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1 平成 25 年度電力系統関連設備形成等調査事業 ( 国際連系に関する調査 研究 ) 報告書 平成 26 年 3 月 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

2 目次 第 1 章各国の電気事業... 1 第 1 節中国 電力需給 中国の電気事業法と電力自由化の動向 中国の国際系統連系 将来の国際系統連系構想 国際系統連系の課題 近隣諸国とのエネルギー協力の現状 第 2 節ロシア 電気事業の概要 電気事業法制 自由化状況 国際連系線の現状 国際連系線とエネルギー戦略の関係 近隣諸国とのエネルギー協力の現状 第 3 節韓国 電気事業の概要 電気事業法制 自由化状況 国際連系線の現状 国際連系線とエネルギー戦略の関係 近隣諸国とのエネルギー協力の現状 第 4 節台湾 台湾の電力事業の概要 送配電系統と計画 台湾の国家発展計画と関連エネルギー 電力計画と需要見通し 台湾の電気料金制度と電力価格および周辺国との比較 電気事業法と改訂動向 国際系統連系 台湾の貿易自由化と国際自由貿易枠組みへの参加の動き 近隣諸国とのエネルギー協力の現状 第 2 章国際連系線の現状と計画 構想 第 1 節アジア 太平洋エネルギーネットワーク構想 (Grenatec) 第 2 節アジア大洋州電力網 ( エネルギー版 TPP) 構想 第 3 節アジアスーパーグリッド ( 自然エネルギー財団 ) i

3 第 4 節各種アジアグリッド構想のまとめ 第 3 章海底ケーブル敷設に伴う課題 第 1 節海外事例 スマトラ ( インドネシア )- 半島マレーシア ( マレーシア ) の国際連系 国際連系線に関する法令の整備 漁業と海底ケーブル 欧州での海底ケーブルの事例 第 2 節調査対象国における手続き等 検討すべき項目 海底ケーブルにかかわる法規制 第 4 章今後の課題 第 1 節国際紛争の解決方法 第 2 節複数国からの安定した供給力の確保 第 3 節電気事業法の改正 第 4 節国内系統の増強 第 5 章参考資料 第 1 節海外現地調査 海外現地調査の概要 Inter RAO Rosseti(JSC Russian Grid) En+ Skoltech 伊藤忠商事モスクワ事務所 丸紅モスクワ事務所 韓国電力公社 (KEPCO) 仁川大学 Korea Energy Economics Institute (KEEI) 第 2 節国内ヒアリング 総務省 SoftBank テレコム 九州電力 三菱商事株式会社 K 社 国際シンポジウム アジアスーパーグリッドによる国際連系の可能性 アルストムグリッド 第 3 節ロシア=フィンランド送電会社間接続協定 ii

4 図目次図 1-1 電源別の発電電力量... 2 図 1-2 発電電力量と対前年比... 3 図 1-3 中国の電力グリッドと 2012 年の電力需給... 7 図 1-4 中国の送電系統図... 8 図 1-5 東北電力網の送電系統図... 9 図 1-6 中国の電力産業の現状 図 1-7 東南アジアと系統連系の南方電力系統 図 1-8 中国 =ベトナム国際連系 図 1-9 中国 =ロシア国際連系 図 1-10 国別の電力の輸出入構成比率 図 1-11 中国の電力輸出量と年平均価格の推移 図 1-12 中国の電力輸入量と年平均価格の推移 図 1-13 中国の対香港 マカオの電力輸出と年平均価格の推移 図 1-14 中国の対香港 マカオの電力輸入と年平均価格の推移 図 1-15 中国の対ベトナム電力輸出と年平均価格の推移 図 1-16 中国の対ミャンマーの電力輸入と年平均価格の推移 図 1-17 中国の対ロシアの電力輸入と年平均価格の推移 図 1-18 中国の国内電力グリッドと国際系統連系の構想 図 1-19 中国の 2020 年電力系統計画 図 1-20 ロシアの電気事業供給体制 図 1-21 ロシアの政府関係電気事業者の相互関係 図 1-22 ロシア連邦送電会社 UNEG 送電設備所有地域 図 1-23 ロシアの需給運用ブロック 図 1-24 Inter RAO 社の社内部門 図 1-25 Inter RAO 社の資産 図 1-26 ロシアにおけるエネルギー市場価格エリア 図 1-27 ロシアにおける容量市場価格エリア 図 1-28 ロシアの卸電力取引スケジュール 図 1-29 ロシア卸電力市場取引スケジュール 図 1-30 ロシアにおける小売自由化スケジュール 図 1-31 ロシア卸電力市場における国際電力取引インターフェイス 図 1-32 ロシア= 中国国際連系線 図 1-33 ロシア=グルジア アゼルバイジャン国際連系線 図 1-34 ロシア=グルジア国際連系線 図 1-35 ロシア=アゼルバイジャン国際連系線 図 1-36 ロシア=カザフスタン国際連系線 図 1-37 ロシア=ウクライナ国際連系線 iii

5 図 1-38 ロシア=ベラルーシ国際連系線 図 1-39 ロシア=バルト諸国国際連系線 図 1-40 ロシア=フィンランド国際連系線 図 1-41 ロシア=モンゴル国際連系線 図 年 3 月現在のロシア極東における天然ガス産業建設構想 図 1-43 ロシア原油 天然ガス生産量推移 図 1-44 ロシアの天然ガス P/L 網 図 1-45 露ガスプロムの天然ガスパイプライン網構築構想 図 1-46 ロシア人口分布 図 1-47 ロシア極東地域の送電系統 図 1-48 ロシア極東地域の送電系統増強計画 図 1-49 ロシア送電会社広域連系構想 図 1-50 韓国の電気事業体制 (2013 年 7 月末現在 ) 図 1-51 韓国の発電設備容量 最大電力等の推移 図 1-52 韓国の卸価格の状況 ( 左図 : 卸決済価格の内訳 右図 : 燃料コストと SMP の推移 ). 77 図 1-53 韓国のコスト プールの仕組み 図 1-54 韓国の卸価格と電気料金の関係 ( 左図 : 卸取引価格 ( 電源種別 ) 推移 右図 : 電気料金推移 ) 図 1-55 韓国の 2011 年 9 月需給バランス 図 1-56 韓国の電力系統 図 1-57 KEPCO の掲げる北東アジア Super Grid 構想と隣国との連系構想 図 1-58 韓国 - 北朝鮮 -ロシア電力網の連系シナリオ 図 1-59 台湾の電源別の発電電力量の推移 図 1-60 台湾の電源別の発電電力量構成の変化 図 年末の発電設備容量の構成 図 1-62 台湾の超高圧送電系統 図 1-63 台電の長期電力需要予測 図 1-64 台湾の現行の電力市場構造 図 1-65 台湾の所属別の発電設備容量 図 1-66 台湾電力公司の所属別購入電力電量 (2012 年 ) 図 1-67 台湾の民営火力発電所の分布 図 1-68 能源局の電力自由化計画第 1 段階における電力市場構造 図 1-69 能源局の電力自由化計画第 1 段階と第 2 段階 図 1-70 中台間の送水パイプラインのルート 図 1-71 台湾淡水 ~ 中国福州間の海底通信ケーブル 海峡光纜 1 号 図 2-1 アジア 太平洋エネルギーネットワーク構想 図 2-2 オーストラリアの電力 ガスネットワークインフラ 図 2-3 アジア大洋州電力網構想 iv

6 図 2-4 アジアスーパーグリッド構想 図 年の電源構成の想定 図 2-6 我が国を中心としたアジアグリッド構想の進捗状況 図 3-1 プロジェクト側面図 図 3-2 直流海底ケーブルの種類と特徴 図 3-3 北海道 本州連系直流 250kV XLPE ケーブル 図 3-4 ( 参考 ) 送電容量と送電距離の関係 図 3-5 プロジェクト平面図 図 3-6 DC±250kV XLPE ケーブルの構造表 図 3-7 欧州の底引き網漁法の例 図 3-8 Asia Submarine-cable Express 図 3-9 各種海域の概念図 図 3-10 日本の領海 排他的経済水域等の範囲 図 4-1 アジア地域でのエネルギー協力の枠組み 図 4-2 海底ケーブル破損のリスク v

7 表目次表 1-1 分野別の電力消費... 1 表 1-2 中国地域別電力消費量の推移 ( 億 kwh)... 2 表 1-3 地域別の発電電力量とその構成比... 3 表 1-4 中国地域別電力生産と消費のバランス... 4 表 1-5 発電設備の稼働時間... 5 表 年以降における電源構成の変化 ( 各年末現在 )... 6 表 1-7 東北電力グリッドの発電量及び稼動時間 表 1-8 東北電力網の電力販売価格 表 1-9 南方電網 ( 雲南電網 ) の対ベトナム送電事業の拡張状況 表 年以降の中国の電力輸出入 表 年の中国の対北朝鮮 モンゴル及びキルギスタンとの電力取引 表 1-12 ロシア発電会社の所有者 表 1-13 ロシア=フィンランド国際連系線 (400kV) 利用に係る協定の項目 表 1-14 小売事業者の市場シェア (2010 年 ) 表 1-15 ロシア送電会社 UNEG の投資計画 (2010 年 ~2014 年 ) 表 1-16 ロシアの国際連系線 (2010 年 ) 表 1-17 ロシアの国際連系線インターフェイス 表 1-18 綱領策定時のロシア東部ガス需要 輸出量の前提 表 1-19 韓国会社別発電電力量 (2010 年 ) 単位 : 億 kwh 表 1-20 韓国の主要な送電線建設プロジェクト 表 1-21 KEPCO の隣国との国際連系計画の進捗 表 1-22 韓国卸電力市場 (KPX) の業務提携先一覧 表 1-23 各年末の発電設備構成比率の変化 表 年末の発電設備の保有状況 表 1-25 台湾の運転中及び建設中の原子力発電所 表 1-26 住宅用及び非生産営業用非時間帯別電気料金 表 1-27 住宅用及び非生産営業用時間帯別電気料金 ( 二段式需要量契約 ) 表 1-28 低圧非時間帯別電気料金 表 1-29 低圧時間帯別電気料金 ( 二段式 ) 表 1-30 高圧二段式時間帯別電気料金 表 1-31 高圧三段式時間帯別電気料金 表 1-32 台湾と周辺国との電力価格の比較 ( 価格の低い順 ) 表 1-33 台湾電力の電源別 所属別購入電力量 (2012 年 ) 表 1-34 台湾の民営火力発電所の概況 表 1-35 台湾中油と CNOOC の 2008 年 12 月協力合意内容 表 2-1 エネルギー創成における提言内容 表 2-2 再生可能エネルギー発電導入費用と想定課金 vi

8 表 2-3 アジアスーパーグリッド建設費用 運転維持費用 表 2-4 アジアスーパーグリッド送電線の前提 表 2-5 アジアスーパーグリッド構想の進捗状況と課題 表 3-1 マレーシア-スマトラ直流連系計画システム仕様案 表 3-2 DC±250kV XLPE ケーブルの構造表 表 3-3 概算工事費 (MUS$) 表 3-4 ( 参考 ) プロジェクト計画案 表 3-5 世界の主な直流海底ケーブル実績 表 3-6 海における地域の定義と権利 vii

9 第 1 章各国の電気事業第 1 節中国 1. 電力需給 (1) 電力需要 2010 年以降の中国経済環境において とりわけ投資と輸出が国際的な経済不況の影響を受けているため 経済成長率の低下が続いている 特に低賃金の労働力に依存してきた輸出産業は 賃金の上昇 人民元高 欧米や日本の経済不況の影響で輸出の伸び率が低下し 多数の工場が倒産した また 2008 年以降の積極金融政策の後遺症として 過剰生産能力と在庫消化などの問題が悪化し 電力需要の伸びも鈍化した 2000~2012 年における工業部門の電力消費の年平均伸び率は 11.5% に上ったが 2010~ 2012 年の年平均伸び率は 3% ポイント低い 8.5% に下がった また 電力需要全体の年平均伸び率も 2010 年以前に比べ低下している 表 1-1 分野別の電力消費 電力消費 ( 億 kwh) 比率 (%) 伸び率 (%) /00 10/05 12/10 農業 , 工業 9,068 16,815 28,304 33, 建築業 輸送業 商業 ,292 1, その他 623 1,341 2,452 3, 家庭 1,452 2,885 5,125 6, 合計 12,536 23,234 39,366 46, ( 出所 ) 中国統計出版社 中国エネルギー統計年鑑各年版 2012 年の地域別の電力消費を見ると 華東地域が最も多く 年間電力消費量は 16,749 億 kwh( 中国の電力消費全体の 33.1% を占める 以下同 ) 華南地域は 12,134 億 kwh(24.0%) 華北地域は 8,540 億 kwh(16.9%) 西南地域は 5,094 億 kwh(10.1%) 西北地域は 4,558 億 kwh(9.0%) 東北地域は 3,515 億 kwh(6.9%) であった また 沿海部の華東地域 華南地域と華北地域の電力消費合計は 2012 年の全国総消費量の 74.0% を占め 2000 年の 71.2% より増え 地域間の格差がさらに拡大している 1 また 2012 年の華東地域の電力消費は 2000 年の約 4 倍に増え この間の年平均伸び率は 12.2% に達した 地域別に見ると この期間における電力消費の年平均伸び率は西北地域で最も高く 13.3% に達したのに対して 東北地域で最も低く わずか 7.4% で 中国全体の年平均伸び率の 11.5% より 4% 余りも低かった 1 中国の全国電力バランス表の数字と各地域のバランス表の合計には差がある 1

10 表 1-2 中国地域別電力消費量の推移 ( 億 kwh) 地域 年平均億 kwh % 億 kwh % 億 kwh % 伸び率 % 華北 2, , , 東北 1, , , 華東 4, , , 華南 3, , , 西南 1, , , 西北 1, , , 合計 13, , , ( 出所 ) 中国統計出版社 中国エネルギー統計年鑑 2013 より作成 (2) 発電電力量 2012 年の中国の発電電力量は約 4 兆 9,774 億 kwh 年に比べ 5.2% 増加したが 火力発電電力量は 3 兆 9,108 億 kwh 2011 年比ではわずか 0.3% 増に止まった 火力発電のうち 石炭火力発電電力量は 3 兆 6,771 億 kwh 発電電力量全体の 73.9% を占め また 火力発電電力量全体の 94.0% を占めた 水力発電電力量は 8,641 億 kwh( 発電電力量全体の 17.3% を占める 以下同 ) 対前年比 29.3% 増になった 原子力発電電力量は 982 億 kwh(2%) 対前年比 12.6% 増 風力発電電力量は 1,004 億 kwh (2%) 対前年比 35.5% 増である 図 1-1 電源別の発電電力量 ( 出所 ) 中国統計出版社 中国エネルギー統計年鑑 IEA 統計など 電力需要低迷の影響により 2012 年の年間発電電力量の伸び率は 2009 年以降の最低となった また 電源別の発電電力を見ると 増水によって水力発電電力量が大幅に増えた一方で 火力発電電力量の対 前年伸び率はわずか 1.5% となった 中国の電力統計によると 全国の 6,000kW 以上の火力発電所の平 2 中国エネルギー統計年鑑の統計数字は 3 兆 8,928 億 kwh 両者の差は 180 億 kwh である 2

11 均稼働時間は 4,965 時間であり 2011 年に比べ 340 時間減少した 3 図 1-2 発電電力量と対前年比 億 kwh % 60, , , , ,000 25, ,000 10, ( 出所 ) 中国統計出版社 中国エネルギー統計年鑑 しかしながら 2012 年における火力発電の伸びは低下したものの 2000 年以降の発電電力量 特に石炭火力発電電力量は年々増えており 2012 年の石炭火力発電電力量は 2000 年の 3.6 倍強に達し その間の年平均伸び率も 11.1% に達した 2012 年の地域別の発電電力量を見ると 華東地域が最も大きく 年間発電電力量は 1 兆 5,029 億 kwh ( 中国の発電電力量全体の 30.1% を占める 以下同 ) 華南地域は 1 兆 1,428 億 kwh(22.9%) 華北地域は 9,010 億 kwh(18.1%) 西南地域は 6,126 億 kwh(12.3%) 西北地域は 5,302 億 kwh(10.6%) 東北地域は 2,982 億 kwh(6.0%) であった 表 1-3 地域別の発電電力量とその構成比 地域 年平均億 kwh % 億 kwh % 億 kwh % 伸び率 % 華北 2, , , 東北 1, , , 華東 4, , , 華南 3, , , 西南 1, , , 西北 , , 合計 13, , , ( 出所 ) 中国統計出版社 中国エネルギー統計年鑑 各年版 また 2000~2012 年における地域別の発電電力量の年平均伸び率を見ると 全国の 11.7% に対し 西北地域が最も高く 15.1% に達した これは後発開発地域の 1 つの特徴であり また 西北地域は石 3 中国電力出版社 2013 年の中国発電エネルギー供給と電源発展分析報告 2013 年 8 月 3

12 炭埋蔵量が多く 外部へ送電していることもその理由の 1 つである 4 中国では 今後のエネルギー政策として 西北地域の石炭火力発電を開発して東部沿海地域へ送電すること すなわち従来の石炭輸送から送電に切り替えることが推進されている 一方 火力発電電力量の年平均伸び率が最も低いのは東北地域であり ここ 12 年間での年平均伸び率はわずか 6.6% であった その理由は この地域の開発が遅れ 電力需要が少なく しかも ロシアからの電力輸入があること などである (3) 電力需給バランス中国の電力生産と電力消費には大きな地域格差がある 2012 年の地域別の電力生産と消費のバランスを見ると 華北地域 西南地域及び西北地域は供給過剰であり 他の地域に移出している 一方 東北地域 華東地域及び華南地域は電力が不足し 他の地域あるいは外国から調達している これは 中国の石炭資源及び水力資源が華北地域 西北地域 西南地域に偏在し 電力需要の大きい地区が東南部に集中しているためである 表 1-4 中国地域別電力生産と消費のバランス 地域華北東北華東華南西南西北全国 項目 年平均億 kwh 億 kwh 億 kwh % 伸び率 % 発電 2,261 4,290 9, 消費 2,193 4,080 8, バランス 発電 1,386 1,934 2, 消費 1,494 2,058 3, バランス 発電 4,055 8,022 15, 消費 4,226 8,487 16, バランス ,720 発電 3,229 6,156 11, 消費 3,326 6,428 12, バランス 発電 1,371 2,695 6, 消費 1,422 2,336 5, バランス ,032 発電 985 1,907 5, 消費 1,024 1,830 4, バランス 発電 13,287 25,003 49, 消費 13,684 25,219 50, バランス ( 出所 ) 中国統計出版社 中国能源統計年鑑各年版 より作成 しかしながら 国網エネルギー研究院の資料 5 によると 2012 年の全国の 6,000kW 及びそれ以上の 発電設備の平均稼働時間数は 4,572 時間 ( 稼働率は 52.2% 以下同 ) であり 2011 年より 158 時間少 4 詳細は本章の地域別の石炭消費を参照されたい 5 電力出版社 2013 年の中国電力需給分析報告 2013 年 8 月 4

13 なかった また 水力発電の平均稼働時間は 3,555 時間 (40.6%) 2011 年より 536 時間増 火力発電は 4,965 時間 (56.6%) 2011 年より 340 時間減 風力発電は 1,893 時間 (21.6%) 18 時間増であった 上掲の電力需給バランス表の中では 2012 年に東北地域の電力供給不足は 533 億 kwh であるが 同じ資料によると 2012 年における東北地域の発電設備の余剰能力は 1,400 万 kw 発電設備の平均稼働率はわずか 42.9% であり 火力発電設備の平均稼働率は 50.0% である また 西北地域の余剰発電設備容量は 1,100 万 kw 発電設備の平均稼働率は 53.9% そのうち火力発電設備の平均稼働率は 60.3% である 表 1-5 発電設備の稼働時間 地域 時間数 増減比 華北 4,807 5,776 4,761 4,871 4, 東北 4,043 4,958 4,167 3,949 3, 華東 4,623 5,514 4,812 5,005 4, 華南 3,919 4,859 4,395 4,579 4, 西南 4,292 5,108 4,177 4,202 4, 西北 4,165 4,952 4,707 4,497 4, 全国 4,517 5,425 4,650 4,730 4, ( 出所 ) 電力出版社 2013 年の中国電力需給分析報告 2012 年の省 市 自治区の電力グリッド間の電力交易量は 2,830 億 kwh 地域グリッド間の電力交易量は 3,225 億 kwh 合計で 6,055 億 kwh である 6 省 市間の電力交易は 華北電力グリッドでは 731 億 kwh 2011 年より 4.20% 増 華東電力グリッドでは 928 億 kwh 2011 年より 6.0% 増 東北電力グリッドでは 737 億 kwh 14.9% 増 西北電力グリッドでは 84 億 kwh 12.6% 増である しかし 地域間の電力交易はグリッド間の送電能力に制限される場合があり 東北と西北の電力グリッドでは 移出量が小さいと指摘されている (4) 電源構成 2012 年末時点の中国の発電設備容量は 11.5 億 kw 2011 年に比べ 7.8% 増加した 2012 年の電源構成を見ると 火力発電は 8 億 1,917 万 kw( 電源構成全体の 71.6% を占める 以下同 ) うち石炭火力発電は 7 億 5,811 万 kw(66.2%) を占め 2011 年より 6.6% 増加した 水力発電は 2 億 4,890 万 kw(21.7%) 天然ガス火力発電は 3,827 万 kw(3.3%) バイオマス火力発電は 582 万 kw(0.5%) その他火力発電は 1,697 万 kw(1.5%) 原子力発電は 1,257 万 kw(1.1%) 風力発電は 6,083 万 kw(5.3%) その他発電 7は 345 万 kw(0.3%) である 6 この数字は国家電網公司の分のみであり 南方電網公司の分は含まれていない 7 その他発電 は殆ど全てが太陽光発電(PV) であり 発電設備容量は 328 万 kw(0.3%) である 5

14 表 年以降における電源構成の変化 ( 各年末現在 ) 発電設備 /10 容量 ( 万 kw) 構成比 % 容量 ( 万 kw) 構成比 % 容量 ( 万 kw) 構成比 % 伸び率 % 火力発電 70, , , 石炭 65, , , ガス 2, , , 石油 2, , , バイオ 水力 21, , , 揚水式 1, , , 原子力 1, , , 風力 3, , , その他 PV 合計 96, , , ( 出所 ) 中国電力出版社 中国発電エネルギー供給と電源発展分析報告 各年版 2012 年における発電設備容量の純増加分は 8,916 万 kw で うち石炭火力発電設備が 5,144 万 kw 水力が 1,839 万 kw 風力が 1,578 万 kw であった ピーク調整用の天然ガス火力は 562 万 kw 増えたが 石油火力は 480 万 kw 減少した 8 容量では石炭火力における増加が大きいが 増加の速度は 2 年連続で低下している 2005 年以降 中国の石炭火力発電設備の新規容量は毎年およそ 5,500 万 kw に上るが 2012 年の新規容量は 2005 年以降では最小となった まず これは近年の経済状況を反映した結果である また 石炭価格の上昇と低電力価格政策の影響で 石炭火力発電事業は殆ど全て赤字経営になり 発電企業は石炭火力発電の開発に対して消極的になったことも背景にある 2012 年の火力発電に対する投資額は 2011 年より 10.5% 減少した さらに 東部沿海地域の環境規制 特に PM2.5 問題に伴う住民の反対運動もその原因の一つである と中国の電力専門家は指摘している 9 (5) 電力グリッド中央政府は 2002 年末 電力体制改革を実施し 発電部門と送電部門を分離し 国家電力公司を 送配電事業を営む国家電網公司と南方電網有限責任公司 ( 以下 南方電網公司 ) の 2 社と 発電事業を営む 5 大発電会社 ( 中国華能集団公司 中国大唐集団公司 中国華電集団公司 中国国電集団公司 中国電力投資集団公司 ) に分割した これら 7 社はいずれも中央政府が管理する国有企業 ( 中央企業と呼ばれる ) である もっとも 中国の発電事業者は 5 大発電会社以外に 地方政府が保有する発電会社 民間 外資などを合わせると約 3,800 社が存在すると言われるが その殆ど全ては小規模事業者であり 500 万 kw 以上の設備を有する事業者は 20 社足らずでしかない 一方 電力グリッドについては 国家電網公司と南方電網公司の 2 社がそれぞれの所轄地域において 8 中国電力出版社 中国電力需給分析報告 各年版 また 国家電網エネルギー研究院に対する 2013 年 8 月の聞き取 り調査 9 中国電力専門家に対する 2013 年 9 月の聞き取り調査 6

15 送配電事業を独占している なお 両社は原則としてピーク対応以外の電源を保有しないことになって いる 2014 年現在 国家電網公司は東北電力グリッド 華北電力グリッド 華東電力グリッド 華中電力 グリッド 西南電力グリッド 西北電力グリッド及びチベット電力グリッドを経営している 一方 南 部 4 省 自治区 すなわち広東省 広西チワン族自治区 貴州省 雲南省及び海南省は南方電網公司が 経営している 国家電網公司は北京市にある本部のもとに区域電網公司 5 社を有し ひとつの区域電網公司には省電 力公司 4 5 社が置かれている 国家電網公司と南方電網公司は 発電会社から電力を購入し 省電力 公司が管轄する市 県所在の配電会社を通じて需要家へ電力を供給している 中国の電力グリッドは元々各省 市 自治区の電力グリッドが独立して運営していたが 80 年代以降 隣接する地域の電力グリッドの連系が徐々に拡大し 地域グリッド 例えば東北電力網が形成され 省 市 自治区間の電力調達を地域グリッド制御センターで行う形になった また 電力資源のアンバラン スを改善するために 地域グリッド間の連結線を敷設し 全国的な電力グリッドを形成した 図 1-3 中国の電力グリッドと 2012 年の電力需給 3,733億kWh 3,834億kWh 黒龍江省 発電 消費 吉林省 11,883億kWh11,370億kWh 遼寧省 新彊ウイグル自治区 内モンゴル自治区 4,524億kWh 5,276億kWh 12,086億kWh 北京市 天津市 河北省 寧夏自治区 26億kWh 青海省 甘粛省 11,536億kWh 山東省 9,022億kWh 9,756億kWh 陝西省 江蘇省 河南省 チベット自治区 安徽省 上海市 湖北省 四川省 8,343億kWh 重慶市 淅江省 18,526億kWh 湖南省 江西省 福建省 貴州省 台湾 雲南省 広西自治区 出所 エイジアム研究所作成 海南省 注 内モンゴルの一部は華北グリッドに所属 7 広東省

16 図 1-4 中国の送電系統図 注 この図は 2008 年に作成したものと推定 しかし 地域によって 系統間の連系の状況および能力は異なる 沿海地域の華北 華東 華中 南 方および東北の各地域間の連系能力は西北 西南よりも高く 連系の歴史も長い 一方 新疆自治区の 電力グリッドと西北グリッドの系統連系は 2013 年 4 月にようやく開始されたばかりである また チ ベット電力グリッドは依然として単独で運行されている 現状および将来を見ると 国際系統連系と関連するグリッドは主に南方グリッド 東北グリッドおよ び西北グリッドである 以下では これら各グリッドの基本状況を簡単に纏める ① 南方グリッド 南方電力グリッドは 広東省 広西チワン族自治区 雲南省 貴州省 海南省の 5 つの省 自治区の 電力グリッドから構成されている 南方電網の所轄エリア内は 500kV 直流 500kV 直流 800kV で 連系している また 南方電網は 華中電力網と直流 500kV で結ばれている 南方電力グリッドはベ トナム ミャンマー ラオスとも連系している 南方グリッドの発電設備総容量は 2013 年末現在で 2.14 億 kw であり うち火力発電 11,337 万 kw 水力は 8,924 万 kw 原子力は 612 万 kw である 2013 年の電力供給量は 7,433 億 kwh に達し うち 西電東送 の送電量が 1,314 億 kwh であった ② 東北グリッド 東北電力グリッドは国家電網公司傘下にあり 黒龍江省 吉林省 遼寧省 内モンゴル自治区東部地 8

17 域の各電力グリッドから構成されている 東北電力グリッドでは 500kV の基幹ネットワークが形成されており 500kV 変電所が 41 ヵ所設置されている また 東北電力グリッドにおいては 遼寧省と吉林省の間 また 吉林省と黒龍江省の間で 500kV 交流連絡線が 4 回線により構成されている また 東北電力グリッドと華北電力グリッドの連系は 500kV 直流送電線で行われている 東北電力グリッドと地域外の連系能力は 次の通りである 東北電力グリッドから華北電力グリッドへの電力供給能力は 240 万 kw 最大能力 300 万 kw である 華北電力グリッドへの電力供給量は 2012 年には 億 kwh となった また 東北電力グリッドはロシア 北朝鮮 モンゴルとの間で 電力取引を行っている 2012 年東北地域電力監督管理報告 (2013 年 4 月 ) によると 東北電力グリッドの 2012 年末の発電設備容量は 1 億 644 万 kw に達した 発電設備容量の構成をみると 火力発電設備容量は 7,961 万 kw であり 東北地域の設備総容量の 74.8% を占め 水力は 844 万 kw で 7.9% 風力は 1,832 万 kw で 17.2% を占めている その他は 6.7 万 kw で 同地域の 0.1% を占めた 東北電力グリッドの最大負荷 ( ピークロード ) は 5,528 万 kw であった 図 1-5 東北電力網の送電系統図 東北電力網の 220kV 以上の線路分布図 黒龍江省 吉林省 発電所 変電所 遼寧省 500kV 送電線 500kV 送電線 500kV 送電線 ( 計画 ) 220kV 送電線 220kV 送電線 ( 出所 ) 中国の電力ホームページ 9

18 表 1-7 東北電力グリッドの発電量及び稼動時間 発電設備容量 ( 万 kw) 発電量 ( 億 kwh) 発電設備利用時間 ( 時間 ) 東北電力網 10, , ,758 火力 7, , ,385 水力 ,139 風力 1, ,643 太陽光 生物 ,269 ( 出所 ) 2012 年東北地域電力監督管理報告 (2013 年 4 月 ) 東北電力グリッドの電力販売価格は 地域ごとに設定されている 経済発展が遅れている内モンゴル 自治区東部の電力価格は 東北電力グリッドの中で最も低く設定されている 表 1-8 東北電力網の電力販売価格 単位 : 元 / 千 kwh 遼寧省 吉林省 黒龍江省 内モンゴル東部 ( 出所 )2012 年東北地域電力監督管理報告 (2013 年 4 月 ) 3 西北グリッド西北地域の電力グリッドは 国家電網公司に所属する西北電網有限公司が管理 運営している 西北電力グリッドの管轄範囲は 陝西省 甘粛省 青海省 寧夏回族自治区 新疆ウイグル自治区である また 隣接国との電力貿易については 西北電力グリッドからモンゴルの無電化地域への送電や 中央アジアのキルギスタンから新疆の無電化村への電力導入 (2013 年開始 ) がある 西北地域の電力グリッドは高圧線で連系している 750kV 高圧線が 52 本 750kV 変電所が 22 ヵ所 330kV 高圧線が 391 本 330kV 変電所が 136 ヵ所設置されている 西北グリッドにおいては 省と省の間は 330kV 高圧線で連系されている 青海省とチベット自治区との連系は 750kV で結ばれている 2012 年には 234 億元を投入して新疆のハミから河南省鄭州までの ±800kV の超高圧送電線に着工するとともに 96 億元を投入して新疆と西北グリッドの 750kV の連系線の複線に着工 2013 年には敷設を完了した また 新疆自治区ハミから重慶までの +800kV の送電線 ジュンガル東から四川までの +1,100kV の超高圧送電線の敷設工事も 2015 年までに完了する予定である 上掲の送電線が全て完成すれば 新疆から域外への送電能力は 3,000 万 kw/ 年に達する 10 西北グリッドは ほかの電力グリッドと連系して電力取引を行っている 具体的には 四川省からは水力発電電力を受け入れ 2012 年の取引量は 33.7 億 kwh になった 一方 華北電力グリッドへの 2012 年の送電量は 億 kwh であった また 山東省電力グリッド ( 華北電力グリッド所属 ) にも送電しており 2012 年の送電量は 億 kwh に上った 華中電力グリッドへの 2012 年の送電量は

19 億 kwh チベット自治区への 2012 年の送電量は 6.5 億 kwh になった 2012 年西北地域電力監督管理報告 (2013 年 4 月 ) によると 西北地域の発電設備容量は 2012 年末には 1 億 180 万 kw であった 発電設備容量構成をみると 火力発電設備容量は 6,734.1 万 kw 西北地域の設備総容量の 66.1% を占めた 水力は 2,068.8 万 kw 20.3% を占め 風力は 1,101.3 万 kw 10.8% 太陽光は 万 kw 2.1% さらに その他は 68.9 万 kw 0.7% を占めた 西北地域の 2012 年の発電量は 4,405.1 億 kwh うち火力発電量は 億 kwh 前の年と比べ 7.6% 増加した 水力発電量は 億 kwh 19.3% 増加した 水力発電の増加により 火力発電の設備利用時間数は前年と比べ 190 時間減少して 5,328 時間になった また 2012 年の最大負荷は 5,711 万 kw であった (6) 2013 年の電力需給動向中国国家統計局が 2014 年 2 月 24 日に発表した 中国 2013 年国民経済及び社会発展統計公報 ( 以下公報と略す ) 11 によると 2013 年の中国の電力消費量は 5 兆 3,223 億 kwh 12 に達し 前年比 6.9% 増加した また 発電電力量は 5 兆 3,976 億 kwh に達した うち火力発電が 4 兆 2,359 億 kwh であり総発電量の 78.5% を占め 水力発電が 9,116 億 kwh 総発電量の 16.9% を占めた 公報によると 2013 年の全国発電設備容量は 12 億 4,738 万 kw に達し 前の年と比べ 9.3% 増加した 内訳は 火力発電 8 億 6,238 万 kw 水力 2 億 8,002 万 kw 原子力 1,461 万 kw 風力 7,548 万 kw 太陽光 1,479 万 kw であった また 2013 年の全国発電設備の利用時間数は平均 4,511 時間であり 前年と比べ 68 時間減少した うち火力は 30 時間増加して 5,012 時間になり 水力は 273 時間減少して 3,818 時間になった 2. 中国の電気事業法と電力自由化の動向 (1) 電気事業法と監督官庁 1 電力事業関連法規の概要中国の電気事業を律する基本法規として 中華人民共和国電力法 が 1996 年 4 月に施行され また これを受けて同年 9 月には事業者と需要家の権利 義務を定めた 電力の供給及び使用条令 が施行されるなど これまで様々な規則が相次いで制定された 電力法 は 電源開発 発電と電力グリッド管理 電力供給と消費 電力の卸価格 送配電価格 農村地域の電源開発と消費 電力関連設備の保護 監督 監査 法律と責任等が盛り込まれている また 電力の供給及び使用条令 は 電力供給の営業地域 設備 電力供給 電力消費 電力の売買契約 監督と管理 法律と責任などを規定している 13 2 電力法における価格決定の仕組み 電力法第 35 条は 電力価格には統一政策 統一的価格決定原則及びクラス別管理を適用すると規定 し また 第 38 条は 省 自治区 直轄市の電力網と省クラス電力網内の系統連系電力価格は電力生 11 中国国家統計局ホームページ ( 12 中国新聞網 (

20 産企業と電力網経営企業が協議して方案を国務院に提出し 国務院の物価行政所管部門が認可すると規 定している 3 電力監督官庁とその権限 2002 年末の電力体制改革 ( 後述 ) により 電力分野の主な監督官庁は国家発展改革委員会能源局及び国家電力監督管理委員会とされた 国家発展改革委員会は政策の立案 小売電気料金や大規模な発電所建設の認可等といった業務を担当し 一方 国家電力監督管理委員会は電力会社を直接監督する部署であり 卸電力取引の管理や電気事業営業許可書の発給等を行う 2008 年 8 月 国家発展改革委員会能源局が国家能源局に昇格し 国家発展改革委員会の外局としてエネルギー全般の政策を担うことになったが エネルギー価格の決定権や重要エネルギー事業の許認可権は国家発展改革委員会が保留していた 2013 年 4 月 国家電力監督管理委員会が国家能源局に編入され 以降の電力事業の監督管理部門は国家能源局になった 14 しかし 上述の通り 発電企業の売電価格や電力系統の送配電価格は全て国家発展改革委員会が決定しており また 発電所の建設も国家発展改革委員会の承認が必要である (2) 現行電力法の問題点と改正動向 1 環境変化に適応していない電力法中国の電力法は 1996 年 4 月 1 日に正式に施行されてから 16 年が経っている この 16 年間には 電力不足状況を背景に 発電事業と送配電事業の分離を旨とする電力体制改革 (2002 年 ) が進むとともに 電力需給状況や中国の電力市場と企業を取り巻く環境は大きく変化した また 再生可能エネルギー法の施行 (2005 年 ) と再生可能エネルギーの発展や分散型電源開発など新たな動向も出てきた こうした環境変化によって 電力法は実態と乖離するようになった そのことは主に次の面に集約されている i) 電力価格規定と市場競争との齟齬前述の電力法第 35 条及び第 38 条の電力価格に関する規定は早くも 2002 年の電力体制改革後の現実と齟齬を来していた 同年の国務院の 電力体制改革方案 は独占の打破 競争の導入 政府の監督の下での政府と企業の分離 公平な競争などを原則に 発送電分離と競争価格による系統連系を実施するとともに 電力価格メカニズムの改革を打ち出したが 公平な競争や競争価格による系統連系は未だ完全に実現しておらず 系統連系価格は法律に縛られている また こうした価格規定によって 電力価格は政府がマクロ調節を行うツールになり 例えば 石炭価格の高騰によって発電企業が赤字に陥ろうとも政府は物価調節の見地から電力価格に干渉し そのため電力は市場経済からますます乖離するようになり 政策面で優遇される国有電力企業に民営企業は太刀打ちできず 政府の価格政策によって赤字を忍受せざるを得ない 年 3 月 10 日に公になった国務院の組織改革 職能移行計画によると 国家能源局と国家電力監督管理委員会の職責を統合し 国家能源局を再編することになった 新たな国家能源局の主な職責は エネルギー発展戦略 計画 政策を立案 組織的に実施し エネルギー体制改革に関する提言を行うことやまたエネルギー分野への監督管理を行うことなどとされた これに合わせて国家電力監督管理委員会は廃止されることになった 12

