第66回日本消化器外科学会総会抄録集

Size: px
Start display at page:

Download "第66回日本消化器外科学会総会抄録集"

Transcription

1 1 25

2 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV1-1 NOTES から派生したショートタイプ軟性内視鏡を用いる single-incision multiport laparo-endoscopic surgery 阿部 展次 1, 竹内 弘久 1, 大木亜津子 1, 青木 久恵 1, 森 俊幸 1, 杉山 政則 1 1. 杏林大学医学部消化器 一般外科 367 RV1-3 単孔式腹腔鏡下肝部分切除術の検討 岡田 克也 1, 宮澤 光男 1, 合川 公康 1, 利光 靖子 1, 岡本 光順 1, 山口 茂樹 1, 小山 勇 1 1. 埼玉医科大学国際医療センター 消化器病センター 背景 単孔式腹腔鏡下手術は スコープや鉗子などの手術器具を 1 カ所の切開創から 背景と目的 NOTES 胆摘の動物実験を経て消化管用軟性内視鏡の腹腔内手術 挿入して行う術式で 整容上の利点や低侵襲性などから 胆嚢摘出術において急速に普 への有用性を確信 ショートタイプの軟性内視鏡を開発した. 本発表では単孔式 及しつつある 我々は 本術式の低侵襲性が肝切除に対しても優位に作用すると考えて 腹腔鏡下手術において本軟性内視鏡観察/処置を付加する single-incisionmultiport いる 今回は 当科における単孔式腹腔鏡下肝切除術 (S-LapH) の手技を供覧し そ laparo-endoscopic(simple)surgery を供覧する (胆摘). の安全性と有用性を検討した 方法 2008 年 1 月より 2010 年 12 月まで 当科で施 新規軟性内視鏡 前方送水機構を有する消化管処置用シングルチャンネル軟性内視鏡 を改変 有効長 60cm のショートタイプ軟性内視鏡を開発. 行した腹腔鏡下肝切除 (胸腔鏡下 腹腔鏡補助下を含む)30 例中 S-LapH を施行した 5 例を対象とした 症例の内訳は 男性 4 例 女性 1 例 平均年齢 69 歳 (52-90) 肝障 対象 体重 40-50kg のブタ 5 頭. 害度 A;2 例 B;2 例 C;1 例であった 疾患の内訳は 肝細胞癌 3 例 転移性肝癌 1 SIMPLE 胆摘法 SILS ポート留置下で胆摘を施行. 気腹後にショートタイプ軟性内視 例 肝内分泌腫瘍 1 例であった S-LapH の適応としてとして 腫瘍が肝表面に突出 鏡を腹腔内へ挿入 反転観察下で 2 本の 5mm トロッカーを SILS ポートに留置. 胆 しかつ比較的腹側に位置するもの 長径が 3cm 以下 単発であるものとした 腫瘍径 嚢底部牽引はミニループリトラクターを使用.Critical view of safety を意識し 胆嚢 は 平均 1.7cm( ) 局在は S3;2 例 S4;1 例 S5;1 例 S8;1 例であった 手術 管/動静脈 pedicle 周囲を軟性内視鏡経由のフック型デバイスや腹腔鏡用鉗子で剥離 は 臍部より SILS ポートを挿入し 3 ポートアプローチにより行った 腫瘍位置を同 胆嚢頸部から pedicle を完全に encirculation.5mm トロッカーからクリップアプライ 定 肝切離ラインをマーキングした 肝実質切離は低電圧バイポーラー鉗子により肝実 ヤーを挿入 pedicle を一括 あるいは胆嚢管と胆嚢動静脈を個別にクリッピングし切 質をクラッシュしながら 脈管を同定し バイクランプにより脈管をシーリング 切離 離. 胆嚢床からの胆嚢剥離は通常の腹腔鏡手技や軟性内視鏡経由ムコゼクトームで施行. した 断面からの出血には 吸引付モノポラー低電圧凝固装置を用いた 全症例 ポー 結果 胆嚢頸部から pedicle の encirculation は全頭で可能. 全頭で胆摘完遂 手術 ト追加はなく ドレーンは留置しなかった 結果 手術時間は平均 168 分 ( ) 時間は平均で 55 分 (34-73 分). 結論 軟性内視鏡をショートタイプにすることによって腹腔内処置の操作性が向上し 出血量は平均 4ml(0-10) であった 術後疼痛管理は第 3 病日で終了し その後 除痛 薬投与の必要はなかった 術後在院日数は 5.6 日 (3-11) 手術関連合併症は認められな た. 本軟性内視鏡を単孔式腹腔鏡下手術に使用することでフレキシブルな視野が得ら かった 術後 2 週目におけるフォローアップにおいて 創部痛 腹水貯留 肝機能悪化 れ 洗浄や吸引 チャンネル機構は単孔式腹腔鏡下手術に positive な修飾を加えた. ま などの合併症はいずれの症例も認められなかった 考察 S-LapH は鉗子同士の干渉 た 胆嚢剥離操作は単孔式腹腔鏡下手術操作よりも軟性内視鏡経由のデバイスで行った など操作性が問題となるが 症例によっては肝障害度 B C 症例に対しても安全に肝切 方が容易である.SIMPLE surgery は NOTES から派生したものであるが NOTES と 除を施行でき 高度肝障害併存肝腫瘍に対する治療法の一つとなり得ると考えられた 単孔式腹腔鏡下手術の bridge として位置づけられ 双方の弱点を補う手術法として有 用と考えられる. RV1-2 胆道 膵臓手術における単孔式腹腔鏡下手術の試み RV1-4 単孔式腹腔鏡下肝切除術の経験 岡本 辰哉 1, 黒木 保 1, 足立 智彦 1, 金高 賢悟 1, 高槻 光寿 1, 日高 匡章 1, 江口 晋 1, 兼松 隆之 1 朝隈 光弘 1, 米田 浩二 1, 宮本 好晴 1, 廣川 文鋭 1, 清水徹之介 1, 井上 義博 1, 山名 秀典 1, 林 道廣 1, 谷川 允彦 1 1. 長崎大学大学院移植 消化器外科学 1. 大阪医科大学附属病院消化器外科 (はじめに) 単孔式腹腔鏡下手術の臨床応用は急速に進んでいる しかし従来の腹腔鏡手術と (背景) 当科では 53 例の腹腔鏡下 (補助下を含む) 肝切除術を経験してきた また 2009 年 6 月より手袋法を用いて単孔式腹腔鏡下手術を導入し 現在までに胆嚢摘出術 63 例 胆摘 + 総胆管結石 3 例 虫垂切除術 3 例 結腸切除術 4 例 胃固定術 1 例 肝切除術 3 例 計 77 例に行った 3 例の単孔式肝切除の経験から 単孔式肝切除につ いて考察する (症例)1. 41 才女性 後区域に位置する 腹壁に浸潤した 75 45mm 大 の腫瘍として当科に紹介された 患者を左側臥位とし 右腋窩線上臍のレベルに 2.0cm の単一創で手袋法にて行った 肝切離面はほぼ平面であり 切離には主に LCS を用い た (手術時間 225 分:出血量 50ml)2. 63 才女性 S3 の転移性肝癌で 外側区域切除 を施行した 肝切離に関しては表面は主に LCS を用い グリソンと左肝静脈の処理は 自動縫合器を用いた (手術時間 270 分:出血量 330ml)3. 66 才男性 S3 の肝辺縁に位 置する転移性肝腫瘍 肝部分切除を施行した 本症例は切離面が曲面となり LCS と ソフト凝固を用いた (手術時間 235 分:出血量 120ml) 全例追加のポートを用いるこ となく終了した 各症例のビデオを供覧する (考察) 単孔式腹腔鏡下手術はあくまで 比較すると 制限された術創から行うため手術手技が独特であり高難度手術となる場合も多 い 我々は 2009 年 7 月より単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を導入してきた 現在では総胆管截 石術および脾温存膵尾部切除術にまで単孔式腹腔鏡下手術を応用している 今回それらの手術 手技の要点および結果について報告する (対象)2009 年 7 月から 2010 年 11 月までに施行した単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術は 29 例で あった 平均年齢は 66.0 歳 男女比は 17 対 12 であった 対象疾患は胆嚢結石症が 26 例 胆嚢腺筋症が 1 例 胆嚢ポリープが 2 例であった 単孔式腹腔鏡下総胆管截石術 単孔式腹 腔鏡下脾温存膵尾部切除は各々 1 例であった (手術手技) ①胆嚢摘出術:臍に 1.5cm の縦切開をおき 2 トロッカー単孔式腹腔鏡下手術を行う 底部は 自作した Sliding knot で把持し糸を右季弓下から体外へ誘導 その右下方より穿刺挿入した Mini loop retractor で頸部を把持する この糸と Mini loop retractor の協調操作で術野を 展開する (マリオネット法) ②総胆管截石術:臍創に SILS ポートを装着し手術を行う 鉗子類は従来のものを使用し 鉗 子操作はパラレル法で行う 総胆管切開部からの胆道鏡挿入は容易であり 胆管の縫合閉鎖は ストレスなく施行可能である ③脾温存膵尾部切除:臍創に SILS ポートを装着し手術を行う 術野を確保するため penrose drain を利用し胃の hanging を行う 脾動静脈を膵実質より剥離し 実質切離は自動縫合器 を使用 Mini loop retractor で切離膵断端を把持することで適度な counter traction が得ら れ安全に手術を行うことが可能である (結果) ①胆嚢摘出術:従来法移行例は 3 例で いずれも炎症性癒着が原因であった 合併症は 1 例に 臍感染を認めた 手術平均時間は 分 平均出血量は 29ml 術後平均在院日数は 5.7 日 であった ②総胆管截石術:手術時間は 240 分 出血量は 20ml であった 術後在院日数は 8 日で術後 合併症は認めなかった ③脾温存膵尾部切除:手術時間は 345 分 出血量は 20ml であった 術後在院日数は 13 日で 術後合併症は認めなかった (考察) 単孔式腹腔鏡下手術はその特性を理解し独自の工夫を施すことで 安全性を損なうこと なく従来法と同様の視野 手技で進行が可能であった 整容性が高い単孔式腹腔鏡下手術は 胆道 膵臓手術においても今後更に発展していくものと考える も手術方法の一つである 特に 肝切除に関しては通常の腹腔鏡下手術も未だ標準化さ れたとは言い難く 適応拡大には慎重であるべきであると考える 我々の腹腔鏡下肝切 除術の経験から 肝切離面が平面であることが単孔式肝切除には重要であると考え そ のような症例から開始した 症例 1 は腹壁浸潤を伴った後区域の放線菌症の症例であ るが 切離面が平面であること以外にも 体位による重力の利用 腹壁浸潤のため牽引 が不要であったこと などの要因で安全に施行し得た その経験と通常の腹腔鏡下外側 区域切除の経験をもとに症例 2 を施行した 外側区域切除も切離面はほぼ平面 かつ 臍部から直線的アプローチが可能であり さらに自動縫合器を用いることで単純化可能 で今後標準化に向けて努力していきたい 一方で 症例 3 のごとく切離面積 切除肝 重量は小さくても 切離面が曲面となるような症例は 困難を感じた 今後 どのよう な症例に対し単孔式アプローチが可能であるか 経験を蓄積した上で適応を拡大してい くべきであると考える

3 第 66 回総会 2011 年 7 月 368 RV1-5 ニードルデバイスを用いた単孔式腹腔鏡下手術:肝臓外科領域へ RV2-2 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術における三点支持のための 4 ポート の適応拡大 手技の工夫 田邉 稔 1, 河地 茂行 1, 板野 理 1, 篠田 昌宏 1, 和田 則仁 1, 相浦 浩一 1, 上田 政和 1, 北川 雄光 1 吉野 健史 1, 小林 晶 1, 横山 大受 1, 神頭 聡 1, 坂元 克考 1, 小西小百合 1, 濱洲 晋哉 1, 上原 正弘 1, 西躰 隆太 1, 間中 大 1 1. 慶應義塾大学医学部外科 1. 京都桂病院消化器センター 外科 背景 目的 単孔式腹腔鏡下手術 (TANKO) では 使用できる器具の数や挿入方向 腹腔鏡下胆嚢摘出術は 近年更なる低侵襲化を目指して単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術 (以 に制限があるため術野展開が難しく また器具同士の干渉も問題となる 細径のニード 下 TANKO-C) が導入され 広まりつつある ただ 手技の煩雑性 新しい器材の導 ルデバイスは傷跡を残さず腹壁の任意の部位から穿刺可能であり TANKO の弱点を 入が必要であるなどの理由から 依然として手技の定型化には至っておらず まだま 克服するために極めて有用である われわれは 各種ニードルデバイスを TANKO に だ改良の余地があるのが現状である 当院でも 2009 年 6 月に TANKO-C を導入し 導入し 肝臓外科領域の手術へ適応拡大を行ったので報告する 体内組立式ニードル 術者のストレスが少なく かつ安全に手術可能になるように工夫をしてきた 従来の リトラクター 教室で考案した体内組立型ニードルリトラクターは 13 ゲージで傷跡 TANKO-C は 臍から 3 ポートを挿入し エンドループなどで胆嚢を吊り上げたり を残さず腹壁の任意の場所から穿刺可能 オリジナル綿球を SILS port から挿入し 鈎による肝臓の圧排などにより 視野確保の方法をとっていたが 視野展開 操作性に ニードルの先端に強固に固定して組み立てる 助手が同器具を操作することで 肝臓の 関しては十分満足できるものとは言い難い これを解決する方法として 操作用鉗子を 脱転 胆嚢や十二指腸の圧排 牽引 肝門脈管の微細な圧排 展開など 多種多様な手 除では 腫瘍が胆管 肝動脈 門脈に密着していたが ニードルリトラクターにより微 1 本追加することで 最適な三点支持を常に確保することを考え 単孔からの 4 ポート 手術を施行している また ワイヤー鉗子を挿入する創を無くすことで 真の single incision となり さらなる低侵襲化につながると考えた 以上を踏まえた上で 現在は 臍部に 2.5cm の切開をおき ラッププロテクターで創縁を保護し グローブポートよ り 4 本のポート (操作用 3 本 5mm フレキシブルカメラ用 1 本) を留置して 手術 細な術野展開 剥離を行うことが出来た 肝切除術では ニードルリトラクターにより を行なうようにしている ラッププロテクター グローブポートを用いることにより 肝切離面を的確な位置に移動して展開 超音波吸引装置とバイポーラー止血 自動縫合 腹腔内の気密性を維持し また状況に応じて 5mm ポートから 12mm ポートへの変更 器を用いて肝切離を行い 通常の腹腔鏡下肝切除と比べて同等の手技を行うことが可能 も容易に可能である 臍部より 3 本の操作用ポートを留置することで 常に切開部に になった 肝癌アブレーション 腫瘍焼灼のための針状プローブ (ラジオ波 マイク 三点支持が可能となり 必要に応じた視野展開ができ テンションをかけやすく 良好 ロ波) は 臍とは別の腫瘍焼灼に最適な部位から傷跡を残さずに穿刺することが出来 な視野のもと安全に手術を行えている 鉗子同士の干渉を緩和するために 胆嚢底部の る これを TANKO 手術に用いれば 肝臓の深部 背側 上葉 (S7 8) など 通常の 吊り上げ用に 1 本のロティキュレーター鉗子を用いることにより広い作業空間を確保 腹腔鏡下手術では困難な部位の腫瘍でも治療が可能になる 本術式の適応は 体外超音 し 術者の操作用鉗子は既存の手術器具を用い 従来の手技に近い手術が可能であり 波で描出不良な腫瘍 (経皮穿刺困難) 消化管に隣接した肝下面表在性腫瘍 (消化管熱傷 コスト面 安全面からも利点が多いと考える 本術式により 多少の手術時間の延長が の危険性) 肝表面に存在する腫瘍 (直接穿刺による播種の危険性) などである これま みられたものの 安全に施行可能であり 美容上も優れた手技といえる 単孔部の作成 で 6 例の肝細胞癌症例に本術式を施行し 局所根治が得られた 結語 全例が合併 を含め その実手技を供覧する 術操作が可能になる 術者は切離 剥離や止血操作に専念することで より複雑な手技 を行うことが出来る様になった これまで肝十二指腸靱帯内の神経鞘腫切除 (1 例) 肝 切除 (6 例) に同器具を用いた TANKO を施行した 肝十二指腸靱帯内の神経鞘腫切 症無く術後短期で退院可能であった ニードルデバイスの工夫により TANKO 手術 の肝臓外科領域への適応拡大が可能となった RV2-1 新型マルチチャンネルポートと針状鉗子を使用した単孔式内視 RV2-3 後期臨床研修医に対する単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の教育と術 鏡手術 者経験 金平 永二 1, 陳 孟鳳 1, 宮内 邦浩 1, 塩澤 邦久 1, 栗田 淳 1, 亀井 文 1, 上野聡一郎 1 西野 拓磨 1, 飯田 敦 1, 森川 充洋 1, 小練 研司 1, 永野 秀樹 1, 村上 真 1, 廣野 靖夫 1, 五井 孝憲 1, 片山 寛次 1, 山口 明夫 1 1. 上尾中央総合病院外科 1. 福井大学医学部附属病院消化器外科 筆者らは単孔式手術用 4 チャンネルポートおよび 2 ミリ径の把持鉗子を開発し 積極 はじめに 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術<以下 SPS Lap-C>が導入され 後期臨床研 的に単孔式内視鏡下手術に使用している 今回はそれぞれの器具を紹介し ビデオにて 修医に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術<以下 Lap-C>の術者への適応が問題となっている 手技を示す ポートの開発 フラップ式小開創器の蓋にバルブ付きスリーブを 4 本設 我々の適応と経験を報告する 適応 SPS Lap-C を含め 各種腹腔鏡下手術のスコピ 置し 単孔式内視鏡手術用に改良した チャンネルを 4 か所に設け メインチャンネ スト経験 Lap-C 術者経験 さらに手術手技勉強会やシュミレータートレーニングで ルの中心間距離は 29mm を確保できた 住友ベークライト社と共同開発 針状鉗子 の操作を考慮し 解剖認識 手術手技理解 鉗子操作の的確さ さらに手術手技習得 の開発 鋼精製過程で剛性を強める工夫を行い しなりの少ない 2 ミリの把持鉗子を 意欲を考慮し指導医が判断 方法 臍内下半 12mm 切開による SPS Lap-C スコピ 開発した ニチオン社と共同開発 臨床手術成績 新型マルチチャンネルポートと針 ストは初期あるいは後期臨床研修医 指導医は対面し常に両手でアシストできる状態 状把持鉗子を使用した単孔式内視鏡手術を 15 例に行った 内訳は胆嚢摘除 12 例 胃 結果 指導医の下 若手の教官<消化器外科学会専門医>に続き 後期研修医の中にも 局所切除 3 例であった 当科では以前から針状把持鉗子補助による単孔式内視鏡下手 安全に手術を完遂できる医師を養成できた 手術時間 min 出血量 0g と若手 術-POP(plus one puncture) を行っているため このシリーズでも踏襲した 全症例 教官< min>と有意差なし 演者<後期研修医 1 年目>の動画を供覧する 考 で 2 ないし 2.5cm の臍部縦切開にて新型マルチチャンネルポートの挿入が可能であっ 察 外科学会 消化器外科学会の専門医制度に従ったカリキュラムの中で手術指導を行 た 頭側のチャンネル 2 か所から 5mm ポートを挿入し 送気 排煙 および器具と ない 術者を養成している 手術技術の変遷にも関わらず 手術手技教育は先達から受 腹壁の摩擦軽減目的で使用した ほかに使用した主な器具は 湾曲把持鉗子と 50cm け継がれた方法が基本である 段階的に個人に合った指導を行なうことで 安全に高度 長の 30 度硬性斜視鏡である 胆嚢摘除では平均手術時間 71 分で 全症例を単孔式で な技術を患者に提供できる外科医を養成できるものと考える 結語 手術手技が高度 完遂した 胃切除では 12mm 対応チャンネルから自動縫合器の使用が可能であった 化 複雑化する中でも 段階を踏んで指導医の判断 指導の下に従来どおり手術手技教 4 チャンネルポートに関しては 初期症例でバルブ破損が発生したためバルブの材質と 育が安全に行なえている 形状を改良した スリーブからの汎用クリップの挿入にやや難点が見られた 従来の市 販ポートに比べ 器具の干渉が少なく 手術の安全性と迅速性向上に寄与する可能性が うかがわれた 2 ミリ針状把持鉗子に関しては 剛性は十分と考えられ 止血のための 血管把持や 臓器展開 臓器牽引 糸結びなどに使用できた いわゆる Tanko-POP に おける有力な器具となると考えられた

4 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV2-4 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の検討 369 RV2-6 当科における単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術 (SILS) の従来法との比 較と今後の課題 小林 隆 1, 蛭川 浩史 1, 添野 真嗣 1, 内藤 哲也 1, 松岡 弘泰 1, 多田 哲也 1, 畠山 勝義 2 矢野 智之 1, 山田 秀久 1. 立川綜合病院消化器センター外科, 2. 新潟大学大学院消化器 一般外科学分野 1. 清田病院外科 目的 2009 年 8 月より単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を導入し 2010 年 11 月まで 40 目的 臍部単一創で行う単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術 (SILS) は整容性に優れ 現在第 例に施行した 当科の手技 並びに成績を報告する 一選択術式である腹腔鏡下胆嚢摘出術 (従来法) にとってかわる可能性を有している. 適応 当初は 炎症が軽度までの胆嚢結石症 もしくは無症候性の胆石症 胆嚢良性 腫瘍を適応とした 20 例目からは PTGBD 後の症例についても適応とした 1 一方で 鉗子同士あるいは鉗子と内視鏡の干渉 手術視野の立体的構築の困難性など 手術手技 体位は開脚位とし 術者が患者の左側 助手兼スコピストが股間に位置 SILS 特有の問題点が挙げられる. 当科での手術方法を供覧するとともに 月か ら従来法で施行した群 (LC 群) と 月の単孔式導入以降の SILS 群 (S 群) で 皮膚切開は約 2.5cm の臍部縦切開で行った 第 1 例目から第 9 例目までは皮下を広 手術時間 出血量 術後在院日数 合併症について比較 検討し今後の課題について く剥離し 単一創から 3 本の 5mm ポートを挿入した 更に long type のループリト ラクターを臍部の創から もしくは右季肋下からミニループリトラクターを挿入し胆嚢 底部を把持し牽引した 基本的に従来の腹腔鏡下胆嚢摘出用の鉗子を用いたが 症例に よってはロティキュレーター鉗子を使用した カメラは 5mm のフレキシブルスコー プ使用 胆嚢剥離は従来通りフック型電気メス ソノサージもしくはハーモニックス カルペルを使用した 従来法と同様に Critical view of safety を得ることを心がけた 摘出胆嚢はバックで回収した また 10 例目からは SILS Port (COVIDIEN) を臍 部に使用し 右季肋下からミニループリトラクターを追加して使用している 最近では long type の電気メス ソノサージを導入した これにより手元での干渉が減り 操作 性が格段に向上した 症例と結果 2009 年 8 月より 2010 年 11 月までの 40 例の内訳は胆石症 38 例 (症 候性 36 例 無症候性 2 例) 胆嚢ポリープ 2 例 (2 例ともコレステロールポリープ) 男性:19 例 女性 21 例 平均年齢 63 歳 平均手術時間 125 分 平均出血量 35ml 単孔式で完遂した症例は 36 例 (90%) 1 ポート追加した症例は 3 例 開腹移行は 1 例であった ポートを追加した理由は炎症が高度で胆嚢 胆嚢管を損傷した症例が 1 言及する. 手術方法 当科での SILS は現時点では 5mm 軟性鏡および SILS ポート を用いて施行している. フック型電気メスを用いて胆嚢下面より剥離を開始し 次いで 胆嚢前面の剥離を行い critical view を確認し 胆嚢管および胆嚢動脈に 5mm クリッ プをかけて切断している. セミクロス法とパラレル法を状況に応じて使い分け 動脈は 超音波凝固装置で処理することもある. 胆嚢が腫大した症例や critical view の確認が 困難な症例では肝床部の先行剥離を行っている. 対象 従来法は 75 例で 大腸癌等 同時手術で重複切除した 3 症例は今回の検討から除外し 72 例で検討した.SILS は 63 例 (重複で 1 例除外). 平均年齢は LC S 群の順に 歳. 性別は男/女の順で それぞれ 37/35 31/31 であった. 手術時間は 72.6 分 95.5 分. 出血は 10g 15.3g. 術後平均在院日数は 6.3 日 5.9 日であった. LC 群では術前 PTGBD PTGBA 症例 を各 5 7 例認め S 群では各 3 2 例認めた. 開腹移行は LC 群で 1 例認めた. 術 後合併症は LC 群で肺炎 創し開 術後副腎機能低下 瘢痕ヘルニア ST-T 変化 (spasm) を各 1 例認めた. S 群では創感染 1 例とヘルニア 1 例を認めた. 結語 単 孔式手術は従来法と比較して手術時間を要しているものの出血 在院日数は有意差な 例ずつ 鉗子が届かず追加した症例が 1 例であった 開腹移行例は出血による止血困 く経過していた. 炎症の乏しい症例では単創にこだわりながら十分に標準化が可能と考 難症例で開腹して止血した症例であった ドレーン留置は 6 例に行った 術後合併症 えられるが PTGBA PTGBD 症例を含む炎症の強い症例では手術時間が著明に延長 は 1 例で皮下膿瘍を認めるのみであった 術後平均在院期間 3.9 日 する傾向にあり 追加 device の使用などを含めて再検討が必要と考えられた. まとめ 当科において単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を 40 例経験した 従来の 4 ポート による腹腔鏡下胆嚢摘出術と比較して 基本的には同様の手技で手術が可能であった しかし 高度炎症例の 1 例で出血による開腹移行症例を経験した 今後症例を重ね 適応 安全性 成績についてさらなる検討が必要と考えられた RV2-5 腹腔鏡下胆嚢摘出術 4 孔式 VS 単孔式 RV3-1 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術 スポンジチューブ法 イージーア クセス法 浅野 之夫 1, 堀口 明彦 1, 石原 慎 1, 伊東 昌広 1, 古澤 浩一 1, 津田 一樹 1, 伊藤良太郎 1, 山田 智洋 1, 宮川 秀一 1 山本 純也 1, 二又 泰彦 1, 中島 啓輔 1, 中村 吉孝 1, 佐田 正之 1. 藤田保健衛生大学病院胆膵外科 1. 福岡輝栄会病院外科, 2. 佐田厚生会佐田病院外科 <はじめに>良性胆嚢病変には腹腔鏡下胆嚢摘出術 (LaparoscopicCholecystectomy 以下 Lap-C と略す) が Golden Standard な術式である しかし 最近では医療機器 の進歩に伴い 単一の創より手術を行う単孔式鏡視下胆嚢摘出術 (以下 TANKO-LC と略す) が導入され 適応が拡がりつつある 当科でも 2009 年 6 月より TANKO-LC を導入し症例を重ねてきている そこで これまでに施行した TANKO-LC につい て同時期に行った Lap-C と比較しその安全性について比較検討した <対象> 当科 にて 2009 年 6 月から 2010 年 12 月までに施行した TANKO-LC 73 例と Lap-C 67 例を対象とした <結果> 疾患は全例胆石症で 平均年齢は TANKO-LC が 55.2 歳 Lap-C が 52.3 歳であった 男女比は 36:41 と 33:34 であった 平均手術時間は 分と 99.2 分であった 平均出血量は 3.9g と 6.3g であった 平均在院日数は 4.0 日と 4.7 日であった 術中偶発症 術後合併症はともに認めなかった <考察> TANKO-LC は Lap-C に比べ 整容性には長けるものの 鉗子同士の干渉や奥行きの 2 はじめに 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を 300 例 に試み 292 例 (97.3%) に施行しえた. とても整容 的で創部痛も少なく術後経過も良好であるが 症 例を重ねるたびに Critical view(胆嚢管 胆嚢動 脈) や Safe dissection triangle(rouviere 溝 右 肝管 総肝管 総胆管 胆嚢管) の重要性を実感し ている. われわれが行っている 2 つの手術法 (ス ポンジチューブ法とイージーアクセス法) の手術手 技 手術成績について述べる. 方法 スポンジチューブ法は 臍部に 1.5cm の縦切開を加え 創にスポンジチューブ を 3 本挿入し それぞれに 5mm トロッカーを 3 本挿入する. 内視鏡はロングスコー プ (斜視 30 直径 5.5cm 長さ 50cm) を使用している. 助手は右季肋部にニードル型 把握が困難などの欠点がある 教室での検討結果でも 手術時間の延長が認められた 補助器具 (ミニループリトラクター II ミニラップ) を挿入し胆嚢底部を把持する. 術 しかし 出血量や残院日数は Lap-C とほぼ同等であった 症例を積み重ね 腹腔内外 者は右手に先端屈曲型把持鉗子 左手に電極付洗浄 吸引器を用いて通常とは逆手で操 での鉗子やカメラの位置関係を理解し TANKO-LC の特性をより把握すれば 手術時 作を行う. 間の短縮も十分に可能と思われる TANKO-LC は Lap-C とほぼ同等に安全性を確保 イージーアクセス法は 補助器具を用いない臍部創のみの手術方法である. 臍部創は できると考えられた 2cm とし イージーアクセス (ハッコ 社) を用いて 5mm イージートロッカーを 4 本挿入する. ロングスコープを挿入し腹腔内を観察し 助手は 43cm のロング把持鉗子 にて胆嚢底部を把持する. 術者はスポンジチューブ法に準ずる. まとめ 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術は 自分に合った手術器具を用いて 自分がしや すい手術法で行えば良いと考える. 安全に手術を完遂させることが第一であり できる だけ胆嚢壁寄りに剥離を進め 可能な限り Critical view や Safe dissection triangle をしっかり確認するよう心がけるべきである.

