宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 る 正典の基本的特色としてさらに限定性が挙げられる 正典は厳密に限定されており これら 73 書 以外の他の一切の書は排除されている 正典に属するのはこれら 73 書だけであって 世界中の他の 一切の書は非正典書である これ以上つけ足されることも差し引かれることもな

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1 純心人文研究第 10 号 2004 聖書正典成立史の諸問題 宮川俊行 TheologicalReflectionson the History of the Formation of the BiblicalCanon Toshiyuki MIYAKAWA Outline 1 Introduction IIIIIIVVVI Birth of Sacred Writingsin the People of God Formationof the Canon ofthe Old Testament Formationof the Canon of the New Testament Theological Problems about the Formationof the BiblicalCanon Conclusion 一 はじめに 1 正典としての聖書普通 われわれが 聖書 と呼んでいるのは 厳密にはキリスト教用語で 聖書正典 (Libri canonici ) とされている書物のことである単に 正典 と略称することも多い 教会の普遍的教導職 (magisterium universale ) が 直接的に霊感の下に書かれ 神の民 に神から委ねられた聖 なる書 として認定している すなわち 正典目録 (Canon) (1) に入れている 初期キリスト教文書集である カトリック教会では旧約聖書 46 書 新約聖書 27 書の合計 73 書の各書が正典目録 (Canon ) に属する書 すなわち正典書 (Libercanonicus, a canonical book ) とされている カトリック教会の正典観において 正典の特色とされるのは 先ず その最高権威性であろう 教会の一切の信仰 神学 伝統 典礼 倫理 道徳 制度 宣教 司牧活動は正典を最高基準とす る 教会自身も正典の下にありこれに仕えるべきものとされる ( 第ニヴァティカン公会議 教会憲 章 10) キリスト教は正典宗教である 教会およびその成員にとっての信仰生活の最高基準という 正典のこのような至上の権威の根拠は何か カトリックの信仰の理解によれば それは 霊感 (inspiratio ) である 2) 正典に属するすべての書は聖霊の原因的特別介入である 霊感 の影響下 に誕生した特別な書 すなわち神的起源をもつ書 神からの書 である という権威の根源が神 にあるとされるゆえに 正典はキリスト教において普遍 不変の最高基準として機能しうるのであ 一 101 一

2 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 る 正典の基本的特色としてさらに限定性が挙げられる 正典は厳密に限定されており これら 73 書 以外の他の一切の書は排除されている 正典に属するのはこれら 73 書だけであって 世界中の他の 一切の書は非正典書である これ以上つけ足されることも差し引かれることもない固定したものと して 聖書は他の一切の書物 ( 非正典書 ) から截然と区別されている このような限定の根拠は それらの文書だけが霊感の影響の下に誕生しているということである しかも 正典は唯 73 文書 が雑然と並んでいるものではなく まとまりをもった一つの 全体 と考えられている その意味 でそれは完結した 一書 と言うべきである そこには一定の基準に従った構成があり 区分があ る その中で 73 文書の一冊一冊はかけがえのない特定部分として一定の位置を与えられ 範囲の固 定した 全体 を形成しているのである 2 本稿の課題と方法 a ) ところでこの特別な 書 である 聖書正典 は歴史の産物であるという面も備えている 歴史の中で長い時間をかけて徐々に形成され現在のようなものになった 初めは曖昧な存在だったが少しずつ形を整えていき 最後に現在のような一定数の特定書より構成される 閉じられた叢書 (a closed collection ) として成立した 霊感を受けているかどうかを識別できる万入に通用する外的印ごときものはない 結局 教会が自己の判断で 特定の文書を霊感を受けた書 すなわち 神からの書 との認定を行っている ということであるその書の正典化 (canonization ) と言われる このように 閉じられた叢書 としての聖書正典の成立に長い期間を要したというのは教会のこの最終的な判断 認識が時間を必要 としたからであった 聖書正典の形成は二段階を経て行われる と見ることができる 第一段階はその文書が霊感の影 響下に誕生すること (libercanonicus quoad se et in actu primo) であり 第二段階はその文書が霊感の影響下に誕生したものであることを教会が認識し受け入れること (libercanonicus etiam quoad nos et inactu secundo ) である これに長い期間が必要だった というのである 新約聖書 に関しては正典化の総過程はこのように二段階に分けられる 第一は準備段階で 新約聖書正典に属する各書が作られていった期間である 第二は形成段階で 諸文書が収集され編 成され承認された新約聖書正典として一体化されていった期間である 旧約聖書 に関しては各書の形成過程は勿論先行するものの 第一段階は 使徒的教会 によ る自己の前史かつ信仰の前提 要素としての旧約聖書の認識と受け入れである b ) 本稿は 聖書正典形成二段階の中の第二と関わろうとするものである 正典がどのようにして現在のようなものとして成立するに到ったかの歴史的経過を追いながら そこに出てくる諸問題をカトリック神学の立場から考察しようというのである 究極的に意図されているのは正典本質の理解を深めその権威をより深く基礎付けることである 正典を巡る神学的諸問題の幾つかとはすでに別稿が取り組んでいる ω ので 重複を避けるため 専ら本稿はそこでは取り上げられていない諸 問題に眼を向けることになる なお正典論の重要な問題として形態論 (5 ) があるが紙幅の都合でこ 一 102 一

3 純心人文研究第 10 号 2004 こでは関わらないことにする 本稿の構成を次のようにしたい 先ず 聖典宗教であることがキリスト教にとってどのような必 然性をもっているのかについての考察を行う ( 二 ) あらゆる宗教が聖典をも っているわけではない 信仰共同体の中で聖典すなわち正典なるものが形成されるにいたった事情とその意味を探ろうというのである 次に現在のカトリック教会の聖書正典目録がどのように形成されたかの歴史的経過を見る キリスト教の聖書正典はどのように生まれてきたか である 正典目録は旧約聖書と新約聖書に分かれており別々の考察を必要とする 先ず 旧約聖書正典を ( 三 ) 次に新約聖書正典を見る ( 四 )次にこのような形成過程と関わる幾つかの間題を取り上げて カトリック神学的考察を行う ( 五 ) 最後に むすび を置く ( 六 ) 二神の民における聖典の発生 1 古代イスラエル における 聖典 の誕生 a ) 古代イス ラエ ルにおける 書き物 α 言葉 と 文字 人間は 言葉 を用いる社会的動物であるから 語り 聞き それを通して思想や意思 感情を 互い に伝え合い 交流を行うことは人間の 自然本性に基づい ている しかし 文字 を用いること すなわち 読んだり書いたりすることが果たして本性的と言えるかどうかは問われえよう 本性に 矛盾はしない しかし人間が必然的に文字を用い るわけではない 文字は発明に基づ く記号であり 古代社会になっ て用い られ始めたものが多い 用い うるためには人はそれを学ばねばならない 従 っ て歴史的社会的環境の諸条件に規定される偶然的面が非常に大きV 現代世界におい ても文字を 用い ない社会があり また文字を用い る社会で生活してい ても 読み書きのできない人は決して少 なくない 識字教育の必要が叫ばれてい るが これは文明社会に生き 現代の世界で文明の恩恵に 与るため また人格の尊厳に相応しい生き方をするのに識字が必要不可欠だと考えられてい るとこ ろから来る 事実 書くこと 読むことが人間の文化的生活を高め 人間としての自覚を促し 知 識の伝達を正確にし 人間間の交流をより生き生きとし活発なものにしてきたのは否定できない β) 古代イスラエルとヤーウェ信仰 さて 古代イスラエルの民はある事情からヤーウェ (Jahweh) 神を信じるようになり この信仰 を中心に生きた民であった この信仰は民を一つにまとめ自己同一性を保持させ 継続させる原理であったし かれらの世界観 歴史観 社会観 人生観はこの信仰を基礎とするものであった か れらの個人的 社会的生活はこの信仰を中心とし この信仰に基づき営まれ また社会の規範もこ の信仰に規定されながら形成され実践されていた さらに ヤーウェとの交わりは様々の宗教儀礼を通して行われ これらは生活の中心だった こうしてイスラエル教 (6) が生まれた かれらの共同体の基点である先祖のヤーウェ体験はヤーウェ讃美の中で繰り返し記念され歌われ 世代から世代へ語り継がれていった 信仰的内容の口伝伝承が形成され それは時の経過の中で豊かさを増していった 一 103 一

4 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 γ ) 古代イスラエルの信仰生活と 書き物 このようなかれらの世界にあるとき文字が入ってき 少しずつ使用が広まっていくヤーウェ信仰の領域においても用いられ始め 時と共に広がり 大きな役割を果たすようになっていくこれまで 記憶され 朗唱され耳で聞かれるという音声的言葉で営まれていたものが 書かれ 読まれ る文字を用いての営みに少しずつ代わっていく口伝伝承の中の特に大切な文章を書き記し固定しようとしたのは当然だった 直接 神によって委託された言葉と信じられていた 律法 や 祭司の神託 預言者の言葉が記録された 知恵の教師の格言が記された先祖のさまざまのヤーウェ体験の歴史が記録された 祭儀の祈りや歌が記録 された それらは伝承されるときさらに新しい体験を通して読み直され 編集し直され より豊か な内容をもつものにされた 歴史記述や 契約書や手紙やさまざまのリスト類が 社会規範や慣習が 書き留められたものになっていった口伝伝承が重んじられる社会であり続けるイスラエルの中に こうして徐々に文書化された伝承が増えていった これらの文書は殆ど断片的で資料的なものだったが まとまった形のものも少しずつ見られるようになっていく文書は何れも多かれ少な かれ神的権威をもつ 聖なる言葉 として聖所に寄託された b ) イスラエ ル教の 聖なる書 α この過程の仕上げはイスラエ ル教で権威をもっ た特別の 書物 の形成である 神に由来す るとされる 聖なる書 が生まれた これはイス ラエ ル の民の地パレス チナのイス ラエ ル教におい てであった 律法 ( トーラー ) と呼ばれるモーセ五書が紀元前 400 年頃までにはヤーウィスト エロヒスト 申命記 祭司資料などの諸文書の集成として基本的には成立したと考えられる 世界の創造 者 歴史の支配者であるヤーウェによって世界の民の中からイスラエルの民が選び出されるまでの 歴史 この民にモーセ (Moses> によって仲介された律法が神に与えられるまでの歴史 律法の解説と律法に基づく祭儀の挙行などが詳しく語られ 最後はモーセの死で終わる 律法 ( トーラー ) は以後も多少の変更や追加は為されるとはいえ 神のことば としてイスラエルの民の宗教 生活 の全ての領域において定冠詞付きの特権的 聖なる書 の絶対的な地位を占めることになる イスラエルの民における 聖なる書 の形成はこれで終わったわけではない 以後も続き 紀元前 3 世紀には 律法 に近い基準の書としての権威を備えた 預言者 ( ネビイーム ) も大体出来上がる イスラエル教の歴史において預言者の言葉は 神のことば として重んじられてきたので預言者たち自身やその弟子たちによって書き記されたものという言い伝えと共に伝承され保存されてきた断片的資料が年月をかけて整理され 編集され独立した数書となったものがここに入ることになる これに加えて モーセの後継者ヨシュアに導かれた民によるパレスチナ占領や 土地分配 士師たちの指導 サムエルと王国建設 サウルとダビデ ソロモン 南北両王国 北王国イス ラエルの滅亡 南王国の滅亡 バビロン捕囚までの民の歴史を記した ヨシュア記 士師記 サム エル記上下 列王記上下も併せてここに置かれたらしい これらが歴史の書でありながら 預言者 とされたのは 歴史は誰もが書けるものではなく 霊感によるもの故 預言者が書いたものだ と 考えられたので モーセの律法につぐものとして またその中に出てくる預言者との関わりもあっ 一 104 一

5 純心人文研究第 10 号 2004 て 申命記の後に続けられた らしい という ω 何れにせよ 預言者 に関しては中に入れられ た文書の正確な書名は分からないが一世紀末のユダヤ教ファリサイ派最高会議で決定されたユダヤ 教正典目録から推して恐らく大体こうであったと思われる さらに 聖なる書 として 律法 や 預言者 に近い権威を認められていた文書群も他にあったようで この第三の文書群は 諸書 ( ケトゥビーム ) と呼ばれた これ以上はあまりはっきりしない 内容的に不安定でどの書がこれに入れられるかについても時代や地域によって違いがあ るという状態がかなり長い間続いていたようである キリスト教誕生時にもまだこの状態だった こうして まだ流動的であいまいな面は多く残しながらも 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネ ビイーム ) 諸書 ( ケトゥビーム ) の三部構成のヘブライ語 聖なる書 が民の信仰および全 生活の中で特別の権威を認められるという状態が徐々に確立し イスラエル教は聖典宗教になった 三部構成の 聖なる書 の存在は紀元前 132 年頃書かれた 集会の書 の 序文 にも言及されて いる (Cf.1 1) β) ギリシャ語訳 聖なる書 エジプトのアレクサンドリアには公称ヘブライ語 聖なる書 のギリシャ語訳い わゆる七十人 訳 (LXX ) があった 紀元前 332 年にアレクサンドリアが建設されて以来 ここにはコイネー ギリシャ語を用い ギリシャ人に等しい市民権をもったユダヤ人たちが沢山住んでいたヘブライ 語を解さない世代も出てきたため 聖なる書 のギリシャ語訳が必要とされ これが生まれた という前 3 2 世紀頃 100 年ほどかけて作り出されたと言われている 先ず モーセ五書 ( 律法 ) が 次いで 預言者 がそして 諸書 と順次に時代を下って訳されたらしい 上に挙げた通り前 132 年頃書かれた シラ書 [ 集会の書 ] 序文には ギリシャ語訳のモーセ五書の他に 預言者とそ の他の書 があるとされている 訳者たちの能力や文体はさまざまで 翻訳方法も一致していない 厳密な訳もあれば自由な訳もある 8 ) イスラエル教団のヘブライ語 律法 預言者 諸書 が公式の 聖なる書 であることは知っていたが ディアスポラのユダヤ人たちにとっては この LXX は実生活上ヘブライ語原典と全く 同じ権威 をもつものとして通用していた これは表向きにはヘブライ語 聖なる書 の翻訳とされており 事実実体的にはそうなっていたが 後に見るように 内容においてはかなりの違いもあ り 個性的なものであった 公的イスラエル教団の立場は ヘブライ語 律法 ( トーラー )j 預 言者 ( ネビイーム ) 諸書 ( ケトゥビーム が原典であり これが公式の 聖なる書 とはし ながらも LXX がこれと完全合致していないことは容認していたようである γ ) 聖なる書 目録の未確定性何れにせよキリスト教誕生頃のイスラエル教は一応 聖なる書 とされるものをもつ 聖典 宗教ではあったが その 聖典 の権威は十分ではなかった 範囲も明確でなく 目録を構成する書 が何であるかも モーセ五書 を別として 確定的理解はなかったようである 一方ではこれらの 聖典 の権威は認めるものの 他方ではその目録外の書にも殆ど均しい権威を認めるなどのことも 特別違和感を伴わずに行われていたというのが教団内部の事情だったようである 聖なる書 のヘ ブライ語原典とそのギリシャ語版の間のかなりの違い などもその許容範囲内にあると見られたので 一 105 一