21 ii) 電力供給機関の規定と再生可能エネルギー政策との齟齬電力法第 25 条は 一電力供給エリアに電力供給機関は一つのみを設立 と規定している すなわち 需要家は指定された国有電力網企業の各地の拠点からしか電力を調達できない この規制のため 再生可能エネルギーやコージェネレーションによる発電は自家用もしくは国有電力網企業への売電に限定され 第三者への電力供給は許されていない 一方 自家発電や分散型電源の普及は電力グリッド側にとっては収益の減少につながり 再生可能エネルギーの売電は系統に影響するうえ売電価格は火力発電よりも高いので 国有電力網企業にとってはインセンティブに乏しい しかるに 再生可能エネルギーの活用や分散型電源の普及は中国のエネルギー発展方針の一つであり 中国政府もエネルギー供給の多様化を推進する方針を明確にしている 2012 年 10 月 24 日に国務院が発表した 中国エネルギー政策白書 は 分散型電源による直接供給及び電力グリッドに接続する際の差別や妨害の解消に努力すると明言しており 電力法の改定について改めて言及している 2 電力法改正の動きこれまでにも電力法改正の動きは何回かあった 2003 年には初めて人民代表大会の法改正計画に取り上げられ 翌年にも改正されると大々的に報じられた また 2006 年の全人代でも再度議案として取り上げられ 中央の関連政府部局は年内に改正草案を取りまとめると表明したが いずれも実現しなかった 2013 年 1 月には 国家電力監督管理委員会が 電力監督管理立法化計画 (2012~2017 年 ) を発表し 電力の市場化に向けた改革の堅持 政府と企業の分離 公平な取引 合理的な価格といった原則に基づき電力法の改正を進めるとしたが 結局 具体的な改正案は提示されなかった 年に入って 電力法改正の主導機関である国家発展改革委員会と能源局は引き続き関係者と検討していると報道されたが いつ改正案が打ち出されるかははっきり示されていない 総じて言えば 旧態依然の現行の電力法は この十数年来の中国の電力需給の拡大 電力事業構造の変化 産業構造の変化や再生可能エネルギー 分散型電源やマイクロスマートグリッドなどの新たなトレンドはもとより 2002 年の電力体制改革以後の現状にさえも対応できていない 以下に述べる電力の市場化 自由化を進める上でも 電力法は壁になっており 自由化を進めるには電力法改正が不可欠になる (3) 電力自由化をめぐる諸動向 1 停滞する電力市場の自由化の試み中国では電力市場の自由化は いくつかの区域で試験的に行われているだけであり 本格的な導入はまだまだ先になると見られている 今のところ 前述の送配電会社 2 社 ( 国家電網公司および南方電網公司 ) が 5 大発電会社などから電力を購入し それらの電力は 傘下の区域電網公司 省電力公司 さらに 省電力公司が管轄する市 県の配電会社を通じて需要家へ独占的に供給している 2002 年の電力体制改革では 電力監督機関である国家電力監督管理委員会は 緩やかな区域電力市場の構築を推進するため 区域電力市場建設に関する若干の指導意見 電力市場運用基本規則 電力市場監督管理規則 電力市場技術サポートシステム機能規範 などを制定し 区域内での卸売り入札の実験を東北地区 華東地区 南方地区などで展開し 中国に適した電力市場制度を模索した しか 15 新華網 2013 年 2 月 14 日 13

22 し いずれの地区での運用も試験段階に止まり 全国範囲の電力市場構築については先が見えないのが現状である 2 電気料金自由化の実験発電会社から送配電会社へ売電する卸電気料金および需要家への小売電気料金は 中央政府による規制料金であり 省ごとに決められている 特に 民生用については 経済的に遅れている内陸部の省 自治区の電気料金は経済の発達している東部沿岸部よりも安く設定されている このように 電気料金は市場価格を反映していないため 電力体制改革においては 電気料金を合理的に設定することが大きな目的とされている 中央政府は 2004 年 12 月 発電用燃料である石炭の価格変動に応じて電気料金を改定できる 炭電価格連動制 を導入した しかし 制度適用の可否は中央政府の裁量に委ねられており 電気料金が改定されたのは 2005 年 7 月と 2006 年 6 月の 2 回だけである また 2012 年 7 月からは チベット自治区と新疆ウイグル自治区を除く全国で 生活用電気料金に逓増制が試験的に導入された 3 送配電分離の研究 2012 年 3 月 国務院は 2012 年の経済体制改革深化重点工作意見 を通達して 送配電分離実験を展開し 分散型電源の無差別 無障害の系統連系に向けた仕組みを形成することを打ち出し 16 さらに 国家発展改革委員会は 送配電分離専門改革小組 を設けて 送配電分離プランの検討と実験を推進することにした 17 しかしながら 具体的なプランは未だ打ち出されていない また 深圳と蘇州で送配電分離実験を行う計画が打ち出されたものの 実施されていないままである 図 1-6 中国の電力産業の現状 ( 出所 ) 電気連 16 中央人民政府ウェブサイト 2012 年 3 月 18 日 17 網易財経 2012 年 3 月 30 日 14

23 4 電力自由化の構想と壁中国の電力体制改革をめぐっては 常に電力の市場化と自由化に向けた改革構想が打ち出されてきたが 争論は絶えず 改革は停滞している 改革構想については 例えば 2013 年 3 月の政治協商会議において 中国電力国際有限公司会長を務める李小琳委員は新たな電力市場化改革の実施を主張し 次のような改革案を提示した 18 1 ユーザーの選択と価格協議の権利を自由化し 電力の取引を独占統制型から競争サービス型に転換する 2 国 地域及び省レベルにおいて多層的な電力取引センターを設け 電力生産者と消費者の種々の形式による相互取引を実現する 3 国家及び南方電力販売サービス公司と省クラスの電力販売サービス公司を設ける 4 電力価格メカニズムの改革を進め 独立送配電価格を制定する 1990 年代以降の電力体制改革において 常に市場化が最大の主題であったが 2002 年の発送電分離以降は 次のステップに向けた改革は足踏みしている 例えば 送配分離は電力事業の独占を打破し 公平な競争を実現する上で鍵となる改革とされるが 国家電網や南方電網にとっては 独占権を失い 企業の解体に繋がるので反対の声が大きい 2002 年の電力体制改革において 発電サイドの競争は不十分ながら実現したが 電力販売側の競争は未だ実現していない そのため 今後の中国の電力体制改革においても 依然として送配電分離や電力価格の自由化 電力取引の自由化が焦点であり続けるだろう 2014 年の全人代は経済体制改革を重要な課題として掲げているが 電力体制改革の先行きはまだまだ不透明である 3. 中国の国際系統連系 (1) 国際系統連系の概要と経緯中国の国際系統連系は 2014 年現在 南方電力グリッドと香港 マカオ 東南アジア 東北電力グリッドとロシア モンゴル 北朝鮮 西北電力グリッド ( 新疆グリッド ) と中央アジア モンゴルなどで展開されている その中で 南方電力グリッドと香港 マカオ並びに東南アジアとの間での電力取引 そして 東北電力グリッドとロシア間の取引が代表的な国際系統連系と言える 1 南方グリッドと香港 マカオの系統連系広東省電力網公司と蛇口電力供給公司は香港中華電力公司から電力を購入し 広東電力網公司はマカオ電力網公司へ電力を供給している 1979 年 3 月 広東電力グリッドと香港中華電力の間に電力売買に関する契約が調印された 契約内容は広東省の電力供給不足を解決するために 香港から電力を購入することであった 1979 年には香港新界の粉嶺変電所から 2 66kV の電線を敷設して中国深圳水貝 110kV 変電所で中国グリッドと繋げて 中国と香港 マカオの系統連系を実現した それ以降 両地域間の電力交易の規模は拡大し 4 400kV 7 132kV の電線が敷設された 現在 中国からの電力は香港の 1/4 の市民へ供給されている 18 新華網 2013 年 3 月 6 日 15

24 また 2014 年現在 香港の中華電力公司は広東核 原子力 発電集団傘下の上場会社の株式の 25% 株を有して 大亜湾原子力発電所の電力の 70%を購入している また 広州市の揚水発電および 60 万 kw のピーク調整能力を借りている 南方電力グリッドは 2016 年に香港への送電を 50 万 kwh 増やす 計画である19 ② 南方グリッドと東南アジアの系統連系 中国と東南アジア諸国の間の系統連系は 1992 年に始まり 中国 ベトナム カンボジア ミャンマ ー タイの 6 ヵ国は 大メコン圏経済協力 プログラム GMS に調印し 地域間のエネルギー協力も 開始された 南方電力グリッドは 国務院が定めた メコン川流域経済協力計画 の中の電力協力分野を担当して いる 同社の GMS 各国との電力取引は 子会社の雲南電網による 2004 年 9 月のベトナム北部 2 省向 け送電事業から始まった 中国の報道20は 雲南省の GMS 参加後 電力取引を中心にした地域エネル ギー協力が進展し 南方電網 雲南電網 とベトナム ラオス ミャンマーとの国際連系が実現したと して 雲南省の重要性を指摘している 雲南電網は現在 ベトナム北部向けの既存の国際連系線 3 220kV3 と 4 110kV に加えて 500kV の国際連系線も敷設中である 中国と ASEAN の協力合意書や 雲南省電力の対外送電計画 に基づき 今後 3 4 年内に雲南省の ベトナム向け送電電圧は 500kV に引き上げられ 送電能力は 270 万 kw になると予測されている 中 国政府は この計画が実現すれば GMS において雲南電網の中心的役割が確立し GMS の電力協力や 電力取引における中国の存在感が一層際立つことに期待をかけている 図 1-7 東南アジアと系統連系の南方電力系統 出所 南方電力網公司 新華網昆明発 2012 年 11 月 6 日電 16

25 i) タイ 2000 年 9 月 中国とタイ王国の間で雲南省景洪水力発電投資協議書が調印された 当初は発電所が完成すれば すべての電力をタイ王国へ輸出することが約定されたが タイ王国の金融危機のため タイ王国からの投資は取り止めになった 21 その後 中国の糯扎渡 ( 雲南省普洱市瀾滄ラフ族自治県の鎮 ) 発電所の稼働により タイに 300 万 kw を送電する計画が持ち上がった 雲南省はタイ政府と 雲南電網のタイ向け 150 万 kw 送電に関する了解覚書 (MOU) を結び 取り組みを進めていることが報道された ii) ベトナムベトナム北部の深刻な電力不足解消のため 中越両国政府は 2004 年 9 月に 雲南省 河口とベトナム ラオカイをつなぐ南方電網による 110kV の国際連系事業をスタートした 翌 2005 年 10 月末には 南方電網とベトナム電力公社 (EVN) が 中国によるベトナム北部 6 省向け電力供給 220kV 国際連系プロジェクトの売買契約 に調印し 2006 年 10 月 1 日から 中国雲南省の紅河を経由する 220kV の国際連系線によるベトナム北部への送電を開始した 送電規模は 25~30 万 kw 年間電力供給量は 11~13 億 kwh になる 契約期間は最短 10 年間である 同プロジェクトでは 雲南電網とベトナム国家電力会社がそれぞれ自国内の送電線建設を担当した 図 1-8 中国 = ベトナム国際連系 中国 発電所 発電所 2005 年 発電所 2006 年 2004 年 2007 年 110kV 河江 220kV 河江 220kV 老街 110kV 老街ベトナム 220kV 那行 ( 出所 ) 本調査作成

26 表 1-9 南方電網 ( 雲南電網 ) の対ベトナム送電事業の拡張状況 年月日概要 2004 年 9 月 28 日雲南電網初の対ベトナム送電プロジェクトになる雲南省 河口 ~ベトナム ラオカイ 110kV 国際連系プロジェクトが稼動 電力供給エリアは ベトナム北部のラオカイ ( 老街 ) とライチャウ ( 莱州 ) の 2 省 2006 年 2 月 28 日雲南省 猫猫跳 ~ベトナム ハザン ( 河江 ) の 110kV2 回線国際連系線が稼動し 雲南省文山市からベトナム ハザン省への送電を開始した 対ベトナム電力供給エリアにはハザン トゥイェンクアン ( 宣光 ) イエンバイ( 安沛 ) の 3 省が加わった 2006 年 9 月 26 日雲南省 新橋 ~ベトナム ラオカイの 220kV2 回線国際連系線が稼動 対ベトナム電力供給エリアにヴィンフック省ヴィンイエン市 ( 永福省永安市 ) フート省ベトチ市 ( 富寿省越池市 ) イエンバイ省( 安沛省 ) ソンラ省( 山羅省 ) ディエンビエン省 ( 奠辺省 ) が加わった 2007 年 4 月 28 日雲南省 文山 ~ベトナム ハザン 220kV 国際連系線が稼動 これにより 雲南電網は 2 種類の電圧レベル 4 つの送電ルートによる計 6 回線の国際連系線によって ベトナム北部のラオカイ ライチャウ ハザン イエンバイ トゥイェンクアン等 12 省への送電することが可能になった 最大送電能力は約 80 万 kw に達した ( 出所 ) の報道をもとに作成 また 南方電網はベトナムへの送電能力を増強するため 2006 年 ~2007 年にかけて ベトナム向け 220kV 送電網の起点となる紅河 220kV 大屯変電所 ( 紅河電力網の中枢で 東部は 220kV2 回線で南湖変電所に連系し 文山電力網まで伸びている 北部は 500kV 紅河変電所と連系 ) から 蔓耗開閉所や新橋変電所を経てベトナム北部へ通じる 2 回線の電力グリッドを建設した これにより ベトナム北部のフート省ベトチ市 ( 富寿省越池市 ) イエンバイ省( 安沛省 ) ヴィンフック省ヴィンイエン市( 永福省永安市 ) などの変電所に電力が供給されるようになった 新橋からラオカイまでの送電線は全長 150km うち中国領内に敷設されているのは約 120km である 2009 年 12 月には 115kV の国際連系線が稼働した 現在 ベトナム北部 8 省へ 3 220kV 及び 4 110kV の国際連系線を使用して送電しており 2010 年には 億 kwh(2009 年比 34% 増 ) の電力を送電した これは 2010 年の対ベトナム送電目標値である 43.6 億 kwh の 124% に相当した 雲南電力の対外送電 は 道路 鉄道 水上輸送に次ぐ GMS 第 4 の経済ルートとして存在感を増している さらに 報道によると 雲南電網はベトナム電力集団と 中越国際連系事業第 2 ビジネスフェーズにおける電力購入合意書 に調印した 第 2 フェーズの電力購入期間は 2011 年 1 月 1 日から 2015 年 12 月 31 日までの 5 年間であり 中越間の国際連系の安全性を強化するため 中越送電線安全運用調整委員会 を設立し 中越国際連系を 4 半期ごとにチェックする制度を立ち上げ 緊急事態への対策を検討するなど 国際連系の安全運営管理を徐々に規範化している なお 中国はベトナム国内の電力グリッド建設事業に対する協力も行っており 南方電網は 2010 年 6 月 ベトナムのラオカイ計画投資部と 南方電網によるラオカイ国家電力網への建設投資に関する了解覚書 (MOU) に調印した また 送電以外に 南方電網公司とベトナムの間で BOT の方式でベトナムのビントゥアン省のヴィンフン ( 永興 ) 石炭火力発電所の第 1 期プロジェクトを建設することが合意された iii) ミャンマー 2008 年 10 月 ミャンマー最大の BOT(Build Operate Transfer) 水力発電プロジェクトになるシュエリー川 ( 中国語名は 瑞麗江 以下 瑞麗江 と表記する ) 一級水力発電所 10 万 kw ユニット 6 基 18

27 が 南方電網 ( 雲南電網 ) に国際連系され ここで発電された殆ど全ての電力の中国向け送電が始まった 雲南電網は 2006 年から国内 2 社と共同でミャンマーの瑞麗江一級水力発電所の開発に着手してきた 同年 12 月には 中国 ミャンマー間初の 230kV 国際連系ルートを通じて 電力を輸入することになり GMS 国家から中国への電力輸出がスタートした その後 2010 年 8 月には ミャンマーの太平江 (DAPEIN 河 ) 一級水力発電所も雲南電力網につながり 500kV と 220kV の国際連系線により ミャンマーから累計 40 億 kwh の電力を購入した 2010 年 南方電網はミャンマーの瑞麗江一級水力発電所と太平江水力発電所から 17.2 億 kwh の電力を輸入した 2011 年 8 月までにミャンマーから購入した電力は累計 億 kwh になる 中国は GMS 電力取引協力において 従来の単純な電力輸出から輸出入を同時並行で行うように変化してきており GMS 地域の電力供給問題の解消や GMS 各国の経済社会及び電力工業の発展に貢献していると自負している 2020 年には ミャンマーから中国への電力輸出 ( 水力発電 ) を 1,000 万 kw から 2,000 万 kw に引き上げる計画である iv) ラオス雲南電網は 2007 年 ラオス電力公社 (EDL) と 中国雲南省 ~ラオス北部地域の 115kV 電力供給事業 に着手し 2009 年 12 月 6 日には 雲南省勐臘 ( モンラー )~ラオス ナモ郡 110kV 送電線プロジェクト が正式稼働した そして 2010 年 6 月 16 日には 南方電網公司とラオス政府が ラオス国家電力網の投資建設に関する了解覚書 (MOU) に調印した 近年 ラオス向けの 115kV 送電網が相次いで建設されており ラオス政府から委託されたラオス国家電力グリッド建設計画に関する研究も着手されている 雲南省 勐臘 ( モンラー )~ラオス ナモ郡 110kV 送電線プロジェクト は GMS 地域電力網建設において 雲南電網が最初に担当した工事総請負 (EPC) 事業であり 国際連系線稼働後は 中国からラオス北部向けの送電レベルが向上し ラオスの関係各部門との関係も強化された 2012 年 12 月 21 日には EDL 社長を始めとするラオス政府関係者一行が雲南電網を訪問し ラオス北部 230kV 電力グリッド建設プロジェクト に関する商議を行い 雲南電網と EDL は協力合意書に調印した また 送電以外にも 2006 年 8 月には中国の南方電網公司が BOT の方式で ラオスのナム ター水力発電所を建設した v) カンボジア中国とカンボジアは地理的にかなり離れているので 現時点では両国間の送電プロジェクトはないが 発電プロジェクトについては 両国は 南方電網によるカンボジア サンボル ( 計画出力 3,000MW) およびストゥンチェアヤレン ( 計画出力 260MW) 水力発電事業の FS 実施に関する了解覚書 (MOU) を締結している 3 東北電力グリッドとロシアの系統連系中ロ両国間の電力取引は 1992 年に始まった 1992 年 7 月 中ロ間初の国際連系線になるブラゴベシチェンスク- 黒河間の 110kV 送電線が稼動を開始した 当初はロシアから中国黒龍江省への単純な送 19

28 電事業であったが 2000 年代に入り 中国の電力需要の増加 中露貿易の拡大 石油 天然ガスなど他のエネルギーをめぐる中露協力の進展に伴い 中露電力協力も新たな段階へと発展し始めた 2005 年 7 月には 中国国家電網公司 (State Grid Corporation of China) とロシア統一電力 (Russian Unified Energy Systems AG) は送電の方式と規模 価格フォーミュラや進捗計画などで合意に達し 協力協定に調印した 2006 年 3 月には 両社はロシアから中国への電力供給に関して FS を全面的に展開することに合意した この合意により 中ロ両国は従来の単純な電力貿易から 新たな電力施設の計画や建設の面でも協力を開始することになった 22 なお この 2 つの合意文書によってロシアから中国への送電事業は 次のように 3 つの段階的目標が明確化された 23 第 1 段階 (2006~2008 年 ): 中ロ国境地区の中国側に直流 BTB 電力グリッド連系プロジェクトを建設し ロシア極東地区から黒龍江省電網に送電する 送電出力は 600~720MW 年間供給量 36~43 億 kwh 第 2 段階 (2008~2010 年 ):±500kV 直流送電線を建設し ロシア極東電力網から遼寧省電網に送電する 送電出力は 3,000MW 年間供給量 165~180 億 kwh 第 3 段階 (2010~2015 年 ):±800kV 直流送電線を建設し ロシア極東電力網又は東シベリアから 東北電網又は華北に送電する 送電出力は 6,400MW 年間供給量 380 億 kwh そして 2006 年 11 月には 国家電網公司とロシア統一電力の間で ロシアから中国への電力供給事業第 1 段階の電力売買契約 が調印された 2007 年 2 月 ロシア統一電力は中国へ電力輸出を増やすため 複数の 7,200MW 級火力発電所を建設するとともに 水力発電所の新規建設によって輸出能力を高め 最終的に対中電力輸出を年間 600 億 kwh にするという目標を発表した 24 そして 中国への送電事業のための専門の会社として RAO Energy Systems of East 25 を設け 統一電力と RAO Energy System of East が共同で送電事業を進めた 2008 年にはロシアの電力事業改革により ロシア統一電力は廃止され RAO Energy System of East が引き続き事業を担うことになった RAO Energy System of East の社長になった Yuri Sharov は 第 1 段階においては契約量の規模が小さいことから ロシアの余剰電力を利用して 第 2 段階 第 3 段階へと出力を高め 最終的には 11,000MW に増加すると表明した 2007 年 7 月 送電事業第 1 段階が黒龍江省黒河で着工された 26 中国への輸出電力価格をめぐる交渉については 詳細は明らかでないが ロシア側の当初の提示価格は 0.6 元 ( 約 8 セント )/kwh であり 一方 当時の国内の売電価格はわずか 0.3 元 /kwh で 中国にとって ロシアからの電力輸入は全く採算が取れない上 送変電設備にも巨額の投資を要するとされていた 2007 年当時 RAO Energy System of East の Yuri Sharov 社長は 第 2 段階と第 3 段階の事業協力については 国際電力価格を睨みながら進めるとし 同段階では輸送コストを引き下げるため中露国境地区の炭鉱近くに新規発電所を建設することになり また 発電所や変電所の新規建設について討議するとともに 送電方式 規模 価格フォーミュラ 進捗計画など一連の問題についても協議しなけれ 22 宋魁 孫璐 中露電力協力の回顧と展望 23 中国経済網 2006 年 12 月 29 日 24 新華網 2007 年 2 月 10 日 25 RAO Energy Systems of East HP 第一財経日報 2007 年 8 月 9 日 20

29 ばならないとしていた 27 中ロ間の電力の取引が当初の期待を下回っている理由について 中国電力網公司のロシア駐在事務所の段立東氏は ロシアと中国国境地域の水力発電所は主にロシア国内に供給しており 発電能力は未だ全て開発されていない状態である また 国際間の電力供給技術条件が不完全であり 電力供給の安定性 システムの整合性 電力グリッド間の連結と調達などの技術問題によって ロシアの電力の輸入は制約されている また ロシアは国内電力価格を基準に輸出電力価格を設定し 中国の受入能力や長期契約に関する国際ルールを無視し そのため 双方の電力売買契約の調印と電力輸入に影響している と指摘した 28 なお 国家電網エネルギー研究院によると 中ロ双方はいずれも交流電力網であるが 高圧直流の BTB 技術は電圧の異なる交流電力網の系統連系に適用が可能であり 特に中ロ両国の電流周波数が統一されていないケースでも 電力グリッドの安定運行を保障することが可能である 年 4 月 28 日には 中露エネルギー戦略協力において中露 500kV 直流 BTB 連系プロジェクトの主導的役割を発揮させ また ロシア極東地区のエネルギー利用率を高めるため 国家電網公司と RAO Energy System of East は 25 年間の 中露長期電力売買契約 を結び 中露 500kV 直流 BTB 連系プロジェクトによって年間 40 億 kwh 総計 1,000 億 kwh の電力をロシア極東地区から中国東北地区へ送ることが確認された 30 また RAO Energy System of East の Mikhail Shashmuri 社長は この契約をもって中国への電力供給量を年 600 億 kwh に増やす基礎固めにすると表明した また 中国へ輸出する 600 億 kwh の電源は次の方法で賄う計画が浮上した 1) 中国と合弁で国境地区に火力発電所を建設し 中国へ UHV 送電線を敷設する 2) ロシア側が極東地区に新規水力発電所を建設する また アムール州におけるロシアの大手水力発電企業 RusHydro 保有の Zeya 水力発電所 (1330MW) と Bureya 水力発電所 (2010MW) を利用する 3) ロシアのエネルギー企業グループ EuroSib Energo が中国との合弁会社を設けてロシア側に水力発電所を建設する なお RusHydro は現在 RAO Energy System of East 株の 74.9% を保有している 31 その後 中国とロシアの電力協力は進展し 2012 年 6 月には 国家電網公司とロシア Inter Rao 32 は 電力協力拡大に関する了解覚書 に調印し ロシアから中国への電力供給規模の拡大 ロシアの電力グリッドに対する改修の強化 第三国の電力市場開拓などで引き続き協力を展開することに合意した 33 また 2012 年 12 月 5 日には 国家電網公司と RAO Energy System of East は 2013 年度電力供給量及び電力価格の補充協議書 に調印し 2013 年にはロシアからの電力購入を前年比 28.35% 増の 同上 注 20 と同じ RAO Energy Systems of East HP Inter Rao は 1997 年に統一電力の電力輸出入専門会社として設けられたが 2008 年のロシア電力体制改革と統一電力の廃止に伴い 独立会社になった Inter RAO HP 注 21 と同じ 21

30 億 kwh にする計画を打ち出した 中露両国はこれを基礎として ロシアから中国への電力供給規模を拡大し ロシアの電力グリッドの改修や第三国の電力市場開拓 バイオマス製品やクリーン エネルギー事業の研究開発並びに建設といった面で引き続き協力を展開し 中露両国の電力 エネルギーの開発と協力を総合的に推進することにした 2013 年 3 月 22 日には 中国国家電網公司と RAO Energy System of East との間で 2013 年のロシアからの電力輸入量を 2012 年より 36% 増やすことが合意された さらに 2013 年 10 月には 中ロエネルギー協力に関する政府間委員会において ロシア副首相は ロシア政府はロシアから中国への電力輸出を拡大することを期待している ロシアのシベリアと極東地域には大量の水力資源があり ロシアは水力資源開発を計画している 34 と述べた 中ロ間の電力協力は現在も順調に進んでおり ロシアの対中電力輸出能力は高まっている 2014 年 2 月は 中国とロシアが協力して極東地域に世界最大の石炭火力発電所を建設する構想が報じられた ロシア側の構想によると 発電設備容量は 5,000~8,000MW 中国への電力輸出は年間 300~500 億 kwh になる 中国の専門家は 発電所および高圧送電線路などを含めて この構想を実現するには 140~260 億ドルが必要であると見ている RAO Energy System of East の Mikhail Shashmurin 社長は 同社が年末までにこのプロジェクトの Pre-F/S の経済性評価を完成し 炭鉱を決め 2014 年中に中国国家電網公司との契約内容のひとつにすると述べた 但し この巨大プロジェクトには莫大な資金が必要であり 中国の 5 ヵ年計画に盛り込まない限り 資金調達は難しい ロシア側は 2020 年には発電所の一部から中国への送電を開始する計画である しかし 中国の黒龍江省の電力需要が少ないため ロシアからの電力を北京市へ送るしかないが そのためには 2,000km 以上の 800kV の直流送電線の敷設が必要になる 人民網 2013 年 10 月 16 日 35 新華社 2014 年 2 月 13 日 22

31 図 1-9 中国 ロシア国際連系 出所 本調査作成 ④ その他諸国との系統連系 i 北朝鮮 中国と北朝鮮の電力取引は満州国の時代に始まる 中国と北朝鮮の国境を分かつ鴨緑江には 4 つの 水力発電所があるが その中の 2 つの発電所は満州国時代に建設されたものである また 発電所は両 国の共有であり 発電量と設備の保守費用は折半している 4 つの発電所は中国東北グリッドに直接繋 がっており 発電電力量の半分を中国へ送電している 残りの半分は 本来は北朝鮮へ送電すべきであ るが 北朝鮮は発電所の維持費などの費用を負担しない代わりに 電力を中国へ輸出している 一方 中国から北朝鮮への電力輸出も行われているが その理由は 中国企業が中朝国境地域周辺の 北朝鮮の鉱山に投資していることである 北朝鮮では停電が多く また電圧が不安定であり 鉱山の開 発と生産のため 中国から簡易な送電線を敷設して 鉱山に電力を供給しているとのことである 中国 は北朝鮮の電力グリッドが不安定のため 系統連系を計画していない模様である ii モンゴル 中国とモンゴルの電力取引は 1994 年 8 月に始まる 内モンゴルの二連浩特市からモンゴルのサシン ウード市まで 10kV 送電線を敷設した この送電線の総延長は 16km である 送電線の権益はモンゴル 側が保有し 中国国内の送電線の保守は中国側が担当している 代金は送電量と同日の為替レートによ って計算している 2003 年にはモンゴル国内の送電線が敷設されたため 中国からの輸入は減少した また モンゴル炭鉱開発のために 2005 年 12 月 内モンゴルのアルシャからモンゴルの Nariin 23

32 Sukhait までの 35kV 送電線 ( 総延長が 52km) の敷設と 35kV 変電所の建設が完了した 内モンゴルはモンゴルの Oyu Tolgoi 銅 金鉱への送電プロジェクトを 2011 年に開始 220kV の送電線を敷設し 2012 年 6 月 19 日には完成し 2012 年の 11 月から正式に送電が始まった これは中国にとって 220kV による海外への直接送電の最初のプロジェクトであると報道されている 発電電源には風力も含まれている さらに 中国新疆自治区からモンゴルまでの送電線は 電圧 35kV 総延長 68km になり うち中国側は 18km である この送電線は 2009 年 9 月に稼動し モンゴルのゴビアルタイ州西部の 3 つの地域 約 2.1 万世帯に電力を供給している なお モンゴル領内のブルガン (Bulqan)35kV 変電所と 68km 送電線は 中国側が管理している 年 10 月 25 日に 中国政府とモンゴル政府の間で 戦略パートナーシップに関する中長期発展綱要 が調印された その中で 電力に関しては 双方が電力分野の協力を強化し 中国は自国企業からモンゴルへの送電を支援するとともに モンゴル炭鉱の山元発電および中国への電力輸出に関する研究を支援する とされている また 国家電網公司が中心になって 中国とモンゴルの石炭と電力の共同開発に関して F/S を行っている モンゴルに山元発電所を建設し 送電線を敷設して 中国の華北地域へ送電する計画である このプロジェクトの投資額は 300 億元になり モンゴルにおける最大の投資事業になる見通しである iii) キルギスタン 1998 年 中国とキルギスタンの間で キルギスタンからの電力輸入に関する合意がなり 中国は新疆自治区の無電化村へ年間 100 万 kwh の電力を輸入することを決めた また 2005 年には電力輸入を拡大し 年間 300 万 kwh 有効期間が 5 年間とする協定に調印した キルギスタンから中国国境まで 35kV の送電線と変電所を建設する費用は全て中国側が負担し キルギスタンへの電力代金から弁済を受けることになった なお キルギスタン側は送電能力を拡大するため 110kV の送電線敷設について中国へ提案した しかしながら キルギスタンの電力供給は不安定であり 中国は今のところ未だ検討していない模様である (2) 国際間の電力取引の状況と価格 2013 年の中国の国際電力取引状況について見ると まず 輸出相手国 地区は香港 マカオ ベトナム モンゴル ラオス ミャンマー 北朝鮮である その中で最大の輸出国 地区は香港であり 輸出量全体の 55% を占める 次に 輸入相手国 地区は ロシア ミャンマー 香港 北朝鮮 キルギスタンである 最大の輸入先はロシアであり 電力輸入全体の 49% を占める 36 天山網 ( 24

33 図 1-10 国別の電力の輸出入構成比率 モンゴル 4% ベトナム 18% ラオスミャンマー 1% 0% 北朝鮮 0% 北朝鮮 3% 香港 23% キルギスタン 0% ロシア 49% マカオ 22% 香港 55% ミャンマー 25% ( 出所 ) 中国税関 税関統計 より作成 中国税関統計によると 2013 年の電力輸出量は合計約 187 億 kwh 2000 年 ~2013 年の年平均増加 率は 5.0% になった 一方 電力輸入量は 74kWh 2000 年 ~2013 年の年平均増加率は 12.8% であった 表 年以降の中国の電力輸出入 /00 輸出 電力量 億 kwh 金額 百万ドル , , 平均単価 Cent/kWh 輸入 電力量 億 kwh 金額 百万ドル 平均単価 Cent/kWh ( 出所 ) 中国税関 税関統計 より作成 2013 年の中国の電力輸出の平均価格は 7.5Cent/kWh 輸入の平均価格は 5.3 Cent/kWh である 特 に 2010 年以降 輸出価格は年々上昇し 2013 年の価格は 2010 年の 6.2 Cent/kWh に比べ 1.3Cent/kWh 高くなった 25

34 図 1-11 中国の電力輸出量と年平均価格の推移 億 kwh Cent/kWh ( 出所 ) 中国税関 税関統計 より作成 他方 2013 年の電力平均輸入価格は 2012 年より若干高くなったが 2009 年の 6.1Cent/kWh に比べ ると 0.8Cent/kWh 下がった 図 1-12 中国の電力輸入量と年平均価格の推移 億 kwh 80 Cent/kWh 単価 (Cnet/kWh) 輸入電量 ( 出所 ) 中国税関 税関統計 より作成 i) 中国と香港 マカオの電力取引 2013 年の香港 マカオとの電力取引について見ると 中国の南方電力グリッドから香港 マカオへの輸出はそれぞれ 102 億 kwh と 40.5 億 kwh になった 香港への年間平均輸出価格は 6.5Cent/kWh マカオへの年間平均輸出価格は 10.4Cent/kWh である 2000 年以降 香港への電力輸出量はほぼ安定しており 電力価格の変動も小さい 一方 マカオへの電力輸出は徐々に拡大し 電力価格も上昇して 26

35 いる 今後 香港の対中投資の拡大などによって 両地区の南方電力グリッドに対する電力輸入依存度 はさらに高くなると見込まれる 図 1-13 中国の対香港 マカオの電力輸出と年平均価格の推移 億 kwh マカオの平均価格 香港の平均価格 香港への輸出 Cent/kWh マカオへの輸出 ( 出所 ) 中国税関 税関統計 より作成 2013 年の香港からの電力輸入は 18.6 億 kwh 年平均価格は 5.3Cent/kWh であった 香港からの輸 入電力価格は 2012 年まで徐々に上昇していたが 2013 年に一転して下落した その理由については今 のところ不明であり 今後の究明が待たれる 2013 年の南方電力グリッドから香港への電力純輸出は 83 億 kwh 強になった また 南方電力グリッドの香港への電力輸出の年間平均価格は輸入より 1.2Cent/kWh 高い また 2006 年以降 香港から南方電力グリッドへの電力輸出量は年々低下してい る これは南方電力グリッドの電力需給関係が改善されていることが背景にあると考えられる 図 1-14 中国の対香港 マカオの電力輸入と年平均価格の推移 億 kwh Cent/kWh ( 出所 ) 中国税関 税関統計 より作成 27

36 ii) 中国と東南アジア諸国の電力取引 2013 年における中国の南方電力グリッドから東南アジア 3 ヵ国への電力輸出は合計 36.4 億 kwh になった うちベトナムへの輸出は 33.4 億 kwh 東南アジア 3 ヵ国への輸出量合計の 91.7% を占めた ラオスへの輸出は 2.2 億 kwh 対東南アジア全体の 6.0% を占める ミャンマーへの輸出は 0.8 億 kwh 2.3% であった 2012 年の輸出量の減少は電力輸出地域である雲南省が渇水状況であっためと報道されたが 2013 年の輸出量がさらに減少した理由については 輸出先 特にベトナムの電力供給状況が改善されているか それともベトナム経済の低迷によって需要が減少したか 詳細な分析が必要と考えられる 図 1-15 中国の対ベトナム電力輸出と年平均価格の推移 百万 kwh 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 ベトナムラオスミャンマー ベトナムへの輸出価格 Cent/kWh ( 出所 ) 中国税関 税関統計 より作成 南方電力グリッドから東南アジア諸国への輸出電力価格を見ると 2013 年の対ベトナム輸出の年平均価格は 6.1Cent/kWh であり 2005 年の 4.3Cent/kWh より 1.8Cent 高いが 対香港 マカオの価格に比べると低い また 2013 年の対ミャンマー年平均輸出価格は 6.8Cent/kWh であった 対ラオス年平均輸出価格が最も高く 10.6Cent/kWh になった 中国の電力輸出価格形成のフォーミュラに関する調査が必要であると考えられる 南方電力グリッドのミャンマーからの電力輸入は 2004 年に始まるが 年間の輸入量はわずかであった 本格的な輸入が始まったのは 2009 年であり 2008 年の 1,280 万 kwh から一気に 14.7 億 kwh に拡大した さらに 2011 年の輸入は 24 億 kwh に達したが 2013 年には 17 億 kwh に下がった 2013 年のミャンマーからの電力輸入は殆ど全てが雲南省経由であり うちミャンマーの瑞麗江水力発電所からが 11 億 kwh 太平江水力発電所からが 7 億 kwh 前後である 年の輸入額は 1.4 億ドル 電力価格は 8.2Cent/kWh であった しかしながら 2012 年までの電力価格は 3.0Cent/kWh 2004 年から 2012 年までの価格はいずれも 2Cent/kWh 以下であることから考えて これは統計ミスではないかと考えられる

