Ⅰ　山行計画

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みさえちゅうか
4 years ago
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1 十勝連峰上ホロカメットク山雪崩事故報告書はじめに 2008 年 1 月 26 日去る 2007 年 11 月 13 日の十勝連峰上ホロカメットク山での雪崩事故に際しましては救助活動に当たってくださった警察消防地元の方々その他関係機関の皆様にご迷惑ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます幸いにして事故を起こした二名とも無事山から下りることができましたがひとつ間違えれば二人とも命を失っても全くおかしくない事故でした今事故を振り返ると自分たちの知識経験そして山に向き合う姿勢そのものにも大きな問題があったのではないかと反省しております私たちを含めた冬山登山者山スキー愛好者が再びこのような事故を起こさないためにも事故の詳細な報告と原因分析が必要だと考え報告書を作成いたしましたまだ至らない点が多々あるかとは思いますが皆様のご意見ご批判を真摯に受け止めこれからの山行に生かしていきたいと思います宍倉優二馬場明日希目次 Ⅰ 山行計画 1 Ⅱ 行動記録 2 Ⅲ 事故原因の分析 7 Ⅳ 登山計画書の未提出について 8 Ⅴ 総括 9 Ⅵ 御協力いただいた方々 9 Ⅶ 資料 10 1

2 Ⅰ 山行計画人員宍倉優二馬場明日希今回二人のうちどちらがリーダーであるかを明確に決めていなかった大学時代の年次が上だった宍倉がリーダー的な立場で判断するという前提が二人の中にはあったがそのことをはっきり二人の間で確認したわけではない二人ともリーダー経験者であった行動予定 11/12 札幌 - 十勝岳温泉 ( 凌雲閣駐車場 ) 泊 11/13 凌雲閣 - 安政火口 - 安政火口周辺スキー - 凌雲閣下山装備宍倉 : 登山装備スキーストックシールアイゼンピッケルザック身に付けていたものナイフ笛コンパス地図カメラ雪崩対策装備ビーコン(Ortovox F1 Focus) スコップ予備用品非常用品予備電池予備手袋その他マット水エマージェンシーシートライターヘッドランプ針糸ガムテープ昼食トイレットペーパー時計携帯電話お金目出帽ゴーグルシュラフカバーラジオ針金ろうそく馬場 : 登山装備スキーストックシールアイゼンピッケルザック身に付けていたものナイフ笛コンパス地図雪崩対策装備ビーコン(Ortovox F1 Focus) スコップ予備用品非常用品予備電池予備手袋予備コンパス予備靴下予備靴紐予備アイゼンバンド非常用固形燃料非常食マッチその他マット水エマージェンシーシートライターヘッドランプ針糸ガムテープ昼食トイレットペーパー時計携帯電話お金目出帽テルモス六角レンチサングラスコッヘルスプーンテーピング三角巾消毒薬今回二人ともゾンデを持っていなかったがゾンデは雪崩の救助の際に必要不可欠なものでありこれからは必ず携行するようにしたい 2

