寄稿 3 非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法について 特許庁審査第二部熱機器審査官 特許庁審査第三部金属電気化学審査官 宮崎賢司神野将志 抄録本稿では 非自明性要件 ( 我が国でいう進歩性要件 ) に的を絞り 明細書に非開示の利点 ( 効果 ) 又は出願後の実験データの主張に対

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1 寄稿 3 非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法について 特許庁審査第二部熱機器審査官 特許庁審査第三部金属電気化学審査官 宮崎賢司神野将志 抄録本稿では 非自明性要件 ( 我が国でいう進歩性要件 ) に的を絞り 明細書に非開示の利点 ( 効果 ) 又は出願後の実験データの主張に対する参酌可否の論点について 120 年以上に及ぶ米国の判例法を解説し 現代の運用に続く米国の歴史を総括する 1. はじめに ( 本稿の趣旨と論点 ) 本稿では 主に非自明性要件に焦点を当てて 明 1) 細書に記載のない発明の利点 ( 効果 ) の主張又はその裏付け ( 実験データ等 ) の提示に関係する主な米国判例を選定しその概要を解説するとともに それらの判例を踏まえて 本稿の論点に沿った米国判例法とはどのようなものであるか考察した なお 本稿の内容はすべて筆者個人の私見であり 筆者所属の組織等とは無関係である 2) 本稿で取り上げる論点 ( 視点 ) をわかりやすく説明するために まずは我が国で今から50 年近く前 3) に上梓された書籍に記されている 吉藤幸朔先生らの意見交換を以下に抜粋で掲載する ジュリスト選書 発明 特許法セミナー ( 1 ) ( 年 ) 吉藤先生 例えばこういう場合です ある公知文献に 特定の合成繊維について その繊維は丈夫で 魚網に使用できるし 織物あるいは編 物にも使用できる と記載してあるとする その文献の刊行後に ある人がその繊維を使った魚網を出願し この魚網は水中に入れると無色透明になり したがって魚がその網に気がつかないで非常によけいひっかかる というような新しい顕著な効果を書いてきたとします その場合には そういう繊維で魚網ができると書いてあったのだから 発明自身は 従来公知のものであるということになる しかし 水中に入れたら透明になるという魚網としての顕著な効果はちっとも書いてなかったわけです この際 二つのものが同一の発明なりや否や または後者は前者から容易なりや否やという問題になれば 特許できないことは明らかで その際においてはその顕著な効果というものは全然問題にされないでしょう 吉藤先生 では つぎに別の仮定ですが 文献には魚網に使えるとまでは書いてなく 繊維として丈夫とだけ書いてあったとしますと どうなりますか 1) 本稿にいう 発明 は特許を求める発明主題等と呼ぶ方が好ましい場合もあるが 本稿では便宜上発明と呼ぶことにする ( ただし判決文の引用部分や論文の翻訳部分は除く ) 2) 本稿での判決文 ( 要約 ) や論文等の翻訳は筆者個人によるものであり 翻訳精度を保証するものではなく あくまでも参考資料程度とご理解いただきたい また 本稿における下線等による強調は 特に断る場合を除き筆者個人によるものである 3) 兼子一 発明 - 特許法セミナー (1) ( 有斐閣,1969)88-95 頁 tokugikon no.285

2 寄稿3自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法について吉藤先生らは 発明の効果 ( 利点 ) の参酌可否の問題において 興味深い議論を行っている 4) この論点は 審査審判等に限らず 特許権侵害訴訟における特許の有効性を争う場合も同様に生じる 特に ( 丈夫な繊維ということで記載要件 明確性要件等は満たしている又は争点になっていないと仮定して ) 先行技術による発明構成の一応の容易性が示された後 更なる追加的要件として漁獲量の向上という効果を後から主張する場合は 通常は進歩性有無の判断の場面となる 本稿では 米国における非開示の利点又は実験データ 5) の主張参酌可否の論点について 判例法とその歴史を解説する 我が国とは発明や特許権保護に対する考え方 法の趣旨や設立の経緯等異なる点は多いものの 非自明性 ( 我が国では進歩性 ) 判断における効果参酌の場面は実務上我が国と同様に存在するため 本稿により米国ではどのような判示がなされているかを把握することは 我が国の審査審判実務等においても参考になるものと期待する 以下に 本稿の趣旨をまとめた 本稿の趣旨 米国では 明細書に開示のない発明の利点( 効果 ) 又は実験データについて 出願後の主張であっても寛大に参酌されると我が国においては一般に思われているようであるが 本当にそうなのか もし寛大であるとしたら そのような運用を米国における先例 ( 米国判例法 ) が支持しているのかどうかについて 関連する判例を 6) 収集し 調査を行った 特に 非自明性判断に的を絞り このような論点を真正面から取り上げ 判例をその歴史とともに紹介するような論説は我が国では見当たらず これまであまり 論じられてこなかったように思われる 本稿では 個々の判例の概要を解説しながら 本稿の論点に沿った米国判例法がどのようなものであるかを紹介する 筆者が関連する判例や論説 論文等を収集した結果 米国の非自明性要件における本稿の論点について歴史の流れをまとめると 以下のようになる 非第 1 期 Diamond Rubber 以前の時代 ( 1910 年 ) 非開示の利点の主張に比較的厳格な時代第 2 期 Diamond Rubber line of Cases(1911 年 ) 非開示の利点の主張に寛大な時代第 3 期 Lincoln Engineering line of Cases(1938 年 ) 再び厳格化した時代 ( 特許の有効性を綿密に吟味する時代 ) 第 4 期後期 CCPA 時代 (1964 年 ) 寛大な指針が登場し CCPA 等が調和を目指した時代第 5 期 CAFC 時代 (1982 年 ) 非開示の利点の主張に寛大な時代 ( 上記指針を緩やかに継承する時代 ) 以下 これらの時代区分ごとに章立てして判例の概要説明と若干の考察を行い 7 章の総合考察でまとめとする なお 本稿では 先行技術からの一応の自明性 (prima facie case of obviousness) が示されることを前提に その一応自明を覆し得る ( 明細書に非開示の ) 利点又はその裏付けの参酌可否の問題を取り上げるので 引用例の内容や相違点等の説明にあまり紙面を割かず 主に発明と主張された非開示の利点やその参酌可否の判断について判例の概要を紹介する no tokugikon 4) 予測外の効果を出願後に主張する前提として 当初明細書に繊維として丈夫としか記載されていない場合 (1) 魚網に有益と一行記載程度のみがある場合 (2)( 出願以前の実証無し ) 魚網に有益と一行記載が明細書にあり 出願以前の実証又は理論的な根拠 ( 発明の原理等 ) が 明細書に記載されている場合 (3) 又は出願後に新たに主張された場合 (4) 等の場面を想定して考察できる題材である 5) 一般には実験データに限らず理論的な裏付け ( 発明の原理 作用等 ) も可能であるが 本稿では便宜上実験データ等と呼んでいる 6) 本稿では下記チザム論文に倣い 先行技術との対比を経て 特許性を争う訴訟 ( 査定系 ) 又は特許の有効性を争う訴訟 ( 主に侵害事件 ) に論点の的を絞った (35 U.S.C. 103 制定 (1952 年 ) 後の 非自明性 要件 それ以前の時代の 発明性 要件を争うコモンロー訴訟と エクイティ訴訟を取り上げる ) Donald S.Chisum Afterthoughts and Undisclosed Advantages as Evidence of Patentability: From Salt Dredges to Polystyrenes 57 J.Pat.Off.Soc'y(JPTOS,1975) 第 442,443 頁

3 2. Diamond Rubber 以前の時代 ( 第 1 期 : 1910 年 ) [1]( 最高裁 )Union Edge Setter Co. v. Keith 139 U.S. 530(1891) 本最高裁判例は米国特許 (US173284A) の侵害の訴えに起因する衡平法 ( エクイティ ) 訴訟である 先行技術に対する発明性 ( 今日の非自明性 ) や発明の利点についての出願時の開示が問題となった 侵害が主張される元となった唯一のクレーム1は 要するに 靴底に面した指置き ( フィンガーレスト 図の D) と組み合せた靴磨き具 というシンプルなものであった 作業者は手に靴を堅く握り締めて 特につま先の角を磨く場合に 指置きDの補助により手を安定にさせ ( 靴を安定に保持でき ) 往復運動による靴磨きで 靴に光沢やつやを出すことができる このような特許発明に対して有効性と非侵害が争われた 裁判所は 古くからある要素の寄せ集めにすぎないと判断した また 靴の踏み面の端に要求される角度による本発明の新しい機能について主張され 議論されたものの それは本発明に属する新しい機能というよりも 作業者の技術及び技能 ( スキル ) に起因しており この器具の操作から生じること 特許権者が当初の出願においてその利点をアピールしなかった ( 注意を促さなかった ) ことは幾分奇妙なことであるとして 特許性は否定された [2]( 最高裁 )Ball & Socket Fastener v. Kraetzer, 150 U.S. 111(1893) 本件はグローブ ファスナーの改善を行った6つ の特許権侵害が提起されたエクイティ訴訟である そのうち問題となった1 件 ( ミード特許 US A) について 以下に概要を紹介する 訴えは専らミード特許のクレーム4,6,7に ( 左図 ) ついてのみ関わっており 以下にクレームの内容を紹介する なお 紙面の都合上 侵害が主張された Kraetzer 製品 (US A and Aという特許を元に作られたもの ) については図面の紹介 ( 右図 ) にとどめる クレーム4は ボタンヘッド(F) によって 織物に対して中心に固定された 中空ソケット (D) と フラップ 7) の下側に配置されている包囲部を含む 締結部材 ( 要するにボタン ) である クレーム6は 締結部材であって 中空ソケット (D) を含み 織物の中心に取り付けられている リベットとボタンヘッド (F) との結合を備える クレーム7は 締結部材であって アイレット(l) によって中心に取り付けられる中空ソケット (D) を備え アイレットは 凹型の受け座 ( コレット ) 又はディスク (E) の中で形成される環状のくぼみ (q) 内に配置される ミードのソケット (D) は弾性を有するとした上で 原告側の専門家は スプリング ソケットは グローブの皮を ボタンヘッドの中へ上に向かって押し込み ボタンヘッドの内面に対向して皮を強く押しつける ( スクイーズ ) という効果を述べた しかし 裁判所は この特徴が発明の利点である場合 そのことが明細書の中に書かれないのは奇妙である 特許権者はそのような特徴について特段の考慮を一切していない と判断した さらに裁判所は レーサーをよりきつく圧縮できるという利点は 特許権者の熟考の範囲内に当初からなかったので ソケットのスプリング部分の侵害事件に対する被告に対抗して主張 立証できないことから提案された 後知恵 であるとした また Kraetzer 製品には ミードの特許にいうボタンヘッド (F) がなく 中空ソケット (D) やアイレット (l) も全体として異なる構造である そして 被告製品の使用で得られた唯一の機能が 7) 例えばポケットのフタなど 垂れ下がったものを指す tokugikon no.285

4 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法について加熱されたロールによって布の形状変化が恒久化さ ボタンヘッドの中へ上向きに革を押しつける ( スク イーズ ) という機能ということであるが これは非 常に疑わしい利点の機能である 見たところ Kraetzer 製品において無意味であり また ミー ドによって何ら熟考しないか 彼の明細書中で暗に 言及されてもいない あまりにも虚弱な主張である ので 被告に侵害の責任を課すことはできない 2 つのデバイスの本質的な作用 ( 働き方 ) が異なる場 合 原告特許の些細な特徴の明らかに偶然的な採用 によって 被告に侵害の責任を課すような衡平法 ( エ クイティ ) は存在しないと判断された Union Edge Setter(1891) 8) から 2 年後 再び最 高裁は明細書に記載のない利点の主張を後知恵 "afterthoughts" であると述べた 発明の利点は当初 から全く開示されておらず ほのめかしすらもない 特許権者は特に注目もしていなかった ( 権利者自身 の証言のとおり ) 最高裁は 発明の特徴として利 点を主張する場合 明細書中で少なくとも暗に言及 されているか 本人の 熟考 の範囲内に当初から なければならないとしたことは興味深い [3]Kursheedt Mfg. Co. v. Naday 103 Fed. 948 (S.D.N.Y.1900) 本件は織機 (plaiting machine) についての発明で 刃の形状によって布 ( 生地 ) がねじられる (distorted) という非開示の利点が主張された ( 布がねじられ 寄れる ) 発明の利点の主張について 後知恵の疑いが下級審でピックアップされ ニューヨーク州南部地区合衆国地方裁判所 (S.D.N.Y.) は この新しい利点は 彼の発明ではなく当業者のスキルにすぎない と判断した しかも この恒久化という特徴は 古くから本発明と同様なすべての従来装置において備えるものである また その特徴についてヒントすら明細書に記載されていない上に この特徴は特許権者の技術というよりは むしろ熟練者の技能 ( 腕 ) や 原告の助言に依拠するものにすぎないとされた 3. Diamond Rubber line of Cases ( 第 2 期 :1911 年 ) この時代は Westmoreland(1909) を契機とし その後非開示の利点の主張参酌が大きく柔軟化した [4]Westmoreland Specialty Co. v. Hogan, 167 F. 327(3d Cir.1909) 本侵害訴訟において問題となった特許発明は 塩の乾燥を保って保管するための容器の蓋を 従来は金属製キャップであったものを セルロイド製としたものである セルロイド製とすることにより 乾燥を維持して塩の固化を防ぐとともに 防錆性 ( 耐腐食性 ) 軽量等の利点がある 裁判所は 発明を完全に理解し すべての利点を明細書にて開示しな no tokugikon 8) 本稿ではケース名を例えば Union Edge-Setter(1891) と略記することとする

5 いことは 致命的なことではない 開示した発明について後から利点が発見されたことは発明の価値を剥奪するべきでない セルロイドのキャップによって塩の乾燥を保つことを発明者は知っていた と判断して 当初開示のなかった発明の利点を考慮して特許性を維持し 侵害を認めた この判例は その2 年後の最高裁とともにその後の裁判所の判断に大きな影響を与え 当初開示のない発明の利点に対する参酌が寛大になる契機となった 本件で裁判所は発明者が利点を知っていたこと 9) についても注目した チザム氏は 判示は非開示の利点であっても特許性を高め得るものであるかどうかはっきりしない側面もあるが 判示で述べられている 価値 とは発明性 ( 今日の非自明性 ) のテストの下での法的価値というよりはむしろ特許の 経済的価値 に該当するかもしれないと述べていることは興味深い 10) [5]( 最高裁 )Diamond Rubber Co. v. Consolidated Rubber Tire Co., 220 U.S. 428; 55L.Ed.527 (1911) 本件は特許権侵害訴訟であり 特許の有効性 ( 非自明性 ) が主な争点となった 問題となったクレーム1(US554675A) のみを仮訳で紹介すると 車両用ホイールであって テーパー面 ( 勾配面 ) を備 えた溝が形成されるよう 角張って延びるフランジを備えた金属性のリムと そのチャネル ( 溝 ) の中に内側がフィットするゴムタイヤであって フランジの外縁の範囲内にある内側 C3と外側 C2との間の角部 ( 又はコーナー部 )C4 と タイヤの内部を貫通する保持ワイヤー dを備えた構成 である 原告側から主張された ( 明細書に記載のない ) 利点は 横方向からの大きな衝撃に対して チャネルの中に保持されたタイヤが這うように横に移動し クッションの機能を果たすこと そして横方向の力がなくなると自ずと元に戻るという特性である また 各構成要素の結合とそれらの協働に特許性がある ( 新規で有用な結果を生み出す ) のであり 単なる既知の要素の寄せ集めではないという主張がなされた ( 被告は存在を強く否定 ) それに対して 最高裁判所は 証拠の提示と口頭弁論による そのような機能や相乗効果的な利点 ( シナジー ) の存在を認め 下級審の判断を維持した ( 先行技術にはそのような利点があるようにはみえない この利点は発明者による偶然の結果或いは無計画的な選択ではないと判断された ) また 最高裁判所は2 年前のWestmoreland(1909) を挙げて 実験による完全な発明品でないこと ( 成功した実験の上に成り立った発明ではないこと ) が 発明の利点を減退させるわけではなく 世界にもし価値ある視点 ( 有用性 ) を与えていれば 発明として保護すべきだ 発明者は 発明がどのように作動し どのように作用し どのような機構になっているかのすべてを把握せずとも その発明の価値 長所への評価を減退させるべきでない 発明の基礎となる科学的原理を 必ずしも理解し述べることができるようにする必要はなく 関連する憶測のアイデアについて 成功した実験の上に立っているかどうかは 重要ではない と判示した また 被告が原告の発明を模倣したことがこの発明の斬新さと有用性を根拠付ける理由になりえる ( 多数の競合者がいる中 原告の発明は当業者に求められた ( 当業者の夢であった ) 品質を持っている ) と判断された 9)Chisum 前掲注 (6) 第 439 頁 10) なお 本件を我が国の審査実務に照らして考察するならば 明細書や図面の内容から推論できる事項は参酌され得るので セルロイド製による防錆性や軽量等の利点は推論可能と判断されるように思われる tokugikon no.285

