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1 修 士 論 文 不 整 地 を 移 動 する 無 方 向 性 ロボットの 開 発 高 知 工 科 大 学 知 能 機 械 シ ス テ ム 工 学 科 光 山 和 樹

2 目 次 第 一 章 序 章 1.1 初 め に 研 究 背 景 2 第 二 章 無 方 向 性 の 概 念 2.1 無 方 向 性 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 利 点 3 第 三 章 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 3.1 ロ ボ ッ ト シ ス テ ム シ ス テ ム P I C マ イ コ ン ア ク チ ュ エ ー タ ( サ ー ボ モ ー タ ) 7 3.1,4 ア ク チ ュ エ ー タ (DC モ ー タ ) 8 3.1,5 モ ー タ ド ラ イ バ 電 力 減 球 形 ロ ボ ッ ト 球 形 ロ ボ ッ ト の シ ス テ ム + ( 公 式 ) 球 形 ロ ボ ッ ト の 構 造 球 型 ロ ボ ッ ト の 開 発 実 験 結 果 立 方 体 ロ ボ ッ ト 立 方 体 ロ ボ ッ ト の シ ス テ ム 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 構 造 ,3 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 制 御 方 法 ,4 姿 勢 認 識 機 構 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 構 造 全 方 向 移 動 機 能 全 方 向 移 動 機 能 の 運 動 学 各 動 輪 の PWM 制 御 に よ る 速 度 制 御 特 殊 ホ イ ー ル 接 地 面 認 識 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 開 発, 実 験 考 察 32

3 3.4 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 1 ( 基 本 型 ) 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の シ ス テ ム 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 必 要 条 件 ,3 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 構 造 ,4 ボ デ ィ 形 状 の 改 良 ,5 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 開 発 実 験 39 第 四 章 4.1 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 機 能 向 上 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト の 走 破 性 向 上 ホ イ ー ル ( 動 輪 ) に よ る 移 動 機 構 の 走 破 性 正 四 面 体 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 走 破 性 特 殊 ホ イ ー ル の 走 破 性 向 上 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト の 走 破 性 向 上 実 験 と 考 察 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 全 方 向 作 用 機 能 全 方 向 移 動 可 能 な 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 全 方 向 移 動 可 能 な 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 実 験 と 考 察 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 移 動 能 力 向 上 移 動 方 式 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 凹 凸 面 時 ( 本 体 持 ち 上 げ 動 作 に よ る 移 動 ) 平 地 時 ( 円 柱 状 転 が り 移 動 ) 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 動 作 機 構 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 実 験 と 考 察 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト へ の 全 方 向 作 用 機 能 の 付 加 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト ( 全 方 向 作 用 機 能 付 加 ) に 動 作 機 構 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト へ の 全 方 向 作 用 機 能 の 付 加 実 験 と 考 察 50 終 章 5.1 ま と め 参 考 文 献 謝 辞 53

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5 第 一 章 序 章 1 第 一 章 序 章 1.1 初 め に 近 年, 極 限 環 境 下 で 人 間 に か わ っ て 作 業 を 行 う 極 限 作 業 ロ ボ ッ ト の 研 究 開 発 が 行 わ れ て い る. 極 限 環 境 と は 人 間 が 作 業 す る こ と が 困 難 な 環 境 の こ と を 示 し, 具 体 的 に は 災 害 救 助, 宇 宙 開 発, 海 中 作 業 等 が 挙 げ ら れ る. 極 限 作 業 ロ ボ ッ ト に お い て は 急 斜 面, 凹 凸 面 と い っ た 悪 路 で の 安 定 し た 走 破 性, 作 業 性 が 要 求 さ れ る. し か し, 極 限 環 境 下 で は 従 来 の 形 状 や 移 動 機 構 を も つ ロ ボ ッ ト で は 転 倒 に よ っ て, 走 行, 作 業 機 能 を 失 う 危 険 性 が あ る. こ れ は 従 来 の ロ ボ ッ ト, 作 業 機 械 に 方 向 性 の 概 念 が あ り 作 業 姿 勢 が 限 定 さ れ る た め, こ れ が 崩 さ れ る こ と に よ り 発 生 す る 問 題 で あ る と 考 え る. こ れ を 解 消 す る た め に, 本 研 究 で は 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト を 提 案 す る. 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト と は, 特 殊 な 構 造, 動 作 機 構 を 有 す る こ と に よ り, 方 向 性 の 概 念 を 無 く し, 極 限 環 境 下 で 移 動 や 作 業 を 行 う 際 の 落 下, 転 倒 等 ア ク シ デ ン ト に 円 滑 に 対 応 す る も の で あ る. 本 論 文 で は, い く つ か の 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 機 構, 移 動 方 法 に つ い て 考 案 し, そ の 有 効 性 に つ い て 検 証 し た.

6 第 一 章 序 章 研 究 背 景 人 間 が 作 業 を 行 う こ と が 困 難 な 環 境 を 極 限 環 境 と 呼 び, そ の よ う な 環 境 下 に お い て, 人 間 に 変 わ っ て 複 雑 な 作 業 を 行 う 作 業 シ ス テ ム, 極 限 作 業 ロ ボ ッ ト の 研 究, 開 発 が 近 年, 盛 ん に 行 わ れ て い る. 極 限 作 業 ロ ボ ッ ト は 人 間, ロ ボ ッ ト 自 身 に と っ て き わ め て 苛 酷 な 環 境 下 で 複 雑 な 作 業 を, 人 間 に 代 わ っ て 実 行 し え る 高 度 作 業 シ ス テ ム を 開 発 す る こ と を 目 的 と し て, 昭 和 58 年 度 か ら 8 年 間 の 研 究 開 発 期 間, 総 予 算 200 億 円 を 投 じ て 開 始 さ れ た. こ の 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト に は 高 度 な 環 境 適 応 性 と 機 動 性, 遠 隔 か ら の 迅 速 か つ 正 確 な 制 御 性 能, が 要 求 さ れ, 主 に 次 の 研 究 目 標 が あ る. 1. 生 活 施 設 防 災 ロ ボ ッ ト ( 防 災 ロ ボ ッ ト ) 災 害 時 に 障 害 物 を 乗 り 越 え, 状 況 把 握 し, 消 化, 救 援 消 火 活 動 を 行 う. 2. 石 油 生 産 支 援 ロ ボ ッ ト ( 海 洋 ロ ボ ッ ト ) 海 中 を 移 動 し 位 置 姿 勢 を 制 御 し, 施 設 の 一 部 に 固 着 し て 作 業 を 行 う. 3. 惑 星 探 査 作 業 ロ ボ ッ ト ( 宇 宙 ロ ボ ッ ト ) 未 知 な る 惑 星 を 探 査 す る た め, 凸 凹 な 地 形 上 で 動 作, 作 業 を 行 う. こ れ ら, 極 限 環 境 ロ ボ ッ ト に 共 通 し て 求 め ら れ る こ と は, い ず れ も 悪 環 境 下 で の 安 定 し た 動 作 作 業 機 構 で あ る. 例 え ば, 防 災 ロ ボ ッ ト は 人 命 救 助 の 際 に 瓦 礫 上 で の 移 動 や 動 作 が 要 求 さ れ, 宇 宙 ロ ボ ッ ト の 場 合 は 惑 星 探 査 の 際 に ク レ ー タ な ど の 起 伏 の 激 し い 地 形 で の 動 作 や 作 業 が 要 求 さ れ る と い っ た 具 合 で あ る. こ の よ う な 極 限 作 業 ロ ボ ッ ト の 研 究 開 発 は 現 在 も 様 々 な 研 究 開 発 が 行 わ れ て い る. そ の 代 表 的 な 例 を Fig1 に 紹 介 す る. Fig1 蒼 龍 ( 東 京 工 業 大 学 ) ロ ー バ ー ソ ジ ャ ー ナ (NASA)

7 第 二 章 無 方 向 性 の 概 念 無 方 向 性 世 の 中 の 大 半 の も の に は 方 向 の 概 念 が あ り, 正 常 な 姿 勢 が 決 ま っ て い る. 人 間 で 言 う な ら ば 頭 部 と 足, 顔 と 後 頭 部 等 で あ り そ れ ら は 性 質, 形 状 的 に 方 向 性 が あ る. こ の よ う な 性 質 を 有 方 向 性 と 定 義 し, そ れ に 対 す る 性 質 を 無 方 向 性 と 定 義 す る. 完 全 な 無 方 向 性 を 有 す る 形 状 は 球 で あ り, ま た 無 方 向 性 の 度 合 い の 高 い 形 状 と し て 正 四 面 体 や 正 立 方 体 等, 前 面 同 じ 系 状 を 持 つ 多 角 形 が あ る. こ の 様 な 性 質 を 無 方 向 性 と 定 義 す る. 球 厳 密 な 無 方 向 性 形 状 す べ て の 方 向 に 対 称 な 形 状 正 六 面 体 正 四 面 体 無 方 向 性 の 高 い 形 状 全 て の 面 に 同 じ 性 質 を 持 つ 円 柱 厳 密 な 無 方 向 性 で は な い が, 前 後 上 下 方 向 に 限 定 的 に 方 向 性 の 概 念 を 持 た な い F i g 無 方 向 性 を も つ 形 状

8 4 2.2 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 有 効 性 上 の 項 目 で 述 べ た よ う に, ロ ボ ッ ト は 極 限 環 境 下 の 悪 路 で 転 倒 す る こ と で, 移 動 機 能 作 業 機 能 を 失 っ て し ま う, 原 因 は そ れ ら ロ ボ ッ ト が 有 方 向 性 で あ り, 正 常 に 動 作 で き る 姿 勢 が 限 定 さ れ て い る 為 で あ る. 有 方 向 性 の ロ ボ ッ ト, 作 業 機 械 の 例 を 以 下 に 示 す. ト ラ ッ ク 現 行 の 動 輪, ク ロ ー ラ 式 の 作 業 機 械 作 業 ロ ボ ッ ト の 例 と し て 貨 物 の 運 搬 積 み 下 ろ し 作 業 を 行 う ト ラ ッ ク を 例 に 挙 げ る. ト ラ ッ ク は 移 動 機 構 を 本 体 下 部 に 運 搬 作 業 機 構 を 上 部 に の み 持 っ て い る, こ の こ と か ら, 移 動 及 び 作 業 を 行 う 際 は 必 ず 正 常 な 姿 勢 を 維 持 す る 必 要 が あ り f i g に 示 す よ う に 転 倒 に よ っ て 姿 勢 が 崩 れ た 場 合, 独 力 で 作 業 を 続 行 す る こ と が 不 可 能 で あ る. 復 帰 す る 為 に は 外 的 な 補 助 が 必 要 で あ る. 同 様 の こ と が フ ォ ー ク リ フ ト ホ イ ル ロ ー ダ 等 多 く の 作 業 機 械 に も い え る. F i g 有 方 向 性 を も つ 形 状 人 型 ロ ボ ッ ト ( 人 間 ) 歩 行 機 能 を 持 つ 多 足 ロ ボ ッ ト の 例 と し て 人 型 ロ ボ ッ ト を 挙 げ る. 近 年, 盛 ん に 各 研 究 機 関 で 開 発 が 進 め ら れ て い る 人 型 ロ ボ ッ ト の 転 倒 に つ い て 考 察 す る. 人 型 ロ ボ ッ ト は 人 間 の 構 造, 作 業 能 力 を 模 し て 作 ら れ て い る た め, 完 成 系 で は 高 い 汎 用 性 を 持 ち 様 々 な 作 業 と 思 わ れ る. し か し, f i g の 様 に 転 倒 し て し ま っ た 場 合, 正 常 姿 勢 と 同 様 の 作 業 を 続 行 す る こ と は 不 可 能 で あ る.

