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1 意外と簡単!? Oracle Database 11g Release 1 - データベース構築から運用まで - 第 4 章 : データベース監視 / 管理編 (Windows 版 ) Creation Date: Last Update: Version: 1.1

2 はじめに 意外と簡単!? シリーズは Oracle Database 11g を使用してこれからシステム構築を行い 運用していく方向けに作成しており 初心者の方でも容易に構築 / 運用ができるよう全編にわたり極力 GUI ツールを利用した説明として構成しております システム構築の方法や運用にはさまざまな方法が存在しますが 意外と簡単!? シリーズでは特定のハードウェア上で小中規模のシステムを構築 / 運用することを目的とした実践的な資料として構成している関係上 個々の機能の説明等は最小限に留めております 意外と簡単!? シリーズが皆様のシステム構築 / 運用の一助になれば幸いです 意外と簡単!? シリーズの資料構成 意外と簡単!? シリーズは 以下の 5 つの資料から構成しております 1. データベース構築基礎 2. バックアップとリカバリ 3. セキュリティ設定 4. データベースの運用 - 監視 ( 本書 ) 5. データベースの運用 - チューニング 意外と簡単!? シリーズにおける H/W S/W 構成 サーバー : DELL PowerEdge 2650 CPU:Xeon 3.06 GHz x 2 メモリー :6GB オペレーティング システム : Microsoft Windows Service Pack1 RDBMS:Oracle Database 11g Release 1 Enterprise Edition for Windows 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 2

3 データベースの監視と管理 データベースの管理者 (DBA) のタスクは データベースのアプリケーションをインストールし 必要なデータベースを作成したところで終わりではなく 仕事 つまり管理作業はそこからスタートするといっても差しつかえありません このドキュメントでは 以下の基本的なタスクを解説していきます データ領域の監視と管理 リソースの監視と管理 パフォーマンスの監視 Oracle のエラー アラートの監視 データ領域の監視と管理 データベースに格納されるデータは 業務などの利用によって日々追加 更新されていきます そのため データベースやアプリケーションの作成時に用意しておいたデータのための領域も定期的に監視して状況を把握し 必要に応じて領域を増やしてやるなどの処置を行う必要があります Oracle Database では領域の作成時などにオプションを指定することで領域のサイズを自動で増加させる設定も可能です このセクションでは これらの領域の監視や管理について 付属の GUI 管理ツール (Enterprise Manager) を使用した方法を解説していきます Enterprise Manager Database Control Enterprise Manager は Oracle 標準の Web アプリケーションよる GUI ベースのデータベース管理ツールです DBCA にてデータベースを作成すると Oracle Enterprise Manager Database Control を同時に構成できます Enterprise Manager Database Control は Web アプリケーションなので Database 管理者は サポートされる Web ブラウザがインストールされており データベース サーバへアクセス可能なネットワーク環境からであれば クライアントを選ばずどこからでも速やかにデータベースの管理作業を行うことができます POINT: データベースのインストールおよび Enterprise Manager の起動 停止などについては 意外と簡単!? シリーズ データベース構築の基礎編 をご参照ください 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 3

4 Enterprise Manager Database Console にログイ ン 1. Oracle Enterprise Manager Database console へアクセス Web ブラウザを起動して Enterprise Manager Database Console の URL を入力します name>:<port>/em e.g) POINT:Enterprise Manager にアクセスする場合のポート番号が分からない場合は $ORACLE_HOME/install の下の portlist.ini ファイルを参照してください 2. Oracle Enterprise Manager Database console へログイン ログイン ページが表示されます ここではsysmanユーザーでログインします 以下のように入力しボタンをクリックします 項目名入力内容ユーザー名 sysman パスワード DB 作成時に指定したパスワード ( この資料の例では oracle) 接続タイプ Normal 3. Database Console ホーム画面を確認ログインに成功すると 以下のような管理画面が開きます 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 4

5 領域情報へのアクセス Oracle Database のテーブルや索引などは表領域 (Tablespace) と呼ばれる論理的な領域に格納されます このセクションでは この表領域の一覧と使用状況を確認してみます 実習 : 表領域情報を確認してみよう 1. ホーム画面左上のタブから サーバー タブをクリックします 2. サーバー ページが表示されます 記憶域 グループから 表領域 のリンクをクリックします 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 5