3 Ⅱ 行動記録 11 月 12 日 22:00 札幌発翌 1:00 凌雲閣着宍倉の車で札幌を出発出発時点でどこの山を滑るかはまだ決めていなかった候補としては富良野岳北尾根三峰山安政火口周辺望岳台から十勝岳を考えていた十勝岳温泉への山道を車で走っていると積雪が予想以上に少なく登山道がない山は藪こぎになるだろうと考え凌雲閣から登山道を安政火口まで行き安政火口周辺のスロープを滑ることに決める凌雲閣の駐車場にテントを張って就寝 11 月 13 日 5:00 起床 6:30 凌雲閣発 7:00 安政火口着 8:00 上ホロ北西稜の標高 1650m スキーデポ地点着 8:30 北西稜の標高 1700m 付近で引き返し 8:45 スキーデポ地点に戻る 10:00 主稜線着主稜線伝いに十勝岳方面へ向かう 10:30 大砲岩の南標高 1860m 付近で引き返し 11:00 上ホロ避難小屋付近の稜線上で滑降準備 11:25 雪崩発生 11:40 顔まで掘り出し呼吸確保 119 番通報しヘリを要請 13:10 道警ヘリが現場に到着 13:35 ヘリに収容完了 13:45 ヘリが富良野市河川球場に着陸 14:00 富良野協会病院着天候 : 快晴主稜線上で微風程度雪崩発生前の行動詳細凌雲閣付近の積雪は 5~10cm ビーコンチェックをしたあと馬場はスキーを履いて宍倉はスキーをザックに付けて安政火口に向かう登山道を歩き始める宍倉は数百 m 歩いたところでブーツが雪に埋まって歩きづらくなったのでスキーを履く安政火口の手前標高 1350m 付近で登山道が屈曲するところまでほぼ登山道を行きそこからは火口に向かって沢底を歩いて行く火口付近は地熱で雪がついていないため左岸側の雪がついているところをつないで行く標高 1500m の二股を右に入りさらに沢を詰めていくと上ホロ周辺の稜線から落ちる沢型が見渡せるようになりスキーのできそうな斜面を探してみるがここしばらくほとんど降雪がないようでどこの斜面も新雪が積もっておらずスキーをしても面白くなさそうなのが明らかに分かるスキーをするのはこの時点でほとんど諦めていたが天気が良いので主稜線まで行くことにする標高 1540m の二股を左に入り登り切ると上ホロ北西稜の標高 1650m 付近に出るここで初めてアイゼン 3

4 を着けスキーをデポし 2 人とも北西稜を登ったことがなかったのでロープが必要になりそうなところまでというつもりで北西稜を登る標高 1700m 付近までは少し急な雪の斜面だがその先は両岸が切れ落ちた岩場になっていたのでこれ以上登るのは諦めスキーデポ地点まで戻るこれ以上スキーを上に持って行くのは少し迷ったが主稜線の東側の斜面が滑れるかもしれないと思いスキーを背負って行くことにするここから稜線まではすべてアイゼンでの行動北西稜のすぐ東側の沢を渡り隣の尾根を標高 1800m まで登りそこからは避難小屋付近のコルを目指すような形でトラバース気味に登るアイゼンを付けてからのルートは時折足が雪に沈むことはあったが基本的にアイゼンの歯の部分が沈む程度の堅めの雪質アイスバーンではないちょうど避難小屋が正面に見える形で上ホロピークの北東のコルに出る稜線に出てもほとんど風はない少し休憩した後十勝岳の南西 1921 のすぐ東側を南に伸びる沢型が滑れるかもしれないと話し合いスキーを背負ってそのままアイゼンで十勝岳方面へ向かう避難小屋から 500m ほど北の大砲岩付近まで来ると目的の沢が見えてくるがここも新雪はついていなかったため滑るのをあきらめまた避難小屋のコルまで戻る稜線から西側の安政火口方面の沢を覗き込むと上部は急だがそれほど堅い斜面ではなくエッジが外れることはないだろうと思いこの沢を使って下りることに決める先に滑降準備を終えた宍倉が斜面に入る 2 3 ターンジャンプターンで下りエッジが決まる雪質であることを確認斜面に入った場所の直下は崖になっていてスキーで下りられそうにない崖の左右に降りられそうなルートがあり急斜面上を左右にトラバースしてそれぞれのルートを確認することにする上から見て左側のルートは少し遠回りになるような気がしたので次に右側のルートを見てみる上から見て崖のすぐ右側がルンゼ状になっておりルンゼの降り口まで斜面上を 20~30m ほどトラバースしルンゼから降りられそうであることを確認このルンゼを使って下りることに決める ( この間まだ馬場は滑降準備中で二人はお互いの姿は見えない状態だった ) 宍倉がルンゼの降り口付近で少し待っていると滑降準備を終えた馬場が稜線上に来てお互いの姿が見える形になる宍倉が馬場に降りる斜面を指示し宍倉がキックターンで体の向きを変えようとした瞬間二人の間の斜面上に亀裂が入り宍倉が流される一瞬のことであっという間に転んでしまうすぐに雪煙に包まれてしまい視界が全くないので自分の頭が上なのか下なのかも分らないまま斜面を転がっていく流されている時間は体感で 10~20 秒ほど視界はないが相当な速さで流されているような気がした雪崩のスピードが遅くなったと感じた次の瞬間に自分の体の上から雪がかぶさってくるのが分かるがどうすることもできない自分の体が完全に止まった時は完全に雪の中で真っ暗だったもがいてみるが雪はびくともしない口の中に雪は詰まってはいなかったが雪が顔に密着している状態だったので呼吸する空間を作ろうと息で口の前の雪を溶かそうとするが次第に息苦しくなるそのうちに意識が無くなってしまう馬場の捜索活動詳細稜線上を宍倉の上まで行くとすぐに二人の間に亀裂が入り音もなく斜面全体が崩れ落ちていく馬場は自分より 50~100cm 先に入った亀裂から逃げるように 2,3 歩上がるわっと言う声とともに宍倉が下に消える急斜面で上からは下の様子が全く見えないスキーをぬいで稜線上を宍倉さんと叫びながら歩き下の様子を見ようとするが覗き込めるポイントもなく応答も無い見える範囲の稜線すべてに破断面がありぞっとする急斜面のためツボ足で下ると滑落の危険があると考えアイゼンを付けるスキーはその場に置いていくかどうか迷ったが捜索途中で使用する可能性も捨てきれなかったためザックに付ける時計を見ると 11:27 ビーコンを受信にして下る斜面に降りていくとデブリ全体が見渡せるようになり末端手前に板の先端が少し雪面から出ているのが見えてくるすでに稜線直下ほぼ全てが破断しており沢形全体がデブリとなっているので大きな二次雪崩が起こることはないと考えた一人での捜索なので上からデブリに入りビーコンでくまなく探していたら時間がかかりすぎてしまうと考え宍倉が埋まっている可能性の高い雪面から出ている板のあたりから下を先に探すことにするデブリの中より格段に歩きやすい上から 4

