宇宙探査機 (Space Probe) - はやぶさとその仲間たち - 徳島県農林水産部農林水産基盤整備局農業基盤課井形圭治 Igata Keiji ( 農業部門 / 総合技術監理部門 ) 1. はじめに 2010 年 6 月 13 日日本の小惑星探査機はやぶさが地球に帰還した当日は日曜

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ためひとにばし
4 years ago
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1 宇宙探査機 (Space Probe) - はやぶさとその仲間たち - 徳島県農林水産部農林水産基盤整備局農業基盤課井形圭治 Igata Keiji ( 農業部門 / 総合技術監理部門 ) 1. はじめに 2010 年 6 月 13 日日本の小惑星探査機はやぶさが地球に帰還した当日は日曜日であったので夕方から始まった JAXA( 宇宙航空研究開発機構 ) のインターネット中継で管制室の様子などを見ながら刻一刻と近づくはやぶさの地球帰還の様子を見守った午後 8 時 20 分はやぶさとカプセルが無事に分離管制室内では拍手が起こっていた午後 10 時 51 分頃大気圏に再突入そして午後 11 時 21 分はやぶさの帰還時刻和歌山大学宇宙教育研究所が行ったオーストラリアウーメラ近郊からの超高感度カメラを使ったライブネット中継を見守った来たーーほら来たよ帰ってきたおかえりという女性の声からしばらくして白い光の筋が見えてきた予定時刻どおりにはやぶさは地球に帰還し想定着地点のほぼ中心にカプセルは着地した 30 分後の午後 11 時 56 分に探索ヘリコプターがカプセルを発見しひっくり返ったカプセルとパラシュートの写った画像が公開された翌日の14 日にカプセルは無事に回収されたこの感動的な出来事をきっかけにその後出版されるはやぶさ関連書籍を次々と購入し読み写真.1 はやぶさの模型続けた気がつくと買った本は10 冊 ( あすたむらんど徳島 ) を超えていた

2 今年の2 月にはやぶさのプロジェクトマネージャ川口淳一郎氏の講演を聴く機会があったこの講演の中で川口淳一郎氏からおすすめの書籍を紹介いただいたフィリップセゲラ著宇宙探査機ルナ 1 号からはやぶさ2まで50 年間の探査史飛鳥新社発行である早速購入しざっと目を通した宇宙が好きな私にとって胸がうきうきする宇宙探査機のことが次々と写真と図表により丁寧に解説されていた月探査機のルナ火星探査機バイキング木星土星探査のパイオニア10 号 11 号木星土星に加え天王星海王星を探査するボイジャー 1 号 2 号など現在までの宇宙探査機のことが全て書かれていた今回は小惑星探査機はやぶさと現在運用中の探査機の中で私が今年特に関心を持った探査機について紹介させていただきます 2. はやぶさはやぶさ (MUSES-C) は小惑星探査を目的にJAXAが開発した探査機である探査対象は小惑星 1998SF36 日本のロケット開発の先駆者の故糸川英夫博士にちなんで ITOKAWA ( イトカワ ) と名付けられた小惑星であるはやぶさは開発名ミューゼス(MUSES-C) (Mu Space Engineering Satelite- C: ミューロケットで打ち上げる工学実験探査機の3 番目 ) が示すように世界初の数々の先駆的な技術の確立実証を目的としていた小惑星イトカワまでイオンエンジンを使った飛行を行い自律的に小惑星に近づきその表面から物質のサンプルを持ち帰るはやぶさの技術的特徴には以下のようなものがある 1. イオンエンジン (μ10) による宇宙航行技術を実証すること 2. 光学情報を用いた自律的な航法と誘導で接近着陸すること 3. 微小重力下の天体表面の標本を採取すること 4. 試料の入ったカプセルを直接地球の大気圏に突入させて回収することはやぶさは 2003 年 5 月 9 日に内之浦宇宙空間観測所からM-Vロケット5 号機によって打ち上げられ小惑星イトカワに向かって出発 2004 年 5 月に地球スウィングバイを行なって加速軌道変更 2005 年 9 月に小惑星イトカワに到着 2005 年 11 月 26 日には小惑星イトカワへの降下着陸を行い試料採取のためのタッチダウンに成功その後数々の大きなのトラブルが発生し地球帰還が何度も危ぶまれた化学推進スラスタの燃料噴出による電源喪失や姿勢の大きな乱れ通信途絶 ( 行方不明 ) 全イオンエンジン停止などこれら絶体絶命の危機を川口淳一郎プロジェクトマネージャはじめはやぶさプ

