コレッジョの対作品と建築的要素の関係色彩技法筆致明暗表現細部描写などの調置設置場所の建築的要素隣接する壁面との距査写真撮影を行ったまた美徳の寓意のた離室内の照明状態など本作品の造形表現と深くめの素描図３を実見し媒体と筆致輪郭線関わる建築空間の特徴を確認した

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そよあさま
5 years ago
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の1530年頃の作美ことを軸に進めていくが今回の現地調査はこの考察の基盤となるものである徳の寓意と悪徳の寓意ルーヴル美術館所蔵図１およびそれに関連する絵画作品と設置場所である書斎の調査を目的としてフィールドワークを実２調査期間 2011 年９月11 日 2011 年９月 23 日施した本報告書は調査結果に基づき建築的要素

1 Μεταπτυχιακά 名古屋大学大学院文学研究科教育研究推進室年報 Vol. 6 Ⅴ 人文学フィールドワーカー養成プログラム調査報告コレッジョの対作品と建築的要素の関係美徳の寓意と悪徳の寓意に関する調査報告百合草真理子美学美術史学専門博士後期課程２年二作品の視覚的効果に着目し設置空間の機能や主題１はじめにの内容と関連付けながら作品の生成過程を復元する北イタリアで活躍した画家アントニオアレグリダコレッジョ 1489頃 1534 の1530年頃の作美ことを軸に進めていくが今回の現地調査はこの考察の基盤となるものである徳の寓意と悪徳の寓意ルーヴル美術館所蔵図１およびそれに関連する絵画作品と設置場所である書斎の調査を目的としてフィールドワークを実２調査期間 2011 年９月11 日 2011 年９月 23 日施した本報告書は調査結果に基づき建築的要素と密接に結びついたコレッジョの対作品の特徴を明らかにすることを目的とする美徳の寓意と悪徳の寓意はマントヴァ侯３調査内容以下の⑴ ⑵の観点からフィールドワークを実施爵夫人イザベッラデステのストゥディオーロ小書斎の扉口両側図２を飾るためにした注文された対をなす作品である先行研究1 では ⑴ 個々の図像および主題の意味解釈に主眼が置かれ画家の様式展開と結びつけた考察はほとんど行われていないが 1520年代から晩年にかけてコレッジョは本作品以外にも８点の対作品2 を制作しているためこのフォーマットを利用した彼の一連の造形的試みを理解する上でもこれら二作品は重要となる報告者は博士学位論文においてこの美徳の寓意と悪徳の寓意における画家の創意を明らかに絵画作品の調査 ⅰ 対象と調査地美徳の寓意と悪徳の寓意フランスルーヴル美術館収蔵庫美徳の寓意のための準備素描フランスルーヴル美術館版画素描室イオとガニュメデスオーストリアウィーン美術史美術館 ⅱ 内容しコレッジョ晩年の芸術展開へ位置付けることを目ルーヴル美術館収蔵庫にて美徳の寓意と指している本研究は並置された際に生み出される悪徳の寓意を実見し図版からは識別しにくい図１コレッジョ美徳の寓意と悪徳の寓意 cm 両作品とも1530年頃カンヴァステンペラ 204 図２イザベッラデステのストゥディオーロコレッジョ作品は正面の扉口左右の壁面に飾られていた

コレッジョの対作品と建築的要素の関係色彩技法筆致明暗表現細部描写などの調置設置場所の建築的要素隣接する壁面との距査写真撮影を行ったまた美徳の寓意のた離室内の照明状態など本作品の造形表現と深くめの素描図３を実見し媒体と筆致輪郭線関わる建築空間の特徴を確認した陰影表現色彩効果などに着目して調査写真撮影を行ったさらに

美徳の寓意と悪徳の寓意の造形表現詳細な画面観察を行い得られた結果は主に次の３点である第一に図版からは判別することが困難であった細部の描写美徳の寓意の右端の女性の持つ球体 ⑵ 設置空間の調査 ⅰ 対象と調査地イザベッラデステのストゥディオーロイタリアマントヴァの中にさらに小さな円が描かれていること図５獣の皮や竜の尾や動物の脚はその境を明確に示さな