37 図 1-16 中国の対ミャンマーの電力輸入と年平均価格の推移 億 kwh Cent/kWh ( 出所 ) 中国税関 税関統計 より作成また 国家発展改革委員会の資料によると 2013 年の南方電力グリッドの火力発電所の平均卸価格は 6.5Cent/kWh であり ミャンマーからの輸入価格が 8.2Cent/kWh となると 電力グリッド会社の収益性が悪くなる 政治的要因がなければ この価格は受け入れにくいと考えられる iii) 中国とロシアの電力取引 2013 年の中国の東北電力グリッドのロシアからの電力輸入量は 36.6 億 kwh 2012 年の 25.3 億 kwh と比べ 11.3 億 kwh の増加になった 電力輸入額は 1.9 億ドル 年平均価格は 5.1Cent/kWh である この輸入価格は中国の電力輸入の平均価格の 5.3Cent/kWh より 0.2Cent 低いが 輸入開始当初の 2Cent/kWh 前後に比べると高くなった 図 1-17 中国の対ロシアの電力輸入と年平均価格の推移 億 kwh 輸入平均価格 Cent/kWh ( 出所 ) 中国税関 税関統計 より作成 29

38 他方 国家発展改革委員会の資料によると 2013 年の東北グリッドの火力発電所の平均卸価格が 6.2Cent/kWh であり ロシアの輸入価格より高く ロシアからの電力輸入には経済性があると判断され る iv) 中国と北朝鮮 モンゴル及び中央アジアとの電力取引 2013 年の中国の対北朝鮮電力輸出は 1,540 万 kwh 北朝鮮からの輸入は 2 億 1,940 万 kwh であった 北朝鮮への電力輸出の年平均価格は 12.2Cent/kWh 輸入は 3.7Cent/kWh である 輸出価格が輸入価格よりも高い原因としては 輸出電力が火力発電であり 中国側が中朝国境地域で投資した鉱山へ直接に供給したこと 輸入電力は中朝国境の鴨緑江所在の両国共有水力発電所からの電力であり もともと発電量と設備の保守費用は折半であるが 北朝鮮側は費用を負担しない代わりに電力を中国へ輸出していることなどが考えられる また 2013 年のモンゴルへの電力輸出は 東北電力グリッドと西北グリッド地域から行われ 輸出電力量は 8,230 万 kwh 年平均価格は 7.8Cent/kWh であった さらに 同年のキルギスタンから新疆国境地域への電力輸入は 600 万 kwh 輸入単価は 5.6Cent/kWh であった 表 年の中国の対北朝鮮 モンゴル及びキルギスタンとの電力取引 輸出 輸入 北朝鮮 モンゴル キルギスタン 電力量 百万 kwh 金額 百万ドル 平均価格 Cent/kWh 電力量 百万 kwh 金額 百万ドル 平均価格 Cent/kWh ( 出所 ) 中国税関 税関統計 (3) 中国のエネルギー安全保障における国際系統連系の位置付け電力輸入は中国のエネルギー戦略の多角化戦略の重要な要素である 中国の石油 ガスの大量輸入は国際石油市場に対して大きな影響を及ぼし 中国脅威論 を高める結果になるが 周辺国の水力 天然ガス 石炭資源を利用して合弁発電所を建設し 安定的な電力輸入を通じて周辺国との経済関係を緊密することは このような問題を伴わない また 石油 ガスの海上輸送リスクを低減することも可能である さらに 中国は 環境問題 特に CO2 排出をめぐって世界から圧力を受けているため 電力輸入の拡大によって 火力発電所の汚染物の排出を減らし 電気自動車や電気ボイラーなどの電力利用率を高め エネルギー最終消費分野の汚染物の排出を減らし 延いては国際社会からの圧力も緩和することが可能になる さらには電力輸入を通じて中国の発電設備などの輸出を拡大することも可能となる

39 4 将来の国際系統連系構想 中国の国際系統連系の全体構想は次のようになる 中国の北部とロシアのシベリア電力グリッドを連 結し ロシアから水力発電による電力を輸入する 中国の東北地域はロシア極東の電力グリッドと連結 して電力を輸入し 最終的に朝鮮半島との連結を実現する 西北部の新疆はカザフスタンなど中央アジ ア諸国の電力グリッドを連結して電力の輸出入を行い 最終的に欧州や南アジアとの系統連系を実現す る 南部地域は東南アジアとの系統連系を実現する39 図 1-18 中国の国内電力グリッドと国際系統連系の構想 黒龍江省 吉林省 遼寧省 新彊ウイグル自治区 内モンゴル自治区 北京市 天津市 河北省 寧夏自治区 チベット自治区 青海省 甘粛省 山東省 陝西省 江蘇省 河南省 安徽省 上海市 湖北省 四川省 重慶市 淅江省 湖南省 江西省 福建省 貴州省 ±1,100kV直流 ±800kV直流 ±600kV直流 ±500kV直流 ±400kV直流 台湾 雲南省 広西自治区 海南省 出所 エイジアム研究所作成 広東省

40 図 1-19 中国の 2020 年電力系統計画 1 アジア 欧州の系統連系構想中国国家電網公司の劉振亜総裁は 2012 年 5 月 持続可能な国際電力協力組織会議 において 初めてアジア並びに欧州との電力系統連系に関する構想を発表した また 2013 年 8 月にフランスのパリで開かれた国際大電力グリッド委員会 (CIGRE) でも同じような構想を発表した 劉振亜総裁が表明した構想において 中国の新疆自治区の電力資源は欧州の電力の安定 安全供給にとって重要な保障になることが強調されている 劉振亜総裁によると これは高圧直接送電と間接の電力輸送の方法を利用し 新疆自治区 カザフスタン ロシアシベリア地区のグリーン電力を遠距離送電線によって欧州の負荷センターへ送り 欧州の電力供給の安全保障問題を解決するというものである 国家電網公司傘下の電力科学研究院は現在 アジアと欧州の国際系統連系の総合研究 を展開している 情報によると 現時点では 技術 経済性 社会性と環境に関しては可能であるという結論が出ている 電力科学研究院の研究によると 技術面では超々高圧や大容量送電技術はすでに実現しており 技術の開発に伴って コストが徐々に低下し 遠距離の送電ロスは 10% 以下にすることも可能になることである 40 しかし 最終的な評価結果は 欧州及び中央アジアにおけるエネルギー政策や電力需要 さらに 中国の電力輸出のポテンシャルや価格などによって左右されるであろう

41 2 上海協力機構の系統連系構想上海協力機構も国際系統連系構想を提唱している 上海協力機構に参加しているロシア 中国及び中央アジア諸国の間の系統連系は 同機構のエネルギー協力の重要な内容の一つである 各国は 電力市場の相互参入 自国領土経由の送電を進め 最終的に機構内の各国間における自由な送電が実現することを目標にしている 但し 中国は 全体的には大きな電力需要を有しているが 中央アジアに隣接するその西部地域では エネルギー資源が豊かであるものの 電力需要は低い 中国で基本的に必要とされるのは その西部地域で生産した電力 加えて中央アジア地域の電力を 需要の大きい東部沿海地域へ送ることである したがって 西部地域 ( 新疆 ) からの対外送電の可否が上海協力機構の電力系統連系の行方を左右することになる 国際系統連系の課題中国の国際系統連系の殆ど全ては 中国と相手国の政府の主導の下に進められ 政府が事業会社を指名し 会社間で契約を結んで進められる しかしながら このような手法は国家間の政治 外交関係による影響を受け プロジェクトの交渉と審査時間が長くなり 政治動向と経済要素の変化により プロジェクトの進展が遅れる例が多い また 中国の電力分布は不均衡であり 中国のグリッド間の連系を実施すると同時に 国際系統連系と国内の資源配置の最適化を進め 中国からの電力関連設備の輸出を促進し 中国の持続発展を実現することが 中国にとって課題になる 6. 近隣諸国とのエネルギー協力の現状中国と近隣国とのエネルギー協力に触れるに先立ち まず 本項および第 2 節 ( ロシア ) 第 3 節 ( 韓国 ) 第 4 節 ( 台湾 ) とも共通する分析の切り口について整理する (1) なぜ国際協力について把握する必要があるのか? 国際連系線を建設し 電力需給について他国と相互依存関係を構築するためには 長期にわたる安定的な枠組み ( 少なくともその期待を当事国が共有すること ) が必要である 実際に国際連系線が建設され 活発な電力取引が行われている地域や 国際連系構想が順調に進展している地域として 欧州諸国 ( 北欧 欧州大陸およびロシア-フィンランド間 ) 北米( 米国 -カナダおよびアメリカ-メキシコ ) アンデス電力連系システム GCC 国際連系などを例示することができよう これらはいずれも 単なる送電線建設 電力売買に留まらない 政治 経済的な協力枠組みに裏付けられている 欧州にあっては 北欧のベネルクス同盟 EU 統一エネルギー市場 NAFTA( 北米自由貿易協定 ) アンデス共同市場 GCC( 湾岸諸国会議および湾岸アラブ自由貿易協定 ) などである 他方 例えばブラジル-アルゼンチン間の国際連系線は 電力需要が急増するブラジルに対し 民間発電投資促進を図るアルゼンチンが電力を輸出する目的で建設された しかし 完成後にアルゼンチンで天然ガス供給が不足しエネルギー危機が発生すると アルゼンチンはブラジル向け電力供給を停止 契約不履行を宣言した この両国間には 国際連系線の建設当時 政治 経済協力の枠組みは存在していなかった

42 これらの事例は 政治 経済的な協力枠組みの存在が 国際連系構想の成功のための必須条件ではな いまでも 構想が円滑に進みやすい素地となることを示唆している (2) 国際連系に関する政治的分析の視座上記のとおり 国際連系線は既に何らかの協力枠組みの存在するところで円滑に進みやすいが 他方で国際連系によって協力が促進される可能性 逆に国際連系により政治的デメリットを生じる可能性も指摘されている 42 政治的メリット 国際協力を促進 政府間コミュニケーションのチャネルが増えるため 交流が活発化 政治的対立回避のモチベーション 経済的相互依存の深化により対立のコストが増大 民主化の促進 連系線の計画 実施過程において 参加型の意思決定を経験するため 政治的安定性 連系線投資による雇用 教育 福祉の増進により 社会的軋轢が低下 政治的デメリット 連系線の保安が 政府の軍事的伸張の口実を提供 破壊行為に対する予防的措置など 国家間政治関係の変化 不均衡な相互依存のもとで電力輸出側に政治的レバレッジ 相手国の政情変化に対する脆弱性 連系線から得られる収益が流用 汚職に使われる可能性 連系線の保安に伴う政治的コスト 土着勢力に便宜を図るなど 合理的な電力価格設定に伴う政治的コスト 相手国に対する支払いを履行するため 料金収入を確保する必要があり 合理的な電力価格設定と徴収は必須 こうした国際連系によるメリット デメリットを踏まえたうえで 連系プロジェクトが円満に進むた めには 1 電力を融通しあうことへの基本的な合意 2 事業の進め方 3 費用と利益の配分方法 4 連 系線の運営と保守 5 計画 運営 保全に必要な情報の共有 等に関する合意が必要となる 43 また 以下の要素が 連系線事業の促進 / 阻害要因として指摘されている 44 地域協力の文化 石油や食糧等の重要コモディティで相互依存関係にある等 逆に 長年に亘る対立 競争関係や 宗教 民族的対立は 阻害要因となる 長期的計画の運営 国内インフラについて長期的計画を策定 実施した経験を有する 明確なエネルギー政策目標と 強靭なエネルギー産業 ( 輸出入を脅威と感じない ) エネルギー自給 自国の産業体制に固執し過ぎると 阻害要因となる 国家間の合意を批准 順守しようとする意志 政治体制の違いが大きすぎる 汚職 腐敗構造等は 阻害要因となる 電力の国際取引を行うことへの国内での明示的な合意 42 国連経済社会局 (The United Nations Department of Economic and Social Affairs) Political Aspects of International Electricity Grid Interconnections 2005 年 6 月 43 同上 44 同上 34

43 国内に合意が成立していない 強力な反対派がいると 阻害要因となる 強力な地域的機構に共に参加している以上の分析を踏まえて 中国の地域的エネルギー協力の現状について 1 電力取引の基盤となり得る地域的協力枠組みに参加しているか 2 潜在的な電力取引相手国との間で 戦略的物資に関する相互依存関係を築いているか 3 近隣国との関係に関する懸案事項を 国際連系線を通じて改善 解決を図ろうとの意図をもっているか という 3 つの切り口から整理する (3) 中国のエネルギー協力の現状 1 地域的協力枠組み中国は 日本 韓国とともに ASEAN+3 ARF APEC といったアジア太平洋地域協力枠組みに参加し また ASEAN との自由貿易協定を締結しているほか 全世界にまたがって多くの二国間 多国間の協力枠組みを構築している 本項では 西方 ( 中央アジア ) 南方( 南 東南アジア ) およびモンゴルとの関係を取り上げる 中央アジアにおける協力枠組みとしては 2001 年に中国 ロシア カザフスタン キルギス タジキスタン ウズベキスタンの 6 カ国で設立した上海協力機構 (SCO) がある 前身となった上海ファイブ ( ウズベキスタンを除く 5 カ国 1996 年 ) はソ連崩壊後の国境地帯での軍事分野での信頼醸成を目的としていたが その後イスラム過激派 分離主義 テロの取締が各国にとって重要課題となったため 2001 年の上海条約締結に至ったものであり 2007 年以降は対テロ合同演習が実施されるなど対テロ協力は深化している この間 2003 年には貿易と投資の円滑化が重点課題の 1 つに加えられ オブザーバー 4 カ国 ( モンゴル インド パキスタン イラン ) を加えた 10 カ国による CO 銀行連合体が設立され エネルギー 交通 通信 農業などの分野での二国間協力が積極的に展開されている 45 このうち 直接国境を接する中国 -カザフスタン間では 1997 年 9 月に中国によるカザフスタン国内の油 ガス田開発投資が合意されて以降 エネルギー協力が進んできた 特に 2000 年に大規模なカシャガン油田が発見されると 中国は同開発への資本参加を希望したが 2000 年代には欧米石油企業の反対により実現しなかった しかし 2013 年 9 月に漸く中国は同油田の開発コンソーシアムの権益取得を実現 同月 カシャガン油田での原油生産も開始されており 産出原油は 2006 年に完成している中国向けパイプラインを通じて輸出される 46 他方天然ガスについては トルクメニスタンの天然ガスをウズベキスタン カザフスタン経由で中国まで輸送する中央アジアパイプラインが 2009 年に完成し 現在は第三段階の拡張工事が行われている この他 両国間では原子力や再生可能エネルギー開発でも協力が進められているが 国際連系線の構想は現時点で浮上してはいない 中国 -インド間では 2011 年に戦略的経済対話が実施され ワーキンググループを設置しての定例化が合意された 中印経済協力は 国際経済秩序に関する共同姿勢 マクロ経済や金融 貿易 投資促進 インフラ整備など多岐にわたっている その中でエネルギーについては 石油 ガス探鉱開発における協力 電力分野 ( 中国による電力設備の輸出 風力発電 小水力の共同研究 ) および省エネ等の協力分野が重視されている 47 中国-パキスタンでは パキスタン側の電力インフラ整備への支援 再生可能エ 45 Shanghai Cooperation Organization ホームページ 46 Robert Cutler China Deepens Energy Cooperation in Central Asia The Central Asia- Caucasus Analyst 2013 年 5 月 3 日および China, Kazakhstan to promote trade and energy cooperation 新華社通信 2013 年 9 月 7 日 47 インド外務省 Agreed Minutes of the 2nd India-China Strategic Economic Dialogue 2012 年 11 月 26 日 35

44 ネルギー開発 原子力等で協力が進んでいるが 国際連系構想は現在のところ検討されてはいない 48 ラオス カンボジア ミャンマー タイ カンボジアの東南アジア 5 カ国との間では 1992 年以降 Greater Mekong Subregion(GMS: 大メコン圏 ) プログラムを進めている GMS は 経済開発が遅れ貧困率の高い後発社会主義国の経済発展 貧困削減を目的としており 年の 10 カ年戦略的枠組みに基づいて 農業 エネルギー 環境 人材開発 投資 通信 観光 貿易 輸送等のプロジェクトが実施されている 49 エネルギー分野の重点課題として 商業エネルギーの普及(access to modern energy) と 地場の再生可能エネルギー資源の活用が盛り込まれている 具体的には 域内 ( メコン川流域に加えて中国の雲南省 広西チワン族自治区 ) の水力発電開発と地域電力取引を促進することが 2002 年に合意され Regional Power Trade Coordination Committee を設置して定期的に行動計画の策定とプログラムの進捗管理が行われている モンゴルは ロシアと中国の間に位置し豊富な鉱物資源を有している ソ連崩壊後 1994 年に中国とモンゴルは友好協力協定を締結し 以降関係を強化して 2011 年 6 月には戦略的パートナーシップを確認した 2014 年 1 月に両国首相の間で合意された経済協力には 中国によるモンゴルの銅鉱山開発支援 具体的には モンゴルの石炭資源を活用した発電施設建設と銅精錬に必要な電力供給 さらに中国企業の参画によるモンゴルの電力インフラの近代化 増強及び風力 太陽光 / 熱発電 原子力の平和利用 中国向け電力輸出等が含まれている 50 またこれに先立つ 2013 年 5 月にはモンゴル石油開発局と中国海洋石油総公司 (CNOOC) との間で 石油供給におけるモンゴルの対ロシア依存軽減のため モンゴル産原油と中国製石油製品のスワップ契約が合意された モンゴルに対しては中国とロシアが影響力を競っている面があるが 2013 年 5 月に開催された中 -モンゴル政府間協議では 中- 露 -モンゴル 3 カ国による鉄道 道路及び石油 天然ガス エネルギープロジェクトを模索していくことが合意された 51 2 相互依存関係上記のとおりメコン圏及びモンゴルとの間で国際連系が進んでいる 中国とメコン圏の他の構成国の関係は 中国が圧倒的に優位であるが 開発の遅れている雲南省 チワン族自治区の開発を進めることは 中国の政情安定化に資する 他方モンゴルについては 自国の鉱物資源開発を進めると共に付加価値ビジネスを育成したいモンゴルと 投資先として期待する中国という相互依存関係が成立しているといえる 3 国際連系線を通じた外交関係改善の意図モンゴルとの国際連系については 外交的な意図が強く働いていると考えられる すなわち 歴史的背景からモンゴルにおける反中国感情は強く モンゴルの経済開発を支援することにより 国境を接する隣国が友好的で安定した国になることへの期待は大きいと推測される 48 Pakistan, China agree to bolster ties, boost economic cooperation Associated Press of Pakistan 2014 年 2 月 20 日および Pak, China agree to expand cooperation in economic, defense and energy sectors The Nation(Pakistan) 2011 年 11 月 7 日 49 Asian Development Bank Greater Mekong Sub-region sector activities 50 Mongolian Mining Journal 2014 年 1 月 23 日 51 Mogolia and China agreed to study Mongolia-China-Russia trilateral projects on railway, road, natural gas, oil and energy infomongolia.com 2013 年 5 月 27 日 36

45 第 2 節ロシア 1. 電気事業の概要 (1) 電気事業供給体制ロシアの電気事業は 1992 年 8 月に連邦会社である RAO UES が設立され 独占的に電力供給を担っていた 水力発電設備 送電設備及び研究開発部門等が RAO UES に移管され 70 社に及びエネルギー企業を所有し 40 箇所以上の発電設備を所有していた 2000 年代半ばの需要増に対して発電設備の増強が不十分であったため 2005 年にモスクワ停電を引き起こすに至った その後 RAO UES の再編が 2006 年から着手され 発電子会社 WGC-5 及び TGC-5 が分離され その他の全子会社も 2008 年 1 月までに分離された 最終的に RAO UES は連邦送電会社である Federal Grid Company of Unified Energy System( 以下 UNEG) に吸収された 結果的に 6 社の広域発電会社 14 社の地域発電会社 Rushydro( 水力発電会社 ) ROSATOM ( 原子力発電会社 ) RAO Energy System of the East 及び Inter RAO UES が独立事業体として事業を行なっている このうち Inter RAO UES が電力の輸出入独占権を有している模様であり フィンランド子会社が RAO Nordic Oy である なお送配電部門 原子力発電部門及び水力発電部門は政府の出資関係の下で 株式所有比率が政府系等で 5 割を超える構造が維持されている 一方で火力発電会社はドイツ E.on イタリア Enel 及びフィンランド Fortum や 国内のガスプロムや他の電力会社による買収が進み グループ化が進行している 送配電部門は ROSSETI(JSC Russian Grids) の系列に整理されている 図 1-20 ロシアの電気事業供給体制 発電 Inter RAO( 国際取引 ) 原子力発電会社 (ROSATOM) 発電会社 水力発電会社 (Rushydro) 市場運営会社 (OAO ATC) 送電 系統運用会社 (SO UES) 連邦送電会社 (UNEG) 極東地域 RAO Energy Systems of the east 配電 IDGC ホールディング ( 持株会社 ) 地域配電会社 地域配電会社 小売 供給保証事業者 販売会社 ( 出所 ) 各種資料より日本エネルギー経済研究所作成 37

46 図 1-21 ロシアの政府関係電気事業者の相互関係 Inter RAO Capital 13.93% SO UES ( 送電系統運用会社 ) 100% 13.76% Inter RAO UES 18.57%( グループ ) ( 発電 国際電力取引 ) 4.92%( グループ ) 政府 % JSC Rushydro ( 水力発電会社 ) 74.91% RAO Energy System of East( 極東電力会社 ) 100% 61.7% ROSSETI (JSC Russian Grids) 80.6% JSC FGC UES ( 連邦送電会社 ) 25.09% ROSATOM ( 原子力発電会社 ) 45%~100% 各地域配電会社 14 社 ( 出所 ) 各種資料より日本エネルギー経済研究所作成 表 1-12 ロシア発電会社の所有者 発電会社 最大所有者 (2008 年 ) 最大所有者 (2011 年 ) OGK1 Rushydro InterRAO OGK2 Gasprom Gasprom OGK3 NorilskNikel InterRAO OGK4 E.on E.on, InterRAO OGK5 Enel Enel OGK6 Gasprom Gasprom TGK1 Gasprom, Fortum Gasprom, Fortum TGK2 Sintez Sintez TGK3 Gasprom Gasprom TGK4 Kvadra Kvadra TGK5 IES IES TGK6 IES IES, InterRAO TGK7 IES IES TGK8 Lukoil Lukoil TGK9 IES IES TGK10 Fortum Fortum TGK11 SUEK, Lukoil InterRAO TGK12 SUEK SUEK TGK13 SUEK SUEK TGK14 Energopromsbyt Energopromsbyt RusHydro ロシア政府 ロシア政府 Rosatom ロシア政府 ロシア政府 ( 注 )TGK: 地域発電会社 OGK: 卸発電会社 SUEK: シベリア石炭エネルギー IES: Integrated Energy Sytems ( 出所 )IEA, Russian Electricity Reform 2013 Update: Laying an Efficient and Competitive Foundation for Innovation and Modernisation,

47 ロシアの送電設備は Federal Grid Company of Unified Energy System( 以下 UNEG) が独占的に所有している 保有する送電設備は送電線 124,000km 及び 854 変電所に達する ロシアは 73 の配電地域に分けられており Federal Grid はこれら配電会社や大口需要家へ送電サービスを提供している UNEG は 2001 年の構造改革に伴い 2002 年 6 月に設立され ロシア政府が 79.55% の株式を所有している 2012 年 11 月にプーチン大統領は MRSK ホールディング ( 現 IDGC ホールディング ) が OJSC Russian Grid に改名して現在の 79.55% の保有する株式について金銭授受を介して OJSC Russian Grid に含まれるべきとする政令に署名した 一方で送電系統運用は System Operator of Unified Energy System(SO UES) 市場運営は OAO ATC が担っている 極東地域では RAO Power Systems of the east が極東地域の発電 配電 販売を担っている RAO Power Systems of the east は 2008 年 7 月に設立され連邦政府が株式の 52.68% を所有しており カムチャッカ 沿海州 ハバロフスク アムール マガダン サハリン地域等 ロシアの国土面積の 36% にあたるロシア極東連邦管区で事業を行なっている 図 1-22 ロシア連邦送電会社 UNEG 送電設備所有地域 ( 出所 )UNEG アニュアルレポート 2012 年版 送電系統運用者は前述の通り 2002 年に設立された System Operator of Unified Energy System(SO UES) が担っている ロシア国内は 7 つの需給運用ブロックに分けられており 相互の連系線潮流を管理しつつ需給運用が行われている 極東地域は IPS 東ブロックに所属しており 広域ロシア系統と連系線で結ばれている カムチャッカ地方 サハリン地方 サハ共和国 ( ヤクート ) チュクチ自治管区及びマガダン州は広域ロシア系統と連系は行われていない 39

48 図 1-23 ロシアの需給運用ブロック UES 北西 UES 中央 UES ミドル ボルガ UES ウラル UES 南 UES シベリア UES 東 出所 SO UES ウェブサイト 2007 年 11 月の連邦法 No.250 に基づき 2008 年 4 月より OAO ATC 英語表記は JSC ATS が運営 する卸エネルギー容量市場 WECM wholesale energy and capacity market という名称で卸電力市 場 容量市場及び小売市場が構築されており 卸電力市場及び容量市場は価格ゾーンごとに市場が形成 されているが ロシア欧州地域 ウラル地域が一次価格ゾーン シベリアが二次価格ゾーンとして指定 されており それ以外の極東やカリーニングラード地域等は技術的な理由のため市場形成が困難であり 規制料金で販売が行なわれている 2 Inter RAO 社の概要 Inter RAO UES は RAO UES の子会社で海外との電力の輸出入を独占的に行う会社として 1997 年 に設立された 2008 年にはロシア国外の資産および主に国境沿いにある発電資産を買収すると同時に MICEX および RTS stock exchange に上場した Inter RAO UES の取締役会会長は Igor Sechin 氏 副会長は Domitry Shugaev 氏が務める Inter RAO UES は社員 47,000 人 5 つの部門を持つ 発電部門ではロシア国内の火力発電所を中心 とした発電資産 2013 年末現在 46 の火力発電所 13 つの水力発電所 2 つの風力発電所 およびロ シア国外の発電資産を保有する 発電能力は 33.4GW 発電量は 148.7TWh ロシアの発電量の約 15% を占める 送電部門はロシア国外のグルジアとアルメニアの送電線網を保有し 総延長は 34,265km と なっている 電力販売部門はアゼルバイジャン ベラルーシ グルジア 南オセチア カザフスタン 中国 モンゴルの電力会社に電力を販売し 輸出電力量は 2013 年実績で 18.4TWh 輸入電力量は 2.6TWh である その他にトレーディング部門 エンジニアリング部門を持つ 2012 年の売上は billion RUB EBITDA は 26.5 billion RUB Inter RAO UES は の 4 年間に 4,036MW の発電所の新設および近代化を計画している そ 40

49 れぞれの発電所は 13-14% の IRR 15 年の投資回収を計画しており この期間の投資総額は 60 億 US ドルに上る また発電事業者からの発電所の買収も計画している 長期計画としては 2020 年に向けた Vision を発表している それによると 2020 年までに発電能力を 40GW まで拡大し 世界有数のエネルギー事業者となることを目指している その実現にあたってはロシアのエネルギー政策に沿った多様化した資産の形成と 株主に対する確実な利益実現の両立を目指している 図 1-24 Inter RAO 社の社内部門 ( 出所 )Inter RAOInvester presentation, October 2013 Inter RAO UES は現在ロシアからの電力輸出入事業に関して独占的な立場を有しているが これは法律で決まっているわけではなく 他の事業者が電力の輸出入を行おうをすれば可能である ただし電力輸出入事業については契約に関する事項だけでなく 実際の実行能力 市場の規制の対応等が必要になり Inter RAO UES は過去の事業における経験が豊富であることから ロシアでの電力輸出入事業についての優位性を持っている 一方 ロシア国内の送電線の建設 運用については Russian Grid が担当しており Inter RAO UES がロシア国内に自前の送電線を建設する計画は無い 41

50 図 1-25 Inter RAO 社の資産 ( 出所 )Inter RAO ウェブサイト 42

51 2. 電気事業法制 (1) 電気事業関係ロシアの電気事業法は 2003 年 3 月の No. 35-FZ "On the Electric Power Industry" であり 技術的規則は 2002 年 12 月の No.184-Fz On Technical Regulation" 送電部門の自然独占性は 1995 年 8 月の Np.147-Fz"On Natural Monopolies" で規定されている 電気事業法において国際電力取引の規定は 第 6 節卸電力市場第 30 条卸電力市場の機能に関する法的基礎の第 1 項に 電力の輸出入の方法は海外貿易活動の国による規制立法に従って構築されるものとする と規定されているのみで 具体的な電気の輸出入主体とその方法に関する規定はされていない なお独占に関する法律である ON NATURAL MONOPOLIES Federal Law of the Russian Federation No. 147-FZ, Dated August 17, 1995 では 送電部門が自然独占主体として規定されているが 国際電力取引は同規定には含まれていない 送電部門は上記の通り自然独占として位置づけられており 2001 年 7 月の政令 No.526 "On Restructuring the Electric Power Russia" に基づき送電会社 UNEG が設立され 同社は政府からの規制を受ける ロシアエネルギー省 (Russian Energy Ministry) はエネルギー部門の政策及び立法の責任を有している ロシア連邦料金サービス (Russian Federal Tariff Service) は託送料金の設定及び系統連系の技術要件に関して責任を有している 連邦エコロジカル 技術 原子力監督庁 (The Federal Service for Ecological, Technological and Atomic Supervision) は技術的監督を通じた環境保全及び特定活動に関するライセンス発給及び法的遵守の確認について責任を有している 卸エネルギー容量市場 (WECM:wholesale energy and capacity market) は 2007 年 11 月の連邦法 No.250 に基づき 2008 年 4 月に設立された市場運営を行う非営利組織であり 市場の取引インフラの確保 効率的な卸 小売市場関係構築 投資のための魅力的な市場構築を目指すとともに 安定した電力供給とバランスの取れた電力市場構築を目指して自己規制型市場運営を図っている 卸電力市場及び容量市場は RF Government Resolution No.643 of と卸市場取引システム受託契約に従うものとされている 小売市場に関する規制は 2006 年 8 月の Russian Federation Government Resolution No. 530 小売市場規則 ( 電力産業再構築の移行期間における小売市場運営に係る規則の採択 ) に基づく 小売市場は規制料金と自由化料金に分かれており 規制料金は家庭部門に対して必要最小限の費用で決定される 国際連系線の利用に関しては WECM の輸出入に係る全契約の下で送電会社である UNEG が連系線の技術的運用を行っている 国際連系線を介した国際電力取引は Inter RAO が独占的に管轄している これは従来独占的に電力供給を行っていた RAO UES が 2006 年に再編された際に同社に国際電力取引の機能が引き継がれたことに伴うものと考えられる なお電気事業法で言及のあった国際取引に関する連邦法である On the Fundamentals of the State Regulation of Foreign Trade Activity(No. 164-FZ of December 8, 2003) では 第 2 条において電気が商品に含まれるという規定があるのみで 国際電力取引の主体や手法に関する規定は見受けられなかった (2) 国際連系線構築に当たっての各種協定 1 概論グルジアの送電系統運用者である GSE(JSC Georgian State Electrosystem) によると 国際連系線の建設にあたって相手国と締結すべき各種協定は下記の 5 種類である 43

52 建設協定 ( 新規国際連系線のみ ): 送電運用者等の関連する事業者により締結される建設にあたっての協定 国際連系協定 運用協定 : 国際連系線の利用方法に関する送電系統運用者間の協定 電気計測の編成に関する協定 : 電力潮流の計算方法 計測データの交換に関する規則 連系点におけるメータの検査 試験方法に関する協定 政府間国際電力取引協定 : 関係する政府間で締結される協定 商業契約 : 関係事業者で締結 2 技術協定ロシアは国際連系線の運用を行うにあたって関係諸国と技術協定を締結している 2001 年にベラルーシ ロシア エストニア ラトビア リトアニアとの間での同期連系運転に関する協定が締結され BRELL という名称で会議が設置され 定期的に協議が行われている (2013 年の事務局はエストニアの送電系統運用者 Elering AS で 2014 年はロシア送電系統運用者 SO UES が担当している ) またロシアの所属する同期系統 CIS では 1992 年に CIS 協議会 (CIS EPC) が設立され アゼルバイジャン アルメニア ベラルーシ グルジア カザフスタン キルギス モルドバ ロシア タジキスタン トルクメニスタン ウズベキスタン ウクライナが加盟している CIS 協議会では加盟国間でのパートナーシップと協力関係の構築に主眼が置かれており 加盟国の送電系統運用にかかわる技術者のトレーニングや相互協調運用の分析等が行われている 加盟国間調整にかかわる協定は 1992 年 2 月に締結され その後 2007 年 11 月に改定されている 52 国際連系系統の電力品質は同 CIS 協議会の 2007 年ガイドラインで定められており 50±0.05Hz を定常周波数の範囲 53とし 50±0.2Hz を最大定常周波数偏差 54とするよう定められている また 2007 年 5 月に締結された協定 CIS 諸国の共通のエネルギー市場の下で送電系統運用者の相互協調の一般原則 において共通エネルギー市場として協調関係を構築することが規定されている モンゴルとの間では 2008 年に技術的作業に関する協定 情報交換の組織化に関する協定そして同期連系にかかわる監視制御に関する協定が締結されている 中国との間でもアムール川を跨ぐ 500kV 国際連系線の運用にあたって 2011 年に中国東北電力網公社とロシアの送電系統運用者である SO UES そして連邦送電会社 FGC UES の間で技術協定が締結されている ロシア=フィンランド 400kV 送電線利用に関する協定は 下表の通りである 紛争に際して第三国であるスウェーデンの仲裁裁判所に付託することが定められているのは注目される 52 df 53 定常周波数の範囲は大陸欧州で ±0.05Hz であり 同一の水準となっている ( イギリスは ±0.2Hz 北欧は ±0.1Hz) 54 最大定常周波数偏差は大陸欧州で 0.2Hz であり 同一の水準となっている ( イギリス 北欧は ±0.5Hz) 44

53 表 1-13 ロシア = フィンランド国際連系線 (400kV) 利用に係る協定の項目 項目 主要内容 1. 概説 (General) 協定の対象が連系線と連系発電所であることを概説 2. 送電の実行と給電制御 (Transmission implementing ロシア側 フィンランド側の運用 メンテナンスの責任主体を規定 and Dispatch control): 3. ロシア=フィンランド送電線 (Russia Finland Power 対象となる国際連系線を特定化 Transmission) 4. 送電線の運用及び給電の方法 (Power transmission 平常時 緊急時の運用方法 specifications of operation and dispatch control) 5. 送電線への連系 (Transmission Connections) 国際連系線に連系する発電所とその運用について規定 6. 計測 (Telemetry, Protection, Automatics, Metering 計測対象となる設備と情報保護について規定 Devices) 7. 送電 受電の制限 ( Limitations of Transmission / 平常時 緊急における運用限度の考え方について規定 Reception) 8. 利用申込の提出 (Submitting Applications) 連系線利用の申し込みについて規定 ( メンテナンスとの関係等 ) 9. 送電線の給電制御 (Operative Dispatch Control of 制御主体と協力関係について規定 Transmission) 10. 系統操作 ( Planned Switching on Power 系統操作に関する責任と手続きについて規定 Transmission) 11. 平常時接続の際の送電線停止管理 (Disturbance 平常時運用に際して送電線計画外停止時の電源運用等について Management (Clearing the Faults) in the Normal 規定 Transmission Connection) 12. 予備力運用の送電線停止管理 (Disturbance 予備力運用を行っている送電線計画外停止時の運用等について Management (Clearing the Faults) in the Reserve 規定 Transmission Connection) 13. 送電設備の修繕 ( Organization of Repair for 送電設備のメンテナンス時期 維持修繕に関する責任について規 Equipment and Lines) 定 14. 損害の補償 (Compensation of Damages) 協定の義務不実行に対する損害の補償 15. 免除 (Force Majeure) 自然災害等の不可抗力対象について規定 16. 権利及び義務の移転 (Transfer of Rights and 第三者に協定の権利と義務を移転する際の手続きを規定 Obligations) 17. 紛争処理 (Disputes) 紛争処理に際してスウェーデン ストックホルムの仲裁裁判所に付 託することを規定 ( 使用言語は英語 ) 18. 機密保持 (Terms of Confidentiality) 協定の内容は公共の利益に属することを規定 19. 発効条件 (Terms of Agreement) 関係者の署名により発効すると規定 ( 出所 )Agreement on operation of the 400kV Cross-border Connections Between Vyborg Substation(Russia) and Yllikkala/Kymi Substations(Finland) 2009 年 45