5 見てデブリの左隣の小尾根上を板の出ているところまで一気に下りるビーコン ( 馬場も宍倉も F1Focus) は受信にはしているがイヤホンはまだ付けていなかった自分とデブリの真ん中までの距離は 50m ほど過去のビーコン訓練の経験からもし宍倉が雪面から出ているスキーより上の場所に埋まっていたとしたら尾根を下っている途中ではビーコンで電波をキャッチすることはできないだろうと思ったデブリに入り板に近づくとビーコンに反応がある ( 板の方向に向かうことに集中していたため最初に反応があった距離は不明 ) スコップで板周辺を掘ると足が出る宍倉発見まず顔をと思い辺りを掘ると手やウエストポーチが出て次になんとか顔を掘り出した頭を下足を上にして仰向けに埋まっているようだ目は灰色で充血しており顔は紫色最初は生きているのか死んでいるのかわからなかった口にくわえていたカメラのバンドを切りさらに顔の周りを掘っているとかすかに呼吸を始めた呼びかけても応答はない馬場はかなり疲れてきて掘る作業が一向に進まないように感じられたこの時点では自力での下山は無理なように思われたので救助の要請を考える安政火口付近では携帯電話の電波が入ることは知っていたので携帯電話により救助を要請する電波が入った電話のバッテリーが持つか心配だったので最初に話の通じる知人に電話するが出なかったので直接 119 番通報する最初に赤平の消防に通じたが現在地など詳しい話が通じず富良野警察署からかけなおしてもらうことになる宍倉は次第に大きく呼吸をはじめるさらに掘り進めるうちに宍倉の目が大きく開き呼びかけにかすかに答えるようになる意識が戻ったテルモスのお湯を飲ませるザックなどを身体からナイフで切り離しスキー板をはずし身体を引っ張り出すと支えながら何とか立ち上がった大きな外傷はないようだ宍倉の体が震え始める ( スキー板の片方はビンディングからブーツは外れていたが流れ止めで足についていたもう片方は開放もせずブーツについたままでありその板の先端が雪面から出ていたストックは二本とも発見できなかった ) 救出後の行動とヘリコプターによる搬送宍倉は馬場の呼びかけで目を覚ますが一人では思うように体が動かず引っ張り上げてもらい立ち上がる顔が出てから立ち上がるまでは約 10 分ほどジャケットがぬれているので脱がせて馬場のジャケットを着せる体が冷え切っていてろれつが回らない体の震えが止まらないためテルモスのお湯を飲むがまだ回復せずさらに馬場のエマージェンシーシートにくるまり非常用品の固形燃料で雪を溶かして作ったお湯を飲むと徐々に体の震えが止まるようになり会話や歩行ができるようになる当初宍倉の回復を待って下から上がってくる救助とともに下山することを考えていたがヘリを送るとの連絡があったのでその場で待つちょうど埋没地点が日陰になり始めた時間だったので日が当たる場所まで標高 40m ほど下がるしばらくするとヘリが現場上空に到着手を振って位置を伝えるヘリは現場上空に来た後いったん登山口方向に少 5