5 第 66 回総会 2011 年 7 月 370 RV3-2 順行性胆嚢剥離で可能になった"単孔式"腹腔鏡下胆嚢摘出術 RV3-4 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術に有用な手術手技 松本 哲平 1, 豊田 秀一 1, 石川 奈美 1, 楠本 正博 1, 土居布加志 中原 雅浩 1, 福田 敏勝 1, 田中 飛鳥 1, 濵岡 道則 1, 田口 和浩 1, 高橋 元 1, 倉西 文仁 1, 則行 敏生 1, 住谷 大輔 1, 山木 実 互恵会 大阪回生病院外科 1. 広島県厚生連尾道総合病院外科 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術は高い整容性により 2009 年以降急速に普及している術式で ある しかしながら現状としてはミニループリトラクター や 2mm 鉗子など臍切 [はじめに] 整容性の面で優れた単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術は視野が不十分であり 操 開部以外に皮膚切開を置き 胆嚢を把持するデバイスを使用する Reduced Incision 作鉗子の自由度が少ないために従来の腹腔鏡下胆嚢摘出術に比べると難易度は高いと思 surgery が主流であり純粋な 単孔式 手術とは言いがたい もちろん安全に手術を われる そこで この手術をより容易にかつ安全に行うために我々が行っている手術手 行うために必要であれば 単孔式 にこだわるべきではなく 実際当院でも導入当初は 技をビデオで紹介する また 今まで経験した 140 症例の臨床病理学的特徴 手術時 ミニループリトラクター を使用していた しかし順行性胆嚢剥離 Dome-Down 間 出血量 合併症の有無を検討した また専修医の行った 27 症例に対しても同様の Technique を導入後その手技に習熟し かつ使用するデバイスを工夫することで臍部 からの 3 ポートのみで手術時間の延長なく安全に手術を行うことが可能となったため 検討を行い その手術手技の有用性を確認した 実際の手術手技とその成績について供覧する [手術手技]1) アプローチはマルチ トロカール法 2) 胆嚢の把持はミニループリトラ クター TM を使用 3) 実際の手術手順を以下に示す 最初に胆嚢右側の体部から底部 当院では 2009 年 4 月より単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を導入し 2010 年 11 月まで 20 での胆嚢と肝との剥離を開始 これを可及的に行い胆嚢をなるだけ肝床部から剥離す 例に施行してきた 導入当初は通常の腹腔鏡下手術と同様に Critical View をだし胆嚢 る 続いて胆嚢左側の剥離を行う これにより頸部が十分牽引されてくる そのためク 管 胆嚢動脈の切離を先行して行っていたが 単孔式腹腔鏡手術における鉗子の自由度 リティカル ビューが十分確保され 安全に胆嚢管 胆嚢動脈の処理が行える [結果] の制限という欠点を考慮し 3 例目より順行性胆嚢剥離 Dome-Down Technique を 症例は 140 例 平均年齢は 62 歳 内訳は男性 61 例 女性 79 例 単孔式の完遂症例 導入した 術者は Cross over technique を基本とし 術者右手が胆嚢底部を把持し画 は 132 例 (94%) であり 非完遂例のうち 3 例は急性胆嚢炎症例であった 平均手術 面左手前に牽引し 左手が右手前から左奥の方向に向かって順行性剥離を連続させてい 時間 120 分 出血量 (中央値)10g で 従来の 4 孔式の 121 分 26g と比較しても有 く この操作によって把持鉗子が術野から離れる方向に胆嚢を牽引し剥離鉗子は進行方 意差はなかった 術後合併症は臍感染を 2 例 胆汁漏を 1 例認めた また 同様の手 向に沿った剥離が行えるためカメラ 鉗子間の干渉を最小限とすることが可能となる 技で現在まで専修医が 27 例単孔式胆嚢摘出術を行ったが 手術時間 出血量に著変な また 50cm 長の 30 度硬性鏡を使用し カメラが術者鉗子の右側から覗きこむ術野を く安全に手術が完遂された [考察] 我々の行っている手術手技で 単孔式胆嚢摘出術 維持することで体内外の干渉をほぼなくすことが可能になった これらの手技を定型 の難易度は下がっていると思われる 今後 更なる有用な手術器具の出現により 単孔 化することで手術時間は平均 70 分と通常の腹腔鏡下胆嚢摘出術と比較して差がなく 式胆嚢摘出術が胆石症に対するはスタンダードの術式になると考える Critical View を確認できる安全な手術を行うことが可能となった RV3-3 当院の EZ アクセス ポートを用いた単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術 RV3-5 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術におけるバイポーラ鉗子の使用法 高木 剛 1, 中瀬 有遠 1, 福本 兼久 1, 宮垣 拓也 亀山 哲章 1, 冨田 眞人 1, 三橋 宏章 1, 松本 伸明 1, 大渕 徹 1, 香月 優亮 1 1. 国際親善総合病院 外科 1 1. 西陣病院外科 単孔式腹腔鏡下手術は マルチチャンネルポート法ないしマルチトロッカー法にて行わ れているが 当院は 八光 と共同開発した EZ アクセス (2010 年 10 月に薬事申請 単孔式腹腔鏡手術において 日本では胆嚢摘出術が最も多く行われている術式である 承認済) を用いた EZ アクセス ポートによるマルチチャンネルポート法で 2010 年 4 が 当院では 平成 21 年 5 月より単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術 (TANKO-C) を導入 月から単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を定型化して行っている. その手法の有用性をビデオ し 12 月 10 日までに 113 例を経験している 同時期に行われた腹腔鏡下胆嚢摘出術 にて供覧する. (LAP-C) はほぼ同数であり TANKO-C の比率は約 50% であった 方法は 臍縦 2cm 切開後にラッププロテクターミニ (八光) を創部に留置し それに当 現在では 術者によっては明らかな胆嚢癌を除くすべての胆嚢摘出術を TANKO-C の 院開発の EZ アクセスを装着する.EZ アクセスに 5mm トロッカーを 3 本穿刺して単 適応としており 腹部手術既往は適応除外とはしていない (胃癌術後症例 2 例 回腸導 孔式腹腔鏡下手術を行う. 鉗子は従来の腹腔鏡下手術で使用する再滅菌可能なストレー ト鉗子を用い カメラは 5mm のフレキシブルビデオスコープ (オリンパス社) を用い 管術後 1 例) また術者別では 日本内視鏡外科学会技術認定医が 86% 他の外科医が 10% 後期レジデントが 4% であった 技術認定医以外は症例を選んで行っており そ ている. の際は技術認定医が助手として指導している 手術手順は 従来のラパコレと同様に Critical view の露出を行い 胆嚢動脈や胆嚢 当院では pure TANKO-C(93%) を基本とし 術中の状況により 適宜ミニループリト 管は従来のラパコレで用いるクリップやエネルギーデバイスなどを使用して切離した. ラクターを使用している 技術的な特徴としては メリーランド型バイポーラ鉗子を多 胆嚢炎後の癒着症例や胆嚢管が肥厚し剥離 切離困難症例でも 5mm トロッカーを 用することであり これにより把持 剥離 凝固 切開が 1 本で可能となるため 結 12mm に変更して剥離やサイズの大きなクリップなどを用いて安全に処理した. 胆嚢 果として鉗子の入れ替え頻度を極めて少なくすることが可能となる バイポーラ鉗子に の摘出は 壁損傷を認めなければ 回収袋などを用いずに直接創部から摘出することが よる切開を使用している術者は少ないが 腹腔鏡手術 特に単孔式腹腔鏡手術において 可能である. は 非常に有用であり これを用いることにより鉗子の入れ替え頻度を少なくすること 単孔式腹腔鏡下手術の場合 トロッカー間の距離に制限があるため ある程度の両手元 が出来る の干渉は回避できない. しかし マルチチャンネルポート法での本手技は 両手元の干 ポートから目的臓器までの間が LAP-C に比べ観察困難である TANKO-C では 鉗子 渉は少なくこれまでに行ってきたマルチチャンネルポート法での手技よりストレス軽減 の入れ替え頻度を減らすことがブラインド部分での鉗子による臓器損傷を防ぐ最良の方 を図ることができた. 法だと思われる 単孔式腹腔鏡手術を安全に行うには ブラインド部分での臓器損傷を未然に防ぐ必要が あり バイポーラ鉗子を用いた手技が適していると考えており 手術ビデオを供覧し TANKO-C におけるメリーランド型バイポーラ鉗子の使用法を提示する

6 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV4-1 当科における結腸癌に対する腹腔鏡下手術の適応 371 RV4-3 当科における腹腔鏡補助下結腸切除術の適応の妥当性に関する 検討 中西 正芳 1, 國場 幸均 1, 村山 康利 1, 栗生 宜明 1, 市川 大輔 1, 藤原 斉 1, 岡本 和真 1, 落合登志哉 1, 園山 輝久 1, 大 英吾 1 1. 京都府立医科大学医学部消化器外科学部門 古畑 智久 1, 沖田 憲司 1, 西舘 敏彦 1, 山口 洋志 1, 信岡 隆幸 1, 目黒 誠 1, 木村 康利 1, 水口 徹 1, 佐々木一晃 1, 平田 公一 1 1. 札幌医科大学医学部外科学第一講座 当科では 2007 年 6 月より腹腔鏡下手術の適応を拡大し RS 領域を含む結腸癌に対し ては SE N2 までを対象としている さらに一部の SI 症例 bulky tumor も腹腔鏡下 目的 腹腔鏡補助下結腸切除術の適応は 術前診断で T4 N3 以外の全ての症例を腹 手術の適応に含め 開腹既往のある症例についても婦人科手術や虫垂切除は全例適応と 腔鏡補助下結腸切除術の適応としている この適応にて術式を決定した期間における し 癌に対する根治術後の症例も原則として適応としている 腹腔鏡下手術施行率と術後合併症発生率から適応の妥当性について検討することを目的 2007 年 6 月から 2010 年 5 月までに腹腔鏡下に切除した結腸癌症例は 291 例であっ た 占拠部位は虫垂 5 例 盲腸 27 例 上行結腸 48 例 横行結腸 26 例 下行結腸 14 例 S 状結腸 116 例 RS 55 例であった 病理学的進行度は stage 0: 24 例 Ⅰ: 82 例 Ⅱ: 85 例 Ⅲ a: 48 例 Ⅲ b: 23 例 Ⅳ: 29 例 病理学的根治度は A: 261 例 B: 2 例 C: 28 例であった 平均観察期間は 603.0±310.1 日とまだ短期であるが 再発症例は stage 0: 0 例 (0%) Ⅰ: 3 例 (3.6%) Ⅱ: 7 例 (8.2%) Ⅲ a: 8 例 (16.6%) Ⅲ b: 10 例 (43.5%) であっ た 原病死症例は 16 例 (5.5%) その病理進行度別内訳は stage Ⅰ: 1 例 (1.2%) Ⅱ: 0 例 (0%) Ⅲ a: 4 例 (8.3%) Ⅲ b: 3 例 (13.0%) Ⅳ: 8 例 (27.6%) であった またこの間に開腹コンバートとなった症例は 13 例 (4.4%) であり その理由は他臓器 浸潤が 7 例 癒着が 4 例 腹膜播種と出血が各 1 例であった 開腹既往例や他臓器浸 とした 対象と方法 2006 年 1 月 2010 年 9 月に当科において施行された結腸癌 潤を疑う症例も適応としているため 腹腔鏡で腹腔内を観察した上で開腹にコンバート する症例が大半であった 当科における手術適応は再発率や生存率から根治性の面で妥当であると考えられるが さらに長期成績の検討が必要である 他臓器浸潤例や開腹既往例については腹腔鏡下で 観察してコンバートするか決定している 軽度の腹壁浸潤や小腸浸潤は腹腔鏡下手術の 適応となりうるが 高度の膀胱浸潤や尿管浸潤など根治性や安全性が損なわれる可能性 がある症例では積極的にコンバートを考慮するようにしている 進行癌では原発巣や腫 大したリンパ節を鉗子で把持しないように愛護的な操作を行うことが重要であり 愛護 的な操作で切除が困難な症例では積極的に開腹へのコンバートを考慮すべきである 特 手術 227 例を対象とした 病期別 深達度別 リンパ節転移別 部位別の腹腔鏡下手術 施行率 手術時間 術中出血量 郭清リンパ節個数から現状を把握し 術後合併症につ いては 縫合不全 術後腸閉塞 創感染発生率について検討した 手術手技 手術は 基本的には 4 ポートで行い 腸管の授動は内側アプローチ 再建は V S は機能的 端々吻合 S RS は DST で行っている 最近 早期癌症例に関しては 単孔式内視 鏡手術を導入している 結果 腹腔鏡下手術は 192 例 85.9% に施行されおり 開腹 手術への移行は 2 例 1.0% であった 病期別では 0: 100% 1: 92.9% 2: 81.7% 3: 87.7% 4: 65.7% 深達度別では M: 100% SM: 100% MP: 92% SS: 87.6% SE: 69.2% SI: 50% リンパ節転移別では N0: 86.4% N1: 86.6% N2: 61.1% 部位別 では V: 71.4% C: 88.9% A: 68.2% T: 76% D: 77.8% S: 87.8% RS: 83.3% で あった 平均手術時間は 開腹下 (Op)361 分 腔鏡下 (LAC)238.3 分であり 平均術 中出血量は Op: 780ml LAC: 119.4ml であった 郭清リンパ節個数は Op: 20.5 LAC: 12.6 であった 縫合不全は Op: 5.7% LAC: 0.5% 創感染は Op: 5.7% LAC: 3.6% 術後腸閉塞は Op: 5.7% LAC: 2.1% であった 考察 Op では より 進行した結腸癌症例が選択されており そのため手術時間が長く 出血量が多くなって おり さらに術後合併症発生率も高くなっているものと考えられた 結語 我々の施 設において定めた腹腔鏡補助下結腸切除術の適応基準は 少なくとも短期予後について は良好なことから 妥当であるものと考えられた に中間リンパ節に腫大を認める症例では注意が必要である 当科において腹腔鏡下に施行しえた症例 開腹にコンバートした症例のビデオを供覧 し どの程度までの癒着や他臓器浸潤が腹腔鏡下手術の対象になるかについて検討 する RV4-2 結腸癌の腹腔鏡下手術の適応の現状について RV4-4 当院における腹腔鏡下結腸癌手術の適応と手術成績 長期予後 山本 稔 1, 早川 哲史 1, 田中 守嗣 1, 牛込 創 1, 小森 徹也 1, 齊藤 健太 1, 佐藤 崇文 1, 野澤 雅之 1, 宮井 博隆 1, 清水 保延 1 松村 直樹 1, 徳村 弘実 1, 松村 勝 1, 安本 明浩 1, 武藤 満完 1, 野村 良平 1, 西條 文人 1, 武者 宏昭 1, 高橋 賢一 2, 舟山 裕士 2 1. 豊田会刈谷豊田総合病院外科 1. 東北労災病院外科 内視鏡下手術センター, 2. 東北労災病院 外科 大腸肛門病セ ンター 緒言 結腸癌における腹腔鏡手術は定型化が進みその有用性より適応が拡大され 進 行癌にもついても積極的に導入されつつある. 当院においても結腸癌に対して十分なイ 当院では 1992 年 12 月より腹腔鏡下大腸癌手術を開始した. 開始当初は 早期大腸癌 ンフォームドコンセントの下 積極的に腹腔鏡手術を適応している. そこで当院のおけ に適応を限っていたが 徐々に Stage I D2 郭清に拡大し 2000 年以降は進行癌に適 る腹腔鏡手術の適応率の現状について部位別に Retrospective に検討した. また 部位 応拡大し MP 以深の症例に対しては原則的に D3 郭清を行っている. 結腸癌に対する 別ごとの定型化についてビデオにて供覧する. 腹腔鏡下手術の適応除外は 6cm 超の巨大腫瘍 腸閉塞合併例 多臓器浸潤例 遠隔転 対象 2007 年 1 月から 2010 年 10 月までに当院にて結腸癌 (直腸 RS 癌も含む) に て手術を施行した 402 例を対象とした. 移例 郭清時切離する血管根部のリンパ節転移例としている. 腹腔鏡下結腸癌手術の術 者の条件として 開腹大腸癌手術術者 30 例以上 腹腔鏡下胆嚢摘出術術者 50 例以上 結果 402 例中腹腔鏡下手術を施行した症例は 290 例 (72.1%) であった. 部位別で 腹腔鏡下大腸癌手術助手 30 例以上とし 最初は D1 2 の適応症例を行い 習熟度に は盲腸癌 33 例中 23 例 (69.7%) 上行結腸癌 97 例中 68 例 (70.1%) 横行結腸 47 合わせて D3 郭清を経験する. これまでの腹腔鏡下結腸癌手術症例は 盲腸癌 55 例 例中 27 例 (57.4%) 下行結腸癌 32 例中 20 例 (62.5%) S 状結腸癌 115 例中 80 例 上行結腸癌 107 例 横行結腸癌 63 例 下行結腸癌 21 例 S 状結腸癌 182 例 直腸 S 状部癌 47 例で合計 476 例であった.Stage 別では Stage 0:35 例 Stage I:200 例 Stage II:121 例 Stage IIIa:84 例 Stage IIIb:30 例 Stage IV:16 例であった. 平均手 術時間は右側結腸:231 分 横行結腸:267 分 下行結腸:275 分 S 状結腸:232 分 直腸 S 状部:242 分であった. 手術手技の定型化と手技の習熟により 最近の手術時間は右側 結腸: 分 横行結腸: 234 分 S 状結腸:199 分 直腸 S 状部:213 分と短縮化の傾 向が見られた. 開腹移行は 11 例 (2.3%) に認めた. 開腹移行の理由として 癒着 多臓 器浸潤 (卵巣) リンパ節多発転移判明例 肥満による術野展開の困難 出血 (クリッ プの脱落) 尿管損傷であった. 出血 尿管損傷例は 術者の経験数が少ない learning curve の時期に発生していた. 縫合不全例は 6 例 (1.2%) であった. 手術手技の定型化 のポイントは 術者は当然として 助手の鉗子 (持ち位置 牽引の方向) スコープの距 (69.6%) 直腸 RS 癌 69 例中 62 例 (89.9%) 虫垂癌 2 例中 2 例 (100%) その他 (複 数部位など)11 例中 8 例 (72.7%) であり 直腸 RS 癌が高率で横行結腸において腹腔 鏡下手術の適応が低率であった. しかし 年次別の推移でみると横行結腸癌についても 腹腔鏡手術は 2007 年 13 例中 7 例 (53.8%) 2008 年 23 例中 11 例 (47.8%) 2009 年 11 例中 9 例 (81.8%) と適応率は変移していた. Stage Ⅲ以上の進行癌に対する腹腔鏡の適応は 65.4% で部位別では盲腸癌 87.5% 上 行結腸癌 54.8% 横行結腸 27.8% 下行結腸癌 69.2% S 状結腸癌 68.9% 直腸 RS 癌 92.6% であった. 考察 術式としては 5 孔式で内側アプローチを基本とし 層構造を保持したアプロー チなどを定型化して導入することで適応を拡大している. 部位別の定型化として 回盲 部切除 横行結腸切除 直腸高位前方切除術を中心にビデオにて報告する. 離や斜視鏡の角度に至るそれぞれの役割とピットフォールの詳細をマニュアル化して周 知していることである.Power Point でマニュアルを作成し 動画をハイパーリンクさ せることでわかりやすくしている. 今回 マニュアルとしている手技のコツを提示する とともに 手術成績と予後を短中期の術後 5 年以内の 209 例 術後 5 年経過の 267 症例を検討し Stage 別の予後を提示する.

7 第 66 回総会 2011 年 7 月 372 RV4-5 高度進行大腸癌に対する腹腔鏡補助下手術の適応 RV5-1 横行結腸癌に対する内視鏡下手術の適応 渡邊 雄介 1, 奥村 幹夫 1, 真鍋 達也 1, 当間 宏樹 1, 植木 隆 1, 清水 周次 1, 田中 雅夫 1 中尾 光宏 1, 硲 彰一 1, 吉村 清 1, 吉野 茂文 1, 岡 正朗 1 1. 山口大学医学部消化器 腫瘍外科学 1. 九州大学病院第1外科 はじめに 進行癌に対しても腹腔鏡手術が行われるようになったが横行結腸癌では 近年 腹腔鏡補助下大腸切除術は低侵襲手術として一般的な普及に至っている 術後の D3 郭清において中結腸静脈や胃結腸静脈幹のバリエーションが多い点など術者の熟練 疼痛軽減 整容性から拡大視効果による精緻な手術手技 良好な視野の確保 共有がメ 度に左右されるところがあり 標準術式となるにはいたっていない 今回 横行結腸癌 リットとして挙げられている 当科では 1993 年から腹腔鏡補助下大腸癌手術を開始 し 現在では全大腸癌手術症例の内 90% 以上に対して腹腔鏡補助下手術を行ってお り 2010 年 8 月までに計 498 例に施行した 腫瘍の占居部位は盲腸癌 10% 上行結 に対する D3 郭清の手技のポイントを供覧し 現在の適応について報告する 対象 当科では過去 12 年間に 71 例の横行結腸症例のうち 44 例に対して腹腔鏡手術 を行った 適応は他臓器浸潤のない N1 までの症例としている 腸癌 14% 横行結腸癌 11% 下行結腸癌 4% S 状結腸癌 27% 直腸 S 状部癌 15% 手技のポイント 上腸間膜静脈 (SMV) の郭清を頭側に進めると副右結腸静脈や中結 高位直腸癌 9% 低位直腸癌 10% であった 腫瘍の術後深達度は M27 例 SM148 腸静脈を認め Henle の胃結腸静脈幹を形成するが ここはバリエーションが多いの 例 MP72 例 SS/A179 例 SE/SI/A17 例であった で尾側からの郭清はここまでとし 後の頭側からの視野と合わせて十分に解剖を確認す 5 年間無再発生存率は StageI 98.4 % StageII 90 % StageIII 79.4 % と開腹手術に る 視野を頭側に移し 胃結腸間膜を切離して網嚢にいたる 膵下縁で横行結腸間膜前 比較し同等もしくは良好な結果であった 葉を切離すると SMV が露出し 中結腸静脈を始めとする静脈系の解剖が明らかとな 当科の腹腔鏡補助下手術の適応は 1993 年から M/SM 癌よりはじまり 現在では SE るので この時点で結腸に向かう静脈を切離する 症例や A 直腸症例にも拡大を適応している 高度進行大腸癌に対する手技上のポイントとして ①体位変換の工夫による術野の展 結果 腹腔鏡下に開始した 44 例のうち肥満が原因による開腹移行例が初期の頃に 3 例あった 腺腫が 5 例 癌症例の Stage 別では Stage0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ a Ⅲ b Ⅳが 開 ②腫瘍を直接把持せず腫瘍細胞の散布防止を念頭にした術野の展開 ③止血力の高 それぞれ (例) であった D3 郭清は全て遂行され 全症例で根治 いデバイスを駆使して十分な腫瘍切離縁の確保に努める などが挙げられる 度 A の手術が施行された (Stage Ⅳの 2 例を除く) Stage Ⅲ a の 2 例は H21 年以 N2 リンパ節転移症例や後腹膜浸潤を伴う高度進行大腸癌に対する腹腔鏡補助下大腸切 降 Stage Ⅲ b の 1 例は H22 年以降に施行した 術後合併症は創感染を 3 例 腸閉 除術のビデオを供覧し 当科の手術手技を概説する 塞を 3 例 (1 例は解除術施行) 吻合部狭窄を 1 例に認めた 深達度 SS N0 Stage Ⅱの 1 症例で術後に肝転移を認めた 結語 横行結腸の進行癌に対する腹腔鏡手術は適応外 または小開腹を先行もしくは 追加し手術を行う施設は多い しかし 慎重な剥離操作と頭尾側からの視野を協調させ ることで D3 郭清は可能である 当院でも経験を積むことで適応を拡大し 他臓器浸 潤のない N1 までの症例 (主リンパ節に明らかな転移を認めない症例) に対し腹腔鏡手 術を行っている 現在までに腹腔鏡操作に起因する合併症や再発は認めておらず 横行 結腸の進行癌においても腹腔鏡手術はよい適応と考える RV4-6 最大径 5cm 以上の大腸癌に対する腹腔鏡下手術の安全性 RV5-2 横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術の適応 定型化への取り組み 内藤 剛 1 2, 鹿郷 昌之 1, 渡辺 和宏 1, 木内 誠 1, 森川 孝則 2, 三浦 康 1, 柴田 近 1, 小山 淳 3, 土屋 誉 3, 佐々木 巌 1 西澤 雄介 1, 杉藤 正典 1, 小林 昭広 1, 伊藤 雅明 1, 甲田 貴丸 1, 中嶋健太郎 1, 齋藤 典男 1 1. 東北大学大学院生体調節外科学, 2. 東北大学大学院消化器外科学, 3. 仙台市医療セ ンター仙台オープン病院消化器外科 一般外科 1. 国立がん研究センター東病院下腹部外科 大腸骨盤外科 背景 大腸癌において腹腔鏡手術は重要な治療選択肢として位置づけられ Stage Ⅳ 背景 進行結腸癌に対する腹腔鏡下手術 (LAC) の有用性はその低侵襲性のみなら に対する有用性の検討も始まろうとしている 一方で横行結腸癌の腹腔鏡手術は難易度 ず 腫瘍学的にも徐々に認められつつある 技術的にも内側アプローチが一般的とな が高いとされ 国内外での臨床試験では対象部位から除外されてきた 腹腔鏡手術が標 り いわゆる non-touch isolation technique に近い手技であること また郭清の質も 準化されるには 部位を問わず 開腹手術と同等以上の治療成績が求められる 進行癌 開腹手術と比較して遜色ないことが報告され その長期成績でも腹腔鏡下手術の有用性 に対しては 3 群郭清が標準治療であり 横行結腸癌症例も例外ではなく乗り越えるべき が示されつつある しかし腫瘍径が大きい場合や他臓器浸潤がある大腸癌においてはや はり LAC 施行が困難な場合が多い 我々は基本的には術前検査にて腫瘍径 5cm を 超える場合や他臓器浸潤が疑われる症例の場合は開腹手術を選択することとしている が 実際切除標本において最大径が 5cm を超えるものも多く存在した 今回我々は腫 瘍最大径が 5cm を超える進行大腸癌に対する LAC 施行例の短期手術成績ならびに長 期成績を検討しその妥当性を検討した 対象と方法 2007 年までの LAC 施行 408 課題であるといえる 当院での取り組み 当院では腹腔鏡手術を導入した 1995 年 2 月から 横行結腸癌に対 しても積極的に適応としてきた 2010 年 3 月までの 111 例を対象に 5 年毎に前期 中期 後期と分けた各期での周術期合併症検討 また 5 年以上の経過観察を終えた治癒 切除症例 49 例を対象に長期成績を検討した 成績 前期の合併症は開腹移行 1 例 早期腸閉塞症 4 例であった 中期では開腹移行 腸 5 例であった 開腹移行例は 2 例あり内 1 例は骨盤腔内で腫瘍径が大きく術野展 2 例 縫合不全 2 例 早期腸閉塞症 3 例 吻合部狭窄 3 例 術後出血 3 例であった 後期では開腹移行 5 例 早期腸閉塞症 3 例 吻合部狭窄 1 例 術後出血 3 例 下痢 3 例であった 5 年以上経過観察された治癒切除例での無病生存率 (%) は stage Ⅰ:Ⅱ:Ⅲ a で 100:92.3:83.3 であり 同時期の治癒切除大腸癌全体での無病生存率 stage Ⅰ:Ⅱ:Ⅲ a=97:84:69 に劣る結果ではなかった 横行結腸癌に対する 3 群郭清の課題と実際 (ビデオ供覧) ①限られた空間での視野展開 :上腹部の限られた空間での視野展開には助手の 2 本の鉗 開ができなかったため開腹移行となった 平均手術時間は 171 分 出血量は 46ml で 子を用た横行結腸間膜の展開に工夫が必要であり これによりはじめて血管の透見され あり 5cm 以下の大腸癌と差はなかった 組織学的深達度は SS/A が 24 例 SE が 2 ない間膜の厚い症例に対しても中枢郭清が可能となる 例であった LN 転移陽性例は 11 例 (42.3%) であり内 4 例は N2 であった 一方腫 ②支配血管根部と周囲臓器の関係 :中枢郭清の開始視野 間膜の切開開始線の定型化は 例中 切除標本で腫瘍最大径が 50mm 以上の大腸癌は 38 例 その内絨毛腺癌は深達 度が浅い割に腫瘍径が大きいことが多く 通常の腺癌とは比較が困難なため除外とし 病理学的に腫瘍深達度が SS 以深の 26 例を対象とした これらの症例において手術短 期成績ならびに再発の有無 予後を検討した 結果 腫瘍径の中央値は 60mm 最大 は 90mm であった 腫瘍局在は右側結腸が 9 例 横行結腸 3 例 左側結腸 9 例 直 瘍径 5cm 未満では LN 転移陽性例は 23% であった 合併症は認めなかった 再発は 2 例にのみ認め いずれも肝転移であった 内 1 例は術後 26 ヶ月で再発死している 死亡例はこの一例のみであった 結論 一般に腫瘍径が大きい大腸癌は鉗子での操作 が困難なこと 広範囲な LN 転移例が多いこと 術前診断できていない他臓器浸潤な どがあることなどの理由のため腹腔鏡下手術は推奨されない しかし今回の検討では 90mm 程度までの大腸癌であれば手術短期成績や予後の面からも LAC の有用性が示 される可能性があると考える 他部位の手術同様に重要である メルクマールとなる構造物は十二指腸水平脚および Treitz 靭帯である. 十二指腸水平脚と Treitz 靭帯を結ぶ仮想線より尾側で SMA および SMV からの結腸枝は分岐することから 間膜切開開始線は決定される ③支配血管の variation :不用意な出血を防ぐためにも 胃結腸静脈管 (gastro-colic trunk:gct) を露出し 副中結腸静脈の確実な処理が重要である (腹腔鏡手術における 拡大視効果) 結論 直腸癌を含めて標準化がなされつつある腹腔鏡手術において 最後に残された聖 域ともいうべき横行結腸癌に対しても定型化が急務である

8 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV5-3 左側横行結腸癌 下行結腸癌における脾彎曲部の授動の工夫 373 RV5-5 進行下行結腸癌に対する腹腔鏡下結腸左半切除 脾結腸曲授動 のコツ 旗手 和彦 1, 羽廣 健仁 1, 江間 玲 1, 吉田 宗紀 1, 渡邊 昌彦 2 1. 社会保険相模野病院外科, 2. 北里大学医学部下部消化管外科 大塚 幸喜 1, 板橋 哲也 1, 箱崎 将規 1, 加藤久仁之 1, 木村 聡元 1, 木村 祐輔 1, 新田 浩幸 1, 肥田 圭介 1, 佐々木 章 1, 若林 剛 1 腹腔鏡下大腸切除術は限られた施設ではあるが普及しつつある. とくに S 状結腸切除術 1. 岩手医科大学医学部外科学講座 や回盲部切除術は ほぼ定型化され安全に施行される術式となった. しかし 本邦の腹 腔鏡下手術 vs 開腹手術の RCT(JCOG 0404) でも適応外であった左側横行結腸 下行 目的 結腸癌に対する腹腔鏡手術 (LS) の中でも 下行結腸 は難易度の高い部位と 結腸癌は 中結腸動静脈のバリエーションの多さ 視野展開 解剖学的位置関係の把握 考えられる. 特に 脾結腸曲近傍の進行下行結腸癌は高度な技術を必要とされる. その の困難さから定型化にはいたっていない. われわれは横行結腸 下行結腸間膜の授動を 理由として 症例数が少なく learning curve が得られにくいこと 脂肪が厚く 癒着 比較的効率的 安全に施行する工夫を行っている. ビデオにて供覧する.<対象>2010 年 の多い脾結腸曲の授動が必要になること そして血管分岐形態が複雑であることが考え 8 月より本法を導入し左側横行結腸癌 2 例 下行結腸癌 2 例に施行した. 男女比 2:2 平均年齢 63.3 歳. 適応は csi 以外としている.<術式>内側アプローチにより S 状結腸 間膜を授動する. 下腸間膜動脈 (IMA) 根部から左結腸動脈 (LCA) の分岐部まで郭清 後 LCA 根部を結紮 切離し上直腸動脈を温存する. 同様の剥離層を維持しながら左 腎前面から外側まで 頭側は膵下縁を確認するまで剥離授動を施行した後に下行結腸外 側の腹膜を切開する. 脾彎曲部の大網を横行結腸に沿って切離すると 脾彎曲部の結腸 間膜は腎前筋膜からは腹側に挙上しているため 脾臓に近寄ることなく脾彎曲部を授動 できる. さらに横行結腸間膜も内側からの剥離 授動により膵下縁では膜様になって後 腹膜下筋膜より腹側に挙上されているため 中結腸静脈左側縁までの剥離 授動を安全 に施行できる. 中結腸動静脈領域の郭清は可能であれば腹腔鏡下で施行し 視野確保が 困難な場合は直視下で施行している. 吻合は DST または FEEA を施行している.<結 果>手術時間 (中央値) 275 分 ( ) 術中出血量 (中央値) 0ml(0-100) 術後入院期 間 (中央値)10 日. 術中副損傷 術後合併症は認めなかった.<まとめ>S 状結腸 直腸の られる. しかし この部位こそが 小さな切開創 良好な視野 という LS の最大の メリットを生かせる部位であるという考えから 当教室では進行癌に対しても積極的に 行ってきた. 今回 当教室で行っている脾結腸曲の授動を伴う進行下行結腸癌に対する LS の手技のコツといくつかのピットフォールをビデオで供覧する. 対象 2010 年 7 月までに大腸癌に対する LS804 例中 下行結腸癌に対する LS は 46 例 (5.7%). さら に 脾結腸曲授動が必要だった進行癌は 32 例 (4.0%) だった. 手技 ポートは 5 本. まずは右半側臥位 頭低位ではじめる. 内側アプローチにて下腸間膜動脈を温存 左結 腸動脈を切離し D3 を行う. 後腹膜下筋膜前面を頭側は膵下縁 尾側は SD junction 付 着部 外側は下行結腸付着部の広い範囲で内側から剥離する. 膵下縁のメルクマールは Treitz 靱帯レベルとしている. 半ガーゼを内側から挿入し外側 頭側からのメルクマー ルとする. 外側の授動は SD junction から脾結腸曲に向かう. 脾結腸曲の大網と脾結 腸間膜の処理はこの時点では無理をせず 横行結腸側から脾結腸曲を挟み撃ちするよう に攻める. 頭高位とし胃大網血管を頭側 横行結腸を尾側に牽引し胃結腸間膜を展開し 手術で施行している内側アプローチ の剥離層を連続させる操作により広範な下行結腸 正中より左側から網嚢を解放する. 胃結腸間膜 大網を 脾下極に向かい切離しその背 横行結腸間膜の剥離授動が安全に施行できる. 従来の手技と比較すると一定の視野 手 側にある横行結腸間膜を展開する. 胃を頭側に排除すると膵臓 その尾側に内側からの 技で鉗子操作ができ また心窩部のトラカールを 1 本減らすことができる.<結語>本術 半ガーゼの隆起が確認できるため膵下縁で内側と交通させる. その切離線を外側からの 式は S 状結腸 直腸手術で習熟した同様の手技と一定の視野で左側結腸間膜の授動が 剥離線と連続させ脾結腸曲を完全に授動する. 膵背側に流入する副動脈がある場合は深 広範に施行できる. 安全に脾彎曲部の授動がおこなえることにより 左側横行結腸 下 追いせず 膵下縁のレベルで切離している. 小開腹は左上腹部または臍頭側正中として 行結腸癌の標準化に向けた手技のひとつと考える. いる. 吻合後の間膜閉鎖は行っていないが 内ヘルニア対策として間膜欠損部を大網で 覆うようにしている. 結果 手術時間/出血量:162.2 分/21.6ml 郭清リンパ節個数中央 値 18 個 縫合不全 1 例 間膜欠損部内ヘルニア 1 例. 結語 進行下行結腸癌に対す る腹腔鏡下結腸左半切除は手技を定型化することで安全に施行可能である. RV5-4 腹腔鏡下結腸左半切除術における結腸脾彎曲授動操作の実際 川村純一郎 1, 長谷川 傑 1, 山田 理大 1, 大越 香江 1, 肥田 侯矢 1, 河田 健二 1, 坂井 義治 1 1. 京都大学医学部付属病院消化管外科 RV5-6 脾弯曲寄り下行結腸癌に対する内視鏡下左側結腸切除術 脾弯 曲授動と D2+No.253 サンプリング 佐々木 勉 1, 奥村 晋也 1, 錦織 達人 1, 政野 裕紀 1, 近藤 正人 1, 内藤 雅人 1, 浅生 義人 1, 山之口 賢 1, 古山 裕章 1, 吉村 玄浩 1 1. 天理よろづ相談所病院腹部一般外科 背景 結腸脾彎曲部の剥離授動操作は高度の技術が要求されるため 左結腸曲近傍の 横行 下行結腸癌に対する内視鏡下手術の適応は 未だコンセンサスが得られていな 背景と目的 内視鏡下結腸切除術において結腸脾弯曲部の授動は膵 脾損傷の危険が い 結腸脾彎曲部においては 膜解剖が複雑な上 大網と周辺臓器の癒着も症例による あり手技的に難しいとされるが 当科ではレジデントでもおこなえるように術式を定型 バリエーションがあり 手技の定型化は容易ではない 個々の症例に応じて 内側アプ 化しており 脾弯曲寄りの下行結腸癌に対し現在までに 18 例の左側結腸切除を施行し ローチによる剥離授動操作に加え 外側からの剥離授動操作を行っている 当施設にお た その成績から本術式の妥当性を検討する 手術手技 5 ポートで臍のカメラと術 ける腹腔鏡下結腸脾彎曲授動の手技の実際と手術成績を供覧する 者右手が 12mm 他 5mm ポートを使用 トライツ靭帯を確認し下腸間膜静脈 (以下 手術方法 下腸間膜静脈 (IMV) の内側から入り 腎筋膜前面と下行結腸間膜の間を十 IMV) を腹側へ挙上 その背側から左結腸間膜背側 腎筋膜前面に入る できるだけ外 分に剥離する 頭側は膵下縁 外側は white line まで剥離する そして 横行 下行 側 頭尾側へ左結腸間膜を授動する 膵下縁までしっかり授動しておくことが以下の操 結腸間膜を扇状に挙上し IMV を膵下縁で処理する つぎに 膵下縁で結合組織膜を 作を容易にする IMV を膵下縁で切離し横行結腸間膜基部を切開して網嚢内へ入る 切開し結腸間膜内へ進入するし 膵下縁を確認しながら横行結腸間膜前葉を切開すれば 横行結腸間膜と左側結腸間膜の連続性を明らかにするように緊張をかけると膵下縁と 網嚢腔に到達する 結合組織膜と横行結腸間膜前葉の 2 枚の膜を意識しながら 膵周 結腸間膜の付着部が明らかになるので 膵尾部方向に剥離 切離を進めて脾弯曲結腸壁 囲脂肪組織との付着部を外側へ剥離 切離していくと 下行結腸が膵から完全に授動さ まで到達する 次に先ほどの左結腸間膜の授動を尾側へ可及的に進める 左結腸動脈 れる 最後に大網と下行結腸外側の腹膜を切離すれば授動は完了する 外側からの剥離 (以下 LCA) を残して剥離を進めた方が間膜に緊張がかかりやりやすいがその立ち上が りが角度的に妨げになれば先に LCA を切離する No.253 リンパ節 (以下#253) を郭 清 サンプリングし LCA の分岐を確認し根部で切離して IMV も同レベルで再度切 離する 最後に大網 white line の attachment を頭側 外側からのアプローチにて 授動では 下行結腸を尾側へ牽引し 外側から white line を切離し内側からの剥離層 と連絡させる 大網を左側より結腸付着部で切離し網嚢内に入り 膵臓の位置に留意し て横行結腸間膜を処理する さらに大網を左側から処理し脾弯曲授動を完了する 成績 2005 年 7 月より 2010 年 11 月までに左側横行結腸 5 例 および下行結腸癌 切離して脾弯曲左側結腸の授動を完了する 肛門側腸管を体内で切離 臍ポート創を延 25 例に対して腹腔鏡下結腸左半切除術を施行した 手術時間 分 ( ) 出 血量 68ml(26-88) 開腹移行を 2 例 (いずれも高度癒着例) に認めた 術中合併症は認 長して 吻合は体外で機能的端端吻合にて行う 腹腔内を十分に洗浄し閉腹し ドレー めず 術後縫合不全も認めなかった らの剥離授動操作を行うことで より安全な結腸脾彎曲授動操作が可能であると考えて 血量 35g #253 郭清/サンプリング症例のリンパ節検索個数 13 個 腫瘍最大径 3cm PM/DM は 7/8cm 術後在院日数 12 日 (以上いずれも中央値) #253 郭清/サンプリ ング 14 例 (77.8%) で mp 以深 14 例であった 合併症は縫合不全 0 例 イレウ ス 創感染を各 1 例に認めた <長期>手術時遠隔転移のあった 2 例が原癌死 1 例が No.216 リンパ節転移再発生存中 15 例は無再発で生存中である 考察 当科での定 いる 型化された内視鏡下左結腸切除術の短中期成績も容認できるものと思われた 手術方法 結語 結腸脾彎曲の授動操作では 脾臓 膵臓 胃 結腸の空間的な位置関係 膜解剖 の理解が必要なのに加え それらの臓器損傷を防ぐための適切な操作が必要である 内 側アプローチによる剥離授動操作だけでなく 術中の状況に応じて外側あるいは頭側か ンは留置していない 結果 <短期>年齢 68 歳 BMI 23.0 手術時間 267 分 出 をビデオにて供覧する 手術時間の短縮が今後の課題である

