめたままの銀行がありまた単一銀行でも会計年度で表記方法が変更されている例があるためデータ作成に当たって修正は加えていない (2) 増減比算出の基準年 1~3に挙げた諸点はフィリピン国内の会計規則の改正と公布によって実施されるが当該年度内に提出される書類に厳密に適用されるわけではないこのような改正には多くの場合で適用への猶予期間が設けられておりその期間内に各企業金融機関で適用することが求められるまた適用した年度の財務報告書には前年度金額の適用修正値 ( amended と表記される ) を明記することも一般的には求められるが本論で取り上げた金融機関でも必ずしも全てで対応されているとは限らないようだしたがって修正値が 1 年度か 2 年度かによって各行の基準年は異なっている ( 来年度の作業として 2 年で統一する予定 ) (3) 総額と純額取り上げた 33 行のうち国内資本 3 行 (BDO Unibank Bank of Philippine Islands (BPI) BDO Private Bank) および外資系 4 行 (Bank of America, N.A. J.P. Morgan Chase Bank, N.A. ANZ Bank Group Ltd. Deutsche Bank AG) が純額 (net amount) での融資残高を採用している融資期間別の事業費用や引当金の明細は入手できないため総額ないし純額を修正統一せずにデータ作成している (4) 上記 2 契約上の与信期間の集計と明記に対応する情報量リスク分析項目のひとつとして期間リスク (maturity risk) があり財務諸表補足文書 (Notes) 45

4 のなかに与信期間別の残高を集計明記することが求められているただしこの点についても資産負債サイド ( 両方ないし一方のみ ) の期間構成について単独で項目を立てて記述している場合やリスク分析項目の一部として表記している場合期間区分の単位あるいは純額総額ベースのいずれを表記しているかにもばらつきがある本論では全 33 行に共通するものとして 1 年未満を短期 1 年超を長期として集計した (5)SEC のサイトにおける財務諸表自体の欠損や前年度表記の欠落図 1 2のなかには分散図に欠落があるものがあるがこれらは ( 現時点での ) データ未収集によるものである全 33 行のデータは基本的に SEC の企業財務情報サイト上の監査済み財務報告書 (Audited Financial Statements) から収集しているが現時点で過去の各報告書が完全にアップロードされているわけではない 46

5 図 1: 融資残高増減比 (1/2 年 =) と長期 (1 年超 ) 融資シェア (%) 1-1: 国内資本ユニバーサル銀行 Rizal Commercial Banking Corp. (RCBC, Yuchengco) Union Bank of the Phils. (Aboitiz Equity Ventures = Aboitiz) Security Bank Corp. Metropolitan Bank & Trust Company (Metrobank, GT Capital Hldngs.=Ty)

6 1-1: 国内資本ユニバーサル銀行 ( つづき ) Asia United Bank Corp. (Republic Biscuit Corp., Kuo Yu Phils. Hldngs Corp.) BDO Unibank, Inc. (SM Investment Corp.=Sy) 7 2, 6 2, , 1, Bank of Philippine Islands (Ayala Corp. = Ayala) Chinabank (SM Investment Corp.=Sy)

7 1-1: 国内資本ユニバーサル銀行 ( つづき ) East West Banking Corp. (Philinvest Dev't. Corp. = Gotianum) 1, 1, Philtrust Bank ( 注 )SEC への登録は 6 年財務諸表の届出は 7 年度から Philippine National Bank (LT Group = Lucio Tan) United Coconut Planters Bank

8 1-2: 国内資本商業銀行 Bank of Commerce (San Miguel Corp.) Philippine Bank of Communications BDO Private Bank (SM Investment Corp. = Sy) Philippine Veterans Bank

9 1-2: 国内資本商業銀行 ( つづき ) Robinsons Bank Corp. (JG Summit Corp.=Gokongwei) ( 注 )8 年まで ABN Amro Bank( 外資系子会社商業銀行 ) 9 年に The Royal Bank of Scotland と統合 21 年に現行名に変更 1-3: 外資系支店ユニバーサル銀行 ANZ Banking Group Ltd. : 豪 Deutsche Bank AG - Manila Branch: 独

10 1-3: 外資系支店ユニバーサル銀行 ( つづき ) 18 ING Bank N.V. - Manila Branch: 蘭 5 HSBC: 英 Mizuno Bank, Ltd. - Manila Branch: 日 Standard Chartered Bank: 米 ( 注 ) 縦軸 :2 年融資残高 = 52

