目次 第 1 章 CCS に関する国際動向調査 各国等における CCS 関連動向 EU ノルウェー 英国 オランダ 米国 カナダ

Size: px
Start display at page:

Download "目次 第 1 章 CCS に関する国際動向調査 各国等における CCS 関連動向 EU ノルウェー 英国 オランダ 米国 カナダ"

Transcription

1 平成 24 年度地球環境国際連携事業 (CCS 国際連携事業 (CCS 市場開拓のための調査 )) 報告書 平成 25 年 3 月 株式会社 NTT データ経営研究所

2 目次 第 1 章 CCS に関する国際動向調査 各国等における CCS 関連動向 EU ノルウェー 英国 オランダ 米国 カナダ オーストラリア 国別 CCS プロジェクト ノルウェー 英国 オランダ 米国 カナダ オーストラリア 第 2 章 2020 年頃の CCS 市場に関する調査 年頃の CCS 市場 温室効果ガス削減に寄与する各要素技術 CCS のマーケットの整理 CCS のマーケットタイプ CCS のマーケットの主たる参入企業 ビジネススキームの概観 CCS のコスト構成 分離 回収プロセスのマーケット動向

3 年頃の CCS 市場へのアプローチ方法 CCS プロジェクトの現状と見込み シェールガス開発の影響 排出権購入価格 マーケットへの参入アプローチ

4 第 1 章 CCS に関する国際動向調査

5 1-1. 各国等における CCS 関連動向 EU CCS 関連制度 EU は 安全な CO2 地中貯留のための法的枠組みとして CO2 地中貯留に関する指令 (CCS 指令 ) を発行している これは 2008 年に EU 議会が決定した気候変動 エネルギー政策パッケージにおいて示されたものである CO2 地中貯留に関する指令 ( CCS 指令 :Directive 2009/31/EC of the European Parliament and of the Council of 23 April 2009 on the geological storage of carbon dioxide) は気候変動対策のための CO2 地中貯留を環境面で安全に実施するための法的枠組みを示すものである 2009 年 6 月に施行され EU 各国における国内法化の期限は 2011 年 6 月 25 日となっている この指令は EU 内における全ての CO2 地中貯留に対して適用されるものであり 貯留サイトにおける全ての活動期間中における要求事項を規定するものである CCS の回収及び輸送に関する規制については 既存の法的枠組みを用いている 主な内容は 以下のとおりとなっている リーケージの重大なリスク健康及び環境への重大な影響がないことの明確化 CCS 指令はプロジェクトの完全性を確かなものとするために極めて重要な段階であるサイト選定について 幅広い要求事項を規定している 事前の分析により 使用状況下でリーケージに関する重大なリスクがなく 人々の健康又は環境面への影響がないことが明らかなことが示された場合にのみ そのサイトを選定することが可能となる また 貯留許可なしに CO2 の地中貯留を行うことはできない 輸送ネットワーク又は貯留サイトへのあらゆる悪影響の防止輸送ネットワーク又は貯留サイトの安全性へのあらゆる悪影響を防止するため CO2 流の構成は大部分が CO2 でなければならない サイトのオペレーションは厳密にモニタリングし リーケージが生じた場合には是正処置を行わなければならない また 本指令では閉鎖及び閉鎖後の義務に関する条項 及びオペレーターから加盟各国への法的責任の移管に関する基準についても規定している さらに 圧入開始前に財政的保証能力の確認を行うこと等も規定している 既存の法的枠組みの利用及び改正等 あらゆるリーケージに対する法的責任の観点から 排出権取引システムではリーケージに 5

6 よるあらゆる排出量について アローワンスを返却することを規定している 環境に対する局所的な損傷に対する法的責任については 既存の環境に関する法的責任に関する指令を引用している また 健康及び財産への損傷に対する法的責任については 各国レベルで規制することとなっている さらに 大規模燃焼プラントに関する指令 (2001/80/EC) の改正が行われ 大規模プラントに対してキャプチャーレディネスのアセスメントを行うことが規定された ETS 指令の AnnexⅠにおいて CCS を含むことが明文化され CCS 指令により回収 輸送 貯留された温室効果ガスは排出されていないとみなされることとなった CCS 指令の国内法化支援 EU 加盟各国における CCS 指令の国内法化を支援するため 2011 年 3 月 11 日に欧州委員会は以下の 4 つのガイダンス文書を発行している ガイダンス文書 1:CO2 貯留のライフサイクルリスクマネジメントの枠組みガイダンス文書 2: 貯留コンプレックスの特性評価 CO2 流の構成 モニタリング及び是正処置ガイダンス文書 3: 規制当局への法的責任の移管に関する基準ガイダンス文書 4: 財政的保証能力及び資金メカニズム CCS 関連政策等の動向 (1) 概要京都議定書において 2004 年以前から EU の加盟国であった 15 カ国は 第一約束期間 (2008~2012 年 ) 中に それぞれの国における温室効果ガス排出量の合計を 1990 年比 8% 削減することを制約している 温室効果ガス排出量モニタリング及び予測では これらの 15 カ国は目標の達成に向けて順調に進んでいる 2004 年以降に EU に加盟した国の大半も 京都議定書の削減目標として 6% 又は 8% の達成に参加しており 達成に向けて順調に進んでいる 2020 年に向けて EU は温室効果ガス排出量を 1990 年比 20% 削減とする目標を公表している この誓約は 欧州 2020 年経済成長戦略における重要な目標の 1 つであり 政策パッケージに伴う法令によって実施されている また EU はもし他の先進国及び途上国で温室効果ガス排出量の多い主要な国々が温室効果ガス排出削減において 公平な負担を担うことを誓約する場合には 2020 年までに 30% まで削減する提案をしている 2050 年に向け EU の主要各国は 途上国における温室効果ガス排出量を同程度削減することにより 欧州の温室効果ガス排出量を 1990 年比 80~95% まで削減する目標を支持しており EU はそのために必要な内容について 2011 年 3 月 8 日にロードマップ A Roadmap 6

7 for moving to a competitive low carbon economy in 2050 を発表している (2)EU の温室効果ガス排出削減の取組み EU は 温室効果ガスの排出量を削減するため 主に以下の取組みを行っている - 欧州気候変動プログラム (The European Climate Change Programme (ECCP)): 多数の新たな政策及び手段を実施するためのプログラム -EU 排出量取引システム - 再生可能エネルギー ( 風力 太陽光及びバイオマス等 ) のシェアを 2020 年までに 20% まで上昇させるための法令の施行 - 建築物及び多様な設備 家電のエネルギー効率の改善によって 欧州のエネルギー効率を 2020 年までに 20% まで改善するための目標の設定 - 新車及びトラックから排出される CO2 を削減するための拘束力を持つ目標の設定 - 発電所及びその他の主要な工業施設から排出される CO2 を回収し貯留するための CCS 技術の開発支援 (3) 欧州気候変動プログラム European Climate Change Programme (ECCP) 欧州委員会は 2000 年 6 月に欧州における温室効果ガス排出削減のための政策手段を立案するための総合的な基盤として 欧州気候変動プログラム European Climate Change Programme (ECCP) を組織した ECCP は 京都議定書における削減約束を実施するための EU の戦略において必要な要素を特定し 発展させることを目的としており 欧州委員会 加盟各国の代表 産業界及び環境団体等がメンバーとなっている 2000~2004 年に実施された第 1 フェーズでは 最も環境面で有効でかつ最もコスト効果の高い政策及び手段を特定するため 11 のワーキンググループが設立され 関連団体や利害関係者等が検討を行った 2005 年 10 月から始まった第 2 フェーズでは EU の経済成長と雇用のためのリスボン戦略とのシナジーを図り 温室効果ガス排出削減においてさらにコスト効率の良い選択肢について検討を行った そこで 新たなワーキンググループとして CCS 軽自動車からの CO2 排出等のグループが創設された CCS に関するワーキンググループでは CCS を気候変動の緩和オプションとするために 以下の内容について検討した -CCS のポテンシャル 経済性及びリスクのレビュー - 環境面で健全な CCS を行うための法的枠組みを構築するために必要な構成要素の検討 - 環境面で健全な CCS を実現させるために必要な政策及び障壁の特定等利害関係者のコンサルテーションは 2006 年前半に 4 回開催され 同年 6 月にレポートがまとめられた また 政策及び規制枠組みについて リスク及び環境影響評価 CCS 活動の許可 短期及び長期的な信頼性 EU ETS を含む CCS のインセンティブ等について検討 7

8 が行われた (4) 気候変動 エネルギー政策パッケージ気候変動 エネルギー政策パッケージは EU が 2020 年における野心的な気候及びエネルギー目標を達成するための拘束力を持つ規制であり 2008 年 1 月 23 日に欧州委員会が提案し 同年 12 月 17 日に欧州議会に承認され 2009 年 4 月 6 日に EU 閣僚理事会で採択された この目標とは 2020 年までの 3 つの主要な目標であり " " 目標と呼ばれている その内容は 以下のとおりとなっている EU の温室効果ガス排出量を 1990 年比で 20% 削減する EU のエネルギー生産の 20% を再生可能エネルギーにする EU のエネルギー効率を 20% 改善する 気候変動 エネルギー政策パッケージは 目標を達成するための以下 4 つの相補的な法律によって構成されている EU 排出量取引システム (EU ETS) の改正 EU ETS は工業的な温室効果ガス排出を最もコスト効率よく削減するための主要な手段である 気候 政策パッケージでは EU ETS のベースとなる排出量取引指令を総合的に改正し強化する内容となっている この改正は 2013 年から始まる EU ETS 第 3 フェーズから適用される 主な変更点は 既存の国別のキャップシステムから 欧州全体での排出枠に上限を設定する形へと変えるものである この上限を毎年引き下げることにより 2020 年には 2005 年レベルを 21% 下回ることとなる計画である 排出枠の割り当てはこれまで原則無償であったが 発電部門から オークション式に切り替える このシステムの対象となる部門及びガスは次第に拡大する EU ETS 対象外の部門からの温室効果ガス排出に対する国別目標加盟各国は民生 農業 廃棄物及び輸送 ( 航空業界除く ) 等の EU ETS の対象外の分野からの温室効果ガス排出量に対して拘束力を持つ年間削減目標を設定する EU における温室効果ガス排出量のおよそ 60% が EU ETS の対象外となっている 2013~2020 年における国家目標は各国の財力によって異なり 最も財力のある国々は 2005 年比 20% の削減となる一方 最も財力が弱い国々は 20% 増となる 加盟各国は EU モニタリングメカニズムに基づいて 毎年の温室効果ガス排出量を報告しなければならない 国別再生可能エネルギー目標再生可能エネルギー指令に基づき 加盟各国は 2020 年までに 自国のエネルギー消費における再生可能エネルギーのシェア向上に関する拘束力のある国別目標を導入する これらの目標は各国におけるスタート地点の違いや再生可能エネルギーのポテンシャル等を考 8

9 慮し マルタの 10%~ スウェーデンの 49% までの幅がある 国別目標の達成により EU の 2020 年までに再生可能エネルギー目標である 20% 導入を達成することが可能となる 炭素回収 貯留気候変動 政策パッケージの 4 つ目の構成要素は炭素回収 貯留 (CCS) 技術を環境面で安全に活用するための法的枠組みを構築するものである この指令は EU における全ての CO2 地下貯留をカバーするとともに貯留サイトにおける全ての CCS 実施期間中に適用される要求事項を規定するものである CCS 関連研究開発 助成等制度 EU は将来的な持続可能なエネルギーシステムにおいて CCS は重要な構成要素であると考えており およそ 20 年間に及ぶ研究 開発実績から 当該分野のグローバルリーダーとなっている CCS に関する最初の研究イニシアティブは 科学領域の研究開発活動を支援するための EU における主要な資金支援制度である枠組みプログラムにおける 1990~1994 年に実施された第 3 次枠組みプログラム (Third Framework Programme (FP3)) である その後の枠組みプログラムにおいて CCS に関連するプロジェクトは年々増えており 現在第 7 次枠組みプログラム (2007~2013 年 ) が行われている 2007 年 3 月に欧州委員会において 2015 年までに 12 の CCS 実証プロジェクトの建設 オペレーションを促進させる提言がなされた これらの実証プロジェクトの成功が 商業規模の CCS を広範に展開していくためには極めて重要であるとされている これに対応して EU は欧州 CCS 実証プロジェクトネットワーク (European CCS Demonstration Project Network) 及び欧州 CCS 産業イニシアティブ (European Industrial Initiative on CCS) を設立し CO2 貯留における法的枠組みの構築及び最大 12 の実証プロジェクトに対する EU からの資金支援を行うこととしている EU における CCS に関連する主な研究開発 助成制度等は以下のとおりとなっている 枠組みプログラム (Framework Programme) 枠組みプログラムは EU における科学分野の研究開発を支援する制度であり 1984 年に開始された 1 期は通常 5 年間となっており 現在第 7 次枠組みプログラム (FP7)( 2007 ~2013 年 ) が実施されている ( 第 7 次枠組みプログラムは 7 年間のプログラムとなっている ) 制度開始時点から 予算は年々増加しており FP7 の予算総額は 532 億ユーロとなっている 以下に主な CCS 関連プロジェクト等を示す 9

10 第 5 次 / 第 6 次枠組みプログラム ( 第 5 次 :1998~2002 年 第 6 次 :2002~2006 年 ) -CCS 関連プロジェクトの予算総額は FP5 が 3,200 万ユーロ ( うち EU からの拠出は 1600 万ユーロ ) FP6 が 1.4 億ユーロ ( うち EU からの拠出は 7,000 万ユーロ ) となっている -DYNAMIS プログラムの第 1 フェーズとして Hypogen を実施 - 加盟各国による共同事業として ERA-NET (FENCO) を実施 年 4 月 第 1 回欧州 CO2 回収貯留ハイレベル会合を開催 年 12 月にゼロエミッション化石燃料発電プラントに関する欧州技術プラットフォーム (European Technology Platform on Zero Emission Fossil Fuel Power Plants (ZEFFPP)) を設立 電力企業 エネルギー企業 設備関連企業 研究機関 規制当局 EGO 等 25 の会員が参加しており 回収 貯留 インフラ マーケット及び規制 コミュニケーション及び住民受容の 5 つのワーキンググループが活動している 第 7 次枠組みプログラムにおいて 一次提案を受け付けている -EU- 中国パートナーシップを支援するため COACH プロジェクトを実施 第 7 次枠組みプログラム (2007~2013 年 ) CCS/CCT に関連するプロジェクトに対して およそ 5400 万ユーロの予算が計上されている ゼロエミッション発電のための CO2 回収 貯留技術に関するプロジェクト及びクリーンコール技術開発の支援を展開しており 主な対象分野は以下の通りとなっている 先進的回収技術 輸送インフラ 深部塩性帯水層の検証 貯留の安全性 住民受容 IGCC 発電プラントにおけるガスタービン 酸素燃焼 流動床燃焼 CCS 実証プラントにおける実現可能性 / エンジニアリング研究 微粉炭発電プラントの効率改善 CCS に係る法規制の支援 CO2 及び他の温室効果ガスのバリューチェーンの開発 復興に向けた欧州エネルギープログラム (EU Energy Programme for Recovery (EEPR)) 2009 年 7 月 欧州委員会は欧州経済復興計画 (European Economic Recovery Plan) の一環として 欧州の経済復興を加速させるとともに エネルギー供給の信頼性をより強化し 温室効果ガス排出量削減に貢献するようなプロジェクトを支援するため 復興に向け 10

11 た欧州エネルギープログラム (EU Energy Programme for Recovery (EEPR)) を採択した このプログラムの予算は 39.8 億ユーロであり 共同出資型のプロジェクトとして 59 のプロジェクトが採択されている プロジェクトの対象分野は天然ガス及び電力インフラ事業 洋上風力発電事業 CCS 事業の 3 分野であり で天然ガス及びインフラ事業 :44 プロジェクト 洋上風力発電事業 :9 プロジェクト CCS 事業 :6 プロジェクトが採択されている CCS 事業の予算は合計 10.5 億ユーロとなっている 採択された CCS プロジェクトは次の通りである 1 Belchatow( ポーランド ): 新設される出力 858MW の褐炭超臨界発電プラントから排出される CO2 の約 33% を燃焼後回収する 回収した CO2 は圧縮した後パイプライン輸送され 地下の塩性帯水層に貯留される 年間 180 万トンの CO2 を貯留予定 事業予算総額はおよそ 3.67 億ユーロであり EEPR からの資金は 1.8 憶ユーロ プロジェクトパートナー (PGE Górnictwo i Energetyka Konwencjonalna) からの資金は 1.87 億ユーロとなっている 2 Compostilla( スペイン ): 初期段階では 30MW の石炭火力パイロットプラントにおいて試験を行い その後グロス出力 323 MWe にスケールアップし 関連技術の実証を行う 排出される CO2 の 91% を回収し 近郊の塩性帯水層に貯留する オペレーション開始後 5 年間で 500 万トンの CO2 を貯留予定 事業予算総額はおよそ 2.25 億ユーロであり EEPR からの資金は 1.8 憶ユーロ プロジェクトパートナー (Endesa Generacion 等 ) からの資金は 4500 万ユーロとなっている 3 Don Valley( イギリス ): 出力 900MW( ネット 650MW) の IGCC プラントを新設し CO2 を燃焼前回収する CO2 は圧縮した後パイプラインで北海のイギリス側まで輸送され EOR に用いられるか 深部塩性帯水層に永久貯留される 年間最大 500 万トンの CO2 を貯留予定となっている 事業予算総額はおよそ 2.45 億ユーロであり EEPR からの資金は 1.8 憶ユーロ プロジェクトパートナー (2Co Energy 等 ) からの資金は 6500 万ユーロとなっている 4 Jaenschwalde( ドイツ ):300MW の酸素燃焼実証プラントから CO2 を燃焼後回収し 回収技術の試験を行う 回収した CO2 は塩性帯水層又は枯渇天然ガス田に永久貯留される 年間 120 万トンの CO2 を回収予定となっている 2012 年 9 月時点で CCS 指令の国内法化が遅れているため プロジェクトも遅延している 現在回収プラント 輸送ルートにおける FEED が行われている 事業予算総額はおよそ 3.05 億ユーロであり EEPR からの資金は 1.8 憶ユーロ プロジェクトパートナー (Vattenfall) からの資金は 1.25 億ユーロとなっている 5 Porto Tolle( イタリア ):250MW のプラントから CO2 を燃焼後回収する 石炭とバイオマス ( 熱量の最大 5% まで混入 ) を混焼した燃焼排ガスの処理技術の実証事業 CO2 回収率は 90% 超となる見込みである 回収された CO2 は沖合の海底下塩性帯水層まで 11

12 輸送され 圧入される 年間 100 万トンの CO2 を回収 貯留予定 事業予算総額はおよそ 1.43 億ユーロであり EEPR からの資金は 1 憶ユーロ プロジェクトパートナー (ENEL) からの資金は 4300 万ユーロとなっている 6 ROAD( オランダ ):1070MW の石炭火力発電施設から 250MW の燃焼後回収技術により CO2 を回収し 圧縮した後輸送し 塩性帯水層又は枯渇油田 枯渇ガス田に永久貯留する 排出される CO2 の 90% を回収する 年間 110 万トンの CO2 を回収 貯留予定 事業予算総額はおよそ 3.89 億ユーロであり EEPR からの資金は 1 憶ユーロ プロジェクトパートナー (Maasvlakte CCS Project C.V.) 及び他の補助金から 2.09 億ユーロが拠出される予定となっている 全てのプロジェクトにおいて EEPR からの支援は 2015~2018 年の間に終了する予定 となっている なお EEPR 規則により プロジェクトから得られた知見は全て CCS project network ( において共有されることとなっている NER300 EU の排出権取引指令において 新規参入施設枠 (NER: new entrance reserve) から 3 億の排出枠 (EUAs) を取り置き 革新的な再生可能エネルギー技術及び CCS の導入に対する助成金とすることが規定されている 排出枠は炭素市場において売却され その売却収入の一部が NER300 の財源となる 欧州委員会 欧州投資銀行 (EIB) 及び加盟国がその資金を共同管理している NER300 では プロジェクト費用の最大 50% までを拠出することとなっている NER300 は 2 回の提案募集を行う予定であり 第 1 期では 3 億の排出枠のうち 2 億相当を 第 2 期では 1 億相当を充当する予定となっている 資金総額は排出枠の売却価格により変動し 第 1 期の排出枠は 2012 年 10 月に売却された結果 12 億ユーロが拠出されることとなった 第 1 期の提案募集では 3 件の CCS 実証プロジェクト及び最大 16 件の革新的再生可能エネルギー実証プロジェクトに対して共同出資を行う計画であり 2010 年 11 月に提案募集が開始された 2012 年 12 月 18 日の発表では 今回補助の対象となる CCS プロジェクトはなく 革新的な再生可能エネルギー技術実証プロジェクトが選定された このため 今回の CCS プロジェクトへの割り当てである 2.75 億ユーロは 第 2 期の提案募集へと持ち越されることとなっている 第 2 期の提案募集は 2013 年に開始予定となっている 12

13 ノルウェー CCS 関連政策 制度 ノルウェーでは 現時点で CCS に特化した法規制は導入されておらず 関連する他の規制によって規制されている なお Sliepner Snøhvit プロジェクトは Norwegian Act Pertaining to Petroleum Activities 及び the Pollution Control Act によって規制されている CCS に関連する法規制として以下がある The Pollution Control Act The Pollution Control Act によって 許認可の申請及び取り消し 主務省庁の責任権限 監視 情報提供義務 サイトの閉鎖 オペレーションの停止及び法的責任に関する内容がカバーされている 工業施設から排出される CO2 は汚染物質とみなされ CO2 を大量に排出する企業は排出許可を得る必要がある 汚染管理当局は Mongstad において新設される天然ガス火力発電プラントに対して CO2 排出を回避する条件を課しており 2014 年までに CCS を行うよう要請している 現時点では化石燃料企業における CO2 排出許可において CO2 の回収及び貯留は義務付けられていない Sleipner プロジェクトは the Norwegian Pollution Control Act によって許認可を受けているが これはリーケージのリスクや CO2 貯留は 汚染 とみなされ それに基づいて許可が必要であるとされたためである Sleipner のケースでは 許可の申請に先立ち 沖合の塩性帯水層における CO2 貯留に関する環境影響評価を行う必要があった 今後ノルウェーでは CO2 貯留に特化した規制が必要であり そこで規制当局による条件を付した許認可システムやリーケージの調査 監視に関する責任等を規定する必要がある パイプラインの建設及びオペレーション 永久貯留のための沖合の貯留層の探査 環境影響評価 モニタリング パイプラインおよび貯留サイトへの第三者アクセスに係る内容は 現在検討されている CCS に関する新たな規制である The Norwegian Continental Shelf Act によって規制される予定である The Petroleum Act ノルウェー国家は全ての地下資源を所有しており ノルウェーの領海における油層もノルウェー国家の所有となっている 大陸棚における CCS は EOR 目的及び永久貯留目的のいずれの場合でも石油事業の一部であるとみなされており Petroleum Act の許認可制度に 13

14 より規制される このため CCS が沖合における天然ガス精製事業又は EOR 事業におい て導入された場合には Petroleum Act が適用される しかし 陸域における CCS 活動に は適用されない The Norwegian Greenhouse Gas Emission Trading Act ノルウェーは EU の排出権取引システム (ETS) に参加しており EU-ETS 制度に基づく規制である Norwegian Greenhouse Gas Emission Trading Act は発電施設 CO2 回収 輸送及び貯留も対象としている CCS を伴う発電施設において回収 貯留された CO2 は 排出量 にはカウントされないこととなっているが 残りの排出量に相当する割当分を提示する必要がある また 回収 輸送及び貯留の際に生じるリーケージは排出量とみなされる The Norwegian Continental Shelf Act 海底下の貯留層への CO2 輸送及び貯留に関する規制である Norwegian Continental Shelf Act の草案が検討されているが 2012 年 7 月時点で未だパブリックコンサルテーションは行われていない ノルウェー政府は今後半年 ~1 年の間に 資源管理 健康及び安全性 及び労働環境に関する草案と CO2 貯留の環境面での安全性に関する草案の 2 つの草案についてパブリックコンサルテーションを行うことを計画している 2005 年に英国とノルウェーは North Sea Basin Task Force (NSBTF) を設立しており ここでは北海の海底下における CO2 の輸送 圧入及び永久貯留を管理 規制するための共通原則について検討を行っている 現在このタスクフォースには 英国 ノルウェー オランダ ドイツの政府及び産業界が参加している ノルウェーは EU 加盟国ではないが 欧州経済領域協定 (EEA Agreement) に参加しており EU の CCS 指令を国内法に導入することを表明した これにより 2011 年に CCS 指令は国内法化されている CCS 関連政策等の動向 ノルウェーの気候政策は世界の平均気温の上昇を産業革命以前のレベルから 2 以内に抑えるという目標をベースとしている 京都議定書の第一約束期間中 (2008~2012 年 ) は 以下の目標を示している 京都議定書における温室効果ガス排出削減目標 (1990 年比 +1%) に 10% 上乗せし 1990 年比 -9% とする ノルウェーの排出削減の大部分は国内の活動によって達成する 14

15 さらに 政府は以下の長期目標を設定している 温室効果ガス排出量を 2020 年までに 1990 年比 30% 削減する 2050 年までにカーボンニュートラルを達成する もし国際的に意欲的な気候に関する合意が行われた場合には 2030 年までに達成することとする 政府は現実的な目標として 森林吸収を含めて 1500~1700 万トン CO2 の排出削減を行うことになると考えており これは 2020 年までにノルウェーにおける温室効果ガス排出量をおよそ 2/3 まで削減することを意味する ノルウェーの温室効果ガス排出量のうち およそ 70% が排出権取引及び炭素税によってカバーされている (2009 年 ) また 排出量取引システムの中に 硝酸の製造に伴う N2O 排出も含んでいる ある種の温室効果ガス排出源については 排出量取引スキーム又は炭素税によって捕捉することができないが それらにちいては 政府は他の政策及び手段を用いることとなる そのような政策及び手段の一例として 政府は新たな再生可能エネルギー開発及びエネルギー効率改善プロジェクトへの支援を行っており 次のセクターについては アクションプランを策定している : 石油及びエネルギー 輸送 製造業 第一次産業 廃棄物管理 民間部門 また 地球温暖化の緩和手段として ノルウェー政府は CCS の開発及び展開に注力している 既に北海のスライプナー油田及びバレンツ海の Snøhvit ガス田における CO2 貯留事業から貴重な経験を得ているが 政府はさらに 産業界と協力して Mongstad における CCS 事業を展開しており これらの事業に対して資金支援を行っている ノルウェーでは持続可能性が全ての開発における基本原則となっている 2008 年予算において発表された政府の持続可能な開発に関する戦略では 持続可能な開発は 均等配分 国際的な連携 予防原則及び汚染者負担の原則及び共通のコミットメント原則に基づくものでなければならないことを明らかにした これらの主要な原則は 自然多様性法 (Nature Diversity Act) 汚染防止法(Pollution Control Act) にも示されている 汚染者負担原則は気候変動に対する政策枠組みにおける要となっている この政策によって大幅な排出削減の取組みを実現することにより ノルウェー及び外国において温室効果ガスの排出量を減少させることができる これらの目標を実現するため 石油セクターに対しては 次のような政策が示されている 石油セクターは税金とアローワンスの両面から経済政策手段を強化させることが可能である 現在 ノルウェーが産出する天然ガスの 40% 近くが陸域から調達されるものであるが 政府は沖合からの供給量を増加したいと考えている このため 以下の政策を実施する - 石油精製に伴って排出される温室効果ガスに対する炭素税の値上げ (200NOK/ トン : 約 27 ユーロ / トン ) 15

16 - 国内産業における技術開発の活性化 - 新たな技術ファンドの創設 :2016 年までに最大 33 億ユーロを拠出 2012 年 10 月には 政府は気候に関する合意事項をフォローアップするための 2012 年予算について 以下の内容を発表している ノルウェー大陸棚沖合におけるオペレーションに対する炭素税を 2013 年 1 月 1 日より増加することにより 100 億 NOK( 約 13.5 億ユーロ ) が追加的に新たな気候 エネルギーファンドとして預託され ノルウェー気候森林イニシアティブの割り当ては 30 億 NOK に増加される 政府はノルウェー大陸棚における石油セクターへの炭素税を 200NOK/tCO2( 約 27 ユーロ / 約 36USD) まで引き上げる これは CO2 に対する排出課徴金およそ 410NOK/tCO2 とほぼ同等である あわせて 水産業に対しても 50NOK/tCO2 の炭素税の導入を検討している 気候 エネルギーファンド気候緩和 再生可能エネルギー及びエネルギー転換に対する新たなファンドを創設する これは再生可能エネルギー及びエネルギー効率ファンドを基にしたファンドである 政府は 2013 年にこのファンドに対して 100 億 NOK を投入することを予定している 技術に焦点を当てる目的は 新たな技術を開発 実現することにより 温室効果ガス排出量を削減し 継続的に省エネを行うためである 気候研究政府は気候に関連した研究を促進するために 2013 年に 4700 万 NOK を投入する予定である これらの資金は教育研究省 (1300 万 NOK) 環境省(1000 万 NOK) 漁業沿岸問題省 (350 万 NOK) 農業食糧省(350 万 NOK) へと配分される さらに 教育研究省では現在の気候関連研究予算を 1700 万 NOK に修正した 国際的な気候に関する取組み政府は外務省の 2013 年予算をおよそ 30 億 NOK とすることにより 途上国における森林破壊防止に対して出資を行う ノルウェーは当該分野での取組みにより ブラジルにおける大幅な排出量削減を達成しているほか インドネシア エチオピア タンザニア等において森林管理の改善を行っている ノルウェーはまた 途上国において化石燃料利用の代替として 水力 太陽光発電 風力発電等の再生可能エネルギー資源の開発に重点を置いている ノルウェーのクリーンエネルギー開発イニシアティブ及び国際的なエネルギー及び気候変動イニシアティブである Energy+ は 気候変動及びエネルギー分野におけるノルウェーの政策の主要な構成要素とな 16

17 っている さらに 政府はカーボンオフセットのための排出権の購入予算として 6.3 億 NOK を割り 当てている ( 前年比 1.5 億 NOK 増 ) CCS 関連研究開発 助成等制度 ノルウェーでは ノルウェー研究評議会及び Gassnova を通じて CCS に関連する研究開 発及び助成等を実施している ノルウェーの CCS 関連研究開発の概要は下図のとおりとな っている 図 1 ノルウェーにお C ける CS 関連研究開発の体系 ( 主な資金拠出省庁 : 石油エネルギー省 / 教育研究省 ) ノルウェー研究評議会 (The Research Council of Norway) ノルウェー研究評議会はノルウェーの研究活動における国家的な戦略及び資金提供機関であり ノルウェー政府 中央行政 研究団体に対して研究政策の提言や提供を行っている 2011 年の予算総額は 72.5 億 NOK となっている Gassnova Gassnova は 2007 年に設立された国営企業であり CO2 マネジメント (CO2 回収 輸送 圧入及び貯留 ) 分野における政府所轄のものを管理するとともに 技術開発を支援することを主務としている Gassnova は実証規模及びフルスケールでの技術革新 技術開発及び実証事業を通じて ノルウェーにおける環境にやさしい CCS を伴う天然ガス発電技術を促進することを目的としている 17

18 また これらの機関を通じて 以下に示す各種の CCS 関連プロジェクトを展開し ノル ウェーにおける CCS 関連研究 開発の助成を行っている CLIMT CLIMT は CCS を伴う発電事業に関するプログラムであり 2005 年 1 月に設立された このプログラムはノルウェー研究評議会と Gassnova によって共同管理されており ノルウェー研究会議は研究プロジェクトを所轄し Gassnova はプロトタイプ及び実証プロジェクトを所轄している このプログラムの目的は 研究 開発及び実証事業に対して資金支援をすることにより CCS の商業化を加速することである CCS の商業化は 2020 年頃と計画されており 本プログラムではこの目標の達成を念頭に置いている 本プログラムの目標は以下の通りである -プログラムの優先分野における研究開発に対して長期的かつ広範な支援を行う - 今後 5 年以内における既知の技術のパイロット事業及び実証事業に貢献する 2015~ 2020 年に建設予定の初のフルスケール実証プラントはこの技術に基づくものとなる計画である 年以降にパイロット及び実証規模で支援される新たな先駆的技術の開発を促進する 年 ~2020 年以降に 新たな先駆的技術の商業化に貢献する 2005 年の設立以来 およそ 200 のプロジェクトが実施されており 9 億 NOK(1.25 億ユーロ ) が拠出されている Climit-R&D( 研究開発事業 ) はノルウェー研究評議会が所轄しており 2012 年予算は 9000 万 NOK(1200 万ユーロ ) となっている 一方 Climit-Demo は Gassnova が所轄しており 毎年 8200 万 NOK(1100 万ユーロ ) が公的資金から拠出されている CLIMT における主なプログラムとして 以下がある 燃焼後回収研究開発 :Aker Clean Carbon と SINTEF が実施する研究開発プロジェクトであり Tiller にパイロット施設を建設して実施された アミンを用いた回収技術において大幅なコスト削減が実現された CO2 回収テスト施設 (Brevik の Norcem セメントプラント ): セメント製造プロセスから CO2 を燃焼後回収するためのテスト施設の設計に関する予備的プロジェクトが実施されている 事業は Norcem A/S HeidelbergCement og ECRA (European Cement & Research Academy) が実施しており 2010~2011 年にかけて 1350 万 NOK が投入された (CLIMT からの補助金は 50%) CO2 回収技術には Aker Clean Carbon のアミン法及び Alstom の炭酸塩ルーピング 冷却アンモニア法等が検討されている 現在第 1 フェーズが終了し CLIMNT に対して第 2 フェーズ (2012~2016 年 ) の申請を 18

19 行っている BIGCO2:SINTEF( ノルウェー産業科学技術研究所 ) が主導する国際的な研究プロジェクトであり 2007~2011 年に実施された 多数の研究機関と民間企業が共同で研究を行っている 事業総額は 1,600 万ユーロであり およそ 75% がノルウェー研究評議会及び CLIMT プログラムから拠出され 残りの 25% は民間企業が拠出している BIGCO2 研究開発プラットフォームでは 工業規模で CCS を伴う発電の実証を行うことにより 知識及び技術の実証を行っており CO2 回収及び貯留を伴う天然ガス発電の土台を築くことを目的としている 主に 膜技術 ケミカルルーピング燃焼 加圧燃焼 燃焼後 CO2 回収技術改善 発電サイクルの統合 分析等の分野で研究 開発等を行っており 主な目標として 以下の 3 項目が示されている -CO2 回収率 :90% -コスト削減:50% - 最先端の天然ガス発電と比較した際の発電ロス :7% 未満 CO2 貯留リスクアセスメント :CO2 地中貯留の数学的モデル化及びリスクマネジメントを行うプロジェクトであり CO2 貯留におけるリスクアセスメントに用いる分析 数値化ツールの開発を行った プロジェクト期間は 2007~2011 年であり SINTEF シュトゥットガルト大学 プリンストン大学 Hydro Statoil Shell が共同で実施した 予算総額は 270 万ユーロ 大規模 CCS 事業ノルウェー政府は複数の大規模 CCS 事業を支援している 大規模回収パイロット事業:Technology Center Mongstad(TCM) 本事業は Gassnova と Statoil Shell Sasol により実施されている CO2 回収技術の実証を行うため Mongstad に CO2 回収プラントを建設し パイロット実証事業を行っている CO2 回収技術として アミン法と冷却アンモニア法が採用されており 天然ガスによる熱電併給発電プラントと石油精製施設の熱分解装置の 2 つの燃焼排ガスから CO2 回収を行う CO2 回収は 2012 年 5 月に開始しており 年間最大 10 万トンの CO2 を回収する フルスケール CCS プロジェクト Mongstad においてフルスケール CCS 事業を行う計画であり Gassnova と Statoil によって実施される予定となっている 年間 120 万トンの CO2 を回収する予定である 本事業における CO2 輸送 貯留コスト及びオペレーションコストは政府が拠出する予定であり Statoil は CO2 に係るコストを拠出することとなっている 現在採用技術の検討等が行われており 最終的な投資判断は 2016 年までに行われる予定となっている 最終的な投資判断は 2016 年までに行われる予定となっている 19

20 沖合における CCS プロジェクトノルウェー政府は次の 2 件の沖合における CCS プロジェクトを支援している いずれのプロジェクトも採掘した天然ガスに含まれる CO2 を分離 回収して貯留している -Sleipner:CCS は 1996 年から開始されており 年間 100 万トンの CO2 が貯留されている -Snøhvit:CCS は 2008 年から開始されており 年間およそ 70 万トンの CO2 が貯留されている なお Mongstad で実施されているプロジェクトに対して 2012 年は 29 億 NOK が拠出されている CCS に関連する国際協力事業ノルウェーは 以下の目的で CCS に関する国際協力事業を展開している - 関連技術を商業的に実現可能なものとする - 法規制枠組みを構築する - 国民の理解と支援を助長する主な国際協力事業として以下が挙げられる 欧州経済地域 : ノルウェーは EU 諸国に対して CCS に関して 2.5 億 USD を提供している EU Zero Emission Platform(ZEP) North Sea Basin Task Force (NSBTF) キャパシティビルディングイニシアティブ : 世界銀行の CCS トラストファンドから資金拠出されている ノルウェーはこの資金について最大の資金提供国であり およそ 1000 万ドルを提供している The Global CCS Institute (GCCSI) EU-China Near Zero Emission Coal (NZEC) 2-4.CCS 関連社会的動向 ノルウェーでは発電所を新設する際にCCS を義務付ける法律が1997 年に施行されている しかし 2000 年には天然ガス発電プラントには CCS は必要ないとの議論が起こった 2005 年に CCS を伴わない天然ガス発電プラントの建設を禁じる旨が Stoltenberg 政府より公表され Kårstø 及び Mongstad にフルスケールの炭素回収プラントが設置されることとなった また 世界に先駆け 1991 年から炭素税が導入されている この炭素税は国内における CO2 排出量の約 65% をカバーしており 沖合における石油及び天然ガス採掘に伴うエネル 20

21 ギー消費やガソリンに対して税率が高く設定されている この炭素税の導入は石油 天然ガス産業に大きな影響を与え 結果として Sleipner ガス田では 1996 年から CCS が行われるようになった ノルウェーでは 1980 年代から CCS に関する研究や議論が行われており 1987 年には天然ガス発電プラントにおける CCS に関する報告書がまとめられている ノルウェー政府も CCS に対する研究開発に力を入れており CCS に関する研究開発費用は米国に次ぎ世界第 2 位となっている これらの研究開発費は ノルウェー研究評議会を通じて CCS 関連のプロジェクトへの助成が行われているほか Sleipner ガス田における官民共同研究の CO2 貯留研究事業として 1998 年 ~1999 年にかけて SACS(Saline Aquifer CO2 Storage Project) を実施する等 多岐にわたっている ノルウェーの環境 NGO は CCS を積極的に支持しているものが大半である その背景には 1990 年代からおよそ 20 年間展開された天然ガス発電プラントの反対運動がある 1990 年初めに 電力不足を補うために天然ガス発電プラント建設する構想が示された しかし ノルウェーの主要な電力源は水力発電であり CO2 排出がほとんどないため 水力発電と比較して CO2 排出が多い天然ガス発電プラントの建設に反対し ノルウェーの複数の環境 NGO は当時の政権に対して大々的なネガティブキャンペーンを行った その結果 発電事業に伴う CO2 排出を相殺する手段として CCS 技術が大きく注目され 国民にも広く認知されることとなった 国民の幅広い認知及び大半の環境 NGO の支持により ノルウェーでは CCS 事業は概ね肯定的に捉えられている ノルウェーにおける代表的な環境 NGO としては 次が挙げられる Bellona:1986 年に設立されたオスロに拠点を置く環境 NGO であり エンジニア 学識者 弁護士等が主体となって活動している 活動費はノルウェー政府や企業等から拠出されているが 活動には独立性を保っている Bellona は CCS を エネルギー効率改善 再生可能エネルギーと共に 温室効果ガス排出削減対策の主要な手段であると考えており 公衆 政策決定者及び産業界に対して CCS が気候変動対策において重要な技術であることを周知することを重要な活動の1つと位置付け 積極的に啓蒙活動を展開している CCS を推進する環境 NGO の草分け的な存在となっている ZERO (the Zero Emissions Resource Organisation ) オスロに拠点をおく環境 NGO であり 技術者 科学者 学識者等から構成されている 地球温暖化に対してゼロエミッションのソリューションを提案する活動を展開しており 企業から活動費を得ている CCS の普及啓発にも注力しており HP 等を通じて積極的に情報提供をおこなっている Natur og Ungdom(Nature and Youth): 25 歳未満の若者による環境 NGO 環境に関する問題について政治家や行政と積極的に折衝を行っている 天然ガス火力発電所建設問題の際には大々的に反対活動を展開し CCS を積極的に支持し そのコンセプトを広く社会に発信した 21

22 Framtiden i våre hender(the Future in our hands - FIOH) : ノルウェーにおける最大の環境団体であり 自然と気候の持続可能性は豊かな国における経済成長や資源消費よりも重要であると主張している CO2 排出削減の主要な手段として CCS 技術を用いることには懐疑的であり 気候変動対策においては エネルギー効率改善及び再生可能エネルギーこそが重要な手段であると主張している また CO2EOR も 石油を増進回収することで さらに石油の使用に伴う温室効果ガスの排出を助長するとして問題視している Greenpeace も同様の観点から CCS について疑問を呈している 22

23 英国 CCS 関連政策 制度 英国では 2008 年 11 月 26 日に発効した 2008 年エネルギー法 (Energy Act 2008) 及び 2010 年 10 月 1 日に施行された Storage of Carbon Dioxide (Licensing etc.) Regulations 2010 によって EU の CCS 指令の国内法化に対応している 貯留サイトにおける許可に関する条項に加え CCS 指令では新たに建設される出力 300MW 以上の全ての発電所は カーボンキャプチャーレディー (CCR) としなければならない旨の条項及び既存 新たに提案される CCS パイプラインと貯留サイトへの第三者アクセスを促進するための条項が導入されている CCR に関する条項は プランニングガイダンスを通じて英国に導入されており また 容量が 300MW 以上の石炭火力発電所を新設する場合には CCS を導入することを義務付けると共に 排出基準を設定することにより CO2 排出量を直接的に制限する提言により建設を制限している また 英国では EU の排出権取引スキームの改良版を導入しており これにより永久貯留された CO2 は 排出されていない とカウントすることになっている この排出権取引の改良版と炭素価格に下限値を設定する取り決めにより CCS に対して重要な経済的なインセンティブをもたらすこととなり 低炭素電力への投資を刺激することが期待される CCS に関連する法規制としては 以下がある Energy Act 年エネルギー法 (Energy Act 2008 ) は EU の CCS 指令の国内法化のための枠組みを定めたもので 沿岸部における CO2 の貯留に関する許認可制度について規定している この法律は 2008 年 11 月 26 日 王の裁可により発効している また 2010 年 10 月 1 日に施行された The Carbon Dioxide (Licensing etc) Regulations 2010 において CCS 指令によるその他の要求事項の多くが規定されている Energy Act 年 10 月 18 日に王の裁可により発効した Energy Act 2011 では CO2 パイプラインのための土地の強制収用 (Pipe-line Act 1962 の改正 ) 及び CCS 実証プロジェクトに用いられた沿岸部のインフラの廃止措置 (Energy Act 200 の改正 ) について規定している The Storage of Carbon Dioxide (Licensing etc.) (Scotland) Regulations 2011 この規則は Energy Act 2008 における 許認可なしに CO2 貯留及びそのための調査を 23

24 禁じる規定について スコットランドの陸上及び内水 (0~12 海里 ) に範囲を拡大するため のものである (2011 年 4 月 1 日施行 ) The Storage of Carbon Dioxide (Termination of Licences ) Regulations 2011 この規制は Energy Act 2008( 第 1 部第 3 章 31 セクション ) に基づいて施行されたものであり EU の CCS 指令第 18 項 第 20 項を国内法化するために規定されている 第 18 項はオペレーターから規制当局にモニタリング 是正措置に関する義務の移転及び排出枠の引き渡しに先立って適合すべき要求事項に関する条項である 第 20 項は移転後のモニタリング費用をカバーするために オペレーターが規制当局に対して支払うべき負担金に関する条項である (2011 年 7 月 11 日施行 ) Storage of Carbon Dioxide (Amendment of the Energy Act 2008 etc.) Regulations 2011 この規則は EUのCCS 指令の一部を英国の国内法化するために制定されたものであり 地下における CO2 貯留活動を許可なしに行うことを禁じている (Energy Act 2008 の拡張 ) この規則により イングランド ウェールズ及びアイルランド北部の沿岸部にまで対象範囲が拡大された また Pipeline Works (Environmental Impact Assessment) Regulations 2000 において規定されているパイプラインに対する環境影響評価に関する要求事項が CO2 輸送用パイプラインにも拡大適用されることが規定された (2011 年 10 月 11 日施行 ) Storage of Carbon Dioxide (Access to Infrastructure) Regulations 2011 この規則は EU の CCS 指令における CO2 貯留サイト及び輸送ネットワークへの第三者アクセス ( 第 21 条 第 22 条 ) の実施に関して規定しており 規制当局に対して関連インフラに関する許可を認可するための機能等を付与するものである この規則により関連するパイプライン及び貯留サイトへの第三者のアクセスを確保するとともに インフラの所有者に対して一定の情報提供を行うことを規定している 併せて 規制の要求事項に従わなかった場合の罰則も規定している ( 未施行 ) The Storage of Carbon Dioxide (Inspections etc.) Regulations 2012 The Storage of Carbon Dioxide (Licensing etc.) Regulations 2010 の改正法として 英 国沿岸部における CO2 貯留コンプレックスの検査について規定する規制である ( 未施行 ) CCS 関連政策等の動向 英国は長期間かけて安全 手頃な価格 低炭素なエネルギーの生産 利用へと移行するこ とにより 2050 年までに温室効果ガスの排出量を 80% 削減することを目標としている 24

25 その中で CCS は英国の電力及び産業部門にとって 最も費用効率の高い技術の一つである可能性を有しており CCS はまた 英国にとって主要なグリーン成長の機会をもたらすものであると見られている 発電部門において CCS は電力供給の多様性及び安全性に貢献するとともに 他の低炭素技術では未だ実現できない方法により 引き続き化石燃料への需要をもたらす固有の役割を有している もし CCS の開発が予測通りであった場合 英国を拠点とする企業にもたらされる利益は 2020 年代後半には 30~65 億ポンドにも及ぶと見積もられている CCS の開発はまだ初期段階にあり 現時点で英国の業界にはアドバンテージがあることから 世界市場の開拓においてリーダーとなることを支援する必要があると考えている 英国政府は英国における温室効果ガス排出削減において CCS を実行可能な選択肢とすると共に 他の国々において CCS の開発可能性を促進させることを明言している 英国はコスト競争力のある CCS を幅広く展開するビジョンを描いており 発電及び産業プラントのクラスターから回収した CO2 をそれぞれ CO2 輸送パイプラインネットワークに連結させ 沿岸部の適切な貯留サイトへと輸送する持続的な CCS 産業の開発を支援することを表明している そして初期段階には CCS プラントを 追って CCS 活動のクラスターを提供することにより 英国において強力で健全なサプライチェーンを開発し 地域及び全国的に雇用と市場を創出することを支援するとしている これらを実現するため 2020 年代に英国において CCS が商業的に展開されることを目標としたロードマップを設定している 25

26 図 2 CCS ロードマップ 26

27 英国政府は英国において CCS の商業的な展開を実現するために克服すべき 3 つの課題として 以下を示している CCS に伴うコストとリスクを低減させることにより他の低炭素技術とのコスト競争力を持たせる CCS に市場の枠組みを導入することにより民間部門がコスト効率良く CCS を導入することができるようにする CCS の導入における主要な障壁を除去する これらの課題に対応するため 政府は次のようなプログラムを導入することとしている 商業規模の CCS を支援するための 10 ポンドの資金援助を含む CCS 商業化プログラム : 特に 実践しながら学ぶ そこから得られた知識を共有する ことに重点を置き これにより CCS のコストを削減し 2020 年代に商業的な展開を実現する 4 年間で 1.25 億ポンドを拠出する R&D 及びイノベーション協力プログラム 電力市場改革 (Electricity Market Reform (EMR)) を通じた低炭素電力のための市場の開発 CCS を伴う化石燃料発電所の需要に対応するための 低炭素電力のためのフィードインタリフ契約の導入及び新たな英国 CCS 研究センターの構築 CCS サプライチェーンの支援 輸送及び貯留ネットワークの開発 CCS の工業的利用の準備等を含む CCS の展開における主要な障壁に対応するための介入及び法規制枠組みの明確化 われわれのプログラムを通じて生み出された知識及びコスト削減を促進するための他の世界各国におけるプロジェクトにおける知識の共有に関する国際的な約束 CCS 関連研究開発 助成等制度 CCS 商業化プログラム CCS 商業化プログラムはプロジェクトに対して 10 億円の補助金を直接的に拠出するとともに 低炭素電力の投資を刺激するために設計された 改革された電力市場において電力販売によって得られる収益も獲得できるものである 本プログラムの目的は 2020 年代に民間の電力企業が 政府の補助金無しに CCS を伴う化石燃料発電所を建設するための投資決定が可能となり また その電力価格が他の低炭素発電技術に対して競争力を有するものとなるようにすることである 本プログラムにおいて商業規模の CCS の建設及びオペレーションを行うことにより 残されている技術リスクを削減し CCS 特有の規制枠組みについてテストし 親和性を構築し 産業界に対して持続可能な CCS ビジネスモデルの構築及び供給部門におけるキックスタートを促し 地域の CO2 輸送 貯留インフラの開発に貢献することが見込まれる 27

28 この的を絞った支援により 産業界が商業規模の CCS の設計 建設及びオペレーションにおいて実践的な経験を獲得することを促し 商業基準での CCS プロジェクトの投資リスクを緩和し コストを低減し 商業的な投資判断が可能となるようにすることが見込まれる 2012 年 4 月 3 日に 英国政府は新たなCCS 商業化プログラムのためのコンペを開始した 本プログラムでは CCS の設計 建設及びオペレーションをサポートするものである コンペの主な基準として 以下が示された 将来的にフルチェーンのプロジェクトの一部となることを見込んで実証することが可能なフルチェーン又は一部のチェーンであること 発電プラント及び回収施設が英国内であり 貯留サイトが沿岸部であること 2016~2020 年までに操業可能であること より早ければなお望ましい 全ての関連する環境面での要求事項を満たし CO2 を商業規模で削減すること プロジェクトの一部に発電又は工業的な排出を含むこと コンペは同年 7 月 3 日に締め切られ 5 件のフルチェーン CCS( 回収 輸送 貯留 ) 及び 3 件の一部の CCS チェーン ( 回収又は輸送又は貯留の一部 ) を含む 8 件の申請が受理された 10 月 30 日に政府は 4 件のフルチェーンの申請が次の選考フェーズに進むことを発表した 次回の選考は 2013 年に行われる 現時点で選考に残っているのは次の 4 件である Captain Clean Energy Project: スコットランドの Grangemouth において 570MW の石炭ガス化複合発電プラントを新設するプロジェクトである 回収した CO2 は沿岸部の枯渇ガス田に貯留する 事業主体は Summit Power であり Petrofac(CO2 貯留 ) National Grid Siemens と共同して実施予定 Peterhead: スコットランドの Peterhead にある既存の出力 1180MW のガスタービン複合発電施設の一部に 340MW の燃焼後回収装置をレトロフィットするプロジェクト Shell と SSE が実施する Teesside Low Carbon Project: イングランド北西部の Teesside において シンガスによりネット出力 330MWe の発電を行うプラントにリンクさせる燃焼前石炭ガス化プロジェクト 90% の CO2 を回収し 枯渇油田及び塩性帯水層に貯留する 実施主体は Progressive Energy が主導し GDF SUEZ Premier Oil BOC が参加するコンソーシアム White Rose Project: ヨークシャー北部の Drax サイトにおいて 304MW の超臨界石炭火力発電施設を新設するとともに 酸素燃焼回収により完全に排出をなくすプロジェクト Alstom が主導し Drax BOC National Grid が共同実施 コンペのスケジュールは以下のとおりとなっている 28

29 図 3 CCS コンペのスケジュール なお EC が実施する CCS 及び革新的な再生可能エネルギープロジェクトの公募事業である NER300 に対して 英国政府は Teesside CCS プロジェクト White Rose 酸素燃焼 CCS プロジェクト及び Sound of Islay Tidal( 再生可能エネルギープロジェクト ) を候補として選出している また Peterhead CCS プロジェクト及び Kyle Rhea Tidal Turbine Array を予備としている R&D 及びイノベーション協力プログラム 4 年間で 1.25 億ポンドを拠出する共同研究開発プログラムである このプログラムには以下が含まれている 英国 CCS 研究センターの設立 基礎研究及び理解増進の支援(4000 万ポンド ) - 大学が主導する天然ガス CCS 研究プロジェクトへの 400 万ポンド超の支援を含む -UK CO2 貯留アトラスを近日中に発行予定 コンポーネントの開発及び革新支援(3000 万ポンド ) -CCS コンポーネント開発 実証コンペ (DECC が実施 2000 万ポンド超を拠出予定 ) -モニタリング 計測 ベリフィケーション(MMV) ツールの開発に焦点を当てたコンペを近日中に開始予定 (500 万ポンド ) パイロット規模の試験及びプロジェクト(5500 万ポンド ) -Ferrybridge: 石炭燃焼後回収 5MWe(2011 年 11 月 ~オペレーション ) -IGCC のための Costain 回収技術 5~10MW(2014~15 年頃オペレーション予定 ) -CCGT のための回収技術 5~10MW(2014~15 年頃オペレーション予定 ) CCS 関連社会的動向 英国は石炭 石油等の化石燃料資源が豊富であり エネルギー自給率は 7 割近い 一次エ ネルギー需要の内訳は石炭 14% 石油 35% 天然ガス 41%(2010 年 ) となっているが 北海油田 ガス田の枯渇等により今後は輸入に頼らざるを得なくなると見られている こ 29

30 れらを背景に エネルギー安全保障の観点から 原子力事業と共に 国内で豊富に産出される石炭のクリーンな利用に注力しており クリーン石炭技術や CCS 技術の開発 展開を推進している また 英国はこれまで CCS 技術を国際社会に示す場面で主導的な役割を担ってきたが 近年は経済危機等の影響によりその活動が若干停滞している 2005 年にスコットランドのグレンイーグルズで開催されたサミットにおいて 議長国であった英国が中心となってまとめたグレンイーグルズ行動計画には CCS 技術の開発及び商業化を加速する との合意事項が含まれた また その後の EU の 2008 年気候及びエネルギーパッケージにおいても 英国は CCS に関する内容を包括することに尽力している しかしながら 欧州経済危機の到来により 海外における CCS 技術開発支援等を含む各種予算の大幅削減を余儀なくされた 一方で Carbon Sequestration Leadership Forum 等の活動を通じて CCS 及びクリーンコール技術を強力に推進していく姿勢は変わっていない 英国の NGO は国内における CCS に関する議論において建設的な役割を担ってきた 英国は以前から京都議定書の温室効果ガス排出削減目標を上回る削減目標を掲げてきたが 1990 年代半ばから温室効果ガス排出削減量は横ばいとなり 目標の達成が危ぶまれるようになっていた また 新たな石炭火力発電所の建設計画等もあり 環境 NGO が中心となって反対運動が展開されていた これらの背景から Friends of Earth( 地球の友 ) を中心とする環境 NGO 等は法的拘束力を有する温室効果ガス排出削減目標を設定すべきであると主張し 積極的な政策提言を行った この結果 2008 年に公布された気候変動法においてカーボンバジェット ( 炭素削減計画 ) が導入され 結果的に石炭火力発電所では CCS を検討する必要が生じるようになった また これを契機として CCS 事業に関連するプロジェクト開発者 設備関連事業者 CO2 輸送及び貯留事業者等と NGO が積極的に意見交換を行うことができるようになった また 英国は北海の沖合に CO2 貯留対象となる大きなキャパシティを有した貯留層が存在するため 貯留に伴う住民の反対活動等は生じていない 現在 Green Alliance 等の環境 NGO は 天然ガス発電プラントに CCS を装着すること等を主張しており 今後更なる検討と議論が行われると見られる 英国における代表的な環境 NGO の CCS に対する見解は次の通りとなっている Green Alliance: 政策決定者等に対して環境問題に係る政策提言や政策評価等を行う環境シンクタンクであり ロンドンに拠点を置いている CCS については 排出削減目標を維持しつつ化石燃料発電プラントを使い続けることを可能とする 気候変動対策における重要な技術の 1 つであると位置付けている また英国は北海の枯渇油田及びガス田に CO2 を貯留することが可能であり また専門技術者が存在することから CCS 技術のグローバルリーダーとなれるとしている また 最近では CCS を備えた天然ガス発電プラントについても提言を行っている E3G(Third Generation Environmentalism): 独立系の環境 NPO であり 持続可能な 30

31 開発に向けて政策提言等を行うとともに 市民の啓発活動等に注力している 特に気候変動及びエネルギー安全保障や外交政策等をターゲットとして活動を展開している CCS を支持しており 欧州が温室効果ガス削減目標の達成において不可欠な技術であると位置付けている Friends of the Earth UK( 地球の友 ): 地球規模の環境問題に取り組む国際的な環境 NGO の英国支部であり 英国の気候変動法については THE BIG ASK キャンペーンを展開し その成立に大きく寄与した CCS に対しては 技術面や安全面等に懸念を抱いており 環境面でのリスクは受け入れがたいとしている このため 技術的 環境的 法的障壁等を解消することを前提として 低炭素社会への移行を橋渡しする役割を担うと認識している また 再生可能エネルギーを積極的に支持し 石炭火力発電所の廃止を主張しており その場合には CCS は必要ないと主張している 31

32 オランダ CCS 関連政策 制度 (1) 概要 CO2 貯留オランダにおける CO2 貯留の実施に関する主な法的枠組みは 鉱業法 環境保護法及び住宅 国土計画及び環境法によって規定されている 鉱業法は経済省が所轄官庁となる法律であり 地下 100m 以下の深さに物質を貯留することに係る法的な事項を規定している 同法では産業設備及び活動とそれに伴う排出及び排出を制限するための手段に関する環境的な側面について規定しており 経済大臣の許可なしにいかなる物質も底土の中に貯蔵してはならないと規定している この点については環境保護法においても許可が必要となる 鉱業法は 2002 年 12 月に改定され 鉱業活動に関する環境的な側面について規定されることとなった 鉱業及び関連する事業活動により排出される廃棄物を地下に貯蔵する際の環境上の許可の所轄官庁は各州となることが規定されている なお 住宅 国土計画及び環境法では 地上における活動及び設備に関する計画の法的枠組みを規定している モニタリング貯留サイトの選定及び貯留活動のマネジメントに関しても適切な規則が必要である 圧入及び貯留の期間中及び実施後 CO2 排出権の観点から貯留層の完全性及びリーケージの有無についてモニタリングを行う必要がある 貯留サイト閉鎖後の貯留地に係る責任についても 適切に規制する必要がある CO2 が貯留された土地は廃棄される ガスを貯留した後 井戸をセメント栓により塞ぎ 地上の設備は除去する 所轄官庁の許可を得た上でその場所は廃棄されるが モニタリングは継続しなければならない CO2 回収大規模施設に関する所轄官庁は州政府となっている オランダの環境保護法の枠組みの中では CO2 回収には許可が必要となる あわせて 環境影響評価 (EIS) が必要となる 2008 年 7 月 1 日に施行されたオランダ国土計画及び開発法により The Government Coordination Regulation が導入された この規則により 一定規模以上のプロジェクトにおける環境計画及び実施決定の調整に関する意思決定の過程において 政府の関与が必要となる 現在の計画評価の枠組みは完全なまま残されているが 手続きは同時に進行させることにより 合理化され加速されている 大規模エネルギーインフラ事業に関する規則は 2008 年 1 月に公布され 2009 年 3 月 1 日に施行となった 輸送ネットワークの建設に係る法規制住宅 国土計画及び環境省は陸上のパイプラインに関する法規制を所轄している 現在 32

33 CO2 の輸送について 特に外部の安全及びリスクアセスメント ( 定量的リスク分析法による ) の観点から 新たな規制が検討されている 有害物質の輸送に係るリスクスタンダードとあわせて 40Km 以上の長さで直径が 800mm 以上又は ( 環境的に ) 影響を受けやすい地域を通過又は近くを通過するパイプラインは 環境影響評価を行う必要がある また CO2 パイプラインの建設については 環境保護法による許可が必要となる 各州 地域の水道委員会及び自治体はパイプラインを各地方のゾーニング計画及びマスタープランに取り込まなければならない 沿岸部の輸送に関しては 経済省が所轄する 北海のオランダの領海においてパイプラインを建設する場合には 鉱業法の枠組みにより許可が必要となる 本法の第 94 条には位置 距離 直径 腐食防止 メンテナンス及び検査についての要求事項が明記されている また 大規模インフラプロジェクトに関する The Dutch Government Coordination Regulation bill がパイプラインの建設にも適用される 将来的には国境を跨いだ CO2 輸送により国際的な法律の問題が生じると考えられ その際は中央政府がこの問題に対応することとなる CO2 貯留については 国際的な条約 (OSPAR 条約及びロンドン条約 ) が既に締結されている また 北海盆地タスクフォースにおいて CCS について協力する北海周辺の国々は 北海周辺におけるダブテールについて確認しており また当該地域におけるインフラに関するシナジーの利点を理解している (2)CCS 指令への対応 2011 年 9 月に CCS 指令及びオスパー条約に準拠させる目的で 鉱業法及び関連の規制類の改定が行われた 改定された鉱業法は 2011 年 9 月 10 日施行となり 鉱業法に関する規制は 2011 年 9 月 16 日に施行となった 幾つかの例外を除き 今回の改正は CCS 指令の国内法化の期限 (2011 年 6 月 25 日 ) に合わせて 同法に準拠するためのものであり 立法者は現在の法規制の枠組みは CCS の成功において不十分であり CCS 指令に関わらない部分で追加的な鉱業法規制が必要であると考えている そのような追加的な規制には CCS の前提として 資金的なコミットメントと住民及び財産に損害を与えることに関する法的責任等が含まれる 次に CCS に関連する各項目の内容等を示す CO2 貯留鉱業法では既に CO2 を含む物質の貯蔵に関して許可を得る必要がある旨の規制があるが CCS 指令の CO2 貯留に関する部分の規定に準拠するため CO2 貯留の許可申請の中身に関する内容や CO2 が安全に永久に貯留された後の貯留された CO2 に関する法的責任が国に移譲される部分等が追加された これらの内容は CO2 貯留にのみ適用され 他の物質を貯留する場合には従来の鉱業法の規定が適用される その他 CO2 貯留許可の発行に関して EC はコンサルタントとしての役割を果たすことになっている点も追加された 最終的な許可の決定は経済 農業及びイノベーション大臣が行うこととなっている EC からの意 33

