低炭素社会の実現に向けて 加速するグリーン IT ( 独 ) 産業技術総合研究所情報技術研究部門長関口智嗣

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1 低炭素社会の実現に向けて 加速するグリーン IT ( 独 ) 産業技術総合研究所情報技術研究部門長関口智嗣 (sekiguchi@m.aist.go.jp)

2 内容 1. 経済的合理性からクラウド化が加速 2. クラウドにおける消費電力削減のモデル 3. みどりウェアの開発 2

3 低炭素社会における IT の役割 ( 最終消費 ) 3

4 グリーン IT の CO2 削減効果 by IT IT による省エネ of IT IT 機器の省エネ IT 需要増によ る IT 機器の省 エネ効果増大 1990 年約 10 億トン 6%-25% 削減 ITによる社会の省エネ 億トンCO2/ 年 IT 機器 システムの省エネ = 0.2 億トンCO2/ 年 グリーン IT による CO2 削減総量 1.3 億トン CO2/ 年 (2030 年 ) 4

5 低炭素化を目指したデータ処理 雲の向こう Projection Service/ Control 現実社会 自動車 Spatial/ Temporal Phenomena 産業 ( 工場 ) 物流 流通 knowledge Analysis/ Recognition 家庭 ( 住宅 ) Environment オフィスビル Cloud computing/storage HW limit, device Sensing/ Digitize Stream computing Society, Community, Culture Sensors everywhere S.Sekiguchi@AIST 5

6 IT の動向における超集中化と超分散化 超集中化 Single Point of Access 地理的集中 経済的合理性 Scale merit 超分散化 Ubiquitous Sensor network mobile, PDA, net Book user/community oriented 矢野経済研究所は 2009 年 12 月 21 日 クラウドコンピューティング市場に関する調査結果を発表した 同発表によると 同市場規模は 2009 年時点で 1,406 億円だが 2012 年には約 3 倍の 4,106 億円 2015 年には 5 倍以上となる 7,438 億円に達するという 6

7 クラウドの本質 所有から使用へのコンセプトの変化を IT において実現 ( する した ) ビジネスコンセプト PAY-per-USE Asset を Expense に コンプライアンスのための高い信頼性 情報システムの TCO 削減 顧客にとってのバリュー 戦略部門強化のための迅速なシステム構築 7

8 データセンターの大規模化を可能とする Cloud Platform 構築技術 仮想化 Cloud Grid サービス提供技術 Data Center LowP H/W SaaS SOA 8

9 グリーンクラウド プロバイダにもユーザにもメリットのあるビジネス形態仮想化 グリッドが実現に不可欠な主要な技術 データセンタ 省電力化 CO2 削減 サービス化ユーティリティ化 グリーンデータセンタ 仮想化グリッド クラウド グリーンクラウド 9

10 仮想化 Virtualization 抽象化 または二つの層の分離 仮想化の対象 サーバ ストレージ ネットワーク アプリケーション サーバ仮想化 VMware, Xen, KVM (kernel-based Virtual Machine) など 異なる仮想サーバを一つの物理サーバ上に構築可能 同じ仮想サーバを異なるプラットフォーム上に構築可能 Virtual Server x Virtual Server y virtualization Virtual Server y virtualization Physical Server A Physical Server B 10

11 仮想化の効用 TCO 削減一台のサーバを複数台として利用余剰能力の活用 追加投資の低減 可用性向上異なるハードウェアに同じ環境をソフトウェアで構築できる動作アプリケーションをハードウェアに固定しない 選択の自由度が拡大 = 別の基準で選択可能例 ) 性能高速な HDD を持っているが ディスクアクセスがほとんどなく CPU 処理だけ例 ) 電力消費量高性能な CPU で実行すると早く結果が得られるが電力消費が大きい 省電力を目指した仮想化の活用 11

12 内容 1. 経済的合理性からクラウド化が加速 2. クラウドにおける消費電力削減のモデル 3. みどりウェアの開発 12

13 お客様は PUE* で データセンターを選ぶでしょうか? PUE: Power Usage Effectiveness 13

14 答えは NO! 出典 : 日経マーケットアクセス データ センター利用実態調査

15 建前 ( 環境 ) と本音 ( コスト ) の ギャップを埋めていくためには? 15

16 PUE: Power Usage Effectiveness (The Green Grid White Paper #6) 電力会社 A データーセンター 16% 電源系 - 開閉器 -UPS - 電池等 4% B 45% A PUE = B 36% 空調系 - 熱交換器 - 送風機 -CRAC 等 IT 機器 server, storage, network, etc. 16

17 PUE に潜む落とし穴どちらのデータセンタ / サーバがよりグリーンか? データセンタ A データセンタ B 搭載サーバ 大型ファン UPS 付き PSU ファンレス直流電源 AC/DC 変換なし UPSなし Performance 50GFlops 50GFlops Performance / Watt ( GFlops / W) 電力設備 交流による給電全体の UPS はなし loss 直流による給電 UPS あり loss 空調設備 冷たい空気の供給風量は抑えめ 空調機による風の流れで抜熱 年間の全電力消費量 30GWh 30GWh PUE