11 1-4: 外資系支店商業銀行 3 Bangkok Bank Public Co. Ltd.: タイ Bank of China Ltd. -Manila Branch: 台湾 ( 注 )2 年融資残高 = 12 8 Mega International Commercial Bank, Co. Ltd.: 台湾 Korea Exchange Bank: 韓国

12 1-4: 外資系支店商業銀行 ( つづき ) Bank of America, N.A.: 米 12 Citibank, N.A.: 米 JP Morgan Chase Bank, N.A.: 米 The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd.: 日

13 1-5: 外資系子会社商業銀行 3 CTBC Bank (Phils.) Corp.: 台湾 Maybank Philippines, Inc.: マレーシア

14 図 2: 短期長期融資残高増減比 (%) 2-1: 国内民間ユニバーサル銀行 RCBC (Yuchengco) Union Bank of the Phils. (Aboitiz) 1, 4 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) 1, 8 短期増減比 (2 年 =) 長期増減比 (2 年 =) BPI (Ayala) 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) Metrobank (GT Capital Hldngs.=Ty) 3 3 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =)

15 2-1: 国内民間ユニバーサル銀行 ( つづき ) BDO Unibank (SM Investment Corp.=Sy) 3, 9 Chinabank (SM Investment Corp.=Sy) 2, 2, 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) 1, 4 1, PNB (LT Group=Tan) 3 East West Banking Corp. (Filinvest Dev't Corp.= Gotianun) 1,6 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) 1,4 1, 1, 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =)

16 2-1: 国内民間ユニバーサル銀行 ( つづき ) 1,4 Security Bank Corp. 3 United Coconut Planters Bank 1, 1, 8 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) 短期増減比 (2 年 =) 長期増減比 (2 年 =) Asia United Bank Corp. (Republic Biscuit Corp., Kuo Yu Phils. Hldngs Corp.) 1,4 短期増減比 (1 年 =) 1, 長期増減比 (1 年 =) 1, Philtrust Bank( 参考 ) 3 短期増減比 (7 年 =) 長期増減比 (7 年 =)

17 2-2: 国内民間商業銀行 7 Bank of Commerce (San Miguel Corp.) BDO Private Bank (SM Investment Corp. =Sy) 7 6 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) 6 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) Robinsons Bank Corp. (JG Summit Corp.= Gokongwei) 3, Philippine Bank of Communications 2, 2, 短期増減比 (2 年 =) 長期増減比 (2 年 =) 16 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) 1, 12 1, ( 注 )1 年度末の長期融資残高は. 59

18 2-2: 国内民間商業銀行 ( つづき ) Philippine Veterans Bank 1,4 1, 1, 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) : 外資系支店ユニバーサル銀行 ANZ Banking Group Ltd.: 豪短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) I NG Bank N.V.: 蘭 3 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =)

19 2-3: 外資系支店ユニバーサル銀行 ( つづき ) 14 Deutsche Bank: 独 Mizuho Bank, Ltd.: 日短期増減比 (2 年 =) 長期増減比 (2 年 =) 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) Standard Chartered Bank: 米 3 HSBC: 英 3 3 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =)

20 2-4: 外資系支店商業銀行 Bankgkok Bank Public Co. Ltd.: タイ 4 Bank of America: 米短期増減比 (2 年 =) 長期増減比 (2 年 =) 12 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) Bank of China Ltd.: 台湾 Citibank, N.A.: 米 3 短期増減比 (4 年 =) 参考長期増減比 (2 年 =) 3 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) ( 注 )2 および 3 年度末の短期融資残高がであるため便宜的に 4 年度末 = として算出 62

21 2-4: 外資系支店商業銀行 ( つづき ) J.P. Morgan Chase Bank: 米 3 Korea Exchange Bank: 韓国 7 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) 6 4 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) Mega International Commercial Bank: 台湾短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd.: 日本 6 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =)

22 2-5: 外資系子会社商業銀行 CTBC Bank: 台湾 3 Maybank Philippines, Inc.: マレーシア 1,8 1,6 1,4 1, 1, 8 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =) 短期増減比 (1 年 =) 長期増減比 (1 年 =)

平成１２年度　対日直接投資増加の理由と日本経済にもたらす影響に関する調査　第３章－２　各論・金融業

平成１２年度　対日直接投資増加の理由と日本経済にもたらす影響に関する調査　第３章－２　各論・金融業 -- (1) 1998 5080 98 200 3- - M&A 982000 88 3-- 2000 2 OUT-IN M&A 1998-2000 98 99 2000 88 23 27 38 27 6 12 9 0 0 0 0 10 2 3 5 4 1 0 3 ( ) 47 14 12 21 MARR 44 (2) 98 88 46 3- -3 46 22 Private Equity Fund