6 ついて装置の使用は時に疑いのない利点に光が当てられる この最高裁判例は Westmoreland(1909) とともに その後の裁判所の判断に大きな影響を与えた 科学 的原理 ( 利点の根拠 ) をあらゆる視点で理解する必 要がないことは 我が国の運用と異なることはない ものと思われる 本件で柔軟に発明の利点が参酌さ れたのは Westmoreland(1909) の影響を強く受け たことや 先行技術との構成の大きな相違 発明の 構成等から利点 ( 利点を奏するメカニズム等 ) を読 み取りやすい機械分野であったこと 被告の模倣 当業者のニーズ等が高く評価され 単なる寄せ集め ではない相乗効果的な価値が強く推認される事案 だったこと等が考えられる [6]Jackson Fence Co. v. Peerless Wire Fence Co., 228 F. 691(C.C.A ) 本件は巡回控訴裁判所 (CCA) で扱われた事件で 発明の持つすべてのメカニズム スコープを述べ る必要はない 発明者自身が述べていない利点が参 酌され 彼は特許をとる資格がある なぜなら 特 許権者はクレームの範囲内ですべての機能について の利点に対する資格があり 彼自身の発明のメカニ ズムによって実際に権利 ( クレーム ) を所有してい るからだ ( たとえ彼が特許された時点でそれについ て知らなくても ) 特許権者が 彼自身の明細書を trade circular( 商業引き札 つまり宣伝用の広告 チラシ ) にさせる義務は全くない と判示された [7]Mead-Morrison Mfg. Co. v. Exeter Machine Works 225 Fed. 489(3d Cir. 1915) 本件で問題となった発明は巻上機の発明で 高速 動作が可能であることは開示されていたが 振動が 少ないことは非開示であった 裁判所は以下の判示 をした ( 今みれば最も大きな利点であった ) 振動 を少なくするという発明の利点の開示はないが か といって装置のすべての利点の開示が必要だとは思 わない その後の装置の使用においてクレームの利 点が実現しないことはよくあることであり 同様に 寄 no tokugikon ことがある 発明の使用 実行 メカニズム 方式 などが十分に開示されて 技術に精通した者が使用 できるように十分に開示すべきであり 法律の要件 を満たすことが求められるが その装置が持ってい るかもしれないすべての利点を開示する必要はな い もしその後の使用が 疑いのない追加的な利点 を開示するならば 特許権者は特許権存続の間 い わば獲得者 (gainer) となり 特許が満了したとき に公衆のものとなる *CCPA( 米国関税特許控訴裁判所 ) が1929 年に創 設された 11) [8]Simplex Piston Ring Co.of America,Inc. v. Horton-Gallo-Creamer Co. 16 USPQ 157;, 61 F.2d 748(2d Cir.1932) 本件は Solenbergerの特許 (US A) のク レーム13と14( 内部の燃焼機関で使われるための ピストンリングの改良に関する特許 ) の侵害が争わ れたエクイティ訴訟である 同クレーム13,14は要 するに内燃機関中での 単一ピースの横分割リング のリング溝 ( オイル通路がそこにできるよう円周に スロットを形成するか 又は シリンダーが非円形 か歪んだ形状であっても順応するため 比較的高度 の柔軟性を与えるよう放射方向に浅くなっているリ ング溝 ) と コルゲート付きリボン エキスパンダー ( ピストンの溝の内壁とリングとの間にあり 半径 方向放射状にリングに力をかける シリンダーが非 円形か歪んだ形状であっても順応が可能 ) との組 合せであった 原告は スロットにより放射状にリングの柔軟性 を増すことができるという明細書に記載の目的の達 成の他に 更なる目的の達成について主張した 1 つは リング ( 図 1 シーリング リング4) の後ろ の空間が シリンダとリングの間にオイルを分配す るための潤滑用トラップ又は溜まり部となること もう1つは エキスパンダーがオイルにとっての障 壁として作用し いわゆるピストンスラップを低減 11) 主に査定系の控訴事件を扱う 判決名は In re と表記される その後 1982 年に廃止され 管轄事項は現在の CAFC に移管されている 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

7 発明の構造から内在的に表出する利点 ( 相乗効果 ) を寛大に参酌する思想が読み取れる 12) 現代の我が国の運用からみても 典型的な機械分野ならではの妥当な判断に思える 4. Lincoln Engineering line of Cases ( 第 3 期 :1938 年 ) するという利点である いくつかの先行技術について検討されたが 単独で使うには柔らかすぎて使用できないスロット付きのリングと併用して エキスパンダー 15で補完する技術は出願前に存在しなかった また この特許製品の登場後数年で 年間 200 万以上も販売され 様々な地域で使用された 当初裁判官はクレームが有効 侵害ありと判断されたが 中間判決後に被告は 自己のリングにはない 原告特許では軸方向圧縮可能性の存在 ( すべてのクレームに記載なし ) が暗に示唆されていること ( 主張 1) 本件特許は単なる寄せ集めであり 相乗効果的に追加される機能もない ( 主張 2) と主張した しかし 裁判所は 主張 1について 明細書に記載がないことをそこまで踏み込んで読み取らない ( 発明を狭く理解しない ) こと オイルの通路となるスロット付きリングは シリンダーに直接オイルを導くオイルトラップとなることによって むしろ潤滑効果もあるであろうとして主張を受け入れなかった さらに主張 2について 裁判所は 特許発明が新規なことは事実であり 装着される様々なシリンダーに順応するのに適切なほど柔軟なスロット付きリングとともに ( それをあえて使用しつつ ) コルゲート付きリボン エキスパンダーを使用する ( 強度を補完するという ) 組合せは従来無かったものであり 単なる寄せ集めを超えた追加的機能を備えることを認めた この時代 特許の有効性を綿密に吟味する比較的厳格な時代に揺り戻された [9]( 最高裁 )Lincoln Engineering Co. v. Stewart- Warner Corp. 37 USPQ 1, 303 U.S. 545(1938) 本ケースは バトラーの特許 (US A) の寄与侵害について 地裁と巡回控訴裁判所は 上告人の有罪を支持していた 発明はバルブ36を備える ( ベアリングのための ) 潤滑油の注入装置であり 争いになったクレーム2を説明すると 潤滑油を受けるための 先端部となるニップル ( 接管 図 2-4,10のchuck 参照 圧縮手段とニップルとを連結するための連結手段 25を備える ) と シリンダー内の可動ピストン ( 潤滑油の放出のための開口を持っている ) と 開口を有するシーリング シート ( ニップル端部と取り付けられ ピストンによって移動される ニップルを通る通路とピストン開口とを連結させる ) と シリンダーによって移動する放射状に可動な係止 ( ロック ) 要素 ( ニップルと協働して ピストン作用により ニップル上で当該要素をつかむ ) との組み合わせである 裁判所は 先端のニップル ( 又はフィッティング ) が ベアリングと接続されており グリースガンからコンジットに連結させるものであるが 古くからある要素からなっており それらの結合において何ら新しい機能を果たしていない 出願人が発明した以上のものをクレームアップしているので特許性が 12)Chisum 前掲注 (6) 第 442 頁,Robert A.Choate Invention and Unobviousness - Afterthoughts - Reliance on Features and Advantages Undisclosed at Original Filing 49 J. Pat. Off. Soc'y(JPTOS,1967) 第 624 頁によれば Learned Hand 判事は Simplex Piston Ring(1932) の決定時に Diamond Rubber(1911) での最高裁が以下のような提案を打ち立てたと評している 特許権者は発明の構造が内在的に利点を開示する限り自分が気づいていなかった発明の利点に支えられることを望んでもよい 特許権者は自分が知っていたことを超えるものを構築してもよいが 自分が構築したものに限定される * In re Zenitz(1964) で登場する CCPA 発 IFF アプローチの原型となる考え方がここで登場していることは興味深い tokugikon no.285

8 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法についてのような行為は奇妙にみえるとともに 先行技術か * 発明の構成図がやや複雑なので 以下に概要を示す ベアリング ( 右図 ) ニップル又はフィッテング- 連結部 25 -ホース又はコンジット-ポンプ, ピストン ( 左図 ) 突起やピンで係合 注入器に接続される ない と判断した さらに バトラーの特許における組み合わせについて 明細書に開示のない 主張された新しい機能は グリーシング操作 ( 注入作業 ) の最後にニップルから連結器を引き抜いたときに ニップルの丸い先端部が 次の作業のために連結器の口をピンと立たせる ( ピンと戻らせる ) というものであった 裁判所は この主張は後知恵である ニップルのそのような機能について 特許明細書にはヒントも記載されていない もしこの機能がそれほどまでに装置の機能として重大な要素であるというのなら 全く言及がなされていないことは奇妙である ( 最高裁 Union Edge-Setter(1891), 最高裁 Ball&Sockett (1893),Kursheedt(1900) 等を引用 ) また 先行技術においても似た機能を果たすことを含んでいるので そのような主張は不健全である と述べて特許無効の結論を下し 下級審の判断を覆した 本件以後 多くの下級審が後知恵的に非開示の利点を主張する行為を非難した つまり 本件を契機に比較的厳格なラインが復活したのである 当初非開示の利点を重要だと過大に主張すればするほどそ 寄 シール密封接続らもそのような利点が読み取れると判断されやすくなる この点は我が国と類似している 13) [10]Gamble-Skogmo,Inc. v. Paul E. Hawkinson, 38 USPQ 253; 98 F.2d 37(8th Cir.1938) 本件は特許権侵害が争われ ( 地裁の判断を覆して ) 特許が無効となったケースである 14) 問題となった特許発明 (US A,US A) はケーシング ( タイヤ ) の再生方法 再生装置に関するもので 裁判所は タイヤの両側壁をリングとクランプによ 15) り保持する際の熱問題の解決が自己の特許の長所であると出願時の明細書において述べていないことは奇妙であるとした上で 発明が奏する利点がどのようなものであれ それに依拠する以上特許の出願時にそれを特別に述べたかどうかが重要であると述べた それにもかかわらず 特許性を維持するために現在依拠している根拠を出願時に述べていなかったことは重大であり また そのことを述べていなかったことは後知恵であることを暗示 ( 示唆 ) 16) していると判断して5 判例を引用した また 発明の構成は古い要素の組み合わせであり 新しさが no tokugikon 13) 宮崎賢司 有利な効果の参酌について 竹田稔先生傘寿記念 知財立国の発展へ ( 発明推進協会,2013) 第 725,726, 頁にて我が国の裁判例とともに解説した 14) なお 第 9 コートの GOODMAN v. PAUL E. HAWKINSON CO.,120 F.2d 167(9th Cir.1941) では この第 8 コートの判決を引用して同意し 同様の判断が下されている 15) 踏み面だけが加熱され加硫される間 側壁が過度に高温にならない ( 高熱による損傷を防ぐ ) という追加的な利点 16) 最高裁 Lincoln Engineering(1938), 最高裁 Union Edge-Setter(1891), 最高裁 Ball & Sockett(1893), MacColl v. Knowles Loom Works, 95 F. 982(1st Cir. 1899), Kursheedt(1900).

9 ない ( 独創的な概念が伴わない ) とされた [11]Abbott v. Coe 43 USPQ 267; 109 F.2d 449 (D.C.Cir.1939) 本件はコロンビア特別区巡回区控訴裁判所の判決で その後多くのケースで引用されている 問題となった発明は ヤーンを使って糸を巻き取り 巻き玉にする糸巻き機械である 明細書には 表面硬化 (case-harding) されたカムが摩耗に対する大きな抵抗力を提供し 耐久性が改善していると記載されていた クレームされていた発明は カムやシリンダの表面硬化についてのものであったが 表面硬化 ( 硬い金属を採用し 表面がぼろぼろになることを防ぐ ) 技術はすでに周知のプロセスであった 出願人が使用した擦り切れ 耐久性を改善するこの表面硬化が生み出す予測外の効果は 出願時に開示のない内容であった その予想外の効果とは 本発明の装置が 潤滑性がほとんどなく オイルのはねり ( オイルの飛散 はねかけて汚す現象 ) が全くない状態であっても 非常に高速な運転が許容されるという効果である オイルのはねりがないことは糸巻き機械において重要である 表面硬化からもたらされるこの装置の効果は大いに有用であるけれども クレームにも明細書にも開示がないので 遡及して参酌されることはないとされた さらに 表面硬化を採用し 訴訟になっている特許クレームを作成したとき 出願人はこの利点を全く知らず この利点が 出願人の採用やクレーム作成に何の影響も与えておらず 何の関連もないことは明らかである さらに 人々がそれを利用できるように開示しないならば 特許可能ではない 本特許によりアボットが開示した内容から オイルの消費が少なくオイルのはねりも減ることが導かれるかは 偶然によるものでないとすると全く不明である 意図されず 評価もされない偶然による結果は 予測性を構成しないと判断された 発明の特徴となる利点について 裁判所が出願人 自身の 認識 の有無に言及している点は特筆すべきことであろう ( 最高裁 Ball&Sockett(1893) と同様 ) なお 本件はその後多くのケースで引用されているが チョート氏は本件を特に繰り返し引用し 開示していない結果は遡及して参酌されることはないという結論が素っ気なく 結論に至る理由が提示されていないと批判的に述べている 17) 一方 チザム氏は最高裁により揺り戻された Lincoln Engineering ラインに従う考え方もあるとしつつも 対極する両ラインの調和に向けた議論を行っている 18) 両ラインの調和については本稿 7 章 ( 総合考察 ) でも解説する [12]Sherman v. United Autographic Register Co., 49 USPQ 490(District Court,N.D.Illinois,1941) 本侵害事件 ( イリノイ州北部連邦地方裁判所 ) で有効性が問題となった特許発明 ( 再発行特許 No.20452(US A) のクレーム 1-3) は シート供給装置と シート供給装置と同時に使用されるパンチ穴が空けられた記録シートと 記録シートのパンチ穴よりも大きなパンチ穴を有する挿入された転写シートを備えた複写機 ( 転写機 ) である これらのシートは穴を通してシート供給装置を受け入れる 記録シートの穴と転写シートの穴は重なり 供給ピンによって同時に係合される 本発明の特徴は 記録シート材のパンチ穴よりも 転写シート材のパンチ穴の方が大きいこと である トライアル ( 事実審理 ) で このような大きさの差異が にわかに予測されない結果をもたらすことが 17)Choate 前掲注 (12) 第 627,629,630,631 頁 18)Chisum 前掲注 (6) 第 445,446 頁 tokugikon no.285