9 第 66 回総会 2011 年 7 月 374 RV6-1 進行癌への適応拡大のための腹腔鏡下右側結腸切除術の剥離層 RV6-3 右側結腸進行癌に対する中結腸動脈周囲リンパ節郭清を伴う腹 定型化の検討 腔鏡下大腸切除術 坂元 克考 1, 間中 大 1, 小林 晶 1, 横山 大受 1, 神頭 聡 1, 吉野 健史 1, 小西小百合 1, 濱洲 晋哉 1, 西躰 隆太 1 安井 昌義 1, 三嶋 秀行 1, 池永 雅一 1, 宮崎 道彦 1, 江 正徳 1, 宮本 敦史 1, 平尾 素宏 1, 藤谷 和正 1, 中森 正二 1, 仲 利政 1 1. 京都桂病院消化器センター 外科 1. 大阪医療センター外科 腹腔鏡下結腸切除術 (以下 LAC) は定型化に向 はじめに 大腸癌治療ガイドラインでは腹腔鏡下手術は cstage0 および I が良い適 け 手技が整理されてきたが 筋膜構造の理解や 応であるとされ cstageii cstageiii 大腸癌に対しては習熟度を充分に考慮して適応 実際の剥離層 アプローチ法に関しては施設 術 を決定すべきとされている. 特に横行結腸の進行癌に対する腹腔鏡下手術においては 者において相違がみられる 今回は右側結腸にお 中結腸動脈周囲の D3 リンパ節郭清を施行する必要がある場合 解剖学的に難易度が いて正しい筋膜構造を理解した上で 手技的に容 高いと考えられるため 充分な解剖学的知識とメルクマールに沿った定型化した手術が 易な LAC における剥離層による授動法を提示し 望ましいと考えられる. またその腫瘍学的安全性も示して進行癌へ適応拡 腹腔鏡下手術手技 中結腸動脈周囲リンパ節郭清を伴う手術手技を次の如く定型化し 大することを目標として検討した 必要理解は① ている. ①腹膜切開:横行結腸間膜を腹側に挙上し 十二指腸水平脚 (結腸右半切除症例 左右結腸は後腹膜に癒合し Toldt 癒合筋膜を形成すること ②癒合筋膜を癒合前の状 では回結腸動静脈) トライツ靭帯をメルクマールとして腸間膜腹膜を切開し 後腹膜 態に外科的手技で復帰させるのは困難であること ③腹膜の外側には常に腹膜下筋膜深 下筋膜前面を露出する. ②上腸間膜動脈 (SMA) 前面の神経叢と上腸間膜静脈 (SMV) 葉が存在すること ④右側頭側において右 Toldt 癒合筋膜は十二指腸によって膵前筋 の露出:尾側から頭側に郭清を行う. ③中結腸動脈左側と胃結腸静脈幹 (GCT) の露出:中 膜と Treitz 膵後筋膜に分かれること である その上で図のごとく いわゆる後腹膜 結腸動脈根部に至り 同レベルで SMA 左側と SMV から分枝する GCT を露出する. アプローチから Toldt 癒合筋膜とその背側の腹膜下筋膜深葉との間を剥離する この ④結腸授動と網嚢開放:後葉からのアプローチでは血管の処理を行わずに 結腸間膜の 層は剥離が容易である上に 固い Toldt 癒合筋膜が切除側に付着するため 腫瘍から 前葉側からのアプローチに移行する. ⑤膵頭部の露出:胃を挙上し 横行結腸間膜を尾側 の距離がより確実に確保できる しかし前述の剥離層を頭側にすすむと十二指腸の背側 へ牽引し 膵頭部前面を露出する層を求めることで 胃結腸静脈幹から分枝する副右結 に入るため 十二指腸が出現した時点でその尾側で右 Toldt 癒合筋膜を背側から意識 腸静脈の確認が容易となる. ⑥膵下縁同定:膵頭部から連続して 膵体部で膵下縁露出す 的に切開し 膵前筋膜の前面に層を乗り換える必要がある (図) この剥離層での結腸 ることで 上腸間膜静脈および動脈の前面に到達する. ⑦上腸間膜静脈から分枝する右 授動は手技的にも容易で 腫瘍学的安全性も併せ持った方法であり 進行癌へも適応可 結腸系静脈の切離⑧中結腸動脈根部の郭清:中結腸動脈根部のリンパ節郭清および血管 能である またその十二指腸剥離方法も解剖学的筋膜構造を正しく認識した方法である 処理を横行結腸間膜の前葉側から行う. ことを膵頭十二指腸周囲の (顕微鏡的) 組織学と合わせて検討したため 本術式と合わ せて報告する 手術短期成績 手技を定型化した 2009 年 1 月から 2010 年 10 月までに当院で横行 結腸癌に対する D3 リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下大腸切除術を 10 例に施行した. 手術 時間は 274 分 (平均値) 出血量は 20ml(平均値) であった. 術後出血や縫合不全 膵液 瘻などの合併症を認めなかった. 術後在院日数は 9 日間 (平均) であった. 現時点での当院で定型化した右側結腸進行癌に対する中結腸動脈周囲リンパ節郭清を伴 う腹腔鏡下大腸切除術の手術術式について供覧する. RV6-2 腹腔鏡下結腸右半切除における安全な D3 リンパ節郭清 RV6-4 進行横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術の適応拡大と手術成績 關野 考史 1, 山田 卓也 1, 木村 真樹 1, 加藤 喜彦 1, 高橋 啓 1, 渡辺 卓 1, 竹村 博文 1 秋山 有史 1, 髙金 明典 1, 早川 善郎 1, 入野田 崇 1, 舩渡 治 1, 菅野 将史 1, 目黒 英二 1, 小林 慎 1 1. 岐阜大学大学院高度先進外科学 1. 函館厚生院函館五稜郭病院外科 腹腔鏡下結腸右半切除において surgical trunk を露出し D3 リンパ節郭清を行なう 背景 腹腔鏡下手術の普及に伴い進行結腸癌に対する腹腔鏡下手術は年々増加してい 手技は 膵頭部 十二指腸との位置関係 胃結腸静脈幹 右胃大網静脈 副右結腸静脈 る. しかし横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術は主に血管系のバリエーションや解剖学的 の解剖の把握 上腸間膜静脈を露出する点などにおいて難しい この手技を安全かつ正 な複雑さにより難易度が高く 一般的に安全性が確立した術式とは言い難い. 当科では 確に行なうためのわれわれの手技をビデオで供覧する (手技) まず大網中央部から盲 腹腔鏡下手術手技の習熟に伴い 段階的に進行横行結腸癌にも適応を拡大してきた. 当 嚢内に入り 肝彎曲部を尾側に授動し膵頭部 十二指腸を露出する 上方アプローチ 科で施行した横行結腸癌に対する腹腔鏡下結腸切除術 (LAC) の手術成績を検討した. を 3D(directional)-retraction を意識した手技でシンプルかつ合理的に行う まず 術 対象 当院で 2009 年 1 月から 2010 年 12 月までに横行結腸癌に対し LAC を施行 者が患者左側に立つ 助手の左手で胃中央部大彎側あるいは右胃大網動静脈の pedicle した 16 例中 D3 郭清を施行した 11 例を検討した.LAC の適応は深達度 SE までで を腹側へ挙上 助手右手が大網あるいは横行結腸を右側に牽引 術者左手で大網あるい SI 症例 減圧していないイレウス症例は除外した. 手術手技 右側横行結腸癌に対す は横行結腸間膜を把持し三角形に展開する 大網と横行結腸間膜の癒合部に tension る手術手技を供覧する. 術者は脚間に位置し 内側アプローチで手術を開始する.(拡大) をかけながら剥離を進める 胃結腸静脈幹 副右結腸静脈を明らかにし 副右結腸静脈 結腸右半切除術の場合は回結腸動静脈の尾側から腸間膜の剥離を開始し 十二指腸を確 は切離する 基本的にはこの三角形の牽引を保ったまま剥離を右側に進めていく これ 実に背側に落とす. 横行結腸切除の場合は回結腸動静脈を温存し 十二指腸右側から内 で肝彎曲部の授動 膵頭部 十二指腸下行脚との剥離が可能である その後横行結腸を 側アプローチを開始する. いずれの場合も回結腸静脈をメルクマールにして SMV 前面 頭側に翻し 助手が回結腸動静脈の pedicle を把持挙上し その尾側で超音波凝固切 に到達し surgical trunk に沿って膵下縁に向けて郭清を進める.SMA 前面から中結 開装置を用いて腸間膜の切離を開始する 十二指腸水平脚 膵頭部に達し 上方アプ 腸動脈を確認し 中結腸静脈 胃結腸静脈幹 (GCT) を同定した時点で尾側方向からの ローチの層とつなげる 上腸間膜静脈前面を露出し回結腸静脈流入部を明らかにし切離 郭清操作から頭側 網囊側からの操作に移る. 尾側からの剥離操作では 可及的に後腹 する 回結腸動脈も根部で切離する 上腸間膜静脈の露出を頭側に向かって超音波凝固 膜下筋膜前面を肝下面まで剥離しておく. 網囊を解放後に右胃大網静脈を確認し GCT 切開装置を用いて鈍的に行なう 先端の形状からこの剥離には超音波凝固切開装置が最 に流入する結腸枝のみを根部で処理することで GCT を確実に温存する. 支配動脈を も適していると考えている 膵頭部と上腸間膜静脈の間に存在する索状物を切離しなが 確認して切離ラインを決定し 最終的に支配動脈の根部を処理し D3 郭清を完成させ ら 右結腸動脈 中結腸動脈の根部に達する 右結腸動脈があればこれを根部で切離す る. 再建は小切開創外で機能的端々吻合を施行する. 結果 男性 6 例 女性 5 例. 術式 る 中結腸動脈根部を明らかにした後 腸管にむかって血管の露出を進め 中結腸動脈 は結腸右半切除 4 例 横行結腸切除 7 例. イレウスの減圧が不良で開腹移行となった 右枝に到達の後これを切離し 伴走する静脈も切離する 症例が 1 例. 術中偶発症は認めなかった. 手術時間 分 出血量 23.6ml. 術後合併 症は創部 SSI(浅層)2 例. 術後在院日数は 11 日.1 例に肝転移再発を認めたが 現在ま でに根治度 A 症例の全例が生存中である. 結語 進行横行結腸癌に対する LAC は安 全に施行可能で短期成績は満足出来るものと考えるが 部位別 術式別の定型化が今後 の課題である.

10 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV6-5 肝弯曲から横行結腸部癌に対する腹腔鏡下手術への適応と手順 375 RV7-1 下部直腸癌に対する側方郭清と TNM 分類第 7 版による予後の 検討 花井 恒一 1, 前田耕太郎 1, 佐藤 美信 1, 升森 宏次 1, 小出 欣和 1, 松岡 宏 1, 勝野 秀稔 1, 野呂 智仁 1, 本多 克行 1, 塩田 規帆 1 1. 藤田保健衛生大学大学院下部消化管外科学分野 小林 宏寿 1, 樋口 哲郎 1, 榎本 雅之 1, 植竹 宏之 2, 飯田 聡 1, 石川 敏昭 2, 石黒めぐみ 1, 加藤 俊介 1, 杉原 健一 1 1. 東京医科歯科大学大学院腫瘍外科学, 2. 東京医科歯科大学大学院応用腫瘍学 腹腔鏡下大腸切除術は 手術器具の開発や光学機器の発展で安全性が向上するとともに 拡大視効果により繊細な手術が可能となり 進行結腸癌や直腸癌に対しても適応拡大が なされてきた. 当科でも本手術を 1995 年より適応を徐々に拡大し 手術操作が比較的 容易な上部直腸から S 状結腸ならびに上行結腸癌に対しては進行癌においても適応と している. 一方横行結腸癌の手術では 上腸間膜系血管の分岐形態が複雑で支配血管の 郭清範囲の同定が難しいことや肝膵脾腎など実質臓器近傍の授動操作は 重大な偶発症 や腫瘍近傍の腸管損傷による癌細胞散布の危険性から難易度が高く 慎重に適応を考え てきた. 今回は それらの問題点に配慮した肝弯曲から横行結腸癌に対する手技と手順 について報告する. 体位:頭高位で左右に傾斜 手術手順:1) 小腸を下腹部へ排除し十二指 腸の走行を確認する 2) 病変部を確認の上 横行結腸を頭腹側に吊り上げ 内側から腸 間膜を透見させ支配血管を確認する. 郭清範囲の腸間膜にラインを作成する.3) 右半結 腸切除の場合は 回結腸血管鞘の尾側で腸間膜を切開後 後腹膜筋膜前面の層で十二指 腸膵頭部を背側に落とし肝弯曲近傍まで上行結腸間膜を授動する. 中枢側郭清は SMV を露出後 その前面で剥離しリンパ節郭清と回結腸血管の処理を行い GCT が確認で きるまで郭清する.(横行結腸切除では回結腸動静脈の処理は行わず その頭側の腸間膜 を切開し授動を進める)4) 膵や静脈損傷を避けるために頭側から操作する. 横行結腸の 中央で大網を切開し網嚢に入り 膵下縁に沿って横行結腸間膜を授動する. 右側方向へ 胃膵結腸間膜付着部を切開すると右胃大網静脈と下前膵十二指腸静脈が確認でき 結腸 支配静脈を処理する. 横行結腸切除では中結腸静脈を処理する.5) 横行結腸支配血管周 囲郭清は 結腸間膜を再度頭側へ吊り上げ 網嚢側から授動してきた横行結腸間膜を交 通させる. 病変部によって支配血管を再度同定し 中結腸動脈領域の郭清を行った後処 理する.6) 大網の付着部から肝結腸間膜方向への授動の際は病変近傍の損傷に配慮して 操作する. 回盲部から外側の授動と肝弯曲の授動と交通させる. 結語:肝弯曲から横行結 腸癌に対する腹腔鏡手術では 3) の授動を十分行っておくことで肝弯曲部の病変近傍 の操作が容易に行え その損傷を回避できる. さらに 膵や静脈損傷を予防する面から 内側外側両方向から中枢側郭清を行うことなどが安全面と根治面で重要である. 背景 大腸癌治療ガイドラインでは腹膜翻転部より肛門側に局在し 術前診断で壁深 達度 A 以深の病変に側方郭清が推奨されている. また これまでの研究で直腸間膜内リ ンパ節転移陽性例においても側方リンパ節転移陽性例が多く 側方郭清の適応となる. 側方郭清は 側方領域に転移を認めない場合に行う予防的側方郭清と 側方リンパ節に 転移を認める場合に行う治療的側方郭清に大別され 予防的側方郭清では全自律神経温 存を伴う側方郭清を行う. 治療的側方郭清では 当科においては転移陽性側の骨盤神経叢 は合併切除し 内腸骨系血管への浸潤を認める場合には血管も合併切除する. 大腸癌研究会のプロジェクト研究によると 263D 263P 283 への転移が 側方リンパ 節転移の 92.3% を占める. よって 実際の手技としてはこの部位の郭清を重点的に行う こととなる. 筆者らの標準的な手技の特徴は. 1. 尿管および上下腹神経叢 両側下腹神経にテーピングした後 総腸骨領域頭側より郭 清を開始し そのまま外腸骨領域尾側まで郭清を進める. その際 郭清範囲の頭側端およ び尾側端はリンパ漏予防のため結紮する や 263D 尾側における視野が解剖学的な理由で不良な場合には 腹膜外アプロー チを併用する. 3. 温存する自律神経周囲の操作では可能な限り電気メスの使用を避ける. 4. 予防的郭清では上膀胱動脈だけでなく 下膀胱動脈も温存する (術後排尿障害の予防). 手技を供覧するとともに当科における下部直腸癌の治療成績について検討する. 方法 1991 年から 2007 年までに当科にて治癒切除術を施行した深達度 SM 以深の下 部直腸癌 200 例を対象とし TNM 第 7 版に従って予後を検討した. 結果 側方郭清は 58 例 (29%) に行われた.5 年生存率は Stage I: 97.3% Stage II: 83.8% (IIA: 83.4% IIC: 100%) Stage III: 64.9% (IIIA: 88.5% IIIB: 70.4% IIIC: 22.3%) であった (観察期間中央値は 3.8 年). 局所再発率は 9.0% であった. 結語 側方郭清の手技については 解剖学的個人差を考慮し合併症の予防に努めるとと もに 病変の進行度に応じて過不足のない郭清を心がけるべきである.TNM 第 7 版は予 後をよく反映する一方で 非常に煩雑な分類であること 各病期の症例数の偏りがあり 下部直腸癌においては Stage IIIC のみ極端に予後が悪いなどの問題点も認められた. RV6-6 横行結腸進行癌に対する腹腔鏡下手術 RV7-2 側方郭清を伴う直腸癌手術例の長期成績 戸田 重夫 1, 的場周一郎 1, 黒柳 洋弥 1, 富沢 賢治 1, 花岡 裕 1, 森山 仁 1, 澤田 寿仁 1, 橋本 雅司 1, 宇田川晴司 1, 渡辺 五朗 1 小林 昭広 1, 齋藤 典男 1, 杉藤 正典 1, 伊藤 雅昭 1, 西澤 雄介 1, 中嶋健太郎 1, 甲田 貴丸 1, 錦織 英知 1, 神山 篤史 1, 邑田 悟 1 1. 虎の門病院消化器外科 1. 国立がん研究センター東病院下腹部外科 大腸骨盤外科 背景 目的 横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術は中結腸動脈 (MCA) 周囲のリンパ節 はじめに 我々は側方郭清の適応を術前 II-Ⅳ期の進行下部直腸癌としている 側方 郭清や腫瘍部位による適切な切除範囲決定が困難であること 横行結腸癌の頻度が少な 転移症例では十分な EW 確保のために神経血管または近接臓器の合併切除をおこな いことから 手技の定型化が困難である 横行結腸間膜の基部は左右に広く その右側 うが 浸潤がない場合は神経血管温存手術を原則としている 手技 1.263D 263P 端は副右結腸静脈 (ARCV) の胃結腸静脈幹 (GCT) への流入部 左側端は下腸間膜静 離すると後の授動が容易になる 横行結腸間膜の左側端である IMV 処理部から MCA (270) を郭清 283 と 263D の境界部分となる挙筋前腔に連なる部分を意識 している 結果 1992 年から 2005 年の根治度 A B 直腸癌手術症例のうち側方郭 清をおこなった 303 例 観察期間中央値 6.8 年 側方リンパ節転移は 61 例 (20%) 転移部位は内腸骨血管から神経までを B 領域 ( ) 内腸骨血管の外側を C 領 域 ( ) とした 側方郭清例 (303 例)/側方転移例 (61 例)(B 領域までの転移 (16 例)/C 領域への転移 (45 例)) の 5 年生存率はそれぞれ 74.6% 50.3%(50.0%/56.3%) で 5 年無再発生存率は 62.8% 37.1%(37.5%/37.1%) であり 5 年局所再発率 (鼡径 リンパ節再発は除く) は 14.9% 28.4%(21.2%/29.3%) であった 神経血管全温存手 術が 227 例 (75%) に施行 神経血管全温存例の側方転移例 (17 例) でも 5 年局所 再発率は 22.1%(3/17) であった 術前側方転移の正診率 72%(31/43 例) 疑陽性率は 12%(30/260 例) 側方転移の危険因子は 術前リンパ節転移 術前 CEA CA19-9 高 左枝を根部処理する いずれの術式でも膵の位置を意識して損傷しないように細心の注 値であった 多変量解析で予後不良因子および局所再発危険因子は 肛門非温存 術前 意を払う リンパ節転移陽性であった 側方郭清後の局所再発例 (43 例) で 5 年生存例は 9 例認 脈 (IMV) の膵下縁流入部と考えられる 当院ではこれに基づき術式を選択し 手術手 技を定型化している 術式選択 手術手技 肝弯曲から中央部までの腫瘍では右半結腸切除 脾弯曲よりの腫 瘍では脾弯曲授動を伴う横行結腸切除 左半結腸切除を行う 右半結腸切除:回結腸静 脈を根部で処理し 上腸間膜静脈を露出してから中枢側に郭清を行う 膵頭部を確認し た上で ARCV を GCT への流入部で処理する その部位が横行結腸間膜の右側端であ る そこから MCA 右枝根部処理を行う 左半結腸切除:左結腸動脈を根部で処理して から下行結腸間膜を後腹膜から頭側へ剥離する 膵下縁で IMV を処理した後 大網後 葉の後大網枝を処理して膵の腹側 すなわち網嚢に入る 内側から可及的に脾弯曲を剥 結果 1999 年 2010 年に施行した横行結腸進行癌に対する根治度 A 腹腔鏡下手術 めるが そのうち局所再発術後無再発は 2 例のみである (結語) 側方転移例の 5 年生 は 113 例であった 開腹移行は 2 例あり 移行理由は腹腔内癒着 1 例 腸管損傷 1 存率は 50% であり 約 1/3 が無再発生存しており側方郭清の意義はあると思われた 例 右半結腸切除は 36 例 横行結腸切除/左半結腸切除は 77 例 リンパ節郭清度は 側方転移例でも神経血管部分温存手術が QOL を重視した標準手術になる可能性があ D2/D3 が 52/61 例 病期はⅠ/Ⅱ/Ⅲ a/Ⅲ b がそれぞれ 18/54/30/11 例であった 手術 時間は 205 分 ( 分) 出血量は 57g(0-1000g) 術後合併症は縫合不全 2 例 腸閉 塞 9 例であった 再発は 20 例に認め (観察期間中央値 30 か月) その内訳は肝 11 例 リンパ節 4 例 腹膜 3 例 肺 1 例 局所 1 例であった 5 年累積生存率は Stage Ⅰで 90% Ⅱで 90% Ⅲ a で 93% Ⅲ b で 40% であった る しかし肛門非温存 術前リンパ節転移例では予後および局所コントロールともに 不良であり 術前治療を考慮すべきなのかもしれない 予防的郭清の意義に関しては JCOG0212 の結果が待たれる 結語 横行結腸間膜の解剖を正確に理解することで 横行結腸進行癌に対しても定型 化された安全な腹腔鏡下手術が可能であり その成績も妥当であった

11 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV7-3 歯状線に浸潤を認めない下部直腸癌において骨盤内リンパ節再 376 RV7-5 当科における下部進行直腸癌に対する腹腔鏡下側方郭清術 発は側方郭清を行うことにより制御できる 小林 靖幸 1, 浜野 孝 1, 本間陽一郎 1 中村 信治 1, 小山 文一 1, 中川 正 1, 内本 和晃 1, 植田 剛 1, 錦織 直人 1, 藤井 久男 1, 中島 祥介 1 1. 聖隷浜松病院大腸肛門科 1. 奈良県立医科大学附属病院消化器 一般外科 小児外科 直腸癌の側方郭清における適応基準は 大腸癌治療ガイドラインでは腫瘍下縁が腹膜反 下部直腸癌に対する腹腔鏡手術は通常開腹術では困難な視野であっても視野の確保が可 転部より肛門側にあり かつ固有筋層を越えて浸潤する症例とされているが 当院では 能で 神経温存 剥離層維持の観点からもその意義は大きい. しかし下部進行直腸癌に 固有筋層以深の症例において側方郭清を原則的に行っている. 対しては側方郭清の問題があり その手技は煩雑で困難なことから一般的に腹腔鏡手術 当院における側方郭清の順番は No.273 No.293 No.283 No.263P No.263D の順 の適応とはなっていない. にて右側より行う. また自律神経への直接浸潤がない限り 自律神経は全温存している. 我々はこれまでに開腹側方郭清例の検討から No.263D と No.283 に郭清効果が高い TME にて直腸の処理を開始する前に下腹神経叢にテーピングを行ない自律神経の走行 がわかるようにしておく. 直腸切離あるいは切断後側方郭清を開始. 切開した後腹膜を 内側から外側に剥離し 尿管を同定. 尿管テーピング後に腹部大動脈分岐部から内外腸 骨動脈分岐部までの No.273 より開始し 総腸骨静脈腹側を露出する. 次に No.293 を 外腸骨動脈に沿って腹腔内から出ていくレベルまで行う. 露出した外腸骨動脈にテーピ ング後に内側に牽引し No.283 へ移行. 内外腸骨動脈分岐部から閉鎖斜筋の内側を郭 清. 大腰筋の下方にて閉鎖神経を同定後 その腹側を尾側へ進める. 閉鎖動静脈同定し その奥の脂肪織までを No.283 とし切除している.No.283 転移をみとめる症例の多く はこの膀胱側腔に転移リンパ節を認める.No.263P は内外腸骨動脈分岐部より上膀胱動 脈分岐までとし No.263D はその尾側を行う.TME 時にテーピングした下腹神経叢を こと また放射線療法では長期の局所制御は得られないことを明らかにしてきた. そし 牽引しながら内腸骨動脈に沿って進み 骨盤神経叢を確認しながらその外側を内腸骨動 し施行し 郭清時間 (中央値) は左側 115 分 右側 111 分 平均側方郭清個数は 14 脈末梢まで行う. 左側を同様に行った後 No.280 から No.270 にかけて郭清を行う. 個 直腸切除を含めた平均出血量は 240ml であった. 排尿 性機能障害はなく 合併 ここでも自律神経は全温存しておこなっている. 症は術後腸閉塞およびストマ周囲膿瘍を 1 例ずつ認めた. 当院にて 2000 年 1 月から 2007 年 12 月までに根治手術 (R0) がなされ 腫瘍下縁が 腹腔鏡下側方郭清は 手術時間は延長するが比較的安全に施行でき 根治性 低侵襲 腹膜反転部より肛門側にあり 明らかな遠隔臓器への転移を有さない 156 例を対象に 性 機能温存を有する術式へ発展する可能性を秘めているものと考えられた て 2009 年 7 月より下部進行直腸癌の術前側方転移陰性例に対し十分なインフォーム ド コンセントのもとに腹腔鏡下側方郭清術を開始した. 今回その手術手技を供覧する. 臍部 両側腹部 両下腹部の 5 ポートでフレキシブルスコープを用いる. 上方向郭清 直腸切除後に側方郭清を施行する. 術者は郭清側の対側に立ち 対側のポートから操作 を行う. まず尿管を剥離し 続いて下腹神経 骨盤神経叢の走行を明らかにし温存しつ つ内腸骨血管との間の No.263P/D を郭清する. 次いで内外腸骨動脈間から閉鎖孔に入 り No.283 の郭清を行う. 内側で内腸骨血管の分岐形態を明らかにしつつ 外側では腸 腰筋 内閉鎖筋の筋膜を露出する層で剥離を進め 閉鎖神経が骨盤外に出るレベルまで 郭清する. 閉鎖孔深部においても 良好な視野確保が可能であった. これまで 7 例に対 検討した. その内訳は歯状線に浸潤を認めない Rb 腫瘍 131 例. 浸潤を認める Rp 腫瘍 25 例である.Rb 腫瘍 91.6% Rp 腫瘍の 96% において側方郭清を行い Rb 腫瘍にお いては骨盤内リンパ節再発を認めていない.5 年生存率は Rb 腫瘍で 90% Rp 腫瘍で 74% であった. データを加えて側方郭清の手技について報告する. RV7-4 腹腔鏡下側方リンパ節郭清の実際 RV7-6 直腸癌に対する腹腔鏡下側方リンパ節郭清 黒柳 洋弥 1, 的場周一郎 1, 富沢 賢治 1, 花岡 裕 1, 戸田 重夫 1, 森山 仁 1, 橋本 雅司 1, 宇田川晴司 1, 渡辺 五朗 1 坂本 英至 1, 長谷川 洋 1, 小松俊一郎 1, 久留宮康浩 1, 法水 信治 1, 河合 清貴 1, 西前 香寿 1, 廣瀬 友昭 1, 山口 貴広 1, 神谷 忠宏 1 1. 虎の門病院消化器外科 1. 名古屋第二赤十字病院一般消化器外科 進行下部直腸癌の治療の重要な課題のひとつは局所再発のコントロールであり 欧米で 背景 大腸癌治療ガイドラインに直腸癌に対する側方リンパ節郭清が記載されたこと はそのために術前化学放射線療法 (CRT) が標準治療として行われてきたが 本邦では もあり 側方郭清はわが国での標準治療の一つとなりつつある. 一方で腹腔鏡下大腸手 側方リンパ節郭清という独自の手技で発展を遂げてきた CRT が予防的側方郭清の代 術は低侵襲性と拡大視野による精密な手術という利点により直腸癌にもその適応が広が 替治療となり得るとの報告はあるが 転移の起こってしまった側方リンパ節に対しては りつつある. そこでわれわれは術前画像診断にて明らかな側方リンパ節転移を認めない CRT のみでは不十分でやはり切除が必要と考えている 当院では下部直腸癌に対して 深達度 A 以深 (T3/T4) あるいは N(+) 症例に対しては CRT を行い 術前画像診断で 側方リンパ節腫大が無ければ直腸間膜全切除術 (TME) のみ 腫大が見られた場合は 同 腫瘍下縁が腹膜翻転部以下にある MP 以深の癌を対象として腹腔鏡下の側方郭清を試 みてきたのでその手技を供覧し あわせて成績を提示する. 手術手技 側方郭清は直 腸の切除後に行っている. 術者は郭清側の対側に立ち 下腹部および側腹部のポートか 側の側方リンパ節郭清を施行している また我々は腹腔鏡によって得られる良好な視野 ら操作する. 最初に上下腹神経および尿管をテーピングしてこれを剥離しておく. 総腸 は直腸癌でこそ有用と考え 進行直腸癌に対しても積極的に腹腔鏡手術を施行しており 骨動脈 外腸骨動脈の腹側から郭清をはじめ 外腸骨動静脈を露出してその内側へと郭 側方リンパ節郭清も腹腔鏡で行ってきた 以下に術式の要点を述べる 1. 尿管の剥離: 清を進める. 閉鎖神経を露出し内閉鎖筋に入る手前まで郭清して閉鎖動静脈の末梢側を 尿管をテーピングしできるだけ膀胱側まで剥離し内側に牽引する 2. 外腸骨血管の剥 切離する. 次に内外腸骨動脈分岐部から内腸骨動脈に沿って尾側へと郭清を進め閉鎖動 離:外腸骨静脈の内側を剥離し腰筋を露出 #283 を浮かせる 3. 閉鎖神経の確認温存: 静脈の中枢側を切離する. 上膀胱動脈に沿って閉鎖リンパ節の郭清を行う. ついで総腸 剥離には LCS を使用 4. 内腸骨動脈から上膀胱動脈の剥離:上膀胱動脈外側には血管 骨動脈の内側から総腸骨リンパ節の郭清をはじめ 尾側に進めて内腸骨動脈の内側で上 の分岐は無いので剥離は容易 これより外側の#283 を郭清 内側では下腹神経から骨 下腹神経との間の内腸骨リンパ節の郭清を頭側から尾側に向けて行い 骨盤神経叢の外 盤神経叢と内腸骨動脈系との間を剥離し可及的に神経を温存 5. 内腸骨動脈切離:#263 側まで行う. 成績 現在までに 19 例に対し腹腔鏡下側方リンパ節郭清を施行した. 術 に転移の疑われる腫大があるときは内腸骨動脈を合併切除した方が安全である 上膀胱 式は直腸切断術が 14 例 低位前方切除術が 5 例である. 手術時間は平均 456 分 (298 動脈分岐後の内腸骨動脈で切離することが多いが 背側には内腸骨静脈が存在するので 605 分) 出血量は平均 213g( g) であった. 郭清リンパ節個数は平均 36 注意して剥離する 特に CRT 症例では組織の線維化のため剥離が難しくなっており細 個であった. 結語 現時点では開腹郭清に比べて時間もかかり 郭清の精密度にも問 心の注意が必要である 動脈が切離できればこれを牽引しリンパ節とともに静脈から剥 題があるため あくまでも予防的郭清に限定されるものの 腹腔鏡下の側方郭清は不可 離していく 6. 膀胱周囲脂肪組織と#263 の間の剥離:時に下膀胱動脈周囲の転移リン 能ではなく 将来性のある手技と考える. パ節が膀胱側の脂肪組織に入り込むように存在している 近くに太い膀胱の静脈がある ので注意しながら剥離する その他のところでは膀胱周囲脂肪とリンパ節とはきれい な境界があり容易に剥離できる 7. 内腸骨動脈の末梢側を切離:下膀胱 内陰部 閉鎖 背側への枝などの末梢側を切離し#263 を切除 手術操作全般におけるポイント:内腸骨 血管の解剖には定型的なものはないので術前の画像診断でその走行をイメージしておく ことが重要である

