には他の病態も考慮すべきである 3) めまい発作が週に 1 回あるいはそれ以上頻回に起こる場合もありそのような発作の群発は cluster( クラスター ) と呼ばれている 3) いったん病気が完成してしまうとめまいと難聴を繰り返し平衡障害や難聴が不可逆的に進行し日常の生活の質 (QOL)

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はなおとじま
5 years ago
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1 メニエール病 :Meniere's disease(101214) 繰り返す急性発症の回転性めまいを主訴とした高齢女性持続時間は数時間 ~ 数日小脳症状や麻痺は無し来院時に眼振は認められず右で軽度の聴力の低下と耳鳴あり娘がメニエール病と診断されている蝸牛症状を伴う急性再発性の回転性めまいなのでメニエール病を疑ったのちに耳鼻科でメニエール病の診断となりイソソルビド ATP メチルコバラミンベタヒスチンメシル酸塩 ( メリスロン ) などが処方されている急性期で通院困難な時にはこちらでの治療を指示された一度メニエール病の復習をしておこうと思う基本直接の原因は内耳の内リンパ水腫によるものであるこれにはストレスアレルギー自己免疫ウイルス感染自律神経障害栄養障害などがかかわっていると考えられているもののその詳細はいまだ不明な部分が多い 1) メニエール病の原因である内リンパ水腫がどのようにして生ずるかについては 1) 内リンパの過剰産生 2) 内リンパ管の流通障害 3) 免疫異常に伴う内リンパ嚢での吸収障害などが考えられているがさらに 4) 内耳への循環障害や 5) ウイルス感染などの諸説もあるまた海外では遺伝性難聴の家系の中にメニエール病の臨床像を呈する症例の家族性発症も報告されておりメニエール病の発症に関して 6) 遺伝子異常説も唱えられている 3) 内リンパの生産吸収のバランス崩壊が内リンパ水腫をもたらすと推測される最近はこの水腫形成にストレスホルモンの一つである抗利尿ホルモン (ADH) と水チャンネルの関与も指摘されている 1) 発症年齢は男性で 40 代女性で 30 代がピークをもつ山型最近は高齢者の発症も増えてきている 1) 通常メニエール病は一側の内耳疾患であるが両側例も約 30% に認められる 3) 症状反復性の激しい回転性のめまい発作に難聴や耳鳴などの蝸牛症状が随伴するのはメニエール病の特徴 ( 難聴耳鳴回転性めまいの 3 症候 ) 1)2) めまい発作は数時間 ~1 日程度のものが多いが数日間も続く場合はほかの疾患との鑑別が必要となる 1) 通常メニエール病の発作は数時間で治まることが多く 1 日以上持続するめまい発作の場合

には他の病態も考慮すべきである 3) めまい発作が週に 1 回あるいはそれ以上頻回に起こる場合もありそのような発作の群発は cluster( クラスター ) と呼ばれている 3) いったん病気が完成してしまうとめまいと難聴を繰り返し平衡障害や難聴が不可逆的に進行し日常の生活の質 (QOL) を低下させる 1) 発作期以外ではめまいを訴えない症例も多いが

2 には他の病態も考慮すべきである 3) めまい発作が週に 1 回あるいはそれ以上頻回に起こる場合もありそのような発作の群発は cluster( クラスター ) と呼ばれている 3) いったん病気が完成してしまうとめまいと難聴を繰り返し平衡障害や難聴が不可逆的に進行し日常の生活の質 (QOL) を低下させる 1) 発作期以外ではめまいを訴えない症例も多いが進行したメニエール病ではふらつきを訴えることが多い 2) めまい発作中に悪心嘔吐冷汗顔面蒼白頻脈などの主な自律神経症状が見られるまた難聴耳鳴などの蝸牛症状はしばしばめまい発作と一致して出現しめまいの消失とともに回復する 1) 初期のメニエール病では発作時に低音障害型難聴を呈し症状の改善とともに聴力が正常化する 2) 初期のメニエール病では発作の間歇期には耳鳴耳閉塞感難聴も完全に消失するが病期が進むと発作間歇期にも耳鳴難聴が残存する 3) 初期の純音聴力像の特徴は低音障害型感音難聴を呈することである発作を繰り返しているうちに難聴が悪化する 1) 耳鳴りや音が響く症状 ( 補充現象 ) が苦痛となる 2) 患者の多くは耳閉塞感聴覚過敏自声強聴 ( 自分の音が強く響く現象 ) 複聴( 音が割れて聞こえる現象 ) などの特徴的な蝸牛症状を訴えることが多い 2) 診断 ( 参考文献 3 より引用 )

