マツバエ松カズヨ八重一代共同研究者醍醐市朗 ( 東京大学 ) 山末英嗣 ( 京都大学 ) 中島謙一 ( 独立行政法人国立環境研究所 ) 略歴 1998 年 3 月早稲田大学政治経済学部卒業 1998 年 4 月 ~2000 年 3 月早稲田大学大学院経済学研究科修士課程 2000 年 4 月

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みがねつちかね
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1 マツバエ松カズヨ八重一代共同研究者醍醐市朗 ( 東京大学 ) 山末英嗣 ( 京都大学 ) 中島謙一 ( 独立行政法人国立環境研究所 ) 略歴 1998 年 3 月早稲田大学政治経済学部卒業 1998 年 4 月 ~2000 年 3 月早稲田大学大学院経済学研究科修士課程 2000 年 4 月 ~2004 年 1 月早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程 2006 年 2 月早稲田大学大学院経済学研究科博士 ( 経済学 ) 学位取得 2004 年 2 月 ~2007 年 3 月東北大学大学院環境科学研究科助手 2007 年 4 月 ~2008 年 9 月同助教 2008 年 10 月 ~2011 年 3 月同准教授 2011 年 4 月 ~ 現在同工学研究科金属フロンティア工学専攻准教授モーター関連材料のマテリアルフロー調査 Material flow analysis on critical metals related with motors Motors mainly comprise copper wires, electrical steel and magnets. The technological progresses of electrical steel have greatly contributed to the improvement of energy efficiency of motors. On the other hand, copper and magnets currently have not been well recovered and recycled. Neodymium (Nd) magnets a type of rare-earth magnet are the most powerful permanent magnets, and to which, dysprosium (Dy) is added to improve their heat resistance. Recycling of Nd and Dy is of great interest to industry because of the rapidly increasing demand for and limited availability of these elements. However, currently, Nd and Dy are mostly not recovered from endof-life products. As a result, these elements has been dissipated in waste streams. In this study, we focused on the magnet materials of motor, and evaluated the flows and stocks of Nd and Dy associated with Nd magnets in Japan and quantify the recyclability of Nd and Dy. 1

2 1. 緒言モーターは主に電磁鋼板, 銅の巻線, 磁石から構成される回転子と固定子鉄心に使用される電磁鋼板は優れた磁気特性を得るべく開発されエコマテリアルとしてモーターの省エネ化に大きく寄与してきた一方銅は将来の資源枯渇が最も不安視される素材であるにもかかわらずモーターに使用される銅の多くはマテリアルリサイクルされていないのが現状である磁石については電磁石または永久磁石が使用されモーターの種類によってはネオジムやジスプロシウムといったレアメタルが用いられているもののリサイクルシステムは未だ確立されていない近年モーターを部位の駆動や動力に用いる自動車が広く市販されておりその台数の拡大が見込まれるさらにハイブリッドや電気自動車の普及によりモーターの使用量は更に増えることが見込まれる廃自動車中のモーターの廃棄にあたっては希少金属の抽出困難やトランプ元素 ( 再溶解時に分離困難 ) による品位低下が問題であり再利用や易解体設計製品の小型高性能化が求められるそこで本研究ではモーターに用いられる金属のマテリアルフローに焦点をあてて調査を行った生産時利用段階に焦点を絞った最適化設計においては種々の材料を複合化して用いられるがリサイクル時の対応には問題を有する特にモーターを動力とする自動車の増大が見込まれる中リサイクル時の種々金属元素の混在が予想されそのマテリアルフローの予測は今後の方向性を考える上で欠かせないさらに今後の技術革新によりジスプロシウム等のレアメタルを用いない磁石 ( エコマテリアル ) が開発された場合推計したマテリアルフローに与える影響についても調査を行った 2. モーターと磁石モーターの使用量の増大が見込まれる中我が国における希土類資源の調達はほぼ 100% 中国に依存しているまたリサイクル工程において廃自動車中のモーターの廃棄にあたっては希少金属の抽出困難やトランプ元素 ( 再溶解時に分離困難 ) による品位低下が問題であり再利用や易解体設計製品の小型高性能化が求められる NdFeB 焼結磁石は国内の主要メーカーとして日立金属 (NEOMAX) TDK 信越化学工業がある Nd 酸化物から還元された Ndメタル Dyメタル Feメタルホウ素を用い真空中 / アルゴンガス雰囲気下で高周波熔解冷却後合金インゴット作成する作成された合金インゴットを粉砕粉末を圧縮成形焼結切削による成形を行って磁石作成を行う歩留まりは 6 割程度とされるが工程内スクラップは自家消費循環しているが老廃スクラップは現状では循環していない NdFeB 焼結磁石は 1982 年の発明以降急速に生産量拡大しており希土類焼結磁石生産量の大部分を占めている主な用途はハイブリッド自動車の駆動用モーターエアコン洗濯機電気冷蔵庫等の家電機器モーター風力発電機 FA 用モーター電動パワーステアリング (EPS) 医療用 MRI パソコン用ハードディスクドライブ (HDD) ビデオカメラ携帯電話等のボイスコイルモータ (VCM) 等である国内の Dy の用途はそのほとんどが高温保持力が求められる箇所で使用する NdFeB 磁石生産に向かう 2

