2006/3/21

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1 (23) 図書館司書専門講座講義レジュメ講師薬袋秀樹図書館における人材育成と司書の専門性期日平成 23 年 10 月 18 日 ( 火 ) はじめに- 地域政策研究 ( 地方自治研究機構発行 )52 号 (2010.9)- 目次 1 地域の活性化における公共図書館の役割薬袋秀樹 ( 筑波大学大学院図書館情報メディア研究科教授 ) 2 自治体図書館の可能性 地域活性化の情報拠点として 斎藤誠一 ( 千葉経済大学短期大学部ビジネスライフ学科准教授 ) 3 参画 協働による まちづくり と自治体図書館荻原幸子 ( 専修大学文学部教授 ) 4 図書館における人材養成の現状齋藤泰則 ( 明治大学文学部教授 ) 5 つなげようひろげよう子どもが本と出会うまち ブックスタートから読書コミュニティへ内藤和代 ( 恵庭市立図書館図書課長 ) 6 農業の活性化と地域振興を目指した農業支援サービス事業栗原要子 ( 小山市立中公民館館長 元小山市立中央図書館奉仕係長 ) 7 市民目線の健康 医療情報サービス 都立中央図書館の実践より和田孝子 ( 東京都立中央図書館サービス部情報サービス課重点情報推進担当係長 ) 8 図書館は街のゲートウェイ 街のコンシェルジュとしての可能性菅谷彰 ( 株式会社シェアード ビジョン代表取締役 / 千代田区立図書館ジェネラル マネージャー ) 9 図書館の学校教育支援 知の拠点 としての可能性 浅井勝己 ( 静岡県吉田町立図書館長 ) 10 公共図書館のデータベース提供サービス 知識創造型図書館をめざして 長谷部絵理 ( 大阪市立中央図書館利用サービス担当係長 ) 11 課題解決型の図書館の実現に向けて 鳥取県立図書館の取組み 小林隆志 ( 鳥取県立図書館支援協力課長 ) 編集後記 全国に 3,140 館ある自治体図書館 ( 平成 20 年 10 月 1 日現在 文部科学省社会教育調査より ) では 住民一人当たりの予算額 蔵書数 施設仕様等が地方公共団体によって異なり 大きな地域間格差がある現状にあります 加えて 厳しい財政状況が続く中 司書等の専任職員の減少 図書館予算の削減等も課題となっています その一方で 自治体図書館は 地域住民の読書を支援するだけでなく 地域の課題解決に向けた取組に必要な資料や情報を提供し 地域社会や住民の課題解決を支援したり ネットワークを構築したりする機能を有しており 行政支援 学校教育支援 ビジネス ( 地場産業 ) 支援 子育て支援等 行政や住民が担うまちづくりのなかで 大きな機能や可能性が期待されています 1. 図書館職員の問題点 (1) 図書館司書の態度と姿勢公と私 自分 ( 達 ) と他者 1

2 (2) 理論 討論の不足研究が行われても 十分議論されない 読書案内デスクの設置 ( 薬袋秀樹 ) 専門的職務と非専門的職務の分離 ( 大庭一郎氏 ) 調査は行われても 研究や議論が行われない 全公図の調査指定管理者制度図書館の評価方法 基準図書館運営に必要な事項について 研究が行われても 必ずしも議論されず また ほとんど研究されない場合もある (3) 司書による研究発表 実践報告の不足図書館専門雑誌数が増えず 固定化しており 発表の場がない AVCC の ライブラリーレポート の廃刊の影響は大きい 図書館専門雑誌以外の雑誌記事は重要であるが 知られにくく 入手しにくい 司書による研究 実践の発表の場がない (4) 事務職 事務職館長の発言の場の不足事務職 事務職館長の発言の場は 新任図書館長研修の講師しかない 事務職 事務職館長から 図書館と司書に対する本音の評価が聞ける (5) まとめ調査はかなりあり 研究もあるが 議論や研究発表 実践報告の場が不足している 司書の人的資源が活用されていない 図書館職員養成 図書館学教育の改善だけでは解決しない 2. 