9 5 F i g 無 方 向 性 を も つ 形 状 作 業 機 械, 作 業 ロ ボ ッ ト の 例 を 2 つ 挙 げ た. こ れ ら は 転 倒 状 態 で 正 常 作 業 を 続 行 す る こ と は 不 可 能 で あ る が, 現 行 の 作 業 機 械 は 転 倒 状 態 を 回 避 す る た め, ウ ェ イ ト を 本 体 下 部 に 置 き, 重 心 を 下 げ る 工 夫 が な さ れ て い る. 多 足 ロ ボ ッ ト, 人 型 ロ ボ ッ ト に お い て は 転 倒 し て も そ の 自 由 度 の 多 さ, 汎 用 性 の 高 さ か ら 独 力 で 復 帰 す る こ と が 可 能 で あ る. ま た, 現 在 各 機 関 で 開 発 さ れ て い る 極 限 環 境 作 業 ロ ボ ッ ト の 中 に は こ の 転 倒 と い う ア ク ジ デ ン ト を 対 応 す る た め の 工 夫 が 数 多 く な さ れ て い る. だ が, こ れ ら は 転 倒 後 の 復 帰 能 力 強 化 や 極 力 転 倒 し に く い 構 造 を 持 た せ る と い っ た も の で, 転 倒 状 態 か ら そ の ま ま 作 業 を 続 行 す る こ と が 可 能 な も の は 稀 有 で あ る. 転 倒 後 の 復 帰 能 力 を 強 化 す る 方 式 で は 正 常 姿 勢 に 戻 る た め に 動 作 す る 必 要 が あ り, 転 倒 後 即 円 滑 に 動 作 が 出 来 る と は 言 え な い. ま た そ の 為 に 移 動, 作 業 以 外 の 機 構 が 必 要 と な り ア ク チ ュ エ ー タ が 余 分 に 必 要 と な る っ て し ま う. 極 力 転 倒 し に く い 構 造 を 用 い る 方 式 で は コ ス ト を 抑 え る こ と は 出 来 る が 一 度 転 倒 す る と 復 帰 は 不 可 能 で あ る. 本 研 究 で は 極 限 環 境 で の 転 倒 問 題 に 対 す る ア プ ロ ー チ と し て ロ ボ ッ ト そ の も の の 方 向 性 の 区 別 を 無 く し 転 倒 姿 勢 を 無 く す こ と で 対 応 し よ う と 考 え た. 本 論 文 で 提 案 す る 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト は 球 や 立 方 体 の 性 質 を 取 り 入 れ た, 形 状, 構 造 的 に 方 向 性 の 概 念 を も た な い 極 限 環 境 作 業 ロ ボ ッ ト で あ り, 転 倒 姿 勢 が 存 在 し な い, 姿 勢 変 化 が 起 き た 場 合 で も そ の 性 質 を 生 か し 作 業 の 続 行 が 可 能 で あ り, 極 限 環 境 で の 様 々 な ア ク シ デ ン ト に 対 応 す る こ と が 可 能 で あ る.

10 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 5 第 三 章 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 3.1 ロ ボ ッ ト シ ス テ ム 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト を 製 作 す る 上 で 基 礎 と な っ た 制 御 方 法, 動 作 機 構 を 次 の 項 目 に 示 す シ ス テ ム 今 回 製 作 し た 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト は 外 部 か ら 操 作 せ ず, 自 立 制 御 に よ る 動 作 を 行 う. ア ク チ ュ エ ー タ に は 各 ロ ボ ッ ト の 特 性 に 合 わ せ サ ー ボ モ ー タ, D C モ ー タ の ど ち ら か を 選 択 し て 使 用 す る. そ し て こ れ ら ア ク チ ュ エ ー タ を P I C マ イ コ ン に よ っ て 制 御 す る. こ の シ ス テ ム に お け る エ ネ ル ギ ー 源 の 構 成 は, P I C マ イ コ ン の 制 御 電 源 に 5 V, ア ク チ ュ エ ー タ 電 源 に は 種 類 に 合 わ せ て 3 V か ら 6 V の 電 源 が 必 要 と な る. P I C 用 マ イ コ ン に 必 要 な 5 V は 9 V 電 池 を 三 端 子 レ ギ ュ レ ー タ に よ っ て 変 圧 し て 獲 得 す る. 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の シ ス テ ム を Fig に 示 す. 制 御 部 で あ る PIC は 予 め 書 き 込 ん だ プ ロ グ ラ ム ま た は セ ン サ か ら の 入 力 に 対 応 し て ア ク チ ュ エ ー タ に 出 力 を 行 う. 出 力 信 号 は ア ク チ ュ エ ー タ 用 の 電 源 に よ り 増 幅 さ れ ア ク チ ュ エ ー タ を 駆 動 さ せ る. D C モ ー タ へ 出 力 す る 場 合 は, 出 力 信 号 の 増 幅 と 正 転 逆 転 の 制 御 に モ ー タ ド ラ イ バ を 用 い る. 電 力 供 給 出 力 信 号 入 力 信 号 Fig シ ス テ ム 構 成

11 第 三 章 無 方 向 性 ロボット P I C マ イ コ ン ロ ボ ッ ト の 制 御 に 使 用 し て い る.PIC マ イ コ ン に つ い て 紹 介 す る. P I C と は ア メ リ カ マ イ ク ロ チ ッ プ テ ク ノ ロ ジ ー 社 が 開 発 し た も の で あ り, 正 式 名 称 は P Peripheral Interface Controller で あ る.Fig の よ う に P I C に は 数 多 く の 種 類 が あ り, ベ ー ス ラ イ ン シ リ ー ズ, ミ ッ ド レ ン ジ シ リ ー ズ, ハ イ エ ン ド シ リ ー ズ と 機 能 別 に 三 種 類 に 分 け ら れ る. こ れ ら の シ リ ー ズ は ア ー キ テ ク ス チ ャ が 共 通 と な っ て い る た め 大 型 の P I C は 小 型 の P I C の 上 位 互 換 と な っ て お り, ほ と ん ど 同 じ プ ロ グ ラ ム で 動 か す こ と が で き る. P I C は 本 来, コ ン ピ ュ ー タ の 周 辺 に 接 続 さ れ 周 辺 機 器 と の 接 続 部 分 を 制 御 す る た め の 機 能 を 開 発 さ れ た マ イ ク ロ コ ン ピ ュ ー タ と 呼 ば れ る 領 域 の I C で あ る. つ ま り,そ れ ほ ど 高 機 能, 高 速 性 は 必 要 と し な い が コ ン ピ ュ ー タ と 周 辺 機 器 を つ な ぎ 制 御 す る こ と に 便 利 な 機 能 を 十 分 備 え て い る と い っ た,マ イ ク ロ コ ン ピ ュ ー タ の 一 種 で あ る. 優 れ て い る 点 と し て は, P I C は ワ ン チ ッ プ 内 に 必 要 な 周 辺 機 能 が 全 て 組 み 込 ま れ て お り, 他 の マ イ コ ン と 比 べ る と 比 較 的 使 い や す い こ と. ま た, 開 発 に 関 す る 情 報, コ ン パ イ ラ ー な ど の 開 発 ツ ー ル が 豊 富 に あ る こ と で あ る. 今 研 究 で こ の マ イ コ ン を 選 ん だ の は こ れ ら の 理 由 を 踏 ま え て の こ と で あ る. 本 研 究 で は 数 多 く あ る P I C の 中 か ら ミ ッ ド レ ン ジ シ リ ー ズ の Fig に 示 す PIC16F877 を 使 用 し た.PIC16F877 選 択 し た 理 由 は 比 較 的 安 価 で 高 機 能 で あ る か ら で あ る.Fig5 に PIC16F877 の 使 用,Fig に PIC16F877 の 使 用,Fig に PIC16F877 の 各 ピ ン の 機 能 を 示 す. Fig P I C マ イ コ ン 各 種 Fig PIC16F877

12 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 7 Fig PIC16F877 の 仕 様 Fig PIC16F877 の 各 ピ ン の 機 能

13 第 三 章 無 方 向 性 ロボット ア ク チ ュ エ ー タ サ ー ボ モ ー タ 本 研 究 で 使 用 し た ア ク チ ュ エ ー タ に つ い て 紹 介 す る. 本 項 で は サ ー ボ モ ー タ に つ い て 説 明 す る. こ の モ ー タ は 制 御 対 象 の 状 態 を 測 定 し, 基 準 値 と 比 較 値 と 比 較 し て 自 動 的 に 修 正 制 御 を 行 う こ と が で き る の で, 任 意 の 回 転 角 度 を 指 定 し て 使 用 す る こ と が 可 能 で あ る. 今 回 使 用 し た モ ー タ は RC 用 サ ー ボ モ ー タ で あ る.Fig に そ の 形 状 を 示 す.RC サ ー ボ モ ー タ は プ ラ ス チ ッ ク 製 の 小 型 ケ ー ス に 内 に DC モ ー タ, 歯 車 に よ る 減 速 機 構, 回 転 角 度 セ ン サ お よ び サ ー ボ 制 御 用 の 電 子 回 路 が 内 蔵 さ れ た も の で あ る. 大 部 分 が プ ラ ス チ ッ ク で 構 成 さ れ て い る た め 少 々, 強 度 面 で 劣 る が, 扱 い や す く, 比 較 的 安 価 で あ る と い う 利 点 も あ る. 回 転 角 度,ト ル ク な ど 目 的 に あ わ せ た, 数 多 く の 種 類 が 存 在 す る. Fig RC サ ー ボ の 外 見 と 構 造 今 回, 使 用 し た JR 製 R EGATTA は 他 の R C サ ー ボ モ ー タ と 違 い 稼 動 域 の 制 限 が 無 く 360 度 回 転 す る こ と が で き る 利 点 が あ る. 主 な 仕 様 は 次 の Fig に 示 す. Fig JR 製 REGATTA

14 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 9 RC サ ー ボ モ ー タ は 普 通 3 本 の ケ ー ブ ル が あ り, そ れ ぞ れ 信 号, 電 源,GND の 役 割 も 担 っ て い る.JR 製 REG ATTA の 場 合 は 橙 色 が 信 号, 赤 色 が 電 源, 茶 色 が GND で あ る. RC サ ー ボ を 駆 動 さ せ る に は, 電 源 に 4.8V か ら 6.0V の 電 圧 を か け, 信 号 に Fig に 示 す よ う な, 周 期 パ ル ス を 流 す 必 要 が あ る. 信 号 に パ ル ス を 流 す と 各 パ ル ス に 定 め ら れ た 位 置 に 固 定 さ れ る. Fig パ ル ス 波 ア ク チ ュ エ ー タ D C モ ー タ (ブ ブ ラ シ 付 D C モ ー タ ) 本 項 で は 研 究 に 利 用 し た DC モ ー タ に つ い て 説 明 す る.Fig に ブ ラ シ 付 DC モ ー タ は 固 定 子 に 永 久 磁 石 を 使 い, 回 転 子 に コ イ ル を 使 用 し て 構 成 さ れ た も の で, ブ ラ シ に よ り 回 転 子 に 流 れ る 電 流 の 向 き を 切 り 替 え, 磁 力 の 反 発, 引 力 に よ っ て, 回 転 力 を 生 成 す る ア ク チ ュ エ ー タ で あ る. 一 般 に DC モ ー タ は 回 転 制 御 が 容 易 で 制 御 モ ー タ と し て 優 れ た 特 性 を 持 つ と い わ れ る. し か し, サ ー ボ モ ー タ と 違 い, モ ー タ 自 身 に 制 御 機 能 が 無 い た め, 速 度 調 整 や 正 転 逆 転 の 制 御 に 他 の 制 御 器 を 用 い る 必 要 性 が あ る. Fig ブ ラ シ 付 DC モ ー タ ブ ラ シ 付 DC モ ー タ の 特 徴 と し て, 起 動 ト ル ク が 大 き い, 印 加 電 圧 に 対 し て 回 転 特 性 が 直 線 的 に 比 例 す る, 出 力 効 率 が よ い, 低 価 格 な ど が 挙 げ ら れ る.

15 第 三 章 無 方 向 性 ロボット モ ー タ ド ラ イ バ モ ー タ の 制 御 に つ い て 解 説 す る. モ ー タ の ON,OFF だ け な ら ば,F Fig に 示 す よ う な ト ラ ン ジ ス タ や リ レ ー に よ る ス イ ッ チ 回 路 を 用 い る こ と で 制 御 可 能 だ が, 正 転 逆 転 等 の 回 点 の 向 き を 制 御 す る 必 要 な 際 は, 上 記 の 様 な, 単 一 の ト ラ ン ジ ス タ や リ レ ー を 用 い た ス イ ッ チ 回 路 で は 制 御 す る こ と は 不 可 能 で あ る. そ の た め, 今 回 は 単 一 電 源 で モ ー タ に 加 え る 電 流 の 向 き を 変 え ら れ る,H ブ リ ッ ジ 回 路 を 用 い る.Fig に ス イ ッ チ 回 路 を 示 す. Fig に H ブ リ ッ ジ 回 路 を 示 す. 5 V IN ト ラ ン ジ ス タ O R リ レ ー M Fig ス イ ッ チ 回 路 H ブ リ ッ ジ 回 路 の 基 本 動 作 を 説 明 す る Q1 と Q4 の ト ラ ン ジ ス タ だ け を 同 時 に ON す る と, 矢 印 A 方 向 に 電 流 が 流 れ モ ー タ は 正 転 す る. 逆 に Q2 と Q3 だ け を ON す れ ば, 矢 印 B 方 向 に 電 流 が 流 れ モ ー タ は 逆 転 す る.ま た,Q1 と Q2 の み を ON に し た 場 合 シ ョ ー ト 状 態 に な り モ ー タ に ブ レ ー キ が か か る. Q1 Q3 A M B Q2 Q4 Fig H ブ リ ッ ジ 回 路

16 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 11 上 記 の H ブ リ ッ ジ 回 路 を 1 つ の IC に 内 蔵 さ れ た も の が,DC モ ー タ の 制 御 に 使 用 す る モ ー タ ド ラ イ バ で あ る. 今 回, 用 い た TA8429H は 東 芝 製 の DC モ ー タ フ ル ブ リ ッ ジ と 呼 ば れ る も の で H ブ リ ッ ジ ド ラ イ バ と そ の 制 御 回 路 を 内 蔵 し て い る. 特 徴 と し て は 平 均 3A, 瞬 間 値 で 4.5A ま で の 大 電 流 を 流 す こ と が で き る.し か も 加 熱 に よ る IC の 破 壊 を 防 ぐ た め の 熱 遮 断 回 路 と 過 電 流 に よ る 破 壊 を 防 ぐ 過 電 流 防 止 回 路 が 内 蔵 さ れ て い る. モ ー タ 電 源 と 制 御 電 源 は 独 立 し て お り モ ー タ 系 は 27V ま で 制 御 系 は 7 V ~ 27V と な っ て い る. ま た, ト ラ ン ジ ス タ に よ っ て 回 路 を 組 む 場 合 と 違 い, 二 個 の 入 力 端 子 で 制 御 が 可 能 で あ る.Fig に TA8429H の 概 観 と 各 ピ ン の 仕 様 を 示 す TA8429H Fig TA8429H 各 ピ ン の 仕 様