初回発作であれば診断をつけることが出来ない 2) 急性期においては一般的に方向固定性の水平回旋混合性眼振を認める 2) 間歇期においては眼振を認めないことが多い 2) 初期の症例では平衡機能検査において急性期以外では異常を認めないことが多い 2) ( 参考文献 2 より引用 ) メニエール病の鑑別疾患 5) Central nervous system Acoustic neuroma (

3 初回発作であれば診断をつけることが出来ない 2) 急性期においては一般的に方向固定性の水平回旋混合性眼振を認める 2) 間歇期においては眼振を認めないことが多い 2) 初期の症例では平衡機能検査において急性期以外では異常を認めないことが多い 2) ( 参考文献 2 より引用 ) メニエール病の鑑別疾患 5) Central nervous system Acoustic neuroma ( 聴神経鞘腫 ) Multiple sclerosis ( 多発性硬化症 ) Vascular loop compression of eighth nerve ( 血管ループによる聴神経圧迫 ) Basilar/vertebral artery insufficiency ( 椎骨脳底動脈循環不全 ) Arnold-Chiari malformation ( アーノルドキアリ奇形 ) Cerebellar tumors ( 小脳腫瘍 ) Transient ischemic attacks ( 一過性脳虚血発作 ) Peripheral vestibular system Benign positional vertigo ( 良性頭囲眩暈 ) Syphilitic endolymphatic hydrops ( 梅毒性内リンパ水腫 ) Post-concussive hydrops ( 脳振盪後の内リンパ水腫 ) Post-infectious hydrops ( 感染症後の内リンパ水腫 ) Autoimmune inner ear disease ( 自己免疫性内耳疾患 ) Perilymphatic fistula ( 外リンパ瘻 ) Otosclerosis ( 耳硬化症 ) Migraine induced vertigo ( 片頭痛によるめまい ) Other Diabetes ( 糖尿病 ) Thyroid disease ( 甲状腺疾患 ) Cogan's syndrome ( コーガン症候群 ) Anemia( 貧血 )

4 中枢性めまいとの鑑別のコツ 4) 制吐剤使用後も長く嘔気嘔吐を伴うめまい症例は中枢性を疑うべき立位での体平衡機能検査で体幹失調が著しい ( ベッドからの移動時に歩行と体幹失調を確認することが最も大事な検査の一つ ) 方向交代性上向性眼振 ( 一般に小脳虫部虫部垂小節障害が中枢性頭位眼振の病巣といわれている ) 眼振検査で以下の疾患に伴う眼振方向はすべて健側向きに出ることがセオリーである 1) めまいを伴う突発性難聴 2) 前庭神経炎 3)Ramsay-Hunt 症候群に伴うめまい ( セオリーを知っておくことで合致しない眼振の方向や性状を認める症例は中枢性めまいの疑いをもって精査することが必要 ) 治療 ( 治療に関しては clinical evidence でも Dynamed でもあまりエビデンスレベルの高い治療方法がない ) ベタヒスチンメシル酸塩 ( メリスロン ) とメイロンの効果の検討は別項目で勉強メニエール病の治療を大別すると 1) 発作急性期の治療 2) 発作間歇期の治療さらに 3) 発作を頻発する難治例に対する治療などに大別される 3) 急性期 7% 重曹水 ( メイロン ) 静注 1) ジアゼパム ( セルシン ) オキサゾラム( セレナール ) 点滴静注 1)3) グリセオール点滴静注 3) プレドニン点滴静注 : 中枢性代償性作用を促進 1)2)3) プレドニン内服 3) イソソルビド ( イソバマイド ) 経口 : 浸透圧利尿剤 1) サリチル酸ジフェンヒドラミン ( トラベルミン ) 経口 : 鎮暈薬 1) 塩酸ジフェニドール ( セファドール ) 経口 : 脳循環改善薬 1) アデノシン三リン酸二ナトリウム ( アデホス ) 経口 : 内耳循環改善薬 1) メコバラミン ( メチコバール ) 経口 : 末梢神経障害改善薬 1) ジアゼパム ( セルシン ) 経口 1) 塩酸メトクロプラミド ( プリンペラン ) 静注 : 嘔気 / 嘔吐 1)3) ドンペリドン ( ナウゼリン ) 坐剤 : 嘔気 / 嘔吐 1) Acute episodes of vertigo should be managed with vestibular suppressants and antiemetics 5)

