紀要_51

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よしおかみこ
7 years ago
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1 東北女子大学東北女子短期大学紀要 No The Last September における Danielstown 炎上の意味することについて杉本久美子 The Signiﬁcance of The Burning of Danielstown in The Last September Kumiko SUGIMOTO Key words : Elizabeth Bowen エリザベスボウエン Big House ビッグハウス Bowen s Court ボウエンズコート Anglo Irish Ascendancy アングロアイリッシュアセンダンシーはじめに September においても Danielstown を舞台に話アイルランド人作家エリザベスドロシアコは展開し作品自体も邸宅の炎上で幕を閉じていウルボウエン Elizabeth Dorothea Cole Bowen, るただし Danielstown は単に登場人物たちの , 以降 Bowen と表記するが 1929 年性格だけを映し出しているのではなく当時のアに出版した小説 The Last September は彼女にとっイルランドが抱えていた諸問題をも象徴していて 2 作目の長編小説であるこの作品はビッグる本論考ではビッグハウス文化の象徴としてハウス Big House と呼ばれるアイルランド地描かれている Danielstown の描かれ方とヒロイ主の邸宅とそこに集う人々の人間模様特に主人ン Lois との関連性を読み解くことで The Last 公 Lois Farquar の成長課程を描いているこの September におけるシンボルとしての Danielstown 作品の舞台となっているビッグハウスはと邸宅の炎上が意味することについて考察したい Danielstown という邸宅であるこの邸宅の元にと思うなったのは Bowen 自身が相続したボウエンズコート Bowen s Court と呼ばれた屋敷であるビッグハウスについてボウエンズコートが Bowen にとっての精神的作品の舞台かつ象徴というべき Danielstown は拠り所であり続けたのと同様にこの作品におけ Naylor 夫妻アイルランドでアングロアイリッる Danielstown もまた各登場人物にとっての家シュアセンダンシー Anglo Irish Ascendancy に対する意識を浮き彫りにする存在でもあると呼ばれた支配階級に属する人々の屋敷である Maud Ellmann は In her [ Bowen ] writing, アングロアイリッシュアセンダンシーは元来 architecture takes the place of psychology: イングランドとアイルランド間で生じた王権争い character is shaped by rooms and corridors, とそれに伴う宗教領地問題政策に端を発したも doors and windows, arches and columns, rather ので特に 16 世紀末から積極的にアイルランド than by individual experience. Ellmann, 42 へ送り込まれた領地保有のための支配者たちであと指摘し彼女の作品において建物は登場人物たるカトリックとプロテスタントがせめぎあう情ちの人間性を形作っているとした The Last 勢のなかで統治という使命を担ったアングロアイリッシュアセンダンシーはイングランド東北女子大学人やプロテスタントとしての誇りを維持する一

Big House ビッグハウス Bowen s Court ボウエンズコート Anglo Irish Ascendancy アングロアイリッシュアセンダンシーはじめに September においても Danielstown を舞台に話アイルランド人作家エリザベスドロシアコは展開し作品自体も邸宅の炎上で幕を閉じていウルボウエン Elizabeth Dorothea