17 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 電 力 源 ロ ボ ッ ト に 供 給 す る エ ネ ル ギ ー 源 は 市 販 の 乾 バ ッ テ リ ー, 充 電 式 乾 バ ッ テ リ ー を 使 用 す る. 制 御 に 必 要 な 電 源 は F ig の 様 な 9 V 角 電 池 を 使 用 す る. 実 際 に は PIC の 制 御 電 源 は 5 V な の で Fig に 示 す 三 端 子 レ ギ ュ レ ー タ と コ ン デ ン サ か ら 成 る 変 圧 回 路 に よ っ て 5 V に 変 圧 す る. Fig V 電 池 Fig 変 圧 回 路 DC モ ー タ の 電 源 に は 単 三 乾 電 池 を 必 要 電 圧 に 応 じ て 使 用 す る. 今 回 ロ ボ ッ ト の 電 源 用 と し て 仕 様, サ イ ズ の 合 っ た も の を 数 種 用 い た. そ れ ら を 以 下 に 示 す. Fig バ ッ テ リ ー 各 種

18 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 球 型 ロ ボ ッ ト 完 全 な 無 方 向 性 の 形 状 は 球 で あ る. Fi g の よ う に 球 は 意 見 し て そ の 上 下 前 後 の 区 別 が で き な い. つ ま り, 球 は 静 止 状 態 で 形 状 に 方 向 の 区 別 が な く 無 方 向 で あ る.こ の よ う に 形 状 的 に 無 方 向 な 性 質 を 静 的 無 方 向 性 と 定 義 す る. ま た 球 の 転 が る 移 動 方 法 も 接 地 面 を 選 ば ず, よ り 無 方 向 性 を 完 全 な も の と し て い る. 前 出 だ が 方 向 性 が 無 い と い う こ と は 転 倒 概 念 も 存 在 し な い. こ の 様 な 性 質 を 持 つ 球 型 の ロ ボ ッ ト を 開 発 す る こ と で, 無 方 向 性 度 の 高 い ロ ボ ッ ト を 開 発 で き る と 考 え る. Fig 球 の 方 向 性 球 型 ロ ボ ッ ト の シ ス テ ム Fig に 作 成 し た 球 型 ロ ボ ッ ト の 移 動 方 法 を 示 す. 移 動 の 際 に は 内 部 ア ク チ ュ エ ー タ を 用 い て 重 り を 動 か す こ と で 進 行 方 向 に 重 心 を 移 動 し, 本 体 を 転 が す こ と で 移 動 す る. こ の 移 動 方 法 は 移 動 速 度 が 速 く, 消 費 電 力 を 少 な く す る こ と が 可 能 で あ る と 考 え ら れ る. Fig に 球 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 機 構 を 示 す.サ ー ボ モ ー タ を 二 個 備 え た 二 自 由 度 の ア ー ム に よ っ て 任 意 の 方 向 に 重 り を 移 動 さ せ る. 回 転 進 行 方 向 重 り Fig 球 型 ロ ボ ッ ト 移 動 方 法 Fig 球 型 ロ ボ ッ ト の 機 構

19 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 球 型 ロ ボ ッ ト の 構 造 Fig に 実 際 に 作 成 し た 球 型 ロ ボ ッ ト の 外 観 を 示 す. 球 型 ロ ボ ッ ト を 動 作 さ せ る 際, 自 立 制 御 に 難 が あ っ た の で, 今 回 は ラ ジ コ ン プ ロ ポ に よ る 外 部 操 作 方 式 を と っ た. 重 心 移 動 用 の サ ー ボ モ ー タ は 自 由 度 が 360 度 の も の を 使 用 し た. 実 際 に 使 用 し た JR 製 サ ー ボ モ ー タ REGATTA の 仕 様 に つ い て は ロ ボ ッ ト シ ス テ ム の 項 に 示 す. Fig 球 型 ロ ボ ッ ト 概 観 球 型 ロ ボ ッ ト の 開 発, 実 験 結 果 実 際 に 球 型 ロ ボ ッ ト を 製 作 し 動 作 さ せ る こ と で そ の 実 用 性 を 検 証 し た. 結 果, 実 際 に 平 地 で 動 作 す る こ と に 成 功 し た. そ の 形 状 ゆ え に 高 い 無 方 向 性 を 得 る こ と が で き た. し か し, そ の 反 面, 安 定 性 に 欠 け, 直 進 性, 悪 路 で の 登 坂 能 力 が 低 く な っ て し ま っ た. 現 段 階 で は ま だ 実 際 の 極 限 環 境 下 で は 使 用 に 耐 え る こ と は で き な い と い う 結 論 に 至 っ た. た だ, こ の 球 型 ロ ボ ッ ト 特 有 の 転 が る 動 作 は 動 輪 に よ る 移 動 と 違 い 脱 輪, 転 倒 に よ る 移 動 機 構 が 作 用 不 能 な 状 態 に 陥 ら な い と い う 利 点 が あ り. 動 作 が 安 定 す れ ば 有 効 な 移 動 方 法 に な る と 思 わ れ る.

20 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 立 方 体 ロ ボ ッ ト 次 に 安 定 性 が 高 く, 比 較 的, 高 い 無 方 向 性 を 持 つ 立 方 体 の 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト を 考 案 し た. 立 方 体 も 球 と 同 じ く 一 見 し て 上 下 前 後 等, 方 向 の 区 別 が で き な い, 無 方 向 性 形 状 を 持 つ 物 体 と い え る. 立 方 体 の 特 徴 と し て Fig3.3.1 の よ う に 全 て の 面 が 同 一 で あ る と い う 性 質 が あ る. こ の 形 状 で 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト を 開 発 す る 場 合, 全 て の 面 に 同 一 の 走 行 機 能 を 備 え れ ば,Fig3.3.2 の よ う に 接 地 面 の 変 化 が お こ っ て も 全 て の 面 で 同 様 の 作 業 が で き, 転 倒 概 念 が 無 い と 言 え, 無 方 向 性 ど の 高 い ロ ボ ッ ト を 開 発 す る こ と が で き る と 考 え る. Fig3.3.1 立 方 体 ( 正 六 面 体 ) の 無 方 向 性 Fig3.3.2 立 方 体 ( 正 六 面 体 ) の 無 方 向 性

21 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 立 方 体 ロ ボ ッ ト の シ ス テ ム Fig に 立 方 体 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 形 状 を 示 す. 立 方 体 ロ ボ ッ ト は 対 面 す る 頂 点 に 駆 動 輪 と キ ャ ス タ を 持 ち, 全 て の 面 が 同 様 の 移 動 機 構 を 持 つ. 各 面 は 二 つ の 駆 動 輪 で 旋 回 と 移 動 を 行 う. 本 形 状, 構 造 に よ り,ど の 姿 勢 で も 同 様 に 移 動 が で き る 点 で 転 倒 状 態 が 無 く, 無 方 向 で あ る と 考 え ら れ る. 球 型 ロ ボ ッ ト ほ ど の 柔 軟 性 は 無 い が, 悪 環 境 下 で の ア ク シ デ ン ト に 十 分 対 応 で き る と 考 え ら れ る. ボ デ ィ キ ャ ス タ 動 輪 Fig 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 形 状 と 移 動 機 構 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 構 造 実 際 に 試 作 し た 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 構 造 に つ い て 解 説 す る. 実 際 に 作 成 し た 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 形 状 を Fig に,そ の フ レ ー ム を Fig に 示 す. Fig 立 方 体 ロ ボ ッ ト

22 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 17 本 ロ ボ ッ ト に は 実 際 に 落 下, 転 倒 し た 際, あ る 程 度 の 強 度 が 要 求 さ れ る. ま た, ア ク チ ュ エ ー タ へ の 負 担 を 減 ら す た め に マ シ ン は 軽 量 で あ る こ と が 望 ま し い. そ こ で フ レ ー ム の 材 質 に は ア ル ミ 材 を 採 用 し た. ア ク チ ュ エ ー タ に は 動 輪 に よ る 走 行 を 行 う た め D C モ ー タ を 選 択 し,ト ル ク を 強 化 す る た め 比 較 的 安 価 で 高 ト ル ク の タ ミ ヤ 製 遊 星 ギ ア ボ ッ ク ス で 減 速 し た. キ ャ ス タ 部 に は 手 ご ろ な も の が 見 つ か ら な か っ た の で 球 状 の ド ア ノ ブ を 使 っ た. 実 際 の キ ャ ス タ の よ う に 回 転 し な い の で 少 々, 抵 抗 が 増 え る が, 球 状 で あ る こ と か ら ど の 方 向 に も 同 じ よ う に 接 地 す る こ と が で き る 長 所 が あ り, 摩 擦 を 軽 減 す る 塗 装 剤 を 塗 る こ と で あ る 程 度, 接 地 時 の 摩 擦 を 軽 減 で き る と 考 え る. 機 構 の 配 置 は 前 項 で 述 べ た よ う に 動 輪, キ ャ ス タ を 対 角 に 配 置 す る. Fig 立 方 体 ロ ボ ッ ト の フ レ ー ム 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 制 御 方 法 立 方 体 ロ ボ ッ ト 制 御 方 法 に つ い て 説 明 す る.Fig に 立 方 体 ロ ボ と の 制 御 装 置 を 示 す. 写 真 左 上 が 4 個 の モ ー タ を 別 々 に 制 御 す る モ ー タ ド ラ イ バ. 写 真 中 央 下 が 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 姿 勢 を 判 別 す る 姿 勢 認 識 装 置. 写 真 右 上 が プ ロ グ ラ ム に も と づ き, セ ン サ, ア ク チ ュ エ ー タ に 入 出 力 を 行 う PIC 回 路 で あ る.PIC マ イ コ ン は セ ン サ か ら の 入 力 が あ っ た 場 合 そ れ に 対 応 し て,モ ー タ ド ラ イ バ に 出 力 を 行 う.

23 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 姿 勢 認 識 装 置 Fig 立 方 体 ロ ボ ッ ト 制 御 装 置 本 ロ ボ ッ ト は 高 度 な 無 方 向 性 を 持 つ こ と を コ ン セ プ ト と し て い る が, ロ ボ ッ ト が 動 作 す る 上 で 自 ら の 姿 勢, 進 行 方 向 を 認 識 す る こ と が 必 要 と な る. こ れ は 本 ロ ボ ッ ト も 例 外 で は な い. 本 ロ ボ ッ ト は ど の 様 な 姿 勢 で も 同 様 の 性 質 を も ち, 同 じ よ う に 作 業 を 行 う こ と が で き る が, そ の 際, 機 体 の ど の 面 が 地 上 方 向 に 向 い て お り, ど の 動 輪 が 接 地 し て い る か を 認 識 し て, 各 ア ク チ ュ エ ー タ の 正 転 逆 転 を 正 確 に 制 御 す る 必 要 が あ る. そ の た め に Fig3.3.7 示 す よ う な 装 置 を 使 い, 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 姿 勢 認 識 を 行 う.こ の 装 置 を 姿 勢 認 識 装 置 と 呼 ぶ.こ の 形 状 は, 正 方 形 6 個, 六 角 形 8 個 に よ っ て 構 成 さ れ る, 八 面 体 の 角 を 切 り 取 っ た よ う な 立 体 で 切 角 八 面 体 と 呼 ば れ る. Fig3.3.7 姿 勢 認 識 装 置

24 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 19 姿 勢 認 識 装 置 の 内 部 は 空 洞 に な っ て い る. こ の 空 洞 内 に 約 200 g の 鉛 球 が 1 個,Fig3.3.8 に 示 す よ う に 各 正 方 形 面 に 1 個 ず つ 計 六 個 の タ ッ チ セ ン サ を 内 蔵 す る. 姿 勢 認 識 装 置 は 正 方 形 面 つ ま り, タ ッ チ セ ン サ の あ る 面 は 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 外 装 部 立 方 体 の 各 面 と 平 行 に な る よ う に 内 蔵 さ れ て い る. そ の た め, 機 体 が ど の よ う な 姿 勢 の と き で も ボ タ ン 設 置 面 が 下 方 に 位 置 す る. 鉛 球 は 機 体 の 姿 勢 が 変 化 す る 際 に 転 が り 重 さ に よ っ て タ ッ チ セ ン サ を ON 状 態 に す る た め の も の で あ る. こ れ に よ っ て セ ン サ の 認 識 し た 方 向 の 面 を 接 地 面 と し て 対 応 し た 動 輪 を 回 転 さ せ る. Fig3.3.9 に 姿 勢 認 識 装 置 の 設 置 位 置 を 示 す. 鉛 球 の た め に 装 置 の 重 量 が 重 く,ロ ボ ッ ト の バ ラ ン ス を 崩 さ な い よ う 中 央 部 に 配 置 し た 鉛 球 タ ッ チ セ ン サ 6 Fig3.3.8 姿 勢 認 識 装 置 内 部 構 造 ロ ボ ッ ト 外 装 部 姿 勢 認 識 シ ス テ ム タ ッ チ セ ン サ 配 置 面 Fig3.3.9 姿 勢 認 識 装 置 の 配 置 Fig に 姿 勢 認 識 方 法 を 示 す. 本 ロ ボ ッ ト に 本 来, 方 向 の 区 別 が 無 い が, 図 内 で は 説 明 の た め に 外 装 部 各 面 を A ~ D 面 と 定 義 す る.ま た そ れ