6 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 あろう結局 教会誕生期のイスラエル教は 聖なる書 とされるものは一応もってはいたが そ れは特定文書より成る限定的な 正典 という概念からは程遠いものだった ということである 9) 律法 預言者 諸書 を 神からの書 とはしながらも他にも 神からの権威ある書 を認めると いうことであった この傾向は特にアレクサンドリア イスラエル教において強かったようである 2 キリスト教会固有の 聖なる書 の誕生 a ) 原始教会 考察の対象は原始教会である 十二使徒とパウロが主の派遣に基づいて証言 宣教活動をし 教 会を設立し指導していた 使徒期 (theapostolic period) と それに続く 準使徒期 (the subapos tolicperiod ) すなわち使徒の弟子たちや孫弟子たちさらにその弟子たちや後継者たちが中心となっ て宣教や教会形成 指導を行っていた時期 の両者が形成する全期間である 使徒時代 (the apos tolicage ) とも呼ばれる ( 10 ) この期間は 公的啓示 の期間であり さらに この啓示が生み出 した教会の信仰生活の営みの中で啓示の理解が深められ 信仰の遺産 が形成されていった期間で もある これは中核となる 聖伝 の含蓄内容の一部が最低程度の具体性 個別性を伴って現れ 対象化したもので 教会的伝承 (the ecclesial tradition) である 11) そしてこれを中心に形成され た 教会的伝統 (ecclesiastical tradition) (12) の中からそれを母体とする新約聖書正典各書が生み 出されていった ( 13 > 期間である 新約聖書が生み出された源泉は 教会的伝統 である 各信仰共 同体には使徒たちがいろいろな形で伝えたキリストの言葉やわざが記憶され 使徒たちの信仰への 参与が歴史的具体的な状況の諸規定を受けながら続けられ より豊かにされ 深められ 伝えられ てきた固有の信仰生活があった 使徒の後継者として共同体の信仰生活を指導する司教を中心とす る地方教会であった そこには 主の日 の祝賀があり 日常的祈祷があり 讃美歌があり 信仰 告白文があり 信仰道徳があり 典礼があり 神学思想があり カテケジスや 宣教活動があり 慈善活動があった これの一部が個性をもった各書の記者 編者の手を通して文書化され固定化さ れることになった 将来新約聖書正典を形成することになるであろうすべての書が この時期に著 された この期間は特殊救済史の 中心的期間 である b ) 原始教会における 言葉と文字 α ) 言葉の宗教 よりの出発 教会は出発点においては 文書の宗教 という性格をはっきり示すものではなかった この本性 は歴史の中で徐々に姿を現してくるのである 原始教会は最初期には 言葉の宗教 だっ た イエ ス自身何も書き残さなかっ た イエ スは人々 に直接語りかけ 行動によっ て働きかけた またイエ スは自分の重要な教えや自分の活動の記録を 書き留め 後世のために書き残すよう弟子たちに命じてもい ない 直弟子たちもイエ ス から受けた 薫陶や教えやイエ ス の出来事とい う自分たちの特別な体験を先ず書き物にしようなどとは考えなか っ た かれらは自分たちのイエ スの人物と出来事の体験の印象や思い 出を入々 に生き生きと口で伝 えたのである重視されたの は語られる言葉だっ た事実 初期のキリス ト教徒たちは十字架上で 刑死を遂げたが神が復活させた主イエ スの人格に熱中し 終末論的待望の中で緊張した日々 を送っ 一 106 一

7 純心人文研究第 10 号 2004 ていた 終末はすでに始まっており イエス キリストの近い将来における再臨を希望と緊張の中 に待ち望んでいる毎日だった β) イスラエル教の聖典の尊重しかし教会が文字に無関係だったわけではない 原始教会には初めから 聖典 的なものはあった それはイスラエル教の 聖なる書 だった イエス自身これを重視していた そこには自分の使命の約束と預言があると考えていた 教会はこのイスラエル教の聖典が神の霊の導きの下に生まれたものであり メシアの到来の約束がそこにあり イエス キリストにおいてその約束が実現されたと考えていたその意味で イスラエル教のこの 聖なる書 はまさに教会の構成要素の一部 であった c ) 信仰諸文書の要請しかし徐々に 文字の宗教 であるという教会の本質的特質 (14) が姿を現してくる 新興キリスト教団は少しずつ固有の信仰基本文書の 内的必要 を感じ始めることになる 再臨の切迫感が薄 れていったこととも関連している 原始教会には先ず イエス体験を中心とする 教会的伝統 (ecclesiastical tradition) が形成され始める u5) 上述のように使徒たちのイエス キリスト体験は初めは口で語られた イエス キリストについての説教が中心だった それは口伝の形で伝えられた イエス体験の情報は先ず口頭で広められていったのである しかし口伝承はそのまま引き継がれていったわけではなかった そこ には書き止められたものなども出て来始める すでに当時の社会では書き物の役割もかなり大きく なりつつあり 必要に応じて文書も利用されていた 書簡も書かれた エルサレムにおける使徒会 議の決定事項は書面で伝えられている ( 使徒 ) イエスと弟子たちの言語はアラマイ語だっ たから最初のころの口伝承は全てアラマイ語だったが 宣教活動が当時のヘレニズム世界に広がっ ていくにつれ ギリシャ語への翻訳が必要となった ギリシャ語の文化圏では口頭による伝達より もむしろ書き物を重んずる傾向があった ( 16 ) のであり その影響も受けることになる イエスの言葉やその出来事の記憶を文字を用いて不動化し 自分たちの許に常に留め置きたい という信仰共同体の願いは自ずと生まれる こうして口頭で伝えられ 記憶され 口頭で反復され ていくだけでなく 言葉を小さな書き物に文字で留めたものが必然的に要請され あちこちで出現 し始める 書き物は正確な記憶を保証し また内容の伝達が時空の制約を越えて広げられていくこ とを可能にする 文書化や保存の要請は伝承に依存しつつ営まれる信仰共同体の諸活動からも生まれた 典礼にお いて用いる定式文や朗唱のためには文書は便利だった 宣教活動のため またユダヤ人たちとの論 争のため あるいは信者たちの信仰教育のためにも文書は役立った 書き物の必要が本格的に痛感されるようになったのには イエスの出来事の目撃証人である使徒たちが殉教によって次々に世を去っていくことにも原因があった 信仰共同体の基礎的記憶が徐々に曖昧になってしまうことへの危惧が生まれ危機感があったのである 信頼されうるかれらの証言 や説教を文書化して保存しようとする積極的努力が各地の信仰共同体で見られるようになる 一 107 一

8 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 d ) 新約聖書諸文書の形成 α ) イエスについての個々の口伝は継続されていく傍ら 分離 合併 拡張 整序 整形 編集などの変化を蒙りながら 徐々に 大小のまとまりをもった多種多様の様式におけるイエス伝承 (17) を生み出していった 現代聖書批評学によれば大まかにイエスの言葉伝承 アポフテグマ ( 物語に枠付けられたイエスの言葉伝承 ) 物語伝承の三群に分けられるという ( 18) これらの中の一部から始まった文書化は時の経過と共に徐々に広がっていく諸信仰共同体間の交流は相互の伝承の利用をも伴った 受難物語伝承などはあちこちの共同体で典礼での使用のための文書化が早くから進んでいたのではないかと思われる Q 資料の起源がどこまで遡れるかはともかく これとは繋がりのないイエスの言葉伝承も多かった 少なくともイエスの言葉の収集と文書化の始まりは使徒たちの 証言活動の開始と時間的には大きな隔たりはなかったかもしれない ( 19 ) 口伝承を重視する一般的傾向も依然残り続ける中で これらの文書諸伝承は成長の段階 段階にあってそれぞれの帰属信仰共同体の信仰生活 活動において一定の役割を果たしていこくれら諸伝承の最大の働きはそれらが福音書形成の直接的資料として用いられたことであろう自分の属している信仰共同体に口伝や文書で伝えられ所有されている諸伝承を資料として用い 自分の置かれ てい た文化的社会的諸条件に規定されながらも自己の独自の神学的視点からこれらを統合整理編集 して イエス伝 をものしようとする者による正典的 福音書文学 作品が四つ書かれたので ある 成立は マルコによる福音書 が 60 年代の末から 70 年代の初期 (21 ) マタイによる福音書 が 年代 22 ) ルカによる福音書 が 年代 (23 > ヨハネによる福音書 が 90 年代 (24 ) と言われている β) 教団に現れそれぞれ役割を果たした別のジャンルの諸文書もあった ペトロとパウロの活動を中心に初代教会の歴史を物語る歴史書 使徒言行録 がルカによって 90 年代に書かれた 25 > パウロ自身やその思想の後継者たちや他の著者たちによる書簡文学の作品も数多く書かれた パ ウロによる テサロニケの信徒への手紙 1 および 同 2 は新約聖書文書群の中で最も早く 紀元 50/51 年に書かれた 黙示書も一つ書かれた 新約聖書の中で最後に書かれたのは ペトロの手紙 2 で遅くとも二世紀の半ば以前に成立してい る γ ) 原始教会すなわち使徒的教会はこれをもって終わった この二世紀半ばまでが啓示の期間で あり 原始教会 時代である この期間にすべての新約聖書文書は形成されたが これらの何れも多種多様の口伝承や文書化さ れた伝承を素材として用いていることに注意しておきたい 例えばパウロにおいて信仰告白伝承 ( キリスト伝承 ) や典礼伝承 勧告伝承 (ParanetischesTraditionsgut ) などの担っている役割は大 きい なお 口伝承や文書化した伝承としてこの時期に集積された膨大なイエス伝承のすべてが新約聖 書全巻に細大漏らさず収録されたり 反映したりしているわけではないことは特に留意に値する 一 108 一

9 純心人文研究第 10 号 2004 教会的伝統 を母体として新約聖書全体が形成されたが そこに体化されたのは 教会的伝統 の 一部であったのである δ ) 結局 新約聖書各書の成立年代は大体次のようなものであったと考 えられる ( 26) テサロニケの信徒への手紙 1 同 2 (50/51 年 ) コリントの信徒への手紙 1 (54 年 ) コリントの信徒への手紙 2 ガラテアの信徒への手紙 (55/56 年 ) ローマの信徒への手紙 (56 年 フィリピの信徒への手紙 フィレモンへの手紙 コロサイの信徒への手紙 (58/60 年 ) マルコによる福音書 (60 年代末一 70 年代初め ) マタイによる福音書 ルカによる福音書 (70 90 年 ) ヨハネによる福音書 使徒言行録 ヤコブの手紙 ヨハネの手紙 1 ヨハネの手紙 2 ヨハネの手紙 3 ( 年 ) エフェソの信徒への手紙 ヘブライ人への手紙 ( 年 ) ヨハネの黙示録 ペトロの手紙 1 (90 95 年 ) テモテへの手紙 1 テモテへの手紙 2 テトスへの手紙 ユダの手紙 ペトロの手 紙 2 ( 年 ) 三 旧約聖書 正典形成過程 1 イスラエル教の遺産旧約聖書は教会がその発生母体であるイスラエル教から引き継いだものである キリスト教は初めから自己をイスラエル教の遺産の正当な継承者と考えていた イスラエルの民を受け取り手とする神の啓示の歴史は今からは教会を受け取り手として継続していくであろう初期のキリスト教に とって 神のことば ( ーロマ 3 2 > の書とはイスラエル教の 聖なる書 (1 コリント > すなわち 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネビイーム ) 諸書 ( ケトゥビーム ) のことだった 後になると徐々にキリスト教固有の 神からの書 として現在のいわゆる 新約聖書 が生まれるが これに合わせ教会は初めからイスラエル教の 聖なる書 をも自分たちの 聖書 と考えて疑わなかった 教会は自分たちのイエス キリスト信仰を基礎付けるためにも また当時の他のユダヤ人 たちにキリス トの救いの出来事の画期的意義を理解させ かれらの信仰的応答を引き起こすために も イスラエル教の 聖なる書 に全面的に依存したのである イスラエル教の 聖なる書 とはキリスト教にとっては所詮イエス キリストにおいて頂点に達する神の 神の民 への啓示とそれに反応する 神の民 のこれまでの歴史の中での信仰生活の記録に他ならなかった イスラエル教の信仰とその聖典 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネビイーム ) 諸書 ( ケトゥビーム ) はイエス キリストにおいて神が遂行するであろう人類の救いのわざを 待望し 予告し 厂準備する ものであった ( ルカ 参照 他にヨハネ をも見よ )初期キリスト教会内部に発生し 一 109 一