54 3 自由化状況 1 概要 前述の通り 2007 年 11 月の連邦法 No.250 に基づき 2008 年 4 月より OAO ATC 英語表記は JSC ATS が運営する卸エネルギー容量市場 WECM wholesale energy and capacity market という名称で卸 電力市場 容量市場及び小売市場が構築されており 卸電力市場及び容量市場は価格ゾーンごとに市場 が形成されているが ロシア欧州地域 ウラル地域が一次価格ゾーン シベリアが二次価格ゾーンとし て指定されており それ以外の極東やカリーニングラード地域等は技術的な理由のため市場形成が困難 であり 規制料金で販売が行なわれている 卸電力市場は規制契約セグメント 自由契約セグメント 一日前市場及びバランシング市場により構成されている 自由契約セグメントは発電会社と小売会社の 間で結ばれる相対取引であり Moscow Energy Exchange が短期相対取引プラットフォームを提供して いる Moscow Energy Exchange は WECM の価格変動に対するヘッジ機能を提供している模様であり 発電会社 小売会社やブローカー等が取引に参加している 規制料金の下での価格は物価スライド方式 により決定され 電力量及び容量はロシア連邦料金サービスの需給予測に基づき卸市場の 35%を超えな い範囲で決定される 自由契約に基づく非規制価格は一日前市場及びバランシング市場を通じて決定さ れる バランシング市場は送電系統運用者である SO UES がプラットフォームを提供している 一日前 市場はで限界価格方式で取引量と価格が決定する 当日の需要予測との乖離は実受渡しの 3 時間前から 行なわれるバランシング市場を通じて調整される 2008 年 6 月から運用されている容量市場はロシア 連邦料金サービスの需給予測に基づき取引が行われる 一日前市場と同じ供給曲線が用いられる 卸 売市場参加者はロシア連邦料金サービスの需給予測の範囲内で入札量を提出することができ 各価格帯 の供給事業者は供給力確保義務の共同責任を負うとされている 図 1-26 ロシアにおけるエネルギー市場価格エリア NON-PRICE AREAS (areas with a regulated wholesale market) Kaliningrad and Arkhangelsk Regions, Komi Republic, the Far East PRICE AREAS (areas with a liberalized wholesale market) European Russia and Urals ISOLATED + Siberia REGIONS 出所 Moskow Energy Exchange, The Importance of the Electricity Industry and the Interrelation of Markets within the Fuel and Energy Complex 46

55 図 1-27 ロシアにおける容量市場価格エリア 出所 IEA, Russian Electricity Reform 2013 Update: Laying an Efficient and Competitive Foundation for Innovation and Modernisation 図 1-28 ロシアの卸電力取引スケジュール 運用日(X) 取引日(X-1) X-7日 受け渡しに伴う清算 発電会社 入札 入札 発電計画 取引結果 価格 量 発電 価格入札 オークション DAM 発電計画 一日前市場 競争市場 OAO ATC 入札 バランシング市場 SO UES 支払 計量デ ータの 収集 受け渡し に伴う支 払 予備力 取引結果 価格 量 消費 支払 小売会社 出所 Inter RAO 2 国際連系線との関係 国際連系線を介した電力輸出入はまず運用日 2 日前に送電系統運用者へ輸出入計画が提出される 前 日卸電力市場での取引結果に基づき修正された輸出入計画が輸出入事業者に戻される 国際連系線を介した卸電力取引が卸電力市場を反映するか否かは 取引相手の国との協定に基づく 47

56 例えばフィンランド ロシア間では 2003 年 1 月に商業的利用が開始された 400kV 送電線の予約は電 力市場参加者に開放され 15 万 kw を Sempra Energy Europe Limited が確保し 5 万 kw を Vantaan Energia Oy が確保し Norsk Hydro ASA が 30 万 kw RWE Trading GmbH が 5 万 kw 確保した 2003 年 12 月時点では OstElektra Gmbh が 10 万 kw RAO Nordic Oy が 25 万 kw 確保している その後 2011 年 8 月に直接電力取引がフィンランド ロシア連系線に適用されることになり 相対 契約に基づく卸電力取引から フィンランドが参加する電力市場 Nord Pool とロシアの卸電力市場の連 携を強める方針となった 当面はロシアからフィンランド方向に市場取引容量 10 万 kw Elspot 容量 を設定した その後 2013 年 1 月に Fingrid とロシアの送電会社の JSC Federal Grid Company of the Unified Energy System は双方向での市場取引が可能となるよう協議が開始されたと公表している 図 1-29 ロシア卸電力市場取引スケジュール X-1 X-2 系統運用者 輸出入計画 系統制約 情報 輸出入計画 輸出入実績 計画の修正 卸電力市場 価格 スケジュー ル 予備力 入札 X 価格 量 の結果 バランシング 市場 計画外潮流分 には バランシ ング市場価格 が適用される 発電会社 相対契約 小売会社 発電会社 小売会社 3 小売自由化 ロシアでは 2007 年から段階的な小売自由化が開始されている IEA によると全体で 120 社の独立小 売事業者が登録されており 配電機能から分離された小売事業者として活動が行われている 同時に保 証供給事業者が自身の供給エリア内で最終保障サービスを提供しており その数は 2012 年時点で 1,000 社以上が登録されている 最終保障供給事業者は地域の規制機関による監督を受けており 規制家庭用 需要家に供給を行っている 最終保障供給事業者は欧州ロシア及びウラル地域で 68% シベリア地域で 45%の対象需要家に供給を行っている 48

57 図 1-30 ロシアにおける小売自由化スケジュール ELECTRICITY 15 % 5 % 10 % 25% 30% Supplies at non-regulated prices 80% 100% 50% 60% From From From From From From From From From GAS 15% 40% 53% 66% 79% European market price 92% 100% From From From From From From From ( 出所 )Moskow Energy Exchange, The Importance of the Electricity Industry and the Interrelation of Markets within the Fuel and Energy Complex 地域 表 1-14 小売事業者の市場シェア (2010 年 ) 最終保障供給事業者 のシェア 独立小売事業者の供給シ ェア 中央 80% 20% ボルガ 75% 25% ウラル 81% 19% 北西 85% 15% 南部 85% 15% シベリア 83% 17% ( 出所 )IEA, Russian Electricity Reform 2013 Update: Laying an Efficient and Competitive Foundation for Innovation and Modernisation,

58 (4) 託送料金 ロシア送電会社 UNEG の所有する送電線の利用料金は エネルギー省の認可に基づく長期投資計画 により想定される UNEG の資産を基に 連邦託送料金サービスという規制機関によって決定される 北コーカサスとスタヴロポリ地方を除く全ての地域が一律の料金となっており 月単位での容量ごとの 料金体系になっている 2012 年 7 月 1 日から 2013 年 6 月 30 日まで 123, ルーブル /MW 月 2013 年 7 月 1 日から 2014 年 6 月 30 日まで 134, ルーブル /MW 月 2014 年 7 月 1 日から 2015 年 6 月 30 日まで 147, ルーブル /MW 月とされている UNEG が実施 予定している 2010 年から 2014 年における地域別送電設備投資計画は下表の通りで ある 人口密度の低い MES East 地域の送電線増強距離が長い点が特徴である 表 1-15 ロシア送電会社 UNEG の投資計画 (2010 年 ~2014 年 ) 投資予定 投資額 MES South 500kV 変電所 6 箇所 330kV 変電所 5 箇所 220kV 変 705 億ルーブル 電所 8 箇所 500kV 送電線 12 ルート (2,396km) 330kV 送電線 5 ルート (696km) 220kV 送電線 10 ルート (699km) MES Center 500kV 変電所 2 箇所 220kV 変電所 2 箇所 750kV 送 704 億ルーブル 電線 1 ルート (285km) 500kV 送電線 7 ルート (1,130km) 220kV 送電線 16 ルート (609km) MES Volga 500kV 変電所 1 箇所 500kV 送電線 2 ルート (546km) 136 億ルーブル 220kV 送電線 1 ルート (129km) MES North-West 330kV 変電所 11 箇所 220kV 変電所 1 箇所 330kV 428 億ルーブル 送電線 8 ルート (909km) 220kV 送電線 1 ルート (253km) MES Urals 220kV 変電所 1 箇所 500kV 送電線 4 ルート 328 億ルーブル (1,021km) 220kV 送電線 9 ルート (651km) MES West Siberia 220kV 変電所 7 箇所 500kV 送電線 2 ルート (298km) 364 億ルーブル 220kV 送電線 14 ルート (1,881km) MES Siberia 500kV 変電所 3 箇所 220kV 変電所 8 箇所 500kV 送 754 億ルーブル 電線 6 ルート (1,726km) 220kV 送電線 8 ルート (1,956km) MES East 500kV 変電所 1 箇所 220kV 変電所 18 箇所 500kV 送電線 2 ルート (946km) 220kV 送電線 15 ルート (3,446km) 931 億ルーブル ( 出所 )UNEG2010 年アニュアルレポート 50

59 4 国際連系線の現状 1 概要 ロシアはフィンランド バルト諸国 ベラルーシ グルジア アゼルバイジャン カザフスタン モ ンゴル及び中国と全体で 126 箇所の国際連系を行っている ベラルーシ ウクライナ及びカザフスタン といった旧ソ連時代から協調関係にあった国々とは 10 箇所を超えて連系を行っているのが大きな特徴 である 特にカザフスタンは 63 箇所と連系箇所が非常に多い 表 1-16 ロシアの国際連系線 2010 年 送電線数 バ ル ト 地 域 南 コ ー カ サ ス 注 電圧水準 kv 輸出 TWh 輸入 TWh 11,035 フィンランド kV 110kV 400 kv ノルウェー kv 500 ラトビア kv 7 リトアニア kv 330 kv 5,106 3 エストニア kv 110 kv 330 kv kv 110 kv 330 kv 750 kv , kv 110 kv 330 kv 500 kv 750 kv ±400 kv グルジア kv 212 1,117 アゼルバイジャ ン kv 330 kv 南オセチア kv 118 アブハジア kv 63 5,051 1,376 1,498 モンゴル kv 220 kv 中国 kv 220 kv 500 kv 983 ベラルーシ 欧 州 距離 km ウクライナ 中央アジ カザフスタン ア 東アジア 110 kv 220 kv 500 kv 注 送電線距離は 220kV 以上 出所 Energy Systems Institute, Development of interstate electric ties (ISETs) and power trading of Russia with neighboring countries, 2012 年 8 月 ロシアは他国と多点連系をしているため 電力潮流の管理は個別送電線ではなく複数の連系線を束ね た インターフェイス として管理が行われている 中国との国際連系は広域連系の一部に含まれてい ない模様で 広域連系に含まれている中国以外の国々とは 10 つのインターフェイスに分けられ 運用 容量が設定されている 51

60 図 1-31 ロシア卸電力市場における国際電力取引インターフェイス 出所 Market Council, Specific Features of Operations by Exporters / Importers in the Russian Wholesale Electricity (Capacity) Market, 2010 年 図 1-32 ロシア 中国国際連系線 ロシア 中国 連系線 出所 Alexey Kaplun, ОАО «РАО ЭС Востока»- Перспективные направлен ия развития электроэнергетики Дальневосточного федера льного округа 52

61 表 1-17 ロシアの国際連系線インターフェイス 輸出入インターフェイス コード 輸出入インターフェイス名 運用容量 (MWh) WIMEAZRB ロシア=アゼルバイジャン WIMEGRKU ロシア (Kuban)=グルジア 20 WIMEGROS ロシア (North Ossetia)=グルジア 0.61 WIMESKAK ロシア 北カザフスタン + Aktyubinsk 2010 年 5 月 1 日から 2010 年 9 月 30 日まで 220 WIMESKAK ロシア 北カザフスタン + Aktyubinsk 2010 年 10 月 1 日から 2011 年 4 月 30 日まで 250 WIMESKAK ロシア 北カザフスタン + Aktyubinsk 2011 年 5 月 1 日から 2011 年 9 月 30 日まで 170 WIMESKAK ロシア 北カザフスタン + Aktyubinsk 2011 年 10 月 1 日 2011 年 12 月 31 日まで 250 WIMESKAK ロシア 北カザフスタン + Aktyubinsk 2012 年 1 月 1 日から 2012 年 4 月 30 日まで 200 WIMESKAK ロシア 北カザフスタン + Aktyubinsk 2012 年 5 月 1 日から 2012 年 9 月 30 日まで 120 WIMESKAK ロシア 北カザフスタン + Aktyubinsk 2012 年 10 月 1 日 2012 年 12 月 31 日まで 200 WIMESKAK ロシア 北カザフスタン + Aktyubinsk 2013 年 1 月 1 日から 120 WIMEZKAC ロシア 西カザフスタン (Aksay) 0.22 WIMEAZRB ロシア 西カザフスタン (Atyrau) WIMEZKUR ロシア 西カザフスタン (Uralsk) 2010 年 5 月 1 日から 2010 年 9 月 30 日まで 30 WIMEZKUR ロシア 西カザフスタン (Uralsk 2010 年 10 月 1 日 2011 年 4 月 30 日まで 50 WIMEZKUR ロシア 西カザフスタン (Uralsk) 2011 年 5 月 1 日から 2011 年 9 月 30 日まで 30 WIMEZKUR ロシア 西カザフスタン (Uralsk) 2011 年 10 月 1 日 2012 年 4 月 30 日まで 50 WIMEZKUR ロシア= 西カザフスタン (Uralsk) 2012 年 5 月 1 日から 2012 年 9 月 30 日まで 30 WIMEZKUR ロシア= 西カザフスタン (Uralsk) 2012 年 10 月 1 日 2012 年 12 月 31 日まで 50 WIMEZKUR ロシア= 西カザフスタン (Uralsk) 2013 年 1 月 1 日から 30 WIMEUKBL* ロシア=バルト諸国 ベラルーシ 160 WIMEUKBL** ロシア=ウクライナ バルト諸国 ベラルーシ 260 WIMEUKRN ロシア=ウクライナ 100 WIMEFINS ロシア=フィンランド WIMEMONG ロシア=モンゴル 1.62 ( 出所 )Регламент покупки/продажи электроэнергии участниками оптового рынка для дальнейшего использования в целях экспорта/импорта в зарубежные энергосистемы 各国との国際連系線の地図は以下の通りである 53

62 図 1-33 ロシア グルジア アゼルバイジャン国際連系線 出所 ENTSO-E 図 1-34 ロシア グルジア国際連系線 出所 GSE, Georgian State Electrosystem Cross-border electricity flows, infrastructure, regulations, contracts & practice, 2012 年 54

63 図 1-35 ロシア アゼルバイジャン国際連系線 出所 Association of the power engineers and specialists of Azerbaijan (APESA)ウェブサイト 図 1-36 ロシア カザフスタン国際連系線 出所 Bishkek Kyrgyzstan, Current Situation and Development of Electricity Sector of the Republic of Kazakhstan, 2007 年 4 月 55

64 図 1-37 ロシア = ウクライナ国際連系線 ( 出所 )ENTSO-E 図 1-38 ロシア = ベラルーシ国際連系線 ( 出所 )ENTSO-E 56

65 図 1-39 ロシア = バルト諸国国際連系線 ( 出所 )ENTSO-E 57

66 図 1-40 ロシア = フィンランド国際連系線 ( 出所 )ENTSO-E 58

67 図 1-41 ロシア モンゴル国際連系線 出所 Mr. P.Tovuudorj, Mongolian National Energy Agenda and Policy Measures: Scope for subregional cooperation, 2013 年 4 月 5 国際連系線とエネルギー戦略の関係 1 ロシアの極東地域におけるエネルギー戦略 ① ロシア極東ガス化構想 1999 年 7 月当時 ロシア東方ガス化構想の萌芽は 1999 年 7 月 24 日付けステパーシン首相 当時 の政令 852 である これが極東ガス化構想の法的根拠となるので 先ずこの政令要旨を下記する 投資金額 総額約 43 億米ドル 内訳 サハリン州約 3 億ドル 沿海地方約 25 億ドル ハバロフスク地方約 15 億ドル 推進主体 ダリトランスガス 極東トランスガス会社 サハリン州の州都ユージノ サハリンスク市に設立予定 当初 ロスネフチ SMNG52 サハリン石油会社 16 ハバロフスク地方行政府 22 沿海地方行政府 10 にて設立予定であったが ロシア政府が 51 の権益出資 を主張した 構想要旨 Phase-1 計画 P/L にて 天然ガス年間約 45 億 輸送を前提 対象 サハリン大陸棚に於けるサハリン-1/2 プロジェクトの露側取り分の天然ガス対象 目的 極東 4 州 サハリン州 沿海地方 ハバロフスク地方 ユダヤ自治州 のガス化 前提 サハリン 1-プロジェクトは 2004 年に天然ガス生産開始 サハリン-2 プロジェクトは 2002 年に天然ガス生産開始を前提 総額 778 百万ドル 59

68 既存天然ガス P/L( サハリン~コムソモリスク間 556km/1987 年建設完了 / 口径 720mm) の年間輸送能力は 45 億m3 この P/L を有効利用し 輸送能力一杯迄使用する事を前提としており ハバロフスク市への天然ガス供給は 2004 年供給開始を想定 新規天然ガス P/L として 大陸側コムソモリスク~ハバロフスク間 470km( 口径 720mm) と サハリン島内に 140km( 口径 530mm) 建設する コンプレッサー ステーションは 大陸側 2 ヵ所に設置する予定 Phase-2 計画 (P/L にて 天然ガス年間計約 140 億m3供給を前提 ): 対象 : 増量分は S-3/ 南キリン鉱区の天然ガスを対象とする 目的 : ウラジオストック地域に対する天然ガス供給 (70 億m3 / 年 ) 供給量: ハバロフスク地方 70 億m3+ウラジオストック地域 70 億m3 P/L : サハリン~ウラジオストック間にて 約 1600km の新規 P/L 建設必要 コンプレッサー ステーションは 計 5~6 ヵ所新設予定 日本側対応 サハリン大陸棚開発にて生産される天然ガスを有効利用して ロシア極東ガス化を計画 ロシア極東の燃料バランスの改善は 日本のエネルギー安全保障にも繋がる 但し 投資規模が大きいので 先ずは F/S 作成に協力する方向で検討 経団連主導の極東案件の一つ 本件の幹事商社/ 伊藤忠 副幹事商社 / 三井物産 上記が東方ガスプログラムの構想要旨であるが 実際には 1999 年当時の油価低迷 (= ガス価格低迷 ) を受け 同構想は進展しなかった 2 ロシアの東シベリア 極東天然ガス発展構想ロシアでは 2007 年 9 月 東シベリア及び極東に於ける天然ガス生産 輸送 供給に関する統一システム構築綱領 ( 通称 東方ガス綱領 ) がロシア政府により策定 承認された 本計画は ガスプロムがロシア産業 エネルギー省指導の下 当初 15 案あったものを 5 年の歳月をかけて集約する形で策定 最終的に フリスチェンコ産業 エネルギー相が 2007 年 9 月 3 日に承認した構想である 東シベリア 極東に 4 つのガス生産センターを創設して ロシア東方を開発する構想であり この構 想の骨子は下記の通りである 東シベリア及び露極東に於ける 天然ガス生産 輸送 供給に関する統一システム構築綱領 ( 通称 露東方ガス発展綱領 ) 概要 露東部地域のガス開発は 次の四つの天然ガス生産センターを形成することを基盤とする 60

69 (1) サハリン大陸棚をガス供給源とするサハリン ガス生産センター : サハリン島 ハバロフスク及び沿海地方 ユダヤ自治州へのガス供給 並びにアジア太平洋諸国への PNG 及び LNG の輸出 (2) チャヤンジンスコエ鉱床をガス供給源とするサハ ( ヤクーチャ ) 共和国ガス生産センター : サハ ( ヤクーチャ ) 共和国南部とアムール州のガス化 並びに環アジア太平洋諸国への PNG 及び LNG の輸出 (3) イルクーツク州の鉱床 ( 注 : コビクタ ガス田中心 ) をガス供給源とするイルクーツク ガス生産センター : イルクーツク州 チタ州及びブリヤト共和国の産業地帯のガス需要を満たし 必要に応じ ( ガスプロムの全国 ) 統一ガス供給網へガス供給を行う (4) クラスノヤルスク地方のガス鉱床 ( 注 : 現在未探鉱 ) をガス供給源とするクラスノヤルスク ガス生産センター : クラスノヤルスク地方のガス需要を満たし 必要に応じ ( ガスプロムの全国 ) 統一ガス供給網へガス供給を行う サハリン州及びハバロフスク地方のガス化は 初期段階ではサハリン-1 プロジェクトのガスで 既存のガス輸送網も利用する形で実現される 沿海地方への供給及び中国と韓国への輸出用として サハリン~ウラジオストク天然ガスP/Lを建設予定である また ハバロフスク地方にガス化学工場の建設が予定されている ロシア極東への PNG の供給及び輸出増大に伴い サハリン-3プロジェクト及び他の有望な鉱床が開発 生産開始予定となっている サハリン-2プロジェクトの LNG プラントの二系列が完成後 960 万トン / 年の LNG を環アジア太平洋地域に輸出することになるが 同地域に於いては将来 更に LNG 生産設備の追加建設も計画されている ガスプロム関係者に拠れば チャヤンジンスコエ鉱床開発 生産開始は 2016 年 コビクタ鉱床開発 生産開始は 2017 年になり得るが これは外国の需要家の購入時期や露国内のガス需要次第になるので流動的である 綱領策定時に於けるロシア東部のガス需要 及び輸出量前提は以下の通りである 表 1-18 綱領策定時のロシア東部ガス需要 輸出量の前提ロシア東部地域の国内需要 ( 年間 ) 輸出量 ( 年間 ) 2020 年 2030 年 2020 年 2030 年既存の需要推移 270 億m3 320 億m3アジア太平洋諸国 (LNG) 210 億m3 280 億m3ガス化学分を加算 410 億m3 460 億m3韓国 中国 (PNG と推定 ) 250~500 億m 年迄に生産に必要な埋蔵量を確保すべく 探鉱作業に 2,900 億ルーフ ル (115 億ドル ) の資金投入が必要 またガスプロムの試算によると ガスの計画生産量及びガス化学産業を構築する為には 1.3 兆ルーフ ル (510 億ドル ) の資金が必要 プログラムを完全に履行するためには 2030 年までに地域のガス産業に総額 2.4 兆ルーフ ル (941 億ドル ) を投入する必要がある 一方 このプログラムが計画通りに実行された場合 2030 年迄のロシア政府 ( 国庫 ) の収入が

70 兆ルーフ ル (1,498 億ドル ) 以上になる このプログラム推進における国家の役割 ( 支援 ) としては 先ず 地下資源開発者 ガス需要家 及び金融機関に対するビジネス環境作りである これは価格設定 資源利用 税制 タリフ 輸出 地域発展 技術革新及び省エネ分野における政策を決める法整備である その中でも 国家支援の優先的な課題としては 1ガス分野のインフラ構築 2 市場原理に基づく価格形成 3 輸出ルート ( 注 : 輸出者 ) 一本化を原則とする法整備である ロシア東部に於ける ( 地下資源利用 ) ライセンス政策は 露のエネルギー安全保障 国家主権の基盤維持 及び国際条約の義務を履行する原則を基盤にする ロシア産業エネルギー省は この 東方ガス化綱領 の対象になっているチャヤンジンスコエ鉱床及び一部のサハリン大陸棚の鉱床を 戦略的鉱床 に位置付ける要請を作成し ロシア露天然資源省に提出している ( 注 : 戦略的鉱床 に位置付けられた場合 外資の権益が 50% 未満に制限される ) 尚 ロシア天然資源省は現在 原油埋蔵量が 70 百万トン / 天然ガス埋蔵量が 500 億m3以上を有する陸上鉱床 及び露大陸棚に位置する全ての鉱床を 戦略的鉱床 に位置付ける地下資源法改訂案を準備中である ( 当時 ) 図 年 3 月現在のロシア極東における天然ガス産業建設構想 ( 出所 : 62

71 ③ プーチン大統領のロシア極東発展構想概観 プーチン首相 当時 はロシア議会にて 2012 年 4 月 11 日 プーチン首相在職 4 年間の総括とも言え る最後の演説を行った 発言要旨は下記 5 点である ① 人口問題解決 ロシアでは人口が減少している ② ロシア東シベリア 極東の重要性を強調 ③ 新規雇用の増大 中産階級の形成 ④ 経済基盤の強化 ⑤ CIS 諸国の再統合強化 関税同盟 経済統合 プーチン大統領の意を受けて ショイグ非常事態相 モスクワ州知事に任命 が 2012 年初頭 ロシ ア東シベリア 極東開発公社設立構想を発表した55 ショイグ非常事態相の東シベリア 極東開発会社設立構想に続き ロシア経済発展省は同年 4 月 20 日 東シベリア 極東の 16 連邦構成主体 ロシア面積の 6 割以上 に特別法を適用して 天然資源開 発促進を目指す ロシア連邦東シベリア 極東開発法案 を策定した 一方 ロシアのメドベージェフ首相は極東開発公社設立には批判的見解を示しており 同構想を巡っ ては ロシア大統領府とロシア首相府が対立する構図となっている56 プーチン大統領の危機感は ロシアにおける原油 天然ガス生産量が今後伸びない点にある 先ず ロシア連邦発足時から 2013 年までの原油 天然ガス生産量を概観したい ロシアにおける原油 天然ガス生産量は下記の通りである 図 1-43 ロシア原油 天然ガス生産量推移 ロシア原油 天然ガス生産量推移 原油 単位 百万トン 天然ガス (10億 ) 年1996年1997年2000年2005年2008年2009年2010年2011年2012年2013年 出所 ガスプロムやロシア連邦統計庁資料より編纂 Kommersant, Vedomosit,

72 次に プーチン新政権のエネルギー戦略を概観する ロシアではメドベージェフ新内閣が 2012 年 5 月 21 日にプーチン新大統領に承認され誕生 翌 5 月 22 日にはロシア大統領府幹部人事が発表された 5 月 21 日まで大臣であった要人の多くが大統領府に移動したが エネルギー管掌のセーチン前副首相はロスネフチ社長に就任した ロスネフチの国営持株会社であるロスネフチガスの取締役候補にも推挙され その後 同社会長に就任した 新内閣では メドベージェフ首相側近のドヴォルコビッチ副首相がセーチン前副首相の後任として エネルギー管掌となった ドヴォルコビッチ副首相は国営企業の民営化を推進する意向と言われている ロシアでは 2012 年 6 月 8 日 セーチン氏の呼びかけでロシア主要石油会社が招集され 石油クラブ 設立が決定した 2012 年 6 月 15 日にはロシア大統領令にて 大統領直属の諮問機関として ロシア燃料 エネルギー産業戦略的発展 環境委員会 創設が発表された 委員長はプーチン大統領その人であり 事務局長にはイーゴリ セーチン / ロスネフチ社長が就任した 年 5 月に誕生したプーチン新政権のエネルギー戦略は下記の通りである ロシアの 2012 年期首予算案はバレル $100 前提 期中で $115 に上昇修正した $100 以上の国庫収入は全額 露準備基金に繰り入れる予定だが $100 を割ると 予算執行に支障をきたす ( プーチンが選挙公約を全て実行するためには 油価 $150 必要と WSJ 紙は報じている ) ちなみに 2011 年のロシア石油産業の収入は 3400 億ドルとなり ロシア GDP の 18.3% になり ロシア国庫歳入の 11.7% を占め この傾向は今後も拡大するとのことである 58 ロシア経済は油価以外 もう一つの問題を抱えている それは 天然ガス輸出価格と輸出量である 油価下落は油価連動ガス輸出価格の下落に直結する ガスプロムが発表している ロシアから欧州向け天然ガス輸出量として発表されている数字は 中央アジア産天然ガスの再輸出量や ガスプロムの子会社ガスプロム エクスポルト等が欧州で取引している天然ガスも含む グロスの数字である しかし ロシア産天然ガスの P/L 輸出量は 2009 年度以降 減少した ロシアから欧州向け天然ガスパイプライン ( 以後 P/L) 輸送能力 ( 年間約 2500 億m3 ) に比し P/L 稼働率は約半分となり 経済的には 新規サウス ストリーム ( 年間輸送能力 630 億m3 ) 建設は不要ということを意味する 西シベリアの既存ガス田のガス生産量は既に減少しており 今後の新生産地はヤマール半島中部のボヴァネンコ ガス田に移る 2008 年 12 月着工した ボヴァネンコからウフタ迄の 1 本目の幹線 P/L は 2012 年 5 月完工した 6 月末には天然ガス輸送開始予定であったが 実際には 2012 年末に輸送開始となった 2 本目の P/L も建設中である 2017 年には同ガス田の年間生産量は 1150 億m3となり 既存西シベリア ガス田の減少分を補う予定である 59 一方 欧州のガス需要が伸び悩むなか ロシアの中国向け天然ガス価格交渉も頓挫した 2012 年 9 月開催の APEC-12 を視野に入れて建設したサハリン~ウラジオストク天然ガス P/L は流すガスが現状存在しない 57 ロシア大統領令 # , 58 RusEnergy, RusEnergy,

73 図 1-44 ロシアの天然ガス P/L 網 ( 出所 ) ガスプロム 次に プーチン ロシアは今後どのようなロシア極東発展構想を展開するのか述べる ロシアのプーチン大統領は 2012 年 5 月 本人としては第三期目のロシア大統領に就任 その後 2012 年 12 月 12 日に第三期目最初の大統領年次教書を発表した 60 先ず プーチン大統領の 東方発展構想 に言及した部分は下記の通りである 21 世紀には ロシア発展のベクトルは東方に向かいます シベリアと極東 -これは嘗てロマノソフ氏 ( 註 : モスクワ大学創始者 ) が述べている如く 我々の巨大な ( 発展 ) 潜在力です 我々は今こそ 東方発展を実現しなければなりません 東方発展こそ 世界で最もエネルギッシュ 且つダイナミックに発展している地域たる環アジア 太平洋諸国において 露が然るべき地位を占める可能性に他なりません つい最近 ( 註 :2012 年 11 月 29 日 ) 開催された国家評議会総会にて 我々はザ バイカル及び極東地域における具体的な経済発展策を検討しました 何を協議したかはここでは繰り返しませんが 魅力ある生活条件を創出することで合意しました 政府は 2013 年第 1 四半期末までに 新規参入企業用暫定免税措置やエネルギー インフラ発展計画等々を含む詳細な対策案を策定することになっております 尊敬する同僚の皆様 我々は必ずこれを実現しなければなりません 細心の注意を払って本件に臨むよう お願いします 更に 政府の皆様には ( 飛び地の ) カリーニングラード州長期発展計画策定もお願いします 彼の地では 2016 年に経済特区法が失効してしまいますので 我々は道路建設においては真の突破口が必要です 今後 10 年間に 道路建設を最低でも 2 倍拡張 60 ロシア大統領府 に全文が発表されている 65

74 する必要があります 色々な試算がありますが 道路建設倍増必要との試算は正鵠を射ていると思います 最優先順位の発展課題 それは 地域間航空 海港 北洋航路 バム鉄道 ( 註 : 第二シベリア鉄道 ) 幹線シベリア鉄道 その他トランジット回廊の整備です これら全て 単に考えるだけではなく 真摯に作業を続けることが必要なのです 我々にはロシア全土を統一的に接続する輸送手段を確保することが 言葉の真の意味において必要なのです 上記のプーチン大統領年次教書の中に 東シベリア 極東では今後何をしなければならないのか明示されている 広大な国土を東西南北統一的に接続する輸送インフラ整備の必要性が強調されており 特に道路 鉄道 海港整備が最優先課題として言及されている 東シベリア 極東発展が対中関係を視野に置いていることも否定できない 北洋航路開拓の重要性も謳われている 北洋航路は将来 現在構想中の北極圏ヤマール半島の LNG を北洋航路にて環アジア 太平洋諸国に供給する 必要不可欠の航路となる この大統領年次教書の中では原油 天然ガス P/L 建設が言及されていないが それは既に決定済み事案である 天然ガス P/L 建設に関しては ロシアの国営ガス会社ガスプロムは 2012 年 10 月末 極東サハ共和国 ( ヤクーチャ /Y) からハバロフスク (K) 経由ウラジオストク (V) までの天然ガス P/L( 通称 YKV P/L) の建設推進を発表した 天然ガス供給源は極東サハ共和国のチャヤンダ ガス田と 将来的には東シベリアのコビィクタ ガス田を想定している サハリン (S) からハバロフスク (K) 経由ウラジオストク (V) までの天然ガス P/L( 通称 SKV P/L) は 2011 年 9 月に全面稼動済みである ちなみに YKV P/L は極東サハ共和国のチャヤンダ ガス田を天然ガス供給源と想定しており SKV P/L はサハリン島沖合のサハリン海洋鉱区を供給源と想定している 西シベリアでは ソ連邦時代に探鉱 開発された原油 天然ガス鉱区の生産量が減少している 且つ ガスプロムは欧州ガス市場にてシェア低下しつつある 欧州市場のガス輸入に占めるロシア産天然ガスのシェアは 10 年前は約 50% であったが 2012 年現在では約 30% に減少している このため東シベリア 極東開発の必要性と 新規市場としての環アジア太平洋諸国市場の重要性が増大している 66

75 図 1-45 露ガスプロムの天然ガスパイプライン網構築構想 ( 注 1)1 ソビンスコエ ガス田 1700 億m3 2コビクタ ガス田 2 兆m3 3チャヤンダ ガス田 1.2 兆m3 5 サハリン海洋鉱区サハリン1&2/ 計 9000 億m3 ) ( 注 2) 実線 : 既存天然ガスP/L 破線: 構想中 ( 出所 ) ガスプロム 参考までに原油 P/L に関し 略述する 東シベリアのタイシェットからロシア極東原油出荷基地コズィミノ港までの東シベリア 太平洋 P/L( 略称 ESPO P/L) は 2012 年 12 月 25 日に全面稼動開始して 既に西シベリアと東シベリア 極東の原油を輸送 出荷している ロシア極東コズィミノ港からの原油出荷能力は現行年間 30 百万トンだが 最終的には年間 50 百万トン出荷を目指す ちなみに 極東原油出荷基地コズィミノ港からは 2010 年と 2011 年には約 15.3 百万トン 2012 年には約 16.3 百万トン 2013 年は 21.3 百万トンの原油が出荷されている 今年 2014 年の予測は 22.0 百万トンである 尚 東シベリアの主要油田はロスネフチのバンコール油田 ( クラスノヤルスク地方 ) スルグートネフチガスのタラカン油田 ( サハ共和国 ) 及び TNK-BP のベルフニェ チョンスク油田 ( イルクーツク州 ) である 付言すれば この ESPO P/L には途中の分岐点スコボロジノから中国大慶に向かう原油 P/L が建設されており 2011 年より年間 15 百万トンの ESPO 原油が供給されている 近い将来 対中原油供給量は年間 30 百万トンに増量予定ゆえ ESPO P/L の総輸送能力は年間 80 百万トンに拡張されることが想定されている 参考までに 極東コズミノ港からの原油出荷量と主要出荷先 ( 上位 5 カ国 ) は下記の通りである 61 年度出荷量主要出荷先内訳 ( 小数点第一位 4 捨 5 入 ) 2010 年 :1,530 万トン日本 30% 韓国 28% 米国 16% タイ 12% 中国 8% 2011 年 :1,520 万トン米国 27% 日本 19% 中国 18% 韓国 13% フィリヒ ン 9% 2012 年 :1,630 万トン日本 31% 中国 24% 米国 18% フィリヒ ン 7% タイ 7% 61 PLATTS OILGRAM NEWS,

76 2013 年 :2,130 万トン日本 36% 中国 23% フィリヒ ン 7% シンカ ホ ール 6% 米国 6% 2014 年予測 :2,200 万トン出荷当初は西シベリア産原油の割合が多かったが 東シベリア 極東の原油鉱区開発が進むにつれ 東シベリア 極東産の原油の割合が増大してきた 4 極東 LNG 構想天然ガス P/L による対欧州向け減少に対抗するもう一つの政策が LNG 輸出の拡大策である プーチン大統領は ガスプロムによる天然ガス生産と輸出独占に競争原理を導入し ロシアの天然ガス輸出市場の多様化を視野に入れている これを受け 2013 年 12 月には ガスプロムの LNG 輸出独占は崩壊した 東シベリア 極東を新規探鉱 開発して 原油 天然ガスの増産を図る一方 LNG 輸出を自由化して ロシア天然ガス産業を活性化する これが 同大統領の意図である 日本を含む東南アジア市場を主眼としたロシア LNG 構想は 下記 3 構想が競合している Gazprom/Vladivostok( ウラジオストク )LNG 構想 : 第 1トレーン (2018 年 )5 百万トン Okhotsk 海 S-3Kirin 鉱区第 2トレーン (2020 年 )5 百万トン同上 (S-3 南 Kirin 鉱区を含む ) 第 3トレーン (2025 年 )5 百万トン Sakha 共和国 Chayanda ガス田 Rosneft/ 極東 LNG 構想 :Okhotsk 海 S-1Chaivo 鉱区 5 百万トン (2018)( 275 万トン Vitol/125 万トン丸紅 /100 万トンソデコ ) Novatek/Yamal LNG 構想 ( 計 16.5 百万トン ): 北極圏 Yamal 半島南 Tanbey 鉱区第 1トレーン 5.5 百万トン (2017 年 )(3 百万トン中国 /2.5 百万トンスペイン ) Novatek は 2013 年 12 月 18 日 最終投資決定 (FID) を発表 上記 3 構想の内 Yamal LNG 構想が先陣を切って最終投資決定を発表した EPC (Engineering Procurement Construction) は仏 Technip と日揮連合が受注した 上記以外に Gazprom のサハリン-2LNG プロジェクト / 第 3 トレーン増設構想もあり Gazprom は Shell と同構想を進めている 68

