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1 第 8 回こども急性疾患学寄附講座 ( 神戸市 ) 公開講座 こどもの健康を守る こわい感染症からこどもたちを守る予防接種 神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科分野こども急性疾患学部門 竹島泰弘

2 予防接種 予防接種は 感染の病原体に対する抵抗力を高め 赤ちゃんやこども達を怖い感染症から守るために欠かせないものです

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5 髄膜炎 ( ずいまくえん ) こわい感染症 脳 脳や脊髄をつつんでいる 髄膜に炎症 脊髄 原因ウイルス性 多くは治癒細菌性 生命に関わる後遺症を残す

6 髄膜炎 ( ずいまくえん ) 症状 : 発熱 頭痛 嘔吐 けいれん 意識障害 大泉門膨瘤 ( だいせんもんぼうりゅう ) 項部硬直 ( こうぶこうちょく ) 診断乳児では症状が分かりにくい : 髄液検査 細胞数が増加

7 細菌性髄膜炎を起こす菌 B 群溶連菌 9% 肺炎球菌 19% その他 15% インフルエンザ菌 57% 細菌性髄膜炎の 2 大原因の感染を予防 感染症誌 84 巻 33 頁, 2010 年

8 インフルエンザ菌 b 型 ( Hib ) ヒブ

9 インフルエンザ菌 b 型 ( ヒブ ) による怖い病気 髄膜炎ずいまくえん 喉頭蓋炎こうとうがいえん

10 インフルエンザ菌 b 型 ( ヒブ ) 喉頭蓋炎 2 歳男児 朝から発熱 夕から喘鳴 咳翌朝 呼吸障害が急速に進行 窒息の危機 鼻腔 喉頭ファイバー 正常な喉頭 腫れた喉頭蓋 気管 細くなった空気の通り道 ステロイド 抗生物質による集中治療

11 インフルエンザ菌による髄膜炎の予後 ( 千葉県 年 ) 後遺症 14% 死亡 1.4% 治癒 85% 日本小児科学会雑誌 111 巻 1568 頁, 2007 年

12 患者数(人 日本におけるインフルエンザ菌による髄膜炎の年齢分布全国調査 ( 年 ) 全年齢 ) 年齢 ( 歳 ) 患者数(人 )4 2 0 月齢 ( ヶ月 ) 1 歳未満 感染症誌 83 巻 33 頁, 2010 年

13 世界でのヒブワクチン導入の現状 アジア アフリカを含む 100 ヵ国以上で導入 WHO の推奨により 98 ヵ国で定期接種に採用されている (WHO,2005)

14 日本では 2008 年からアクトヒブの接種が開始 当時 1 回 8500 円今は定期接種

15 アクトヒブの接種スケジュール 標準スケジュール 初回免疫 追加免疫 2~6 カ月齢 ~8 週間 4~8 週間 およそ 1 年間 接種もれスケジュール 初回免疫 追加免疫 7~11 カ月齢 ~8 週間 およそ 1 年間 1~5 歳未満 1

16 肺炎球菌感染症

17 肺炎球菌によるこどもの感染症 19% 髄膜炎肺炎 9% 中耳炎 32% きんけつしょう菌血症 肺炎球菌 インフルエンザ菌 B 群溶連菌 ブドウ球菌 その他 72%

18 肺炎球菌による髄膜炎の予後全国調査 計 86 症例 死亡 7% 後遺症 33% 治癒 58% 日本小児科学会雑誌 102 巻 656 頁, 1998 年

19 症例数(人 日本における肺炎球菌による髄膜炎の年齢分布全国調査 ( 年 ) 40 症例4 35 数3 (30 人2 ) )15 月齢 ( ヶ月 ) 年齢 ( 歳 ) 5 感染症誌 83 巻 33 頁, 2010 年

20 肺炎球菌の血清型 肺炎球菌には 90 種類以上の血清型がある 7 価結合型肺炎球菌ワクチン 4, 6B, 9V, 14, 18C, 19F, 23F 価結合型肺炎球菌ワクチン 3, 5, 7F, 19A 6A 23 価ポリサッカライド型肺炎球菌ワクチン 2, 8, 9N, 10A, 11A, 12F, 15B, 17F, 20, 22F, 33F

21 肺炎球菌の血清型 肺炎球菌には 90 種類以上の血清型がある 7 価結合型肺炎球菌ワクチン 4, 6B, 9V, 14, 18C, 19F, 23F 価結合型肺炎球菌ワクチン 3, 5, 7F, 19A 6A 23 価ポリサッカライド型肺炎球菌ワクチン 2, 8, 9N, 10A, 11A, 12F, 15B, 17F, 20, 22F, 33F

22 世界での肺炎球菌ワクチン導入の現状 2010 年 2 月 発売 :98 カ国 定期接種 :45 カ国

23 日本では 2010 年からプレベナーの接種が開始 当時 1 回 円今は定期接種

24 プレベナーの接種スケジュール 標準スケジュール 初回免疫 追加免疫 2~6 カ月齢 日間以上 27 日間以上 60 日間以上 接種もれスケジュール 初回免疫 追加免疫 7~11 カ月齢 日間以上 60 日間以上 12~23 カ月齢 日間以上 24 カ月 ~9 歳 1