12 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV8-1 側方リンパ節転移を伴う直腸癌に対する自律神経 内腸骨血管 377 RV8-3 解剖学的層構築を意識した重点領域に対する側方郭清術 合併切除を伴った側方郭清の手技 絹笠 祐介 1, 塩見 明生 1, 山口 智弘 1, 塚本 俊輔 1, 森谷弘乃介 1, 金本 秀行 2, 坂東 悦郎 2, 寺島 雅典 2, 上坂 克彦 2 金光 幸秀 1, 小森 康司 1, 石黒 成治 1, 清水 泰博 1, 佐野 力 1, 伊藤 誠二 1, 千田 嘉毅 1, 三澤 一成 1, 伊藤 友一 1, 加藤 知行 2 1. 愛知県がんセンター中央病院消化器外科, 2. 総合上飯田第一病院外科 1. 静岡県立静岡がんセンター大腸外科, 2. 静岡県立静岡がんセンター消化器外科 当科における側方郭清の適応は 腹膜翻転部以下に腫瘍下縁を有し 深達度が固有筋層 側方郭清施行後の側方リンパ節再発に対する外科的切除は困難で 初回の側方郭清にて に達する下部直腸癌としている 側方郭清は必ず両側行い その方法は 1975 年以降 しっかり郭清されることが望ましい 特に側方転移を認める症例に対しては 側方リン の blunt dissection 1978 年以降の sharp dissection を経て 1983 年頃からは膀胱 パ節を取り残さない事が重要であると考える 側間隙を開いて腹腔外からも操作する extra-peritoneal sharp dissection(腹膜外ルー 下部直腸癌に対する自律神経温存側方郭清は 自律神経を温存しつつ 閉鎖腔や内腸骨 ト) を採用している 1975 年から 2009 年までに系統的側方郭清を施行した根治度 A 血管周囲 神経周囲のリンパ節郭清を行う手技である これらは下腹神経 骨盤内臓神 の下部直腸癌 519 例中 側方転移陽性は 82 例 (15.8%) に認められた なかでも 内 経 内腸骨血管系および骨盤壁がスペースの境界を作り出す複雑な空間を理解する必要 腸骨中枢リンパ節 (#263P) 内腸骨末梢リンパ節 (#263D) 閉鎖リンパ節 (#283) の があると共に 神経や血管温存手技の限界を知っておかなければならない 転移率が高く 各リンパ節の転移率は#263Plt=4% #263Prt=3.9% #263Dlt=1.3% 術前診断にて側方転移陽性と診断された症例に対しては 基本的に片側自律神経および #263Drt=3.3% #283lt=4.2 #283rt=2.3% であり 内腸骨動脈から内陰部動脈にかけ 内腸骨血管の合併切除を伴った側方郭清を施行している ての深い領域が重要な郭清野と考える そのためには 解剖学的層構築とリンパ流を理 神経温存しない場合の直腸授動の剥離層は 大動脈前面から内腸骨血管を露出する層に 解した上で 各所属リンパ節範囲を適確に郭清する必要がある 内腸骨動脈領域リンパ て行うと層を乗り換える必要が無く 十分な CRM も確保しながら出血も少ない安全 節は腎筋膜の腹側葉と背側葉の連続である膀胱側間隙に存在すると考えられ 腹側側の な剥離が可能である 骨盤神経叢のレベルで 腫瘍対側の剥離層を神経温存の層へと変 みからの操作だけでは視野が狭く 血管後面の郭清が困難である 一方 膀胱側間隙を 更し 患側はそのまま神経を全切除する 閉鎖腔の郭清は内閉鎖筋に沿って郭清を行う 開き腹膜外からの操作を加える腹膜外ルートからの郭清は神経温存を容易にし 血管の が 内外腸骨分岐部の背側は郭清限界があり 再発を起こしやすい部位の一つである 内外側が比較的容易に直視下で操作が可能となり 腸骨壁や閉鎖孔も確認できる その 内腸骨動脈は上殿動脈分岐後にて結紮切離し 静脈は骨盤壁から遊離しない場合は本幹 ため 腹腔内からだけの視野では接線方向となり 下膀胱動脈 閉鎖動脈の分岐部で小 を温存する 骨盤壁や仙骨神経沿いに剥離する事によって脂肪を残さずに完全郭清が可 さなリンパ節が遺残し易い#263D および#283 を含めた確実なリンパ節郭清が可能とな 能である る 郭清手順 腹膜外アプローチで閉鎖腔に到達し 無名静脈を閉鎖リンパ節外側縁 解剖体を用いた側方腔の解剖と 開腹手術右での自律神経および内腸骨血管合併切除を の区切りとして 外腸骨血管周囲を腹腔内から剥離しておいた連続で郭清し 閉鎖腔脂 伴った側方郭清のビデオを供覧する 肪組織を膀胱下腹筋膜に向かって剥離する 背側は腰仙骨神経幹の前面まで郭清を行 う 骨盤内臓神経の尾側縁が側方郭清の尾側縁であり 閉鎖腔と挙筋前腔を交通させる と 膀胱下腹筋膜の連続である 1 枚の膜のみが残る 一旦腹腔内に戻り すでに上膀 胱動脈レベルで膀胱下腹筋膜が破れ内腸骨動静脈が外側から露出されているので 同じ 層を骨盤神経叢に向かって郭清する 最後に腹膜外から下膀胱動脈をはらった内陰部動 脈を尾骨筋に入るまで郭清する 実際の手技を供覧する RV8-2 下部進行直腸がんに対する解剖学を意識した自律神経温存側方 RV8-4 直腸癌に対する腹膜外アプローチ併用側方郭清の手技と成績 郭清手技 安野 正道 1, 川上 雅代 1, 高橋 英徳 1, 小西健一郎 1, 陶山 雅子 1, 塩入 貞明 1, 中野 智継 1, 若山 達郎 1, 中島 康 1, 南 智仁 1 横溝 肇 1, 吉松 和彦 1, 大谷 泰介 1, 大澤 岳史 1, 中山 真緒 1, 塩澤 俊一 1, 勝部 隆男 1, 成高 義彦 1, 小川 健治 1 1. 東京女子医科大学東医療センター外科 1. 東京都立広尾病院外科 清を行う. 閉鎖神経の周囲の脂肪組織を外側より内側 尾側から頭側に向かって 骨盤 はじめに 直腸癌に対する D3 郭清には側方郭清が必要だが 予後改善効果は controversial で 手術時間 出血量 機能障害の増加など患者の不利益の可能性もあ る. 腹膜外アプローチを併用する側方郭清は出血量が比較的少なく容易とされ われわ れは 2005 年から本術式による側方郭清を行っている. 今回 その手技と短期成績を報 告する. 手技 正中切開で開腹し 直腸切除もしくは切断を行う. 自律神経 尿管をテーピング し 総腸骨リンパ節および大動脈分岐部の郭清を行う. 郭清は電気メスを用い丁寧に行 う. その後 正中創の下縁で腹膜筋層間の粗な間隙に入り 腹膜外アプローチにて外腸 骨リンパ節 閉鎖リンパ節 内腸骨リンパ節の郭清を行う. その後 吻合もしくは人工 肛門を造設 骨盤および腹膜外腔にドレーンを留置し閉腹する. 対象と方法 2005 年から 2010 年までに腹膜外アプローチ併用側方郭清を行った直腸 癌 20 例を対象とし 臨床病理学的因子 手術関連因子 合併症 再発につき解析した. 結果 平均年齢は 63.2 歳 男女比は 12:8. 占居部位は Rb P が 19 例 Ra が 1 例. 壁深達度は pmp が 3 例 pa が 16 例 psi が 1 例 リンパ節転移は fn0 が 13 例 fn1 が 3 例 fn2 が 3 例 fn3 が 1 例. 病期は Stage I が 2 例 II が 11 例 IIIa が 2 例 IIIb が 4 例 IV が 1 例. 術式は低位前方切除術が 9 例 腹会陰式直腸切断 術が 10 例 骨盤内臓全摘が 1 例. 平均側方リンパ節郭清個数は 28.7 個. 平均手術時 間は 分 平均出血量は 933.6ml であった. 術後合併症を 20 例中 10 例 (50.0%) に認めたが 重篤な合併症はなかった. 術後平均在院日数は 30.5 日であった. 再発は 5 例 (肝転移 2 例 肺転移 3 例) 認めたが 局所再発はなかった. 本邦大腸癌治療ガイドラインにおいて 腫瘍下縁が腹膜翻転部より肛門側にあり かつ 固有筋層を越えて浸潤する直腸がんは側方郭清の適応とし 根治性を損なわない範囲で 自律神経温存に努めるように推奨する. 術前 術中に明らかな側方リンパ節転移がない 症例には 骨盤内自律神経系をすべて可及的に温存する側方郭清が標準といえるが 各 術者で術野の展開が異なることから 郭清手技操作や郭清範囲やが異なる. 筋性骨盤側 壁 腸骨血管とその分枝 閉鎖神経 仙骨神経幹 膀胱壁などをどの程度露出あるいは 切除するのかが郭清手技のポイントであると考えるが そのコンセンサスが得られてい るとは言い難い. 各術者の膀胱 性機能と根治性とのバランスへの配慮からも 郭清範 囲やその手技が変わるが 頻度の高い側方リンパ節転移部位である閉鎖腔と内腸骨血管 に沿った部分は確実な郭清が重要である. ところが 内腸骨血管と骨骨盤神経叢は近接 し 内腸骨血管に沿ったリンパ組織を郭清する際には 神経を損傷しやすい. 側方郭清時の神経損傷を可及的に小さくするため解剖学に配慮した手術操作を行ってい る. その操作手順は 次のごとくである. まず 骨盤壁 (腸骨血管系) から自律神経系組 織を授動してしまうのがポイントである. 尿管を膀胱入口部近くまで剥離後 下腹神経 幹と骨盤神経叢および末梢枝を 下腹神経前筋膜の存在を意識して 1 枚のついたての ように骨盤壁から慎重に剥離する. 授動した自律神経系を骨盤鈎で内側に展開し 腸骨 血管を露出するように閉鎖リンパ節 腸骨リンパ節を郭清する. 総腸骨動静脈から外腸 骨動静脈末梢までを露出し 次に腸骨血管側から仙骨神経幹前面に向かい 閉鎖腔の郭 壁から剥離する. 仙骨神経幹を露出したら 次に内腸骨血管末梢を露出する. 上膀胱動 結語 腹膜外アプローチ併用側方郭清は直視下に外腸骨リンパ節 閉鎖リンパ節 内 脈の分岐部を確認し その末梢側は温存する. 下膀胱動脈は確実な郭清が必要な場合は 腸骨リンパ節の確実な郭清が可能と考えられる. ただし 手術時間が長く 出血量も多 切離するが 予防的な郭清で 性機能温存を図る場合は 温存する. この郭清操作の終 く 合併症も多いため 郭清手技の向上とより的確な適応が重要と考える. 了時には 上膀胱動脈の外側までの#283 と#263 を主とするリンパ節が一塊として郭 清される.#263 リンパ節が郭清しにくい場合は上膀胱動脈を外側に牽引し 内腸骨動静 脈を露出するように郭清する. 以上をビデオ供覧する.

13 第 66 回総会 2011 年 7 月 378 RV8-5 直腸癌に対する腹腔鏡下側方郭清術 RV9-1 腹腔鏡下 Intersphincteric resection の定型化 永仮 邦彦 1, 福永 正氣 1, 津村 秀憲 1, 李 慶文 1, 菅野 雅彦 1, 飯田 義人 1, 吉川征一郎 1, 大内 昌和 1, 伊藤 嘉智 1, 勝野剛太郎 1 山口 茂樹 1, 石井 利昌 1, 田代 浄 1, 佐藤 貴弘 1, 宮澤 光男 1, 小山 勇 1, 篠塚 望 2 1. 順天堂大学医学部附属浦安病院外科 1. 埼玉医科大学国際医療センター消化器外科, 2. 埼玉医科大学病院消化器 一般外科 直腸癌に対する腹腔鏡下手術 (LAP) は TME の遵守や吻合手技など高度な技術が要求 目的 肛門管近傍に癌が存在する直腸癌では 骨盤最深部でも正確な外科解剖を認識 されること 側方郭清の問題などの観点から普及が遅れている 我々は直腸癌に対し拡 できることが腹腔鏡手術の利点のひとつである 当院で定型化した腹腔鏡下 ISR の手 大視効果と視認性のよさを生かし LAP を積極的に施行し下部直腸癌の一部に腹腔鏡下 技を供覧する 手技 結腸処理:臍にカメラ用と左右上下の 5 ポートを使用し まず に側方郭清を施行しているので手術手技を中心に報告する IMA 周囲郭清を行う cn0 では LCA 温存を原則とするが IMA と LCA 分岐の距 適応:術前診断が下部直腸進行癌 A 以深でしかもインフォームドコンセントが得られ 離が長い場合や cn1 以上では IMA を根部で処理して D3 郭清を行う LCA を温存 た症例に側方郭清を適応している 適応外は明らかにさらに深く浸潤している例 巨大 すると内側からの結腸間膜授動操作 特に脾弯曲近傍の展開が困難になるので IMA な腫瘍 減圧不能なイレウス 開腹合併切除で survival benefit が得られる症例であ の頭側で IMV 右側の腹膜を新たに切開し ここから結腸間膜を膵下縁付近まで授動し る 手術手技:原則 5 ポートで 直腸を TME の層で剥離 肛門温存術では病変を含めた 下方からと連続させる 外側腹膜を下行結腸から切開 次いで横行結腸中間部の網嚢 直腸を切除後 直腸切断術では会陰操作終了し直腸を切除後再気腹して側方郭清を開始 開放部から結腸脾弯局部をはさみこんで授動する 最後に膵下縁の横行結腸間膜付着 する 右側の郭清では術者は右側の 2 ポートから操作する (左側郭清は患者の左側に 部を切離して脾弯曲部の授動を完了する さらに IMA 根部郭清部分からの S 状結腸 移動) 助手はカウンタートラクションを適切に加えながら操作を進める 良好な視野 動脈を 1 本追加切離しておくことで 経肛門的に結腸を引き出す準備を完了する 直 の確保と損傷の回避のためにテーピングを有効利用する 最初に下腹神経 骨盤神経 腸授動:腫瘍口側直腸を綿テープで結紮 これを左上鉗子で把持して頭側へ牽引 適宜 叢 骨盤内臓神経を確認し尾側への剥離を進める ついで尿管を確認しテーピングし 方向を変えて安定かつ良好な視野を確保する 左下鉗子を適宜開閉し骨盤鉤として壁 尿管膀胱移行部付近まで剥離する 次に外腸骨動静脈をテーピングし剥離 中枢側は総 側に緊張をかけ視野展開する 術者左手で直腸を適宜圧迫 右手デバイスで凝固切離 腸骨動脈まで末梢側は内鼠径輪付近まで剥離 No の郭清とする 外腸骨血 と剥離授動をすすめる 固有筋膜を意識してこれに沿って授動をすすめるが 前壁は 管を内側に牽引し腸腰筋の表面を露出後骨盤側壁の内閉鎖筋表面に沿って剥離し閉鎖 Denonvillier 筋膜の腹側に入ることが多い 骨盤神経叢は前側壁で直腸に交通枝を出 神経を確認 閉鎖孔に向けて郭清を進める さらに外腸骨動静脈内側より閉鎖血管周囲 して神経血管束に移行するので直腸周囲脂肪織のみ切除するように境界部を凝固切離 No.283 の郭清を行う 次に内腸骨動静脈を末梢に向かい郭清 臍動脈 上膀胱動脈起 始部を剥離し No.263P の郭清とする さらに下膀胱動脈起始部のリンパ節を郭清 内 陰部動脈を Alcock 管まで剥離し No.263D 郭清で側方の郭清を終了する 現在まで に LAC 1280 例中直腸癌は 322 例を経験した このうち神経温存 非温存を含め側方 郭清を 25 例に経験した 開腹移行はなく出血 尿管損傷などの合併症も現時点では経 験していない 術後合併症は縫合不全 2 例 腸閉塞 1 例 吻合部狭窄 1 例 骨盤内感 染 1 例 会陰創感染 1 例である 長期成績は肝転移 2 例 肺転移 1 例 局所再発 1 してゆくが この際 Denonvillier 筋膜を切離しておく境界部を確認しやすい 肛門管 例である 以上 適応 長期成績の評価など検討を要する課題も残されているが 腹腔 腸を肛門から引き出しせるので標本摘出 16 針の結節縫合にて経肛門吻合を行い 一 鏡下側方郭清術は有用な術式と考えられた 時的回腸人工肛門を作成する 結語 深部骨盤解剖の理解と手順の定型化により安全 近傍で左右の挙筋筋膜を切開し内外括約筋間を側壁から鈍的に剥離 後壁のいわゆる Posterior ligament を切離後 筋間にガーゼを充填しておく 経肛門操作:肛門管を支 持糸で展開 肛門からガーゼを挿入し腫瘍を露出しないようにする 歯状線付近で粘膜 側から切開して直腸断端を縫合閉鎖し 次に内括約筋を切開して腹腔内と交通させる 術者の示指をガイドに後壁半周を開放する 前壁正中の尿道直腸筋は 左右からの授動 を先行して最後に凝固切離し 直腸あるいは尿道損傷を回避する 以上の操作で直腸結 に ISR が行える RV8-6 下部進行直腸癌に対する腹腔鏡下側方郭清術 RV9-2 腹腔鏡下 Intersphincteric resection(lap-isr) の手技とピット フォール 小泉 岐博 1, 内田 英二 1, 古川 清憲 1, 菅 隼人 1, 松本 智司 1, 山田 岳史 1, 佐々木順平 1, 谷 杏彌 1 1. 日本医科大学附属病院消化器外科 塩見 明生 1, 絹笠 祐介 1, 山口 智弘 1, 塚本 俊輔 1, 富岡 寛行 1, 森谷弘乃介 1, 金本 秀行 2, 上坂 克彦 2, 坂東 悦郎 2, 寺島 雅典 2 1. 静岡県立静岡がんセンター大腸外科, 2. 静岡県立静岡がんセンター消化器外科 はじめに 近年 直腸癌に対する腹腔鏡下手術が普及しつつある さらに下部進行直 腸癌に適応を広げるためには側方リンパ節への対応が必要である 当科では深達度 A はじめに 腹腔鏡下直腸癌手術は 狭い骨盤内の解剖学的構造を術者のみならず全体 術前 CT または MRI で明らかな側方リンパ節転移所見の無い下部進行直腸癌に対す で同時に共有しつつ手術を進めることができるメリットがある半面 LAP-ISR での骨 る予防的郭清を対象に行っている 手術手技 臍部をスコープポートとし 6 ポート 盤深部までの直腸授動は難易度が高く 手術チームの習熟を要する で手術を行う 中枢側の血管処理とリンパ節郭清を行い total mesorectal excision に 目的 我々の LAP-ISR の手技とピットフォールを供覧し 短期成績を検討する 順じて直腸を切除した後に側方郭清を行う 鏡視下では視野が狭いため landmark と 手技 通常臍部および左右上下腹部の 5 ポートで行っている 1) 下腸間膜動脈根部 なる血管 神経を確認しつつ 各領域のリンパ節を個別に摘出する 術者は郭清側の反 近傍から内側アプローチを開始する 2) 上方向リンパ節郭清終了後 Total mesorectal 対側に立ち 最初に尿管 下腹神経を剥離 テーピングをおこなう 大動脈分岐部から excision(tme) を行う際に骨盤内の良好な視野を確保するために 術者と助手が協調 総腸骨動脈に沿って No.273 を郭清する 引き続き外腸骨動脈と内腸骨動脈を露出し して組織に常に十分な緊張をかけて展開することが重要である 直腸の牽引には 不本 No.283 の郭清範囲を決定し 頭側から閉鎖孔に向かい脂肪織とともにリンパ節を摘出 意な直腸漿膜や間膜の損傷を避けるため 鉗子での直接の牽引を避け ガーゼで腸管を する 閉鎖神経を刺激しないように主にバイポーラシザーズを使用する 原則として閉 つつみ これによる視野展開を行う 3) 前壁側の視野展開の為に 男性では反転部腹 鎖動静脈は温存している 最後に内腸骨動脈と下腹神経叢の間を No.263 として郭清 膜 女性では子宮に支持糸をかけて腹側に牽引する 4) 骨盤内では 直腸固有筋膜に する 内腸骨動脈根部から尾側へ向かい郭清し 上膀胱動脈を landmark とし この そった慎重で正確な切離を行う メルクマールとなるのは直腸固有筋膜 下腹神経前筋 レベルまでを No.263P として摘出し さらにその尾側を内腸骨動脈に沿って alcock 膜 Denonvillier 筋膜 (直腸膣中隔) 等である 当然 腫瘍状況に応じて切離層は変化 管までを No.263D として最後に郭清する 骨盤深部では血管神経が入りくむため術者 させるべきである 5)TME の最終局面である肛門管内の授動では 直腸右壁側 左壁 と助手が協調し鉗子やテープにより細かくカウンタートラクションをかけかえることが 側と順次剥離を行い 最後に直腸後壁で Anococcygeal ligament を鋭的に切離する 必要である 手術成績 12 例に対し側方郭清を施行した (LAR 6 例 ISR 2 例 APR 術者と助手が協調して恥骨直腸筋を十分外側に展開することで内外括約筋間腔を明瞭に 4 例) 平均手術時間は 442 分 平均出血量は 290ml 術中出血による開腹移行 1 例 認識できる 肛門管内剥離距離は腫瘍下縁と外科的肛門管上縁の関係から決定する 6) まとめ 腹腔鏡による拡大視効果と骨盤深部において良視野を得ることができるため 経肛門的に結腸を引き出すために S 状結腸動静脈第 1 枝 (必要に応じて第 2 枝も) を 閉鎖腔深部や 神経温存を伴った内腸骨動脈周囲郭清において 鏡視下手術の有用性が 切離しておく 7) 経肛門操作:適切な Distal margin を経肛門的に決定し 内肛門括約 高いと考える 最近は下腹部の小開腹創から 腹膜外アプローチによる閉鎖腔郭清を鏡 筋を切離後 確実に外肛門括約筋を露出しつつ腹腔内と交通する 多くの症例で前壁側 視下側方郭清に併用し 手術時間の短縮を図っている この手技も含めビデオで供覧 の剥離層は不明瞭であるため 十分に左右からの剥離後に 最後に前壁の直腸尿道筋を する 切離するようにしている 結果 2010 年 12 月までに経験した直腸癌に対する LAP-ISR は 23 例 男女比 9:14 年齢 63.7 歳 (46-74 歳) 深達度 Tis/T1/T2/T3 3/16/4/1 例 手術時間 369 分 ( 分) 出血 106g(14-745g) であった 結語 手技の定型化と骨盤内解剖の理解により LAP-ISR は安全に施行可能である

14 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV9-3 直腸癌に対する腹腔鏡下肛門温存手術 (Lap-VLAR(通常 DST 反 転 DST)/Lap-ISR) 藤本 佳也 1, 上野 雅資 1, 福長 洋介 1, 長山 聡 1, 小西 毅 1, 秋吉 高志 1, 山川 景子 1, 古賀倫太郎 1, 斉浦 明夫 1, 山口 俊晴 RV9-5 進行直腸癌に対する術前化学放射線療法と肛門温存術 船橋 公彦 1, 小池 淳一 1, 塩川 洋之 1, 牛込 充則 1, 白坂健太郎 1, 鈴木 孝之 1, 鏡 哲 1, 松田 聡 1, 栗原 聰元 1, 金子 弘真 1 1. 東邦大学医療センター大森病院消化器センター 外科 1. がん研有明病院消化器外科 はじめに 腫瘍の局所コントロールと肛門温存を目的として進行直腸癌に対する術前 背景 直腸癌に対する手術手技は 腹腔鏡手術 (Lap) の導入により 骨盤内の良好 化学放射線療法 (術前 CRT) が有効とされている 今回 教室で行っている術前 CRT な視野を確保でき より低侵襲で繊細な手術も行えるようになった それにより 肛門 症例の肛門温存術の成績と腹腔鏡下手術の手技について報告する 対象と方法 S-1 温存手術である超低位前方切除術 (VLAR) または内肛門括約筋切除術 (ISR) が より を併用した術前 CRT を施行した 11 例 背景は Ra/Rb:1/10 男/女:10/1 平均年齢 多くの症例で施行できるようになった 今回 Lap-VLAR/ISR の実際を示す 対象 63 歳の ct2/3/4:1/7/3 例 成績 術前 CRT の Grade3 の副作用は下痢 2 例 CEA 2005 年 7 月から 2010 年 6 月の 5 年間に 初発大腸癌 2003 例のうち 下部直腸癌に 対する肛門温存手術として Lap-VLAR:139 例 ISR:57 例が行われた 適応 VLAR の切除吻合は 通常 DST(113) 反転 DST(26) で 直腸の切離は 可能ならば出来る だけ腹腔側から行い 通常 DST 吻合を行う 反転 DST の適応は 肛門側断端の距離 値は増悪例はなく 4/6 例 (67%) で正常値化した 腹腔鏡手術は 7/11 例で 全例で け剥離 直腸の切離 吻合は 腫瘍の位置 深達度により決定 全例に左ポート創から trans-anal rectal dissection(tard) 併用とし 開腹への移行はなかった また 外科 的切除線の確保目的に 8/11 例で ISR を施行した covering ileostoma は 11 例全例 で造設 腹腔鏡手術 (N=7) における TARD の平均時間 67min(29-94) で 平均全手 術時間は 482min( ) 術中合併症はなく 術後合併症は腹腔鏡手術ではなく 開 腹例 (N=4) のうち 2/4 例 (全体の 20%) に尿路感染と腸閉塞が認められた 組織学的 所見として治療効果は Grade 1b および 2 は それぞれ 4 例 (36%) 7 例で 組織 学的 CR はなかった RM を含めて外科的切除線はすべて陰性であり リンパ節転移 (平均検索個数 8.7 個) は 2 例 (18%) に認め yp StageI/II/IIIa はそれぞれ 5/4/2 例で あった 手腹腔鏡手術の手技 肛門操作を先行させた TARD を併用して 腫瘍肛門側 の直腸の切離と腫瘍周囲の剥離を行った 次いで 腹腔操作に移り 5 ポートにて腹腔 鏡下に TME を施行した 吻合は経肛門的に手縫い吻合で施行し マーキング部位に て ileostomy とした 結論 S-1 を併用した術前 CRT は安全に施行可能であった 36% において組織学的効果は期待できず Non-responder に対しても TARD の併用 骨盤底にドレーンを留置 経肛門ドレーンを留置 Covering ileostomy は VLAR の によって腹腔鏡下に安全に肛門の温存術が可能と考えられた が短いと予想された場合 切除後の断端不足の場合であり 肛門外に反転させて直視下 に直腸を切離する 腫瘍または瘢痕 (EMRscar など) を確認し 確実な AW を確保し て 1 回で切除できる利点はあるが 峡骨盤や間膜脂肪が厚い場合には出来ない欠点も ある ISR の適応は 腫瘍下縁が肛門管にかかる SM 癌 肛門管にかからない MP 以 深の癌 さらに A 以深の進行癌では術前 CRT を行い切離線が歯状線になるような進 行癌とし DST 吻合できない場合は ISR を選択している 適切な AW が確保できな い症例や 肛門管にかかる進行癌症例は APR を行っている 手技 通常の低位前方 切除と同様に上方向郭清を行い 直腸は TME の層で剥離授動 左右側壁で内外肛門 括約筋間を剥離 後壁は Hiatus ligament を切離 前壁は前立腺の下縁まで出来るだ 約半数に ISR の全例に造設 結果 年齢は 60 歳 (24-87 歳) 男:女 126:70 開腹移 行 2 例 手術時間は中央値 276 分 ( 分) 出血量は中央値 15ml(0-1170ml) で あった 術後合併症は 20 例 (10.2%)(縫合不全 8 例 (4.1%) 吻合部出血 4 例 腸閉塞 4 例 創感染 2 例 臍ポートヘルニア 1 例 ストマ周囲膿瘍 1 例) 術後在院日数は中 央値 15 日 (8-121 日) であった 考察 Lap-VLAR/ISR は 骨盤内の解剖を熟知し 助手との協調運動のもとに視野展開を行い 直腸肛門側の十分な剥離授動を行う さら に 下部直腸での切離 吻合法を適切に選択することが重要である RV9-4 当教室における直腸肛門癌に対する prolapsing 法併用腹腔鏡下 RV9-6 下部直腸癌に対する化学放射線療法併用腹腔鏡下 ISR 低位前方切除術 鈴木 陽三 1, 竹政伊知朗 1, 賀川 義規 1, 西村 潤一 1, 水島 恒和 1, 池田 正孝 1, 山本 浩文 1, 関本 貢嗣 1, 土岐祐一郎 1, 森 正樹 1 三上 千絵 1, 島田 光生 1, 栗田 信浩 1, 岩田 貴 1, 西岡 将規 1, 森本 慎也 1, 吉川 幸造 1, 宮谷 知彦 1, 柏原 秀也 1, 宇都宮 徹 1 1. 徳島大学病院消化器 移植外科 1. 大阪大学大学院消化器外科学 はじめに 低侵襲治療に対する理解の浸透と自動吻合器の進歩を背景として直腸癌に はじめに 進行直腸癌に対する術前化学放射線療法 (CRT) は肛門機能温存 局所再発抑制が可能であ 対する腹腔鏡手術の適応が段階的に拡大されてきた 特に低位直腸手術においては手術 る. 我々は 2004 年から進行直腸癌に対しても腹腔鏡下手術を導入し さらに側方郭清が必 機械の進歩とともに腹腔内からより肛門側での操作 切離が可能となり 腹腔鏡下内肛 要な症例には CRT 後に腹腔鏡下手術を行っている. 下部直腸癌に対する CRT 後の腹腔鏡 下 ISR(経肛門吻合) は究極の肛門温存手術であり 安全確実な剥離と手技上のポイントをビ 門括約筋切除 (Lap-ISR) が可能な症例もみられるようになった しかしその一方で低 位直腸の切離 吻合は骨盤の解剖学的制約があり難易度が高く 腹腔内 approach が 困難な症例も少なからず存在するため 未だに腹腔鏡下手術の有用性と安全性が十分に デオで供覧する. 対象 腹腔鏡下手術を進行癌にまで適応を広げた 2004 年以降に 当院で CRT 併用腹腔鏡下手術 確立されたとはいえない 根治性と安全性を両立した術式を完遂するためには 骨盤解 を施行した直腸癌 47 例のうち ISR を行った 7 例. 術前 CRT は経口抗癌剤 S-1 と体外放 剖の解析を中心とした術前 simulation を個々の手術について充分に行い 直腸間膜全 射線 4 門照射 (計 40Gy) で行った. 切除 (TME) を遵守した直腸切離と吻合法を工夫することが重要である 症例と術式 当教室では 2002 年から 2010 年 5 月までに直腸癌 235 例に対して腹 腔鏡下低位前方切除術を施行した 術前に局所解剖を十分に評価し 他臓器浸潤がなく 腫瘍径 8cm 以下の症例では積極的に腹腔鏡下手術を施行している 当教室では腹腔 内 approach が困難な低位直腸手術症例に対して 腹腔鏡下手術の利点としての腹腔 内 approach を最大限に行いながら prolapsing 法を併用した肛門温存に努めている さらに 腫瘍下縁が外科的肛門管に掛かるものは SM 掛からないものは MP までの 症例に対して腹腔鏡下低位前方切除術 (Lap- prolapsing ISR) を行い 肛門側断端距離 の確保と吻合不全の回避を図っている 実際には 腹腔鏡操作で垂直方向の LCA 温 存 D3 あるいは D2 郭清から TME さらに内外肛門括約筋間までの剥離を充分に進め てから口側腸管を切離しておき 肛門操作で翻転した直腸を直視下に切離し Reverse DST もしくは手縫いで縫合している まとめ 腹腔鏡下での直腸癌手術は 結腸癌と同様に低侵襲性だけでなく根治性につ いても有用であることが期待される反面 根治性と安全性を両立した手術のためには適 切な症例の選択 正確な術前進展度診断 骨盤解剖の熟知 術者および施設の経験と技 量を十分に考慮して慎重に取り組む必要があり Lap- prolapsing ISR は有用な術式の ひとつといえる 結果 年齢は 64 歳 (41-77) 男:女=5:2 腫瘍径は 2.3±1.5cm( ) であった. 術後合併症は 1 例で吻合部狭窄を認めた. 術後の肛門機能は ストーマ閉鎖後 6 ヶ月 年で Wexner score 排便回数で検討を行った. 術後半年では Wexner score は 8.5±3.6 排便回 数は 9.2±3.3 であったが 術後 2 年では Wexner score は 5.6±7.6 排便回数は 3.6±2.4 と時間経過に伴い改善していく傾向を認めた. 手技 術前シミュレーションは virtual colonography を含む 3-D CT と diffusion MRI と PET-CT を用いてリンパ節転移診断を行った. ISR に関する手技上のポイントは以下の 4 点である. 1. 最初に TME の剥離層で背側から両側にかけて肛門挙筋レベルまで術者の左手鉗子を使っ て十分に行う. 2. 直腸前壁は助手鉗子による直腸頭側へのテンションをやや弱め neurovascular bundle を意識して剥離し 完全に温存する. 3. CRT により腫瘍周囲で癒着 浮腫が見られるため丁寧な剥離が重要である. 4. 剥離は恥骨直腸筋と肛門管との間まで行い 直腸切離に関しては恥骨上のポートも利用し て直腸間膜をメリーランドタイプの剥離鉗子で剥離し 経肛門吻合は ISR 法で行う. 結語 進行直腸癌に対する術前 CRT 後腹腔鏡下超低位前方切除における ISR は安全確実な剥離と 直腸切離吻合は重要である.