77 2 国際連系線との関係 ロシア極東地域は人口密度が低いこともあり 未だ孤立系統も多い疎連系な状態にある ロシア極東 地域の需給運用ブロックである UES 東地域の送電系統は 比較的人口密度の高い中国北東部との国境 近辺や ハバロフスク及びウラジオストック等の主要都市を結ぶ形で 500kV 送電線及び 220kV 送電線 が敷設されている ロシア極東地域では中国への輸出能力の増強を目的としたアムール ロシア国際連系線に合わせて 500kV 系統の増強を進めていると共に 沿海州の水力発電所とハバロフスクの連系や沿海州南部の電力 品質向上を目的とした 500kV 送電線の建設が進められている このように 極東地域の開発とともに 地域内の送電系統増強が進められており 連邦送電会社 UNEG が構想するような沿海州を経由した韓 国への輸出ルートが確保されつつあるが あくまでもロシア国内の電力需要に見合った系統強化であり 韓国と国際連系を行う場合にはそれに応じた新規送電線が必要である模様である 図 1-46 ロシア人口分布 69

78 図 1-47 ロシア極東地域の送電系統 黄色が孤 立系統 220kV 500kV 出所 JSC RAO-ES Vostok, Russian Far East Energy Sector Development until 2025, Involvement of Foreign Partners, 2012 年 8 月 図 1-48 ロシア極東地域の送電系統増強計画 2014年220kV送電線増強 220kV 500kV 220kV送電線建設 ヤクート地域とUES東の接続 火力発電所 水力発電所 2017年500kV送電線増強 既設送電線 沿海 ハバロフスク500kV送電 線建設 沿海州の安価な水力発電所を ハバロフスクへ供給 建設中送電線 2013年500kV送電線増強 アムール ハバロフスク 水力発電所 アムール川500kV 送電線増強 中国への輸出能力強化 2016年500kV送電線増強 水力発電所 アムール川第2 500kV送電線増強 中国への輸出能力強化 2014年500kV送電線増強 沿海州南部500kV送電線建設 電力品質の向上 出所 А.А. Каплун JSC RAO-ES Vostok, Russia Russian Far East Energy Sector Development until 2025, Involvement of Foreign Partners 2012 年 8 月 70

79 図 1-49 ロシア送電会社広域連系構想 出所 UNEG Russian Transmission Grid: Present and Future, 2012 年 2 月 6 近隣諸国とのエネルギー協力の現状 本項では ロシアの地域的エネルギー協力の現状について ①電力取引の基盤となり得る地域的協力 枠組みに参加しているか ②潜在的な電力取引相手国 但し西欧 CIS 諸国は除く との間で 戦略的 物資に関する相互依存関係を築いているか ③近隣国との関係に関する懸案事項を 国際連系線を通じ て改善 解決を図ろうとの意図を有しているか という 3 つの切り口から整理する ① 地域的協力枠組み ロシアは 日中韓とともに ARF APEC といったアジア太平洋地域協力枠組みに参加しているほか 中国および中央アジア諸国と共に上海協力機構 SCO を立ち上げている 但し SCO は中国が主導 する枠組みであり また中央アジア諸国は 自国の石油 ガス資源輸出経路としてロシアを経由しない パイプラインを建設するなど 対ロシア依存低減を志向していることもあり SCO へのロシアの関与は それほど深くない ロシアが最も注力しているのはアジアの石油 ガス消費国 中国 韓国 日本 と の関係強化であり SCO も ロシアにとっては対中国関係強化を図るうえでのツールの 1 つとなって いる 中露関係は 歴史的には協調よりも対立の時期の方が長かったが 1989年に外交関係を正常化し 1991年には東部国境を画定させるなど 旧ソ連の末期から関係改善が進んだ その後1996年には 21 世紀に向けた戦略的パートナーシップ を宣言し 2013年3月には習近平国家主席の訪露に際して 全 面的戦略協力パートナーシップを深化させることに関する共同声明 を発表するなど 着実に関係は緊 密化している 2013年3月のプーチン-習近平会談では エネルギー 貿易 技術 軍事分野等での協力深化に向けた 協定が合意され 両国間の貿易を2020年までに2.5倍増させる目標が掲げられた しかし この合意に 71

80 ついては 特にロシアにとって必要に迫られた関係強化であることが指摘されている 62 すなわち ロシアにとって中国は最大の貿易相手国であるが 中国にとってロシアは輸出入のうち1.5~2.5% を占めるに過ぎない 投資面でも ロシアの極東地域の各州において直接投資受入額のうち中国は最大であるが 中国の対外直接投資に占めるロシアの比率は1% に満たない こうした非対称な経済関係のなかでも エネルギーは重要な位置を占めている 現在 ロシアから中国へは 東シベリア太平洋パイプラインを通じた原油輸出とLNG 輸出が行われている また2012 年にロシアのアムール州から中国東北部黒竜江省に向けて電力輸出が開始されたため 黒竜江省の対ロ貿易は前年比で154% 拡大した さらに中国企業がロシア東部地域で水力 火力発電所を建設している一方 ロシアは中国国内で原子力発電所建設を計画しており 中露間のガスパイプライン建設も計画されている しかし 電力取引に関する政府間合意としては 2012 年 6 月に胡錦濤前国家主席とプーチン大統領の間での合意を最後にプーチン- 習近平体制になってからは特段の動きはなく 協力分野としては石油 天然ガスが優先されていることが窺える 2 相互依存関係前述のとおり 中露経済関係は ロシアの側が圧倒的に依存度が高いという意味で不均衡な相互依存関係にある 特に国際連系線を検討する際に重要になるロシア極東地域と中国東北部とを比較すると ロシア側の対中国依存が圧倒的である この背景には ロシア極東地域が 化石燃料や鉱物資源 水力など再生可能エネルギー資源を含めて豊富な資源を有しながらも資本 労働力ともに不足しており かつロシア国内での資本 労働力調達コストが高いことが寄与している 中露の国際連系線を建設し中国向けに電力を輸出することは ロシア極東地域の経済開発にとって有益ではあるが 電力供給源となる水力 / 火力発電所を建設するための資本は中国に依存する可能性が高い ロシア国内では 首都から遠く離れ 人口が希薄で 僅か 20 年前まで中国と国境線を争っていた極東地域に中国資本 中国人労働者が浸透することに 根強い懸念がある 従って ロシア極東地域と中国東北部の間に緊密な相互依存関係が構築されること自体が ( それが均衡のとれた関係であったとしても ) 一定レベルに達した時点でロシア側においてブレーキがかかる可能性も考えられる 3 国際連系線を通じた外交関係改善の意図中露間に充分な相互信頼関係が醸成されていない現状に鑑みると 前述のとおり 中露の 2 国間で国際連系線と発電所を建設して電力取引を活発化させることは 両国政府にとって 関係改善の要因となるよりもむしろ 緊張要因となることも考えられる これを回避するための 1 つの手段が 第 3 国を巻き込んでの多国間の国際連系線の建設であり 既述したロシア-モンゴル- 中国のエネルギー協力 あるいは後述するロシア- 北朝鮮 - 韓国に中国を加えたエネルギー協力が考えられる 62 例えば Russia s partnership with China a matter of necessity EastAsiaForum 2013 年 4 月 17 日なお 1990 年代の中露の関係強化についても ロシア経済が停滞するなかでの東部国境警備に要する軍事費負担軽減 NATO 東方拡大に伴う外交的孤立の打開など ロシア側が中露関係改善の必要に迫られてこれを主導したことが指摘されている ( 出所 ) 三井光夫 露中関係 -ロシアからの視点- 防衛研究所紀要 1998 年 11 月 72

81 第 3 節韓国 1. 電気事業の概要 (1) 概要韓国の電気事業は 国有企業の韓国電力公社 (KEPCO) が発送配一貫により独占供給事業者として事業活動が行われてきたが アジア通貨危機を契機に 1998 年に電力システム改革の実施を決定 2000 年に事業法を改正し 2001 年に経済構造改革の一環として電力自由化が実施された その結果 KEPCO の発電部門は 6 社に分割 子会社化され 残りの送電 配電および供給部門は KEPCO 本体が引き続き保持することになった また 卸電力市場 (KPX) が創設され 独立系発電事業者 (IPP) が参入した さらに 競争市場への移行や市場機能の確保を目的とした韓国電力委員会 (KEC) が設立された 小売部門は KEPCO が独占するシングルバイヤー方式であるが 大口需要家及び共同体エネルギーシステム (CES) は KPX から直接電力の購入が可能となっている 電気料金は 政府が産業政策の観点から値上げ幅を抑え込んでいるため低い水準となっているが その結果 KEPCO は赤字経営に陥っている また 電気料金水準が低い中 最大電力需要は増大を続けており 将来 電力不足に陥る可能性が高くなっている 特に 近年は原発の停止問題の影響もあり供給予備率が低い水準で推移している (2) 電気事業体制 KEPCO 発電部門は 分割によって一般水力発電と原子力発電を担当する韓国水力原子力発電会社 (KHNP) および揚水発電と火力発電を担当する 5 社 すなわち韓国南東発電会社 (KOSEPCO) 韓国中部発電会社 (KOMIPO) 韓国東西発電会社(KEWESPO) 韓国西部発電会社(KOWEPO) 韓国南部発電会社 (KOSPO) の合計 6 社となり 全て KEPCO が株式を保有する子会社となっている 発電部門には KEPCO の発電子会社 6 社のほか IPP 卸電気事業者( 韓国水資源公社や熱供給事業者等 ) 再エネ事業者が参入している 2011 年の電気事業者の総発電設備容量は 7,934 万 kw のうち KEPCO の発電子会社が 84.5% IPP が 8.6% 卸電気事業者が 2.8% 再エネ事業者が 2.7% と 大部分を KEPCO の子会社が所有している 発電電力量でも KEPCO の子会社が 89.4% IPP が 6.0% 卸電気事業者が 3.1% 再エネ事業者が 1.5% と KEPCO の子会社が大半を占める 送配電部門は KEPCO が引き続き所有 管理しており 小売部門も KEPCO が卸売市場を通じて発電事業者から電力を購入し 一般需要家に販売する構造である 卸売市場は すべての発電事業者 ( 省エネ事業者を除く ) に市場での取引を義務付けた強制市場であるが 卸売市場が創設される前に参入した IPP は 市場への参加が任意となっている 73

82 図 1-50 韓国の電気事業体制 2013 年 7 月末現在 発電 韓国南東部発電 KOSEPCO 韓国中部発電 KOMIPO 韓国西武発電 KOWEPO 韓国水力 原子 力発電 KHNP 韓国南部発電 KOSPO 韓国東西発電 KEWESPO 韓国水資源公社 KOWACO 卸電記事業 IPP 再エネ事業者 発電子会社の株式は全てKEPCO保有 取引所 韓国電力取引所 KPX 送電 韓国電力公社 KEPCO 配電 PPA 長期売電契約 既存契約のみ 実績では電力の購入者は KEPCO以外にいない 小売 需要家 大口需要家 5万kW以上 ほか 需要家 出所 韓国電力公社資料 海外電力調査会 海外諸国の電気事業 に加筆 表 1-19 韓国会社別発電電力量 2010 年 単位 億 kwh 水力 石炭 石油 ガス等 原子力 再エネ他 合計 シェア KOSEPCO % KOMIPO % KOWEPO % % % , % % % 合計 , , , , % シェア 0.9% 40.8% 25.6% 31.1% 1.5% 100.0% KOSPO KEWESPO KHNP KEPCO その他 74

83 図 1-51 韓国の発電設備容量 最大電力等の推移万 kw 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1, 原子力 石炭 石油 LNG 水力 揚水 再エネ 供給力 最大電力 ( 出所 )KPX 資料より日本エネルギー経済研究所作成 2. 電気事業法制韓国ではアジア通貨危機を契機に構造改革を進めており 電力部門についても KEPCO の分割 民営化が実際されたが その結果 2000 年 12 月に KEPCO 再編法 と 改正電気事業法 が国会で可決された この法案にしたがって KEPCO は発電 送電 配電部門に分割されることとなった この時に可決された 電気事業法 :Electric Utility Act が現在 韓国での電気事業にかかる法律の根幹となっている 電気事業法では 基礎的な項目として政府の役割 消費者保護 環境保護にユニバーサルな供給について記載がある また 事業ライセンスにかかる規定 供給義務に加えて 長期需給見通しにかかる記載もある 電気事業に関する法律としてはこの他に 電気設備建設事業にかかる Electrical Construction Business Act 電気技術の開発と効率性にかかる Electric Technology Management Act 電力の安定供給と経済の発展にかかる Electric Source Development Promotion Act 電源設備開発を促進と地域開発に資するための Act on Assistance to Electric Power Plants-Neighboring Areas 再生可能エネルギー促進のための Act on the Promotion of the Development Use and Diffusion of New and Renewable Energy 農村等の電化の進展にかかる Act on the Promotion of Electrification in Agricultural and Fishing Villages エネルギー政策について定める Energy Act 等がある 電気事業は電気事業法に定めるライセンス制で事業を行うことが同法第二章において規定されてお 75

84 り 送電事業者もライセンスを受けたものが事業を行うことができる ライセンス審査の評価基準は技術的 経済的能力を有すること 計画通り事業を遂行することができること 大統領令で定める技術基準を満たすことなどが挙げられている 電力取引市場については 電気事業法第四章 電力市場 第一節に電力市場の形成に関する記載があり 電力取引については 31 条に記載がある 31 条では発電事業者および小売事業者は電力市場において取引を行うべきであると定められている また 電力市場 (KPX) については同章第二節において規定されている 第二節では 電力市場の運用とシステムの運用を目的として KPX の設立が規定されており 法人格を持つものとされている また KPX のメンバー要件としては 発電事業者や小売事業者 地域供給事業者や自家発余剰の供給者などが規定されているが 企業の国籍等について要件はない メンバーでない者の KPX への参加は認められていない KPX が定める市場運用ルールには 電力取引事業に加えて 情報公開や電力システムの運用に関するものからメータの設置 更には 取引の仲裁の役割も法によって規定されている また 特に電力にかかる国際的な取引については 貿易法で示されるものと考えられる 貿易法では商品として可動できるもの ただし外貨や債権 その他外貨取引法に定めるものは対象外とすると定めている また これに加えて電子的な無形財も貿易の対象となっているが 商品としての電気について明確な記述は見られない 3. 自由化状況韓国政府は 1999 年 1 月に 競争導入による効率性の向上や選択肢の拡大による消費者の利便性向上等を目的に 発電 配電部門を段階的に自由化し 英国型の電力市場を創設することを発表 これに基づき 以下のスケジュールの下で 自由化が進められた 1 電気事業法改正および電力セクター改革推進法の制定 (2000 年 12 月 )2 当社の発電部門の分社化と水力 原子力発電会社 (KHNP) 及び 5 つの発電子会社の設立 (2001 年 4 月 )3 韓国電力取引所 (KPX) と韓国電力委員会 (KEC) の設立 (2001 年 4 月 )45 つの発電子会社の民営化計画発表 (2002 年 4 月 ) が実施された しかしながら 2003~04 年にかけて試みられた発電子会社 韓国南東電力 (KOSEP) の株式公開は市場環境の悪化により失敗に終わり さらに 2004 年 6 月 政府は当初予定していた配電部門の分社化 民営化の中止を決定した その後 政府は 発電子会社の当社への再統合を含む電力セクター改革の見直しについて検討を行い 2010 年 8 月 新計画を発表 発電子会社を当社に再統合はせず 当社の子会社のまま市場型公社に移行させ政府の管理下に置くことを決定した 2001 年に実施された電気事業改革を受け給電部門を担当する KPX によってコストベース プールに基づいた強制市場 ( 基本的に発電事業者は全て市場に参加 ) が運営されている なお KPX が設立された 2001 年以前に KEPCO と電力売買契約を結んだ IPP あるいは再エネ事業者は市場への参加が任意となっている 電気事業改革後も KEPCO グループが大きなシェアを占めている 2011 年の総発電設備容量の 84.5% を KEPCO の発電子会社が占めており IPP は 8.6% 再エネ事業者は 2.7% を占めるに過ぎない 電気料金は 発電部門は卸電力市場により市場価格が反映されるが KEPCO の小売料金は認可料金であり 料金改訂には政府の認可が必要である 2004 年までは電力改革により一定の成果が得られたこと 76

85 から電気料金の値下げが実施され 併せて 用途別 料金単価の格差是正が行われた その結果 家庭用の料金が 3 年連続 一般用も 2 年連続で値下げされた これは 電力改革以前の LNG 長期取引契約 ( 産油国との契約 ) などにより燃料価格が一定に抑えられたこと 供給予備力に余裕があったため電力設備の開発費が抑えられたことで 卸電力市場の価格が低下傾向を示したためである 2005 年以降は 燃料価格の高騰や電源開発費の拡大などを反映し 2013 年 1 月までに合計 8 回にわたり値上げが実施されている しかし政府が大幅値上げを認可せず 値上げ幅が小幅に留まったため 2008 年以降 KEPCO の赤字が続いている KEPCO の赤字の原因は購入電力費の上昇であることから 政府は 燃料価格の高騰や為替変動による購入電力費の上昇を小売り電気料金に反映させるため 今後 KEPCO の電気料金に燃料費調整制度を導入する予定である (2013 年 7 月現在 燃料費調整制度は導入されていない ) 図 1-52 韓国の卸価格の状況 ( 左図 : 卸決済価格の内訳 右図 : 燃料コストと SMP の推移 ) ウォン /kwh 120 ウォン /kwh その他 ASP CP SEP SMP BLMP 原子力瀝青炭無煙炭石油 LNG /4 03/4 05/4 07/4 09/4 11/4 0 01/4 03/4 05/4 07/4 09/4 11/4 ( 出所 )KPX 資料より日本エネルギー経済研究所作成 注 :SEP: システム限界価格 CP: キャパシティ ペイメント ASP: アンシラリー価格 77

86 図 1-53 韓国のコスト プールの仕組み KPX コスト プール 発電会社 需要予測 発電費用算定 資本費 ( 年間 ) 変動費 ( 月間 ) 建設費 燃料費 スケジューリング 利用可能容量 リアルタイム給電 発電 配電会社 大口需要家 需要 共同体エネルキ ーシステム キャハ シティ ヘ イメント システム限界価格 ベース電源と一般電源とで価格を形成し 発電会社と決済していたが 2007 年からベース電源価格を廃止 ( 出所 ) 各種資料より日本エネルギー経済研究所作成 図 1-54 韓国の卸価格と電気料金の関係 ( 左図 : 卸取引価格 ( 電源種別 ) 推移 右図 : 電気料金推移 ) ウォン /kwh 250 ウォン /kwh 恒常的に供給費用が販売収入を上回り KEPCO は赤字体質となっている 原子力石炭水力揚水 石油 LNG その他平均 家庭 公共 学校 産業 農業 街灯 平均 卸価格 ( 出所 )KPX 資料より日本エネルギー経済研究所作成 KEPCO の電気料金水準が低いため 冬季は需要家の多くがエアコンで暖房するようになってきてお 78

87 り 冬季の最大電力を引き上げる要因になっている このため 発電所の定期点検期間が春と秋に限定され 電力不足に陥るリスクが高まっている 2011 年 9 月には 多数の発電所が定期点検に入る中 突然気温が上昇し 供給力不足により合計 5 時間に及ぶ輪番停電を実施された こうした状況を打開するため 政府は 2011 年から夏季と冬季にビルの温度規制を実施するとともに 大口需要家に電力需給調整の強化を指示するなど非常時電力需給対策を実施しているが その後も予断を許さない状況が続いている 2011 年 9 月の輪番停電 2011 年 9 月 14 日の最大電力は 5,875 万 kw であった 15 日には気温の上昇と共に予想最大電力 6,400 万 kw であったものが 6,906 万 kw にまで急上昇した ( 前日比 17.5% 増 ) 予想を上回る高需要に対し 揚水発電の稼動と需要側管理 (DSM:( 95 万 kw)) による節電が実施されたが 揚水発電の貯水が無くなったことで周波数が低下し 15:11 から輪番停電が実施され 20:00 に終了した 輪番停電に関する大統領府への情報伝達が輪番停電実施後 1 時間以上経過した後だったこともあり 社会問題に発展した 図 1-55 韓国の 2011 年 9 月需給バランス 万 kw 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 供給予備率 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0 9/01 9/08 9/15 9/22 9/29 0% 供給力設備容量最大電力供給予備率 ( 出所 )KPX 資料より日本エネルギー経済研究所作成 79

88 4. 国際連系線の現状 (1) 国内の電力系統韓国国内の送電設備の基幹系統は 765kV と 345kV で構成されている 765kV は 最大の電力需要地であるソウル等に供給するため 1998 年から建設しているもので 2011 年までに東北部の蔚珍原子力発電所から中北部の新加平 新安城 西北部の新瑞山を経由し西北部の新唐石炭火力を結ぶルートが完成している 345kV は 全国の主要都市と変電所をループ状に結ぶとともに 主要な発電所を系統内に取り込んでいる 済州島と本土の海南間は直流送電 (±180kV) で連系されている 基幹系統は 154kV と 66kV が補完しているが 66kV 線は減少する傾向にある 154kV は 南北協力事業の一環で 2004 年から韓国企業が進出している北朝鮮の開城工業団地まで延びている 当初は高圧配電線 (22.9kV) で同工業団地に電力供給していたが 2007 年から 154kV で供給している 2011 年における電圧別の亘長は 765kV 系統が 835km 345kV 系統が 8,653km ± 180kV 線が 231km( うち海底ケーブルが 193km) 154kV 系統が 21,280km および 66kV 系統が 251km である 各地の送電系統や変電所は SCADA システムで遠隔制御されており 電力の安定供給を確保するため 送配電設備の改良や自動化を進めている 配電電圧は 高圧に 22.9kV 6.6kV が 低圧に 380V および 220V が使用されている 2011 年における配電線の亘長は 高圧配電線が 209,604km( 架空線 178,882km 地中線 30,604km 海底ケーブル 117km) 低圧配電線が 225,945km( 架空線 219,525km 地中線 6,420km) である 80

89 図 1-56 韓国の電力系統 ( 出所 )KEPCO, Annual Report 年 12 月に発表された第 5 次長期電力需給基本計画によると 2010 年から 2019 年までに 765kV 系統 345kV 系統の増強が計画されている 765kV 系統は 779km 345kV 系統は 1,049km 直流送電を 277km 延長する予定 さらに基幹系統を補完する 154kV や配電線についても各地で建設が予定されている また KEPCO はスマートグリッドの整備を進めており スマートメーターを中心にしたスマートグリッドを構築する予定である 済州島においてスマートグリッドに関する実証事業を進めている 81

90 表 1-20 韓国の主要な送電線建設プロジェクト 電圧 区間 Sinanseong-Singapyeong Singgori-Bukgyeongnam 765kV Gangwon-Bukkyonggi Gangwon- SinUljin Seoanseong branch Singapyeong- Sinpocheon Sinpocheon-Sindeokeun Sinchungju branch Gunsan -Saemangeum Bukgyeongnam 1st branch Bukgyeongnam 2nd branch Sinkimhae-Sinnoksan Seonsan branch 345kV Dongulsan branch Sinulsan-Sinonsan Sinyangsan-Dongbusan Sindeokeun -POSCO Sejong branch Sinbupyong#2-Youngseo Gajeong-Sinbupyong#2 Bukkyonggi-Sinuijungbu Bukkyonggi-Sinpocheon #2HVDC Chungnam-southern Kyonnggi DC #3HVDC Sea surface wind power HVDC 亘長 km 運開年 出所 MKE KPX, The 5th Basic Plan for Long-term Electricity Supply and Demand ( より日本エネルギー経済研究所作成 2 国際連系 国際連系について KEPCO はロシア 中国 日本とを結ぶスーパーグリッド構想を検討している KEPCO は 国際的なスーパーグリッド構想を韓国国内の需給ひっ迫問題を解決に資するものであり 電力セクターの輸出を促すことで国内産業の発展を視野に入れた中長期計画として検討している また 参加国にとっては より効率的な電力のやりとりが可能となるとともに 水力やガスなど地域のエネル ギー資源のさらなる活用 風力や太陽光など新エネルギー 再生可能エネルギーの活用を可能とするこ とで更なる成長の可能性をもたらすものとしている 全体計画として1 当該国間でのエネルギー会議 エネルギーWG の発足 2 モデル計画と提案 3 FS 調査の発足 4 投資計画の策定 5 連 系ビジネスの開始 という段取りで検討されている この中では長期の不確実性を考慮したフェーズを 82

91 踏まえた実用的なアプローチ 政府と電力会社を含めた当該国間でのエネルギー会議の発足 技術 経 済 政策の専門家グループの発足を考慮すべき点としている 図 1-57 KEPCO の掲げる北東アジア Super Grid 構想と隣国との連系構想 ( 出所 )KEPCO 資料 KEPCO では隣国ロシア 日本 中国との連系にそれぞれ具体的な狙いを定めて 国際連系の計画を検討している 韓国 ロシア連系は ロシアの豊富な資源の活用 韓国 日本連系は 最も近い国との連系 韓国 中国との連系は多様な連系ルートの確保という狙いを定めている この中で北朝鮮については後述する第二次エネルギー基本計画で示されるように政治的な論点がクリアできればというただし書きで検討している それぞれの計画の進捗段階は以下の表のとおり 表 1-21 KEPCO の隣国との国際連系計画の進捗 連系 論点 内容 計画概要 想定距離:1,000km ウラジオストック 北京畿道 ( 北朝鮮経由 ) 連系システム:HVDC kV 韓国 -ロシア 進捗 2012 年より連系の FS 調査を実施中 韓国 - 日本 韓国 - 中国 検討事項 計画概要 進捗 検討事項 計画概要 進捗 検討事項 ( 出所 )KEPCO 資料より作成 特別区域の通過に係る不確実性 当該三国の合意 想定距離:250km 韓国 北九州市 連系システム:HVDC 500kV 2012 年より連系のプレ FS 調査を実施中 商業ベースでの事業の推進可能性 両国区域での漁協権に関する論点 想定距離:350km 青島 仁川 連系システム:HVDC 500kV KEPCO CEO と中国国家電網議長が WEC2013 で会談 Pre FS を実施 漁業区域での詳細調査 83

92 国際連系の事業推進にかかる具体的なアクションとして 韓国電力と Inter RAO が 2009 年に国際連系について MOU を結んでいる例などがある 同 MOU では ロシア 韓国間の送電線建設にかかる FS が検討されており 4,000MW の容量で両国を結ぶ計画がある 事前調査では同計画には 12 億 $ 程度の費用を要すると見られている 2013 年 11 月 13 日には韓国電力公社は共同研究を通して将来のスーパーグリッド計画の検討及び最適なルートの選定等を目的としてロシアの民間の発電 金属 採掘事業者である En+ 新設の理工大学である Skolkovo Institute of Science and Technology (Skoltech) と MOU を締結したと発表した 63 更に 2014 年 2 月 19 日には Inter RAO と 韓国ロシア電力系統連系妥当性共同研究推進に向けた覚書 (MOU) を締結したと明らかにした 64 電力需要の急増を想定し リードタイムを要する発電所建設の代わりに国家間電力取引で問題を解消するなど 効率的な電力利用が可能になることを目指している 両社は今後 最長 3 年間かけ電力系統連系の技術性と電力交流に伴う経済性などを検討し 事業推進の是非を決定する計画 発表に合わせて 韓国電力は国家間の電力系統連系は各国の経済的利益追求と電力供給信頼度の向上に向け 古くから欧州や北米地域で施行されてきたことを紹介し 今回の研究には 新技術の高圧直流 (HVDC) 技術を適用する予定であると説明している KPX では国際連系にかかるシンポジウムを開催しており 各国での事業機会や 情報交換などを進めている KPX は 2005 年から実施しているソウル国際電力市場会議 (SICEM) 世界電力取引協会の年次総会も開催を含む各種国際会議を開催している KPX は国際会議などを通して 各国が抱える電力セクターの課題等に関する情報交換を進めることで各国組織とのつながりも強めている 2007 年には米国 PJM と業務提携を結び実質的な協力関係を深めてきている 業務提携は拡大しており 現在では 6 カ国 11 組織と提携を結んでいる 日本との関係においては電力系統利用協議会 (ESCJ) 電力中央研究所 九州電力と提携しており 定期会合を通してシステムの安定性と効率化に関する議論を深めている ESCJ とは 2006 年以降 計 7 回 九州電力とは 2004 年以降 計 12 回の会合を持っている 韓国ロシア電力系統連系妥当性共同研究については第二次エネルギー基本計画にも記されている 84

93 表 1-22 韓国卸電力市場 (KPX) の業務提携先一覧 提携先インド電力取引所とのMOU ASEAN 諸国とのMOU イラン系統管理会社とMOU シンガポールエネルギー市場 (EMC) とMOU シカゴ気候取引所 (CCX) とMOU PJMとMOU RTE( フランス ) PJM( 米国 ) EVN( ベトナム ) 電力中央研究所 ( 日本 ) 電力市場会社 (PEMC: フィリピン ) 電力系統利用協議会 (ESCJ: 日本 ) アルゴンヌ国立研究所 ( 米国 ) 九州電力 ( 日本 ) 電力卸市場管理会社 ( アルゼンチン ) CAISO( 米国 ) ERCOT( 米国 ) Date 2012 年 6 月 2010 年 8 月 2010 年 5 月 2010 年 1 月 2009 年 6 月 2009 年 6 月 2007 年 12 月 2007 年 3 月 2006 年 10 月 2006 年 10 月 2006 年 6 月 2006 年 5 月 2005 年 12 月 2005 年 3 月 2005 年 1 月 2004 年 4 月 2003 年 2 月 ( 出所 )KPX,HP 資料より日本エネルギー経済研究所作成 85

94 5. 国際連系線とエネルギー戦略の関係 2010 年 12 月に発表された第 5 次長期電力需給基本計画には 2010 年から 2019 年までの 765kV 系統 345kV 系統の増強について具体的に計画が発表されている さらに 2013 年 2 月には第 6 次電力需給基本計画が発表されており 電力需給にかかる基本的な方針が示されている 送変電設備および国際連系にかかる記述は以下の通り (1) 第 6 次電力需給基本計画 ( 以下抜粋 ) Ⅶ. 送変電設備の計画の推進方針本計画で定めた拡充基準に基づいて長期送変電設備の計画を策定し 電気委員会の審議を経て確定 発表する 基本方針 電力系統の信頼性向上 送変電設備を適時拡充し 電力需給に及ぼす影響を最小限に抑える 電圧安定度の向上など 送変電設備の電力供給性能を確保 信頼性と経済性が調和した送変電設備の計画策定 発電所の連携系統の安定性を強化 電力系統の限界送電容量を考慮して 最適な連系点を選定 接続線路の建設条件を考慮して 発電所の系統連系方案を樹立 新規立地発電所は 接続線路少ない竣工を優先的に考慮 * 主な大規模電源などの系統構成案については外部の専門家グループの諮問を活用する 注 : 送変電設備の電圧別の役割 (765 kv 設備 ) 大規模電源による大容量負荷の密集地域間の電力輸送 (345 kv 設備 ) 地域間幹線系統網の構築や都心の大電力のサプライチェーンの確保 (154 kv 設備 )345kV の供給区域内の系統構成や配電系統の電力供給源となる Ⅷ. 管理計画 信頼性および設備の運用管理の計画 先進国レベルまで電力系統の信頼性を向上 : 系統信頼性管理機構を設立し 系統運用人材の育成と技術力の向上に誘導する 管理機構の設立 : 先進国型の電力系統の信頼性管理システム構築のための 電力系統と機器の信頼性機構 設立 - 系統及び設備の信頼性の監視調査を行う 評価管理などを実行する海外の事例 :( 米国 ) NERC ( 英国 )National Grid ( 日本 ) 電力系統利用協議会 - '13 年以降は 先進国レベルの電力系統の信頼性基準を制定 電力系統を安定的に運営する 人材育成 技術力の向上を促進 : 系統オペレータ 専門技術資格制度 を新設し 技術力の向上を促進する 発電設備の安全性の強化 : 電気設備管理の強化等を通じて発展設備の安全性に対する国民の信頼回復 電気設備管理の強化 : 電気設備の調査および故障診断 許可期間延長のための基準の強化 老 86

95 朽設備のメンテナンスや点検大幅に強化 低品位炭の使用基準の策定 : 低品位炭の過剰使用を制限するため定格出力運転と低品位炭の使 用基準を策定 送変電設備の計画と制度の改善 送変電設備の詳細計画 : 送変電設備計画を別途策定 施行 首都圏と西部圏など発電力が集中している地域の信頼性向上 系統不安に起因する大規模な供給支障と広域停電発生防止策 東海岸の大規模な新規発電力の供給のための接続機器や系統の補強案を含む 送変電周辺補正強化 : 送変電設備周辺地域支援基準などを新設し 送電建設環境の改善 電気事業法の補償範囲の拡大および送変電設備周辺地域支援法制化の検討だ 需要管理の強化 需要管理総合対策の策定 : エネルギー価格の正常化とエネルギー効率向上支援の拡大を通じた市場と制度による需要管理システムの構築 エネルギー需要管理の拡大策を検討 エネルギー利用合理化基本計画等に反映し 電力産業基盤基金活用など需要管理の財源調達方案を講じる 温室効果ガス削減計画の事後管理を行う 履行状況のチェック : 設備建設の意向を評価する際 各事業者が策定した温室効果ガス削減計画の実施状況を定期的に点検する 建設工程の体系的管理 : 建設工事の点検を定型化して電気設備の建設現況管理システムを構築 (2) 第二次エネルギー基本計画 ( 以下 抜粋 ) 2014 年 1 月には第二次エネルギー基本計画が発表されており 韓国の総合的なエネルギー政策の基 本方針が示されている 同計画において送変電設備および国際連系にかかる記述は以下の通り 合理的な送電網計画 運営 電力系統の安定性と社会的受容性を高めるための送電線路計画 建設のプロセスの切り替えが条件 4 か所の発電所の設備容量の増加 電力需要の大都会の集中化によって送電線故障時の広域停電のリスクが増加 系統運用管理の責任は KEPCO が担う しかし 分散電源の普及により責任の所在が不明確な点が出てきている このため 事故防止と発生時の対応の限界 ( 中立的監督機関がなく プレイヤーと規制が混在し 系統安全より収益性の主になる場合があるため適切な管理が課題 ) 1 送電線の新規建設時の受容性を高める 超高圧送電網の追加建設が避けられない場合には HVDC の地中化等の補完対策を推進 (HVDC は 距離の制約が少なく電磁波の発生がほとんどないため社会的受容性が高いが 国内では実際の経験などが不足 ) HVDC 技術の自立化と特性に応じた系統制御 運営戦略を策定 87

96 候補地選定から建設実施計画確定までに十分な地域住民の意見集約後 送電線の建設に着手 2 首都圏送電網の安定的運営 送電系統を運営している首都圏では電力負荷が集中し 故障電流が発生する可能性が高くなる等 系統の不安定性が徐々に増加 送電網の安定的な運営のための継続的系統の補強を図るとともに 中長期的には環状網系統の再構築 負荷分散のための料金プランの導入等を検討する 短期的には 故障電流を低減するための設備の補強の対応 中長期的には 首都圏を多数の小圏域交流網で分離し BTB HVDC に連系する選択肢を検討 首都圏の需要分散を中長期的に検討 3 系統の信頼性管理システムの改善 国の電力網を中立的に管理 監督する専門機関を設立 ( 例 : 米国 NERC) 電力系統運用の監視と分析 信頼性の基準運用 系統故障調査と処分等の役割を果たす 電力系統の信頼性維持基準 65 を制定し 先進国レベルの系統の安定性を確保し 関連機関に明確な権限と責任の基準を設ける また 情報保護に関して検討 電力系統従事者の専門性の向上と管理のための資格制度の導入 ( 適用対象 : 電力取引所の電力系統事業者 変電設備オペレータ 発電所の発電機のオペレータ ) エネルギー国際協調システムの強化 輸入依存度が極めて高い状況で 戦略的な多国間のエネルギー協力により 安定したエネルギー源を 確保する等のエネルギー安全保障を強化に向けた国際協調が必要 グローバルな相互依存性 : 価格の急変 非在来資源の開発 気候変動への対応など 個々の国では解決できないグローバルアジェンダが登場している現状にある エネルギー安全保障 : 96% のエネルギーを海外からの輸入に依存して 地理的にも北東アジア地域は エネルギー島 として孤立した状況 国際社会の地位向上 : 急激な経済成長とこれを裏付けるインフラの構築など 効率的成長モデル を持つ国としてのリーダーシップの発揮や地域の発展を目指す 北アメリカ : 非在来資源生産量の増加により 世界のエネルギー市場を主導すると予測されている北米地域との貿易を強化する スマートグリッドなど 共同研究 人材交流等を通じた先進技術の確保 クリーンエネルギー R&D 協力履行約定書の主な内容 締結主体 : 韓国 : 産業部 米国 : エネルギー省 (DOE) 間で締結 (2011 年 10 月 ) 協力形態 : 両国の共同 R&D. 実証の推進 人材の交流 機器の交換など 協力分野 : エネルギー貯蔵 スマートグリッド バイオ燃料 炭素回収 貯留 (CCS) 65 緊急時の措置および系統解析需給 送電計画と送電運用保守 保護 制御 88