10 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 たマルキオン (Markion, 85/ ) とその一派の キリスト教からイスラエル教聖典を排除する 大 運動に対し 教会は直ちに挙げて決然たる排撃態度で望み これを異端として退けたのであった 2 七十人訳ギリシャ語聖書 (LXX ) a ) だが当時イスラエル教の 聖典 事情は複雑だった イスラエル教の公式理解では 神からの聖なる書 とはヘブライ語 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネビイーム ) 諸書 ( ケトゥビーム ) ということになっていた このヘブライ語の聖典はイエスと弟子たちにとっても 聖なる書 だった (28) 但し 上に触れたように初代教会が成立したころは まだそこに含まれる文書に関しては 律法 を別とすればそれほど明確ではなかたっイスラ エル教には厳密な意味での正典はなかった ところで当時ユダヤ人たちはパレスチナで生活する者と 異教世界でのディアスポラ状況下に信 仰生活を送る者に大別できた 特にエジプトのアレクサンドリアにはユダヤ人が多かった 公的にはパレスチナのイスラエル教こそがイスラエル教であるが 歴史や環境など文化の違いがあり イスラエル教の在り方は パレスチナとアレクサンドリアで同じとは言えなかった それを特徴的に現しているのが 聖なる書 事情である ヘブライ語 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネ ビイーム ) 諸書 ( ケトゥビーム ) 原典と公称これのギリシャ語訳とされる LXX の違いであ る 律法 の権滅が絶対的で他の書もこれとの関連で 権威 を認められるということなど実体的 には同一と言えるが 細部だけでなく 収録されてい る文書や 各書の順序 全体の構成などにお いて両者の相違はかなり大きい しかしディアスポラのイスラル人たちにとって LXX は実生活上 ヘブライ語原典と全く 同じ権威 をもつものとして通用していた かれらはこれが翻訳に過ぎず 真に 神のことば と言えるのはヘブライ語原典だけであると観念上は理解していたが 事実上こ のギリシャ語版は 神のことば と受け止められていた 聖なる書 とはこれだった パレスチナに比べ数の上で遥かに多かったのがディアスポラのイスラエル教徒だったが 同じイ スラエル教とはいえ 聖なる書 事情はこのようにパレスチナとは違っていたのである b ) 誕生したばかりの教会が成長していった文化環境はこちらの方だった 多くのイスラエル教徒たちにとって LXX がイスラエル教の信仰と生活の規範となる権威ある 神からの書 だった と いう事情は 初期教会において 聖なる書 とは 中心的には七十人訳ギリシャ語聖書 (LXX ) であるという事情を生んだ 誕生期キリスト教はアレクサンドリア イスラエル教の 聖なる書 目録を取りあえず大体そのまま受け入れ LXX から決定的な影響を受けることになった 誕生期のキリスト教にとって イエス キリスト以前の段階の 神の民 イスラエルに神から与 えられた権威ある 聖なる書 とは中心的には LXX を指すということになった 初代教会は一応これを権威をもった 神からの書 と受け止め 自分たちのイ エスキリスト信仰をこれを基に理解し基礎付けようとしたし ユダヤ人たちへの宣教活動も専らこの 聖なる書 の権威に訴えながら行われたのである 勿論 使徒的教会は LXX が翻訳であることを知っていたので 究極的には 規制するものとしてのヘブライ語 聖なる書 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネビイーム ) 諸書 ( ケトゥビーム ) が 神からの書 として受け入れられてはいたが 直接的 具体的には 聖な 一 110 一

11 純心人文研究第 10 号 2004 る書 とは取りあえず LXX だったわけである イスラエル教自体の正典概念がまだ明確でなく ヘブライ語原典も LXX も 聖なる書 として も文書は完全に確定しておらず 従ってアレクサンドリア イスラエル教も LXX 以外にも権威ある 神からの書 を若干認めたりしていた という 聖典 に関するあいまいな事情は キリスト教にも反映せざるをえなかった 新約聖書には エノク書 ソロモンの詩編 モーセの昇天 マカバイ記 3 など旧約聖書外典書の影響も見られる 3 ユダヤ教のヘブライ語正典 a > キリスト教の発生と共にイスラエル教の使命は終わり消滅するが イスラエル教内部にこれを 認めない者は圧倒的に多かった イスラエル教の遺産を引き継こうとするユダヤ教団が生まれた かれらはユダヤ教の歴史は少なくとも含蓄的にイスラエル教の歴史の全過程を包むものと見做した キリス ト教は当時のユ ダヤ教の異端的一派であるナザレ派として片付けられた 新生のユ ダヤ教団は先ず 聖典問題を解決せねばならなかっ た エ ルサレムを失っ たユ ダヤ教団 は不動の 権威の書 によっ て自己同一性を保持せねばならなかっ た 終末的政治的メシア待望を 語る黙示文書がユ ダヤ教内部に溢れており 真の 神からの書 をこれらから区別せねばならなか った 新興キリス ト教運動による撹乱から自分た ちの遺産を守らなければならなかった 自分 たちこそ伝統的な 神の民 の本体を継承するもの と自負してい たかれらは イス ラエ ル教で 聖 なる書 扱い されてきた LXX をキリス ト教が自分たちの 聖なる書 として用い始めたのに対抗 し これまでの LXX 尊重の態度を放棄してヘブライ語原典主義を強く打ち出すようになる LX X は誤訳や不正確訳などの欠点に満ち 収録されてい る文書にも 近年ギリシャ語で書かれたもの など 聖なる書 として相応しくないようなものさえ見られる その結果イスラエルの民が受けて きた神の啓示を誤解させキリスト教のようなものを生み出してしまった と非難を始めた 紀元 年頃のヤムニア (Jamnia) でのファリサイ派の学者たちの主導するユダヤ教最高会議 ( サンヘドリン ) でこれらの問題の解決を図ろうとした そこで 何をユダヤ教団の 正典 すなわち 信仰や生活や考え方の絶対的基準の権威的書 とするかの公式の立場が決定された これまでイスラエル教 ユダヤ教の世界で 権威ある 聖なる書 と見倣されてきたものを洗い直して 真の 神的起源の聖なる書 を確定しようとした ユダヤ教正典書の条件は次のものだった i) 聖なる言葉ヘブライ語 ( またはアラマイ ) 語で書かれたものであること ii) エズラがユダヤ人捕囚の地バビロンからエルサレムに帰還した年 ( 前 397) までに書かれたものであること モーセから第二のモーセと言われるエズラ迄が救済史であり霊感もあり 聖なる書 もありうるのである ファリ サイ派によれば 霊感はモーセからペルシャ王アルタクセルクセス王の時代までに限るというこうして以後書かれた書や パレスチナ以外で書かれたものやギリシャ語で書かれた文書はこれまでイスラエル ユダヤ教の伝統で 聖なる書 扱いを受けていたとしても 今後はユダヤ教では 聖典と見倣さないということになった 結局 正典リストに残されたのは39 文書で これが公式ユダヤ教団すなわちパレスチナ ユダヤ教の正典とされることになった 伝統に従い 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネビイーム ) 諸書 ( ケトゥビーム ) の部に分けられているが この順序は権威 一 111 一

12 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 の順序であり 聖なる書 として成立した順序でもある とされた これがユダヤ教の公式 聖な る書の総体 である イスラエル教の中で最も早くから 律法 が確定し その後さらに 預言書 も権威ある 神からの諸文書 として内容も大体は確定していた 諸書 部分はまだ形成途上でど の書が入れられるかは長い間確定されないまま来ていたが これもここで確定された こうしてユダヤ教はキリスト教に刺激されて 正典 概念を明確にした 厳密には このとき初めてイスラエル教 ユダヤ教の 正典 が生まれた 先に われわれはパレスチナ イスラエル教 のヘブライ語 聖なる書 やアレクサンドリア イスラエル教の 聖なる書 LXX について見たが これらはたしかに 神からの書 として権威を認められている諸文書の集積ではあったが そ の範囲はまだ明確ではなかった 原典が神の霊の働きを受けて生まれた 聖なる書 であるとはし ていたが 文書の確定も十分でなく 排他性も明確でなかった LXX とヘブライ語原典の間の違 いに教団として対応を取るなどのこともなかった 今回 初めてユダヤ教団は 完全に閉じられた 正典 (a definitively closed canon ) を意識的に形成しようとしたのである これは基本的には大体 すでにパレスチナ イスラエル教でヘブライ語 聖なる書 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネビイー ム ) 諸書 ( ケトゥビーム ) として輪郭的に固まりつつあったものの確定化的意味をもっていた これらの文書は形相的にはこのとき初めてユダヤ教 正典 となったのである 目録の内容は次の 通りである 律法 ( 卜一ラー ) 創世記 出エジプト記 レビ記 民数記 申命記 預言者 ( ネビイーム ) 前預言者 後預言者 ヨシュア記 士師記 サムエル記上 サムエル記下 列王記上 列王記下 イザヤ書 エレミア書 エゼキエル書 ホセア書 ヨエル書 アモス書 オバデア書 ヨナ書 ミカ書 ナホム書 ババクク書 ゼパニア書ハ ガイ書 ゼカリア書 マラキ書 諸書 ( ケトゥビーム ) 詩編 箴言 ヨブ記 雅歌 ルツ記 哀歌 伝道の書 エステル記 ダニエル書 エズラ記 ネヘミヤ記 歴代誌上 歴代誌下 だが 折角のこの決定も教団内部にはさほど浸透はしなかっ たようで その後もしばらく不安定 な状態が続く 一応 教団として 排他的固定的 に正典諸文書が 確定し ユダヤ教聖書正典目 録が真に成立するのは二世紀末と言われている 3 b ) これはユダヤ教の最高聖典すなわち 聖なる書 の目録形成の問題であるから あくまでユダ ヤ教団内部の事柄でありキリスト教に直接関係はない キリスト教の正典目録はキリスト教信仰に 固有の価値基準によって教会が自律的に決定するのである しかしキリスト教信仰を基礎付ける権威として全面依存しているイスラエル教の伝統的な神的権 威の書の問題である さらに 教会はユダヤ教との論争においてはユダヤ教徒たちも権威を認めて 一 112 一

13 純心丿 文硬究第 10 号 2004 いる文書に訴えざるをえなかった またキリスト教会の方でも LXX は翻訳書であることはよく分 かっていた こうして 新たに決定されたユダヤ教のこの 聖なる書 の目録はキリスト教側にも それなりの顧慮を必要とすることは言うまでもなかった なお LXX を追放したユダヤ教の方では ヘブライ語を解しないユダヤ教徒のために 2 世紀に新たにヘブライ語原典に忠実なギリシャ語訳聖書を作った テオドティオン (Theodotion) 訳 アクィラ (Aquila) 訳 シムマクス (Symmachus ) 訳である こうして LXX はキリスト教徒の独占的聖 書となたっ c ) このような事情は教会の イスラエル教の遺産としての聖なる書 の取り扱いを複雑なものにし 旧約聖書正典形成史にもその影響が及んだ 中心問題は ( ユダヤ教公式ヘブライ語正典が継承していると考えられる ) パレスチナ イスラエル教のヘブライ語 聖なる書 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネビイーム ) 諸書 ( ケトゥビーム ) とアレクサンドリア イスラエル教のギリシャ語 聖なる書 LXX の間の関係如何である α ) 一般には後者を前者の訳と考え この観点から訳文の批評なども行われてきた 言語学的に は酷い誤訳箇所さえ多いとされる ( 31 ) β) しかし LXX をパレスチナ イスラエル教聖典 律法 預言者 諸書 の単純な翻訳と見ることは困難である前者は後者のギリシャ語版というには余りにも違いが大きい (32) 聖なる書 として前者と後者では長さもかなり違っている 前者では収録されている文書数が増えている 後 者にない文書の翻訳があったり 翻訳的な箇所にも解説風の文章が付け加わっていることもある オリジナルのギリシャ語新文書もある 特に注目に値するのは諸文書の配列が違い 区分法が違っ ていることである 第一の 律法 の部分は共通だが 残りの区分は前者では後者におけるような 厂預言者 諸書 ではない これらの事実を説明する試みの一つとして周知のように アレクサンドリア正典仮説 ( 34) がある パレスチナ正典 (Canon Palaestinensis ;Palestinian Canon ; C,Esdrinus) とアレクサン ドリア 正典 (Canon Alexandrinus ; 1Uexanddan Canon > という異なる二つの 正典 が当時のイスラエル教 に相互にかなり独立的なものとしてあったというかつては多くの聖書学者に支持された見方だが 十分の説得力はもたない (35) アレクサンドリア イスラエル教やその 聖なる書 LXX は個性的ではあったが あくまで唯一のイスラエル教の中の一つの信仰生活の在り方を示すものに過ぎなかった 公的イスラエル教団はエルサレムを本拠としており すべてのイスラエル教徒にとって公 的 聖なる書 はヘブライ語の 律法 預言者 諸書 だった クムラン教団の諸洞窟から出土したいわゆる死海諸文書は すでに消滅したが 少なくとも マソラ本文の前段階的 原ヘブライ語底本 があり LXX はそれを基盤とした翻訳文書を中心に 形成されている という仮説を許すかもしれない se 例えば 次のように見ることができるので はないかというのである LXX における諸文書の区分や配列は基本的にはこの 原ヘブライ語底 本 のそれを忠実に反映している これは民間宗教伝承的なものまでも含んだ 聖なる書 で こ の 原ヘブライ語底本 からパレスチナではいわゆるマソラ本文の 原文 が形成されたが そこ には多くの学者たちの関与もあり ラビたちは聖典諸文書の選別 区分 序列などを独自の厳しい 一 113 一