6 し戻りまたすぐに現場上空に来る隊員の方が二人降りてきてくれ宍倉馬場二人の装備の順にヘリに引き上げられるヘリは富良野市河川球場に着宍倉は救急車で病院に馬場はパトカーで富良野警察署にむかう 6

7 Ⅲ 事故原因の分析今回の事故原因は直接的にはスキー滑降中に雪崩を誘発したことにあるが事故の後に改めて考えてみるとその背景には様々な要因があると思われるここでは計画段階からの判断を分析することで事故原因を少しでも明らかにできればと思う入山前の判断 11 月 13 日に山に入ることが決まったのは前日の 12 日この時点では目的地は日帰りでの滑降が可能な富良野岳から十勝岳にかけてのどこかの斜面という漠然としたものだった目的地を決めるメールのやりとりで宍倉が急なところを滑るかもしれないと馬場に伝えており宍倉の中で急斜面を滑る志向が強かった一方馬場はこの 2 年間スキーをはいておらず事故の数日前の 11 月 9 10 日に宍倉と大雪山の旭岳でのスキー登山をしているがまだ十分にスキーに慣れている状態とはいえずその状態のまま滑る斜面のイメージを十分話し合わずに入山してしまったことに関しては宍倉の配慮が欠けていた入山時の判断事故前日の夜車で十勝岳温泉に近づいても周りには積雪がほとんどなく候補の一つだった富良野岳北尾根は登山道がないため藪こぎを強いられそうなのであきらめる宍倉の中では 2007 年の 4 月に滑った上ホロ周辺のルンゼスキーが面白かったという印象が強く今回もそれに近いスキーができればという考えがあり主稜線から安政火口に落ち込むルンゼのどれかを滑るつもりでいた登山口周辺の積雪は 5~10 センチほどでここ数日間雪が降っていなかったと思われ雪崩への警戒心はかなり薄かった安政火口での判断安政火口に着いても積雪はまだ 20~30 センチほど入山前に滑るつもりでいた主稜線から伸びるルンゼも新雪が着いておらず硬そうだったので雪崩よりもむしろ滑落の方が心配だったただ可能性は低いが主稜線の東側の斜面には新雪が残っているかもしれないと思い主稜線までスキーを上げることにするここからのルート取りに問題があったもし安政火口から主稜線に上がるとしたら積雪期であればほぼ登山道通りに上富良野岳まで尾根上を登っていくのがセオリーだが今回は雪崩の危険の高い沢詰めのルートを取ってしまった理由としては現在の積雪自体が非常に少なくまた入山前の数日間は雪が降っていないため表層雪崩の危険はないと思いこんでしまったことにあるこのような樹林外の急な沢型を登高時のルートとする場合登る前に必ずそのルートの積雪の状態を知るために弱層テストを行うべきであるが今回は登り始める前に弱層テストするという考えすら浮かばなかったほど雪崩に対してほぼ無警戒だった実際上ホロ北西稜から避難小屋へ向かうときに何回か小さな沢のトラバースをしているがその沢の積雪状態は雪崩れた斜面の状態とほぼ同じ可能性が高く斜度もきつかったため登高時に雪崩が起こっていても全くおかしくはなかったスキー滑降前の判断雪崩の起きた斜面は木の全く生えていない急斜面で最も雪崩に警戒しなければならないものだったにもかかわらずその斜面に躊躇無く入り込んでしまった通常雪崩の危険がある場所を滑ろうとする場合は斜度木の生え具合斜面全体の地形弱層テストの結果を総合して雪崩が起こるかどうかを判断すべきだが前述の通り積雪量が少ないという印象と入山前数日間の降雪がなかったことから表層雪崩の危険を感じることができずに弱層テストも行わずに斜面に入ってしまったしかし積雪量は場所や地形によって異なる 7