97 エネルギー効率 再生可能エネルギーなど アジア : 電力網の連系 天然ガスの貿易活性化と LNG プレミアムの解消 石油貿易のハブ構築など様々な分野の協力の可能性検討のための協議体構築 ( 韓 中 日 米 インドが参加しているエネルギー大臣会合は暫定的に中断 (2010 年以降米開催 ) 韓国 北朝鮮 ロシア間の電力網の連系 シベリア横断 朝鮮半島縦断鉄道連結事業など 南北関係の変化に対応した協力事業も模索 東アジアの電力網の連系方法 概要 : ロシアの豊富な資源をもとに 安価な電力を生産 北朝鮮を経由する送電線を建設し 国内での導入を検討国推進状況ロシア水力の開発は電力の輸出を通じ 極東地域経済の活性化するとして 同国の優位性の強化の意志がある 北朝鮮大規模な送電線で建設事業 国防収益の確保検討韓国発電設備の効率的利用 南北関係の改善のカードとして活用 推進方針 : 韓国 -ロシアの民間事業者主導の技術経済性分析等の共同事業の妥当性研究を推進 共同研究の結果 事業性が確保されている事業については 南北関係の進展など諸般の条件が好転した時に政府の中長期課題として推進策を検討 韓国- 北朝鮮 -ロシア電力網の連系シナリオ シナリオ 1: 韓国 - 北朝鮮 -ロシア: シングル HVDC 接続 3 5GW 規模の HVDC 架空送電線で構築 線路の長さ 1,000 km 変換所 2 ヶ所建設 シナリオ 2: 韓国 - 北朝鮮 -ロシア:HVDC と北朝鮮電源の活用 2 5GW 規模 HVDC と 北朝鮮内の電力系統 線路の長さ 1,200 km 変換所 4 カ所の建設 89

98 図 1-58 韓国 - 北朝鮮 - ロシア電力網の連系シナリオ ( 出所 ) 産業通商資源部 第二次エネルギー基本計画 欧州 : エネルギー効率の改善など クリーンエネルギー技術の共有 政策情報の共有 再生可能エネルギーの拡大に伴う企業の市場先行獲得 66 排出量取引制度 炭素税やエネルギー税制 Green - pricing などのエネルギー需要管理と低炭素化拡大のための政策事例の共有 アフリカ / 中南米 : 経済成長のための包括的経済 エネルギー協力の推進 ODA を通じた国家イメージの改善 資源ナショナリズムの深化 環境規制の強化などの資源開発環境の不確実性が増大している状況でグローバル新興市場への積極的投資を推進 二国間 多国間で定例化された協議チャンネルを構築し 経済成長を牽引するエネルギー産業 需要管理部門の技術移転 教育訓練などの推進 北朝鮮 : 中長期的に南北関係の変化に対応したエネルギー協力の基盤の醸成 南北関係が改善した時に埋蔵量が豊富な石炭 鉱物などを活用した石炭発電所の建設 ( 南浦 ) や資源開発特区の指定 ( 端川 ) などを検討 67 北東アジアの多国間エネルギー共同ガバナンスの構築 必要性 : 急変する世界市場の変化に対応し 北東アジアの国々が共通の利益の向上のための協力体制 を構築する必要がある 主な課題 : 原子力安全協力 石油 ガス分野のアジアプレミアム解消 北東アジアのエネルギー輸送 網の接続 北極航路の商業利用等 エネルギー協力の議論チャンネル : 北東アジア 6 カ国 ( 韓国 / 北朝鮮 / 中国 / 日本 / ロシア / モンゴル ) の 66 英国は '20 年までに 45GW の洋上風力発電所を建設し 発電量の 25 % を供給欧州の洋上風力ハブ建設計画を発表 ( 現在 11 か所で 1.3GW ) 67 発電用燃料は 平安北の炭田開発を通じて調達 電力網の設計は計画されている南北経済協力事業と連携して推進 90

99 閣僚級が参加北する東アジアのエネルギー協力システムの構築 現在運営中の 北東アジアのエネルギー協力の政府間協議体 ( 韓国 / ロシア / モンゴル 局長級 ) の構成 役割を拡大改編するなど新しいチャネルを新設 北東アジアのエネルギー協力の政府間協議体 ('05 ) 構成 : 韓国 ロシア モンゴル 北朝鮮 ('08 年以降不参加 ) の 4 カ国が加盟 中国 日本はオブザーバー UN ESCAP が一時的に事務局の役割を担う 機能 : 北東アジアのエネルギー協力事業の議論 情報ネットワークの構築 ( 情報交流 ) 官民政策対話 韓国 モンゴル 韓 ロシア 中韓の研究機関間のシャトルワークショップの開催 ( 共同研究 ) 国別報告書 ('07) 中長期のエネルギー需要見通し('08) 5 ヵ年発展戦略 ('09) ( 教育訓練 ) 発展途上国のエネルギー政策 教育訓練 ('06 '07) 財源 : 事業を進めるための共同研究が進行中 会議体運営等に必要な財源確保が必要 ( 資金の建設 貢献の確保など ) 北東アジア開発銀行など 既存の議論が進められている包括的資金を活用 エネルギー協力のためだけの専用ファンド新設を検討 6. 近隣諸国とのエネルギー協力の現状本項では 韓国の地域的エネルギー協力の現状について 1 電力取引の基盤となり得る地域的協力枠組みに参加しているか 2 潜在的な電力取引相手国との間で 戦略的物資に関する相互依存関係を築いているか 3 近隣国との関係に関する懸案事項を 国際連系線を通じて改善 解決を図ろうとの意図を有しているか という 3 つの切り口から整理する 1 地域的協力枠組み韓国は 日本 中国とともに ASEAN+3 ARF APEC といったアジア太平洋地域協力枠組みに参加しているほか 1995 年にロシア 北朝鮮 中国 モンゴルとの間で輸送 貿易 投資 観光 エネルギー 環境協力を緊密化する内容の Greater Tumen Initiative( 当初は Tumen River Area Development Programme) について合意した 但し現在のところ最も積極的に進められているのは鉄道網の建設であり エネルギーについては エネルギー政策策定とエネルギー効率に関するキャパシティ ビルディングに留まっている Greater Tumen Initiative ホームページこの他に 資源輸出国との関係として 豪州との間では 1984 年にエネルギー 鉱業分野の閣僚級対話を開始した 2004 年にはエネルギー 鉱物資源協力協定が締結され 貿易 投資関係の拡大に寄与した 協力分野には 全般的な情報交換に加え 豪州の石炭 鉄鉱石 ウラン開発への韓国企業の参加 再生可能エネルギー分野の貿易障壁の撤廃に向けた協議などが含まれる ( 出所 ) 豪政府 技術革新 産業 科学 研究省 Bilateral minerals and energy cooperation with South Korea ソ連圏が崩壊した 1990 年代には中央アジア ( カザフスタン アゼルバイジャン ウズベキスタン トルクメニスタン ) との関係強化に乗り出し それぞれ二国間のエネルギー協力協定を締結して投資プロジェクト等を進めている ( 出所 )Sogaku Miyamoto South Korea s Energy Diplomacy towards Central Asia Johns Hopkins University,

100 他方 韓国にとって最重要な二国間関係は対北朝鮮関係である 核開発を含む北朝鮮問題の中で 北朝鮮における深刻なエネルギー不足は重要な位置を占める 1993~94 年の北朝鮮による NPT( 核不拡散条約 ) 脱退 黒鉛減速炉からの燃料棒抜き取りに際し 米朝間では黒鉛減速炉の活動停止を条件として軽水炉開発支援と繋ぎとしての重油供給によるエネルギー支援が合意されたことが好例である エネルギー不足の構造的要因として 1970 年代以降の過大な目標を設定した計画経済による経済活動の非効率化や 1991 年のソ連崩壊に伴う社会主義圏からの援助の激減 1994 年以降の大飢饉などが挙げられる 支払い能力が失われたために 製油所や発電所などエネルギーインフラの建設 維持補修が停滞し それが一層の産業活動停滞を招くという悪循環に陥り さらに核開発疑惑による国際的信用失墜 軍事支出による経済的負担などが加わった 北朝鮮のエネルギー不足の緩和を支援することは 国民糾合および外交的カードとしての軍備拡張を断念させ 朝鮮半島の緊張を緩和するための手段となるばかりでなく 最終的な目標である南北統一に備える意味でも 北朝鮮経済を極度の不振から回復させることが期待されている 中国は北朝鮮にとって最重要の同盟国であるが 中国から見ると北朝鮮の重要性は 国境を接する地域に友好国を配置すること 特に韓国との間の緩衝地帯としての役割にある 従って 北朝鮮の国内情勢及び対外関係は安定している必要がある 他方 国際的に孤立した北朝鮮は 中国企業がほぼ独占的に活動できる市場 投資先でもある ロシアも北朝鮮に対して寛容な立場を採るが 北朝鮮に関してロシアの最大の関心は 現在ウラジオストックまで完成しているガスパイプラインを北朝鮮経由で韓国まで接続する計画の成否にある この計画については 韓国の李明博前政権は積極的であったが現朴槿恵政権になって後退するなど 南北関係によって左右される さらに パイプライン建設を進める場合には 合弁パートナーとなる北朝鮮の経済状態も懸念材料となる 韓国とロシアの二国間関係は 1990 年に外交関係が樹立されたが プーチン及びメドベージェフ政権のもとで 2000 年代に特に経済関係が強化された 2004 年には両国間でナホトカ自由経済区を設定 韓国輸出入銀行による韓国企業の対ロシア進出支援等で合意した 現プーチン- 朴槿恵両政権も引き続き経済関係強化に努めており 2013 年 11 月には両国は投資関係強化のための 5 億ドルの共同基金設立で合意した 69 特に重視されているのがエネルギーと輸送分野であり 大宇による LNG タンカーの建造およびシベリア~ 朝鮮半島に至る鉄道建設などが合意された 2 相互依存関係韓国が当事者となる国際連系線を検討する場合 相手国にはまず北朝鮮が挙がるが 韓国の高いエネルギーを輸入度と北朝鮮の深刻なエネルギー不足を考慮すると 電力供給源としての中国またはロシア等を含めた国際連系となることが必須である 前述の情勢を踏まえると まず朝韓関係については 韓国の経済力が勝っているものの 北朝鮮情勢が韓国の政治 経済の命運を左右するという意味で 両国は緊密な相互依存関係にある 中国も 北朝鮮情勢が混乱した場合には大きなダメージを被ることが予想される 他方 ロシアについては北朝鮮情勢に関する脆弱性はかなり低いと考えられ 韓国との間で国際連系線を検討するにあたっては 朝鮮半島の緊張緩和という政治目的よりも コマーシャルな判断が勝ってくることが予想される 69 The Wall Street Journal 2013 年 11 月 13 日 92

101 3 国際連系線を通じた外交関係改善の意図前節で整理したとおり 韓国では実際にロシア 中国 日本とを結ぶ国際連系構想が検討されている 一義的には これは韓国国内の電力需給逼迫の解消を目的としており 中国 ロシアに対しては電力供給源として 日本に対しては日韓の電力需要ピークのズレを活用した需給調整の機能を期待している これらコマーシャルな目的以外に 国際連系に北朝鮮を含めて 北朝鮮の電力不足の緩和 同国経済の安定化を支援することを通じて 中 長期的には北朝鮮の軍事偏重の経済建設政策や強硬な対外姿勢を変化させることも 視野に入っている 93

102 第 4 節台湾 1. 台湾の電力事業の概要 (1) 台湾の電力供給 2013 年の台湾の国内総生産 (GDP) は 7,121 億ドル (IMF 推計 ) 人口は約 2,400 万人である 2000 年以降 台湾経済は長期にわたって低迷し 2000 年から 2013 年までの GDP 年平均成長率は 3.5% に止まった また 低迷する経済を反映して 2013 年の台湾の発電電力量は合計 2,522 億 kwh 2000 年よりわずか 674 億 kwh 増加しただけであり 年平均伸び率は 2.4% であった 同期間の発電電力量の対 GDP 弾性値は 0.7 であった 図 1-59 台湾の電源別の発電電力量の推移 億 kwh 3,000 石炭石油ガス水力原子力新エネコジェネ 2,500 2,000 1,500 1, ( 出所 ) 台湾能源局 2013 年の発電電力量のうち 火力発電電力量は 1,599 億 kwh( 発電電力量全体の 63.4% を占める 以下同 ) 水力発電電力量は 86 億 kwh(3.4%) 原子力発電電力量は 416 億 kwh(16.5%) 再生可能エネルギー ( 風力 太陽光 ) の発電電力量は 19 億 kwh(0.8%) コージェネの発電電力量は 402 億 kwh (15.9%) である また 火力発電電力量のうち 石炭火力発電電力量は 869 億 kwh(34.4%) 石油火力発電電力量は 53 億 kwh(2.1%) 天然ガス(LNG) 火力発電電力量は 677 億 kwh(26.9%) である 再生可能エネルギー発電電力量については 2000 年の発電電力量はほぼゼロであったが 2013 年には 16 億 kwh へと大幅に増えた 近年 特に風力発電の発電電力量の増加が顕著であり 2013 年の風力発電電力量は 15 億 kwh に上った 2013 年のエネルギー源別の発電電力量を 2005 年のそれと比べると 石油 石炭火力およびコージェネの発電比率が低下し 一方 天然ガス火力発電が 2005 年の 17% から 2012 年の 27% へと 10 ポイントもの大幅な上昇になった 94

103 図 1-60 台湾の電源別の発電電力量構成の変化 新エネ 1% 原子力 17% コージェネ 16% 0% 17% 19% 外円 :2013 年 2,522 億 kwh 内円 :2005 年 2,274 億 kwh 石炭 34% 39% 水力 3% 3% 17% ガス 27% 5% 石油 2% ( 出所 ) 台湾能源局 (2) 設備容量と構成台湾能源局の統計によると 2012 年末の台湾の発電設備容量は合計 4,839 万 kw である 70 内訳は 火力発電設備容量が 2,983 万 kw( 発電設備全体の 61.6% を占める 以下同 ) 水力が 468 万 kw(9.7%) 原子力が 514 万 kw(10.6%) 再生可能エネルギーが 153 万 kw(3.2%) コージェネが 720 万 kw(14.9%) である 図 年末の発電設備容量の構成 再生可能 3.2% コージェネ 14.9% 原子力 10.6% 水力 9.7% 火力 61.6% ( 出所 ) 台湾能源局 また 火力発電設備容量の中で 石炭火力発電は 820 万 kw( 発電設備容量全体の 16.9% を占める 以下同 ) 天然ガス火力発電は 1,059 万 kw(21.9%) 石油火力発電は 333 万 kw(6.9%) である 70 なお 台湾電力の統計では 4,098 万 kw である 95

104 発電設備構成の変化を見ると 2013 年の発電設備の中で 石炭と石油火力発電の比率が 2005 年に比 べ低下している 他方 天然ガス火力発電の比率は高くなっている 表 1-23 各年末の発電設備構成比率の変化 発電設備 発電設備 ( 万 kw) 構成比率 (%) 火力 2,007 2,645 3,072 2, 石炭 天然ガス 656 1,419 1,829 1, 石油 水力 原子力 再生可能 コージェネ 合計 3,477 4,316 4,888 4, ( 出所 ) 台湾能源局 また 電気事業者別の設備保有状況については 台湾電力公司 ( 以下 台電とする ) の発電設備容量 が 3,221 万 kw 発電設備容量全体の 66.5% を占め IPP 民営企業などの一般電気事業者が 1,619 万 kw(33.5%) である ( 出所 ) 台湾能源局 表 年末の発電設備の保有状況 発電設備種別 設備容量構成比万 kw % 揚水式水力発電 火力発電 台電保有 2, 民営発電所 IPP 火力発電小計 2, 原子力発電 水力発電 台電保有 民営発電所 IPP 水力発電小計 再生可能台電保有 風力発電民営発電所 IPP 太陽エネルギー 台電保有 民営発電所 IPP バイオマス 民営発電所 IPP 廃棄物 民営発電所 IPP 再生可能エネルギー小計 コージェネレーション合計 ,

105 台湾の電力事業は長らく国営事業の時代が続き 台湾電力公司 ( 以下 台電と略す ) が電力事業を独占していた 台電は日本の統治時代の 1919 年に設立された台湾電力株式会社を前身として 1946 年に設立された 台電設立初期の台湾の発電事業は水力発電が中心であり 1953 年時点で水力発電が全体の 93.7% を占めていたが その以降 火力発電を主とする構造へと徐々に改められた 1990 年代後半以降は後述するように 発電分野では自由化が進んで台電の独占構造は徐々に弱まり 現在 台湾の発電設備全体に占める台電のシェアは 7 割弱になった 2. 送配電系統と計画 (1) 送配電系統台湾の発電事業に占める台電のシェアは 7 割弱に下がっているが 台湾の送配電系統は依然として台電が独占している 電力系統の構造を見ると 火力発電 水力発電 原子力発電など大型発電所の電力は 345kV に増圧して送電を行う この 345kV の電力は超高圧変電所において 161kV に引き下げて工業団地や高速鉄道 地下鉄など大口需要家に直接供給するとともに 161kV で一次変電所に送り 69kV に電圧を引き下げてから さらに配電変電所 二次変電所及び配電系統によって減圧した上で 一般需要家や家庭用に供給する 一方 中型の火力発電所 水力発電所及び大型再生可能エネルギー発電所からは 161kV で一次変電所に連系し 小型水力発電所及び中型再生可能エネルギー発電所からは 69kV で二次変電所へ送るとともに 69 kv で工業団地など大口需要家に直接供給する 71 大容量の送電系統については 台湾島が南北に長いこと 西部地区に人口が集中しているとともに発電所の用地が乏しいこと 北部の電力需要の伸びが大きいことなどから 南部の大型発電所から北部への超高圧 (UHV) 送電線を必要する構造になっている そのため 台湾は 1974 年に完成した全長 335km の 345kV の第 1 高圧幹線 ( 板橋 - 天輪 - 高港 ) を皮切りに南北を縦貫する高圧送電線の敷設を進め 1985 年には第 2 高圧幹線 ( 龍潭 - 中寮 - 第三原子力発電所の 466km) 2002 年には深美 - 龍潭 - 峨眉 - 中火 - 中港 - 中寮 - 嘉民 - 龍崎の 403km) を完成させた 72 こうして台湾島の送電系統は 南北を縦貫する 3 本の高圧送電線を核に 中寮を南北送電線との中継点とする東西を横断する送電線からなる送電ネットワークを形成することになった 台湾島の基幹高圧送電系統は下の図のようになる 台湾電力公司 HP 72 台湾電力公司系統規画処前処長陳永田 台湾送電系統の発展及び企画準則改訂過程 2007 年 12 月 7 日 73 同上 97

106 図 1-62 台湾の超高圧送電系統 出所 : 台湾電力公司 (2) 台湾の送変電計画台湾の送変電計画 74は 1974 年に始まる第 1 次から 2009 年の第 6 次まで実施され 現在 第 7 次送変電計画 (2010 年 1 月 ~2015 年 12 月末 ) が実施中である 第 7 次送変電計画は 総投資額 2,389 億台湾ドル ( 日本円で約 8,000 億円 ) 6 年の計画期間において 130 ヵ所の変電所を新規建設して変圧器容量を 23,560kVA 増設するとともに 2,370km の送電線を新たに敷設する計画である 3. 台湾の国家発展計画と関連エネルギー 電力計画と需要見通し台湾の 2013~2016 年の年平均成長率について Economic Outlook は 4.37% IMF は 4.46% と予測している 行政院経済建設委員会の策定した 国家発展計画 (2013~2016 年 ) は 同時期の年平均成長率の目標値を 4.5% としている 台湾の政策の主軸としては 経済活性化 公平社会 クリーンで有能な政府 質の高い文化 教 74 送変電計画簡介 (2012 年 8 月 7 日改訂 ) 台湾電力公司ウェブサイト 98

107 育 全面的建設 国際親善 和平両岸 ( 中国との平和的関係 ) とともに 永続的な環境 が掲げられている 永続的な環境 には 省エネ 低炭素の法規と制度の整備 省エネ 低炭素の推進 気候変動適応の推進 原子力発電所の安全保護措置と緊急対応能力の具体化などが含まれる 国家発展計画 (2013 ~2016 年 ) は エネルギー建設に関しては 経済成長に要するエネルギー需要を減らし気候変動に対応するため グリーンエネルギー産業の躍進 再生可能エネルギー関連政策及び法規の制定 省エネ措置の推進強化 省エネと低炭素に有効な財政 租税制度など経済的インセンティブと法規 制度の構築 全民のグリーン消費と省エネ意識の向上 低炭素化都市と社会の創造を掲げている 数値目標としては エネルギー効率を毎年 2% 以上引き上げ 2016 年のエネルギー消費原単位 (GDP 単位当たりのエネルギー消費 ) を 2010 年比で 12% 引き下げることになる また 電力事業については 老朽化発電設備の淘汰 更新を推進し 石炭火力発電所については 効率 44.5% 以上の超 ( 超 ) 臨界ユニットを導入することを打ち出している また 2016 年には再生可能エネルギー発電設備の設置容量を 458 万 kw とし 年間発電量を 122 億 kwh とする そのため 風力発電と太陽光発電など再生可能エネルギーの開発を全力で推進し 低炭素とエネルギーの合理的な使用を促進するとしている 具体的には 陸上風力発電については 2016 年の累計設備容量を 933MW とし 海上風力発電については 実証奨励方法を講じて 4~6 基の実証ユニットを完成させる また 太陽光発電については その発電コストが一般の小売電力価格より高い段階では 民家や工場などの屋上設置型太陽光発電を中心に徐々に推進し 発電コストが競争力を備えるようになってから 大容量の利用を推進する 2016 年には太陽光発電システムの累計設置容量を 588MW とする 加えて 統合型実証計画を推進し 2015 年までグリーンエネルギー産業躍進計画を展開する 2015 年には太陽光発電設置容量を 492MW 海上 陸上風力発電機を 881MW バイオマス発電を 8,771MW 水素電池と燃料電池を 7MW とし スマートメーターを 100 万世帯に設置する 他方 原子力については 2014 年現在 運転中の原子力発電所は 3 基 建設中が 1 基である 運転中の原子力発電所のうち 第 1 原子力発電所と第 2 原子力発電所は台湾島最北端の新北市 第 3 原子力発電所は最南端の屏東県に所在する また 第 4 原子力発電所は新北市で建設中である 第 1 第 2 第 3 原子力発電所が商業運転を開始したのは 1970~80 年代であり 特に第 1 原子力発電所は運転開始から 35 年以上になり すでに運転終了の時期が近付いている 建設中の第 4 原子力発電所は 1 号機と 2 号機それぞれ 1,350MW 改良型沸騰水型原子炉(ABWR) を採用する ABWR は GE と日立が共同開発し日立が製造 輸出する ABWR を採用するのは日本以外では台湾の第 4 原子力発電所が初めてになり また 建造を受注したのは GE であるが 日本の原子炉が初めて輸出されるケースになった ( 出所 ) 中華民国核能学会 HP 表 1-25 台湾の運転中及び建設中の原子力発電所 通称 正式名称 所在地 原子炉のタイプ 容量 商業運転開始時期 第 1 原子力発電所 茂林原子力発電所 新北市石門区 沸騰水型原子炉 (BWR) 636MW 2 1 号機 :1978 年 2 号機 :1979 年 第 2 原子力発電所 第 3 原子力発電所 第 4 原子力発電所 国聖原子力発電所 馬鞍山原子力発電所 龍門原子力発電所 新北市万里区 屏東県恆春鎮 新北市貢寮区 沸騰水型原子炉 (BWR) 加圧水型原子炉 (PWR) 改良型沸騰水型原子炉 (ABWR) 985MW 2 951MW 2 1,350MW 2 1 号機 :1981 年 2 号機 :1983 年 1 号機 :1984 年 2 号機 :1985 年 1999 年着工 2015 年までに商業運転開始予定 99

108 第 4 原子力発電所は 2010 年 3 月には 1 号機中央制御室の火災などの事故が頻発して建設が遅れており また 福島原発事故後に安全性確保のため商業運転開始時期が遅れた 第 4 原子力発電所は 1980 年代に計画が打ち出されて以来 住民や環境保護組織の反対や抗議運動が絶えず 特に 2011 年の福島原発事故以降 抗議活動や反対デモはますます盛んになった 野党の民進党は 脱原発 を掲げて 第 4 原子力発電所の建設中止を主張している 2013 年 2 月には江宜樺行政院長が第 4 原子力発電所の建設続行の是非を問う公民投票を行うと表明したが 8 月には採決をめぐって立法院で乱闘騒動になって投票が見送られるなど 公民投票は未だ実現していない 与党の国民党は建設続行の立場であり 2013 年 9 月には馬英九総統が 第 4 原子力発電所の商業運転が未だ実現できない状況では 第 1 原子力発電所の運転終了も不可能であると表明した 他方 2 年後の大統領選挙で 民進党員が当選すれば 第 4 原子力発電の建設がさらに遅れる可能性があり 台湾の電力供給計画の修正が必要になって 国際系統連系の検討も可能になるかもしれない 台電は 2012 年 電力需要の長期予測 (10208 案 ) を策定したが この予測は次のいくつかの前提条件を仮定している 75 経済成長率 2013 年 2.31% 2014 年 3.37% 2015 年 4.38% 2016 年 4.21% 2017 年 3.97% 2018~2022 年の年平均 2.83% 2023~3024 年の年平均 3.40% 産業構造 GDP に占める農業の比率は 2013 年の 1.3% から 2024 年には 1.2% に低下 工業の比率は 2012 年の 37.0% から 2024 年には 38.83% に上昇 サービス業は 2012 年の 61.6% から 2024 年には 60.5% に低下 人口 2013~2024 年の年平均増加率は 0.12% 需要側管理 需要側管理により引き下げ可能なピークロードは 2012 年の 万 kw から 2024 年には 万 kw に増加 需要側管理を差し引いた 2024 年の系統全体の予想ピークロードは 4,345.8 万 kw 台電の 2012 年の長期予測結果によると 供給電力量は 2012 年の 2,084.8 億 kwh から 2024 年には 2,712.5 億 kwh に増加し 2012~2024 年の年平均伸び率は 2.2% になる また 平均ロードは 2012 年の 2,374.4 万 kw から年平均 2.2% のペースで増加して 2024 年には 3,096.5 万 kw になり ピークロードは 2012 年の 3,308.1 万 kw から年平均 2.3% のペースで増加して 2024 年には 4,345.8 万 kw になる 75 台湾電力公司ウェブサイト %95%B7%E6%9C%9F%E8%B2%A0%E8%BC%89%E9%A0%90%E6%B8%AC.pdf 100

109 図 1-63 台電の長期電力需要予測 ( 注 ) 2012 年をベースとする ( 出所 ) 台湾電力公司 4. 台湾の電気料金制度と電力価格および周辺国との比較台湾電力公司の電気料金 76は主に 1 住宅用及び非生産営業用電気料金 2 低圧電気料金 3 高圧電気料金の 3 つに区分されているが それぞれ契約形態や契約容量によってさらに細かく分けられ また シーズンや時間帯別に異なる料金が設定されている (1) 住宅用及び非生産営業用電気料金住宅用及び非生産営業用電気料金 ( 表燈電価 ) は容量 100kW 未満の住宅用及び生産以外の営業用を対象とするものであり 非時間帯別料金と時間帯別料金の 2 種類に分けられる 非時間帯別料金は 使用量を 120kWh 以下 121~330kWh 331~500kWh 501~700kWh 701kWh 以上に区分して それぞれの使用量の範囲毎に 非営業用及び営業用別にキロワットアワー当たりの料金を設定している また それぞれ 夏季以外と夏季 (6 月 1 日 ~9 月 30 日 ) に分けて料金を設定しており 夏季の料金は夏季以外のシーズンよりも高く設定している 76 台湾電力公司各種電気料金表 (2012 年 6 月 10 日 ~) 経済部能源局 HP 台湾電力公司詳細電気料金表 1%A8(1).pdf 101

110 表 1-26 住宅用及び非生産営業用非時間帯別電気料金 分 非 営 業 用 営 業 用 類 ~ ~ ~ ~ ~ 夏季 (6月1日 9月30日) 夏季以外 kwh kwh kwh kwh kwh kwh kwh kwh kwh 出所 台湾経済部能源局 HP また 時間帯別料金の場合 契約容量に基づく基本電気料金と使用量に応じた流動電気料金が課され る うち基本電気料金は 1 軒毎の基本料金 単相と三相に区分 と 契約形態 通常契約 非夏季契 約 土曜準ピーク契約 オフピーク契約 別に契約容量に応じたキロワット当たりの基本料金が夏季と 夏季以外に分けて設定されている 一方 流動電気料金は 月 金曜日は朝 7 時半 夜 10 時半のピー ク時間帯とそれ以外の時間帯のオフピーク時間帯に分けて それぞれキロワットアワー当たりの料金が 設定されている また 土曜日は準ピーク時間帯とオフピーク時間帯別の料金が設定され 日曜日はオ フピーク時間帯の料金が設定されている 表 1-27 住宅用及び非生産営業用時間帯別電気料金(二段式需要量契約) 分 類 1戸毎に徴収 (1戸 毎月) 通常契約(kW 每月) 基本 電気料金 非夏季契約(kW 每月) 土曜準ピーク契約 (kw 每月) オフピーク契約(kW 每月) ピーク時間帯 月 金曜 オフピーク時間帯 流動 電気料金 (kwh) 準ピーク時間帯 土曜 オフピーク時間帯 日曜及び オフピーク時間帯 オフピーク日 単 相 三 相 07:30~22:30 00:00~07:30 22:30~24:00 07:30~22:30 00:00~07:30 22:30~24:00 全 日 夏季 (6月1日 9月30日) 夏季以外 出所 台湾経済部能源局 HP 2 低圧電気料金 低圧電気料金は契約容量 100kW 未満の生産用もしくは非生産用を対象とし 非時間帯別料金と時間 帯別料金 二段式 に分けられる 102

111 うち非時間帯別料金は容量に基づく基本料金と 使用量に応じた流動電気料金が設定されている ま た 夏季と夏季以外の異なる料金が設定されているが いずれの時間帯でも料金は一律である 表 1-28 低圧非時間帯別電気料金 分 基本料金 夏季 (6月1日 9月30日) 類 装 置 契 約 通常契約 需要量契約 非夏季契約 流動電気料金 kw 月 kw 月 kw 月 kwh 夏季以外 出所 台湾経済部能源局 HP これに対し 時間帯別料金は 契約形態別のキロワット当たりの基本料金と流動電気料金が設定され ているとともに 流動電気料金については 月 金曜日のピーク時間帯とオフピーク時間帯 土曜日の 準ピーク時間帯とオフピーク時間帯 そして日曜日のオフピーク時間帯別にそれぞれキロワットアワー 当たりの料金が設定されている 表 1-29 低圧時間帯別電気料金(二段式) 分 裝置契約 基本料金 需要量契約 月 金曜 流動 電気料金 (kwh) 1戸毎に課金(1戸 每月) 装置契約(1kW 每月) 1戸毎に課金(1戸 每月) 通常契約(1kW 每月) 非夏季契約(1kW 每月) 土曜日準ピーク契約(1kW 每月) オフピーク契約(1kW 每月) 07:30~22:30 ピーク時間帯 オフピーク時間帯 準ピーク時間帯 週 六 日曜及び オフピーク日 夏季 (6月1日 9月30日) 類 オフピーク時間帯 オフピーク時間帯 00:00~07:30 22:30~24:00 07:30~22:30 00:00~07:30 22:30~24:00 全 日 夏季以外 出所 台湾経済部能源局 HP 3 高圧電気料金 高圧電気料金は契約容量 100kW 以上の生産用または非生産用を対象とする 高圧電気料金は契約形 態によって 二段階式時間帯別料金と三段階式時間帯別料金に分けられ それぞれ高圧電力供給と UHV 電力供給別の料金が設定されている 高圧電気料金の二段階式電気料金では キロワット当たりの基本 料金とキロワットアワー当たりの流動電気料金が高圧と UHV の別に設定されている 以下の表 103

112 表 1-30 高圧二段式時間帯別電気料金 基本料金 (kw 毎月 ) 流動電気料金 (kwh) 分 通常契約 非夏季契約 土曜準ピーク契約 オフピーク契約 ピーク時間帯 07:30~22: 月 ~ 金曜 00:00~07:30 オフピーク時間帯 22:30~24: 準ピーク時間帯 07:30~22: 土曜 00:00~07:30 オフピーク時間帯 22:30~24: 日曜及びオフピーク日 類 高圧電力供給夏季夏季以外 (6 月 1 日 ~9 月 30 日 ) UHV 電力供給夏季夏季以外 (6 月 1 日 ~9 月 30 日 ) オフピーク時間帯全日 ( 出所 ) 台湾経済部能源局 HP また 三段式電気料金の場合 流動電気料金はピーク時間帯固定タイプとピーク時間帯変動タイプに 分けられる ( 以下の表 ) 表 1-31 高圧三段式時間帯別電気料金 基本料金 (kw 毎月 ) 流動電気料金 ピーク時間帯固定 (kwh) 流動電気料金 ピーク時間帯変更可能 (kwh) 通常契約準ピーク契約土曜準ピーク契約オフピーク契約 分 ピーク時間帯 類 高圧電力供給 夏季 (6 月 1 日 ~9 月 30 日 ) 夏季以外 夏季 (6 月 1 日 ~9 月 30 日 ) 夏季以外 UHV 電力供給 07:30~10:00 月 ~ 金曜日 準ピーク時間帯 夏季 12:00~13: :00~22:30 夏季以外 07:30~22: オフピーク時間帯 00:00~07:30 22:30~24: 準ピーク時間帯 07:30~22: 土曜日 00:00~07:30 オフピーク時間帯 22:30~24: 日曜及びオフピーク日 日曜及びオフピーク日 夏季 10:00~12:00 13:00~17:00 オフピーク時間帯全日 夏季 10:00~12:00 ピーク時間帯 ( 指定の30 日間 ) 13:00~17:00 07:30~10:00 夏季 12:00~13:00 ( 指定の30 日間 ) 17:00~22: 月 ~ 金曜日準ピーク時間帯 夏季 07:30~22:30 ( 指定日以外 ) 07:30~22: オフピーク時間帯 00:00~07:30 22:30~24: 準ピーク時間帯 07:30~22: 土曜日 00:00~07:30 オフピーク時間帯 22:30~24: オフピーク時間帯全日 ( 出所 ) 台湾経済部能源局 HP 台湾は 2013 年 10 月に 第 2 段階電力価格改定 を行い 電力価格を若干引き上げたが 台湾の電力 価格は周辺国と比較すると依然として低く 家庭用は中国に次いで 工業用では韓国で次いで 2 番目に 安い 台湾経済部能源局ウェブサイト 104

113 台湾の電力価格を国際系統連系の可能性が高い中国と比べると 家庭用 工業用いずれもその差は小さいことが分かる 一方 電気料金が日本並みに高いフィリピンと比べた場合 フィリピンの住宅用電力価格は台湾の 2.6 倍 工業用では 1.9 倍になる また 台湾と日本の電力価格を比べると 日本の住宅用電力価格は台湾の 2.8 倍 工業用では 2.0 倍になる 但し 台電は 2012 年の時点で 2024 年まで電力価格の上昇はないと予測している 表 1-32 台湾と周辺国との電力価格の比較 ( 価格の低い順 ) 住宅用電力価格 工業用電力価格 国 地区 平均単価平均単価国 地区 Cent/KWh Cent/KWh 中国 7.3 韓国 7.2 台湾 9.0 台湾 8.9 マレーシア 9.1 マレーシア 9.5 韓国 9.3 中国 9.5 タイ 10.7 香港 9.7 香港 12.5 タイ 10.4 シンガポール 17.8 シンガポール 13.2 フィリピン 23.6 フィリピン 16.8 日本 25.4 日本 17.4 ( 注 ) 台湾ドルから 2014 年 3 月 4 日現在の為替レート 1NT$= ドルで換算した ( 出所 ) 台湾経済部能源局 HP 5. 電気事業法と改訂動向 (1) 電気事業法の位置付け 台湾の電力事業は基本的に国営事業である 台湾の 国営事業管理法 78 の規定によると 国営事業 には政府の単独出資経営事業と 事業特別組織法の規定に基づき政府と民間が出資する事業とがある 国営事業は法律の規定がある場合を除いて 民営企業と同じ権利義務を有する なお ここで事業特別組織法とは電業法 ( 電気事業法 ) 石油管理法 天然ガス事業法 ( 案 ) を指し 電力事業管理については電業法に規定がある 電業法においては 電力事業は公営 ( 国営と地方政府経 営 ) と民営に分けられ 中央政府及び地方政府の出資比率が 100 分の 50 を超えるものは公営事業と見 なされる 国営事業管理法 の規定では 政府と民間が出資する国営事業で政府資本が 100 分の 50 を超える 事業の場合 政府は株主代表として董事長 ( 会長 ) 又は総経理 ( 社長 ) を指名する また 立法院 ( 国 会 ) は 董事長又は総経理に対して 株主総会が議決した予算及び経営状況について報告を求めること が出来る 国営事業の営業収益は国庫に納め 赤字の場合は所管官庁が政府に補填を要請する 台湾の国営事業は経済部国営事業委員会の所管であり 台湾電力公司 ( 電力 ) 台湾中油公司 ( 石油 ガス 化学 ) 台糖公司 ( 農業 ) 自来水公司 ( 水道 ) 漢翔公司 ( 航空機製造 ) が 5 大国営事業である 79 なお 電力事業の国営については 電業法 においても規定されており 経済部が中央政府の所管官 78 国営事業管理法 2011 年 12 月 28 日改正 台湾電力ウェブサイト 國營事業管理法.pdf 79 経済部国営事業委員会ウェブサイト 105