25 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 20 ら に 対 応 し た 姿 勢 認 識 装 置 の 各 タ ッ チ セ ン サ を S-A~ B と 定 義 す る. 図 内 1 の 通 常 状 態 で は 接 地 面 と な っ て い る A 面 と 対 応 し た S-A が 装 置 内 で も 底 面 に 位 置 し, 鉛 球 が 乗 る こ と で ON 状 態 に あ り, 制 御 器 は 接 地 面 を A 面 と 認 識 す る. 図 内 2, 3 の よ う に 姿 勢 が 崩 れ る と 装 置 内 で も 方 向 の 逆 転 が 起 こ り 鉛 球 は S-A を 押 し 続 け る こ と が で き ず,S-A は OFF 状 態 と な る. こ れ に よ り A 面 は 接 地 面 と 認 識 さ れ な く な る. 機 体 の 状 態 が 安 定 す る と B 面 が 接 地 面 と な り 対 応 し た S-B が 装 置 内 で 底 部 と な り 鉛 球 は 底 部 に 転 が り,S-B を 押 さ え ON 状 態 に 制 御 器 は B 面 を 接 地 面 と 認 識 す る.こ れ を 他 の 面 が 接 地 面 に な っ た 際 に も 行 え ば 同 様 に 時 機 の 姿 勢 を 認 識 す る こ と が で き る. 機 体 の 状 態 C 面 S - C 装 置 の 状 態 D 面 B 面 S - D S - B A 面 S - A 1. 通 常 状 態 ( 接 地 面 を A 面 と 認 識 ) S - D D 面 C 面 S - C S - A A 面 O N S - B B 面 2.ア ク シ デ ン ト で 転 倒 ( 接 地 面 を A 面 と 認 識 ) D 面 S - D C 面 A 面 S - A S - C B 面 S - B 3. 接 地 面 の 変 化 ( 接 地 面 不 明 ) D 面 S - D C 面 A 面 S - A S - C B 面 S - B O N 4. 新 し い 接 地 面 を 認 識 ( 接 地 面 を B 面 と 認 識 ) Fig 姿 勢 認 識 装 置 の 配 置 ( 黒 矢 印 は 接 地 認 識 方 向 )

26 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 開 発, 実 験 開 発 し た 立 方 体 ロ ボ ッ ト を 実 際 に 動 作 さ せ る こ と で そ の 有 効 性 を 検 証 し た. 結 果 そ の 安 定 し た 形 状 に よ っ て 安 定 し た 走 行 性 能 を 得 る こ と が で き た. ま た, 各 面 の 移 動 機 構 も 接 地 面 に 対 応 し て 動 作 し 転 倒 姿 勢 の 無 い ロ ボ ッ ト を 実 現 す る こ と が で き た. し か し, 移 動 に 動 輪 を 用 い て い る た め, 動 輪 の 半 径 を 以 上 の 段 差 や 起 伏 の 激 し す ぎ る 路 面 を 走 破 す る こ と は 困 難 で あ る. ま た 走 行 の 補 助 に キ ャ ス タ を 用 い て い る こ と も そ の 一 因 と な っ て い る と 考 え ら れ る そ こ で 実 際 に 適 用 可 能 と 思 わ れ る, 極 限 環 境 は 災 害 等 で 倒 壊 の 危 険 性 の あ る 建 造 物 内 で の 動 作, 作 業 が 考 え ら れ る.

27 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト 立 方 体 同 様, 安 定 性 が 高 く 無 方 向 性 を 持 つ 形 状 に 正 四 面 体 ( 正 四 面 体 ) が あ る. 正 四 面 体 の 場 合, 面 の 総 数 が 立 方 体 よ り 少 な い た め, 姿 勢 認 識 も 単 純 に な り 制 御 が 容 易 に で き る. た だ し, 立 方 体 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト と 同 様 の 方 式 を 用 い る 場 合, 各 面 が 低 面 と な っ た 際 に 接 地 す る 頂 点 ( 動 輪, キ ャ ス タ を 配 置 す る 箇 所 ) が 三 箇 所 と な る. こ の 場 合 二 つ の 駆 動 輪 と そ れ を 補 助 す る キ ャ ス タ を 用 い た 移 動 方 式 で は 各 面 に 同 様 の 移 動 機 能 を 持 た せ る の は 不 可 能 で あ る. よ っ て Fig に 示 す よ う に, 正 四 面 体 全 て の 頂 点 に 動 輪 を 配 置 し, 各 面 で 全 方 向 移 動 を 行 う こ と で こ の 問 題 を 解 決 す る. ま た, 全 て の 接 地 輪 が 駆 動 す る こ と で キ ャ ス タ 使 用 時 よ り も 段 差 走 破 能 力 が 向 上 す る と 考 え ら れ る Fig 正 四 面 体 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 無 方 向 性 駆 動 輪 Fig 正 四 面 体 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 構 造

28 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 構 造 実 際 に 製 作 し た 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト を F ig に 示 す. 実 際 に は モ ー タ の 取 り 付 け の た め 正 四 面 体 の 頂 点 部 を 削 っ た 面 体 形 状 の 本 体 と な る. Fig に 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト の 内 部 構 造 を 示 す. フ レ ー ム は 立 方 体 方 ロ ボ ッ ト 同 様 ア ル ミ フ レ ー ム を 採 用 し, 強 度 と 軽 量 化 の 強 化 を 図 る. モ ー タ も 同 様 に タ ミ ヤ 製 遊 星 ギ ア モ ー タ を 用 い た. 制 御 に は PIC16f877 と モ ー タ ド ラ イ バ Fig に よ っ て 構 成 さ れ た 制 御 回 路 を 使 用 す る. 制 御 方 の 詳 細 に つ い て は 後 述 す る. Fig 正 四 面 体 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 構 造 Fig 正 四 面 体 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 構 造

29 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 全 方 向 移 動 機 能 正 四 面 体 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト は Fig に 示 す よ う な 特 殊 な ホ イ ー ル を 用 い た 全 方 向 移 動 機 構 を 採 用 す る. こ の ホ イ ー ル は 円 周 部 に ス ラ ス ト 方 向 に 回 転 す る フ リ ー ロ ー ラ を 備 え る. 正 四 面 体 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト は 各 面 に 配 置 さ れ た こ の ホ イ ー ル を 3 個 使 用 し て 全 方 向 移 動 を 行 う. 本 ロ ボ ッ ト に 使 用 す る 全 方 向 移 動 は 3 個 の 駆 動 輪 の ベ ク ト ル の 合 力 を 任 意 の 進 行 方 向 に 向 け る こ と で 移 動 を 行 う. そ の, ベ ク ト ル が ホ イ ー ル の ス ラ ス ト 方 向 に か か り, 移 動 の 抵 抗 と な り う る 場 合 で も 上 記 の ホ イ ー ル な ら ば, 円 周 部 の ロ ー ラ に よ っ て 抵 抗 を 無 く し ス ム ー ズ に 全 方 向 移 動 を 行 う こ と が 可 能 で あ る.こ の 機 構 よ り そ の 場 で の 旋 回 を 行 う. Fig の よ う に 全 方 向 へ の 移 動 Fig 全 方 向 移 動 用 特 殊 ホ イ ー ル Fig 正 四 面 体 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 動 き

30 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 25 前 項 で も 述 べ た が 本 全 方 向 移 動 機 構 で は 3 個 の 動 輪 の 速 度 を 任 意 に 調 整 し そ の 合 成 ベ ク ト ル を 進 行 方 向, 進 行 速 度 に 合 わ せ る こ と で 移 動 す る. 以 下 に 回 転 比 の 主 な パ タ ー ン で あ る. 前 後 方 向, 左 右 方 向, 旋 回 の 例 を 示 す. 本 ロ ボ ッ ト は 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト で あ る た め 前 後 左 右 等 の 概 念 を 持 た な い が 本 稿 で は 説 明 の た め 便 宜 上, 図 の 上 方 を 前 方 と す る. 動 輪 の 回 転 に よ る ベ ク ト ル を 水 色, 合 成 さ れ た 進 行 方 向 ベ ク ト ル を 赤 色 で 現 す. 前 後 移 動 3 個 の 動 輪 の う ち の 2 個 を 使 用 し た て 上 下 方 向 へ 移 動 す る 例 を Fig 示 す. 進 行 方 向 に 直 行 す る 辺 に 接 す る 動 輪 を 進 行 方 向 に 回 転 す る こ と で 移 動 す る. 同 様 の 方 式 で 図 中 前 後, 左 右 の 斜 め 上 下 方 向 合 計 8 方 向 へ の 移 動 が 可 能 で あ る. 各 動 輪 のベクトル 合 成 されたベクトル 進 行 が 可 能 な 方 向 Fig 前 後 方 向 へ の 移 動 左 右 移 動 3 個 の 動 輪 を 使 用 し て 左 右 方 向 へ 移 動 す る 例 を Fig に 示 す. 進 行 方 向 ベ ク ト ル を 進 行 方 向 に 平 行 す る 辺 に 接 す る 動 輪 の 回 転 に よ る ベ ク ト ル 和 が 残 りの 動 輪 の ベクトル と 等 し くな るように 調 整 することで 左 右 方 向 へと 移 動 する. 同 様 の 方 式 で 左 右 他 6 方 向 への 移 動 が 可 能 で ある. 各 動 輪 のベクトル 合 成 されたベクトル 進 行 が 可 能 な 方 向 Fig 左 右 方 向 へ の 移 動

31 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 26 旋 回 旋 回 の 際 はFig.3.4.9のように3 個 の 動 輪 の 同 様 の 歩 行 に 回 転 させる. 同 様 の 方 式 で 左 右 他 6 方 向 への 移 動 が 可 能 で あ る. 各 動 輪 のベクトル 合 成 されたベクトル Fig 旋 回 本 項 で は 360 全 方 向 の 中 か ら 代 表 的 な 移 動 方 式 の 例 を 示 し た が, 各 動 輪 の 回 転 ベ ク ト ル の 張 し だ い で 他 の 方 向 へ 移 動 す る こ と も 可 能 で あ る 全 方 向 移 動 機 能 の 運 動 学 3 つ の 動 輪 を 用 い 円 滑 に 全 方 向 移 動 を 行 う た め, そ の 運 動 学 モ デ ル を 求 め る. 全 方 向 移 移 動 機 構 で は Fig に 示 す よ う に 3 つ の 動 輪 の ベ ク ト ル V1,V2,V3 の 合 力 が 任 意 の 進 行 方 向 へ 向 け た ベ ク ト ル V と 等 し く に な る よ う に 各 動 輪 の 回 転 数 を 求 め る.そ の た め に 必 要 と な る 逆 運 動 学 が 式 (1), (2), (3)に よ っ て. 式 (4) の よ う に 求 め ら れ る. X V 2 V 1 V y α i θ V V x V 3 Fig 全 方 向 移 動 機 構 Y

32 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 27 Vi = Vx cos( = Vx sin α i α i π ) + Vy sin( 2 Vy cos α i + θ l α i π ) 2 + θ l (1) 2 α = π, = 1 α 2 3 Vx = V cos θ Vy = V sin θ 2 sin π V = V2 sin π 2 V 3 1 sin π 6 1 π, 2 α 3 1 = π 6 2 cos π l 3 Vx 1 cos π l Vy 2 1 cos π l θ 6 (2) (3) (4) 各 動 輪 の PWM 制 御 に よ る 速 度 制 御 今 回 試 用 し た 全 方 向 移 動 機 構 で は 各 動 輪 を 任 意 の 速 度 で 別 々 に 制 御 す る 必 要 が あ る. そ の た め PWM 制 御 に よ っ て モ ー タ に 供 給 さ れ る 電 圧 を 調 節 し 速 度 制 御 を 行 う. 3 章 で も 触 れ た が PWM 制 御 と は パ ル ス 幅 変 調 (Pulse Width Modulation) 方 式 と 呼 ば れ る 手 法 で あ り, Fig の 様 に 電 気 出 力 を ON OFF を 高 速 で 繰 り 返 す こ と で パ ル ス 信 号 を 出 力 す る 際 や, 電 圧 の 制 御 に 用 い ら れ る. 今 回 は こ れ を 後 者 の 目 的 で 使 用 す る. 一 定 の 電 源 電 圧 を 供 給 し て い る 場 合, モ ー タ に 供 給 す る 電 圧 を 変 化 さ せ る に は, 抵 抗 や レ ギ ュ レ ー タ 等 を 増 設 す る 必 要 が あ る が,P WM 制 御 な ら ば こ う い っ た 回 路 の 増 設 を 行 う こ と な く 効 率 的 に 電 圧 の 制 御 を 行 う こ と が 出 来 る. こ の 方 式 で 用 い る ON 時 間 と OF F 時 間 の 比 を デ ュ ー テ ィ ー 比 と 言 う. デ ュ ー テ ィ ー 比 が 高 い ほ ど ON 期 間 が 長 く, デ ュ ー テ ィ ー 比 が 0 で あ れ ば,ON 時 間 は 0 と な り, 電 圧 の 出 力 は 0 と な る. 以 下 に 今 回 PWM 制 御 に よ っ て 電 圧 制 御 を 行 う た め に 用 い た 式 を 示 す.Vout を 目 標 電 圧 と し た 場 合, ( 1 ) の よ う な 式 を 立 て る.( 1) の 様 に Ton,Toff に 付 い て 式 を 解 く こ と で 目 標 電 圧 に 対 す る O N,OFF 時 間 の 値 を 求 め る こ と が 出 来 き, デ ュ ー テ ィ ー 比 を 求 め る こ と が 出 来 る.