6 3. 表領域 ページが表示されます このページでは データベースで利用可能な表 領域の一覧が表示されます ここでまずチェックすべき項目は以下のとおりです 名前 : 表領域の名前ステータス : 表領域の状態 通常使用できる状態ではになっています 使用されている領域 (%) : 表領域の使用されている割合と それを表すグラフになっています 90% を超えているようだと要注意です 表領域の表示例 通常の管理では ユーザーおよびアプリケーションの使用している表領域の使用率に注意します たとえば データベース ユーザの作成時にデフォルト表領域を特に指定しなかったとき ( 表などを作成するときに 特に表領域を指定しないときに使用される表領域 ) は USERS 表領域がデフォルト表領域になりますが 多数のデータベース ユーザがいる場合 管理者の予想よりも急速に使用率が上がってしまうこともあります 通常 デフォルトの設定でデータベースを作成すると 後述する自動拡張のオプションがついて USERS 表領域が作成されるため 表領域が一杯になってもすぐに ORA エラーが発生することはあまりありませんが 自動拡張のオプションのついていない表領域では 表領域が一杯になり領域がなくなると ORA などのエラーが発生し 処理が中断します エラー発生例 (sql*plus での発生例 ) 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 6

7 行 1 でエラーが発生しました : ORA-01653: 表 SUKE.STS_TEST を拡張できません (8 分 表領域 USERS) ORA-06512: "SUKE.FOR_STS", 行 5 ORA-06512: 行 1 表領域の使用率が 100% に達する場合には データ ファイルの追加や拡張 ( 後述 ) による表領域の領域サイズ拡大も考慮する必要があります 表領域の使用率を監視表領域の使用率を確認する方法について解説しましたが データの増加を常に監視しておくのはやはり面倒な作業です Oracle Database ではアラートと呼ばれる通知機能が提供されていますので この機能をフルに活用すると効率的に監視業務を行えます アラートアラートは データベースの状態について事前設定された監視項目がしきい値に達した場合に発行されます 発行されたアラートは Enterprise Manager のホーム画面にて確認できます しきい値は重要度によって 警告 クリティカル の 2 段階で設定可能です 例えば 表領域の使用率が 85% では警告 アラートですが 97% ではクリティカル アラートが生成されます アラートの例 : Oracle Database ではデフォルトの状態で 様々なアラートが定義されています 以下は事前設定の一例です 表領域使用率 (85% の場合は 警告 97% の場合は クリティカル ) 現在のオープン カーソル数 (1200 を超えると 警告 ) セッション制限使用率 (90% の場合は 警告 97% の場合は クリティカル ) 中断したジョブ数と失敗したジョブ数 (0 を超えると 警告 ) ダンプ領域使用率 (95% の場合は 警告 ) アーカイブ領域使用量 (80% の場合は 警告 ) 実習 : 表領域使用率アラートのしきい値を変更する 今回は例として表領域使用率アラートのしきい値をデフォルトより低く設定してみましょう 以下の方法でアラートのしきい値を変更します 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 7

8 1. ホーム画面下の関連リンクから メトリックとポリシー設定 をクリックします 2. メトリックとポリシー設定 現在設定されているメトリックしきい値が表示されます 様々な項目が定義されていますが 今回はメトリック列の中から 表領域使用率 (%) を探します 3. 現在はデフォルトどおり 85% の場合は 警告 97% の場合は クリティカル が設定されています しきい値列に直接数値を入力することで値の変更が可能です 今回は例として クリティカル のしきい値を 95 に引き下げてみます 4. ページ上部のをクリックすると 変更が完了します ここでは表領域の使用率にとどめましたが アラートには監視に有効な様々な事前定義がされていますので ご利用の監視要件にあわせてカスタマイズすると便利です 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 8

9 表領域の自動拡張 (AUTOEXTEND) 前述したように 使用している表領域が一杯になるとアラートが発行されたり 最終的には ORA-1653 などのエラーが発生し 処理が中断してしまいます したがって 表領域 ( 正確には表領域を構成するデータベース ファイル ) には自動拡張 (AUTOEXTEND) のオプションをつけておくことをおすすめします ここでは以下の二つのパターンについて説明します 表領域を新規に作成する場合 既存の表領域を自動拡張に変更する場合 自動拡張を設定した表領域を新規に作成ここでは例として新規に APPS という名前で表領域を作成する手順について説明します 実習 : 表領域を新規に作成しよう 1. 表領域 画面を開くホーム画面より サーバー をクリックすると サーバーに関する画面が開きます 記憶域 グループから 表領域 のリンクをクリックします 2. 表領域 表領域 の画面が表示されます 表領域のリストの右上にある ボタン をクリックします 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 9