34 見から逸脱している場合には その理由も示すこととなっている 鉱業令 (The Mining Decree) では貯留許可に係る規制として リスクマネジメント 貯留複合設備の閉鎖及び資金的な保障等に関してさらに詳しく示されている 鉱業規則では CO2 貯留許可の申請手続きに関する要求事項等について示されている 貯留サイトの調査 CO2 貯留に関するポテンシャルサイトの調査の許可に関する項目は 従来の鉱業法にはなく CCS 指令のために新たに追加された内容である CO2 貯留をおこなうための地層の適合性に関する情報収集を行うための掘削活動に許可が必要となる この調査に係る許可申請の手続きは鉱業規則に規定されている 独占権 CO2 調査又は CO2 貯留の許可を持つ者は 関連の活動に関して独占権を有する このため 個別の許可と他の活動の許可 ( 調査 生産又は貯留 ) の重複は行われない これは 許可を有する者が同一であっても同様である このため 一般的な調査 生産又は貯留の許可を有する者が関連の貯留層に CO2 を貯留したいと考えた場合には CO2 貯留許可の申請を行う前に まずはその許可を返却しなければならない 許認可手続きへのアクセス原則として 必要な資格を有する者はだれでも CO2 調査及び貯留許可に関する許認可手続きに関して同等のアクセス権を有する しかし例外として CO2 調査許可を有する者で 対象のサイトの適合性を実証している場合は CO2 貯留許可の取得に関して優先権を持つ 第三者のアクセス EU のすべての加盟国が廃棄に関して十分な貯留施設を有するわけではないため CCS 指令では第三者アクセスという国の調整を要求している 鉱業法において CO2 貯留許可を有する者及び輸送ネットワークのオペレーターは第三者のための CO2 を貯留 輸送する義務がある CO2 貯留に関して十分な経験が得られた後 政府により 第三者アクセスに関するより詳細な規則が定められる予定である 法的責任 CCS に関して 気候及び環境に関する損害 及び住民 財産に係る損害の 4 つの損害が特定されている CCS 指令では CO2 リーケージによって生じる気候に係る損害は排出権取引指令で対応し CO2 貯留によって生じる環境面での被害は環境責任指令で対応することとなっている 加盟各国は住民及び財産に関する損害における民事責任に関して自由に規制できることになっている オランダではこのタイプの責任については鉱業法及びオランダ民法典 (Dutch Civil Code (DCC)) において規定されている DCC6:177 では 貯留サイトのオペレーターは鉱物の排出又は地盤移動によって生じる被害に関して厳しい法的責任が課せられており この条項は CO2 貯留及び CO2 貯留施設の調査に対しても適用される CO2 貯留による CO2 リーケージ又は地盤移動によって生じる被害に特化された責任制度がないと オペレーターや圧入を行う関係者の法的責任があ 34

35 いまいとなる可能性があるため オランダ民法典の改正が検討されている CCS 関連政策動向 オランダはエネルギーに関する長期的な目標として 2050 年までにオランダの経済を 持続可能で低炭素なエネルギー供給へと転換させることを目標としている オランダのエネルギー産業は年間 360 億ユーロで GDP の 6% を占めており 石油及び石油製品の輸入及び輸出については 世界最大級であるとともに 天然ガス産業も非常に発達している グリーンエネルギーへの緩やかな移行により オランダのエネルギー企業及び業界を経済部門において世界のトップにさせることができると考えている 低炭素型のエネルギーマネジメントに向け オランダのエネルギー政策は主に 3 つの目標を掲げている すなわち オランダのエネルギー供給は 持続可能で信頼性があり 手頃な価格 (sustainable, reliable and affordable) でなければならない というものである オランダは CO2 排出量を 2050 年までに 1990 年比で 80~95% 削減することを目標としている 再生可能エネルギーはこの計画において重要な部分であるが 現時点では相対的に高価である このため オランダ政府は再生可能エネルギーのコストを低下させ 長期にわたり再生可能エネルギーの大規模な適用を促進するためのイノベーション政策を実施することとしている この長期的な目標に加え 2020 年に向けた以下の短期的な目標も設定している 年までに CO2 排出量を 1990 年比 20% 削減する 年までに再生可能エネルギーを全エネルギー需要の 14% とする 年までに 20% の省エネルギーを実現する また 政府は将来的に 統合されたエネルギー市場においてグリーンエネルギーと従来型のエネルギーがバランスのとれた状態となることを期待している 今後数十年にわたり化石燃料は引き続き必要である一方で CO2 排出削減のための対策をとることは必須である 政府は EU-ETS が炭素排出を削減するために最も重要な手段であると考えている 炭素排出量の削減は 再生可能エネルギーの占める割合の増加 省エネ 原子力エネルギー及び CCS のコンビネーションにより可能となると考えている 2011 年のエネルギー白書では CCS について以下の通り示されている CCS の促進長期的には CCS の活用は不可避である このため 必要に応じて CO2 を大量に排出する発電部門及び産業部門において広範にわたり展開するために 政府は CCS の開発を促進している 35

36 他の幾つかの国と共に オランダは CCS の分野において 欧州及び世界のリーダーであり オランダ政府はこのリーディングポジションを維持し続けたいと考えている 大規模 CCS プロジェクトの準備又は実施に関わりをもってきたオランダの研究機関及び企業はその知識や経験を世界中で活用することができるが これはオランダ経済及び気候のどちらにもメリットをもたらす このため 特定の条件を満たす場合には オランダは同国内における CCS 事業 とりわけ大規模実証プロジェクトを促進し 加速させようと考えている 政府は海底下貯留の実証プロジェクトにのみ 許可を与えている 現時点では 少なくとも中期的には ( キャパシティは ) 十分であると見積もられている 一方 陸域における CCS に関しては 計画していない 行動計画として コスト低減を目標とした CCS 実証プロジェクトの実施 を掲げており 海底下貯留による大規模実証プロジェクトを通じて CCS 技術に関して更なるコスト削減を促進したいと考えている 政府はこれらのプロジェクトに対して欧州の資金援助を期待している CCS 関連研究開発 助成等制度 国 及び地域レベルでの CCS に関連する助成金制度等について それぞれの概要を以下 に示す (1) 国レベル Economic Structure Enhancing Fund Economic Structure Enhancing Fund はオランダ政府が天然ガスから得た収益をもとに創設したファンドであり オランダの経済的インフラの改善に係る事業等に拠出される 高速道路の整備等の他 気候変動や先端技術等の研究等に拠出される 資金総額はおよそ 20 億ユーロとなっている CATO-2 CATO(CO2 Afvang, Transport en Opslag:CO2 capture, transport and storage) プログラムは CO2 回収 輸送及び貯留に関するオランダの R&D 国家プログラムであり およそ 40 のパートナーから構成されるコンソーシアムである CATO プログラムに対しておよそ 2500 万ユーロが割り当てられている CATO-2 は需要主導型の R&D プログラムであり CCS の総合的な開発を促進 実現することに焦点を当てており CCS チェーンの全ての段階における研究及び準備を行うとしている CATO-2 の研究は主に次の 5 つのサブプログラムで行われる 36

37 -CO2 回収 - 輸送及び CCS チェーンのインテグレーション -CO2 の地中貯留及び貯留モニタリング - 規制及び安全性 - 住民による認知のための普及啓発及び国際協力 Energy Innovation Agenda Energy Innovation Agenda は オランダ政府が同国のエネルギー供給を持続可能なものとし 温室効果ガス排出を削減するためにエネルギーシステムにおいてイノベーションを行うための今後数年間の計画を示したものであり 2008~2012 年で各種の革新的エネルギープロジェクトに対して総額 4.38 億ユーロが拠出されるものである 商業規模の CCS 事業を通じて経験を得るためには 大規模の CCS 実証プロジェクトを行う必要がある CCS 大規模実証プロジェクトの実施を支援するとともに 新たなプログラムとして CATO2 をスタートさせている 燃焼前回収と酸素燃焼が優先とされており CCS を含む新たなガス関連のテーマに対して 3000 万ユーロが割り当てられている Unieke Kansen Regeling (UKR):(Unique Opportunities Scheme) UKR はオランダの市場関係者と非市場関係者が共同して持続可能なエネルギーマネジメントを行うプロジェクトを促進するためのプログラムである UKR の 革新的 CO2 回収 は CO2 回収を促進させるためのプロジェクトであり およそ 3200 万ユーロの予算が割り当てられている (2) 地域レベル Koers Noord/ERDF Operational Programme フローニンゲン フリースラント ドレンテの各州の地域経済を強化するために 経済省は 2007~2010 年の間に 8000 万ユーロを拠出している Samenwerkings verband Noord-Nederland(Northern Netherlands Cooperative) も併せて 4000 万ユーロを拠出している これらの補助金はエネルギー 水関連技術 センサー技術 農業関連産業を強化するために活用されている この中で 石油 天然ガス産業におけるアクションとして 次の 3 項目が示されている -1 か所以上の地中貯留サイトを準備する -ガスハブの整備( 必要に応じてパイプラインを含む ) -1 か所以上の CO2 貯留サイトを準備するまた EC による European Regional Development Fund (ERDF) によって 2007~2013 年にかけて Koers Noord programme( 地域開発のための欧州ファンド ) が北部の経済発展のためにおよそ 2.5 億ユーロを拠出することとなっている この中で エネルギー分野に 37

38 ついては 持続可能なエネルギー利用や知識インフラの構築等に対して補助金が拠出され ることとなっている CCS 関連社会的動向 CCS はオランダの地球温暖化対策政策において重要な要素であり 2020 年までに 1990 年比 30% の温室効果ガス排出削減を達成するために不可欠な手段として位置付けられている オランダは天然ガス資源に恵まれており 生産量も EU 内では英国に次いで第 2 位 ( 2009 年実績 ) となっているが エネルギーの持続的な安定供給のため 将来的には再生可能エネルギーの割合を増やしつつも 化石燃料の使用も継続していく方向を示している 一次エネルギー供給における石炭の割合は約 10% となっているが 今後も石炭火力発電所の新設計画もあり CCS 技術との組み合わせが必要であるとしている オランダの工業地帯及び電力需要地域は人口密度が高い地域と重複しているため これらの地域で CCS を行うためには 住民の認知と受容が非常に大きな問題となる 2010 年末に中止が決定した Barendrecht プロジェクトは 住民の反対により最終的に中止となったプロジェクトである この事業はオランダ政府による補助金事業であり Barendrecht 近郊にある Shell の大規模製油所にある水素製造プラントで排出される CO2 を回収し Barendrecht の 2 か所の枯渇油田まで既存のパイプラインにより輸送し 既存の圧入井より圧入して貯留する計画であり CO2 貯蔵予定量は 30 万トン / 年の小規模実証事業であった Barendrecht は Zuid-Holland 州の西部にあり ロッテルダム工業地域に近く 近年新たな住宅地も建設され 人口が増加傾向にある街である 2008 年に法律に基づいて環境影響評価の手続きが開始され 住民説明会が開催された その中で CCS 技術の安全性や長期的なリスクに対する懸念が示された その後も科学的データに基づく情報提供や説明会等が開催されたが 十分な回答が得られていないとして 住民の反対は収まらなかった その後環境影響評価は大臣に承認され プロジェクトは承認されたが 住民の反対は激しくなる一方であったため 最終的に政府は事業の中止を決定した この反対運動には環境 NGO 等はほとんど寄与せず 住民が中心となって活動した Barendrecht プロジェクトにおける住民の反対を受け オランダ政府は陸域における CO2 貯留を認めず CO2 貯留は沖合に限定されることとなった また このプロジェクトによる教訓を活かし 現在計画されている CCS プロジェクトでは 住民とのコミュニケーションに注力している ロッテルダムで計画されている ROAD プロジェクトでは 利害関係者のマネジメント戦略が策定され 綿密なコミュニケーションが図られている ROAD はロッテルダム港工業地域において CO2 回収設備を有する石炭火力発電所を新設し 回収した CO2 を北海海底下の枯渇油田に貯留する大規模実証プロジェクトであるが 現時点で大きな反対は起こっていない 38

39 なお オランダに拠点をおく国際的な環境 NGO である Greenpeace は 気候変動対策の解決には再生可能エネルギー及びエネルギー効率改善技術が重要であり CCS を伴ったとしても石炭火力発電所を新設することは気候変動に寄与することであるとして反対している また 同様にアムステルダムに拠点を置く国際的な環境 NGO である Friends of the earth international も CCS 技術は未だ完全に実証されておらず 2020 年までの商業化が難しいことに加え 石炭火力発電所において CCS を実施するためには追加的なエネルギーが必要となるため 石炭使用による環境悪化をさらに増加させるとして反対している 39

40 米国 CCS 関連政策 制度 飲料水安全法 (Safe Drinking Water Act, SDWA) 米国における CCS に関する法規制として CO2 の地中貯留に係る部分を規制しているのが飲料水安全法における地下圧入管理プログラム (Underground Injection Control(UIC) Program) である UIC プログラムは 飲用地下水源への汚染を防止するために流体の地下への圧入を規制するものである 超臨界状態の CO2 流も流体として定義されており UIC プログラムの規制対象となり 圧入前に UIC の許可が必要となる 2010 年 11 月に環境保護庁は CCS のための UIC プログラムの改正を行った これにより CO2 の長期的な地中貯留又は隔離に関して 新たな圧入井クラスとしてクラスⅥが創設され CO2 地中貯留活動に関連する規制が設定された 主な内容として 地下サイトの特性評価 坑井の建設及びオペレーションに関する要求事項 圧入計画の定期的な更新 モニタリング及びオペレーションの記録を含む圧入井戸周辺のレビューの定期的な再評価 各地中隔離プロジェクトの厳格な試験及びモニタリング 圧入後モニタリング及び圧入した CO2 の追跡等のサイト管理期間の継続 財務的責任に関する要求事項等について規定している 有害性液体パイプライン安全法 (Hazardous Liquid Pileline Safety Act of 1979)/ 有害物質輸送法 (Hazardous Materials Transportation Act) CO2 の輸送については 米国ではパイプラインが最も経済的であると考えられており パイプライン輸送が主流となっている 米国では既におよそ 3,600 マイルに及ぶ CO2 パイプラインが敷設されており CO2 輸送用パイプラインのサイト選定 建設及びオペレーションについては 連邦法と各州法によって規定 管理されている 液体 ( 超臨界 )CO2 パイプラインの安全性に関する全般的な法的責任については 運輸省 (U.S. Department of Transportation (DOT)) が管轄する有害性液体パイプライン安全法及び有害物質輸送法によって規定されている これらの法において CO2 パイプラインの設計 建設 オペレーション及び緊急対応に関する要求事項が規定されている また 一部の内容を除き 州内のパイプラインに係る基準は州政府が管轄し 規制している なお 各州では CCS に関連する法規制が多数導入されており 例えばワシントン州 オレゴン州 カリフォルニア州などでは温室効果ガス排出量の規制が導入されており モンタナ州 イリノイ州などでは 新設される石炭火力発電所に CCS を装着するように義務付けている 40

41 CCS を目的とする CO2 流を有害廃棄物規制から除外する提案 2011 年 8 月に米国環境保護庁は一定の条件を満たす CO2 流を 有害廃棄物規制 (hazardous waste regulations) から除外する提案を行っている 環境保護庁は飲料水安全法に従い一定の条件下において CO2 流を管理すれば人の健康及び環境に対して重大なリスクとはならないと結論付けており また 安全で環境面で影響がない状態において CCS 技術の展開を促進させることを目的としたものである この提案は飲料水安全法における UIC プログラムを補完するものであると位置付けられている 本提案は 2011 年 8 月 8 日に官報に掲載されており その後 60 日間パブリックコメントを受け付けることとなっている その後 特に動きは見られない 米国環境保護庁の新規発電所に対する二酸化炭素排出規制案 2012 年 3 月 27 日 米国環境保護庁は大気浄化法 (Clean Air Act) に基づいて 新設される発電所に対する CO2 排出規制案を提案した これは 新設される出力 25MW 以上の化石燃料発電ユニットに対して 1MW 時あたり 1000 ポンド (1000 lb/mwh) を上限とする CO2 排出基準を設定するものである 化石燃料は天然ガス等を含み 発電ユニットには化石燃料焚きボイラー IGCC ユニット タービンコンバインドサイクルユニットも含まれる 石炭及び褐炭を用いる発電プラントはこの基準を満たすために CCS 等の CO2 排出削減技術を利用することが必要となる 本提案に関して 米国環境保護庁は 2012 年 5 月にパブリックヒアリングを開催し その後 6 月 25 日までパブリックコメント期間を設けた その後 特に動きは見られない CCS 関連政策等の動向 米国の発電事業における燃料は石炭に大きく依存しており 全電力量のうち 40~45% が石炭火力発電によるものである また 米国の温室効果ガス排出量のおよそ 1/3 が石炭火力発電所からの排出量であり 大きな課題となっている 地球温暖化対策のために温室効果ガス排出量を削減するためには 発電所からの CO2 排出量を制限する必要があるが 現時点では連邦レベルでの明確な CO2 排出削減目標の設定や排出量に関する規制は行われていない 大気中の CO2 濃度を維持するためには 化石燃料発電所から排出される CO2 を少なくとも 90% 削減する必要がある このため 今後も化石燃料をエネルギー源として使用し続けるためには CCS は中心的な役割を担うこととなる CCS を商業的に広く展開するためには コスト効率が良く 効果的な CCS 技術の開発及びフルスケールでの実証が必要となる 41

42 2005 年以降 連邦政府はエネルギー省におよそ 69 億ドルの予算をつけ CCS 技術の開発及び商業的な実現可能性の実証を行うとともに CCS を装着したプラントにおける発電コストの低減に取り組んできた しかしエネルギー省からの資金拠出が実質的に増加するか 或いは電力会社による CCS に対する投資を促すような政策等が採択されない限り 連邦政府による支援は CCS 技術の展開においてさほど有効ではないと見られている オバマ大統領によって 2009 年 2 月 17 日に成立した米国再生 再投資法 (The American Recovery and Reinvestment Act of 2009(ARRA)) では 石炭の利用に伴う CO2 排出量を削減するための技術開発を促進させることを目的として エネルギー省に対して 34 億ドルが拠出された 当時のエネルギー省長官であった Steven Chu 氏は このうちの 24 億ドルを CCS 技術の商業的展開を拡張し加速させるための予算として配分した また 2010 年 2 月 3 日にオバマ大統領は 14 の担当省庁及び連邦組織から構成される CCS 省庁間タスクフォースを設立した エネルギー省及び環境保護庁が共同議長を務めるこのタスクフォースは クリーンコール技術の商業的な開発及び展開を加速させるための総合的で組織的な連邦政府の戦略を開発することを目的としている 2016 年までに 5~10 件の商業規模実証プロジェクトを稼働させることを目標とし 10 年以内にコスト効率の良い CCS の幅広い展開における障壁を解消する計画が課せられている 2010 年 8 月 タスクフォースは 10 年以内にコスト効率の良い CCS の幅広い展開における障壁を解消するための一連の提言をまとめた報告書を発行した この報告書では豊富な化石燃料資源を使用し続ける場合には CCS は国内の温室効果ガス排出削減において重要な役割を担うことが結論付けられた タスクフォースの提言には大統領の目標を達成する際の障壁を打開するために必要なアクションなども示されている CCS 関連研究開発 助成等制度 エネルギー省の CCS 研究開発の取組みは 化石エネルギー石炭研究プログラムの下で実施されている このプログラムはエネルギー省の化石燃料局によって管理され 国立エネルギー技術研究所によって実施されている 研究プロジェクトは 企業 国立研究所 政府機関等によって パートナーシップ 協力協定及び補助金供与等の様々な資金拠出メカニズムの下で実施されている これらのプログラムは基礎 応用段階の先進的な CCS 技術をパイロット規模での実証を経て 2020 年までにフルスケールで実証するようなスケジュールが組まれている これらの研究開発の取組みにより 技術基盤を構築するために必要なデータと知識が蓄えられ 産業界による実施リスクが提言され 2030 年までに商業規模での CCS の幅広い展開が可能となる 42

43 米国エネルギー省 (The U.S. Department of Energy (DOE)) は 1997 年から炭素隔離プログラムを開始しており 以降 CCS はエネルギー省の研究 開発ポートフォリオにおいて主要な構成要素となっている プログラムは エネルギー省化石燃料局に所属する国立エネルギー技術研究所によって実施されており CCS 技術の開発を主導する役割を担っているとともに 効果的で経済的に実現可能な多様な技術の開発において 大きな進展を遂げてきた 炭素隔離技術プログラムの詳細は 2010 年 12 月に発行された CCS 研究開発ロードマップに基づいて実施されており エネルギー省と国立エネルギー研究所によって実施されるクリーンコールパワーイニシアティブと産業的炭素隔離プログラムの 2 つの実証プログラムが示されている 炭素隔離プログラムの目的は CCS 技術の開発及び前進であり これにより 2020 年までに CCS を商業的に広く展開することを目指している このため 次の 4 つのプログラムが行われている (1)2015 年までにエネルギーコストの増加を 15% 以内に抑えた CO2 を直接的 間接的なシステムによって分離 回収 輸送 貯留する技術の開発をおこなう (2)2015 年までに 地層における CO2 貯留容量を ±30% 以内の誤差で予測することが可能となる技術の開発をおこなう (3)2015 年までに 圧入した CO2 の 99% が圧入したゾーンに残留し続けることを実証できる技術の開発を行う (4)2020 年までに サイト選定 徳性評価 サイトオペレーション 閉鎖実務に関するベストプラクティスマニュアルを作成する これらの目標を達成することにより CCS 技術を 2020 年及びそれ以降 国内及び海外において安全に効果的に商業的に展開することが可能となる この炭素隔離プログラムは 2010 年にオバマ大統領が設立した CCS に関する省庁間タスクフォースを直接的にサポートするものである 炭素隔離プログラムは以下の 3 つの主要な要素から構成されている Core R&D: 温室効果ガス緩和のための新たな技術及びシステムの開発に焦点を当てており 研究所 / パイロット規模での研究を行う 次の 5 分野に焦点を当てている 燃焼後回収 地中貯留 モニタリング 検証及びアカウンティング (MVA) シミュレーション及びリスクアセスメント CO2 利用 Infrastructure: インフラ研究 開発は 7 つの地域炭素隔離パートナーシップ (RCSPs) 等の活動を通じて CO2 貯留アプローチの立証を行っている 炭素隔離パートナーシップは州政府 国立研究所 大学 産業界 民間企業等 400 を超える組織が参加しており 各地域において実地試験 地域の利害関係者との活動 特性評価等をおこなっている これまでに 20 の小規模実地試験 9 の大規模実地プロジェクトをはじめ 多数の活動が実施されている Global Collaborations: 米国エネルギー省は International Energy Agency s 43

44 Greenhouse Gas Programme (IEAGHG) Carbon Sequestration Leadership Forum (CSLF) North American Carbon Atlas Partnership (NACAP) 等様々な国際組織に加盟しており また 世界各国で実施されている多数の大規模 CCS 実証プロジェクトにも直接的に関与している 図 4 炭素隔離プログラムの概要 エネルギー省の炭素隔離プログラムにおける予算は米国における人為的な CO2 排出量削減の取組みへの対応から 年々増加している 2010 年の予算総額は 2000 年予算から 1,000 万ドル増加し 1.54 億ドルとなっている この増加分は地域炭素隔離パートナーシップイニシアティブの検証及び開発フェーズにおける圧入試験に伴う設備投資額によるものである 地域炭素隔離パートナーシップイニシアティブはプログラム予算のおよそ半分を占めており 残りの研究開発は産業界 各州 民間の研究所及び学界と共同実施されている また オバマ大統領によって 2009 年 2 月 17 日に成立した米国再生 再投資法 (The American Recovery and Reinvestment Act of 2009(ARRA)) により エネルギー省は 34 億ドルを割り当てられた これは石炭をよりクリーンで効率的に使用するための技術の研究 開発及び展開に用いられることとなっており 石炭ガス化等の石炭から新たな方法で 44

45 エネルギーを作り出す方法の研究 試験及び石炭火力発電所からの排出を浄化 又は回収し貯留するための技術の改良に投資されている その主な内訳は次の通りである 化石燃料研究開発プログラム (FutureGen 2.0): 10 億ドル Clean Coal Power Initiative 第 Ⅲラウンドへの追加的資金 :8 億ドル 工業的炭素回収及びエネルギー効率改善プロジェクトの公募 :15.2 億ドル 地層におけるサイト特性評価活動の公募 :5000 万ドル CO2 地中貯留トレーニング及び研究助成 :2000 万ドル その他プログラムへの直接的な資金供与 :1000 万ドル CCS 関連社会的動向 米国のエネルギー自給率は約 8 割であり 石油及び天然ガスを輸入している エネルギー消費に占める石炭の割合は 2 割超であるが 電力供給に占める割合は 4 割を超えている しかし 近年のシェールガス革命により米国のエネルギー事情は大きく変化しており 将来的にはエネルギー自給率は 99% を達成すると見られている 一方 これに伴い米国内の石炭生産量 消費量はともに低下しており 石炭火力発電の割合は将来的には 3 割程度まで下がる可能性もある 米国は シェール革命以前は石炭をエネルギー安全保障上重要な資源と考え その持続的な活用のために CCS を重要な技術であると位置付けてきた 1997 年に CCS の研究開発を開始しており これまでに 30 以上のパイロットテストを行っている また 現在 23 件の大規模 CCS プロジェクトが進められており その数は世界最多である 連邦政府は地域炭素隔離パートナーシッププログラム クリーンコールイニシアティブ 融資保証プログラム等多数の補助金制度等により CCS の技術開発及び商業化を支援している 現在実施されている CCS プロジェクトは 公的資金による支援が重要であるとともに 大半のプロジェクトは CO2EOR による収入も組み合わせている EOR は米国において成熟産業であり CO2 圧入による EOR 事業も既に 40 年以上の実績がある一般的な事業である 一方 石炭火力発電所については 地域住民や環境団体等による反対活動が強まっており IGCC 等のクリーンコール技術や CCS を組み合わせた事業等についても 中止を余儀なくされるプロジェクトが生じている 中止となった PurGen One プロジェクトはニュージャージー州で IGCC プラントを建設するとともに 排出される CO2 の 90% を回収し 沖合までパイプライン輸送し海底下の塩性帯水層へと貯留する計画であったが 石炭火力発電所に対する反対及び海底下への CO2 貯留に対する反対などからロビー活動が活発化し 2012 年 10 月 プロジェクトの計画は中止となった また Jamestown プロジェクトは ニューヨーク州の Jamestown に 50MW の石炭酸素燃焼プラントを新設すると共に 発生する CO2 を回収し 地中貯留の実証を行う計画であったが 石炭火力発電所に対する反対 45

46 やプロジェクトの費用対効果の問題 及び CCS の安全性に対する懸念等から地域住民や環境 NGO 等による反対活動が活発化し プロジェクトは中止となった 他方で 住民による多大な支持を受けたプロジェクトもある 例えば FutureGen プロジェクト ( 現在計画変更され FutureGen2.0 として別の事業が進められている ) はエネルギー省が補助金を拠出して CCS を伴う IGCC プラントを新設する事業であり プロジェクトサイトの公募を行っていたが 最終的な候補サイトとなったテキサス州 イリノイ州では 地域のコミュニティからの熱烈な支持が得られていた その主な理由としては 地域の石炭産業を含めた産業の活性化 雇用の創出等が挙げられるが その背景には 徹底した情報公開と住民との対話等があった 米国の NGO 団体はその規模や専門性等から政策や事業活動に大きな影響力をもつものも多く CCS 事業に対しても大きな影響力を持ち得るものである 米国における最大規模の環境 NGO である Sierra Club は 石炭燃焼に伴う温室効果ガスや汚染物質排出等の問題から 石炭使用の中止を主張しており 地域住民と共同で既存の石炭火力発電所の廃止と新たな石炭火力発電所建設計画の中止活動を展開している 2020 年までに全米で 500 以上の石炭火力発電事業を中止することを目標に掲げており 既に 137 箇所が廃止となっている 一方 法律の専門家を多く抱え 行政等への影響力が大きい環境 NGO である The Natural Resources Defense Council (NRDC) は CCS 技術を既存の化石燃料関連事業から排出される温室効果ガスを削減するための有効な技術の一つであると位置付けており 支持している また 科学者や学識者等を中心として設立された環境 NGO である Environmental Defense Fund(EDF) も CCS 技術を石炭及び化石燃料からの移行期間における主要な温室効果ガス排出削減技術と考えており 経済性等の面で課題はあるとしながらも 経済面及び環境面において Win-Win な解決法となる可能性がある技術として支持している 46

47 カナダ CCS 関連政策 制度 2011 年第 3 四半期にカナダ政府は Reduction of Carbon Dioxide Emissions from Coal-Fired Generation of Electricity Regulations という規制案を発表した 本法案は全ての既存及び新設の石炭火力ユニットに対して 天然ガス複合発電と相応の排出基準 (0.375tCO2/MWh) を要求するものであり もし本法案が可決された場合 2015 年 7 月 1 日より施行となる CCS を伴うプラントについては 2025 年まで暫定的に除外される予定となっている なお カナダの政策には 法案の施行に先駆け 既存のプラントに CCS を組み込むための早期対策に対するインセンティブが含まれている 2012 年後半に Canada Gazette PartⅡにおいて最終法案が公表される際 寄せられたコメント及び政府の対応も公開される予定である カナダの CCS に関連する法規制については 現時点では Canadian Environmental Protection Act, 1999(1999 年環境保護法 ) に基づいて有害物質と規定された CO2 について 石炭火力発電所からの排出量を規制するもののみである CCS に係る事業活動等に関する規制は 各州政府が所轄することとなっている REDUCTION OF CARBON DIOXIDE EMISSIONS FROM COAL-FIRED GENERATION OF ELECTRICITY REGULATIONS (2012 年 8 月 30 日公布 2015 年 7 月 1 日施行 ) 本規制は Canadian Environmental Protection Act, 1999 に基づいて施行されるものであり カナダの温室効果ガス排出量の 11% を占める石炭火力発電所からの温室効果ガス排出量を削減することにより カナダの温室効果ガス排出削減目標の達成に貢献することを目的としている 本規制は新設される発電施設及び既存の発電施設に対して厳格な排出基準を設定するものであり 導入後 21 年間で合計 214 メガトンの温室効果ガス排出を削減すると試算されている 本規制では新設及び既存の石炭火力発電ユニットから排出される CO2 を年間平均で 420 トン /GWh 以下としなければならないと規定している また 本規制では対象となるユニットの登録や毎年の報告等についても規定している 各州では 既存の鉱業 石油 ガス事業 パイプライン等の規制及び環境保護法 環境影響評価法等により CCS(EOR) 関連活動に関する規制を行っている CCS に特化した法規制としては アルバータ州では The Carbon Capture and Storage Statutes Amendment Act (Bill 24) により CCS を実施する際の許認可等について規定している 本 47

48 法は 2010 年 12 月 2 日に施行されている また the Carbon Sequestration Tenure Regulation は Mines and Minerals Act の一部を CCS 事業のために改定したものであり 地下 1000m 以下の地層の孔隙に関する調査や MMV 等の許可等について規定している 本規制は 2011 年 4 月 28 日に施行されている また 2009 年 7 月 4 日に施行された Carbon Capture and Storage Funding Act 及び Carbon Capture and Storage Funding Regulation により CCS プロジェクトを支援している CCS 関連政策等の動向 カナダの政策は プロジェクトを支援するための資金の補助に焦点が当てられている カナダは UNFCCC における 2020 年までの自主的な排出削減約束にのみ賛同しており 京都議定書における第二約束期間については批准しないことを表明している カナダ政府は 2020 年までに温室効果ガスの排出量を 2005 年レベルから 17% 削減することを目標として掲げており 米国と共にセクターごとのアプローチを行っている 連邦政府は各州と共同で 2020 年目標の半分まで実施している カナダの 2 大温室効果ガス排出源は 輸送部門と電力部門であり 温室効果ガス排出に係る規制が導入されている カナダは地球規模での気候変動対策の取組みを加速させるため 2010 年から 2013 年にかけて 12 億ドルを拠出することを発表している カナダは CCS 技術の開発及び展開に関して世界のリーダーとなるポジションにいる 近年 カナダ連邦政府及び地方政府は総計でおよそ 30 億ドルを CCS に対して拠出することを明言しており その資金により 5~6 件の大規模実証プロジェクトを行う予定となっている 国内での活動とあわせ カナダは CCS 技術の開発及び展開を前進させるため 国際的な取り組みにも積極的に関与している CCS 関連研究開発 助成等制度 カナダ政府は大規模 CCS 実証プロジェクトへの支援を通じて CCS 事業を支援している アルバータ州 サスカチュワン州及びブリティッシュ コロンビア州政府と共同して CCS プロジェクトに対して 30 億ドルを上回る資金拠出を行っている その主な内容は以下のとおりである (1) クリーンエネルギーファンド カナダ連邦政府が公表した Economic Action Plan により 連邦政府は健全な環境を目指 48

49 して各種の活動を行っている クリーンエネルギーファンドもその一環であり このファンドは大規模 CCS 実証プロジェクト及び再生可能エネルギー クリーンエネルギーシステム技術の小規模実証プロジェクトに対して投資を行うことを目的としている 大規模 CCS 実証プロジェクトに対して総額 4.66 億ドルの投資を行う予定であり 投資プロジェクトとして 次の 2 プロジェクトが示されている Shell Canada Energy Quest Project The Athabasca Oil Sands Project(Shell Canada Energy (60%) Chevron Canada Limited (20%) Marathon Oil Canada Corporation (20%) による JV) がアサバスカオイルサンドで実施する CCS プロジェクト Scotford アップグレーダーより年間 100 万トン超の CO2 を回収し Scotford Complex 北東部までパイプライン輸送し 地下約 2Km の地点に永久に貯留する 回収された CO2 は EOR プロジェクトにも用いる予定となっている 本プロジェクトに対し カナダ政府は 1.2 億ドルを拠出する予定である また アルバータ州政府は CCS 基金を通じて 7.45 億ドルを投資予定となっている Enhance Energy Alberta Carbon Trunk Line Carbon Capture and Storage Project Alberta Carbon Trunk Line プロジェクトはガス化 CO2 回収 輸送 貯留及び EOR を含む完全に統合された CCS プロジェクトである Enhance Energy は North West Upgrading と共同でアルバータ州ハートランド工業団地及びアルバータ州中央部の各施設から排出される CO2 をコスト効率良く回収し 配布するインフラの管理を行う計画である これらのサイトから回収される CO2 は 240Km のパイプラインを通じてアルバータ州中部及び南部にある成熟した油田に輸送され EOR の用途で圧入される予定となっている カナダ政府は本プロジェクトに対してクリーンエネルギーファンドにより 3000 万ドルを拠出予定である また ecoenergy エネルギーイニシアティブからも 3300 万ドルが拠出される予定となっている (2)Boundary Dam クリーンコールイニシアティブへの支援 Boundary Dam プロジェクトは サスカチュワン州エステバン近郊の 110 MW 褐炭火力発電所において 既設のユニットを回収し ボイラーとタービンの改良 排煙脱硫 (FGD) 装置と CO2 回収設備の統合を行う 世界最大規模の商業規模石炭火力発電 CCS プロジェクトである 回収される CO2 は 100 万トン / 年の予定であり CO2 は EOR に使用される予定となっている 本プロジェクトの事業総額は 12.4 億カナダドルであり カナダ政府は本プロジェクトに対して 2.4 億ドルの資金援助を行っている (3)ecoENERGY テクノロジーイニシアティブへの資金拠出 CCS に関連する技術を前進させることを目的とした 産業界が主導する ecoenergy テ 49

50 クノロジーイニシアティブに対して 1.51 億ドルを拠出することとしている ecoenergy テクノロジーイニシアティブでは 以下のプロジェクトに対して資金拠出 を行っている Heartland Area Redwater Project (HARP) エドモントン北東部にある Redwater Leduc Reef において CO2 の安全な貯留に関するフィジビリティを実証するものであり ARC Resources が事業主体となっている このサイトは アルバータ州のハートランド工業団地から近く 同団地には化学 堆肥プラントが存在し また多数のオイルサンドアップグレーディング設備等が建設中或いは建設予定となっており 大規模な温室効果ガス排出源となる地域である また Redwater reef はマクマレイ港及びエドモントンを結ぶ直線状にあり マクマレイ港からの CO2 パイプラインルートとなる可能性がある このため 同サイトの塩性帯水層において 1 ギガトンの CO2 貯留容量について評価することが初期の活動となっている 長期的には 本プロジェクトにおいて商業規模 ( 年間数百万トン ) の CCS 実証を行い アルバータ州中央部のサスカチュワン港 ハートランド レッドウォーター地域から排出される温室効果ガスの大量削減に貢献することが期待される Integrated Carbon Capture and Enhanced Oil Recovery Enhance Energy が主体となって進めるプロジェクトであり アルバータ州のエドモントン市北東部のスタージョン カウンティーにあるハートランド工業団地から排出される CO2 を回収することを目的としている 回収された CO2 はアルバータ州中央部の成熟した油田まで輸送され EOR 及び永久貯留のために圧入される 本プロジェクトでは CO2 を 大規模肥料工場及びオイルサンドアップグレーディング施設 ( 現在建設待ち )2 つの排出源から回収することにより 複数の工業的な排出源から単一のネットワークに CO2 を回収する事業のフィジビリティを実証する この技術はアルバータ州における数百万トンの CO2 を貯留可能な 多数の同様な地中貯留層に対して適用可能なものである 本プロジェクトは 5 年以内に年間 190 万トンの CO2 を回収し貯留する予定であり 長期的には最大で年間 1500 万トンの CO2 を回収 貯留できると見込まれている また 従来の方法では回収することができない膨大な量の石油も回収可能であるとされている Fort Nelson Exploratory Project Spectra Energy Transmission が実施主体となっているプロジェクトであり ブリティッシュ コロンビア州のフォート ネルソンにある Spectra Energy の既存のガス処理プラントにおいて世界規模の CCS 実証事業を行うものである 未処理の天然ガスに大量に含まれる CO2 を除去し 圧縮して脱水 冷却した後 地下およそ 2km の深部塩性帯水層に圧入 50

51 し 永久的に貯留する 本プロジェクトは大量の CO2 を深部塩性帯水層に圧入し 永久的に貯留することの技術的なフィジビリティを実証するものであり 長期的には年間 130 万 ~160 万トンの CO2 を削減できる見込みである Pioneer Project アルバータ州エドモントンからおよそ 70Km 西部に位置する Keephills サーマル発電プラントにおいて大規模な CCS を行うプロジェクトであり TransAlta が実施主体となっている このプロジェクトでは年間数百万トンの CO2 を発電プラントから回収するため 燃焼後回収において最先端の冷却アンモニア回収技術を装着する世界初の大規模 CCS 施設を建設する計画となっている 回収した CO2 は輸送され EOR に用いられる予定となっている CO2 Injection in Heavy Oil Reservoirs 本プロジェクトは重油の貯留層において EOR を行うための新たな技術及び手法を開発するための R&D 活動に焦点を当てたものであり CO2 を用いて EOR を行い 圧入した CO2 は貯留層に永久に貯留することにより 重油抽出における新たな手法を用いるものである CO2 は Husky の Lloydminster アップグレーダー及びエタノールプラントから回収し アップグレーダーに隣接する重油貯留層まで輸送し EOR のために圧入する 本プロジェクトでは Husky のアップグレーダー及びエタノールプラントから年間 30 万トンの CO2 を回収し Lloydminster の重油貯留層に圧入する CCS 関連社会的動向 カナダは商業規模での CCS 事業について 国際的なリーダーとなるポジションにいると考えており CCS 技術の開発及び展開に注力している カナダ政府は CCS の推進にあたっては 住民の受容及び住民参加が不可欠であると考えており そのための国家的な戦略が必要であると考えている 2010 年 5 月には CCS に関する情報を提供するための国の CCS ウェブサイト CCS101( を立ち上げ CCS に関する基本的な情報や 教材となる資料等の提供を行っている CCS に対する社会の認識は比較的好意的であり これまでに住民の反対により中止となったプロジェクトはない 2011 年に CCS に関するリスク及びパフォーマンス評価を行う環境 NGO である IPAC-CO2 が実施したアンケート (Public Awareness and Acceptance of Carbon Capture and Storage in Canada June 2012) では CCS に対してリスクを感じながらメリットもあると考えている人が多いことが示された CO2 貯留は気候変動対策に 51

52 有用であるとの回答は 47% であり 有用ではないとの回答は 26% であった 石炭火力発電所を新設するにあたり CCS を義務付けるべきであるとの回答は 59% であり 義務付けるべきではないとの回答は 15% であった 一方 CO2 地中貯留は将来的に安全性リスクをもたらすとの回答は 55% にのぼった また 自宅から 5km 以内で CO2 の地中貯留を行う場合に心配であるとの回答は 61% であった一方 心配ではないとの回答は 25% であった 環境 NGO である Greenpeace Canada は CCS は費用がかかり エネルギーも消費するし安全性の面でも課題があるとして反対している 一方 非営利のエネルギーシンクタンクである Pembina Institute は CCS は気候変動対策に必要な温室効果ガス削減技術の一つであり 解決策の 1 つとして不可欠であるとしている 52

53 オーストラリア CCS 関連政策 制度 (1) 全般的な動向オーストラリア政府は 2011 年 7 月 Clean Energy Future 計画という気候変動に関する包括的な計画を発表し 2011 年 12 月にオーストラリア政府議会上下院はこの計画を可決した この計画は 温室効果ガス排出削減を目的としており 炭素価格の導入 再生可能エネルギーへの投資 エネルギー効率の向上 土地利用における汚染の削減と生産性 持続可能性及び復元力の改善を 4 本の柱としている 本計画において 温室効果ガスの排出削減目標は 2020 年に 2000 年比 5% 2050 年までには 2000 年比 80% 削減となっている この計画を実現するために 炭素価格導入をはじめとする各種の政策が導入される CCS に関しては クリーンエネルギーイニシアチブにおいて 実証事業を支援することが示されている オーストラリアはエネルギー源を石炭に大きく依存している一方で 温室効果ガスの排出削減をコミットしている このため エネルギー安全保障を維持しながら温室効果ガスの大幅削減を達成するために CCS は不可欠であると考えている オーストラリア政府は国内及び世界的な温室効果ガス排出量の削減対策において CCS は多数ある選択肢のうちの一つであると考えている オーストラリア政府はこれらの技術を国内及び国際的に開発していくことを約束している オーストラリア政府において CCS を所轄しているのは 資源 エネルギー 観光省であり 同省では CCS に関して 以下を管轄している CCS フラッグシッププログラム CCS 技術の開発及び実証を促進するために設計されたプログラムであり 同国内における大規模 CCS プロジェクトの建設及び実証を支援するものである 国際的な関わりオーストラリアは CCS 技術を前進させるための主要な国際的なフォーラムのメンバーであり GCCSI(Global CCS Institute) クリーンコール技術に係る中国との合同調整グループ CCUS アクショングループ CSLF(Carbon Sequestration Leadership Forum) IEA(International Energy Agency) 等の活動に参加している 関連法規制オーストラリアの CCS 規制はオーストラリア国内で提案されている CCS プロジェクトのガイドとなる規制枠組みをもたらすものである 現在の枠組みには the Offshore Petroleum and Greenhouse Gas Storage Act 2006 the Regulatory Guiding Principles for Carbon Dioxide Capture and Geological Storage 等がある 53

54 National Low Emissions Coal Initiative(NLECI) オーストラリア政府は同国における低排出石炭技術の活用を促進し 温室効果ガスの排出を削減するとともに オーストラリア石炭業界の経済を将来的に安定させるため NLECI を設立している 本イニシアチブは国家 CCS 協議会 (the National Carbon Capture and Storage (NCCS) Council) 及び炭素貯留タスクフォースの支援を受けている 前競争的地中貯留データの獲得 CO2 貯留に適した地質学的なサイトの特定は オーストラリアにおいて CCS 技術の大規模実証及び展開において必要不可欠な条件である 本プログラムは国家 CO2 インフラ計画及び Carbon capture and storage acreage release に含まれている (2)CCS 関連法規制 CO2 及び他の温室効果ガスのパイプライン輸送及び沿岸地域の地質学的地層への圧入 貯留に関して有効な規制を行うため オーストラリア政府は以下の法律を制定している 2006 年オフショア石油 温室効果ガス貯留法 ( The Offshore Petroleum and Greenhouse Storage Act 2006) 関連規則ガイドライン及び説明資料 2006 年オフショア石油 温室効果ガス貯留法は CCS プロジェクトが健康 安全及び環境に関する要求事項に確実に対応するための有効な規制の枠組みを構築するものである CCS 活動に関するアクセス及び財産権 及び規制監督の手法は連邦オフショア石油法を修正して作られている このような手法が選択された理由は 石油産業と CCS が類似しており また 双方の間にある潜在的な複雑な相互関係を管理する必要があったためである 本規制は 2008 年 11 月 21 日に国王の裁可を得ており 2011 年 1 月に一部改訂されている 本規制には以下が含まれる - 石油に用いられるシステムと同様のアクセス及び財産権に関する規定 - 貯留の安全性及び堅牢性を確実にすること - 石油産業との相互関係を管理するためのメカニズム -サイト閉鎖及び長期的責任の取扱 また CCS に関連する規則類として 以下がある オフショアにおける石油及び温室効果ガス圧入 貯留に関する説明覚書:Explanatory Memorandum to the Offshore Petroleum and Greenhouse Gas Storage Act 温室効果ガスに関する規制:Offshore Petroleum and Greenhouse Gas Storage (Management of Greenhouse Gas Injection and Storage) Regulations

55 環境に関する規制:Offshore Petroleum and Greenhouse Gas Storage (Environment) Regulations 2009 安全性に関する規制:Offshore Petroleum and Greenhouse Gas Storage (Safety) Regulations 2009 資源の管理運営に関する規制:Offshore Petroleum and Greenhouse Gas Storage (Resource Management and Administration) Regulations 2011 さらに 関連するガイドラインとして以下が示されている Guidelines for injection and storage of greenhouse gas substances in offshore areas Regulatory Guiding Principles for Carbon Dioxide Capture and Geological Storage 陸域の CCS 活動に関しては ビクトリア州 クイーンズランド州 南オーストラリア州はそれぞれの法規制を施行している ニューサウスウェールズ州 西オーストラリア州は新たな陸域の CCS 規制を作成中である また オーストラリアの各規制機関は管轄区域を越えた組織である CCS Working Group を通じてオーストラリアにおける CCS 規制と他の法規制等との調和を図る手段について研究している The Council of Australian Governments (COAG) Standing Committee on Energy and Resources の下で活動している CCS Working Group では 最近以下のような議題について検討している 長期的信頼性に関する国家的な整合性の確立 管轄区域を越えた CO2 貯留 貯留において廃棄井及び貯留層を用いる CO2 パイプラインコリドーの可能性の検証 CCS 関連政策の動向 2012 年 7 月 1 日に施行となったオーストラリア政府の Clean Energy Legislation(CEL) の中心は炭素価格付けメカニズムである このメカニズムは 年間 25,000tCO2e 以上の CO2 排出事業者に対して固定炭素価格による排出債務を課税と同様に課すものである 現在の価格は 23 豪ドル /tco2 となっており 今後毎年実質ベースで 2.5% まで上昇することとなっている 3 年経過後 キャップアンドトレード ETS による市場決定期間から固定価格に移行することとなっている 2012 年 8 月 28 日 オーストリアと EU は 双方のキャップアンドトレードシステム間のカーボンユニットを相互承認することによる それぞれの ETS の連携を遅くとも 2018 年 7 月 1 日までに開始する計画を発表した これにより オーストラリアの排出量取引スキー 55

56 ム又は EU ETS におけるカーボンユニットを いずれかのシステムに準じて活用することができるようになる この連携を促進するため オーストラリア政府は炭素価格の設計に次の 2 点の変更を加える予定である 価格の下限を設定しない 新たな二次限度を京都議定書におけるユニットを使用する際に適用する オーストラリアにおける責任主体 ( 一定規模以上の電気消費者等の呼称 ) はその債務のうち 50% までを国際的なユニットから購入することが可能であり そのうち 12.5% までを京都議定書におけるユニットによって充当することができる オーストラリアと EU の相互連携が構築されるまでの正式な交渉が進む間の 2015 年 7 月 1 日 ~2018 年 7 月 1 日までの間 オーストラリア企業は同国の排出量取引スキームにおける債務に対応するため EU のアローワンスを用いることができるようになる予定である 炭素価格はクリーンエネルギー技術の開発に関して不可欠である一方 オーストラリアの政策決定者達が指摘するように 補足的手段を浸透させることが再生可能エネルギーの具体的な支援に結びついていることが明示する通り 炭素価格付けメカニズム単独では大規模なクリーンエネルギーへの投資を商業的に魅力的なものにするのに十分な価格付けはできない オーストラリア政府は 2010 年に発表したエネルギー政策に関する声明 A Cleaner Future for Power Stations において 全ての新設石炭火力発電所を CCS レディとすることを義務付ける旨を記載した これは 炭素価格の有効性はクリーンエネルギーと他の緩和手段双方に対する投資判断の決定に依存するという 法的根拠に起因するものである 2010 年後半 資源 エネルギー 観光省は CCS レディー (CCSR) に関するディスカッションペーパーに関して 国民に対して意見聴取を行ったところ 一部の人たちからは CCSR アプローチに対して好意的な理解を示し 支援する旨の意見を得たが 一部の人たちからは そのような義務的基準の導入に対する懸念が示された また 寄せられたコメントは CCSR より排出パフォーマンス基準を中心としたものが多く 炭素価格付けメカニズムの導入により CCSR 政策と排出パフォーマンス基準の両方を取り入れることは必要ないとの趣旨であった このため 政府は CCSR 条項を採用しないことと決定し 2011 年 12 月に発行されたエネルギー白書 ( 草案 ) では 炭素価格付け条項を導入することとした オーストラリアの陸上及び沿岸における CCS 活動に関する法的枠組みは 世界的に見て最も進んでいるものの1つである オーストラリア連邦における水域を管轄するオーストラリア政府は 沿岸部における CCS 活動を統治する主要及び補助的な法律を制定している 州政府も同様に沿岸地域を管轄しているが オーストラリア沿岸部から 3 マイル以内の水域及び海域に限られている 州政府による法規制の例として ビクトリア州の沿岸部にお 56

57 ける CCS 規制である the Offshore Petroleum and GHG Storage Act 2010 and GHG Storage Regulations 2011 は 2012 年 1 月 1 日に施行されている 州政府及び連邦政府は沿岸部における CCS 活動を相補的に統治しており 州 / 連邦政府の共同機関が沿岸部における CCS 活動を管理するために設置される 過去 1 年間にオーストラリアは新たな国家組織である the National Offshore Petroleum Titles Administrator を組織することにより 沿岸部における CCS 活動の規制機関を効率化した 2012 年 1 月 1 日より the National Offshore Petroleum Titles Administrator が沿岸部における GHG 圧入及び貯留プロジェクトの管理に対する権限を所轄している また オーストラリア政府は 2011 年末に Strengthening the Foundation for Australia s Energy Future と称するエネルギー白書を発行した この白書には 国内エネルギー市場及び炭素価格付けメカニズムの改正の概要が示されている 本白書の主旨として 炭素価格付けメカニズムは新たな低炭素技術の開発を促進するための主要な政策手段であることが示されている また クリーンエネルギー及びクリーン技術を支援するために 170 億豪ドルの予算が組まれており そのうち 16.8 億豪ドルが CCS プログラムに割り当てられることが示されている CCS 関連研究開発 助成等制度 オーストラリア政府は CCS を支援するため 各種の資金的支援を行っており 主要なものとしては以下がある CCS フラッグシッププログラム :16.8 億豪ドル National Low Emissions Coal Initiative :3.7 億豪ドル 国家インフラ計画:6100 万豪ドル GCCSI(Global CCS Institute): 3.15 億豪ドル以下にそれぞれの概要をまとめる (1)CCS フラッグシッププログラム (16.8 億豪ドル ) CCS 技術の開発及び実証を促進するために設計されたプログラムであり 同国内における大規模 CCS プロジェクトの建設及び実証を支援するものである 本プログラムは工業プロセスから排出される CO2 を回収し 地下の安定した地層に安全に貯留する幾つかのプロジェクトをサポートすることにより CCS 技術のより広範な普及を促進させることを目的としている この事業は G8 の 2010 年までに全世界で 20 の CCS プロジェクトを開始し 2015 年から操業開始し 2020 年までに商業的に展開させるという提案を支援するものである CCS フラッグシッププロジェクトにおいて指標とする優先項目は以下のとおりとなって 57

58 いる - 排出量の多い地域における貯留サイトのマルチユーザー向けインフラ開発 これには 地域の排出源からの CO2 輸送をサポートするパイプラインインフラを含む -CO2 回収及び貯留の技術及び地質学の実証を含む総合的な回収 貯留プロジェクト 回収技術には 石炭ガス化 燃焼後回収及び酸素燃焼を含む CCS フラッグシッププログラムの第 1 段階では 各州が推薦するプロジェクトについて詳細に調査し 最終候補を選定した 2009 年 12 月 資源 エネルギー大臣である Martin Ferguson 氏は以下の 4 つのプロジェクトを最終候補として選定した The Wandoan power project The ZeroGen project ( 中止 ) The Collie South West Hub The CarbonNet proposal 2011 年 6 月 11 日 Ferguson 大臣はさらに 1 件のプロジェクトを追加した The Western Australian Collie South West Hub project 2012 年 2 月 10 日 Ferguson 大臣は the CarbonNet project に対して FS 段階用の追加的資金を拠出することを発表した FS 段階では 主に CO2 貯留予定地のモデル化及びテストに焦点を当てた FS 活動に最大 1 億豪ドル ( 豪州政府 :7 千万ドル ビクトリア州 :3 千万ドル ) が拠出される オーストラリア政府は本プログラムに対して 16 億 8 千万豪ドルを割り当てている 2011/12 年予算において Education Investment Fund (EIF) が最終候補プロジェクトの研究インフラに対して 1 億豪ドルを拠出する予定となっている これを獲得するためには CCS に関する共同研究を行う目的で 大学等の適格な研究機関と提携する必要がある (2)National Low Emissions Coal Initiative (3.7 億豪ドル ) 2007 年の選挙公約に基づいてオーストラリア政府はエネルギー安全保障を強化し同国の経済成長に対する石炭の貢献を維持するために 石炭利用に伴う温室効果ガス排出の大幅削減を実現するための低排出石炭技術及び CO2 輸送 貯留インフラの開発及び展開を促進することを目的とした National Low Emissions Coal Initiative (NLECI) を設立した 低排出石炭技術により 石炭及び天然ガスが 2050 年までにオーストラリアにおける温室効果ガス排出量を 2020 年比 80% まで削減するという政府の Clean Energy Future の目標の実現に貢献することができるようになるとされている 低排出石炭技術の研究 実証及び展開には CCS も含まれている 産業界 研究団体及び各種政府を含む様々なステークホルダーが NLECI の実施を支援している 低排出石炭の開発及び展開に関して政府にアドバイスを行うため 国家低排出石炭戦略の実施を監督するための組織として the National Carbon Capture and Storage (NCCS) 58

59 Council が設置されている NLECI は 2008 年に設立されており 2015 年までの 8 年間出資されることとなっている 豪州政府はこの 8 年間に 3.7 億豪ドルを拠出することとなっている その内訳として以下が示されている -オーストラリア国立低排出石炭研究開発組織:7500 万ドル - 国家炭素マッピングインフラ計画 :5000 万ドル -クイーンズランド ニューサウスウェールズ ビクトリア州における低排出石炭実証プロジェクト :1.5 億ドル -カライド酸素燃焼プロジェクト:5000 万ドル -クリーンコール技術に係る中国との合同調整グループ:2000 万ドル - 先進的褐炭実証プログラム :4500 万ドル ( ビクトリア州と共同で同プログラムに対して合計で 9000 万ドルの支援を行う ) - 国家 CO2 インフラ計画 :6090 万ドル (3) 国家 CO2 インフラ計画 (6,090 万ドル :2011/12 年度予算 ) 国家 CO2 インフラ計画は he National Low Emissions Coal Initiative から資金拠出されており CCS に関する障壁をなくし 産業界と投資家の信頼を高めるとともに 豪州国内における総合的な CCS プロジェクトの開発を支援することを目的としており 以下の4 項目が示されている 1. CCS 調査 評価プログラム 2. 海陸 沿岸部における CO2 貯留データの追加 3. 国家 CO2 掘削リグ展開戦略 4. 国家 CO2 貯留 輸送インフラ評価 (4)GCCSI(Global CCS Institute)( 3.15 億豪ドル ) オーストラリア政府は 2009 年 商業規模の CCS の展開を世界的に促進させることを目的として独立した非営利目的の法人として GCCSI を設立した この組織の主な目的は G8 の 2020 年までに CCS 技術を広範に展開するという目標の達成を 知識の共有 事実に基づくアドボカシーの提供及びプロジェクトの支援により助長することである オーストラリア政府は 2016~17 年までに合計 3.15 億豪ドルの資金拠出を行う予定である GCCSI のメンバーは CCS の商業的な展開を加速させるための支援及び実証を行う政府 業界団体 企業 研究機関等となっており 2012 年 9 月時点で 40 を超える国々から 354 のメンバーが参加している 59

60 CCS 関連社会的動向 オーストラリアは世界第 4 位の石炭生産国であり 最大の輸出国であると共に 国内の発電においても石炭への依存度は 7 割を超えている (2011 年エネルギー白書 ) 一方 地球温暖化問題への関心の高まりから 2012 年 7 月から炭素価格制度が導入されたほか 州によっては石炭火力発電所に対する排出量規制等を導入 或いは導入を検討しているところもある このような背景から CCS についてもクリーンコール技術として 国や州が主体となって実証事業や補助金制度等により支援している 炭素価格制度は CCS の商業的な導入において長期的な投資効果をもたらすとされている一方 今回導入された炭素価格制度は当初 23 豪ドル / トンで設定されており 3 年経過後に固定価格へと移行することとなっているが 短 ~ 中期的に見てこの価格では CCS の導入を促すのに十分な価格ではなく 補完的な政策が不可欠となる しかし オーストラリアは自然エネルギー資源も豊富なことから 再生可能エネルギーの供給拡大に力を入れており CCS への投資を上回る投資を行い 2035 年までにクリーンエネルギー由来の発電を電力需給の 4 割まで拡大する計画を示している CCS に対する世論や社会の受容性は比較的肯定的であり これまでに住民の反対等によって中止された CCS プロジェクトはない オーストラリアの環境影響評価の手続きでは 環境影響評価実施の対象となる重要なプロジェクトに関して 環境影響評価書を開示し 住民に開示するとともに 適宜住民説明会等を開催し パブリックコメントを募集することとなっている South West CO2 Geosequestration Hub プロジェクトでは 地域住民向けのワークショップを開催しているが CSIRO がまとめたレポートでは ワークショップの開催により CCS への理解が深まり CCS を支持する人が増加したことが示されている また ZeroGen プロジェクト ( 資金的問題により中止 ) においても情報開示と住民説明会が開催されており プロジェクトに対しては概ね支持を得られていた 環境 NGO である WWF Australia は CCS 技術を支持しており 火力発電施設に対して排出規制を設定すべきであると主張し その実現のために CCS の装着は不可欠であるとしている また 今後新たに建設される石炭火力発電所には CCS を装着すべきであると主張している 一方 Greenpeace Australia Pacific は CCS に反対しており 2012 年 5 月に発行した Dead and buried:the demise of carbon capture and storage というレポートでは CCS は非効率で費用対効果が低いため これ以上公的資金を投入すべきではないと主張している 同様に Australia Conservation Foundation も CCS ではなく 再生可能エネルギーを促進すべきであると主張している 60

61 1-2. 国別 CCS プロジェクト ノルウェー (1)Sleipner CO2 Injection 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業規模実証 商業事業天然ガス精製における CO2 削減炭素税による経済的負担の削減実施主体 :Statoil 西スライプナーガス田の権益は Statoil ( % ) ExxonMobil (32.23%) Total(9.41%) などが保有ノルウェー南西部北海中部スタバルゲン沖合 1996 年 ~ 全体額は不明であるが Statoil は CO2 圧縮施設及び CO2 圧入の坑井採掘に係る追加コストは約 1 億米ドルに達すると報告 EU が補助金を支給本プロジェクトは 従来ノルウェーの国営企業であったスタットオイル ( 現在は部分民営化 ) が 北海の沖合約 250 キロメートルの地点にある Sleipner 天然ガス田において 1996 年から実施している世界初の大規模 CCS 商業プロジェクトである 1991 年にノルウェー政府が沖合部における CO2 排出活動に対して CO2 排出税を導入したことから その課税負担を軽減させる目的もあり 本プロジェクトは実施されている ( 現在の課税価格は 50USD/tCO2) 西スライプナー天然ガス田で採掘される天然ガスにはおよそ 9% の CO2 が含まれており 輸送及び売却のためには CO2 含有量を 2.5% まで低減させる必要があるため CO2 の分離 回収を行う必要がある このため スライプナーガス田から採掘した天然ガスから CO2 をアミン洗浄法によって分離 回収し 圧縮した後 海底下およそ 800m の地点にある塩性帯水層である Utsira 層へと再圧入し 貯留している 貯留量はおよそ年間 100 万トンであり 現時点で 1600 万トン程度が圧入されている 最大で 2100~3000 万トン程度の圧入を計画している 61

62 図 5 プロジェクトサイト地図 ( 出典 : Ten years experience of monitoring CO2 injection in the Utsira Sand at Sleipner, offshore Norway 図 6 プロジェクト概要イメージ図 ( 出典 :Statoil Web サイト ) 62