2 The Last September における Danielstown 炎上の意味することについて方生粋のアイルランド人からは支配者とみなさ 131 Ibid., 下線筆者れアイルランドの中でも孤立した立場となっていった Bowen 自身もこのアングロアイリッ Bowen はビッグハウスが持つ特性について the シュアセンダンシーの後裔でありまた主人公 spell という表現を当てている過去や変の Lois と同様 13 歳の時に母親を亡くし親戚のわらない生活様式秩序伝統という表現か家を転々としたこの経験は Bowen にアングら分かるようにビッグハウスの精神には不ロアイリッシュアセンダンシーたちの文化だ変が中核をなしていることが窺えるさらにけでなくそれぞれの家がもつ特性についても認ビッグハウスやそこに生きるアングロアイリッ識させたビッグハウスを訪れた際に感じる邸シュアセンダンシーについて Bowen は孤立宅の様子について彼女は the spell という表という表現を用いている現を用いてその特異性を記している Each of these family homes, with its stables When I visit other big houses I am struck and farm and gardens deep in trees at the by some quality that they all have not so end of long avenues, is an island and, like an much isolation as mystery. Each house seems island, a world. Sometimes for days together a to live under its own spell, and that is the family may not happen to leave its own spell that falls on the visitor from the moment demesne...each member of each of these he passes in at the gates. Collected Impressions, isolated households is bound up not only in 1950, 195. 下線筆者 the sensation and business of living but in the exact sensation of living here. The upkeep of ボウエンが相続したボウエンズコートは 1776 the place takes its tax not only of physical 年に完成したものである 18 世紀後半頃からビッ energy but of psychic energies people hardly グハウスは邸宅や屋敷と呼ぶにふさわ know that they give. Each of these houses, しい規模になっていた邸宅までの長いアプロー with its intense, centripetal life, is isolated by チや広大な敷地を取り囲む森といったその作り something very much more lasting than the によりビッグハウスは近隣から物理的に孤立 physical fact of space: the isolation is innate; it する形となる一方でその精神性に関しても特有 is an aﬀair of origin. It is possible that Angle- な性質 the spell を帯びる形となったビッグ Irish people, like only children, do not know ハウスの性質について Bowen はさらに以下の how much they miss. Their existences, like ように述べている those of only children, are singular, independent and secretive. Bowen s Court, [ ] life in the big house, in its circle of trees, 1942, 下線筆者 is saturated with character: this is, I suppose, the element of the spell. The indeﬁnite ghosts Bowen はビッグハウスをまるで一つの島の of the past, of the dead who lived here and ような一つの世界を形成していると描写し pursued this same routine of life in these その孤立性を指摘しているこの孤立性は長い通 walls add something, a sort of order, a reason りの奥で木々に隠れるように立つ邸宅の様子や近 for living, to every minute and hour. This is 隣からの物理的距離によって生み出されるもので the order, the form of life, the tradition to あるまたそこに生きるアングロアイリッシュ which big house people still sacrifice much. アセンダンシーたちの由来生粋のイングランド

にアングら分かるようにビッグハウスの精神には不ロアイリッシュアセンダンシーたちの文化だ変が中核をなしていることが窺えるさらにけでなくそれぞれの家がもつ特性についても認ビッグハウスやそこに生きるアングロアイリッ識させたビッグハウスを訪れた際に感じる邸シュアセンダンシーについて Bowen は孤立宅の様子について彼女は the spell という表

3 The Last September The Last September

4 The Last September における Danielstown 炎上の意味することについて 133 what people say? I might as well be in some けではなくかといって他のものになるために何 kind of cocoon. ibid., 66. 下線筆者を始めたらよいかわからないという自己のあり方や将来に対し漠然とした不安を抱いた状態にあ繭の中にいるかのようというこの cocoon とる型にはまるというのは無論アングロアいう表現は二通りに解釈しうる一つは彼女にイリッシュアセンダンシーがビッグハウスでとって Danielstown は外界から彼女自身を遮断培ってきた伝統的社会の一員となることであるするものあるいは限られた狭い世界に拘束するそこに住む妻や母親はまさしくこの伝統を守りもの二つ目の解釈としては繭という表現か受け継ぐ者たちである精神的拠り所を求めながら連想される保護と成長課程変化の最中といらも漠然ではあるものの変化を求めている Lois うものである実の両親ではない Naylor 夫妻のは変わらぬ生活様式や秩序といった不保護下にある Lois にとって Danielstown は安住変を軸とするビッグハウス文化その象徴との地ではなく彼女はビッグハウスの特性と同もいえる Danielstown の住人としては異質な存様な孤立孤独や物理的距離間独立に関在であるそして Lois の良き理解者であり彼女する問題を抱えていると同じく Danielstown に滞在している Laurence もまたこの邸宅の住人としては異質な存在であ [ ] But why do you stay here? る I can t think, said Lois, startled. Lois にとって身近な理解者であり年齢的に You like to be the pleasant young person? も彼女に一番近い Laurence がこの邸宅に対して I like to be in a pattern. She traced a pink 抱く思いには Lois と同様な矛盾を孕んでおり frond with her ﬁnger. I like to be related; to またこの邸宅の末路を暗示させるものがある have to be what I am. Just to be is so Laurence もアングロアイリッシュアセンダ intransitive, so lonely. ンシーであり彼は Lois と同様 Danielstown の Then you will like to be a wife and mother. 中では次世代を担う存在と言える Laurence に Marda got oﬀ the writing-table and began to とって頻繁に模様される宴会は unreal party change her stockings. Jacob s ladder, she 56 であり彼にとってこの邸宅は a dreadful explained. It s a good thing we can always be house 163 であるしかし金銭的理由からこ women. の邸宅に留まっている表面的には Danielstown I hate women. But I can t think how to begin to be anything else. ibid., 142. 下線筆者を嫌っているが彼も Lois と同様な矛盾を抱えている Lois になぜここにとどまっているのか訊ねる [ ] I should like something else to happen, Marda Norton は Lois の属する世界とは間逆の some crude intrusion of the actual. I feel all 伝統や慣習に縛られない自由な現代的女性であ gassy inside from yawning. I should like to be る一方 Lois は型にはまっていたい結び here when this house burns. ついていたいといいただ単に Danielstown に Quite impossible; quite unthinkable. Why いることは intransitive で lonely であるとい don t you ﬁsh or something?... Nonsense! he う彼女にとって Danielstown は必ずしも居心 [Mr. Montmorency] added, looking warningly 地の良い場所ではなく精神的孤独を抱えている at the house. ことがわかるしかし Naylor 夫人に象徴され Of course, it will, though. And we shall all るような典型的な女性妻や母親になりたいわ be so careful not to notice. ibid., 58. 下線筆