10 ついて非常に優れた長所を根拠に特許がなされるとすれ 述べられた 転写シート材は その上にカーボンブラック或いはそれに類似するものが形成されているが その下層の記録シート材に張り付きやすい そのため 転写シート材は前に這うように進みやすい ( クリーピング ) 結果として もし転写シート材の穴と記録シート材の穴が同じ大きさであると 装置の駆動の際 両穴がすぐに同心からずれていくであろう つまり 転写シート材は記録シート材の穴を通して顔を出すであろう さらに述べられたことは 転写シート材の穴がいくらかより大きく作られていると クリーピングが生じ やがて記録シート材は転写シート材に比して膨れ上がる (ballooning or bellying) ということである この時 穴同士のアジャストメントが生じて 再び同心の状態に戻る トライアルでは このことは本特許における非常に大きな利点であると述べられた 本特許の中で このことは全く述べられていないと裁判所は判断した 述べられているのは アジャストメントの不正確さ 困難さである 膨張 (expansion) と同心について別々のこととして述べられている しかし この非常に素晴らしい利点については何ら述べられていない 裁判所は 私が思うに もしこの非常に優れた利点が実際に存在するのなら 原告はその発明の利点を世界に伝えておくべきだった 世界に伝えていない以上 この特許はそのような優れた利点に適切に基礎を置くことはできない と判示した 発明の特徴である パンチ穴の大きさの違いが明細書及びクレームに記載されており 穴の大小から生じる利点もいくつか明細書に説明されていたものの 記録シート材が転写シート材に比して膨れ上がるときに 穴同士が再び同心の状態に戻るという非常に大きな利点については説明されていなかった 開示していない発明の利点が非常に優れたものであると主張する場合 それが当初から明細書に全く説明されていないことが奇妙に思えるとともに その 寄 no tokugikon ば それは世界に ( 第三者に ) 公表すべきであると 判断されたものと思われる 19) [13]In re Robertson 53 USPQ 382 ; 127 F.2d 304 (CCPA 1942) 本件は詳細な説明を割愛するが 発明 ( クレーム ) に内在する利点について アフィダヴィット ( 宣誓 供述書 ) により主張がなされ さらに引例にはそれ が記載されていないという主張がなされた 審判部 による この主張の主な難点は そのような機能に 関して出願人の当初明細書がinformativeであれば それと同じように引例もinformativeであるという ことだ もしその機能が出願人のデバイスに内在し ているなら その利点は先行技術の中にも内在して いる とした判断が CCPAでも支持された 20) [14]( 最高裁 )General Electric Co. v. Jewel Incandescent Lamp Co., 326 U.S. 242 ; 90 L.Ed. 43(1945) ピプキンの特許 (US A) は スリガラスの 電球に関するものであり 21) 電球の内側に丸い皿の ような溝のある構成で特徴付けられている 溝が丸 い形状となることにより当該特許による電球は 衝 撃に対する強度が増している 本件は 最高裁によ りこの特許に対する無効が支持されたケースである 先行技術として ウッド (US A,1917 年公 開 ) は スリガラスを製造するための最初のエッチ ングでシャープな溝が形成され その後 2 度目のエッ チングをすることで シャープな溝が丸い溝となる ことを観察した ウッドは 電球の内側にスリ加工 をすることは記載していなかったが 当該方法が電 球のガラスに用いられ得ることを示唆していた 他 方で ケネディはガラスの内部をスリ加工した電球 を公開していた (US733972A,1903 年公開 ) 22) 最高裁は ピプキンの発明に特許性がないという 19) 我が国にも類似の考え方がある 宮崎 前掲注 (13) 第 726,727, 頁において 近年の裁判例等を紹介した 20) 我が国にも類似の考え方がある 宮崎 前掲注 (13) 第 725,726,732,733 頁 21) 白熱級灯のフィラメントから出される閃光によりグレアが生じるため 電球にスリ加工をすることが求められていたが 電球の外側をスリ加工した場合 強度的には問題が生じない一方でスリ加工によって電球表面に汚れが付きやすくなる課題が存在した 22) ただし ケネディの発明により電球の内側表面をスリ加工すると電球の強度が減少し 実際の使用に適しないものであった 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

11 23) 主張を支持する際に アンソニア最高裁判例を引用し ピプキンより前には 電球の内側に丸い溝が形成されるようスリ加工のされた電球はなかったが ウッドは他のガラスと同様に どのように電球の表面を製造するかを示していた また ケネディはどのように電球の内側をスリ加工するかを示していたと認定した そして これらの開示から 電球の内側もしくは外側をシャープで角度の有る溝ではなく皿のような丸い形のものとするためにスリ加工を施すことに発明性があったと言うことは難しい ピプキンは古い発見の中の潜在的な性質を見つけだし そして有用な目的に適用した しかし それは我々の特許システムの過酷な基準を満足しない 使用又は製造の方法が知られているところでは 特許性のあるクレーム発明には製品の新しい利点を見つける以上のものがあるべきである 24) 他者が彼ら( 本来の発明者 先行技術の発明者 ) が探すことに失敗した性質を発見したという製品に気付くことは 発明ではない 25) と判断された 本件は発明の利点について明細書に一行程度の記載はあるので 全く非開示の利点の参酌可否を争う事案ではないが 最高裁判例ということもあるので取り上げている 複数の先行技術から本件特許の構成を導くことは自明であり たとえ古い発見の中の潜在的な性質を見出したとしても特許性を認めるには足りず それを超えるものが必要とされた 26) チョート氏によれば 他人がディテクトできなかった発明の本質を発見又は知覚することには特許性はないとされる判決がたくさんあり 本判決で 最高裁は 古くからある発見の中にある潜在的な特性を発見すること 実用させることを発明者は行うが 他者が発見したものが有する 他者が発見できなかった発明の本質を知覚することは発明ではない と判断したことをチョート氏は指摘した上で その場合潜在的又は新しい利点を独立して発見した別の者の権利が奪われるのではないかという問題 100 条 (new useを含むprocess 発明 ) との整合性の問題を指摘している この論点は米国のみならず我が国でも ( 新規性 進歩性いずれにおいても ) 効果の追認 等の呼び名でたびたび取り上げられる 27) [15]In re Pollock et al 82 USPQ 209; 175 F.2d 587 (1949) 本願発明は新規のガラス繊維強化プラスチック組成物を提供する発明であり 本質的にガラス繊維と特定の構造を有するポリエステルからなる組成物がクレームされていた また 一般的にこのような組成物は 安価で軽量ということが知られている この出願は審査審判で拒絶された 裁判所は In re Robertson(1942) とAbbott(1939) を引用して フーバーのアフィダヴィットによって提示された 新し 28) い使用 (new use) のための構成の有効性について出願時に何も述べていない したがって アフィダヴィットで明らかにされた事実が その構成の特許性を確立させようとすることに疑念を抱く と述べて 本願発明の引っ張り強度が優れているがゆえの 新しい使用を記述したアフィダヴィットは参酌しなかった なお 本発明の有する ( 出願人が強く主張した ) 優れた強度については 従来の技術から予測される結果であるとした審判部の判断を支持した 23)Ansonia Brass & Copper Co. v. Electric Supply Co.,144 U.S. 11,applied. Pp. 326 U.S (1892). 24)De Forest Radio Co. v. General Electric Co.,283 U.S. 664(1931). 25)Corona Corona Cord Tire Co. v. Dovan Chemical Corporation,276 U.S. 358(1928). 26)Choate 前掲注 (12) 第 633,634 頁 27) 宮崎 前掲注 (13) 第 719 頁に興味深い論説を多数紹介したので是非参照されたい 予測外の有利な効果が認められる事案であっても 先行技術と構成が一部重複し 効果の追認にすぎないので特許性なしと見ることもできるし たとえ重複しても特許すべき新たな発明である ( 選択発明 数値限定発明等が代表的 引用例にない知見を重視する 新しい技術的貢献をもたらしたといえる場合等 ) と見ることもできる 同一の事案でもどちらの判断をするかで結論が逆になるので重要な論点である 予想外の効果が認められるものの 先行技術とクレーム上重複する領域が広い場合 既存の技術が過度に独占される場合等でどう判断するのが妥当かは論者により意見が分かれるところであろう ( クレームの書き方や構成の一応自明性の程度にも大きく依存すると考えられる ) 28) 軍用機の翼内に設置された自己シール性ガソリンタンクに関連して翼のライナーとしての使用に適合する ( 広い温度範囲で 銃弾に当たっても粉々に破壊されにくい ) という新しい用途 tokugikon no.285

12 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法について[16]Harries v. Air King Products Co., 183 F.2d 158, 86 USPQ 57(2d Cir.1950) 本件 29) では電子流が陰極と陽極間に形成されるラ ジオ真空管に関する特許権侵害が争われた 原告は 加速グリッド又はスクリーンからある重要な距離に 陽極を設置し 断面に対する電子流の長さの比率が 大きいこと ( が発明において重要であること ) を主張 し その反面 ( 当初明細書に記載のあった ) 電子流 の長さ自体は発明の構成要素ではない ( せいぜい特 定の目的 ( ビームを偏向させたいとき ) でしか重要と ならない ) ことを主張した 特許発明は比較的長い 電子流の使用に関するラジオ真空管に関するもので あり 上記 比率 が大きい真空管をカバーしていな かったが 出願人はこの特性が出願時の明細書と図 面に暗示的に記載されている旨の主張をした しかし 裁判所は 当初明細書には電子流の長さ しか言及されておらず 上記 比率 について述べ られていない ほのめかしすらもない 出願時の記 載内容に正式には認められない事項を後から挿入し たものである と判断した また 裁判所は 当業者が長さ自体ではなく 断 面に対する長さの割合が重要であると解するとして も 我々は当初出願からそのような拡張を行うこと を正当化すべきではない それはある種の巧妙な外 挿であって 特許とは本来 含みのある提案の集積 ではなく 確かなガイドであるべきだ したがって クレームは比較的長い偏向可能なジェットとして限 定解釈されるべきであって それはすなわち従来か らすでにある電子流そのものである と判断した [17]In re Stewart 106 USPQ 115;222 F.2d 747 (CCPA 1955) 本出願 (US A) の争点となっているクレー ムは 審査審判で拒絶されたクレーム 3 であり こ れは主にロフト 30) を複製する方法であって長いス テップがクレームされている ( なお 他の一部クレー ムは特許されている ) 概要は以下のとおり ガラス上にアルブミンアンモニウムジクロメー 寄 no tokugikon ト ( 光感受性 水可溶性 主引例に対する相違点 ) を塗布した物をまず用意し コピーするものを乗せ 光を当てる 光が当たった部分は 水に不溶性にな る 31) その後 圧縮空気と水で水可溶性の部分を除 去し その上に処理をすることでレプリカを得る方 法 これに対して審査官は主にハッチソンとウルマン の特許を用いて拒絶した ハッチソンの特許はほと んど同じ作業をクレームするものであるが 光に当 たったところが水不溶性となる ( アルブミンアンモ ニウムジクロメートを用いず 他の物質を用いてい る いわゆるポジ型 ) そして ウルマンの特許は アルブミンアンモニウムジクロメートを用いたネガ を得る方法と それを現像する方法が記載されてお り その際現像するのに綿でふき取るという方法が 採用されていた そこで審査官はハッチソンの技術 を公知のフォトグラフ技術 ( ウルマンの技術 ) で発 展させてより鮮明な結果物を得ることは自明である とした ウルマンのエマルジョン ( アルブミンアン モニウムジクロメートを用いたコピーに用いる物 質 ) は出願人のものと同様である 出願人はウルマンがエマルジョンを除去するのに スプレーで圧縮空気や水を用いることは開示してい ないことを主張した そしてウルマンの先行技術で は エマルジョンをきれいに除去することができな いという主張をした さらに コットンでの除去は 写そうとするものの表面がきれいならばよいが 99% のロフトの表面は汚く その場合でも部分的に 溶ける部分を流さないで完全に溶けるエマルジョン だけを洗浄し シャープで正確な線を出せるのは本 願技術である旨の主張をした しかし スプレーを用いる理由として明細書に記 載されていたのは現像のスピード向上であった 明 細書の記載からみると 最終的な結果物に差異はな い ( 明細書を書いた時点では 現像のスピードのみ に注目し 現像された結果物の鮮明さ シャープさ については有利な効果として認識されていなかっ た ) 29)Carter-Wallace(1972) で引用されている 首席判事は Learned Hand(Simplex Piston Ring(1932)) 30) 人がその上に乗って書くような ( 船や飛行機等の ) 大きな図面 作業により表面が必然的に汚くなる 31) 絵のラインに沿っていたところは光に当たらないので水に溶ける いわゆるネガ型

13 出願人は クレームされた利点 ( 汚い表面でもきれいな線で複製できるという点 ) は 出願した後にその方法を通して労働 (work) により得られたものである点を認めている 出願人は 出願時にスプレーではコットンによりふき取る方法よりもきれいに製作できることは知られていなかったとしつつ 公開による利益をたとえ自らが効果を知っていなかったとしても得ることができる旨の主張をした 裁判所は出願人が自らの主張とともに引用した事件を考慮に入れたが 本件では適用できないと判断した スプレーによる方法の効果を出願人は明細書に記載してはいない 裁判所は 特許性を明確に説明する (spell out) するのに十分な予想外の結果が開示されていなければならない そのような特許性を支持する記載をブリーフ又はアフィダヴィットではなく あくまでも明細書においてすべきである 特許出願に対する特許性判断の際 その後に起こる非開示の発見によってではなく 出願時の開示の中でなされた教示によって我々は判断し決定を下すのである と述べた 裁判所は 自明性が基本的に疑問であるときに出願を拒絶するには スプレーの特徴についてそれが合理的に教示された先行技術が引用されることが必要であること 拒絶に際して先行技術のウルマンにはそのような教示はされていないことは認めた しかし 既に述べたとおり出願人の失敗はそれを明細書に書いていなかったことであり 拒絶を支持せざるを得ないと判断した 特許性を明確に主張するための予想外の結果については ブリーフやアフィダヴィットではなく明細書それ自体に十分開示されるべきこと 後から提示された非公開の発見ではなく明細書に記載されていたことに従い結論を出すことが述べられた 判決文上はあたかも明細書に予想外であるという明記 ( 或 いは意思表示 ) やその根拠までも記載しなければならないと述べているかのようであるが 私見ながら 本判決では当該主張に対応する 利点自体 の開示を求めているのであって 予期しないものであるという文言又は評価 ( 比較実験等による立証 ) 自体の記載までも明細書に求めるような厳格な判例ではないと筆者は考える 32) また 方法( 工程 ) の自明性について 圧縮空気と水のスプレーで現像するという工程は引例に記載されていないので 自明とするにはコピーに用いられる主要な物質 ( アルブミンアンモニウムジクロメート ) だけでなく 現像時の具体的方法 ( スプレー法 ) も引例による証拠を出すべきであったという印象を受ける [18]In re Rossi 112 USPQ 479; 241 F.2d 726(CCPA 1957) 溶融金属の連続鋳造装置に関し 上訴人が先行技術の欠点等の主張をいくつか行ったが その中で 先行技術にない自己の発明構造として鋳型からのガスの漏出を許容する利点を主張した しかし 裁判所はその利点は出願時の明細書で述べられておらず そのような開示されていない利点からは特許が許可される根拠が通常形成され得ないとし (Abbott (1939),In re Pollock(1949),In re Dalzell et al. (1948) を引用 ) さらに 先行技術においても内在的 (inherently) にそのようなガス漏出を許容する構造になっている ( 構造上クレームと異なる点がない ) 33) と判断し 審判部の判断を支持した [19]In re Crawford, 250 F.2d 370(CCPA 1957) 本件は ( 地中に穴を開ける ) ボーリング方法 (US A) に関し クレーム 30,31,39,40 は控訴が取り下げられ クレーム15は許可されており 争われたのはクレーム 24,25,27,28であった しかし 32) 本件のように 裁判所が予想外の利点は明細書に記載されていない ( 記載されるべき ) と判断すると ( 構成の一応の自明性を覆すための ) 予想外という文言 意図又は評価検証も併せた意味で利点を明細書に記載すべし ( 明細書自体において立証すべし ) と判断されたと過度に受け止められがちであると思われる 同様のことは我が国でもたびたび起きている可能性がある 宮崎 前掲注 (13) 特に第 722,736 頁 つまり 発明の利点 ( 効果 ) を認識すること それを記載 ( 開示 ) すること 実際に裏付ける ( 確認する ) ことと 構成の一応自明を覆すために予測し得ないものであると ( 比較実験等で ) 評価し主張することは 全く別のこととして明確に区別すべきということであろう 33) 我が国にも類似の考え方がある 宮崎 前掲注 (13) 第 725,726, 頁 tokugikon no.285