63 2 分離 回収実施地域ノルウェー南西部北海中部スタバルゲン沖合実施主体 Statoil 事業資金 N/A(CO2 モジュールの設備総額は 3.5 億ユーロ超 ) 事業期間 1996 年 ~ 技術概要西スライプナーのプラットフォームは スライプナー B(SLB) ウェルヘッドプラットフォーム及びスライプナー T(SLT) 処理プラットフォームの 2 基の主要な設備から構成されており 東スライプナーの設備に隣接している SLT はスライプナー A(SLA) プラットフォームと橋脚で連結している その他 SLB から SLT へとつながる 12.5 km のフローラインもある ウェルヘッドプラットフォームには通常作業員は常駐しておらず SLA の制御室から遠隔操作されている SLB で採掘される未処理の天然ガス流は SLT まで 12km をパイプライン輸送され そこで CO2 は回収 除去される 高圧の天然ガス流から CO2 を除去するための CO2 除去プロセスにはアミン洗浄技術が用いられる 天然ガス流は 2 基の接触塔に底部から入り 上部から抜ける 天然ガスを処理するアミン溶液 (MDEA と水 ) は 天然ガス流と逆流し 溶液がタワーの底部に到達した時点で CO2 の大半を吸収している 続いて 主にフラッシュ再生により CO2 を除去する CO2 の分離は SLT の 1 つに設置された装置により行われ この装置は熱交換器 圧力容器 貯留タンク ポンプ ペルトンタービン及びフィルターから構成されている その後アミンは再度 CO2 を回収するために接触塔へと送られ 再循環する アミン処理プロセスから放出されるエネルギーにより 2 機の発電機を稼働させており そこで 6MW の電力を発電している 発電した電力はプラットフォームにおいて自家消費される CO2 モジュールの重さはおよそ 8,200 トン 高さは約 35m となっている もう一つの SLT モジュールはガス処理に用いられる CO2 除去後 天然ガスは欧州大陸へと輸送するため SLA へと送られる CO2 は Utsira 帯水層に圧入するために SLA へと送られる 採掘された天然ガスのうちの数 % も コンデンセート採掘を促進するため東スライプナー貯留層に再圧入される CO2 リソース天然ガスに含有される CO2 事業概要採掘された天然ガスに含まれる CO2 を スライプナー T(SLT) 処理プラットフォームにおいて アミン法により分離 回収する 回収した 63

64 CO2 は圧縮した後 海底下の Utsira 層に圧入され 貯留される 図 7 スライプナー油田プラットフォーム写真 ( 出典 :Statoil Web サイト ) 3 輸送実施地域ノルウェー南西部北海中部スタバルゲン沖合実施主体 Statoil 事業資金 N/A 事業期間 1996 年 ~ 技術概要パイプライン輸送 ( 詳細不明 ) 事業概要天然ガスに含有される CO2 は採掘されたサイトで処理され 再び海底下に圧入される CO2 の輸送にはパイプラインが用いられるが 実質的な CO2 輸送距離はほとんどない ( プラットフォーム間の移動及び海底下の貯留サイトまでの輸送 ) 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 ノルウェー南西部北海中部スタバルゲン沖合 Statoil N/A 1996 年 ~ 回収された CO2 は SLT において 4 基の CO2 圧入圧縮システムによって圧縮される 4 段階の圧縮により 66bara まで圧縮された後 冷却され SLA へと送られる SLA で圧入する段階の圧力は 65bara となっている SLA では 圧入モジュールにより Utsira 層の海底下 1000m の地点に圧入され 貯留される 64

65 CO2 用途 事業概要 永久貯留回収された CO2 は圧縮された後 SLA から Utsira 層の海底下 1000m の地点に圧入され 貯留される CO2 の貯留サイトである Utsira 層は 海底下 800~1000m の深度にある厚さが 200~250m ほどある巨大な砂岩層である Utsira 層は 6000 億トンの CO2 貯留キャパシティがあると推定されており 現在は年間 100 万トンの CO2 が貯留されている 東スライプナー地域をカバーする 3D 地震探査データにより Utsira 層のマッピングが行われている 地震探査データにより Utsira 貯留層における CO2 の存在及び CO2 ガスの移動をモニタリングしており 完全なモデル化が実施されている 本サイトでは ノルウェー産業科学技術研究所 (SINTEF) ノルウェー科学技術大学をはじめ 多数の国際的な研究機関による調査 研究事業が進められており 2008 年 6 月に行われた地震実験では 貯留が計画通りに行われていることが実証されている 図 8 コンプレッサー概要 1 65

66 図 9 コンプレッサー概要 2 図 10 コンプレッサー写真 ( 図 8~ 図 10 出典 :Statoil Web サイト ) 66

67 (2)Snøhvit CO2 Injection 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業 天然ガス(LNG) の生産 天然ガスに含まれる CO2 の分離 回収及び地下貯留 炭素税による課税負担の軽減実施主体 :Statoil ノルウェー政府ガス田の権益の所有は Statoil(36.79%) Petoro AS(30%) Total E&P Norge(18.40%) GDF Suez Norge(12%) RWE Dea Norge(2.81%) となっている ノルウェー北部バレンツ海 Snovit ガス田 Finmark 州 Hammerfest 近郊の Melkøya 島 2008 年 ~ N/A ノルウェー北部バレンツ海の Snovit ガス田で採掘された天然ガスは 143 キロメートル離れた Melkøya 島に建設される LNG 精製施設までパイプラインで輸送される 同施設で生産された LNG は欧州や米国へ輸出される 同施設ではアミン法によって CO2 を回収し これを海底下に敷設した約 153 キロメートルに及ぶパイプランで Snovit ガス田まで戻し 地下 2,500 メートルに位置する Tubåen 層と呼ばれる多孔質の砂岩層へ圧入する Snovit ガス田で採掘される天然ガスは CO2 を 5~8% 程度含有している 天然ガスの輸出に当たっては -163 程度まで冷却し 液化させて船舶輸送するが その際に CO2 が混入しているとパイプを詰まらせる等の被害が生じるため 予め除去する必要がある このため 本プロジェクトでは CO2 を分離 回収し 貯留している 本プロジェクトは 2002 年から開発作業が実施され 2004 年から 2005 年にかけて 圧入井を掘削 2005 年から 2006 年にかけて採掘井を掘削した スノービッツプロジェクトでは 2008 年 4 月以降 CO2 の貯留が開始されている 貯留の規模は年間約 70 万トン CO2 となっており 2012 年 4 月時点で 110 万トンが貯留されている 67

68 図 11 プロジェクトサイト地図 図 12 プロジェクトサイトイメージ図 68

69 図 13 プロジェクト概要イメージ ( 図 11~ 図 13 出典 :Statoil 資料 : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 Finmark 州 Hammerfest 近郊の Melkøya 島 Statoil ノルウェー政府 N/A 2008 年 ~ LNG 精製プラント内の CO2 分離 回収装置では MDEA の水溶液を用いたアミン法による CO2 分離 回収が行われている 天然ガスに MDEA 水溶液を接触させて CO2 を回収し MDEA に吸着した CO2 は減圧および加熱により除去される 再生したアミンは 再度 CO2 を回収するために再循環させる 回収した CO2 はパイプライン輸送のため 脱水し 圧縮される 天然ガスに含有される CO2 Snovit ガス田で採掘され Melkøya 島にある LNG 精製プラントまでパイプライン輸送された天然ガスに含まれる CO2(5~8% 程度 ) は 同プラント内にある CO2 回収装置において アミン法により分離 回収 69

70 される 本プロジェクトでは 2000t/ 日の CO2 が回収 貯留されている 図 14 天然ガス精製プラントレイアウト図 ( 出典 :Statoil 資料 : 3 輸送実施地域 Melkøya 島 ~ノルウェー北部バレンツ海 (Snovit ガス田 ) 実施主体 Statoil ノルウェー政府事業資金 N/A 事業期間 2008 年 ~ 技術概要 LNG プラントの CO2 分離 回収設備にて回収した CO2 は パイプライン輸送するために乾燥し 150bar まで圧縮する その後 CO2 パイプラインにより 貯留サイトまで約 153 km の距離を輸送する CO2 パイプラインは海底下約 0.5m に埋設されており 内径は約 200mm 全長は約 160km となっている 事業概要 LNG プラントにて分離 回収された CO2 は圧縮され 海底下に敷設された CO2 輸送用パイプラインによって Snovit ガス田まで約 153km 輸 70

71 送される 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 ノルウェー北部バレンツ海 Snovit ガス田 Statoil ノルウェー政府 N/A 2008 年 ~ CO2 輸送用のパイプラインで Snovit ガス田まで輸送された CO2 は 地下 m の深度にある Tubåen 層と呼ばれる多孔質の砂岩層へ圧入される 圧入は Snovit ガス田に設置された 1 基の F-2H CO2 インジェクターによって行われており 圧入量は約 2000t/ 日となっている また 圧入する CO2 ガスの純度は約 99% となっている Snovit ガス田における天然ガス採掘 CO2 貯留施設は海面下にあり Melkøya 島にある地上施設から遠隔操作する形となっている 永久貯留輸送された CO2 は 地下 2,500 メートルに位置する Tubåen 層と呼ばれる多孔質の砂岩層へ圧入する Tubåen 層の上部には頁岩層が横たわっており キャップとして機能する 本サイトでは CO2 の動態を調査するため 4D 地震探査を含むモニタリングプログラムが実施されている このプログラムは EU の資金援助を受けている 71

72 図 15 天然ガス精製プラントレイアウト図 ( 出典 :Statoil 資料 : 72

73 (3)Full-scale CO2 Capture Mongstad (CCM) 1 事業概要 : 事業の種類実証事業事業目的 Mongstad 製油所の効率化 製油所及び新設される熱電併給発電施設からの CO2 の回収 貯留実施主体第 1 フェーズ :The European CO2 Test Centre Mongstad (TCM) TCM は Gassnova( ノルウェー政府 )(75.12%) Statoil(20%) Shell (2.44%) Sasol(2.44%) による JV 第 2 フェーズ :Statoil ノルウェー政府実施地域 Bergen 近郊の Mongstad~ 北海沖合事業期間 2010 年に関連施設の建設着手 第 1 フェーズの CO2 回収は 2012 年 5 月に開始 第 2 フェーズは 2020 年から操業開始予定事業総額 / プロジ事業総額は不明だが The European CO2 Test Centre Mongstad (TCM) ェクトの種類への投資総額は 10 億 USD となっている プロジェクト概本プロジェクトはノルウェー政府と Statoil が共同で実施する 世界最要大規模の CCS プロジェクトである ノルウェー Bergen 近郊に位置する既存の Monstad 製油所に新たに熱電併給発電施設 (280MW の電力と 350MW の熱を供給 ) と CO2 回収施設を建設し Mongstad 製油所及び熱電併給発電施設から排出される CO2 を回収し 貯留する 技術 経済面でのリスク低減のため 第 1 フェーズと第 2 フェーズの 2 段階に分けて実施し 第 1 フェーズの結果を踏まえて 2016 年に第 2 フェーズへの投資判断を行う 第 1 フェーズでは CO2 回収技術について実証を行う 熱電併給発電施設と CO2 回収施設を建設し 年間 10 万トンの CO2 を回収する CO2 回収には 冷却アンモニア技術 (CO2 回収量は年間 8 万トン ) 及び アミン洗浄技術 ( 回収量は年間 2 万トン ) 等を導入予定となっている 第 2 フェーズでは フルスケール ( 年間 130 万トン ) で CO2 回収を実施することが計画されている これらの回収技術は 石炭火力発電所や天然ガス発電所への導入が可能となり これらの発電施設からの温室効果ガスの排出削減技術として適用が可能である 第 2 フェーズにおけるフルスケールプラントの規模及びタイプに関する最終決定は 2014 年中に行われる予定となっている その後 詳細のエンジニアリング及び建設を開始する予定となっている CO2 の輸送及び貯留に関しては Gassnova が調査 評価を行っており 73

74 貯留サイトとして ノルウェー大陸棚にある Johansen 層及び Troll Kystnær 層が検討されている 図 16 プロジェクトサイト地図 ( 出典 :Statoil Web サイト ) 図 17 Mongstad 製油所写真 ( 出典 :TCM 資料 /mongstad.pdf) 74

75 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 Bergen 近郊の Mongstad 第 1 フェーズ :The European CO2 Test Centre Mongstad (TCM) 第 2 フェーズ :Statoil ノルウェー政府詳細不明 2012 年 ~ CO2 分離 回収について 総合的な評価を行った結果 TCM は Alstom の冷却アンモニアプロセス及び Aker Clean Carbon (ACC) のアミンプロセスを採用することとした いずれの技術も燃焼後回収技術であり 燃焼排ガスから CO2 を回収するために溶媒を用いる技術である いずれの技術も製油所の熱分解装置及び熱電併給プラントから排出される排ガスから 85% の CO2 を回収するように設計されている それぞれの技術概要は次の通り 冷却アンモニア技術燃焼排ガス冷却 : 燃焼排ガスは排ガス調整ユニットにおいて処理され ガス中の水分及び残留物が凝縮される これによりガスの容量は減少する 吸収装置 : 処理された燃焼排ガスは吸収装置へと送られる ここで燃焼排ガスはアンモニア水溶液と接触し 重炭酸アンモニウムを形成され CO2 が吸収される 処理されたガスはさらにアンモニアガスを回収するため吸収塔へと送られた後 浄化され 大気に放出される 高圧再生器 :CO2 を大量に含有したアンモニア溶液は加圧され 再生塔へと送られる そこで加熱され CO2 は溶液から分離する その後 CO2 は輸送 貯留するためにさらに圧縮される アンモニア溶液は吸収装置へと再度送られて 再利用される アミン技術 Aker Clean Carbon のアミン技術は アミンの改善 省エネ化及び排出制御等の様々な技術改善が行われており 同社のフレキシブルアブソーバーはおよそ 60m の高さでコンクリートライナーを伴うコンクリートによって建設される 吸収剤 :CO2 を含む燃焼排ガスは吸収塔へと送られる 燃焼排ガスは吸収塔の底部から上方へと向かう中で上方から下方へと向かう液体アミンと接触することにより CO2 が燃焼排ガスから吸収される 水による洗浄 :CO2 が吸収された後 排ガスは吸収塔の上部で洗浄され アミンが除去される その後ガスは大気中に放出される 再生塔 :CO2 を吸着したアミン溶剤は熱交換器を経由し再生塔へと送ら 75

76 CO2 リソース 事業概要 れ CO2 が分離される その後 CO2 は輸送 貯留のために圧縮される アミン溶剤は吸収塔へと送られ 再利用される TCM におけるアミンプラントには製油所の熱分解装置の燃焼排ガス用に設計された再生塔と熱電併給の排ガス用に設計された再生塔の 2 種類の専用再生塔が装着される予定となっている 製油所の熱分解装置及び熱電併給プラントから排出される排ガス既存の Monstad 製油所及び新設される熱電併給発電施設に CO2 回収施設を建設し 製油所及び熱電併給発電施設から排出される CO2 を分離 回収し 貯留する CO2 の分離 回収には Alstom の冷却アンモニアプロセス及び Aker Clean Carbon (ACC) のアミンプロセスが採用されることとなっており Alstom による冷却アンモニアプロセスのテスト期間は 18 カ月 Aker Clean Carbon によるアミンプロセスのテスト期間は 15 カ月の計画となっている なお 現在 第 2 フェーズにおいて CO2 回収のために採用する技術を選考するための 技術評価プログラムが実施されている これは第 2 フェーズで計画されているフルスケールの CO2 回収において採用する技術を提供する企業の選考プログラムであり Mongstad にある熱電併給プラントにおいて排出される CO2 を回収するため 少なくとも 1 つ以上の CO2 回収技術が採用される 2011 年 11 月 Gassnova は初期選考に参加する企業として 次の 4 社を発表した : 三菱重工 ALSTOM Carbon Capture Siemens Aker Clean Carbon と Huaneng-CERI Powerspan による JV 技術評価プログラムはフィジビリティスタディフェーズ 実証フェーズ及びコンセプトフェーズ ( 概念設計フェーズ ) の 3 段階に分かれており 技術選定で選ばれた企業が FEED フェーズへと移行する予定となっている 2012 年 10 月 ~11 月にかけて 三菱重工 ALSTOM Siemens はそれぞれコンセプトフェーズへと進んでいることを発表している 76

77 図 18 CO2 回収設備概要 ( 出典 :TCM 資料 /mongstad.pdf) 図 19 CO2 回収システム概要図 ( 出典 :TCM Web サイト ) 77

78 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 Mongstad~ 北海沖合の Johansen 層又は Troll Kystnær 層第 1 フェーズ :The European CO2 Test Centre Mongstad (TCM) 第 2 フェーズ :Statoil ノルウェー政府詳細不明未定 Mongstad で分離 回収された CO2 はパイプラインにより貯留サイトまで輸送される予定となっている CO2 パイプラインは 10 インチ又は 12 インチのものが採用される予定となっている パイプラインは海底下に敷設される予定であり 現在詳細なエンジニアリングが進められている 第 1 フェーズは回収技術の実証のため CO2 の輸送 貯留は計画されていない 第 2 フェーズにおける CO2 輸送 貯留は Gassnova が主体となって行う予定であり 現在 サイトに関する調査 評価等を進めている Mongstad からの CO2 輸送については Gassco( ノルウェー国内のガスパイプライン管理組織 ) が検討を行っている Mongstad から北海沖合にある Johansen 層及び Troll Kystnær 層までのパイプラインルートについては既に検討済みであり 詳細なエンジニアリングが行われている段階である これらの地域の海底面は深く また平坦でないことから 慎重な検討が行われている 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 北海沖合海底下の Johansen 層又は Troll Kystnær 層第 1 フェーズ :The European CO2 Test Centre Mongstad (TCM) 第 2 フェーズ :Statoil ノルウェー政府 N/A 未定詳細未定永久貯留第 1 フェーズは回収技術の実証のため CO2 の輸送 貯留は計画されていない 第 2 フェーズにおける CO2 輸送及び貯留については Gassnova が主体となって行う予定であり 現在 サイトに関する調査 評価等を進めている 現在は Mongstad プロジェクトにおける CO2 貯留に係る投資判断の材料を得ることを目的として 候補となっている貯留層の評価や CO2 貯留に係るコスト評価等を行っている 78

79 CO2 貯留サイトの候補として挙げられているのは ノルウェー大陸棚にある Johansen 層及び Troll Kystnær 層である Johansen 層は Mongstad の沖合にある Troll ガス田の南部に位置する地層である Troll Kystnær 層は Troll ガス田の西側にあり 同サイトでの石油生産は最終段階にある 今後さらに詳細な調査を行い 202 年末には貯留サイトを選定し 2013 年に検証用の井戸を掘削する予定となっている 図 20 貯留サイト地図 79

80 図 21 CO2 貯留イメージ ( 図 20 図 21 出典 :Sintef 資料 : onferansen%202011vs1%20-%20final%2015%2006.pdf) 80

81 (4)Industrikraft Möre AS Norway 1 事業概要 : 事業の種類商業事業事業目的 CCS を伴う天然ガス発電プラントの建設 オペレーションを行う 実施主体 Sargas Industrikraft Møre AS(Norsk Mineral AS(17%) Tafjord Kraftproduksjon AS(50%) Hustadmarmor AS(33%) による事業会社 ) なお 2011 年に Sargas は Industrikraft Møre AS の株式の 89% を購入している 実施地域ノルウェー西岸 Fræna Elnesvågen 事業期間 2016 年 ~オペレーション開始予定事業総額 / プロジ N/A ェクトの種類プロジェクト概 CO2 回収を伴う 450 MWe の天然ガス発電プラントを新たに建設する事要業 CO2 回収には Sargas が所有する Stargate 250 燃焼後回収技術が採用され 年間 100 万トンを上回る CO2 が回収される予定となっている 回収した CO2 は EOR 事業に用いること等が検討されているが 現時点では未定となっている なお ノルウェーでは規制により 商業規模の発電プラントを新設する際には CCS を装着することが義務付けられている 図 22 プロジェクトサイト地図 81

82 図 23 プロジェクトサイト写真 ( 図 22 図 23 出典 :Industrikraft Møre 資料 %20Industrikraft%20M%C3%B8re.pdf) 図 24 プラント写真 ( 出典 :GE LMS100 ガスタービン Web サイト ) 82

83 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 ノルウェー西岸 Fræna Elnesvågen Sargas Industrikraft Møre AS N/A 2016 年 ~オペレーション開始予定天然ガスプラントのガス化炉には GE の LMS100 航空転用型ガスタービンが採用される Sargas と GE は提携し GE の LMS100 航空転用型ガスタービンと Sargas の CO2 燃焼後回収技術である Stargate 250 を組み合わせることにより 天然ガス焚き発電プラントにおいて燃焼排ガスから 90% の CO2 を回収し EOR 等に使用するシステムを本プラントで採用する LMS100 は加圧燃焼ガスを効率的に製造することが可能であり この燃焼ガスが Sargas の CO2 スクラブシステムに動力を提供する仕組みとなっている 天然ガスは高温で燃焼された後 加圧燃焼ガスは高効率の加圧浄化ユニットにおいて浄化され CO 及び NOx 除去ユニットで CO NOx が除去される その後安定した非揮発性の無機物吸収剤により CO2 を分離 回収する この CO2 回収ユニットはエネルギー必要量が少ない この CO2 回収ユニットにより 95% 超の亜臨界状態 (6600 Btu/kWh) の CO2 を効果的に回収することができる 加圧洗浄ユニットでは 選択接触還元 (SCR:Selective Catalytic Reduction) 法により残留している NOx の 50% を回収することができる また このユニットでアンモニアは全量回収される さらに 長時間の燃焼と選択的酸化触媒により CO の排出量も低減される バーナーで長時間燃焼することと併せ CO2 吸収剤の中には有機性 揮発性成分が含まれていないことから 揮発性有機化合物も実質的にゼロとなる Sargas はこの CO2 回収プラントにより発電コスト及び CO2 回収コストの削減が可能であるとしている 天然ガス焚き発電に伴って排出される CO2 本プロジェクトでは Trondheimsfjorden の一部に CCS を伴う熱電併給プラントを新たに建設する このプラントではノルウェー中部沖の Haltenbanken で産出される天然ガスを使用し 450MWe の発電を行うとともに Sargas の CO2 燃焼後回収技術である Stargate 250 により プラントから排出される CO2 の 90% 超を回収する プラントにおける CO2 排出量は 120 万トン / 年であり そのうちの 100 万トン / 年を回収する計画となっている プラントで分離 回収する CO2 は Halten Terrace 及び Nordland Ridge 83

84 の東部及び南部に位置する炭化水素エリアである Trøndelag Platform に圧入することが検討されている 図 25 プラント完成イメージ 図 26 天然ガス発電プラント /CO2 回収装置 3D イメージ ( 図 25 図 26 出典 :Industrikraft Møre Web サイト ) 84

85 図 27 CO2 燃焼後回収技術 Stargate 250 設備概念図 ( 出典 :Sargas Web サイト ) 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 ノルウェー西岸 Fræna Elnesvågen~ 未定 Sargas Industrikraft Møre AS N/A 2016 年 ~オペレーション開始予定未定プラントで分離 回収した CO2 は CO2EOR 尿素生産等に活用されることが検討されているが 現時点では未定となっている 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 未定 Sargas Industrikraft Møre AS N/A 2016 年 ~オペレーション開始予定未定未定現時点では 売電費用のみでは CO2 回収を伴うプラントのコストを回 85

86 収できないことから プラントを経済的に実現可能なものとするために CO2 を EOR 事業用又は尿素生産等の目的で販売することにより CO2 に実質的な価値を持たせる必要があり 現在検討が進められている CO2 貯留サイトの調査については CO2STORE(EU による第 5 次枠組みプログラムのプロジェクト ) の調査活動の一環として行われており Trøndelag Platform における貯留対象となる帯水層である Beitstadfjorden Basin 及び Frohavet Basin の貯留キャパシティ調査 CO2 挙動予測のモデル化 シミュレーション及び CO2 貯留の安全性及び安定性の調査及び評価等が行われた また 2012 年後半にも ノルウェー海における CO2 貯留ポテンシャルの調査が実施されることとなっている 図 28 貯留サイト地図 ( 出典 :CO2STORE 資料 796c9cc6be86c6edc1256df6004cb064!OpenDocument) 86

87 英国 (1)Don Valley Power Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業商業目的の発電事業事業主体は 2Co Energy Limited Shell, BOC/Linde GE が技術供与 Samsung C&T BOC が出資サウスヨークシャードンカスター近郊の Stainforth 2016 年 ~ 事業総額 :50 億ポンド CCS プラントサイトに 30 億ポンド超 沖合の施設に 10 億ポンド さらに数億ポンドが 400km のパイプラインに投資される予定であり 事業総額はおよそ 50 億ポンドと見積もられている 本プロジェクトは EU の European Energy Programme for Recovery (EEPR) から既に 1.8 億ユーロの補助金を受けている英国で唯一のプロジェクトであり 現在さらに EU の NER300 プログラムにも申請している また 英国政府の 2012 年 CCS 開発プログラムにも申請している ( 2012 年 10 月 30 日に発表された一次選考において 落選している その理由としては 本プロジェクトは規模が大きすぎて政府のコンペの基準に満たなかったから とされている NER300 の候補リストからも外れている ) 本プロジェクトはサウスヨークシャーの Stainforth に新設される IGCC 発電プラントに燃焼前 CO2 回収技術を装着するものである 石炭ガス化プラントに CO2 回収装置を取り付けることにより 水蒸気と併せて発電用の水素リッチガスを供給する 既存の発電プラントのリタイアメントが英国の電力需給バランスにおいて重要な課題となる中で このプラントは 2016 年末までに グロス出力 920MW( ネット出力およそ 650MW) の追加的な低炭素ベースロード電力を発電する予定となっている 本プラントは低炭素電力を英国の 100 万世帯に供給する 英国で最大の CCS プロジェクトである CCS プラントは初期において少なくとも 90% の CO2 を回収 ( 最大 500 万トン / 年 ) する予定であり 回収したガスは圧縮され National Grid のパイプラインによって約 400km 輸送され 北海の海底下約 3km の地点 87

88 に永久的に貯留される予定となっている なお 2Co Energy は プロジェクトの実施には政府及び EU の資金援助が不可欠としており 最終的な投資判断は 2012 年末に公表予定の英国政府の CCS 開発プログラム及び NER300 の選考結果を受けて 2013 年に行うとしているが 2012 年 10 月 30 日に英国政府より公表された選考の結果 本プロジェクトは選考から外れた 同社は目下 EU からの資金援助を受けている現在のフェーズを完了させるとしているが 今後の見通しは立っていない 図 29 プロジェクトイメージ ( 出典 :2Co Energy Web サイト ) 2 分離 回収実施地域サウスヨークシャードンカスター近郊の Stainforth 実施主体 2Co Energy Limited 事業資金 30 億ポンド超事業期間 2016 年 ~ 技術概要新設される IGCC+CCS プラントは 以下の設備から構成されている : シフトリアクター ガス化ユニット 冷却ユニット 硫黄回収ユニット CO2 コンプレッサー 冷却塔 排熱回収ボイラー (HRSG) 及び排気筒 タービンホール 水分発生 貯蔵プラント 管理制御棟 88

89 CO2 リソース 事業概要 発電プラントは水素リッチ水蒸気ガスを発電に用いる タービンは GE が供給し ガス化炉は Shell 酸性ガス除去システムは UOP が供給することとなっている 石炭ガス化ユニットから排出されるガスからおよそ 90% の CO2 が回収される予定となっている 2010 年 10 月に AFC Energy と B9 Coal は発電プラントに燃料電池技術を採用する契約を締結している AFC Energy のアルカリ燃料電池はシンガスの水素を用いることによりプラントの効率を 60% まで高めることができるとされている 2012 年 1 月 同社はプロジェクトマネジャーとして Foster Wheeler と契約をした 同年 3 月には Samsung が本プロジェクトの 15% の株式を保有することを発表した 併せて Samsung とは EPC 契約を締結した 同年 6 月には 工業ガスメーカーで Linde グループ傘下の BOC が本プロジェクトの 15% の株式を獲得するとともに FEED 業務を請け負うこととなった また BOC の親会社である Linde が空気分離ユニットおよび酸素回収技術の供給を請け負うこととなった 2012 年 8 月 Foster Wheeler はプロジェクトの FEED 業務に参画するための契約を獲得している IGCC プラントにおいて石炭ガス化のプロセスで発生する CO2 サウスヨークシャーの Stainforth に新設される IGCC 発電プラントに燃焼前 CO2 回収技術を装着するものである 石炭ガス化プラントに CO2 回収装置を取り付けることにより 水蒸気と併せて発電用の水素リッチガスを供給する 図 30 分離 回収 (IGCC+CCS) プラントイメージ ( 出典 :2Co Energy Web サイト ) 89

90 3 輸送実施地域 Stainforth~ 北海油田実施主体 2Co Energy Limited 事業資金数億ポンド ( 詳細不明 ) 事業期間 2016 年 ~ 技術概要サウスヨークシャーの Stainforth で回収された CO2 はパイプラインで約 90km 北西の北海沖合まで輸送される その後さらにパイプラインによって沖合を約 300km 輸送され 最終的な貯留地まで届けられる計画となっている CO2 輸送用パイプラインについては National Grid は Yorkshire and Humber carbon capture transportation and storage project と称して地域の CO2 排出源を連結させるパイプラインの敷設プロジェクトを展開している 本プロジェクトは Stainforth にある Don Valley 発電プラントから北海沖合の海底における貯留サイトまで パイプラインで CO2 を輸送するものであり このパイプラインによって地域の CCS ネットワークの土台を形成し 年間数千万トンの CO2 を輸送するポテンシャルを持たせるとしている パイプライン敷設に係る地上設備として コンプレッサーステーション ポンプステーション ブロックバルブの設置が計画されている コンプレッサーステーションは CO2 をパイプライン輸送する前に 150barg まで圧縮し 液化させるために用いられる まだ初期段階における設計のため コンプレッサーはおよそ 270m x 370m の範囲に設置されることのみが決まっており そこには 15m 幅の植樹帯及びおよそ 240m x 340m の安全柵が含まれている ポンプステーションは CO2 を北海沖合の海底下にある貯留サイトに輸送する前に 沿岸部付近で再度加圧するために用いられる ポンプステーションは塩害による腐食を防ぐため 沿岸部から 200m 以上離れた場所に設置される まだ初期段階における設計であるため詳細は示されていないが 270m x 340m の土地が確保されており そこには 15m 幅の植樹帯が含まれている パイプラインの安全な操業及びメンテナンスのため ブロックバルブが用いられる ブロックバルブ自体は地中に埋められるが アクセスのため 地上の設備が必要となる それぞれのブロックバルブサイトは 65m 65m で設置され さらに 15m 幅の植樹帯が周囲を囲むため 合計で 80m 80m となる予定である 事業概要 2Co は National Grid と協力して回収した CO2 をパイプラインで輸送 90

91 し 北海の油田に永久的に貯留する検討を行っている 輸送距離は合計で約 400km の予定となっている プロジェクトの実施にあたり National Grid は 2012 年 6~7 月にかけて パイプラインコリドーの予定ルートを公開して市民協議 (public consultation) を行っている 今後 2013 年中には最終的なルートを決定し 政府の許可を得た上で 2014 年からの建設開始を計画している 図 31 輸送用パイプラインルート 図 32 コンプレッサーステーションイメージ 91

92 図 33 ポンプステーションイメージ 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 図 34 ブロックバルブイメージ ( 図 31~ 図 34 出典 :National Grid Web サイト ) 北海の枯渇油田 2Co Energy Limited 貯留インフラに 10 億ポンド 2016 年 ~ CO2 を EOR に用いる 技術詳細は未定 CO2EOR CO2 の貯留に関して 2Co は北海の石油企業である Talisman Energy と共同して Talisman が北海中部に所有する油田の 2 か所において CO2 貯留を行うことを検討している 2Co は回収した CO2 を油田に圧入することにより 枯渇油田に残存し 92

93 ている石油を回収する提案 (EOR) をしている これにより 最大 15% の増進回収が見込める 油田は地質学的に最良の貯留サイトであることに加え CO2 を EOR に用いることにより 本プロジェクトの経済的な実行可能性が高まる CO2 を EOR に用いることにより 本プロジェクト及び他の CO2 を大量に排出する産業は 回収した CO2 をゼロコストで安全に永久的に貯留することができると見られている 回収した CO2 を廃棄物としてではなく 商業利用として活用することにより 数十億の石油製品への課税収入を政府に納めることが可能となる この EOR 技術によって これまで英国における CCS 開発の障壁となっていた 高額な初期のインフラ及び貯留コストを埋め合わせることが可能となり また CCS を他の低炭素発電に対してコスト競争力のあるものにすることが可能となる 現在 2Co はスコットランド政府 スコットランド企業等と共同し 北海における CO2-EOR のポテンシャルについて評価を行っている 93

94 (2)C.GEN North Killingholme Power Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業英国のエネルギー需要に対してよりクリーンな発電により対応することにより 英国の電力需要及び炭素排出削減目標の達成に貢献する C.GEN Killingholme Ltd (C.GEN) 北リンカンシャー州ノースキリングホルム近郊ハンバー川河口地域南岸部 2016~2017 年に操業開始予定 N/A 本プロジェクトは炭素回収 貯留技術のレトロフィットを可能とする形で 470MW のガスタービン複合発電 (CCGT) 又は石炭ガス化複合発電 (IGCC) のいずれかを新設するものである この発電プラントは 既存の石炭火力発電プラントと比較して少なくとも 50% 以上 CO2 排出量を低減させることにより 英国の炭素排出削減目標に貢献する また 発電に加え 熱電併給システム (CHP) により 蒸気及び熱水を地域の企業及び住民に対して提供することが可能である この発電プラントでは CCGT プラントの場合には天然ガスから発電を行う IGCC プラントの場合には石炭 石油コークス バイオマス等の固形燃料を用いてガスタービンでシンガスを製造する また いずれの場合にも炭素回収機能を装着する なお 本プロジェクトは 炭素回収レディー であり 炭素回収 貯留のためのインフラが整備され 技術的 商業的に実現可能となった時点で CO2 輸送ネットワークに連結させるオプションを有している Foster Wheeler による概念検討が 2008 年 4 月に完了している この時点では 石炭ガス化及び複合サイクルプラントについて 12 のシナリオを検討し 最終的には IGCC プラントが有力であるとの結論を得た 引き続き 詳細なフィジビリティスタディを 2008 年 7 月から開始しており 2011 年 3 月に終了させている それをもとに実現可能な段階から 詳細設計及びエンジニアリングが進められている (CO2 の輸送及び貯留 又は CCS がオペレーションの時点で商業的に実現可能でない場合を考慮 ) また 段階的な建設について調査 検討を行っている 現在 基本設計 (FEED) が進められており 2013 年中に終了予定となってい 94

95 る なお プロジェクトの許認可手続きは 2010 年から Parsons-Brinkerhof によって進められている また 2012 年 5 月 ~6 月にかけて建設申請中の地域周辺を対象とした情報公開及び地域住民協議 (Local Community Consultation ) が開催された 図 35 プロジェクトサイト地図 ( 出典 :C.GEN Web サイト ) 95

96 図 36 プラント全体イメージ ( 出典 :North Killingholme Power Project 環境影響評価書 ) 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 北リンカンシャー州ノースキリングホルム近郊ハンバー川河口地域南岸部 C.GEN N/A 2016~2017 年 ~ 計画中の IGCC プラントの概要は以下のとおりとなっている 初期段階には 1 つのモジュールで最大 520~570MW のネット出力となる予定であり 併せて 5~7t/ 時間の H2 を製造する 燃料としては 非在来型の無煙炭 ( 低融解温度等 ) 石油コークス( 最大 30% まで混焼 ) 持続可能なバイオマス( ウッドチップ 最大 30% まで混焼 ) を予定しており 無煙炭は最大 5000t/ 日の投入を予定している 石炭は船舶輸送し サイトにて荷降ろしするか 近隣の港から輸送し C.GEN の貯炭所に貯蔵することを予定している CO2 回収容量は t/ 日であり 回収した CO2 はパイプライン又は 96

97 CO2 リソース 事業概要 船舶により輸送する予定となっている 選択式触媒還元脱硝装置 (SCR) を伴った排熱回収ボイラ (HRSG) が組み込まれており 可能であれば 近隣のプラントに対して熱交換を行うことも計画されている 本プラントにおける発電ステーションは 1 つ以上のガスタービン 1 つ以上の蒸気タービン及び排熱回収ボイラ (HRSG) から構成されている 排熱回収装置は発電のためにタービンプラントで用いられる高圧蒸気を製造する ガスタービンは天然ガス又は水素を燃料として燃焼させるように構成される いずれの燃料ガスが用いられた場合でも それらの燃料ガスはガスタービン内の燃焼チャンバーで燃焼され タービンを回し発電装置を稼働させる その後高温の燃焼排ガスは排熱回収ボイラに送られ 複数の圧力レベルで蒸気を製造する この蒸気は蒸気タービンプラントにおいて発電のために用いられる 蒸気タービンで使用された蒸気はコンデンサーに送られ 凝縮された後 排熱回収ボイラで再利用される コンデンサーで用いられる水は汲み上げ用のパイプラインによってハンバー川から汲み上げるか 又は市街地の水道本管へと連結して給水する 冷却には多様な方法があり 現在利用可能な最善の方法 (BAT) について検討している ガス化プラントでは 固形燃料を高温 高圧の状況下で燃焼させ CO と水素を主成分とする可燃性のシンガスを製造する その後酸素が ASU から供給される シフトリアクターでは CO と水を水素と CO2 に転換し その後 CO2 は回収される 酸性ガス除去 (AGR) セクションでは ガス化炉で製造された CO2 及び硫化水素を主成分とする硫黄化合物が溶媒によって吸収される その後 水素リッチなシンガス流 ( 水素含有量 80~90%) はガスタービンに送られ 利用される CO2 と硫黄化合物を含んだ溶媒は選択式再生プロセスへと送られ それぞれ回収される その後 CO2 は圧縮ユニットに送られて圧縮された後 貯留サイトに向けてパイプラインシステムへと送られる 硫化水素は硫黄元素へと変換されプロジェクトの副産物として商業的に売却される IGCC プラントにおいてガス化に伴い発生する CO2 C.GEN は出力石炭ガス化複合プラント (IGCC) の新設を予定している プラントの燃料は無煙炭 石油コークス及びバイオマス ( ウッドチップ ) を予定しており 年間およそ 250 万トンの CO2 を 燃焼前回収技術を用いて回収する予定となっている 97

98 図 37 IGCC プラントシステム概要図 ( 出典 :C.GEN 資料 : 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 北リンカンシャー州ノースキリングホルム近郊 ~ 北海油田 (National Grid) N/A 未定詳細未定本プロジェクトは CCS については 炭素回収レディー となっており 炭素回収 貯留のためのインフラが整備され 技術的 商業的に実現可能となった時点で CO2 輸送ネットワークに連結させるオプションを示しており詳細は未定である 現時点では National Grid が計画している North East CCS transport network(yorkshire and Humber carbon capture transportation and storage project) へと連結させることを検討している 4 貯留 実施地域 北海油田 98

99 実施主体未定事業資金 N/A 事業期間未定技術概要詳細未定 CO2 用途未定 ( 永久貯留又は CO2EOR として利用を検討 ) 事業概要本プロジェクトは CCS については 炭素回収レディー となっており 炭素回収 貯留のためのインフラが整備され 技術的 商業的に実現可能となった時点で CO2 輸送ネットワークに連結させるオプションを示しており詳細は未定であるが 北海沖合の海底下の塩性帯水層に貯留するか 枯渇油田において EOR として活用すること等を検討している National Grid が計画している North East CCS transport network (Yorkshire and Humber carbon capture transportation and storage project) への連結を検討しており その場合には北海沖合の枯渇油田において EOR として用いられることとなる 99

100 (3)Peterhead Gas CCS Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 実証事業本プロジェクトの実施を通じて 将来的に既存のガス火力発電所に CCS をレトロフィットする際の知見を得る また プラントが北海の貯留サイトから近く 既存のパイプラインインフラにもアクセス可能であるという利点を生かし ガス火力発電 CCS プロジェクトの開発コストが石炭火力発電 CCS プロジェクトよりも安価であることを実証する Scottish and Southern Energy plc (SSE) Shell スコットランド Aberdeenshire 2015 年 ~ N/A 英国政府の CCS 商業化プログラムに申請中 現在一次選考を通過している SSE はスコットランドのペーターヘッドにある同社のガス火力発電所において 3 基ある既存の 385MWe ガスタービンの 1 つに CO2 燃焼後回収装置をレトロフィットする計画をしている これにより年間およそ 100 万トンの CO2 を回収し 北海の枯渇油田に貯留する予定である 2011 年 11 月 SSE と Shell は本プロジェクトを共同で実施する契約を締結したことを発表した この契約では SSE がプラントからの CO2 回収 初期段階での圧縮及び脱水工程を管理し Shell はプラントから貯留サイトまでの陸上及び沖合の CO2 輸送及び 北海にある同社の Goldeneye ガス田への CO2 貯留を担当することとなっている SSE は Shell と共にプレ FEED 業務を開始しており 完全な FEED 業務は 2012 年第 2 四半期頃終了予定となっている 本プロジェクトは 英国政府による CCS 商業化プログラムによる資金支援に申請しており 2012 年 10 月に発表された選考結果では 一次選考を通過している 今後 政府との商業交渉が予定されている 100

101 図 38 プロジェクトサイト地図 ( 出典 :Scottish and Southern Energy 資料 : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 スコットランド Aberdeenshire Scottish and Southern Energy plc (SSE) N/A 2015 年 ~ ガスタービン複合ユニットに CO2 回収装置をレトロフィットすることにより CO2 燃焼後回収を行う予定となっている 天然ガスはガスタービンにおいて燃焼した後 排熱回収ボイラに送られる その部分に直接接触冷却器 (DCC) 及び CO2 回収装置を新たにレトロフィットする 排熱回収ボイラから排出される CO2 を多く含んだ燃焼排ガスは 直接接触冷却器を経て吸収ユニットへと送られる CO2 は吸収ユニットで溶媒によって吸収された後 除去ユニットにおいて溶媒と分離され 回収される その後 パイプライン輸送のために圧縮 脱水される ガス火力発電に伴って排出される CO2 本プロジェクトは CO2 回収 輸送 貯留及びモニタリングのフルチェ 101

102 ーンを設計 開発することを目的としており SSE のペーターヘッド発電所における一基の 385MW のガスタービン複合発電ユニットから CO2 を回収することにより CO2 燃焼後回収を行うことを計画している 図 39 システム概要図 ( 出典 :Scottish and Southern Energy 資料 : 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 スコットランド Aberdeenshire~ 北海沖合 Goldeneye 枯渇ガス田 Shell N/A 2015 年 ~ プラントにて回収された CO2 は St Fergus までパイプライン輸送される その後 同地にある既存のガスターミナルに新設予定の CO2 コンプレッサーで圧縮され 北海沖合約 105 km の地点にある Goldeneye 枯渇ガス田まで 再度パイプライン輸送される予定となっている CO2 輸送に用いられるパイプラインは 天然ガス輸送用に敷設された既存のパイプラインを活用する予定となっている 102

103 事業概要 ペーターヘッドガス火力発電プラントから回収された CO2 はパイプラインにより内陸及び沖合を輸送され 北海沖合約 105 km の地点にある Goldeneye 枯渇ガス田まで輸送され 貯留される予定となっている Goldeneye 枯渇ガス田はかつて天然ガスをパイプラインで St Fergu ガスターミナルまで輸送しており 今回のプロジェクトにおいては 可能な限り既存のインフラを活用することが検討されている 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 北海沖合 Goldeneye 枯渇ガス田 Shell N/A 2015 年 ~ パイプラインによって輸送された CO2 は Goldeneye 枯渇ガス田において永久的に貯留される予定となっている Goldeneye ガス田は かつて Shell が天然ガスの採掘を行っており 今回のプロジェクトにおいて 可能な限り既存のインフラを活用することが検討されている 既存のパイプラインを用いて輸送された CO2 は 既存の圧力制御装置及び圧入用マニホールド等を用いて地中の枯渇油田へ圧入され 永久的に貯留される 永久貯留パイプラインによって輸送された CO2 は Shell がかつて天然ガスを掘削 抽出していた Goldeneye ガス田 (~2004 年 現在は枯渇ガス田となっている ) において永久的に貯留される予定となっている なお 英国の大陸棚における貯留権は The Crown Estate( 英国国王の不動産等の資産管理を行う政府系特殊法人 ) が所有しており 本プロジェクトの貯留予定地である北海の Goldeneye 枯渇ガス田の貯留権も同社の所轄となっている 2012 年 7 月 17 日 このサイトにおける CO2 の永久的な貯留に係る英国初のリース契約 (agreement for lease (AfL)) が The Crown Estate と Peterhead CCS Project の間で締結された 対象となるサイトはスコットランド北東部の沖合約 105 km の地点にある 石油ライセンスブロック 14/29a 20/4b 20/3b 地域の Goldeneye 枯渇ガス田となっている 103

104 (4)Teesside Low Carbon (Eston Grange CCS Plant) 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業 IGCC CCS プラントを新設することにより 豊富な石炭を使用して 低炭素の電力を英国に供給し 英国の電力需要に対応する Teesside Low Carbon(BOC GDF SUEZ Premier Oil Progressive Energy によるコンソーシアム ) イングランド北東部 Teesside Wilton サイト 2016 年 ~ およそ 20 億ポンド英国政府の CCS 商業化プログラムに申請しており 現在一次選考を経て次の段階に進んでいる BOC とその親会社である Linde グループは 実証された化学プロセスを用いて 石炭を水素リッチなシンガスと CO2 に変換する新たな設備の建設を予定している 新設される 850MW のガス化複合発電 (IGCC) プラントは瀝青炭を原料として用いる 燃焼前回収技術により 年間およそ 230 万トンの CO2 を 400MWe のスリップストリームから回収する 回収された CO2 は圧縮された後 海岸線近くにあるブースターポンプステーションまでの近距離をパイプラインで輸送される予定である そこで CO2 は別のパイプラインによって北海中央部の枯渇油田まで輸送され 海底下に圧入され永久的に貯留される ある程度の CO2 は今後相当量の貯留キャパシティをもたらすことが見込まれる塩性帯水層に貯留される予定となっている 沿岸部 ~ 沖合の設備等は Premier Oil と Progressive Energy が担当している 本プロジェクトでは 沿岸部まで輸送した CO2 を National Grid が計画している North East CCS transport network ( Yorkshire and Humber carbon capture transportation and storage project) に連結させることを計画している このネットワークでは 広範なクラスターから北海中央部へ輸送される CO2 を 回収不可能であった石油の抽出 (EOR) にも用いることが検討されている プラントで製造される低炭素の水素リッチシンガスは Teesside にある複数の工場等において発電のために利用される予定であり 主要な供給先は 既存の Teesside 発電所に GDF SUEZ が新たに建設予定の高効率ガスタービン複合発電プラントとなる予定である 本プロジェクトは英国政府による CCS 商業化プログラムに申請してお 104

105 り 2012 年 10 月に発表された一次選考結果により 次の選考に進むこととなっている また 本プロジェクトは以前 Easton Grange プロジェクトとして実施されており 2010 年 8 月には政府から 2.4 万ポンドの支援を受けている 現在資金調達ラウンドが進められており 追加的な出資者を募っている 図 40 プラント外観イメージ ( 出典 :Progressive Energy Web サイト ) 2 分離 回収実施地域イングランド北東部 Teesside Wilton サイト実施主体 Teesside Low Carbon 事業資金 N/A 事業期間 2016 年 ~ 技術概要 Teesside IGCC プラントにおけるガス化炉で生成された石炭ガス化ガ中の一酸化炭素は CO シフト反応器に送られ そこで水蒸気と反応し 水素と CO2 に転換される その後 ガス処理ユニットにおいて硫化水素と CO2 が除去され 回収される 硫化水素と CO2 が除去された後の高純度の水素リッチシンガスは その後ガスタービン複合発電のガスタービンに送られ 発電に利用される 回収された CO2 はパイプライン輸送のため圧縮される CO2 リソース石炭ガス化に伴って発生する CO2( 燃焼前回収 ) 事業概要本プロジェクトでは 850MW のガス化複合発電 (IGCC) プラントを新設する プラントの原料として瀝青炭が使用される このプラントにおいて燃焼前回収技術により 年間およそ 230 万トンの CO2 を 105

106 400MWe のスリップストリームから回収する 回収された CO2 は圧縮された後 海岸線近くにあるブースターポンプ ステーションまでの近距離をパイプラインで輸送される予定である 図 41 IGCC プラントシステム概要図 ( 出典 :Progressive Energy 資料 : 12_July_2007.pdf) 3 輸送実施地域イングランド北東部 Teesside Wilton サイト~ 北海沖合実施主体 Teesside Low Carbon National Grid 事業資金 N/A 事業期間 2016 年 ~ 技術概要パイプライン輸送 ( 詳細未定 ) 事業概要回収された CO2 はまず 海岸線近くにあるブースターポンプステーションまでの近距離をパイプラインで輸送される予定である そこで National Grid が計画している North East CCS transport network (Yorkshire and Humber carbon capture transportation and storage project) へと連結させ 北海中央部の枯渇油田で貯留される予定となっている 新設予定のパイプラインは 他の CO2 排出者も利用可能なように 大きめに作ることが計画されている 106

107 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 北海中部の枯渇油田等 Teesside Low Carbon National Grid N/A 2016 年 ~ 詳細未定 EOR/ 枯渇油田 塩性帯水層への永久貯留本プロジェクトでは National Grid が計画している North East CCS transport network ( Yorkshire and Humber carbon capture transportation and storage project) への連結を検討しており その場合には北海沖合の枯渇油田において EOR として用いられることとなる なお 貯留に関する部分は Premier Oil Progressive Energy が担当している この 2 社は枯渇油田及び帯水層におけるライセンスを有している 本プロジェクトでは 併せて塩性帯水層への貯留も検討されている 107

108 (5)White Rose CCS Project (UK Oxy CCS Demonstration) 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業規模実証事業本プロジェクトの目的は 商業規模での CCS 技術について 他の低炭素発電に対してコスト競争力があり また 気候変動に対応するための重要な技術であることを実証することである Capture Power Limited(Alstom Drax BOC によって構成されるコンソーシアム ) ヨークシャー北部 Selby 近郊 2014 年 ~ 建設開始予定 2016 年 ~ 操業開始 ( 操業期間 :25 年間超の予定 ) N/A 本プロジェクトは英国政府による CCS 商業化プログラムに申請しており 2012 年 10 月に発表された一次選考結果により 次の選考に進むこととなっている 本プロジェクトは 出力 426MWe( グロス ) の酸素燃焼発電プラント及び CCS の実証プロジェクトである 完全に統合された CCS 技術を伴う最先端の石炭火力発電プラントを開発予定であり バイオマスの混焼も検討している また ヨークシャー及びハンバー地域における CO2 輸送 貯留ネットワーク (North East CCS transport network(yorkshire and Humber carbon capture transportation and storage project)) を構築する上でも重要な役割を果たす 発電プラント自体はヨークシャー北部 Selby 近郊の既存の Drax 発電所に建設予定であり 発電した電力は送電ネットワークに輸出する また 本プラントでは 排出される CO2 のおよそ 90% に相当する年間およそ 200 万トンの CO2 を回収する 回収した CO2 は National Grid が提案している North East CCS transport network(yorkshire and Humber carbon capture transportation and storage project) への連結を計画しており パイプラインで輸送され 北海の海底下に永久的に貯留される予定となっている 本プロジェクトの実施主体である Capture Power Limited は本プロジェクトの開発 オペレーションを行うために形成されたコンソーシアムであり Alstom は発電プラント及び CO2 処理ユニットの建設を担当し BOC は燃焼のための酸素を供給する空気分離ユニットの建設を担当す 108

109 る Drax は発電プラントと CO2 処理施設の運用管理 (O&M) を担当し BOC は空気分離ユニットの運用管理を担当する CO2 の輸送及び貯留については 本プロジェクトとは別に National Grid が同社のパートナーと共同で CO2 輸送用のパイプラインの建設及びオペレーションを行う CO2 は北海の海底下に永久的に貯留される なお 本プロジェクトは英国の CCS 実証プログラム及び EU の NER300 による資金援助に申請しており 本年 10 月 30 日に発表された CCS 実証プログラムの一次選考結果により 次の選考に進むこととなっている 図 42 プロジェクトサイト地図 ( 出典 :White Rose CCS Project Web サイト ) 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 ヨークシャー北部 Selby 近郊 Capture Power Limited N/A 2016 年 ~ 操業開始このプラントでは酸素燃焼によりベースロード電力を供給する プラントは石炭の燃焼時に CO2 を回収し 浄化して圧縮した後 パイプライン輸送し 北海の海底下に永久的に貯留する 109

110 CO2 リソース 事業概要 酸素燃焼では 燃焼プロセスにおいて大気の代わりに酸素を用い 主に CO2 と水分 少量の不活性ガスから構成される CO2 リッチ燃焼排ガスを製造する その後 パイプライン輸送を行うため 燃焼排ガス中の CO2 を浄化し圧縮する このプロセスにおいて 従来の石炭火力発電プラントにはない次の 2 つの追加的なユニットを統合させることとなる - 空気分離ユニット (ASU): 大気中の空気から酸素を分離 抽出するためのユニット -ガス処理ユニット(GPU): 燃焼排ガス中の CO2 を浄化し圧縮するための CO2 浄化ユニットさらに 発電プラント自体も幾つかの改良が加えられている 例えば炉の温度及び熱量を維持するため 燃焼排ガスを部分的に循環させたり ガス処理ユニットで処理を行う前に燃焼排ガスから水分を除去したり ボイラー内への大気のリーケージを最小化する等の点である 本プラントで採用される酸素燃焼技術は既にパイロットスケールで実証が行われており 本プロジェクトでは その技術を商業規模で実証するように設計されている 石炭酸素燃焼に伴って発生する CO2 本プロジェクトでは 最先端の高効率酸素燃焼発電プラントを新たに建設し 石炭を原料としてグロス出力 426MWe のクリーンな電力を発電する また バイオマスも混焼することを検討している (15% 程度 ) 併せて発電プラントから排出される CO2 の 90% を回収する 年間およそ 200 万トンの CO2 が回収され 北海南部の海底下約 1km の深さの地点に貯留される予定である この新しい発電プラントの効率は CO2 回収部分を含めても 英国における既存の CO2 を大気に放出している石炭火力発電プラントの中で最も高いものである 110

111 図 43 プラント概要図 ( 出典 :White Rose CCS Project Web サイト ) 3 輸送実施地域ヨークシャー北部 Selby 近郊 ~ 北海南部実施主体 National Grid 事業資金 N/A 事業期間 2016 年 ~ 技術概要パイプライン輸送 ( 詳細未定 ) 事業概要回収された CO2 はまず 海岸線近くにあるブースターポンプステーションまでの近距離をパイプラインで輸送される予定である そこで National Grid が計画している North East CCS transport network (Yorkshire and Humber carbon capture transportation and storage project) へと連結させ 北海南部の枯渇油田で貯留される予定となっている 111

112 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 北海南部の枯渇油田等 National Grid N/A 2016 年 ~ 詳細未定 EOR/ 枯渇油田 塩性帯水層への永久貯留本プロジェクトでは National Grid が計画している North East CCS transport network ( Yorkshire and Humber carbon capture transportation and storage project) への連結を検討しており パイプラインで輸送された CO2 は北海南部の海底下約 1km の深度の地点に永久的に貯留される予定となっている 112

113 (6)Caledonia Clean Energy Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業 CCS を伴う IGCC プラントの建設 オペレーションにより 低炭素型の電力供給を行う Summit Power National Grid Petrofac Summit Power は IGCC プラントの建設及びオペレーションを National Grid の子会社である National Grid Carbon は陸域における CO2 輸送を行い Petrofac の子会社である CO2DeepStore は CO2 を北海の沖合に輸送し 海底下に貯留する スコットランドエディンバラ西部 Firth of Forth Grangemouth 港 2018 年 ~オペレーション開始予定 N/A 本プロジェクトは英国政府による CCS 商業化プログラムに申請しており 2012 年 10 月に発表された一次選考結果により 次の選考に進むこととなっている 570MW の IGCC プラントを新たに建設し プラントから排出される CO2 を分離 回収し 北海の海底下に地中貯留する商業実証事業である このプラントでは CO2 燃焼前回収技術によりプラントで発生する CO2 のおよそ 90% を回収することにより 低炭素の電力を発電するとともに 商業利用目的の水素ガスを製造する 回収した CO2 はパイプライン輸送により Peterhead の St Fergus ターミナルまで輸送し その後北海中部の海底下にある Captain 帯水層へと貯留する予定となっている 113

114 図 44 プロジェクトサイト地図 図 45 プロジェクトサイト上空写真 ( 図 44 図 45 出典 :Caledonia Clean Energy Project 環境スコーピングレポート ) 114

115 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 スコットランドエディンバラ西部 Firth of Forth Grangemouth 港 Summit Power National Grid Petrofac IGCC プラントの建設 オペレーションは Summit Power が行う N/A 2018 年 ~オペレーション開始予定建設予定の CO2 燃焼前技術を搭載した IGCC プラントは 空気分離ユニット (ASU) ガス化炉 燃焼前 CO2 回収ユニット 600 MWe CCGT プラント 燃焼排ガススタック等から構成されている このプラントでは年間およそ 200 万トン (5,500 トン / 日 ) の石炭を燃料として使用する この石炭には主に Scottish Coal(80~90%) が用いられる予定となっている 空気分離ユニットにおいて分離 濃縮された酸素はガス化炉へと送られる ガス化炉では 複合サイクルガスタービン発電 (CCGT) により 石炭と酸素からシンガスが合成される クエンチシステムにより 重金属等の粒子状物質は除去される 硫化水素 硫化カルボニル 塩化水素 アンモニア シアン化水素等は分離され 除去される 分離された硫化水素リッチガス流は処理された後 販売可能な硫黄が回収される また シンガス中の CO2 は Rectisol 洗浄ユニットにおいて Rectisol 法により分離 回収される その後乾燥され 圧縮された後パイプライン輸送される 水素リッチなシンガスが燃焼タービン発電機へと送られ発電に用いられる 燃焼タービンはスタートアップ時のバックアップ燃料として天然ガスも使用できるように設計されている 発電効率を良くするため 燃焼タービンの排熱が排熱回収ボイラで回収され 蒸気が作られる この蒸気は蒸気タービン発電機の動力として用いられる この CCGT プラントはグロス出力 600 MWe となっており およそ 500 MWe を既存の送電網へと提供する予定となっている 石炭ガス化に伴って発生する CO2 本プラントは 石炭を燃料とする 600 MWe の IGCC プラント及び CO2 燃焼前回収プロセスから構成されており 発電プロセスは 燃料のガス化及び精製 炭素分離プロセス及び熱回収システムによるシンガスからの発電プロセスから構成されている また 燃焼前炭素回収方法により シンガス中の CO を CO2 に変換し 分離 回収した後 パイプライン輸送するために圧縮する ガス化炉には Siemens の Siemens Fuel Gasification technology (SFG) 115

116 が採用される また CO2 分離 回収には Rectisol 法が採用される 図 46 IGCC プラントプロセスフローダイアグラム ( 出典 :Caledonia Clean Energy Project 環境スコーピングレポート ) 116

117 図 47 Siemens Fuel Gasification (SFG) 技術概念図 ( 出典 :Siemens Web サイト ) 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 スコットランドエディンバラ西部 Firth of Forth Grangemouth 港 ~St Fergus~ 北海中部の貯留サイト Summit Power National Grid Petrofac N/A 2018 年 ~オペレーション開始予定陸域における CO2 輸送用のパイプラインは Grangemouth の IGCC プラントサイトから Dunipace 又は Avonbridge まで新たに建設される予定であり 最終的なルートは現在検討中となっている そして St Fergus のガスターミナルにおいてさらに濃密相まで圧縮され 沖合の海底下にある貯留サイトまでパイプライン輸送される予定となっている 分離 回収し 輸送用に圧縮された CO2 は陸域の地下パイプラインにより Peterhead の St Fergus ガスターミナルまで輸送される St Fergus ガスターミナルでさらに処理された CO2 は 沖合の海底下 CO2 パイプラインにより貯留サイトまで輸送される IGCC プラントから St Fergus ガスターミナルまでの CO2 輸送は National Grid が管理 運営することとなっており CP2 パイプライン 117

118 を新たに建設する予定となっている 一方 St Fergus ガスターミナル から最終的な貯留サイトまでの CO2 輸送及び貯留オペレーションにつ いては Petrofac が担当することとなっている 図 48 CO2 輸送 貯留イメージ 118

119 図 49 CO2 パイプライン地図 ( 図 48 図 49 出典 :CO2 Storage Hub 資料 : 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 北海中部の貯留サイト Summit Power National Grid Petrofac CO2 地中貯留は Petrofac(CO2DeepStore) が行う N/A 2018 年 ~オペレーション開始予定海底下に敷設される CO2 パイプラインから CO2 圧入井を通じて海底下深くにある貯留対象層に CO2 は圧入される 海底下パイプラインおよび圧入施設等について 現在基本設計が行われている 永久貯留 St Fergus ガスターミナルから沖合の海底下に敷設される CO2 パイプ 119

120 ラインで輸送される CO2 は 北海中部 Moray 湾の外側にある Captain 帯水層及び Aspen Storage Hub に貯留する予定となっており 現在 The Crown Estate( 英国国王の不動産や海域の資産管理を行う特殊法人 ) との間でリース契約に関する交渉を行っている 塩性貯留層への地中貯留が予定されているが 将来的には EOR に使用するというオプションも検討されている また 既存のパイプラインを用いて CO2 を再利用することも可能である 北海中部の Moray 湾海底下にある Captain 砂岩層を中心とする CO2 Storage Hub は英国の化石燃料発電プラントから排出される CO2 を今後 50 年分貯留可能な CO2 貯留キャパシティがあると見積もられている また その近くにある他の 10 か所の貯留層において 欧州から排出される 100 年相当の CO2 の貯留キャパシティがあると見られている これらのサイトでは現在貯留層の特性分析等が行われており 将来的には CO2EOR の実施等も検討されている 図 50 CO2 地中貯留イメージ ( 出典 :CO2DeepStore Web サイト ) 120

121 オランダ (1)Green Hydrogen 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業水素製造に伴って発生する CO2 を回収し 北海における EOR に利用する Air Liquide ロッテルダムボトレック (Botlek) 地域 ~ 北海油田等 2016 年 ~ 1.6 億ユーロ ( プラント ) 5000 万ユーロ (CO2 回収 ) NER300 補助金対象事業となっている Air Liquide はロッテルダムの Botlek 地域において 130,000 Nm3/ 時間の水素を同社の欧州北西部水素ネットワークに供給する新たな水素プラントを建設している このプラントは 55 万トン / 年の CO2 を回収可能な極低温精製ユニット (CPU) を組み込み可能な キャプチャーレディ となる予定である CPU は新たな水素ユニットにも既存のユニットにも組み込み可能である 回収される CO2 は北海における EOR に用いることが検討されている プロジェクト自体は 年間 55 万トンの CO2 回収を 2016 年に開始予定である なお Air Liquide は Vopak Anthony Veder Gasunie と共に CINTRA コンソーシアムのパートナーである このコンソーシアムは CO2 パイプラインインフラ及びターミナル ( ハブ ) をロッテルダム港地域につくることを目的としている Air Liquide の Green Hydrogen プロジェクトは Rozenburg に新たに建設されるカーボンキャプチャーレディの水素製造施設の一部であり このプラントは 2011 年末に開設される予定となっている 提案されている燃焼前回収型の水素製造プラントは水素の中に混入している CO2 を回収し パイプラインにより Second Maasvlakte に建設される予定の CO2 ハブまで パイプラインによって輸送される予定となっている ハブにおいて ガスは液化されており 一時的に貯蔵された 121