33 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 28 Tall ( 出 力 時 間 ) T 5v Vout ( 目 標 値 ) 0v Ton Toff Fig PWM 制 御 ( Ton 5 + Toff 0) Vout = T Vout T Ton =. 5 Toff = T Toff Tall (1) (2) (3) 特 殊 ホ イ ー ル 本 全 方 向 移 動 機 構 で 使 用 し て い る 特 殊 ホ イ ー ル は, 既 存 の 全 方 向 移 動 機 構 に 用 い ら れ て い る オ ム ニ ホ イ ー ル を 基 に 改 良 し た も の で あ る. オ ム ニ ホ イ ー ル と は Fig に 示 す 運 搬 機 器 等 に 用 い ら れ る 円 周 部 に ス ラ ス ト 方 向 へ の 自 由 度 を 持 つ フ リ ー ロ ー ラ を 備 え る 運 搬 用 ホ イ ー ル で あ る. 従 来 の 全 方 向 移 動 機 構 で は こ れ を 2 個 あ わ せ た 1 セ ッ ト を 3 個 も し く は 4 個 用 い る. 今 回 使 用 す る ホ イ ー ル は ロ ボ ッ ト の 構 造 上, 路 面 に 70 の 角 度 で 接 地 す る.そ の た め 従 来 の 3 個 フ リ ー ロ ー ラ を 有 す る ホ イ ー ル を 2 個 組 合 せ る 方 式 で は で は フ リ ー ロ ー ラ の 接 地 が 困 難 で あ り, 新 た な 方 式 の 特 殊 ホ イ ー ル を 用 い る 必 要 が あ る. Fig に 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト の た め 開 発 し た 特 殊 ホ イ ー ル を 示 す. Fig オ ム ニ ホ イ ー ル と 使 用 例

34 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 29 Fig 全 方 向 移 動 用 特 殊 ホ イ ー ル 構 造 今 回 新 た に 開 発 し た 特 殊 ホ イ ー ル は 円 周 部 に フ リ ー ロ ー ラ を 8 個 有 す る. 従 来 の オ ム ニ ホ イ ー ル 円 周 部 3 個 の フ リ ー ロ ー ラ を 備 え る ホ イ ー ル を 2 個 重 ね て 使 用 す る た め,そ の 使 用 が 回 転 軸 と 路 面 が 平 行 な 場 合 に 限 定 さ れ る. 本 ロ ボ ッ ト で は 路 面 と 回 転 軸 の 成 す 角 度 が 約 30 と な る た め 従 来 の オ ム ニ ホ イ ー ル で は Fig に 示 す よ う に フ リ ー ホ イ ー ル が 路 面 に 設 置 し な い 状 況 が 生 ま れ, 円 滑 な 全 方 向 移 動 の 妨 げ と な る, 新 た な に 開 発 し た 特 殊 ホ イ ー ル な ら ば Fig の 様 に, 回 転 軸 と 路 面 の 角 度 が 平 行 で は 無 い 場 合 で も 常 に フ リ ー ロ ー ラ が 路 面 に 設 置 す る こ と が で き る. Fig オ ム ニ ホ イ ー ル の 接 地 性 Fig 特 殊 ホ イ ー ル の 接 地 性

35 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 接 地 面 認 識 四 面 体 ロ ボ ッ ト で も 立 方 体 ロ ボ ッ ト 同 様 設 置 面 の 認 識 が 重 要 に な る, 本 ロ ボ ッ ト で は, 数 種 の セ ン サ を 接 地 面 認 識 セ ン サ と し て 試 し, よ り 有 効 な も の を 採 用 し た. 実 際 に 使 用 し た セ ン サ を 以 下 に 列 挙 し, そ の 結 果 を 述 べ る. タ ッ チ セ ン サ ( 型 番 ) 一 般 的 な 接 点 ス イ ッ チ, ボ タ ン 部 が 押 さ れ る こ と で 内 部 の 電 極 が 接 触 し 通 電 し, 制 御 部 に 信 号 を 送 る. Fig に 使 用 し た タ ッ チ セ ン サ を 示 す. 使 用 方 法 と し て は, 各 面 中 央 部 に 図 の 様 に 接 地 面 が 変 更 さ れ た 際 タ ッ チ セ ン サ が 地 面 に 直 接 接 触 し て 反 応 す る よ う に 配 置 し た. 接 地 面 Fig タ ッ チ セ ン サ 地 面 振 動 ( 転 倒 ) ス イ ッ チ ( 型 番 ) 内 蔵 さ れ た 鉄 球 が 重 力 に よ っ て 底 面 の 電 極 に 接 触 し て い る か 否 か で 接 地 面 を 判 断 す る セ ン サ. 各 面 の 内 側 に 配 置 し て 使 用 す る. 接 地 面 地 面 Fig 振 動 ( 転 倒 ) ス イ ッ チ 水 銀 ス イ ッ チ ( 型 番 ) 水 銀 が 振 動 ス イ ッ チ と 同 様 の 方 式 で 内 部 の 鉄 球 の 代 わ り に 液 状 の 水 銀 を 用 い た セ ン サ. 各 面 の 内 側 に 配 置 し て 使 用 す る. Fig 水 銀 ス イ ッ チ 接 地 面 地 面

36 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 31 上 記 の セ ン サ を 用 い て 接 地 面 認 識 を 目 的 と し た 動 作 実 験 を 行 っ た. 接 地 面 に 対 応 し た モ ー タ を 回 転 さ せ る こ と で セ ン サ に よ る 正 式 に 認 識 が 行 わ れ て い る か 確 認 す る. 結 果 平 面 状 で は ど の セ ン サ で も あ る 程 度 の 接 地 面 認 識 を 行 う こ と が 出 来 た. た だ し, 起 伏 の 激 し い 路 面 で は, 本 体 の 振 動 や 路 面 の 凹 凸 に よ っ て セ ン サ の 反 応 が 散 漫 に な り, 接 地 面 認 識 を 行 え な い 現 象 が 起 き た. こ れ を 解 決 す る た め, 以 下 の よ う に 制 御 プ ロ グ ラ ム を セ ン サ か ら の 入 力 に 対 し て 関 数 を 儲 け る こ と で 解 決 し た. 各 セ ン サ の 特 性 と し て タ ッ チ セ ン サ は 路 面 へ 直 接 接 地 す る た め, 凹 凸 の 影 響 を 受 け る こ と が 顕 著 で あ っ た. そ れ に 比 べ 路 面 と 接 触 し な い 振 動 ス イ ッ チ, 水 銀 ス イ ッ チ は そ う い っ た 影 響 を 受 け る こ と が 無 く, 接 地 面 を 認 識 す る こ と が で き た.た だ し こ の 2 つ の セ ン サ は 重 力 下 で の 使 用 を 前 提 と さ れ た セ ン サ で あ り, 極 限 環 境 の 一 種 で あ る 宇 宙 空 間 で 使 用 が 目 的 と さ れ る 場 合 は 違 っ た 提 案 が 必 要 で あ る. int Stns; if(inp ut(pin_b0)){stns=1;} //セ ン サ 0 が 反 応, 関 数 St ns の 値 を 1 と す る. if(stns==1){ // 関 数 St ns の 値 が 1 な ら ば 設 置 面 1 の モ ー タ を 正 転 す る. outp ut_low (PIN_D2); outp ut_high(pin_d3); } if(stns==2){ // 関 数 St ns の 値 が 2 な ら ば 設 置 面 2 の モ ー タ を 正 転 す る. outp ut_low (PIN_D2); outp ut_high(pin_d3); }

37 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 開 発, 実 験 開 発 し た 箱 型 ロ ボ ッ ト を 実 際 に 動 作 さ せ る こ と で そ の 有 効 性 を 検 証 し た. 結 果 そ の 安 定 し た 形 状 に よ っ て 安 定 し た 走 行 性 能 を 得 る こ と が で き た. ま た, 各 面 の 移 動 機 構 も 接 地 面 に 対 応 し て 動 作 し 転 倒 姿 勢 の 無 い ロ ボ ッ ト を 実 現 す る こ と が で き た. し か し, 移 動 に 動 輪 を 用 い て い る た め, 動 輪 の 半 径 を 以 上 の 段 差 や 起 伏 の 激 し す ぎ る 路 面 を 走 破 す る こ と は 困 難 で あ る. ま た 走 行 の 補 助 に キ ャ ス タ を 用 い て い る こ と も そ の 一 因 と な っ て い る と 考 え ら れ る そ こ で 実 際 に 適 用 可 能 と 思 わ れ る, 極 限 環 境 は 災 害 等 で 倒 壊 の 危 険 性 の あ る 建 造 物 内 で の 動 作, 作 業 が 考 え ら れ る.

38 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 動 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の シ ス テ ム 球 型 ロ ボ ッ ト は 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 形 状 と し て は 理 想 的 で あ る.し か し, 悪 路 や 急 斜 面 等 極 限 環 境 下 で は そ の 安 定 性 が 低 く. 直 進 性 制 動 性 に 問 題 が あ る そ れ に 対 し て 正 六 面 体 の 箱 形 ロ ボ ッ ト な ら ば 安 定 性 は 確 保 で き る が 無 方 向 性 が 低 下 す る そ こ で 極 限 環 境 下 で 移 動 を 行 う 場 合, 完 全 な 球 状 ロ ボ ッ ト よ り, 球 状 ロ ボ ッ ト と 同 じ 方 式 で 移 動 す る 安 定 し た 形 状 の 歩 行 ロ ボ ッ ト が 有 効 で あ る と 考 え る こ の ロ ボ ッ ト は 球 と 同 様 の 転 が る 動 作 を 行 う こ と で 動 作 時 は 前 後 上 下 の 方 向 性 を 無 く す こ と が で き る こ の よ う な ロ ボ ッ ト を 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト と 定 義 し 次 の 方 式 を 提 案 す る. 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 基 本 的 な 構 造 を F i g に 示 す. 本 ロ ボ ッ ト は ボ デ ィ 4 と ア ー ム 1 で 構 成 さ れ る 一 種 の 関 節 型 ロ ボ ッ ト で 2 関 節 あ り,そ れ ぞ れ の 関 節 が 駆 動 す る よ う に な っ て い る. 移 動 方 式 を 説 明 す る と, 2 関 節 を 駆 動 す る こ と に よ り, F i g に 示 す よ う に, Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ と 歩 行 し て い く. こ の よ う な 形 状, 動 作 機 構 を 採 用 す る こ と で, 上 下 前 後 の 方 向 性 の 概 念 を 取 り 除 く こ と が で き る.こ れ に よ っ て 転 が り な が ら 進 む 球 型 ロ ボ ッ ト と 要 素 を 有 す る 歩 行 ロ ボ ッ ト と 定 義 で き,よ り 無 方 向 性 が 強 く, 極 限 環 境 に 柔 軟 に 対 応 で き る 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト と 言 え る. 本 試 作 機 は 前 後 上 下 方 向 の 無 方 向 性 の み 実 現 し て い る が ア ー ム に 間 接 を 追 加 し て 自 由 度 を 増 や せ ば よ り 無 方 向 性 を 高 く す る こ と が 可 能 で あ る 間 接 ボ デ ィ 4 ア ー ム F i g 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト

39 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 34 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ F i g 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 動 作 手 順

40 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 必 要 条 件 F i g の よ う な 動 作 で 壁 面 移 動 ロ ボ ッ ト を 製 作 す る に あ た り そ の 際 の 必 要 条 件 を 求 め る 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 必 要 条 件 と し て 移 動 時 の 機 体 持 ち 上 げ の 際 重 心 を 保 つ 支 持 棒 の 長 さ の 条 件 を 重 心 支 持 条 件 持 ち 上 げ 時 の 駆 動 軸 に か か る ト ル ク の 条 件 を 移 動 条 件 と し て 求 め る F i g に 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 力 の つ り あ い を 図 示 す る 重 心 支 持 条 件 駆 動 軸 a, b 間 の 距 離 を L 支 持 棒 の 長 さ を X G 本 体 質 量 を m と し て 重 力 加 速 度 g に よ っ て モ ー メ ン ト が か か る も の と す る m g b a XG F i g 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 力 の つ り あ い 支 持 棒 の モ ー メ ン ト の 関 係 式 は 次 式 ( 1 ) の よ う に な る X G mg = mg Lcosθ 2 ( 1 ) 式 ( 1 ) が 成 り 立 つ 時 支 持 棒 の 重 心 支 持 条 件 は 次 式 ( 2 ) と な る X G = L cosθ 2 ( 2 )