司書資格の内容 (1) 修得単位数の不足最初は 15 単位である 一貫して単位数は増加の傾向にある 単位では十分な教育が困難であることは明らかである 20 単位程度で教育を行っている大学が少なくない 開講単位数の調査が必要である (2)15 単位の評価 たった 2 カ月の講習で取得した 15 単位で専門職が養成できるのかと 人事院や人事委員会から一種の軽侮をまねく結果にもなっている あの暑い最中の 2 カ月間のぶっ通し 講師はあえぎ 受講者はつかれ果てるという条件の悪さで 100 人 200 人の大量生産である まとものことができるはずがない ( 西藤寿太郎 養成機関にもの申す 1966) 従来 司書の俸給を専門職として引き上げようとする際に 15 単位 きんきん 2 カ月の講習を受けたものを専門職員であるというならば どんな職のものもみんな専門職にしなければならないことになる ということで 財政当局との交渉がほとんど不成功に終っている ( 中島俊教 改訂のねらいと留意点 1968) 現状では 有資格者は 専門性 を実質的にもそなえたものとは必ずしも評価していない 専門性の内容充実を図ることためにはまず職種の確立が先決であると考えた ( 大阪市立図書館,1970) (3) 修得単位数増加の可能性司書講習 司書課程では 副専攻であるため 単位数の増加に限界がある ある時期 図書館情報学専攻が理想像と考えられていたが 限界がある 2

3 大学は大都市圏に限られ 全国的な人材供給は不可能である 基礎的な知識の学習は必ずしも保障されない 図書館学ではなく 図書館情報学等である 図書館情報学以外の主題の学習が不十分である (4) 基盤としての大学教育の形骸化 ( 参考資料 二宮氏を参照 ) 学生層において 読書が不足している 補習教育が必要である 大学進学率が上昇している (5) 人材としての司書志望者人材に関する観点司書志望者の傾向は変化しているのか 依然として 本 読書が好き ではないか レファレンスサービス等の利用経験者の志望も増えている 求められる特性は変化している ( 参考資料 吉田氏を参照 ) 行政 経営がわかる司書 図書館がわかる事務職 社会 地域 行政など図書館の外部に対する関心 認識積極性 分析力 構想力 コミュニケーション 説得力 リーダーシップ事務職 事務職管理職との共通点が増加している 3. 日本図書館協会の対応 (1) 図書館員の倫理綱領 による司書職制度の確立 図書館員の倫理綱領 ( 図書館員の基本的態度 ) 第 1 図書館員は 社会の期待と利用者の要求を基本的なよりどころとして職務を遂行する ( 利用者に対する責任 ) 第 2 図書館員は利用者を差別しない 第 3 図書館員は利用者の秘密を漏らさない ( 資料に関する責任 ) 第 4 図書館員は図書館の自由を守り 資料の収集 保存および提供につとめる 第 5 図書館員は常に資料を知ることにつとめる ( 研修につとめる責任 ) 第 6 図書館員は個人的 集団的に 不断の研修につとめる ( 組織体の一員として ) 第 7 図書館員は 自館の運営方針や奉仕計画の策定に積極的に参画する 第 8 図書館員は 相互の協力を密にして 集団としての専門的能力の向上につとめる 第 9 図書館員は 図書館奉仕のため適正な労働条件の確保につとめる ( 図書館間の協力 ) 第 10 図書館員は図書館間の理解と協力につとめる ( 文化の創造への寄与 ) 第 11 図書館員は住民や他団体とも協力して 社会の文化環境の醸成につとめる 第 12 図書館員は 読者の立場に立って出版文化の発展に寄与するようつとめる 日本図書館協会は わが国の図書館の現状にかんがみこの倫理綱領を作成し 提唱する 本協会はこの綱領の維持発展につとめると共に この綱領と相いれない事態に対しては その改善に向って不断に努力する 3 この綱領は われわれの図書館員としての自覚の上に成立する したがってその自覚以外にはいかなる拘束力もない しかしながら これを公表することによって われわれの共通の目的と努力 さらにひとつの職業集団としての判断と行動とを社会に誓約することになる その結果 われわれはまず図書館に大きな期待を持つ人びとから ついで社会全体からのきびしい批判に自らをさらすこと 3

4 になる この批判の下での努力こそが 図書館員という職業集団への信頼を生む 図書館員の専門性は この信頼によってまず利用者に支えられ さらに司書職制度という形で確認され 充実されねばならない そしてその専門性がもたらす図書館奉仕の向上は すべて社会に還元される そうした方向へわれわれ図書館員全体が進む第一歩がこの倫理綱領の制定である (2) 図書館学教育の充実による司書の地位の向上図書館学教育の向上のみを意図していた 図書館学教育の充実 ( 科目数 単位数の増加 ) 卒業生の質の向上 図書館サービスの向上 図書館職員の評価の向上根本問題 : 専門職員形成の基盤に当たる専門的サービスの実態が弱体である 例 : レファレンスサービスの実施率 レファレンスデスクの配置の比率現状を改善するには研修が最も効果的である ( 糸賀見解 ) (3) これまでの図書館界の改革プランの特徴 1 図書館活動 図書館学教育 図書館職員制度に関する個別の取り組みである 2 個々の分野だけで一挙に改善をめざすプランが多い 3 高レベルの目標から逆算した行動方針である 4 教育の分野では 実行されるものが少なく 評価されることが少ない 4. 