10 3. 表領域の作成 表領域の作成 画面が表示されます 表領域の名前に適当なもの( 例 :APPS) を入力し その他はデフォルトのままでデータ ファイルセクションの ボタ ンをクリックします 項目名 入力内容 名前 < 作成する表領域名 > ここでは APPS( 例 ) 4. 表領域の作成 : データ ファイルの追加 データ ファイルの追加 ページが表示されます 以下のように入力し をクリックしてください 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 10

11 各項目を入力します 項目名入力内容ファイル名 < 任意のファイル名 > ファイル ディレクトリ < ファイルのディレクトリ / パス > ファイル サイズ < ファイル サイズ ( 数字 )+ 単位選択 > 増分 < 自動拡張時の増分サイズ ( 数字 + 単位選択 > 最大ファイル サイズ < 無制限もしくはサイズを指定 > ディレクトリは通常デフォルト値が入っているので デフォルトを使用 既存のファイルの再利用 のチェックをおすすめ 記憶域の増分は 10MB 程度をおすすめ ファイル サイズは無制限のほうにチェック ( ブロックサイズに応じた最大値に自動で設定される ) POINT: AUTOEXTEND を使用するため 記憶域項目の フルになった場合に自動的にデータ ファイルを拡張 に必ずチェックを入れ 10MB 程度の増分値を設定してください 4. 再び 表領域の作成 ページが表示されます 下のほうの データ ファイル の項目に 先ほど追加したデータ ファイルが表示されていることを確認し OK をクリックします 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 11

12 5. 確認図のように オブジェクトは正常に作成されました というメッセージが上部に出ていれば終了です 表領域のリストに新しく作成した表領域が追加されていることを確認しましょう 既存の表領域での自動拡張設定続いて 既存の表領域のデータ ファイルが自動拡張になっているかどうかを確認し 自動拡張設定を変更する方法をご紹介します 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 12

13 実習 : 既存データ ファイルの自動拡張属性を確認しよう 1. 表領域 画面を開くホーム画面より サーバー をクリックすると サーバーに関する画面が開きます 記憶域 グループから 表領域 のリンクをクリックします 2. 表領域 表領域 の画面が表示されます 表領域のリストの中から目的の表領域の左にある 選択 のラジオボタンを選択し をクリックします 3. 表領域の編集ページ下部分の データ ファイル リストから確認したいデータ ファイルを選択し 編集 ボタンをクリックします 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 13

14 4. データ ファイルの編集 記憶域 のセクションで フルになった場合に自動的にデータ ファイルを拡張 にチェックが入っていれば 自動拡張はオン 入っていなければ自動拡張はオフとなります POINT: 目的のデータ ファイルの名前がわかっている場合 管理 ページ データ ファイル ページと移動し 情報を見たいデータ ファイルを選択し て をクリックするとデータ ファイルの情報を見ることができます ここで 自動拡張 が はい になっているか いいえ になっているかで自動拡張属性を判断することもできます 実習 : 既存データ ファイルの自動拡張属性を変更しよう 以下は既存のデータ ファイルに対して自動拡張属性を変更する手順です 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 14

15 1. データ ファイルの編集ページを開く 前項までと同様に 自動拡張属性を変更したいデータ ファイルの編集ページを開きます 2. データ ファイルの編集 記憶域 項目で 以下のように設定し続行をクリックします 自動拡張をオンにする場合 : フルになった場合に自動的にデータ ファイルを拡張 にチェック 増分 に増分サイズを指定 自動拡張をオフにする場合 : フルになった場合に自動的にデータ ファイルを拡張 のチェックを外す 3. 表領域の編集 ページが再び表示されます をクリックして変更を確定します 4. 確認 表領域の編集:< 表領域名 > ページが表示され ページ上部に 表領域 < 表領域名 > は正常に変更されました とメッセージが出れば変更完了です 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 15

16 表領域へのデータ ファイルの追加前述のとおり 表領域のデータ ファイルに対し自動拡張 (AUTOEXTEND) を設定しておけば 基本的にはデータの増加での領域不足によるエラーなく 運用を続けていくことができます POINT: 近年のディスクの容量 性能の向上や 比較的安価に RAID 構成でのストライピングができるようになったことで データ ファイルの拡張によるデータ ファイルそのものの断片化による影響なども小さくなってきました 今回の環境でも すべてのデータ ファイルを RAID5 で構成した大容量ディスク上におくことを推奨としています その意味ではすべてのデータ ファイルを自動拡張としておけば データ ファイルの追加など領域拡張のメンテナンスを考えなくてもいいともいえます とはいえ 領域の拡張要件に対し データ ファイルの追加を考慮したほうがいいケースもあります 例えば 以下のようなケースではデータ ファイルを追加することにより領域を拡張したほうがよいでしょう 管理上 データ ファイルのサイズをある程度想定したサイズにそろえたい場合 ( たとえば バックアップを考えてあまりファイル サイズを大きくしたくない など ) いくつもの大きなデータ ファイルが存在する もしくはディスクのサイズが小さい 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 16