14 ( つまり両方ついてであり 弁を逆方向にも動かせる操作 クレーム 24,25 は Sweetman の特許 (US A) クレームのコピーであり Crawfordの特許明細書に開示がない上に 起爆剤からガラス ( ケーシング本体 ) を通して内部の弾薬の一部に外力が伝わるという伝達とその利点は内在的に表出しない (Sweetman 特許のようにケーシング壁が外力を伝えるよう薄く作られておらず その利点の主張と自己の発明構成に齟齬がある ) と判断された また クレーム27,28については 先行技術から自明であるとともに相乗効果もなく ( 個々の機能の利点の合計を超えておらず ) ケーシングのガラス材が 爆発物の爆発により生成される衝撃波の振動数に対応する振動数で実質的に完全崩壊するという特性を ( クレーム28において ) 持っていることは出願時に開示されていないので そのような特徴に特許性の基礎を置くことはできないとした審判部の判断を支持した [20]In re Lundberg,117 USPQ 190;253 F.2d 244 (CCPA 1958) 非自明性が争われた発明は 弁の開閉量に応じて 34) 流量を調整できるプレートバルブの発明で 非開示の利点の主張がなされたクレーム1-4の判断についてのみ簡単に紹介すると 上訴人は弁が ( 一方向のみの回転ではなく ) どちらの方向でも開けられる点で ( 構成が自明とされた ) ダイヤモンド型のバルブポート ( 開口部 ) が新規で予測外の結果をもたらすとし 一方向の動作の際に閉塞 ( 妨害 ) が起こるかもしれない位置でのバルブの使用を容易にすると主張した しかし 裁判所は その利点は上訴人による出願時の開示がない したがって 特許性を認めるための基礎として そのような主張をするための有利な ( 好ましい ) 立場にいるとはいえない とし Abbott(1939),In re Dalzell et al.(1948),in re Pollock(1949) を引用した さらに 裁判所はこのバルブは一方向にのみ動くことを許容する構造 寄 no tokugikon 向に回転可能 ) の主張を受け入れるには出願時の開 示内容の修正が必要となるであろうと述べて非開示 の利点を参酌しなかった 35) 本件はその後多数の判例で引用されており 特にIn re Chu(1995) では 非開示の利点を参酌す る理由を本件と対比的に説示している つまり 非 開示の利点の参酌可否について本件のように明細書 の記載を変更しなければつじつまが合わなくなるよ うな主張は認められず ( 内在的に表出している (inherently flow from) とはいえず ) 明細書に開示 されたとおりの内容から奏する利点でなければ参酌 されないということであろう 36) 内在的な表出とい う考え方は1960 年代に本格的に登場する (In re Zenitz(1964) 時に解説 ) その根拠となる判示が 前年のIn re Crawford(1957) とともに本件でもな されていることは興味深い [21]Tinnerman Products,Inc. v. George K. Garrett Co.,Inc. 129 USPQ 438; 292 F.2d.137(3d Cir.1961) 詳細な説明は省略するが チョート氏が論文の冒 37) 頭から批判的に取り上げている チョート氏は 予測外の発明の利点 ( 特徴 ) を裁判所が参酌するこ とをshut offしたと説明している 裁判所は 特許 発明 (US A, ボルトとナットによる締結装置 ) 38) の利点が 明細書にも クレームにも ファイ ルラッパーにも記載されていないとし In re Stewart(1955) など4 判例を引用して 発明の特 別な特徴が利点として述べられていないので 特許 性を認めるための基礎が形成できていないとして参 酌しなかった さらに 裁判所は 特許に対する出 願人の権利は 自らが開示したことのみならず ク レームに記載した事項に依存する 出願人が特許性 34)US A クレーム1-4は拒絶維持 これらと別の構成の限定がなされたクレーム 5 は拒絶が覆された 35)In re Herr(1962),In re Zenitz(1964),In re Khelghatian(1966),In re Davies(1973). 36) 我が国でも同様である 宮崎 前掲注 (13) 第 722 頁 37)Choate 前掲注 (12) 第 619 頁 38)J 型のナットは ( パネルに面接触する U 型のナットと異なり ) パネルに対して角度をもって取り付けられるために パネル表面が損傷しにくいという利点 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

15 のために依拠する特別な特徴又は事実は 出願時の明細書に開示する必要があるだけでなく クレームの中に見出される必要がある (In re Berlinerを引用 ) とした上で J 型ナットの特許 (U 型スピードナットの改良発明 ) が許可された際の前提となる主要な基礎となるものはhole visibility 39) であるので この特徴について検討したが 当業者に自明で予測可能な効果であると判断した地裁の判断を支持した [22]In re Lorenz, 51 CCPA 1522,333 F.2d 908, 142 USPQ 101(1964) 本発明 (US A) は殺虫殺菌性のあるチオホスホン酸エステルとその製法に関するもので 明細書には発明の新規化合物は植物を保護する効果を示すとともに 熱安定性がリン酸エステルより高く 高温多湿の地方での使用が可能であることが開示されていた 審査官は構成 (claims1-6,9,11) が自明であるとして拒絶し 審判部でもこれを支持した 裁判所は 拒絶を覆すために出願人が提出した ( 比較実験結果等の ) アフィダヴィットによる主張に対して 我々は 先行技術に対する優越が当初明細書に開示されていることは要件とされておらず 基本的な特性やユーティリティが開示されていればそれで十分であると考える と述べて有利な特性について検討 参酌したが 比較実験は限られたものであり説得力を欠くとともに 殺虫剤の有効性は期待される程度のものであると判断した また 上訴人が主張していた熱安定性 ( 耐熱性 ) については 上訴人がクレームの特許性はこの新規化合物の熱安定性に基づくものではないと特に述べたことから 裁判所はこの特性の利点については検討せず 審判部の判断を支持した 本件では 先行技術に対する 優越 は当初明細書に開示する必要がないことが述べられた 先行技術は通常審査官等により出願後に引用され その後構成の一応自明を覆すほどの利点 ( 効果 ) の予測困難性があるか否かを決するのであるから 判示は妥当であろう 40) 本件は後のIn re Davies(1973),In re Slocombe(1975) において引用された 5. 後期 CCPA 時代 ( 第 4 期 :1964 年 ) この時期は IFFアプローチが登場し その後 CCPA 等が一時調和を目指した (IFFアプローチに修正が加えられた ) 時代である [23]In re Zenitz, 333 F.2d 924, 142 USPQ 158 (CCPA 1964) 本件は薬理学的に許容可能な酸付加塩に関する発明であって 概要を簡潔に述べると 当初明細書 (US A) において 血圧低下剤 制嘔吐剤 解熱剤 精神安定剤としての効果があると記載されていたところ 精神安定の効果が他の化合物に比して優れ 副作用である血圧低下作用がとても抑えられた点で好ましいという主張をした 審査 審判では当該主張について 当初明細書に記載されていないことから採用しなかったが 裁判所は Westmoreland(1909) を引用して 上記主張を採用し特許性を認めた というケースである 41) 本件は MPEP716.02(f) に取り上げられている 42) 本判決を契機に 明細書の開示内容 ( 使用や用途を含む ) の通りに 43) 実施されたときに生じる (inherently flow from: 内在的に表出する ) 効果であれば非開示であっても参酌され得るという考え方 39)the bolt opening was visible at all time during the application of the fastening device 40) 類似の判決として In re Slocombe(1975),Knoll(2004),Sanofi(2008) 我が国も同様であると思われる 宮崎 前掲注(13) 第 721,722,736,737 頁 41)7 判例 In re Herr(1962),In re Lundberg(1958),In re Crawford(1957),In re Rossi(1957),In re Stewart(1955),In re Dalzell et al.(1948),abbott(1939) が参照されたが 本件ではWestmoreland(1909) が引用されて当初開示のない利点が参酌された 42) 宮崎賢司, 神野将志 米国における発明の非開示の利点に関する主張とその参酌について ( 上 ) L & T(Law & Technology)75 号 3 月発刊 (2017) とその次号でも本件を解説する予定であるので是非参考にされたい 43) 明細書の開示内容と齟齬のある主張は参酌されず (In re Crawford(1957),In re Lundberg(1958),In re Chu(1995) 等参照 ) また 明細書に使用や用途等を制限する記載があれば 参酌される効果もそれに応じて制限され得ることに注意 tokugikon no.285

16 ) に関するものであった ついて電池 が特にCCPAで導入されたので チザム氏の解説と併せてここで紹介することとする 本稿ではこの考え方をIFFアプローチと呼ぶことにする CCPAはこの判決以降 寛大な方向へ一時大きな方針転換を行った その後 後述する1970 年代の判例によりこのアプローチに修正が加えられた その修正がある程度反映されたアプローチを チザム氏は著書 ( 訳 ) 44) で端的に解説しているので該当部分をここで紹介する 1442 比較有用性 -- 予期せぬ効果 -- 開示されていなかった効果後に非自明性を主張するため証拠とした発明の効果又は利点が明細書に開示されていない場合には 困難な問題が起こる 45) 全く疑問がないわけではないが 46) 一般的な通則として 出願人又は特許権者は その発明が明細書に開示された通りに実施されたときに 固有に生じる発明の効果に依拠することができる 47) 逆に 明細書に開示されていない独特な有用性に関連するような効果に依拠することはできない 48) 特性又は有用性は 一部継続出願によって明細書に追加することができる 49) と説明されている これを本稿では チザム氏の修正 IFF アプローチ 50) と呼ぶことにする [24]( 最高裁 )United States v. Adams 383 U.S. 39 (1966) [ 背景 ] 問題となっている特許 (US A) は 充電しないタイプの電池に関するものであり 酸を使わず 一定した電流を与える電池 ( 乾燥状態で製造 販売され コンテナに水を入れるだけで使用できる 寄 no tokugikon ポイントとなるのはクレーム1と10であり そ れぞれ 電池であって 液体コンテナ 該コンテナ 中にあって外に端子があるマグネシウムの正極 融 着された塩化銅 Iの負極 その負極に接続している 端子を含む電池 電池は マグネシウムの正極と 炭素触媒に融着されている塩化銅 Iの負極を含む であった アダムスの発明は 製造と保存で電池セル中に液 体がない最初の実用的な電池であった 電池が活性 化されるとどのようなレート 51) で電流が引き出さ れようと一定の電圧で電気を供給し その電流を生 み出す能力は 電池サイズと重さからみて大きいも のであった しかし 一つの欠点は 一度活性化さ れたら電池反応を止められず 電流が引き出されて いなくても化学反応が続けられるという点にあっ た その化学反応は発熱性であり 大量の熱が作動 中に放出されるため低温では効率的ではなく その 電池は において使用可能であった 出願の一か月後に アダムスはこの発明を陸軍と 海軍に持って行った デモ用のアレンジは 陸軍の 信号班の専門家により素早くなされたが 信号班の 科学者は この電池が使い物になるとは思わず 発 明者がより信頼性の高いデータを提出するまでは さらに進んだ検討はしない とした しかし 第二次世界大戦が高潮に達すると 信号 班はこの電池は好ましいと結論付け 政府はその調 達のためにいくつかの会社と契約に入った 1955 年にBurgess 社による政府のための試験でアダムス は政府の動きを知ることとなり その後政府に補 償を求めたことで 特許の有効性に関する争いと なった 本件では6つの文献から特許の有効性が争 われた 44) ドナルド S チザム ( 竹中俊子訳 ) アメリカ特許法とその手続 1442 節 ( 雄松堂出版, 改訂第 2 版,2009) 第 頁 45) チザム 前掲注 (44) 第 2210,2320 節参照 46)Chisum 前掲注 (6) 参照 47)In re Khelghatian(1966),In re Chu(1995) 参照 48)In re Davies(1973) 49) チザム 前掲注 (44) 第 3131,3421 節参照 Carter-Wallace(1972) 参照 50) このアプローチによれば 根拠の薄い単なる憶測か偶然により利点を当初から明細書に記載した場合であっても 利点を第三者に開示した以上 ( 記載要件 有用性要件等は別途満たすとして ) 出願後のいかなる実験データも参酌されるという意味で特に化学系発明ではかなり寛大なアプローチといえる ( 出願以前の実験量又は理論的根拠に比して広すぎるクレームを開示した場合も同様 ) 51) 流すことのできる電流の強さ 電池の性能の一つ 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