8 ものでありまた弱層は種類によっては長期間残る場合があることから山域全体の積雪量の少なさや入山前の数日間に降雪がないことは雪崩が起きないと判断する根拠にはならないまた斜面に入ってからの宍倉のルート取りにも問題があった宍倉は雪崩れた斜面を十分観察しないまま斜面に入り急斜面上をルートを探すために左右にトラバースしているこのトラバースが雪崩の引き金になった可能性はかなり高いと思われるもし雪崩の危険を感じられていたらもちろんまず滑るか滑らないかの選択肢はあるがそこで滑るという選択をした場合でも斜面に入る前に滑降ルートをよく吟味してなるべく斜面に衝撃を加えないようにするべきだった Ⅳ 登山計画書の未提出について今回の山行では警察への登山計画書を提出せずまた入山地点での入山届けに記入することなく入山してしまったこれらの提出記入には事故が起こった場合に救助に当たってくださる警察や地元の方に計画を知ってもらうことで捜索や救助をスムーズに行うことができるという利点があることを頭ではわかっていつつも自分たちは事故を起こして救助を受けることはないだろうという安易な気持ちで提出を怠ってしまった計画書の提出は登山者の遭難対策上不可欠であり計画書未提出については深く反省しなければならないこれからは山に入るときは登山計画書の提出と入山届けの記入を必ず行うようにしたい 8

9 Ⅴ 総括今回の事故では滑ろうとした斜面について雪が少なくてしかも堅く締まっていることから雪崩の危険はないと判断し弱層テストを行わずに滑降を開始した結果雪崩を誘発してしまった実際雪崩を起こした以上雪崩の危険はないだろうという判断が誤っていたことは明白である再び同じ事故を繰り返さないためには雪の量や雪質に限らず雪がある以上雪崩が起こる可能性はゼロではないということを強く意識しなければならないもし今回そのような意識を持ち続けられていれば弱層テストを行い弱層を発見することで ( 実際 4 日後の現場調査のときにもまだ顕著な弱層が確認できた ) 滑らないという判断を下せていたかもしれない雪崩を起こした斜面の雪質は堅い風成雪ではあるがスコップだけで弱層テストを行うことができる程度の堅さだったしかし想定はしづらいが弱層テストを行うのにピッケルが必要になるほどの堅い雪の斜面を滑ることも場合によってはあるかもしれないそのような場合でも雪が堅いから積雪状態が安定しているという先入観を持ったり雪が堅いから弱層テストを面倒くさがってやらないという行為は絶対にしてはならない雪崩に巻き込まれた宍倉が無事で済んだ要因としては馬場の迅速な救出活動と多くの幸運に恵まれたという二つの側面がある幸運は具体的には以下のものがあげられる快晴で気温が高かったヘリコプターが現場まで来ることができまた体温の下がっていた宍倉が早く回復できた宍倉の埋没した深さが浅くまた埋没時の体勢が仰向けだった掘り出し及び気道確保までの時間が短く済んだ宍倉のスキーの片方が雪面から出ておりそのスキーが体とつながっていた馬場が捜索の際ビーコンに頼らずスキーに向って最短ルートを取ることができたこのように大きな事故を起こしたにもかかわらず生きて帰ってこられたことから今後も私たちは山に向うだろうしかし今回の事故を起こしたことを深く反省し得られた以上のような教訓を決して忘れることなく今後の登山活動に臨まなければならない Ⅵ 御協力いただいた方々このたびの事故では下記の団体の方々に多大なる御協力をうけたまわりましたあらためて御礼申し上げます北海道警察旭川方面本部富良野警察署北海道警察本部地域部航空隊 ( 社 ) 日本雪氷学会北海道支部雪氷災害調査チーム凌雲閣北海道大学山とスキーの会北海道大学山スキー部 9 ( 順不同 )