17 ためにディスクの空き容量が少ないとき データ ファイルのサイズが最初から大きい もしくは自動拡張により大きくなり OS のファイルの制限サイズ もしくは Oracle のデータ ファイルの制限サイズ ( ブロックサイズが 8K で約 32G バイト ) を超えてしまいそうな場合 表領域へのデータ ファイル追加設定 前述の実習で作成した APPS 表領域に対し 新しいデータ ファイルを追加します 実習 : 表領域にデータ ファイルを追加してみよう 1. 表領域 画面を開くホーム画面より サーバー をクリックすると サーバーに関する画面が開きます 記憶域 グループから 表領域 のリンクをクリックします 2. 表領域 表領域 の画面が表示されます 表領域のリストの中から目的の表領域の左にある 選択 のラジオボタンを選択し アクションメニューから データ ファイルの追加 を選択した状態で をクリックします 3. データ ファイルの追加 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 17

18 データ ファイルの追加画面が開きます 先の実習にて表領域を作成したときと同様に 各項目を入力し OK をクリックします ファイル名に既存のファイル名を使用することはできません データ ファイル名には < 表領域名 >< 番号 >.dbf のように表領域の名前に番号を付けると良いでしょう 例 )USERS 表領域データ ファイル 1 の名前 : users01.dbf データ ファイル 2 の名前 : users02.dbf 4. 確認データ ファイルの追加が成功すると以下のようなメッセージが上部に表示されます 表領域名をクリックして正しく追加されたか確認します 表領域単位の使用率アラートの設定自動拡張属性を設定しない表領域では 領域の監視が非常に重要です 前述の表領域使用率の監視により アラートを受け取ることは可能ですが このアラートは表領域単位で設定を行うことも可能です 実習 : 表領域単位のアラートを設定 1. 表領域 画面を開くホーム画面より サーバー をクリックすると サーバーに関する画面が開きます 記憶域 グループから 表領域 のリンクをクリックします 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 18

19 2. 表領域 表領域 の画面が表示されます 表領域のリストの中から自動拡張に 設定していない表領域をラジオボタンで選択し をクリックしま す 3. 表領域の編集上部の しきい値 タブをクリックし しきい値の設定ページを開きます 現在は データベースのデフォルトのしきい値の使用として 先述のアラートしきい値の変更で設定されている値が使用されていることがわかります 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 19

20 4. しきい値の指定を選択し 値を入力します 例としてしきい値を警告 80% クリティカル 90% まで引き下げてみます なお 非常に大きな領域の場合など % による指定では都合の悪い場合には 右側にある空き領域 (MB) によるアラートを設定すると便利です 5. をクリックし 変更を反映させます 以下のメッセージが表示さ 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 20

21 れれば変更は完了です 今後 対象の表領域に関しては個別設定したしきい値が適用されます リソースの監視と管理 データベースのパフォーマンスは 使用するサーバーの状態や そのリソースの使用状況に影響を受けます このセクションでは これらのリソースの監視や管理方法について解説していきます データベース システムにおけるリソースここでは リソース という言葉を データベース システムにおけるサーバ リソース つまり データベース システムを動作させるために必要なサーバー資源 と定義し その代表的な構成要素である以下三点の管理 監視について触れていきます メモリー CPU パワー ストレージ ( ディスク ) メモリーの使用状況の確認 Oracle Database を使用する上で どのくらいのメモリーを Oracle に割り当てるか ということはデータベース システムのパフォーマンスに大きな影響を与えます この項では 使用可能なメモリー サイズの確認方法について解説します サーバーのメモリー サイズの確認 Enterprise Manager Database Control からサーバーのメモリー サイズを確認します 実習 : サーバーのメモリー サイズを確認してみよう 1. ホーム画面 Enterprise Manager にログインし ホーム画面左上部の 一般 の項目中の ホスト の右にあるホスト名のリンクをクリックします 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 21