3 ロジェクトチームのメンバーや関係者が一体となり粘り強くあきらめずに対応し何とか乗り切ることができた地球への帰還は3 年遅れたが無事カプセルを分離し 2010 年 6 月 13 日 22 時 51 分頃に大気圏に突入した大気圏に再突入したカプセルの回収作業は 6 月 14 日 16 時 8 分に完了し 7 月にはカプセル内に微粒子が確認され 11 月にはその微粒子がイトカワ由来であることが判明したはやぶさ地球帰還の7ヶ月後 2011 年 1 月 21 日 ( 金 )~24 日 ( 月 ) あすたむらんど徳島においてはやぶさ帰還カプセル巡回展示が行われた待ちに待ったはやぶさカプセルとの対面土日の2 日間通って 3 度見学した展示されていたのは (1) パラシュート (2) インスツルメントモジュール (3) 前面ヒートシールド (4) 背面ヒートシールドなどであったインスツルメントモジュールの金属はピカピカで約 7 年間 60 億 kmもの宇宙を航海してきたとは思えないほどきれいであった一方焼け焦げた背面ヒートシールドは惑星間遷移軌道からの再突写真.2 はやぶさのカプセル展示入のためおよそ12km/sという超高 ( あすたむらんど徳島 ) 速で大気圏に再突入したため 1 万度を超える超高温の環境にさらされたことを生々しく物語っていたはやぶさは数々の困難を乗り越え地球に帰還したことから複数の映画が製作されテレビで特集番組の放送や多くの書籍の出版関連商品も販売されたはやぶさ関係書籍多くのはやぶさ関係の本を読んだ次の3 冊が特に印象に残っている 1. はやぶさの超技術川口淳一郎監修ブルーバックス衛星をはじめとする技術に関しては一番詳しく満足の一冊でした 2. 小惑星探査機はやぶさ玉手箱は開かれた川口淳一郎中公新書カラー版で図表も多く川口淳一郎教授の専門である軌道計算 ( スイングバイ ) のことなどが詳しく書かれている 3. はやぶさそうまでして君は川口淳一郎宝島社川口淳一郎教授から見たはやぶさプロジェクトの全容

4 この他に的川泰宣さんや山根一眞さんの本も読みやすい内容ですはやぶさ映画一覧 1. HAYABUSA -BACK TO THE EARTH- 帰還バージョンライブ社プラネタリウムで上映フルCG 全天周映画ドキュメンタリーナレーション : 篠田三郎 2. はやぶさ/HAYABUSA 20 世紀 FOX セットや登場人物などをできるだけ忠実に再現した内容出演 : 竹内結子佐野史郎西田敏行 3. はやぶさ遙かなる帰還東映プロジェクトマネージャのリーダーシップや技術者達の葛藤を描いた骨太な内容出演 : 渡辺謙江口洋介藤竜也 4. おかえりはやぶさ松竹担当者とその息子を描き家族ドラマに焦点を当てた内容 3D 映画出演 : 藤原竜也杏三浦友和テレビ追跡!A to Z NHK など関連商品 1. はやぶさ君ぬいぐるみ JAXAのWebサイトで公開されているはやぶさをより多くの人々に知ってほしいとの考えで宇宙科学研究所の学生だった小野瀬直美氏奥平恭子氏が制作した小冊子が原型となった物語はやぶさ君の冒険日誌の主人公をキャラクター化したもの写真.3 はやぶさ君ぬいぐるみ 2. 大人の超合金小惑星探査機はやぶさバンダイの大人の超合金シリーズ 1/24 スケール値段は高いが精密にできているサイズ 268( 幅 ) 129( 高 ) 185( 奥 )mm 3. レゴクーソーはやぶさ一般ユーザーがレゴ製品のアイディアを提案しそのアイディアへの投票獲得数によ

5 りに商品化を検討する WEB サイト LEGO(R)CUUSOO からはやぶさが発売されたはやぶさ本体にプロジェクトマネージャーの川口淳一郎氏のレゴ (R) ミニフィギュアが含まれる全 369 ピース完成モデルサイズ高さ約 23 cm 幅約 26cm 奥行約 18 cm Webサイト JAXA 小惑星探査機はやぶさ (MUSES-C) ISAS 小惑星探査機はやぶさ MUSES-C / 科学衛星 3. はやぶさ 2 はやぶさ2 ははやぶさに続く小惑星探査プロジェクトとして現在進行中のプロジェクトであるはやぶさ 2 ははやぶさで挑戦した技術を基に改良を加えて作られた探査機である探査対象は小惑星 1999JU3 イトカワ (S 型小惑星 ) とは違う種類 (C 型小惑星 ) の小惑星からのサンプルリターンを行う C 型小惑星の表面物質には水や有機物が含まれていると考えられており地球の海の水の起源や生命の原材料について知ることができると考えられている小惑星 1999JU3 は 2015 年 10 月 5 日に Ryugu( リュウグウ ) と名付けられたことが発表されたはやぶさ2 は 2014 年 12 月 3 日に種子島宇宙センターからH-ⅡAロケット26 号機で打ち上げられた 2018 年に小惑星に到着し 2020 年に地球に帰還する予定となっている打ち上げからちょうど一年後の2015 年 12 月 3 日にはやぶさ2 は地球に接近し小惑星 Ryugu に向かうために地球の引力を利用して軌道制御を行う地球スイングバイを行う予定地球に最も近づく時刻は19 時 7 分ごろでそのときの高度は約 3100km 場所は太平洋上空探査機の明るさは非常に暗い可能性があり大きめの望遠鏡でないと観測できないようで残念ながら肉眼では見えないようである Webサイト JAXA はやぶさ2プロジェクトはやぶさ2 特設サイトファン! ファン!JAXA!