122 後 デンマークの大陸棚まで船舶によって輸送される予定である 現在 Air Liquide は Maersk Oil と共にデンマークの成熟した油田に回収した CO2 を EOR として用い 永久貯留する可能性について調査を行っている Green Hydrogen プロジェクトは CO2 の回収及び液化に用いられる手法及び Rotterdam Cintra( Carbon in Transport ) として知られる CO2 ハブのコンセプトの双方の点において 革新的なプロジェクトである 図 51 プロジェクト地図 図 52 ロッテルダム CCS ネットワーク (2015 年予定 ) 122

123 図 53 ロッテルダム CO2Hub ( 図 51~ 図 53 出典 :Rotterdam Climate Initiative 資料 : CO2 capture and storage in Rotterdam ) 2 分離 回収実施地域ロッテルダムボトレック (Botlek) 地域実施主体 Air Liquide 事業資金 1.6 億ユーロ ( プラント ) 事業期間 2016 年 ~ 技術概要 Air Liquide が新設する水素製造プラントにおいて CO2 回収装置を設置し CO2 回収を行う CO2 回収のため Air Liquide は極低温精製ユニット (cryogenic purification unit:cpu) と呼ばれる室内低温技術を用いる 極低温精製ユニットは水蒸気改質ユニットにつなげる 極低温精製ユニットにおいて CO2 水分などは極低温の状況下で(-150 ~-180 程度 ) 凍結する このため 吸収 循環システムにおいて気体は純化され 混合物は 0.1 vol. ppm. 以下となる Air Liquide は CPU の設計を最終化しており このユニットを導入した場合のプロジェクト評価を行っている 同社は 最終的な投資判断後

124 CO2 リソース 事業概要 ~30 カ月以内にこのユニットを設置可能であるとみている 水素製造に伴って発生する CO2 Air Liquide が新設する水素製造プラントにおいて 水素製造に伴って発生する CO2 を回収する この水素プラントは 130,000Nm3/ 時間の水素製造能力を有しており 2011 年よりオペレーションを開始予定となっている このプラントはピャプチャーレディとなっており CO2 回収装置は 50kt/ 年の CO2 を回収可能となる予定である 3 輸送実施地域ロッテルダム港湾地域実施主体 CINTRA B.V.(CINTRA コンソーシアム :(Vopak Anthony Veder Air Liquide Gasunie によるコンソーシアム )) 事業資金金額詳細は不明だが CINTRA プロジェクトは NER300 及び EEPR プロジェクトの補助金対象事業となっている 事業期間 2015 年 ~ 技術概要 CO2 は船舶輸送又はパイプライン輸送される 初期の処理能力は 150 万トン / 年程度を想定しているが 2025 年頃には 1000 万トン / 年 ~まで拡張することを想定している CO2 は陸域内では船舶又はパイプライン 沖合のオランダ大陸棚の油田まではパイプライン輸送の予定となっているが 輸送技術詳細は未定 なお 現時点で想定されている輸送船は 水面下フレキシブルホース 固定型の荷役塔又は一点係留方式等の独立式のインフラにより CO2 を荷降ろしできる形態となっている 事業概要回収された CO2 は沖合パイプラインにより 26 km 輸送予定となっており 輸送事業は CINTRA プロジェクトの一部として実施される予定である CINTRA は CO2 排出者及び貯留事業者に対して CCS のロジスティックな課題に対するターンキーソリューションを提供することを目的とした事業である Cintra は Air Liquide と Vopak( 一時的な貯蔵 ) Anthony Veder ( 船舶による輸送 ) Gasunie ( パイプインフラ ) が共同で開発している また Stedin はロッテルダム港とパートナーシップを組み ロッテルダム港地域における CO2 輸送を管理する予定であり 2010 年に 4 社は letter of cooperation に共同で署名している 回収された CO2 は ( 陸域内 ) 荷船又はロッテルダム港湾地域に構築予定の共用の CO2 輸送パイプラインシステム (Rotterdam CO2 Common Carrier Pipeline (R3CP)) によって集積され CO2 ハブにおいて一時的 124

125 に貯蔵され 気化 液化等の処理が行われる その後 再び船又はパイプラインによって オランダ イギリス デンマーク ノルウェーの大陸棚にある沖合の貯留施設に輸送される CINTRA は Air Liquide のプロジェクトのパートナーであり CO2 ハブからデンマークの大陸棚にある Maersk 油田の EOR 実施サイトまでの CO2 輸送を行うこととなっている また このハブは ROAD プロジェクトから TAQA P18 油田又は OCAP パイプラインへの接続も担う予定となっている 図 54 CINTRA プロジェクトイメージ図 ( 出典 :Rotterdam Climate Initiative 資料 : CO2 capture and storage in Rotterdam ) 4 貯留 実施地域 北海のデンマーク大陸棚にある Maersk 油田 実施主体 Maersk Oil 事業資金 N/A 事業期間 2016~ 技術概要 CO2EOR( 詳細不明 ) CO2 用途 石油増進回収に使用 125

126 事業概要 CINTRA のプロジェクトにより輸送される CO2 は Maersk Oil が所轄する北海の Maersk 油田において CO2EOR のために用いられる なお Maersk は同油田において SIEMENS の酸素燃焼プラントで分離 回収した CO2 を輸送し EOR に用いる TriGen プロジェクトも検討している 図 55 Maersk Oil CO2 貯留イメージ ( 出典 :Maersk Oil Web サイト ) 126

127 (2)Rotterdam Opslag en Afvang Demonstratieproject (ROAD) 1 事業概要 : 事業の種類産業規模実証プロジェクト事業目的 ROAD は 5~10 年程度 CO2 回収 輸送及び貯留という CCS の一連のチェーンを産業規模でオペレーションできることを示すことを目的としており これには技術的及び経済的な信頼性も含む 実施主体 Maasvlakte CCS Project C.V. ジョイントベンチャー (E.ON Benelux GDF SUEZ Energie Nederland の JV) なお 次の 2 社が今後 JV に参加予定 :GDF SUEZ E&P Nederland B.V. (CO2 輸送 ) TAQA Energy B.V. ( 北海海底下の枯渇油田への CO2 貯留 ) 実施地域ロッテルダム港工業団地 ~ 北海沖合 P18 エリア事業期間 2015 年 ~ 事業総額 / プロジ事業総額は 4.17 億ユーロと見積もられている ェクトの種類オランダ政府 (1.5 億ユーロ ) 及び EC の European Energy Programme for Recovery (EEPR)(1.8 億ユーロ ) から資金援助を受けている補助事業 補助額は最大で 3.3 億ユーロ また GCCSI からも 500 万豪ドルの支援を受けている プロジェクト概本プロジェクトでは Maasvlakte に新設される出力 1100MW の石炭火力要発電所 ( 微粉炭 ) からおよそ 110 万トン / 年の CO2 を回収し パイプラインで輸送して 北海海底下の枯渇ガス田に貯留する これにより 発電所及びエネルギー集約企業に大規模な CCS を展開することの技術的及び経済的実現可能性を証明する ROAD はロッテルダム港及び工業団地で初めての CCS プロジェクトであり ロッテルダムの CCS ネットワークを促進するとともに 当該地域における持続可能な経済的発展を後押しするものである 127

128 図 56 プロジェクトサイト地図 ( 出典 :ROAD 資料 : pecial-report-project-execution-strategy-opt.pdf) 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 ロッテルダム港工業団地 Maasvlakte CCS Project C.V. ジョイントベンチャー N/A 2015 年 ~ 石炭火力発電所から排出される燃焼排ガスの一部は回収され CO2 回収装置に送られる この装置は容量 250MW であり 年間 110 万トンの CO2 を処理することができる 燃焼排ガスは冷却された後 窒素 塵埃 二酸化硫黄が三段階で浄化 除去 (denox dedust desox) される その後 CO2 は吸収カラムにおいて 他の燃焼排ガスと分離され 他の燃焼排ガスは発電所の煙突に戻され大気に放出される CO2 は MEA によって回収する CO2 回収割合は 90% を想定している 回収された CO2 は パイプライン輸送のため コンプレッサーで圧縮される CO2 分離 回収には FLUORE 社の conamine FG PlusSM(EFG+) が採用される EFG+ により ネット出力 1070MW の Maasvlakte 超臨界圧発電プラン 128

129 CO2 リソース 事業概要 ト (MMP3) から排出される燃焼排ガスから 90% の CO2 を回収する EFG+ プラントはおよそ 4,057t/ 日の CO2 を生産する MMP3 の燃焼排ガス脱硫ユニットから排出される燃焼排ガスは 冷却及び SOX 除去のため Direct Contact Cooler(DCC) に送られる 冷却された燃焼排ガスは循環洗浄液と接触し その後ブロワーに送られる ブロワーを通過した後 吸収装置に入り EFG+ の溶媒と反応させる その後セミリッチ溶媒は吸収装置内部冷却ポンプへ送られて冷却された後 吸収セクションにおいて処理されたガスは洗浄セクションへ送られ 気相状態の溶媒は洗浄水循環ループにおいて回収される 処理されたガスはメッシュミストエリミネータを通過し MMP3 の煙突へと戻される リッチ溶媒は EFG+ プラントの溶媒再生セクションであるリッチ溶媒ポンプへと送られる リッチ溶媒は熱された後 ストリッパーに送られ そこで CO2 が除去される 除去された CO2 は気相で水が飽和状態となっている この気相を冷却し コンデンサーで圧縮する そこで CO2 と凝縮水は分離され CO2 リッチな気相は CO2 製造コンプレッサーへと送られる CO2 製造コンプレッサーにおいて CO2 は輸送用パイプラインの水分及び酸素に関する仕様に適合させるため 圧縮 精製される CO2 はコンプレッサーにおいて 129bar まで圧縮された後 脱水され 60 まで冷却される 微粉炭石炭火力発電所の発電に伴って排出される CO2 Maasvlakte に新設される出力 1100MWの石炭火力発電所から排出される排ガスより CO2 を分離 回収する 129

130 図 57 CO2 回収ユニット外観イメージ ( 出典 :ROAD 資料 : pecial-report-project-execution-strategy-opt.pdf) 図 58 プロジェクトフローダイアグラム ( 出典 :ROAD FEED レポート ) 130

131 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 ロッテルダム港工業団地 ~ 北海沖合 P18 エリア Maasvlakte CCS Project C.V. ジョイントベンチャー (GDF SUEZ E&P Nederland B.V.) N/A 2015 年 ~ コンプレッサーで圧縮された後 CO2 はパイプラインによって沖合のプラットフォームまで輸送される CO2 輸送パイプラインは直径 40cm 壁厚 2cm で 輸送許容量は 500 万トン CO2/ 年であり 最大設計圧力 : 175barg 設計温度:40~80 設計寿命:40 年となっている パイプラインの全長は約 25 km となっている 主に既存の石油及び天然ガスパイプラインルートに従い 海底下約 1m の地点に敷設される なお Maasgeul 運河を横断する際には 12m 地下まで潜る Maasvlakte 石炭火力発電所で分離 回収された CO2 は圧縮された後 北海海底下の枯渇油田まで陸域 5 km 海域 20 km のおよそ 25 km の距離をパイプライン輸送され 北海海底下およそ 3.5 km の地点にある枯渇ガス田に圧入される 4 貯留実施地域北海沖合 P18 エリア実施主体 Maasvlakte CCS Project C.V. ジョイントベンチャー (TAQA Energy B.V.) 事業資金 N/A 事業期間 2015 年 ~(2014 年から貯留可能 ) 技術概要プラットフォームから CO2 は既存の井戸によって 海底下 3.5 km にあるガス田に圧入される このガス貯留層は岩塩を含む地層 石灰質の地層 砂層 粘土層等の地層によって被覆されており これにより 従来存在した天然ガスも何万年もそこに留まっていた このシール層により CO2 も永久的に貯留される ガス貯留層には最大 200bar の CO2 が圧入されるが 常圧 350bar 程度となり その後 井戸数百 m のあたりまで特別なコンクリートが注入され 貯留層は閉鎖される CO2 用途永久貯留事業概要 CO2 はロッテルダム港沖合の北海海底下にある枯渇ガス田に貯留される この貯留層は北海のオランダ大陸棚にある P18 ブロック (P18-6 P18-4 P18-2) にある 貯留サイトは沿岸部から 20 km 沖合にあり こ 131

132 の貯留層はおよそ 3500 万トン CO2 のキャパシティがある 132

133 (3)Eemshaven CCS 1 事業概要 : 事業の種類実証事業事業目的 RWE グループは将来的に大規模 CO2 排出源において CCS が必須となると考えており そのために様々な CO2 回収技術について開発 実証を行っている 本事業もその一環として行われる予定である 実施主体 Essent(RWE グループの子会社 ) 実施地域フローニンゲン北部 Eemshaven 地域事業期間 2017/2018 年 ~ 事業総額 / プロジ N/A ェクトの種類プロジェクト費用の調達にあたり NER300 等の補助金制度に申請する予定 プロジェクト概 Essent は Eemshaven において 出力 1600MW の高効率石炭 / バイオマ要ス発電プラントの建設を開始している このプラントは将来的に CO2 回収技術を取り付ける予定となっている Essent は本プロジェクトにおいて EU の大規模 CCS 実証プロジェクトに対する資金援助のスキームを受けることを検討しており 250MEe の CO2 回収ユニットの設計及び統合に関して様々な検討を行っている 燃焼後回収技術には アミン法が用いられる予定であり 250MWe の回収ユニットのキャパシティは 120 万トン CO2/ 年となる予定である プラントは少なくとも 10 年間稼働予定であり 期間中に総量 700 万トン以上の CO2 を貯留予定となっている 回収後の CO2 については 当初は陸域の枯渇油田にパイプライン輸送し 貯留予定であったが オランダの法規制により陸域の CCS が認められなくなったため 現在は沖合へ輸送し EOR に用いることを検討している 図 59 建設中のプラント写真 ( 出典 :RWE Web サイト ) 133

134 2 分離 回収実施地域フローニンゲン Eemshaven 地域実施主体 Essent 事業資金 N/A 事業期間 2017/2018 年 ~( 少なくとも 10 年以上稼働予定 ) 技術概要 CO2 回収にはアミン法を採用予定であり 回収ユニットは BASF / Linde の技術を採用予定となっている BASF / Linde の CO2 回収ユニットは BASF Linde RWE の 3 社が開発した CO2 除去技術が採用される予定である この方法では 非常に低温の環境でアミン溶剤を用いて 燃焼排ガスから 90% の CO2 を回収し 除去する 温度を再び上昇させることにより 溶媒を CO2 と分離し 溶媒は再び吸収塔へと戻され 再度 CO2 回収に用いられる 回収された CO2 は非常に純度が高いものであり 圧縮された後 貯留又は CO2 利用のために輸送される このユニットにおいて BASF 社は CO2 溶媒を新たに開発し LINDE 社によって最適化された CO2 回収技術に基づく新たな回収プラント技術が開発された これにより 通常よりエネルギー消費量が 20% 削減され CO2 の回収率は 90% まで高めることが可能となった CO2 リソース石炭 / バイオマス発電に伴って発生する CO2 事業概要 Essent は出力 1600MW の高効率石炭 / バイオマス発電プラントにおいて CO2 燃焼後回収を行うため BASF / Linde 社が開発したアミン法による 250MEe の CO2 回収ユニットを取り付け CO2 回収の実証を行う予定となっている プラントは CCS 統合プロジェクトの開始後 少なくとも 10 年間は稼働予定となっている 134

135 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 図 60 CO2 除去プロセスイメージ ( 出典 :RWE Web サイト ) Eemshaven 地域 ~ 北海沖合予定 Essent N/A 2017/2018 年 ~ N/A Essent はオランダ北部において CO2 ハブを構築することを検討している このハブは多様な CO2 排出源と接続させ ロッテルダムの Rijnmond 地域に構築される CO2 ハブと連結させることを検討している 集積した CO2 は EOR 等の用途で 各地へと輸送することを予定している 現時点では詳細は未定 135

136 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 北海沖合予定 Essent N/A 2017/2018 年 ~ N/A CO2EOR を検討当初 CO2 をフローニンゲンにある陸域の枯渇油田に貯留する予定であったが オランダの法規制により陸域の CO2 貯留は禁止されたため 現在は 北海沖合において EOR に用いることを検討している EOR サイト等の詳細は現時点では未定である 136

137 (4)Pegasus Rotterdam 1 事業概要 : 事業の種類商業事業事業目的ゼロエミッションによるガスタービン複合発電プラントを建設 操業することにより 効率的な発電を行う 実施主体 SEQ International BV 実施地域南ホラント州 ( 詳細なサイトは未定 ) 事業期間 2017 年 ~ 事業総額 / プロジ N/A ェクトの種類事業総額は不明であるが プラントの建設に当たり NER300 の補助金を申請予定 プロジェクト概本プロジェクトはロッテルダム市が推進する Rotterdam Climate 要 Initiative (RCI) プログラム (:CCS 等の取組みにより CO2 排出量を大幅に削減するプログラム ) の一部として計画されている 本プロジェクトでは ネット出力 340MWe 相当の商業規模の天然ガス焚き酸素燃焼コンバスターである ゼロエミッション発電施設 (Zero-Emission Power Plant( ZEPP )) を建設する その過程で発生する全ての CO2 を このプラントの一部で回収する予定となっている この技術により 熱量の低い天然ガスを用いて 効率的な発電を行うことが可能となる このプラントの燃料は北海で産出される CO2 含有量の高い天然ガスである この天然ガスはパイプラインによってロッテルダム港まで輸送され ガスタービン複合発電 (CCGT) プラント内に組み込まれた酸素燃焼コンバスターへと投入される 燃焼排ガスには CO2 が多く含まれており その量は 250 万トン / 年程度の予定である 天然ガスが産出された沖合のガス田まで 第 2 パイプラインを建設し CO2 をそのガス田に貯留予定となっている そのサイトは北海のイギリスエリアとなる予定である 137

138 図 61 プロジェクトイメージ ( 出典 :Rotterdam Climate Initiative 資料 : CO2 capture and storage in Rotterdam ) 2 分離 回収実施地域南ホラント州 ( 詳細なサイトは未定 ) 実施主体 SEQ International BV 事業資金 N/A 事業期間 2017 年 ~ 技術概要採用される技術の詳細は未定であるが 酸素燃焼コンバスターは CES のものを採用予定 酸素の供給は Linde Gas が担当し CCGT の開発及び建設は Siemens が担当する予定となっている CO2 リソース天然ガスの燃焼に伴って発生する CO2 事業概要本プロジェクトでは CO2 回収を伴うネット出力 340MWe(472MWe グロス ) の天然ガス焚き酸素燃焼発電プラントを建設する ガスタービン複合発電 (CCGT) プラントには 酸素燃焼コンバスターが組み込まれる予定となっている このプラントでは 北海のイギリス及びオランダのガス田から供給される熱量の低い天然ガスが原料として用いられる予定となっている このプラントにおいて 年間最大 250 万トンの CO2 を回収する予定となっている 138

139 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 南ホラント州 ( 詳細なサイトは未定 )~ 北海ガス田 SEQ International BV N/A 2017 年 ~ 詳細未定燃料となる天然ガスを生産するガス田まで第 2 パイプラインを建設し そのガス田まで回収した CO2 を輸送する計画となっている 4 貯留 実施地域 北海ガス田 ( イギリス側を予定 ) 実施主体 SEQ International BV 事業資金 N/A 事業期間 2017 年 ~ 技術概要 詳細未定 CO2 用途 永久貯留 事業概要 プラントに天然ガスを供給しているガス田に 回収した CO2 を貯留予 定 現時点では北海のイギリスエリアに貯留することを計画している 139

140 米国 (1)Century Plant 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業 CO2 含有量の多い天然ガスを精製し 分離 回収した CO2 を CO2EOR に用いる Occidental Petroleum Sandridge Energy テキサス州 Pecos County~テキサス州西部及びニューメキシコ州南東部 Permian Basin 2010 年 9 月 ~ 事業総額は不明だが プラント及び関連設備の開発 建設費として Occidental Petroleum はおよそ 11 億ドルを投入している テキサス州 Pecos County において生産される天然ガスを Century 天然ガス精製施設において精製するとともに CO2 を分離 回収する 同サイトの天然ガスは CO2 含有量が多いため 精製することによりメタンガスを生産するとともに 分離した CO2 を回収し パイプライン輸送し Occidental Petroleum の Permian 油田において EOR に活用している 2 分離 回収実施地域テキサス州 Pecos County 実施主体 Occidental Petroleum Sandridge Energy 事業資金事業総額は不明だが プラント及び関連設備の開発 建設費として Occidental Petroleum はおよそ 11 億ドルを投入している また CO2 処理プラントの建設 オペレーション費用として SandRidge Energy は 2010 年に 4.3 億ドル投入している 事業期間 2010 年 9 月 ~ 技術概要詳細不明 CO2 リソース天然ガスに含有される CO2( 約 65%) 事業概要 SandRidge Energy は CO2 抽出プラントを建設し 2010 年 9 月よりオペレーションを開始している このプラントでは およそ 10 億立方フィート / 日の CO2 含有量の多い ( 約 65%) 天然ガスを処理し 7000 万立方フィート (5000 万立方フィートネット )/ 日のメタンを生産して 140

141 いる SandRidge Energy は Century プラントにおける天然ガスの掘削 生産及び輸送を担当し Occidental Petroleum はプラントのオペレーション及びガス処理を担当することとなっている プラントの第 1 トレインでは およそ 500 万トン / 年の CO2 が回収されている 2012 年中に第 2 トレインのオペレーションも開始予定となっており 350 万トン / 年の CO2 が回収される予定となっている 長期的には 30 年超で少なくとも 3.5 兆立方フィートの CO2 が回収される予定となっており SandRidge Energy は Occidental Petroleum に対して 3.5 兆立方フィートの CO2 の販売契約を締結している 回収された CO2 は Permian basin において EOR に用いられる予定となっている 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 テキサス州 Pecos County~テキサス州西部及びニューメキシコ州南東部 Permian Basin Occidental Petroleum Sandridge Energy N/A 2010 年 9 月 ~ パイプライン輸送回収された CO2 は Century プラントからデンバーシティにある Kinder Morgan の工業用 CO2 ハブまで 160km の距離をパイプライン輸送され Kinder Morgan Permian delivery system へと接続される この 160km のパイプラインは本プロジェクトのために建設された Kinder Morgan の子会社である Kinder Morgan CO2 Company は Permian Basin をはじめとして ユタ州 オクラホマ州などの一帯で CO2 パイプラインネットワークを敷設しており CO2 輸送量は 16 億立方フィート / 日を上回る量となっている テキサス州のデンバーシティの CO2 ハブは世界最大規模であり 12 億 ~13 億立方フィートの CO2 輸送容量を有している これらのデリバリーラインはデンバーシティから Permian Basin の 40 を上回る油田に CO2 流を輸送している CO2 は Kinder Morgan の油田で EOR として用いられる他 Occidental Petroleum 等にも販売され EOR として用いられている (Occidental Petroleum は Kinder Morga の最大顧客である ) 141

142 図 62 CO2 輸送パイプラインルート ( 出典 :Kinder Morgan Web サイト ) 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 テキサス州西部及びニューメキシコ州南東部 Permian Basin Occidental Petroleum N/A 2010 年 9 月 ~ 詳細不明 CO2EOR テキサス州西部及びニューメキシコ州南東部に広がる Permian Basin では Occidental Petroleum は同社が所有する油田の 60% においてCO2 を用いた石油生産活動を行っている 石油生産量は 17 億立方フィート / 日となっており CO2 の利用により 10~30 億バレルほど増進回収されていると見込まれている CO2 圧入及び石油生産井戸のモニタリングには先進的な視覚化ソフト 142

143 ウェアを利用しており 同サイトにおいて 1800 パターン以上のモニタリングを行っている CO2 流を監視するこの新たな手法により より効率的に CO2 を圧入することが可能となり 追加的な CO2 の圧入なしに少なくとも 3,000 バレル / 日の生産量改善が実現されている なお Occidental Petroleum は世界最大の CO2EOR 事業者であり (2008 年時点 ) 本プロジェクトのオペレーション以前は CO2EOR のため 天然由来の CO2 を Kinder Morgan より購入していたが 慢性的な CO2 不足が問題となっていた 143

144 (2)Enid Fertilizer CO2-EOR Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業肥料工場から発生する CO2 を回収し EOR に利用する商業事業 Koch Nitrogen Company オクラホマ州北部 2003 年 ~ 詳細不明 Koch Nitrogen Company はオクラホマ州北部にある同社の Enid 肥料工場において年間およそ 68 万トンの CO2 を回収している アンモニウム態窒素肥料製造工程で発生するガスを回収し オクラホマシティ南部にある Golden Trend 油田及び Sko-Vel-Tum 油田まで約 193km の距離をパイプライン輸送し CO2EOR に用いる これらの油田では 1982 年より EOR が実施されている 油田における CO2 のオペレーションは Chaparral Energy をはじめとする取引先が行っている なお 同社は 2003 年に Enid 肥料工場を買収しており 2010 年に工場の改良 拡張工事を完了している 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 オクラホマ州北部 Koch Nitrogen Company N/A 2003 年 ~ CO2 はアンモニアの製造過程で排出されるが その大部分はアンモニア製造原料である天然ガスを利用する際に生じる 具体的には窒素肥料製造工程において 2 種類の CO2 排出が生じる 1 つは固定プロセスにおける排出であり このプロセスにおいて排出される CO2 は純度が高く 回収 再利用が可能である もう 1 つは燃焼による排出であり こちらは分離することが不可能であり 回収できない 固定プロセスにおいて回収された CO2 は EOR に用いられる 窒素肥料製造プロセスで発生する CO2 Koch Nitrogen Company は Enid 肥料工場においてアンモニア 尿素 尿素硝酸アンモニア溶液 (UAN) を製造し オクラホマ州及び中西部の顧客に販売している この工場では 3000 トン / 日の無水アンモニアを製造 144

145 しており 年間生産量はおよそ 1200 万トン超となっている 図 63 Enid 肥料工場写真 ( 出典 : 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 オクラホマ州北部 ~オクラホマシティ南部 Golden Trend 油田及び Sho-Vel-Tum 油田 Merit Energy N/A 2003 年 ~ パイプライン輸送分離 回収する CO2 をパイプライン輸送し オクラホマシティ南部にある Golden Trend 油田及び Sko-Vel-Tum 油田まで約 193km の距離まで輸送する 145

146 図 64 CO2 輸送パイプライン / 油田地図 ( 出典 : 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 オクラホマシティ南部 Golden Trend 油田及び Sho-Vel-Tum 油田 Merit Energy N/A 2003 年 ~ 詳細不明 CO2EOR に使用パイプライン輸送された CO2 は Golden Trend 油田及び Sho-Vel-Tum 油田の Northeast Purdy ユニット及び Bradley ユニットにおいて EOR に用いられる Sho-Vel-Tum 油田は 1905 年に発見された油田であり 当初は 14 億バレルの原油埋蔵量があった大規模な油田である Golden Trend 油田は 1945 年に発見された油田であり いずれの油田も増進回収のため CO2EOR が行われてきた いずれの油田も貯留層は 3000 フィートより深く API 比重は 25 以上の重質油の油田であり CO2EOR に適している これらのサイトでは軽質炭化水素類の抽出後に CO2 を圧入することにより 油層内で CO2 は層内に残っている原油と混ざりミシブル状態となり 原油回収率を向上させることが可能となる 146

147 (3)Shute Creek Gas Processing Facility 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業天然ガス処理プラントにおいて 天然ガスに含有される CO2 を除去し EOR 目的で販売する ExxonMobil ChevronTexaco Anadarko Petroleum Corporation ワイオミング州 LaBarge 近郊 Lincoln County 1986 年 ~ 事業総額は不明 2010 年のプラント改修費は 8600 万ドル Shute Creek 天然ガス処理プラントは ExxonMobil が所有するプラントであり La Barge 天然ガス田で採掘される天然ガスの処理を行っている この天然ガスは CO2 含有量が多く (66%) 除去した CO2 を多く含む酸性ガスは 1986 年から EOR の目的で販売されてきた 2010 年にプラントの改修工事が完了し 現在ではおよそ 700 万トン / 年の CO2 回収している ExxonMobil は回収した CO2 を他の石油関連事業者に対して販売しており CO2 は Exxon ChevronTexaco 及び Anadarko のパイプラインにより ワイオミング州内の複数の油田において EOR に利用されている 図 65 Shute Creek 天然ガス処理プラント写真 147

148 ( 出典 : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 ワイオミング州 LaBarge 近郊 Lincoln County ExxonMobil 事業総額は不明 2010 年のプラント改修費は 8600 万ドル 1986 年 ~ ExxonMobil は以前から天然ガスから CO2 等を除去するためのコスト効率の良い技術として Controlled Freeze Zone 技術の開発を行っており その商業用実証プラントの第 1 号として 2010 年に Shute Creek 天然ガス処理プラントに当該技術を採用した この技術は CO2 及び硫化水素含有量が多い天然ガスを一段階で処理するシンプルで低コストなプロセスであり CO2 及び硫化水素含有量の上限値の設定はない また 酸性ガスを固体化することなく 高圧の液化状態で取り出すことができるため 高馬力のコンプレッサーを用いる必要がなく 圧入を行う際にも経済的である 抽出されたガスは CO2 地中貯留 EOR 等に用いることが可能である 天然ガスに含有される CO2 Shute Creek 天然ガス処理プラントはワイオミング州 Sublette County の La Barge 天然ガス田で採掘される天然ガスを処理するプラントである La Barge で採掘される天然ガスの組成は CO2 が 66% メタンが 21% 窒素が 7% 硫化水素が 5% ヘリウムが 0.6% となっている Shute Creek 天然ガス処理プラントは 1986 年に建設され 7 億立方フィート / 日の天然ガスを処理してきた 天然ガスは 65% の CO2 を含有しており 天然ガス処理後の CO2 は以前から EOR のために売却されてきた 濃縮された酸性ガス流 ( 硫化水素 62% CO2 36%) の圧入は 2005 年に開始された Shute Creek 天然ガス処理プラントにおける天然ガスからの CO2 及び硫化水素の分離には 2010 年の改修以前はデュアルトレインシステムが採用されており 物理吸収法である Selexol 法が採用されていた 第 1 トレインでは硫化水素を除去し 第 2 トレインで CO2 を除去する その後 CO2 は圧縮してパイプライン輸送し EOR に用いられ 硫化水素は地中に圧入され 廃棄される その後 ExxonMobil は CO2 回収プラントの容量を拡張するための改修工事を 2010 年に行っており 新たなプラントには同社が開発した 148

149 Controlled Freeze Zone capture 技術を採用した 改修コストとして 8600 万ドルを投入した 新たに採用されたコンプレッサーにより 回収レートは 50% 改善され 天然ガス流から 3.65 億立方フィート / 日の CO2 を回収することが可能となった 図 66 Controlled Freeze Zone プロセス概念図 ( 出典 : 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 ワイオミング州 LaBarge 近郊 Lincoln County~Rangely Weber 油田 Salt Creek 油田等 ExxonMobil ChevronTexaco Anadarko Petroleum Corporation N/A 1986 年 ~ CO2 の輸送にはパイプラインが用いられる プラントから各油田への CO2 の輸送は 主に 2 本のパイプラインによって行われている 1 つはプラントから Salt Creek 油田に向かうパイプラインであり 直径約 50 センチ (20 インチ ) で 全長は約 180km となっている もう 1 つは Rangely 油田に向かうパイプラインであり 直径約 61 センチ (24 インチ ) で 全長は約 77km となっている Anadarko はプラントで回収された CO2 をパイプラインにより約 200km 輸送し ワイオミング州 Natrona County にある同社の Salt Creek 油田において EOR に利用している 149

150 Shute Creek ガス処理プラントと Salt Creek 油田を結ぶおよそ 400km のパイプラインは 2006 年に完成している 図 67 CO2 パイプライン地図 ( 出典 : 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 Rangely Weber 油田 Salt Creek 油田等 ExxonMobil ChevronTexaco Anadarko Petroleum Corporation N/A 1986 年 ~ CO2EOR が行われている 詳細技術は不明 CO2EOR ChevronTexaco の Rangely Weber 油田は年間 100 万トンの CO2 を用いて EOR を行っている また Anadarko の Salt Creek 油田では 年間 240 万トンの CO2 を貯留している さらに Anadarko の Monell 油田 Merit Energy の Lost Soldier 油田にも CO2 を輸送している ChevronTexaco の Rangely 油田は 1986 年から EOR が行われている米国で最大級の EOR 事業サイトであり CO2 の貯留は 2004 年から開 150

151 始されている これまでに既に 2500 万トンの CO2 が貯留されている また Salt Creek 油田も米国で最大級の EOR 事業サイトであり 採掘開始から 100 年以上経過している CO2EOR は 2004 年に開始されており CO2 の圧入により原油回収量は 10~15% 増加している 同サイトでは 18 フェーズの EOR 事業のうちこれまでに 5 つが終了しており 2023 年に全て終了し 閉鎖予定となっている 151

152 (4)Val Verde Natural Gas Plants 1 事業概要 : 事業の種類商業事業事業目的天然ガス処理プラントから排出される CO2 を回収し EOR 事業に用いる実施主体 SandRidge CO2 他実施地域テキサス州 Val Verde 地域事業期間 1972 年 ~(EOR 事業 ) (CO2 分離 回収事業は 2004 年 ~) 事業総額 / プロジ詳細不明ェクトの種類プロジェクト概テキサス州の Val Verde 地域にある 5 つの天然ガス処理施設 (Mitchell 要プラント Gray Ranch プラント Puckett プラント Pikes Peak プラント Terrell プラント ) において それぞれ CO2 を分離 回収し 脱水 圧縮した後 Val Verde パイプラインおよび CRC パイプラインにより Sharon Ridge 油田まで輸送し この油田において EOR に用いる事業である これらのプラントでは年間 130 万トンの CO2 を回収しており EOR の用途で売却されている また Sharon Ridge 油田では 1972 年から EOR が行われている 152

153 図 68 プラント周辺地図 図 69 Shute Creek 天然ガス処理プラント写真 ( 図 68 図 69 出典 : estration-project/petrosourceprotocol-jul04-06-final.pdf) 153

154 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 テキサス州 Val Verde 地域 SandRidge CO2 他 N/A 2004 年 ~ CO2 の回収を行っている 5 つのプラントの 1 つである Pikes Peak 天然ガス処理プラント及び圧縮施設では 天然ガス流から CO2 を分離する技術として Selexol 法を採用している 吸気されたガスは Glycol/Selexol 脱水ユニットにおいて selexol を物理溶媒として脱水され 天然ガス流から相当量の炭化水素及び水分が除去される その後天然ガス流は selexol ガス処理プロセスの接触器に送られ CO2 が selexol 溶媒によって吸収される 接触器の底辺から出たリッチ溶媒は高圧リサイクルフラッシュドラムに送られ 吸収したガスと分離された後 接触器へと送られて再利用される 追加的に 3800 万立方フィート / 日の CO2 を回収するため 13,000 hp 超のコンプレッサーが Pikes Peak プラントに設置されている このコンプレッサーは以下の 4 基のコンプレッサーによって構成されている -Cooper の 2,250 hp 電気駆動型 3 段階ブースターコンプレッサー ( 2 基 ):CO2 オフガスを 2 psig から 120 psig まで圧縮する -Gemini の 4,500 hp 天然ガス火力 IC エンジン駆動型 3 段階コンプレッサー ( 2 基 ): ブースターコンプレッサーで圧縮された CO2 を 120 psig から 1,800 psig まで圧縮する 天然ガス処理プロセスで発生する CO2 テキサス州の Val Verde 地域にある 5 つの天然ガス処理施設 (Mitchell プラント Gray Ranch プラント Puckett プラント Pikes Peak プラント Terrell プラント ) において天然ガス処理プロセスで発生する CO2 を分離 回収し 圧縮している そのうち SandRidge CO2 社によって最初に CO2 の分離 回収が行われた Pikes Peak 天然ガス処理プラントはテキサス州西部 Pecos County の Ft. Stockton 市南部にある Pikes Peak 天然ガス処理プラントは 1972 年に操業開始している 各プラントでは 以前は天然ガスの処理プロセスで発生する CO2 を大気中に放出していたが 2004 年 SandRidge CO2 社はこれらの CO2 を回収し EOR 事業者に販売するため まず Pikes Peak プラントにおいて CO2 分離 回収ユニットおよび圧縮ユニットを設置し CO2 分離 回収事業が開始された その後 このプラントの近郊にある 4 つのプラントからも CO2 を回収するようになった 154

155 図 70 天然ガス処理 CO2 分離 回収プロセス概念図 ( 出典 : estration-project/petrosourceprotocol-jul04-06-final.pdf) 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 テキサス州 Val Verde 地域 ~テキサス州 Scurry Count Pecos County 等の EOR 事業地域 SandRidge CO2 他 N/A 2004 年 ~ パイプライン輸送圧縮後 高圧 高密度となった CO2 はパイプラインにより McCamey ポンプステーションまで輸送され テキサス州西部の Permian Basin における既存の CO2 輸送システムへと接続され 様々な EOR サイトへと輸送される SandRidge CO2 社は他の天然ガス処理プラントから回収した CO2 も McCamey ポンプステーションに輸送しており ここから 多様な EOR サイトへと輸送されている 各プラントで回収された CO2 は Sierra Madera パイプラインを経て 155

156 Val Verde パイプラインおよび the Cortez, Central Basin, Canyon Reef Carriers (CRC) パイプラインにより Sharon Ridge 油田をはじめとして 様々な油田に EOR 用途で輸送される 主な輸送先として 以下がある -テキサス州 Crockett County の South Cross ユニット North Cross ユニット Mid Cross ユニット等 -テキサス州 Scurry County の Sharon Ridge Canyon ユニット SACROC ユニット Cogdell ユニット等 (CRC パイプライン経由 ) -テキサス州 Pecos County の Yates ユニット等 2004 年 SandRidge CO2 社は Pikes Peak 天然ガス処理プラントから Permian basin の EOR サイトに CO2 を輸送するため Sierra Madera パイプラインを建設した このパイプラインは Pikes Peak 天然ガス処理プラントと Val Verde パイプラインシステムを連結させるためのパイプラインであり 直径は 25.4cm(10 インチ ) 全長は約 51km となっている Val Verde パイプラインは 1998 年に Petro Source Carbon Company が建設した このパイプラインは直径 25.4cm(10 インチ ) 全長約 132km キャパシティは 250 万トン CO2/ 年となっている 事業総額は 1760 万ドルであり 2007 年にはパイプラインシステムを拡張し 5 か所の天然ガス処理プラントと接続するためにさらに 1000 万ドルが投入されている CRC パイプラインは Kinder Morgan CO2 Company が所有している 1972 年に建設されており テキサス州西部では最も古い CO2 パイプラインである このパイプラインはテキサス州 McCamey から同社の SACROC 油田まで敷設されており 直径は約 40cm(16 インチ ) 全長はおよそ 225km で最大設計容量は 270 MMCFD となっている Cortez パイプラインは直径約 76cm 全長 808km のパイプラインであり 1983 年に建設された 当時では世界最長 最大の CO2 パイプラインである コロラド州 Montezuma County の McElmo Dome 地域からテキサス州西部の Wasson 油田にある Denver ユニットまで敷設されている Central Basin パイプラインは McCamey から Denver City まで敷設されているパイプラインである Cortez パイプラインおよび Central Basin パイプラインは 2000 年に Kinder Morgan によって買収され 管理されている 156

157 図 71 CO2 輸送用パイプラインルート (CRC パイプライン ) ( 出典 : 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 テキサス州 Scurry Count Pecos County 等の EOR 事業地域 SandRidge CO2 他 N/A 1972 年 ~ CO2EOR が行われている 詳細技術は不明 CO2EOR 各プラントで回収された CO2 はパイプラインにより 様々な油田に EOR 用途で輸送される 主な輸送先として 以下がある -テキサス州 Crockett County の South Cross ユニット North Cross ユニット Mid Cross ユニット等 -テキサス州 Scurry County の Sharon Ridge Canyon ユニット SACROC ユニット Cogdell ユニット等 (CRC パイプライン経由 ) -テキサス州 Pecos County の Yates ユニット等代表的な EOR サイトである Scurry County の Sharon Ridge Canyon ユニットはテキサス州 Midland 市北東部に位置するおよそ 55km2 のユニットであり 原油は地下約 2000m に広がる Canyon Reef 地層から産出される このユニットは 1949 年に発見され 1953 年までにおよそ 340 の井戸が採掘された 1999 年から CO2 を用いた増進回収が行われている 157

158 また SACROC ユニットはテキサス州 Scurry County にあるおよそ 202km2 のユニットであり 1970 年代より CO2 圧入を開始している CO2 は Canyon Reef Carriers パイプラインによって輸送している 1948 年に発見されて以来 12 億バレル以上の原油を生産しており CO2 の圧入により現在も相当量の生産を続けている Kinder Morgan CO2 はこのユニットの 80% 以上を所有しており CO2 パイプラインおよび油田のオペレーションを行っている 158

159 (5)Air Products Steam Methane Reformer EOR Project 1 事業概要 : 事業の種類実証事業事業目的本プロジェクトの目標は CCUS 技術を実証段階から商業的に実現可能な段階へと前進させることである 本プロジェクトでは 2 基の SMR 水素製造プラントから CO2 を回収し 油田に CO2EOR として貯留することにより 技術を実証するとともに商業規模の CCUS による経済的な実現可能性を最大化することを目的としている 実施主体 Air Products and Chemicals, Inc. プロジェクトパートナー :Denbury Onshore, LLC 実施地域テキサス州ポートアーサー (Port Arthur)~West Hastings 油田事業期間 2013 年 2 月頃 ~2015 年 9 月 30 日 ( 実証事業終了予定 ) 事業総額 / プロジ 4.3 億ドルェクトの種類本プロジェクトは American Recovery and Reinvestment Act による補助金の対象事業となっており DOE から 2.84 億ドルが拠出される プロジェクト概本プロジェクトはポートアーサーの Valero 製油所内にある Air 要 Products の 2 基のメタン水蒸気改質 (SMR) 水素製造プラントに CO2 回収システムを設置することにより大気に放出される CO2 を回収し EOR に使用する CCUS 実証事業である 本プロジェクトにより年間 100 万トンの CO2 を回収予定となっている 分離された CO2 は圧縮後 Denbury パイプラインによりテキサス州の West Hastings 油田に輸送され EOR に用いられる 併せて 圧入した地層における CO2 の動態を確認するため MVA プログラムが実施される 2012 年末時点でエンジニアリング及び設計段階まで完了しており 建設が進められている 全ての設備のオペレーションは 2013 年 2 月頃を予定している また 圧入した CO2 の MVA プログラムは CO2 回収が始まった後に実施される予定となっている 併せて 現在 既存のルイジアナ テキサス水素パイプラインシステムに接続する新たな全長約 290km のパイプラインが建設されている このパイプラインシステムが統合されると 965km 超のパイプラインにより 20 を超える水素プラントが接続され ルイジアナ州及びテキサス州の製油所及び石油化学産業に 10 億立方フィート / 日を上回る水素を供給することとなる 本プロジェクトもそのパイプラインシステムの一部と 159

160 なる 2010 年 6 月 DOE は American Recovery and Reinvestment Act (ARRA) の補助金対象事業として本事業を選出し プロジェクト総額のおよそ 66% に相当する 2.84 億ドルを拠出することとした 本プロジェクトは 3 フェーズに分かれており 現在第 2 フェーズである 第 2 フェーズでは設計及び建設を行い 第 3 フェーズではオペレーションを行う 図 72 プラントサイト及び水素パイプライン地図 図 73 水素製造プラント写真 / プロジェクト概念図 160

161 ( 図 72 図 73 出典 :Airproducts 資料 le.pdf) 2 分離 回収実施地域テキサス州ポートアーサー (Port Arthur) 実施主体 Air Products and Chemicals, Inc. プロジェクトパートナー :Denbury Onshore, LLC 事業資金事業総額 :4.3 億ドル事業期間 2013 年 2 月頃 ~2015 年 9 月 30 日 ( 実証事業終了予定 ) 技術概要本プロジェクトでは 既存の 2 基のメタン水蒸気改質 (SMR) 水素製造プラントに CO2 真空スイング吸着 (VSA) ユニットをそれぞれレトロフィットする いずれの VSA ユニットも圧力スウィング吸着 (PSA) フィードガスに含まれる CO2 の 90% 以上を除去するように設計されている CO2 が除去されたスウィートガスは VSA システムから戻される VSA ユニットで回収された CO2 は単一のトレインで圧縮 脱水される メタン水蒸気改質冷却プロセスから送られた CO2 を含むシンガスは VSA システムに送られ 複数の VSA ユニットにおいて CO2 が除去される それぞれの VSA ユニットには溶媒によって満たされた容器が設置されており フィードガスから選択的に 1 つまたは複数の物質を除去するようになっている 回収する CO2 の純度を高めるため VSA サイクルには 2 つの特殊なステップがある 初めのステップは 排気 ステップであり CO2 を取り出すために真空ポンプを用いる 次は 洗浄 ステップであり 低圧床から放出されたガスは圧縮され高圧床へと送られる この 2 つのステップは 高純度の CO2 を回収するための主要なステップとなる VSA システムの 2 基のトレインにある CO2 は冷却された後 8 段階の遠心式コンプレッサーの第 1 段階へと吸気される 最初の 5 基のコンプレッサーには中間冷却装置があり 凝縮物の除去装置が組み込まれている 凝縮物の大半は水分である 5 段階の中間冷却装置を経た CO2 はトリエチレングリコール (TEG) 乾燥システムに送られ 水分が除去される その後最終的な圧縮を行うため 第 段階の圧縮が行われる 最終的に CO2 はパイプライン輸送に必要な 2,000 psig まで圧縮される CO2 リソース水素製造に伴い発生する CO2 事業概要 Air Products は同社の 2 基のメタン水蒸気改質 (SMR) 水素製造プラントに真空スイング吸着 (vacuum swing adsorption(vsa)) システムを 161

162 レトロフィットし プロセスガス流から CO2 を分離する このプロセスでは当初 10~20% 程度の含有量の CO2 を 97% まで濃縮することが可能である この技術により プロセスガス流から 90% 以上の CO2 を除去することが可能となる また 年間 100 万トンの CO2 を回収予定となっている 図 74 CO2 回収装置のブロックフローダイアグラム ( 出典 :Airproducts 資料 le.pdf) 3 輸送 実施地域 テキサス州ポートアーサー (Port Arthur)~West Hastings 油田 実施主体 Air Products and Chemicals, Inc. プロジェクトパートナー :Denbury Onshore, LLC 事業資金 事業総額 :4.3 億ドル 事業期間 2013 年 2 月頃 ~2015 年 9 月 30 日 ( 実証事業終了予定 ) 技術概要 パイプライン輸送 事業概要 分離 回収し圧縮した CO2 はパイプラインにより EOR サイトまで輸送 される 162

163 本プロジェクトのために CO2 回収施設から既存の Green パイプラインまでを接続する全長約 21km のパイプラインが建設される Green パイプラインはルイジアナ州 Donaldsonville からテキサス州ヒューストン南部の Hastings 油田まで敷設されている直径 60.96cm(24 インチ ) のパイプラインである 本プロジェクトの事業パートナーである Denbury Resources は回収した CO2 を West Hastings 油田及び Oyster Bayou 油田まで輸送するためのパイプラインを提供する 図 75 CO2 輸送パイプライン地図 ( 出典 :Airproducts 資料 le.pdf) 4 貯留実施地域 West Hastings 油田実施主体 Air Products and Chemicals, Inc. プロジェクトパートナー :Denbury Onshore, LLC 事業資金事業総額 :4.3 億ドル事業期間 2013 年 2 月頃 ~2015 年 9 月 30 日 ( 実証事業終了予定 ) 技術概要パイプラインで輸送された CO2 は油田の CO2 圧入ポンプステーションから 14 の CO2 クラスⅡ 圧入井によって圧入される CO2 は圧入井から貯留層へと圧入される 圧入された CO2 が原油と混ざると 原油の粘着性及び表面張力が減少し 生産井からの抽出が可能 163

164 CO2 用途 事業概要 となる 生産井からは原油と CO2 と水分が抽出され その後 CO2 は再利用される CO2EOR により このサイトでは平均して 17% の増進回収が行われている CO2EOR West Hastings ユニットは Denbury Resources が運営 管理する油田であり 1934 年に発見され 1984 年から採掘が開始されている このユニットには 80 か所の生産井 25 か所の水圧入井 及び 6 か所の CO2 圧入井が掘削されており CO2 の圧入は 2010 年 12 月に開始されている 圧入された CO2 は商業的なモニタリングプログラムによって追跡される 調査プログラムでは time-laps データを収集するとともに高解像度技術により圧入ゾーン及び CO2 流入予測地点における CO2 の動態を記録する 併せて圧力を計測する 収集したデータは事前に MVA プログラムによって行った評価と照らし合わせ モデルのマッチングを行い その効果を検証する 164

165 (6)Illinois Industrial Carbon Capture and Storage Project 1 事業概要 : 事業の種類 実証事業 事業目的 本プロジェクトの目的は 商業規模の施設において先進的な CCS 技術 の実証を行うとともに 年間 100 万トンの CO2 を貯留することである 実施主体 Archer Daniels Midland Company(ADM) プロジェクトパートナー :llinois State Geological Survey (ISGS) Schlumberger Carbon Services Richland Community College (RCC). 実施地域 イリノイ州 Decatur 事業期間 2009 年 11 月 ~2015 年 9 月 30 日 ( 実証事業終了予定 ) 事業総額 / プロジェクトの種類 2.08 億ドル本プロジェクトは American Recovery and Reinvestment Act による補 助金の対象事業となっており DOE から 1.4 億ドルが拠出される プロジェクト概要 本プロジェクトは ADM が運営 管理する燃料用エタノールの生産プラントにおいて エタノール製造過程で副産物として発生する CO2 を 回収し 砂岩層に地中貯留を行う実証事業である このプラントでは年 間およそ 100 万トンの CO2 を回収する予定となっている エタノール プラント及び貯留サイトはいずれもイリノイ州 Decatur にあり 脱水 圧縮された CO2 は Mt. Simon 砂岩層 ( 塩性帯水層 ) に貯留される予定 となっている ADM の Decatur エタノールプラントは 1978 年に稼働開始しており CO2 回収装置は 2011 年 8 月に建設開始されている 既にサイト特性調 査 設計及びエンジニアリング等が完了し 建設段階に入っている 全 ての施設のオペレーションは 2013 年半ばを予定している 米国エネルギー省 (DOE) は本プロジェクトを American Recovery and Reinvestment Act の Carbon Capture and Sequestration from Industrial Sources and Innovative Concepts for Beneficial CO2 Use (ICCS) プログラム対象事業として選出している 165

166 図 76 エタノール製造プラント写真 ( 出典 : プロジェクトファクトシート : 図 77 プラント上空写真 166

167 ( 出典 :ADM 資料 roject-pirt-bergen0612.pdf) 2 分離 回収実施地域イリノイ州 Decatur 実施主体 Archer Daniels Midland Company(ADM) プロジェクトパートナー :llinois State Geological Survey (ISGS) Schlumberger Carbon Services Richland Community College (RCC) 事業資金事業総額 :2.08 億ドル事業期間 2009 年 11 月 ~2015 年 9 月 30 日 ( 実証事業終了予定 ) 技術概要エタノール製造プラントにおいて CO2 はコーンからエタノールを精製するための発酵槽から 36 インチのパイプラインにより回収される 発酵槽から放出されるガス流の CO2 は高純度 ( 湿度を除くと純度 99% 以上 ) であるが 重量比で 3% 弱の水分を含んでいる CO2 は地中貯留のための圧入坑口装置の基準に準拠させるため超臨界状態にする必要がある このため ガス流の圧縮 脱水が行われる 圧縮 脱水プロセスにはまず 3000 hp のブロワーが用いられ CO2 は 35 psia まで圧縮される その後 直径約 61cm(24 インチ ) 全長およそ 457m のパイプラインによって乾燥 脱水設備まで送られる この設備は 3250 hp の 4 段階往復式空気圧縮機及び取りエチレングリコール接触塔 / 再生塔を用いた脱水システムによって構成されており CO2 は 1425 psia 95 F へと圧縮される CO2 流は様々な中間冷却器及び分水器を通過し 冷却され 水分が除去される 最終的に水分は重量比 0.005% 以下となり CO2 純度は 99.9% 超となる その後 さらに 400 hp の遠心式ブースターポンプにより 2300 psia まで圧縮され 圧入井までパイプライン輸送される CO2 リソースエタノール製造プロセスで発生する CO2 事業概要 ADM の燃料用エタノールの生産プラントにおいて エタノール製造過程で発生する CO2 を回収する 既存の 1,000 t/ 日の CO2 圧縮 脱水施設に新たな CO2 回収施設を統合させ 3,000 t/ 日 (1000 万 t/ 年 ) の CO2 を回収し 圧縮 乾燥した後貯留サイトまで輸送する 167

168 図 78 プロセスフローダイアグラム ( 出典 :ADM 資料 roject-pirt-bergen0612.pdf) 3 輸送実施地域イリノイ州 Decatur 実施主体 Archer Daniels Midland Company(ADM) プロジェクトパートナー :llinois State Geological Survey (ISGS) Schlumberger Carbon Services Richland Community College (RCC) 事業資金事業総額 :2.08 億ドル事業期間 2009 年 11 月 ~2015 年 9 月 30 日 ( 実証事業終了予定 ) 技術概要エタノール製造プラントにおける圧縮 乾燥装置から 圧入用の坑口装置まで CO2 はパイプラインによって輸送される このパイプラインは直径約 20cm(8 インチ ) 全長はおよそ 1600m となっている 事業概要エタノール製造プラントで回収され 圧縮された CO2 は 約 1.6km の距離をパイプラインにより輸送される 4 貯留 実施地域 実施主体 イリノイ州 Decatur Archer Daniels Midland Company(ADM) 168

169 プロジェクトパートナー :llinois State Geological Survey (ISGS) Schlumberger Carbon Services Richland Community College (RCC) 事業資金事業総額 :2.08 億ドル事業期間 2009 年 11 月 ~2015 年 9 月 30 日 ( 実証事業終了予定 ) 技術概要 CO2 圧入は圧入井より行われ 圧入用の坑口装置等の圧入関連設備は 米国環境保護庁の UIC プログラム Class VI 許可の基準に準拠した方法で行われる 本プロジェクトでは 初期には Mt. Simon 砂岩層に 1,500t/ 日の割合で CO2 を圧入する その後圧入量を増やし 最終的には 3,000t/ 日とする予定である CO2 用途永久貯留事業概要 CO2 の圧入は エタノールプラントに隣接する ADM が所有する約 0.8km2 の圧入サイトで行われる Mt. Simon 砂岩層は地下およそ 1670m の地点から 460~480m ほどの厚さで広がっている CO2 は地下およそ 2100m の地点に圧入される予定であり ここは地下水源のあるレベルからは遥かに下方にあるため 水源への影響はないと見込まれている Mt. Simon 砂岩層の上部には約 150mの厚さがある Eau Claire 層があり この地層が第一のキャップロックシールとなり CO2 が Mt. Simon 砂岩層から上部へと移動するのを妨げる さらにその上部には Maquoketa 層及び New Albany Shale 層の 2 つの頁岩層があり 第 2 第 3 のシールとなる UIC プログラムの関連の許可は既に取得済みとなっている また サイト特性調査 CO2 圧入井戸の設置及びオペレーション等はプロジェクトパートナーである Schlumberger Carbon Services が担当する 169

170 図 79 圧入井概要 ( 出典 :ADM 資料 roject-pirt-bergen0612.pdf) 170

171 (7)Kemper County IGCC Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 実証事業先進的な IGCC 技術を商業規模でオペレーションすることによりフィジビリティを実証する Mississippi Power ミシシッピ州 Kemper County 2014 年 5 月 ~オペレーション開始予定 26.7 億ドル本プロジェクトは DOE の Clean Coal Power Initiative IGCC 実証プロジェクトの対象事業として Round1 Round2 に選出されており 2.7 億ドルが拠出される 本プロジェクトはガス化プロセスにおいて TRIG 技術を採用した IGCC プラントを商業規模でオペレーションする米国初のプロジェクトである プラントはミシシッピ州の褐炭生産地に隣接する Kemper County に建設され この褐炭が IGCC プラントの主燃料となる IGCC プラントは CO2 回収を含む最先端の排出制御が行われ 環境汚染物質の排出量は極めて少なくなっている 回収された CO2 は新設されるパイプラインによって Heidelberg 近郊の既存のパイプラインシステムに接続され そこから同州内の油田に輸送され EOR に活用される予定となっている プラントの建設は 2010 年に開始されており 既に 7 割以上が完成し 2013 年中には完成予定となっている 本格稼働は 2014 年 5 月を予定している 171

172 図 80 プラントサイト地図図 81 プロジェクト関連施設地図 ( 図 80 図 81 出典 : プロジェクト環境影響評価書 : 172

173 図 82 IGCC プラント完成イメージ ( 出典 : ay/25aug11-%20nelson-kemper-capture%20at%20kemper%20igcc.pdf) 2 分離 回収実施地域ミシシッピ州 Kemper County 実施主体 Mississippi Power 事業資金事業総額 :26.7 億ドル事業期間 2014 年 5 月 ~オペレーション開始予定技術概要 IGCC プラントは褐炭ガス化システムと複合サイクル発電システムの 2 つの主要なシステムから構成されている ガス化システムは褐炭処理システム ガス化システム シンガス処理システム 浄化システムから構成され 石炭ガス化焼却炉として Southern Company と Kellogg Brown and Root(KBR) が開発した Transport Integrated Gasification 技術を搭載したガス化炉 (TRansport Integrated Gasifiers (TRIG ))2 基 Siemens のガスタービン SGT6-5000F 2 基 東芝の蒸気タービン (Tandem Compound Double Flow) 1 基が採用されている ガス化炉は 13,800 t/ 日の褐炭をシンガスへと変換させる能力を有している 褐炭は 290 t/ 時の割合で 2 つのガス化炉に投入される ガス化システムで生産されたシンガスは複合サイクル発電ユニットの燃料となる この複合サイクル発電ユニットは 2 基の CT 2 基の排熱 173

174 CO2 リソース 事業概要 回収ボイラ (HRSG) 及び 1 基の蒸気タービンによって構成されている このユニットにおいて シンガスは CT で燃焼され 燃焼ガスの熱により水が蒸気に変わり 蒸気タービンを稼働させる CT の排熱は複合サイクルにより蒸気タービンの動力となる この IGCC プラントでは 2 基の CT 及び蒸気発電により 524 MW HRSG における天然ガスのダクトファイアリングと合わせて 582 MW( ネット出力 ) の電力を発電する なお CT は天然ガスを用いてシンガスを生産することも可能である 本プロジェクトでは CO2 NOx 水銀及び粒子状物質をシンガスから除去することにより 環境汚染を大幅に低減している 硫化水素及び CO2 の除去には Selexol 法が用いられている CO2 回収については CO2 排出量をおよそ 67% 削減することが可能な CO2 回収システムが組み込まれている これはガス化プロセスにおいてシンガスのダウンストリームから炭素を除去するものである 水性ガスシフト (WGS) リアクターにおいてシンガス中の CO のおよそ 90% が CO2 へと変換され 酸性ガス除去プロセスにより およそ 67% の CO2 が除去される 回収された CO2 は圧縮され パイプラインにより輸送される また 燃焼前に燃料由来の窒素をほぼ 100% 除去することにより CT から排出される NOx は従来の石炭火力発電プラントと比較して非常に少なくなっている プロジェクトの副産物として CO2:300 万 t/ 年 硫酸 :13.5 万 t/ 年 アンモニア 2 万 t/ 年が生じる なお 燃料には地元で豊富に産出される資源である Mississippi lignite ( 褐炭 ) を主とし 併せて天然ガスも使用する 石炭ガス化に伴って発生する CO2 Kemper County IGCC プラントは石炭ガス化技術として TRIG 技術を採用する この技術により 環境汚染物質の排出を抑制し 環境にやさしい電力を供給することが可能となる また TRIG 技術では褐炭等の低品質炭を活用するため 燃料としてミシシッピ州に豊富に存在する褐炭が用いられる ガス化炉において褐炭からシンガスを生産する 併せて汚染物質の排出制御を行い 従来の石炭技術と比較して二酸化硫黄 粒子状物質及び水銀の排出量を低減させるほか 65% 超の CO2 を分離 回収し 大気中への放出を削減する 174

175 図 83 IGCC プラントレイアウト図 図 84 IGCC プラントプロセスフローダイアグラム 175

176 図 85 TRIG ガス化炉概念図 図 86 CO2 分離 回収プロセス概念図 ( 図 83~ 図 86 出典 : ay/25aug11-%20nelson-kemper-capture%20at%20kemper%20igcc.pdf) 176

177 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 ミシシッピ州 Kemper County~ミシシッピ州内の成熟した油田 Mississippi Power 事業総額 :26.7 億ドル 2014 年 5 月 ~オペレーション開始予定分離 回収され 超臨界状態まで圧縮された液化 CO2 はパイプラインにより EOR サイトまで輸送される この CO2 の純度は容量比で約 99% であり 硫化水素の含有量は 10 ppmv 未満となっている 本プロジェクトでは Heidelberg 近郊の既存のパイプラインシステムに接続するための新たなパイプラインを建設する 新設されるパイプラインは全長約 100km で直径は約 35cm(14 インチ )( 状況により多少変更の可能性がある ) である CO2 パイプラインは 2,100 psi 95 F でオペレーションされる予定であり 幹線のブロックバルブは水域を横断する場合等を除き 通常は約 32km ごとに設置される 分離 回収された CO2 はパイプラインにより EOR サイトまで輸送される Heidelberg 近郊の既存パイプラインシステムに接続させるため IGCC プラントから既存のパイプラインシステムまでの間をつなぐ新たなパイプラインを建設する予定となっている 4 貯留実施地域ミシシッピ州内の成熟した油田 ( 詳細未定 ) 実施主体 Mississippi Power 事業資金事業総額 :26.7 億ドル事業期間 2014 年 5 月 ~オペレーション開始予定技術概要詳細未定 CO2 用途 CO2EOR 事業概要 IGCC プラントで回収された CO2 はパイプライン輸送により ミシシッピ州の油田に届けられ CO2EOR に用いられる Mississippi Power は現在複数の油田の所有者 オペレーターと CO2 の販売について交渉しており Eutaw Tuscaloosa Hosston 等の油田が候補となっている パイプライン輸送された CO2 は 各油田の所有者 オペレーターにより UIC(Underground Injection Control) クラスⅡの許可の下で成熟した油田に圧入され 油層内に残っている原油の増進回収に用いられる CO2 は地下およそ 1,500~3,600m の地点に圧入される予定である なお 候補となっている各油田では 既に EOR 事業が実施されており 177