専門職員認定の方法 (1) 最近の動向ヘルスサイエンス専門情報員 ( 日本医学図書館協会 ) ポイント制日本図書館協会認定司書 ( 日本図書館協会 ) ポイント制図書館情報学学力検定試験 ( 日本図書館情報学会 ) 学力試験 (2) 問題点検定試験制度全員を同じ基準で測定できるが 1 回の試験のため 測定の内容が限定される 受験者の業務上の能力や仕事ぶりは評価できない 試験問題は,1 回の測定で能力の測定ができることが必要である 問題作成と試験実施のための経費と労力の負担が大きい 問題作成に研究の蓄積と準備期間が必要である ポイント制多様な活動の量の測定に重点があり, 研修受講の形式面のみが評価の対象となる場合もある 業務上の能力はある程度測定できるが, 学習の到達度や仕事ぶりを測定することは難しい 経費と労力の負担は少なく, 準備期間も短くてすむ ポイント制の実施少ない費用で実施可能であるが 資格に対する評価は高いものとはならない可能性が高い その点をあらかじめ理解し, 過剰な期待やその結果としての失望を避ける必要がある 認定資格そのものよりも, 認定希望者の研修受講や自己啓発を盛んにし, その分野の研修 研究を担い得る人材を養成することをめざすべきである 研修機会の確保やテキストの出版等を同時に進める必要がある 研修 研究を担い得る人々の連携組織を作り, 検定試験を行える環境を少しずつ構築する 検定試験に対するニーズを発掘し, それを実現する体制と力量を構築することが重要である 4

5 5. 修得科目制定の意義 (1) 履修科目数の限界の打開策大学で司書養成に必要な学習すべてを行うことは困難である この点の打開策 2 段階方式第 1 段階 :24 単位 第 2 段階 :24 単位以外の科目 専攻科 大学院第 2 段階の学習形態 : 大学卒業後の学習 - 集中講義 司書講習 通信教育 e ラーニング ) 大学の授業に対する研修の限界は 学習時間の不足 試験がないことである (2) これまでの図書館職員養成の問題点図書館就職後の大学における学習機会が不足していた 第 1 段階しかなく 第 2 段階は社会人に開かれていなかった ある県立図書館管理職の意見 図書館経営論を学んだ職員がおらず 図書館運営が困難である 社会人が入学できる大学院修士課程があり 成功している 入門としての司書講習や司書課程での教育は 図書館の意義や重要性に関する認識を得ること 図書館業務に対する意欲を引き出すことを最大の目標とするべきではないか 例 : 事務職研修における自治体行政への支援 図書館の自由と知る権利 図書館の意義や重要性に関する認識を得ること 図書館業務に対する意欲を引き出すことができ 一定の基礎知識の学習が終ったら 社会で 24 単位以後の段階の学習ができるような環境を整備するべきではないか (3) 大学において履修すべき図書館に関する科目制定の意義これからの図書館の在り方検討協力者会議 司書資格取得のために大学において履修すべき図書館に関する科目の在り方について ( 報告 ) (2009) 以下は筆者の個人的見解です 1 図書館司書の 生涯学習宣言 図書館に関する科目は 図書館で勤務し専門的職員として図書館サービス等を行うための基礎的な知識 技術を修得するためのものであり その後 さらに専門的な知識 技術を身に付けていくための入口として位置付けることが適切である すなわち 司書に必要な資質 能力は 司書資格を取得した後 図書館の業務経験や研修及びその他の学習機会等による学習等を通じて 徐々に形成されていくものであり 図書館に関する科目はそのための基盤を形成するものと考える このため 大学は 学生に資格取得後も学習を続けるよう奨励し 図書館の設置者は 司書に資質 経験等に応じて継続的に研修に参加させ 知識 技術を向上させるように努め 図書館職員は自主的に学習を積み重ねることが重要である これらの主題専門知識については 大学等で学習に努めるとともに 図書館就職後も継続的に学習し 常に最新の情報を把握することが望まれる 2 履修科目以外の学習の意義 図書館に関する科目 を取り巻く関連する科目の体系 大学の教育課程における基礎的な知識例 : 憲法 外国語 情報技術 図書館業務に関する知識の基礎となるさまざまな分野の知識例 : 行政学 法学 経済学 経営学 社会学 教育学 心理学 歴史学 情報学 主題専門分野の知識 5