114 庁に指定されているが 地方は直轄市政府又は県 ( 市 ) 政府が所管機関になる 台湾電力公司 ( 以下 台電と略す ) の株式は政府系が 96.93% を占める 出資比率は 中央政府が 94.04% 地方政府が 0.10% その他政府機関が 2.79% であり 民間は 3.07% である 80 台湾の電力事業の基本法規には前出の 電業法 がある 電業法は 1947 年に制定され その後 8 回にわたって改正された 最も新しい改正は 2012 年版である 前述のように国営事業は経済部国営事業委員会の所掌であるが 電力も含むエネルギー行政は経済部能源局が担当する 次項で詳述するように かつては台電が発電事業も独占していたが 現在 台電以外の発電事業から台電への売電が行われている これら民間発電事業は 民営 ( 火力 ) 発電所 再生可能エネルギー発電所 コージェネレーション及び自家発電設備に区分される 電業法において 電力事業は1 全部もしくは一部の発電量をその営業区域内の一般需要家に供給するかもしくはその他の電力事業に転売するもの 2その他の電力事業者から電力を供給してその他の営業区域内の一般需要家に供給するかもしくはその他の電力事業者に転売するもの 3 電力グリッドを経営し 認可された地区内において 各電力事業者の余剰電力の購入と所要電力の販売を統一的に行うもの 4 中核発電所 ( 中央政府の所管機関が指定する高効率発電所 ) を経営し 発電した電力のその他電力事業者への卸売を行うものの 4 つに分けられ ( 第 9 条 ) この中で1が民間企業にも開放されている 民間企業の電力 ( 発電 ) 事業の経営は電業法の中で規定されている 電業法は電力事業経営者について 公営 ( 国営 直轄市営 県市営 郷鎮市営 ) と民営 ( 民間の出資経営 ) に分かち また 政府と民間の共同出資事業については 政府の資本が 100 分の 50 を超えるものを公営事業としている ( 第 7 条 ) 電力事業の申請に際しては 電力供給の目的 電力供給エリア図 施設建設計画 財務予算見積もり等の計画図を提出し 検査に合格しなければならない 民営電力事業を行う場合 地方所管機関を通して中央政府の所管機関に申請する 電力事業権の有効期間は電力供給 ( 発電 電力購入 ) 容量によって異なり 1 級 (10 万 kw 以上 ) と 2 級 (2 万 ~10 万 kw) は 30 年 3 級 (5,000~2 万 kw) は 25 年 4 級 (500~5,000kW) は 20 年である ( 第 24 条 ) 自家発電設備については 現地の電力事業を妨げないことを条件に送電線を設置し 現地の電力事業者に対して余剰発電量の卸売を行うことが出来るが 売買契約は地方所管機関に届け出る必要がある ( 第 条 ) なお 500kW 以上の自家発電設備を設置 ( 拡充 ) する場合 中央政府所管機関の許可証を申請し 500kW 以下の場合は地方政府所管機関の承認を申請して 地方政府所管機関から中央政府所管機関に届け出る形になる ( 第 98 条 ) 一方 再生可能エネルギー発電設備からの売電については 再生可能エネルギー発展条例 81 に規定がある 同条例は 再生可能エネルギー発電設備及びその発電電力は系統連系 卸買及び当該発電設備の保守期間中の所要電力の提供を行う 電気事業者は正当な理由及び中央政府所管機関の許可がない限り これを拒絶してはならない ( 第 8 条 ) と規定している また 再生可能エネルギー発電設備と電力グリッドを連系する送電線は再生可能エネルギー発電設備の設置者が自身で建設及び保守を行う 必要があれば 当該発電設備と連系する電気事業者が必要な 80 同上 81 再生可能エネルギー発展条例 (2009 年 7 月 8 日 ) 経済部能源局ウェブサイト 106

115 協力支援を提供する ( 第 8 条第 2 項 ) としている 再生可能エネルギー電力の買取価格については 中央政府所管部局が関係省庁 専門家 団体を招いて委員会を設け 計算フォーミュラを審議決定する また 同条例は再生可能エネルギー発電設備に対する補助金についても規定している また コージェネレーションからの売電については コージェネレーション系統実施弁法 82 (2002 年公布 数回にわたる改正を経て現在は 2007 年改正版 ) に規定されている コージェネレーションシステムは経済部が所管する コージェネレーションの余剰電力は現地の総合電力事業者に買取を要請することが出来る 総合電気事業者 ( 台電 ) は コージェネレーション側が屋外 屋内送電線設置規則や系統連系規則に違反する場合や中央政府所管機関から承認を得た場合を除いて 買取を拒絶することは出来ない ( 第 10 条 ) コージェネレーションシステムの系統連系に際しては 発電設備容量又は電力売買契約容量に基づき 一般電力事業者の電力供給方式に従って導入する また コージェネレーション系統実施弁法 は コージェネレーション登録の条件 ( 登録されたコージェネレーションシステムは 合格システム と呼ばれる ) 登録申請方法 システム検査 購入する余剰電力の費用率 売電価格フォーミュラについても規定している 現行の台湾の電力市場構造を図示すると 下図のようになる 図 1-64 台湾の現行の電力市場構造 ( 出所 ) 台湾行政院経済建設委員会 82 コージェネレーション系統実施弁法 全国法規資料庫 107

116 (2) 電力自由化の動向 1 電力自由化の進展状況台湾 ( 台湾本島 澎湖島 金門島 馬祖島 ) の電気事業は 1990 年代前半まで台電が発電 送電 配電を全て独占していたが 1990 年代以降 世界的な電力自由化の波が台湾にも押し寄せる一方 台湾の電力需要の急速な拡大に応じて電源開発を速やかに進めるため 台湾政府は 1995 年に電力自由化を実施し 発電事業を徐々に民間に開放することになった 特に台電の夏季の予備電力はわずか 5% という状況が長く続いたため 台湾経済部は電力供給の安定を図るため 1994 年に 発電事業開放作業要点 を公布し 1995 年には第 1 第 2 段階の発電事業開放の 発電所設立申請須知 1999 年には 現段階における民間開放発電所設立方案 を公布した 一方 電力自由化は 独占企業の台電の民営化という文脈でも進められることになった 行政院は 1989 年 公営事業民営化推進小組 を設け 民営化計画 関連法規 実施方案や政策について検討することにした 1953 年に 公営事業民営移転条例 が公布されていたが 時代に合わなくなったため 1991 年に同条例を改正するとともに 1992 年には 公営事業民営移転条例施行細則 を決議した 台電民営化のスケジュールについては 2002 年 8 月 行政院公営事業民営化推進監督管理委員会が 2005 年 12 月に民営化を完了する計画を打ち出した また 同委員会は中華電信と台電の民営化後の公有株の比率を 34% とすることが最適であるとした 83 しかしながら 台電の民営化は実際には進展せず 後述するように 現在 電力自由化計画の流れの中で 台電の分割民営化が検討されているとのことである 2 台湾の IPP の状況前述のように 2012 年の台湾の発電設備容量合計 4,839 万 kw の中で台電系の設備容量が全体の 66.5% を占め 残りの 33.5% の設備は民営発電所 (IPP) とコージェネレーションである うち民営発電所が 772 万 kw 16.0% コージェネレーション設備容量は 761 万 kw 15.8% になる 図 1-65 台湾の所属別の発電設備容量 民営発電所 (IPP) 18.6% コージェネ 14.9% 台湾電力公司 66.5% ( 出所 ) 台湾経済部能源局 83 財団法人台湾総合研究院 公営事業の民営化と公共パイプライン使用管理の研究 2002 年 12 月 108

117 現在 台電は合計 9 社の民営発電所 (IPP) と電力売買契約 (Power Purchase Agreement PPA) を結んで 民営発電所の電力を全て購入している 台電が電力を購入する電力設備容量は 7,652.1MW に上る PPA の期間は一般に 25 年間である 民営発電所から大口需要家への直接供給は今のところ未だない 民営発電所 託送及び再生可能エネルギー発電所からの台電の購入電力量は 億 kwh 18.5% を占め コージェネレーションからの購入電力量は 72.1 億 kwh 3.4% を占める 84 図 1-66 台湾電力公司の所属別購入電力電量 (2012 年 ) 民営 18.5% コージェネ 3.4% 台湾電力 78.1% ( 出所 ) 台湾経済部能源局 合計 表 1-33 台湾電力の電源別 所属別購入電力量 (2012 年 ) 揚水水力発電火力発電 原子力発電 再生可能エネルギー ( 出所 ) 台湾経済部能源局 発電設備別 購入発電量構成比億 kwh % 台電保有 1, 民営発電所 IPP コージェネレーショ 火力発電小計 1, 台電保有 一般水力発電 民営発電所 IPP 委託経営水力発電所 風力発電太陽エネルギー 台電保有台電保有 民営発電所 IPP 民営発電所 IPP 再生可能エネルギー小計 , 台湾電力公司 HP 109

118 台湾の IPP は火力発電所と再生可能エネルギー発電所に分けられる 現在 台湾の民営火力発電所には長生電力公司 国光電力公司 新桃電力公司 星元電力公司 星能電力公司 麦寮汽電公司 和平電力公司 嘉恵電力公司 森霸電力公司がある いずれも石炭火力発電所や天然ガス火力発電所を運転しており 電力は全て台電に販売している 台湾経済部能源局の資料によると 台湾の民営火力発電所の設備容量は合計 771 万 kw に上る 燃料 別では麦寮発電所のみ石炭火力発電所であり それ以外は全て天然ガス火力発電所である 85 出所 : 台湾経済部能源局 HP 表 1-34 台湾の民営火力発電所の概況 発電所の名称 燃料 投資金額設備容量 ( 億台湾ドル ) ( 万 kw) 商業運転開始日 麦寮熱発電所 石炭 /1999.9/ 長生発電所 天然ガス / 新桃発電所 天然ガス 和平発電所 天然ガス / 国光発電所 天然ガス 嘉恵発電所 天然ガス 星能発電所 天然ガス 森霸発電所 天然ガス 星元発電所 天然ガス 図 1-67 台湾の民営火力発電所の分布 出所 : 台湾経済部能源局 HP 85 台湾経済部能源局ウェブサイト 110

119 一方 民営再生可能エネルギー発電所は 水力発電所 風力発電所 太陽光発電所に区分される (3) 経済部能源局の電力自由化計画 経済部は 2013 年 5 月 改めて台電に対し 電力事業自由化に向け電業法改正案を起草するよう要請 し 台電の朱文成総経理は作業チームを設けて 8 月に改正案を行政院に提出することを表明した 能源局は 2013 年 10 月 電力自由化について 次のように 2 つの段階に分けて進める計画を打ち出し た 86 1 電力自由化第 1 段階 = 発電所と電力グリッドの 分業 1) 電力事業は 公営事業としての電力送配電事業並びに電力系統運用 ( 電力制御 ) 事業と 非公営事業としての発電事業並びに売電事業とに区分して それぞれ異なる管理方法を適用する 2) 原子力発電と大型水力発電以外の発電事業及び売電事業を自由化し 民間企業は自由に事業化を申請することが出来 かつそれぞれ同一の権利義務を負う 3) 売電事業者は需要家の需要を統合し 電力の全てを他の電力事業者から購入する 4) 電力送配電事業並びに電力系統運用事業 ( 制御センター ) は民間への自由化を行わず 独占事業とする 但し 発電事業の電力の送電及び運用は公平に行うものとする 5) 電力系統運用事業 ( 制御センター ) は安全 公平 公開の原則と経済政策及びエネルギー政策の原則に則り 電力運用計画に従って運用業務を執行する 電力系統運用事業の成立前は電力グリッド事業が電力系統運用を執行する 6) 電力系統運用をめぐる紛争いついては 中央政府の所管機関が調停に立ち 調停によって解決できない場合は仲裁に付す 7) 発電事業者は 他の発電事業者 電力送配電事業者 売電事業者 電力系統運用事業者 ( 制御センター ) への電力の卸売及び需要家への小売を行うことが出来る その場合 価格は協議して決定する また 需要家に送電する場合 電力系統運用事業の運用業務と電力送配電事業の電力グリッドを使用して送電することが出来る 8) 発電事業者は特定区域において自ら送電線を敷設して電力を需要家に供給することも出来る 電力グリッド事業者は系統連系を拒絶出来ない 9) 自家発電設備は自家用を主とするが 余剰電力については電力送配電事業者及び発電事業者へ卸売を行うことが出来る 10) 高圧電力 (11.4kV 以上 ) のユーザー及び中央政府所管機関の認可を得たユーザー ( 自由化ユーザー ) が発電事業者から直接もしくは売電事業者を通して電力を購入することについては穏健に漸進的に自由化を進める その他の一般ユーザーが電力を購入するのは電力グリッド事業者からのみとする 86 台湾電力公司電力事業自由化対応策略小組 電力事業自由化計画の新たな方向と台電の法改正への対応 2013 年 12 月 31 日 111

120 図 1-68 能源局の電力自由化計画第 1 段階における電力市場構造 出所 台湾電力公司 ② 電力事業自由化第 2 段階 発電所と電力グリッドの 分離 1 台電を発電公司と電力グリッド公司に分割する 2 電力グリッド公司と発電公司は株式の持ち合いを行ってはならない 3 発電公司は分割と民営化を進める 4 将来的には発電事業者からの電力の直接供給にも対応するが 直接供給事業者の負担すべき権利義 務を勘案する 5 財団法人として電力系統運用公司(ISO)を設け 電力系統運用業務 制御センター を担当させる 6 能源局は電力価格安定基金開設の可能性について検討する 7 電力価格の審議が政治的干渉を受けないよう確保するため 電力事業規制委員会を設けることを可 とする 8 ユーザーの電力購入選択権自由化のスケジュールと範囲は中央所管機関が予め決定する 図 1-69 能源局の電力自由化計画第 1 段階と第 2 段階 電力自由化計画第 1 段階 電力自由化計画第 2 段階 (注)赤の点線で囲った部分は台湾電力公司の業務範囲を示す (出所) 台湾電力公司 112

121 電力事業自由化の第 1 段階と第 2 段階は 2 つの点において大きな違いがある まず 発電と送電については 第 1 段階ではそれらの 分業 が行なわれるが 第 2 段階ではそれらの 分離 が行なわれる すなわち 第 1 段階では 台電の発電事業と電力グリッド事業並びに電力系統運用事業を区分し 発電事業は非公営事業とする一方 電力グリッド事業と電力系統運用事業は公営事業として それぞれ異なる管理方法が適用されることになるが 台湾電力公司の企業としての一体性は維持される これに対し 第 2 段階では 企業としての台湾電力公司の分割を実施し 発電企業と送電企業に分離して 発電企業については民営化と分割を進めることになる 次に 電力の系統運用については 第 1 段階ではその業務は台電が担当するが 第 2 段階では台電とは別に財団法人の電力系統運用公司 (ISO) が設けられ その業務を担当することになる 能源局の電力事業自由化計画のタイムスケジュールによると 第 1 段階は電業法改正案の議決から 3 年 第 2 段階は改正案議決から 4 年目以降とされている 6. 国際系統連系台湾の国際系統連系については 中国 日本 フィリピンなどとの間に系統連系を実現に向けた様々な構想がある 例えば 中国福建省と台湾本島の系統連系や日本も含むいくつかの民間機関による構想があるが 台電に対する聞き取り調査によると 台湾側には こうした国際系統連系構想に呼応するような計画や構想が全くない 一方 中台間の送水パイプラインや天然ガスパイプラインに関しては 政府間及び民間ベースで具体的な構想や動きが出ており 最近は通信ケーブルの敷設が実現した また 台湾と中国のエネルギーや水資源の供給をめぐる協力については 中国福建省に近い金門島との間で計画や関連インフラの建設が進展しているが 台湾本島と中国との間では未だ行われていない (1) 台湾と中国との間のエネルギー及び水供給をめぐる協力 1 福建省と金門島との LNG 供給協力最近 福建省と金門島の間で LNG 協力が展開されることになった 2014 年 1 月 17 日 台湾の星崴股份有限公司 (Foxlink Group の子会社 ) と中海石油福建新能源有限公司 (CNOOC 傘下の中海石油気電集団と福建投資集団の共同出資企業 ) が金門島における LNG 供給をめぐる協力で枠組協議書に調印した 福建省から金門島へ天然ガスを供給して島内の酒造業の燃料やバス 発電等に用いる計画であるが 中海石油福建新能源有限公司は 当初は金門島へ LNG を船で輸送し 将来一定規模に達すれば パイプラインによる輸送も検討するとしている 金門島は台湾本島から 158 カイリにあり 人口約 6 万であるが これまで発電 交通 工業用の石油製品や民生用 LPG は全て台湾本島から輸送しなければならず コスト 温暖化ガス排出 大気と海水汚染等の問題が深刻化していた 枠組協議書の調印式に出席した台湾環保署の沈世宏署長は金門島の 低炭素島 実験に向け 1 人当たり炭素排出量を減らしたい考えである 但し 台湾と中国の企業間の合意は成ったものの 台湾政府所管部門の認可 承認や場合によっては法律の改正も必要であり 星崴股份有限公司は LNG 協力が実現するのは早くても 2014 年末との見通しを示している 中国新聞網 2014 年 1 月 17 日 113

122 2 中国福建省から台湾金門島への水供給中国から金門島への水供給については 18 年間にわたって中台間に協議が続けられていたが 2013 年 8 月に 中台間の窓口機関である中国側の海峡両岸関係協会と台湾側の海峡交流基金会との連携により 台湾と福建省の水利当局の間で合意が成立し 福建省供水有限公司と金門県自来水廠が事業機関に指定された パイプラインの経路は 福建省晋江市の龍湖から同市の圍頭を経て 金門島田埔ダムとすることが決まった 88 水供給パイプラインのルートと距離は次のようになる 福建省晋江龍湖ダムから海底パイプラインの入り口の圍頭まで陸上 8km 圍頭から金門島の田埔ダムまで 12km の海底パイプラインが敷設される 田埔ダムからは太湖浄水場と栄湖浄水場までそれぞれ陸上 4~7 キロになり 起点の晋江龍湖ダムから金門市街まで全長 25km 程度になる 89 図 1-70 中台間の送水パイプラインのルート ( 出所 ) バイドゥ百科 3 台湾と中国間の海底通信ケーブル また エネルギー協力ではないが 台湾と中国との間には 将来の電力系統連系や電力貿易へと発展 する可能性もある海底通信ケーブルがすでに実現している 88 中国新聞網 2013 年 9 月 3 日 89 バイドゥ百科 YViY7tc2TquaZITnV2K 114

123 図 1-71 台湾淡水 ~ 中国福州間の海底通信ケーブル 海峡光纜 1 号 ( 出所 ) 中国新聞網 2014 年 1 月 17 日 2013 年 1 月に 海峡光纜 1 号 ( 淡福海纜 ) の敷設が完了した 海峡光纜 1 号 は台湾の淡水と中国の福州市長楽を結ぶ台湾海峡横断海底ケーブルであり 全長 207km になる 台湾の中華電信や 中国の通信キャリア 3 大手のチャイナモバイル チャイナユニコム チャイナテレコムが共同で敷設した これまで台湾と中国の間の通信ネットワークは日本や香港を経由しなければならず 通信速度の問題があったが 直通の光ケーブルにより 迂回の必要がなくなった 一次エネルギーのほぼ全てを輸入に依存する台湾は 中国を初めとする周辺国との間で 石油 天然ガス 電力事業など種々のエネルギー協力を展開している (2) 石油 天然ガス分野における周辺国との対外協力 石油 天然ガス上流分野では台湾中油公司 (CPC) と台塑石化公司 ( 台湾プラスチック ) が外国企業と の間で 探査 開発など協力事業を行っている その中で台湾近海海域のエネルギー開発については 台湾中油公司が 2008 年 12 月 中国海洋石油総 公司 (CNOOC) との間で 協力意向書を含む 3 件の合意文書に調印し またアフリカの鉱区について も協力を進めることになった 調印文書 協力意向書 ( 出所 ) 各種資料に基づき作成 表 1-35 台湾中油と CNOOC の 2008 年 12 月協力合意内容 台南盆地と潮汕凹陥部分海域契約区石油契約 ( 改定 ) 南日島盆地協議区共同研究協定 ケニア 9 号鉱区一部権益譲渡協定 協力内容海外探査開発で協力 海外事業への入札や権益譲渡で協力 天然ガス市場の開発 原油の委託精製 原油と石油製品貿易で協力協議 石炭探査 石油化学 天然ガス工業の技術交流 人材研修 2010 年 12 月末に満期になる探査期間を延長して 未完の探査作業を継続 面積約 9,804 平方キロの協力鉱区を対象に 1 年かけて協力エリア内の石油探査データをもとに石油ガス資源量の研究を進め 共同研究報告を作成 評価報告の結論をもとに 次の探査や石油契約を行うかどうかを決定 CNOOC 傘下の CNOOC AFRICA LTD. がケニア 9 号鉱区の作業権益の 30% を台湾中油傘下の OPIC CHAD CORPORATION に譲渡 115

124 また 台湾中油は中国企業以外にもカナダのハスキー エナジーとの間で 2012 年 12 月 台湾近海の石油ガス開発について 台湾海峡台南盆地深海鉱区協力探査採掘契約 に調印し 7 年間で 20 億台湾ドルを投じて 3 段階に分けて探査開発を進めることになった 権益比率は台湾中油が 25% ハスキーが 75% であるが 商業価値のある石油ガス鉱床が発見された場合 中油の権益を 50% に増やすことになっている 90 その他 台湾中油公司は アジア地区では オーストラリアの AC/P21 鉱区 ( 台湾側の権益 30% 以下同 ) 並びにNT/P76 鉱区 (40%) や インドネシアの Sanga Sanga 鉱区 (16.67%) Bulungan 鉱区 (20%) CB 鉱区 (20%) 及び Arafura Sea 鉱区 (24.5%) でも権益を得て協力事業を進めている また アジア太平洋地区以外では 米国 エクアドル ベネズエラ リビア チャドでも共同探査開発を進めている 91 また 石油化学分野では 台湾最大の民間企業である台湾プラスチックが中国浙江省寧波北倉経済技術特区においてポリ塩化ビニルの生産工場を設けており また 2012 年には年産 30 万トンのアクリル酸エステル生産工場を建設することを申請 さらに 2013 年 9 月には同特区に年産 30 万トンのポリプロピレン生産工場を建設することを決定した 92 (3) 電力分野における周辺国との対外協力 i) 中国における台湾資本の発電事業中国は 経済成長に伴って拡大する電力需要に供給が追い付かず 電力不足問題が深刻であった 1990 年代に 発電事業を外資にも開放し 台湾企業も中国の発電事業に参入した 台湾資本による中国における主な発電事業には 台湾プラスチックの王永慶会長の投資による漳州発電所 台湾亜能聯合会春公司と常州武進電力発展公司の合弁による常州亜能熱発電所などがある また 台湾聯電集団は山東省済寧市との合弁で華鴻 ( 山東 ) 能源投資有限公司を設け 薄膜太陽電池の生産を行うとともに 9 億人民元を投じて太陽光発電所を建設している ii) ベトナムにおける台湾資本の電力事業前出の台湾プラスチックはベトナムにおいても大規模な投資を行っており 2012 年 12 月にハティン省において着工した一貫製鉄所 Formosa Ha Tinh Steel Corporation (FHS) に合わせて付属の石炭火力発電所の建設を進めている なお この発電所の取付工事は中国能源建設集団傘下の山西電建三公司が受注した 93 iii) 台湾国内における電力関連の対外協力台湾南投県所在の名間水力発電所は 民間企業の名間電力股份有限公司が台湾経済部との BOT 契約により建設した発電所であり 名間電力股份有限公司が 25 年間の経営権を取得している 名間電力股份有限公司は台湾の中興電工と日本の関西電力の合弁企業である また 名間水力発電所の水力タービンは中国の四川東風電機廠が設計と製造を行い 中国の水力タービンが初めて台湾に納入されたケース 90 台湾経済部ウェブサイト 2012 年 12 月 18 日 91 台湾経済部能源局 能源局年報 2012 年版 92 中国機経網 2013 年 9 月 25 日 93 中国火力発電網 2012 年 12 月 3 日 116

125 になった 台湾の貿易自由化と国際自由貿易枠組みへの参加の動き台湾の電力国際系統連系も含む対外エネルギー協力が行われる可能性が最も高いのは 中国との間であるが 台湾と中国の経済関係は常に中国と台湾の政治関係によって左右される 中国との関係については 台湾は 平和的な関係の発展と同時に 国防と安全保障を政策の主軸と据え 中国との平和的関係維持 協議システムの制度化 中国との間で調印した協定の執行効果の拡大 ECFA( 両岸経済協力枠組協議 ) 及びその他の継続協議の推進を基本的な政策方針としている しかしながら 中国との経済関係の拡大強化が台湾経済の中国経済に対する依存を高め 延いては安全保障にも影響するというジレンマが台湾には付きまとう 台湾の対中国貿易額は 2003 年の 626 億ドルから 2012 年には 1,629 億ドル超に増加し 台湾の貿易に占める対中貿易のシェアは 4 割前後に達して 台湾経済が中国という巨大市場に依存する構造がますます顕著になった そのため 台湾は TPP など中国以外の自由経済の枠組みへの参加を急いでおり 交渉相手国との貿易を増やすことで貿易市場の分散を図っている 95 特に TPP については 台湾行政院は 2011 年 12 月 台湾の北部 中部 南部 東部の各地に 自由経済実証区 を設けて規制緩和を進め 台湾島を 自由貿易島 として創造し TPP 加盟のための有利な条件を作り出すことを打ち出し さらに 2014 年 1 月には 馬英九総統が 2014 年を TPP 加盟の鍵になる年と位置付け TPP に入らなければ 台湾経済は死ぬ とまで指摘し 江宜梅行政院長 ( 首相 ) も TPP と RCEP( 東アジア地域包括的経済連携 ) を重要政策目標に掲げ TPP と RCEP への参加の決意を表明した また 台湾は二国間 FTA の締結も進めている 台湾は日米欧主要国や ASEAN 諸国との間に国交はないが 日本 米国 EU シンガポール フィリピン マレーシア インドネシア ニュージーランド等との二国間 FTA 締結をめぐって検討や交渉を進め 2013 年 7 月にはニュージーランドと経済協力協定に調印し シンガポールとは 2013 年 11 月に経済パートナーシップ協定の調印を果たした 両国との FTA は台湾にとって TPP 参加の足がかりにもなる 台湾にとっては 国際系統連系も含む対外エネルギー協力においても中国への依存を高めることは 政治面 経済面いずれをとってもジレンマが大きい 中国との関係においては 最近 台湾と中国の閣僚級会談が実現し 首脳会談の可能性も高くなるなどの動きはあるが 中国との政治関係はやはり微妙なものがあり 台湾が中国からの送電に依存する形での系統連系は 台湾の安全保障の見地からは依然難しいと考えられる 一方 TPP を通した日本との事実上の FTA やフィリピンとの二国間 FTA により 少なくとも政治 経済関係においては 国際系統連系のための好ましい条件が形成されるとは見られるものの 地理的条件や相手国と台湾の双方の電力事情 特に現行の電力価格の差異を考慮すると 国際系統連系に向けての壁は大きいのではないか と考えられる 台湾と中国の系統連系の可能性については 以下の内容が検討された 94 台湾経済部水利署 2008 年 3 月 18 日 中国国際入札網 2007 年 10 月 11 日 95 台湾経済部 台湾の 環太平洋戦略的経済連携協定 (TPP) 加盟の経済影響評価報告 2013 年 10 月 我國推動加入 跨太平洋夥伴協定 (TPP) 之經濟影響評估報告.pdf 117

126 2014 年現在 台湾が中国との系統連系計画を進めている兆候は見られないが 中国 ( 福建省 ) 側には台湾との系統連系や石油ガスパイプライン連結構想の萌芽も見られる 但し 具体性には乏しい 例えば 2009 年 5 月 中国国務院は 福建省の海峡西岸経済区の建設加速に対する支援に関する意見書 を公布し 中台間の経済 物流関係の強化を打ち出した これに関連し 特に中台間のエネルギー協力については 福建省政府発展研究センターが 石油ガス資源の中台共同探査開発事業の他に 福建省と台湾の間で石油製品パイプライン 天然ガスパイプライン及び電力ネットワークを連結することを提言した 96 但し この提言に含まれる台湾との電力系統連系の構想は あくまで初歩的な段階におけるものに過ぎず 経済性など具体的な問題に踏み込んだものではないと推察される さらに 台湾電力公司の関係者によると 台湾側では中国との系統連系についての具体的な計画や構想の検討は 未だ殆ど進んでいないのが現状である 福建省と台湾本島の間の系統連系の経済的可能性や相互補完性について検討する場合 前提として 台湾と福建省の電力事情を比較しなければならない まず 福建省の電力事情を見ると 2013 年末の電力設備容量は 4,139 万 kw うち水力発電は 1,225 万 kw 火力発電は 2,657 万 kw 原子力発電は 万 kw 風力発電は 150 万 kw である 福建省の電力供給には余裕があり 2013 年には華東電網へ約 88 億 kwh の対外送電を行った 夏季の電力消費のピークにおいても 華東地区の 4 つの省の中で唯一福建省だけが電力供給制限を行わなかったのとことである 97 福建省の電力設備のうち水力発電の占める比率はほぼ 30% に上っており 中国全体の水力発電の比率 22% を大きく上回っている 一方 台湾の電力事情は 前述したように 電力設備の中で火力発電が 73% 近くを占め 原子力発電は 12.6% 再生可能エネルギーは 8.3% そして水力発電は 6.3% と極めて低い また 台湾の発電量に占める水力発電の比率は例年 3% 前後で低迷している 従って 夏季増水期の水力発電によって余剰が出る福建省の電力を台湾のピーク調整用に輸出することは可能性の高い方法になる また 前述のように台湾の基幹高圧送電線は台湾本島を南北およそ 400km にわたって走っており 南部から北部への送電が主になる 従って 前述の海底通信ケーブルのように 中国から電力需要の大きい台北に近い台湾北部へ 200km 余りの送電線を敷設して送電を行うことは 台湾の電力構造と送電系統から見る限り 合理的であると言える さらに 現行の台湾と中国の電力価格を比較すると 工業用では台湾の /kwh に対し 中国が /kwh と大きな差はなく 一方 住宅用では台湾の /kwh に対し 中国が /kwh と台湾に比べ若干低い 従って 台湾が夏季の民生用電力需要のピークシーズンに福建省の余剰電力を導入することは 政治的側面を考慮せず 経済的側面からのみ見た場合 合理的であると考えられる 8. 近隣諸国とのエネルギー協力の現状 本項では 台湾の地域的エネルギー協力の現状について 1 電力取引の基盤となり得る地域的協力枠 96 海峡西岸経済区: 新たな座標上に両岸交流協力先行実証区を打ち立てよ 2009 年 7 月 2 日 アモイ市人民政府ウェブサイト 97 福建省 2013 年電力運行状況 中国電力企業聯合会 2014 年 2 月 19 日 118

127 組みに参加しているか 2 潜在的な電力取引相手国との間で 戦略的物資に関する相互依存関係を築い ているか 3 近隣国との関係に関する懸案事項を 国際連系線を通じて改善 解決を図ろうとの意図を 有しているか という 3 つの切り口から整理する 1 地域的協力枠組み台湾は 正式な国家承認を受けていないという特異な国際法的地位に起因して 国家間の協力枠組みへの参加機会は限られている 現在 APEC へのオブザーバー参加が認められているが 対外協力は専ら二国間合意に基づいて行われている 台湾にとって最も重要な関係である中国との関係は 1992 年に形成された 口頭で中台各自が 1 つの中国 原則について表明する という 92 年コンセンサス を基盤に 台湾における 2008 年の馬英久政権成立以降急速に進み 中国における 2012 年の習近平政権成立を経て一層加速している 中台は 2010 年に ともに民間機構である海峡両岸関係協会 ( 中国側 ) と海峡交流基金会 ( 台湾側 ) の間で Economic Cooperation Framework Agreement:ECFA 海峡両岸経済協力枠組取決め) を締結し 貿易 観光等の経済交流を活発化させている 2014 年 2 月には 1949 年の分断後初めての中台関係担当閣僚級会談が開かれ 直接対話のメカニズムを作ることが合意された 98 この他の二国間協力としては 台湾が直面するエネルギー政策上の課題 ( 高い輸入依存率 化石燃料依存率 ) を背景として 資源供給国との関係や 省エネ 再生可能エネルギー協力に関するものが挙げられる 1992 年にはオーストラリアとの間で Joint Energy and Minerals, Trade and Investment Cooperation Consultations(JEMTIC) が合意され エネルギー需給 政策に関する情報交換 省エネやスマートメーター 太陽熱発電 次世代バイオ燃料 CCS での技術協力 台湾による豪州炭鉱投資 LNG 輸入などが検討されてきた 年 3 月には 台湾 -ロシア経済 文化協力調整委員会の会合がもたれ ロシアからの原油 天然ガス 金属資源及びその他工業製品の輸入拡大に向けた関係強化が確認された 100 モンゴルとは 2014 年 2 月に再生可能エネルギー及びエネルギー効率に関する協力機構の設置について合意した 101 この他に台湾は原子力発電所を保有していることから 民生用原子力利用に関する協力関係を米国 フランス 日本ほか多くの国と構築している しかし 現時点で 電力取引や国際連系線敷設を視野に入れた協力関係は いずれの国とも結んでいない 孤立した島国という地理的条件に加え 台湾周辺が中国との度重なる軍事的緊張を経験した係争海域であることも 重要な要素である 2 相互依存関係台湾が当事者となる国際連系線を検討する場合 最有力の相手国は 地理的近接さから考えて中国である 中台間では 1979 年に中国側が経済交流を呼びかけたが この背景には 台湾の対中経済依存度を高めることを通じて台湾との統一に有利な環境を作り出す意図があった 従って台湾側には 中国による経済的手段を梃子とした統一戦略への懸念が根強く 当初は対中国貿易 投資は禁止され 貿易 98 日本経済新聞 2014 年 2 月 12 日 99 豪政府 技術革新 産業 科学 研究省 Bilateral minerals and energy cooperation with Taiwan 100 Oil Price.com "Taiwan Looks to Russia to Secure Energy Imports and Independence from China 2012 年 3 月 14 日 101 Taiwan News.com Taiwan-Mongolia MOU signed for cooperation on renewable energy 2014 年 2 月 17 日 119

128 品目も制限されていたものが段階的に自由化されてきた 前述のとおり現在では中台双方とも経済関係の強化方針を掲げているが 中台間の経済規模の格差を反映してその関係は非対称なものである エネルギー面では 中台は 共に1 石油輸入依存度が高く 海外資源開発の必要に直面し 2 近年では再生可能エネルギーや省エネを重視している という共通利益がある 特に中国の石油需要増による価格上昇の影響を受ける台湾側には 省エネ協力を進める誘因が強いといえる これを反映して 1993 年に中国が海洋石油開発への外資参入を認めたのに伴い 中台共同で尖閣諸島近海での石油 ガス探査を実施 2001 年には中国の CNOOC と台湾の CPC が珠江口盆地の石油鉱区に共同で入札 2009 年には CPC と CNOOC が台湾海峡周辺および海外での共同探鉱開発について合意を交わすなどとの協力が進んでいる 電力分野では 2009 年に両岸経済貿易文化フォーラムが 中台の環境 再生可能エネルギー協力促進が提言した 風力 / 洋上風力発電 太陽熱 LED 電球の国際標準化などが協力分野として重視されている 但し これらのエネルギー協力も 非対称性は否めない 石油 ガス輸入依存低減は中国の喫緊の課題ではあるがその深刻さ台湾の比ではなく 探鉱開発では中国側に技術 経験の蓄積が豊富である 環境 再生可能エネルギー分野でも 台湾は国内市場規模の小ささに加え 中台関係が主要因となって自由貿易協定 (FTA) の締結が進まないなどの制約を抱えており 中国以外のパートナー選定が困難な状況にある 3 国際連系線を通じた外交関係改善の意図現時点で 中台のいずれも 国際連系線の建設に関する構想や期待を表明した例は把握されていない 中台関係は通常の国家間関係と異なり 双方が 1 つの中国 原則 すなわち自らが唯一の正当な中国政府でありいずれは相手が消滅することを前提としている しかも台湾は米国と軍事同盟関係にある この関係を 国際連系線という物理的インフラの接続によって解決しようとの意図は 双方とも持ち合わせておらず 特に台湾側にとって 自国の送電網が中国の送電網の一部分として吸収されるかのような状況は好ましくないと推測される 他方 台湾が第三国との間で国際連系線に関する協定を締結することも 対中国関係上は困難である 120

129 第2章 国際連系線の現状と計画 構想 第1節 アジア 太平洋エネルギーネットワーク構想 Grenatec Grenatec は東アジアからオーストラリアまで跨るエネルギーネットワークを提唱している 同構想 は電力に限定せず 通信海底ケーブルの敷設状況や各国 地域の一次エネルギー賦存状況から 電力 ガスネットワークの構築を提唱しているのが特徴である 基本的には高圧直流送電線及びガス パイプ ラインを 2050 年までにオーストラリアから東南アジア地域 中国 台湾 韓国及び日本に敷設するこ とで オーストラリアの豊富なエネルギー資源 ガス 太陽エネルギー を輸送する構想である オー ストラリアでは多数の太陽光発電プロジェクトがあり 国内系統の増強が検討されていること そして 北西部地域のガス開発構想があることから 需要地であるアジア地域との連携が考えられることから生 じた構想である 現段階ではオーストラリアの電力系統は人口の多い南東海岸に敷設されているが 全 国大のネットワークとなっておらず 太陽光発電プロジェクトに伴う系統増強が構想されている模様だ が 東南アジア地域への高圧直流送電線を用いた連系は単なる電気の輸送目的のみの長距離送電となり 経済性の観点で課題が大きい構想であると言える なお本提言では各国の電力需給バランスを勘案した 送電量の見込みや電力ネットワーク敷設のための費用等の具体的な内容は含まれていない 図 2-1 アジア 太平洋エネルギーネットワーク構想 出所 Grenatec, A Pan-Asian Energy Infrastructure By