178 油田のオペレーターは Jackson Dome における天然の CO2 をはじめとして他の CO2 販売者等から CO2 を調達している なお 2011 年 3 月 Denbury Resources は Mississippi Power 本プロジェクトから排出される CO2 の 70% を購入する契約を締結している 購入した CO2 は 同社が所有する Heidelberg 油田において EOR に使用される予定となっている 178

179 (8)Lost Cabin Gas Plant 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業天然ガス処理プロセスにおいて発生する CO2 を回収し EOR に使用する ConocoPhillips Denbury Resources ワイオミング州 Fremont County 2013 年 ~ 4 億ドル ( 天然ガス処理プラント部分は除く CO2 コンプレッサー建設 ~パイプライン EOR 関連設備建設等 ) 本プロジェクトは ConocoPhillips が所有 運営する既存の Lost Cabin 天然ガス処理プラントに燃焼前 CO2 回収設備を建設し 年間 100 万トンの CO2 を分離 回収する事業である CO2 回収設備の建設は 2011 年に開始しており 2013 年からの稼働開始を予定している 回収した CO2 はパイプラインで輸送され モンタナ州南部の Belle Creek 油田で EOR として利用される CO2 の輸送 EOR 事業は Denbury Resources が行うこととなっている 図 87 Lost Cabin 天然ガス処理プラント写真 ( 出典 : ) 179

180 2 分離 回収実施地域ワイオミング州 Fremont County 実施主体 ConocoPhillips Denbury Resources 事業資金 4 億ドル (CO2 コンプレッサー建設 ~パイプライン EOR 関連設備建設等 ) 事業期間 2013 年 ~ 技術概要プラントは 3 基のトレインから構成されており 第 1 トレインは 1993 年 8 月に建設が開始され 1995 年にオペレーション開始し 1998 年に拡張工事が行われている 第 2 トレインは 1998 年 4 月から建設が開始され 1999 年 7 月にオペレーションが開始されている 第 3 トレインは 2000 年に建設が開始され 2002 年からオペレーションが開始されている それぞれの処理能力は第 1 第 2 トレインが 65MMscf/ 日 第 3 トレインが 180MMscf/ 日となっており CO2 の排出量は第 1 第 2 トレインが 12.5MMscf/ 日 第 3 トレインが 36.8MMscf/ 日となっている 採掘される天然ガスの組成はメタン 67% CO2 20% 硫化水素 12% となっており 酸性ガスを処理するために Selexol 法が採用されている 硫化水素及び CO2 の除去プロセスでは まず硫化水素吸収塔において硫化水素を分離 回収し その後 CO2 回収塔において CO2 を分離 回収する 回収された CO2 はこれから建設予定の CO2 コンプレッサーにより圧縮され パイプライン輸送される計画となっている CO2 リソース天然ガス処理に伴って発生する CO2 事業概要 Lost Cabin 天然ガス処理プラントでは Madison formation から採掘される天然ガスを精製しており キャパシティは 3.13 億立方フィート / 日となっている このプラントは当初 Burlington Resources の子会社である Louisiana Land and Exploration が Madden Deep Reservoir から採掘される天然ガスを処理するために建設したプラントであり プラント自体は Raytheon Engineers and Constructors( 現在は URS が買収 ) が建設した このプラントではこれまで天然ガス処理に伴って生じる CO2 を大気中に放出していたが Denbury Resources との契約により 放出していた CO2 を圧縮し パイプライン輸送して EOR に用いることとなっている CO2 コンプレッサーの建設は Denbury Resources が行うこととなっている なお Denbury Resources は 2012 年 2 月に Willbros Group と新設する CO2 コンプレッサーに関する EPC 契約 ( 設計 購買 建設一 180

181 括請負 ) を締結しており Willbros Group は天然ガス処理プラントの隣 に CO2 コンプレッサーを建設する予定となっている 図 88 天然ガス処理プロセス 図 89 Selexol ユニットのフローダイアグラム ( 図 88 図 89 出典 : 3 輸送 実施地域 ワイオミング州 Fremont County~ モンタナ州南東部 Belle Creek 油田 181

182 実施主体 Denbury Resources 事業資金 4 億ドル ( 貯留関連設備含む ) 事業期間 2013 年 ~ 技術概要パイプライン輸送パイプライン建設プロジェクトは 2 つのフェーズに分けて行われる 第 1 フェーズでは Lost Cabin プラントから Highway 14 までの約 193km の建設が行われる 第 2 フェーズでは残りの約 180km の建設が行われる パイプラインは直径約 51cm(20 インチ ) のスチール製であり Primoris Services Co., の子会社である Rockford が提供する 事業概要天然ガス処理プラントから CO2EOR サイトまでのパイプラインは Denbury Resources が建設する 新設されるパイプラインは Lost Cabin 天然ガス処理プラントから Denbury Resources が所有 運営するモンタナ州南東部にある Belle Creek 油田まで敷設され 全長は約 373km となっている 4 貯留実施地域モンタナ州南東部 Belle Creek 油田実施主体 Denbury Resources 事業資金 4 億ドル ( パイプライン関連設備含む ) 事業期間 2013 年 ~ 技術概要詳細不明 CO2 用途 CO2EOR 事業概要パイプライン輸送された CO2 は Denbury Resources が所有 運営するモンタナ州南東部にある Belle Creek 油田において CO2EOR に使用される Belle Creek 油田は 1960 年代から採掘が開始されており 近年では生産量が低下しているが CO2EOR の実施により現在 1200 バレル / 日の生産量が最大で 7000 バレル / 日まで増加すると見込まれている 182

183 (9)Coffeyville Gasification Plant 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業窒素肥料製造プラントにおいて製造過程で発生する CO2 を回収し EOR に活用する CVR Energy(Coffeyville Resources Nitrogen Fertilizers:CVR Energy の子会社で窒素肥料製造プラントのオペレーター ) Chaparral Energy カンザス州 Coffeyville 窒素肥料製造プラントのオペレーションは 2000 年 7 月に開始 CO2 圧入は 2013 年 7 月開始予定 N/A CVR Energy の子会社である Coffeyville Resources は Coffeyville において窒素肥料製造プラントのオペレーションを行っている 窒素肥料の製造過程で発生する CO2 はこれまで大気中に放出されてきたが 本プロジェクトではこの CO2 を回収し EOR に用いることが計画されている 窒素製造に伴って生じる CO2 は 85 万トン / 年となっている 石油 天然ガス発掘 生産企業である Chaparral Energy は Coffeyville Resources と共同でこの肥料プラントに CO2 圧縮施設を建設する 回収される CO2 はパイプラインにより輸送され Chaparral が所有するオクラホマ州の Osage County にある油田の North Burbank ユニットにおいて EOR に使用される 2011 年 3 月に Coffeyville Resources は Chaparral Energy と CO2 購入に関する長期的な購買契約を締結しており その中には CO2 の圧縮及び輸送に必要な設備の建設も含まれている また Blue Source は Coffeyville Resources が排出する CO2 を EOR に使用する事業者の開発を行う CO2 圧入は 2013 年 7 月に開始予定となっている 183

184 図 90 窒素製造プラント写真 ( 出典 : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 カンザス州 Coffeyville CVR Energy(Coffeyville Resources Nitrogen Fertilizers) Chaparral Energy N/A 窒素肥料製造プラントのオペレーションは 2000 年 7 月に開始 CO2 圧入は 2013 年 7 月開始予定 Coffeyville 肥料プラントには石油コークスから水素を製造するために Texaco の水素製造プロセスが採用されている このプロセスには Texaco の Quench ガス化技術が搭載されている 隣接する製油所で生産される石油コークスを肥料プラントのガス化施設まで運搬し 破砕してスラリー化した後ガス化炉に投入する 併せて 空気分離ユニット (ASU) で分離された酸素が投入される ガス化炉で生成されたシンガスはスクラブプロセスを経て CO シフト反応により水素と CO2 に転換する ガス化炉のクエンチセクションでは 2 段階のシフト反応器で用いられる水分を提供する シフト反応器から排出される高熱のガスは高熱 高圧の蒸気及び中程度の圧力の蒸気を排出して冷却された後 ボイラー給水の余熱等に用いられる 冷却されたシンガスはその後 酸性ガスを除去するため SELEXOL ユニットへと送られる SELEXOL プロセスではシンガス流から硫化水素及び大部分の CO2 を除去する 最終的な水素の精製は UOP 社の POLYBED 圧力スウィング 184

185 CO2 リソース 事業概要 吸着 (PSA) ユニットで行われ ここで残りの CO2 CO メタン及び水分とアルゴンの一部が除去される PSA ユニットから排出される排ガスは残りの水素を回収するため SELEXOL ユニットへと戻される 精製された水素流は ASU で分離された窒素と共に Black & Veatch Pritchard 技術を搭載したアンモニア合成ループにおいてアンモニアへと変換される アンモニアの生産量は 1,100 t/ 日となっている このうちの 600 t/ 日のアンモニアは SELEXOL プロセスで生成された CO2 流と UAN プラント内で合成し 1,500 t/ 日の UAN へとアップグレードされる SELEXOL プロセスを経て分離される CO2 のうちおよそ 1/3 が UAN 製造に用いるためコンプレッサーにより 150 psia まで圧縮される 残りの 2/3 は現時点では大気中に放出されている Black & Veatch Pritchard は本プラント建設に係る EPC 契約を受託している ( 空気分離ユニット UAN プラント及び製品貯蔵 荷役部分は除く ) また UOP は SELEXOL プロセスのライセンスを所有しており POLYBED PSA ユニットのサプライヤーとなっている 窒素肥料製造のための石油コークスガス化プロセスで発生する CO2 Coffeyville Resources は窒素肥料製造プラントにおいて アンモニア 尿素硝酸アンモニア溶液 (UAN) 等の肥料を製造している 窒素肥料の製造プロセスにおいて製品に使用するための石油コークスをガス化し天然合成ガスを精製する この過程で CO2 が発生する 発生する CO2 の一部は燃料の製造に使用されるが 残りのおよそ 40,000 Mcf/ 日は大気中に放出されている このため 放出されている CO2 を回収し EOR に用いることが計画されている これにより年間 65 万トン超の CO2 排出が削減されると見込まれている 185

186 図 91 ガス化プラントブロックフローダイアグラム 図 92 SELEXOL プロセスフローダイアグラム ( 図 91 図 92 出典 : 3 輸送 実施地域 実施主体 カンザス州 Coffeyville~ オクラホマ州 Osage County North Burbank ユニット Chaparral Energy 186

187 事業資金事業期間技術概要事業概要 N/A 2013 年 7 月 ~ パイプライン輸送 Chaparral Energy は現在 窒素肥料製造プラントに隣接して建設するコンプレッサーステーションから North Burbank ユニットをつなぐ 直径約 20cm(8 インチ ) 全長約 110km のパイプラインを建設中であり パイプラインの敷設は 2013 年早々に完了予定となっている CO2 輸送は 2013 年 7 月に開始予定であり 当初は 2300 万立方フィート / 日の CO2 を輸送する計画であるが 2013 年末までには 4300 万立方フィート / 日までパイプライン容量を拡張する計画となっている Coffeyville Resources と Chaparral Energy は 2011 年 3 月に窒素製造プラントにおいて大気中に放出している CO2 の長期購買契約を締結している この契約では CO2 回収 輸送に係るコンプレッサー ポンプ 計測機器 パイプライン等の全ての関連設備は Chaparral Energy が建設 オペレーションすることとなっている Chaparral Energy はプラントに陸節して CO2 圧縮施設を建設するとともに Osage County にある同社の North Burbank まで CO2 を輸送するため 全長およそ 110km のパイプラインを敷設する予定となっている 図 93 パイプライン建設現場写真 187

188 ( 出典 : A16_CUTLIN234763) 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 オクラホマ州 Osage County North Burbank ユニット Chaparral Energy N/A 2013 年 7 月 ~ 詳細不明 CO2EOR Chaparral Energy が所有 運営する North Burbank 油田は膨大な埋蔵量を有しており 7000 万バレルの採掘が見込まれているが 他の油田と同様 近年生産量が減少しており CO2EOR に用いるための CO2 が必要とされていた 188

189 (10)Hydrogen Energy California Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 実証事業商業規模の完全に統合された CCS を伴う IGCC 発電プラント及び肥料製造施設の実証を行う Hydrogen Energy California LLC 事業パートナー : 三菱重工 Fluor Enterprises カリフォルニア州 Kern County~Elk Hills 油田 2017 年 9 月 ~オペレーション開始予定 40 億ドル本プロジェクトは DOE の Clean Coal Power Initiative IGCC 実証プロジェクトの第 3 ラウンド対象事業として選出されており 4.08 億ドルが拠出される 本プロジェクトでは IGCC 技術を用いて最大ネット出力 280MW( グロス 400MW) の電力を発電するとともに 石炭 75% 石油コークス 25% のブレンド燃料を用いて年間およそ 100 万トンの肥料を製造する 生産される肥料は 尿素硝酸アンモニア溶液 (UAN) 尿素等でありその比率はマーケットと商業的な状況により変動させる また 年間およそ 250 万トンの CO2 を回収し パイプライン輸送によりおよそ 6.4km 離れた Elk Hills 油田において EOR に使用する プラントの建設は 2013 年 6 月に開始予定となっており 2017 年 2 月に完成予定となっている オペレーション開始は 2017 年 9 月を予定している 189

190 図 94 プロジェクトサイト地図 図 95 プラント完成イメージ ( 図 94 図 95 出典 : /Maha%20Mahasenan%20-%20FE pdf) 190

191 図 96 フィールドフローダイアグラム ( 出典 : /CO2_EOR_Project_Draft_MRV_CEC.pdf) 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 カリフォルニア州 Kern County Hydrogen Energy California LLC 事業パートナー : 三菱重工 Fluor Enterprises 40 億ドル 2017 年 9 月 ~オペレーション開始予定 IGCC プラントにおいて石炭と石油コークスはガス化炉へ投入され 酸素と反応させてガス化される ガス化炉内の熱と圧力によりシンガスが合成される その後シンガスはスクラバーにおいて固形物質 粒子状物質が除去される ガス化炉の底部に残された溶融灰等の固形物はセメント原料等に再利用される 水素 硫化水素 CO CO2 ガスから構成されるシンガスはシフト反応器へと運ばれ 蒸気と反応させて CO を CO2 と水素に変換させる その後シンガスは硫黄回収ユニットに運ばれ 硫化水素を硫黄元素に変換して除去する その後 水素から構成されるシンガスは発電及び窒素系肥料の製造に使用される 分離された CO2 は回収され 圧縮された後パイプライン輸送されて EOR に使用される IGCC プラントのガス化技術には 三菱重工の二段二室噴流床石炭ガス化炉の技術が採用される また CO2 の効果的な回収技術として Rectisol 酸性ガス除去システムが採用される また プラントで使用す 191

192 CO2 リソース 事業概要 る水は 汽水性の地下水を利用する この地下水は地域で産出される農業用水に適さない水であり Buena Vista Water Storage District (BVWSD) から調達する また プラントには Zero Liquid Discharge (ZLD) が組み込まれており IGCC プラントで排出される廃水を含む本プロジェクトで排出される全ての廃水はこのシステムを経て各工程で再利用するためにリサイクルされる これにより 使用する水の総量をさらに削減している 石炭及び石油コークスのガス化に伴って発生する CO2 本プロジェクトにおいて新設される IGCC プラントは 西部の亜瀝青炭を 75% 石油精製の副産物として生じるカリフォルニアの石油コークスを 25% 混合させたブレンド燃料を燃料とし ガス化技術によりシンガスを製造する このシンガスを用いてグロス出力 405MW の低炭素型ベースロード電力をグリッドへと提供する 併せて 年間 100 万トン超の低炭素型肥料を製造する シンガスに含まれる CO2 の 90% 以上を回収し パイプライン輸送のために圧縮する 回収する CO2 はおよそ 300 万トン / 年と見積もられている また 処理水はサイト内でリサイクルされ 産業廃水を直接排出することはない 本プロジェクトでは 最先端の排出制御技術を採用することにより 環境汚染物質の放出を最低限に低減させている 図 97 プロセスフローダイアグラム 192

193 ( 出典 : /Maha%20Mahasenan%20-%20FE pdf) 図 98 IGCC プラント概念図 ( 出典 : 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 カリフォルニア州 Kern County~Elk Hills 油田 Hydrogen Energy California LLC 40 億ドル 2017 年 9 月 ~ プラントから Elk Hills 油田まで CO2 はパイプラインによって輸送される HECA の CO2 パイプラインは電子モニタリング機器及び自働隔離シャットオフバルブ等を含む最新のパイプライン安全技術を採用している プラントで回収された CO2 はパイプライン輸送によりおよそ 6.4km 離れた Elk Hills 油田まで輸送され EOR に使用される 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 Elk Hills 油田 Occidental Elk Hills, Inc. 40 億ドル 2017 年 9 月 ~ この油田において Stevens 貯留層で CO2EOR を行うことが計画されて 193

194 CO2 用途 事業概要 いる Elk Hills は複数のシール層と生産ゾーンがある CO2EOR に適したサイトであり 上部には Reef Ridge 頁岩層がシール層として横たわっている また これまで長期にわたる採掘のデータ等から シール層には断層や亀裂などがないことが確認されている CO2EOR の実施にあたり 事前に貯留容量 圧力及び CO2 動態に関する完全なシミュレーションを行い 圧入期間及び圧入後はパフォーマンス追跡のための詳細なモニタリングを行う EOR 事業は本プロジェクト開始後少なくとも 20 年は継続予定であり 事業終了後は井戸を封鎖してサイトを閉鎖し モニタリングは継続する モニタリング計画及びサイト閉鎖後の取扱等については現在検討中となっている CO2EOR パイプライン輸送した CO2 は Elk Hills 油田において CO2EOR に用いられる Elk Hills 油田における EOR 事業は Occidental Elk Hills, Inc. が実施する Occidental Elk Hills は 当該地域の EOR 事業に関して UIC プログラムの Class VI に係る規則への準拠 Class II 許可の取得 及びカリフォルニア州における環境基準への対応等についてあらゆる責任を負う Elk Hills は米国で最大規模の油田であり 1912 年に採掘が開始されてから既に約 100 年が経過している このため 貯留層に関する詳細なデータが蓄積されており その安全性が確認されている また これまでにかん水 窒素ガス メタン及びポリマーを使用した EOR が実施されている 194

195 図 99 CO2EOR イメージ図 図 100 Oxy 社の CO2EOR プロセス 195

196 図 101 CO2EOR 対象地層断面図 ( 図 99~ 図 101 出典 : /CO2_EOR_Project_Draft_MRV_CEC.pdf) 196

197 (11)Lake Charles Gasification 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 実証事業産業プロセスから CO2 を分離 回収して EOR に利用する商業規模の実証事業を行う Leucadia Energy LLC ルイジアナ州 Lake Charles 2013 年 ~ 建設開始 2016 年 ~オペレーション開始予定 25 億ドル本プロジェクトは American Recovery and Reinvestment Act (ARRA) of 2009 の Industrial Carbon Capture and Storage (ICCS) プログラムの対象事業に選出されており DOE から 2.61 億ドルが拠出されることとなっている さらに 連邦政府の投資税額控除により 1.28 億ドルを受領しており さらに追加的な支援を受けられる予定となっている さらに 州政府からの支援として Louisiana State Bond Commission から Gulf Opportunity Zone 及び Hurricane Ike 非課税債として 15.6 億ドルを受理している 本プロジェクトは Lake Charles Cogeneration, LLC が開発している工業用のガス化プラントから排出される CO2 のおよそ 90% を回収し EOR に使用する実証事業である CO2 は同社が開発する 石油コークスから化学製品 ( メタノール及び他の副産物 ) を製造するガス化プラントにおいて回収され 他の混入物質を除去するために精製された後 パイプライン輸送を行うために圧縮され テキサス州及びルイジアナ州の油田において EOR に使用される 本プロジェクトでは併せて テキサス州の Hastings 油田において少なくとも年間 100 万トン以上圧入される CO の長期的な隔離について確認するための総合的な MVA プログラムが実施されることとなっている 本プロジェクトで排出される CO2 のおよそ 90% が回収される 回収量は年間およそ 450 万トンと見込まれている 回収された CO2 はパイプライン輸送され EOR に用いられる Lake Charles Cogeneration は Denbury Onshore, LLP と本プロジェクトで排出される全ての CO2 に関する購買契約を締結しており CO2 のパイプライン輸送及び EOR 事業 MVA 活動は Denbury Onshore, LLP が実施することとなっている 197

198 図 102 プラントサイト地図 図 103 プロジェクト概念図 ( 図 102 図 103 出典 : /Doug%20Cathro%20-%20FE pdf) 2 分離 回収 実施地域 実施主体 ルイジアナ州 Lake Charles Leucadia Energy LLC 198

199 事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 25 億ドル 2013 年 ~ 建設開始 2016 年 ~オペレーション開始予定本プロジェクトにおけるガス化プロセスは次の通りとなっている まず 石油コークスを粉砕し フラックス 水と混合してスラリーをつくり このスラリーを高圧に下 ガス化炉に投入する ガス化炉ではスラリーと高純度の酸素が高温 高圧下で反応しシンガスとスラグが形成される スラグは冷却水によって急冷した後 破砕 洗浄され販売又は廃棄される 精製されたシンガスは CO 水素 水分及び CO2 から構成され 少量のメタン アルゴン 窒素 硫黄分を含む このシンガスは冷却水で冷却されると同時に洗浄されて粒子状物質が除去された後 2 つに分けられ 一方ではメタノール生産に もう一方は水素生産に用いられる 両方のガス流ともまず 酸性ガス除去装置を通過し 硫黄化合物及び CO2 が除去される 除去された CO2 は圧縮 乾燥される 浄化されたシンガスは水素 メタノール生産等に利用される 本プロジェクトでは CO2 の回収及び圧縮のために酸性ガス除去 (AGR) ユニット CO2 圧縮装置 計測ステーション等の設計 建設及び試験が行われる計画となっている CO2 回収装置は 2 基の Lurgi レクチゾール式 AGR ユニットが採用される 圧縮施設には 2 基のコンプレッサーが内蔵される また 計測ステーションでは 輸送される CO2 の容量をモニタリングする また CO2 回収 圧縮設備に付随するシステムとして電力装置 冷却水供給システム プロピレン冷却システム等が設置される 石油コークスのガス化プロセスで発生する CO2 このプラントでは 1 日 7,000 トンの石油コークスをガス化技術によりメタノール 水素 アルゴン及び CO2 へと変換する ガス化技術は GE の Quench gasification 技術が採用される 本プロジェクトでは 原料調達 生産物 副産物の販売及びプラントの建設等に関して 2012 年 10 月 29 日に各社との契約締結を行っている ガス化プラントの原料としては プロジェクトプラントの近隣で生産される石油コークスを主原料として用いる 石油コークスは Koch Carbon, LLC から調達する長期契約を締結しており Gulf Coast 製油所から 7000 トン / 日 ( 年間 240 万トン ) の石油コークスを調達することとなっている また Turner Industries Group Baton Rouge がプラントの建設を請負い Kellogg, Brown and Root(KBR) が設計 エンジニアリング及 199

200 び調達業務を行う BP Products North America Inc. はプラントで生産されるメタノールの大部分を購入し Air Products は水素及びアルゴンを購入するとともに空気分離ユニットで供給する酸素を提供する予定となっている また 本プロジェクトで回収される CO2 は Denbury Onshore LLC が購入することとなっている 図 104 ガス化プロセスフロー図 ( 出典 : 200

201 図 105 ガス化炉プロセスフローダイアグラム ( 出典 : /Doug%20Cathro%20-%20FE pdf) 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 ルイジアナ州 Lake Charles~Gulf Coast 油田 Denbury Onshore, LLP 25 億ドル 2013 年 ~ 建設開始 2016 年 ~オペレーション開始予定回収された CO2 は Denbury Onshore, LLP が所有する油田までパイプラインで輸送される プラントから Denbury の既存の Green Line CO2 パイプラインまでをつなぐパイプラインを新たに建設する予定となっている このパイプラインは直径 40.6cm(16 インチ ) 全長約 11km となっている このパイプラインにより 回収した全ての CO2 が EOR 事業に使用される Denbury はパイプラインシステムの安全を確保するため 様々な手法を採用しており 例えば以下が挙げられる 圧力試験 - 最大オペレーション圧力への耐性を検証するため 供用前に配管の強度試験を行う 陰極防食法 - 外部からの腐食を妨げるため追加的なコーティングと 201

202 事業概要 して陰極防食法を採用している 目視検査 - 外部からの侵入や破壊の兆候を確認するため 定期的に目視検査を行う また 全てのパイプラインルートの空中写真調査も定期的に実施する モニタリング-パイプラインのオペレーション状況をコントロールセンターから 24 時間体制で監視している コンピューターシステムによりパイプラインシステムの自動制御装置が稼働するようになっている 応急処置 - 全てのオペレーターが緊急訓練を受けており 危機的状況が生じた際には 適切な対応をとることとなっている 回収された CO2 は パイプライン輸送により Denbury Onshore, LLC の Gulf Coast 油田まで送られ CO2EOR に使用される 同社は Gulf Coast 油田において CO2EOR を行うため 同社が運営 管理する既存の全長約 515km の Green Pipeline を使用しているが 本プロジェクトでは プラントから Green Line CO2 パイプラインまでの間をつなぐ全長約 191km の CO2 パイプラインを新たに建設する予定となっている 図 106 CO2 パイプライン地図 ( 出典 : /Doug%20Cathro%20-%20FE pdf) 4 貯留 実施地域 実施主体 Gulf Coast 油田 Denbury Onshore, LLP 202

203 事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 25 億ドル 2013 年 ~ 建設開始 2016 年 ~オペレーション開始予定本プロジェクトではパイプライン輸送した CO2 を用いて CO2EOR が行われる計画であり この CO2EOR によって 600 万 ~900 万バレルの増進回収が見込まれている また 併せて行われる主な MVA 活動として 井戸の完全性試験 断層モニタリング 上層ゾーンモニタリング フラッド適合試験等が計画されている このうち上層ゾーンモニタリングでは 3 つの井戸を掘削し CO2 の移動を追跡するために温度 圧力の計測を行う CO2EOR 本プロジェクトで回収した CO2 は Denbury Onshore, LLC によりパイプライン輸送され 同社の Gulf Coast 油田において CO2EOR に使用される この油田では 同社は現在自然由来の CO2 を用いた CO2EOR により 35,000 バレル / 日の原油を採掘しているが 本プロジェクトによって調達する CO2 を用いることにより さらに多くの原油生産が見込まれている 本プロジェクトにより 年間 450 万トンの CO2 が CO2EOR に使用され 油田に貯留される予定となっている 併せて 圧入した CO2 の動態等を確認するため Hastings 油田において MVA 活動が行われる計画となっている 203

204 (12)Medicine Bow Coal-to-Liquids Facility 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業 2 つの実証された新たな技術を用いて輸送用液体燃料を生産すると共に CO2 を分離回収して CO2EOR に使用することによりワイオミング州における CO2EOR 事業にも貢献する Medicine Bow Fuel & Power LLC(MBFP)(DKRW Advanced Fuels LLC の子会社 ) Denbury Onshore, LLC ワイオミング州 Carbon County Medicine Bow 2015 年 5 月からオペレーション開始予定およそ 27 億ドル本プロジェクトでは ワイオミング州 Medicine Bow において 坑口近くに新たな石炭液化 (CTL) 施設の開発を行うものである 原料はプロジェクトパートナーである Arch Coal が供給する Carbon Basin で産出される石炭を用いる予定であり この石炭から炭化水素液化製品を製造する 1 トンの石炭から 2 バレルのガソリンを生産することができる プラントのオペレーション開始は 2014 年を予定しており 20,000~ 24,000 バレル / 日の製品が製造される予定となっており 最大 42,400 バレル / 日まで生産可能となっている プラントで回収される CO2 は Denbury Resources の子会社である Denbury Onshore, LLC が全て購入する長期購買契約を 2011 年 3 月に締結している 回収した CO2 はパイプライン輸送し 同社が管理 運営する Rocky Mountain 地域の油田において CO2EOR に使用される 204

205 図 107 プラント地図 ( 出典 : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 ワイオミング州 Carbon County Medicine Bow Medicine Bow Fuel & Power LLC(MBFP) およそ 27 億ドル 2015 年 5 月からオペレーション開始予定本プロジェクトでは General Electric(GE) がライセンスを所有する石炭ガス化技術が採用される スラリー状にされた石炭は GE のクエンチガス化炉へと投入され 併せて大気分離ユニットから酸素が投入される クエンチガス化炉ではガス化プロセスの中で水分を用いて生成されたシンガスを冷却する このプロセスで シンガス及びスラグ 汚水がつくられ シンガスはその後冷却水により急冷され洗浄される スラグ及び汚水は浄化ユニットへと送られる ガス化炉で製造されたシンガスは水銀吸着剤 硫化カルボニル加水分解リアクター 酸性ガス除去 (AGR) ユニット等を経てシンガス変換の仕様に適合するシンガスに至る 酸性ガス除去には Selexol プロセスを採用する AGR ユニットで生成された酸性ガスは Claus 型硫黄回収プラント内で液化硫黄製品の製造に用いられる また AGR ユニットで除去される CO2 は乾燥 圧縮される メタノール合成プロセスでは Davy Process Technology を用いてシンガスを圧縮 浄化しメタノールへと変換する シンガスは圧縮し 不純物 205

206 CO2 リソース 事業概要 が除去された後 メタノール合成触媒を用いてメタノールへと変換される 粗メタノールは圧縮され 残されたガスは燃料ガスとしてパワーブロックへと送られる メタノールをガソリンに変換させる過程では ExxonMobil の特許技術である methanol-to-gasoline (MTG) 技術が用いられる 合成ユニットにあるメタノールは乾燥され MTG リアクター内で一連の反応を経た後 冷却され 直留ガソリンが生成される 直留ガソリンは商業的なスペックを満たすように処理されて完成となる 石炭液化プロセスで発生する CO2 この CTL 施設では General Electric Company のシンガス精製ガス化技術を採用予定であり この技術により硫黄分と CO2 を除去することが可能となる このプロセスにより 従来型の石炭の使用に伴って排出される温室効果ガス及び他の環境汚染物質を大幅に削減することができる このプロセスで生成された浄化されたシンガスは調整され 改質され メタノールへと変換される ExxonMobil Research and Engineering からライセンス供与された技術を用いることにより メタノールをガソリンに変換する また 酸性ガス除去プロセスには Selexol 法を メタノールの合成には Davy Process Technology が用いられる 液化プロセスでは 液化燃料であるガソリン以外にも CO2 等の副産物が発生するが それらは売却され 地域内で利用される CO2 は乾燥され液化された後パイプライン輸送され CO2EOR に用いられる なお 2011 年 9 月 DKRW Advanced Fuels LLC は Sinopec Engineering Group と本プロジェクトにおける EPC 契約を締結している 206

207 図 108 石炭液化プロセス概要 ( 出典 : 3 輸送実施地域ワイオミング州 Carbon County Medicine Bow ~Rocky Mountain 地域の油田実施主体 Denbury Onshore, LLC 事業資金およそ 27 億ドル事業期間 2015 年 5 月からオペレーション開始予定技術概要パイプライン輸送 ( 詳細未定 ) 事業概要回収された CO2 は Denbury Onshore により Medicine Bow のプラントから Rocky Mountain 地域における同社が管理 運営する油田まで輸送される 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 Rocky Mountain 地域の油田 Denbury Onshore, LLC およそ 27 億ドル 2015 年 5 月からオペレーション開始予定詳細不明 CO2EOR 回収された CO2 はパイプライン輸送され Rocky Mountain 地域におけ 207

208 る Denbury Onshore が管理 運営する油田において CO2EOR に使用される Rocky Mountain 地域では CO2EOR のために 10 兆立方フィートの CO2 を必要としており さらに 22 兆立方フィートのリサイクルされた CO2 により 40 億バレルの原油の増進回収が可能であると見積もられている 208

209 (13)NRG Energy Parish CCS Project 1 事業概要 : 事業の種類実証事業事業目的既存の石炭プラントに商業規模の CO2 回収設備をレトロフィットし 炭素回収を実証する 燃焼後炭素回収がより経済的に実現可能なものとなるよう 他の新たな技術についても実証する 実施主体 Petra Nova LLC,(NRG Energy の子会社 ) 実施地域テキサス州ヒューストン南西部 Thompsons 事業期間 2015 年 ~オペレーション開始予定事業総額 / プロジ 3.38 億ドルェクトの種類本プロジェクトは DOE の Clean Coal Power Initiative IGCC 実証プロジェクトの第 3 ラウンド対象事業として選出されており 1.67 億ドルが拠出される プロジェクト概本プロジェクトではテキサス州ヒューストン南西部にある既存の WA 要 Parish 発電所において 商業規模の燃焼後炭素回収を行う 最大 250MWe の石炭火力燃焼ガスのスリップストリームからおよそ 90% の CO2 を回収する 年間の回収量は 150 万トンの予定となっている 回収した CO2 はテキサス州の Gulf Coast 地域の枯渇油田において CO2EOR に用いられる予定となっており 当初は Hilcorp Energy Company が管理 運営する West Ranch 油田に圧入される予定となっている 他のサイトについては 現在貯留層の分析が行われている 図 109 プロジェクト概要イメージ 209

210 ( 出典 : 2 分離 回収実施地域テキサス州ヒューストン南西部 Thompsons 実施主体 Petra Nova LLC 事業資金 3.38 億ドル事業期間 2015 年 ~オペレーション開始予定技術概要 W.A. Parish 発電所の既存の石炭火力発電ユニットの1つ ( ユニット 8) に燃焼後 CO2 回収システムをレトロフィットする また CO2 回収システムにおいて必要な電力及び蒸気を提供するため 80MW の天然ガス焚きコジェネレーションプラントを同じ場所に新設する 出力 650MW の石炭火力発電ユニットから排出される燃焼排ガスから 最大 250MWe の石炭火力燃焼ガスのスリップストリームを CO2 回収システムで処理する CO2 を回収した後 処理後の排ガスは大気中に放出する CO2 回収には Fluor のアミン溶媒技術である Econamine FG Plus プロセスが採用される このプロセスは アミン溶剤を用いて燃焼ガスから CO2 を回収するものであり 溶媒は石炭火力発電プラントの燃焼ガスにおける灰 二酸化硫黄 三酸化硫黄 NOx 酸素等の中から CO2 を除去 回収するように設計されている この溶媒は既にテストプラントで実証されたものであり 現時点で入手可能であり 安価でエネルギー必要量も少ない なお 新設される CO2 回収プラントでは Fluor 及びテキサス大学が開発している新たな溶媒やピペラジン溶媒の試験等も行うように設計されている また 吸収剤の中間冷却や蒸気圧縮等 装置性能の技術革新が現在途中段階にあるものの実証も計画されており これらの技術により必要エネルギー量を最大 20% 程度削減可能であると見られている CO2 リソース石炭火力発電に伴って排出される CO2 事業概要本プロジェクトでは既存の W.A. Parish 発電所における石炭火力発電ユニットの 1 つ ( ユニット 8) から排出される燃焼排ガスから 90% の CO2 を回収する プロジェクトの目的は本プロジェクトでは Fluor のアミン溶媒技術である Econamine FG Plus 及び CO2 処理システムにおける多数の革新的な技術的進歩について実証する Petra Nova 及びエンジニアリングパートナーの Sargent & Lundy は併せて 蒸気製造及び CO2 圧縮を含むプラントプロセスの効率等を改善することにより プラントの CO2 回収システムにおいて必要となるエネルギーの削減を目指す 210

211 プロジェクトは当初 60MW 規模であったが 規模が小さすぎると判断し 最近になって 240MW まで規模を拡大することとなった プラントの建設は 2012 年中に開始予定であり 天然ガス焚き発電ユニットは 2013 年夏には稼働開始を予定している 図 110 プロセスフロー図 ( 出典 : 図 111 Econamine FG Plus プロセス概要 ( 出典 : 211

212 図 112 Econamine FG Plus プロセス概要図 ( 出典 : /Tim%20Simonson%20-%20FE pdf) 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 テキサス州ヒューストン南西部 Thompsons ~Jackson County West Ranch 油田 Texas Coastal Ventures LLC (TCV): NRG Energy と Hilcorp Energy Company (HEC) の JV 3.38 億ドル 2015 年 ~オペレーション開始予定本プロジェクトにおいて Petra Nova は WA Parish プラントから West Ranch 油田までの間を 全長およそ 130km のパイプラインを敷設する パイプラインは Fort Bend Wharton Jackson counties を経て West Ranch 油田に至る パイプラインは運輸省の基準に従い 30.5cm(12 インチ ) となっており 通常地下約 91cm の深さ ( 川や沢を横断する箇所では約 150cm の深さ ) に敷設される パイプラインに関連する地上設備としては 現段階では計測ステーションの設置が予定されている 本プロジェクトで回収された CO2 は WA Parish 発電所からパイプライン輸送により Jackson County の West Ranch 油田に輸送され CO2EOR に用いられる パイプラインは Texas Coastal Ventures により新たに建設され 運営 212

213 管理される予定となっている 図 113 CO2 パイプラインルート及び EOR サイト地図 ( 出典 : 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 テキサス州 Jackson County West Ranch 油田 Hilcorp Energy Company 3.38 億ドル 2015 年 ~オペレーション開始予定パイプライン輸送された CO2 は West Ranch 油田において Hilcorp Energy Company によって CO2EOR 事業に用いられる この油田はおよそ 46.5km2 であり このうち CO2 圧入の対象となる区域は 16.2km2 となっている 詳細技術等は不明だが CO2 は地下およそ 1,500~ 1,900m の油層に圧入される予定であり CO2 圧入に用いられる井戸は 1600m 超の深さがある CO2EOR West Ranch 油田は Hilcorp Energy Company が運営 管理している 本プロジェクトで回収され輸送される CO2 も Petra Nova とのパートナーシップにより Hilcorp Energy Company が CO2EOR のオペレーションを行う 年間およそ 160 万トンの CO2 が CO2EOR に用いられる予定となっている この油田は 1938 年に発見されて以来現在まで採掘 213

214 が続けられている これまでにおよそ 3.9 億バレルの原油が生産されている CO2EOR と併せて CCPI プログラムの要求事項に基づいて EOR フィールドにおいて CO2 モニタリングプログラムが実施される CO2 モニタリングプログラムは Texas Coastal Ventures が Texas Bureau of Economic Geology (BEG) と共同で開発して実施する 214

215 (14)Taylorville Energy Center 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業イリノイ州の瀝青炭をクリーンな天然ガスに変換し それを用いて発電を行うことにより 石炭を用いた最も環境にやさしい発電プラントを建設するとともに 長期的に低迷しているイリノイ州の石炭産業に新たなマーケットを創造し イリノイ州に雇用を創出する Christian County Generation, L.L.C.,(Tenaska と MDL Holding Co. の JV) イリノイ州 Christian County Taylorville 近郊 2017 年 ~オペレーション開始予定 35 億ドル本プロジェクトは 2009 年 7 月に DOE の Loan Guarantee Program( 融資保証プログラム ) の対象として選出されており これにより最大総額 億ドルの融資が保証される 本プロジェクトは CCS を伴うグロス出力 716MW( ネット出力 602MW) の IGCC 石炭火力発電プラントを新設することにより世界で最もクリーンな発電プラントをつくるものである この IGCC プラントは全米の石炭埋蔵量の 2 割を占めるイリノイ州の石炭採掘所で産出される瀝青炭を燃料とし 年間 150 万 ~250 万トンの石炭を使用する また 最先端の技術を用いて SO2 粒子状物質 水銀 NOx の排出量を抑制し SO2 及び NOx の排出量は年間 11,000t 削減することができる また CCS により排出される CO2 の 50% 以上を回収する 効率の悪い発電プラントを新たな IGCC プラントに置き換えることにより CO2 の排出量を年間 190 万トン以上削減することが可能となる 回収した CO2 は枯渇油田に圧入し CO2EOR に用いる計画となっている バックアップとして厚いキャップロック層の下にある塩性貯留層における地中貯留フィールドの調査を実施しており CO2 地中貯留の許可を取得している 本プロジェクトは 2009 年にエンジニアリング及び設計業務を開始しており 2012 年後半から建設開始し 2017 年の商業オペレーション開始を計画している 215

216 図 114 プラントサイト地図 図 115 プラント完成イメージ ( 図 114 図 115 出典 : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 イリノイ州 Christian County Taylorville 近郊 Christian County Generation, L.L.C., 35 億ドル 2017 年 ~オペレーション開始予定本プロジェクトで建設される IGCC プラントは大きく分けて 3 つの基本的な構成要素から構成されている ガス化フェーズでは 石炭を破砕しクリーンなシンガスへと変換させる 216

217 CO2 リソース 事業概要 ために 熱 圧力 酸素及び水分が用いられる ガス化炉には Siemens の SFG-500 が採用される このガス化炉は全長 18m 内径 3m 重量 220t であり 最大 2000t/ 日の石炭容量がある ガス化炉で生成されたシンガスはパーティクルスクラバーにおいて粒子状物質が除去される その後シフト反応器において CO と蒸気を CO2 へと変換する ガス化プロセスでは シンガス中の水銀 硫黄及び CO2 の大部分を回収することが可能である IGCC プラントではその後 メタン生成プロセスにおいて シンガスを代用天然ガス (SNG 又はメタン ) へ変換する エネルギー含有量が比較的高い SNG は 2 基のガスタービンの動力となる このタービンで生じた余剰熱は蒸気タービンの動力とするため水を加熱する この高効率なアプローチは複合サイクルと呼ばれるものである SNG はシンガスと比較してエネルギー含有量が高いためより効率的に発電を行うことができる 回収された CO2 はプラント内に設置される CO2 コンプレッサーにより圧縮され そのままの圧力で圧入井まで送られる このため 圧入井にはポンプは設置されない CO2 は 50% のキャパシティで稼働する 2 基の 8 段階遠心式コンプレッサーで圧縮される それぞれのコンプレッサーはおよそ 19,500 馬力の電動モーターで駆動する また 吐出温度を超えることがないよう冷却するため コンプレッサーには中間冷却器が設置されている 圧縮された CO2 はパイプライン輸送により CO2EOR として枯渇油田に圧入されるか 深部塩性帯水層へ貯留される 石炭ガス化に伴って発生する CO2 本プロジェクトでは ネット出力 602MW の IGCC プラントを建設する この IGCC プラントは石炭をシンガスに変換し その後代替天然ガス (SNG) に変換する この代替天然ガスが発電に用いるか 又は天然ガスパイプラインにより輸送し 販売する 汚染物質は燃焼前に分離 回収されることによりIGCC プラントは従来の石炭発電施設と比較し非常にクリーンである また CO2 の大部分も燃焼前に回収することにより温室効果ガスの排出量を大幅に削減することができる 217

218 図 116 プロジェクトイメージ ( 出典 : 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 イリノイ州 Christian County Taylorville 近郊 Christian County Generation, L.L.C., 35 億ドル 2017 年 ~オペレーション開始予定現在計画されている地上設備は次の通りとなっている 圧入サイトには 3 つの圧入井が掘削される予定であり IGCC プラントとこれらの圧入井は パイプラインによって接続される 外径 40.6cm(16 インチ ) 及び 32cm(12.75 インチ ) のパイプラインが地表パイプラインとして用いられ 3 つの圧入井には外径 18cm(7 インチ ) の配管が用いられる いずれの配管もカーボンスチール製となっている CO2 コンプレッサーからおよそ 1.6km の地点に 1 つ目の圧入井 (TEC #1) があり そこからそれぞれ 3.2km 間隔で 3 つの圧入井が掘削される パイプラインの最大設計圧力は 2,220 psi となっている 本プロジェクトでは 回収した CO2 は EOR 事業に使用することが計画されているが 対象となる油田等は現時点では決まっていない そのバックアップとして Mount Simon 砂岩層の深部塩性帯水層への貯留が 218

219 予定されており 詳細な評価等が行われている 対象サイトまでは パイプラインによる輸送が計画されており プラン トサイトから全長およそ 8km のパイプラインの敷設が計画されている 図 117 プラントサイト及び圧入井のロケーションマップ ( 出典 : 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 イリノイ州 Christian County Taylorville 近郊 Christian County Generation, L.L.C., 35 億ドル 2017 年 ~オペレーション開始予定 CO2 地中貯留に関連する地上施設として CO2 流の輸送及び管理のためのパイプライン 流量計 モニターの設置が計画されている また 圧入井の坑口には クリスマスツリーバルブ 2 SS マスターバルブ 3,000 psig ウィングバルブ等から構成される坑口装置が設置される マスターバルブとウィングバルブには自働シャットダウンデバイス 219

220 CO2 用途 事業概要 が装着されており 全ての坑口装置はスチール製となっている 圧入される CO2 は乾燥しているため スチール製の坑口装置と反応することはない これらの坑口装置はテキサス州及びミシシッピ州の EOR 事業で用いられているものと同様なものである なお 最終的な圧入井の配置は 最初の圧入井 (TEC #1) から入手する地質のデータ等に基づいて決定する 圧入井における年間 CO2 圧入量の合計は最大で 450 万トンとなっているが 現時点では 通常のプラントオペレーションで回収可能な量のうちの約 92% およそ 210 万トン / 年を計画している 1 日あたりの圧入量はサイトの地質や圧入性にもよるが 3,000~5,750 トン / 日の幅で行うことを計画している 圧入した CO2 の総量を計測するため 流量計が設置される 流量計はコンプレッサーと圧入井坑口の間に設置される予定となっている なお CO2 貯留層となる Mount Simon 砂岩層は 330~400m 程度の厚さがあり CO2 の貯留を行うのに十分なボリュームがある また 上部には Eau Claire と呼ばれる非常に厚く広大な頁岩ユニットが横たわっており その不浸透性から非常に優良なシール層となると考えられる 深部塩性帯水層への永久貯留 /CO2EOR 回収した CO2 は EOR 事業に使用することが計画されており テキサス州 ルイジアナ州の油田等が検討されているが 現時点では決まっていない そのバックアップとして Mount Simon 砂岩層の深部塩性帯水層への貯留が予定されており 詳細な評価等が行われている なお 2011 年 9 月に 2 本の圧入井の掘削及びオペレーションについて 環境保護庁から UIC プログラムの Class VI 圧入井の許可を取得している 220

221 図 118 圧入井及び圧力モニタリングシステム概要 ( 出典 : 221

222 (15)Tenaska Trailblazer Energy Center 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業商業規模の燃焼後 CO2 回収設備を備えた超臨界圧微粉炭発電により 石炭を用いて CO2 排出量が極めて少ない電力を地域に供給する Tenaska, Inc., テキサス州 Nolan County Sweetwater 近郊 2014 年 ~オペレーション開始予定 35~40 億ドル本プロジェクトは GCCSI からエンジニアリング及び設計業務支援のため 803 万豪ドルの補助を受けている 本プロジェクトは商業規模の燃焼後 CO2 回収設備を備えた超臨界圧微粉炭発電施設である Tenaska Trailblazer Energy Centre を新たに建設するものである このプラントはグロス出力 765MW ネット出力およそ 600MW(CO2 回収設備込 ) の亜瀝青炭による発電プラントに CO2 燃料後回収設備が組み込まれたものである この CO2 回収装置はプラントで排出される CO2 の 85~90% を回収するように設計されており 年間の CO2 回収量はおよそ 580 万トン (17,500 トン / 日 ) となっている 回収された CO2 は乾燥 圧縮された後パイプラインによりテキサス州西部の Permian Basin 油田に輸送され EOR に使用され 最終的には地中貯留される予定となっている 図 119 プロジェクトサイト地図 222

223 図 120 プラントイメージ 図 121 プロジェクトイメージ ( 図 119~ 図 121 出典 : 223

224 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 テキサス州 Nolan County Sweetwater 近郊 Tenaska, Inc., 35~40 億ドル 2014 年 ~オペレーション開始予定発電プラントに設置される CO2 回収装置には Fluor の Econamine FG+ が採用される Fluor は同社のアミン溶剤により低圧で酸素を含有したガス流から CO2 を回収する 同社の EFG+ プロセスはアミン溶剤によるガスの処理プロセスとコンセプトとしてはほぼ同様である 発電プラントの燃焼ガスは Direct Contact Cooler(DCC) の底部から送り込まれ 循環水流によって冷却される その際にガス流に含まれる粒子状物質の大部分が除去される 燃焼ガスには大量の SO2 が含まれているため DCC では水酸化ナトリウムを用いた洗浄液が循環している SO2 は吸収塔における溶剤を劣化させるため DCC において燃焼ガス内の SO2 含有量を非常に少なくさせる必要がある 冷却されたガスはブロワーを経由して吸収塔へと送りこまれる 吸収塔の底部から送り込まれたガスは上部へと向かう中で循環している溶媒と接触し 化学反応により CO2 が溶媒に吸収される 大部分が窒素と酸素から構成される残余ガスは循環水流によって洗浄された後 吸収塔の上部から排出される CO2 リッチ溶媒は吸収塔の底部から溶媒再生セクションへと送られる 溶媒再生セクションにおいてリッチ溶媒は加熱された後 除去装置において除去剤と接触し CO2 が除去される 加熱された溶媒は除去装置を通過後 熱交換器で冷却され 溶媒濾過システムを経て溶媒中の含有物を除去した後 溶媒吸収塔へと戻される 除去装置の上部から排出される水蒸気は冷却され 大部分の水分は凝縮されて低圧の CO2 が残る 水分の大部分は還流として除去装置へと戻るが 一部は吸収塔へと戻る 低圧の CO2 は圧縮セクションへと送られ パイプライン輸送の基準に合致させるために圧縮される 微粉炭発電に伴って発生する CO2 本プロジェクトでは 商業規模の燃焼後 CO2 回収プラントを備えた超臨界微粉炭発電プラントを新たに建設する 本プロジェクトは燃焼後 CO2 回収プラントを初期設計段階から備えた米国発の石炭火力発電プラント新設事業となる予定である CO2 回収プラントでは 発電プラントから排出される CO2(16,420 t/ 日 ) の 85~90% を回収予定となっている 224

225 Tenaska は 2007 年からプロジェクトの概念設計を開始し 2008 年 12 月にオーナーエンジニアとして Burns & McDonnell と契約した その後 2009 年 6 月に CO2 回収プラントに関して Fluor Enterprises との覚書を締結し CO2 回収技術として 同社の Econamine FG+(EFG+) を採用する検討を始めた 2010 年 8 月に Fluor は CO2 回収プラントの FEED 調査を開始し 2011 年 6 月に完了している 図 122 Econamine FG+ フローダイアグラム ( 出典 :Traiblazer Front-End Engineering and Design Study Report(Final)) 3 輸送実施地域テキサス州 Nolan County Sweetwater 近郊 ~テキサス州西部 Permian Basin 油田実施主体 Tenaska, Inc.,( パイプライン輸送事業実施主体は未定 ) 事業資金 35~40 億ドル事業期間 2014 年 ~オペレーション開始予定技術概要詳細未定事業概要回収した CO2 はテキサス州西部の Permian Basin 油田において CO2EOR に使用することが計画されており プラントサイトから Permian Basin 油田までは パイプラインにより輸送することが予定されている 現時点では詳細は未定である 225

226 4 貯留実施地域テキサス州西部 Permian Basin 油田実施主体 Tenaska, Inc.,(CO2EOR 事業実施主体は未定 ) 事業資金 35~40 億ドル事業期間 2014 年 ~オペレーション開始予定技術概要詳細未定 CO2 用途 CO2EOR 事業概要回収した CO2 はテキサス州西部の Permian Basin 油田において CO2EOR のために提供することが計画されている Permian Basin 油田は世界で最大級の CO2EOR 実施地域であり 最も成熟した CO2 マーケットが形成されている このサイトでは 1970 年代から EOR 事業が実施されており CO2 の管理及び廃棄に関しても既に規則等が整備されている 本プロジェクトは CO2 回収設備の設置により追加的なプロジェクト費用が発生しており 売電収入を上回ってしまうため CO2 マーケットへのアクセスはプロジェクトの成功には不可欠であると考えている なお CO2 売却先の詳細等は現時点では決まっていない 226

227 (16)Texas Clean Energy Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 実証事業 IGCC ポリジェネレーションプラントから CO2 を除去し 圧縮した後パイプライン輸送して CO2EOR に用いるとともに 圧入した CO2 の MVA を行う実証事業を行う Summit Texas Clean Energy, LLC テキサス州 Ector County Penwell 2014 年 ~オペレーション開始予定 25 億ドル本プロジェクトは DOE の Clean Coal Power Initiative IGCC 実証プロジェクトの第 3 ラウンド対象事業として選出されており およそ 4.5 億ドルが拠出される 本プロジェクトでは IGCC 技術を用いたポリジェネレーションプラントを建設する このプラントでは IGCC 技術により 400MW( グロス ) の電力を発電し このうちの 130~213MW は送電網へと提供される 併せて 尿素 アルゴン 硫酸を生産し 商業市場にて販売する また CO2 回収設備を組み込むことにより CO2 を分離 回収し EOR 事業に用いる 本プラントは複数の製品を生産可能であるため ポリジェネレーション ( ポリジェン ) プラントと称される 回収した CO2 は既存の CO2 パイプラインにより EOR サイトまで輸送され EOR に使用される 本プロジェクトは発電プラントにおける CO2 燃焼前回収技術の商業化を前進させるための重要なステップとなる 電力及び他の市場販売可能な製品を製造すると同時に温室効果ガスを回収 貯留することにより 環境への影響を最小限に抑えながら米国における増加するエネルギー需要を満たすために 石炭が活用可能であることを実証することが可能となる さらに 本プロジェクトではポリジェネレーションの手法が IGCC 技術の 1 つの経済的経路となることを実証するものである 回収した CO2 の大部分について Whiting Petroleum Corporation と売買契約を締結しており Permian Basin にある同社の North Ward Estes 油田において CO2EOR 事業に用いる予定となっている また 発電した電力は CPS Energy と長期的な電力供給契約 (PPA) を締結している 硫酸については Shrieve Chemical Company と契約を締結しており 尿酸は CHS Inc. と長期供給契約を締結している 227

228 図 123 プラントサイト地図 図 124 プラントイメージ ( 図 123 図 124 出典 : プロジェクト環境影響評価書 ) 228

229 図 125 プロジェクトコンセプトスキーム ( 出典 : oject.pdf) 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 テキサス州 Ector County Penwell Summit Texas Clean Energy, LLC 25 億ドル 2014 年 ~オペレーション開始予定この IGCC プラントでは Siemens の商業ガス化炉及びパワーブロック技術を採用する 2 基の SFG-500(500MW サーマル ) ガス化炉により生成されるシンガスは 急冷され 洗浄された後 シフト反応により水素含有量の高いガスへと変換される パワーブロックは 1 基の SGT6-5000F 燃焼タービン 1 基の 3 重圧熱回収蒸気発生器及び 1 基の SST-900RH 再熱蒸気タービンによって構成されており グロス出力 400MW の発電を行う また CO2 回収設備として 水性ガスシフト及び Linde の Rectisol 酸性ガス除去技術が採用され プラントから排出される CO2 のおよそ 90% を回収する 回収された CO2 は 2 つに分けられ 約 21% の CO2 はおよそ 2,156t/ 日製造される尿素肥料の製造に用いられる 残りの CO2 は圧縮され CO2EOR に用いるため 地域の CO2 パイプラインでテキサス州西部の Permian Basin 油田の EOR サイトまで輸送される なお 回収する CO2 の量は 電力及び尿素の需要により変動する 229

230 CO2 リソース 事業概要 石炭ガス化に伴って発生する CO2 IGCC プラントに燃焼前 CO2 回収設備を組み込むことにより 年間最大で 300 万トンの CO2 を回収する予定となっている 本プロジェクトは 2010 年 6 月に Siemens Fluor Corporation Selas Fluid Processing Corporation(Linde Group の子会社 ) と共同で FEED を開始しており 2012 年中にプラントの建設開始を予定している 図 126 プロセスフローダイアグラム ( 出典 : プロジェクト環境影響評価書 ) 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 テキサス州 Ector County Penwell~テキサス州西部 Permian Basin North Ward Estes 油田 Summit Texas Clean Energy, LLC 25 億ドル 2014 年 ~オペレーション開始予定パイプライン輸送 EOR サイトまでの輸送には既存の Kinder Morgan Central Basin パイプラインを使用するが プラントから既存の Kinder Morgan Central Basin パイプラインまでのおよそ 1.6km の間を接続するため 新たにパ 230

231 事業概要 イプラインを敷設する このプラントでは年間およそ 270 万トンの CO2 を回収し そのうちの 230~270 万トンが EOR に用いられるために売却される ( 電力及び尿酸の需要により変動 ) CO2EOR に用いられる CO2 はパイプラインにより EOR サイトまで輸送される パイプライン輸送にあたっては 既存の Kinder Morgan Central Basin パイプラインへ接続させるための短距離のパイプラインを新たに敷設する予定となっている Kinder Morgan Central Basin パイプラインはテキサス州のデンバーシティから McCamey を結ぶパイプラインであり このパイプラインに接続された CO2 は他の CO2 流に混入して Permian Basin の油田に輸送される 図 127 CO2 パイプライン (Kinder Morgan Central Basin パイプラインおよび接続用パ イプライン ) ( 出典 : プロジェクト環境影響評価書をもとに NTT データ経営研究所にて編集 ) 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間 テキサス州西部 Permian Basin North Ward Estes 油田 Whiting Petroleum Corporation 25 億ドル 2014 年 ~オペレーション開始予定 231

232 技術概要詳細不明 CO2 用途 CO2EOR 事業概要 Kinder Morgan Central Basin パイプラインで輸送された CO2 は Permian Basin にある Whiting Petroleum Corporation の North Ward Estes 油田において CO2EOR に用いられる North Ward Estes 油田における EOR 事業は米国で最大級の EOR 事業となっている Whiting Petroleum Corporation は Summit Texas Clean Energy と 15 年間の CO2 売買契約を締結しており 80,000 Mcf/ 日の圧縮 CO2 を購入することとなっている これはプラントで回収する CO2 のおよそ 60% となっている CO2 圧入サイトでは DOE との契約に基づき 貯留した CO2 の MVA 活動が行われる この MVA 活動には EOR システムのマテリアルバランス計算 モデリング プリューム追跡及びリーク検出等が含まれる Summit Texas Clean Energy はMVA 活動を Texas Bureau of Economic Geology と共同で実施する予定となっている 232

233 (17)Cash Creek Generation 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業石炭ガス化により代替天然ガスを生成するとともに天然ガス焚きガスタービン複合サイクル発電プラントをサイト内に建設することにより 天然ガス及び電力の選択性を持たせると共に IGCC と同等もしくは IGCC に勝る発電効率とする また 非常に優れた環境性能により ガス化プロセスで発生する CO2 を 100% 回収する Erora Group ケンタッキー州 Henderson County 2015 年頃オペレーション開始予定 20 億ドル超本プロジェクトでは 565 MW の IGCC プラントを建設し ケンタッキー州 Henderson County の Owensboro で産出される石炭から高品質の代替天然ガス (SNG) 及び電力を生産する 年間 280 万トンの石炭を用いて電力の供給及び天然ガスを生産し州内にパイプラインで輸送するとともに 年間およそ 200 万トンの CO2 を回収する 回収した CO2 はパイプライン輸送により EOR 事業に用いられる予定となっている 図 128 プロジェクトサイト地図 ( 出典 :Erora Group 資料 : 233

234 th) 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 ケンタッキー州 Henderson County Erora Group 20 億ドル超 2015 年頃オペレーション開始予定このプラントは ガス化により代替天然ガスを製造するプロセス及び天然ガス焚きガスタービン複合サイクル発電ブロックの 2 つのプロダクションユニットから構成されている ガス化プロセスでは瀝青炭を用いてガス化技術によりシンガスを生成し 水性ガスシフト反応により H2 及び CO2 に変換した後 酸性ガス除去ユニットにおいてシンガスから硫化水素及び CO2 を回収する このシンガスをメタン化プロセスによりパイプライン輸送可能な品質の天然ガスへ変換する 生成された天然ガスは州内の天然ガスパイプラインにより輸送されるか 又は複合サイクル発電ブロックにおいて燃料として用いられる 複合サイクル発電ブロックでは排熱回収ボイラーを伴う 2 基の天然ガス焚き燃焼タービン及び蒸気タービンにより発電が行われ この電力は天然ガスプラントで使用される他 販売される計画となっている ガス化プラントには 4 基の GE の 900 立方フィートのクエンチ型ガス化炉が採用され 3 基のガス化炉を同時に使用する それぞれのガス化炉はメタン化プロセスにおける最大キャパシティの 33% のシンガスを生成する 4 基目のガス化炉はスタンバイさせておき 他のガス化炉のメンテナンス時等に使用する 石炭ガス化プロセスで発生する CO2 本プロジェクトでは 4 基の GE のクエンチ型ガス化炉により天然ガスを製造するとともに GE 7FA 天然ガス焚きガスタービン複合サイクル発電 (NGCC) プラントにより発電を行う ガス化プロセスでは ケンタッキー州で産出される硫黄分の高い瀝青炭を用いてシンガスを生成する その後 シンガスをメタン化し 代替天然ガス (SNG) を生成する 酸性ガス除去ユニットにおいてシンガスから分離 回収した CO2 は圧縮し パイプライン輸送する ガス化炉は GE 製を採用し 酸性ガス除去及び硫黄回収は UOP からライセンス供与を受ける メタン化ユニットには Davy Process 234

235 Technology のメタン化技術を採用する 図 129 プロセスフローダイアグラム ( 出典 :Erora Group 資料 : th) 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 ケンタッキー州 Henderson County ~ミシシッピ州 Gulf Coast 地域 Denbury Resources N/A 2015 年頃オペレーション開始予定パイプライン輸送回収した CO2 については 2011 年に Denbury Resources と供給契約を締結しており 現在建設が検討されている同社の Midwest パイプラインによって Gulf Coast 地域にある油田へ輸送し CO2EOR に用いる計画となっている このパイプラインは米国の中西部の南側から Gulf Coast 地域まで CO2 を輸送するためのパイプラインであり 全長およそ 960~1130km の計画となっている 中西部にある現在計画中のガス化プラント等から排出される人為的に発生した CO2 を Gulf Coast 地域において CO2EOR に用いるために建設される 現在 2 つのルートが検討されている 235