41 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 36 以 上 か ら モ ー メ ン ト が 最 も か か る θ = 0 の 場 合 L c o s θ = L と な る の で 支 持 棒 長 さ は 本 体 全 長 L の 1 / 2 以 上 あ れ ば 重 心 支 持 条 件 を 満 た す こ と が で き る こ と が わ か る 移 動 条 件 移 動 時 の 機 体 持 ち 上 げ に よ っ て 駆 動 軸 に か か る モ ー メ ン ト か 駆 動 軸 a, b で の 必 要 ト ル ク M a, M b を 求 め る 駆 動 軸 a, b の モ ー メ ン ト の つ り あ い は 式 ( 3 ), ( 4 ) に 表 さ れ る Ma> mg Mb> mg Lcosθ 2 Lcosθ 2 ( 3 ) ( 4 ) 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 構 造 実 際 の 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト を F i g に 示 す 上 項 で 述 べ た と お り 4 個 の ボ デ ィ と 1 個 の ア ー ム を 2 個 の 関 節 が 繋 い だ 構 造 と な る 制 御 に は P I C マ イ コ ン を 用 い 関 節 部 の ア ク チ ュ エ ー タ は ロ ボ ッ ト が ス ム ー ズ に 移 動 を 行 う た め 的 確 に 指 定 し た 角 度 に 稼 動 す る こ と が 求 め ら れ る そ の た め R C サ ー ボ モ ー タ を 仕 様 す る F i g 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 概 観

42 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 37 移 動 を 行 う に は 上 項 で 求 め た 重 心 支 持 条 件 移 動 条 件 を 満 た す 必 要 が あ る 実 際 の 機 体 軸 間 距 離 を L = 1. 9 [ m ] と す る の で 重 心 支 持 条 件 に 基 づ き 支 持 棒 の 長 さ X G は そ の 半 分 の 9. 8 [ m ] 以 上 の と す る 本 体 質 量 m = 1 [ k g ] と し た 場 合 最 も モ ー メ ン ト の か か る θ = 0 の 場 合 の 関 節 部 駆 動 軸 の 必 要 条 件 は 次 式 に よ っ て 求 め ら れ る 1 9 Ma= Mb> = 9.32[N m] 2 ( 5 ) ト ル ク [ N ] の サ ー ボ モ ー タ を 使 用 す る 使 用 し た J R 製 サ ー ボ モ ー タ R E G AT TA の 仕 様 に つ い て は 第 三 章 ロ ボ ッ ト シ ス テ ム に 示 す 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 動 作 機 構 を F i g に 示 す 減 速 に は タ イ ミ ン グ ベ ル ト と タ イ ミ ン グ プ ー リ を 用 い る ま た 重 量 の 多 い 部 品 を 使 用 す る と 機 体 持 ち 上 げ の 際 に 大 き な モ ー メ ン ト が 掛 か り 負 担 と な る の で 最 も 強 度 が 必 要 と さ れ る ア ー ム 部 に の み ア ル ミ 板 を 使 用 し ボ デ ィ 部 に は 軽 量 で あ る て い ど の 強 度 を 有 す る プ ラ ス チ ッ ク ダ ン ボ ー ル を 採 用 し た 離 れ た 位 置 に 回 転 軸 を お く こ と が で き る タ イ ミ ン グ ベ ル ト を 採 用 し た の も 構 成 部 品 の 中 で 最 も 重 量 の あ る D C サ ー ボ モ ー タ を 機 体 末 端 に 配 置 す る 必 要 が 無 く な り 機 体 の 持 ち 上 げ 動 作 時 の モ ー メ ン ト を 軽 減 す る こ と が 可 能 で あ る か ら で あ る F i g 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 内 部 機 構

43 第 三 章 無 方 向 性 ロボット ボ デ ィ 形 状 の 改 良 本 項 で は 本 ロ ボ ッ ト の 移 動 の 要 と な っ て い る ボ デ ィ に 形 状 に つ い て 考 察 す る ボ デ ィ 形 状 は 項 で 導 出 し た ボ デ ィ 長 さ X G が 条 件 を 満 た し て い れ ば 基 本 的 に ど の よ う な 形 状 で も よ い 始 め に 製 作 し た ボ デ ィ に は 球 型 ロ ボ ッ ト と 同 じ 動 作 を 行 う 直 方 体 形 状 ロ ボ ッ ト の コ ン セ プ ト に 沿 い F i g 左 図 の 様 な 箱 を 組 合 せ た 形 状 を 用 い た 結 果 安 定 し た 走 破 性 を 得 る こ と が 出 来 た が 回 転 動 作 の 際 の ボ デ ィ 同 士 の 干 渉 が 何 度 か 発 生 し た こ れ を 解 消 す る た め ボ デ ィ 形 状 を F i g 右 図 の 様 に 改 良 し た 実 際 に 製 作 し た ボ デ ィ を F i g に 示 す 結 果 ボ デ ィ 同 士 の 干 渉 は 無 く な り 円 滑 な 動 作 が 可 能 と な っ た ま た F i g F i g に 示 す よ う に ボ デ ィ に 合 わ せ て ア ー ム の 形 状 を 改 良 し た F i g ボ デ ィ 形 状 ( 初 期 改 良 後 ) F i g ボ デ ィ 形 状 ( 初 期 改 良 後

44 第 三 章 無 方 向 性 ロボット 39 F i g 形 状 改 良 後 の 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 開 発 実 験 箱 の 安 定 し た 形 状 を 持 ち 球 の 転 が る 動 作 に よ っ て 移 動 す る 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト を 製 作 し 実 際 に 極 限 環 境 下 の 悪 路 を 想 定 し て 実 験 を 行 っ た F i g が 実 際 の 実 験 風 景 と な る 結 果 そ の 特 性 に よ っ て 悪 路 を 円 滑 に 移 動 す る と 共 に 落 下 転 倒 等 の ア ク シ デ ン ト に も 円 滑 に 対 応 す る こ と に 成 功 し た F i g が 実 際 の 実 験 風 景

45 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 無 方 向 性 ロボットの 機 能 向 上 本 章 で は こ れ ま で 開 発 し た 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト が 実 際 の 作 業 環 境 に 適 応 す る た め 必 要 と な り う る 機 能 に つ い て 考 察 し, 実 際 に 行 っ た 開 発 と 動 作 実 験 に つ い て そ の 詳 細 を 述 べ る. 本 章 で 述 べ る の は 以 下 の 項 目 で あ る. 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト の 走 破 性 の 向 上 に つ い て 特 殊 ホ イ ー ル を 用 い た 全 方 向 移 動 機 能 を も つ 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト の 起 伏 路, 段 差 走 破 性 に つ い て 考 察 し, そ の 解 決 法 を 模 索 す る. 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 全 方 向 作 用 機 能 に つ い て 第 3 章 で 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 上 下 前 後 方 向 に 限 定 し た 無 方 向 性 を 実 現 し た. こ こ で は 新 た な 機 構 を 付 加 し, 全 方 向 へ の 作 用 を 可 能 と す る た め, そ の 方 式 を 考 察 し, 幾 つ か の 例 を 実 際 に 開 発 し 示 す. 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 移 動 能 力 向 上 極 限 環 境 下 で は 様 々 な 路 面 状 況 が 予 測 さ れ る. そ こ で 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 路 面 状 況 に 応 じ た 移 動 方 式 の 選 択 可 能 な 機 構 を 新 た に 付 加 し て そ の 有 効 性 を 検 証 す る. 4.2 正 四 面 体 ロボットの 走 破 性 向 上 極 限 環 境 下 の 作 業 で は ロ ボ ッ ト の 進 路 上 に 崩 落 や 隆 起 現 象 で 発 生 し た 凸 凹 路 や 段 差 が 存 在 す る こ と が 予 測 さ れ る. そ の た め, 極 限 環 境 作 業 ロ ボ ッ ト に は 高 い 路 面 走 破 性 が 要 求 さ れ る. 本 項 で は 第 3 章 で 開 発 し た 正 四 面 体 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 走 破 性 の 向 上 を 目 指 し 主 に 特 殊 ホ イ ー ル の 構 造 に つ い て 考 察 し 幾 つ か の 例 を 作 成 し て そ の 有 効 性 を 図 る ホ イ ー ル ( 動 輪 ) に よ る 移 動 機 構 の 走 破 性 本 研 究 で 開 発 し た 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の う ち 正 六 面 体 ロ ボ ッ ト, 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト は 動 輪 に よ る 移 動 機 構 を 採 用 し て い る. 動 輪 に よ る 移 動 機 構 は 歩 行 に よ る 移 動 に 比 べ, 少 数 の ア ク チ ュ エ ー タ で 移 動, 旋 回 機 能 の 実 現 す る こ と が 出 来, 比 較 的 効 率 が 良 い 移 動 機 構 と い え る. そ の た め, 上 記 の 各 面 全 て に 移 動 機 構 を 必 要 と す る ロ ボ ッ ト を 製 作 す る 際 も, 動 輪 に よ る 移 動 機 構 を 採 用 し た. し か し こ の 移 動 機 構 は 平 地 に お い て は 安 定 し た 走 行 能 力 を 持 つ が, 起 伏 路, 特 に 段 差 の 走 破 に 関 し て 問 題 点 が あ る. そ れ は 動 輪 の 半 径 以 上 の 段 差 を 乗 り 越 え る こ と が 出 来 な い こ と で あ る. 悪 路 の 凹 凸 を 微 細 な 段 差 の 連 続 と 考 え る と こ れ は 重 大 な 要 素 と な る. 以 下 に そ の 図 と 動 輪 の 段 差 走 破 に 関 す る 式 を 示 す. 図 中 の θ を 段 差 等 価 勾 配 と 呼 び, 段 差 の 高

46 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 41 さ を h, 動 輪 半 径 R と し て, 動 輪 が 段 差 に 接 触 す る 瞬 間 に 角 度 θ 斜 面 が 進 行 方 向 に 出 現 す る と 仮 定 し た も の で あ る. こ の 斜 面 の 勾 配 に よ っ て 段 差 の 障 害 度 を 測 る も の で あ る. こ の 段 差 評 価 法 は 主 に 建 築, 介 護 機 器 分 野 で 用 い ら れ て い る も の で あ る.Fig4.2.1 に 示 す よ う に, h > R の 場 合 勾 配 は90, 壁 が 前 に 立 ち ふ さ が る 形 と な り, 乗 り 越 え 不 能 と な る. こ の 評 価 法 で も 分 か る よ う に 動 輪 が 形 状 に よ る 特 性 の み で 克 服 で き る の は h < R の 場 合 の み で あ る. 半 径 以 上 の 段 差 を ク リ ア す る 方 法 と し て ク ロ ー ラ に よ る 移 動 機 構 が あ る が, こ れ は 構 造 が 複 雑 に な る 上, 全 方 向 移 動 を 行 う 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト に は 向 か な い の で 本 項 で は 考 慮 に 入 れ な い. θ R θ = cos (( R h) / R) h Fig4.2.1 車 輪 と 段 差 の 関 係 Θ R Θ h R h h < R θ <90 h > R θ >90 Fig4.2.2 段 差 乗 り 越 え の 例 Fig4.2.3 ク ロ ー ラ