14 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 基準で行った 現在の マソラ本文 の 原文 はこのような形成作業の結果である すでに 律 法 の部分は閉じられておりその伝統的権威は不動であったため Lxx と 原マソラ本文 にそれ がそのまま伝えられる しかし 預言者 さらに 諸書 の部分に関してはそうでなく 神のこ とば 文書集をどう組織するかの信仰的判断による人為的介入はある程度許されるとい う認識があ り その結果 原ヘブライ語底本 の 諸書 の区分や序列は LXX には大体そのまま継承された が 原マソラ本文 の方は新しいものになっている 他方 LXX の方も 原ヘブライ語底本 の 単なる逐語的翻訳でなく 解釈を加えたものになっているため 原ヘブライ語底本 のヘブライ語 は 原マソラ本文 の方に大体保存されている 現マソラ本文になく LXX だけに見られるギリ シャ語のシラ書 ユディト記 マカバイ記 1 も もともとヘブライ語で そしてトビト記はもともと アラマイ語で書かれたことが現在明らかになっているが 結局これらはヘ 原ブライ語 [ アラマイ 語 底本 のものだったと思われる パレスチナ イスラエル教はその正典形成にさいして 原ヘ ブライ語底本 を部分的には採用し これに従っ たが ある部分に関してはこれを無視し 聖なる 書 として相応しくないと判断された多くの書が切り捨てられたのである 他方 アレクサンドリ ア イスラエル教ではあまり切り捨てることなどなく 原ヘブライ語底本 は殆ど受け入れられ ギリシャ語訳 (LXX ) は大体 聖なる書 とされた LXX にはさらに 原ヘブライ語底本 の 翻訳でなく初めからこの地でギリシャ語で書かれた書 ( 知恵の書 第ニマカバイ記 ) も入っている その意味で LXX は基本的には 原ヘブライ語底本 に従ったものでありながら 単なる翻訳でな. くこれを越える面をも備えた 神のことば として形成されている というのである われわれとしては この仮説に魅力は感じながらも 次のように見たい パレスチナ イスラエル教が本来的 公的イスラエル教であるアレクサンドリア イスラエル教は実体的に同一性 を保持しつつもかなりの相違点をもつものとして それより発し それに究極的に規制されつつも 遂にはそれを揚棄する方向へと発展を続けるという側面を内包しており その限り特殊救済史論理 に沿った合理的な存在である 聖なる書 LXX に関しても どの書に特殊救済史の中でどのよう な役割を担わせるか とか 基本的な素材としての諸文書をどう配列し 全体の 中でどう位置付け るか 全体をどのように構成するかなどの判断の中に アレクサンドリア イスラエル教のこの側面がはっきり読み取られるのである (37) パ レスチナ イスラエル教のヘブライ語原典 聖なる書 が全体を構成する各部分の 正典性 の獲得川頁同時に重要 i 生順を意味する三部構成を取っているのに対し LXX は 各文書が 全体 の中に位置付けられ一定の役割を担い 全体 として特殊救済史を反映するように組み立てられている これは LXX のもつ積極的価値である しかし 同時にアレクサンドリア イスラエル教は現実の歴史内存在としては 論理を無視した非合理的な諸面をももっている 例えば どの書が 聖なる書 に属するかという判断の点でもあいまいで その結果 LXX には民衆の通俗的信仰生活の反映に過ぎないようなものも含まれ 聖なる書 とされている その限りにおいては 聖なる書 とか 正典 の概念が未熟で不正確であるとの印象が強い ( 38 ) 実際 パレスチナの公的 イスラエル教だけでなく アレクサンドリア イ スラエル教においてもまだ 正典 は厳密なものとしては成立していなかったのである 一 114 一

15 純心人文醗究第 10 号 旧約聖書文書形成 a ) キリスト教は初めからイスラエル教の 聖なる書 遣産を取りあえず引き継ぐが やがて これを独自の価値基準を基に改めて検討しつつ 相応しいものを選定確認して 主体的に自己の正典目録の中に 旧約聖書 として位置付ける. 結果的に LXX 中の文書の大部分は イスラエル教 聖なる書 身分からの本質的昇格によって 旧約聖書文書 ] の位置を与えられることになる 不採用のものも若干出てきた (39) そもそも当時 LXX 自体が明確に特定諸文書だけから形成されていたわけではなく流動性もあった 写本によって収録文書に違いがあることから分かる ここでさ らに LXX そのものが聖典として内容に問題がなかったわけではないことも見逃してはならない (40) 旧約聖書文書の形成基準を確認しておく必要がある 基礎になるのは使徒的教会の判断である アレクサンドリア イスラエル教を直接的な自分たちの源流と見た 使徒的教会はイスラエル教 直接的にはアレクサンドリア イスラエル教が 聖なる書 としていたもの の中から 真の 聖なる書 と判断したものを 神のことば の書として受け取ったのである α ) 使徒的教会は LXX をイスラエル教の 聖なる書 と考え これが教会にとっても一応 聖 なる書 であると受け止めた ゆえに一般的には LXX の各書は聖書文書とされる β) 使徒的教会はパレスチナ イスラエル教がヘブライ語原典の 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネビイーム ) 諸書 ( ケトゥビーム ) を 聖なる書 としていることを知っておりこの事実を受 け入れていた 流動的な面は多く残っていたが 少なくとも律法と預言者の大部分および諸書のあ るもの ( 例えば詩編 [Cf. ルカ ]) は大体 聖なる書 として受け入れていた その限りにお いてこれらに関する限りヘブライ語原典の根源性を受け入れていた LXX の権威はヘブライ語原 典の権威によって基礎付けられまた制約されるものであることを含蓄的に受け入れていた 教会も その限りにおいてパレスチナ イスラエル教のヘブライ語 聖なる書 原典の根源的権威を認める γ ) 使徒的教会にとって イスラエルの歴史も 聖なる書 も究極的にはイエス キリストの出 来事によって意味を与えられるものであると考えられており (Cf. マタイ 5 17) この観点からの 各書への批判的対応は当然あった この観点からは 聖なる書 のヘブライ語原典は構造的には L XX に劣るものとされる LXX には未来への希望が一貫しておりイエス キリストに対して開か れてい るのにヘ ブライ語原典にはこれは十分ではない ( 41 } 使徒的教会にとってヘブライ語 聖なる書 原典の権威は最終的なものではなかった 一応公的 イスラエル教の立場を受け入れ これを 原典 とはするが 無条件の権威は認めない 究極的に LXX を規制する限りのものとしての権威である ヘブライ語は特殊救済史的にイスラエルの民が先ず選ばれた民であり かれらの日常言語がヘブライ語であったことから特別に重視される言葉である 旧約聖書の正典論でもパレスチナ イスラエル教のヘブライ語 律法 預言者 諸書 は基 礎的原典として LXX を初めとする翻訳書や アレクサンドリア イスラエル教の中で生まれたギリシヤ語書き下ろしの 聖なる書 の聖書的価値を評価する基準として機能する その限りにお いて これらの諸書を究極的には規制する キリスト教の立場からはユダヤ教のヘブライ語正典の価値は殆んど認められないが パレスチナ イスラエル教のヘブライ語原典 聖なる書 の価値は 一 115 一

16 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 大きいのであるしかしこの重視にも限度があるヘブライ語原典は絶対視されない 先ず ヘブライ語で書かれたものであることを 聖なる書 の条件とすることは エズラ記やダニエル書がアラマイ語で書かれていることから見てもすでにおかしい 言語はそもそも相対的なのであり ( 創 ) 絶対的な言語などない というのが聖書の言語論の基本命題である またヘブライ語原典 聖なる書 は 後にファリザイ派ラビたちが形成する ユダヤ教聖書正典 の原典的 規範的 役割を果たしたと思われるが 収録されている文書の成立時期も限定されている δ ) 他方 LXX も絶対視されえない LXX はイスラエル教の 聖なる書 に過ぎず 教会の 聖なる書 とならねばならぬ あくまで イエス キリスト中心的救済史観の観点からの価値基準 に従って 各書は吟味される ここで重要な役割を果たすのは 教会の教会的信仰感覚である 42 ) こうして上述のように LXX には教会の旧約聖書文書として受け入れられなかったものもある 使徒的教会は一般的にアレクサンドリア イスラエル教の現実を大切にしており それが新約聖書に見られる引用や言及に現れる そこには現在の 旧約聖書 の諸文書だけでなく外典書なども 神のことば として引用されている ( 例えばユダ は外典書エノク 1 9) 正典の範囲がま だ不明確でエノクは一部の人々からは正典と見做されていたらしい しかし最終的に使徒的教会は聖霊の導きの下 自己の判断で特定の 46 文書を自らの旧約聖書として決定的に受け入れるのである b > こうして使徒的教会は LXX を素材にして教会の聖書としての旧約聖書文書を形成した イスラエルの民 直接的には アレクサンドリア イスラエル教の中で 広義の霊感 によって形成されていた46 の 聖なる書 は 使徒的教会より教会の 聖なる書 としての認定を受けることにおいて 新約聖書文書と同じ 厳密な意味での霊感 の支配下に置かれ 旧約聖書文書 として形成 されたのである α ) 全体は三部構成である 歴史書 創世記 出エ ジプト記 レビ記 民数記 申命記 ヨシュ ア記 士師記 ルツ記 サム エ ル記上 サムエ ル記下 列王記上 列王記下 歴代誌上 歴代誌下 エ ズラ記 ネヘ ミヤ記 トビト記 ユディ ト記 エス テル記 マ カバイ記 1 マ カバイ記 2 教訓書 ヨブ記 詩編 箴言 ( 格言の書 ) コヘ レトの言葉 ( 伝道の書 ) 雅歌 知恵の書 シラ 書 ( 集会の書 預言書 イザヤ書 エ レ ミア書 哀歌 バル ク書 エ ゼキエ ル書 ダニエ ル書 ホセア書 ヨエ ル書 アモス書 オバ デア書 ヨナ書 ミカ書 ナホム書 ババ クク書 ゼファニ ア ( ゼパニ ア書 ) ハ ガイ書 ゼカリア書 マ ラキ書 三分類や書の順序は LXX のそれをそのまま採っ てい る 注目に値するのは ここでも LXX の場合と同様 ( 恐らくパ レスチナ イスラエ ル教の 聖なる書 に そして ) ユ ダヤ教のヘ ブライ 語正典にない諸書も含まれてい るが それらはまとめてではなく 各書がそれぞれ全体の中の一書 として位置付けられていることである 一 116 一

17 純心人文研究第 10 号 2004 β) ( 恐らくパレスチナ イスラエル教のヘブライ語 聖なる書 や ) ユダヤ教正典とはかなり違 う特に 律法 ( トーラー ) 預言者 ( ネビイーム 1 諸書 ( ケトゥビーム ) の分け方ではない 先ず ここで歴史書とされているものは ユダヤ教のヘブライ語聖書ではヨシュア記 士師記 サムエル記 ( 上 下 ) 列王記 ( 上 下 ) は 預言者 に入れられており エステル記 ( 補遺を除く ) エズラ記 ネヘミア記 歴代誌 ( 上 下 ) などは 諸書 に入っている トビト記 ユディト記 マカバイ記 (1 2) エステル記補遺はユダヤ教ではそもそも聖書とは認められていない 次に 教訓書とされているものは ユダヤ教聖書正典では殆どが 諸書 の中に入れられている あるもの ( 知恵の書 シラ書 ) に至ってはそもそも聖書の中に入っていない 最後に預言者については ユダヤ教聖書正典では これらの中の イザヤ エレミア エゼキエ ル 十二預言者だけが 預言者 の中に入れられており 哀歌 ダニエル書 は 諸書 の中に入 れられている γ ) マソラ本文に見られない LXX またキリスト教旧約聖書文書の特色は全体が 未来 へと方 向付けられていることである 預言書 は最後に置かれている 何かが 待たれている ことを全 体が語っているのであり この点は特に強調に値する t 日約聖書正典形成史 以上は 旧約聖書 文書の 形成 である これが正典としての地位を得ることは以後の問題で ある 長い歴史が始まる 概略を見よう C45) a ) 一世紀および二世紀半ばまでの初期教会の時代はイスラエル教の聖書正典の概念や範囲が明確に決定されておらず あいまいであったので これがそのまま反映し 教会にも明確な正典観念はなかった 当時アレクサンドリア イスラエル教で公的にまた民衆間で 聖なる書 として重んじられていたものを特別違和感をもつこともなくそのまま受け入れている 使徒的教会が一般的にアレクサンドリア イスラエル教の現状を大切にしていたことは 新約聖書に見られる引用や言及に現れている 現在の 旧約聖書 の諸文書だけでなく外典書なども 神のことば として引用して いる ( 例えばユダ は外典書エノク 1 9) b ) 二世紀半ばから三世紀になると事情は変わる 確定した正典目録をもち それを特に意識したユダヤ教の側の毅然たる態度が見られるのに 教会の側ではその旧約聖書正典形成はまだ未熟であいまいだったことが いろいろなところに現れてくる 特に東方教会においてヘブライ語聖書 ( ユダヤ教正典 ) へのこだわりが見られる しかしその温度差は各人によってさまざまである 中にはヘブライ語コンプレックスに強く支配されている者もいたが 大勢的には公的教会が取っている基本形態度が堅持され ギリシャ語聖書の基礎性は維持されていた 二世紀末には旧約聖書正典形成の大勢は大体決定していた助とはいえ 不安定を抱えながらのものだった ということであ る ユダヤ教との論争によって特にヘブライ語原典基礎性の思想が現れ強まっていったのである α ) ーロマのクレメンス (Clemens Romanus,c.101 ) ポリカルプス (Polycarpus, +156) エイレナイオス (Eirenaios, 203 ) ヘルマスの牧者 (Hermae Pastor ) の著者 バルナバの手紙 (EpistulaBarnabae ) の著者など初代教会の著作者たちはアレクサンドリア イスラエル教で 聖 一 117 一