2 コレッジョの対作品と建築的要素の関係色彩技法筆致明暗表現細部描写などの調置設置場所の建築的要素隣接する壁面との距査写真撮影を行ったまた美徳の寓意のた離室内の照明状態など本作品の造形表現と深くめの素描図３を実見し媒体と筆致輪郭線関わる建築空間の特徴を確認した陰影表現色彩効果などに着目して調査写真撮影を行ったさらに対をなすという形式を用いたコレッジョの手法を考察するために本作品とほぼ同時期に制作された対作品イオとガニュメデス図４に関してもウィーン美術史美術館にて上記の項目に着目し調査写真撮影を行った４調査報告 4 1. 美徳の寓意と悪徳の寓意の造形表現詳細な画面観察を行い得られた結果は主に次の３点である第一に図版からは判別することが困難であった細部の描写美徳の寓意の右端の女性の持つ球体 ⑵ 設置空間の調査 ⅰ 対象と調査地イザベッラデステのストゥディオーロイタリアマントヴァの中にさらに小さな円が描かれていること図５獣の皮や竜の尾や動物の脚はその境を明確に示さないまま重なり合うように表されていること図６悪徳の寓意の男性は足の皮を剥がれていること図７両作品の背景には建物が現れていること図 ⅱ 内容コルテヴェッキアにて美徳の寓意と悪８などを確認し貴重な画像資料とともに図徳の寓意が設置されていたイザベッラデステの像解釈のための重要な手掛かりを得ることができたストゥディオーロの調査を行い観者の視点の位第二に彩色法に関して先行研究では二作品のあいだに様式的な差異が指摘されていたが3 細かい筆致を幾重にも積み重ねて陰影を表しつつ形体を作り上げていく図９という手法は両作品に共通したものでそれぞれの様式に大きな差異はないように感じられたまた個々の人物像が明瞭に縁取られているという点は身体の輪郭線を暈かしつつ暗闇の中から女性の裸体を浮かび上がらせた眠るウェヌスやイオなどのコレッジョの代表的な神話画とは異なる本作品の特徴として理解された第三に色彩に関して美徳の寓意の人物たちは悪徳の寓意の人物たちに比べて白の強い肌図３美徳の寓意の素描両面に描写ペン茶系のインクと水彩 cm 色で彩色されていることが認められたそして美徳の寓意の人物たちの白衣の上には構図左上に現れる光と同じ黄色の色彩を薄く重ねることで彼女たちがこの神的な光に照射されていることつまり画面内に万遍なく光が浸透していることが示されていた 4 2. 対作品と建築的要素との関係今回の調査対象である美徳の寓意と悪徳の寓意およびイオとガニュメデスはそれぞれ対作品として扉口もしくは窓という開口部の左右両側を飾っていたことが知られている4 実作品の調査はコレッジョが一作品を切り離したものとして図４コレッジョイオ ( 右 ) とガニュメデス両作品とも年頃カンヴァス油彩扱うのではなく対をなす二作品のあいだに主題に適した関係性を構築するよう各画面の造形要素を構成 205