236 図 130 Midwest パイプライン建設予定地 ( 出典 : rospect/default.aspx) 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 ミシシッピ州 Gulf Coast 地域 Denbury Resources N/A 2015 年頃オペレーション開始予定詳細未定 CO2EOR 回収した CO2 については 2011 年に Denbury Resources と供給契約を締結しており 現在建設が検討されている同社の Midwest パイプラインによって Gulf Coast 地域において同社が管理 運営する油田へ輸送し CO2EOR に用いる計画となっている 現時点では 圧入サイト等の詳細は未定となっている Denbury Resources は Gulf Coast 地域において CO2EOR 事業を 12 年以上実施しており 現在は Jackson Dome から天然由来の CO2 を輸送して使用しているが 近年 天然ガス処理プラント等 6 つの計画中のプロジェクトにおいて人為的に発生する CO2 に関して 長期的な供給 236

237 契約を締結しており 本プロジェクトもそのうちの 1 つとなっている 237

238 (18)FutureGen 2.0 Oxy-Combustion Large Scale Test 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 実証事業商業規模での酸素燃焼プロセスを実証するとともに 発生する CO2 を回収して地中貯留し MVA 活動を継続的に行うことにより 塩性帯水層への CO2 貯留の有効性 安全性及びパフォーマンスを検証するとともに CO2 の MVA 活動における標準的な技術及びプロトコルを構築する National Energy Technology Laboratory 酸素燃焼プラント :Ameren Energy Resources Co. Babcock & Wilcox Air Liquide Process & Construction, Inc. CO2 輸送 貯留 :FutureGen Alliance イリノイ州 Jacksonville 近郊 Meredosia~Morgan County 2016 年 4 月 ~プラント建設開始 2018 年 12 月 ~プラント試験稼働開始予定 13 億ドル超 10 億ドルが American Recovery and Reinvestment Act により DOE から拠出される 本プロジェクトは 世界初の商業規模のニアゼロエミッション石炭燃料発電プラント及び CCS の実証事業である プロジェクトでは 既存の Ameren の火力発電プラントに最先端の酸素燃焼クリーンコール技術を取り付けることにより リパワリングを行う またプラントサイトから CO2 貯留サイトまでの間に CO2 パイプラインを新設し パイプライン輸送を行う 貯留サイトはイリノイ州の Morgan County の予定であり パイプライン輸送された CO2 は 地下の Mt. Simon 砂岩層サイトに圧入され 貯留される 併せて 貯留期間中及び圧入終了後に MVA 活動を実施する さらに 貯留サイトにはビジターセンター 研究 トレーニング施設を建設する 238

239 図 131 プラントサイト地図 図 132 Ameren 発電プラント写真 ( 図 131 図 132 出典 : ay/t%20sarkus-netl-futuregen.pdf) 2 分離 回収 実施地域 実施主体 イリノイ州 Jacksonville 近郊 Meredosia National Energy Technology Laboratory Ameren Energy Resources Co. Babcock & Wilcox Air Liquide Process & Construction, Inc. 239

240 事業資金 7.37 億ドル ( プラント関連 ) 5.89 億ドルが American Recovery and Reinvestment Act により DOE から拠出される 事業期間 2016 年 4 月 ~プラント建設開始 2018 年 12 月 ~プラント試験稼働開始予定技術概要 Meredosia プラントは 3 つの石炭火力ユニット ( ユニット 1 2 はリタイヤ ) 及び 1 基の石油ボイラー ( ユニット 4) から構成されている ユニット 4 は Foster Wheeler の石油焚きボイラーを動力とする 200 MW の Westinghouse T/G( 蒸気タービン発電機 ) であり 1975 年に建設されている 本プロジェクトではユニット 4 の蒸気タービンに微粉炭酸素燃焼ボイラーを設置することによりリパワリングする あわせて 3,500t/ 日の CO2 を回収し パイプライン輸送して貯留する 酸素燃焼では大気の代わりに酸素及び CO2 の混合と石炭を燃焼することにより 高濃度の CO2 を生成する このプラントは主に空気分離ユニット ボイラー CO2 浄化 圧縮ユニットから構成されており まず 空気分離ユニットにおいて酸素が分離され ボイラーへと送られる ボイラー内では酸素及びリサイクルされた燃焼排ガスとの混合ガスを用いて石炭が燃焼される その後これらのガスは浄化される また高濃縮の CO2 は圧縮ユニットにおいて液化状態まで圧縮される CO2 リソース微粉炭の酸素燃焼に伴って発生する CO2 事業概要 Meredosia にある Ameren が所有 管理する発電プラントにおいて 出力 200MW のユニット 4 発電ユニットに先進的な酸素燃焼設備を新設することにより リパワリングを行う また プラントで発生する CO2 の 90% 以上 ( 年間およそ 130 万トン ) の CO2 を回収する この先進的な酸素燃焼技術により 他の環境汚染物質の排出はほぼゼロとなる 回収した CO2 は新たに建設するパイプラインによりイリノイ州の Morgan County まで輸送され Mt. Simon 砂岩層へと圧入されて貯留される 国立エネルギー技術研究所 (NETL) は酸素燃焼技術を 既存の石炭火力発電施設において CO2 を回収し地中貯留するためにリパワリングするためのコスト競争力のある手段であると認識している 従来型の石炭燃焼技術では 石炭の燃焼に大気を用いることにより 低濃度の CO2 を含む窒素含有量の多い燃焼排ガスが排出されるが 酸素燃焼技術は大気から酸素を分離し CO2 と混合させて ボイラー内で石炭を燃焼することから 高濃度の CO2 を含んだ燃焼排ガスが排出される 240

241 本プロジェクトで用いられる石炭酸素燃焼技術により プラントで発生する CO2 の少なくとも 90% を回収すると共に 水銀 NOx SOx 粒子状物質等の環境汚染物質をほとんど排出しないことから ニアゼロエミッションプラントが実現する なお 本プロジェクトでは Ameren Energy Resources はプラントオーナーであり プロジェクト全体の管理及び既存のプラント評価等を行う また オーナーエンジニアとして URS と契約を行っている Babcock & Wilcox はボイラー及び GQCS( ガス品質管理システム ) の設計 パフォーマンス管理等 Air Liquide Process & Construction は空気分離ユニットおよび CPU の設計 パフォーマンス管理等を行うこととなっている 図 133 パワーブロックダイアグラム 241

242 図 134 酸素燃焼プラント概要 図 135 プラント 3D イメージ 図 136 プラントレイアウト図 ( 図 133~ 図 136 出典 : 242

243 ay/t%20sarkus-netl-futuregen.pdf) 3 輸送実施地域イリノイ州 Jacksonville 近郊 Meredosia~Morgan County 実施主体 National Energy Technology Laboratory FutureGen Alliance 事業資金 5.5 億ドル (CO2 輸送 貯留 ) 4.04 億ドルが American Recovery and Reinvestment Act により DOE から拠出される 事業期間 CO2 パイプライン 貯留関連施設等の建設は 2012 年末頃開始され 2015 年末までに完成予定となっている 技術概要新たに建設するパイプラインは 全長約 48km であり 直径 30.5cm(12 インチ ) となっている EIS の一環として 幅およそ 6.4km のコリドーに関する調査を実施している 事業概要回収した CO2 はパイプラインにより貯留サイトまで輸送される 本プロジェクトでは Meredosia にあるプラントと Morgan County 北東部にある貯留サイトを結ぶパイプラインを新たに建設する 4 貯留実施地域イリノイ州 Morgan County 実施主体 National Energy Technology Laboratory FutureGen Alliance 事業資金 5.5 億ドル (CO2 輸送 貯留 ) 4.04 億ドルが American Recovery and Reinvestment Act により DOE から拠出される 事業期間 CO2 パイプライン 貯留関連施設等の建設は 2012 年末頃開始され 2015 年末までに完成予定となっている 技術概要パイプライン輸送された CO2 は地下 2400m 以上深い地点に圧入され 貯留される 貯留対象となる層は Mt. Simon 砂岩層となっている この地点は飲料水 石油及び天然ガスが存在する地点より遥かに深い 圧入関連設備は極めてシンプルなものであり 幾つかの井戸の掘削及び関連設備の設置が予定されている これらの設備の大半は地中に埋められている また 隔離した CO2 をモニタリングするため 複数のモニタリング井を掘削する予定となっている 貯留プロセスの監視等は FutureGen Alliance と Illinois State Geological Survey が共同で実施する予定となっている モニタリング及び検証プロセスは圧入期間中 ( 少なくとも 30 年間 ) か 243

244 CO2 用途 事業概要 らその後 50 年程度継続し CO2 プリュームが安定し さらなるモニタリングが不要となるまで継続する計画となっている 地中貯留層への永久貯留パイプライン輸送された CO2 は地下の貯留層に圧入される FutureGen Alliance は本プロジェクトの一環として CO2 貯留サイトに貯留関連設備の他 ビジターセンター 研究及びトレーニング施設を建設することとなっている FutureGen Alliance は 2010 年後半から貯留サイトの公募を開始し 2010 年 12 月までにイリノイ州内の 4 サイト (Christian County Douglas County Fayette County Morgan County) に絞って詳細な調査を実施した結果 2011 年 2 月に最終的に Morgan County を最適なサイトとして選出した その後 さらなる地質特性評価が実施されており コアサンプル調査 貯留層特性分析等が実施されている また 技術的 法的又は住民の受容性等に関して問題が発生した時を考慮し Christian County 及び Douglas County を代替サイトとして特定している 図 137 CO2 地中貯留サイト断面 ( 出典 : ay/t%20sarkus-netl-futuregen.pdf) 244

245 図 138 CO2 地中貯留イメージ ( 出典 : ) 245

246 (19)Indiana Gasification 1 事業概要 : 事業の種類商業事業事業目的最先端の石炭ガス化設備を建設し 代替天然ガスを生産するとともに 発生する CO2 を回収し CO2EOR に用いる 実施主体 Indiana Gasification LLC. 実施地域インディアナ州 Spencer County Rockport~ミシシッピ州 Gulf Coast 地域事業期間未定 (2013 年後半 ~ 建設開始予定 ) 事業総額 / プロジ 28 億ドルェクトの種類本プロジェクトは Energy Policy Act of 2005 に基づく DOE の融資保証プログラム (Loan Guarantee Program) に 17 億ドルの融資を申請している ( 現時点で融資は決定しておらず 選考プロセスの一環で環境影響評価が進められている ) プロジェクト概本プロジェクトは 最先端の石炭ガス化設備を建設し 1 日およそ 10,000 要トンの石炭から代替天然ガス (SNG) 及び液化 CO2 を生成する 代替天然ガスは既存の天然ガスパイプラインにより輸送し 販売する プラントで発生した CO2 は圧縮されてパイプライン輸送され Gulf Coast 地域の成熟した油田に圧入し CO2EOR に使用される なお 本プロジェクトは当初 2011 年からのオペレーションを予定していたが プロジェクト費用の増加や天然ガス価格の暴落を受けて計画の変更 遅延が生じている 2012 年 6 月に大気浄化法の許可を 8 月に水質浄化法の許可を取得しており 早ければ 2013 年後半にプラントの建設を開始する予定となっている 2 分離 回収実施地域インディアナ州 Spencer County Rockport 実施主体 Indiana Gasification LLC. 事業資金 28 億ドル事業期間未定 (2013 年後半 ~ 建設開始予定 ) 技術概要石炭 ( 又は石油コークス ) は水と混合されスラリー状にした後ガス化炉へと投入される 併せて 低温空気分離プラントにおいて分離された酸素もガス化炉へ投入され シンガスが形成される その後 水性ガスシフト反応によりシンガス中の CO が水蒸気と反応し H2 と CO2 が生成 246

247 CO2 リソース 事業概要 される その後水銀が除去され 酸性ガス除去装置で硫酸及び CO2 が除去される 酸性ガス除去には Rectisol プロセスが採用される 浄化されたシンガスは溶媒処理等により高品質な代替天然ガスへと変換される 酸性ガス除去装置で分離された CO2 は圧縮され パイプライン輸送される 硫酸も副産物として売却される ガス化プロセスで発生した熱は蒸気タービンにおいて蒸気を発生させるために用いられ およそ 300MW の電力をプラント内に供給する 石炭ガス化に伴って排出される CO2 本プロジェクトではガス化技術を用いて Illinois Basin で産出される石炭を燃料としてシンガスを生成し このシンガスをさらに処理して代替天然ガスを生産する このプラントではおよそ 1.45 億立方フィート / 日の代替天然ガスを生産し 生産した天然ガスは天然ガスパイプラインにより輸送し 売却する このプラントでは 原料の石炭の最大 49% を石油コークスに代替することが可能となっている また プラントで発生する CO2 の 85~90% を回収し 圧縮した後パイプライン輸送して CO2EOR に使用する 図 139 石炭ガス化プロセス ( 出典 : 247

248 3 輸送実施地域インディアナ州 Spencer County Rockport~ミシシッピ州 Gulf Coast 地域実施主体 Indiana Gasification LLC. Denbury Resources 事業資金 28 億ドル事業期間未定 (2013 年後半 ~ 建設開始予定 ) 技術概要新たに建設予定のパイプラインは全長が約 710km であり 直径は 50.8cm(20 インチ ) となっている 最大容量は 250 MMCFD となっている 事業概要本プロジェクトでは プラントサイトからミシシッピ州 Tinsley まで およそ 710km の CO2 パイプラインを新たに建設する ミシシッピ州 Tinsley において Denbury Resources が運営 管理する既存のパイプライン (Delta CO2 パイプライン ) に接続し プラントで回収した CO2 を最終的に Gulf Coast 地域まで輸送する 図 140 CO2 パイプライン建設予定地図 ( 出典 : 248

249 4 貯留実施地域ミシシッピ州 Gulf Coast 地域実施主体 Denbury Resources 事業資金 N/A 事業期間未定 (2013 年後半 ~ 建設開始予定 ) 技術概要詳細不明 CO2 用途 CO2EOR 事業概要輸送した CO2 は 新たに建設されるパイプランから Denbury Resources の Delta CO2 パイプラインに接続され Gulf Coast 地域まで輸送される Indiana Gasification は Denbury Resources と長期的な CO2 供給契約を締結しており 購入した CO2 は Denbury Resources が運営 管理する Gulf Coast 地域の油田において CO2EOR に使用される 本プロジェクトで生成されるおよそ 550 万トン / 年の CO2 により 1000 ~2000 万バレルの原油が増進回収される予定である これは現在の米国における原油生産量の 1% 程度となる 249

250 (20)Kentucky NewGas 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業最先端の石炭 - 天然ガス生成プラントを新設し 高品質な天然ガスを生成する ConocoPhillips Peabody Energy ケンタッキー州 Muhlenberg County Central City 近郊 2018 年 ~オペレーション開始予定 N/A 本プロジェクトは最先端の石炭 - 天然ガス生成プラントである Kentucky NewGas プラントを新たに計画 建設する事業である 新たに建設されるプラントは 環境汚染物質の排出量が非常に少なく 年間 600~700 億立方フィートのパイプライン輸送可能な高品質の天然ガスを提供する このプラントでは ConocoPhillips の E-Gas 技術を採用し 不純物のない代替天然ガスを製造する 本プロジェクトは温室効果ガス低排出設計基準を含む 環境保全のための規制基準に準拠しており 同程度の規模の従来型の石炭火力発電プラントと比較すると 温室効果ガス排出量は 5% 未満となっており 炭素隔離レディーとなっている 炭素回収を行った場合には 年間およそ 500 万トンの CO2 が回収され CO2EOR に使用されるか 地中貯留される なお 本プロジェクトについて 2009 年 12 月に大気浄化法の許可 ( ドラフト ) が発行されている 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 ケンタッキー州 Muhlenberg County Central City 近郊 ConocoPhillips Peabody Energy N/A 2018 年 ~オペレーション開始予定石炭と石油コークスは水と混ぜられスラリーとなり ガス化炉へ投入される また 空気分離ユニット (ASU) で生成された高純度の酸素もガス化炉へと送られる このプラントでは 4 基のガス化炉が設置され 通常は 3 基が稼働し 残りの 1 基はバックアップユニットとなる ガス化炉で生成された粗合成ガスは主に CO H2 CO2 及び水の混合であり 250

251 CO2 リソース 事業概要 少量のメタン及び硫化水素が含まれている この粗合成ガスから 高温フィルター 水洗浄 炭素吸収及び硫黄回収及び水性ガスシフト反応により含有物を除去し スイートシンガスへと変換する このスイートシンガスはメタン化プロセスへと送られ CO と H2 が純度の高いメタン流である代替天然ガスへと変換される この代替天然ガスはトリエチレングリコロール (TEG) 脱水により乾燥され 圧縮された後 パイプラインで輸送される 粗合成ガスから硫黄及び CO2 を除去する酸性ガス除去ユニット (AGR) では Rectisol プロセスが採用される 低温メタノールにより HCN H2S COS CO2 CO を除去し 硫黄分のないスイートシンガスを生成する このプラントでは Rectisol プロセスによりプラントで発生する CO2 の 90% 超を回収するように設計されている 現時点では 初期段階には回収した CO2 を大気中に放出することが検討されているが 炭素隔離に関する法規制枠組みが構築された折には CO2EOR 又は地中への永久貯留を行うために CO2 を圧縮し パイプライン輸送することができるように設計されている また 本プロジェクトでは Kentucky Geologic Survey と共同でケンタッキー州西部において炭素隔離のフィジビリティを評価するためのテスト井の掘削を管理するための予算を確保している さらに 炭素永久貯留のサイトとして ケンタッキー州 イリノイ州 インディアナ州 ミシシッピ州 テキサス州等を検討している 石炭ガス化に伴って排出される CO2 本プロジェクトでは 石炭及び石油コークスをガス化してシンガスを生成し さらにこのガスを処理して高品質の代替天然ガスを生成する ガス化プロセスには ConocoPhillips の E-Gas 技術を用いて石炭及び石油コークスの混合からシンガスを生成する 石炭 石油コークス 大気 水を用いて最終的には代替天然ガス アルゴン チオ硫酸アンモニウム (ATS) 硫黄 スラグを生成する また CO2 は酸性ガス除去ユニットにおいて回収されるが 現時点では オペレーション開始当初は大気中に放出する予定となっており CCS に関する法規制枠組みが整備された時点で CO2 回収等について検討することとなっている 251

252 図 141 代替天然ガス製造プラント概要 ( 出典 : 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 ケンタッキー州 Muhlenberg County Central City 近郊 ~ 未定 N/A N/A 詳細未定 Kentucky NewGas プラントは炭素回収レディーとして計画されているが 現時点では CO2 の輸送及び貯留に関して詳細は未定となっている 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間 未定未定 N/A N/A 252

253 技術概要 CO2 用途 事業概要 詳細未定未定 Kentucky NewGas プラントは炭素回収レディーとして計画されているが 現時点では CO2 の輸送及び貯留に関して詳細は未定となっている 253

254 (21)Mississippi Gasification (Leucadia) 1 事業概要 : 事業の種類商業事業事業目的石油コークスガス化により高品質の代替天然ガスを生産するとともに そのプロセスで発生する CO2 を分離 回収し CO2EOR に用いる 実施主体 Mississippi Gasification, LLC,(Leucadia Energy の子会社 ) Denbury Onshore, LLC 実施地域ミシシッピ州 Moss Point~ミシシッピ州 アラバマ州の油田事業期間 2015 年 ~オペレーション開始 ( 遅延の可能性あり ) 事業総額 / プロジおよそ 20 億ドルェクトの種類本プロジェクトは 2009 年に American Recovery and Reinvestment Act における DOE の CCS プロジェクトに対する補助金制度に申請しており 84 万ドルを受理している さらに Energy Policy Act of 2005 に基づく DOE の融資保証プログラム (Loan Guarantee Program) に 億ドルの融資を申請している ( 現時点で融資は決定しておらず 選考プロセスの一環で環境影響評価が進められている ) プロジェクト概本プロジェクトはガス化プラントを新設し 石油コークスから高品質な要代替天然ガスを生産して既存の天然ガスパイプラインを用いて地域に供給するとともに プラントで排出される CO2 のおよそ 90% を分離 回収し パイプライン輸送して CO2EOR に用いるものであり ガス化プラントの建設 CO2 パイプラインの建設 CO2EOR 及び圧入した CO2 の MMV 活動が計画されている プロジェクトでは ガス化プラントの建設 CO2 の圧縮及び計測設備の建設 プラントサイトから EOR サイトまでのおよそ 177km のパイプラインの建設及び EOR 事業に用いられる CO2 のうち少なくとも 100 万トン分の CO2 に関する MMV 活動が計画されている Denbury は回収した CO2 を 同社が管理 運営するミシシッピ州の Heidelberg 油田 Soso 油田 Eucutta 油田 又はアラバマ州の Citronelle 油田において CO2EOR 事業に用いる予定となっている 本プロジェクトは 2009 年 8 月に DOE の融資保証プログラムに融資の申請をしており 現在そのプロセスに沿って環境影響調査等が進められている 当初は 2011 年に建設開始し 2015 年からのオペレーション開始を予定していたが 天然ガス価格の暴落により プロジェクトは遅滞している また 原料は石油コークスの予定だが 最終的な製品として 254

255 は 化学製品 ガソリン 他の輸送燃料等を検討している 図 142 プラントサイト地図 ( 出典 : 2 分離 回収実施地域ミシシッピ州 Moss Point 実施主体 Mississippi Gasification, LLC, 事業資金およそ 20 億ドル事業期間 2015 年 ~オペレーション開始 ( 遅延の可能性あり ) 技術概要石油コークスをガス化してシンガスを生成し メタン化により高品質の代替天然ガスを生成する また シンガスの浄化プロセスにおいて 酸性ガス回収技術により CO2 硫黄を回収する 分離 回収した CO2 は プラント内に新たに建設される CO2 圧縮設備でパイプライン輸送に適するように圧縮される なお 現時点では採用技術 メーカー等の詳細は未定 CO2 リソース石油コークスガス化プロセスで発生する CO2 事業概要本プロジェクトでは ガス化技術 酸性ガス回収技術及びメタン化技術を組み合わせておよそ 7,000t/ 日の石油コークスから 1.2 億立方フィー 255

256 ト / 日のパイプラインで輸送できる高品質な代替天然ガスを生産する 生産された代替天然ガスはプラント近郊に敷設されている天然ガスパイプラインにより輸送し 販売する また 市場で販売可能な副産物として 硫酸 CO2 アルゴン及び少量の電力が生成される このプラントでは酸性ガス回収技術を用いてプラントで発生する CO2 の 90% 近くを回収し Denbury に長期的に売却する 回収する CO2 は 400 万トン / 年程度の計画となっている Denbury とは長期的な供給契約を締結しており 購入した CO2 は同社の油田において EOR に使用する 図 143 プラント完成イメージ ( 出典 : 3 輸送実施地域ミシシッピ州 Moss Point~ミシシッピ州の Heidelberg 油田 Soso 油田 Eucutta 油田 又はアラバマ州の Citronelle 油田実施主体 Denbury Onshore, LLC 事業資金およそ 20 億ドル事業期間 2015 年 ~オペレーション開始 ( 遅延の可能性あり ) 技術概要パイプライン輸送 詳細未定事業概要プラントで分離 回収された CO2 は圧縮された後 Denbury Onshore が管理 運営する油田までパイプライン輸送される 本プロジェクトでは プラントサイトから EOR サイトまで およそ 177km のパイプラインを新たに建設する計画となっているが 天然ガス価格の暴落を受け 本プロジェクトは現在遅延している 256

257 4 貯留実施地域ミシシッピ州の Heidelberg 油田 Soso 油田 Eucutta 油田 又はアラバマ州の Citronelle 油田実施主体 Denbury Onshore, LLC 事業資金およそ 20 億ドル事業期間 2015 年 ~オペレーション開始 ( 遅延の可能性あり ) 技術概要詳細未定 CO2 用途 CO2EOR 事業概要 Denbury は回収した CO2 を 同社が管理 運営するミシシッピ州の Heidelberg 油田 Soso 油田 Eucutta 油田 又はアラバマ州の Citronelle 油田において CO2EOR 事業に用いる予定となっている あわせて EOR 事業に用いられる CO2 のうち少なくとも 100 万トン分の CO2 に関する MMV 活動が計画されている 天然ガス価格の暴落を受け 本プロジェクトは現在遅延しており 詳細は未定となっている 257

258 (22)Quintana South Heart Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業プラントに隣接する採掘所から採掘される褐炭を用いて水素を製造し 発電を行うとともに ガス化プロセスで発生する CO2 を CO2EOR に使用する Great Northern Power Development, L.P. Allied Syngas Corporation ノースダコタ州 Stark County South Heart~Williston Basin 2017 年 7 月 ~オペレーション開始を予定 22 億ドル本プロジェクトでは ネット出力 175MW の IGCC 発電プラントの建設 オペレーションを行うと共に ガス化プロセスで発生する CO2 を分離 回収し パイプライン輸送して CO2EOR に使用する このプラントではガス化プロセスを通じてプラントに隣接する採鉱所から採掘される褐炭から水素を生産する この水素は施設内にあるパワーブロックの燃焼タービンの燃料となり 発電に使用される 本プラントは South Heart プロジェクトの一部であり このプロジェクトには隣接する褐炭採鉱所及び関連の設備の建設 オペレーション等も含まれる 本プロジェクトは当初 ノースダコタ州の褐炭を 7 基のガス化炉でガス化し 代替天然ガスを生産するとともに そのプロセスで発生する CO2 を分離 回収し CO2EOR に用いるというプロジェクトであった しかし 住民の反対等を受け 幾度となく計画変更を行い 最終的に 2011 年に褐炭から水素を生産すると共に CO2 を分離 回収する事業として再申請し 現在事業が進められている また CO2 は Denbury に売却することとなっている 258

259 図 144 プラントサイト地図 ( 出典 : df) 図 145 プラントイメージ ( 出典 : 1fd994.html) 259

260 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 ノースダコタ州 Stark County South Heart Great Northern Power Development, L.P. Allied Syngas Corporation 22 億ドル 2017 年 7 月 ~オペレーション開始を予定 BGL(British Gas Lurgi) ガス化炉では 破砕された褐炭が上部から高圧の炉の中に投入される 底部から蒸気と酸素が燃焼ゾーンへと送られ 酸素はチャート反応し 2,000 を上回る高温が発生する この高温により灰が溶解し ガス化反応のための熱を供給する 液体状のスラグは底部のプールへ落下し 自動的に冷却水に入り無臭の粒状の固形となる ガス化プロセスで生成された粗生成ガスは CO H2 メタン CO2 蒸気 タール 油分及び炭化水素ガスから構成されている このガスを浄化し 水素ガスを抽出し ガスタービンの燃料として使用する 浄化のプロセスにおいて 酸性ガス除去を行い CO2 を分離 回収する CO2 分離 回収プロセスの詳細は 現時点では不明である 褐炭ガス化プロセスで発生する CO2 このプラントは 3 基の BGL(British Gas Lurgi) ガス化炉及びそれに伴うダウンストリームプロセスユニットにより褐炭から水素を製造する この水素は発電用の燃焼タービンの燃料として用いられる タービンにおける排熱は排熱回収ボイラで回収され 蒸気を発生し この蒸気により蒸気タービンを駆動させる また ガス化プロセスで発生する CO2 の 90% 超を回収し パイプライン輸送する 発電した電力はノースダコタ州 州内の産業等へと供給される予定となっている プラントは 2013 年 7 月頃建設開始し 2017 年 7 月のオペレーション開始を予定している 260

261 図 146 BGL ガス化炉概要 ( 出典 : 3 輸送 実施地域 ノースダコタ州 Stark County South Heart~Williston Basin 実施主体 Great Northern Power Development, L.P. Allied Syngas Corporation Denbury Resources Inc 事業資金 N/A 事業期間 2017 年 7 月 ~オペレーション開始を予定 技術概要 詳細未定 事業概要 プラントで回収した CO2 は圧縮され パイプライン輸送により Williston Basin 地域の成熟した油田まで輸送され CO2EOR に使用さ れる計画となっているが 現時点で詳細は未定である 4 貯留 実施地域 Williston Basin 実施主体 Denbury Resources Inc( 予定 ) 事業資金 N/A 事業期間 2017 年 7 月 ~オペレーション開始を予定 261

262 技術概要 CO2 用途 事業概要 詳細不明 CO2EOR パイプライン輸送された CO2 は Williston Basin 地域の成熟した油田において CO2EOR に使用される計画となっているが 現時点で詳細は不明である なお Great Northern Power Development 及び Allied Syngas Corporation は Denbury とプラントで分離 回収する CO2 の供給契約を締結しており CO2EOR 事業は Denbury が実施する予定となっている 262

263 (23)Riley Ridge Gas Plant 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業ガス処理プラントを建設し 天然ガス及びヘリウムガスを分離して売却するほか CO2 を分離 回収し CO2EOR に使用する Denbury Resources Inc., ワイオミング州 Sublette County Riley Ridge Federal Unit プラントのオペレーション開始 :2013 年 ~ CO2 の分離 回収 輸送は 2015 年頃予定 N/A Riley Ridge においてガス処理プラントの建設 オペレーションを行う プラントではガス流から有用な要素を分離 抽出するとともに 不要なガス類は地中へ再圧入する プロジェクトの第 1 フェーズでは ガス流から天然ガス及びヘリウムガスを分離し 販売する このオペレーションは 2013 年に開始予定となっている 第 2 フェーズでは CO2 分離 回収施設及び CO2 輸送用パイプラインを建設し このガス流から CO2 を分離 回収する そして新たに建設する CO2 パイプラインにより CO2 を輸送し Denbury がワイオミング州及びモンタナ州で管理 運営する油田において CO2EOR に使用する計画となっており 現在初期設計が行われている 同地で産出されるガス流は CO2:~65% 天然ガス:~19% 硫化水素: ~5% ヘリウム:1% 未満 及びその他のガスで構成されており プラントの処理キャパシティはオペレーション開始時には 2 億立方フィート / 日を予定している このサイトでは 1961 年に井戸が採掘されており 1980 年代から天然ガスの生産が行われてきた Denbury は 2010 年 10 月 2011 年 8 月の 2 回に分けて Cimarex Energy Co., から当該サイトを買い取り ガス処理プラントの開発及びオペレーションを行うこととなっている 263

264 図 147 Riley Ridge ガス処理プラント写真 ( 出典 : questration-plant-wy.html) 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 ワイオミング州 Sublette County Riley Ridge Federal Unit Denbury Resources Inc., N/A プラントのオペレーション開始 :2013 年 ~ CO2 の分離 回収 輸送は 2015 年頃予定現在建設されているガス処理プラントでは ガス田から産出されるガス流からパイプライン輸送可能な品質の天然ガス 粗ヘリウム及び液相の CO2 を分離 抽出する このプロセスにおいて BCCK の分別 メタノールプロセスが採用される これは BCCK の 50 MMSCFD Nitech NRU( 窒素除去ユニット ) と CO2 除去プロセスを組み合わせたシステムとなっている Nitech NRU は ヘリウムガス回収プロセス プロパン冷却 圧縮 DCS 制御システム等から構成されており 低温プロセスにより窒素を効果的に除去することが可能となる CO2 除去プロセスでは 膜分離法を用いて 非常に低濃度の CO2 流から MeOH を用いて CO2 を除去する また 同社の技術により CO2 を含むガス流から NGL( 液体天然ガス ) 成分を回収することも可能とな 264

265 CO2 リソース 事業概要 っている 天然ガス精製プロセスで発生する CO2 現在建設中のガス処理プラントでは 井戸から採掘されるガス流から天然ガス及びヘリウムを分離 抽出する CO2 を含む残りのガス類は ガスを生産する地層へと再圧入される 現在初期のエンジニアリング及び設計を開始している第 2 フェーズでは CO2 回収プラント及び CO2EOR を行うサイトまでの CO2 パイプラインを建設 オペレーションする計画となっている CO2 回収プラントではオペレーション開始時には 1.3 億立方フィート / 日の CO2 を回収する予定となっている なお 将来的には隣接する土地にも CO2 回収設備を建設予定であり そのプラントがフル稼働した場合には 4.5~5 億立方フィート / 日の CO2 を回収する予定となっており プラント全体では 5.8~6.3 億立方フィート / 日の CO2 が回収される予定となっている 現時点では 今後 10 年のうちにこれらの計画を実行する予定となっている 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 ワイオミング州 Sublette County Riley Ridge Federal Unit~ワイオミング州 Natrona County Grieve 油田 モンタナ州 Powder River County Bell Creek 油田 Denbury Resources Inc., N/A CO2 の分離 回収 輸送は 2015 年頃予定パイプライン輸送プロジェクトの第 2 フェーズで建設予定の CO2 回収プラントで回収された CO2 は 新たに建設予定の CO2 パイプラインにより 初期段階にはワイオミング州 Natrona County の Grieve 油田まで輸送され CO2EOR に使用される 将来的には Lost Cabin からモンタナ州の Bell Creek 油田まで敷設される現在建設中 (2012 年中に完成予定 ) の GreencoreCO2 パイプラインに接続し Bell Creek 油田における CO2EOR 事業に用いる計画となっている 265

266 図 148 CO2 パイプラインルート ( 出典 : 9.pdf) 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 ワイオミング州 Natrona County Grieve 油田 モンタナ州 Powder River County Bell Creek 油田等 ( ロッキーマウンテン油田地域 ) Denbury Resources Inc., N/A CO2 の分離 回収 輸送は 2015 年頃予定詳細不明 CO2EOR プロジェクトの第 2 フェーズで建設予定の CO2 回収プラントで回収された CO2 は 新たに建設予定の CO2 パイプラインにより輸送され 同社が管理 運営する油田において CO2EOR 事業に使用される 初期段階にはワイオミング州 Natrona County の Grieve 油田において CO2EOR に使用される計画となっている 将来的には Lost Cabin からモンタナ州の Bell Creek 油田まで敷設される現在建設中 (2012 年中に完成予定 ) の GreencoreCO2 パイプラインに接続し Bell Creek 油田をはじめとするロッキーマウンテン地域における油田において CO2EOR 事業に用いる計画となっている Denbury は近年 Bell Creek 油田をはじめとする Grieve 油田 Cedar 266

267 Creek Anticline 油田等のロッキーマウンテン地域の油田における CO2EOR 事業に注力しており 本プロジェクトも 当該地域における CO2EOR 事業に用いる CO2 を取得するために実施している 図 149 CO2EOR イメージ ( 出典 : 9.pdf) 267

268 カナダ (1)Great Plains Synfuel Plant and Weyburn-Midale Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 CO2-EOR 大規模実証 調査研究プロジェクト商業規模の CO2-EOR 実証事業を行うとともに 各種の調査研究を行う フェーズ1では 長期的な予測シミュレーションなどのリスク分析手法によって 貯留された CO2 の挙動状況などを評価するフェーズ 2 では 世界各地へ CO2 地中貯留プロジェクトの普及を促進すべく EOR-CO2 の設計 実施に向けた実用的 技術的な指針 ベストプラクティス マニュアル を策定する Petroleum Technology Research Center: PTRC レジャイナ大学 サスカチュワン研究委員会 (Saskatchewan Research Council) サスカチュワン州政府産業資源局 カナダ天然資源省分離 回収 : ノースダコタ州 Beulah 地中貯留 : サスカチュワン州南東部ワイバーン油田 (Weyburn field) 及びミデール油田 (Midale field) フェーズ1:2000~2004 年フェーズ 2:2005~2011 年フェーズ1:4,000 万カナダドル ( 現金 :1,630 万 現物出資 :2,300 万ドル )( 政府出資 :1,800 万ドル 民間出資 :2,200 万ドル ) フェーズ 2:4,000 万カナダドル本プロジェクトでは サスカチュワン州南東部にある 2 か所の枯渇油田に CO2 を圧入 貯留し 研究を行っている 2004 年に終了したフェーズ1では ワイバーン油田の貯留層における CO2 貯留に関する安全性及び経済性について予測 検証を行った フェーズ 1 から規模を拡張して実施したフェーズ2では CO2 地中貯留の実施を世界的に促進させるための枠組みの提言に寄与することを目的としている 2012 年に枯渇油田における CO2 地中貯留に関するベストプラクティスの発行を予定している 2005 年に調査研究プロジェクトにおける CO2 による EOR 事業はワイバーン油田から ミデール油田まで範囲を広げた EOR に用いる CO2 は ノースダコタ州 Buelah にある Dakota Gasification Company が所有する石炭ガス化施設から回収される 同施 268

269 設からおよそ 8500 トン / 日の CO2 が回収され 液相まで圧縮された後 約 320 km の距離をパイプラインによって輸送され ワイバーン油田 ミデール油田において地下の枯渇油田に圧入される 人工的な CO2 が EOR に用いられるのは本事業が初めてである 図 150 プロジェクト関連施設地図 ( 出典 : 2 分離 回収実施地域ノースダコタ州 Beulah 実施主体 Dakota Gasification Company 事業資金 N/A 事業期間 2000 年 ~(CO2 回収事業 ) 技術概要 CO2 分離 回収は Dakota Gasification Company (DGC) が所有する Great Plains Synfuels Plant にて行われる この Synfuels Plant では Lurgi 社の乾式ガス化炉 (Lurgi Mark Ⅳ) により褐炭をガス化する 1 日当たり約 16,000 トンの破砕褐炭がガス化炉に投入され 1200 で熱分解することにより 混成ガスが生じる このガスは冷却され 濃縮タール 水及び他の不純物となる その後 70 のメタノールを用いた物理吸収により硫黄分 ナフサが除去されるとともに 大半の CO2 が回収される 269

270 CO2 リソース 事業概要 この工程により 3050 トンの synthetic natural gas(sng) と 96% が CO2 と硫黄化合物等から構成される廃ガスが生成される 褐炭ガス化に伴って発生する CO2 CO2 分離 回収は ノースダコタ州 Beulah にある Dakota Gasification Company (DGC) が所有する Great Plains Synfuels Plant で行われる このプラントは 1984 年に操業開始しており 石炭からメタンを製造する 米国初の商業規模石炭ガス化プラントである このプラントにおいて褐炭ガス化のプロセスで発生する CO2 を物理吸収により分離 回収し パイプライン輸送のために圧縮する 図 151 Great Plains Synfuels Plant ガス化プロセス概要 ( 出典 : 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 ノースダコタ州 Beulah からサスカチュワン州ワイバーン油田 ミデール油田 Dakota Gasification Company(DGC) Souris Valley Pipeline Ltd.(DGC の子会社 ) N/A 2000 年 10 月 ~ CO2 輸送に用いられるパイプラインは全長約 320km のカーボンスチール製パイプラインであり 最大 CO2 輸送量 ( 設計値 ):240mmscfd となっている パイプラインは地下に埋設されており 最も浅いところで 270

271 事業概要 地下 48 インチとなっている CO2 パイプラインは外径 14 インチ 壁厚 インチの X70 グレードもの又は外径 インチ 壁厚 インチの X70 グレードのカーボンスチール製パイプラインが採用された 地中に埋設された全てのパイプラインは腐食防止のためエポキシ樹脂でコーティングされた 回収 圧縮した CO2 は プラントからカナダ サスカチュワン州のワイバーン油田及びミデール油田まで 約 320 km の距離をパイプラインにて輸送している このパイプラインは 2000 年 10 月から稼働開始し 今日では 15.2 万立方フィート / 日の CO2 を EOR に用いるために輸送している パイプラインの敷設及びオペレーションは 米国側は Dakota Gasification Company カナダ側は同社の子会社である Souris Valley Pipeline Ltd が行っている CO2 パイプラインの最大 CO2 輸送量は 240 mmscfd(113 万 m3/ 日 ) となるように設計されており 2000 年に供用された当初はおよそ 94 mmscfd( 約 270 万 m3/ 日 ) の CO2 をワイバーン油田へ輸送していた 現在は 3 基のコンプレッサーを用いておよそ 152 mmscfd( 約 430 万 m3/ 日 ) の CO2 がワイバーン及びミデール油田へ輸送され EOR に用いられている 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 サスカチュワン州ワイバーン油田 ミデール油田 Cenovus Energy Apache Canada PTRC N/A 2000 年 ~ パイプライン輸送された CO2 は CO2EOR の目的で各油田の地下約 1,500m の地点にある枯渇油田 (Marly 層 Vuggy 層 ) に圧入される CO2 はガス水交互圧入 (alternating water and gas (WAG)) プロセスによって圧入され 貯留層における圧力を増加させるとともに原油の流動性を増し 原油の生産井への移動を促進させるのに用いられる 圧入された CO2 の動きは 4D タイムラプス地震探査技術によりモニタリングされる 圧入された CO2 は原油及び水とともに地表にポンプでくみ上げられ 分離 圧縮された後 再度圧入される EOR が終了した時点で 圧入され 再利用された CO2 は永久的に貯留されることとなる 本プロジェクトにおけるモニタリングにより EOR に用いられた CO2 は地下に安 271

272 CO2 用途 事業概要 全に貯留され続けることが明らかとなっている EOR の目的で地下に水とともに圧入される 原油と共にくみ上げられた CO2 は分離され 再度 EOR のため 地下に圧入される ワイバーン及びミデール油田では CO2 を用いた EOR の目的で CO2 は水とともに地下およそ 1,500m の地点にある枯渇油田に圧入される 原油と共に回収された CO2 は分離され 再度 EOR 用途で地下の枯渇油田に圧入される EOR 終了後は CO2 は枯渇油田に永久的に貯留されることとなっている ワイバーン油田では パイプラインで輸送される 6550t/ 日の新たな CO2 及び 6500t/ 日の再利用される CO2 が圧入される 圧入される CO2 は年間で 240 万トンであり 2011 年夏の時点で 1800 万トンが貯留されている 一方ミデール油田では 1200t/ 日の新たな CO2 及び 400t/ 日の再利用 CO2 が圧入され 年間の圧入量は最大 40 万トンである 2010 年 5 月の時点で 210 万トンの CO2 が貯留されている 272

273 (2)Alberta Carbon Trunk Line (ACTL) with Agrium CO2 Stream/ North West Sturgeon Refinery CO2 Stream 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 大規模商業事業 CO2 供給源と EOR 貯留層を戦略的に連結させる CO2 パイプラインのオペレーションによる大規模 CCS プロジェクトであり アルバータ州に環境面 経済面で大きな利益をもたらすことを目的としている Enhance Energy Northwest Upgrading Agrium アルバータ州稼働開始は 2014 年を予定 2011 年 2 月 Enhance 社は回収施設の建設は 2012 年中に開始され 2013 年半ばにパイプラインの建設を開始予定であると発表した 2010 年及び 2011 年 4 月にカナダ政府から環境に係る許可を得ており アルバータ州エネルギー資源保安委員会 (Energy Resources Conservation Board) は ACTL の建設 オペレーションの許可を発行している 事業総額 :N/A Enhance Energy 及び North West Upgrading は ACTL のプロジェクトに対して アルバータ州の CCS 基金から 15 年間で 4 億 9500 万ドルの資金提供を受けている また エンジニアリング及び設計部分に対して カナダ政府の ecoenergy Technology Initiative 及び Clean Energy Fund から合計で 6300 万ドルが拠出される 最終的な投資判断は 2012 年末に行われる予定となっている Agrium が運営する アンモニアを製造している既存の化学肥料工場に燃焼前 CO2 回収施設をレトロフィットし 年間約 58 万 5 千トンの CO2 を同プラントから回収する また North West Redwater Partnership Sturgeon Refinery (NWRPSP) では Northwest Upgrading Inc. が新設する重油改質製造装置に 燃焼前回収技術を導入することにより 最大で年間 120 万トンの CO2 を回収する 双方のプラントで回収された CO2 は Enhance Energy の Alberta Carbon Trunk Line (ACTL) パイプラインで 240 km 輸送され EOR に用いられる 操業当初の EOR サイトとして Clive 貯留層を予定しており 初期の CO2 圧入予定量は 5000t/ 日となっている 現在 CO2 取引に関する交渉が進められている Enhance Energy は Fairborne Energy Trust とアルバータ州中部の 273

274 Clive D2A 及び D3A 油田の共同開発に係る基本合意書に署名している パイプラインは 2013 年から稼働開始予定であり CO2 回収ユニットの建設は始まっており フルスケールでのオペレーションは 2014 年から開始予定となっている なお アルバータ州の地質は CCS 及び EOR に理想的なものであり トランクラインへのアクセスが良い貯留層だけで 200 か所の貯留層が特定されており 10 億バレルの原油埋蔵ポテンシャルがあると見られている 将来的には より多くの工場等の CO2 排出源と EOR サイトを ACTL によって連結させることを想定しており 当該地域において 10~30 億トンの CO2 貯留ポテンシャル 14 億バレルの原油回収のポテンシャルがあると見ている 図 152 プロジェクト関連サイト地図 ( 出典 :Enhance Energy 社資料 : _trunkline.pdf) 274

275 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 アルバータ州 Fort Saskatchewan の Industrial Heartland Northwest Upgrading Agrium N/A 稼働開始は 2014 年を予定 Agrium CO2 Recovery Facility (ACRF) は Agrium のアンモニアを製造する既存の化学肥料工場のプラント周辺に設置され 800~1600t/ 日の低圧で含水量の多い CO2 が回収される この CO2 を処理するため Siemens の 6 段階遠心分離式コンプレッサーが用いられる また 脱水パッケージ 分離器 コンデンサーも調達している 既に詳細設計は完了しており 主要な機械設備も製造されている CO2 リソース 事業概要 North West Redwater Partnership Sturgeon Refinery (NWRPSP) は 初期には 5 万バレル / 日のビチューメンを処理し カーボンフットプリントが世界で一番小さい超低硫黄ディーゼル (ULSD) 等を生産する 精製には Lurgi 社のガス化技術が用いられ 水素及び純度 99% 以上の乾燥 CO2 が生産される ( 副産物のコークスは生成されない )CO2 発生量は 3,500~4,200t/ 日の予定となっている NWRPSR で生成される CO2 は高純度で不純物を含有しておらず 低圧 低温で乾燥状態であり パイプライン輸送のために圧縮 冷却が必要な状態である CO2 圧縮システムは平均 3,500t/ 日の容量で設計されている Agrium の化学肥料工場から排出される CO2 及び North West Redwater Partnership Sturgeon Refinery の重油改質プロセスで発生する CO2 Agrium が運営する アンモニアを製造している既存の化学肥料工場に燃焼前 CO2 回収施設をレトロフィットし 年間約 58 万 5 千トンの CO2 を同プラントから回収する また North West Redwater Partnership Sturgeon Refinery (NWRPSP) では Northwest Upgrading Inc. が新設する重油改質製造装置に 燃焼前回収技術を導入することにより 最大で年間 120 万トンの CO2 を回収する 3 輸送 実施地域 Fort Saskatchewan にある Industrial Heartland~ アルバータ州中南部 の成熟した油田地域 (Clive) 275

276 実施主体 Enhance Energy 事業資金 N/A 事業期間稼働開始は 2014 年を予定 技術概要全長約 240 km のパイプラインは直径 12 インチのパイプが 20 km 16 インチのパイプが 220 km で構成されており カーボンスチール製である 2600psig の操作圧力で設計されており それぞれのプラントで濃密相 (dense-phase) まで圧縮された CO2 が 2600 psi で輸送される予定である パイプラインのキャパシティは 4 万トン CO2/ 日 (1460 万トン CO2/ 年 ) となっている 2013 年後半から建設開始予定であり SAWEngineering が施工する 事業概要 Agrium CO2 Recovery Facility 及び North West Redwater Partnership Sturgeon Refinery から回収された CO2 は Fort Saskatchewan にある Industrial Heartland からアルバータ州中南部の成熟した油田 (Clive) まで Alberta Carbon Trunk Line パイプラインにより 約 240 km の距離を輸送され EOR を行う枯渇油田サイトに届けられる 図 153 CO2 輸送パイプライン概要 ( 出典 : 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間 アルバータ州中南部 Clive Enhance Energy と Fairborne Energy Ltd. の JV オペレーターは Fairborne Energy Ltd. N/A 稼働開始は 2014 年を予定 276

277 技術概要 CO2 用途 事業概要 パイプラインで輸送された CO2 は圧入井から貯留層へ高圧で送りこまれ CO2 flood bank を形成する この CO2 bank は貯留層に残留している原油と混ざることにより流動性が高まる CO2 は原油の粘性を減らすことにより溶剤及び膨張剤としての役割を果たす さらに多くの原油に遭遇すると oil bank を形成し CO2 flood bank を生産井の方へ押し出す 生産井では原油を汲み上げるとともに CO2 を原油と分離し 分離した CO2 は再度地中に圧入される EOR パイプラインで輸送された CO2 は EOR の目的で地中に圧入され 原油と共に回収された後 分離されて再度地中に圧入される 操業当初の EOR サイトとして Clive 貯留層を予定している Clive 貯留層は地下約 1,800m にあり 現時点での圧力は 1,813 psig となっている 277

278 (3)Boundary Dam Integrated Carbon Capture and Sequestration Demonstration Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類 商業規模実証事業本プロジェクトの主目的は サスカチュワンにおいて 経済的 技術的に実現可能な方法により環境面で持続可能な石炭火力発電を実証することである また 以下も目標としている CCS 技術に関する技術面 経済面及び環境面におけるパフォーマンスを見極める 温室効果ガス排出量をおよそ 100 万トン / 年まで削減する 既存の石炭火力発電所において 世界初の完全に統合された商業規模の CCS プロジェクトを設計 実施するサスカチュワンにおける他の石炭火力発電ユニットに対して実現可能な道筋を実証する 業界全体における CCS 規制及び政策の構築に影響を与える SaskPower サスカチュワン州政府 カナダ政府 Stantec 日立製作所 Cansolv SNC Lavalin Babcock & Wilcox 実施主体 :SaskPower 社 Stantec はエンジニアリグ全般 日立製作所は蒸気タービンの建設及び統合 Cansolv 及び SNC Lavalin は技術協力及び建設 Babcock & Wilcox はボイラーの改修を担当する サスカチュワン州 Estevan 2014 年に運転開始 2011~2013 年バウンダリ ダム発電所ユニット 3 の改修開始 CO2 販売契約の最終化 EOR 設備のエンジニアリング 調達及び建設 2014 年 ~ 改装されたバウンダリーダムユニット 3 CCS 実証プロジェクトを開始 ( 少なくとも 110MW のクリーンなベースロード電力 およそ 100 万トンの CO2 回収及び EOR のための CO2 販売 SO2 の回収及び販売 ) 事業総額 :12 億 4,000 万カナダドルカナダ政府が 2 億 4000 万カナダドルを支出投資費用の内訳は CO2 回収 :50% 発電所の改修:30% 排出コントロール及び効率改善 :20% となっている 278

279 プロジェクト概 要 サスクパワー バウンダリーダム CCS 実証プロジェクトでは 同発電施設の老朽化した第 3 号機の寿命を更に 30 年間延長し 同発電ユニットから排出される CO2 を回収 石油増産回収技術 (EOR) として活用する 同プロジェクトでは CCS 技術の今後の導入拡大に向けた 同技術の技術的 経済的 環境的な性能を評価する CO2 回収技術は 石油大手 Shell の子会社である Cansolov 社が提供している 本プロジェクトではおよそ 100 万トン / 年の CO2 を回収する 回収した CO2 は近郊の油田にパイプラインによって輸送され CO2EOR に用いられる EOR に用いられる CO2 は地下の油田に永久的に貯留される Saskpower は CO2 販売による収入によってプロジェクトコストを相殺する予定である 図 154 CO2 回収 貯留プロセスイメージ ( 出典 :Saskpower 社資料 : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 サスカチュワン州 Estevan SaskPower N/A 2014 年に運転開始本プロジェクトでは バウンダリ ダム石炭火力発電所第 3 号機から CO2 に加えて二酸化硫黄 (sulphur dioxide:so2) も回収する CO2 279

280 CO2 リソース 事業概要 や二酸化硫黄の回収には Shell 社子会社 Cansolv 社の特許技術 SO2-CO2 統合システム が採用される 同技術は アミンをベースとした独自の溶剤 (CANSOLV Absorbent DS) を用いて 石炭燃焼から排出される排ガスから SO2 と CO2 の双方を除去する 同技術による SO2 の回収率は 99% CO2 回収率は 95% と見積もられている 本プロジェクトでは 年間 100 万トンの CO2 を回収し 回収された CO2 は液相まで圧縮した後 パイプラインによって輸送され EOR 事業者へ販売される 一方 回収された SO2 は硫酸として販売されることが計画されている また 本プロジェクトには以下の企業が参加 技術協力している CCS 施設の設計 建設へのコンサルティング サービス サスカチュワン州レジャイナに拠点を構えるエンジニアリング コサルティング企業 Stantec 社が担当 同社は 2011 年 7 月に SaskPower 社と 3,000 万カナダドルの契約を締結 第 3 号機の延長と稼働 Babcock & Wilcox 社が担当 CO2 回収システムの設計 調達 建設 ( EPC: Engineering, Procurement, Construction) カナダエンジニアリング企業 SNC Lavalin 社と石油大手 Shell の子会社 Cansolov 社がパートナーシップを提携して担当 SNC Lavalin 社が EPC を Cansolov 社が独自の CO2 回収技術を提供する 蒸気タービンの提供 日立カナダ社が担当 従来の石炭火力発電所に CO2 回収技術を統合する最新蒸気タービンを提供 石炭火力発電に伴って発生する CO2 バウンダリ ダム石炭火力発電所第 3 号機において 石炭燃焼に伴って排出される燃焼排ガスから CO2 及び SO2 を分離 回収する 分離 回収にはアミンベースの溶剤が用いられる 回収した CO2 はパイプライン輸送され EOR 事業者へ販売される また SO2 は硫酸として販売される予定となっている 280

281 図 155 CO2 燃焼後回収プロセス ( 出典 :Saskpower 社 Web サイト : 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 サスカチュワン州 Estevan~ 近郊の油田 SaskPower N/A 2014 年に運転開始カーボンスチール製パイプラインにより EOR サイトまで輸送される発電所で分離 回収された CO2 は液相まで圧縮され パイプラインによって EOR を行う油田まで輸送される 販売先等の詳細は現在調整中となっている 4 貯留実施地域実施主体事業資金 サスカチュワン州近郊の油田 未定 N/A 281

282 事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 2014 年に運転開始詳細未定 COEOR パイプラインで輸送された CO2 は近郊の油田で CO2EOR に用いるために EOR 事業者に販売される予定となっている CO2 販売契約は 2013 年までに締結される予定となっており 現時点では詳細は未定となっている 図 156 CO2EOR プロセス ( 出典 :Saskpower 社 Web サイト : 282

283 (4)Quest 1 事業概要 : 事業の種類商業事業事業目的オイルサンド改質に伴って発生する CO2 排出の削減実施主体 The Athabasca Oil Sands Project(Shell Canada Energy (60%) Chevron Canada Limited (20%) Marathon Oil Canada Corporation (20%) による JV) プロジェクトの実施は Shell が主体となって進める 実施地域アルバータ州 Fort Saskatchewan 事業期間 2008 年 ~ 計画開始 2015 年 ~ 操業開始予定事業総額 / プロジプロジェクト費用合計 :13 億 5 千万ドル ( 事業開発 建設 ~10 年間のェクトの種類オペレーション費用 ) Quest プロジェクトは連邦政府が推進する 4 大 CCS プロジェクトの 1 つであり カナダ連邦政府から 1.2 億米ドル アルバータ州政府から 7.45 億米ドルの補助金を獲得している プロジェクト概本プロジェクトはアルバータ州で初のオイルサンドにおける CCS プロ要ジェクトである アルバータ州に位置する Athabasca オイルサンドの自社施設 Schotford Upgrader から採取する重質油改質過程で発生する CO2 の最大 35% を回収し 約 80 キロメール離れた貯留サイトまでパイプラインで輸送し Shell 社 Scotford の圧入井から約 2,000 メートルの地下の塩水性地層へ貯留する CO2 を 100 万トン / 年以上回収 貯留する計画となっている 283

284 図 157 プラントサイト地図 ( 出典 :Shell 社 Web サイト : nds/quest.html) 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 アルバータ州 Fort Saskatchewan The Athabasca Oil Sands Project N/A 2008 年 ~ 計画開始 2015 年 ~ 操業開始予定 Shell が開発した重質油改質施設 Scotford Upgrader におけるオイルサンドビチューメンの改質に用いる既存の 3 基の水素製造装置 (HMUs) から最大 120 万トン / 年の CO2 を回収する 天然ガスからの CO2 回収には ADIP-X が用いられる ADIP-X はシェルの開発したガス処理プロセスであり MDEA とペピラジンの 2 種類のアミン及び水を用いて CO2 を含む天然ガスから CO2 硫化カルボニル及び H2S を除去する MDEA は主たる反応剤として ペピラジンは促進剤として用いられる 284

285 CO2 リソース 事業概要 アミンプロセスの微調整機能により 98% の純度の CO2 を回収することが可能となる 回収した CO2 は多段階圧縮による圧縮装置により濃密相 (dense-phase) まで圧縮し 輸送する この状態における CO2 の純度は 95vol% 以上となっている 重油改質に伴う水素製造装置から排出される CO2 Shell 社重質油改質施設 Schotford Upgrader の水素製造装置から アミンスクラバを活用して最大 35% の CO2 を回収する CO2 の回収には シェルが開発した ADIP-X が用いられる 回収された CO2 はアミン施設にて水分を除去し パイプラインの輸送用として圧縮装置で圧縮される 図 158 ADIP-X プロセス概要図 ( 出典 :Shell 社 Web サイト : nds/quest.html) 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 アルバータ州 Fort Saskatchewan The Athabasca Oil Sands Project N/A 2008 年 ~ 計画開始 2015 年 ~ 操業開始予定脱水 圧縮された濃密相 (dense-phase)co2 を輸送するため 長さ約 285

286 事業概要 84 km 直径 323.9mm(12 インチ ) の単一の高蒸気圧パイプラインが敷設される パイプラインは厚さ 12.1mmのスチールパイプで構成される ジョイント部分は溶接され 全面的に外部からコーティングが施される 最大 15 km おき 及び水域や他の重要なエリアを交差する部分にラインブロックバルブが設置される Shell 社 Schotford Upgrader で圧縮された CO2 は 同施設から北へ約 84 キロメートル離れた貯留サイトへパイプラインで輸送される 建設ルートは現時点では未決定であり パイプラインの建設に際する安全性や環境 地理的 技術的課題 土地所有者による意見などを基づき今後最終決定される予定である 図 159 CO2 輸送用パイプライン敷設イメージ ( 出典 :Shell 社 Web サイト : ada/upstream/oil_sands/quest/about_quest/) 4 貯留 実施地域 アルバータ州 Fort Saskatchewan Western Canada Sedimentary Basin (WCSB) の一部である Basal 286

287 実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 Cambrian Sands (BCS) 塩水性貯留層 The Athabasca Oil Sands Project N/A 2008 年 ~ 計画開始 2015 年 ~ 操業開始予定貯留サイトへ輸送された CO2 は 3~10 の圧入井から地下約 2 km にある Basal Cambrian 砂岩層 (BCS) と呼ばれる塩水性地層へ貯留される 同地層の上部は複数の頁岩層と塩水密閉層 (salt sealig rock) が存在しており CO2 の長期的貯留に適した地層であると考えられており 本プロジェクトではこの BCS 層における貯留可能性を実証するように設計されている 同社ではまた 地下 600 メートルの地点までは サーフェイスケーシング (Surface Casing) とセメントを坑井に設置し浅層部の保護を行うとしている 貯留に伴い 安全性の観点から MMV プログラムが実施される 永久貯留パイプラインで輸送された CO2 は 圧入井から地下約 2 km にある Basal Cambrian 砂岩層 (BCS) と呼ばれる塩水性地層へ圧入され 貯留される 25 年間のプロジェクト期間においておよそ 2700 万トン以上の CO2 が貯留される予定となっている BCS 層はアルバータ州及びカナダ西部において広大な貯留キャパシティを有する最適な CO2 貯留対象層であると考えられており Quest は BCS 層に商業規模で CO2 を圧入する 北米で初の CCS プロジェクトとなり BCS 層への CO2 貯留に関する統合的な技術及び持続可能性を実証する上で重要なプロジェクトとなる 287

288 (5)Spectra Fort Nelson CCS Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 実証事業天然ガス処理プロセスで発生する CO2 を回収し Spectra Energy Inc. The Plains CO2 Reduction (PCOR) Partnership ブリティッシュコロンビア州 Fort Nelson 近郊圧入開始は 2016 年後半を予定している 事業総額は不明本プロジェクトは ecoenergy Technology Initiative の対象事業となっており 補助金が拠出される また ブリティッシュコロンビア州から 340 万ドルの補助金を受けている 本プロジェクトにおける CO2 貯留部分は 米国エネルギー省が実施する地域炭素隔離パートナーシップの 1 つである The Plains CO2 Reduction (PCOR) Partnership の実証プロジェクトとして実施され 実証事業の事業総額 1,249 万ドルのうち およそ 1000 万ドルが DOE から拠出される 本プロジェクトは既存の Fort Nelson 天然ガス処理プラントにおいて 天然ガス処理の過程で除去される CO2 を回収し パイプライン輸送して深部塩水帯層へと永久貯留する事業である 天然ガス処理プラントは既に稼働しており CCS 部分は米国エネルギー省が実施する炭素隔離パートナーシップの実証事業として実施される 288

289 図 160 プロジェクトサイト周辺地図 ( 出典 :Spectra Energy 社資料 : ) 図 161 Fort Nelson 天然ガス処理プラント写真 289

290 ( 出典 :Spectra Energy 社資料 : ecttgspeciallondon1009.pdf) 図 162 実証事業全体イメージ ( 出典 : Nelson%20Demonstration_PhIII.pdf) 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 ブリティッシュコロンビア州 Fort Nelson 近郊 Spectra Energy Inc. N/A 2012 年 ~ ガス処理プラントはガス処理トレイン inlet ガス分離 ガススウィーティング アミン再生塔 硫黄除去 テールガス焼却 ガス脱水装置 多段階ガス圧縮 冷却脱水装置等から構成されており CO2 はアミン溶剤により分離 回収され 圧縮された後パイプライン輸送される 天然ガス処理プロセスで発生する CO2 Fort Nelson 天然ガス処理プラントは 北米最大のキャパシティを有するプラントであり 10 億立方フィート / 日の処理能力を有する このプラントは Fort Nelson 北部に広がる Horn River 盆地から Horn River シェールガスを収集し 精製している このシェールガスは 12% の CO2 290

291 を含んでおり ガス処理の過程でこの CO2 を分離する必要がある このプラントは CO2 キャプチャーレディとなっており 現時点でガス処理プラントから発生する CO2 の 50% を回収することが可能となっている また 排熱回収ボイラにより 9MW の電力を発電可能となっており 追加的な燃料や電力を要することなく CO2 の圧縮が可能となっている CCS プロジェクトの実施により 年間 220 万トンの CO2 排出を削減することが可能となる なお このプラントは 2009 年 ~2012 年にかけて拡張工事を行っており 現在は稼働している 図 163 酸性ガス処理プロセス ( 出典 :Spectra Energy 社資料 : onprojectoverview-edmonton0511.pdf) 3 輸送 実施地域 ブリティッシュコロンビア州 Fort Nelson 近郊 実施主体 Spectra Energy Inc. The Plains CO2 Reduction (PCOR) Partnership 事業資金 実証事業部分 :1,249 万ドル (DOE から約 1000 万ドルが拠出される ) 事業期間 2016 年後半 ~ 予定 技術概要 パイプライン輸送 291