18 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 なる書 とされていたもの あるいは 聖書ではないが信仰生活にとり有益 とされていた書を それが正典書か外典書かを特に区別する意識もなく 自由に用いる これは従来から続いていた当 時の教会一般の状態の反映だった β)2 世紀の半ば頃 (150/155) ユ スティヌス (Justinus, +167>は ユダヤ教徒との論争のときか れらの聖書は教会の 旧約聖書 と違うため. 自分はかれらが聖なる書と認めているものだけを用 いる と言っている (Dialogt {s cntm TryPhoneJudaeo) γ ) エウゼビオス 教会史 によればサルディスの司教メリト (Melito Sardensis+194/5 以前 ) がオネジムス (Onesimus) に 自分は東方に行きどれが厳密に 日約聖書に属する本かを確認したの でこれを知らせる といって 書名のリストを挙げている (A.D.175) これはユダヤ教のヘブライ 語正典書だけ ( 但しエステル記の名はないがこれは当時ユダヤ教内部でこの書の正典性が議論され ていたことの影響 ) で 現在の 旧約聖書 の中の他の書の名前はない ( 48) δ) アレクサンドリアのオリゲネス (Origenes, +254) はユダヤ教の聖書はこれだと言ってヘブラ イ語原典の書名を挙げている (Cf.EusebiusCaesariensis,Histon a ecctesiastica, IV, 25) が 自分がそれ を聖書正典とするというのではない 教会の受け入れているのはギリシャ語の旧約聖書だとは は っきり言っている ε )AD.200 頃出来た旧約聖書のシリヤ語訳はユダヤ教のヘブライ語聖書正典部分だけで教会の旧 約聖書 に属する他の書はない これらの書の訳は後に追加された ζ) テルトリアヌス (Tertullianus, 220) + の中にユダヤ教徒との論戦のとき自分が依拠した第一エ ノク書 (LiberHenoch Aethiopicus > カ s ユダヤ人たちには 聖書 として通用しなかった という記 述が見える 現在の教会の理解では第一エノク書は旧約外典書 (ApocryphaVeterisTestamenti) の 一つとされている (49> 外典書 (Apocrypha) とは 聖書正典形成期の教会が 聖書ではないが信 仰生活には有用で価値ある書 と認定した書である ( 前注 39 参照 ) テルトリアヌスはこれを 聖書 文書 と考えていたことになる 第一エノク書 (1 9) は ユダの手紙 においてさえ引用されて いる ( ユダ 14 16) ほどで 初期の教会では長く 聖なる書 として重んじられていたらしいが テルトリアヌスの頃までも教会の 旧約聖書正典目録 はまだ内容的にも厳密さや明確さは十分で なかったことが分かる η) このようにまだ正典概念の曖昧さがあり またユダヤ教との論争の影響によって一部関係者の中にはヘブライ語聖書原典を重視する考え方も見られはするものの 大勢においてはギリシャ語 訳旧約聖書 46 書を 神の霊感の書 として典礼や宣教において用いる というのが 2 世紀後半から 3 世紀にかけての教会の一般的姿勢だった c ) 四世紀には意識も進み正典形成過程はより進展する 問題もはっきりしてくる 東方教会の一部にユダヤ教のヘブライ語原典絶対主義の影響を受け 旧約聖書中のこれと無縁の 七書の 正典性 への疑問を示す見解がかなりはっきり見られた 西方教会では 若干の例外を別とすれば 使徒的教会の認識に忠実にギリシャ語 46 書を旧約聖書 正典として受け入れる立場の者が圧倒的に多かった α ) 東方教会の重要証言としてアレクサンドリアの総大司教アタナジオス (Athanasios, > 一 118 一

19 純心丿 文研究第 10 号 2004 が 367 年にエジプトの諸司教に宛てて送った 第 39 復活祭書簡 (EpistUlafestalis 39a) がある こ の中でアタナジオスは旧約聖書正典の書名を挙げている ( 5 ) ユダヤ教のヘブライ語正典と同じで ある キリスト教もこの点でユダヤ教とは完全一致すると言うつもりらしい 現在教会が旧約聖書 としているものも他の書はすべて除かれている いやそれだけでない アタナジオスは先ずこのよ うに旧約聖書としてユダヤ教正典目録を挙げ 次に新約聖書として現行のものと同じ正典目録を挙 げ その後に次のように付け加える 以上のものとは別に 正典には入れられなかった他の書物 が存在するが それらは新しくわれわれの仲間に加わった人で 信仰の言葉を教育されるのを望む 人々に読まれるよう 父祖たちに指定されたものである それはソロモンの知恵とべン シラの知 恵 またエステルとユディト トビト それに使徒たちの教えと呼ばれているものと牧者である (51) すなわちアタナジオスは 知恵の書 シラ書 エ ステル記 ユディト記 トビト記 を聖書正典ではなく 洗礼志願者教育用の有益な読み物としているのである この書簡は後に見る ように現行新約聖書正典目録の証言として大きな価値をもっているが 旧約聖書正典論では使徒的 教会の立場から大きく離れてい る β しかし 西方教会にもユ ダヤ教聖書正典だけが霊感を受けた 神からの書 であり 教会で 旧約聖書 とされてはいてもそうでない 諸書は 神からの書 でなく 教会の書 (liberecclesiasti cus ) であるとする 例えばルフィーヌス (Rufinus, + 410) のような者もいた (52> 先のアタナジオ スと同じ考え方で これらの書の霊感性の否定である これらの書は霊感とも啓示とも関係がない が 信者の霊的生活のためには有益といういわゆる外典書扱いである γ さらに西方教会でこのような見方を取った特に重要な人物はヒエロニムス (Hieronymus, +419 ) で 教会はユダヤ教の正典目録と同じ旧約聖書正典目録をもつべきだという考えを西方教会に広め る努力をした かれは旧約聖書とされてきている文書でユダヤ教の聖書正典目録にないものをはっ きりと外典 (Apocrypha) と呼んだ これらの書の正典性も霊感性も否定される (53) δ ) ユダヤ教のヘブライ語原典以外の旧約聖書文書の 完全な正典性 に大なり小なりの疑問を示した者として 他にも例えばエルサレムのキュリロス (CyrillusHierosolymitanus, +387) ナジアンゾスのグレゴリオス (Gregorius Nazianzenus, +390 ) エピファニウス (Epiphanius, +403) などがいた この考え方は後の時代にも現れ 例えば 大グレゴリオス (Gregorius Magnus, +604) ダマ スコのヨハネ (JoannesDarnascenus, +749 ) サン ヴィクトルのフーゴー (Hugo a S.Victore, ) ライラのニコラウス (NicolausLyranus, +1349) カエターヌス ( lhomas de VrioCajetanus, +1534) な どが名を連ねる ε ) だがこのような立場は全体的に見ると西方教会に関する限り全くの少数派であった大多数 はギリシャ語聖書の正典性を受け入れていた 教会も基本的にこの見方を採っていた ζ) 教皇ダマズスー世 (Damasus 1> の教令 ダマズズ教令 (Decretum Damasi) (AD.382) に は旧約聖書正典目録があり そこには 46 書が挙げられている (DS 179) η) 西方教会の重要な証言者はアウグスティヌス (AureliusAugustinus, ) である かれは 旧約聖書の正典目録を残しており ( 54 ) そこには現在カトリック教会で旧約聖書正典とされている 46 書が挙げられている 一 119 一

20 Consulentitibi ad Exsuper 証 um Episc,Tolosanu 皿,20.Feb.405 ) もこの点で全く同様である (55) Nagasaki Junshin Catholio Catholic UniversityfNagasaki University/Nagasaki Junshin Junior College 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 θ) また A.D.400 年前後 西方キリスト教の中心地の一つである北アフリカで三度教会会議が開か れ ( ヒッポ会議 [Oct.393] ; カルタゴ会議 [Aug.397] ; カルタゴ会議 [Mai.419 ]) 正典問題が論じ られたが ここで採択された旧約聖書正典目録は現在のものと同じ 46 書である これらの教会会議 におけるアウグスティヌスの影響は非常に大きかった ) 五世紀初めの教皇インノチェンチウスー世 (lnnocentiusi, 在位 ) の書簡 (Epistola: κ ) こうして 全教会的に見る限り 四世紀末には大体において現在と同じ 46 書が旧約聖書正典 とされていると一応言えそうである (56> たしかにそれはまだ地上の普遍教会の安定した決定的認 識からは程遠いものであった 特に ユダヤ教ヘブライ語正典以外の旧約聖書諸文書の 正典性 を疑問視する見方が東方教会において根強く残り続けていることは見逃されてはならない だがこ のような曖昧さは留めながらも 大勢におい て捉える限り 旧約聖書正典目録に関しての全教会的 規模での共通認識は四世紀末には形成されているとすることができる と考えられる d ) フィレンツェ公会議 (ConciliumFlorentinum, ) はそのヤコブ派との合同大勅書 (CantateDomino, AD.1442) の申で カトリック教会は聖霊の霊感の下に書かれた次の文書を聖書 として受け入れる として旧新約聖書の正典目録を提示してい るが そこでは旧約聖書として現在 の目録と同じ 46 書が挙げられている ( 57) ユダヤ教ヘブライ語正典への顧慮はない 先に見た 使 徒的教会が旧約聖書として受け入れたものと同じ名簿である ( 58 これは普遍的教導職の発言であ り公的カトリック教会の見解を表明しているものとされる e ) トリエント公会議 フィレンッェ公会議 (1442) による正典目録 (EnBi,n.47) を確認する形でトリエント公会議の第四会期の第一教令 ( RecipiuntUrlibri sacri et traditiones apostolorum )( DS 1502) は 1546 年四月 8 日に旧約聖書正典目録の正式決定を行っ た 旧約聖書正典形成過程はこれで一応終了したことにな る トリエント公会議もフィレンツェ公会議同様 旧約聖書諸文書をそれがユダヤ教ヘブライ語正 典に属するか否かなどの顧慮なく 全てを等しい霊感の書として教会が伝統的に受け入れてきたか らとして 全 46 書を正典として最終決断をもって公的に受け入れたのである (59 ) 提示は次のようになっている モーセ五書 ( 創世記 出エジプト記 レビ記 民数記 申命記 ) ヨシュア記 士師記 ルツ記 列王書 4 巻 ( サムエル記上 サムエル記下 列王記上 列王記下 ) 年代記 2 巻 ( 歴代誌上 歴代誌下 ) 第一エズラ記 第ニエズラ記 ( ネヘミヤ記 ) トビト記 ユディ ト記 エステル記 ヨブ記 詩編 箴言 ( 格言の書 ) コヘレトの言葉 ( 伝道の書 [Ecclesiastes ]) 雅歌 知恵の書 シラ書 ( 集会の書匸 Ecclesiasticus ]) イザヤ書エ レミア書 ( 哀歌も含む ) バ ルク書 エゼキエル書 ダニエル書 十二小預言者 ( ホセア書 ヨエル書 アモス書 オバデア書 ヨナ書 ミカ書 ナホム書 ババクク書 ゼファニア [ ゼパニア ] 書 ハガイ書 ゼカリア書 マ ラキ書 ) マカバイ書 2 巻 ( マカバイ記 1 マカバイ記 2) のこうしてカトリック教会の旧約聖書正典は ユダヤ教の聖書正典に入っている諸書と 入ってはいないが聖書に属すると教会が判断する書の両方から成ることになる 両者は区別されず平等の取り扱いを受ける 旧約聖書正典の直接的な源泉はギリシャ語 LXX である この中から認定され 一 120 一

21 純心人文研究第 10 号 2004 選び出された 46 書である LXX は 紀元前 13 世紀以来 数世紀の聞にイスラエル人によって書か れた諸書を終極的原典とする翻訳文書より成るが 訳ではなく初めからギリシャ語で書かれた書も 若干含まれている ( 知恵の書 マカバイ記 21 古代以来一部の著作家 論争家 神学者 聖書学者 教会指導者などの間で長期に亙って論じら れてきた ユ ダヤ教との正典の共通性の問題の観点から整理すると カトリック教会の旧約聖書正 典は次のように二分される ユダヤ教ヘブライ語正典にも入っている書は 創世記 出エジプト記 レビ記 民数記 申命記 ヨシュア記 士師記 ルツ記 サムエル記上 サムエル記下 列王記上 列王記下 歴代誌上 歴代誌下 エズラ記 ネヘミヤ記 エステル記 ヨブ記 詩編 箴言 ( 格言の書 ) コヘレトの言葉 ( 伝道の書 ) 雅歌 イザヤ書エ レミア書 哀歌 エゼキエル書 ダニエル書 ホセア書 ヨエル書 アモス書 オバデア書 ヨナ書 ミカ書 ナホム書ババ クク書 ゼファニア書 ( ゼパニア書 ) ハガイ書 ゼカリア書 マラキ書である これらはユダヤ教で正典であり 神からの書 として受 け入れられている プロテスタント教会諸派はこれら 39 書だけを 旧約聖書正典 と考える ユダヤ教ヘブライ語正典に入っておらず 従ってユダヤ教は聖書と認めていないがカトリック教 会は上のものと同じ 神からの書 と認め旧約聖書の一部としている書 これはトビト記 ユディ ト記 ギリシャ語エステル記 ( 上に挙げたエステル記の本文中に挿入され 1 1a 1r 3 13a 13g 4 8a 8b 17a 17z 8 12a 12v 10 3a 31 となっている ) マカバイ記 1 ( 上 ) マカバイ記 2 ( 下 知恵の書 シラ書 ( 集会の書 ) バルク書 ( エレミアの手紙 は第 6 章 ) ダニエル書補遺 ( この中 アザルヤの祈りと三人の若者の賛歌 は に スザンナ は 13 章 そして ベルと竜 は 14 章として すべてダニエル書に収録されている ) である プロテスタント教会諸派はこれらを旧約聖書正典とは認めず 外典書 (Apocrypha ) と呼ぶ 霊感とは関係なく 聖書ではないが 信 仰生活には有益な書という 四 新約聖書 正典形成過程 (60) 1 新約聖書諸文書の蒐集すでに成立しているある新約聖書文書を まだ正典として認定されていない段階で 自分たちの信仰や生活における規範的なものとして受け入れ これを用いたり 保存したり この種のものをできるだけ沢山収集しようと努力することは 教会の一部ではすでに一世紀の半ばから始まってい た この傾向は 二世紀の後半 すなわち 使徒的教会以後の時代になると全教会に広がり本格化 していく 事情は各地方教会によって異なっているが 具体的な情報の量も時代を下る程増えてく る 教父たちの書き物から どの地方教会でどの書が教会の典礼 カテケジス 宣教を初めとする 信仰生活において 権威ある 書とされていたかが分かる そこには豊富な言及や引用がある 文書の方も正典目録に入れられるまでの事情は各書まちまちである ( 61 ) パウロの手紙などはその殆どがあちこちで早くからまとめられ手紙集となっていたようで C62) 一世紀末には知られていたことはローマのクレメンス (Clemens Romanus ) の コリントのキリス 一 121 一