3 NdFeBボンド磁石は磁石粉末とエポキシ樹脂ナイロンなどの有機樹脂合成ゴムなどの結合材と混合成型固化した磁石であり大部分 (90%) が超急冷方式で加工される MQ 合金粉末による等方性 NdFeBボンド磁石であるその主な用途は HDD,ODDなどスピンドルモータ ODD FDDステッパー用モーター OA FAプリンターコピー機のスキャナー用モーター自動車 TV エアコン等家電用ファンモータポンプミシン等民生用モーター精密モーター等である主な製品に用いられる Nd Dyは以下の通りである Ⅰ. 自動車 (HEV) 用駆動モーター 1 台あたり 1~2kgのNdFeB 焼結磁石使用しており 7~8%Dy が添加されている Ⅱ. 自動車用 EPS 油圧パワステに比べて燃費効率高いため搭載車割合は増加している軽自動車小型車の多くはフェライト磁石が用いられており総排気量 2000cc 以上の中大型車高級車は NdFeB 焼結磁石使用が多い使用される車種では 1 台あたり数 10g ~50gのNdFeB 焼結磁石が使用されており 5% の Dy 添加されている Ⅲ. エアコンコンプレッサ中の圧縮機用モーターに磁石が用いられており 2004 年度総出荷台数 700 万台のうち約 45% 2007 年度総出荷台数 740 万台のうち約 60% にNdFeB 焼結磁石使用されているおおよそ 100~250g/ 台の磁石がもちいられており Dy 含有率は約 3% である 3. Nd と Dy の物質フロー分析 2010 年における我が国の Nd Dy のマテリアルフロー解析を行った結果を Fig.1ならびに Fig.2に示す図中の上段の数値は国内全体のフロー下段はそのうち自動車用途に向かう量を示したものであるそれぞれ自動車エアコン洗濯機冷蔵庫 FA 用途 VCM 用途 MRI 音響の各部門に対して出荷された製品台数に各製品中の物質使用量を乗ずることで国内投入量を推計したまた in use stockについては製品寿命分布を用いて推計を行った Nd の国内生産量は 3300 ~ 4000トンでありそのうち 15 ~ 20% が自動車用途で用いられているただし磁石生産を行った後製品に組み込まれて 1800 ~ 2000トンが輸出されており国内向けの需要は 680 ~ 1200トン程度そのうち 180 ~ 360トン程度が自動車に組み込まれて in use stock に向かう Dyは280~480トン生産のうち約 50% が自動車用途であり Ndと比較するとストック全体に対する自動車用途の割合が大きいことが示された 3

4 Fig.1 日本の Nd の物質フロー 2010 醍醐東大推計 Fig.2 日本の Nd の物質フロー 2010 醍醐東大推計 3.1 モーターのリサイクルの経済性評価ハイブリッド車走行用モータを対象として収集選別消磁運搬再生をコストとして回収物として得られるNd Dy 鉄銅を売却して便益を得るケースを想定して経済性評価を行った想定したリサイクルフローを Fig.3 に示す解体された自動車は走行用モータを取り外し中間処理業者で解体脱磁を行い磁石鉄鋼材銅素材を回収するものとするその後精錬業者に磁石を輸送し Nd Dyを回収資源化するここで考慮する回収コストは買い取り輸送解体脱磁製錬に関わるものとし素材売却益は鉄鋼材銅素材 Nd Dy の各重量市場価格とするそれぞれのコストと便益を比較したものを Fig.4 に示すリサイクル全体での採算性はあるものの市場が不完備であることから現実にはなかなか機能していないことがわかる 4