47 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 正 四 面 体 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 走 破 性 前 項 で 動 輪 の 段 差 克 服 能 力 に つ い て 考 察 し た. 本 項 で は そ れ を 踏 ま え た 上 で 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト の 移 動 機 構 の 走 破 能 力 を 検 証 す る. 本 ロ ボ ッ ト は 円 周 部 に ス ラ ス ト 方 向 へ 自 由 度 を も つ フ リ ー ロ ー ラ を 備 え る 特 殊 ホ イ ー ル を 3 個 用 い た 全 方 向 移 動 を 行 う こ と は 既 に 第 3 章 で 述 べ た. こ こ で は 進 行 方 向 に 直 行 す る 辺 に 接 す る 2 輪 を 進 行 方 向 に 向 け 移 動 す る 場 合 と そ の 逆 の 2 つ の 移 動 状 態 を 例 に 挙 げ て 段 差 走 破 性 を 検 証 す る. 本 ロ ボ ッ ト は 全 方 向 移 動 で あ り 様 々 な 移 動 状 態 が あ る が 基 本 的 に こ の 二 種 の 走 行 状 態 に 近 似 で き る. 段 差 は 動 輪 の 半 分 以 下 で 越 え ら れ る 限 界 の 高 さ と 仮 定 す る. 結 論 は ど ち ら の 走 行 状 態 で も 段 差 を 乗 り 越 え る こ と は 出 来 な い. こ の 原 因 は 本 ロ ボ ッ ト の 特 殊 な 動 輪 の 配 置 に あ る. 本 ロ ボ ッ ト は 全 方 向 移 動 中 の 全 て の 走 行 状 態 に お い て 必 ず 最 低 1 個 の 動 輪 と 進 路 が ±90 の 幅 で 交 差 す る こ と に な る. こ の た め, 該 当 す る 動 輪 へ, ス ラ ス ト 方 向 の 負 荷 が か か る. こ の 負 荷 を 特 殊 ホ イ ー ル の フ リ ー ロ ー ラ が 受 動 的 に 回 転 す る こ と で 受 け 流 し て い る. こ の フ リ ー ロ ー ラ の 径 が 段 差 走 破 能 力 の 障 害 と な っ て い る. Fig4.2.4 の 走 行 状 態 1 の 場 合 で は, 進 行 方 向 側 の 2 輪 は 回 転 軸 を 中 心 と し て 回 転 し て お り, 半 径 以 下 の 段 差 な ら ば 乗 り 越 え る こ と が 可 能 で あ る. し か し, 次 に 段 差 に 残 り の 1 輪 が 接 触 す る 際, フ リ ー ロ ー ラ の 半 径 以 上 の 段 差 を 乗 り 越 え る こ と は 不 可 能 で あ る. Fig4.2.5 の 走 行 状 態 2 も 同 様 の こ と が 言 え る. 逆 に フ リ ー ロ ー ラ の 半 径 以 下 な ら ば 段 差 を ク リ ア で き る と い え る が, こ れ は 動 輪 の 本 来 の 走 破 能 力 を 殺 し て し ま う 考 え 方 で あ り 好 ま し く な い. 段 差 Fig4.2.4 走 行 状 態 1 段 差 Fig4.2.5 走 行 状 態 2

48 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 特 殊 ホ イ ー ル の 走 破 性 向 上 上 記 の 問 題 点 を 解 決 す る た め に は 特 殊 ホ イ ー ル の 改 良 が 必 要 で あ る. 改 良 案 と し て は 特 殊 ホ イ ー ル の フ リ ー ロ ー ラ の 径 を 大 き く す る こ と で あ る. 最 低 限 走 破 す る こ と が 必 要 な 砂 利 道 を 目 標 と し て 新 た な, 特 殊 ホ イ ー ル を 作 成 し た. Fig4.2.6 に 新 た に 製 作 し た 大 型 特 殊 ホ イ ー ル を 示 す. 大 型 特 殊 ホ イ ー ル は 外 周 部 に 大 小 8 個, 計 16 個 の フ リ ー ロ ー ラ を 備 え る. 初 期 の 特 殊 ホ イ ー ル の フ リ ー ロ ー ラ の 半 径 が6mmで あ っ た こ と に 対 し 大 型 特 殊 ホ イ ー ル の フ リ ー ロ ー ラ ( 大 ) は 半 径 20mm と な っ て い る. こ れ は 今 回 目 標 と し た キ ャ ン パ ス 内 の 砂 利 道 の 段 差 が 平 均 的 に 20mm 以 下 で あ っ た こ と に 由 来 す る. フ リ ー ロ ー ラ ( 小 ) は ホ イ ー ル 自 体 の 真 円 度 を 増 し, 駆 動 時 の グ リ ッ プ を 確 実 に す る た め の も の で あ り, 段 差 走 破 時 は 段 差 に フ リ ー ロ ー ラ ( 大 ) が 接 触 す る た め, 半 径 の 大 き さ を 考 慮 す る 必 要 は 無 い も の と 考 え る.Fig. に 大 型 特 殊 ホ イ ー ル を 実 際 に 取 り 付 け た 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト を 示 す. Fig4.2.6 大 型 特 殊 ホ イ ー ル Fig4.2.7 大 型 特 殊 ホ イ ー ル 実 装

49 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト の 走 破 性 向 上 実 験 と 考 察 大 型 特 殊 ホ イ ー ル を 実 装 し キ ャ ン パ ス 内 の 砂 利 道 で 動 作 実 験 を 行 っ た. 結 果 あ る 程 度 の 走 破 性 の 向 上 が 見 ら れ た. 初 期 の 特 殊 ホ イ ー ル に 比 べ 20mm 以 下 の 凸 凹 道 で の 走 行 が 可 能 に な っ た こ と か ら, 目 標 は 達 成 し た と 考 え る. し か し, 克 服 可 能 な 段 差 の 高 さ は 依 然, 半 径 以 下 で あ り 動 輪 の 能 力 の 完 全 に 発 揮 で き て い る と い え な い. 今 後 更 な る 提 案 が 必 要 で あ る. 4.3 動 的 無 方 向 性 ロボットの 全 方 向 作 用 機 能 第 章 で 開 発 し た 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト は 上 下 前 後 に 限 定 し て 方 向 性 の 概 念 を 無 く す も の で あ る. 他 の 方 位 で も 無 方 向 性 を 得, 全 方 向 に 作 用 す る た め に は 自 由 度, 機 構 を 付 加 す る 必 要 が あ る. Fig4.3.1 に 4 自 由 度 の 機 構 例 と そ の 動 作 を 示 す. 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 機 構 例 1 間 接 4 ア ー ム ボ デ ィ 4 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 機 構 例 2 Fig4.3.1 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 機 構 例 機 構 例 1 は ア ー ム 中 間 部 に ロ ー ル 軸 と ピ ッ チ 軸 を 備 え, 持 ち 上 げ 動 作 の 際 に 作 用 方 向 を 変 化 さ せ る. こ れ に よ り 時 上 下 前 後 以 外 の 無 方 向 性 を 実 現 す る. こ の 方 式 で は 安 定 し て 作 用 方 向 転 換 を 行 う こ と が 可 能 で あ る. 機 構 例 2 は 従 来 の 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 同 様 の 機 能 を 並 列 に 配 置 し, 持 ち 上 げ 動 作 時 に 支 点 側 の ア ク チ ュ エ ー タ を 左 右 時 間 差 で 動 か し 転 倒 方 向 を 作 用 す る. 今 回 は 機 構 例 1 を 採 用 す る. ま た, こ の 機 構 は 4 自 由 度 で 実 現 可 能 だ が 更 に 円 滑 な 動 作 を 行 う た め 更 に 機 体 両 端 に 2 自 由 度 付 加 す る.

50 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 全 方 向 移 動 可 能 な 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 全 方 向 へ 無 方 向 性 移 動 可 能 な 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 2 号 機 の 構 造 を Fig に 示 す. ア ー ム 中 心 部 に 全 方 向 作 用 の た め の サ ー ボ モ ー タ を 備 え る 間 接 を 4 個, 前 章 で 述 べ た 様, 円 滑 な 動 作 の た め 持 ち 上 げ 動 作 を 担 当 す る 間 接 を 両 端 に 備 え る. 実 際 に 開 発 さ れ た 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 2 号 を Fig に 示 す. こ の ロ ボ ッ ト は 従 来 の 戦 後 進 行 方 向 へ の 無 方 向 性 移 動 の 他 に, ア ー ム 中 央 部 の 間 接 に よ っ て そ の 場 で の 作 用 方 向 転 換, 曲 線 軌 道 を 描 き つ つ 移 動 す る こ と も 可 能 で あ る. 間 接 6 ボ デ ィ ア ー ム 部 Fig4.3.2 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 2 号 機 の 構 造 Fig4.3.3 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 2 号 機 全 方 向 移 動 可 能 な 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 実 験 と 考 察 6 自 由 度 の 間 接 を 持 ち 全 方 向 で 無 方 向 性 動 作 を 行 う. 動 的 無 方 向 性 と ボ ッ ト 2 号 を 開 発 し, 作 用 方 向 転 換 と 曲 線 軌 道 動 作 を 実 現 し た. ま た 持 ち 上 げ 動 作 時 に ア ー ム を 折 り た た む た め, ロ ボ ッ ト の 全 長 が 短 く な り 持 ち 上 げ 動 作 が 安 定 し て 行 え る よ う に な っ た. こ れ は 持 ち 上 げ 条 件, ボ デ ィ 長 さ X g が 全 長 L の 1/2 以 上 で あ る こ と を 満 た し や す く な る た め で あ る.

51 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 動 的 無 方 向 性 ロボットの 移 動 能 力 向 上 極 限 環 境 下 で は 様 々 な 環 境 が 想 定 さ れ る. 特 に 都 市 災 害 等 で 発 生 し た 極 限 環 境 で は, 舗 装 路 と 崩 落, 隆 起 で 生 じ た 起 伏 路, 段 差 が 混 在 す る こ と が 考 え ら れ る. よ っ て, 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト に 必 要 な 機 能 と し て, 状 況 に 応 じ た 移 動 能 力 の 向 上 が 考 え ら れ る. 上 記 で 述 べ た 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 移 動 方 法 は 走 破 性, 安 定 性 供 に 優 れ た 移 動 方 法 と い え る が, 移 動 に 時 間 が 掛 か る. 比 較 的 平 坦 な 路 面 で は 効 率 の 良 い 移 動 方 法 を 選 択 す る 必 要 が あ る 移 動 方 式 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 状 況 に 応 じ て 二 種 の 移 動 方 法 を 選 択 可 能 な 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト を 提 案 し た.Fig に 示 す よ う に 機 構 は 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト と 同 様 の も の を 用 い, 三 日 月 型 の ボ デ ィ を 備 え る. 平 地 で は Fig に 示 す 様 な 円 柱 状 の 移 動 形 態 を 取 り 二 つ の ア ク チ ュ エ ー タ を 用 い た 重 心 移 動 に よ り 球 型 ロ ボ ッ ト と 同 様 の 回 転 移 動 を 行 い, 回 転 移 動 が 不 可 能 な 急 斜 面, 凹 凸 面 で は Fig に 示 す 形 態 を と り, 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 同 様, ボ デ ィ 部 を 交 互 に 持 ち 上 げ 歩 行 移 動 を 行 う. こ の よ う に 状 況 に 応 じ た 無 方 向 性 移 動 を 行 う こ と で, よ り 柔 軟 に 状 況 に 対 応 す る こ と が 可 能 で あ る. 間 接 2 ア ー ム ボ デ ィ 4 Fig 大 型 特 殊 ホ イ ー ル 実 装 Fig 平 面 移 動 形 態

52 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 47 Fig 凹 凸 面 移 動 形 態 凹 凸 面 時 ( 本 体 持 ち 上 げ 動 作 に よ る 移 動 ) 凹 凸 面 で の 移 動 で は 前 項 Fig.6 右 図 で 示 し た 移 動 形 態 を と る. ア ー ム 中 央 部 に 設 け た 角 度 セ ン サ に よ り 本 体 姿 勢 を 認 識 し 進 行 方 向 に 応 じ て 三 日 月 型 ボ デ ィ を 動 作 さ せ, Fig の 様 に 移 動 を 行 う. Fig 凹 凸 面 移 動 平 地 時 ( 円 柱 状 転 が り 移 動 ) 平 地 面 で は 前 項 Fig で 示 し た 移 動 形 態 を と り, 各 関 節 の モ ー タ を 用 い て 重 心 の 移 動 を 行 う. Fig に 回 転 移 動 時 の 動 作 手 順 と 間 接 角 度 を 半 回 転 分 示 す. 各 関 節 の 反 時 計 回 り を 正 転 と し Fig に 示 す 進 行 方 向 に 移 動 す る. 本 体 角 度 θ が 0,180 の 場 合 は Ⅰ Ⅱ Ⅲ の 様 に 下 部 ボ デ ィ 間 接 ( 図 の 場 合 は θ a ) を 進 行 方 向 と 逆 に 回 転 さ せ 重 心 を ず ら し 移 動 を 行 う. 本 体 角 度 θ が 90,270 の 場 合 は Ⅲ Ⅳ Ⅴ の 様 に ボ デ ィ 進 行 方 向 側 の 関 節 ( 図 の 場 合 は θ b ) を 進 行 方 向 と 逆 に 回 転 さ せ 重 心 を ず ら し, 回 転 が 始 ま る と 同 時 に θ a, θ b の 角 度 を 0 に し,0,180 の 際 の 動 作 に 備 え る. こ の 動 作 を 繰 り 返 す こ と で 移 動 を 行 う.