15 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV10-1 超低位直腸癌に対する ISR の適切な術式 380 RV10-3 下部直腸癌における内肛門括約筋切除を伴う超低位直腸切除術 と再建 赤須 孝之 1, 山本聖一郎 1, 高和 正 1, 本橋 英明 1, 稲田 涼 1, 佐藤 一仁 1, 藤田 伸 1, 森谷 宜皓 1 1. 国立がん研究センター中央病院大腸外科 勝又 健次 1, 佐々木基之 1, 中島 隆行 1, 渡部 真人 1, 渋谷健太郎 1, 虫明 寛行 1, 杉山 保幸 1 1. 帝京大学医学部附属溝口病院外科 目的 ISR は従来人工肛門となっていた患者に対し肛門温存を可能としたが 合併 症 排便機能 再発など克服すべき問題点もある. 治療成績を解析し 適切な術式につ 内肛門括約筋切除を伴う超低位直腸前方切除術 (以下 ISR) は適応と排便機能に関して いて検討を重ねた. 現在 我々が適切と考える術式についてビデオで供覧する. いまだ議論の余地はあるものの徐々に確立されてきているといえる. 自験例の結果と手 方法 十分な腸管前処置後に TME または TME+ 側方郭清を行った. さらに視野の 術手技の工夫について検討した.(対象)28 例に行い 内訳は男性 25 例 女性 3 例で 年 良い腹腔側から可及的に括約筋間を剥離し十分な切除断端を確保した.ISR の全過程に 齢 34 歳から 80 歳.stage1 13 例 stage2 2 例 stage3a 7 例 stage3b 4 例 stage4 2 おいて直視下の電気メスを用いた丁寧な止血と鋭的剥離に努めた. 腫瘍肛門側の腸管閉 例.(結果) 観察期間 1 月から 72 月.subtotal ISR13 例で 4 例に部分的に ESR partial 鎖後肛門管内を洗浄し 経肛門操作に移った. 直腸切除後に骨盤および肛門管内の洗浄 ISR は 15 例. 再建 J-pouch20 例 TCP5 例 straight3 例.IMA の温存 17 例. 側方郭 を再度行った. 合成吸収糸マットレス縫合で結腸肛門端端吻合を行い drain を留置し 清 9 例. 縫合不全 2 例 J-pouch 部の縫合不全 2 例. 再発は stage3b の 2 例で 1 例は defunctioning stoma を造設し 手術を終了した.ISR の行われた 155 名の直腸癌患者 (開腹 137 例 腹腔鏡 18 例 照射 4 例) を対象に臨床病理学的検討を行った. 結果 肛門縁腫瘍間距離は 1-5(中央値 3)cm であった.pT1 40;pT2 54;pT3 58 例 Stage 0 1;I 69;II 26;III 53;IV 4 例 R0 151;R1 4 例であった. 脾湾曲受動は 60% 肛門管洗浄は 100% drain 留置は 100% defunctioning stoma 造設は 88% で あった. 縫合不全発生率は 全期間で 10% 前半で 14% 後半で 5% であった. 再建 法別では J 21%;TCP 8%;straight 8% であった. 腹腔鏡手術例の全合併症発生率は 11% であった.3 年全生存率は 95% 局所再発率は 8% 遠隔再発率は 15% であった. 考察 すでに報告したように 切除断端陽性が局所再発の危険因子なので 視野の良 い腹腔側からの剥離に重点を置き剥離断端を十分に確保した. 縫合不全は排便機能を悪 化させる. 術中輸血が縫合不全の独立危険因子なので 丁寧な剥離に努め出血量を抑え た.J-pouch が重症縫合不全の独立危険因子なので最近は端端吻合を用いている. 脾湾曲 の受動は必ずしも必要ではなく 肛門管洗浄 drain 留置 defunctioning stoma は行 うべきである. 合併症が少ないので 可能であれば腹腔鏡手術を行うべきである. 肺転移切除で 46 月 1 例は傍大動脈リンパ節および肺転移のため化学療法中で 48 月 生存中.2 例が心不全 悪性リンパ腫治療 (死亡) 2 例が手術直後で回腸 を閉鎖して いない. 排便機能は経時的に改善し 術後 2 年の Wexner s index は 0-10 点で 5 点 以下が 70.6%. (手術手技) 高 中分化型腺癌を基本とし 肛門括約筋の機能が充分有り また術前の排 便状況も充分問診した. 手術手技:中間リンパ節の転移やⅢ b が疑われる症例は下腸間 膜動脈を切離したが 自律神経の結腸枝温存目的に下腸間膜動脈を処理した. 腸管傍リ ンパ節転移の疑いの症例は側方郭清を行った. 術前診断 stage1 の 2 例に腹腔鏡補助下 で行った. 再建は J-pouch で 肥満例などには TCP や straight とした.subtotal ISR までとし 腫瘍下縁から 20mm を計測し切除ラインとした. 腹腔内からは肛門挙筋内 まで剥離を行い 最近では挙筋間の剥離を腹腔内からも可及的に行った. 肛門側からは 用指的に充分肛門を拡張し リトラクターで肛門を拡張. イソジン生食または精製蒸留 水で直腸肛門内を充分洗浄した. 切離線は粘膜にマーキングし 粘膜および内肛門括約 筋をほぼ垂直に切離した. 全周に切除したところで water tight に断端を縫合. 後壁を 腹腔内と交通させ左右側壁最後に前壁を切離した. 腹腔内から生食で充分洗浄後イソジ ン生食で肛門側から洗浄した. 吻合は 4-0PDS で 16 針. (結語) 多くの症例で満足な排 便機能を得られ 骨盤内局所の再発も認めていない. RV10-2 当科で行っている肛門温存手術術式 ISR を中心に RV10-4 直腸肛門癌に対する腹腔鏡下肛門温存手術の手技と工夫 衣笠 哲史 1, 白水 和雄 1, 赤木 由人 1, 白土一太郎 1, 龍 泰彦 1, 五反田幸人 1 1. 久留米大学医学部外科学講座 山田 理大 1, 川村純一郎 1, 大越 香江 1, 肥田 侯矢 1, 河田 健二 1, 長谷川 傑 1, 坂井 義治 1 これまで直腸切断術を余儀なくされていた肛門に極めて近い下部直腸肛門管癌に対し はじめに 手術手技とデバイスの進化 さらに骨盤内外科解剖の解明が進み 肛門温 肛門機能を温存した括約筋切除肛門温存術 (intersphincteric resection (以下 ISR)) が 存手術の適応は拡大している 下部直腸肛門癌に対する腹腔鏡下手術は 骨盤底部の限 普及してきた. 当科で行われている ISR の術式について 再建方法を含めてビデオを られた狭空間において拡大視効果を最大限に活用共有でき 根治性を損なうことなく肛 供覧する. 当科での ISR の定義は 肛門管を内外肛門括約筋間で剥離し 歯状線より 門温存への寄与が期待できる 当科では下部直腸肛門癌に対する肛門温存手術として 肛門側で内肛門括約筋を切離する術式であり 腫瘍下縁が肛門縁より 4 cm 未満の下 腹腔鏡下直腸低位前方切除術 (LapLAR) および内括約筋切除術 (LapISR) を積極的に 部直腸癌や肛門管癌で高 中分化型腺癌である病変を適応としている. 括約筋間溝に浸 行ってきた 骨盤底部の操作を中心に手技の要点を供覧する 手術手技 下部直腸肛 潤する癌 肛門周囲皮膚に浸潤する癌 肛門腺由来の肛門管癌 肛門機能が低下してい 門癌に対する腹腔鏡による骨盤内操作は 自律神経温存 TME を基本とする その基 る症例 精神疾患合併症例などは適応外としている. 手技の実際として 1) 口側結腸の 本操作は 助手の両手と術者の左手の協調による術野の展開により剥離面あるいは切離 授動 2) 下腸間膜動脈根部の処理 口側腸管切離を行った後 3) 直腸間膜の剥離授動 線を明確にし 下腹神経前筋膜 Denonvilliers 筋膜 (DVF) 肛門挙筋筋膜 など (total mesorectal excision: TME) は下腹神経の走行を確認しながら 後壁では仙骨直 腸靭帯まで 前壁剥離では Denonvilliers 筋膜を直腸側に付けるように剥離していく. 手術時の重要なランドマークを意識して剥離 切離を進めていくことである IMA を 肛門挙筋を確認し 後壁の尾骨直腸靭帯を切離すると直腸が恥骨直腸筋に取りかこまれ 側での剥離を先行し 骨盤底で下腹神経前筋膜を意識的に切離して肛門挙筋筋膜を確認 た状況になる.4) 肛門管剥離は 恥骨直腸筋が直腸に巻き付く層を正確に剥離すること し 肛門挙筋上を左右に広く解放する 両側方から前方への剥離は骨盤神経叢に沿って が重要である. 内外括約筋間の剥離層 つまり intersphincteric space を確認しながら 行い 前方で腹膜翻転部を解放する 前方では DVF の後での剥離を基本とするが 腫 視野を展開する.5) 経肛門操作は 皮膚 肛門縁を 8 針ほどの絹糸で牽引し視野を展開 瘍の主座 深達度によって DVF の前を剥離する場合は 両側方剥離と連絡するよう 1. 京都大学医学部付属病院消化管外科 切離し 直腸固有筋膜と下腹神経前筋膜の間の剥離を尾側へ進める 骨盤内では直腸背 する. 切離予定線を決定し 全周に粘膜 筋層の切離と筋間の剥離した後 把持糸を結 に DVF を切離する 側前方で骨盤神経叢 神経血管束と直腸固有筋膜の脂肪境界を意 紮して肛門管断端を閉鎖する. 後壁側を腹腔内と交通させた後 左右 前壁側を順次剥 識し 直腸背側の剥離層をメルクマールに骨盤底まで切離を進める 背側正中で後方 離し 直腸を摘出する.6) 側方郭清:予防的郭清は行なわず 症例を絞って側方リンパ節 靱帯を切離し 恥骨直腸筋と直腸壁の間の剥離を尾側へ可及的に進める 骨盤腔の広 郭清を行っている.7) 結腸肛門吻合は straight で端 端吻合することを基本にしてい さ 腫瘍の部位 大きさを考慮し DST 再建が可能な場合は直腸クランプ 洗浄後 るが やせた患者などには colonic J-pouch 吻合を行っている. 吻合には 3-0 吸収糸を Endostapler で切離する ISR の肛門操作は 腫瘍の高さに応じて内括約筋全切除の 用い合計 16 針程度縫合する.8) 肛門管チューブを肛門から挿入している.ISR は骨盤内 場合は内外括約筋間溝に入り 内括約筋を部分温存する場合は distal margin を確保し の解剖や生理学的な括約筋の機能を十分に理解したうえで行うべき手技であり 適応を て括約筋間に入り腹腔側剥離層とつなげるが 腹腔鏡操作による十分な剥離により切離 正しく選択すれば癌の根治性や術後の肛門機能の観点からも妥当な術式と思われる. 距離は短く安全である 成績 2005 年 7 月より 2010 年 11 月までに下部直腸肛門 癌に対する肛門温存手術として LapLAR(肛門縁から吻合部までの距離 3cm 以内)45 例および LapISR 14 例を行った 手技の安定化に伴い DST 再建の縫合不全発生率は 減少している (2009 年以降:1/23) LapISR は術後観察期間中央値 29 ヶ月で局所およ び遠隔再発は認めていない

16 第 66 回総会 2011 年 7 月 381 RV10-5 下部直腸 肛門癌に対する我々の ISR 術式と成績 RV11-2 腹腔鏡下食道アカラシア手術における筋層切開術 : 我々の工夫 前田耕太郎 1, 花井 恒一 1, 佐藤 美信 1, 升森 宏次 1, 小出 欣和 1, 松岡 宏 1, 勝野 秀稔 1, 野呂 智仁 1, 本多 克行 1, 遠藤 智美 1 柴田 智隆 1, 片田 夏也 1, 三重野浩朗 1, 根本 昌之 1, 山下 継史 1, 桜本 信一 1, 菊池 史郎 1, 渡邊 昌彦 1 1. 藤田保健衛生大学大学院下部消化管外科学分野 1. 北里大学医学部外科 (はじめに) 下部直腸 肛門癌に対する ISR は肛門機能温存と根治性という意味では究 食道アカラシアに対する腹腔鏡下手術はその低侵襲性と有効性によって普及しつつある 手術の根幹は Heller myotomy(粘膜外筋層切開術) により下部食道括約筋 (LES) 圧を 減少させ dysphagia を軽減することにある しかしながら 粘膜を損傷することなく 十分な筋層切開を安全に行うことはしばしば困難である 我々は 1997 年から 69 例の食道アカラシアに対して腹腔鏡下アカラシア手術を施行し た 術中粘膜損傷は 7 例 (10.1%) で生じており うち 1 例で術中に粘膜損傷を同定し えず縦隔炎を発症した 術前の dysphagia 症状を 10 とした場合の術後 1 年目の平均 dysphagia 症状は平均 1.6 と良好な改善を認めている 我々が現在行っている筋層切開手技を供覧する ① 食道側筋層切開 食道にテーピングを行い 食道を尾側に牽引した状態でまず食道側の筋層切開を開始す る 開始点は最も容易であると思われる部位で概ね食道胃接合部から 1 2cm 口側の 部位となる まず 食道縦走筋をメリーランド鉗子で鈍的に剥離し 輪状筋下に至り食 道粘膜を露出させる この時 はじめから正しい層に入る必要はない LCS で少しずつ 筋層切開を進め 最終的に輪状筋下の正しい層に入る 次に食道粘膜と内輪筋の間で鉗 子を挿入し内輪筋を粘膜から十分浮かせ LCS にて筋層切開する 切離の際は LCS の active blade を粘膜の反対方向に向け粘膜の損傷を防ぐ また切開方向は縦走筋の走行 に従いなるべく直線状となることを心がける 5 6 を目標に行う ② 胃側筋層切開 食道の牽引をやめ 次に胃側筋層切開に移る 術者と助手が筋層切開部の左右を把持し 十分なトラクションをかけた状態でフック型電気メスを用いて押し切りするようにして 筋層切開する 充分に緊張のかかった筋線維に軽く触れる程度のイメージで切開を繰り 返し 最終的に粘膜直上に残存した僅かな筋線維は鈍的に裂くことも効果的な場合もあ る 切開はやや患者左側に曲がる方向に行い 食道に比べ厚みのある胃の筋層を垂直に 切離するイメージで行う 最終的に 2cm を目標に行う ③ 計測 確認 筋層切開が終了した後 われわれは目盛のついた硬膜外カテーテルを用いて筋層切開長 を計測している また 切開した筋層縁を左右に牽引した状態で上端から下端まで詳細 に観察し 粘膜損傷が無いことを確認している 最後に術中内視鏡検査を行い 内腔か ら粘膜損傷が無いことを確認し 送気によりリークテストを行っている 極の肛門温存術式と言ってよいが その適応や手技によっては根治性を損なう可能性が ある 我々の行っている術式の工夫と成績を報告する (適応) 腹腔内よりの直腸の剥離後 腫瘍肛門側に鉗子を掛けて DST による吻合が不可 能な下部直腸 肛門癌を対象とし 肛門挙筋より口側の癌では肛門挙筋に浸潤のない腫 瘍 肛門内では内肛門括約筋に軽度浸潤までの癌を適応とする 基本的に total ISR は 術後の肛門機能を考慮して施行せず subtotal ISR までの切除を行う (術式) 腹側より肛門挙筋まで直腸を十分剥離後 進行癌症例では側方郭清を行う 腫瘍 口側に鉗子を掛け 経肛門的に I 式直腸内洗浄用肛門鏡を用いて 1000ml による洗浄を 行う Lone retractor を用いて肛門を展開し 1cm 程度の distal margin の部より内 肛門括約筋までの切開を開始する 剥離を肛門側切離線より 1cm 程度まで行った後 タバコ縫合で肛門側断端を閉鎖して implantation を予防する 剥離を進めて腹側と交 通して直腸を切除する さらに骨盤内を 5000ml の生食で洗浄し 経肛門的に吻合を 行う covering stoma を造設し 経肛門的減圧ドレーンを挿入して手術を終了する (成績) これまで 58 例の下部直腸 肛門癌に対して ISR(partial 18 subtotal 39 total1 例) を施行した 手術関連死や術式変更 再手術例はなかったが 縫合不全を 11 例に認めた 骨盤内再発は観察期間 45 ヶ月の中央値で 6 例 (10%) に認めた 肛門機 能はほぼ acceptable であった 直腸内洗浄後の細胞診では 洗浄開始前には殆どの症 例で遊離癌細胞が見られたが吻合前にはすべて消失した (まとめ)ISR は適応を手技の工夫によりほぼ安全に施行しうる手術である RV11-1 食道アカラシアに対する腹腔鏡下 Heller-Dor 手術 RV11-3 食道アカラシアに対する腹腔鏡下 Heller-Dor 法:筋層切開時粘 膜損傷への対応 塚越真梨子 1, 宮崎 達也 1, 鈴木 茂正 1, 田中 成岳 1, 横堀 武彦 1, 宗田 真 1, 中島 政信 1 2, 福地 稔 1, 加藤 広行 2, 桑野 博行 1 1. 群馬大学大学院病態総合外科学, 2. 獨協医科大学医学部第一外科学 萩原 信敏 1, 野村 務 1, 宮下 正夫 1, 牧野 浩司 1, 大川 敬一 1, 赤城 一郎 1, 篠塚恵里子 1, 藤田 逸郎 1, 桜澤 信行 1, 内田 英二 1 1. 日本医科大学附属病院消化器外科 目的 当科ではこれまでに 内科治療抵抗性の食道アカラシアに対して手術治療を 因子は 男性 13 例 女性 11 例 平均年齢は 47.5 歳であった 手術手技 開脚位に <はじめに>当施設では 2003 年より食道アカラシアに対する腹腔鏡下 Heller-Dor 法 を導入 これまで 28 例 (男性 13 例 女性 15 例 平均年齢 38.8 歳) を経験してい る このうち筋層切開時の粘膜損傷を 4 例 (14.3%) に認めた 全例とも術中に粘膜損 傷を認識 開腹することなく鏡視下にて修復できたため入院期間は 2-3 日延長したの 行ってきており 腹腔鏡下手術により良好な成績を得ている 今回 手術手技を中心に ビデオで供覧する 症例 1998 年から 2009 年まで当科で手術を施行した食道アカラ シア症例 26 例中 腹腔鏡下 Heller-Dor 手術を施行した症例は 24 例であった 背景 て手術開始 臍より 12mm Blunt Port 左右肋骨弓下鎖骨中線に 12mm Port 左側 みであった また嚥下困難の改善という点においては他の症例同様に良好で高い満足度 腹部に 5mm Port をそれぞれ挿入 横隔膜脚に endo-stitch を用いて 1 針糸をかけ を得た 筋層切開の途中で粘膜損傷を認めた場合 損傷部がさらに拡がることを恐れそ この糸をネラトンにてカバーして左右の肋骨弓下より体外へ牽引し 肝外側区域を挙上 の後の筋層切開が不十分となる可能性が考えられるが 手術による治療効果 術後満足 し 視野を展開している 腹部食道を全周性に剥離して背側にネラトンカテーテルを通 度という点では充分な長さの筋層切開を行うことは不可欠である 当施設で経験した粘 し 左上腹部から挿入したミニループリトラクターを用いて食道を牽引 食道前面を露 膜損傷症例を呈示し 手術ビデオを供覧 粘膜損傷時の対応法を報告する <ビデオ供 出し 食道胃接合部より食道側へ約 5cm 胃側へ約 2cm の筋層切開を施行している 覧>症例は 20 歳 女性 病悩期間 約 1 年 Sp Grade I 術前治療 (内視鏡的拡張 上部消化管内視鏡にて狭窄が解除されていること 粘膜損傷がないことを確認 胃底部 術) なし 4 ポート + 肝臓圧排用リトラクター留置後鏡視下手術を開始 迷走神経前 小弯側を切開した筋層の左側および左横隔膜脚へ 胃体上部大弯側を切開した筋層の 幹を右方に避けて食道を露出 食道をテーピング 周囲を剥離して腹部食道を十分に確 右側および右横隔膜脚へ endo-stitch を用いて縫合 (Dor 噴門形成術) 再度上部消化 保の後 筋層切開を行う 筋層切開は剥離鉗子で筋層と粘膜層を充分に剥離 縦走筋 管内視鏡にて食道胃接合部に狭窄のないことを確認する 結果 平均手術時間は 238 を左右に分けた後 輪状筋線維を 1-2 束ずつフックに引っ掛けるように行った 食道 分 出血量は 30ml であった 術後は全例で合併症を認めず 平均 2.9 日で経口摂取 肛門側から口側に筋層切開を進めていく際に剥離鉗子の先端が深く入り 粘膜損傷を を開始していた 平均 LES 圧は術前 48.6mmHg から術後 15.0mmHg と改善を認め 認めた 穿孔部は約 1.5cm 程度であり これを確認後縫合 結紮は体外結紮では粘膜 た 自覚症状としては 嚥下困難 胸痛は全例で消失もしくは改善した 結語 アカ に tension がかかるため体内結紮にて行った この際に針糸が筋層にかかると穿孔部 ラシアに対する鏡視下手術により全例で症状の改善を認め 明らかな合併症なく良好な より口側の筋層切開を引き続き行う時に筋層粘膜間の剥離ができなくなるため 特に注 成績を得た 肝の挙上 食道の牽引等を工夫することで より良好な視野で安全確実に 意が必要である 粘膜修復部上端の筋層と粘膜間の剥離を行い正しい層を確認 その後 手術を行うことが可能である 内科治療抵抗性の食道アカラシアに対しては腹腔鏡下 の筋層切開は通常通りに安全に行われた 食道 6cm 胃 2cm の筋層を切開 さらに術 Heller-Dor 手術がよい適応であると考えられた 中内視鏡にて粘膜損傷が修復されている事 他に粘膜損傷がない事を確認後 Dor の fundoplication を通常よりも食道粘膜を覆うことを意識して行った <まとめ>筋層切 開時の粘膜損傷は腹腔鏡下 Heller-Dor 法でしばしば起こりうる合併症であるが 対応 さえ誤らなければ患者の被る不利益はさほど大きくない 最も重要なことは粘膜損傷を 見過ごさない事 粘膜損傷があっても安全に修復しさらに十分な筋層切開を行う事であ ると考える

17 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV11-4 腹腔鏡下 Heller-Dor 手術のラーニングカーブ 宮﨑 安弘 1, 中島 清一 1, 山﨑 誠 1, 宮田 博志 1, 瀧口 修司 1, 黒川 幸典 1, 藤原 義之 1, 森 正樹 2, 土岐祐一郎 1 1. 大阪大学大学院消化器外科 2 分野, 2. 大阪大学大学院消化器外科 1 分野 382 RV11-6 食道アカラシアに対する経口内視鏡的内輪筋切開術 (Per-Oral Endoscopic Myotomy ; POEM) 62 例の経験 和田 陽子 1, 井上 晴洋 1, 鈴木 道隆 1, 里舘 均 1, 小鷹 紀子 1, 伊藤 寛晃 1, 工藤 進英 1 1. 昭和大学横浜市北部病院消化器センター はじめに 腹腔鏡下手術には術者側 施設側ともにラーニング カーブが存在することが知られており 腹 腔鏡下胆嚢摘除術や腹腔鏡下虫垂切除術のように common disease におけるラーニング カー ブの解析はこれまで多くなされてきた. 一方 腹腔鏡下 Heller-Dor 手術 (LHD) は食道アカラ シアに対する標準術式として確立している反面 その疾患希少性のためにまとまったラーニン グ カーブ解析の報告は少ない. 当院における LHD 症例を後方視解析し ラーニング カーブ について検討した. 対象 1994 年 2 月以降当院にて行われた LHD 症例 45 例に対し 患者背景 手術時間 出血量 術 後合併症 食道粘膜損傷の有無について検討した. なお 全例アプローチは原則として 5 孔式を 採用し 術中食道内圧測定および食道拡張用バルーンカテーテルによる筋層切開補助を施行した. また最近の 6 例では臍部アプローチによる単孔式内視鏡手術を採用した. 結果 手術時平均年齢は 42.5±15.5 歳であり 男:女比は 21:24 病型分類は紡錘型:フラスコ型:S 字型 =31:5:8 例 (不明 1 例) Grade 分類は I:II:III=7:30:6(不明 2 例) であった. 術者は主に 2 名 (術者 A:10 例 術者 B:26 例 その他:9 例) であった. 術者 A 及びその他が主に前半 20 症 例を担当し 術者 B は後半症例を担当した. 全症例を通して手術時間は減少する傾向を示し (R2 =0.21 p=0.0014) 前半 15 例に対し 後半 30 例において手術時間は有意に短縮してい た (前半:後半=283 分:214 分;p<0.0001). また 粘膜損傷 (前半:後半=8/15:1/29;p<0.0001) 術後 合併症 (前半:後半=4/15:1/30;p=0.0222) も有意に後半 30 例において少なかった. 術者間比較で は 術者 A(n=10) の手術時間は術者 B(n=26) と比較して短い傾向があり (A:B=256.4 分:222.6 分;p=0.077) 出血量は有意に少なかった (A:B=49.0ml:13.2ml;p=0.046). シリーズの後半で手術 手技の安定を得たと判断し 40 例目より単孔式内視鏡手術を開始したが 手術時間 (229±52 分) 出血量 (18.3±22.3ml) 術後合併症などを含め 5 孔式アプローチと比較して大きな遜色な く 安全に導入することができた. はじめに 我々は食道アカラシアに対する根治的低侵襲治療とし て経口内視鏡的内輪筋切開術 (Per-Oral Endoscopic Myotomy ; POEM) を開発して施行してきた.2008 年 9 月 8 日から現在まで に 62 例経験し きわめて良好な成績を得ているので報告する. 対 象 術後症例を含むすべての食道アカラシアを対象とした. 方法 粘膜下層にインジゴカルミン加生理食塩水を局注する. 内視鏡的粘 膜下層剥離術 (ESD) と同様の手技で 2 cm の粘膜縦切開をおい て mucosal entry を作成する. 粘膜開窓部より先端アタッチメン トを装着したスコープの先端を粘膜下層に挿入する.ESD と同様の手技で 肛門側に向 かって粘膜下層剥離を進め 粘膜下層トンネルを作成する. 食道胃接合部を越えて胃側 約 3 cm まで剥離しておく. 先に作成した entry より 約 2cm 肛門側で 肥厚した内 輪筋の切開を開始する. 食道胃接合部を通りこして胃側約 3cm までの筋層切開を行う ( 図 1 ). スコープを挿入した entry はクリップで縫合閉鎖する. 結果 手術時間は平均 分であった.Eckardt score の平均は 5.7 から 1.4 と劇的に改善した. 食道内圧測 定では LES 圧は平均 30.6 mmhg から 11.7 mmhg へ改善した. 入院期間は平均 6.1 日間で縦隔炎や腹膜炎などの合併症は 1 例も認めていない. 結語 今後 POEM は腹 腔鏡下 Heller-Dor に替わる標準治療となりうると考えている. また 治療にあたって は解剖と合併症対策を知り尽くした外科医が施行するのが望ましいと考えている. まとめ 腹腔鏡下 Heller-Dor 手術の安定した手技を習得するには 15 例前後の症例を経験する必要があ る. 食道アカラシアのように希少な疾患に対して安全に腹腔鏡下手術を施行するには 各施設に おいて可及的に手技方法 使用する器具を固定し 術者のラーニング カーブに加えて施設の ラーニング カーブを作り上げることが重要と思われた. RV11-5 食道アカラシアに対する安全かつ効果的な腹腔鏡下 Heller-Dor 手術を行なうための 6 つのステップ 坪井 一人 1, 小村 伸朗 1, 矢野 文章 1, 星野 真人 1, 山本 世怜 1, 秋元 俊亮 1, 柏木 秀幸 1, 矢永 勝彦 2 RV12-1 食道アカラシアに対する単孔式腹腔鏡下 Heller-Dor 手術 佐々木 章 1, 中嶋 潤 1, 大渕 徹 1, 馬場 誠朗 1, 梅邑 晃 1, 新田 浩幸 1, 大塚 幸喜 1, 肥田 圭介 1, 水野 大 1, 若林 剛 1 1. 岩手医科大学医学部外科学講座 1. 東京慈恵会医科大学附属病院消化管外科, 2. 東京慈恵会医科大学外科学講座 目的 教室では 1995 年から食道アカラシア 36 例に対して腹腔鏡下 Heller-Dor 手 食道アカラシアに対する外科療法として 現在 腹腔鏡下 Heller-Dor 手術はその安全 術 (LHD) を施行し 良好な成績を報告してきた 2010 年からは本疾患に対して単孔 性 症状改善効果から標準術式として定着し 世界中でひろく行なわれている 先日公 式腹腔鏡下 Heller-Dor 手術 (SILHD) を導入し 臨床成績 術後の創部痛と整容的利 表された日本内視鏡外科学会による第 10 回内視鏡外科手術に関するアンケート調査の 点について検討しているので 手技と成績を報告する 結果からも分かるように 2009 年に本邦における食道アカラシアに対する腹腔鏡下手 方法 臍部に SILSport を挿入し 組織 (血管) シーリングシステム ロティキュレー 術は約 200 例と年々増加してきており 今後も増加していくことが予想される しか ター鉗子と 5mm フレキシブル腹腔鏡を主に使用した 選択的迷走神経切離術の要領 しながら 10 万人に 1 2 人といった比較的稀な疾患であることから外科治療に関し で胃上部から腹部食道左壁の方向へ腹部食道前面を剥離した 横隔食道間膜に絹糸をか ては一部の専門施設でのみ行なわれているのが現状である け 剣状突起直下の皮膚に牽引固定することで肝外側区域を圧排し 噴門部の視野を確 われわれは 1994 年 8 月より食道アカラシアに対して腹腔鏡下 Heller-Dor 手術を導 保した 腹部食道はペンローズドレーンでテーピングし 左側腹部から刺入したミニ 入し これまでに 300 例を超える手術を手がけてきた 同術式のコンセプトはアカラ ループリトラクターで尾側に牽引した 短胃動静脈を切離後 筋層切開は食道側 5cm シアによる通過障害を解除するとともに Heller の筋層切開だけでは術後に逆流性食道 胃側 2cm とし Dor 噴門形成術は体外結紮法で施行した 症状スコアは 嚥下困難 炎の問題が発生するために Dor の噴門形成術を行なうことでこれを防止するといっ 口腔内逆流 胸痛について頻度 (0-4 点) と程度 (0-4 点) で評価した (合計 24 点) 創 た いわば相反する目的の操作をどちらに傾くことなく適度に調合するという難しさが 部痛と整容的満足度は患者の評点尺度法 (VAS 0-10 点) で経時的に評価した ある 腹腔鏡下に行なうため これまでに行なわれてきた開腹術にはない腹腔鏡手術に 成績 紡錘型 拡張度 2 度の 2 例に SILHD を施行したが トロカー追加例は認め 特有な操作を要する場面もある 当施設ではこの腹腔鏡下 Heller-Dor 手術につきこれ なかった 成績 (LHD36 例/SILHD 症例 1/症例 2) は 手術時間 188/220/207 分 出 までの経験から 6 つのステップを設け 本術式を定型化することで奏功率 94% と良好 血量 10/10/1ml 経口摂取開始 2/2/2 日 術後入院期間 6/4/5 日 合併症は認めなかっ な成績を得る事が出来ている た 術後 LES 圧 9/8/10mmHg 症状スコアは術前 19/16/12 点から術後 4/2/3 点と有 手術の要点は 選択的近位迷走神経切離術の要領による腹部食道の露出 (ステップ 1) 意に改善した VAS(症例 1/症例 2) による評価では 創部痛は術後 3 日 (0.3/0.8) 術 ペンローズドレーンを用いた腹部食道の牽引 (ステップ 2) ゆとりある噴門形成を行 後 14 日 (0/0) 整容的満足度は術後 3 日 (9/10) 術後 14 日 (9.8/10) であった なうための短胃動静脈の切離 (ステップ 3) 食道ブジー挿入下での筋層切開 (ステップ 結語 SILHD は安全に実施でき LHD の臨床成績と差を認めなかった 患者の整容 4) 同様に食道ブジー挿入下での噴門形成 (ステップ 5) 最後に腹部食道の直線化およ び wrap ごと胃上部が胸腔内に逸脱しないための anchor および shoulder stitch(ス テップ 6) である これら 6 つのステップを一つひとつ確実に遂行していくことで 的満足度と創部痛軽減の可能性を考慮すると 食道アカラシアに対する外科治療の一選 択肢となり得ると考えられた 鏡視下手術の修練医が術者であっても安全にかつ効果的な手術が執り行われるように 取り組んでいる 実際 われわれの施設では病期の進んでいないアカラシア患者の約 74% は修練医が指導者のもとで執刀している そこで この 6 つのステップおよびわ れわれの同手術を行う際のポイント 注意点につきビデオで供覧しながら解説する