292 事業概要 圧入サイトはガス処理プラントからおよそ 15km 西側に位置し およそ 35km のパイプラインを敷設して輸送する予定となっている 輸送 圧入するガスの構成は CO2:85% 硫化水素:15% となっており この酸性ガスはプラントで超臨界状態まで圧縮され 乾燥された後 パイプラインにより圧入サイトまで輸送される 図 164 プラント周辺地図 ( 出典 :Spectra Energy 社資料 : ) 4 貯留実施地域ブリティッシュコロンビア州 Fort Nelson 近郊実施主体 Spectra Energy Inc. The Plains CO2 Reduction (PCOR) Partnership 事業資金実証事業部分 :1,249 万ドル (DOE から約 1000 万ドルが拠出される ) 事業期間 2016 年後半 ~ 予定技術概要パイプライン輸送された CO2 は Fort Simpson Formation の地下およそ 2,100~2,200m の地点に圧入され 永久的に貯留される 貯留量は年間 120 万トンの予定となっている 本プロジェクトでは リスクをベースとし CO2 隔離のマネジメントにおいて有効性が確認されている技術を用いて リスクアセスメント MVA プログラム及びリスク管理計画を開発する予定となっている その手法として 地震探査 コアサンプル ウェルログ等によりデータを収集 分析し リスク評価に用いるほか モデル化手法 シミュレーション ヒストリーマッチング等を行い 貯留層におけるリスク管理を行う 292

293 CO2 用途 事業概要 モニタリングとして 圧入井の坑口圧 温度 ケーシング圧力 ガス検出 地下水モニタリング ( 圧力 温度 構成 ) モニタリング井を通じた各種のモニタリングを行うほか さらに先進的な技術を用いた MVA 活動について 検討している 塩性帯水層への永久貯留 CO2 は厚さおよそ 500m の Fort Simpson Formation に貯留される計画で 地下およそ 2,100~2,200m の地点に圧入される予定となっている 年間およそ 120 万トンの CO2 を 25 年間圧入する計画となっている 本プロジェクトの CO2 貯留部分は 米国エネルギー省の炭素隔離パートナーシッププログラムの実証事業として実施される このプロジェクトでは塩水性地層への大規模な CO2 貯留の技術的 経済的実現可能性を検証するとともに 塩水性地層へ隔離した CO2 の着実な MVA 活動の実証を行うことを目的としている 図 165 CO2 貯留イメージ ( 出典 :Spectra Energy 社資料 : onprojectoverview-edmonton0511.pdf) 293

294 (6)Swan Hills Synfuel A In-Situ Coal Gasification/Power Generation Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 石炭地下ガス化 EOR 商業事業 ISCG 技術と CCS 技術を統合した自社技術の商業化 EOR CO2 の永久貯留 Swan Hills Synfuels アルバータ州スワンヒルズ 2009 年 : 実証プロジェクト開始 2013 年 : フルスケール施設の建設開始予定 2015 年 : 商業プロジェクトの運転開始予定事業総額 :15 億カナダドルアルバータ州政府が CCS 基金から 2 億 8500 万カナダドルを出資本プロジェクトでは 地下約 1000m の地点で石炭地下ガス化 (in-situ gasification) を行う そこで生産される合成ガスを用いて 300MW 発電プラントで発電を行う 石炭地下ガス化プロセスにより 年間 200 万トンの CO2 が発生し そのうち年間 120~140 万トンの CO2 を回収予定となっている 回収された CO2 はパイプラインで輸送され EOR に用いられる予定である 294

295 図 166 スワンヒルズ石炭地下ガス化事業概要 ( 出典 : 2 分離 回収実施地域アルバータ州スワンヒルズ実施主体 Swan Hills Synfuels 事業資金 N/A 事業期間 2015 年 : 商業プロジェクトの運転開始予定技術概要建設される ISCG 施設では 圧入井と生産井の 2 つの井戸を地下 1,400 メートルに位置する炭層まで採掘し 圧入井から酸素と水 ( 地下塩水 ) を圧入 燃焼させることで炭層の温度を上昇させ 蒸気を発生させる それにより 地中内の圧力にさらに蒸気の圧力が加わり 熱された炭素 ( 石炭 ) がガス化し 生産井から合成ガス ( 主な構成要素は水素 メタン CO2 CO) が採掘される 地下 1,400 メートルにある炭層は 地下水層よりも更に 800 メートル深部に位置しており 地下水の汚染のリスクを軽減するとともに 圧入される水には地下塩水を使用するため 真水を用いる必要がない 合成ガス処理プラントにおいて 不純物が取り除かれ合成ガスは浄化さ 295

296 CO2 リソース 事業概要 れる この処理プラントでは高圧で CO2 含有量の多い合成ガスから CO2 をコスト効率の良い方法で除去することができる また 発電施設では ISCG 施設で生成された浄化された低炭素合成ガスを用いて発電する 発電施設は ISCG 合成ガスを主燃料とする 300MW の複合発電施設である この発電施設はプロジェクトエリアにある既存の 240kV 高圧送電システムに連結される予定となっている 本発電施設から排出される CO2 は従来型の未臨界圧微粉炭火力発電プラントからの排出量の 1/3 であり アルバータ州で稼働している天然ガス複合発電施設とほぼ同等である 石炭ガス化に伴って発生する CO2 ISCG 施設において石炭のガス化に伴って発生する CO2 を合成ガス処理プラントにおいて回収する 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 アルバータ州スワンヒルズ Swan Hills Synfuels N/A 2015 年 : 商業プロジェクトの運転開始予定パイプライン輸送回収された CO2 は パイプラインを介して近隣の油田を所有する EOR 事業者へ販売され EOR として活用される また EOR の用途以外にも ISCG 施設で回収された CO2 は 永久貯留用としても地下へ圧入される予定である CO2 貯留量は合計で年間 130 万トンの予定となっている また ISCG 施設から EOR 業者への CO2 輸送 また ISCG 施設から発電施設への合成ガスの輸送には既存のガスパイプラインが使用される 4 貯留 実施地域 アルバータ州スワンヒルズ近郊の油田 ( 予定 ) 実施主体 未定 事業資金 N/A 事業期間 2015 年 : 商業プロジェクトの運転開始予定 技術概要 詳細未定 CO2 用途 CO2EOR 事業概要 回収された CO2 は パイプラインを介して近隣の油田を所有する EOR 296

297 事業者へ販売され EOR として活用される また EOR の用途以外に も ISCG 施設で回収された CO2 は 永久貯留用としても地下へ圧入さ れる予定である 現時点では詳細は未定である 297

298 (7)Bow City Power Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業 CO2 回収技術を伴う石炭火力超臨界発電により 石炭を燃料として環境基準を満たした発電事業を行う Bow City Power Ltd. アルバータ州南部 Brooks 市近郊 500MW の第 1 ユニットのオペレーション開始 :2017 年予定 ( 第 2 ユニット :2017 年以降可能な限り早く ) 29 億カナダドル本プロジェクトは先進的な超臨界燃焼技術を用いた 1,000MW の石炭火力発電プラントを新たに建設することにより 既存の送電網に電力を供給する 先進的な超臨界燃焼技術により 本プロジェクトは非常に高レベルの信頼性の高いオペレーションにより アルバータ州の厳格な環境基準に準拠し 高品質の電力を消費者に提供することが可能となる このプラントには CO2 回収技術も組み込まれており 年間 100 万トンの CO2 を回収する計画となっている 回収した CO2 はパイプライン輸送し EOR 事業に用いられる予定となっている 本プラントは当初 2010 年には稼働開始する計画が立てられていたが 住民の声やアルバータ州で導入予定の CO2 排出規制等を鑑み プラントに CCS 技術を組み込むように計画変更した 298

299 図 167 プロジェクトサイト地図 ( 出典 : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 アルバータ州南部 Brooks 市近郊 Bow City Power Ltd. 29 億カナダドル 500MW の第 1 ユニットのオペレーション開始 :2017 年予定このプラントでは超臨界燃焼技術により 2 基の 500MW 蒸気タービンを用いて発電を行う これは 非常に高温 高圧の超臨界ボイラーを用いて石炭を燃焼して蒸気タービンを駆動し 発電を行うものである 超臨界燃焼技術は非常に熱効率が高く 信頼性は実証されており また CCS 技術を適用することが容易であることからこの技術を採用することとなった CO2 回収には Fluor の Econamine FG Plus 技術が採用される これはアミンスクラバを用いた燃焼後 CO2 回収技術であり 低圧で酸素を多く含む燃焼排ガス流から CO2 を効果的に回収する 回収された CO2 は超臨界圧まで圧縮され パイプライン輸送される 炭素回収プラントは大量の低圧流を処理する必要がある 発電プラント 299

300 CO2 リソース 事業概要 のタービンからの蒸気を用いることも可能であるが 本プロジェクトでは別途 50MW の天然ガス焚き発電プラントを新設し そこから調達することとした この天然ガス発電プラントを設置することにより それぞれの石炭火力発電ユニットの出力は 525MW となる 天然ガス焚き発電プラントは主となるプラントには影響を及ぼすことはなく CO2 回収プラントに蒸気を提供することに加え 発電した電力はサイト内で使用するか 又は売却することが可能である 石炭火力発電に伴って発生する CO2 本プラントでは Bow City で採掘される年間 410 万トンの露天掘の石炭を用いて 2 基の 500MW 超臨界石炭火力プラントで発電を行う 発電プラントには 2 基の CO2 回収プラントが組み込まれており それぞれおよそ 1,500t/ 日の CO2 を回収可能となっている 回収された CO2 はパイプライン輸送され EOR に使用される予定であり 現在プラントから 40 ~ 90 km の距離にある 3 か所の枯渇油田において CO2EOR に用いることが検討されている 2011 年 4 月 Bow City Power は Fluor Canada Ltd. と覚書を交わし プロジェクトメンバーとして Fluor が参加することとなった そして CO2 回収技術に Fluor の Econamine FG Plus 技術を採用することとし エンジニアリング等を進めることとなった この CO2 回収技術により 年間およそ 100 万トンの CO2 を回収する予定となっている Bow City の石炭は硫黄分が少なく またプラントを 40 年間稼働させるのに十分な埋蔵量がある 本プラントでは 採掘所 発電プラント及び冷却池は全て同じサイト内に位置している 図 168 石炭火力発電プロセス概要図 ( 出典 : 300

301 図 169 Econamine FG Plus プロセス 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 未定 Bow City Power Ltd. N/A 2017 年 ~ パイプライン輸送プラントで分離 回収された CO2 はパイプライン輸送され CO2EOR に使用される計画となっており 対象油田として現在プラントから 40 ~ 90 km の距離にある 3 か所の枯渇油田が検討されているが 詳細は未定となっている 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途 未定未定 N/A 2017 年 ~ 未定 CO2EOR 301

302 事業概要 プラントで分離 回収された CO2 はパイプライン輸送され CO2EOR に使用される計画となっており 対象油田として現在プラントから 40 ~ 90 km の距離にある 3 か所の枯渇油田が検討されているが 詳細は未定となっている 302

303 オーストラリア (1)Gorgon Carbon Dioxide Injection Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 商業事業 LNG 生産を目的とする商業プロジェクト Gorgon JV: シェブロン (47.3%) エクソンモービル(25%) シェル (25%) 大阪ガス(12.5%) 東京ガス(1%) 中部電力(0.417%) による JV プロジェクトはシェブロンが操業する 西オーストラリア州北西沖のゴルゴン鉱区 バロー島 2014 年 ~ 操業開始予定事業総額は 430 億豪ドルであり このうち CO2 圧入事業に 20 億豪ドルが投入される予定である CO2 圧入に係る部分については 豪州政府の Low Emissions Technology Demonstration Fund (LETDF) から 20 億米ドルの補助金が拠出される 西オーストラリア沖合のゴルゴン鉱区にある海底ガス田から採掘する天然ガスの液化天然ガス生産基地を建設するとともに ガス採掘に伴って発生する CO2 を回収し バロー島地下の海底に貯留する 回収された CO2 は 340 万 tco2/ 年の割合でバロー島の地下約 2.4km の地点に圧入される予定であり 本プロジェクトの事業期間中に 合計 1 億 2000 万トンの CO2 が圧入される予定である LNG 基地は 2014 年に完成の予定となっている 現在 データを収集するための井戸が掘削され 地下の調査が進められている 政府からの全ての認可を取得済みであり プロジェクトにおける最終投資判断も実施されている ゴルゴン天然ガス油田はシェブロンが採掘した油田であり 本島沿岸部から 130~200 km の距離にある 約 40 兆立方フィートの天然ガスが存在すると見られており それらのガスには平均して約 14% の CO2 が含有されている 本プロジェクトでは 年間 1500 万メートルトンの生産能力を持つ LNG プラント及び国内向けのガスプラントを ゴルゴンガス田から 70 km の距離にあるバロー島に建設予定である LNG は主にアジアに向けて輸送され 国内向けのガスはパイプラインで本島に輸送される予定となっている 303

304 CCS により プロジェクトによって排出される温室効果ガスを 40% ま で削減することができる 本プロジェクトにより オーストラリアは世 界に先駆けて商業規模での CO2 圧入を行うこととなる予定である 図 170 プロジェクトサイト地図 ( 出典 : シェブロン Gorgon プロジェクト Web サイト : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 バロー島シェブロン (LNG 関連基地は KBR 日揮 Clough HATCH の JV である The Kellogg Joint Venture Group (KJVG) が受託 CO2 分離 ~ 貯留コンポーネントは GE が受託 ) 約 27 億豪ドル 2014 年 ~ 操業開始予定天然ガス処理工程において CO2 分離を行う CO2 分離は 酸性ガス除去ユニット (AGRUs) において除去される 酸性ガス除去ユニットでは酸性ガス ( CO2 及び H2S ) が a-mdea(activated Methyl Di-ethanol Amine) 技術により除去される それぞれの酸性ガス除去ユニットは Gorgon Jansz ガス流のうち 33% を処理するように設計されており 以下の 2 つのサブシステムから構成 304

305 CO2 リソース 事業概要 されている 吸収システム: 天然ガスから CO2 及び H2S を amdea プロセスにより除去するシステム 再生システム:aMDEA 溶剤を酸性ガスから分離させることにより再生させ 再利用するためのシステム AGRU において分離 回収された酸性ガスは 99.7 モル % の CO2 及び少量の残留 VOCs H2S によって構成されている これらの酸性ガスは CO2 圧入システムにおいて圧縮され 地下の Dupuy 層に圧入される 圧縮 / 圧入システムが稼働しないときには放出される 天然ガスに含有される CO2 ( ゴルゴンガス田の天然ガスは約 14% の CO2 を含有 ) KBR 日揮 Clough HATCH の JV である The Kellogg Joint Venture Group (KJVG) は本プロジェクトにおいて LNG 生産施設等の設計 機材調達管理 建設工事管理および試運転管理役務に係る契約 (Engineering, Procurement and Construction Management: EPCM 契約 ) を約 27 億豪ドルで獲得している 本契約により バロー島に 年間 500 万トンを処理する LNG トレイン 3 基 ガス処理設備 生産貯蔵出荷設備 オフサイト設備 収容設備等から構成される LNG 施設の設計及び建設を行うこととなっている 本契約には生産量 300TJ/ 日の国内向けガスプラントも含まれている これらの設備の設計においては温室効果ガス排出効率の改善が考慮されており 改良型の排熱回収及び地下深くの貯留層に圧入される二酸化炭素のための設備等が含まれている また CO2 の分離回収 貯留コンポーネントについては GE が 4 億米ドルにて契約を獲得している この契約により GE は 1500 万トン / 年の LNG 生産に必要な 3 基の冷却圧縮トレイン及び CO2 事業に必要な 6 基の圧縮トレインを供給する これは世界最大規模である 3 基の冷却圧縮トレインはそれぞれ 2 基の GE Frame-7 ガスタービン及び液化コンプレッサーから構成されており 再ガス化及びパイプライン輸送する前に液化天然ガスを-160 まで冷却するために用いられる 6 基の 15MW 電動機駆動の GE 圧縮トレインにより 分離 液化された CO2 は その後地下に貯留される CO2 隔離のための GE の冷却圧縮トレイン及び圧縮トレインは 2011~ 2012 年に設置される予定である 305

306 図 171 分離 回収 (LNG 生産 CO2 分離回収 ) システム概要 ( 出典 : シェブロン Gorgon プロジェクト Web サイト : 3 輸送実施地域西オーストラリア沖合のゴルゴン鉱区 バロー島実施主体シェブロン ( パイプライン建設は Monadelphous が受託 ) 事業資金 N/A 事業期間 2014 年 ~ 操業開始予定技術概要パイプラインによる輸送事業概要分離 回収された CO2 は ガス処理プラントから圧入井までおよそ 7km の距離をパイプラインにより輸送される 地上の CO2 パイプラインはガス処理プラントの北川にある CO2 コンプレッサーから CO2 圧入井に繋がる CO2 ドリルセンターまで敷設される CO2 圧入井及び圧入用パイプラインの準備及び建設事業は Monadelphous がシェブロンから受託している シェブロンと Monadelphous の契約では 7 km にわたる地下パイプライン 5 か所の井戸及び関連施設の設置及び試運転が含まれている これらの作業は 2013 年の第 1 四半期中に完了する予定となっている 海底下 1300m 以上の深さにおけるシステムの設計においては 深度及び地形的な課題に対応するため それらの環境下でパイプラインが今後 306

307 50~60 年間耐久可能となるような技術革新が求められる 本プロジェクトでは 高圧で腐食性の流体のためにより直径が大きく 外壁の厚いパイプラインのエンジニアリングが求められる 30 年の間に 20~30 の生産井が掘削される予定である 海底下のツリーは海底上でウェルジャンパーによって多方面のクラスターに連結される 4 貯留実施地域バロー島実施主体シェブロン (GE が受託 ) 事業資金 20 億豪ドル ( 貯留コンポーネントに関する GE との契約は 4 億米ドル ) 事業期間 2015 年から圧入開始予定技術概要 CO2 圧入システムは 2 基の 50%CO2 圧入ユニット (A B) によって構成されており それぞれの AGRU に直結している 圧入ユニット内で重要な装置が故障した場合には即時にそのユニットはシャットダウンされるが もう一つの CO2 圧入ユニットはそのような時にも通常運転ができるようにつくられている シャットダウンされたユニットにおいて重要な装置をメンテナンスする際にもセカンドユニットの正常な稼働には影響を及ぼさないようになっている 例えば1つのユニットが故障し酸性ガスがそのユニットからベントされても AGRU トレインからの残り 50% の酸性ガスは引き続き圧入されることとなる CO2 圧入設備はガス処理プラントとは別の施設となり CO2 コンプレッサーからパイプラインによって連結される 圧縮された酸性ガスは 8 ~9 か所の圧入井から圧入される これらの圧入井は 3~4 か所の CO2 ドリルセンターから直接掘削される CO2 用途地中貯留事業概要本プロジェクトは世界最大級の CO2 貯留プロジェクトであり プロジェクト期間 40 年間の間に 年間最大 350 万トンの CO2 が貯留される予定である 分離 回収された CO2 はパイプライン輸送され バロー島地下の Dupuy 帯水層に貯留される また 圧入された CO2 は健康 安全及び環境に係る安全性を確保するためにモニタリングされることとなっている 8~9 本の圧入井及び最大 4 本の圧力管理用の井戸を掘削予定である また モニタリングとして 繰り返し地震探査 観測井の掘削及び地表ガスのモニタリングが行われる予定である 307

308 (2)Callide Oxyfuel Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類 実証事業発電事業規模でクリーンコール技術の有効性を実証する酸素燃焼火力発電システムによる CCS 一貫システムの信頼性 運用性を実証する CS エナジー 豪州石炭協会 (ACA) エクストラータコール シュルンベルジェ 電源開発 三井物産 IHI による合弁事業 各事業者の役割分担は 次の通り CS エナジー : クイーンズランド州政府所有のエネルギー供給事業者であり カライドA 発電所は CSエナジー所有の施設である CSエナジーはプロジェクト立ち上げの段階から中心的な役割を果たしている IHI: カライド A 発電所第 4 ボイラへの酸素燃焼技術の取り付けを担当する 工事完了後はこのボイラで酸素燃焼実証運転が可能となる 電源開発 : 日本で培ってきたクリーンコール技術の研究開発ノウハウを活用し カライド酸素燃焼プロジェクトのプロジェクト管理の中枢部分を担当する 三井物産 : プロジェクト管理と石炭火力発電プロセス全般を担当する シュルンベルジェ :CO2 の地中貯留作業全般の管理を担当する 具体的には貯留サイトの選定や特性分析 貯留に関するリスクマネジメント 監視 実証プランなどを行う エクストラータコール : カライド酸素燃焼プロジェクトの共同出資者として プロジェクトのフィジビリティスタディ前の段階から関与しており 現在は実証試験の実施のためのプロジェクト管理をサポートしている クイーンズランド州中央部バナナ郡ビロエラ 2012 年から 5 年間 カライド A のユニット改修工事は 2008 年 8 月に開始し 2011 年 3 月に終了した その後試運転などを経て 2012 年 3 月 完全酸素燃焼モードによる石炭燃焼を開始している 本事業の事業費は 2 億 600 万豪ドルである プロジェクトは日豪が共同で実施する補助事業であり このプロジェクトにおいて 豪州石炭協会は COAL21 ファンドを通じ 本プロジェクトに最も多くの資金を提供している また 豪州政府 低排出技術実証基金 (LETDF) から 5000 万ドル 日本政府から 1750 万ドルが出資され 308

309 プロジェクト概 要 ている さらにクイーンズランド州政府から資金援助を受けている他 石炭エネルギーセンターが技術支援をしている また GCCSI からも 183 万豪ドルの資金支援を受けている 本プロジェクトは カライド発電所における出力 30MW の既存のカライド A 石炭火力発電所のユニットを改造して行われる実証プロジェクトである カライド発電所はクイーンズランド州中央部のボーウェン盆地にある この盆地内で全長 750km 全幅 250km の範囲に炭田が点在しており その埋蔵量は 210 億トンと見積もられている カライド発電所はカライド A B C の 3 発電所から構成されており 合計出力は 1700MW となっている カライド A 発電所は 1965 年に運転開始した石炭火力発電所であり 燃料は歴青炭を用い 容量は 120MW (30MW の発電ユニットが 4 基 ) となっている 2012 年 3 月より 酸素燃焼による発電を開始しており CO2 の回収は同年後半より開始予定である 本プロジェクトの第 2 段階では回収した CO2 を地中に貯留する 図 172 プロジェクト周辺地図 ( 出典 :Callide Oxyfuel Project Feasibility Study) 309

310 図 173 プロジェクト全体イメージ ( 出典 : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 クイーンズランド州中央部バナナ郡ビロエラ CS エナジー 豪州石炭協会 (ACA) エクストラータコール シュルンベルジェ 電源開発 三井物産 IHI による合弁事業カライド A 発電所の拡張工事費用はおよそ 7000 万ドルの予定 2012 年 ~ 酸素燃焼及び CO2 の圧縮 液化回収酸素燃焼プロセスでは空気の代わりに純酸素と再循環排ガスの混合ガスを用い 石炭を燃焼する これにより排ガスの CO2 濃度は 90% 近くなる その後 排ガス圧縮冷却設備により CO2 を圧縮し 液化回収を行う 酸素燃焼施設は IHI が開発 取り付けを担当している 酸素燃焼 CO2 回収部分では 10,000 時間のオペレーションを目標としており 主に以下の項目について 実証を行う 酸素燃焼技術及び CO2 回収オペレーション 安全性 オペレーションのフレキシビリティ 耐久性 310

311 プラント効率 CO2 回収レート及び CO2 純度 コストデータ 空気侵入 プロセスコントロール及び最適化 CO2 リソース瀝青炭の酸素燃焼に伴う排ガス事業概要 CO2 回収 : 最大 70t/d( 発生量の約 11%) 図 174 カライド A CO2 プラント概要 ( 出典 : 3 輸送 実施地域 カライド A 発電所 ~ 貯留サイト ( デニソントラフ ) 実施主体 CS エナジー 豪州石炭協会 (ACA) エクストラータコール シュルン ベルジェ 電源開発 三井物産 IHI による合弁事業 事業資金 N/A 事業期間 2013 年 ~ 予定 ( 具体的なスケジュールは調整中 ) 技術概要 B-double 型と呼ばれる連結型の 20 トンタンクローリーによるトラック 輸送 事業概要 カライド A 発電所で回収 液化した CO2 は輸送トラック ( タンクロー 311

312 リー ) によって輸送される 輸送には B-double 型と呼ばれる連結型の 20 トンタンクローリーが用いられる このタンクローリーのタンク内部は厚さ 25 ミリの断熱カーボンによる断熱加工がしてあるため 一定の温度を保った状態で CO2 を安全に輸送することが可能となっている 液化 CO2 の積みおろしには高圧ホースが用いられる 輸送 貯留量は最大 30t/ 日の予定となっている 具体的な貯留サイトは現時点では未定であるが CO2 はカライド A 発電所からドーソンハイウェイ (Dawson Highway) を利用して 貯留サイトまで輸送される予定であり その距離は 250~350 km となっている 毎日 2 台のタンクローリーが運行する予定となっている 図 175 CO2 輸送用タンクローリー写真 ( 出典 : カライドプロジェクト Web サイト : 4 貯留実施地域カライド A 発電所から約 300 km の地点にある デニソントラフ ( 予定 ) 実施主体シュルンベルジェが中心となって実施予定事業資金 N/A 事業期間 2013 年 ~ 予定 ( 貯留の具体的なスケジュールは調整中 ) 技術概要地下貯留層への CO2 圧入 CO2 貯留サイトでは 主に以下の項目を確認する - 圧入レート - 圧入温度 / 圧力 - 圧入井における温度 / 圧力 312

313 CO2 用途等 事業概要 - 比抵抗探査による CO2 プルームの探査 -ログデータによる圧入井近くの CO2 動態 - 地層水サンプリング - 圧入前後の貯留層の浸透性 -CO2 動態の長期予測 - 機械設備の腐食に関するデータ取得貯留層への貯留テスト貯留として 年間 25,000~30,000t/ 年の CO2 を 3~4 年間圧入することが計画されている 貯留量は最大 30t/ 日の予定 CO2 貯留量 : 最大 2 万 t 程度 ( 予定 ) 貯留サイトは カライド発電所から 250~350 km の距離にあるデニソントラフが検討されており 現在調査中となっている デニソントラフ北部の Springton 天然ガス田における CO2 圧入シミュレーション等が行われている なお 当該エリアの油田及びガス田における CO2 貯留ポテンシャルは 16.5Gt と見られている 313

314 (3)CarbonNet Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 実証事業ビクトリア州において大規模 CCS ネットワークを構築し CCS 産業を展開する主幹 : ビクトリア州第一次産業部 the Commonwealth Scientific and Industrial Research Organization (CSIRO) the Cooperative Research Centre for Greenhouse Gas Technologies (CO2CRC) Australian National Low Emissions Coal Research & Development (ANLECR&D) が協力ビクトリア州ラトローブバレー ギプスランド 2009 年 ~ 現時点で以下のスケジュールが示されている プレ FS:2009 年 ~2010 年末 FS 調査 :2011 年 ~2012 年末 FEED (Front End Engineering Design 基本設計 ):2013 年調達 :2014 年展開 :2015 年後半 ~ 本プロジェクトにおける当該地域の低排出褐炭発電を実証する事業の費用は 10 億豪ドルを上回ると見られている 本プロジェクトは豪州政府の炭素回収 貯留フラグシッププログラムにより資金提供を受ける事業に選定されており 1 億豪ドル ( 連邦政府から 7000 万ドル ビクトリア州政府から 3000 万ドル ) の合同資金が 実行可能性調査の予算として拠出される また GCCSI からビジネスモデル及び事業構造の開発に 230 万豪ドルが拠出される さらに 地中に貯留された CO2 の MMV に関する国内で一貫した技術的枠組みの将来的な開発を支援するため 24 万豪ドルが別途提供される CarbonNet Project は 2009 年にオーストラリア政府とビクトリア州が CO2 排出を削減するためのソリューションを検討するため設立したプロジェクトであり 世界クラスのマルチユーザー向け大規模 CCS ネットワークを構築するための可能性を研究するプロジェクトである このネットワークはビクトリア州のラトローブバレー (Latrobe Valley) にある発電所 産業プロセス 新石炭ベース産業から排出される CO2 を回収し 共用のパイプラインにより運搬して 同州のギプスランド 314

315 (Gippsland) 地域の沖合にある地中貯留サイトに圧入することを目的としている CarbonNet Project では 以下の項目を行うことを目的としている -CCS ネットワークの成長と展開を支える 拡張性のあるインフラの設計 -ギプスランド盆地における CO2 貯留の容量及び完全性について確認 実証する - 民間部門からの資金援助及びプロジェクトへの参加を得る -CarbonNet Project における政府の役割を有効なものとし CCS 産業を展開する本プロジェクトは初期段階において年間 100~500 万トンの CO2 の回収 輸送 貯留を目的としており 経過とともに増加させる予定である 図 176 プロジェクト関連設備地図 ( 出典 : 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 ビクトリア州ラトローブバレー TRU Energy Southern Company Loy Yang Power Mitsubishi Australia N/A N/A 詳細未定 315

316 CO2 リソース 事業概要 ラトローブバレーにある発電所 産業プロセス 新石炭ベース産業から排出される CO2 CO2 回収については 以下を予定している 1Yallourn CCGT(Combined Cycle Gas Turbine) 発電プラントからの燃焼前回収 :3MtCO2/ 年 :TRU Energy/Southern Company TRUenergy は同社の既存の TRUenergy Yallourn 発電所において 1000MW の CCGT( ガスタービン複合発電 ) プラントの新設を計画している (2015 年 ~ 建設開始予定 ) この CCGT プラントは非常に高効率であり CO2 等の大気汚染物質の排出量も極めて少ない CO2 排出量は 0.353tCO2-e/MWh となる予定で この数値は環境遺産省の技術ガイドラインにおいても非常に良好な値であり また豪州における CCGT の中でもトップクラスである 現時点では CO2 回収設備の設置は予定されていないが 炭素価格の上昇や関連の技術革新等により 将来的に検討するとされている ( Yallourn Combined Cycle Gas Turbine Power Station ENVIRONMENT EFFECTS STATEMENT) 2HRL IDGCC(Integrated Drying Gasification Combined Cycle) プラントからの燃焼前回収 1MtCO2/ 年 :HRL Harbin Group(Dual Gas Ltd)( 中止 ) ラトローブバレーで産出される褐炭は豊富で安価であるが含水量が多い HRL はガス化の前に脱水工程を組み込むことによる IDGCC プラントの建設により 褐炭の有効利用を行う 本事業は Low Emissions Technology Demonstration Fund (LETDF) の補助金対象プロジェクトにも認定されており 当初 2011 年からの操業を計画していたが 住民等の反対等により 2012 年 7 月 連邦政府が補助金供与を中止し 現在計画は中止となっている 3Loy Yang 発電所燃焼後回収 0.35MtCO2/ 年 :Loy Yang Power/ Mitsubishi Australia & TRU Energy Loy Yang Power が保有する既設の褐炭焚火力発電所に三菱重工が新開発した CO2 回収プラントを追設するとともに 三菱重工が開発する CO2 輸送貯留施設と一体化させる予定であり 2018 年の商業運転開始を計画している 3 輸送 実施地域 実施主体 ビクトリア州ラトローブバレーからギプスランド盆地まで シュルンベルジェ Mitsubishi Australia TRU Energy 316

317 事業資金事業期間技術概要事業概要 N/A N/A パイプライン輸送 CO2 輸送に関しては 以下を予定している - 幹線パイプライン 20Mt/ 年 -その他のパイプラインにて 5MtCO2/ 年の輸送 CO2 輸送については シュルンベルジェ Mitsubishi Australia TRU Energy による CO2 輸送 貯留インフラプロジェクトが実施される予定となっている 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途等事業概要 ビクトリア州ギプスランド盆地未定 N/A N/A N/A 地中貯留 Carbon Store Australia TRU energy 及び三菱重工によるコンソーシアムである Carbon Store Victoria は ギプスランドにマルチユーザー向け CO2 輸送 貯留システムの構築を提案している 炭素貯留タスクフォース において ギプスランド盆地における CO2 地中貯留能力について調査を行った その結果 ギプスランド盆地は豪州で炭素地中貯留能力が最も高い盆地であることがわかり また シミュレーションの結果 現時点で毎年 5,000 万トンを 25 年間にわたって注入できることが判明した ギプスランドにおける貯留ポテンシャルは 10GT と見積もられている 317

318 (4)South West CO2 Geosequestration Hub Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 実験事業 (trial project) オーストラリア初の陸域における CCS 実験事業を行うことを目的とする 将来的には 当該地域における石炭産業 石炭利用者 工業 アルミナ精錬所等から排出される CO2 の削減を目指す 官民のパートナーシップにより実施されており 主幹は西オーストラリア州鉱業 石油省である 民間は Alcoa Australia Griffin Energy Developments Perdaman Chemicals and Fertilisers Electrical Generation Corporation (Verve) Premier Coal Limited による UJV ( 非法人型合弁事業 ) 西オーストラリア州クイナナ (Kwinana)~コリー(Collie) にあるレシュール (Lesueur) 地層地域 2011~2023(?) 事業総額 :N/A 2011 年 6 月に本プロジェクトは豪州政府による CCS フラッグシッププログラムに選出されており 5200 万豪ドルが拠出されることとなった この資金は地質データの収集 リスク評価 社会的影響評価 パイプライン調査及び環境影響評価等の事前調査 プロジェクト設計及び管理等に用いられる予定である プロジェクトの進行に伴い 更なる資金を獲得できる見込みである 本事業は以下の段階に分かれている 準備フェーズ ( ) 試運転ケース ( ) ベースケース (2015) 拡張ケース 1 (2018) 拡張ケース 2 (2023) 準備フェーズでは基準井の掘削を含む前競争的なデータの収集及びレシュールの適合性 容量の試験を行うための分析等が行われる そのほか 3 次元地震探査及び追加的な基準井の掘削も実施される予定である 本フェーズは 2013 年まで延長される 試運転ケースは基本的に 年間 35 万トン CO2 の小規模 CO2 隔離及び圧入の実験を行う予定となっている クイナナにある既存の化学プラントから アルコア社のピンジャラ (Pinjarra) ウェイジャラップ (Wagerup) にあるアルミナ精錬所の残渣物用ため池 (residue ponds) 318

319 まで 年間 25 万トンの CO2 を 109 km のパイプラインネットワークにより輸送する さらに レシュールにおける貯留実証として 初めの 1 ~2 年の間でおよそ 10 万トンの CO2 を圧入する なお 貯留実証サイトの詳細は未だ決まっていない 本フェーズの期間中 研究及び開発が進められる ベースケースでは 商業規模の年間 245 万トンの CO2 の回収 輸送及び貯留が予定されている コリー地域にある Perdaman 社の化学肥料工場から 圧縮された CO2 をパイプライン輸送し レシュールの貯留地域に貯留する 貯留サイトは未定である 本フェーズは 2017 年まで延長する予定である 拡張ケースは 2 フェーズで行われる予定であり 年間 500~600 万トンの CO2 を回収 輸送 貯留する容量を持つ Hub とする予定である 延長ケースではコリー地域において新設する火力発電所 工業施設及び / 又は既存施設へのレトロフィットにベースケースにおいて設置されたパイプラインを組み込み レシュール地域において地中貯留を行う予定となっている なお 本プロジェクトの実施に先立ち CO2CRC(the Cooperative Research Centre for Greenhouse Gas Technologies) による事前調査が実施されている 図 177 プロジェクトサイト地図 ( 出典 : 319

320 2 分離 回収実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 リソース事業概要 コリー地域未定未定 2012 年 ~ 未定化学工場 火力発電所等から排出される CO2 試運転ケースでは およそ年間 35 万トンの高品質な CO2 がクイナナにある既存の化学プラントから提供されることとなっている ベースケース及び拡張ケースでは CO2 回収技術については South West Hub パートナー企業及び将来的なユーザーがそれぞれの企業判断により検討することとなる 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 レシュール地域未定未定 2012 年 ~ パイプライン輸送 CO2 輸送方法について広く検討が行われた結果 パイプライン輸送が最も有効な選択肢であると結論付けられた 既存のパイプラインの地役権は西オーストラリア州が所有しているため 各地へのアクセス及びパイプラインルートの大部分は提供されると見られる この選択肢について完全に評価するためには さらなる詳細調査が必要とされている 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 レシュール地域未定 N/A 2012 年 ~ 未定地中貯留貯留事業の詳細は現在調査 検討中となっているが 事前調査の結果から Kemerton 工業地区の北部にあるレシュール地層が南西部では CO2 貯留に最も適したサイトであることが明らかになっている 現時点での 320

321 評価結果では 年間 600 万トンの CO2 を 40 年間貯留する容量があると されている 当該地域の地層における CO2 の長期的な貯留の適格性を 確認するためには さらに包括的な調査が必要とされている 図 178 South West CO2 Geosequestration Hub Project コンセプトイメージ ( 出典 : 321

322 (5)Surat Basin CCS Project 1 事業概要 : 事業の種類事業目的実施主体実施地域事業期間事業総額 / プロジェクトの種類プロジェクト概要 IGCC CCS 大規模実証プロジェクト石炭燃料発電施設において CO2 を回収し 輸送 貯留することにより CO2 排出量を低減することを実証する 2020 年までに工業規模での実証事業を行う 発電 CO2 分離 回収事業 :the Wandoan Power Consortium (Stanwell Corporation と GE Energy によって構成されるコンソーシアム ) CO2 輸送 貯留事業 :CTSCo Pty Ltd (Carbon Transport and Storage Company:Xstrata Coal の子会社 ) Xstrata Coal は IGCC の燃料となる石炭の供給を行う クイーンズランド州ワンドアン近郊のスラット盆地 (Surat Basin) プロジェクトプランニングは 2008 年より開始 2017/18 年の操業開始を予定本プロジェクトは連邦政府の CCS フラッグシッププログラムに選定されている (FS 調査に関して 1 億 5 千万ドルの補助金が拠出される (~ 2011 年 9 月 30 日 ))CO2 輸送 貯留部分は 豪州政府及び COAL21 ファンドから資金提供される プレ FS 調査 :IGCC/CCS 部分 :4400 万ドル 貯留部分 :2400 万ドルなお プレ FS 調査については IGCC/CCS 部分は 豪州政府 ACA Low Emission Technologies Limited (ACALET) Stanwell GE が資金拠出している また 貯留部分は CTSCo が 豪州政府 クイーンズランド州政府及び ACALET から資金提供を受けている 400MW( ネット出力は 341MW) の IGCC プラントにおいて 排出される CO2 の 90% を回収 貯留予定であり 最大で 250 万トン / 年の CO2 をスラット盆地の地下 1~2 km の砂岩貯留層に永久的に貯留する CO2 回収技術は GE の IGCC 燃焼前回収技術を採用予定 フェーズ1:IGCC/CCS に係るプレ FS 調査 (2010 年第一四半期 ~): 貯留のプレ FS 調査 : 既存のデータから CO2 及び水の動態予測を行うとともに 探査井を掘削 プレ FS 調査について IGCC に係る部分は the Wandoan Power Consortium が実施し CO2 輸送 貯留部分は CTSCo が実施することになっている IGCC に係る部分は 2011 年 6 月に報告書が発行されているが CO2 輸送 貯留部分は現在実施中となっている フェーズ2:FS 調査 : 圧入及びモニタリングの目的で 4 本の井戸を掘 322

323 削 20 万トンの CO2 を圧入予定 フェーズ 3: 実行段階 : 統合された大規模 CCS 実証プロジェクトとし て 年間 100 万トンの CO2 を圧入予定 2 分離 回収実施地域クイーンズランド州ワンドアン近郊のスラット盆地実施主体 the Wandoan Power Consortium 事業資金 37 億 7300 万ドル ( プレ FS 時点の推計 ) プレ FS 調査 :IGCC/CCS 部分 :4400 万ドル ( 豪州政府 ACA Low Emission Technologies Limited (ACALET) Stanwell GE が資金拠出 ) 事業期間 2017/18 年の操業開始を予定技術概要本プロジェクトでは GE のネット出力 431MW の IGCC プラントにおいて 燃焼前回収により CO2 排出量の 90% を分離 回収する CO2 リソース 事業概要 酸性ガス除去プロセス (AGR プロセス ) では原合成ガスから硫黄化合物及び CO2 を除去するために 物理的溶媒としてポリエチレングリコールジメチルエーテル (Dimethyl Ethers of Polyethylene Glycol : DEPG) が用いられる AGR プロセスでは原合成ガスを燃焼タービンにおいて燃焼させる前に 大半の CO2 硫黄化合物を酸性ガスとして除去する これらの酸性ガスは硫黄回収ユニット (Sulfur Recovery Unit: SRU) に送られ H2S は元素状硫黄に変換される その後 CO2 流は CO2 圧縮 脱水ユニットに送られる CO2 圧縮システムでは AGR において回収された CO2 をパイプラインシステムで求められる圧力まで圧縮する 圧縮システムは水分を除去するための中間冷却及びノックアウトドラムを伴う多段階コンプレッサーである CO2 圧縮ユニットは低圧及び高圧の 2 つの圧縮セクションに分かれる CO2 乾燥パッケージは回収した CO2 から水分を除去するために用いられる 乾燥パッケージでは乾燥のため液体乾燥剤が用いられる 乾燥ユニットにより乾燥したガスは高圧セクションへ送られ 適切な圧力になるまで加圧される 石炭ガス化プロセスで生成される CO2 本プロジェクトでは GE のネット出力 431MW の IGCC プラントにおいて 燃焼前回収により CO2 排出量の 90% を分離 回収する ガス化炉において生成された原合成ガス流から約 90% の CO2 を回収する ガス化プロセスにおいて生産される CO2 ガス流は酸性ガス除去トレインにおいて回収され 液化に近い状態となる高圧の超臨界状態まで 323

324 圧縮される 本プロジェクト期間である 30 年超の間に合計で約 7,500 万トンの CO2(250Mt/ 年 ) が回収される見込みである 圧縮されたガスはガス輸送パイプラインへ送られ 最終処分するために 地中貯留サイトへと輸送される 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要事業概要 クイーンズランド州ワンドアン近郊のスラット盆地 CTSCo Pty Ltd N/A 2017/18 年の操業開始を予定地上パイプラインによる輸送詳細未定 4 貯留実施地域実施主体事業資金事業期間技術概要 CO2 用途事業概要 クイーンズランド州ワンドアン近郊のスラット盆地砂岩貯留層 CTSCo Pty Ltd プレ FS 調査 :2400 万ドル ( 豪州政府 クイーンズランド州政府及び ACALET から資金提供を受けている ) 2017/18 年の操業開始を予定詳細未定地中に永久処分スラット盆地の地下 1200m~2200m にある砂岩貯留層に分離 回収し パイプライン輸送された CO2 を圧入する 現在 プレ FS 調査を行っている プレ FS 調査ではスラット盆地にある既存の石炭火力発電所において燃焼後回収モジュールをレトロフィットするオプションについて調査する 燃焼後回収モジュールにおける CO2 回収量は 20 万トン / 年 ~100 万トン / 年の範囲を変動させる予定となっている プレ FS 調査は スラット盆地における工業規模での貯留に関する技術的 経済的及び社会的実行可能性について検討するとともに 今後の大規模回収実証事業につなげることを目的としている 324

325 図 179 CO2 貯留サイト断面 ( 出典 :Xstrata Coal 社資料 : actsheet_final_19_10_12.pdf) 325

326 (6)Otway Project 1 事業概要 : 事業の種類パイロット実証事業事業目的 温室効果ガス排出削減 枯渇した天然ガス田への CO2 貯留の実証実施主体 CO2 CRC Pilot Project Ltd(AngloCoal BHB Billiton BP Chevron Schlmberger Shell RioTinto Solid Energy Woodside Xstrata Coal) 実施地域ビクトリア州南西部 Nirranda South 事業期間 2005~2015 年予定プロジェクトは 2005 年に開始し CO2 圧入は 2008 年 4 月に開始した 同サイトでの調査研究は 2015 年頃まで続く予定 事業総額 / プロジ総額 4,000 万豪ドルェクトの種類出資者は オーストラリア州政府 ビクトリア州政府 CRC Program CO2 CRC Limited CO2 CRC メンバー団体 米エネルギー省など オーストラリア ニュージーランド カナダ 韓国 米国などの政府機関 7 団体と 15 事業者プロジェクト概オーストラリアで初となる地下深部への CO2 貯留実証プロジェクト 要同プロジェクトでは主に ビクトリア州の枯渇ガス田に大量の CO2 貯留を行うことで CO2 貯留の技術的及び経済的実証や CO2 の流動を効果的に測定する また CO2 回収や輸送に関する実証も併せて行う 同プロジェクトで得られた関連情報を地元コミュニティやステイクホルダーと共有するほか CCS 関連技術に関する一般へのアウトリーチ ( 啓発 ) も目的としている ステージ 1:2004~2009 年 : 枯渇天然ガス田への CO2 圧入実証 合計約 65,000 トンの CO2 を圧入 ステージ2:2009~2015 年 : 塩水帯水層への CO2 圧入実証 326

327 図 180 プロジェクトサイト地図 ( 出典 : ct-case-study.pdf) 2 分離 回収 実施地域 ビクトリア州南西部 Nirranda South 実施主体 CO2 CRC Pilot Project Ltd 事業資金 N/A 事業期間 2005~2015 年予定 技術概要 ガス処理 圧縮装置 CO2 リソース 既存のガス井 (Buttress) から抽出された CO2 リッチガス (CO280% メ タン 20%) 事業概要 天然ガス田の採掘井 (Buttress 1 Well) から採掘されたガス (CO2:80% メタンガス :20%) を Buttress-1 Surface 施設にて水分を含む液体等 を除去した後 圧縮 3 輸送実施地域実施主体事業資金事業期間 ビクトリア州南西部 Nirranda South CO2 CRC Pilot Project Ltd N/A 2005~2015 年予定 327

328 技術概要 事業概要 パイプライン輸送直径 50mm 全長 2.25 km のステンレス製パイプラインを地下 2.5mに敷設している このパイプラインは最大 50 最高圧 15MPa で設計されている 全長 2.25 km のパイプラインにて圧縮した CO2 を輸送 4 貯留実施地域ビクトリア州南西部 Nirranda South 実施主体 CO2 CRC Pilot Project Ltd 事業資金 N/A 事業期間 2005~2015 年予定技術概要 N/A CO2 用途地中貯留 (MMV 実証 ) 事業概要ステージ1では 圧縮された CO2 は CRC 1 圧入井から地下へ圧入される 圧入地点の深度は 2003~2014mとなっている 貯留サイトは 地下 2050m にある砂岩層である Waarre C 枯渇ガス田であり Eumeralla 地層の下部にある Buttress-1 ガスの Waarre C への圧入は 2008 年 3 月 18 日に開始され 2009 年 8 月に終了しており 平均圧入量は 145t/ 日 圧入量合計は 65,445t となっている 同圧入井から約 300 メートル離れた Naylor 1 坑井にて圧入された CO2 のモニタリングを実施している 大気 土壌 地下水 地下における総合的なモニタリングが実施され リーケージはなかったことが確認された ステージ2では 新たに地下 1565mに及ぶ CRC2 圧入井を掘削し 地下約 1400mの塩水帯水層 (Paaratte Formation) への CO2 圧入試験を行う 圧入試験に先立ち 帯水層の水を抽出し 地上に設置したタンクに貯留する その後 150 トンの CO2 を貯留層に圧入する 一定期間の後 CO2 飽和状態にした水を CO2 を圧入した地層に再圧入し CO2 のトラップ等の状況をモニタリングする予定となっている 第 2 ステージではモニタリングにおいて地震探査技術が用いられる予定となっている 328

329 図 181 CO2 地中貯留イメージ ( 出典 : 329

330 第 2 章 2020 年頃の CCS 市場に関する調査 330

331 年頃の CCS 市場 温室効果ガス削減に寄与する各要素技術 IEA(International Energy Agency: 国際エネルギー機関 ) が 2012 年に公表した World Energy Outlook 2012 では New Policy Scenario と 450 ppm Scenario での CO2 削減量は 2020 年に 3.1 GtCO2 であり また 2035 年には総排出量で 15.0 GtCO2 削減することが必要とされる 2020 年における CO2 削減量の CCS の寄与率は 4% であり 2035 年には 17% まで上昇すると予想されており CCS 市場は 2020 年 更には 2035 年に向けて更に拡大していくと想定される 図 182 温室効果ガス削減に寄与する各要素技術 ( 出典 :IEA Word Energy Outlook2012) 331

332 2-2. CCS のマーケットの整理 CCS のマーケットタイプ CCS に関するプロジェクト調査結果から 以下のとおり 3 つのタイプの CCS マーケット を類推した 1 緩和を目的とする事業 CO2 を永久貯留し CO2 排出量削減を目的としたマーケットである CO2 の分離 回収 輸送及び貯留が主な事業プロセスとなる 2 別目的の事業 EOR 等 CO2 の有効利用を目的としたマーケットである CO2 排出量の削減は付帯効果 となる CO2 の分離 回収 輸送及び有効利用 (EOR) が主な事業プロセスとなる 3 地域活性化など地域開発 CCS そのものを目的とするのではなく CCS をまちづくり計画の中に定め まちづくりの一環として CCS を導入するマーケットである 事例は限定的であるが オランダのロッテルダムで取り組まれている 1 緩和を目的とする事業 :CO 2 の排出量削減が主目的 CCS( 貯留 ) 低炭素なまちづくり等 貯留 CCS( 有効利用 (EOR 等 )) 利用 安全性評価 モニタリング 検証等 輸送 CO 2 回収 / 再利用 安全性評価 モニタリング 検証等 共通技術 CO 2 の分離 回収 貯留 利用 再開発の一環 3 地域活性化など地域開発 2 別目的の事業 : 付帯効果としての CO 2 の排出量削減 332

333 図 183 プロジェクト調査結果から類推される 3 つのタイプのマーケット ( 出典 : 各種調査結果より NTT データ経営研究所が作成 ) CCS のマーケットの主たる参入企業 CCS に関するプロジェクト調査結果から 現在の CCS マーケットにおいて実績を有する主たる参入企業の整理を行った 整理にあたっては プロジェクト全体の操業者である元請けと CCS における分離 回収 輸送 圧入 安全評価の各プロセスに分けて整理を行った また 分離回収においては 分離 回収に関わるプラントの実績を有する企業と 分離回収技術 溶媒を有する企業に分けて整理を行った 加えて プロジェクトの目的によって参入企業が変化すると想定される元請け及び圧入 安全評価については CCS の緩和を目的としたプロジェクト ( CCS として記載 ) と CO2 の有効利用等の別目的の事業 ( CCUS として記載 ) に分けて 整理を行った CCS マーケットの主たる参入企業の整理を行った結果は図 184 である 元請け CCUS Shell( 米 ) Exxon Mobil ( 米 ) Conoco Phillips ( 米 ) Dakota Gasification Company( 米 ) Swan Hills Synfuels( カナダ ) 等 CCS Shell( 米 ) Statoil( ノルウェー ) シェブロン ( 米 ) RWE( 独 ) 等 分離 回収輸送圧入 安全評価 プラント 三菱重工業 ( 日 ) 日揮 ( 日 ) 東芝 ( 日 ) 日立製作所 ( 日 ) Siemens( 独 ) GE( 米 ) Lurgi( 独 ) ABB( スイス )/Lummus Crest ( 米 ) Dakota Gasification Company( 米 ) Swan Hills Synfuels( カナダ ) Air Liquide( 仏 ) SandRidge CO2( 米 ) Air Products and Chemicals, Inc.( 米 ) Denbury( 米 ) Sargent & Lundy ( 米 ) Southern Company ( 米 ) URS ( 米 ) Scottish and Southern Energy plc( 英 ) 等 分離回収技術 溶媒 三菱重工業 ( 日 ) SandRidge CO2( 米 ) UOP( 米 ) Linde( 独 ) Alstom( 仏 ) Aker Clean Carbon ( ノルウェー ) sargas ( ノルウェー ) Flour Daniel( 米 ) Lurgi( 独 ) Air Liquide( 仏 ) Air Products and Chemicals, Inc.( 米 ) BASF( 独 ) RWE( 独 ) 等 Kinder Morgan( 米 ) Anadarko Petroleum Corporation( 米 ) Denbury( 米 ) National Grid( 米 ) Gassco( ノルウェー ) Souris Valley Pipeline Ltd( カナダ ) Enhance Energy( カナダ ) SaskPower( カナダ ) Chaparral Energy( 米 ) Hydrogen Energy California LLC( 米 ) Petra Nova( 米 ) 等 各国の既存パイプライン事業者と CO2 排出プラントオーナー CCUS Schlumberger( 仏 ) Halliburton( 米 ) Baker Hughes ( 米 ) Denbury ( 米 ) 等 CCS Schlumberger ( 仏 ) Halliburton ( 米 ) Baker Hughes ( 米 ) Petrofac( 英 ) 等 図 184 CCS CCUS マーケットの全体像 主たる参入企業 ( 出典 : 各種調査結果より NTT データ経営研究所が作成 ) 333

334 ビジネススキームの概観 プロジェクト調査を踏まえ CCS 及び CCUS におけるビジネススキームの概観の整理を行った ビジネススキームは分離回収までは CCS も CCUS も共通である 一方 操業主体 ( 大元請 ) やインテグレータの形態が異なることが想定される CCS のビジネススキームは プラントから分離回収 輸送 貯留の全ての操業主体となる大元請と プラントから分離回収までを担う中インテグレータ 及び CO2 発生源のプラント 分離 回収 輸送 貯留の各プロセスがビジネススキームの構成となる 中インテグレータ 操業主体 ( 大元請 ) エネルギー 産業 プラント 天然ガス発電所肥料工場セメント高炉 分離 回収輸送貯留 プラントポンプコンプレッサー吸収液 図 185 CCS におけるビジネススキーム ( 出典 : 各種調査結果より NTT データ経営研究所が作成 ) CO2-EOR(CCUS) のビジネススキームでは 大元請がプラントから有効利用 (EOR) まで全ての操業主体となる場合と プラントから輸送までの操業主体となるタイプがある CO2-EOR では CO2 の有効利用を行う事業者 ( 枯渇油田等の保有者 ) が分離 回収した CO2 を個別契約で購入する形態があるためであり 同様の観点から CO2 の有効利用を行う事業者 ( 枯渇油田等の保有者 ) が CO2 排出プラントに分離 回収技術を導入し 自社のパイプラインで輸送するというモデルも存在する CCS と CO2-EOR(CCUS) とのビジネススキームの違いは CO2 の有効利用を行う事業者が単独で存在しているという点である 上記以外は CCS と同様に プラントと分離 回収を行う中インテグレータと CO2 発生源のプラント 分離 回収 輸送の各プロセスがビジネススキームの構成となる 334

335 中インテグレータ 操業主体 ( 大元請 ) 中インテグレータ 操業主体 エネルギー 産業 プラント 天然ガス発電所肥料工場セメント高炉 分離 回収輸送 EOR プラントポンプコンプレッサー吸収液 図 186 CCS-EOR におけるビジネススキーム ( 出典 : 各種調査結果より NTT データ経営研究所が作成 ) なお プロジェクト調査を踏まえたビジネススキームの概観における 参入企業に関す る整理は以下のとおり 操業主体 ( オペレータ ) としての実績は欧米の石油 天然ガスメジャー等が圧倒的に多数を占めている 最近 中韓企業が操業主たちとしての実績を積み上げ始めている EPC としては 発電所 LNG プラント等の CO2 発生源となるプラントと CO2 の分離 回収までを一体化して受注するパターンが多いものと推定 分離 回収に続く昇圧 輸送プロセスのうち 昇圧設備については分離 回収プラントの一環として整備されることが多いものと推定 EPC の受注実績のある企業は欧米企業の他 日系企業では日揮 中韓企業にも実績が出始めている 分離 回収プロセスのみの EPC も存在しており 三菱重工はこの実績が多いものと推定 (CO2 発生源は肥料プラント等であり CO2 発生源となるプラントとの一体化は困難なものと推定 ) 輸送プロセスについては 既存のパイプライン等の運営事業者が中心的な役割を果たしているものと推定 但し ハードとしてのパイプラインの供給そのものについては 日系企業も含めたパイプライン製造メーカーの役割と推定 圧入プロセスについては EOR の場合 CO2 圧入対象となる油田のオペレータの業務範囲となり 純粋な CCS の場合は操業主体が圧入施設を EPC 契約等で調達し 運転維持管理を行っているものと推定 ビジネスの実績は欧米企業が中心であると推定 335

336 CCS のコスト構成 CCS の全体コストに占める割合では 分離 回収プロセスが最大で 6 割前後を占める ( 燃 焼後回収の場合 ) したがって ビジネス的に見れば 分離 回収が最もマーケットボリュ ームが大きいビジネスである 図 187 CCS のコスト構成 ( 出典 :( 公財 ) 地球環境産業技術研究機構 (RITE) CO2 分離回収技術開発の世界動向と RITE の取組み ) 分離 回収プロセスのマーケット動向 マーケットボリュームが大きい分離 回収プロセスでは 世界レベルで多数の企業が競合している状況である 日系企業では 三菱重工が競争力のある化学吸収技術 KS-1 を有して一定のポジションを確保している また 日揮もドイツ化学大手企業 BASF と連携して一定の実績を有してい 336

337 る 一方 欧米企業を中心に特徴のある技術を要して一定の実績を積み重ねているライバル企 業も多い ( 例 : アルストム社チルドアンモニア法など ) 図 188 MHI の燃焼後回収用化学吸収液 KS-1 の特徴 ( 出典 : 三菱重工業株式会社 三菱重工排ガスからの CO2 回収技術 : 三菱重工技報 Vol.47 No.1 (2010) 低炭素社会特集 : ) 日揮はドイツ化学大手の BASF との共同開発で HiPACT(High Pressure Acid Gas Capture Technology) を開発している HiPACT では CO2 放散塔 (CO2 Stripper) を通常よりも高圧で運転することが可能であり そのことにより 後段の CO2 高圧化のための投入エネルギーを削減することができる CO2 放散塔を高圧運転すると吸収液の温度が高温になるため 高温耐久性に優れた吸収液の開発が必要であった また 吸収液の CO2 吸収能力を高めることで 吸収液の循環量を削減することができ その分 エネルギーコストを削減することが可能となる BASF が CO2 吸収能力と高温耐久性に優れた吸収液を開発し 日揮が同液を利用したシステムを開発した 日揮は世界的な競争力を有する LNG プラントのみならず IGCC への適用も視野に入れている 337

338 図 189 HiPACT イメージ図 ( 出典 : 日揮株式会社ホームページ : 国内でも 国内でも低コスト分離 回収技術の開発が進められている ( 公財 ) 地球環境産業技術研究機構 (RITE) は化学吸収法を用いた低コスト CO2 分離回収技術の開発として 2004 年 ~2008 年度に 低品位排熱を利用する二酸化炭素分離回収技術 ( COCS: Cost-Saving CO2 Capture System) に関する研究開発を行っている ( 図 190) 図 190 RITE による低コスト分離 回収技術 ( 出典 :( 公財 ) 地球環境産業技術研究機構 (RITE) CO2 分離回収技術開発の世界動向と RITE の取組み ) CO2-EOR ブロジェクトでは 物理吸収技術 (RECTISOL SELEXOL 等 ) が比較的多 338

339 く活用されている 本調査で実施したプロジェクト調査のうち 分離 回収プロセスに関する技術情報が明記されていた CO2-EOR プロジェクトを集計すると CO2-EOR プロジェクト 17 件中 6 件が物理吸収技術を活用している また CO2-EOR の商業プロジェクトでは 11 件中 6 件が物理吸収技術を活用している 物理吸収技術は CO2 の回収率は化学吸収技術に比べて高くはないものの 化学吸収技術に比べてコストが安いという長所がある CCS-EOR プロジェクトは CO2 の回収ではなく利用を目的とするため 回収率よりもコストを優先した技術採用が行われていると推察される CO2-EOR プロジェクトにおける分離 回収プロセス CO2-EOR 商業プロジェクトにおける分離 回収プロセス その他, 3 件 その他, 3 件 化学, 3 件 物理, 11 件 化学, 2 件 物理, 6 件 分離 回収プロセス技術が明記されていないプロジェクトは集計から除外 その他 : 膜分離法等図 191 CCS-EOR プロジェクトにおける分離 回収プロセス ( 出典 : 各種調査結果より NTT データ経営研究所が集計 ) 339

340 年頃の CCS 市場へのアプローチ方法 CCS プロジェクトの現状と見込み 本調査におけるプロジェクト調査結果を集計すると 実施されている CCS プロジェクト数では 米国が圧倒的に多く そのほとんどのプロジェクトが CCS の有効利用を目的とする CO2-EOR(CCUS) プロジェクトである また CO2-EOR に活用されている CO2 は ガス田 油田 化学工業 電力 重工業と多様な排出源の CO2 が利用されている 目的別 CCS プロジェクト数 米国 EOR における CO2 排出源 PJ 数 CCS のプロジェクト数では米国が多く ほとんどのプロジェクトの CCS 実施目的が CO2 の有効利用 (EOR) である 電力 重工業, 8 ガス田 油田, 化学工業, 7 CO2 有効利用 (EOR) CO2 排出量削減 まちづくり 未定 計画中のプロジェクトを含む 図 192 実施目的別 CCS プロジェクト数と CO2 排出源 ( 出典 : 各種調査結果より NTT データ経営研究所が集計 ) 本調査の対象国における現在稼働中の商業ベースの大規模 CCS/CCUS プロジェクトは CO2-EOR が 3 プロジェクト CCS( 貯留 ) が 2 プロジェクト行われている CCS の 2 プロジェクトは ノルウェーの Snøhvit CO2 Injection と Sleipner CO2 Injection である しかし 両プロジェクトは 実際はノルウェーの炭素税対策として実施されているプロジェクトである したがって 現在商業ベースで行われている大規模プロジェクトは 実質的には CO2-EOR のみである 340