22 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 ト者への手紙 1 (Epistulaad Corinthios1) (c.97) から分かる (47 1 3) 但し 必ずしも権威あ る 神からの書 とされたということではない パウロの手紙を旧約聖書と並べたのは ベトロの 手紙 2 が初めてだった ( ) 四福音書が集成され諸文書の中で特に重んじられるものとなったのは二世紀後半であろう (63) 他の書も徐々に教会の中で権威を認められていった 使徒言行録 は早かったようである 全キリスト者への手紙 は ヨハネの手紙 1 を別にすれば 何れもかなり遅れたが 各書それぞれが別々に 権威ある書 としての地位を得ていった ヨハネの黙示録 は東方教会においては状況は厳しく4 世紀になってもまだ議論が続いていた ヘブライ人への手紙 も西方教会では4 世紀末ころ になってやっと正典性が認められた 2 2 世紀末の事情 新約聖書正典の形成も 2 紀末には中核的には一応決着してい ると言えそうである圃 a ) 当時の事情は教会著作家たちの文献から伺われるかれらがどのような文書をどのように評価 していたかが知られる α ) 先ず 注目される資料はタティアノス (Tatianos,+c.180) の ディアテッサロン (Diatessaron ) (c.170) である 四福音書を重複箇所や矛盾箇所を取り除いて調和的に一書にまとめたものである ( 65> β) 正典概念の確定に関してのエイレナイオス (Eirenaios,+c.200) の神学的貢献は大きい 66> かれは旧約聖書 (46 書 ) と新約聖書の意義とそれらの相互関係の救済史神学を展開した 議論においては新約聖書は四福音書やパウロの書簡 使徒言行録 が用いられた フィレモン ヤコブ ペトロ 1 ヨハネ3 ユダ ヘブライ は出てこない ヨハネの黙示録 は 主の弟子ヨハネの書 として出てくるし ヘルマスの牧者 や クレメンス 1j も重視されているが これら三書 は正典とは見られていない γ ) テルトリアヌス (Tertullianus, +222 ) から北アフリカの事情が分かる かれは四福音書 使 徒言行録 パウロの 13 書簡 ヘブライ人への手紙 ペトロ 1 ヨハネ 1 ユダ ヨハネの 黙示録 などを正典と見ていた ヤコブ ベトロ 2 ヨハネ 2 ヨハネ 3 の四書を除き 23 書が正典とされてい る ( 67) δ アレクサンドリアのクレメンス (Clemens Alexandrinus, + c.211) は四福音書 使徒言行録 パウロの 14 の手紙 ( ヘブライを含む ) ペトロ 1 ヨハネ 1 ヨハネ 2 ユダ ヨハネの黙示 録 にも権威を認めた しかし かれは バルナバの手紙 クレメンスの手紙 1 ディダケー ヘルマスの牧剖などの 使徒教父文書 や ヘブライ人福音書 エジプト人福音書 ペトロ 黙示録 など典外諸書をも重んじている ( 68) δ ) 以上三人の教父から見る限り 二世紀末の教会では 四福音書 使徒言行録 パウロの 13 書簡 ( 但しエイレナイオスでは フィレモン は欠けている ) ペトロ 1 ヨハネ 1 ヨハネの 黙示録 は正典的地位を得ているが ヘブライ ヤコブ ペトロ 2 ヨハネ 2 ヨハネ 3 ユダ は不安定であり その一方 使徒教父文書 や新約聖書外典書の中にも尊重され権威を認 められている書があるなど 正典概念は曖昧で不安定であることが分かる 一 122 一

23 純心人文研究第 10 号 2004 b ) 注目すべきものとして 18 世紀に発見されたラテン語 ムラトリ断片 がある ( 69) ムラトリ正 典目録 (the Muratorian Canon )1 とも呼ばれる文書で 8 世紀頃の写本で初めと結びの部分は損傷し ている オリジナルはギリシャ語で 2 世紀の第 4 四半世紀末にローマ近くで成立したものと推定されている 新約聖書に関する二世紀末ころのローマ教会の公式見解が読み取られる 新約聖書正典目録の最古の資料である 正統信仰にとって基準と見なさるべき文書のリスト すなわち 解説付きの正典表 である 現在の新約聖書正典 27 文書中 共観三 福音書 と ヨハネによる福音書 使徒言行録 f パウロの手紙 13 編 ユダの手紙 ヨハネの手紙 二編 ヨハネの黙示録 の合計 22 書が出てくる 但し 冒頭に ルカによる福音書 を第三として挙げているので 前に マタイによる福音書 と マルコによる福音書 があったと解釈した上での話である 使徒的著作であることが正典の基準とされている 現在の正典表に欠けているのは ヘブライ人への手紙 ヤコブの手紙 ペトロの手紙 二編 ヨハネの手紙 一編である 現行正典外の書は ペトロの 黙示録 ヘルマスの牧者 である 注目に値するのは ここで聖書正典が 普遍的教会で受け入 れられている ことが繰り返し強調されている点である 聖書正典が全教会的なものであること 普遍的性格をもつものであることが主張されているのである c ) 以上から 二世紀末には新約聖書正典目録は 細部や周辺部は不明確また動揺的だが 中心部 分においては大体現在のものが出来上がっている と考えることができる 3 3 世紀以後の東方教会 a ) オリゲネスとエウゼビオス (7e ) 東方教会の事情を知るのに重要な情報提供者はアレクサンドリアの神学者オリゲネス (Origenes, +254) である エジプト パレスチナ ギリシャなどを広く旅行し 諸地方教会の信仰 生活の規範の書を巡る事情に非常に詳しかったと言われている エウゼビオス ( 教会史 VI 25> によれば オリゲネスは当時の諸教会における 聖なる諸文書 事情を次のように整理していたという霊感を受けた書 使徒時代に起源をもつ書 などとして 大なり小なりの権威を認められている書は地方地方で異なっているが 整理してみれば 問題とな りうる全文書は三種に分類される 先ず 諸地方教会で異議なく広く受容されている書があり 四 福音書 使徒言行録 パウロの 13 書簡 ペトロの手紙 1 ヨハネの手紙 1 ヨハネの黙示録 などはこれに当たる また あちこちで権威ある書としての扱いを受けている一方 ある地方では そのような権威を認められていない というようなものもあり ヘブライ人への手紙 ヤコブの 手紙 ペトロの手紙 2 ヨハネの手紙 2 ヨハネの手紙 3 ユダの手紙 などはそうである また バルナバの手紙 や ヘルマスの牧者 もここに入る これに加えて オリゲネスは異端者 の書いた偽作であることが分かっており どこの教会においても 聖なる書 とは見られていない ものについても語っており 例えば エジプト人福音書 トマス福音書 バシリデス福音書 マッテヤ福音書 などの名が挙げられているという, 現在の新約堅書正典目録は まだいろいろ不安定な部分を持ちながらもかなりはっきり姿を整え始めていることが分かる なお 2 世紀の場合もそうだったが ここでも 疑い は専らその書の 使徒性 すなわちそれが使徒的著作であるかど 一 123 一

24 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 うかに関するものだった エウゼビオス (Eusebius Caesariensis, + 339) はオリゲネスを参考にしてであろう同書中に (III 25) 自分の分類を示している (c.303) α ) 全世界の教会で異議なく受容されている書 公認書 (homologoumena ) 四福音書 使徒言 行録 パウロの 14 書簡 ( ヘブライ人への手紙 を含む ) ペトロの手紙 1 ヨハネの手紙 1 が そうである ヨハネの黙示録 も入るかもしれない と言う β) 多くの教会で受け入れられてはい るが 受け入れていない教会もあるもの (antilegomena ) ヤコ ブの手紙 ペ トロ の手紙 2 ヨハ ネの手紙 2 ヨハ ネの手紙 3 ユ ダの手紙 などがこ れに入る ヘ ブライ人福音書 もそうである ヨハ ネの黙示録 もここに入るかもしれない と 言う γ ) 異端者の書いた偽作としてはっ きり拒否されてい る諸書もある エ ジプト人福音書 トマ ス福音書 などである オリゲネスとエウゼビオスは結局 新約聖書正典書を二種類に分けている点で共通である この 分類は教会の以後の正典理解に大きな影響を与えた (Cf. 五 3 a ) b ) ヨハ ネの黙示録 71> 東方教会では ヨハネの黙示録 の地位の不安定さが特に目に付く昔からこれはゼベダイの子 で福音書と第 一〇手紙を書いたヨハネの著作とされていた しかし これに疑問をもつ者や否定する見方がディオニジウス (Dionysius Alexandrinus, + 265) の頃から現れる オリゲネスは ヨハネの黙示録 を正典に入れていたが 弟子たちの時代になる と事情は変わり始める 四世紀初頭のエウゼビオスも ヨハネの黙示録 には疑問をもっていた 先に見たように これが霊感を受けていると考える者もいるがこれを疑問視する者もいると言う 四世紀中ごろのキュリロス ( 386) + の正典表には ヨハネの黙示録 を除いた現行の新約聖書 26 書の名がある 四世紀末のナジアンゾスのグレゴリオス (+390 ) の正典表も同じである コンスタンティノポリスの総大司教クリュゾストモス ( +404 ) テオドレトス (+ c.460 ) なども ヨハネの黙示 録 の正典性を認めない 勿論 正典性を認める者も居るには居た メトディオス (Methodius, +311) がそうだった サラ ミスの司教エピファニオス (Epiphanius,+403) がそうだった 直ぐ後に見るように (d ) アレク サンドリアの総大司教アタナジオスもそうだった 東方教会における ヨハネの黙示録 に関する動揺はかなり長く続く 692 年のコンスタンティ ノポリスにおける東方教会の司教たちの司教会議 トゥルルス (ConciliumQuinisextum ) は ヨ ハネの黙示録 を含む正典目録と含まない目録の両者を作成した ニチェフォロス (Nicephorus, + 829) の作成した 9 世紀の正典目録においても ヨハネの黙示録 は新約聖書に入れら れていない 不信の根拠には本書の千年王国思想 (Chiliasmus) や 理解しにくい象徴 幻視など内容に基づ くものもあった 東方教会において ヨハネの黙示録 を含む 27 文書の新約聖書正典目録が確定したのは 10 世紀に 一 124 一

25 純心人文研究第 10 号 2004 なってからである C ) 全キリスト者への手紙 現在 全キリスト者への手紙 としてまとめられている諸書の中に正典性を問題にされたものが 若干ある すでに見たようにオリゲネスは ヤコブの手紐 ペトロの手紙 2 ヨハネの手紙 2 ヨハネの手紙 3 ユダの手紙 を 著者が使徒であるかどうか賛否両論があるとしており エ ウ ゼビオスもこれらを議論されている書としている この時期には東方教会では 全キリスト者への手紙 中の各書の霊感についてはまだ統一的見解 はなかったと言うべきであろうしかしこの問題は次に見るアタナジオスの書簡で解決した d ) この時代の東方教会の文書として重要なものに 先に旧約聖書正典問題で言及した 367 年に アレクサンドリアの総大司教アタナジオス (Athanasius, + 373) が管区の全司教たち宛てに送った所 謂 第三十九復活祭書簡 (Epistulafestalis 39a) がある 現在のものと同じ新約聖書正典目録がこ のとき示されているのである 72 ) この書簡の影響は大きかっ た さすがに ヨハ ネの黙示録 の 権威を認めさせることはできなかったが 全キリスト者への手紙 の正典性についてはこの書簡の 見方が以後東方教会の見解となった なお この書簡は正典目録を提示するだけでなく 同時に 教会が 退けるもの と 信仰生活に有益なもの をも示している 後者として デイダケー ( 十 二使徒の教訓 ) や ヘルマスの牧者 が挙げられていることはすでに触れた ( 三 5c α ) e ) シリア教会 シリアは東方教会に属するが ギリシャ教父たちとは別の考察が必要であろうここではギリシ ヤ語ではなくシリア語の聖書が使用されていたからである シリア教会の歴史では ディアテッサロン (Diatessaron ) 74 ) が大きな影響を及ぼしてきた ユ スティノスの弟子タティアノス (Tatianus, c.110 ) が 170 年頃編纂したものと言われている 四福音 書通観 ( 和合福音書 [Harmoniae Evangeliorum ]) である ( 前注 65 参照 ) 四福音書を一つの物語 に編集したもので非正典 ( 大工ヨセブの歴史 と ヘブライ人福音書 ) からも若干素材を取って いる 原語がギリシャ語であったかシリア語であったかははっきりしないが ギリシャ語版とシリ ア語版の両方があり シリア教会ではシリア語 ディアテッサロン が長い間 福音書 として用 いられた シリアのエフラエム (Ephraem,+373 ) が四世紀に書いた ディアテッサロン の注解書 もよく用いられた シリア語訳聖書 ペシッタ (Peschitta) にも新約聖書部分 (PeschittaNT ) が あり エデッサ (Edessa ) 司教ラッブーラ (Rabbula } の業績とされる そこには 古シリア 語訳 を基礎とした四福音書があったが これが ディアテッサロン に代わって正典目録に登場 するのはやっと 5 世紀になってからである 5 世紀からのシリア教会の正典は ペシッタ で 四 福音書 使徒言行録 15のパウロ書簡 ( ヘブライ人への手紙 コリント人への第三の手紙 を含む しかし フィレモンへの手紙 はない ) より成っていた 間もなく コリント人への第三の手紙 が削除され ヤコブの手紙 ペトロの手紙 1 ヨハネの手紙 1 が加えられ 二十二の文書になった 後になって ベトロの手紙 2 ヨハネの手紙 2 ヨハネの手紙 3 ユダの手紙 ヨハネの黙示録 が付け加えられた (Philoxeniana508 年 ) 一 125 一