53 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 48 θ b θ : Inclination of body A θ B θ b, θ a : Angle Axis A,B : body θ a Traveling direction Ⅰ Ⅱ ⅲ ⅳ ⅴ B B B A A A A A B B θ Fig 平 面 移 動 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 動 作 機 構 Fig 4.4.6, Fig に 新 た に 移 動 機 能 を 付 加 し た 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 3 号 機 の 待 機 状 態 と 各 移 動 形 態 を 示 す. 本 ロ ボ ッ ト が 円 滑 に 動 作 を 行 う た め に は, ロ ボ ッ ト の 姿 勢 に 応 じ た 三 日 月 状 ボ デ ィ の 角 度 制 御 が 必 要 と な る. そ の た め ア ー ム 中 央 部 に 角 度 セ ン サ を 備 え, 間 接 部 に 制 御 が 容 易 な DC サ ー ボ モ ー タ を 用 い る. Fig 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 二 号 待 機 状 態 Fig 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 二 号 移 動 形 態 二 種

54 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 実 験 と 考 察 本 項 で は 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト の 開 発, 移 動 機 能 向 上 を 重 点 的 に 行 い, 走 行 性 能 を 検 証 し た. 結 果, 凹 凸 面 移 動 時 の 速 度 は 33.3(mm/s) 平 坦 面 移 動 時 の 速 度 は 112.5(mm/s) と 約 3 倍 の 速 度 で 移 動 す る こ と が 出 来 た. 今 後 も 動 作 の 最 適 化 に よ っ て 平 坦 面 移 動 時 の 速 度 は 更 に 向 上 す る こ と が 可 能 で あ る と 考 え る. 動 作 の 安 定 性 と し て は 凹 凸 面 移 動 の 持 ち 上 げ 動 作 に 問 題 は 無 か っ た が, 平 坦 面 時 の 転 が り 動 作 の 直 進 性 に 若 干 の 問 題 が あ っ た. ボ デ ィ 部 の 加 工 精 度 の 向 上, ジ ャ イ ロ セ ン サ ー 等 を 用 い 動 作 補 正 す る こ と が 必 要 だ と 考 え ら れ る. 動 作 補 正 及 び 作 用 方 向 転 換 に は 本 章 4.4 で 提 案 し た 要 に ア ー ム 中 央 部 へ の 間 接 付 加 が ひ つ よ う で あ る と 考 え る. Fig 動 作 実 験 の 様 子 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト へ の 全 方 向 作 用 機 能 の 付 加 3 号 機 は 移 動 方 式 の 開 発 検 証 を 目 的 と し て い た 為, 構 造 は 1 号 機 と 同 様 構 造 を 用 い て お り 前 後 上 下 の み で し か 無 方 向 性 を 実 現 し て い な か っ た. 本 項 で は 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 3 号 機 に 2 号 機 同 様 の 全 方 向 作 用 機 能 を 付 加 す る. よ り 全 方 向 で の 無 方 向 性 移 動 と 曲 線 移 動, 平 坦 面 移 動 時 の 転 が り 動 作 に お い て, 軌 道 補 正 を 掛 け る こ と が 可 能 と な る. 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 3 号 新 型 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 2 号 2 種 類 の 移 動 方 式 全 方 向 無 方 向 動 作 Fig 全 方 向 作 用 機 能 を 付 加

55 第 4 章 無 方 向 性 ロボット 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト ( 全 方 向 作 用 機 能 付 加 ) に 動 作 機 構 Fig に 全 方 向 作 用 機 能 を 機 能 と 複 合 移 動 機 構 を 持 つ, 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 5 号 の 構 造 を 示 す. 動 作 用 の 間 接 を ア ー ム 両 端 部 に 2 個, ア ー ム 中 央 部 に 作 用 方 向 転 換 の た め の ロ ー ル 軸 と ピ ッ チ 軸 の 間 接 を も つ, 各 関 節 に は サ ー ボ モ ー タ を 用 い る. ボ デ ィ は 3 号 機 同 様, 三 日 月 形 状 を 用 い る. Fig に 実 際 に 試 作 し た 動 的 無 方 向 性 4 号 機 を 示 す. 上 記 の 動 作 機 構, ボ デ ィ 形 状 に よ っ て 2 つ の 移 動 形 態 を と る こ と が 可 能 で あ る. 間 接 6 ボ デ ィ ア ー ム 部 Fig 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 4 号 の 構 造 Fig 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 4 号 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト へ の 全 方 向 作 用 機 能 の 付 加 実 験 と 考 察 実 際 に 全 方 向 作 用 機 能 を 付 加 し た 複 合 型 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト を 開 発 し 動 作 実 験 を 行 っ た. 全 方 向 作 用 機 能 に 関 し て は 本 章 4.3 で 実 験 を 行 っ た の で, 本 項 で は 円 柱 動 作 時 の 軌 跡 補 正 に つ い て 実 験 を 行 っ た. 結 果 ア ー ム 中 央 部 の 間 接 を 用 い て 姿 勢 を 制 御 す る こ と で, 直 進, 曲 線 軌 道 の 移 動 を 安 定 し て 行 う こ と が 出 来 た. Fig 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト 4 号 動 作 実 験

56 第 五 章 終 章 ま と め 今 回, 数 種 の 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト を 作 成 お よ び 実 作 業 し 環 境 に 即 し た 改 良, 機 能 付 加 を 行 い そ の 有 効 性 を 検 証 し た. 初 め に 製 作 し た 球 型 ロ ボ ッ ト は 高 い 無 方 向 性 を 有 す る も, そ の 安 定 性 の 無 さ か ら 実 際 の 極 限 環 境 下 で の 運 用 は 困 難 で あ っ た. 次 に 開 発 し た 立 方 体 型 ロ ボ ッ ト は 安 定 し た 走 行 性 を 実 現 す る も, そ の 移 動 方 式 か ら, 起 伏 の 激 し す ぎ る 悪 路 に は 対 応 で き な か っ た. そ こ で 次 に 作 成 し た 二 つ の ロ ボ ッ ト の 利 点 を 併 せ 持 つ 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト を 製 作 し た. 結 果, こ の 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト は 前 後 上 下 方 向 の 方 向 性 の 概 念 を 無 く し, 悪 路 に 円 滑 に 対 応 す る こ と が で き た. こ の ロ ボ ッ ト の 更 な る 改 良 を 目 指 し 全 方 向 へ 作 業 す る た め の 機 構 を 負 荷 す る と 供 に, 環 境 に 対 応 し た 移 動 機 構 の 開 発 を 行 い 移 動 能 力 の 向 上 を 目 指 し た. ま た 立 方 体 ロ ボ ッ ト の 同 系 機 と し て 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト を 開 発 し, 静 的 無 方 向 性 の 可 能 性 を 突 き 詰 め る と 供 に, 悪 路 で 使 用 可 能 な 全 方 向 移 動 機 構 に つ い て 検 証 を お こ な っ た. 開 発 実 験 を 当 し て 本 研 究 の 根 底 に あ る 無 方 向 性 と い う 概 念 の も と 極 限 環 境 作 業 ロ ボ ッ ト の 開 発 に 取 り 組 む こ と は, ア ク チ ュ エ ー タ の 効 率 的 な 使 用, 即 時 行 動 力, 走 破 性 の 追 及 を 行 う こ と が 出 来, 有 効 な 思 想 で あ る と 確 認 す る こ と が 出 来 た. た だ し 作 業 性 と 無 方 向 性 の 両 立 に ま だ 多 く の 課 題 を 残 し 更 な る 提 案 が 望 ま れ る. 概 略 を Fig 5.1 に 示 す.

57 第 五 章 終 章 51 同 系 統 機 正 四 面 体 ロ ボ ッ ト 能 立 方 体 ロ ボ ッ ト と 同 じ く, 無 方 向 性, 安 定 し 付 た 形 状 を 実 現. 全 て の 車 輪 を 動 輪 に し, 走 破 加 性 の 向 上 を 目 指 す. 悪 路 で の 全 方 向 移 動 を め ざ し 改 良 を 進 め る. 全 方 向 作 用 機 能 の 付 加, 状 況 に 応 じ た 移 動 方 式 を 2 種 の 方 式 か ら 選 択 可 能. 作 業 応 用 壁 面 移 動 ロ ボ ッ ト 動 的 無 方 向 性 ロ ボ ッ ト と 同 様 の 機 構 を も ち, 落 下 時 に 単 独 復 帰 能 力 を 持 つ 壁 面 移 動 ロ ボ ッ ト ( 2006 年 度 卒 業 研 究 ) 作 業 性 の 模 索 作 業 能 力 と 無 方 向 性 の 両 立. カ メ ラ な ど に よ る 保 守 点 検 用, 監 視 管 理. 単 純 な 修 理 作 業 等 適 応 可 能 作 業 の 模 索 Fig 5.1 研 究 概 略 図

58 第 五 章 終 章 参 考 文 献 (1) 山 本, 柿 倉, 極 限 作 業 ロ ボ ッ ト - そ の メ カ ニ ズ ム と 設 計 技 術 -, 工 業 調 査 会, 1992 (2) 田 中, 王, 河 田, 非 方 向 指 向 性 ロ ボ ッ ト, 第 20 回 日 本 ロ ボ ッ ト 学 会 論 文 集 CD-ROM, 3J24, 2002 (3) 田 中, 王, 河 田, 非 方 向 指 向 性 ロ ボ ッ ト, 第 7 回 知 能 メ カ ト ロ ニ ク ス ワ ー ク シ ョ ッ プ 論 文 集, pp , 2002

59 謝 辞 本 稿 は 筆 者 が 高 知 工 科 大 学, 学 部, 修 士 課 程 を 通 して 無 方 向 性 ロボット について 研 究 を 行 ったものである. 本 研 究 を 行 うに 当 たりお 世 話 になった 人 々に 感 謝 します. 多 くの 実 践 の 機 会 を 下 さりものづくりの 姿 勢 を 養 っていただいた 浜 口 様. 当 所, 電 子 回 路 の 知 識 を 持 たない 私 に 基 礎 を 叩 き 込 んでいただいた 野 村 様. 部 活 時 代 から 修 士 まで 大 学 生 活 で 最 も 長 く, 精 神, 技 術 的 に 多 大 な 恩 恵 を 頂 いた 溝 渕 様. 師 であり, 無 方 向 性 という 概 念 を 教 授 し, 情 熱 的 に 指 導 してくださった 田 中 様. 発 表 前 の 心 構 え, 問 題 の 解 決 方 など 身 をもって 示 していただいた 矢 萩 様. パソコン, 事 務 等 の 知 識, 組 織 の 取 り 回 しに 長 け, 色 々ご 指 導 いただいた 福 谷 様. 如 何 なる 時 も 物 事 を 楽 しむことを 教 えていただいた 飯 田 様. 資 材 の 買 出 しに 何 度 も 付 き 合 っていただいた 近 澤 様. 動 画 撮 影 の 際 に 操 作 が 苦 手 な 私 に 代 わり 見 事 な 操 作 技 能 を 披 露 してくれた 玉 川 様. 勝 って 兜 の 緒 をしめる を 研 究 で 常 に 実 践 し 常 に 私 を 啓 発 してくださった 影 山 様. 短 期 ではありましたが, 活 動, 製 作 に 対 して 鋭 い 指 摘 をしていただいた 丸 子 様. 卒 論 前 にロボット 修 復 のきっかけを 与 えてくれた 井 上 様. 何 時 も 私 を 精 神 的 に 支 えていただいた, 研 究 室 のバリューこと 尾 立 様. 研 究 室 の 良 心 であり 何 事 にも 真 面 目 に 取 り 組 む 姿 勢 を 示 してくれた 福 徳 様. 常 に 冷 静 な 視 点 で 状 況 を 把 握 し 研 究, 団 体 行 事 の 計 画 等 で 助 言 を 下 さった 井 上 様 気 軽 に 相 談 にのってもらい, 行 事 の 際 にも 供 に 尽 力 していただいた 高 下 様. 同 じ 研 究 に 取 り 組 むことを 選 んでくれ, 懸 命 に 製 作 に 取 り 組 んだ 西 澤 様. プログラムに 関 して 深 い 造 詣 をもち, 常 に 一 つ 上 の 思 考 法 を 提 示 してくれた 鍋 島 様. プレゼンに 抜 群 のセンスを 持 ち 分 かりやすい 発 表 のあり 方 を 提 示 してくれた 濱 田 様. 技 能 の 習 得 に 意 欲 的 に 取 り 組 むと 共 に 製 作 で 多 大 な 補 助 をしてくれた 渡 辺 様. 行 事 に 積 極 的 に 参 加 してくれ,また, 研 究 中 に 差 し 入 れをしていただいた 二 村 様. セミナー 等 で 旺 盛 に 意 見 し, 問 題 定 義 をしてくれた 西 本 様. 壁 面 ロボットの 開 発 を 引 き 継 ぎ, 賢 明 に 取 り 組 んでくれた 大 森 様. 正 四 面 体 ロボットのホイルの 走 破 性 にこだわり, 研 究 に 尽 力 してくれた 山 下 様. オペアンプ, 電 子 回 路 等 の 学 習 のきっかけを 設 けてくれた 下 田 様. 何 時 も 周 囲 を 盛 り 上 げて 行 事 に 積 極 的 に 取 り 組 んでくれた 森 田 様. 大 人 しくみえて, 実 はユーモアに 溢 れ 要 所 で 周 囲 を 盛 り 上 げた 山 本 様 地 道 に 確 実 にデータをとり 成 果 を 出 す 真 摯 な 研 究 者 のありかたを 示 してくれた 笹 峰 様. 色 々お 世 話 になった 研 究 室 の 母 岡 添 さん 部 活 時 代 から, 指 導 をいただき,ものづくりのこだわりを 教 えていただいた 阿 部 様 相 談 余 暇 趣 味 等 で 精 神, 体 力 的 にお 世 話 になった 古 川 様 原 付 を 貸 していただき, 大 破 させたにもかかわらず 許 してくれた 門 屋 様 そして, 絶 えず 研 究 活 動 を 厳 しくも 暖 かく, 指 導 していただいた 王 教 授 本 当 に 有 り 難 う ご ざ い ま し た.