341 5 Val Verde Natural Gas Plants( 米 ) Shute Creek Gas Processing Facility ( 米 ) Century Plant ( 米 ) Snøhvit CO2 Injection( ノルウェー ) Sleipner CO2 Injection ( ノルウェー ) EOR 商業事業 実証事業 CCS CO2 貯留量 :70 万トン / 年以上を大規模プロジェクトと設定 図 193 稼働中の大規模プロジェクト ( 出典 : 各種調査結果より NTT データ経営研究所が集計 ) また 現在計画中の商業ベースの大規模プロジェクトは EOR が 10 プロジェクト CCS ( 貯留 ) が 4 プロジェクトある CCS の 4 プロジェクトは Kentucky NewGas Industrikraft Möre AS Norway Quest Gorgon Carbon Dioxide Injection Project である Kentucky NewGas は炭素隔離レディーとして実施が予定されており Industrikraft Möre AS Norway 及び Quest は それぞれノルウェー及びカナダの炭素税対策として実施が予定されている また Gorgon Carbon Dioxide Injection Project は液化天然ガス基地の設置条件として CCS の実施を義務づけらたため実施するプロジェクトである したがって 現状では炭素税等の強制力が働く場合においてのみ 商業ベースの CCS プロジェクトが実施されている状況であり 商業事業としての大規模プロジェクトは CO2-EOR がマーケットの中心となっている Kentucky NewGas( 米 ) Industrikraft Möre AS Norway( ノルウェー ) Quest( カナダ ) Gorgon Carbon Dioxide Injection Project( 豪 ) 6 10 EOR 商業事業 実証事業 6 4 CCS 341

342 France Germany Netherlands Norway U.K. Denmark Sweden Poland Turkey Ukraine Lithuania Others United States Canada Mexico China India Pakistan Australia South Africa Libya Tunisia Algeria Morocco Western Mauritania Venezuela Colombia Argentina Brazil Chile Uruguay Paraguay Bolivia 図 194 計画中の大規模プロジェクト ( 出典 : 各種調査結果より NTT データ経営研究所が集計 ) シェールガス開発の影響 IEA が 2011 年に公表した World Energy Outlook 2011 Special Report ~Are we entering a golden age of gas? ~ ( 以下 WEO11SR ) では 非在来型天然ガス (Unconventional Natural Gas) を含めた天然ガスの埋蔵量は 250 年以上 と見積っている ( 但し 現在の天然ガス消費量をベースとして算出 ) 掘削技術の進展に伴う掘削コストの低減により 非在来型ガス ( シェールガス ) の開発が飛躍的に拡大している アメリカエネルギー情報局 ( EIA:Energy Information Administration) が取り纏めた報告書では 技術的に採掘可能な非在来型天然ガス ( シェールガス ) の埋蔵量が 確認済の天然ガス埋蔵量を上回る国が多く 全世界の確認済天然ガス埋蔵量と技術的に採掘可能なシェールガス埋蔵量はほぼ同等と試算しており 今後の強力な化石燃料供給源となる 1,400 1,200 1, Proved Natural Gas Reserves (trillion cubic feet) Technically Recoverable Shale Gas Resources (Trillion cubic feet) 図 195 天然ガスとシェールガスの埋蔵量比較 ( 出典 :World Shale Gas Resources: An Initial Assessment of 14 Regions Outside the United States (EIA) を NTT データ経営研究所が加工 ) シェールガス革命 の本拠地であるアメリカでは 2007 年から 2010 年までの 4 年間 342

343 でシェールガスの生産量が 4 倍近くに増加している なお アメリカは シェールガス開発に伴う天然ガス生産量の増加により 2009 年にロシアを抜き世界最大の天然ガス生産国となった 図 196 アメリカ ( 全土 ) のシェールガス生産 (07~10) ( 出典 :World Shale Gas Resources: An Initial Assessment of 14 Regions Outside the United States (EIA) を NTT データ経営研究所が加工 ) アメリカ EIA は 今後もシェールガス生産は増加傾向を示すと予測しており 2035 年には国内天然ガス生産の半分近くの割合を占めると想定している 2012 年 9 月に東京で開催された LNG 産消会議 において米国エネルギー省 (DOE) は 米国におけるガス供給全体に占めるシェールガスの割合が 2010 年の 23% から 2035 年には 49% まで急増する見込みであること バランスは需要過剰が解消してきており 2020 年過ぎには国内供給が消費を上回り 純輸出国になる見込みであると述べた 12 月にアメリカ EIA が公表した 2013 年のエネルギー見通しの暫定版では 2016 年に液化天然ガス (LNG) の純輸出国となり 2020 年には天然ガス全体でも純輸出国になると見立てている 343

344 図 197 アメリカの天然ガス供給源 ( 現状 予測 ) ( 出典 :Annual Energy Outlook 2011 (EIA)) シェールガス増産の影響により アメリカでは天然ガス価格が 4 ドル /100 万 Btu を切る状況が生じている シェールガス開発コストは 3~7 ドル /100 万 Btu ともいわれており 販売価格が生産コストを下回るという事象が生じている CO2-EOR は安価なコストで生産可能となったシェールガス オイルシェールと競合していくこととなり CO2-EOR 開発にとっては向かい風になる しかしながら 自国のエネルギーセキュリティーの確保やエネルギーミックスの観点から EOR 事業は継続することが想定される なお シェールガス開発の進展に伴う天然ガス供給増により 老朽化した石炭火力発電所を天然ガスコンバインド発電所に更新 あるいは新規天然ガスコンバインド発電所の計画 建設が進められている 天然ガスコンバインド発電所の場合 排ガスの CO2 濃度が石炭火力発電に比べて薄いため 効率的な CO 回収技術が求められる 344

09 資料2 グローバルCCSインスティテュート シニア クライアントエンゲージメント リード イングビット オンブストレット様 ヒアリング資料

09 資料2 グローバルCCSインスティテュート シニア クライアントエンゲージメント リード イングビット オンブストレット様 ヒアリング資料 ノルウェーの CCS 活動 日本中央環境審議会に向けたプレゼンテーション シニアクライアントエンゲージメントリード Ingvild Ombudstvedt 表紙写真 : CO2 Technology Center Mongstad. 写真提供 :Gassnova. Agenda ノルウェーにおける CCS の概要 CCS 政策 20 年にわたる経験 Full-Scale CCS CLIMIT モングスタッド

More information

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要) 地球温暖化対策基本法案 ( 環境大臣案の概要 ) 平成 22 年 2 月 環境省において検討途上の案の概要であり 各方面の意見を受け 今後 変更があり得る 1 目的この法律は 気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止すること及び地球温暖化に適応することが人類共通の課題であり すべての主要国が参加する公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組みの下に地球温暖化の防止に取り組むことが重要であることにかんがみ

More information

Microsoft Word _out_h_NO_Carbon Capture Storage Snohvit Sargas.doc

Microsoft Word _out_h_NO_Carbon Capture Storage Snohvit Sargas.doc 更新日 :2008/5/19 ノルウェー : 二酸化炭素の分離 回収 貯留 (CCS) の現状 調査部宮本善文 1. ノルウェーの石油会社 StatoilHydro は 二酸化炭素 (CO2) を帯水層に貯留する技術を確立しつつある 1ノルウェー領北海 Slipner ガス田において 1996 年から実施されている二酸化炭素の分離 回収 貯留 (CCS: Carbon Dioxide Capture

More information

Microsoft Word - funding-carbon-capture-storage-developing-countries-japanese

Microsoft Word - funding-carbon-capture-storage-developing-countries-japanese 発展途上国における CO 2 回収貯留への資金供与 2012 年 3 月 The executive summary of FUNDING CARBON CAPTURE AND STORAGE IN DEVELOPING COUNTRIES has been translated from English into Japanese for convenience. The Global CCS Institute

More information

参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日 参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日 約束草案の提出に関する各国の状況 (2015 年 4 月 28 日時点 ) 2015 年 4 月 28 日時点で 7 か国 1 地域 (EU28 カ国 ) が約束草案を提出

More information

Microsoft PowerPoint - Session3_Speech2-J.ppt [互換モード]

Microsoft PowerPoint - Session3_Speech2-J.ppt [互換モード] EU/ ポーランドの政策における 石炭エネルギーと CO 2 削減 Joanna Dopierala Konkolowicz 参事官 クリンコルデ 2011 クリーン コール デー 2011 2011 年 9 月 7 日東京 EU の排出削減政策 2008 年 EU 気候変動 エネルギー政策パッケージ 2020 年までに排出を20% 以上削減 エネルギー ロードマップ 2050 ローエミッション エネルギー市場実現への道

More information

問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し

問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し 民生部門対策のための グリーン IT 普及支援の枠組み 富士通総研経済研究所主任研究員生田孝史 ikuta.takafumi@jp.fujitsu.com 問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル

More information

1 二酸化炭素回収 貯留 (CCS) とは 火力発電所等から排ガス中の二酸化炭素 (Carbon dioxide) を分離 回収 (Capture) し 地下へ貯留 (Storage) する技術

1 二酸化炭素回収 貯留 (CCS) とは 火力発電所等から排ガス中の二酸化炭素 (Carbon dioxide) を分離 回収 (Capture) し 地下へ貯留 (Storage) する技術 参考資料 1 我が国における CCS 事業について 平成 29 年 9 月 5 日 環境省地球環境局 1 二酸化炭素回収 貯留 (CCS) とは 火力発電所等から排ガス中の二酸化炭素 (Carbon dioxide) を分離 回収 (Capture) し 地下へ貯留 (Storage) する技術 (1) 分離回収技術 CCS 実施に当たって必要な技術 CO 2 分離回収液等を用い 発電所等の排ガスから

More information

間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して パリ協定の概要 ( 仮訳 ) 協定の目的等 ( 第 2 条及び第 3 条 ) 主に以下の内容を規定 この協定は 世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2 より十分低く保つとともに 1.5 に抑える努力を追求すること 適応能力を向上させること 資金の流れを低排出で気候に強靱な発展に向けた道筋に適合させること等によって 気候変動の脅威への世界的な対応を強化することを目的とする この協定は 衡平及び各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力の原則を反映するよう実施する

More information

平成 21 年度資源エネルギー関連概算要求について 21 年度概算要求の考え方 1. 資源 エネルギー政策の重要性の加速度的高まり 2. 歳出 歳入一体改革の推進 予算の効率化と重点化の徹底 エネルギー安全保障の強化 資源の安定供給確保 低炭素社会の実現 Cool Earth -1-

平成 21 年度資源エネルギー関連概算要求について 21 年度概算要求の考え方 1. 資源 エネルギー政策の重要性の加速度的高まり 2. 歳出 歳入一体改革の推進 予算の効率化と重点化の徹底 エネルギー安全保障の強化 資源の安定供給確保 低炭素社会の実現 Cool Earth -1- 平成 21 年度資源エネルギー関連概算要求について 21 年度概算要求の考え方 1. 資源 エネルギー政策の重要性の加速度的高まり 2. 歳出 歳入一体改革の推進 2006 3. 予算の効率化と重点化の徹底 エネルギー安全保障の強化 資源の安定供給確保 低炭素社会の実現 Cool Earth -1- エネルギー対策特別会計 ( 経済産業省分 ), 一般会計 ( 資源エネルギー庁分 ) -2- エネルギー安全保障の強化

More information

RIETI Highlight Vol.66

RIETI Highlight Vol.66 2 0 1 7 F A L L 66 1 RIETI HIGHLIGHT 2017 FALL RIETI HIGHLIGHT 2017 FALL 3 Interviewer 4 RIETI HIGHLIGHT 2017 FALL DPNo No. 17-E-082-0 http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/17e082.pdf RIETI HIGHLIGHT

More information

<4D F736F F F696E74202D F43444D838D815B D B988C493E089F090E08F91816A5F8CF68EAE94C5>

<4D F736F F F696E74202D F43444D838D815B D B988C493E089F090E08F91816A5F8CF68EAE94C5> 1-1. 1-2. 1-3. 1-4. 1-5. 1-6. 1-7. 1-8. 1-9. 1-10. 1-11. 京都メカニズムとはクリーン開発メカニズム (CDM) とは CDMプロジェクト活動の分類項目 ( スコープ ) 新規植林 / 再植林 CDM(A/R CDM) プロジェクト活動とは A/R CDMプロジェクト活動の適格地クレジット獲得量の算定方法クレジット期間 A/R CDMにおいて発行される期限付きクレジット

More information

Microsoft Word - Translation InstituteA

Microsoft Word - Translation InstituteA 世界の大規模統合 CCS プロジェクトの動向 2011 年 12 月更新版 GLOBAL STATUS OF LARGE-SCALE INTEGRATED CCS PROJECTS: December 2011 update has been translated from English into Japanese for convenience. The Global CCS Institute

More information

ニュースリリースの件数増大についての提言と依頼

ニュースリリースの件数増大についての提言と依頼 2012 年 4 月 23 日 公益財団法人地球環境産業技術研究機構 二酸化炭素回収 貯留 (CCS) 分野の国際標準化活動の開始について ポイント : 1. 二酸化炭素回収 貯留 (CCS) について ISO 規格を作成するための専門委員会 (ISO/TC265) が ISO( 国際標準化機構 ) に昨年 10 月新設された 2.( 公財 ) 地球環境産業技術研究機構 (RITE) は 上記 ISO/TC265

More information

スライド 1

スライド 1 次世代火力発電協議会 ( 第 2 回会合 ) 資料 1 CO 2 回収 利用に関する今後の技術開発の課題と方向性 資源エネルギー庁 平成 27 年 6 月 目次 1. 次世代火力発電による更なるCO 2 削減の可能性 2. CO 2 の回収 貯留 利用に向けた取組 3. 次世代技術によるCO 2 回収コスト低減の見通し 4. CCUに関する技術的課題 5. 今後の技術的課題とロードマップの策定に当たり検討すべき論点

More information

エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会

エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会 国際的な資金洗浄 テロ資金供与対策の遵守の改善 : 継続プロセス 2017 年 11 月 3 日 ( 於 : ブエノスアイレス ) ( 仮訳 ) FATFは 資金洗浄 テロ資金供与対策の基準の遵守に関する継続的な検証の一環として 今日までに 資金洗浄 テロ資金供与対策に戦略上の欠陥を有し かつそれらに対処するためのアクションプランをFATFとともに策定した国 地域として 以下を特定する これらの国

More information

2008年6月XX日

2008年6月XX日 2008 年 6 月 17 日 環境 持続社会 研究センター国際環境 NGO FoE Japan メコン ウォッチ満田夏花 ( 地球 人間環境フォーラム ) 新 JICA 環境社会配慮ガイドラインに関する NGO 提案 新 JICA が行うべき環境社会配慮手続きについて ( 協力準備調査の実施段階を除く ) 1. ローリングプランの公開... 2 2. 協力準備調査... 2 2.1 協力準備調査の実施決定プロセス...

More information

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

平成20年度税制改正(地方税)要望事項 平成 30 年度地方税制改正 ( 税負担軽減措置等 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 その他 ) No 5 対象税目 要望項目名 要望内容 ( 概要 ) 府省庁名環境省 個人住民税法人住民税事業税不動産取得税固定資産税事業所税その他 ( 自動車取得税自動車税 軽自動車税 ) 車体課税のグリーン化 自動車取得税のエコカー減税については 平成 29 年度税制改正大綱において 対象範囲を平成 32 年度燃費基準の下で見直し

More information

Ⅰ. 経緯 国際金融コミュニティにおける IAIS の役割は ここ数年大幅に増加している その結果 IAIS は 現行の戦略計画および財務業績見通しを策定した際には想定していなかった システム上重要なグローバルな保険会社 (G-SIIs) の選定支援やグローバルな保険資本基準の策定等の付加的な責任を

Ⅰ. 経緯 国際金融コミュニティにおける IAIS の役割は ここ数年大幅に増加している その結果 IAIS は 現行の戦略計画および財務業績見通しを策定した際には想定していなかった システム上重要なグローバルな保険会社 (G-SIIs) の選定支援やグローバルな保険資本基準の策定等の付加的な責任を IAIS 市中協議 会合参加 監督文書等の策定に係る手続きおよびステークホルダーとの協議方針 ( 概要 ) 一般社団法人日本損害保険協会国際企画部 (2014 年 9 月作成 ) ( ) 本資料を利用することにより発生するいかなる損害やトラブル等に関して 当協会は一切の責任を負いません Ⅰ. 経緯 国際金融コミュニティにおける IAIS の役割は ここ数年大幅に増加している その結果 IAIS は

More information

SGEC 附属文書 理事会 統合 CoC 管理事業体の要件 目次序文 1 適用範囲 2 定義 3 統合 CoC 管理事業体組織の適格基準 4 統合 CoC 管理事業体で実施される SGEC 文書 4 CoC 認証ガイドライン の要求事項に関わる責任の適用範囲 序文

SGEC 附属文書 理事会 統合 CoC 管理事業体の要件 目次序文 1 適用範囲 2 定義 3 統合 CoC 管理事業体組織の適格基準 4 統合 CoC 管理事業体で実施される SGEC 文書 4 CoC 認証ガイドライン の要求事項に関わる責任の適用範囲 序文 SGEC 附属文書 2-8 2012 理事会 2016.1.1 統合 CoC 管理事業体の要件 目次序文 1 適用範囲 2 定義 3 統合 CoC 管理事業体組織の適格基準 4 統合 CoC 管理事業体で実施される SGEC 文書 4 CoC 認証ガイドライン の要求事項に関わる責任の適用範囲 序文この文書の目的は 生産拠点のネットワークをする組織によるCoC 認証を実施のための指針を設定し このことにより

More information

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加 私たちの社会的責任 宣言 ~ 協働の力 で新しい公共を実現する~ 平成 22 年 5 月 12 日社会的責任に関する円卓会議 社会的責任に関する円卓会議 ( 以下 本円卓会議 という ) は 経済 社会 文化 生活など 様々な分野における多様な担い手が対等 平等に意見交換し 政府だけでは解決できない諸課題を 協働の力 で解決するための道筋を見出していく会議体として 平成 21 年 3 月に設立されました

More information

Slide 1

Slide 1 ドイツにおけるソーシャル ファーム 障害者のために有意義な雇用を創出するには 2007 年 1 月東京ゲーロルド シュワルツ 1 論題 1. 定義および価値基準 2. 職場における統合を背景としたソーシャル ファーム 3. 法的な枠組みと支援サービス 4. 特徴と効果 5. 教訓ー成功の秘訣 6. 最新事情および展望 2 ソーシャル ファームとは? ソーシャル ファームとは 障害者或いはその他の労働市場において不利な立場にある人々の雇用のためにつくられたビジネスである

More information

GLOBAL STATUS OF LARGE-SCALE INTEGRATED CCS PROJECTS: December 2011 update has been translated from English into Japanese for convenience. The Global

GLOBAL STATUS OF LARGE-SCALE INTEGRATED CCS PROJECTS: December 2011 update has been translated from English into Japanese for convenience. The Global 世界の大規模統合 CCS プロジェクトの動向 2011 年 12 月更新版 GLOBAL STATUS OF LARGE-SCALE INTEGRATED CCS PROJECTS: December 2011 update has been translated from English into Japanese for convenience. The Global CCS Institute

More information

Monitoring National Greenhouse Gases

Monitoring National Greenhouse Gases Task Force on National Greenhouse Gas Inventories 温室効果ガスインベントリー : パリ協定の下の温暖化対策の 進捗評価への関連性 エドワルド カルボ ブエンディア (IPCC インベントリータスクフォース共同議長 ) 気候変動に関する政府間パネル (IPCC) 公開シンポジウム 神戸 2016 年 1 月 28 日 内容 温室効果ガスインベントリ その重要性

More information

<4D F736F F F696E74202D E9197BF A A C5816A CE97CD82CC90A28A458E738FEA2E B8CDD8AB B83685D>

<4D F736F F F696E74202D E9197BF A A C5816A CE97CD82CC90A28A458E738FEA2E B8CDD8AB B83685D> 世界の火力発電の市場動向 次世代 発電協議会 ( 第 5 回会合 ) 資料 2 1. はじめに 2. 世界の発電動向 3. 世界の国 地域別発電市場動向 4. 我が国の発電市場動向 5. 世界の火力発電の発電効率 6. 今後の世界の火力発電市場 一般財団法人エネルギー総合工学研究所小野崎正樹 1 1. はじめに 東南アジアを中心とした急激な経済成長にともない 発電設備の拡充が進んでいる 2040~2050

More information

けた取組が重要である 米国 カナダ 欧州諸国が UNFCCC へ提出した 2050 年に向けた長期戦略においても 濃淡はあるものの 各国ともゼロエミッション化 電化の重要な手段として CCS/CCUS を位置付けている これまで 将来的に CO2 削減にかかるコストについては 様々な報告がなされてい

けた取組が重要である 米国 カナダ 欧州諸国が UNFCCC へ提出した 2050 年に向けた長期戦略においても 濃淡はあるものの 各国ともゼロエミッション化 電化の重要な手段として CCS/CCUS を位置付けている これまで 将来的に CO2 削減にかかるコストについては 様々な報告がなされてい ( 資料 5) CCS の実証および調査事業のあり方に向けた有識者検討会報告書 ( 案 ) 1. はじめに国際エネルギー機関 (IEA) の報告書 Energy Technology Perspectives 2017 によれば 2060 年までの累積 CO2 削減量の 14% を CCS(Carbon Dioxide Capture and Storage; 二酸化炭素回収 貯留 ) が担うことが期待されている

More information

<4D F736F F F696E74202D B7B967B836C C668DDA2E B93C782DD8EE682E890EA97705D205B8CDD8AB B83685D>

<4D F736F F F696E74202D B7B967B836C C668DDA2E B93C782DD8EE682E890EA97705D205B8CDD8AB B83685D> ノルウェーとロシアがバレンツ海の境界線問題に合意 2010 年 5 月 20 日 調査部 宮本善文 1 ポイント 1. ノルウェーの現状 埋蔵量と生産量 鉱区設定地域 政策 2. ノルウェーとロシアは大陸棚の境界線の確定に合意 公式発表 ロシアとの交渉( 相互の主張 交渉方法 ) 埋蔵量 3. 日本企業へのインプリケーション 2 1-(1) 埋蔵量と生産量 (@ 欧州 ユーラシア ) 埋蔵量 ( 億

More information

Ⅰ 4. ドイツにおける地域振興に係る支援 特例の事例 ~ ジョイント スキーム (Gemeinschaftsaufgabe)~ 1) 施策の狙い 1 施策制定の背景 ドイツは 歴史的に各州の権限が大きく 1969 年にドイツ連邦共和国基本法 ( 憲法 ) を改正する以前は 所得税 法人税 売上税などは全て州の財源であった また 経済政策 地域政策も各州が握っており国家全体の統一的な政策を打つことができなかった

More information

資料2  SJAC提出資料

資料2  SJAC提出資料 資料 2 第 3 回調査分析部会 欧州の宇宙産業の概要 平成 25 年 5 月 27 日 ( 一般社団法人 ) 日本航空宇宙工業会 1 1 統計 : 欧州の宇宙予算 (1)ESA 予算 : 各国拠出金の推移 (2) 各国独自の民事宇宙予算推移 単位 : M ( 約 1.3 億円 ) 単位 : M ( 約 1.3 億円 ) 45 45 35 25 15 その他スイススペインベルギーイギリスイタリアドイツ

More information

豊田通商株式会社 CSR Report 2011

豊田通商株式会社 CSR Report 2011 CSR Report 2011 Contents 200 171 185 158 111 150 146 102 93 85 110 120 124 135 125 77 100 67 68 72.5 60 85 60.3 60.0 60 50 47.4 50.1 50 53 56 52.5 58 61 65 69 74 25 30.3 0 2006 2007 2008 2009 2010

More information

Microsoft PowerPoint - 04_COP18_山ノ下麻木乃.pptx

Microsoft PowerPoint - 04_COP18_山ノ下麻木乃.pptx Institute for Global Environmental Strategies Towards sustainable development - policy oriented, practical and strategic research on global environmental issues COP18/CMP18 会議報告 REDD+ について ( 実施者の立場から )

More information

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ 資料 1 自治体による SDGs の取組の評価の視点 評価における基本的姿勢評価に際しては 実質的に効果の上がりそうな企画 取組を高く評価するという評価サイドの姿勢を明確にし これを自治体サイドにも認知してもらうことが重要である 主要な視点として 以下のような事例が指摘される SDGs の取組が地方創生や地域活性化に 実質的に貢献する企画となっているか 自身の過去 現在を踏まえて未来を見据えた 独自性の高い内容を提案しているか

More information

2

2 1 2 3 8,475 177.36 12379 470 BP2008OECD/NEA,IAEAURANIUM2006 4 ( /1000kcal) EDMC Energy Trend 5 BP 2008 7 200455.7203096.6 2.1% 1.7 t 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 27% 23% 20042030

More information

1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一 ディスカッション ペーパー のれんはなお償却しなくてよいか のれんの会計処理及び開示 に対する意見 平成 26 年 9 月 30 日 日本公認会計士協会 日本公認会計士協会は 企業会計基準委員会 (ASBJ) 欧州財務報告諮問グループ (EFRAG) 及びイタリアの会計基準設定主体 (OIC) のリサーチ グループによるリサーチ活動に敬意を表すとともに ディスカッション ペーパー のれんはなお償却しなくてよいか

More information

1.NEDO クリーン コール技術の取組 CO2 回収コスト削減技術 発電効率の改善 NEDO プロジェクト IGCC (EAGLE STEP-1) IGFC 向け石炭ガスクリーンナップ技術開発 IGCC 水蒸気添加噴流床ガス化技術開発 技術確立時期 2006 年 2017 年 2030 年 石炭火

1.NEDO クリーン コール技術の取組 CO2 回収コスト削減技術 発電効率の改善 NEDO プロジェクト IGCC (EAGLE STEP-1) IGFC 向け石炭ガスクリーンナップ技術開発 IGCC 水蒸気添加噴流床ガス化技術開発 技術確立時期 2006 年 2017 年 2030 年 石炭火 NEDO フォーラムクリーンコール技術セッション CO 2 分離回収技術の現状と展望 2015 年 2 月 13 日 NEDO 環境部部長 安居徹 1.NEDO クリーン コール技術の取組 CO2 回収コスト削減技術 発電効率の改善 NEDO プロジェクト IGCC (EAGLE STEP-1) IGFC 向け石炭ガスクリーンナップ技術開発 IGCC 水蒸気添加噴流床ガス化技術開発 技術確立時期 2006

More information

<4D F736F F F696E74202D20315F A8BA692E88CE382CC90A28A4582C982A882AF82E990CE925982CC88CA927582C382AF5F8B76924A E707

<4D F736F F F696E74202D20315F A8BA692E88CE382CC90A28A4582C982A882AF82E990CE925982CC88CA927582C382AF5F8B76924A E707 Unauthorized reproduction prohibited 第 63 回 研究報告討論会 パリ協定後の世界における 炭の位置づけ 2017 年 4 18 久 朗戦略研究ユニット担任補佐国際情勢分析第 1グループマネージャー パリ協定 アメリカと中国を含む多くの国が批准 各国の需給構造の変化を促す力に 石炭は世界のエネルギー市場から退出することになるのか? パリ協定と京都議定書の比較 パリ協定

More information

熱効率( 既存の発電技術 コンバインドサイクル発電 今後の技術開発 1700 級 ( 約 57%) %)(送電端 HV 級 ( 約 50%) 1500 級 ( 約 52%

熱効率( 既存の発電技術 コンバインドサイクル発電 今後の技術開発 1700 級 ( 約 57%) %)(送電端 HV 級 ( 約 50%) 1500 級 ( 約 52% (4) 技術革新 量産効果によるコスト低減の考え方 2020 年と 2030 年モデルプラントについて 技術革新や量産効果などによる発電コストの低減が期待される電源について 以下のとおり検証した (a) 石炭火力 石炭火力については 2010 年モデルプラントにおいて超々臨界圧火力発電による約 42% の発電効率を前提としている 現在 更なる熱効率向上に向けて石炭ガス化複合発電 (IGCC) 1 や先進超々臨界圧火力発電

More information

研究開発評価システムの在り方に関する検討 WG 資料 5 海外における追跡評価の事例 2012 年 3 月 23 日 ( 金 ) 田原敬一郎 Copyright IFENG All Rights Reserved

研究開発評価システムの在り方に関する検討 WG 資料 5 海外における追跡評価の事例 2012 年 3 月 23 日 ( 金 ) 田原敬一郎 Copyright IFENG All Rights Reserved 研究開発評価システムの在り方に関する検討 WG 資料 5 海外における追跡評価の事例 2012 年 3 月 23 日 ( 金 ) 田原敬一郎 k.tahara@ifeng.or.jp 追跡評価を考える上でのポイント 追跡評価の範囲 終了したプログラム 継続しているプログラム 追跡評価の目的 アカウンタビリティ 設定した目標に向けたプログラム マネジメントの改善 行政施策 ( 補助装置 ) を組み込むための教訓の導出

More information

参考資料3(第1回検討会資料3)

参考資料3(第1回検討会資料3) 参考資料 3 平成 28 年度環境配慮契約法基本方針等の検討方針等 ( 案 ) - 平成 28 年度第 1 回環境配慮契約法基本方針検討会掲出資料 1. 基本方針等の見直しの考え方 (1) 本年度の見直しに当たっての考え方環境配慮契約法に基づく基本方針については 必要に応じた見直しを実施することとされており 以下に掲げたいずれかの項目を満たす製品 サービスが契約の対象となる場合に見直しを検討することを基本的な考え方としている

More information

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化 ISO 9001:2015 におけるプロセスアプローチ この文書の目的 : この文書の目的は ISO 9001:2015 におけるプロセスアプローチについて説明することである プロセスアプローチは 業種 形態 規模又は複雑さに関わらず あらゆる組織及びマネジメントシステムに適用することができる プロセスアプローチとは何か? 全ての組織が目標達成のためにプロセスを用いている プロセスとは : インプットを使用して意図した結果を生み出す

More information

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ 実務指針 6.1 ガバナンス プロセス 平成 29( 2017) 年 5 月公表 [ 根拠とする内部監査基準 ] 第 6 章内部監査の対象範囲第 1 節ガバナンス プロセス 6.1.1 内部監査部門は ガバナンス プロセスの有効性を評価し その改善に貢献しなければならない (1) 内部監査部門は 以下の視点から ガバナンス プロセスの改善に向けた評価をしなければならない 1 組織体として対処すべき課題の把握と共有

More information

ISO19011の概要について

ISO19011の概要について 3 技術資料 3-1 ISO19011 の概要について 従来の環境マネジメントシステムの監査の指針であった ISO14010 ISO14011 ISO1401 2 が改正 統合され 2002 年 10 月に ISO19011 として発行されました この指針は 単に審査登録機関における審査の原則であるばかりでなく 環境マネジメントシステムの第二者監査 ( 取引先等利害関係対象の審査 ) や内部監査に適用できる有効な指針です

More information

二国間クレジット制度について

二国間クレジット制度について 二国間クレジット制度 について 気候変動でお金はどう動く? COP16 の結果を受けて ~ 2011 年 2 月 25 日 ( 金 ) WWF ジャパン気候変動プロジェクトリーダー小西雅子 本日のポイント 1. 二国間クレジット制度 ( 二国間オフセットメカニズムとも言う ) とは? 2. 3 省庁異なる思惑で混沌としている二国間の現状 3. 国際的に認められるための注意点 4. 今後の行方 経済産業省地球環境小委員会政策手法ワーキンググループ平成

More information

Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2

Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2 UNDP Empowered lives. Resilient nations. UNDP UNDP 1 Rodrigo Domingues UNDP 2013 5 2008 Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2 1 UNDP 2005 UNDP UNDP 50 2 168 177 UNDP 3 UNDP 2000 2012 90 1

More information

Microsoft Word - (基本計画)民間主導による低炭素技術普及促進事業(set)

Microsoft Word - (基本計画)民間主導による低炭素技術普及促進事業(set) P11013 民間主導による低炭素技術普及促進事業 基本計画 国際部 省エネルギー部 1. 事業の目的 目標 内容 (1) 事業の目的 1 政策的な重要性我が国は 2015 年 12 月に採択されたパリ協定を踏まえ 地球温暖化対策計画 (2016 年 5 月閣議決定 ) において 中期目標として 国連気候変動枠組条約 (UNFCCC) 事務局に提出した 日本の約束草案 に基づき 2030 年度において

More information

Microsoft Word - Translation Parsons

Microsoft Word - Translation Parsons CCS の採用を促進する 回収 を促進する 回収 CO2 の工業利用 2011 年 3 月 The executive summary of ACCELERATING THE UPTAKE OF CCS: INDUSTRIAL USE OF CAPTURED CARBON DIOXIDE has been translated from English into Japanese for convenience.

More information

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案 既認定案件による国民負担 の抑制に向けた対応 ( バイオマス比率の変更への対応 ) 2018 12 21 日資源エネルギー庁 バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については

More information

Trung Tâm Phát Triển Sáng Tạo Xanh

Trung Tâm Phát Triển Sáng Tạo Xanh G7 直前国際シンポジウム ベトナムにおける石炭火力発電の影響と 日本の関与 2016 年 5 月 20 日 ( 東京 ) 報告者 : Green Innovation and Development Centre (GreenID) Nguy Thi Khanh 内容 ベトナムにおける電力開発の状況 第 7 次電力開発計画 (Power Development Plan, PDP VII) の改訂

More information

京都メカニズムの仕組み

京都メカニズムの仕組み 資料 3-2 京都メカニズムの仕組み 1. 京都メカニズムの概要 2. 京都議定書の遵守の仕組み 3. 国内 ( 域内 ) 排出量取引制度の例 4. 海外の国内排出量取引制度と京都メカニズムのリンク 1. 京都メカニズムの概要 京都メカニズムとは 京都メカニズムの対象となるクレジット等 標以上の1-1 京都メカニズムとは 共同実施 (JI) ( 京都議定書 6 条 ) 先進国同士が共同で事業を実施し

More information

Microsoft PowerPoint - Itoh_IEEJ(150410)_rev

Microsoft PowerPoint - Itoh_IEEJ(150410)_rev 第 4 回エネルギー輸送ルートの多様化への対応に関する検討会 日本の LNG 原油輸入と 米国シェール革命の現況 2015 年 4 月 10 日於国土交通省 ( 中央合同庁舎 3 号館 ) 伊藤庄一 戦略研究ユニット国際情勢分析第 2 グループ マネージャー 研究主幹一般財団法人日本エネルギー経済研究所 日本の LNG 原油輸入状況 (2014 年 ) 1 LNG 原油 ( 出所 ) 日本貿易月表

More information

資料3-1 温室効果ガス「見える化」の役割について

資料3-1 温室効果ガス「見える化」の役割について 資料 3-1 温室効果ガス 見える化 の役割について (1) 本検討の目的 (2) 温室効果ガス 見える化 の意義と範囲 (3) 温室効果ガス 見える化 の目的 (4) 温室効果ガス 見える化 の構成要素の検討 (5) 温室効果ガス 見える化 取組の現状整理 (6) 温室効果ガス削減の対象と 見える化 の活用範囲 (1) 本検討の目的 温室効果ガス 見える化 推進戦略会議では 温室効果ガス排出量削減を目的とした温室効果ガス

More information

<4D F736F F F696E74202D208A F32968C95AA97A38B5A8F C A8893AE95F18D E >

<4D F736F F F696E74202D208A F32968C95AA97A38B5A8F C A8893AE95F18D E > 2018.2.13 16:35-16:50 第 7 回革新的 CO 2 膜分離技術シンポジウム活動報告 2 海外の CO 2 分離回収技術の最新動向 次世代型膜モジュール技術研究組合京都研究室山田秀尚 報告内容 9th Trondheim Conference on CO 2 Capture, Transport and Storage(TCCS-9) をもとに 海外 特にノルウェーの CO 2 分離回収技術の最新動向を紹介

More information

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅 事業事前評価表 ( 開発調査 ) 作成日 : 平成 20 年 4 月 14 日担当課 : 産業開発部中小企業課 1. 案件名メキシコ中小企業人材養成計画開発調査 2. 協力概要 (1) 事業の目的中小企業コンサルタントの認定制度及び養成制度の見直し 試行的な実施を通じ 総合的な中小企業コンサルタント養成計画の策定 提言を行う (2) 調査期間 平成 20 年 7 月 ~ 平成 21 年 7 月 (3)

More information

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地 平成 30 年 (2018 年 )1 月 24 日 建設委員会資料 都市政策推進室グローバル戦略推進担当 中野区におけるシティマネジメント推進の考え方について 区は グローバル戦略を進めていくために取り組むべきシティマネジメント についての考え方を整理するとともに 区と民間事業者の役割のあり方や事業 の具体化について検討を進めてきたので 以下のとおり報告する 1 中野区シティマネジメントの検討経緯について

More information

ドイツで大規模ハイブリッド蓄電池システム実証事業を開始へ

ドイツで大規模ハイブリッド蓄電池システム実証事業を開始へ 2017.3.21 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構ドイツ連邦共和国ニーダーザクセン州経済 労働 交通省 EWE-Verband EEW Holding 日立化成株式会社株式会社日立パワーソリューションズ日本ガイシ株式会社 EWE AG ドイツで大規模ハイブリッド蓄電池システム実証事業を開始へ システムの構築と新たなビジネスモデル確立をめざす NEDO とドイツ ニーダーザクセン州経済

More information

ワクチンの研究開発促進と生産基盤確保

ワクチンの研究開発促進と生産基盤確保 資料 2-5 ワクチンの研究開発促進と生産基盤確保 海外における政策と事例 日本製薬団体連合会 杉本俊二郎 2010 年 4 月 21 日 1 - 英国の政策と事例 - 英国保健省 (Dept. of Health) がワクチンに関する政策を決定し 開発の後期に対象を絞って少額の研究資金援助を行っている 新規ワクチンの開発に関しては基本的に経済性を重視し 投資判断ができる民間製薬大手に委ねている 安定供給を確保するためには複数のメーカーの存在と

More information

資料2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について

資料2   紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について 資料 2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について 1. 率先実行計画における推奨リストの策定 (1) 率先実行計画第一次環境基本計画 ( 平成 6 年 12 月閣議決定 ) における 4 つの長期的な目標の 参加 の施策の一つの柱として 国の事業者 消費者としての環境保全に向けた取組の率先実行 が掲げられ これに基づき 国の各行政機関共通の実行計画として 平成 7 年 6 月に 国の事業者

More information

Microsoft Word - 5_‚æ3ŁÒ.doc

Microsoft Word - 5_‚æ3ŁÒ.doc 第 3 編企業行動に関する意識調査 64 Ⅰ. 調査要領 特別アンケート企業行動に関する意識調査結果 2011 年 7 月 調査時期 :2011 年 7 月 1 日 ( 金 ) を期日として実施 調査対象 :2010 2011 2012 年度設備投資計画調査の対象企業 調査名 対象 回答状況 ( 回答率 ) 製造業非製造業 企業行動に関する意識調査 大企業 ( 資本金 10 億円以上 ) 3,302

More information

目次 1. 策定の趣旨 2 2. 水素利活用による効果 3 3. 能代市で水素エネルギーに取り組む意義 5 4. 基本方針 7 5. 水素利活用に向けた取り組みの方向性 8 6. のしろ水素プロジェクト 10 1

目次 1. 策定の趣旨 2 2. 水素利活用による効果 3 3. 能代市で水素エネルギーに取り組む意義 5 4. 基本方針 7 5. 水素利活用に向けた取り組みの方向性 8 6. のしろ水素プロジェクト 10 1 能代市における水素エネルギーに関する 基本方針 平成 30 年 3 月 能代市 目次 1. 策定の趣旨 2 2. 水素利活用による効果 3 3. 能代市で水素エネルギーに取り組む意義 5 4. 基本方針 7 5. 水素利活用に向けた取り組みの方向性 8 6. のしろ水素プロジェクト 10 1 1. 策定の趣旨水素は 利用段階ではCO2を排出しない低炭素型のエネルギーであり 無尽蔵に存在する水や多様な一次エネルギー源から様々な方法で製造することができます

More information

DumpsKing Latest exam dumps & reliable dumps VCE & valid certification king

DumpsKing   Latest exam dumps & reliable dumps VCE & valid certification king DumpsKing http://www.dumpsking.com Latest exam dumps & reliable dumps VCE & valid certification king Exam : PMP-JPN Title : Project Management Professional v5 Vendor : PMI Version : DEMO Get Latest & Valid

More information

Microsoft PowerPoint 伊原_HSE.ppt [互換モード]

Microsoft PowerPoint 伊原_HSE.ppt [互換モード] HSE: 石油生産現場におけるゼロフレア及び省エネ化 2010 0 年 4 月 22 日 JOGMEC 調査部伊原賢 1 はじめに 石油生産現場における CO2 濃度の削減策として ゼロフレア と 生産操業の省エネ化 省エネの推進やエネルギーシステムの高効率化 天然ガスなどの低炭素エネルギー源へのシフト 原子力や風力 太陽光などの再生可能エネルギー 森林の CO2 吸収といった技術的方策と 炭素 /

More information

UIプロジェクトX

UIプロジェクトX エネルギー分散管理と地方経済 原田達朗九州大学炭素資源国際教育研究センター http://cr.cm.kyushu-u.ac.jp/ https://www.facebook.com/carbonresources.kyushuuniv 2017.02.03 九州大学 1 1. 背景 2. 日本のエネルギー ( 電力 / ガス ) の状況 3. 地域経済 4. 地域でマネージメント 1. 背景 2

More information

本日の説明内容 1. グリーン購入法の概要 2. プレミアム基準策定ガイドライン

本日の説明内容 1. グリーン購入法の概要 2. プレミアム基準策定ガイドライン 資料 5 2013 年度合同情報交換会 グリーン購入法の今後の展開 ( 進展 ) 環境省総合環境政策局環境経済課 本日の説明内容 1. グリーン購入法の概要 2. プレミアム基準策定ガイドライン 本日の説明内容 1. グリーン購入法の概要 2. プレミアム基準策定ガイドライン 日本におけるグリーン購入の進展 創設定着発展 拡大 1989 年 エコマーク事業スタート 1994 年 滋賀県が包括的グリーン購入の指針策定

More information

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK ガイド ) 第 6 版 訂正表 - 第 3 刷り 注 : 次の正誤表は PMBOK ガイド第 6 版 の第 1 刷りと第 2 刷りに関するものです 本 ( または PDF) の印刷部数を確認するには 著作権ページ ( 通知ページおよび目次の前 )

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK ガイド ) 第 6 版 訂正表 - 第 3 刷り 注 : 次の正誤表は PMBOK ガイド第 6 版 の第 1 刷りと第 2 刷りに関するものです 本 ( または PDF) の印刷部数を確認するには 著作権ページ ( 通知ページおよび目次の前 ) プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK ガイド ) 第 6 版 訂正表 - 第 3 刷り 注 : 次の正誤表は PMBOK ガイド第 6 版 の第 1 刷りと第 2 刷りに関するものです 本 ( または PDF) の印刷部数を確認するには 著作権ページ ( 通知ページおよび目次の前 ) の一番下を参照してください 10 9 8 などで始まる文字列の 最後の 数字は その特定コピーの印刷を示します

More information

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1 JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1 JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) ( 事業評価の目的 ) 1. JICA は 主に 1PDCA(Plan; 事前 Do; 実施 Check; 事後 Action; フィードバック ) サイクルを通じた事業のさらなる改善 及び 2 日本国民及び相手国を含むその他ステークホルダーへの説明責任

More information

企画書タイトル - 企画書サブタイトル -

企画書タイトル - 企画書サブタイトル - 中期経営計画 ( 平成 27~29 年度 ) 一部改定 基本目標 JBIC ならではの金融仲介機能の発揮により 我が国企業の国際事業展開及び資源獲得への支援を深化し 我が国の持続的な成長に繋がる新たなビジネス機会の探索と創造に貢献します 平成 29 年 1 月 一部改定のコンセプト 株式会社国際協力銀行 (JBIC) は 平成 27 年 6 月に策定した 平成 27~29 年度中期経営計画 ( 中期経営計画

More information

なぜ社会的責任が重要なのか

なぜ社会的責任が重要なのか ISO 26000 を理解する 目次 ISO 26000-その要旨... 1 なぜ社会的責任が重要なのか?... 1 ISO 26000 の実施による利点は何か?... 2 誰が ISO 26000 の便益を享受し それはどのようにして享受するのか?... 2 認証用ではない... 3 ISO 26000 には何が規定されているのか?... 3 どのように ISO 26000 を実施したらいいか?...

More information

弱な他の国々が 強靱で完全に競争的なエネルギー システムを追及することに対しても 支援する 6. 我々は 国連気候変動枠組条約 (UNFCCC) の締約国が第 21 回締約国会議 (COP21) において 産業革命以前と比べ 世界の平均気温上昇を 2 よりも十分低く保持すること 及び世界の平均気温上

弱な他の国々が 強靱で完全に競争的なエネルギー システムを追及することに対しても 支援する 6. 我々は 国連気候変動枠組条約 (UNFCCC) の締約国が第 21 回締約国会議 (COP21) において 産業革命以前と比べ 世界の平均気温上昇を 2 よりも十分低く保持すること 及び世界の平均気温上 G7 エネルギー大臣会合共同声明 ( 仮訳 ) グローバル成長を支えるエネルギー安全保障のための北九州イニシアティブ 我々 カナダ フランス ドイツ イタリア 日本 英国及び米国のエネルギー大臣 欧州委員会気候変動対策 エネルギー担当委員は 足元の不安定なエネルギー価格と COP21 におけるパリ協定を背景に 2016 年 5 月 1-2 日 北九州市に集い 2015 年のハンブルク会合以降の進展について議論した

More information

事例2_自動車用材料

事例2_自動車用材料 省エネルギーその 1- 自動車用材料 ( 炭素繊維複合材料 ) 1. 調査の目的自動車用材料としての炭素繊維複合材料 (CFRP) は 様々な箇所に使用されている 炭素繊維複合材料を用いることにより 従来と同じ強度 安全性を保ちつつ自動車の軽量化が可能となる CFRP 自動車は 車体の 17% に炭素繊維複合材料を使用しても 従来自動車以上の強度を発揮することができる さらに炭素繊維複合材料を使用することによって機体の重量を低減することができ

More information

MARKALモデルによる2050年の水素エネルギーの導入量の推計

MARKALモデルによる2050年の水素エネルギーの導入量の推計 IEEJ 2013 年 5 月掲載禁無断転載 EDMC エネルギートレンド MARKAL モデルによる 2050 年の水素エネルギーの導入量の推計 - 低炭素社会に向けた位置づけ - 計量分析ユニット川上恭章 1. はじめに 2011 年 3 月に生じた東日本大震災および福島第一原子力発電所事故は 日本のエネルギー政策に大きな影響を与えた 前年の 2010 年に公表された エネルギー基本計画 1)

More information

電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素 まとめ Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 2

電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素 まとめ Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 2 国内再生可能エネルギーからの水素製造の展望と課題 第 2 回 CO2フリー水素ワーキンググループ水素 燃料電池戦略協議会 216 年 6 月 22 日 日本エネルギー経済研究所 柴田善朗 Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 1 電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素

More information

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6 社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (1) 資料 2 少子高齢化の進行に伴い 社会保障給付費は年々増加していく見通し 89.8 兆円 (23.9%) 福祉等 14.9 兆円 (4.0%) ( うち介護 6.6 兆円 (1.8%)) 医療 27.5 兆円 (7.3%) 年金 47.4 兆円 (12.6%) 375.6 兆円 2006 年度 ( 予算ベース ) 1.6 倍 介護 2.6 倍 医療 1.7

More information

次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0] 次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0] 1-1. 次世代のエネルギーシステムの前提 エネルギーシステムに関する三つのリスク 1 エネルギー供給システムの技術的なリスク

More information

<4D F736F F F696E74202D E F EF816A8E9197BF A082E895FB82C982C282A282C4>

<4D F736F F F696E74202D E F EF816A8E9197BF A082E895FB82C982C282A282C4> 資料 3 ( 概要案 ) ( 概要案 ) 1 規制の必要性 2 規制のあり方 自主的に行われる調査が増加し 土壌汚染が判明することが多い 行政による環境調査等によって地下水汚染が判明しても汚染原因者が不明の場合 汚染拡大のおそれがある 土壌 地下水汚染状況の把握や対策方法を改善し 環境リスクの低減化や土地の改変等に伴う新たな環境リスクの発生の防止などにより 市民の不安感を払拭する 1 1 規制の必要性

More information

お知らせ

お知らせ 広報資料 ( 経済同時 ) 平成 27 年 12 月 16 日環境政策局 担当 : 地球温暖化対策室電話 :222-4555 事業者排出量削減計画書制度 及び 新車販売実績報告書制度 平成 26 年度実績の取りまとめについて 京都市では, 京都市地球温暖化対策条例 ( 以下 条例 という ) に基づき, 一定規模の温室効果ガスを排出する事業者 ( 特定事業者 ) の自主的な排出量削減を図ることを目的として,

More information

界の大規模プロジェクトの開発状況は 運転中のものが15 件 建設中のものが6 件 全体で38 件となっている 昨年に比べ 建設中のものが1 件 全体のプロジェクトは7 件減っている ( 図 3 参照 ) 図 2 ゼロエミッションに向けた対策技術の概念 図 2に ゼロエミッションに向けた対策技術の概念

界の大規模プロジェクトの開発状況は 運転中のものが15 件 建設中のものが6 件 全体で38 件となっている 昨年に比べ 建設中のものが1 件 全体のプロジェクトは7 件減っている ( 図 3 参照 ) 図 2 ゼロエミッションに向けた対策技術の概念 図 2に ゼロエミッションに向けた対策技術の概念 企画調査グループ グループリーダー都筑秀明 コアメンバー サブリーダー 主席研究員 野村 眞 サブリーダー 中村 哲 主席研究員 高木 正人 研究管理チームリーダー 作山 邦夫 国際標準化チームリーダー 副主席研究員 青木 好範 副主席研究員 出口 哲也 副主席研究員 和泉 良人 調査役 主任研究員 中神 保秀 主幹 主任研究員 東 宏幸 主幹 主任研究員 清水 淳一 主幹 美澄 祐志 主幹 倉中

More information

水素供給設備整備事業費補助金平成 28 年度概算要求額 62.0 億円 ( 新規 ) 省エネルギー 新エネルギー部燃料電池推進室 事業の内容 事業イメージ 事業目的 概要 燃料電池自動車 (FCV) は 水素を燃料とする自動車で 内外の自動車メーカーによって 開発競争が進め

水素供給設備整備事業費補助金平成 28 年度概算要求額 62.0 億円 ( 新規 ) 省エネルギー 新エネルギー部燃料電池推進室 事業の内容 事業イメージ 事業目的 概要 燃料電池自動車 (FCV) は 水素を燃料とする自動車で 内外の自動車メーカーによって 開発競争が進め の平成 28 年度予算概算要求 関連について 平成 27 年 10 月 19 日 中経済産業局資源エネルギー環境部 水素供給設備整備事業費補助金平成 28 年度概算要求額 62.0 億円 ( 新規 ) 省エネルギー 新エネルギー部燃料電池推進室 03-3501-7807 事業の内容 事業イメージ 事業目的 概要 燃料電池自動車 (FCV) は 水素を燃料とする自動車で 内外の自動車メーカーによって

More information

ISO 9001:2015 改定セミナー (JIS Q 9001:2015 準拠 ) 第 4.2 版 株式会社 TBC ソリューションズ プログラム 年版改定の概要 年版の6 大重点ポイントと対策 年版と2008 年版の相違 年版への移行の実務

ISO 9001:2015 改定セミナー (JIS Q 9001:2015 準拠 ) 第 4.2 版 株式会社 TBC ソリューションズ プログラム 年版改定の概要 年版の6 大重点ポイントと対策 年版と2008 年版の相違 年版への移行の実務 ISO 9001:2015 改定セミナー (JIS Q 9001:2015 準拠 ) 第 4.2 版 株式会社 TBC ソリューションズ プログラム 1.2015 年版改定の概要 2.2015 年版の6 大重点ポイントと対策 3.2015 年版と2008 年版の相違 4.2015 年版への移行の実務 TBC Solutions Co.Ltd. 2 1.1 改定の背景 ISO 9001(QMS) ISO

More information

日本企業による国外での環境への取り組みに係る

日本企業による国外での環境への取り組みに係る 日本企業による国外での環境への取り組みに係る 実施状況調査結果 概要版 平成 23 年 3 月 環境省 日本企業による国外での環境への取り組みに係る実施状況調査 結果の概要 調査の体制環境省の委託により 公益社団法人日本環境教育フォーラムが調査を実施した 調査主体環境省 ( 地球環境局国際連携課国際協力室 ) 調査請負機関公益社団法人日本環境教育フォーラム 調査の目的本調査は 日本企業の国外における環境への取り組みに係る現状を把握するために実施したものである

More information

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移 中小企業経営力強化支援法について 平成 24 年 8 月中小企業庁 中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律 ( 中小企業経営力強化支援法 ) の概要 改正対象は 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律背景

More information

第2回アジア科学技術フォーラム

第2回アジア科学技術フォーラム ベトナムのエネルギーの現状について :Tran Thuc 1. 概要 東南アジアに位置する 縦長の国で海岸線も特に長い 面積 : 約 330,000km 2 人工: 約 8300 万人 気候と地形 : 南部は熱帯 北部は亜熱帯 首都 : ハノイ 気温 : 平均の最低気温は 16 最高気温は平均で 29 GDP: 2,270 億ドル (US$) 成長率:7.2%(2003 年 ) 7.7%(2004

More information

公開用_ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の定義と評価方法(150629)

公開用_ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の定義と評価方法(150629) ( ネット ゼロ エネルギー ビル ) の定義と評価方法 1 化の目的 意義と波及効果 1.1 目的 意義 1 環境負荷の低減とサステナブルな社会の実現 2 エネルギー セキュリティの向上 3 健全な省エネ 創エネ産業の発展と日本の気候風土をふまえた技術の輸出による世界貢献 1.2 波及効果 1 建築に対する新しい価値観の創出とライフスタイルの変革 2 サステナブルな低炭素化社会への圧倒的寄与 3

More information

08 資料1 グローバルCCSインスティテュート チーフエグゼクティブ オフィサー ブラッド ペイジ様 ヒアリング資料

08 資料1 グローバルCCSインスティテュート チーフエグゼクティブ オフィサー ブラッド ペイジ様 ヒアリング資料 世界の CCS の動向 : 2017 中央環境審議会地球環境部会の長期低炭素ビジョン小委員会に向けたプレゼンテーション グローバル CCS インスティテュート 最高経営責任者 (CEO) Brad Page 表紙写真 : 北海道苫小牧市にある苫小牧 CCS 実証試験センター鳥瞰図 写真提供 :JCCS 化石燃料の需要は増加し 埋蔵量は強固 燃料源別の一次エネルギー需要 : ( 石油換算百万トン )

More information

日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社 日本市場における 2020/2030 年に向けた 太陽光発電導入量予測 固定価格買取制度下での住宅用 産業用 メガソーラーの導入量予測プレゼンテーション資料 2015 年 7 月株式会社資源総合システム 2015 株式会社資源総合システム無断複写 複製 無断転載を禁止します 日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測

More information

スライド 1

スライド 1 The Economics of Climate Change) の概要 (1) 1. 実施者ニコラス = スターン卿 (Sir Nicholas Stern) とレビュー チーム ( チームリーダー : シボーン ピータース (Siobhan Peters)) ( 大蔵大臣が本レビューを委託し 2006 年に首相及び大蔵大臣に提出された ) 2. 目的気候変化に係る経済に関する徴候の評価 理解の確立に資する

More information

CCSの現状と課題

CCSの現状と課題 革新的環境技術シンポジウム CCS の現状と課題 平成 26 年 12 月 ( 公財 ) 地球環境産業技術研究機構 (RITE) 企画調査グループ 都筑秀明 1 目次 1.CCSを巡る最近の動向と課題 2.CCSのISO 化の動き 3. より経済的で安全なCCS 技術 (SUCSES) の検討 4. まとめ 2 目次 1.CCS を巡る最近の動向と課題 3 IPCC 第 3 作業部会第 5 次報告書

More information

米国における道路財源の負担のあり方について 米国では道路整備費用は 利用者である自動車ユーザーが公平に負担すべきとされている ( 利用者負担の原則 ) n オレゴン州は 2001~2007 年 (1 回目の検討 ) 2010~2013 年 (2 回目の検討 ) に 実証試験を実施 l 1 回目の検討

米国における道路財源の負担のあり方について 米国では道路整備費用は 利用者である自動車ユーザーが公平に負担すべきとされている ( 利用者負担の原則 ) n オレゴン州は 2001~2007 年 (1 回目の検討 ) 2010~2013 年 (2 回目の検討 ) に 実証試験を実施 l 1 回目の検討 世界の走行課税制度 走行課金制度の導入状況 欧米では 走行課税制度 走行課金制度の導入が進展している n 米国では インフレや低燃費車の普及に伴う道路特定財源である燃料税収の実質的な減少や今後の EV 等の普及を踏まえ 利用者負担の原則に基づく 走行課税制度の導入 検討が各州で行われている n 一方 欧州では EU 統合に伴う越境交通対策および道路利用者の負担の公平性確保策として トラックを中心に

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション (1) マイナンバー法案と関連法案について 社会保障 税番号大綱 ( 平成 23 年 6 月 30 日政府 与党社会保障改革検討本部決定 ) に基づき 次期通常国会に次の 3 法案を提出 1 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案 ( マイナンバー法案 ) 内閣官房 2 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

More information

Taro-~ jtd

Taro-~ jtd 木材 木材製品の合法性 持続可能性の証明のためのガイドライン平成 18 年 2 月林野庁 1. 趣旨 違法伐採は 地球規模での環境保全 持続可能な森林経営の推進にとって極めて重要な課題であり 我が国としては これまで 違法に伐採された木材は使用しない という基本的な考え方に基づいて取り組んできた 具体的には 違法伐採対策として 二国間 地域間及び多国間での協力推進 違法伐採木材の識別のための技術開発

More information

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス 文書番号 QM-01 制定日 2015.12.01 改訂日 改訂版数 1 株式会社ハピネックス (TEL:03-5614-4311 平日 9:00~18:00) 移行支援 改訂コンサルティングはお任せください 品質マニュアル 承認 作成 品質マニュアル 文書番号 QM-01 改訂版数 1 目次 1. 適用範囲... 1 2. 引用規格... 2 3. 用語の定義... 2 4. 組織の状況... 3

More information

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について 女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について 平成 2 8 年 3 月 2 2 日すべての女性が輝く社会づくり本部決定 女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について別紙のとおり定める 女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針 第 1 基本的な考え方人口減少社会を迎える中で 我が国の持続的成長を実現し 社会の活力を維持していくためには

More information

ポーランド インフラマップ ( エネルギー分野 ) 2014 年 3 月 ジェトロ ワルシャワ事務所

ポーランド インフラマップ ( エネルギー分野 ) 2014 年 3 月 ジェトロ ワルシャワ事務所 ポーランド インフラマップ ( エネルギー分野 ) 2014 年 3 月 ジェトロ ワルシャワ事務所 本報告書に関する問い合わせ先 : ジェトロ ワルシャワ事務所住所 :METRON Office Center 1st floor,al. Niepodleglosci 69, 02-626 Warszawa, POLAND TEL:48-22-322-7500 インフラ プラントビジネス支援課 住所

More information

ANNUAL REPORT

ANNUAL REPORT ANNUAL REPORT 218 218 3 31 1 1 2 3 5 9 11 13 13 15 16 17 18 19 21 23 25 26 27 28 28 29 31 32 33 34 35 37 39 4 41 42 43 44 2 214 215 216 217 218 218 483,112 54,153 49,314 451,627 438,26 $ 4,132,32 27,196

More information

規制の事前評価の実施に関するガイドライン(素案)

規制の事前評価の実施に関するガイドライン(素案) 総務省規制の事前評価書 ( 電気通信事業者間の公正な競争の促進のための制度整備 ) 所管部局課室名 : 総務省総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課電話 :03-5253-5695 メールアト レス :jigyouhoutou_kaisei@ml.soumu.go.jp 評価年月日 : 平成 23 年 2 月 1 日 1 規制の目的 内容及び必要性 (1) 規制改正の目的及び概要電気通信事業者間の公正な競争を促進するため

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 資料 3 1. 再エネ海域利用法における促進区域の指定 再エネ海域利用法においては 国が促進地域の指定を行った上で 公募により当該地域において事業を実施する事業者を選定する 参考 : 総合資源エネルギー調査会省エネルギー 新エネルギー分科会 / 電力ガス事業分科会再生可能エネルギー大量導入 次世代電力ネットワーク小委員会洋上風力促進ワーキンググループ 交通政策審議会港湾分科会環境部会洋上風力促進小委員会

More information

(2) ベースラインエネルギー使用量 それぞれの排出起源のベースラインエネルギー使用量の算定方法は以下のとおり 1) 発電電力起源 EL BL = EL ( 式 1) 記号定義単位 ELBL ベースライン電力使用量 kwh/ 年 EL 事業実施後のコージェネレーションによる発電量 kwh/ 年 2)

(2) ベースラインエネルギー使用量 それぞれの排出起源のベースラインエネルギー使用量の算定方法は以下のとおり 1) 発電電力起源 EL BL = EL ( 式 1) 記号定義単位 ELBL ベースライン電力使用量 kwh/ 年 EL 事業実施後のコージェネレーションによる発電量 kwh/ 年 2) 1. 方法論番号 007 2. 方法論名称 コージェネレーションの導入 3. 適用条件本方法論は 次の条件の全てを満たす場合に適用することができる 条件 1: コージェネレーションを導入すること 条件 2: コージェネレーションの導入を行わなかった場合 事業実施前のボイラー設備を継続して利用できること 1 条件 3: 燃料転換を伴う場合 燃料転換後に複数の種類の燃料を使用しないこと 事業実施前後において単一の燃料を用いること

More information

5 仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) の内容 (1) 目的 市の債権管理に関する事務処理について必要な事項を定めることにより その管理の適正化を図ることを目的とします 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理について整理し 債権管理に必要 な事項を定めることにより その適正化を図ることを目的

5 仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) の内容 (1) 目的 市の債権管理に関する事務処理について必要な事項を定めることにより その管理の適正化を図ることを目的とします 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理について整理し 債権管理に必要 な事項を定めることにより その適正化を図ることを目的 仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) について 1 条例制定の趣旨 債権 とは 仙台市が保有する金銭の給付を目的とする権利のことで 市税や国民健康保険料 使用料 手数料 返還金 貸付金など様々なものを含みます そして 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理を 債権管理 といい 具体的には 納付通知書の送付や台帳への記録 収納状況の管理 滞納になった場合の督促や催告 滞納処分 強制執行 徴収の緩和措置等の手続きを指します

More information

目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標

目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標 版名 管理番号 4 版 原本 環境マニュアル 環境企業株式会社 目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 2 4.2 利害関係者のニーズ 2 4.3 適用範囲 2 4.4 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 4 5.2 環境方針 4 5.3 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 7 6.2 環境目標及び計画 8 6.3 変更の計画 9

More information