するものあるいは限られた狭い世界に拘束するそこに住む妻や母親はまさしくこの伝統を守りもの二つ目の解釈としては繭という表現か受け継ぐ者たちである精神的拠り所を求めながら連想される保護と成長課程変化の最中といらも漠然ではあるものの変化を求めている Lois うものである実の両親ではない Naylor 夫妻のは変わらぬ生活様式や秩序といった不保護下にある

5 The Last September The Last September

6 The Last September における Danielstown 炎上の意味することについては IRA によって焼き討ちにあう炎上する 135 Danielstown は変化から取り残され炎上という Danielstown を茫然と Naylor 夫妻が見つめる姿形で終わりを告げたともいえるのではないだろうで作品は終わるこの終わり方を解釈する上でかしかし The Last September の展開には Bowen Bowen 自身のビッグハウスに対する考えが一の悲観的考えだけではなくかすかな希望をも含つの示唆を与えてくれるんでいるなぜなら次の世代を担う若者の象徴である Lois と Laurence は新たな世界に旅立って The big house has much to learn and it おり繭からの誕生すなわち変化を果 must learn if it is to survive at all. But it also たしているからである Lois や Laurence の中に has much to give. The young people who are は Danielstown への想いがあり物理的に邸宅 taking on these big houses, who accept the が焼失し邸宅そのものの継承が途切れるとして burden and continue the struggle are not もその精神性は彼らの中に残っており精神性 content, now, to live for themselves only; they の継承は続いていく The Last September のなか will not be content, either, to live just for the で Danielstown は旧来のビッグハウス文化や house. The young cannot aﬀord to be stupid アングロアイリッシュアセンダンシーを象徴 they expect the houses they keep alive to しながらヒロイン Lois の成長という変化と共 inherit, in a changed world and under に邸宅炎上という形で描かれることによって新 changed conditions, the good life for which たなビッグハウス文化のあり方を提唱している they were ﬁrst built. The good in the new can のではないだろうか add to, not destroy, the good in the old. From inside many big houses and these will be the 参考文献 survivors barriers are being impatiently Bloom, Harold. Elizabeth Bowen. New York: Chelsea attacked. But it must be seen that a barrier House, Bowen, Elizabeth. Bowen s Court & Seven Writers. London: Vintage, Collected Impressions. London: Longmans, The Last September New York: Anchor Books, has two sides. Collected Impressions, 200. 下線筆者繰り返し使用されているこの changed というしている Laurence の言った not to notice と Ellmann, Maud. Elizabeth Bowen: The Shadow Across the Page. Edinburgh: Edinburgh UP, いう気づかないということや不変である風呂本武敏アイルランドケルト文化を学ぶ人の表現はビッグハウスが置かれていた状況を表とういことはまさしく旧来のビッグハウス文化の在り様である The Last September では Lois と Gerald の結婚アングロアイリッシュアセンダンシーとイングランド人との結婚という変化を Naylor 夫人は拒絶したこれは言い換えるならば変化を受け入れなかった事になりために世界思想社 2009 年松井かや Elizabeth Bowen の描く家と女性 The New House と The Last September を読む長野県看護大学紀要 12: 9-19, 2010 年山根木加名子エリザベスボウエン研究欧史社 1991 年

すなわち変化を果 must learn if it is to survive at all. But it also たしているからである Lois や Laurence の中に has much to give.

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L1 What Can You Blood Type Tell Us? Part 1 Can you guess/ my blood type? 当ててみて / 私の血液型を Well,/ you re very serious person/ so/ I think/ your blood type is A. えーと / あなたはとっても真面目な人 / だから / 私は ~ と思います / あなたの血液型は