26 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 4 三世紀以後の西方教会 {75 ) a ) 教父たちの証言 概して 正典化は 西方教会では東方教会に比べるとより順調に進展してい る教父たちの発言 がそれを語っている 聖書文書の引用や言及もかなり豊富で共通である 議論が続いたのは ヘブ ライ人への手紙 と 全キリスト者への手紙 の中の若干書についてであった α ) ノヴァティアーヌス (Novatianus, +257) は聖書として四福音書 使徒言行録 パウロの手 紙 13 本 ヨハネの手紙 1 ヨハネの黙示録 を引用している β) キプリアヌス (Cyprianus, + 258) にも ヘブライ人への手紙 ヤコブの手紙 ペトロの 手紙 2 ヨハネの手紙 2 ヨハネの手紙 3 ユダの手紙 以外の書は出てくる γ >1886 年にモムゼン (Th,Mommsen ) によって刊行された 360 年頃のアフリカ正典目録と言わ れている モムゼン正典目録 (Canon Mommusenianus ) には 現行の新約聖書正典中 ヘブラ イ人への手紙 と ヤコブの手紙 と ユダの手紙 以外は出ている δ ) 司教ヒラリウス (Hilarlus, + 355) は ヘブライ人への手紙 をパウロの手紙として引用して いるがこれは注目に値する ε ) ヒエロニムス (Hieronymus, +419) は西方教会の偉大な聖書学者である その偉大な業績であるラテン語訳聖書 (Vulgata) には現在の新約聖書正典全 27 巻が入っている なお福音書の翻訳は ローマで 年に行われている ζ) アウグスティヌス (Augustinus, +430 ) はその著 キリスト教教程 の中で正典問題を論じ 現在の新約聖書正典目録と同じものをカトリック教会の正典として提示している ( 前注 54 参照 ) η ) 教皇インノチェンチウスー世 (lnnocentius1, + 417) もトゥルーズの司教エクススペリウスの 質問に答えてその書簡の中で聖書の正典名簿を示してい るが 現在の新約聖書正典目録と同じもの である b ) 教会会議西方教会では地方教会会議が正典問題と取り組み討議し正典目録を採択してい る 地方教会の代 表者である教導職の判断として大きな価値をもって い る 但し決議の規制力はそれほど強くはなく 会議が議決した目録の拘束力も決定的ではなかっ た α ラオデキア教会会議 (Concilium Laodicense ) 360 年ころ小アジアの ラオデキアで開かれた とい う地方教会会議で正典論と取り組んでい る 正典とされてい ない書は教会で読まれてはならな い ただ旧 新契約の正典 ( τ α κ α レ v κ α ) だけが読まれなければならない ( 法令 59 条 ) と言い その 法令 60 条は正典目録だが 新約聖書は ヨハ ネの黙示録 を除く現在の新約聖書正典 目録と同じものが出てくる 但しこの文書には歴史的信憑性が欠けていると言われている c77) β)382 年に教皇ダマズス (Damasus, 在位 ) の下に開かれ 聖書学者ヒエロニムスも特 別召聘されて参加したとされているローマ教会会議 (ConcillumRomanum ) は正典問題をも論じ そこで議決された新約聖書正典目録は現行のものと同じ 27 書であるが 教皇ゲラジウス (Gelasius, 在位 ) の発したとされている ゲラジウス教令 (DecretUm Gelasianum ) に収録されてい る しかしこれも歴史的信憑性が欠けており 一般には 6 世紀に ある聖職者が作成した私的権 一 126 一

27 純心人文研究第 10 号 2004 威しかないものと見られている { 79) γ )393 年 10 月 8 日に北アフリカのヒッポで開かれた全北アフリカ司教会議 (Plenarium totius A 圉 cae Concihum ) は法令 36 条 (Canon 361 によって現行新約聖書 27 巻を正典として認定した 教会では神からの書として正典以外の書は読まれてはならない 聖書正典書は次の通りである という前置きの後 旧約聖書正典書と新約聖書正典書を記している 書名の列挙が終わると この正典を確認するためには海外の教会に相談せねばならない (ltaut deconfirmando istocanone transmari na EcclesiaconsulatUr ) と言っている 79bis c δ)397 年には第三カルタゴ教会会議がその法令 47 条 (Canon 47) で同じことを決定している この会議にはアウグスティヌスも出席した ε ) さらに アウグスティヌスも出席した 419 年の第四カルタゴ教会会議はその法令 29 条 (Canon 29) で 第三教会会議の法令と同じことを繰り返し決定したが 第三教会会議の法令では 使徒パウロの 13 本の手紙および同使徒のヘブライ人への手紙一つ となっていたのを 使徒パウロの手紙 14 本 と変えている (8 ) また後の二つの教会会議の法令では書名の列挙の後の言葉が 393 年の会議の法令のそれとはやや違い なお この正典はわれらの兄弟にして同僚であるボニファティ オ司教やその地方の司教たちにも知らせ かれらの承認を得なければならない なぜならこれらの 書は教会で読むためわれわれも先祖からこのようにして受け継いだものだからである (Hoc etiam fratri et consacerdoti nostro Bonifacio,vel aliis earum partium episcopis pro confirrriando isto innotescas,quia ha a patribusist accepimus in ecclesia legenda) となっている (81) Q c ) 西方教会で ヘブライ人への手紙 の正典性が長い間疑問とされた これがパウロのものかど うかが疑われ それがそのまま正典性の疑念となっていた 四世紀の終り頃 ようやくこれをパウ ロのものとし正典として認めるようになった 5 普遍教会的認識 以上の新約聖書正典形成過程はカトリック教会の普遍的教導職による確認によって一応の終結を 迎える 先ず フィレンッェ公会議はヤコブ派との合同大勅書の中で普遍的カトリック教会の新約聖書聖 典目録を提示した (1442) これは現行のものと全く同じ内容である ヘブライ人への手紙 はそ こでは特別視されていない ( Slbis) 次に トリエント公会議は 1546 年 4 月 8 日にその第四会期の第一教令 (DS 1501) の中で 上のフ ィ レンツェ 公会議の新約聖書正典目録と同じ内容の目録をカ トリック教会の新約聖書正典として公 式決定的に提示した (Cf.EnBi, n.59) 以後 この立場をカトリッ ク教会は公的に保持することにな る 一 127 一

28 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 五 正典形成の諸問題 1 正典形成史におけるトリエント公会議の位置 a ) こうして 少なくとも実体的には 四世紀の終りまでには現在聖書正典とされているものと殆ど同じものが東方教会でも西方教会でも形成されていると結論できよう上の概観が示した通り四世紀末におけるこのような聖書正典成立を先ずアウグスティヌが証言している その著 キリスト教教程 (De doctrinachrishana ) (A.D,396) の中で旧新約聖書正典目録を掲げている ( 注 54 及び四 4a ζ 参照 ) 書の配列順序は現在のものとは多少違うが 新約聖書正典の内容は現在のものと全く等 しい 27 書であり 旧約聖書も現在カトリック教会で旧約聖書正典とされている 46 書を挙げている ユダヤ教ヘブライ語正典に含まれているかいないかの顧慮などない アウグスティヌスの権威は西 方教会における聖書正典形成に決定的な影響を与えている さらに北アフリカの諸教会会議の繰り返し行った決定においても 現行の旧約聖書正典 46 書 新約聖書正典 27 書が教会の正典として確認されている さらに 五世紀初めに教皇インノチェンチウスー世がトゥルーズ司教エクススペリウスに宛てた書簡 ( 前注 76 参照 ) でも 今日のものと同じ旧約聖書正典 46 書 新約聖書正典 27 書がキ リスト教の正典として提示されているのである この時までに 教会の殆どの領域に自己の普遍性 一体性を自覚させるような形での認識が大体 成立しており 実体的には正典形成過程は終了したと見てよいであろう これは聖霊の導きの下に 徐々に進展していった歴史的過程だった 正典の形成を地上の具体的普遍教会は教会的信仰感覚を 通して少しつつ実現していったのである (82) b ) 同時に これが完全に全教会的また確定的なものではないことも見逃されてはならない 細部においては地方教会聞にあれこれの違いや あいまいさはその後も長く残り続ける 歴史現象は厳密な意味での正典の確立からは程遠い状態を示している 聖書正典表もまだ地方レベルのものであり 普遍的な全教会のものは生まれていない 聖書正典書と並べて 使徒教父文書 を聖書 として取り扱っている教会も 5 世紀にも見られる ある書の正典性についてはかなり広い地域で疑い がもたれていたことも軽視してはならない (s3) 正典の完全形成の過程はなお続くそれは実体的 には成立してい る聖書正典の細部にまでいたる安定化を目指す認識過程として緩慢にではあるが進 行していく 正典性の認識が拗れた書の場合 たしかにいろいろの事情があった ここで正典性の認識がどのような基準によるかを確認しておこう (84) 一般に 正典性の究極基準はそれが聖霊の影響下に書かれた書すなわち霊感を受けているという ことである しかしその判断の手掛りはさまざまだった α ) 究極的に価値があるのはイエス キリストのペルソナであり その教えまた救いのわざ 特 に十字架と復活である 救いの本源であり 聖書はこれをわれわれにもたらすのである β) ここから イエス キリストからこのできごとの証人として選ばれ派遣された者に権威があ る という結論が出てくる 勿論 その際 この者がイエス キリストの委託通り忠実にイエスと その出来事を告げているかどうかも無視できない 一 128 一

29 純心ノ丶文研究第 10 号 2004 γ それゆえ具体的には次のような手掛りを用いて 霊感の書かどうかを確認することになった i) それが使徒に由来していること 信醤性 古代教会においては使徒自身の手に成るか 使徒 と身体的に身近な結び付きをもった秘書 書記 弟子 共働者などによるか という素朴で直接的 な見方が支配してい たため 無意味に正典性を疑われる書が出てくるとか 正典と誤解される書が あるなどの混乱もあった イエスから証人として召され 派遣されている使徒であることが出来事の究極的な真の伝達者であるというのがこの基準の本質であり 従って使徒の信仰に深く参与している信仰者であることこそ使徒との真のつながりを意味すること が理解されるようになるには時間が必要だった 古代社会においては 著者 性の概念も感覚も現代とは違う使徒由来性はある作品が使徒の名の下に第三者によって執筆されている場合 (pseudonymous ) でも十分成立しうるのであるが 当時あまりにも悪用が多かったため 警戒も過剰になることがあり このため正典化 の遅れた書もあった ii ) イエスの人物や出来事を正しく捉え 正しく伝えていること 聖書文書に先立ち教会の信仰生活の蓄積である教会的伝統があり 聖書文書はその一部の文書化であるから この伝統に照らしてその書の価値が決まる ( 85 ) 信者の信仰感性や教会の教会的信仰感覚によって判断される 例えば ヘブライ人への手紙 1 は西方教会ではこの基準によって長い間正典性を疑われた ( 86 ) また 東方教会では ヨハネの黙示録 がなかなか正典と認められなかった (87) iii) その書が教会の信仰生活の中に受け入れられ 特に典礼で用いられていることが必要だっ た これは信仰感性や教会的信仰感覚による吟味に耐えてきているということを意味し 特にそれ が長い期間や数多くの地方教会におけるものであれば正典性の強力な証拠とされた c ) トリエント公会議はこのような形成過程の十六世紀時点における段階の公的固定化であった 普遍的教会規模において進農してきた聖書正典形成過程はこの時点で普遍的教導職によって 一応 終了したと見做してよい と確認され公的に宣言されたのである 聖書正典問題に対する最終的な カトリック教会としての判断を示そうとしたのである すでに フィレンツェ公会議 (ConciliumFlorentinum) が 1442 年 2 月 4 日そのコプト教会ヤコブ派との合同大勅書 (CantateDomino) の中で カトリック教会は聖霊の霊感の下に書かれた次の文書を聖書として受け入れる として 旧新約聖書の正典目録を提示しているが そこでは現在のものと同じ旧新約聖書の目録が挙げられている (EnBi,n.47 ; DS 1335) これは普遍的教導職の発言であ る トリエント公会議は公式に不謬的決定的声明の形でこの提示を確認したのである 第四会期の第 一教令 (DecretUm primum ) 聖書と受け入れるべき聖伝について (DecretUm de libris sacris et tra ditionibus recipiendis,ds ) は 1546 年の 4 月 8 日に 73 書が霊感を受けた神からの権威ある 書である としてこれらの正典性を盛大に宣言した DS ) これによって 千三百年に亘 って続いてきたカトリック教会の正典形成史の幕が一応降ろされた d ) トリエント公会議で実現したのは 正典化 の婆了であるすでに霊感によって成立している 文書を普遍的教会がそれとして認識し神からの書として教会の中での相応しい権威的地位を与える のが正典化である 文書そのものの成立はそれに時間的に先行していることに注目するなら 正典 一 129 一

30 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 化とは既に客観的には成立してい る正典を 普遍教会が自覚し 意識し 教会の伝承の中のものと して確認していった過程であると言うことができる 啓示内容に何かを新たに加えるのではない (88> 教会はいつから聖書正典をもっているか 聖書正典目録の成立を 16 世紀半ばのトリエント公会議 (1546) によるとすることができないのは明らかである 教会は正典なしに 15 世紀を過ごしてきたこ とになるからである 正典の存在にさまざまの段階を区別することによって答えられるであろう α ) 最も基礎的には 正典に入る筈の文書が 全て成立したとき 目には見えないが単に存在次 元で聖書正典という一つの全体が成立したことを意味する 第一段階である この時から教会に聖 書正典が存在していると言うことも許されよう β) 世界の主要教会においてこれら諸文書の中でより中心的なものが 神からの書 として揃っ て認識され受け入れられた二世紀末には 第二段階における正典形成が実現してい るとすることが 出来ようこの時から教会は正典をもっている ということも出来る γ ) この過程が一層進み 正典に入る筈の全ての書が世界の教会の主要部分で少なくとも実体的に 神からの書 として認識され受け入れられた4 世紀末は 第三段階の正典形成が終わった時と見ることが出来るこの時から教会には聖書正典が存在していると言える δ) 地上の教会が自己の普遍的一体性を充分自覚した上でその普遍的教導職が教会的信仰感覚の認識を代弁して 諸文書が 神からの書 であることを宣言したフィレンッェ公会議は第四段階の 正典形成を意味しようこの時教会は正典を実体的に形成し終わったと言うことが出来る ε この第四段階を確認し不謬の普遍的教導権の発動により 聖書正典を確定し一応これまでの 正典形成史の終結を宣言したのがトリエント公会議の前述の教令である これを第五段階の正典形 成とすることが出来よう 形相的にまた厳密な意味において この時を聖書正典形成の時とするこ とも出来る 結局 地上の普遍的教会による 霊感の書 そして 神的権威の書 としての確認は含蓄的には 既に第一段階において行われていたが これがより深化し 形相的にも明確な形で実現したのは第 五段階においてであった ということになろう このような正典形成過程は聖霊の導きの下 教会においては尚も継続する 正典は教会の中によ り深く入り込み 神からの書 として教会を生かす働きをより進め ますます自己を教会の本質の 一要素として実現していくのである 2 開かれた正典 (Open Canon ) 論 カトリック正典神学において正典の基本的特性の一つとして限定性が挙げられる 正典は 73 の特 定文書だけから成り立っている 閉じられた叢書 (aclosed collection ) である 教会はこれら 73 書 だけに霊感による起源を認める それゆえ他の一切の書は非正典である (Cf. 1) なぜこのような限定か 先ず 聖書は繰り返しのない歴史的一回的存在である 使徒的教会 (S9) の本質の文書による客体化であり 狭義における霊感 のカリスマ もこの条件に規定されるので限 一 130 一