6 例 : 人文 社会 科学技術 医学 生物学 地域社会等 図書館に関するより専門的な知識 技術一部の大学 大学院で開講している科目 上記科目の学習が望ましいとされている 司書が学習する必要があるのは直接図書館に関係する科目だけではない 図書館行政は 行政学の図書館に対する応用である 2 履修科目以外の学習の方法 科目の改正後は 現職者による新設科目の自主的な学習を奨励することが望まれる 科目等履修生としての履修で対応できるのではないか 新規採用がないため 論 の履修者がいないという事態を避ける より専門的な教育を実施するためには 各大学で 少数であっても 図書館に関する科目 を補足する科目 及びより専門的な内容の科目を開講し それを現職者が科目等履修生として履修できるようにすることが考えられる 当面は 図書館特論 を活用する 改正後改正前図書館特論 (2 科目以上選択 ) 選択科目 (2 科目以上選択 ) 図書館基礎特論 (1 単位 ) 図書及び図書館史 (1 単位 ) 図書館サービス特論 (1 単位 ) 資料特論 (1 単位 ) 図書館情報資源特論 (1 単位 ) コミュニケーション論 (1 単位 ) 図書 図書館史 (1 単位 ) 情報機器論 (1 単位 ) 図書館施設論 (1 単位 ) 図書館特論 (1 単位 ) 図書館総合演習 (1 単位 ) 図書館実習 (1 単位 ) 上記の開講科目について 関係機関で科目の体系等を検討し 標準化を図る これによって 上級資格に相当する科目の開講と履修の実態を徐々に形成できる ただし その科目の内容は 図書館に関する科目 の履修を前提とし それよりも専門的な内容であることを明確にする必要がある 5. 図書館職員の研修の意義 (1) 大学において履修すべき図書館に関する科目の学習 1 大学における教育内容 体制大学における特論関係の授業の開講 特に 集中講義 司書講習 通信教育 e ラーニングによる開講が必要である * 日本図書館協会 日本図書館協会図書館学教育部会 日本図書館情報学会等による取り組み 2 図書館職員による学習司書有資格者による新規設置科目の履修 学習 特に 科目等履修生 司書講習 通信教育等の活用が必要である * 図書館職員 日本図書館協会による取り組み 運動 3 図書館学教員の位置図書館学教員は当事者 直接の利害関係者であるという認識が必要である 図書館職員 図書館管理職の図書館職員養成教育に対する意見が重要である (2) 集合研修からオープンアクセスの活用へ 1 集合研修の困難化集合研修の参加が困難になっており 参加者が減少している 6

7 2 初任者研修の重要性指定管理者に 司書資格を持たない 行政事務経験のない職員が増加している 3 研修に関する発想の転換できるだけ少ない費用 時間で 必要度の高いことから順々に学習する 単位増以前に より効率的な学習方法の開発が必要である 4 研修におけるオープンアクセス誰でも 何でも ( どのレベルでも ) いつでも どこでも ( どこにいても ) 学習できる体制を創る 機関リポジトリ リンク集 学習プログラム 学習相談 遠隔学習を活用する おわりに メールアドレス :himinai@slis.tsukuba.ac.jp ホームページ : つくばリポジトリ ( 筑波大学の機関リポジトリ ) : 図書館改革リンク集 : 参考文献 1) 特集自治体図書館とまちづくりの可能性 地域政策研究 52,2010.9,p ) 西藤寿太郎 養成機関にもの申す 図書館雑誌 60(4),1966.4,p ) 中島俊教 改訂のねらいと留意点 図書館雑誌 62(6),1968.6,p ) 日本図書館協会図書館員の問題調査研究委員会 専門性と司書職制度の現状 公共図書館の場合 図書館雑誌 64(7),1970.7,p ) 吉田真弓 公立図書館の司書だから必要なこと 文部科学時報 1602,2009.7,p.39. 6) 二宮嘉須彦 司書の資質向上 文部科学時報 1602,2009.7,p.36. 