10 Ⅶ 資料 10

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12 12

13 破断面での積雪断面観測結果 :00 観測表層 2cm: エビのシッポ cm: ハードスラブ積雪深 :75cm 32-34cm: こしまり 29-31cm: 弱層 19-29c m: 硬しもざらめ 11-19cm: こしもざらめしもざらめ 0-11cm: 氷の層 < ( 社 ) 日本雪氷学会北海道支部雪氷災害調査チーム> 2007 年 11 月の気象データ上富良野町アメダスデータから作図 ( 協力 : 山本行秀 ) mm h m/s 降水量 mm 日照時間 h 最大風速 m/s 最高気温最低気温降水量 mm 日照時間 h 最大風速 m/s 最高気温最低気温 13

14 U1U 16 U2U 0 U3U 3 U4U 0 U5U 0 U6U 0 U7U 0 U8U 4 U9U 年 11 月上富良野町アメダスデータ日降水量 (mm) 気温 ( ) 風向風速 (m/s) 日照合計 1 時間最大平均最高最低平均最大最多時間値時分値時分値時分風速風速風向時分風向 (h) 5 11: : :00: 南南東 4:40 南南東 0 1 9: : : 南 7:50 南南西 : : : 北西 12:10 北北西 :50-1 6: 西 14:40 南西 : : 西北西 13:10 北北西 : : : 西北西 13:40 北 :50-2 6: 西北西 21:50 北北東 : :40-1 6: 北 18:20 北北東 : : :00: 北 15:00 北 8.4 U10U : :40-7 6: 南南西 24:00:00 南南西 8.7 U11U : : 南西 12:00 南南西 0 U12U :50 3 4: 北 18:20 北 0 U13U :50-2 6: 西南西 12:30 北北西 6.8 U14U : : 南 17:50 南 2.2 U15U : : :00: 北西 17:10 北 0.3 U16U : :10-7 6: 南 16:00 南東 1.6 U17U :00: :10-3 7: 南 22:40 南 3.7 U18U 6 2 9: : : 西北西 14:20 北西 0 U19U 3 1 8: :20-8 6: 西 11:50 西 2.5 U20U : :20-8 0: 南南西 17:50 南南西 0.2 U21U 9 3 8: : : 西 9:00 西南西 0.2 U22U : :20-8 4: 北西 20:40 北西 0 U23U 7 3 4: :50-6 2: 北北東 14:00 東 0.3 U24U : : : 東南東 13:20 北北東 0.5 U25U :40-7 6: 南東 14:40 南 0.3 U26U : :10-4 4: 西北西 22:00 西南西 0.2 U27U : :40-4 8: 西 5:10 西北西 0 U28U : : : 西 14:40 西北西 3 U29U :00: : : 東南東 23:00 北 4.1 U30U : : :00: 西北西 12:20 南東

北海道十勝 : 三段山富良野岳ジャイアント尾根山スキー報告山域北海道十勝: 三段山富良野岳日程 2018 年 2 月 5 日 ( 月 )~2 月 11 日 ( 日 ) メンバー菊池他 7 名 ( チーム福島 ) 行程 5 日 : 千葉石岡 (K 家に自車デポ )- 郡山仙台港 19

北海道十勝 : 三段山富良野岳ジャイアント尾根山スキー報告山域北海道十勝: 三段山富良野岳日程 2018 年 2 月 5 日 ( 月 )~2 月 11 日 ( 日 ) メンバー菊池他 7 名 ( チーム福島 ) 行程 5 日 : 千葉石岡 (K 家に自車デポ )- 郡山仙台港 19 北海道十勝 : 三段山富良野岳ジャイアント尾根山スキー報告山域北海道十勝: 三段山富良野岳日程 2018 年 2 月 5 日 ( 月 )~2 月 11 日 ( 日 ) メンバー菊池他 7 名 ( チーム福島 ) 行程 5 日 : 千葉石岡 (K 家に自車デポ )- 郡山仙台港 19:40 フェリー 6 日 : フェリー 11:00 苫小牧富良野上富良野 ( 買い出し )- 吹上温泉