31 系屯 匚, 1 丶文研究第 10 号 2004 られた数になる さらに正典は閉じられ完詰した不変不動の存在であって初めて歴史の中の教会の 規範として有効に機能することができる ee 従って 正典が閉じられ完結した特定文書の集成で あることは当然とされる だが 問題は73とい う数である この数は歴史的偶然の産物であり そこに必然性はない 教会 は 教会が聖霊の導きと助けの下に確認しえたところでは 神の霊感を受けてい る書はこれだけ としか言えない 現在 正典とされている書だけが霊感の書であり 霊感を受けた書はこれら以外 にはない すなわち一切の霊感の書は正典に現在含まれている諸書だけだ とは言えない トリエ ン ト公会議もこれらだけが霊感を受けた総ての文書だとは言っ てい ない カ トリッ ク神学の 正典 論 は 限定された特定書だけから成る正典を 閉じられたもの とは考えるが 文書形成時に 狭義における霊感 91) は受けたが 現在正典目録の中に入れられてい ない とい うような文書の 存在の可能性は否定していない のである 成立の後紛失し 教会の中で 神からの書 としての尊 重や 典礼における利用や信仰 道徳問題での基準としての権威を発揮する などの役割を全く果 たせなかっ たゆえに 霊感 を認識されず 結局 正典目録 に入れられなかっ た とい う書で ある 現在の経綸におい ては ある文書を神が記者に書かせた場合 その文書が真の受け取り手に よっ て受け取られ読まれたときにその目的は達成されたとい うことになる 神が 狭義における霊 感 を与えて啓示の書として成立させる文書も 特殊救済史における 神の民 の中で 神からの 書 として認識され受け入れられねばならない しかしその過程の中でさまざまの偶然的事情によ っ て見落とされたり紛失してしまう可能性はある 啓示の本質的部分が 全体としての正典 に間 違いなく含まれることは神の摂理によって保証されていても ( 92 } 全ての 狭義における霊感 1 の 書が漏れなく正典の中に保存されることは現在の経綸においては保証されていないのである 霊感 は偶然の介入を許さない 神が一旦ある文書を霊感の導きの下に成立させたら その文書が何らか の偶然的事情で紛失してしまうようなことを許す筈はない 神は自分が特別に介入して行うわざが 人間の側における気紛れ 不注意などから駄目にされてしまうことがない よう そのわざに確実に 成果を生ませる というような考え方は イスラエルの民や教会の歴史を見れば間違いであることが明らかである 霊感を認めることは偶然の介入を認めることを意味する フィレモンへの手紙 は正典の中に入っているのに 遥かに重要な文書と考えられる幻の コリントの信徒への手紙 3 とか パピアスがマタイの手に成るとしているヘブライ語の イエスの言葉集 ( エウゼビオス 教会史 第三巻 を参照 ) などが紛失して正典目録の中に残っていないことから見て こう判断せ ざるをえない (93) では 若しこのような書が今後発見された場合どうなるか 問題になりうるものとして例えばあ るパウロの手紙が考えられようパウロは現在われわれに知られていない別の手紙をコリントの教 会宛に送っている (1 コリント 5 9) という Cf.ll コリント 2 3 4,7 8.12) また コロサイの 信徒への手紙 によればパウロはラオデキアの教会にも手紙を書いている ( コロサイ 4 16) らし い パウロは啓示の直接的受け取り手であるというのが教会の考えであるから これらの書簡がパ ウロの手紙でありその使徒職と活動のカリスマの反映である限り 聖霊の 狭義における霊感 を 受けて書かれたものと考えねばならない 実際の執筆者がパウロ自身である必要はない 弟子ある 一 131 一

32 宮川俊行 聖書正典成立史の 諸問題 いは同伴者あるいはパウロの思想の忠実な後継者であれば十分である 現在まで失われたとされて きたパウロのある手紙が 若し発見されたらどうなるであろうか 教会はこれを正典表の中に加え ることができるか 正典としての受け入れの基準の一つに その書の教会の長い間の典礼における 使用ということがあり この条件を満たさねばならない團 ある者は 普遍的教導職はその文書 に正典リストに含まれる他の書同様のこの基準に従い 教会の典礼の中で長年に亘り重要な役割を 果たさせた上で それが正典書の中に入ることを宣言することになろう という見方を取る 95 ) しかしわれわれはこの見方には組しえない すでに正典が成立している以上 新しい書をそこに新 たに追加する意味はない 発見されたその書が 間違いなくパウロのものであることが証明された としても それは内容的に現在の正典に何か実体的な変更を加えるようなものを含むことはない で あろうからである 結局それは正典外の書として留まることになろう (96) 3 原正典 第二正典 論 正典形成史から生まれた正典文書の二分法である a ) 上に見たように 正典目録が現在の ような形で成立するまでには長い歴史が必要であり紆余曲 折もあった 新約聖書に限っても 現在正典の中に入っている書も事情は一律でなかった 正典と して特別大きな異存もなく受け入れられた書もある一方 正典性が確定するまでの問に 正典に入 れるべきかどうかが問題にされたものも少なくない 中には多くの疑念や批判や反対を受けてやっ と最終的公的に正典目録に名を連ねることの できた書もある この事情を反映した文書の位置付け であり文書を二つに大別する 正典形成史の早い段階から現れた区分である エウゼビウス (c.300) は聖書は 霊感の下に書かれていることが誰からも異を唱えられず平和裏 に受け入れられてい る書 る書 homologoumena と 霊感を受けた書かどうかが議論の対象になってい antilegomena に分けられると言っている ( 教会史 3 25) 5 世紀以降 教会内に 27 書の新約正典書が確立すると 正典書の中の 形成過程において全教会的 に異議がなかった諸書をホモログメナ (Homologumena 原正典書 ) と呼び ある地方やある期間 異議のあった諸書をアンティレゴメナ (Antilegomena 第二正典書 ) と呼ぶようになった ヘブ ライ人への手紙 ヤコブの手紙 ユダの手紙 ベトロの手紙 2 ヨハネの手紙 2 ヨハネ の手紙 3 ヨハネの黙示録 の七書が第二正典書である 要するにこれらの書は教会一般の受け入 れを得るのに長い年月を必要としたというのである 16 世紀の聖書学者シェナのシクストゥス (SixtusSenensis, ) はこの区分を旧約聖書に適用し旧約聖書正典諸書を二種に区別し ユダヤ教で聖書正典とされている 39 書を 原正典書 (Homologumena ) と呼び ユダヤ教では聖書とされていないが キリスト教では旧約聖書正典に属しているとしている 7 書を 第二正典書 (Antilegomena) と呼んだ この呼び方は聖書学界でも 広く用い られるようになっ た b ) 上に見た通り旧約聖書正典形成史の代表的問題の一つ はギリシャ語 7 文書の処遇であった α ) カ トリッ ク教会は旧約聖書正典としてユ ダヤヘ教ブライ語 正典書 39 書の他にギリシャ語によ る 7 書を認め 結局全体で 46 書を旧約聖書正典としている これはトビト記 ユディト記 マカバイ 一 132 一

33 純心ノ 文研究第 10 号 2004 記上 マカバイ記下 知恵の書 シラ書 = f 集会の書 ) バルク書 およびエステル記補遺とダ ニエル書補遺の 7 書である この 46 書は LXX にあるのを教会は旧約聖書として受け入れたが この 中のこれら 7 書にはオリジナルとして対応すべきヘブライ語原典が欠けているのである 教会の歴史は概してこれら 46 書を旧約聖書正典として受け入れるものであったが しかし同時に この 7 書の正典性についての議論も絶えなかった 46 書を正典として受け入れる態度は西方教会では 支配的だったが 東方教会には疑問視したり否定する者も少なくなかった 最初に問題を提起したのはユスティヌス lcf.dialc,jud.,tr.,c.71 >であり 次いでオリゲネスだったかれらはこの 7 書の正典性は受け入れたもののユダヤ人たちとの論争には使えないとして他の 39 書と区別した 差別の始まりである 同じような見解は他の者によっても繰り返されたが やがて新しい見方が登場する ヘブライ語原典に対応箇所がないのでこれは霊感の書 聖書ではない として正典性を否定する考え方である これを唱え広く影響を与えた代表がアレクサンドリアの ア タナジオス書簡 (a.367) とヒエロニムス (+419) であった 霊感性 正典性は否定され これらの書は信仰生活のために有益な書として推奨の対象とされた 外典書とするというのである この 見方は教会の一部に以後も根強く残り繰り返された β) トリエント公会議は教会の伝統において支配的であった見方 すなわちこれら 7 書も含めた 46 書を等しく正典書とする立場を教会の公式見解として決定的確定した (DS 1502) これら 46 書は各 書全体としてもその部分も霊感を受けており正典としての等しい権威をもっているというのである すなわち 各書の正典としての価値的区別を認めず 全き啓示の書 (vollkanonisch ) として等しく重んじられるべきものというのである 啓示の書としてのあるいは正典書としての権威において優劣はない トリエント公会議の決定の意義は カトリック教会の理解では46 書は等しく 神からの聖なる書 として権威を認められるべきものであることを明確に宣言したことである 霊感の点で も権威の点でも46 書は等しく 神からの書 として受け入れられるべきである という γ ) トリエント公会議は原正典と第二正典の区別をせず 46 書全てを均しく啓示の書として受け入れたが これは力トリック教会が取る立場が全聖書宗教の中で独特のものとなるという結果を生み出した 公式ユダヤ教はこれら7 書を 神からの書 とは認めないし カトリック外のキリスト教諸教会の中にもユダヤ教の正典理解をそのまま引き継ぎ 旧約聖書正典からこれら7 書を排除してい るものが多い (97} たしかにユ ダヤ教の正典はキリス ト教の旧約聖書正典と重なる部分が圧倒的に大きいのは事実で あり どちらの正典もイスラエル教の 聖なる書 とされていた時期があったという過去を共有しているものの ここからユダヤ教にキリスト教正典に対する何らかの本質的な影響力を認めるわけにはいかない 両者の正典目録における一致は論争などには便利だが そのような便宜性と聖書正典の本質問題は別である ユダヤ教のヘブライ語原典へのこだわりは古代教会以来一部の教父たちに見られたヘブライ語に対するコンプレックスやユダヤ教絶対化のイデオロギーを生み出してしま ったが早急に清算が望まれる δ) いわゆる旧約聖書第二正典とされている 7 書の神学的意義は大きい 98 ) 原正典書とされている書の中には教会や神学にとってこれらの書に比べると遥かに重要性の劣る 一 133 一

34 宮川俊行 聖書正典成立史の諸問題 ものは少なくない ユダヤ教は啓示と霊感はエズラの時代までで正典文書の形成期は捕囚からの帰還と共に終わると考え 啓示はイエス キリストの 400 年ほど前に終了しているという理解を取る キリスト教の特殊救済史的見方とは合い入れない キリスト教の理解では特殊救済史における神の介入はモーセに始まり預言者たちを経てイエス キリストのできごとにおいて頂点に達する イエス キリストの到来の直前時期数百年間の歴史が第二正典書に直接反映しているのであり これを抜きに正しい イエス キリストの出来事の理解は不可能である しかしこのことはイスラエル教の信仰史が平坦 単調な切れ目のない連続的進展の上 キリ スト教の信仰史へと発展したということではない c ヘブライ文化はヘレニズム文化との接触により大きな変化を蒙る 長い歴史の中で純粋ヘブライ 文化に内的に規定されてきたイスラエル教は世界史の舞台へ登場せしめられ 基本的自己同一性は 保持しつつヘレニズムの受容を実現する 個別的特殊的個性的信仰内容は普遍性の用語 思想 概 念によって考え抜かれ新たな表現を獲得する こうしてイスラエル教は民族宗教から世界宗教へと 変化したのである 世界宗教としてのキリスト教はイスラエル教の純粋ヘブライ的側面からだけで なく ヘレニズムの影響を受けた世界宗教的側面からも遺産を引き継いだのである 神の啓示は先ずイスラエルの民に行われたが この根源的先行性はイスラエル教聖典におけるヘ ブライ語原典の重要性として具体化してい るこの観点からは 古代教会以来見られる 旧約聖書 の中でユダヤ教ヘブライ言吾正典にある文書を対応原典のない 7 文書に対して重要視する態度はある程度の合理性をもっている この優先性を重視する限りにおいてそれは正しい態度である 間違っているのは これを絶対化し これらのみを啓示の書としてしまうことである 旧約の啓示はヘブライ語に無条件的依存をしているわけではないこ の事実を無視し7 書を啓示とも霊感とも関係のない外典書とする見解は誤りである 第二正典 として 原正典 と区別することは上に見たように正 しく理解される限りにおいてのみ意味をもつのである カトリックの信仰にとり旧約第二正典の役割は非常に大きい 啓示の進展に応じ 信仰の発展があり 全てはイエス キリストにおける啓示において完成する この基本的な特殊救済史の構造から 第二正典は啓示の書の不可欠の一部を形成するのである これらの思想は新約聖書へと連 続し 信仰の諸問題を基礎付けることになる 先ずキリスト教終末論が挙げられる 1 o 初期イスラエル教は特別の場合 ( ダニエル 12 2 ; イ ザヤ 25 8) を別として現世本位の見方で一般には死後のいのちについては関心をもたなかったが 啓示の進展を反映し第二正典においてはしばしばこれについて語られるようになった 復活 死後 の裁きや報い 霊魂の不滅 永久存在への希望 死者の罰の軽減や救済のための償い奉献 死者の ための祈り など教会の信仰にとって重要な終末論の諸問題がここに出てくる (II マカバイ記 ; ; 12 3&45 ; 失囗恵の書 2 23 ; ) 創造神学は 無からの創造 の思想を第二正典に負う (Cf.II マカバイ記 ) 人間論は心身二元論的人間理解 霊魂不滅などの諸問題への貴重な示唆を第二正典から受けてい る 一 134 一

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