18 PUE に対する批判と拡張 PUE Scalability IT 機器の負荷に応じた上昇率を評価 X 軸にIT 機器の消費電力 Y 軸にデータセンター全体の消費電力 PUE x,y PUE の測定条件を指標に併記 例 1.8PUE L2,WC xが電力測定ポイントの厳密性 yが測定期間と測定頻度 DCeP(Data Center Energy Productivity) データセンターの生産性を示す指標データセンターによる 役に立つ仕事 の量仕事を生み出すために費やしたエネルギー総量 役に立つ仕事量 に 8 つの代案 PUE Scalability Scalability Goal PUE=1.0 (The Green Grid White Paper #20) (The Green Grid White Paper #22) (The Green Grid White Paper #17) (The Green Grid White Paper #13) 18

19 サーバのリプレース サーバ 4 台を使って動かしていたものが 4 年後のリプレースでは 1 台で運用 稼働率 80% 稼働率 80% サーバ 1 台を使って動かしていたものは? ハードは安くなったので オーバースペックでも気にせず使う 稼働率 80% 稼働率 20% 稼働率が極めて低くなるしかし 問題は別なところに生じる 19

20 サーバ稼動率に関するバックデータ 20

21 サーバ稼動率と電力消費量の関係 ( 例 ) 電力消費量 サーバ稼動率と電力消費量の関係 0% プロセッサ稼働率 100% サーバ稼動率 電力消費量はプロセッサ メモリ ディスク 電源 ファン, 動作させるアプリケーションによって変化 サーバのアイドル状態とフル (100%) 稼動の状態では 電力消費量がサーバ ( プロセッサ ) 稼動率に概ね比例 電力 (W) % 稼動状態に対する増加率 W 25% 84W 25% 84W 25W 独立サーバ 252W 仮想サーバによる集約 25% 25% 25% W (75%) 21

22 ブレードサーバの電力例 )HP BladeSystem c7000 エンクロージャに含まれるもの 10 個のファンと6 個のPSU ネットワークカード Onboard Administrator エンクロージャとIPMIから以下の情報が取得可能 現在の入力電力 (Input AC): 2626 W 現在の出力電力 (Output DC): 2236 W ファンの電力消費量 : 83 W ファン回転数 : rpm ブレード毎の電力 : 225W FAN PSU 数値は取得例 PSU 22

23 HP BladeSystem c7000 の電力内訳 ブレード部分は アイドル状態でも LINPACK 時の半分以上消費 ファン電力は全体の 20% 近くにも到達 アイドル時 idle 電源ロス 15% Power loss 15% FAN 6% FAN6% 6000 blade 79% Blade 79% アイドル時 Idle LINPACK blade FAN 電源ロス Power loss Linpack blade 69% Blade 69% LINPACK 電源ロ Power loss ス 13% 13% FAN 18% FAN18% 23

24 内容 1. 経済的合理性からクラウド化が加速 2. クラウドにおける消費電力削減のモデル 3. みどりウェアの開発 24

25 ソフトウエアの介入による省電力化の例 高 グリッド型データセンター運用管理システム 稼働率 低 閾値より低下を確認 データセンター A グリッド型データセンター運用管理システム データセンター B 稼動サーバとジョブの移動 データセンター A ( 光パス網による DC 間接続 ) データセンター B グリッド型データセンター運用管理システム データセンター A を停止 データセンター A データセンター B 25

26 グリーンなクラウドを支える技術 データセンタ 2 データセンタ 1 AP2 AP1 AP1 AP3 AP1 AP1 AP4 AP1 サーバ 1 サーバ 2 サーバ 3 仮想クラスタ構築およびデプロイ サーバ 4 26 AP1 グリーンクラウド運用管理システム 複数の仮想サーバをまとめて構築 (Xen, KVM, VLAN) 複数サイトにまたいで (VPN) 必要なストレージ容量 (iscsi)

27 グリーンなクラウドを支える技術 データセンタ 1 AP2 AP2 CPU 負荷消費電力モニタ ライブマイグレーション AP2 AP1 AP3 AP3 AP3 データセンタ2 ストレージライブマイグレーション AP1 AP1 AP1 リモート サーバ電源制御 1 サーバ2 サーバ3 サーバ 消費電力 モデリング 仮想クラスタ構築およびデプロイ サーバ4 設備とIT 機器の連携 グリーンクラウド運用管理システム 最適配置計画 産総研の開発技術 27

28 デモビデオ : 従来のライブマイグレーション 28

29 デモビデオ : 超高速ライブマイグレーション 29

30 Warehouse node の負荷に応じ VM を Worker node へ分散 Physical Machines (CPU Usage) VM Power up new physical hosts 30

31 データセンター事業 エコシステムの構築 サービスが悪い から 環境に優しい 企業 Consumer 遅いレスポンスを許容 PUE は Data Center の指標 Client Data Center Price への還元 CO2 排出規制 31

32 より aggressive な省エネ化のためには Best Effort in Performance から Best Effort in Energy Efficiency を許容する SLA へ 消費行動の判断を与える 見える化 32