画家の用いる造形言語が観者の視線をいかにして誘導していくのかを検証しそれぞれの対作品間の結びつまり画面の外へと続く一連の流れが作り出されていつきを考察するる

から美徳の寓意徳の寓意の画面枠に手を掛ける少年バッカス図へと順に視線を移行させるための重要な要因となっ 10 であるそのため観者は現実空間との境界に位ているのは

仰視的に捉えられた美徳の寓意の天使たちの存在ける女神そして美徳の寓意の右端の女性中だと考えられるそして彼らの存在に加えて画面央のパラス左端の枢要徳へと

構図中央のパラスを中心とする人物群から勝利て二作品間の連続性が構築されているの女神を通じて光の領域へと段階的に画面下方２イオとガニュメデスから上方へと誘導される

3 Μεταπτυχιακά 名古屋大学大学院文学研究科教育研究推進室年報 Vol. 6 図５美徳の寓意部分図６美徳の寓意部分図７悪徳の寓意部分図８美徳の寓意部分したのだという確信を強めるものとなった以下に図９悪徳の寓意部分画家の用いる造形言語が観者の視線をいかにして誘導していくのかを検証しそれぞれの対作品間の結びつまり画面の外へと続く一連の流れが作り出されていつきを考察するるこのように二作品の間に連続的な関係性が生じ１美徳の寓意と悪徳の寓意本作品において観者と最も距離が近いのは悪ていることが本作品の特徴といえる上述したような悪徳の寓意から美徳の寓意徳の寓意の画面枠に手を掛ける少年バッカス図へと順に視線を移行させるための重要な要因となっ 10 であるそのため観者は現実空間との境界に位ているのは観者の最も近くに位置する悪徳の寓置するバッカスを介して絵画の内部へと導かれ右意のバッカスと観者から最も離れた構図上部に端の足の皮を剥ぐ女神中央の男性左端の蛇を近づ仰視的に捉えられた美徳の寓意の天使たちの存在ける女神そして美徳の寓意の右端の女性中だと考えられるそして彼らの存在に加えて画面央のパラス左端の枢要徳へと流れるように連続的構成人物群の構図人物の姿態や視線各モチーフに視線を移すこととなるさらに美徳の寓意での位置関係といった様々な要素によりさらに補強されは構図中央のパラスを中心とする人物群から勝利て二作品間の連続性が構築されているの女神を通じて光の領域へと段階的に画面下方２イオとガニュメデスから上方へと誘導される楽器を共有することで一つ作品の実見により観者の視点はイオでは右のまとまりをなしている天使たち図11 において下に挿入された鹿の位置にガニュメデスでは前も右端の天使から中央の天使左端の天使へと連景に描かれた犬の位置に設定されていることが確認さ続性は保たれ最終的には左端の天使の視線の先れたそしてイオにおいてはこの鹿の頭部や 206

コレッジョの対作品と建築的要素の関係図 10 悪徳の寓意部分図 13 ガニュメデス図 11 美徳の寓意部分図 12 イオ角の線が左下から右上へと続くイオの身体の輪郭線ルーヴル美術館所蔵の素描には

の奥へと促されていく図12 もう一方のガニュ面に描かれたパラス中央と枢要徳の擬人像左端メデスにおいては観者は前景で天を見上げる犬は裏面の形体と合致したそのため先行研究の指と同じ地点から仰ぎ見ることで

ョークを用いていたコレッジョがこの素描でペンをと視線を合わせることになる図13 両作品とも使用したのは表面に描いた人物の輪郭を裏面に写す画面構成人物の身振りモチーフの形体などによ

コレッジョは当初から対とオでは上から下へという方向性がガニュメデスなる悪徳の寓意との対称的な人物構成を追求しでは下から上へという方向性が現れていることをこていた可能性が高まる実際この裏面に描かれた枢

4 コレッジョの対作品と建築的要素の関係図 10 悪徳の寓意部分図 13 ガニュメデス図 11 美徳の寓意部分図 12 イオ角の線が左下から右上へと続くイオの身体の輪郭線ルーヴル美術館所蔵の素描にはペンと水彩を媒体とと平行するため私たちの視線は鹿から壺イして美徳の寓意を構成する人物像が紙面の両面オ雲に変身したユピテルへと徐々に上方へ画面に描かれている紙を光に透かして見ると図14 表の奥へと促されていく図12 もう一方のガニュ面に描かれたパラス中央と枢要徳の擬人像左端メデスにおいては観者は前景で天を見上げる犬は裏面の形体と合致したそのため先行研究の指と同じ地点から仰ぎ見ることで中景の岩山背景の摘のとおり6 裏面は表面を写して描写されている稜線を経て連れ去られるガニュメデスへと段階的にことが確認されたこのことから素描には通常赤チ導かれ画面上方からこちらを見つめるガニュメデスョークを用いていたコレッジョがこの素描でペンをと視線を合わせることになる図13 両作品とも使用したのは表面に描いた人物の輪郭を裏面に写す画面構成人物の身振りモチーフの形体などによことを意図したからではないかと推察されたり縦長のカンヴァスの上下の垂直性が一層強調され表面を裏面に写すことにより形体の対称性を模索ていることそして左右に並置されることでイしていたのだとすればコレッジョは当初から対とオでは上から下へという方向性がガニュメデスなる悪徳の寓意との対称的な人物構成を追求しでは下から上へという方向性が現れていることをこていた可能性が高まる実際この裏面に描かれた枢の対作品の特徴として提示したい5 要徳の擬人像を基にしたのではないかと思われるほど類似する姿態で悪徳の寓意の右端の女性は描か 4 3. 画家の構想過程本作品に関する素描の中でも最初期のものとされるれている図15 その結果完成作における美徳の寓意と悪徳の寓意の左右両端の人物像は側 207