22 2. ホスト :< ホスト名 > ページ このページの右上部にある 構成 にある メモリー サイズ (MB) の右の値を確認します この値がサーバーで利用可能な物理メモリーのサイズになります Oracle へのメモリー割当ての確認と自動メモリー管理の設定 Oracle Database におけるメモリーの割り当て つまりデータベースのバッファ キャッシュのサイズや データのソートに利用する領域などの値が適切かどうかはパフォーマンスに大きな影響をもたらします かつて Oracle の設定で最も気を使い かつ最適な値を設定することが難しかったもののひとつがメモリーに関するパラメータの設定でした Oracle の使用するメモリー構造は大きく二つに分けられます ごく大雑把に表現すると サーバー本体の確保する ( 正確にはインスタンスにひとつ確保される ) システム グローバル領域 (SGA) と ユーザ セッション用に確保されるプログラム グローバル領域 (PGA) の二つになります このうち PGA については 9i で上限値を決めておけば自動で Oracle が内部の細かいパラメータを自動で調整してくれるようになり SGA についても 10g で同様に自動で調整する機能が導入されました さらに 11g からは SGA と PGA をあわせたインスタンスで使われるメモリーの合計サイズさえ設定しておけば あとは実際の負荷状況にあわせて Oracle Database が適切にメモリー配分を行う 自動メモリー管理機能 が追加されてい 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 22

23 ます POINT: デフォルトの設定で DB を作成した場合 自動メモリー管理は有効 化されています ここでは メモリーの自動管理設定状況と各領域への割当て状況の確認について説明していきます 実習 : メモリーの状況を確認しよう まずは メモリー自動管理の状況を確認してみましょう 1. メモリー アドバイザの画面を開く ホーム 画面より サーバー タブを開き データベース構成 グループの中の メモリー アドバイザ をクリックします 2. 自動メモリー管理状況の確認メモリー アドバイザの画面が表示されます まずは 上部の 自動メモリー管理 の状態を確認してみましょう 自動メモリー管理が有効となっている状態 : 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 23

24 自動メモリー管理が無効となっている状態 : 3. SGA の割り当て状況の確認続いて SGA 内のメモリーの割り当て状況を確認してみましょう 自動メモリー管理が有効となっている場合は 少し下にスクロールダウンします 割当て履歴 : 時系列にメモリーの割当状況の変動を確認できます 現行割当て : 現在の SGA 内のメモリー割当状況がわかります 自動メモリー管理が有効化されている場合 : 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 24

25 自動メモリー管理が無効化されている場合 : 自動メモリー管理無効の場合は SGA の割当て履歴 現行割当てに加え 自動共有メモリー管理の有効 / 無効化ボタンおよび SGA サイズの設定項目が表示されます 自動メモリー管理無効化さらに自動共有メモリーも無効化している場合 : 自動メモリー管理が無効 更に自動共有メモリー管理も無効の場合 従来のように個々の領域サイズを手動で設定することになります 4. PGA 割り当て状況の確認続いて PGA に対するメモリーの割り当て状況を確認してみましょう PGA タブをクリックすると 現行の PGA が表示されます 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 25

26 自動メモリー管理が有効化されている場合 : 自動メモリー管理が無効化されている場合 : 現行の割当て状況に加え PGA ターゲットとして PGA に割り当てるメモリー総計を指定するフィールドが有効となっています この PGA ターゲット総計 が PGA に割り当てられるメモリーのトータルサイズになります この値を変更して をクリックし データベースを再起動すると PGA ターゲッ ト総計の値の変更が反映されます Oracle Database へのメモリーの割当て自動メモリー管理を有効にすれば 管理者は Oracle Database へ割り当てる総メモリー量だけを決めてやればいいとことになりますが 割り当てる目安としては使用可能な物理メモリーの量から OS や Oracle 以外のアプリケーションが使用する量を引いた値を超えないように設定します 例えば 1G バイトのメモリーを積んでいて OS や他のアプリケーションだけを動かしている状態で 700M バイトのメモリーが Free であれば Oracle へ割り当てるメモリーの総計 (SGA+PGA) は 700M バイトを超えないように設定する必要があります また プラットフォームによって使用できる SGA の最大値がある程度制限されてしまうこともありますので注意が必要です Windows 32-bit の場合 デフォルトではユーザ プロセスの使用可能なメモリーの合計サイズは 2G バイトとなります この最大サイズ 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 26