6 4. あかつき金星探査機あかつき (PLANET-C) は日本初の金星探査機で金星の大気の謎を解明することが目的で複数の観測波長を使って金星大気の様子を詳しく観測することとなっているあかつきは 2010 年 5 月 21 日種子島宇宙センターからH-ⅡAロケット17 号機で打ち上げられた 2010 年 12 月 7 日金星周回軌道への投入が行われたが化学推進エンジンの重大トラブルにより失敗したその後トラブル原因の究明や金星周回軌道再投入及び観測計画について検討しつつ再び金星に接近する機会を待っていた計画を検討していたJAXAは 2015 年 12 月 7 日金星周回軌道への再投入の実施を決定したこれに先立ち 7 月下旬には軌道修正制御が実施されている今回は是非とも成功してもらいたいと願っている Web サイト ISAS 金星探査機あかつき金星周回軌道投入へ 5. ニューホライズンズ NASAの探査機ニューホライズンズは冥王星及び太陽系外縁天体 ( エッジワースカイパーベルト ) の探査を行う無人探査機であるジョンズホプキンス大学応用物理研究所 (APL) のミッションチームが管制を行っている 2006 年 1 月 20 日に打ち上げられ 9 年半かけて冥王星に接近した 9 年ぶりに探査機の機能が目覚めた今年の2 月から関係するWebサイトを見てきた今年 2015 年 7 月 14 日午後 8 時 49 分にニューホライズンズは冥王星に最接近した冥王星に近づくにつれて段々と詳細な画像が送られてくるのが楽しみであった冥王星にはハート型をした明るく見える地形があるということが最接近の前の画像でわかってきた最接近の日は早く帰宅し図.1 冥王星のハート型の地形 (NASA HP)

7 てインターネットでNASA-TVの生中継を見ていた冥王星の観測はフライバイ ( 接近通過 ) といって高速で接近し通過しながら膨大な画像やデータの取得が行われたしかし最接近の画像が届くのは地球からおよそ49 億 kmも離れているため4 時間半後となってしまうその後最接近前後の画像が順次送られてきている最接近時の画像の解析により氷の山や谷平原などの地形があることがわかってきているハート型をした地形は氷の平原で Sputnik Planum( スプートニク平原 ) と呼ばれている今後およそ1 年かけて送られてくる図.2 冥王星最接近時の画像 (NASA HP) 画像やデータにより冥王星のことが少しずつ解明されることを期待している Webサイト NASA(New Horizons) ジョンズホプキンス大学(New Horizons) 6. ディープスペースネットワークディープスペースネットワーク (DSN:Deep Space Network) とは NASAが深宇宙探査の為に立ち上げた深宇宙通信情報網の総称であるジェット推進研究所 (JPL) に所属し探査機と地球の交信を担っている宇宙の全方向との通信を可能とするためにアメリカのゴールドストーンスペインのマドリードオーストラリアのキャンベラの3カ所に複数のパラボラアンテナにより構成される深宇宙通信施設がある日本では長野県佐久市にある臼田宇宙空間観測所 ( 地球局 64mパラボラアンテナ ) がその機能を担っているが探査機が通信できない方向にあるとき DSNの支援をもらっている Webサイトでニューホライズンズをはじめ探査機と地球との間でデータを送受

8 信するパラボラアンテナ群の通信状況をリアルタイムで見ることができるボイジャー 1 号 2 号との通信や日本の金星探査機あかつきとの通信も見ることができる図.3 NASA JPL DEEP SPACE NETWORK NOW (NASA HP) 図.3は 2012 年 8 月 25 日頃に太陽圏を脱出し星間空間の航行に入っているボイジャー 1 号との 2015 年 10 月 12 日の通信の状況である図の右下の表示から探査機との距離は約 199 億 3 千万 kmあり通信の往復に1.54 日かかることがわかる Webサイト NASA JPL DEEP SPACE NETWORK Now 7. おわりに本年度の会報が発行される頃にははやぶさ 2 の地球スイングバイあかつきの金星軌道投入が行われていることと思うどちらも無事に成功し日本の技術力を世界に示してもらいたいと願っている

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untitled 小惑星探査ミッションはやぶさ 2 第回宇宙科学シンポジウム年月日宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所吉川真 ( ) はやぶさ 2 プロジェクト準備チーム 1 現状のまとめはやぶさのカプセルが地球帰還しはやぶさミッションの経験がフルに生かせる状況になった来年度 (H23 年度 ) にはやぶさ 2 の予算が認められた今年度内のプロジェクト移行を目指していろいろな作業を継続している