25 ワクチンギャップ インフルエンザ菌 b 型結合型ワクチン 米国では 1987 年に導入 インフルエンザ菌 b 型はほぼ制圧 日本では 2008 年に導入 供給不足定期接種ではない 7 価肺炎球菌結合型ワクチン 2000 年に導入 肺炎球菌による重症感染症の7 割を抑制 13 価肺炎球菌結合型ワクチンが開始 2010 年に導入 定期接種ではない

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27 麻疹 ( はしか ) 症状 : 発熱 咳 鼻水 コプリック斑 発疹潜伏期 :10-12 日

28 体温 ( ) 麻疹 ( はしか ) の経過 発熱 咳嗽 鼻汁 結膜充血など コプリック斑 発疹出現 カタル症状の増強 病日 -10~12 日

29 脳炎 ( 急性麻疹脳炎 亜急性硬化性全脳炎など ) 麻疹 ( はしか ) の合併症 中耳炎 角膜漬瘍 咽頭炎 咽頭気管支炎 心筋炎 肺炎 ( ウイルス性 細菌性 ) 細菌の重感染 二次感染には注意 下痢

30 風疹 ( 三日はしか ) 症状 : 発疹 リンパ節腫脹 ( 耳介後部 ) 発熱 (2~3 日 ) 春 ~ 夏に多い 好発年齢は5~14 歳 潜伏期:14-21 日 風疹ウイルスによる

31 風疹の経過 体温 ( ) 40 発熱 リンパ節腫脹 発疹 全身倦怠感感冒様症状結膜炎 病日

32 先天性風疹症候群 先天性風疹症候群 眼先天性白内障先天性緑内障心臓先天性心疾患耳難聴

33 風疹ウイルス分離 検出報告数 ( 週別 )

34 風疹ウイルス分離 検出報告数 ( 性 年齢別 )

35 神戸市における風疹流行状況 先天性風疹症候群 2 名 20~50 代の男性 66.3% 妊娠可能年齢である20~40 代の女性 12.4% (2013/4/5 現在 )

36 神戸市における先天性風疹症候群 症例 1 母体は風疹ワクチン接種歴がなく 前回妊娠時に風疹抗体陰性を指摘されていた 妊娠 7 週 5 日に発疹 発熱 リンパ節腫脹を認め 風疹と診断された 34 週 4 日緊急帝王切開で出生 在胎週数に比して低体重 一過性血小板減少 動脈管開存症 脳室拡大 片側角膜混濁を認めた 症例 2 母体は風疹ワクチン接種歴あるも 前 2 回妊娠時に風疹抗体低値を認めていた 妊娠 5 週時に発熱を 1 週間認め 妊娠 10 週時に風疹 HI 抗体高値 (256 倍 ) を認めていた 児は 37 週 6 日出生 出生体重 2,078g と低出生体重であった 大血管転位 2 型を認めた 出生時より体幹の紫斑と血小板減少 片側先天性白内障を認めた

37 麻疹 風疹ワクチンの歴史 1966 年麻疹ワクチン KL 法開始 1969 年麻疹弱毒性ワクチン (FL) 開始 1977 年風疹ワクチン定期接種開始 ( 中学生女子 ) 1978 年麻疹ワクチン定期接種開始 (1 歳から個別接種 ) 1989 年 4 月 MMR( 麻疹 風疹 おたふくかぜ ) ワクチン開始 (1 歳から男女とも ) 1993 年 4 月 MMR ワクチン実施見合わせ 1994 年 10 月麻疹ワクチン 風疹ワクチン開始 (12~90 ヵ月男女 ) 風疹ワクチン経過措置 ( 中学生男女 2003 年 9 月末まで ) 2006 年 4 月 MR( 麻疹 風疹 ) ワクチン 1 期接種 (1 歳 ) 開始 2006 年 6 月 MR ワクチン 2 期接種 ( 小学校入学前 ) 開始 2008 年 4 月 MR ワクチン 3 期 4 期補足的接種開始 (5 年間 ) 2008 年 1 月 1 日から麻疹 ( はしか ) と風疹 ( ふうしん ) は それぞれ全数把握疾患に変更されています

38 麻疹 風疹ワクチン

39 風疹予防接種状況 (2010 年 )

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41 急性灰白髄炎患者数の推移

42 ポリオワクチン接種後の麻痺症例

43 不活化ワクチン 生ワクチンを使用している地域 日本は 2012 年から 不活化ワクチン 不活化ワクチン使用国 生ワクチン使用国

44 ワクチン接種前 接種後の注意 予防接種を受ける前の注意点 予防接種を受ける前日は なるべく入浴やシャワーをすませ 体を清潔にしましょう 接種当日の朝は 出かける前に体温を測って記録しておきましょう 接種会場 接種医でも体温の測定をします 接種当日は お子様の体調が普段と変わらないか確認しましょう 記入した予診票と母子健康手帳を必ず持参しましょう

45 予防接種を受けた後の注意点 ワクチン接種前 接種後の注意 接種後 30 分以内に まれに急な副反応が起こる場合がありますので 30 分くらいは医療機関の近くにいるようにしましょう 接種後は普段どおりの生活でよいのですが 激しい運動は避けてください 当日は入浴できますが 注射した部位をわざとこすることはやめましょう 万一 高熱 けいれん ぐったりした状態等の異常がでた場合は 速やかに医師の診察を受けてください