27 を超えてしまうと Oracle を動作させられないことがありますので ご注意ください POINT: 正確には VLM やその他の機能を使用することにより 最大 SGA のサイズを大きく設定することができますが 多少設定が複雑となるためそれらについてはこのドキュメントでは割愛します 実習 : Oracle インスタンスの使用するメモリー サイズを変更しよう 自動メモリー管理において Oracle インスタンスが使用するメモリーのサイズを変更するには次のようにします 1. メモリー アドバイザの画面を開く ホーム 画面より サーバー タブを開き データベース構成 グループの中の メモリー アドバイザ をクリックします 2. 合計メモリー サイズを設定 メモリー アドバイザ ページの 合計メモリー サイズ に適切な値を割り当てます 目的の値を直接入力するか 後述のメモリー アドバイザを使用してサイズを 指定する場合は をクリックします POINT: 設定する値が 下にある 最大メモリー サイズ の値を超えないように注意してください 設定されている最大メモリー サイズを超えた値を設定したい場合は 先に最大メモリー サイズを大きくしておく必要があります 3. メモリー アドバイザからサイズを設定メモリー サイズとDB 時間の関係を表すグラフが表示されます グラフの線上をク リックして適切な合計メモリー サイズを変更し をクリックします 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 27

28 4. メモリー アドバイザ 設定されたメモリー サイズが正しいことを確認し をクリックします 5. 確認以下のような更新メッセージが出力されると変更は成功です しばらく待ってから リフレッシュ をクリックして新しい値に変更になったことを確認します POINT: 最大メモリー サイズ を変更するときも同様にしてフォームの値を変更します ただし このパラメータは静的なパラメータですので 変更を適用にするには SYSDBA 権限を使用し データベースを再起動する必要があります 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 28

29 CPU と Disk の使用状況の確認 Oracle Database を使用する上で CPU の使用状況などはパフォーマンス分析を行うのに非常に重要です ここでは各リソースの使用状況について簡単に確認する方法を解説します Enterprise Manager ホーム画面 Enterprise Manager Database Control にログインした直後の ホーム 画面では 様々な情報を一覧でみることができますが CPU の使用状況や Disk の残り容量のアラートなどを確認することができます CPU 使用状況 ホーム 画面の ホスト CPU 項目に表示されるグラフを確認することでサーバー上での現在の CPU 使用状況を確認することができます インスタンスの使用する CPU 使用率が高いようであれば データベースが非常に重い 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 29

30 処理をしている もしくは大量のトランザクション処理をしているのではないか と推測することができます この状態が常時続いているようであれば 現在のデータベースの処理に対し CPU リソースが充分であるのか またデータベース チューニングにより負荷をさげることができないか などを検討する必要があるかもしれません また パフォーマンス タブをクリックし パフォーマンス ページを見ることでより CPU の詳しい情報 履歴などを見ることもできます メモ : パフォーマンス ページの情報を利用するには Enterprise Manager の各種パックのライセンスが必要となります 利用法などについて さらに詳しい情報は 意外と簡単!? シリーズ チューニング編 を参照してください Disk 使用状況 続いて ホストの使用可能なファイル システム領域 (%) 統計 ( マウント ポイント ) をグラフィカルに確認する方法を解説します 実習 : ファイル システムの利用状況を確認しよう 1. ホーム画面 Enterprise Manager にログインし ホーム画面左上部の 一般 の項目中の ホスト の右にあるホスト名のリンクをクリックします 2. ホスト:< ホスト名 > ページこのページの右上部にある 構成 にある ローカルファイルシステム (GB) の値をクリックします 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 30

31 3. ホスト :< ホスト名 > ファイルシステムページ ファイルシステムの使用状況をグラフィカルに確認できます ファイル システム自体に空きがなくなれば 例えデータ ファイルに自動拡張属性を指定してあったとしても データベースの領域を拡張することはできません 結果 領域に関するエラーが発生し 処理が継続できなくなってしまいます 先述のアラート機能を利用して 領域が枯渇する前にディスクを追加したり 領域を増やすなどの対策を打つことをお奨めします パフォーマンスの監視 データベースは運用している間にデータの追加 変更などを受けて変化します すでに紹介したとおり 領域やリソースの使用状況といったものの変化や データそのものの変化などにより決まった処理を行っていてもそのパフォーマンスは変わってきます また 例えば以前とは違った形でデータを検索したい などといった要求にこたえて新しいデータベースへの処理が追加されることもあるかと思います そういった処理のパフォーマンスが許容されるものであるのかを監視していくことも データベースを管理する上で必要となってきます このセクションでは 本格的なパフォーマンスの監視やチューニングではなく 日常容易にチェックできるパフォーマンス監視項目を Enterprise Manager を利用してみていきます Enterprise Manager ホーム画面からの監視 Enterprise Manager Database Control にログインし ホーム 画面を表示するといくつかのパフォーマンス関連の項目を見ることができます また パフォーマンス タブをクリックしてより詳しい項目を参照することも可能ですが こちらは利用するにあたって Diagnostics Pack や Tuning Pack などの各種パックのライセンスが必要となります この 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 31