17 [ 特許の有効性 ] 政府は アダムスの特許に対して新規性と自明性により無効を主張した 政府は 亜鉛の負極と塩化銀の正極は従来技術に存在し その従来技術から亜鉛をマグネシウムに代え 塩化銀を塩化銅に代えられること この電池が示している ( 他の基本的な電池に比しての ) 優越は特許性を正当化するほどではないことを主張した 連邦請求裁判所は 政府の立場にはいくつかの間違いがあり アダムスの電池は水で活性化されるものであって クレーム1と10で水の電解質については言及していないが 発明の目的は水を加えただけで使用可能になる電池の提供であると認定し 最高裁もこの判断を支持した その理由は スクリワノフ ( 文献 6) はマグネシウムの電極をアダムスとは完全に違う電解液で用いており その発明で銅 Iが機能的要素であったことも疑問であり 反論されていない証言からみると スクリワノフの電池は危険であり 実用できないというものであった また 裁判所は もし亜鉛をマグネシウムに 塩化銀を塩化銅にすることが同等の置換であったなら アダムスの電池は同等の機能を持っているだろうが アダムスの電池は 完全に予想し得ない もので 他の電池に比して価値のある機能上の優越 があることを政府は認識していたこと 特許は長い間コピーされ権利は無視されていたことを認めた さらに裁判所は 引用文献の電池は アダムスの電池とは違うタイプで 使わないときに内部の反応はなく 間欠的に電力を出すものであり 発明の同等性を認めることはできないと判断した また アダムス電池の機能上の特性は予想外のものであり 当時の湿式電池よりも優れている アダムスがしたように電池の公知の要素を結合することは (1) オープンサーキットで動き続ける普通の使用で熱くなるものは使い物にならないこと (2) 水で活性化される電池は マグネシウムの使用に有害な電解質との同時使用によってのみ達成されることを無視する必要があった 裁判所は 先にある欠点に目をつぶり それによって特許性のある発明を見つけたという 古い発明に 新しい使用方法を見つけただけの場合は特許をとれない しかし 新しい発明をさせないようにする古いデバイスのそれら欠点は 自明性を決定するときに考慮されるべきである と述べた 我々はアダムスの特許は有効であるとし 連邦請求裁判所の判断を維持する 明細書に電池が水で活性化されることが記載されており 発明の目的としても水を加えただけで使用可能になる電池であることが記載されていたが クレームには明確な言及がなく 発明をどのように確定させるかが問題となった 裁判所は クレームは明細書に照らして解釈されるべきであり 証拠の1つとして この電池は水以外 酸 アルカリ又はその他の液体を使用しないことを出願のわずか1ヶ月でアダムスは力説している ( 弁護士のずるい後知恵ではない ) という事実も加味され 52) アダムス電池は結局水だけで活性化できるという特徴 ( 発明の目的 ) も併せてクレーム解釈され 非自明性が認められた点は興味深い 本件は明細書に全く非開示の利点の主張可否が争点となった事案ではないが 最高裁判例であることもあり参考として取り上げた [25]Carter-Wallace,Inc. V. Otte,474 F.2d 529, 176 USPQ 2, 452(2d Cir.1972)cert.denied,412 U.S. 929,178 USPQ 65(1973) 本件は原審 S.D.N.Y.( ニューヨーク州南部地区合衆国地方裁判所 ) からの控訴事件 ( 特許権侵害事件 ) である 争いとなった特許発明 (US A) は プロパンジオールジカーバメートに関する 明細書には 我々はこの発明の2,2-の2 置換の1,3-プロパンジオールジカーバメートが抗けいれん特性を有しているのを発見した と記載され その実施例 6には 2-メチル-2-nプロピル-1,3-プロパンジオールジカーバメート が開示されていた 出願は拒絶され CIP 出願 ( 一部継続出願,Continuation-in-part) が1953 年 8 月 3 日になされた 新しい出願は2 置換の1,3-プロパンジオール 52)Chisum 前掲注 (6) 第 444,445 頁にも解説がある tokugikon no.285

18 ついて作用を示していないことにある 明細書に示されて の中で具体的にメプロバメート 53) に関する出願であった 明細書には抗けいれん特性に加え随意筋のまひが記載されていた また そのまひは意識を失わせることなく 呼吸組織や心臓のような重要な機能に損害を与えることはないことが強調された そして メプロバメートはメフェネジンに多くの点で似ているが 長期に活性が維持され 経口投与でより効果的であることが明細書に記載されている このCIP 出願は1955 年 11 月 22 日に公開された 裁判所の判断は以下のとおりである もし事件が構成のみから 当業者にとって自明である ということで決まるなら 結論は簡単でメプロバメートは新規化合物であるが化学的に自明である 我々が言及したように 1,3-プロパンジオールは知られており メプロバメートのジオールの出発物質である2 置換 1,3-プロパンジオールは1913 年にドイツで公開され その後種々の2 置換ジオールの医薬的特性が研究されていた そこで2-メチル 2-nプロピル-1,3-プロパンジオールも報告されており これをカーバメート化するだけでメプロバメートは得られる 誰もこれが自明であることを疑わない 自明な分子の修飾で 新規な 予想外の又は顕著な特性を有するものは 特許性を打ち立てられる しかし 我々は以下に示すように メプロバメートの特性はPapesch 54) のより自由な基準のもとでさえ自明であり 無効とすべきことを支持する 議論が必要な点はIn re Zenitz(1964) 等に存在し 特許性の基礎として信頼されるには新規で予想外又は非自明となる特性が特許出願又は少なくともサポートする資料に公開されていなければならない Abbott(1939),Tinnerman Products(1961) 等 最初の特許出願はメプロバメートの精神安定剤としての使用を言及していないが もしCIP 出願が十分にこの特性を公開していたら これは致命的なことではない 1952 年 2 月にベルガー博士がメプロバメートを合成し 抗けいれん作用があることを発表した カーターウォレスの問題は 1952 年のベルガーの論文ではなく CIPで十分メプロバメートの抗精神神経 寄 no tokugikon いることは 抗けいれん作用及び他の特許性を有す る点である カーターウォレスは精神安定剤の特性 を明細書の他の場所から理解できると主張してい る 最初に明細書において活性の持続期間が短いと いう欠点を克服すると記載しており 筋肉のけいれ ん 不安精神症 多くの神経システムの治療に価値 があるという記載を根拠にする しかし 我々はこれがメプロバメートの精神安定 剤としての特性の公開であることに同意できない 明細書にはメプロバメートがメフェネジンの特性を 有しているとは記載していない 第 2にカーターウォレスは 明細書で 中枢神経 中で薬の最も効果に感受性のある構造は介在ニュー ロンである と記載した カーターウォレスは 脳 辺縁系と視床は介在ニューロンの大きな集団なの で メプロバメートの精神安定効果は介在ニューロ ンに対する効果から表出するとした このことは メプロバメートが精神安定効果を有することを事後 に知得したことを説得力のあるものとしている しかし カーターウォレスの議論に対する最も効 果的な反論は 明細書の ( 次の行の記載である ) 介 在ニューロンの効果は医療的価値があるだろう という記載があったことであり 発明者自身その医 療的価値があってそれに言及できるかどうかがあや ふやであったことである 他方 もし発明者が薬の 精神安定効果に気付いていたら そのようなあいま いな公開は許されない 公開の程度を要求する最初の目的は 発明が再現 できることと 権利侵害が明確になるために境界が 分けられた実験であることとを目的としているが 同様の論拠が Papeschドクトリンの下で自明な化合 物の特性が特許性を打ち立てるのに高度の公開を正 当化するということである 公開がないと 公衆は 特許を正当化する特定の使用の利益を受けることが できない この基準を当てはめると 仮にPapeschドクトリ ンの下での検討をしたとしても 明細書に抗けいれ ん薬が記載されているとは認めない CIPで明確に 53)2- メチル -2- イソプロピル -1,3- プロパンジオールジカーバメート 2- エチル -2- フェニル -1,3- プロパンジオールジカーバメート 2- メチル -2-n. プロピル -1,3- プロパンジオールジカーバメート 54)In re Papesch, 315 F.2d 381,137 USPQ 43(CCPA 1963). MPEP716.02(a)III., V., II., I.,VII. 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

19 公開されていたメプロバメートを抗けいれん剤および筋肉まひ効果としての特性が103 条の下で自明であったかという問題は残る 我々はメプロバメートが1950 年の当業者に自明であると結論付ける [ 再審理の請願書について ] 1972 年 11 月に特許無効の判断が下された後に 再審理の請願書が提出された カーターウォレスは 出願人が引用する要望と長い作用の持続性の開示に基づいて 当業者であればメプロバメートを精神安定剤として試験するであろうことを主張する しかし それは十分なものではない 我々は 自明な化学物質であるが新規な特性により特許性を打ち立てるには 高い基準の公開が必要であることを繰り返し述べる もし 特許性を肯定するために依拠する特性が 単に他者がふと思い浮かぶように仕向ける程度の提案にすぎないなら 開示は十分とはいえない 特許の公開とは この業界 ( 分野 ) での既存の知見にすぐ付け加えるものであるべきであり 特許性のある性質の発見を導くであろう実験を単に提案することを超えるものでなければならない これは新しい規則ではなく 当裁判所が以前に何度も繰り返し同じことを述べてきた (Harries (1950) 参照 ) 同様に CCPAは長く Brand(1938) の規則に従ってきた 発明者の教示に従うならば当業者がした ( しなかった ) であろうことについて明確な開示の欠如を憶測によって提供されることはない 開示は 当業者が特定の方法で装置を構築するであろうことを提案する以上に明確なものであるべきである 55) したがって 我々の結論はS.D.N.Y. の決定とは一致しない 裁判所はメプロバメートが事後に精神安定効果を有することを説得力のあるものとして認めつつ 明細書においてあやふやな開示は認めずに明確かつ十分な記載を求めた また 構造的に自明な化学物質の特許性を示す上で予想外の特性に依拠するな らば 開示の高い水準が適用されることを繰り返し述べた 1950 年 出願当初は メプロバメートは抗痙攣剤の目的で有用と書いてあった 1952 年 実験を行い メプロバメートの精神安定の特性を発見して 1953 年 一部継続出願で 成分の追加的な特性として自発的に筋力を非常に麻痺させる作用を持つことが付け加わった 1955 年特許が発行された 56) チザム氏は本件を解説しつつ5 章冒頭で In re Davies(1973) も 本件 Carter-Wallace(1972) も 非自明性を示す新しい利点を発明者自身が発見しなければならないのかについて検討していない しかし 第 2コート (2d Cir) は翌年のGeneral Tire(1974) で 予想外の利点は発明者自身のWORKとしてそこから由来したものでなければならないと強く述べた と評している チザム氏のこの問題意識とGeneral Tire(1974) への高い関心は 筆者も同じである なぜなら In re Zenitz(1964) で紹介した ( 年代に生まれた ) チザム氏の修正 IFFアプローチを さらに再修正しなければならなくなるからである 明細書での開示の充実性だけではなく 出願以前の発明者自身のWORK( 例えば効果の確認 裏付け等の発見 ) が必要なのかどうかという問題意識である これらの判例について順に以下に解説する [26]In re Davies, 475 F.2d 667, , 177 USPQ 381, (CCPA 1973) 本件では強靱化されたポリスチレンに関する発明について争われた 審査官は拒絶査定をし 審判官はこれを維持した 発明のポイントとなる部分は ポリスチレンに含まれる強靱化添加剤 ( ゴム状ポリマー ) であるスチレンブタジエン共重合体 ( コポリマー ) において 少なくとも 30% のブタジエンがシス体であることである ここで シス体とは図のようにスチレンブタジエン共重合体において 二重結合からみての同じ側に水素が結合している状態である 55)Brand v. Thomas, 96 F.2d 301, 25 CCPA 1053, 37 USPQ 505(CCPA 1938). 56)Chisum 前掲注 (6) 第 頁 tokugikon no.285

20 ついてして有利な立場にいない を引用しているとした 審査官と審判部は6つの引用文献に基づいて発明が自明であると判断した 上訴人は 引用文献から構成自体は自明と言えるが 予想外の効果があり 本願は特許性を有すると主張した 上訴人が主張した効果は 引っ張り強さ 衝撃強さ等の機械的強度に加え 光沢 透明度 製造のしやすさが奏されるということである さらに上訴人は 機械的強度は通常 光沢 透明度 製造のしやすさとトレードオフの関係になっており 強靱化と光透明性の効果の両立は予想外のものである旨主張しつつ 特許庁にアフィダヴィットを提出した 審判部は In re Herr(1962) を引用し アフィダヴィットは出願当時公開されていなかったという理由で光沢が向上した等のアフィダヴィットの部分を考慮することを拒絶した 裁判所はこれを支持したが その際に高いシス体含有率のブタジエンゴムが使用される場合にはポリマーの機械特性が強靱となることは明細書に記載されているものの クレームされているようなブタジエンのコポリマーがホモポリマーよりも好ましいことは記載されていない点に注目した 後者のホモポリマーに関するクレームは 審査官により引用された先行技術の指摘を受けて削除され 上訴人の主張は 拒絶理由に接して初めて強靱化添加剤としてコポリマーを使用して得られた特性と ブタジエンのホモポリマーを利用して得られた特性とを区別するように変化していた 上訴人はIn re Herr(1962) では公開されていない特性の証拠が主張できないとはいっていないと主張したが 裁判所はそのIn re Herr(1962) はIn re Lundberg(1958) の その利点が出願時に開示されていない場合 クレームが許可されるための根拠と 寄 no tokugikon さらに In re Lorenz(1964) を引用しつつ 我々 は 予想外の特性についてのアフィダヴィットの証 拠を主張するためには 基本的な特性や使用は公開 されるべきであると考えるとし 本件においては ZenitzとKhelghatianと類似の状況が存在するとは 思えないと判断した そして 裁判所は 以下のように示した 改善された光沢 透明度 製造のしやすさという 予測し得ない効果を裏付ける事項が 出願当時の機 械特性が改善されたという開示から表出すると当業 者が考えるのは困難である 第一に上訴人は違いを主張しているが 明細書で は高いシス体含有率のホモポリマーとコポリマーの 強靱化添加剤としての効果を同一視している 第二 に上訴人の主張は 先行技術では一つの特性を向上 させるためには他の特性が犠牲になるという先行技 術の結果があるので 機械特性と光沢の両方の達成 が予測できない効果であるということである そう すると 機械特性を改善したという開示からでは 光沢性 透明性 あるいは製造の容易性という特性 の開示があるとは言えない 明細書によれば ブタジエンのホモポリマーかコ ポリマーで強靱化されたポリスチレンを開示してい る 明細書が添加剤としてホモポリマーとコポリ マーを同一視していることを特に重視して 出願人 が主張している性質を他者が観察できる程度に明確 にしているとは考えられない ここで CCPAは出願時に発明の特性をすべて開 示することを出願人に強いる特定の法的要件がない ことを述べる必要があるとし 関係する唯一の法律 は 特許法第 112 条の第一パラグラフであること 実際審判部の決定は法的要件以外の考察により支持 されるべきであり そのような決定を有効とするに は 出願時の開示を求める要件の最大のものが第 112 条ではないという強い関心によって支持されな ければならないと述べた そして 非開示の特性を示す根拠が参酌から除外 されることについて 公共政策をその根拠とするソ 57) リシターの提案を受けて CCPAは非自明性の 57) もし控訴人によって示されたそのような証拠が許可されれば 特許は その本質的な証拠中の知識を公表するという必要な代償なしで与えられてしまうであろう 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