18 第 66 回総会 2011 年 7 月 383 RV12-2 GERD に対する腹腔鏡下噴門形成術の要点と手術成績 RV12-4 鏡視下で修復し得た横隔膜ヘルニアの 3 例についての検討 矢野 文章 1, 小村 伸朗 1, 坪井 一人 1, 星野 真人 1, 山本 世怜 1, 石橋 由朗 1, 三森 教雄 1, 柏木 秀幸 1, 矢永 勝彦 2 1. 東京慈恵会医科大学附属病院消化管外科, 2. 東京慈恵会医科大学外科学講座 大塚 英男 1, 小林 里絵 1, 近藤 宏佳 1, 今村 和広 1, 高見 実 1, 松本 潤 1 1. 東京都立多摩総合医療センター外科 教室では 1994 年より GERD 患者に対して腹腔鏡下手術を導入し 2010 年 11 月ま 背景 非外傷性横隔膜ヘルニアには食道裂孔ヘルニア Bochdalek 孔ヘルニア でに 337 人の患者に対し腹腔鏡下噴門形成術 (LF) を施行した. 同術式の奏功率は約 Morgani 孔ヘルニアの 3 つに分類される 近年 鏡視下でのヘルニア修復術が多数報 90% と良好であるが 手技の煩雑さと解剖学的特殊性から 大動脈損傷 食道損傷 緊 告されているが標準化された術式はないのが現状である 当院で経験した横隔膜ヘルニ 張性気胸などの重篤な偶発症による死亡例も報告されており 熟練した指導医のもとで ア 3 例について報告する 症例 症例① 70 歳代 男性 上腹部痛と嘔吐を主訴に受 の修練が望まれる.LF の要点は GER 防止機構の再建 食道裂孔ヘルニアなどの解剖 診 左横隔膜弛緩症 胃軸捻転症の診断で腹腔鏡下に手術を施行 術中 Bochdalek 学的異常の修復 腹部食道の十分な確保に集約される. われわれの手術手技は 1) 腹 孔ヘルニアの診断となり 胸腔鏡を併用し Polypropylene Mesh でヘルニア門を閉鎖 部食道の露出 2) 胃穹窿部の授動 3) 食道裂孔の縫縮 4) 噴門形成術の 4 ステップ し 横隔膜を形成した 術後経過に問題なく退院 症例② 30 歳代 男性 上腹部痛と に大きく分けられる. 1) 腹部食道の露出:食道裂孔上縁で横隔食道膜を切離し 迷走神 嘔吐を主訴に受診 食道裂孔ヘルニア 胃軸捻転症の診断で腹腔鏡下に手術を施行 術 経前幹を食道壁につけるようにして食道の露出を行う. 大きな食道裂孔ヘルニアや短食 中 Bochdalek 孔ヘルニアの診断となり ヘルニア門を単純縫合閉鎖し胃固定術を施 道が疑われる症例では 縦隔内まで食道を十分に露出する必要がある. この際 迷走神 経前幹後幹の温存と食道などの臓器損傷に注意することが必要である. 2) 胃穹窿部の授 動:wrapping の際 胃穹窿部に緊張がかるのを回避する目的ですべての短胃動静脈の 切離を行っている. 脾臓の上極では 胃と脾臓の間の距離が短いことがあるので出血に は十分注意する. 視野の確保が困難な場合には 食道の後面より胃穹窿部から脾臓の上 極へアプローチすると切離が容易となる. 3) 食道裂孔の縫縮:食道の背側から食道裂孔の縫縮を通常 2 針行っている. この際 締 めすぎると術後嚥下困難の原因となるが 逆に緩いとヘルニア再発の要因となることが ある. われわれは 1 cm 程度の間隙ができるよう心がけている. 4) 噴門形成術:当初は 全周型である Nissen 法を選択していたが 現在では これまでの経験から術後の嚥下 困難を回避する目的で主に非全周型の Toupet 法を施行している. しかし 若年者や高 度逆流患者では Nissen 法を行うこともある.Toupet 法では約 4 cm の wrapping を 行うが Nissen 法では 56 Fr のエンドルミナ挿入下に約 2 cm の short wrap とし 行 術後経過に問題なく退院 症例③ 60 歳代 女性 心窩部の違和感 胸やけを主 訴に上部消化管内視鏡を施行し 胃の変形を指摘 混合型食道裂孔ヘルニアの診断で 腹腔鏡下に手術を施行 Polytetrafluoroethylene Mesh を用いて食道裂孔を修復し Nissen 法で噴門形成を施行 術後経過に問題なく退院 考察 本邦では成人発症の 非外傷性横隔膜ヘルニアの頻度は少なく 手術を行う機会も少ない 近年では鏡視下 での修復術が多数報告されているが 修復方法 メッシュ素材 噴門形成等において 標準化されたものはない また修復後の再発も問題となる 自検例では全例が全胃の 脱出を伴う巨大ヘルニアであり 症例①ではヘルニア門が巨大かつ脆弱であったため Polypropylene Mesh を用いて横隔膜の修復を行い 症例②ではヘルニア門がしっか りとしていたため単純縫合閉鎖と胃固定術を行った 症例③では組織癒着性を考慮し Polytetrafluoroethylene Mesh を用いた修復と Nissen 法による噴門形成を行った 何れも鏡視下にて症例に応じた修復術を施行し良好な結果を得られている 結語 比 ている. 最後にヘルニアの再発予防として Shoulder および Anchor stitch をおいて 較的稀な疾患である横隔膜ヘルニアを経験した ヘルニアの種類 ヘルニア門の形態や いる. 手術成績として これまでの手術時間と出血量の中央値は 145 (63-358) 分と 0 脆弱性 年齢等を考慮し症例に応じた修復を行うことが肝要である (0-4,000) g であり 12.2% (41/337) に術中合併症を認めた. うち 3 人で出血により開 腹への convert を要した. これまでに 逆流性食道炎もしくは明らかな食道裂孔ヘルニ アの再発を認めた患者は 9.5% (32/337) であった.GERD に対する LF は安全でその治 療成績は良好である. RV12-3 当科における巨大食道裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡下手術 RV12-5 横隔膜上憩室に腹腔鏡下憩室切除及び逆流防止手術を行った 1 例 横隔膜上憩室に対しての治療戦略 古北 由仁 1, 三崎万理子 1, 池田真由美 1, 高嶋 美佳 1, 湊 拓也 1, 梶浦耕一郎 1, 山本 洋太 1, 武知 浩和 1, 清家 純一 1, 丹黒 章 1 1. 徳島大学病院食道 乳腺甲状腺外科 石川 健 1, 河村祐一郎 1, 吉村 文博 1, 稲葉 一樹 1, 石田 善敬 1, 谷口 桂三 1, 磯垣 淳 1, 佐藤 誠二 1, 金谷誠一郎 1, 宇山 一朗 1 1. 藤田保健衛生大学病院外科 はじめに 巨大食道裂孔ヘルニアの中には胃食道逆流防止機構の破綻や屈曲症状など により 内科的治療に抵抗するものも少なくない. 当科では現在までに 4 例の巨大食道 近年鏡視下手術における器機 手術手技などの進歩で 1990 年代半ばより食道憩室に対 裂孔ヘルニア腹腔鏡下手術を経験したので報告する. して胸腔鏡 腹腔鏡手術の報告が散見される. 症例 男性 1 例 女性 3 例 平均 69.5±3.7(66-74) 歳 混合型 3 例 複合型 (横行 結腸)1 例. 全例が前医にて PPI 内服加療中であったが胸やけなどの症状を有しており 我々は横隔膜上憩室に対して 腹腔鏡下憩室切除及び逆流防止手術を行った 1 例を経 験したので報告する. 当科紹介時の内視鏡所見は Los Angeles 分類 Grade N/M/A =1/2/1 例であった. 手術 5 ポートの腹腔鏡下に行い 術後の逆流防止とスムーズな通過といった相反す 症例は 40 歳代男性.10 年前より検診で食道憩室を指摘されていた. 下部食道につかえ る事象を担保すべく 噴門形成は floppy Nissen 法としている. 胃底部の十分な授動 感と違和感を自覚し 近医受診した. 上部消化管内視鏡で下部食道憩室に食物残渣が詰 迷走神経温存 56Fr 食道ブジ-下での wrap の締めすぎ回避 wrap の横隔膜脚への固 まっており 手術等の加療の必要性を含めた精査目的紹介受診した. 定などがポイントである. また巨大食道裂孔ヘルニアは術後再発リスクが高いとされ非 上部消化管内視鏡及び上部消化管造影検査により憩室は 食道胃接合部より 10cm 以 吸収性メッシュが使用されることもあるが 一方でそれに起因する合併症も報告されて 内の下部食道に存在する横隔膜上憩室で アカラシアや食道裂孔ヘルニアの合併はな おり 食道裂孔縫縮後に吸収性のバイクリルメッシュで補強することにしている. かった. 結果 2 例がヘルニア嚢周囲の癒着により臓器の牽引や剥離が困難であったため HALS 憩室内容排出不良 憩室による有症状 憩室の増大傾向を認め 手術適応を判断した. に移行し 手術時間は 311.5±49.2( ) 分とやや長く 出血量 25±26.5(0-60)ml 全身麻酔下 開脚位 5 ポートで手術を開始した. 術後在院日数 9.3±1.5(8-11) 日であった. 平均観察期間は 797±611( ) 日で 食 食道裂孔の一部を左右に切離開大し 縦隔内に到達した. 縦隔内で食道左壁の憩室を周 道裂孔ヘルニア再発や嚥下困難は認めておらず 3 例が PPI 内服を離脱できた. 囲組織より剥離して自動縫合器で切離し 漿膜筋層縫合を加えた. 結語 症例数は少なく短期 中期成績ではあるが 良好な結果を得ることができた 手術部位として噴門部逆流防止機能の損傷の可能性があるため 逆流防止手術 (Toupet しかし巨大食道裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡下手術は必ずしも容易ではなく 患者の重 法) を行った. 術後経過は良好で術後 11 日目に退院となった. 症度やリスクを考慮して慎重に適応を決める必要がある. また術中偶発症を予防すべ 横隔膜上憩室は固有筋層を欠いた仮性憩室であることが多いとされているが 本症例の く 更には確実な症状改善を得るため 緻密な手術手技が何より重要である. 病理診断は固有筋層を含む全層を有した真性憩室であった. 横隔膜上憩室に対しての鏡視下手術 approach 法は ①右胸腔からの胸腔鏡手術 ② 左胸腔からの胸腔鏡手術 ③経裂孔的に腹腔鏡手術といった 3 方法が考えられ それ ぞれの長所短所に関して考察を加える.

19 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV12-6 胸部食道粘膜下腫瘍に対し左側臥位 腹臥位 hybrid 体位を用 いた胸腔鏡下食道粘膜下腫瘍核出術を施行した 1 例 石井賢二郎 1, 竹内 裕也 1, 西 知彦 1, 中村理恵子 1, 大山 隆史 1, 高橋 常浩 1, 和田 則仁 1, 北川 雄光 RV13-2 十二指腸乳頭腫瘍に対する縮小手術 濱野 美枝 1, 新井田達雄 1, 太田 岳洋 2, 竹下 信啓 3, 樋口 亮太 2, 梶山 英樹 2, 谷澤 武久 2, 小貫建一郎 2, 山本 雅一 2 1. 慶應義塾大学医学部一般消化器外科 1. 東京女子医科大学八千代医療センター肝胆膵外科, 2. 東京女子医科大学病院消化 器外科, 3. 東京都保健医療公社荏原病院外科 今回我々は胸部食道粘膜下腫瘍に対し 左側臥位-腹臥位 hybrid 体位を用いた胸腔鏡 十二指腸乳頭部癌に対しての標準術式は幽門輪温存膵頭十二指腸切除術 (PPPD) であ 下食道粘膜下腫瘍核出術を施行した 1 例を経験したので報告する. るとされてきたが画像診断の進歩にともない種々の縮小術式が選択されるようになって 症例は 30 歳男性 健診の上部消化管内視鏡検査にて 食道粘膜下腫瘍を指摘され 精 きた. 査加療目的にて当院受診となった. 自覚症状は特になし. 当院精査にて 切歯 25-32cm 前壁に長径 65mm の食道粘膜下腫瘍を認め CT 上は造影効果のない 均一の腫瘤で あり 有意なリンパ節腫脹は認められなかった. 本人希望もあり 手術の方針となった. まず左側臥位の状態で 胸部中部食道を全周性に授動し これをテーピング. その後手 術台をローテーションして体位を腹臥位とし 腫瘍が露出される層まで腫瘍直上の筋層 を鋭的鈍的に剥離し 術中経口内視鏡を用いて食道内の観察を行い 拡張用バルーンを 用いて内腔より圧排し腫瘍を突出させるようにしたところ 腫瘍周囲の剥離とともに腫 瘍が徐々に壁外に露出されるようになり 腫瘍を核出することができた. 粘膜損傷はな く 筋層欠損部位は結節縫合を用いて閉鎖した. 迅速病理診断では平滑筋腫であった. 胸腔鏡下では拡大視効果のため より精密に安全に核出術が行えるようになった. 今 回 食道胃接合部粘膜下腫瘍に対し 胸腔鏡下食道粘膜下腫瘍核出術 左側臥位-腹臥 位 hybrid を施行した 1 例をビデオをふまえて報告する 年から 2005 年 11 月まで当院にて施行した乳頭部腫瘍切除 209 例を対象とし 切除成績を検討したところ n(-) 例は 133 例認め 5 年生存率は 75% であった.n(+) は 68 例であり 5 年生存率は 49% と有意に生存率は不良であった. また pdu0panc(-) の症例は 42 例認めリンパ節転移は 0% pdu1panc(-) は 53 例 リンパ節転移は 19% pdu2panc(-) は 19 例 リンパ節転移は 37% pdu2 3panc(+) は 95 例 リンパ節 転移は 52% であった. このように癌が oddi 氏筋をこえない早期乳頭部癌はリンパ節転移を認めず局所治療に て十分に予後が期待できるため正確な進達度診断ができれば 根治治療としての縮小手 術が可能である. 当院では縮小手術として最近では術中迅速組織診と併用し 経十二指 腸乳頭切除術 経十二指腸拡大乳頭切除術 十二指腸分節切除術等個々の症例にあわせ たオーダーメイド手術をしている.1989 年から 2007 年 12 月まで当院にて施行した縮 小手術は 20 例 (経十二指腸的乳頭部切除術 15 例 十二指腸分節切除術 5 例) であっ た. 病理組織診断は乳頭部癌 12 例 乳頭腺腫 7 例 カルチノイド 1 例であった. 平均 手術時間は経十二指腸的乳頭部切除術で 171 分 十二指腸分節切除術で 236 分 平均 出血量は経十二指腸的乳頭部切除術で 206ml 十二指腸分節切除術で 339ml であっ た. 術後在院日数は乳頭切除術で平均 15.8 日 十二指腸切除術で平均 27.5 日であっ た. 術後合併症は経十二指腸的乳頭部切除術で 1 例 (7%) 十二指腸分節切除術で 2 例 (40%) であった. 再発なく全員生存中であり 早期乳頭部癌に対しての標準術式として の縮小手術は可能であると考えられた. 適応としては 腺腫 経十二指腸的乳頭部切除術 Oddi 筋を破らない癌腫 経十二指 腸的乳頭部拡大切除術 Oddi 筋を破らない癌腫であるが 乳頭周囲の表層進展を伴う もの 乳頭部十二指腸部分切除術 Oddi 筋を破り粘膜下層以深への浸潤を認める癌腫 全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術 としている. 今回経十二指腸的乳頭部拡大切除 術及び乳頭部十二指腸部分切除術のビデオを供覧する. RV13-1 乳頭部腫瘍に対する経十二指腸的乳頭切除術 RV13-3 十二指腸乳頭部癌に対する経十二指腸的 経腹腔的乳頭切除術 小西 大 1, 木下 平 1, 高橋進一郎 1, 木下 敬弘 1, 後藤田直人 1, 加藤祐一郎 1 1. 国立がん研究センター東病院上腹部外科 小泉 大 1, 佐田 尚宏 1, 笠原 尚哉 1, 森嶋 計 1, 兼田 裕司 1, 藤原 岳人 1, 太田 真 1, 俵藤 正信 1, 安田 是和 1 背景 乳頭部癌に対する縮小手術の適応と術式はいまだ確立していない 現在もっと 背景 十二指腸乳頭部癌の m 癌に対して 縮小手術が試みられてきている. 内視 も一般的に行われている縮小手術は経十二指腸的乳頭切除術であり 今回この術式に対 鏡的乳頭切除術の術後合併症や切除断端の点から 我々はこれまでに経十二指腸的乳 1. 自治医科大学医学部消化器 一般外科学 して当院にて行っている手術手技を提示するとともに これまでに経験した 20 例の治 頭切除術 (transduodenal papillectomy TDP) を報告してきた. また最近は 胆管 療成績を検討し報告する 膵管断端をより確実に確保することを目的に 経腹腔的乳頭切除術 (transabdominal 適応 当院では 術前に腺腫もしくは m 癌と診断された症例 または risk が高く膵 頭十二指腸切除が耐術困難と判断された乳頭部癌症例を適応としている 術式 十二指腸を脱転後 乳頭部対側十二指腸を斜切開にて開き乳頭部を直視下に観 察する 腺腫や腺腫内癌は肉眼的に境界明瞭であり 腫瘍から数 のマージンを取って 十二指腸粘膜を電気メスで切開していく この操作を進めていくとやがて強固な線維組 織からなる共通管にあたる 切除側を引き上げると胆管 膵管に分岐する部分まで同定 可能となる 切離予定線を決め 上流側に支持糸を置いて共通管 (膵管 胆管) を鋭的 に切離する 必要であれば断端を迅速病理に提出する 胆管と膵管を 5-0 モノフィラ メント吸収糸にて形成する 続いて胆管 膵管と十二指腸粘膜切離縁を 5-0 モノフィ ラメント吸収糸にて単結節縫合していく 最後に十二指腸壁を Gambee 縫合にて閉鎖 し手術を終了する 結果 術前腺腫と診断された症例は 16 例であり うち最終病理診断では腺腫 10 例 腺腫内癌 (m 癌)6 例であった 術前 m 癌と診断された症例は 3 例であり 全例最終 診断も m 癌であった また high risk かつ進行乳頭部癌 1 例に対し症状コントロー ルのため本術式を適応した 平均手術時間 120 分 平均出血量 85ml 平均在院日数 10 日 早期合併症は創感染 2 例のみであった さらに胆管炎 膵炎などの晩期合併症 は認めていない しかし最終病理診断が癌 (腺腫内癌を含む) であった 10 例中 5 例 (50%) で断端腫瘍成分陽性であった 断端腺腫陽性 2 例 断端癌陽性 3 例であり 後 者のうち 2 例で追加切除 (胆管切除 1 例 SSPPD1 例) を行った 以上の方針にて局 papillectomy TAP) も試みている. 目的 十二指腸乳頭部癌の TDP TAP 施行例 について検討した. 方法 1992 年 2010 年までに当科で手術を施行した十二指腸乳 頭部腫瘍 86 例のうち TDP を施行した 9 例 TAP を施行した 2 例の計 11 例 (13%) を検討した. 結果 男性 11 例 女性 0 例 平均年齢 57.6 歳 (30 歳 81 歳). 術前診 断は 4 例で腺腫 7 例で腺癌であった. 全例術前に超音波内視鏡検査 (EUS) または管 腔内超音波検査 (IDUS) を施行し 膵浸潤 十二指腸浸潤は認めなかった. 術後の病理 組織学検査では 5 例で腺腫 7 例で腺癌が確認された.m 癌 5 例 od 癌 1 例であっ た.m 癌のうちの 1 例は 病変は粘膜内に限局していたが 胆管内 膵管内を進展して おり断端陽性で 追加切除目的に 2 期的に PPPD を施行した. 切除標本で胆管断端に 癌の遺残を認めた.od 癌の 1 例では 静脈浸潤も陽性であり 我々の検討では od 癌 では 31% にリンパ節転移を認めていたため 追加切除目的に 2 期的 PPPD を施行し た. この症例では十二指腸開口部の粘膜に癌が遺残していたが リンパ節転移は認めな かった. まとめ 術前 EUS IDUS で膵 十二指腸浸潤陰性と判断された m 癌でも 胆管 膵管内へ進展する症例が存在することに留意すべきである.m 癌では TDP TAP のみで根治可能な症例があるが 正確な深達度診断は乳頭部全体の組織学的評価によっ てのみ可能であり TDP TAP を total biopsy として位置づけ 追加切除が必要な症 例に対しては 2 期的 PPPD を施行するという選択肢も治療のオプションになりうると 考える.TDP TAP 手術手技についてビデオで供覧する. 所再発 原病死は認めていない 結語 経十二指腸的乳頭切除術は安全かつ簡便な方法であるが 乳頭部癌症例では断 端陽性率は低いものではなく 慎重に適応を決定する必要がある また根治切除目的の 症例においては 断端癌陽性にて胆管切除や膵頭十二指腸切除の追加切除が必要となる 可能性があることを念頭に置かなければならない

20 第 66 回総会 2011 年 7 月 RV13-4 十二指腸乳頭部腫瘍に対する経十二指腸的乳頭部切除術の有 385 RV13-6 当院における十二指腸乳頭部癌に対する縮小手術 14 例の検討 用性 星野 有哉 1, 鈴木 英之 1, 中村 慶春 2, 水谷 聡 1, 内田 英二 2 1. 日本医科大学武蔵小杉病院消化器病センター, 2. 日本医科大学医学部外科学 消化 器 一般 乳腺 移植部門 緒言 経十二指腸的乳頭部切除術は乳頭部腫瘍に対する縮小術式で 内視鏡的手法と 比較し確実に切除断端が確保できることと形成術による膵液 胆汁流出路を確保できる ことが利点である 今回 十二指腸乳頭部腺腫と副乳頭部癌の同時発生例に対し本術式 を施行したため その術中ビデオを供覧しその有用性について文献的考察を加え報告す る 症例 64 歳 女性 検診にて十二指腸乳頭部の隆起性病変を指摘され 精査治療目的 にて当科紹介となった 内視鏡検査で乳頭部に辺縁明瞭な約 20mm 大の隆起性病変を 認めた 基部は概ね正常粘膜に覆われていたが 頂部は顆粒状の変化を示した 生検の 結果は乳頭腺腫であった 同時に副乳頭部にも 15mm 大の隆起性病変を認め 生検で 乳頭腺腫であった 両者に連続性は認められなかった MRCP では 胆管 膵管の拡 張狭小などの異常は認めず 副膵管は描出されなかった 超音波内視鏡検査では 所属 リンパ節の腫大はなく 膵実質や下部胆管内への浸潤像も認めなかった 以上より十二 指腸乳頭部 副乳頭部腫瘍と診断し 経十二指腸的切除術の方針とした [術中所見お よび術後経過] 十二指腸を切開し 主乳頭と共に共通管に流入する主膵管と胆管を露出 し十分な margin を取りつつ十二指腸乳頭部切除術を施行した 続いて副乳頭ととも に副膵管を遊離し 同様に十分な margin を取り 副乳頭部切除術を行った 術中迅速 病理検査で副乳頭腫瘍に粘膜内癌の併存が疑われたが切除断端は陰性であった 膵管 胆管口形成術と副膵管口形成術を行い手術は終了した 病理組織検査で主乳頭腫瘍は腺 腫と診断され 副乳頭腫瘍は粘膜内癌と診断された 追加切除は施行せず 以降外来に て慎重に経過を観察している 結語 十二指腸副乳頭部腺癌は文献的にもまれな腫瘍であり 今回連続性のない主乳 頭部の腺腫との合併例について報告した 本疾患の治療に関しては 一般的に膵頭十二 栁橋 浩男 1, 趙 明浩 1, 山口 武人 2, 山本 宏 1, 貝沼 修 1, 朴 成進 1, 太田 拓実 1, 有光 秀仁 1, 岩瀬 俊明 1, 永田 松夫 1 1. 千葉県がんセンター消化器外科, 2. 千葉県がんセンター消化器内科 [背景] 画像診断や内視鏡検査の進歩に伴い比較的早期の十二指腸乳頭部癌が発見され る機会が増えている. [目的]2002 年 8 月から 2010 年 12 月までに当院で縮小手術を施行された十二指腸乳 頭部腫瘍 14 例について検討し その手術手技をビデオにて供覧する. [対象] 症例は ct1n0 乳頭部癌 13 例と高齢で膵体尾部欠損の進行癌 1 例. [結果] 術式は膵頭十二指腸第 2 部切除術 (PHRSD)2 例 膵温存十二指腸切除術 (PSD)4 例 経十二指腸的乳頭部切除術 (TDPR)3 例 内視鏡的乳頭部切除術 (EPR)5 例 PHRSD 症例は生検で癌が検出されていたが それぞれ胃全摘後 大腸全摘後で あったため縮小手術とした PSD4 例 (内 1 例は完全腹腔鏡下) は 生検では腺腫で あったが癌が疑われたため適応とした 3 例と 進行癌であったが膵体尾部形成不全で あったため適応とした 1 例であった TDPR を施行した 3 例は生検では腺腫 2 例 癌 1 例であり EPR 困難と判断した症例であった EPR を施行した 5 例は生検では腺腫 4 例 早期癌 1 例であり 0-Ⅰ 0-Ⅱ a 型腫瘍で EMR 可能と判断した症例であった 切除断端は 3 例で EM0(PHRSD1 例 PSD1 例 EPR1 例) その他の 11 例は EM1 であった 平均術後入院期間は PHRSD31.5 日 PSD32.5 日 TDPR14.7 日 EPR9 日であった 術後合併症は PHRSD では delayed gastric emptying が 1 例 PSD で は胆汁漏 (保存で軽快) が 1 例 胆汁漏 (保存で軽快)+delayed gastric emptying が 1 例 TDPR では合併症はなく EPR では膵炎 (保存で軽快) が 2 例であった 経過 は 進行癌は腹膜播腫再発にて 10 ヶ月にて死亡したが その他の 12 例は無再発生存 中 (観察期間 4 ヶ月 100 ヶ月) で栄養状態も問題ない [まとめ] 十二指腸乳頭部腫瘍の縮小手術は適応を限って行えば癌の根治性を失うこと なく QOL が保てると考えられた 指腸切除術が選択されるケースが多いが 腺腫や腺腫内癌においては局所切除のよい適 応と考えられる 今回 内視鏡的切除手技とは異なり 副膵管や共通管 主膵管 下部 胆管を直視下に露出し 十分な margin を取ることが可能な切除術式について ビデ オを供覧しながら報告した RV13-5 Vater 乳頭部癌に対する経十二指腸的乳頭部切除の適応と手技 RV14-1 SILS ポート 従来鉗子を用いた臍部アプローチのみによる単 孔式クリップレス腹腔鏡下胆嚢摘出術の実際 宇多 優吾 1, 黒田 暢一 1, 飯室 勇二 1, 平野 公通 1, 岡田 敏弘 1, 麻野 泰包 1, 宇山 直樹 1, 吉田 康彦 1, 佐竹 真 1, 藤元 治朗 1 1. 兵庫医科大学医学部外科学 肝 胆 膵外科 島袋 誠守 1, 佐野由紀子 1, 大宜見由奈 1, 島袋 伸洋 1, 吉田 一彦 1, 土井 篤 1, 大田 守仁 1, 仲地 厚 1, 照屋 剛 1, 城間 寛 1 1. 豊見城中央病院外科 はじめに 目的 単孔式手術ではいまだ定型的な術式はなく SILS ポートを用いた単孔式腹腔 Vater 乳頭部癌を含め膵頭領域癌に対して膵頭十二指腸切除術は第一選択である しか し Vater 乳頭部癌はその解剖学的位置から下部胆管癌や膵頭部癌に比べ早期に診断され 鏡下胆嚢摘出術 (以下 SILS-C と略す) でも針状デバイスや 5mm クリップを使用する る可能性があり その垂直進展 水平進展 リンパ節転移の状況によっては縮小手術で対 報告が多い 当科でも 2009 年 11 月から穿刺トロッカーの減数に取り組み 2010 年 1 処できる可能性がある 縮小手術としては 経十二指腸的乳頭部切除 乳頭部十二指腸 月から SILS ポートを用いた単孔式手術を本格的に導入した 2010 年 1 月から 12 月 部分切除や膵温存十二指腸分節切除などがある 我々はこれまでに腫瘍の進展状況ある まで胆嚢 胃 大腸 副腎疾患 約 40 例に対し単孔式腹腔鏡下手術を施行 従来から いは患者因子により術前悪性と判断された Vater 乳頭部癌に対する経十二指腸的乳頭部 腹腔鏡下胆嚢摘出術においてクリップレス手術を施行しており SILS-C でも同様の手 切除の検討から その適応は粘膜癌または粘膜内癌とし Ad から Ac 領域に及ぶ mp 技を継続し定型化に努めている 今回当科で施行している針状デバイスを使用しない 癌への適応はないとしている 経十二指腸的切除は十二指腸の切開 乳頭部切除 膵管 SILS ポート 従来鉗子を用いた臍部アプローチのみによるクリップレス SILS-C につ 胆管と十二指腸との吻合の三つのパートから成るが 我々はこの三つのパートにそれぞ れに少しの工夫を行なうことでストレスなく確実な手術を行なっている 今回 その適 応と手術手技を供覧するとともにその成績につき報告する 手術手技 十二指腸切開は乳頭対側に 斜切開を加え十二指腸内の視野の確保と縫合閉鎖時の狭窄 予防を行なう 乳頭切除は十二指腸壁全層で行い 胆管 膵管と十二指腸との吻合再建 に際しては可能な限り胆管と膵管を 1 穴化し 5-0 モノフィラメント吸収糸にて結節縫合 を行なう 胆管膵管にはそれぞれ減圧チューブを留置し経胃的に導出し十二指腸切開部 を 2 層で縫合閉鎖する 対象 方法 9 例の乳頭部切除を行った 2000 年から 2010 年までに当教室で切除した Vater 乳頭 部癌 33 例中経十二指腸的 Vater 乳頭部切除を行なった 8 例を対象に術後経過を検討し た 結果 手術時間中央値 443 分 出血量中央値 295ml 縫合不全 十二指腸の通過障害はなかっ た 経口摂取開始日中央値 12 日 術後在院日数中央値は 37 日 急性期 遠隔期を通し て胆管炎 膵炎は 1 例も認めていない まとめ いて実際の手術手技 手術症例について検討したので報告する 対象と方法 2010 年 1 月から 12 月までに当院を受診した胆嚢疾患症例で術前の点滴静注胆嚢造影 CT で 1. 胆嚢が描出され 2. 胆嚢管の分枝異常を認めない 14 例 (胆石症 10 例 胆石 症 +S 状結腸 LST1 例 胆嚢ポリープ 2 例 胆嚢線筋腫症 1 例) を対象とした 臍中心を通る約 cm の縦切開で開腹 5mm の把持鉗子を直接 腹壁と SILS ポートの間から腹腔内に挿入し胆嚢底部の牽引に利用 SILS ポートの中心には 16G の留置針の外筒を留置し排煙孔として利用 5mm フレキシブルススコープ 通常の LC で使用するストレート型の鉗子を用いて手術を施行した 胆嚢管は末梢側を 3-0 絹糸で中枢側を 3-0 吸収糸の体外 2 重結結紮後に切離 胆嚢動 脈の処理 肝床からの剥離はすべて超音波凝固切開装置で行った 成績 S 状結腸切除併施例を除く症例の平均手術時間は 121 分 出血量は 17ml 開腹移行症 例はなく 術後合併症も認めず 平均在院日数 5.6 日 1 例に ss 胆嚢癌の合併を認め た 結論 SILS ポート ストレート鉗子を用いた臍部アプローチのみによるクリップレス SILS-C 経十二指腸的乳頭切除術は安全に行ない得る術式であり また適応を粘膜癌または粘膜 は従来法と比較し手術時間は若干長い傾向にはあるが術後の合併症もなく 定型化が可 内癌に限定すれば Vater 乳頭部癌に対しても施行可能と考える 能な手術術式と考えられた 実際の手術手技を供覧する