32 項では ホーム 画面で参照できる項目について簡単に解説します CPU 使用状況とアクティブセッション CPU の使用状況はパフォーマンスに大きな影響を及ぼします すでにリソースの管理の項で紹介しましたが ホスト CPU 項目には システム全体の CPU 使用時間の割合 ( パーセント ) が表示されます このチャートでは CPU の使用率は データベースによって使用された時間とその他のプロセスによって使用された時間に分割されます 例えば その他のプロセスによって多くの CPU 時間が占められている場合 データベースが必要とする CPU リソースを使えずにパフォーマンスの低下などを起こす可能性が考えられます CPU 時間のほとんどがデータベースで占められている場合には アクティブなセッション のサマリーでより詳細な原因を調査できます このサマリーでは CPU を使用しているプロセス I/O を待機しているプロセスなど データベースで実行されているプロセスが表示されます SQL レスポンス時間 セクションでは 追跡している SQL の現在のレスポンスが ベースとなる参照レスポンス時間と共に表示されています 現在のレスポンス時間と参照収集のレスポンス時間を比較することで パフォーマンス劣化を判断します 現在のレスポンス時間が参照収集のレスポンス時間と比べて低いまたは同等であれば現在のパフォーマンスは良好と考えられます ADDM パフォーマンス分析 Oracle Database は ADDM( 第五章で紹介します ) という自己診断エンジンにて定期的にデータベースの状態を監視しています データベースに何らかの問題が発生した場合には以下の例のように パフォーマンス分析 項目にレポート結果が表示されます この例では ADDM は DB 時間別の上位 SQL として処理に時間のかかった SQL が 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 32

33 あることを通知しています 影響度は 100% のため このような場合は対象の SQL に対してチューニングを施すことが先決と考えられます POINT: パフォーマンス分析 項目は通常は表示されておらず 何らかの問題が検出されたときのみ 関連アラート 項目の下に項目が作成されて表示されます これらのパフォーマンス分析結果への対応方法等についての詳細は 意外と簡単!? シリーズ チューニング編 や マニュアル Oracle Database パフォーマンス チューニング ガイド などを参照してください Oracle Database のエラー アラートの監視 データベースを運用していると 様々な例外 問題が発生することもあります 通常 それらは Oracle からのエラー メッセージという形で出力されてきます また 前述の表領域使用率アラートのように事前定義された監視項目が一定の閾値を超えたときなどにも アラートとして出力されます このセクションではそれらのエラー アラートや Enterprise Manager のアラートの監視についてみていきます Oracle Database のエラー Oracle Database は 問題や例外が発生すると ORA-xxxx や TNS-xxxx などのエラー メッセージを出力します エラーが発生した際には そのエラー メッセージの内容 もしくはエラー番号を元に データベース エラー メッセージ などのマニュアルを参照して適切な対処を行うことになります ここでは例として 領域の監視のセクションで紹介した ORA の意味が何を表し どのように対処すべきなのかを調べてみましょう Oracle Database エラー メッセージ マニュアルから ORA の項を参照すると 以下のような記載があります ORA-01653: 表 string.string を拡張できません (string 分 表領域 string) 原因 : 指定された表領域の表セグメントに必要な数のブロックのエクステントを割り当てられませんでした 処置 : ALTER TABLESPACE ADD DATAFILE 文を使用して 指定された表領域に 1 つ以上のファイルを追加してください (Oracle Database エラー メッセージ 11g リリース 1(11.1)) 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 33