21 問題において説得力のある発明の特性や使用上の利点の開示に直面したときにこそ 大衆はその特許から最大の利益を引き出すであろうと述べた しかし 112 条の要件を満たすのであれば それ以上の出願時の開示を躊躇するであろうから 妥協的な考え方として 本件については明細書において特性の開示があること (112 条の要件とは別に開示を求めること ) を要求しつつ 出願人は再出願して (120 条に基づいて有効出願日を保持しつつ ) 主張している非自明な特性についての議論を妨げないとした 発明の利点の開示については 有効出願日を保持して再出願後 後の出願でのクレームについて第 112 条第一節で述べられた要件を先の出願が満たすことを要請している 本件は 第 112 条で拒絶されていないので 見かけ上第 112 条の要件は満たしている 後の出願でのクレームの主題が現在のクレームと同一であるなら 後の出願では我々が今考察している出願日の利益を得る権利が与えられるであろう 我々は新しく開示された特性が特許を求める発明主題を変更するとは思わない 後から発見された特性に関するアフィダヴィットの証拠は本件では考慮すべきでないという我々が審判部に同意している事実からみて 引例により確立したprima facie caseは覆らない 本件でCCPAは 主張する利点が有効なアフィダヴィットだけでなく 明細書にも含まれているべきであることを示した 58) 本件でCCPAは 特許性を立証するために依拠する利点が明細書に開示されていることが必要な理由について政策的理由を考察した つまり どのようにして作るか 使用するかの開示を求める唯一の条文が112 条であるものの CCPAは112 条で明細書に求めること それ以上の要求を 公的な政策 として行った その理由として 公衆は 以下のように開示されているときに その特許から最大の利点を引き出す つまり 非自明性という問題において実際に開示を目の当たりにしたとき 究極的には説得力のある 特性や実 用上の利点が開示されているときである と判示したことは興味深い [27]General Tire & Rubber Co. v. Jefferson Chemical Co., 497 F.2d 1283, 182 USPQ 70 (2nd Cir. 1974) 問題となった化学分野の特許 (US A) は 被告ジェファーソン社のヘイスの特許であり ジェファーソン社は10 年特許庁にペンディングしているこの特許の譲受人である その間にプライスの特許 (US A) が発行され この特許は原告のゼネラルタイヤ社が譲受人である この訴訟は ゼネラルタイヤから ヘイスの特許は 102(e)( 新規性なし ) 102(f)( 発明者が権利者ではない ) 103( 非自明性なし ) 112( 公開不十分 ) 等 多数の理由で無効であるとして提訴された ジェファーソンは特許の有効性と侵害について反訴した ヘイスの発明はポリウレタンに関する それは2 つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール ( 例えば HO-A-OH 等の構造) にイソシアネート ( 例えば OCN-B-NCO 等の構造) を有する化合物を反応させると得られる 完全に反応をするために イソシアネート (OCN-B-NCO) を多めに入れておくというのがポイントである ヘイスの特許は製品と製法の特許で マットレス シート クッション 絶縁体 接着剤や保護塗料に使われる ヘイス特許のクレーム3は下記のとおりである 反応生成物であって(1) ポリプロピレンオキサイドと3 4のヒドロキシル基を含むアルコールと (2) 有機ポリイソシアネートの縮合物で (2) の総量は上記縮合物の反応性水酸基の反応に必要な理論量を超過している反応生成物 ポリウレタンについては1947 年に ジイソシアネートの工業的応用 という論文が発表された しかし バイエルのアルコールはエステルを含んでおり (HO-A-OHの A の部分に-COO- 結合が含まれている ) 地裁によりポリエステルウレタンは加水 58) チザム氏は In re Herr(1962) のように全く新しい使用に関連している利点 ( 非開示 ) でさえも いくらか 0 ではない ( 参酌の ) ウエイトが与えられることがあると In re Khelghatian(1966) で暗示されたが CCPA 自身が本件 In re Davies(1973) でこのような暗示を拒絶するとともに妥協的 ( 歩み寄りをした ) 立場を練りだしたようである と評している Chisum 前掲注 (6) 第 449,450 頁 tokugikon no.285

22 ついては エチレンオキサイドで作られたものよりも優れ 分解により分解されているとされた この問題に関して続く研究はウィンデムスの特許 (US A) である ウィンデムス特許はイソ シアネートをアルコールとアルキレンオキサイドの 反応物であるエーテルと混合するものだった ( この 場合 HO-A-OH の A の部分に -COO- ではなく -O- 結合が含まれる ) 彼らは 重要な製法はポリグリセロールエーテル と存在する水酸基を満たすのに必要な量よりも多く イソシアネートを反応させることだと述べた ウィンデムスのクレーム 2 は以下のとおり 飽和アリファティック炭化水素ポリオールのポリ アルキレンエーテルを反応させることを含むポリ マーの製造方法であって 上記ポリアルキレンエー テルは少なくとも 1 分子中に 2 つの水酸基 500 の 分子量を有し 有機イソシアネートは炭化水素ラジ カルと NCO のみを有することを特徴とする製造方 法 クレーム6は以下のとおり クレーム 2 の製造方法であって 反応混合物は上 記イソシアネートを上記ヒドロキシル基が反応する のに必要な量より過剰にする製造方法 地裁は ウィンデムスの特許を以下のように特徴 づけた 先行技術で素晴らしいところは ポリエーテル ベースのウレタンを作ることである エーテルは加 水分解され得るものであるが エステルのように水 では分解されない 明らかにウィンデムスのクレーム 6 は ヘイスの クレームを含んでいる 唯一の相違は ヘイスのも のはアルコールが 縮合プロピレンオキサイド ( ポ リプロピレンエーテルともいう ) であり ウィン デムスのものは一般化した用語 ( プロピレンオキサ イドの上位概念 ) である ポリアルキレンエーテル である すべてのクレームは 様々な文献により拒 絶された ウィンデムスの特許は公開されておらず その中にはなかった 3 回目の補正も同様の運用と なった 4 回目の補正がペンディングになっている 間に プライスの上記特許が公開された 明細書に は ポリエステルによる加水分解の問題と この観 点からポリエーテルの利点について記載されてい た プライスは プロピレンオキサイドのように 少なくとも 3 の炭素を持つアルキレンオキサイド 寄 no tokugikon ている なぜなら得られたゴム状の製品は水に強く 結晶化する傾向が弱い と記載した プライスの 特許を見て ヘイスのソリシターは6 回目の補正を した これは プライスのクレームのコピーであり インターフェアレンスを起こすものであった この案件ではCarter-Wallace(1972) の 明細書 が十分にメプロバメートの精神安定剤としての効果 を示していないし その抗けいれん薬としての使用 は自明であるから無効とされた判断 が引用された この事件で自明性を少しの間脇に置いて 我々は ヘイスがポリオールを縮合するためにプロピレンオ キサイドを用いると素晴らしい結果が得られるとい うことが明細書に何もないときに 17 年の独占が特 許庁で 10 年出願している間にクレームをコピーする ことで得られるのは奇妙と考える しかし 我々は 103 条 (Carter-Wallace(1972) に依拠することなし に ) と これを補助するのに必要な程度に102 条 (f) の下でヘイスの特許無効を決定することを好む その後 本件では以下のように判断された 従来技術に基づいて構造的に自明な化合物は 予 想外の有用性を見つけたときに特許性を有する In re Papesch 等はこの決定に権威を与えるものである ウィンデムスの特許を先行技術とするならば エ チレンオキサイドというよりもプロピレンオキサイ ドを先行技術とすることは 当業者にとって自明で ある その特許は アルキレンオキサイド につい て言及しており それはエチレンオキサイドとプロ ピレンオキサイドを含むもので エチレンオキサイ ドとプロピレンオキサイドは 2つの卓越したアル キレンオキサイドである そしてプロピレンオキサ イド (C3H6O) の大きさはエチレンオキサイド (C2H4O) の次の大きさであり もし構造式の変換 が当業者に自明であれば 次の大きさであるこの同 族体は自明であろう 地裁の判事が支持したとおり ウィンデムスと同 僚はポリプロピレンオキサイドを結合剤として用い ることで水耐性となることについては認識していな い そしてジェファーソンと地裁の判事は プロピ レンオキサイドをその目的で発見したことの優越を 称賛した それでも我々はたとえPapeschテストの 下であっても自明性が欠如している ( 非自明である ) という地裁の結論に疑いを持つ 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

23 ヘイスと同僚はエチレンオキサイドの縮合剤としての欠点について認識しておらず プロピレンの水耐性の特性について記載していない 加えて ジェファーソンが我々に指摘したように ヘイスは裁判で個体性又はゲル化の方法として絶縁性の液体可塑剤の下で反応することに興味があった ヘイスのノートや特許出願にプロピレンオキサイドは記載されていない ヘイスと同僚は偶然プロピレンがエチレンオキサイドよりも耐水性を有することを発見したと主張するが 彼がこれを特に大切であると認識していることを示しておらず 耐水性に興味を持っている以上に 耐水性は可塑剤の存在によりもたらされると彼は考えた ジェファーソンの専門家は 反対尋問で明細書によりエチレンオキサイドの製品とプロピレンオキサイドの製品の間で水への感受性についての差異の試験を公開していないことを認めている また ヘイス自身もプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの水への感受性について相関関係を見つけていたわけではないと証言する 発明者が新しくて有用な結果を得られたかを知らないことで特許は無効とはならない ( 最高裁 Adams (1966) と比較せよ ) しかし 意図せず評価されなかった 偶然の結果は新規性を構成しない 構成的に明らかな変換からの予想外の結果は それ自体 発明を構成しない ヘイスはエチレンオキサイドよりプロピレンオキサイドを使うことでより優れた水耐性の特性が得られることに気づいていたかも知れないが 特許が公開されるまでこの重要性について評価しなかった 我々はヘイスの明細書とクレームに記載された特許がウィンデムスに照らして自明であることを支持する そして ヘイスの発明はウィンデムスの発明に基づいて自明であると考える Papesch 等の原則下 プライスからコピーした発明が プロピレンオキシド縮合物を使うことで追加さ れた特性により特許性があるとしても クレームされた ( 特許され得る ) 発明に関して ヘイス自身は発明をしてはいない ( 102(f)) この点はZenitz と対比せよ 我々は新しいクレームが1958 年にプライスからコピーされるまで開示が不十分だったために ヘイスは遡及の効果を受けられないと考える 以上により 我々はゼネラルタイヤの主張を認め ジェファーソンの反訴を退け 地裁の判決を破棄する 特許権者ハイスの特許クレームは 先行技術 ( ウィンデムスの特許 ) と構造上非常に類似しており 唯一の相違点はプロピレンオキサイドかエチレンオキサイドというだけである この相違点について 炭素数 2を3にして実施することは当業者に自明であるということから 炭素数 3( プロピレンオキサイド ) を採用したことによる効果をどのように参酌するかという点に争点が絞られた ヘイスの特許 ( 明細書 ) は ( プライスの特許と違って ) プロピレンオキサイドがエチレンオキサイドよりも耐水性について優れるという利点についてほとんど記載されてはいない 59) ことがわかる ハイスは予測し得ない耐水性の利点を強く主張するが 裁判所はハイスが耐水性の情報とその重要性をプライスの特許から引き出していることを発見した このプライス特許はハイスの出願が係属中に発行されたものである 他の事項からの引き出しは 特許権者が予測外の利点に頼ることを不能にするものであると裁判所は述べた 60) チザム氏は論文の5 章冒頭 ' で 裁判所は 予想外の利点は 発明者自身のWORKとしてそこから由来したものでなければならない と強く述べたことを強調し 本件において化合物の特性が103 条下で全体として主題の一部をなすのに対し オリジナリティ要件 (102 条 (f) 62) ) 下で特許されるために求め 59) 明細書の初めに一言だけ記載がある ただし その記載と問題となっている各発明との関係性の説明はない 60) ただ 私見であるが プロピレンオキサイド エチレンオキサイドそれぞれの実施例が耐水性の効果とともに仮に十分記載されていれば ( 本件特許はそうなっていないが ) 自己の発明同士( 実施例の効果同士 ) をあえて比較する記載 ( 例えば比較する意図 比較検証した内容等 ) を出願時の明細書に明記しておかねばならないとまで判示しているとは思えないし そのような要件が妥当とは思わない それぞれの実施例が十分記載されている限り プロピレンオキサイドがより優れるという文言や比較考察が明細書にないことをもって実施例同士の優越性の後出しを認めないとすべきではないと考える 61)Chisum 前掲注 (6) 第 453,454 頁 62) 旧法 102(f) は改正法 (AIA) では廃止されているが 100, 101 においてその趣旨は存続している 旧法 102(f) では A person shall be entitled to a patent unless (f)he did not himself invent the subject matter sought to be patented と規定されていた tokugikon no.285

24 ついてて準備されたポリブタジエンが備えているまさにそ られる主題の一部をなしていないことは 著しく一 貫性がないと述べて論文を締めくくっている ここ でいう WORK とは 非自明性要件において 記載要 件的な要素とは本質的に異なり チザム氏が指摘す るように発明者自身の例えば実験的な検証 ( 発見 ) を 含むであろう 発明の利点を実験等により事前に十 分確認せずに出願し その後の実験により予測外の 利点であると主張する場合の非自明性の判断はどう あるべきか チザム氏が化合物の特性が 35 USC 102(f) 下でも特許されるために求められる主題の 一部をなすことを指摘していることは大変興味深い 法解釈について筆者は定見をもたないが いずれ にしても本件により ( 構造が一応自明な化合物 化 学物質等 ) 典型的な化学系発明の場合 チザム氏の 修正 IFF アプローチに更なる修正が必要となるこ とが示されたといえる ( 本稿 7 章で考察 ) [28]In re Slocombe, 510F.2d 1398, 184 USPQ 740 (CCPA 1975) 本件の発明 (US A) は 低温合成ゴムと その製造方法 であり 問題となったクレーム 27,28 のうち 27 のみ示すと 1,3- ブタジェンを (a) 式 R3Al(R は C2-4 のアルキル基 ) のトリアルキル アルミニウム化合物及び (b) チタニウム テトラア イオダイドからなる触媒と接触させることからなる 1,3 ブタジェンの重合法 である 審査官 審判部ともに 発明は先行技術から自明 であり アフィダヴィットによる証拠をほとんど考 慮しなかった ( ほとんどウエイトを与えなかった ) 審判部は アイオダイドとクロライドとを区別する ような主張やデータが 控訴人の明細書と完全に食 い違っているので 明細書がそのような区別をサ ポートしているとはいえず ブタジエンとイソプレ ンの相違についてもサポートしていない ( アフィダ ヴィットは説得力がない ) と判断したが 裁判所は 以下の理由で In re Davies(1973) が審判部の立場 を支持するとは判断しなかった In re Davies(1973) と異なり 本件の明細書は 発明の趣旨 ( 主目的 ) 全体が優れた低温特性 ( 非常 に低温でも改善された柔軟性 ) を備えたポリマーの 生産にあり 十分な記載がある そして 最初のア フィダヴィットは クレームされたプロセスによっ 寄 no tokugikon のような優れた低温特性を示している したがって 明細書はそのような ( 比較結果を提示する ) アフィ ダヴィットをサポートすると考える 先行技術に対 する優勢が出願時に示されるべきという要求はな い 発明の利点に備わっている基礎的な特性かユー ティリィティが示される場合 それで十分である (In re Lorenz(1964) を引用 ) 本件において控訴人のアフィダヴィットによる証 拠は 単に当初出願時のクレームが広い範囲である というだけで無視すべきでないであろう 明細書は 触媒としてチタニウム テトラアイオダイドを含ん でいる場合とチタニウム テトラクロライドを含ん でいる場合との間で特別の選択 ( 選好性 優越性 ) を開示しないが そのことが 触媒としてチタニウ ム テトラクロライドを使用する先行技術に対して 触媒としてチタニウム テトラアイオダイドを使用 する場合のアフィダヴィットの証拠を無視する根拠 になるべきではない 触媒効果が化学的にみて特別 に予測外のものであるという控訴人の主張は正当で ある 特許庁において一応の自明性が確立されたも のの 控訴人は予期しない特性を示す証拠を信頼で きるアフィダヴィットにより提出した この証拠は 特許庁で確立した一応の自明性を覆すために採用 し 審判部の決定を覆す 本件で非自明性の判断において先行技術に対する 優越 ( 比較等 評価に関する事項 ) を明細書に書く 必要はないとされたことは妥当であろう ただ 本 件の場合 ( 比較等の評価に関する事項を除く ) 実施 例の開示の程度はどうかというと チタニウム テ トラクロライドの実施例は記載されているものの 同じハロゲンを用いたものとはいえチタニウム テ トラアイオダイドを使用した場合の実施例は十分に 記載されているとはいえないが 特に争点とはなら なかった [29]Weather Engineering Corp. of America v. United States, 614 F.2d 281, 204 USPQ 41(Ct. Cl.1980) 本発明 (US A) は 雲に対する種まきの 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