280530 世界の77 輸出されるフェロアロイ HS 720299 世界の96 をしめるそのうち日本の輸入量は4220トンであり主に中国米国エストニアフィリピンタイからの輸入が上位を占めるまた最終需要によって牽引されるNd の直接間接のフロー量は 2190トンでありこれは国際貿易量の約 12 にあたり

5 Fig.3 想定したリサイクルフロー Fig.4 モーターのリサイクルの経済性評価醍醐東大推計 3.2 国際貿易から見るネオジムのフロー Global Linkage Input Output GLIO モデル 6 7 を用いて国際貿易に随伴するNd のフロー解析を行ったアジア圏内を素材として流れるNdフローは 5992トンであり製品として流れるフローは 1370トンであると推計された中国の希土類鉱石生産世界の 97 をしめ中国から輸出される希土類金属 HS 世界の77 輸出されるフェロアロイ HS 世界の96 をしめるそのうち日本の輸入量は4220トンであり主に中国米国エストニアフィリピンタイからの輸入が上位を占めるまた最終需要によって牽引されるNd の直接間接のフロー量は 2190トンでありこれは国際貿易量の約 12 にあたりアジアにおける需要の大半を日本の需要が占めていることが示されたこのことより持続可能な Nd の資源循環利用を考える上で日本の役割が非常に大きいことが定量的に示されたと言える 4. 結言 Nd Dy の国内フロー解析からNd の国内生産量トンのうち15 20 が自動車用途で用いられており Dy の国内生産量トン生産のうち約 50 が自動車用途で用いられていることがわかった Ndと比較するとDy についてはストック全体に対する自動車用途の割合が大きいことが示されたまたハイブリッド車走行用モータを対象として収集選別消磁運搬再生をコストとして回収物として Nd Dy 鉄銅を便益として経済性評価を行ったところリサイクル全体での採算性はあることが 5

6 示されたしかしながら市場が不完備であることから現実にはなかなか機能していない国際貿易の視点から Nd のフローを分析した結果アジアの需要の大半を日本が占めており持続可能な資源循環利用を考える上で日本の役割が大きいことが指摘された特に自動車用途に向かうフローが大きいことから自動車リサイクルの工程での効率的な解体選別手法の確立と老廃スクラップ市場の確立が求められる参考文献 1) 独立行政法人石油天然ガス金属鉱物資源機構, 平成 19 年度レアアース, 鉱物資源マテリアルフロー,VIRTUAL 金属資源情報センター, 2) 財団法人クリーンジャパンセンター : 使用済み製品からのネオジム磁石の回収リサイクルシステムに関する調査研究報告書, 東京,2009,pp70 3) 原田幸明, 中村崇監修 : レアメタルの代替材料とリサイクル, シーエムシー出版, 東京,2008,pp.350 4) 神鋼リサーチ : 平成 17 年度経済産業省委託調査希少性資源の 3R システム化に資する技術動向調査平成 18 年 3 月,2006 5) 磁性材料 WG / マグネット SWG: 永久磁石関連表第四版, 社団法人電子情報技術産業協会発行, 東京,2009,pp15 20) 財団法人家電製品協会, 平成 20 年度家電リサイクル年次報告書, 6) Nansai K. et al.:economic Systems Research, 21,( 2009), pp ) Nansai K. et al.:environ. Sci. Technol, 46,( 2012), pp

スライド 1

スライド 1 Nd 磁石のフロー推定とハイブリッド自動車用駆動モータリサイクルのライフサイクルアセスメント Substance Flow Analysis on Neodymium Magnets and Life Cycle Assessment for Recycling of Driving Motors in Hybrid Electric Vehicles 京都大学環境保全センター平井康宏 1 研究の背景