細部に至るまで対称をなすものとなっている図 16 作品の実見を通じて制作の初期段階から

が浮かび上がってきた５おわりに今回の調査で得られた成果を踏まえ今後の課題を以下に記す第一に

5 Μεταπτυχιακά 名古屋大学大学院文学研究科教育研究推進室年報 Vol. 6 図 14 美徳の寓意の素描図 15 図14 の裏面に描かれた右側の女性と悪徳の寓意の右端の女性の姿態は類似する図 16 美徳の寓意の左隅に座る女性と悪徳の寓意の右端の女性の姿態は対称をなす面観から捉えた身体の輪郭下した腕折り曲げた足の形体など細部に至るまで対称をなすものとなっている図 16 作品の実見を通じて制作の初期段階から対作品としての視覚的効果を用いて左右対称をなすような構図の構成を試みていたコレッジョの姿が浮かび上がってきた５おわりに今回の調査で得られた成果を踏まえ今後の課題を以下に記す第一に画面観察によって認められた筆致や輪郭線に関わる手法を同一空間に設置され意味的にも関連性の高いマンテーニャ作品と関係付けて考察することが課題となる本作品がマンテーニャやストゥ 208

6 注 1 E. Verheyen, the Painting in the Studiolo of Isabella d Este at Mantua, New York, 1971; L. Soth, A Note on Correggio s Allegories of Virtue and Vice, Gazette des Beaux-Arts, 6, 1964, pp ; P. Porçal, Le Allegorie del Correggio per lo Studiolo di Isabella d Este a Mantova, Mitteilungen des Kunsthistorischen Institutes in Florenz, 37, 1984, pp ; S. Campbell, Cabinet of Eros: Renaissance Mythological Painting and Studiolo of Isabella d Este, Yale University Press, E. Verheyen, Correggio s Amori di Giove, Journal of the Warburg and Courtauld Institutes, vol. 29, 1966, pp , p C. Gould, the Paintings of Correggio, London, 1976, p Di più dui quadri posti dal capo della porta nell entrata di mano del già Antonio da Correggio A. Luzio and R. Rodolfo, Isabella d Este e il Sacco di Roma, Archivio storico lombardo, ser. 4, vol. 9, anno 35, 1908, pp E. Verheyen, art. cit., pp D. Ekserdjian, Correggio, New Haven and London, 1997, pp D. Ekserdjian, op.cit., pp C. Gould, op.cit., p. 127; D. Ekserdjian, op.cit., p. 278; S. Campbell, op.cit., p L. Ricci, ed., La redazione manoscritta del Libro de natura de amore di Mario Equicola, Rome,

Μεταπτυχιακά Vol 調査結果フェナー文書 (1404 年 6 月 24 日制定, 1407 年改訂,1798 年まで有効 )

Μεταπτυχιακά Vol 調査結果フェナー文書 (1404 年 6 月 24 日制定, 1407 年改訂,1798 年まで有効 ) Ⅴ 人文学フィールドワーカー養成プログラム調査報告西ヨーロッパ中世末期の都市社会 2 1. はじめに 15 1399 1430 1399 1430 1 2 1341 1416 Rechtsquellenstiftung des Schweizerischen Juristenvereins Sammlung Schweizerischer Rechtsquellen online SSRQ 1416