目次(下部).indd

目次(下部).indd ビジュアルサージカル消化器外科手術下部消化管 は動画がある項目です 1 章腸 1 1. 腸の解剖 / 松山貴俊, 絹笠祐介 2 腸の区分 2 腸の動脈 静脈 4 大腸のリンパ流 11 大腸周囲の自律神経 12 直腸周囲の筋膜構成 13 肛門管の解剖 15 2. 虫垂切除術 ( 開腹 )/ 正木忠彦, 吉敷智和 18 手術手技 22 皮膚切開 開腹 22 創縁の保護 22 術野の確保 23 虫垂の同定

More information

Vol.52 2013夏号 最先端の腹腔鏡下手術を本格導入 東海中央病院では 平成25年1月から 胃癌 大腸癌に対する腹腔鏡下手術を本格導入しており 術後の合併症もなく 早期の退院が可能となっています 4月からは 内視鏡外科技術認定資格を有する 日比健志消化器外科部長が赴任し 通常の腹腔 鏡下手術に

Vol.52 2013夏号 最先端の腹腔鏡下手術を本格導入 東海中央病院では 平成25年1月から 胃癌 大腸癌に対する腹腔鏡下手術を本格導入しており 術後の合併症もなく 早期の退院が可能となっています 4月からは 内視鏡外科技術認定資格を有する 日比健志消化器外科部長が赴任し 通常の腹腔 鏡下手術に とうかい Vol.52 公 立 学 校 共 済 組 合 東 海 中 央 病 院 各 務 原 市 須 衛 会 本 新 池 ( 稲 田 園 前 )です INDEX 表 紙 写 真 募 集 のお 知 らせ 過 去 のとうかいはこちらからご 覧 になれます http://www.tokaihp.jp/tokai/ Vol.52 2013夏号 最先端の腹腔鏡下手術を本格導入 東海中央病院では 平成25年1月から

More information

本文/開催および演題募集のお知らせ

本文/開催および演題募集のお知らせ 80 QOL QOL VAS Score MRI MRI MRI Ra Rb MRI 81 お 名 前 VAS VAS Score 82 奥ほか 症例 手術時間 出血量 食事開始日 術後入院期間 分 ml 日 日 平均 SD 9 備考 排尿障害 創部感染 図 直腸子宮内膜症症例の MRI ゼリー法によ る画像所見 図 当院で直腸子宮内膜症に対して直腸低位前方切 除術を施行した症例の内訳 子宮内膜症では

More information

<303491E592B BC92B08AE02E786C73>

<303491E592B BC92B08AE02E786C73> ( 注意 ) : 複数選択 : 単一選択 * 複数治療がある場合は 別シートをご利用下さい 担癌状態の評価 今回の血清採取時 ( 登録時または追跡調査時 ) に担癌状態 ( がんが存在する状態 ) か ( 医師への確認を はい いいえ 前提として下さい ) はい の場合( 複数回答可 ) 手術前 非根治手術後 手術不能 化学療法または放射線治療中 もしくは治療後 ホルモン療法中もしくは治療後 治療後の再燃

More information

1)表紙14年v0

1)表紙14年v0 NHO µ 医師が治療により回復が期待できないと判断する 終末期 であると医療チームおよび本人 家族が判断する 患者の意志表明は明確であるか? いいえ はい 意思は文書化されているか? はい 患者には判断能力があるか? 医療チームと患者家族で治療方針を相談する 患者の意思を推量できる場合には それを尊重する はい はい 患者の意思を再確認する はい 合意が得られたか? はい いいえ 倫理委員会などで議論する

More information

執刀前用意 体位テストの際 手台からの腕脱落 側板へ直接体が当たっていないか確認 またバルーン 空気圧迫機器などの損傷に注意 ハーモニックを使用する際はプライミング要 電気メス設定は blend mode 記録用の DVD を録画機器にセット S 状結腸 直腸手術の場合は執刀開始とともに

執刀前用意 体位テストの際 手台からの腕脱落 側板へ直接体が当たっていないか確認 またバルーン 空気圧迫機器などの損傷に注意 ハーモニックを使用する際はプライミング要 電気メス設定は blend mode 記録用の DVD を録画機器にセット S 状結腸 直腸手術の場合は執刀開始とともに 腹腔鏡補助下 S 状結腸 直腸切除術マニュアル 2012/2/25 ver1.1 術前用意器具 ラパコロン鉗子セット( 把持鉗子が円滑に動くか確認要 ) ポート: 12mm カメラポート 1 12mm 穿刺ポート 1 5mm 穿刺ポート 3(TANKO の場合は SILS port あるいは Gelpoint) 12mm フレキシブルファイバースコープ (TANKO の場合は 5mm フレキシブル用意

More information

巽病院で大腸癌 巽病院で大腸癌手術をお受けになる方に 大腸癌手術をお受けになる方に 巽病院では,患者さんの人権を尊重し,患者さんにご満足頂け,喜んで退院して頂け るような治療を目指しています 手術前には十分な説明をし,ご納得頂いた上で,最も 良いと思われる治療法を選択して頂くことにしております 大腸

巽病院で大腸癌 巽病院で大腸癌手術をお受けになる方に 大腸癌手術をお受けになる方に 巽病院では,患者さんの人権を尊重し,患者さんにご満足頂け,喜んで退院して頂け るような治療を目指しています 手術前には十分な説明をし,ご納得頂いた上で,最も 良いと思われる治療法を選択して頂くことにしております 大腸 Medical corporation of Saving Your Life 563-0031 池田市天神 1-5-22 TEL 072-763-5100 FAX 072-763-5145 巽病院で大腸癌 巽病院で大腸癌手術をお受けになる方に 大腸癌手術をお受けになる方に 巽病院では,患者さんの人権を尊重し,患者さんにご満足頂け,喜んで退院して頂け るような治療を目指しています 手術前には十分な説明をし,ご納得頂いた上で,最も

More information

Microsoft Word - 胆嚢.doc

Microsoft Word - 胆嚢.doc 胆嚢 UICC における 胆嚢の所属リンパ節胆嚢管リンパ節 総胆管周囲 肝門 膵臓周囲 ( 膵頭部のみ ) 十二指腸周囲 門脈周囲 腹腔動脈および上腸間膜動脈 ( 根部 ) リンパ節 * 肉眼的形態分類胆嚢がん : 胆管がんと同様に 乳頭型 結節型 平坦型に分類し さらに膨張型と浸潤型に分類する 胆嚢が原形をとどめているものを充満型 原形をとどめず肝臓への浸潤が高度なものを塊状型とする 1.UICC(

More information

13120701PDF_Œ{Ł¶PDF.pdf

13120701PDF_Œ{Ł¶PDF.pdf 北勤医誌第 35巻 2013年 12月 1Y 2Y8M 図 1 ストーマの経時変化 直後から 2Y8M まで) こで低侵襲で 余剰腸管の切除とメッシュによ 術後経過 数日して腹痛を訴え CT をとった る補強とストーマ孔の拡大防止をストーマ孔か ところイレウスはないがストーマ孔に小腸が陥 らのアプローチで行なう術式を計画した 入していると診断し再手術を行った 前回腹腔 術式 2層メッシュComposix

More information

Vol.56 2014夏号 最先端の腹腔鏡下鼠径 ヘルニア修復術を導入 認定資格 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会指導医 専門医 消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 外科医長 渡邉 卓哉 東海中央病院では 3月から腹腔鏡下鼠径ヘルニ ア修復術を導入し この手術方法を

Vol.56 2014夏号 最先端の腹腔鏡下鼠径 ヘルニア修復術を導入 認定資格 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会指導医 専門医 消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 外科医長 渡邉 卓哉 東海中央病院では 3月から腹腔鏡下鼠径ヘルニ ア修復術を導入し この手術方法を とうかい Vol.56 公 立 学 校 共 済 組 合 東 海 中 央 病 院 いぎやま こみち 鵜 沼 小 伊 木 町 伊 木 山 のふもと あじさいの 小 径 です 表 紙 写 真 募 集 のお 知 らせ 過 去 のとうかいはこちらからご 覧 になれます http://www.tokaihp.jp/tokai/ INDEX Vol.56 2014夏号 最先端の腹腔鏡下鼠径 ヘルニア修復術を導入

More information

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法 31 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 岡本真知 倉澤佳奈 ( 病理形態研究グループ 指導教員 : 覚道健一 ) 目的今回 いくつかの臓器の癌取り扱い規約を比較検討した結果 臓器ごとに異なっている点があることがわかった その中でも 細胞診を行っていく上で検体数が多く 診断する機会も多い婦人科臓器である子宮 卵巣の癌取り扱い規約について今回はその中から進行期分類の相違点を重点的に調べたので報告する

More information

腹腔鏡下前立腺全摘除術について

腹腔鏡下前立腺全摘除術について ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺摘除術を受けられる方へ 前立腺がんの治療法 前立腺がんには様々な治療法があり 年齢や癌の広がり具合に応じて治療法が選択されます がんが前立腺にとどまっていて治癒 ( 根治 ) が期待される場合に推奨される治療法の一つが根治的前立腺摘除術です この根治的前立腺摘除術にはいくつかの方法 ( 手術方法 ) がありますが大きく分けて 開放手術と腹腔鏡下手術があります 当科における根治的前立腺摘除術

More information

遠隔転移 M0: 領域リンパ節以外の転移を認めない M1: 領域リンパ節以外の転移を認める 病期 (Stage) 胃がんの治療について胃がんの治療は 病期によって異なります 胃癌治療ガイドラインによる日常診療で推奨される治療選択アルゴリズム (2014 年日本胃癌学会編 : 胃癌治療ガイドライン第

遠隔転移 M0: 領域リンパ節以外の転移を認めない M1: 領域リンパ節以外の転移を認める 病期 (Stage) 胃がんの治療について胃がんの治療は 病期によって異なります 胃癌治療ガイドラインによる日常診療で推奨される治療選択アルゴリズム (2014 年日本胃癌学会編 : 胃癌治療ガイドライン第 胃がんとは 胃がんの発生 進行について胃がんは胃の粘膜から発生し 年月をかけて診断可能な大きさになるといわれています 胃の壁は 粘膜 粘膜下層 筋層 漿膜 ( しょうまく ) にわかれています 胃壁におけるがんの浸潤の程度を深達度と呼びます 粘膜下層までの浸潤でとどまっているものを早期胃がんとし 筋層まで浸潤しているものを 進行がんとしています 早期がんであっても 粘膜下層まで浸潤すると血管やリンパ管から転移していく可能性があります

More information

膵臓癌について

膵臓癌について 胆 膵領域の悪性腫瘍 ~ 外科の立場から ~ 尾道市立市民病院外科 村田年弘 膵臓癌について 2009 年の死亡数が多い部位は順に 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 男性 肺 胃 肝臓 結腸 膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3 位 女性 肺 胃 結腸 膵臓 乳房 結腸と直腸を合わせた大腸は1 位 男女計 肺 胃 肝臓 結腸 膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3 位 年々 膵臓癌の罹患患者は増加している

More information

untitled

untitled 1 日目 10 月 27 日 木 第 1 会場 国際会議室 開会の辞 12 15 12 20 ランチョンセミナー 1 12 20 13 10 共催 大鵬薬品工業株式会社 LS- 1 座長 齊藤 博昭 鳥取大学医学部 病態制御外科学分野 今度どうなる 胃癌の術後補助化学療法 小寺 泰弘 名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学 主題 1 高齢者進行胃癌に対する治療戦略 定型か縮小か 13 20 14

More information

腹腔鏡補助下膀胱全摘除術の説明と同意 (2) 回腸導管小腸 ( 回腸 ) の一部を 導管として使う方法です 腸の蠕動運動を利用して尿を体外へ出します 尿はストーマから流れているため パウチという尿を溜める装具を皮膚に張りつけておく必要があります 手術手技が比較的簡単であることと合併症が少

腹腔鏡補助下膀胱全摘除術の説明と同意 (2) 回腸導管小腸 ( 回腸 ) の一部を 導管として使う方法です 腸の蠕動運動を利用して尿を体外へ出します 尿はストーマから流れているため パウチという尿を溜める装具を皮膚に張りつけておく必要があります 手術手技が比較的簡単であることと合併症が少 腹腔鏡補助下膀胱全摘除術の説明と同意 - 1 - 腹腔鏡補助下膀胱全摘除術について 秋田大学医学部泌尿器科 科 長 : 羽渕友則 担当医 : 1 膀胱がんの治療法について膀胱がんに対しては病期 ( 腫瘍の進み具合 ) により様々な治療法があります 一般に腫瘍の悪性度が低いもの 膀胱の表層に留まっているものは内視鏡的に膀胱を温存する治療が行われます 腫瘍の悪性度が高い場合や 腫瘍が膀胱の壁の深くまで及んでいる場合

More information

食道癌に対する低侵襲手術と成績向上への取り組み 門 開胸手術から鏡視下手術 VTS-Eへ 85 を及ぼす肺炎などを含む呼吸器合併症は関胸群での発 門 667 後期 症率が %であったのに対し胸腔鏡群では前期 3 E 結果 これら とも %と半減していた いずれかの合併症を発症した率は 胸腔鏡前期群では 開胸群と同等であったが後期群では有意に減少してい 6 5/45%=3 3 た D 5 4 - 開胸

More information

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃 日付 時限 4 月 6 日 1 食道腫瘍の病理 GIO: 食道腫瘍の病理学的所見を理解する SBO: 1. 食道の構造を説明できる 内 容 2. 食道の良性上皮性腫瘍の分類と病理所見を説明できる 3. 食道の悪性上皮性腫瘍の分類と病理所見 ( 肉眼所見 組織所見 ) を説明できる 4. バレット食道 バレット腺癌について説明できる 5. 食道の非上皮性腫瘍を良性病変と悪性病変と分けて説明できる 4

More information

最終解析と総括報告書

最終解析と総括報告書 総括報告書 JCOG9501: 大動脈周囲リンパ節郭清の臨床的意義に関する研究 [ 作成年月日 2017/12/14 ] 研究事務局 : 笹子三津留 ( 兵庫医科大学上部消化管外科 ) 研究代表者 : 笹子三津留 ( 兵庫医科大学上部消化管外科 ) グループ代表者 : 寺島雅典 ( 静岡県立静岡がんセンター胃外科 ) 試験概要 試験の目的 : 大動脈周囲リンパ節に高頻度に転移しうると推測される漿膜下浸潤

More information

( 7 5) 虫垂粘液嚢胞腺癌の 1切除例 F g 5 H s t l g lf d g sshwdm s y s t d r m ( H E s t ) 考 型度粘液腫蕩で再発リスクが低い ) C I低異型度を示 察 す粘液産生腫蕩で 腫蕩成分を含む粘液が虫垂以外に 原発性虫垂癌は全大腸癌手術件数の 8 3 %で 大 存在する群(低異型度粘液腫蕩で再発リスクが高い ) 腸癌取扱い規約 却によると

More information

Microsoft PowerPoint - komatsu 2

Microsoft PowerPoint - komatsu 2 Surgical Alternatives to Hysterectomy in the Management of Leiomyomas 子宮摘出術に代わる子宮筋腫の外科的選択肢 ACOG PRACTICE BULLETIN 2000 M6 31 番小松未生 子宮筋腫 女性の骨盤内腫瘍で最も頻度が高い 大部分は無症状 治療は子宮摘出術が一般的 挙児希望 子宮温存希望の女性も多い 治療法の選択肢は増えているが

More information

手術予定登録_入力マニュアル

手術予定登録_入力マニュアル 消化器外科 + 肝胆膵外科 腹腔鏡下肝切除術 腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術の手術予定登録操作マニュアル 3.02 版 一般社団法人日本消化器外科学会一般社団法人 National Clinical Database はじめに 平成 28 年診療報酬改定により 腹腔鏡下の肝切除術 腹腔鏡下の膵頭十二指腸切除術 の 2 術式が診療報酬に採択されました それに伴い 該当術式について NCD データベースへの症例登録が必須となります

More information

当院外科における 大腸癌治療の現況

当院外科における 大腸癌治療の現況 当院外科で行っている 大腸癌の治療 尾道市立市民病院外科 宇田征史 大腸癌の診断 検診 ( 便潜血陽性 ) で精査必要となり大腸内視鏡検査を行い発見 血便, 便通異常, 腸閉塞等の症状出現後の精査で発見 他疾患の精査にて偶然 CT 検査等で発見 大腸癌と診断されたら 進行程度 ( 病期 ) の診断を行う 深達度 ( 癌の浸潤している深さ ) 転移の有無の検索 (CT,PET-CT,US 等 ) 血行性転移

More information

大腸外科手術説明書

大腸外科手術説明書 大腸癌手術説明書 この冊子は大腸癌の手術を受ける方に知っていただきたい情報をまとめたものです 全部で 1~10 ページあります 乱丁 落丁等無いことをご確認ください ご自宅でよくお読みいただき 手術の説明時はこの冊子をお持ちください ( 手術の説明はこの冊子をもとに行います ) 内容でご不明な点がございましたらスタッフにお問い合わせください この冊子の以下の項目つき お読みになったものにチェック (

More information

腹腔鏡下前立腺全摘除術について

腹腔鏡下前立腺全摘除術について ロボット支援腹腔鏡下根治的膀胱摘除術を受けられる方へ 秋田大学医学部附属病院泌尿器科 膀胱がんの治療法 膀胱がんの手術療法は大きく分けて 2 つの方法があります ひとつは 尿道か ら内視鏡を入れで膀胱内のがんを電気メスで切除する方法 ( 経尿道的膀胱腫瘍 切除術 :TURBT) もうひとつは 全身麻酔下に膀胱を摘出する方法 ( 膀胱摘除 術 ) です がんが膀胱の壁に深く入り込んでいる場合 ( 浸潤性膀胱がん

More information

<924A814092BC8EF72E656339>

<924A814092BC8EF72E656339> @ 膵分節切除を施行した膵 の 例 α 本邦報告 例の発生部位および手術術式 膵内分泌機能の低下は膵切除量に応じて発生リ スクが高まる イヌを用いた実験的検討では糖 尿病発現からみた膵切除率の限界は正常膵の場 合で 慢性膵炎などの線維化膵で と されている 本症例を門脈上で切離する体 尾部切除を行うと仮定し術前 を用いてボ リューメトリーで解析したところ 社製 膵全体の体積は約 で膵切除 体尾部の体積が約

More information

外来在宅化学療法の実際

外来在宅化学療法の実際 平成20年度第1回高知医療センター 地域がん診療連携拠点病院 公開講座 食道がんの放射線 化学療法について 高知医療センター 腫瘍内科 辻 晃仁 がん薬物療法専門医 がん治療認定医 2008.7.19. 高知市 ウエルサンピア高知 レインボーホール 食道の構造 食道がんの進行 食道の内面の粘膜から発生したがんは 大きくなると粘膜下層に広がり さらにその下の筋層に入り込みます もっと大きくなると食道の壁を貫いて食道の外まで広がっていきます

More information

アンケート回答 19 施設 ( 順不同 ) 奈良県立医科大学消化器外科順天堂大学下部消化管外科市立函館病院消化器内科調布外科消化器科内科クリニック東京都多摩がん検診センター市立旭川病院消化器病センター山形大学医学部第 2 内科産業医科大学第 1 外科国立がんセンター中央病院内視鏡部福岡大学築柴病院福

アンケート回答 19 施設 ( 順不同 ) 奈良県立医科大学消化器外科順天堂大学下部消化管外科市立函館病院消化器内科調布外科消化器科内科クリニック東京都多摩がん検診センター市立旭川病院消化器病センター山形大学医学部第 2 内科産業医科大学第 1 外科国立がんセンター中央病院内視鏡部福岡大学築柴病院福 内視鏡摘除手技の標準化プロジェクト研究 大腸腫瘍に対する大腸内視鏡治療後の遺残再発と偶発症症例の実態に関する多施設共同研究 ( 後ろ向きアンケート調査 ) 追加アンケート結果 2008 年 7 月 4 日第 69 回大腸癌研究会 アンケート回答 19 施設 ( 順不同 ) 奈良県立医科大学消化器外科順天堂大学下部消化管外科市立函館病院消化器内科調布外科消化器科内科クリニック東京都多摩がん検診センター市立旭川病院消化器病センター山形大学医学部第

More information

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同 限局性前立腺がんに対する治療 手術療法 放射線療法 2017 年 1 月 ( 第 11 版 ) 奈良県立医科大学泌尿器科 1 限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する

More information

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 大腸がん 消化器内科 造血幹細胞移植 造血器腫瘍 骨髄不全 血液 腫瘍内科 大腸がん 早期胃がん 肝臓がん ( 一部 ) 前立腺がん 腎細胞がん 副腎がん腎盂尿管がん 膀胱がん 食道がん子宮体がん 外科泌尿器科婦人科 胸腔鏡下手術 肺がん 呼吸器外科 気道狭窄 閉塞病変に対する気管支鏡下レーザー治療 肺がん 呼吸器外科 定位放射線治療 原発性肺がん 転移性肺がん 原発性肝がん

More information

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し 四日市羽津医療センター 全国がん登録集計 2018 年 1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 61 79 364 504 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診したのかを把握する項目自施設を当該腫瘍に関して初診した際に

More information

「腎盂尿管がんに対する手術」説明および同意書

「腎盂尿管がんに対する手術」説明および同意書 腎盂尿管がんに対する手術 説明および同意書 四国がんセンター泌尿器科 患者氏名 ( ) さん 御本人さんのみへの説明でよろしいですか? ( 同席者の氏名をすべて記載 ) ( ( はい ) ) < 病名 > 腎盂尿管がん ( 右 左 ) 臨床病期 T N M ステージ (Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ) < 治療 > 手術部位 ( 原発巣 転移部位 ) 手術方法 :( 腎尿管全摘除術 尿管部分切除術 ) ( 開腹手術

More information

U 開腹手術 があります で行う腎部分切除術の際には 側腹部を約 腎部分切除術 でも切除する方法はほぼ同様ですが 腹部に があります これら 開腹手術 ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を受けられる方へ 腎腫瘍の治療法 腎腫瘍に対する手術療法には 腎臓全体を摘出するU 腎摘除術 Uと腫瘍とその周囲の腎

U 開腹手術 があります で行う腎部分切除術の際には 側腹部を約 腎部分切除術 でも切除する方法はほぼ同様ですが 腹部に があります これら 開腹手術 ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を受けられる方へ 腎腫瘍の治療法 腎腫瘍に対する手術療法には 腎臓全体を摘出するU 腎摘除術 Uと腫瘍とその周囲の腎 U 開腹手術 があります で行う腎部分切除術の際には 側腹部を約 腎部分切除術 でも切除する方法はほぼ同様ですが 腹部に があります これら 開腹手術 ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を受けられる方へ 腎腫瘍の治療法 腎腫瘍に対する手術療法には 腎臓全体を摘出するU 腎摘除術 Uと腫瘍とその周囲の腎組織のみを摘出するU U 2つの手術法のどちらを行うかは 腫瘍の大きさや位置 年齢 手術前の腎機能などにより総合的に決定します

More information

平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 -

平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 - 平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 - 23 45 113 265 358 597 977 585 71 3,034 平成 28 年度 - 31 53 123 272 369 657 963 550 67 3,085 平成 27 年度 - 16

More information

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専 がんに対する診療機能 各領域の専門医に加え 認定看護師 専門 認定薬剤師等とともにチーム医療を展開しており 標準的かつ良質 適切な医療の提供に努め 又 他の医療機関との連携を推進しております 平成 29 年 9 月 1 日現在 1. 肺がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 1 腫瘍外科 ( 外科 ) 6 3 開胸 胸腔鏡下 定位 ありありなしなしなしなし なしなしなしありなしなし 2.

More information

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73> がんに対する診療機能 各領域の専門医に加え 認定看護師 専門 認定薬剤師等とともにチーム医療を展開しており 標準的かつ良質 適切な医療の提供に努め 又 他の医療機関との連携を推進しております. 肺がん 当該疾患の診療を担当している 医師数 当該疾患を専門としてい 腫瘍内科 4 4 2 腫瘍外科 ( 外科 ) 5 4 3 腫瘍放射線科 実績実績実績 開胸 治療の実施 (: 実施可 / : 実施不可 )

More information

2. 予定術式とその内容 予定術式 : 腹腔鏡補助下幽門側胃切除術 手術の内容 あなたの癌は胃の出口に近いところにあるため 充分に切除するためには十 二指腸の一部を含め胃の 2/3 もしくは 3/4 をとる必要があります 手術は全身麻酔 (+ 硬膜外麻酔 ) の下に行います 上腹部に約 25cm の

2. 予定術式とその内容 予定術式 : 腹腔鏡補助下幽門側胃切除術 手術の内容 あなたの癌は胃の出口に近いところにあるため 充分に切除するためには十 二指腸の一部を含め胃の 2/3 もしくは 3/4 をとる必要があります 手術は全身麻酔 (+ 硬膜外麻酔 ) の下に行います 上腹部に約 25cm の 胃癌の手術に対する説明書 1. 病名と病状 これまでの諸検査の結果 病名は胃癌であると診断されます 胃癌は粘膜より発生し 徐々に大きくなり進行していきます 進行の形式に は 1 胃壁を壊し徐々に深く浸潤して ( 壁浸潤 ) さらに進行すると腸壁を貫い て他の臓器へ直接浸潤する形式 ( 直接浸潤 ) 2 リンパ管を経由して転移してい くリンパ節転移 3 血流に乗り他の遠隔臓器へ転移していく血行性転移

More information

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ 15 年 12 月時点 院内がん登録統計 (13 年 ) 登録対象 当院で診断された または治療された がん 当院で がん と判明した場合や他施設から がん の治療のためにされた場合に登録 診断された時点で登録を行うため 治療実績 手術件数などとは件数が異なります 例 )A さんは X 医院で胃がんと診断され 治療のために当院に来院された 胃がん を登録 1 腫瘍 1 登録 1 人が複数の部位に がん

More information

がん登録実務について

がん登録実務について 平成 28 年度東京都がん登録説明会資料 2-1 がん登録届出実務について (1) 1. 届出対象 2. 届出候補見つけ出し 3. 診断日 4. 届出票の作成例示 東京都地域がん登録室 1 1. 届出対象 1 原発部位で届出 2 入院 外来を問わず 当該腫瘍に対して 自施設を初診し 診断あるいは治療の対象 ( 経過観察を含む ) となった腫瘍を届出 3 届出対象となった腫瘍を 1 腫瘍 1 届出の形で届出

More information

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73> 院内がん登録集計 登録対象 27( 平成 19) 年 1 月 1 日より 12 月 31 日までの 1 年間に当院で診断された悪性新生物の件数です 登録対象は新規の診断症例または他院で診断された初診症例であり 入院患者を対象としています 1 腫瘍 1 登録の原則に基づき同一患者に別のがん腫と判断されるがんが生じた場合には腫瘍毎の登録 ( 複数登録 ) となります 登録項目の内容院内がん登録を行うにあたって

More information

沖縄医報 Vol.44 No.1 2008 生涯教育 超音波所見 c 胎盤と子宮壁の間に見られる低輝度境界線 a 胎盤が虫食いまたはスイスチーズ様を示す placental lacuna の存在 脱落膜エコー の欠落 d 子宮漿膜面と膀胱壁の間に血管増生 拡張 b 胎盤付着部の子宮筋層の菲薄化 以上の所見が認められる 写真 1 2 経膣超音波による診 断の精度は高く 特に 妊娠 20 週以降にこれら

More information

直腸癌における壁外浸潤距離の臨床的意義に関する多施設共同研究

直腸癌における壁外浸潤距離の臨床的意義に関する多施設共同研究 直腸癌の壁外浸潤距離に関する臨床的意義 プロジェクト研究参加施設 愛知県がんセンター中央病院大阪市立大学院医学研究科腫瘍外科大阪大学大学院医学系研究科外科系臨床医学専攻消化器外科学鹿児島大学腫瘍制御学金沢医科大学消化器外科治療学北里大学医学部外科京都大学医学部付属病院九州大学大学院消化器総合外科久留米大学外科国立がんセンター中央病院国立がんセンター東病院埼玉医科大学総合医療センター消化管 一般外科埼玉県立がんセンター消化器外科札幌医科大学医学部第一外科四国がんセンター自治医科大学大宮医療センター総合医学第

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 第 21 回京都乳癌コンセンサス会議 テーマ HER2 陰性再発乳癌の抗がん薬治療 アンケート集計結果 1 回答いただいた御施設 (50 音順 ) 大阪赤十字病院 大津赤十字病院 加藤乳腺クリニック 関西医科大学附属枚方病院 菅典道クリニック 京都医療センター 京都市立病院 京都第一赤十字病院 京都大学医学部附属病院 倉敷中央病院 公立八鹿病院 沢井記念乳腺クリニック 滋賀県立成人病センター 静岡県立がんセンター

More information

第13回がん政策サミット 2016秋

第13回がん政策サミット 2016秋 第 13 回がん政策サミット 2016 秋 大腸がんの治療 大腸癌研究会会長光仁会第一病院院長杉原健一 右 大腸とは 横行結腸 左 上行結腸 下行結腸 結 腸 S 状結腸 盲腸 肛門 直腸 直 腸 大腸がん ってどんな病気? 粘膜粘膜下層固有筋層漿膜下層漿膜 粘膜から発生したがん細胞 徐々に大きく 深くなっていく 内視鏡で見た大腸がん 大腸がんとは 早期大腸がん Ip Isp Is IIa IIb

More information

I. はじめにここでは大腸癌の治療を受けられる方に病気に対する正しい知識を持っていただき, あなたにとって最も良い治療を選択していただくことを目的にして作成しました. この文章をごらん頂いたうえで, さらに詳しいことをお知りになりたい方は社会医療法人ペガサス馬場記念病院外科のスタッフとご相談ください

I. はじめにここでは大腸癌の治療を受けられる方に病気に対する正しい知識を持っていただき, あなたにとって最も良い治療を選択していただくことを目的にして作成しました. この文章をごらん頂いたうえで, さらに詳しいことをお知りになりたい方は社会医療法人ペガサス馬場記念病院外科のスタッフとご相談ください 社会医療法人ペガサス 馬場記念病院外科 I. はじめにここでは大腸癌の治療を受けられる方に病気に対する正しい知識を持っていただき, あなたにとって最も良い治療を選択していただくことを目的にして作成しました. この文章をごらん頂いたうえで, さらに詳しいことをお知りになりたい方は社会医療法人ペガサス馬場記念病院外科のスタッフとご相談ください. II. 大腸とは? まず, 消化管のしくみについて説明します.