25 方法であって 飛行機で雲の上を所定距離離れて飛ぶこと (a) と 複数の時限爆弾用ヒューズ ( 導火線 30-32) が接続された 散乱される氷核生成材料を含む爆発物を 飛行機の外に取り出す部分に置くこと (b) と 上記距離に応じた長さの導火線に調整すること (c) と この爆発物が飛行機からはじき出されると同時に 導火線の点火が開始され それにより雲の中に到達して爆発体 (20) が爆発し 氷核生成材料が雲の中で解放されること (d) を含む方法である ( クレーム1の仮訳 ) その主張は侵害後に思いついた後知恵ではなかったと判断した さらに この利点は特許に開示されている方法から内在的に表出 (inherently flow from) するように思えるとともに 発明者は発明が所有するすべての利点を列挙することを要求されないと述べて このような状況下では 発明の特徴を後知恵であるとして無視することはできないと判断した しかし 裁判所での公判 ( 審理 ) 後の主張 ( 審理中に主張がなかった ) は どんなに信用できる証拠或いはどんなに信用できる証明の証言であっても支持しない 我々は 原告に対して一切信頼しないとされた 裁判所は 当業者であれば疑いなく爆発物を扱う飛行機のすべての安全性とクレーム1の方法で扱われている目標設定問題を特定し 明らかにするであろうと判断し 最終的に本件 214 特許は複数の先行技術から自明と判断した 6. CAFC 時代 ( 第 5 期 :1982 年 ) [30]In re Chu, 66 F.3d 292, 36 USPQ2d 1089 (Fed. Cir 1995) 裁判所は本件 214 特許が複数の先行技術から自明と判断した 214 特許の方法が備える 先行技術よりも精度が高い ( 縦横方向の目標設定問題 (targeting problem) を解決する ) という利点について判決文の脚注 4で詳述されている 脚注 4によれば 被告はこの利点は 後知恵 であって 先行技術に対する特許性を認めるべきでないと主張した 裁判所はこのような争点について学問的 63) に分析されている著作としてチザム氏の論文を引用した 裁判所は チザム氏は 後知恵の特徴を描写することは 主張される特徴が実際にそれほどまでに重要なのかどうかについて疑念を抱かせるという考え方を提案することによって 2つの競合するラインを調和した と指摘した 裁判所は 目標設定に関する発明の利点は明細書には明確に記載はないが 特許庁の審査期間中 審査官に開示していた点に注意した そのことから 本発明 (US A) は石炭を動力源とするプラントにおける排出ガスからNOx SOx 微粒子を除去する方法に関するもので 煙道ガスが ( 吸着剤 燃料が投入される ) 石炭ボイラー 10 排出ダクト14を経てフィルターハウス ( 高温集塵機 )16に送られるとともに ( フィルターハウス16の上流 18にはアンモニア性化合物が注入される フィルターハウス16は内部に複数のファブリック フィルター バッグ26を保持している ) 選択接触還元触媒がバッグハウス内フィルターに充填されているので 還元剤との接触により窒素酸化物は窒素と水に還元される バッグハウス16 内で形成された粒子はフィルターバッグ26の表面に集められ パルスジェット洗浄によりフィルターバッグ 26の表面は浄化され 微粒子と吸着剤はホッパー 56に集められる 微粒子や灰はライン28で排出されるか又はライン30を経由してリサイクル装置 32に送られる 浄化され 63)Chisum 前掲注 (6) tokugikon no.285

26 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法についてた煙道ガスはダクト 36 を経て熱回収器 38 に送られ ダクト 40 経て煙突 42 から大気中に放散される 特徴部分は後述するようにフィルターバッグ 26 にあるが クレームに記載の ( 最上流のボイラーか ら下流に至る ) 全体構成について審査官 ( 審判官 ) は引例 1(US A) を引用し フィルターバッ グ 26 の構成については引例 2(US A) を引 用し それらの組合せにより本出願を拒絶査定した 問題となったクレーム部分は a selective catalytic reduction catalyst positioned inside the bag retainer of each of _said_ fabric filter bags in _said_ filter house;( 前記フィルターハウス 16( 左図 ) の中にある前記各ファブリックフィルターバッグ 26( 左図 ) のバッグ保持部 ( 中図 ) の内部に位置し た選択接触還元触媒 24) である 本願発明のフィルターバック 26 内の SCR 触媒 24 を含む構成と 引例 2( 右図 壁 12,13 間の触媒の ペレット 11) とを対比すると ( 上記クレームに記 載の ) バッグ保持部の内部に触媒を置く点が引例 2 には記載されていない 審判部は引例 1,2 を組み 合せた上で この相違については 触媒を中に位置 させることは設計上の選択の問題であるとし また 本願発明の構成をとった場合にどのような利点があ るのか明細書には何も書いておらず 上記クレーム の構成が特定の問題を解決することや予測外の効果 を奏することについても明細書に記載されていない として特許性を認めなかった 64) この段落の翻訳文は MPEP716.02(f)( 日本国特許庁ホームページ ) より抜粋 原告 (Chu) は SCR 触媒の配置が単に 設計選択 寄 no tokugikon の問題でないとするいくつかの理由を主張した 裁 判所 (CAFC) は 審判部が ( 自明性拒絶に対する 対応としての ) 主張や証拠が考慮の対象とされるに は明細書の範囲内に記載があることが必要とした点 が誤りであると判断した SCR 触媒の配置が 設計 選択 の問題だったかどうかに関する証拠や主張を 明細書に含めることを要求することは 出願後に PTOが提供する拒絶を 出願時点で推測すること を特許出願人に要求することになると述べた また 裁判所は審判部が引用したIn re Lundberg (1958) について 本件においては説得力がないと した なぜならIn re Lundberg(1958) の場合 上 訴人が出願時に利点を開示せず 後から主張した内 容 (reversible operation) を受け入れるには 出願 時の開示内容に対して開示していない修正を必要と するからである 一方 原告 (Chu) によってなさ れた主張のどれもが 開示した構成にいかなる変更 も要求しないことは論を俟たない 我々は 特許法第 103 条拒絶に反証する特許出願 人からの証拠又は意見書が明細書内に含まれていな ければならない旨の見解を裏付ける事例を発見しな かった 自明性は 査定系特許手続のやりとり中に 提出された証拠及び意見書を ( 若干の事例では特に 顕著に ) 含めた記録の全体によって判断される旨の 命題に対しても同様に 論理的裏付けがない 64) その上で裁判所はまず第 1 に 引例 2(Szymanski

27 の特許 ) に開示されるような 2 つのフィルターバッグ間に触媒を置く構造から それとは対照的に バッグ保持部の中に触媒を置くという構造上の変更をするよう当業者を導く教示或いは示唆がないと判断した 第 2に パルスジェット洗浄時に ファブリック フィルターの弱点に関連している原告 (Chu) の専門的な証拠 ( 引例 2に比して パルスジェットの激しい衝撃や高温に耐える構造であるという利点 ) は 引例 2との相違が単なる設計上の選択の問題であるという判断を明らかに覆すものであるとした (1) 本件では 引例 1,2を組み合せ さらにフィルターバッグ間に触媒を置く構造 ( 右図 ) からバッグ保持部の中に触媒を置く ( 中図 ) という変更をすることが単なる設計上の選択の問題とした審判部の判断には無理があった 65) ものと思われる 本件は 明細書に開示がない利点の主張参酌の妥当性を主たる争点とした事案というよりはむしろ構成の非自明性の判断で勝負あった事案であるように思える (2) 本件では非開示の利点の参酌可否についてIn re Lundberg(1958) と対比的に根拠を説示した In re Lundberg(1958) の場合 本件と異なり 後から主張した内容を受け入れるには開示していない修正を必要とすると述べた 66) 問題は 明細書と齟齬がなく 開示したとおりの内容から奏する利点 であれば一般にどのような利点の主張でも後から参酌してよいのかどうかである 本件は後から主張された利点に関する技術が明らかに機械系であり 事案によっては発明の利点を全く記載せずとも明細書から読み取れるとされる場合も少なくない 発明の構成等 開示内容が充実していればいるほど 開示したとおりの内容から非開示の利点が参酌されやすい ( ましてや本件のように先行技術との対比のためであればなおさらである ) しかし 本件の上記判示を 発明の利点を予 測しずらい化学系の技術にまで単純に拡大解釈すべきでないであろう (3) 本件では発明の利点の主張について丁寧に説示があったためか MPEP716.02(f) に大きく掲載されている 明細書に開示のない発明の利点 ( 効果 ) の出願後の主張については 特に審査官等から指摘されるであろう ( 出願時には未知なる ) 先行技術や相違点に対して 十分な反論となるような証拠や主張を あらかじめ明細書に含めることは通常不可能であり 説示されている内容は妥当であろう 67) しかし いくら指摘される拒絶理由 ( 無効理由 ) が出願時には一般に未知であり 発明の利点をあらゆる観点で洗いざらい列挙することは困難であるにしても 発明が奏する基本的な ( 根本的な ) 利点を何も出願時に開示できないということはない 非開示の利点を参酌しなかった多数の判例を踏まえれば 利点を明細書において第三者に公表すべき場合があることは明らかである 後から考えれば明細書での利点の開示が無かった又は不十分であったとしても 発明の構成やその他の利点等 主張したい利点以外の記載内容が充実していたおかげで その利点が明らかに明細書から読み取れる場合に 後からの補充説明が参酌され得ると思われる 利点の予測可能性が低い分野はさておき 本件のような機械系の技術について後から利点の参酌が認められたのはその典型例であろう [31]Knoll Pharm. Co. v. Teva Pharms. USA, Inc., 367 F.3d 1381(Fed. Cir. 2004) 本件では米国特許 (US A) の有効性が争われた 本特許は 先行技術ではオピオイド ( ヒドロコドンが含まれる ) とNSAIDs( イブプロフェンが含まれる ) の組合せを多数提案されていたが ヒドロコドンとイブプロフェンの組合せにより生物学的効果が向上するというクレーム構成への教示や示唆はなかったため 特許になったものである 65) 小野康英 KSR 事件連邦最高裁判決を踏まえた 実務 パテ61 巻 4 号 (2008)104,105 頁 特に 脚注 (13) に筆者と同様の意見が述べられていると思われる 66) 当初開示していない利点の主張は 過度な誇張 後知恵があると明細書の開示内容とつじつまが合わなくなることがある 侵害事件でも通常被告はその矛盾を突いてくるであろう そのような場合は主張する利点が ( 発明の構成等 ) 明細書の開示から内在的に表出する (inherently flow from) とはいえない 我が国でも同様である 宮崎 前掲注 (13) 第 722 頁 67) 前掲注 (32),(40),(42) 参照 我が国も同様である 宮崎 前掲注 (13) 第 721,722,736,737 頁 tokugikon no.285

28 ) 失敗データの考慮に関する地方裁判所のついて薬会社の 地方裁判所は原告 (Knoll) が示したヒドロコドンとイブプロフェンの組合せによる予期し得ない結果を 予想外の利益や結果は252 特許が発行された後に発見された という理由で採用しなかった ( 本件の争点 ) 一方 252 特許の明細書には当該構成を採用することで 片方の成分を多く服用するものよりも よりよい鎮痛作用がある旨の記載がされ 実施例では 252 特許の組合せより得られた鎮痛作用は それぞれの鎮痛剤を単独で 服用を増加して使用したものから得られたものより 素晴らしいことが示されている クレームされた組合せのより進んだ論証について knollは効果の同等な成績について示した付加的なデータを提出した 地方裁判所に提出された3 つの後の研究はヒドロコドンとイブプロフェンを共用したことによる鎮痛剤としてのシナジー的な相互作用について記載されている 4つ目の研究ではヒドロコドンとイブプロフェンの組合せにより筋肉の修復がもたらされることが報告されており それは鎮痛作用とは無関係ではない CAFCは 特許がされた後の証拠の確立は考慮から排除されるべきではない なぜなら特許出願の際にすべての範囲の発明がいつも達成されているわけではないからである 特許の有効性に関する攻撃を受けた時の返答として 特許された発明の付加的なサポートが出されても良い 法的な攻撃への返答で証拠として出されるための動きでは 特許が出願される前に発明の特性や有効性がすべて知られている必要はなく 特許出願が研究のすべてを含んでいる必要はない 特許の有効性を支持するために付加的な実験がされることや 後から得られたデータを提出することは不適切ではない と述べた さらに CAFCはKnollが申し立てた他者によるオピオイド-NSAIDの組合せ確立の際の (2つの製 寄 no tokugikon 誤りについても言及し 本特許の組合せでみられる 活性はオピオイド-NSAIDの組合せで通常見られる ものではない ( 格別な効果を有する ) という主張を 補強するものであるという考えを示した そして 原審 (summary judgment) は破棄され 下級審に差し戻された 本件は 明細書にヒドロコドンとイブプロフェン との組合せが驚異的な鎮痛効果を示すことが様々な 薬理学的手法で確かめられることと いくつかの実 施例の記載が明細書にあることを前提に 予想外の 利益や結果について出願後 ( 特許発行後 ) に主張し た事案であるから妥当な判決であろう 68) この判例 は我が国でも話題になったが 上記争点について裁 判所は予想外の利益や結果を示すための証拠や主張 に時期的な制限を加えた地裁の判断を先例がないこ とから否定しただけの妥当な判示であり 米国にお ける過去の先例と異なるものではなく 我が国の運 用とも異なることはない 69) [32]Sanofi-Synthelabo v. Apotex, Inc., 550 F.3d 1075, 1089(Fed. Cir. 2008) 本件では血小板凝集阻害活性を呈する光学異性体 化合物 ( 抗血小板薬 ) に関する特許 (US A) の有効 無効が争われた 明細書には 意外なこ とに 右旋性光学対掌体 (Id) のみが血小板凝集阻 害活性を呈し 左旋性光学対掌体 (Il) は不活性で ある この試験の結果の記載を行うが これは この発明の別の利点 すなわち右旋性異性体の塩類 の方がラセミ混合物の塩よりも優れた治療指数を有 することを立証している 事実 左旋性異性体は殆 ど血小板凝集阻害活性を示さず その毒性はその右 68) 一応の自明性を覆すために効果の優位性 ( 予測困難性 ) を主張立証することは いつ行われようとも通常参酌される ( 出願時に明細書で立証しておくことまでも求められていない 前掲注 (32),(40),(42) 参照 ) なお 4 つ目の研究である上記筋肉修復の強化について この利点だけ注目すると明細書のほんの一言の記載から ( 出願後の ) 裏付けが参酌されたかのようであるが 効果の後出しが認められた主たる効果ではない ( あくまでも補強的な根拠 ) 本件は化学分野においてわずか一行の記載から ( 一応の自明性を覆す ) 利点の根拠 ( 出願後の裏付け ) が真正面から参酌された先例とはいえない その後の Sanofi-Aventis Deutschland GmBH v. Glenmark Pharms Inc., 748 F.3d 1354(Fed. Cir. 2014) も同様である ( 争点は obvious to try の成否であり 組合せを試みることが自明ではないことと 明細書に開示の効果及び非開示の効果の予測困難性との総合判断で非自明が認められた ) 69) 宮崎 前掲注 (13) 第 721,722 頁, 特に第 736,737 頁及び脚注 79 我が国でも非開示の利点の主張立証を特許発行後であるという理由で参酌拒否した裁判例は筆者の知る限り無い ましてや定性的な効果のみならず実施例の記載が十分明細書にある場合にはなおさらである 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