5 Vestibular suppressants include benzodiazepines, that have the advantage of anxiolytic properties for short-term use, antihistamines (meclizine and dimenhydrinate), and anticholinergics (scopolamine). Promethazine and prochlorperazine may be used for the acute treatment of severe nausea and vomiting and are available in suppository form. Lorazepam has been administered sublingually in "off-label" usage. 5) ( ベタヒスチンメシル酸塩 ( メリスロン ) とメイロンの効果の検討は別項目で勉強 ) 間歇期精神的肉体的過労睡眠不足などストレスとなる要因を除く生活パターンをとるように指導をする有酸素運動も有効とされる 1) 間歇期には内リンパ水腫を改善する目的でイソバマイドなどの浸透圧利尿薬が第一選択薬となる 2)3) ( 以下のように対立する意見もあるので注意!) 原則としてこの時期にイソバマイド投与は必要ない長期投与することによって血症浸透圧を上昇させ二次的に抗利尿ホルモンの分泌を促進する可能性もある 1) 塩酸イソプロテレノール ( イソメニール ) 経口 : 内耳循環改善薬 1) アデノシン三リン酸二ナトリウム ( アデホス ) 経口 : 内耳循環改善薬 1)2)3) メコバラミン ( メチコバール ) 経口 : 末梢神経障害改善薬 1)2)3) トフィゾパム ( グランダキシン ) 経口 : 自律神経障害 1) セディール 2) コンスタンデパス : 精神安定剤 3) パキシル : 抗うつ薬 3) ダイアモックス : 経口利尿剤 3) ケタスカルナクリン : 循環改善薬 3) 漢方 : 半夏白朮天麻湯苓桂朮甘湯 1)3) 漢方 : 五苓散半夏厚朴湯 1) 漢方 : 釣藤散 3) 東洋医学的手法 : 針治療 3) ループ利尿剤は聴器毒性があるのでメニエール病をはじめとする内耳疾患に対する内服薬としてはこのましくない 3) One review found that diuretics and betahistine hydrochloride were the only drugs with demonstrated efficacy for long-term control of vertigo in double-blind studies. However, two subsequent systematic literature reviews found methodologic flaws in all trials, with no trials of either diuretics or betahistine being of sufficient quality to meet the review standard for use. In the absence of better data and the low risk of adverse effects, we

6 suggest use of diuretics when diet alone does not adequately control episodes. 5) Triggers for Meniere's disease may include high salt intake, caffeine, alcohol, nicotine, stress, monosodium glutamate (MSG), and allergies. Avoidance for patients with identified triggers may alleviate or ameliorate symptoms. 5) ( ベタヒスチンメシル酸塩 ( メリスロン ) の効果の検討は別項目で勉強 ) コントロール不良の場合 / 外科的治療鼓膜チュービング 1) 鼓室内ゲンタマイシン注入療法 1)2)3) 内リンパ嚢開放術 1)2) 前庭神経切断術 1)2)3) 迷路破壊術 2) ステロイドホルモン鼓室内注入法 3) 内耳麻酔法 3) 内リンパ嚢高濃度ステロイド挿入法 3) 参考文献 1. 近江永豪ら. メニエール病. 治療, 91 : , 山下裕司. メニエール病の病態から治療まで. 治療, 88(5) : , 伊藤彰紀. メニエール病. クリニックマガジン, 31(1) : 36-37, 新井基洋. 日本臨床内科医会会誌, 23(2) : , Meniere's disease. UpTpDate 19.1

Microsoft Word - 蝸牛型メニ_H10_

Microsoft Word - 蝸牛型メニ_H10_ 蝸牛症状を主体としたメニエール病症例白戸耳鼻咽喉科めまいクリニック白戸勝 Some Cases of Meniere's Diseases without Vertigo Masaru Shirato Shirato ENT Clinic (Hakodate) はじめにメニエール病は耳鳴難聴などの蝸牛症状を随伴した回転性めまい発作を繰り返す疾患として特徴づけられているしかしその亜型としてめまいを伴わないメニエール病