7) 薬袋秀樹 図書館運動は何を残したか 勁草書房,2001.5, 248p. 8) これからの図書館の在り方検討協力者会議 司書資格取得のために大学において履修すべき図書館に関する科目の在り方について ( 報告 ) ,20p. 9) 薬袋秀樹 司書養成のレベルアップをめざして - 草の根からの学習運動を 社会教育 No.763, ,p ) 薬袋秀樹 わが国の公立図書館が直面する問題 課題と今後の方向性 社会教育 No.752, , p ) これからの図書館の在り方検討協力者会議 図書館職員の研修の充実方策について ( 報告 ) , 63p. 附録 司書資格取得のために大学において履修すべき図書館に関する科目の在り方について( 報告 ) ( 抜粋 ) これからの図書館の在り方検討協力者会議平成 21 年 2 月 3. 図書館に関する科目内容の基本的な考え方 (1) 科目の位置付けについて 一部の大学や大学院では 図書館に関するより専門的な知識 技術を身につけるための科目を開講している 専門的な知識 技術の向上の観点から さらに多くの大学等で より多様な内容の科目が開講され さらに 社会人のための様々な教育機会や各種の研修の機会の拡大を通じて これらの科目内容や教育内容が広く普及することが期待される このために 今後 これらの科目のあり方について 関係者の間で検討が行われることが望まれる 各大学においては 必要な知識 技術を持った司書を養成するために これらの科目を開設するとと 7

8 もに 必要に応じて 適宜その他の科目を開設し 適切なカリキュラムを編成することが期待される (4) 選択科目について 司書に必要な基礎的な知識 技術は 司書資格取得を目指す全ての人々が学習できるように必修科目に盛り込まれている さらに そこで学んだ内容を発展的に学習し 理解を深める観点から 選択科目を引き続き設けることとした 選択科目の内容は ある程度まで必修科目で学んでいるため 大学の創意 工夫で講義や演習形式により柔軟に構成できるよう 1 単位科目としたが 単位数を増やして内容を深めることも可能であることから 大学の事情に応じて充実を図ることが望まれる 大学は 上記の科目の開講に努め 学生が学習する機会を提供し さらに その学習の奨励に努めることが望ましい ( 略 ) 本科目は 各大学の特色を活かした内容によって構成し 多数の科目が開講されることが望ましい 5. 今後の司書養成の更なる充実に向けて これまでに得た司書資格は今後も有効であるが 今回 科目内容が改善されたことから これまでの司書有資格者は 新たに設置された科目の内容について 科目等履修生 司書講習 通信教育等を活用して学習することが期待される これは社会のニーズに合った最新のサービスを行う上で効果的である 司書養成教育の水準の向上を図るには 新しい科目の授業の実施とともに 司書養成課程の管理 学生に対する指導 並びに教育内容等に関する組織的な研修を着実に実施していくことが必要である このためには これらを担当することができる 図書館に関する領域を専門とする専任教員を十分に確保することが重要である 大学設置基準等においては 教育内容等の改善のための組織的な研修等を行うものとされており 大学における図書館に関する科目についても実施されることを期待する 大学及び司書講習における養成体制の整備が重要であるため 大学評価の一環として 大学及び司書講習における司書養成体制に対する外部評価が行われることが望ましい 今後 大学における養成内容等の一層の充実を図るため 司書養成を行っている大学間で 司書養成に関する情報交換 交流の推進等をはじめとする連携 協力を推進することを期待する アジア地域を含む諸外国では 図書館の専門的職員の養成が主として大学院修士課程で行われている こうした現状を踏まえ 今後わが国においても 大学院での教育体制を整備する方向で関係者間での検討を進めることを期待する 本協力者会議で 図書館に関する科目の在り方について議論する中で 司書の養成の在り方そのものに関しても 1 司書講習の在り方 2 司書の学歴要件 3 司書補の制度の在り方等について 今後検討する必要があるといった意見があった これらの事項については まず 現状の把握を行うことが必要であると考えられる また 図書館関係の学会や団体等で必要な調査を行い 図書館関係者間で継続的に議論を深めることが重要であると考える 8