34 POINT:Oracle のマニュアルは OTN(Oracle Technology Network) から各バ ージョン プラットフォームごとにダウンロードが可能です 文章からはちょっとわかりにくいかもしれませんが このエラーはある表の表領域が拡張に失敗したときに発生し 対処法としては対象の表領域にファイルを追加してください とありますので 表領域へのファイルの追加などによる領域の拡張すればいいということがわかります アラート ログエラー メッセージはオペレータのコンソールやクライアント アプリケーションに出力されますが この情報はデータベース サーバ側でもアラートファイル ( アラート ログ ) と呼ばれる専用のログ ファイルにも書き込まれています アラート ログには 次のような情報が書き込まれています 発生したすべての内部エラー (ORA-600) ブロック破損エラー(ORA-1578) およびデッドロック エラー (ORA-60) CREATE/ALTER/DROP 文 STARTUP/SHUTDOWN 文 ARCHIVELOG 文などの管理操作 共有サーバーとディスパッチャ プロセスの機能に関係するメッセージとエラー マテリアライズド ビューの自動リフレッシュ中に発生したエラー データベースとインスタンスの起動時点でデフォルト以外の値があったすべての初期化パラメータの値 POINT: 11gではアラート ログは従来のテキスト形式ファイルのほかXML 形式でも保存されます Oracle Database 11gから各種ログは 自動診断リポジトリ (ADR) と呼ばれる単一のファイルベースのレポジトリに保存されるようになりました 各種ログ ファイルは 初期化パラメータ DIAGNOSTIC_DEST で指定されている以下のディレクトリに格納されています $DIAGNOSTIC_DEST\diag\rdbms\<dbname>\<instname> 従来形式のテキストファイルは trace 以下のalert_<ORACLE_SID>.logとなります 例 )E:\oracle\diag\rdbms\orcl\orcl\trace\alert_orcl.log 従来 ログ内容の確認は OS 上で直接アラートファイルを参照することによって行うことが多か 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 34

35 ったのですが 現在では Enterprise Manager からエラーやアラート ログそのものの参照を行うことができるようになっています Enterprise Manager での監視 Enterprise Manager では エラー メッセージと監視項目からの各種警告などをあわせて アラート 項目として扱っています これらのアラートは Enterprise Manager の ホーム 画面より一覧することができます 実習 : ホーム 画面からアラート項目を確認してみよう 1. ホーム画面 Enterprise Manager にログインし ホーム 画面を表示します ここで注目するのは 診断サマリー 項目と アラート 項目です 診断サマリー 診断サマリー に図のような情報が表示されます アラート ログ 項目には 通常時には ORAエラーはありません と表示されています 確認すべきエラーがある場合 アラート ログの項目にはORA-エラーを示す最新のアラート ログ エントリの日付が表示されています アラート ログ 項目右側のリンクをクリックすると アラート ログ ファイルに記録された重大なORA-エラーをすばやく確認することができます また インシデントと呼ばれる重大なエラーの発生状況も診断サマリーより確認できます エラーのある場合 : 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 35

36 エラーのない場合 : アラート アラート セクションにてアラートの詳細項目を確認します この項目には 発行されたアラートに関する情報が重大度のレーティングとともに表示されます 重大度には 警告 とより重大度の高い クリティカル があります また 実際にどのようなエラーや現象が発生しているかということをメッセージの項で確認できます POINT: アラート の メッセージ リンクをクリックすると より詳しい内容を確認することができますが 利用するためには Diagnostic Pack のライセンスが必要です 実習 : アラート ログの内容を参照してみよう アラートとしてホーム画面に表示されるような重大のエラーの他にも 細かなエラー出力を確認したい場合もあると思います 前項で解説した アラート ログ ファイルそのものを Enterprise Manager から確認してみましょう 以下の方法で参照します 1. アラート ログの内容をクリック 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 36

37 ホーム 画面の下の 関連リンク から アラート ログの内容 をクリックします 2. アラート ログの内容の表示 ページが表示されます をクリックします 3. 最新の 50 のエントリが表示されました 最新アラート ログ エントリページ例 : 表示行数はプルダウンから切り替え可能です プルダウン横の検索リンクをクリックすると検索画面が開きます 検索画面は 膨大なログの中から見たい情報をすばやく探すのに便利です 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 37

38 アラート ログの検索画面 : おわりに 第四章では 監視 / 管理編 として データベース監視 / 管理タスクを Enterprise Manager を使っ て実行する方法を実習しました データベースの監視管理についての更に詳しい内容は 以下のマニュアルを参照してください Oracle Database 2 日でデータベース管理者 11g リリース 1(11.1) 10 データベースの監視およびチューニング Oracle Database 管理者ガイド 11g リリース 1(11.1) 7 データベースの動作の監視 Oracle Database 概要 11g リリース 1(11.1) 14 管理性 マニュアルは製品メディアパックに含まれるほか 以下の URL よりダウンロード可能です ex.htm 意外と簡単!?Oracle Database 11g Release 1 38