29 旋性相同体の場合よりも著しく高い 等の説明とともに実施例 ( 薬理試験 毒性試験 ) の記載もあった このような明細書の記載に基づいて 公知のラセミ混合物と比較して クレームに記載の立体異性体が優れた利点 ( 予測される毒性を示さず 優れた治療的利点 ) を有することについて主張がなされ 裁判所は予測されない優れた利点を認めた 本件では 発明の利点とともに実施例の開示も当初からある明細書の記載に基づいて ( 比較に基づく ) 優れた治療的利点を主張したのであるから 当該利点について発明者自身による発見や熟考等が出願以前からあったと認めるべき ( 当該主張を採用すべき ) であり 判示は妥当であろう [33]Bristol-Myers Squibb Co. v. Teva Pharms. USA, Inc., 752 F.3d 967(Fed. Cir. 2014) 70) 事件の要約 BMSはB 型肝炎ウィルスの抗ウィルス薬として用いられる エンテカビル に関する特許を有しており Tevaはこの特許の無効を請求した 地方裁判所 CAFCともTevaの主張を認め BMSの特許 は出願当時公知であった抗ウィルス性化合物 2'-CDGから自明であるとした これに対してBMS は 合議体が予想外の結果の判断を誤ったと主張し 合議体判決の再審問の申請を行った 米国の医薬品およびバイオ研究機関の多くからも 合議体の決定は医薬品特許の自明性テストを書き換えるものであるという懸念が表明された CAFCは結局再審問申請を否決した (per curiam) が これに対して複数の判事が異なる意見を述べている 意見が分かれているのは米国特許法第 103 条に基づく自明性の判断において発明後に得られた証拠の使用に関するものである 71) 事件の解説 BMSの特許は炭素環ヌクレオシド類縁体化合物 ( エンテカビル ) に関する特許を有していた これは DNA を構成するデオキシグアノジン ( ヌクレオシド ) と構造が似ていることからウィルスが DNAを伸長する際に DNA に競合的に取り込まれ エンテカビルが取り込まれた部分で DNA の伸長が止まることから抗ウィルス薬として用いられるものである 地方裁判所地方裁判所は 当業者であれば出願当時公知で R= 5'- 位 2'- 位 デオキシグアノジン (DNA を構成 ) 公知の抗ウィルス化合物 (2 -CDG) いわゆる副引用発明 (Madhavan 30) 本願の抗ウィルス化合物 ( エンテカビル ) 70) 本件について参考となる論説として Dzwonczyk Michael R. 他 (AIPPI 事務局訳 ) Bristol-Myers Squibb Co. v. Teva Pharmaceuticals 事件 AIPPI60 巻 4 号 (2015)298 頁 南条雅裕 引用発明と比較した有利な効果の立証 可否についての考察 パテ 69 巻 5 号 ( 別冊 15 号 ) (2016)70 頁 田村善之 進歩性 ( 非容易推考性 ) 要件の意義 : 顕著な効果の取扱い パテ 69 巻 5 号 ( 別冊 15 号 )(2016)1 頁 71) 原審 Bristol-Myers Squibb Co. v. Teva Pharm. USA Inc., 923 F.Supp.2d 602(D.Del.2013), 控訴審 Bristol-Myers Squibb Co. v. Teva Pharm. USA, Inc.,752 F.3d 967(Fed.Cir.2014), 再審問 (per curiam 大法廷意見判決 )Bristol-Myers Squibb, 769 F.3d 1339(Fed. Cir.2014). tokugikon no.285

30 ついて状況において発明後に得られた証拠を考慮すること あった別の抗ウィルス薬である2'-CDG 72) をリード化合物として この化合物から出発して Madhavan30のように5' 位を修飾することでエンテカビルを合成するだろうと結論付けた 73) 判示では二次的考察において予測不可能な効果の比較的詳細な記載はされているが 毒性の効果の予測性についての検討はもともと2'-CDGは毒性がないと思われているのだから そこから考えて予測可能であるという判断をし 主に検討されたのはエンテカビルが抗ウィルス活性を有することについての効果の予測性であり 結果として効果はあったとしてもTeva による証明が強力であり BMSの主張はこれを克服するには不十分であると結論付けた 控訴審(CAFC) 控訴審においても2'-CDGをリード化合物とすることは自然なことであり そこから出発してエンテカビルの構成に至ることは自明であるとした 合議体はさらに予想外の効果について 程度の違い は 種類の違い ほど一応自明に対する反論として説得力を持たない旨の意見を述べた ( 顕著な効果よりも異質な効果が非自明性判断の際に重視される ) また 二次的考察についても地方裁判所の判断に誤りは無いとした この立場を裏付けるために 合議体はVelander v. Garnerを引用した 74) 再審問(per curiam) 合議体の判決後 BMSは合議体判決の再審問および大法廷での再審問を求めた 2014 年 10 月 20 日 CAFCはBMSの申請を大法廷意見判決によって否決した ここでダイク ウォーラック オマリー判事は同意意見を述べた ニューマン ローリー レイナ及びタラント判事は反対意見を述べた ダイク判事はKSRを引用し ここで関連する知識とは 発明時に持っていた知識であって 本件の 寄 no tokugikon を認めなかったのは適切 とした オマリー判事は 先行技術と本件発明との間で事後発見された違い を考慮することは認められているが これらの違い は自明性を分析するための情報であるから 発明時 に当業者が何を理解していたのか どのような予測 が合理的であったのか評価するときに考慮できるこ とを確認した という意見であった そして結局 オマリー判事は事後発見された効果は参酌されるべ きではあるものの 本件では非自明性を立証するの に十分ではないとされた 事後発見した効果をどの ように参酌するかについて意見は一致していない 産業界からは 地方裁判所が適用した新しい基準 によって自明性に関して定着した予測性が脅かさ れ 医薬品分野における特許保護に壊滅的な影響を 与える 非自明性を分析するときには発明後に得ら れた証拠を考慮しなければならないという批判が出 ている (1) 本件では 事後発見した ( 当初開示のなかった ) 効果をどのように参酌するかについて判事の間で意 見は一致してないようであるが 75) 本発明と先行技 術とで効果の参酌の仕方が大きく異なることは ( 一 貫していないので ) 許容すべきでないと思われる 76) 本発明と先行技術とで同種の効果を奏する場合 本 発明で開示された効果が実は予想外に良かった ( 逆 に実は低かった場合も同様 ) ことが比較実験等で 後から主張されても遡って参酌されるのであれば 先行技術で開示された効果が実は良かったことが後 から提示しても遡って参酌される可能性があるし ( 先行技術の開示の程度にもよるので一概には言え ないが ) 当初開示のなかった異種の効果( 有利な 効果にせよ不利な効果にせよ ) を後から主張する場 合には 先行技術においてそのような新たな主張 ( 本 72)1984 年に Shealy 博士が公表したもので HPV( ヒトパピローマウィルス ) に対する高い体外抗ウィルス活性を有していることを開示した 73)Aristeromycin( アリステロマイシン ) の五員環に環外の二重結合炭素を導入すると 抗ウィルス性が向上するということが出願前に公知となっていた 裁判では BMS の専門家が出願前にこれを知っていたことを証言した 74) 自明性 そして成功予測は 発明が行われた時点において当該技術分野の通常知識を有していた者の観点から評価される 75) 一般に 特定の先行技術の特性が実は悪いからといって ( 仮にそれを参酌するとしても ) 発明の効果が ( 出願時の一般的な技術水準からみて ) 一応の自明性を覆すほどの効果を奏すると認めるかどうかはケイスバイケイスと思われる また 本件は 2 -CDG の毒性によりエンテカビルに至ることを阻害する要因 (teach away) の参酌可否の問題とも理解することができると思われる 76) 我が国にも類似の考え方がある 宮崎 前掲注 (13) 第 725,726,732,733 頁 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

31 件の場合は毒性という副作用 ) を参酌すべきでないのであれば 本発明においてもそのような主張は参酌すべきでないであろう 77) (2) 同種 異種の効果の参酌を公平性の観点で述べたが 本件の場合 先行技術からエンテカビルに至る自明性の程度がかなり高いため ( 発明後に得られた毒性の証拠の考慮可否の問題もあるが その論点よりも自明性の高さが勝ることから ) 結論において自明と判断されたように思える 一般に一応の自明性が強力に確立している場合 予想外の優れた結果等で自明性を克服するのは困難になることがある 78) 今後 一応の自明性が本件ほど強力ではない類似の事案が出てくる可能性もある 後から判明した先行技術の特性がどのような場合に参酌されるのか ( されないのか ) は 整理をすることが困難な問題を含むかもしれないが 今後の判例の蓄積に期待したい 7. 総合考察非開示の発明の利点又はデータの参酌の問題について 時代区分ごとに判例を紹介してきた 判例とともに紹介してきたように これまでの歴史を振り返ると まずは 発明のすべての利点を明細書に書き尽くす必要はない ( どのような文献が引用され どのような拒絶理由又は無効理由が指摘されるかは出願時には通常わからない ) という考え方を重視した Diamond Rubber line of Cases と 予測し得なかった利点に依拠して特許性を認められる以上 その利点は第三者に当初から公表すべきという考え方を重視したLincoln Engineering line of Cases という2つのラインが対極する 79) その後のIn re Chu (1995)( 主張された利点については機械系の技術 ) では丁寧な判示がなされ MPEP716.02(f) でも大きく取り上げられている 特に ( 比較的利点の予測がしやすい ) 電気機械の分野 通信の分野等では (In re Chu(1995) でも判示されるように引例や認定される相違点等は通常出願時に未知であること 比較による効果の予測困難性の主張立証自体は後からでも柔軟に参酌が可能となり得ることを前提に ) 両ラインのバランスで判断するのが妥当と思われる 明細書から非開示の利点が予測しやすいならば参酌される傾向となるし 予測できないのに参酌すべきという過大な主張がもしなされるならば それは第三者に公表していないので参酌すべきでないか 80) 又はそれを参酌せよというならば先行技術において 81) も参酌されやすい傾向となるように思える ここで特に問題となるのは 利点の予測困難性が高い化学系の技術を扱う事案への当てはめの論点である 82) 第 1-3 期はほとんどが機械系の発明を扱った訴訟であったのに対して 1960 年代以降は化学系の発明を扱う訴訟が増加し 第 4 期の始まりとなったIn re Zenitz(1964) ではCCPAがIFFアプローチを本格的に取り入れ 先例としてはWestmoreland (1909) に依拠した ただ Westmoreland(1909) で蓋の素材を ( 金属製ではなく ) セルロイド製にしたことによる防錆性 ( 非酸化 ) が参酌されたからといって 明細書に開示された通りに実施されたときに固有に生じる効果は参酌され得る という考え方 (IFFアプローチ 83) ) を全面的に打ち出し それを一般論としてそのまま化学系の事案に当てはめるとすれば異論も多くありそうである 77) その逆も同じで 本発明において非開示の異質の効果が後から参酌されるなら 先行技術においてもそのような異質の効果が後から参酌される可能性がある ( 本発明の開示の程度に比した先行技術の開示の程度にもよるが ) 78)MPEP716.01(d)[ 客観的証拠の考量 ],MPEP2145[ 出願人の反論理由の検討 ] なお 我が国においても類似しており 宮崎 前掲注 (13) 第 718 頁, 脚注 16,17で有識者の意見等も併せて解説した 79) 宮崎, 神野 前掲注 (42) も是非とも参照されたい 80) 最高裁 Lincoln Engineering(1938),Abbott(1939) 等 81)In re Robertson(1942),In re Rossi(1957) 等 82) ただし考察の前提として In re Stewart(1955),In re Lorenz(1964),In re Slocombe(1975),In re Chu(1995),Knoll(2004),Sanofi(2008) の解説時に繰り返し述べてきたように 一般に利点自体の開示や実施例 出願以前の検証等は ( 利点の予測困難性の高さに応じて ) 求められることがあるかもしれないが 先行技術との比較実験例等に代表される 予測外であることを示すための根拠 ( 利点の評価事項 ) の主張は原則出願後でも参酌可能である ( つまり 予想外であったことが ( 出願時には不明で ) 結果的に後になって判明してもよい 前掲注 (32),(40),(42),(68) ) このことは我が国でも同様である 宮崎 前掲注 (13) 第 721, 722, 736, 737 頁 83) 本稿 In re Zenitz(1964) の解説時に紹介した tokugikon no.285

32 8. おわりについて非開示の利点又はデータの主張について 米国における現代の判例法とその運用を簡潔に述べることは困難であるが これまで引用した判例や論説 書籍等を総括し あえて端的に言えば 最高裁 Lincoln Engineering(1938) 以降 厳格なラインに揺り戻され 最高裁 Graham(1966) 84) の時代に至っても引き続き最高裁が発明の利点の後知恵的主張を戒めている時期 ( 第 3 期 ) に それとは裏腹に 1960 年半ばに CCPAが大きな方針転換をして導入した柔軟なアプローチについて その後 1970 年代の3 判例 Carter- Wallace(1972),In re Davies(1973) 85),General Tire (1974) によって修正がなされた ( 第 4 期 ) が 結果的には比較的寛大な運用として理解されて ( 第 5 期 ) 現代に至るまで緩やかに継承されている そして このような運用は最高裁のレビューを受けていない という状況にあるということができる もちろん個別事案によるので一概にはいえないが 米国の歴史と現状をまとめれば概ねこのような状況にあるといえる 86) IFFアプローチにせよチザム氏の修正 IFFアプローチ 87) にせよ いずれも最高裁のレビューを受けていない 年代に控訴審で導入されたこれらの指針の流れを汲む現在の寛大な運用は 米国の長い歴史を見ると 必ずしも先例に沿った運用を採っていない可能性も考えられる 88) 寄非自明性判断における発明の利点参酌に焦点を当て 120 年以上に及ぶ米国判例法とその歴史を振り返りながら調査 考察を行った 発明の概念や法の目的等は我が国とは当然異なるものの 実務的には我が国の裁判例における判示や審査審判実務でみられる判断と類似した判断が下される事案も多数みられ 大変興味深い Graham(1966) 以降非自明性判断における非開示の効果又はデータ参酌の問題を最高裁が扱っておらず まして化学系の発明についてはこれまで最高裁が真正面から取り扱ったことはない 今後の米国での動きは不明であるが 少なくとも 米国 = 参酌が柔軟な国 とそう単純に理解すべきものではないといえる 本稿が 米国における判例法のより正確で深い理解の一助となり 我が国の審査審判実務への参考になれば幸いである profile 宮崎賢司 ( みやざきけんじ ) 平成 14 年 4 月入庁神野将志 ( じんのまさし ) 平成 15 年 4 月入庁 no tokugikon 84)Chisum 前掲注 (6) 第 444 頁でチザム氏は リンカーン最高裁以後 多くの下級審が非開示であった発明の利点を後知恵的に主張する行為を非難した そして 本件グラハム最高裁でこのような話題が再燃した と解説している グラハム最高裁は紙面の都合上 宮崎, 神野 前掲注 (42) の次号で解説予定 85) チザム氏によれば In re Herr(1962) のように全く新しい使用に関連している利点 ( 非開示 ) でさえも いくらか 0 ではない ( 参酌の ) ウエイトが与えられることがあると In re Khelghatian(1966) で暗示されたが CCPA 自身が本件 In re Davies(1973) でこのような暗示を拒絶するとともに妥協的 ( 歩み寄りをした ) 立場を練りだしたようである と評している Chisum 前掲注 (6) 第 449 頁 86) 本稿では主に判例の概要を解説したが 歴史の流れについては宮崎, 神野 前掲注 (42) において詳述したのでそちらも併せて是非参照されたい 87) 本稿 In re Zenitz(1964) の解説時に紹介した 88) 判例の歴史的流れは時代背景の影響もあるであろうが かといって 20 世紀又はそれ以前の最高裁判例等をすべて時代背景が主因として本稿の議論を封じることは早計であろう 1929 年の世界恐慌を一因としたアンチパテント時代の到来と 1938 年の最高裁判例 Lincoln 以降 ( 第 3 期 ) は時期が重なるが実際に関連があるか否か当時のことは不明である また CCPA が 1960 年半ばに行った大きな方針転換 ( 第 4 期 ) はアンチパテント時代の出来事であるし 第 1 期がアンチパテント時代であったとはいえない 稿3非自明性要件における非開示の利点の主張に関する米国判例法に

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