More information

第 15 回 先 端 医 療 センター 再 生 医 療 審 査 委 員 会 審 査 結 果 日 時 : 平 成 20 年 2 月 26 日 ( 火 )16:00~ 場 所 : 先 端 医 療 センター4 階 大 会 議 室 委 員 長 : 山 岡 義 生 委 員 : 井 上 明 大 内 ますみ 大 田 清 志 守 殿 貞 夫 神 田 勉 玉 岡 かおる 永 井 謙 一 西 田 芳 矢 村 上 雅 義

More information

Microsoft PowerPoint - )大腸癌をお受けになる方に図(南堺_更新用 [互換モード]

Microsoft PowerPoint - )大腸癌をお受けになる方に図(南堺_更新用 [互換モード] 南 堺 病 院 で 大 腸 癌 の 治 療 をお 受 けになる 方 に 南 堺 病 院 では 患 者 さんの 人 権 を 尊 重 し 患 者 さんにご 満 足 頂 け 喜 んで 退 院 して 頂 けるよう な 治 療 を 目 指 しています 手 術 前 には 十 分 な 説 明 をし ご 納 得 頂 いた 上 で 最 も 良 いと 思 われる 治 療 法 を 選 択 して 頂 くことにしております

More information

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73> 院内がん登録集計 登録対象 28( 平成 2) 年 1 月 1 日より 12 月 31 日までの 1 年間に当院で診断された悪性新生物の件数です 登録対象は新規の診断症例または他院で診断された初診症例であり 入院患者および外来患者を対象としています 1 腫瘍 1 登録の原則に基づき同一患者に別のがん腫と判断されるがんが生じた場合には腫瘍毎の登録 ( 複数登録 ) となります

More information

乳がんの疑いがある といわれたあなたへ 乳がんの疑いがあるといわれ 気が動転しているのではないでしょうか これからの人生がどうなるのか 心配でいっぱいかもしれません 乳がんは 比較的治癒率の高いがんで 新しい治療も開発されています 乳房を温存したり 再建したり 女性らしい体を保つ治療法もあります 納得のいく治療を受けるために 今 あなたができること まずは正確な情報を集めましょう もっと 知ってほしい

More information

胃がんの内視鏡的治療 ( 切除 ) とは胃カメラを使ってがんを切除する方法です. 消化器内科 胃がん 治癒 胃がん切除

胃がんの内視鏡的治療 ( 切除 ) とは胃カメラを使ってがんを切除する方法です. 消化器内科 胃がん 治癒 胃がん切除 胃がんの内視鏡的治療 ( 切除 ) とは胃カメラを使ってがんを切除する方法です. 消化器内科 胃がん 治癒 胃がん切除 はじめに 胃がんは胃の粘膜細胞から発生するがんです. 胃の検診や症状が出現し医療機関を受診して発見に至ります. 一般にがんの治療はがんに侵された病巣を切除すること, つまり外科的切除が主体となります. しかし, がんの拡がり ( 進み具合 : 進行度転移 ) によって, その治療方法

More information

Transanal Minimally Invasive Surgery (TAMIS) は 最新のアクセスプラットフォームと従来の腹腔鏡用器具を用いて 遠位 中位直腸の良性腫瘍 および慎重に選択された悪性腫瘍の切除を目的としています Matthew Albert 先生 (Florida Hospi

Transanal Minimally Invasive Surgery (TAMIS) は 最新のアクセスプラットフォームと従来の腹腔鏡用器具を用いて 遠位 中位直腸の良性腫瘍 および慎重に選択された悪性腫瘍の切除を目的としています Matthew Albert 先生 (Florida Hospi TRANSANAL ACCESS PLATFORM 経肛門的低侵襲手術 (Transanal Minimally Invasive Surgery: TAMIS) 手順ガイド Featuring Tips & Tricks from Dr. Matthew Albert, Florida Hospital Transanal Minimally Invasive Surgery (TAMIS) は

More information

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer ( 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > Insulin-like growth factor ( 以下 IGF)

More information

<8CA788E389EF95F E717870>

<8CA788E389EF95F E717870> 区域 左葉内側区域 右前区域 右後区域と 腹腔鏡手 大きく 5 つの区域が存在する 図 2 術も原則として前腹壁から鉗子操作にておこな うため 系統的肝切除は肝左葉外側区域切除の みで 肝部分切除は左葉外側区域 右前区域の 肝表面に近い腫瘍を対象とするのが現在最も一 2 般的な手術適応である その理由として 肝 実質切離が深部に及ぶにしたがって太い肝静脈 図 1A 図 1B 図 1 開腹創の比較 A

More information

頭頚部がん1部[ ].indd

頭頚部がん1部[ ].indd 1 1 がん化学療法を始める前に がん化学療法を行うときは, その目的を伝え なぜ, 化学療法を行うか について患者の理解と同意を得ること ( インフォームド コンセント ) が必要である. 病理組織, 病期が決定したら治療計画を立てるが, がん化学療法を治療計画に含める場合は以下の場合である. 切除可能であるが, 何らかの理由で手術を行わない場合. これには, 導入として行う場合と放射線療法との併用で化学療法を施行する場合がある.

More information

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外 がんの診療に関連した専門外来の問い合わせ窓口 記載の有無 あり とするとデータ抽出の対象となります 記載する内容がない場合は なし としてください なし の場合は以下について記入の必要はありません 病院名 : 岐阜大学医学部附属病院 平成 9 年 9 月 1 日現在 あり がん診療に関連した専門外来の の項目は 以下の表の疾患名を用いて記載してください 表の中に 該当する病名がない場合は その病名を直接記載してください

More information

1. 概要 2010 年 12 月から開始された群馬大学医学部附属病院第二外科の腹腔鏡下肝切除術において, 複数の死亡例があることが判明した 本院医療安全管理部による予備調査では,2014 年 6 月までに実施された 92 例の腹腔鏡下肝切除術のうち,58 例が保険適用外の疑いがあり, その内の 8

1. 概要 2010 年 12 月から開始された群馬大学医学部附属病院第二外科の腹腔鏡下肝切除術において, 複数の死亡例があることが判明した 本院医療安全管理部による予備調査では,2014 年 6 月までに実施された 92 例の腹腔鏡下肝切除術のうち,58 例が保険適用外の疑いがあり, その内の 8 群馬大学医学部附属病院 腹腔鏡下肝切除術事故調査委員会 中間報告書 平成 26 年 12 月 9 日 1. 概要 2010 年 12 月から開始された群馬大学医学部附属病院第二外科の腹腔鏡下肝切除術において, 複数の死亡例があることが判明した 本院医療安全管理部による予備調査では,2014 年 6 月までに実施された 92 例の腹腔鏡下肝切除術のうち,58 例が保険適用外の疑いがあり, その内の 8

More information

cover

cover 日本心臓血管外科学会雑誌 (1998.09) 27 巻 5 号 :293~296. 腹部大動脈, 腸骨動脈領域における傍腹直筋切開と腹部横切開との比較 羽賀將衛, 大谷則史, 清川恵子, 川上敏晃 293 腹部大動脈, 腸骨動脈領域における 傍腹直筋切開と腹部横切開との比較 羽賀將衛大谷則史清川恵子川上敏晃 過去 3 年間に当科において, 破裂 ' 性腹部大動脈瘤を除く, 腹部大動脈および腸骨動脈領域の血行再建術は,

More information

臓器採取マニュアル ~腎~

臓器採取マニュアル ~腎~ 腎臓採取マニュアル 九州大学病院臨床 腫瘍外科北田秀久 東邦大学腎臓学相川厚 1. はじめに 心停止あるいは脳死ドナーからの腎単独摘出の方法について述べる 他臓器の摘出が同時に行われる場合の腎摘出については他稿を参照頂きたい あらゆる状況を想定しておく必要があり それに対応するには基本的な解剖学的知識と技術が不可欠である 2. 摘出に必要な解剖学的知識 手術をするにあたり解剖学的に重要なことは 層

More information

CPP approach Conjoint tendon Preserving Posterior Surgical Technique

CPP approach Conjoint tendon Preserving Posterior Surgical Technique CPP approach Conjoint tendon Preserving Posterior Surgical Technique 2 CPP(Conjoint tendon Preserving Posterior)approach 1 3 2 3 2-1. 3 2-2. 3 2-3. 3 3 4 3-1. 4 3-2. 4 3-3. 4 3-4. 4 3-5. 5 3-6. 5 3-7.

More information

本文/開催および演題募集のお知らせ

本文/開催および演題募集のお知らせ 86 QOL S Masson Irritable Bowel Syndrome IBS Visual Analog Scale VAS IBS MRI S pelvic side wall W pelvic side wall PDS figure 過敏性腸炎様の症状を呈した直腸子宮内膜症の症例 87 図1 術前 MRI ゼリー法の結果 1 症例1の術前所見 症例の術前所見では に直腸子宮内膜症を疑う

More information

会場セッション演題番号時間司会 座長 審査員 第 1 会場 ( フォレストホール 1 2) 第 2 会場 ( 第 7 会議室 ) 第 3 会場 ( 第 5 6 会議室 ) 特別企画 I( 初期 ) W1-01~10 9:20-10 : 30 福島県立医科大学消化器内科学講座 大平弘正 東北医科薬科大

会場セッション演題番号時間司会 座長 審査員 第 1 会場 ( フォレストホール 1 2) 第 2 会場 ( 第 7 会議室 ) 第 3 会場 ( 第 5 6 会議室 ) 特別企画 I( 初期 ) W1-01~10 9:20-10 : 30 福島県立医科大学消化器内科学講座 大平弘正 東北医科薬科大 9 : 00 第 1 会場 ( フォレストホール 1 2) 9 : 15-9 : 20 開会の辞 9 : 20-10 : 30 特別企画 I 目指せ! 消化器病専門医 初期研修医からの報告 第 2 会場 ( 第 7 会議室 ) 9 : 20-10 : 02 一般演題食道 O - 01~07 第 3 会場 ( 第 5 6 会議室 ) 9 : 20-9 : 56 一般演題胃十二指腸 1 O - 24~29

More information

この PDF では 大腸がんの治療方針を考えるお手伝いをします 大腸がんの治療法には 主に内視鏡的治療 外科療法 放射線療法 化学療法があります が 可能となる治療選択肢は がんの状態やあなた自身の状態によって変わります あなたのご自身の状態を知ることは大切です 不明なことは医師に相談しましょう 2

この PDF では 大腸がんの治療方針を考えるお手伝いをします 大腸がんの治療法には 主に内視鏡的治療 外科療法 放射線療法 化学療法があります が 可能となる治療選択肢は がんの状態やあなた自身の状態によって変わります あなたのご自身の状態を知ることは大切です 不明なことは医師に相談しましょう 2 がんがどんな病気なのか 病気を予防するためにどんな生活が望まし いかについて解説します 健康診断の結果などをご用意ください 指摘された異常をチェックしたり 理解を深めたりすることができます 病気と診断され これから治療を受けられる方が 納得して治療を受けられるようお手伝いをします 現在治療を受けている患者さんやご家族の方を対象に 病気とつき あっていくためのポイントを整理します がんの治療が終了した方を対象に

More information

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと StageⅢ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の 予後予測因子および副作用発現の危険因子についての 探索的研究 (JACCRO GC-07AR) についてのご説明 説明 同意文書 作成日 :2014 年 5 月 27 日 施設名 : 東京医科大学八王子医療センター 1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後

More information

2013.3_がんセンター論文.indd

2013.3_がんセンター論文.indd 第 52 巻 19 第 1 号 2013 年 3 月 特集 ここまできた低侵襲性がん治療の進歩 大腸癌に対する腹腔鏡下手術 Laparoscopic surgery for colorectal cancer 丸 山 聡 瀧 井 康 公 福 本 神 林 智寿子 金 子 耕 司 松 木 中 川 悟 藪 崎 裕 佐 藤 将 信 人 西 垣 大 志 淳 野 村 達 也 昭 土 屋 嘉 昭 梨 本 篤 Satoshi

More information

本研究の目的は, 方形回内筋の浅頭と深頭の形態と両頭への前骨間神経の神経支配のパターンを明らかにすることである < 対象と方法 > 本研究には東京医科歯科大学解剖実習体 26 体 46 側 ( 男性 7 名, 女性 19 名, 平均年齢 76.7 歳 ) を使用した 観察には実体顕微鏡を用いた 方形

本研究の目的は, 方形回内筋の浅頭と深頭の形態と両頭への前骨間神経の神経支配のパターンを明らかにすることである < 対象と方法 > 本研究には東京医科歯科大学解剖実習体 26 体 46 側 ( 男性 7 名, 女性 19 名, 平均年齢 76.7 歳 ) を使用した 観察には実体顕微鏡を用いた 方形 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 坂本和陽 論文審査担当者 主査副査 宗田大星治 森田定雄 論文題目 An anatomic study of the structure and innervation of the pronator quadratus muscle ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 方形回内筋は浅頭と深頭に区別され, 各頭がそれぞれ固有の機能をもつと考えられている しかし,

More information

実地医家のための 甲状腺エコー検査マスター講座

実地医家のための 甲状腺エコー検査マスター講座 このコンテンツは 頸動脈エコーを実施する際に描出される甲状腺エコー像について 甲状腺の疾患を見逃さないためのコツと観察ポイントを解説しています 1 甲状腺エコー検査の進め方の目次です 2 超音波画像の表示方法は 日本超音波学会によって決められたルールがあります 縦断像では画面の左側が被検者の頭側に 右が尾側になるように表示します 横断像は 被検者の尾側から見上げた形で 画面の左側が被検者の右側になるように表示します

More information

cstage,, CQ1-5 cstage a CQ2-1,9 CQ4-1 cstage b CQ5-1 CQ4-2~6 CQ5-2~4 CQ2-2~9 CQ3-1~4 CQ6-1~4 CQ4-7 cstage JPS 6 図 2 膵癌治療アルゴリズム 表 1 勧告の強さの分類 A B C1 C2

cstage,, CQ1-5 cstage a CQ2-1,9 CQ4-1 cstage b CQ5-1 CQ4-2~6 CQ5-2~4 CQ2-2~9 CQ3-1~4 CQ6-1~4 CQ4-7 cstage JPS 6 図 2 膵癌治療アルゴリズム 表 1 勧告の強さの分類 A B C1 C2 1 第1 章第 1 章 理解しておきたい! 膵疾患に関するガイドライン 診断基準 1. 膵癌診療ガイドライン 1. 膵癌診療ガイドライン 東京女子医科大学消化器内科 清水京子 ❶ 家族歴 併存疾患 膵癌 危険因子 複数有 場合 慎重 精査, 画像所見 膵癌 疑 間接所見 見落. ❷ 切除可能症例 必要 応 術前補助療法, 術後補助療法 検討. ❸ 切除不能進行膵癌 化学療法 現在 S 1 単独, 単独,

More information

食道癌手術さて 食道は文字どおり口 咽頭から胃まで をつなぐ管状の器官でまさに食物を運ぶ道です そして縦隔と呼ばれる背骨の前方の狭い領域にあり 大動脈 心臓そして気管などと密に接しています さらに 気管とは私たちの身体が構成される過程で同じところから発生し 非常に密な関係にあります さらに発生の当初

食道癌手術さて 食道は文字どおり口 咽頭から胃まで をつなぐ管状の器官でまさに食物を運ぶ道です そして縦隔と呼ばれる背骨の前方の狭い領域にあり 大動脈 心臓そして気管などと密に接しています さらに 気管とは私たちの身体が構成される過程で同じところから発生し 非常に密な関係にあります さらに発生の当初 2015 年 9 月 16 日放送 胸腔鏡で食道癌手術後の肺炎は激減した 大阪市立大学大学院 消化器外科教授 大杉 治司 本日は食道癌手術における肺炎についてお話しいたします 食道癌は他の消化器癌に 比べて治療成績が悪く また術後の肺炎が高頻度で発生します 食道癌の疫学まず 食道癌とは 本邦では年間 2 万人強の人に発生が認められ 全体としては 11 番目に多い癌です 女性 1 に対し男性 6 と

More information

Yonago Medical Center Magazine ARCUS #20 May 2018

Yonago Medical Center Magazine ARCUS #20 May 2018 Yonago Medical Center Magazine ARCUS #20 May 2018 contents 03 04 06 08 10 11 14 12 14 15 02 yonago medical center magazine 03 yonago medical center magazine 04 yonago medical center magazine yonago medical

More information

スライド 1

スライド 1 平成 22 年度診療報酬の改定で外科の手技料が大幅にアップとなりました! 去る 2 月 12 日に中医協総会が開催され 今春の診療報酬改定が答申されました 今回の改定では 10 年ぶりのプラス改定となりました NPO 法人日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会ではこの半年間活動の 3 本柱の一つである 行政対応 に注力し 当会副理事長北島政樹先生 日本外科学会理事長里見進先生 日本外科学会会頭中尾昭公先生

More information

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」 周術期看護エキスパートナース育成計画 作成者 : 高橋育代 1. 目的江南厚生病院に通院あるいは入院している手術を受ける患者に質の高いケアを提供できるようになるために 看護師が周術期看護分野の知識や技術を習得することを目的とする 2. 対象者 1) レベル Ⅱ 以上で手術看護分野の知識と技術習得を希望する者 2) 期間中 80% 以上参加できる者 3. 教育期間 時間 1 年間の継続教育とする 10

More information

大腸ESD/EMRガイドライン 第56巻04号1598頁

大腸ESD/EMRガイドライン 第56巻04号1598頁 ESD/EMR 1602 日本消化器内視鏡学会雑誌 Vol. 56 4, Apr. 2014 a b c d Figure 1 LST の病型亜分類 インジゴカルミン散布像で判定する a 顆粒均一型 homogeneous type LST-G Homo b 結節混在型 nodular mixed type LST-G Mix) c 平隆起型 flat-elevated type LST-NG

More information

A. 実際の手術手技 -( 幽門輪温存 ) 膵頭十二指腸切除術 A-1. Kocherization と後腹膜郭清後腹膜郭清の意義は 後方剥離マージンの確保にある 十二指腸を脱転し 膵鉤筋膜背側の脂肪組織を下大静脈 (IVC) 前面でその右側より剥離していく 胆管癌 乳頭部癌 IPMC などで腫瘍の

A. 実際の手術手技 -( 幽門輪温存 ) 膵頭十二指腸切除術 A-1. Kocherization と後腹膜郭清後腹膜郭清の意義は 後方剥離マージンの確保にある 十二指腸を脱転し 膵鉤筋膜背側の脂肪組織を下大静脈 (IVC) 前面でその右側より剥離していく 胆管癌 乳頭部癌 IPMC などで腫瘍の 膵頭十二指腸切除術の教育と実践 一般外科での研修終了医師 ( 外科学会専門医相当医師 ) を対象 個々の症例を Logbook に入力し経験症例を把握 ビデオでの修練 術後管理の特性を理解し 実践する 月に一度の Morbidity and Mortality conference で症例供覧 助手として 10 例の PD 経験 ( 現状の surgical skill をチェック ) 肝胆膵外科学会専門医と

More information

" " " " " " " " " " " " " " " " "

                " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " " EDAIN WING 4.0 星野 2015.06.12 12.49.01 Page 10(1) KyorinWPS 30422 4386 tokdp69 21 抄 1P2 ky906712438600056650 パネルディスカッション1

More information

5. 腹腔鏡下内外括約筋間隙剥離の視野展開 6. 腹腔鏡下手術が奏功した多発消化管瘻合併の急性膵炎後膵膿瘍の 1 例 石川県立中央病院消化器外科 伴登宏行 腫瘍の下縁が外科的肛門管にかかるような直腸癌に対しても 内括約筋切除により肛門を温存できるようになってきた われわれは腹腔鏡下に腹腔側から内外括

5. 腹腔鏡下内外括約筋間隙剥離の視野展開 6. 腹腔鏡下手術が奏功した多発消化管瘻合併の急性膵炎後膵膿瘍の 1 例 石川県立中央病院消化器外科 伴登宏行 腫瘍の下縁が外科的肛門管にかかるような直腸癌に対しても 内括約筋切除により肛門を温存できるようになってきた われわれは腹腔鏡下に腹腔側から内外括 第 43 回北陸内視鏡外科研究会抄録集 一般演題 Ⅰ 1. 当院における胃 GIST に対する手術術式の検討 八尾総合病院外科 根塚秀昭 笹原のり子 渡邉利史 藤井久丈 はじめに 胃 GIST の手術は確実な切除と臓器機能温存が重要である 今回我々は胃 GIST に対する腫瘍の大きさに適した術式の選択について考察する 対象 過去 5 年間に切除した胃 GIST 症例 7 例 年齢 68-78 歳 (73.5)

More information

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or 33 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 2015 年第 2 版 NCCN.org NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) の Lugano

More information

消化器センター

消化器センター 食道 Esophagus 食道グループでは 食道がん内視鏡及び外科治療を中心に取り組んでいます 食道がんは 消化器がんの中でも 比較的早い段階でリンパ節や肝臓や肺などの遠隔転移を認め また 周囲には大血管などの重要な臓器に浸潤しやすく 消化器がんの中でも難治のがんです 食道がんの内視鏡的治療 外科治療も日々進歩しており 化学療法 放射線治療 医療スタッフの積極的な関与による集学的治療 チーム医療を推進し

More information

NCDデータを用いた全国消化器外科領域内視鏡手術の現況に関する調査結果(速報)

NCDデータを用いた全国消化器外科領域内視鏡手術の現況に関する調査結果(速報) 2014.12 NCD データを用いた全国消化器外 科領域腹腔鏡手術の現況に関する 緊急調査結果 ( 速報 ) 日本外科学会 日本消化器外科学会 Na&onal Clinical Database 1 目的 腹腔鏡手術を受けた患者が合併症などにより残念な結果となったという昨今の報道を受け わが国の腹腔鏡消化器外科手術の症例数の現状と安全性を緊急調査する 2 方法 2011-2013 年の 3 年間に

More information

15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrate

15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrate 15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrated adenocarcinoma defined by Mäkinen in Dukes B colorectal

More information

づけられますが 最大の特徴は 緒言の中の 基本姿勢 でも述べられていますように 欧米のガイドラインを踏襲したものでなく 日本の臨床現場に則して 活用しやすい実際的な勧告が行われていることにあります 特に予防抗菌薬の投与期間に関しては 細かい術式に分類し さらに宿主側の感染リスクも考慮した上で きめ細

づけられますが 最大の特徴は 緒言の中の 基本姿勢 でも述べられていますように 欧米のガイドラインを踏襲したものでなく 日本の臨床現場に則して 活用しやすい実際的な勧告が行われていることにあります 特に予防抗菌薬の投与期間に関しては 細かい術式に分類し さらに宿主側の感染リスクも考慮した上で きめ細 2016 年 4 月 13 日放送 術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドラインのポイント 帝京大学外科教授福島亮治はじめにこのたび 日本化学療法学会と日本外科感染症学会が合同で作成した 術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン が公開されました この領域における これまでのわが国のガイドラインといえば 日本感染症学会 日本化学療法学会共同編集の 2001 年の抗菌薬使用の手引き 2005

More information

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や 動物の腫瘍インフォメーション シート 4 犬の膀胱腫瘍 膀胱腫瘍とは 膀胱内貼りの粘膜から発生する腫瘍で 血尿などを起こします 犬の膀胱腫瘍のうちの多くは 移行上皮癌 ( いこうじょうひがん ) とよばれる悪性腫瘍ですが 良性の腫瘍や 慢性の膀胱炎によるポリープなどもみられることがあります 良性のものは 基本的には手術で切除すれば完治可能です ここでは 主に悪性の移行上皮癌について 検査法や治療オプションをご説明します

More information

29-28

29-28 医学研究に関する情報公開および研究協力へのお願い 福井大学医学部附属病院第一外科では 医学系研究倫理審査委員会の承認を得て 下記の医学研究を実施しています こうした研究では 対象となる方に関して既に存在する試料や情報 あるいは今後の情報や記録などを調査しますが 対象となる方にとって新たな負担や制限が加わることは一切ありません このような研究では 国が定めた倫理指針に基づき 対象となる方お一人ずつから直接同意を得るかわりに

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 当科にて施行した ESD の 2 症例について 独立行政法人国立病院機構指宿医療センター消化器内科千堂一樹 小野陽平 大重彰彦 ESD( 内視鏡的粘膜下層剥離術 ) とは 近年 消化管領域の早期癌に対する内視鏡的治療は日本を中心に急速に発展してきており 入院日数が短期間で済み身体への負担も軽く出来るため 新しい治療法として注目されてきている 現在 消化管の早期癌に対する内視鏡的治療としては主に以下の

More information

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性 2018 年 12 月 19 日放送 急性胆管炎 胆嚢炎診療ガイドライン 2018 国際医療福祉大学消化器外科教授吉田雅博ガイドラインの作成経過急性胆道感染症 ( 急性胆管炎 急性胆囊炎 ) は急性期に適切な対処が必要であり 特に 急性胆管炎 なかでも重症急性胆管炎では急性期に適切な診療が行われないと早期に死亡に至ることもあります これに対し 2005 年に出版されたガイドライン初版によって世界に向けて診断基準

More information

‘ÇŠáŁñ“’-‰{’ì’æ’¶.ec9

‘ÇŠáŁñ“’-‰{’ì’æ’¶.ec9 京府医大誌 124(3),183~187,2015. 虫垂粘液嚢胞腺腫の腹腔鏡手術例 183 症例報告 腹腔鏡補助下に切除した虫垂粘液嚢胞腺腫の 1 例 宮川 * 公治, 内藤慶, 藤信明 済生会京都府病院外科 MucinousCystadenomaoftheAppendixTreated withlaparoscopy-assistedexcision KojiMiyaawa,KeiNaitoandNobuakiFuji

More information

長谷川 泰久著『愛知県がんセンター 頸部郭清術』サンプルpdf

長谷川 泰久著『愛知県がんセンター 頸部郭清術』サンプルpdf 7 章 全頸部郭清術 全頸部郭清術は一側の全頸部リンパ組織を網羅的に切除する頸部郭清術 (Comprehensive neck dissection) である. 今日, 全頸部郭清が適用されるのは, 通常臨床的に頸部リンパ節転移が明らかな症例である ( 図 7-1). 切除される非リンパ組織 ( 内頸静脈 (V), 副神経 (N), 胸鎖乳突筋 (M)) により,ND (SJP / VNM) いわゆる根治的頸部郭清術から

More information

院内がん登録集計報告

院内がん登録集計報告 東北医科薬科大学病院 院内がん登録集計報告 集計期間 2017 年 1 月 1 日から 12 月 31 日 目次 院内がん登録について... 2 登録の内容... 3 過去 5 年間の部位別登録数... 4 部位別年代 男女別... 5 来院経路... 7 発見経緯... 9 治療の内容... 10 部位別の進行度... 12 症例数上位 5 部位に関する統計... 13 1 院内がん登録について

More information

2.IPMN はどうして重要なの? いわゆる 通常の膵臓がん は先に説明したように 非常に悪性度が高く治療成績が悪いとされており 発見時すでに進行癌ということが多い疾患です それに比べて同じ膵臓の腫瘍といっても IPMN では 良性の段階 ( 過形成や腺種と呼びます ) から悪性の段階 ( 通常型の

2.IPMN はどうして重要なの? いわゆる 通常の膵臓がん は先に説明したように 非常に悪性度が高く治療成績が悪いとされており 発見時すでに進行癌ということが多い疾患です それに比べて同じ膵臓の腫瘍といっても IPMN では 良性の段階 ( 過形成や腺種と呼びます ) から悪性の段階 ( 通常型の 膵のう胞性腫瘍 (IPMN MCN) 1. 膵のう胞 と IPMN とは? 図 1 : 矢印で示したところが膵臓内の IPMN 膵嚢胞 ( すいのうほう ) とは 膵臓の内部や周囲にできる様々な大きさの 袋 のことで 症状はなく CT や MRI 検査などにより偶然発見されることの多い病気です ( 図 1) 急性膵炎や慢性膵炎に伴ってできる嚢胞はもちろん良性疾患となりますが 一方で

More information

<4D F736F F D208A6582AA82F182CC82DC82C682DF81698AAE90AC816A815188F38DFC97702E646F63>

<4D F736F F D208A6582AA82F182CC82DC82C682DF81698AAE90AC816A815188F38DFC97702E646F63> 相澤病院におけるがん治療症例に関する統計調査 年版. 臓器がん登録の生存率解析 ( 対象症例 : 各診療科における手術症例 ) ) 胃がん外科手術 p.3 ) 大腸がん外科手術 p.5 3) 肝がん p.7 4) 乳がん p.9 5) 膀胱がん p. 6) 肺がん p.3 7) 腎がん p.5 8) 腎盂尿管がん p.7. 院内がん登録の生存率解析 ( 対象症例 : 当院で治療した症例 ) 注 :

More information

日本内視鏡外科学会技術認定(消化器・一般外科領域)

日本内視鏡外科学会技術認定(消化器・一般外科領域) 日本内視鏡外科学会技術認定 ( 消化器 一般外科領域 ) 応募の手引き (2018 年度 ) 1. 応募資格 1) 申請時に日本内視鏡外科学会会員であること ( 申請締切日までに年会費を完納していること ) 2) 日本外科学会専門医あるいは指導医であること なお 日本外科学会専門医の資格で申請するときは 申請時点までに取得後 2 年以上内視鏡外科の修練を行っていることが応募資格となる ( 規則第 23

More information

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ 福島県のがんの死亡の特徴 2012 年の別は 全でみると 性は 179.5 女性は 86.0 に対し 全国は性 175.7 女性は 90.3 であった 別にみると いずれもわずかであるが 性の胃や大腸 女性では膵臓や卵巣が全国より高く 肺は女とも全国より低くなっている ( 図 15) 図 15. 別 ( 人口 10 万対 ) 標準集計表 9 から作成 - 2012 年 ( 平成 24 年 ) - 性

More information

<4D F736F F D F90D290918D64968C93E08EEEE1872E646F63>

<4D F736F F D F90D290918D64968C93E08EEEE1872E646F63> 1. 脊椎および脊髄について脊柱は 7 個の頚椎 12 個の胸椎 5 個の腰椎 5 個の仙椎が一体となった仙骨 および 3~5 個の尾椎により構成されています 脊柱は頭部および体幹を支える支持組織であり また可動性のある運動組織でもあります さらに 脊柱のほぼ中心に中枢神経である脊髄を納め これを保護しています 脊髄は脳とともに中枢神経系に属する神経組織です 全体の長さは約 40~45cm あり 断面は直径が約

More information

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを がんの診療に関連した専門外来の問い合わせ窓口 記載の有無 あり とするとデータ抽出の対象となります 記載する内容がない場合は なし としてください なし の場合は以下について記入の必要はありません 病院名 : 公立大学法人横浜市立大学附属病院 平成 9 年 9 月 1 日現在 あり がん診療に関連した専門外来の の項目は 以下の表の疾患名を用いて記載してください 表の中に 該当する病名がない場合は

More information

Microsoft Word - 食道癌ホームページ用.doc

Microsoft Word - 食道癌ホームページ用.doc 食道がんの 症状と治療 2010 年 4 月 1 日作成 医療法人財団神戸海星病院 目 次 1 2 3 4 5 食道の解剖特徴診断方法進行度当院での治療法 Ⅰ. 内視鏡的粘膜下層切開剥離術 (ESD) Ⅱ. 手術治療 1 2 2 3 4 4 5 Ⅲ. 化学療法 8 手術実績 食道悪性腫瘍手術 食道切除後二期的再建術 H19 年度 5 例 2 例 H20 年度 12 例 2 例 H21 年度 10 例

More information

表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢 2014 年改訂版 表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢階級別罹患率 ( 人口 10 万対 ); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く

More information

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター院内がん登録室平成 29(2017) 年 9 月がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計 2015 年全国集計施設別集計表より 詳細 http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_registry.html 国立研究開発法人国立がん研究センターのサイトへ移動します )

More information

Microsoft PowerPoint - 大腸癌説明同意文書改訂版.ppt

Microsoft PowerPoint - 大腸癌説明同意文書改訂版.ppt 大 腸 癌 治 療 について 大 腸 と 大 腸 癌 とは? 2009 年 版 大 腸 癌 治 療 ガイドラインの 解 説 より 引 用 大 腸 とは? 大 腸 は 盲 腸 から 続 いて 上 行 結 腸 横 行 結 腸 下 行 結 腸 S 状 結 腸 と 続 き 直 腸 から 肛 門 へと 至 る 全 長 約 2mの 臓 器 です 口 から 小 腸 までの 間 に 消 化 吸 収 された 残 りの

More information

1. 部位別登録数年次推移 表は 部位別に登録数の推移を示しました 2015 年の登録数は 1294 件であり 2014 年と比較して 96 件増加しました 部位別の登録数は 多い順に大腸 前立腺 胃 膀胱 肺となりました また 増加件数が多い順に 皮膚で 24 件の増加 次いで膀胱 23 件の増加

1. 部位別登録数年次推移 表は 部位別に登録数の推移を示しました 2015 年の登録数は 1294 件であり 2014 年と比較して 96 件増加しました 部位別の登録数は 多い順に大腸 前立腺 胃 膀胱 肺となりました また 増加件数が多い順に 皮膚で 24 件の増加 次いで膀胱 23 件の増加 岡崎市民病院院内がん登録集計 (2015 年 ) 登録 集計の対象 以下をすべて満たす症例について登録 集計しています 12015 年 1 月 1 日 ~2015 年 12 月 31 日の 1 年間に当院で診断された症例 または 他施設ですでに診断されて当院に初診した症例 2 全ての悪性新生物 ( 上皮内がんを含む ) 及び 脳の良性および良悪不詳の新生物の症例 3 原発部位 1 腫瘍につき 1 登録であり

More information