130 図 2-2 オーストラリアの電力 ガスネットワークインフラ 出所 Grenatec, A Pan-Asian Energy Infrastructure By 2050 第2節 アジア大洋州電力網 エネルギー版TPP 構想 日本創成会議 座長 増田寛也 東京大学大学院客員教授 は 2011 年 10 月に発表した第1回提言 エネルギー創成 の中で 日本は 再生可能エネルギー社会確立にむけ 外交戦略としてアジア大 洋州電力網 エネルギー版TPP 構想を提唱し その実現を主導すべきである との提言を行った 本提言は各国の電力需給バランスを勘案した送電量の見込みや電力ネットワーク敷設のための費用等 を含んでおらず グリーンエネルギーグリッド推進機構 GEGO 仮称 を創設することで具体的 な検討を進めていくとするに止まっている 表 2-1 エネルギー創成における提言内容 ①日本を含むアジア大洋州の再生可能エネルギー普及にむけ 弱点である不安定性を克服するために国 際電力網を構築する エネルギー連携によるアジア パートナーシップを確立し 国際的な相互補 完体制をつくる ②日本の再生可能エネルギー技術をアジアに移転し CO2 排出量削減に貢献するとともに アジアの 電力供給体制を強化し 日本のバックアップ電源として確保する ③国際電力網構築 再生可能エネルギー拡大にむけて 各国が参加するプラットフォームとして グリ ーンエネルギーグリッド推進機構 GEGO 仮称 を創設する ④国際電力網への接続にむけた国内体制として 発送電を分離した上で全国を結ぶ統一的な送電管理体 制を確立する ⑤リチウム空気電池等 技術の飛躍性が高い非連続型研究の取り組みを強化する 122

131 図 2-3 アジア大洋州電力網構想 出所 日本創成会議 第 1 回提言 エネルギー創成 2011 年 10 月 第3節 アジアスーパーグリッド 自然エネルギー財団 自然エネルギー財団では 2011 年 9 月にアジアスーパーグリッド構想を公表後 2013 年 12 月に国 際シンポジウム アジアスーパーグリッドによる国際連系の可能性 の開催 2014 年 1 月に自然エネ ルギー財団も参加して取りまとめられた"Gobitec and Asian Super Grid for Renewable Energies in Northeast Asia"の公表 そして エネルギー安全保障と電力貿易 アジアスーパーグリッド構想におけ る日本の安全保障への影響 と題するレポートを公表する等 精力的に活動を行っている 以下では "Gobitec and Asian Super Grid for Renewable Energies in Northeast Asia"における提言の想定内容 について整理を行うものとする 本構想ではモンゴル Gobitec に 1 億 kw の風力発電及び太陽光発電が各 5,000 万 kw 導入され モン ゴル 1.0% ロシア 3.0% 中国 81.0% 韓国 5.0% 及び日本 10.0% が受電することが想 定され 試算が行われている 建設費用 2, 億ドルそして年間運転維持費用 億ドルと巨大な プロジェクトになる模様である 再生可能エネルギー発電の買取費用と送電線建設費用 運転維持費用 のうち Gobitec 連系費用及び国境外の送電線建設 運営維持費用は各国の受電割合を考慮して決定され るものとされている その結果 各国の再生可能エネルギー発電の買取費用と送電線建設 運転維持費 用の負担額は ドル/kWh ドル/kWh に達する この負担水準は現在の中国や台湾 韓国等 の一般家庭における電気料金単価を上回っており 関係国の理解を得られるかが鍵となろう 123

132 図 2-4 アジアスーパーグリッド構想 ( 出所 ) Gobitec and Asian Super Grid for Renewable Energies in Northeast Asia, 2014 年 1 月 図 年の電源構成の想定 ( 出所 ) Gobitec and Asian Super Grid for Renewable Energies in Northeast Asia, 2014 年 1 月 124

133 表 2-2 再生可能エネルギー発電導入費用と想定課金 加重平均利用率 20% 30% 40% 50% 60% 平均出力 2,000 万 kw 3,000 万 kw 4,000 万 kw 5,000 万 kw 6,000 万 kw 年間発電量 1,752 億 kwh 2,628 億 kwh 3,504 億 kwh 4,380 億 kwh 5,256 億 kwh 年間販売量 1,620.6 億 kwh 2,430.9 億 kwh 3,241.2 億 kwh 4,051.5 億 kwh 4,861.8 億 kwh 年間固定費 億ドル 億ドル 億ドル 億ドル 億ドル 年間変動費 0 ドル 0 ドル 0 ドル 0 ドル 0 ドル 供給費用 ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh 電気料金課金モンゴル ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ロシア ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh 中国 ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh 韓国 ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh 日本 ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh 加重平均課金 ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ドル /kwh ( 出所 ) Gobitec and Asian Super Grid for Renewable Energies in Northeast Asia, 2014 年 1 月 表 2-3 アジアスーパーグリッド建設費用 運転維持費用 建設費用 年間運転維持費 Gobitec( 風力発電 太陽光発電 ) 2,379 億ドル 億ドル ASG+Gobitec 連系システム 億ドル 86.4 億ドル モンゴル連系システム 2.35 億ドル 590 万ドル ロシア連系システム 6.66 億ドル 1,670 万ドル 中国連系システム 億ドル 4 億 1,880 万ドル 韓国連系システム 億ドル 3,690 万ドル 日本連系システム 億ドル 7,550 万ドル 連系システム合計 億ドル 8 億 6,400 万ドル 総合計 2, 億ドル 億ドル ( 出所 ) Gobitec and Asian Super Grid for Renewable Energies in Northeast Asia, 2014 年 1 月 表 2-4 アジアスーパーグリッド送電線の前提 ASG+Gobitec 連系システム モンゴル連系システム ロシア連系システム 中国連系システム 韓国連系システム 日本連系システム HVDC 電圧 1,000kV 1,000kV 1,000kV 1,000kV 1,000kV 1,000kV 送電容量 1 億 3,333.3 万 kw 100 万 kw 300 万 kw 8,100 万 kw 500 万 kw 1,000 万 kw 回線数 距離 3,000km 430km 520km 745 1,160km 1,420km 課金 ( ドル /kwh) ( 出所 ) Gobitec and Asian Super Grid for Renewable Energies in Northeast Asia, 2014 年 1 月 125

134 第4節 各種アジアグリッド構想のまとめ 各国の国際連系線の計画と各種構想は 下図の通りに整理することができる 電気事業者により検討 が開始されたのは 日本 韓国国際連系線 韓国 北朝鮮 ロシア国際連系線 中国 ロシア国際連系 線であり これらは電気事業者及び 又は政府のエネルギー計画に記載がある 日本 ロシア国際連系 線 中国 韓国国際連系線 中国 台湾国際連系線は事業者又は民間の構想段階に止まっている 各種計画及び構想で供給力として期待されているのは ロシアの水力発電及び火力発電とゴビ砂漠の 再生可能エネルギー発電 そしてオーストラリアのガス火力発電及び東南アジア地域の再生可能エネル ギー発電である いずれの供給力も日本から見た場合 長距離送電になるため 経済性の点が大きな課 題となっている 図 2-6 我が国を中心としたアジアグリッド構想の進捗状況 ロシア送電会社の事 業計画に計上 水力発電ポテン シャル 域内系統強化 必要 既設送電線 日露事業者によるFS 開始と報道あり 域内系統強化 必要 ロシア送電会社の事 業計画に計上 風力発電 太陽光発 電ポテンシャル 大陸ロシアと連系不要 の石炭火力発電 天然 ガス発電による供給の 構想もある 域内系統強化 必要 韓国電力が調査 開始 構想段階 地図はGoogle Mapを使用 出所 各種資料より日本エネルギー経済研究所作成 126

135 表 2-5 アジアスーパーグリッド構想の進捗状況と課題 構想 検討の状態 課題 日本 = 韓国 韓国電力が調査開始 電気事業者による 連系線利用目的が < 送電の方向は今後検討 > 調査段階 不明確 日本 =ロシア ロシア極東の水力発電を サハ 電気事業者による 極東からの連系は リンを介して日本へ送電する案が検討されている 構想段階 長距離送電になるため採算性に課題 ロシアでサハリンに石炭火 サハリンでの発電 力 天然ガス火力を建設し 日本に送電する案を検討 <ロシアから日本への送電 > 所建設は日本側の需給から長距離送電になるため採算 性に課題 韓国 = 北朝鮮 = ロシア ロシアと韓国で北朝鮮を介して国際連系線検討中 < ロシアから韓国への送電 > 中国 =ロシア ロシア極東で電源開発を行い 中国へ送電する案が検討中 <ロシアから中国への送電 > 中国 = 韓国 ゴビ砂漠で再生可能エネルギー発電開発し 中国 韓国で受電する構想あり < 中国側から韓国への送電 > オーストラリアから東南アジアを介した広域連系構想あり < 送電の方向不明 > 中国 = 台湾 オーストラリアから東南アジアを介した広域連系構想あり < 送電の方向不明 > ( 出所 ) 各種資料より日本エネルギー経済研究所作成 韓国政府のエネルギー計画に計上 ロシア送電会社事業計画に計上 ロシア送電会社事業計画に計上 北朝鮮を介する必要があり 実現可能性に課題 大規模なロシアからの送電は極東の系統規模から困難 民間の構想段階 長距離送電になるため採算性に課題 民間の構想段階 中国 = 台湾国際連系線の用途は不明 127

136 第 3 章海底ケーブル敷設に伴う課題第 1 節海外事例 1. スマトラ ( インドネシア )- 半島マレーシア ( マレーシア ) の国際連系同プロジェクトは Garuda Sakti( インドネシア ) と Telku-Gong( マレーシア ) を結ぶ総延長 257km 架空と海中にわたる ±250kV 直流送電プロジェクトで送電容量は 60 万 kw である 運開予定は 2018 年で総工費は約 3 億 5,000 万ドルを予定している マレーシアの TNB 102 とインドネシアの PTBA PLN 103 が 2012 年 10 月に マラッカ海峡横断国際連 104 系線建設 石炭火力開発事業 に関する共同開発協定を締結しており TNB が送電線施設事業 PLN と PTBA がスマトラ州島の石炭火力発電所の建設事業と炭鉱開発事業を主導することになった このプロジェクトの目的は 1 インドネシア側は スマトラ島に石炭火力発電所 (120kW) を建設することで 石油 天然ガス 石炭の輸出で外貨を稼いでいるが電力でも外貨を稼げること 2 マレーシア側は 半島マレーシア中部地域の供給力不足を補い 供給信頼度を向上させること 天然ガスに過度に依存している電力供給を是正すること 3 需要のピークが夕方のスマトラ島と昼間がピークの半島マレーシアをつなぐことで 両国にとって効率的な電力供給が可能になることである (1) マレーシア~スマトラ直流連系計画 2012 年 10 月にインドネシアのバリで CEPSI(The Conference of the Electric Power Supply Industry) 大会が開催され, その際にマレーシア-スマトラ直流連系計画の概要について より具体的な情報が示されている インドネシアスマトラ側内陸部の交直変換所( ペカンバル付近 ) からルパット海峡 ( ドゥマイ付近 ) まで直流架空送電線を敷設 ( 約 170km) ルパット海峡を直流海底ケーブルで横断 ルパット島で一旦海底ケーブルを陸揚げし ルパット島内は直流架空送電線を敷設 ルパット島からマレーシア( メラカ ) までのマラッカ海峡を再度直流海底ケーブルで横断 マレーシア側は交直変換所に海底ケーブル直接接続 102 Tenaga Nasional Berhad; 電気事業者 103 国有石炭会社 104 JDA;Joint Development Agreement 128

137 図 3-1 プロジェクト側面図 ( 出所 ) 平成 24 年度インフラ システム輸出促進調査等事業 TNB PLN Bukit Asam による Joint Developing Agreement の締結 (2012 年 10 月 )CEPSI バリ大会と前後して 2012 年 10 月に マレーシアの電力会社 TNB インドネシアの電力会社 PT.PLN およびインドネシアの国営炭鉱会社 PT.Bukit Asam(PTBA) の3 社は スマトラ島での石炭火力発電所開発を含むマレーシア- スマトラ連系に関する Joint Development Agreement(JDA) を締結したと発表した (a) JDA とプロジェクトの目的 JDA は 2012 年 6 月の MOU をもとに締結したものである インドネシア Riau 州 Peranap に石炭火力発電所 (800~1,200MW) を建設し 発電された電力のほとんどをマレーシアの Melaka( メラカ ) 地区の Telok Gong へ送電 石炭火力発電の一部の電力はインドネシア側にも供給しスマトラ島の電力供給にも寄与 スマトラ-マレーシア間は直流送電方式を採用 (DC250kV) プロジェクト完了は 2018 年 (2017 年との記事もあり ) アジア開発銀行(ADB) の検討依頼も行っている (b) 3 社の役割分担 3 社の JDA 下での計画 検討における役割分担を以下としている TNB : マレーシア-スマトラ連系線の整備 PLN : スマトラ側の石炭火力発電所の建設 PTBA : スマトラ側の石炭採掘 129

138 また 今後 各社それぞれが新会社を設立し このプロジェクトを遂行していくこととしている (2) 直流送電技術に関する我が国の技術競争力 1 高信頼度の海底ケーブル直流送電システムスマトラ島とマレー半島間は海洋により隔たれており 系統連系には海底ケーブルの送電線布設が不可欠である 電力系統間の連系設備は トラブルによる非常停止などにより両系統に与える影響は大きく 連系設備には 一般の電力系統機器よりもより信頼度の高い設備 システム運用が要求される 直流海底ケーブル製造技術直流送電に使用される海底ケーブルは 信頼性 及び 長尺生産性などの点から これまでその多くは油浸紙絶縁ケーブル ( ソリッド OF) が使用されて来たが 最近では 架橋ポリエチレン絶縁ケーブルの技術進歩が目覚しく 直流海底ケーブルに適用されるようになってきた 図 3-2 直流海底ケーブルの種類と特徴 ( 出所 ) 平成 24 年度インフラ システム輸出促進調査等事業 押出絶縁ケーブルは空間電荷の問題から 従来 直流回線に使用することは困難とされてきたが 極性反転のない自励式変換器 (VSC:Voltage Sourced Converter ) を採用して スウエーデンのゴットランドで DC80kV の直流押出ケーブルが適用されている VSC 向直流押出絶縁ケーブルはヨーロッパを中心に 現在 DC200kV まで実線路で使用されている 一方 日本では極性反転を伴う他励式変換器 (LCC : Line Commutated Convertor) にも対応可能な直流架橋ポリエチレン ( 以下 XLPE と略す ) ケーブルが開発され 2012 年 12 月に DC±250kV 105 CIGRE( 大電力国際学会 ) の 世界各国の直流送電設備の稼働率, 利用率, 事故停止率のデータ では, 日本の直流送 電設備が, 高い信頼度によって運転されていることがわかる 130

139 の XLPE ケーブルが北海道 本州連系線として実用を開始した XLPE ケーブルは 油流出による 環境汚染の心配がない 給油設備を必要としないことに加え 導体許容温度を 90 で使用できるこ とから 環境面 長距離かつ大容量送電の面で 従来のソリッドケーブルやOFケーブルより優れて いる この分野では 日本メーカーのみが 極性反転に耐える架橋ポリエチレン絶縁海底ケーブルを供給 できるという意味で 日本は世界一の技術を保持しているといえる 図 3-3 北海道 本州連系直流 250kV XLPE ケーブル 図 3-4 参考 送電容量と送電距離の関係 出所 平成 24 年度インフラ システム輸出促進調査等事業 ③ 両国設備運用の提案及びプロジェクト計画 マレーシア スマトラ直流連系計画 は 現計画において マレーシアのメラカ州 Melaka 州 の Telok Gong 発電所に隣接される Telok Gong 変換所とインドネシアのスマトラ島リアウ州 131

140 のペカンバル近郊に新設される New Garuda Sakti 変換所間を直流送電線で連系するものである 図 3-5 プロジェクト平面図 ( 出所 ) 平成 24 年度インフラ システム輸出促進調査等事業 マレー半島 -スマトラ島間には マラッカ海峡が存在することから 海峡間は海底ケーブルを敷設する必要がある 両変換所を結ぶ送電ルートの特徴は以下の通りである (a) マレーシア側の Telok Gong 変換所は海洋に面していることから 変換所から海底ケーブルを直接引き出し ルパット島へ接続する (52km) (b) 架空送電線に対して送電線単価 敷設費用が高価となる海底ケーブル区間の距離を低減するため スマトラ側のドゥマイ (Dumai) 沖にあるルパット島 (Rupat Island) の北側 Alohong Village 付近で一旦 海底ケーブルを上陸させ ルパット島内は架空送電線で送電する ( 約 30km) (c) ルパット島の南側 Selat Rupat~スマトラ島 ( ドゥマイ ) までは再度 海底ケーブルを敷設する ( 約 5km) (d) ドゥマイ上陸後 AC500kV/275kV 変電所のある New Garuda Sakti 変換所までは 架空送電線で送電する ( 約 170km) i) 最適仕様の検討 国際連系のような 頻繁に任意の融通電力を流す目的のプロジェクトの場合は 接続の容易性 132

141 連系線の潮流制御 過度安定度 106 短絡電流の観点から交流連系より直流連系が優る 仮に直流連系とした場合 LCC 107 と VSC 108 の比較になるが コストやロスが少なく大電力 長距離プロジェクトに採用される LCC が有利である 回路構成は 単極構成 109と双極構成 110 帰路方式は導体帰路方式 111と大地帰路方式 112があるが 技術的評価や環境インパクトの観点から双極構成 導体帰路方式が有利である 直流電圧の選定については 双極 250kV 1200A と単極 500kV 1200A が比較されたが 工事費 回路構成 運転ロス 環境インパクトの観点から 双極 250kV 1200A のほうが適している (a) マレーシア-スマトラ直流連系計画のシステム仕様案表 3-1 マレーシア-スマトラ直流連系計画システム仕様案 直流送電設備規模および竣工時期交直変換設備 直流送電線設備 接続交流系統 (a) 双極 1 回線導体帰路方式 600MW (b) 竣工時期 : 2018 年 600MW, +/-250kV, 1200A (Bipolar (300MW x 2)) 全亘長 :2576km (a) 海底ケーブル (Telok Gong~Rupat Island (Alohong Village)) 亘長:52km 本線 2 本, 帰線 1 本,XLPE Cable を推奨 (b) 海底ケーブル (Rupat Island (Selat Rupat) ~ Dumai) 亘長:5km 本線 2 本, 帰線 1 本,XLPE Cable を推奨 (c) 架空線 (Rupat Island (Alohong Village ~ Selat Rupat)) 亘長:30km 本線 2 本, 帰線 1 本 本線用 ACSR 810mm2 2, 帰線用 300mm2 2 (d) 架空線 (Sumatra (Dumai ~ New Garuda Sakti)) 亘長:170km 本線 2 本, 帰線 1 本 本線用 ACSR 810mm2 2, 帰線用 300mm2 2 (a) マレーシア側 交流 275kV 既設 Telok Gong 275kV Substaion に接続 (b) インドネシア側 交流 275kV 新設 New Garuda Sakti Substation に接続 (New Garuda Sakti S/S は 500kV/275kV/150kV/HVDC の併設変電所となる計画 ) 106 電力系統の負荷変化や 故障等の擾乱に対して 各発電機電圧が一定の相差角を保ち 同期回転を維持できる度合い 107 他励式変換装置 (Line Commutated Converter) 108 自励式変換装置 (Voltage Sourced Converter) 109 本線が + 極または - 極のみで構成される方式 110 直流送電のうち 本線が + 極 - 極の 2 極で構成される方式 111 帰路電流を導体に流す方式 112 地中または海水を帰路回路として使用する 133

142 (b) マレーシア-スマトラ直流連系計画の変換所機器仕様案 ( 変換所機器仕様案 ) マレーシア-スマトラ直流連系設備の変換所機器に係る仕様は 来インドネシア マレーシアの機器規格 Grid Code 及び実際の系統で発生する現象の解析に基づいて検討し 決定する (c) マレーシア-スマトラ直流連系計画の海底ケーブルの基本仕様 試設計直流送電用海底ケーブルは XLPE を推奨し この場合の仕様案を以下に示す 表 3-2 DC±250kV XLPE ケーブルの構造表 図 3-6 DC±250kV XLPE ケーブルの構造表 ( 出所 ) 平成 24 年度インフラ システム輸出促進調査等事業 134

143 ii) 当該計画に係る概算費用 調査団によって試算した概算費用は, 下表となっている 表 3-3 概算工事費 (MUS$) 設備名称 DC250kV Bi-Polar DC500kV Mono-Polar 備考 変電所 架空送電線 約 200km ケーブル送電線 約 50km 合計 iii) その他の機能日本の東西連系を始め 世界での地域間 国際間の直流送電においては 緊急電力応援機能 周波数制御 運転継続制御を付加することで緊急対応電力供給源として強化される そのほかのインプリケーションとしては次のような点があげられる (1) 自然環境 地理的リスク (a) 地震対策 (b) 津波対策 (c) マラッカ海峡通過の船への影響低減策 (2) 発電計画 系統整備計画の達成リスク (3) 再生可能エネルギーなどの電源構成変動リスク (4) 資金調達リスク (5) エネルギーセキュリティリスク 表 3-4 ( 参考 ) プロジェクト計画案 ( 出所 ) 平成 24 年度インフラ システム輸出促進調査等事業 135

144 2 国際連系線に関する法令の整備 インドネシアのエネルギー鉱物資源省 ESDM は 2012 年 4 月 国際連系線に関する省令 2012 年 42 号 を発表している この省令では ⅰ)発電設備周辺の電力需要が不足していること ⅱ)国内の電力供給に影響がないこと ⅲ)採算性のとれる取引価格であること という条件をすべて満たせば 発電事業者に対して電力輸出を認可することになっている 2013 年 6 月時点で ESDM は省令の細則を作成中であり 国際連系の運用開始に向けて準備を進 めている 3 漁業と海底ケーブル CIGRE の 2009 年の調査によると 1990 年から 2005 年に報告された海底ケーブルの故障原因のう ち 漁業が 52% アンカー18% 地震 3% 浚渫 掘削 1% ケーブル船の活動 1%等となっている Stephen C. Drew 及び Alan G. Hopper の FISHING AND SUBMARINE CABLES WORKING TOGETHER Second Edition によると漁法のうち底引き網等により 海底ケーブルが破損することがあるため 海底 ケーブル敷設にあたっては漁業関係者との協調が必要としている 図 3-7 欧州の底引き網漁法の例 出 所 Stephen C. Drew and Alan G. Hopper の FISHING AND SUBMARINE CABLES WORKING TOGETHER Second Edition 136

145 欧州の海底ケーブルプロジェクトであるイギリス=オランダ間高圧直流送電線 BritNed の環境影響報告書 EIS, SEA and Habitat Assessment for BritNed Interconnector (2007 年 ) によると 本プロジェクトでは海底ケーブルを海底に埋設する方法が採用されたため 漁業への影響は想定されておらず むしろ底引き網漁法やアンカーによる海底ケーブルの破損の可能性が言及されている 海底ケーブル敷設の際に海底を攪拌するため魚の卵等への影響の懸念もあり 影響が小さなルートの選択が言及されている 漁業との関係では 商業漁業の対象地域を横断することになるため 禁止ゾーンの設定を極小化する配慮をしている また海底ケーブルが十分に深いところに埋設されるため漁業に影響しないとしている また北東大西洋地域における海洋環境を検討するベルギー デンマーク フィンランド フランス ドイツ アイスランド アイルランド ルクセンブルグ オランダ ノルウェー ポルトガル スウェーデン スイス イギリス 欧州委員会及びスペインの代表者による OSPAR 委員会による Assessment of the environmental impacts of cables (2009 年 ) では海底ケーブル敷設に伴う電磁波の魚に対する影響が検証されたが 影響は微小とされている 137

146 4. 欧州での海底ケーブルの事例欧州では 電力取引市場の統合 風力発電の普及等から電源線あるいは国際連系線として海底ケーブルを敷設する事例が増えている (1) 欧州の海底ケーブル事例プロジェクト名 Skagerrak 4 プロジェクトスタート 2009 年 11 月に契約締 完成年月 2014 年末 年月 結 電圧 500kV 容量 700MW 連系亘長 海底 ;140km 陸上 ;104 km コスト 440M 連系場所 関係 TSO サプライヤー Kristiansand, Norway and Tjele, Denmark Energinet.dk (Denmark) and Statnett (Norway) ABB HVDC converters Nexans Submarine cable and Norwegian land cable Prysmian Danish land cable HVDC 技術 VSC 113 (HVDC Light 114 ) ケーブル技術 Mass Impregnated Paper 115 プロジェクトの目的 ノルウエー ~ デンマーク間の電力取引容量の増加 デンマークの風力発電に よる間欠性をノルウエーの水力発電でカバーする 備考 Skagerrak scheme の第 4 プロジェクト 既存の Skagerrak3(500MW 単 極子リンク ) と連結し 1.2GW(HVDC) の双極子リンクを形成する 図 113 Voltage Source Converter; 電圧源変換器 114 パルス幅変調させる技術 115 高粘度油に浸した絶縁紙の一種 138

147 プロジェクト名 BritNed プロジェクトスタート 2009 年 9 月から建設開 完成年月 2011 年早期 年月 始 電圧 ±450kV 容量 1,000MW 連系亘長 260 km コスト 600M 連系場所 Maasvlakte, Netherlands and the Isle of Grain, UK 関係 TSO National Grid International Limited (UK) and TenneT (Netherlands) サプライヤー Siemens Converter stations ABB - Cable HVDC 技術 CSC 116 (HVDC) ケーブル技術 Mass Impregnated Paper プロジェクトの目的 北西欧の供給安全性の確保 再生可能エネルギーの確保と最大限の活用 英国とオランダ双方のエネルギー供給の多様化 英国 ~オランダ間での価格の平準化の推進 備考 資金調達と運用は National Grid と TenneT の各々に委ねられる 260km 以上の海底ケーブルの CSC HVDC 双極子から成る 図 116 Current Source Converter; 電流変換器 139

148 プロジェクト名 NORD.LINK プロジェクトスタート 2014 年 完成年月 2018 年 年月 電圧 未定 容量 1,400MW 連系亘長 600 km コスト 1,350M 連系場所 Tonstad (Norway) and Diele/Brünsbuttel (Germany) 関係 TSO Statnett (Norway) and TranspowerStromübertragungs (Germany) サプライヤー 未決定 HVDC 技術 未決定 ケーブル技術 未決定 プロジェクトの目的 気候変動への貢献 経済性 電力価格の低減 電力供給安全性の確保 備考 提案段階で投資決定はまだされていない(2013 年中予定 ) ノルウエーとドイツの規制機関での議論継続中 図 140

149 プロジェクト名 NorGer プロジェクトスタート 2012 年建設開始 完成年月 2015 年 年月 電圧 ±450~500kV 容量 1,400MW 連系亘長 600 km コスト 1,400M(+/-30%) 連系場所 Tonstad (Norway) and Mooriem (Germany) 関係 TSO プロジェクトは NorGer KS(Statnett50% AgderEnergi AS Produksjon AS Elektrizitäts-GesellschaftLaufenburg(AG) が 16.67% ずつ所有 ) が 実施 サプライヤー 未決定 HVDC 技術 未決定 ケーブル技術 未決定 プロジェクトの目的 ドイツはノルウエーの水力発電を利用しノルウエーはドイツから余剰とし て流れる風力発電を利用 欧州市場における風力発電の普及開発に貢献する 備考 ノルウェー政府として 規制された TSOs がケーブルの所有者であるこ とを希望している 図 141

150 プロジェクト名 Nemo プロジェクトスタート 2014 年から建設開始 完成年月 2016~2017 年 年月 電圧 320~500kV 容量 +/-1,000MW 連系亘長 130 km コスト 450M 連系場所 Richborough GB Zeebrugge BE 関係 TSO National Grid International Limited (UK) and Elia (Belgium) サプライヤー 契約予定 HVDC 技術 VSC (HVDC) ケーブル技術 MI 117 or XLPE プロジェクトの目的 北西欧の供給安全性の確保 再生可能エネルギーの確保と最大限の活用 英国とオランダ双方のエネルギー供給の多様化 英国とオランダの間での価格の平準化の推進 アンシラリー機能( 電圧調整 停電からの起動 etc) 備考 投資決定は 2013 年に決定 図 ( 出所 )ENTSO-E Offshore Transmission Technology 117 Mineral Insulated Cable 142

151 (2) 欧州での海底ケーブルのコスト ENTSO-E では洋上海底ケーブル等を施設する際に必要な設備の概算額を出している 1 Voltage Source Converters( 電圧変換器 ) 詳細ユニットコスト (M ) 500 MW 300 kv MW 320 kv MW 500 kv MW 500 kv 交流開閉所のコストは含むがプラットフォームコストは含まない 2 VSC のサプライヤーと議論し 最近完成した代表的なサンプルプロジェクトに基づく 2 Current Source Converters( 電流変換器 ) 詳細 ユニットコスト (M ) 1000 MW 400 kv MW 500 kv MW 600 kv 最近の CSC 契約に基づく 3 Transformers( 変圧器 ) 詳細 供給コスト (M ) 90 MVA 132/11/11 kv MVA 132/33/33 or132/11/11 kv MVA 132/33/33 kv MVA 275/33 kv MVA 275/132 kv MVA 400/132 kv 地域や組み立て方法で価格が前後する 2 土木工事費 港湾工事費は含まない 4 HVAC GIS Switchgear(GIS 開閉装置 ) 詳細 コスト (M /bay) 132 kv kv kv 土木工事を含む完全に変電所を作る場合 143

152 5 Shunt Reactors( 分路リアクトル ) 詳細 供給コスト (M ) 60 MVAr/13 kv MVAr/275 kv MVAr/400 kv 土木工事等関連工事は含まない 6 HVAC Shunt Capacitor Banks( 分路コンデンサバンク ) MVAr of capacitive reactive compensation コスト (M ) 関連サイト設備費用を含む 7 Static VAR Compensators( 静止型無効電力補償装置 ) MVAr of reactive compensation コスト (M ) 関連サイト設備費用を含む 8 STATCOMs( 無効電力補償装置 ) MVAr of reactive compensation 供給コスト (M ) 関連サイト設備費用を含む 9 HVDC Extruded Subsea Cable( 押出海底ケーブル ) Cross-sectional Area (mm2) 150kV( /m) 320kV( /m) 総費用の 30~40% が金属費用なので価格変動を受けやすい 2 指標価格であり 実勢は市場価格に左右される 144

153 10 Mass Impregnated Insulated Subsea Cable (MI ケーブル ) Cross-sectional Area (mm2) 400kV( /m) 500kV( /m) 総費用の 30~40% が金属費用なので価格変動を受けやすい 2 指標価格であり 実勢は市場価格に左右される 11 HVAC 3 Core Subsea Cable (3 本括り XLPE 海底ケーブル ) MVA Rating 電圧 供給コスト ( /m) kv kv kv 総費用の 30~40% が金属費用なので価格変動を受けやすい 2 指標価格であり 実勢は市場価格に左右される 12 HVAC Overhead Lines ( 架空送電線 < 交流接続用 >) 用例 供給コスト (M ) 400 kv で km 当たりのコスト (2 回線 ) kV で km 当たりのコスト (2 回線 ) kV で km 当たりのコスト (1 回線 ) すべての工事費を含む 13 AC Platforms ( 交流プラットホーム ; 海上設備 ) 例 1;132/33 kv 300 MW HVAC 25 x 20 x 18 metres 2000 トン 水深 20-30metres(M ) 30-40metres(M ) 40-60metres(M ) Topside Jacket Install Self Installing 例 2;220/33 kv 500 MW HVAC 40 x 30 x 18 metres 2500 トン 水深 30-40metres(M ) 40-60metres(M ) Topside Jacket Install Self Installing

154 14 DC Platforms ( 交流プラットホーム ; 海上設備 ) 例 1;400 MW ±300kV 3500 トン 水深 30-50metres(M ) Topside Jacket Install Self Installing 例 2;800 MW ±300kV もしくは 1000 MW ±500kV 8000 トン 水深 30-50metres(M ) Topside Jacket Install Self Installing (3) 欧州の海底ケーブルコストについてケーブル設置コストはケースによって大きく異なり 価格範囲が 230~977.5 / ルート メートルもある この差異は 以下の原因が考えられる 専門船の一般的な市場 市場金利が著しく不安定である 船舶の組み合わせやケーブルの種類により状況が変わる 供給者が製造された設備を設置する位置や時間が異なる ケーブル敷設船がリロードのために工場に戻ることがある ケーブルの埋設深度 ( 土砂の ) 吐出の噴射やトレンチの状況が異なる ケーブルの種類や構成( 纏めるのか個別に敷設するのか ) が異なる 船舶には 重量制限があるので 高い定格ケーブルは 複数回に分けて敷設する傾向がある また 海底地盤の状況からマットレス等の補強が必要な場合や ケーブル同士の交差を避けるために迂回コストがかかる場合もある 表 3-5 はそのほか世界に展開する海底ケーブルの実績である 146

155 表 3-5 世界の主な直流海底ケーブル実績 ( 出所 ) 平成 24 年度インフラ システム輸出促進調査等事業 147

156 第2節 調査対象国における手続き等 1 検討すべき項目 NTTCom 通信分野 においては 次のものが挙げられる 1 災害対策 大容量 信頼性 低遅延を実現するための国際海底ケーブルの戦略的構築 電気通信分野において求められるのは 大容量 新規技術導入による既存ケーブルの容量増 加 信頼性 複数ケーブルルート確保によるケ ブル障害対策 低遅延 送受信のタイムラ グの減少 である 同社は 複数のコンソーシアムが参加する 国際コンソーシアム の形態 で東南アジアに海底ケーブルを敷設している ASE118 は 建設合意から約 1 年半という短期間で日本 シンガポール フィリピン マレ ーシアの運用開始を実現しているが そのケーブルルートは過去に地震や台風に起因する海底 地滑りが頻発している台湾南沖バシー海峡付近の障害発生エリアを回避し 既存ケーブルの更 にフィリピンルート寄りにすることで 信頼性の向上を図っている APG119 は 日本 韓国 中国 台湾 香港 シンガポール マレーシア ベトナムなどア ジア各国と多彩な接続を予定しているが 日本の陸揚げ局は千葉県新丸山 三重県志摩といっ た関東 関西の双方を予定しており 今後日本周辺で発生が懸念されている大規模地震対応と してリスク分散による信頼性向上を図っている 同社は ASE と APG の 2 つの大容量海底ケーブルを有することで大容量 信頼性 低遅延 を実現している 図 3-8 Asia Submarine-cable Express 出所 ビジネスコミュニケーション NTTCom フィリピン PLDT シンガポール StarHub マレーシア MT が参加 NTTCom チャイナモバイル チャイナテレコム チャイナユニコムと韓国 台湾のキャリアが参加 148

157 (2) テロ対策海底ケーブルは 災害によって切断されることもあるが 国際政治学の観点からテロやスパイの対象にもなることが指摘されている 海底のケーブルを切断するのはそう簡単ではないが ターゲットとなるのは海底ケーブルの陸揚げ局である ハワイ大学の図書館では 海底ケーブルの埋設個所を示す地図が公開されており ここに海底ケーブルが埋まっている ここにマンホールがある と記されている ハワイには陸揚げ局が 5 か所あり 立ち入り禁止地区になっているが ここをテロリストに攻撃されれば 少なくとも 2~3 日は通信できなくなる 海底ケーブルにかかわる法規制 (1) 国際法 海底における各国の権利は 地理的区分により下表の通りに整理される 排他的経済水域及び大陸棚 の範囲内であれば 各国は海底ケーブル等の人工物の設置 利用及び管轄権を有している 公海でも 1958 年公海条約 ( 発効 1962 年 ) で全ての国に海底ケーブルの敷設権を認めており 沿岸国は海底ケーブル の敷設 運営維持を妨げてはならないとされている なおわが国に関係するアジアスーパーグリッド構 想は排他的経済水域内のルートを通過するものであり 敷設にあたって他国との関係で障害になる要素 は無いと考えられる 内水 領海 用語 接続水域 排他的経済水域 公海 大陸棚 深海底 ( 出所 ) 海上保安庁 表 3-6 海における地域の定義と権利 定義領海の基線の陸地側の水域で 沿岸国の主権が及ぶ 但し 直線基線が従来内水とは見なされていなかった水域を内水として取り囲むこととなる場合に 外国船舶は無害通航権を有する 領海の基線からその外側 12 海里 ( 約 22km) の線までの海域である 沿岸国の主権は その領土及び内水に接続する水域で領海に及ぶ また 領海の上空並びに領海の海底及びその下にも及ぶ 但し 外国船舶は無害通航権を有する 領海の基線からその外側 24 海里 ( 約 44km) の線までの海域 ( 領海を除く ) で 沿岸国が 領土 領海の通関上 財政上 出入国管理上 ( 密輸入や密入国 ) 衛生上( 伝染病等 ) の法令違反の防止及び違反処罰のために必要な規制をすることが認められた水域である 領海の基線からその外側 200 海里 ( 約 370km) の線までの海域 ( 領海を除く ) 並びにその海底及びその下である なお 排他的経済水域においては 以下の権利が認められている 1. 天然資源の開発等に係る主権的権利 2. 人工島 設備 構築物の設置及び利用に係る管轄権 3. 海洋の科学的調査に係る管轄権 4. 海洋環境の保護及び保全に係る管轄権である いずれの国の排他的経済水域 領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分である 領海の基線からその外側 200 海里 ( 約 370km) の線までの海域 ( 領海を除く ) の海底及びその下である なお 大陸棚において 以下の権利が認められている 1. 天然資源の開発等に係る主権的権利 2. 人工島 設備 構築物の設置及び利用に係る管轄権である 大陸棚は原則として領海の基線から200 海里であるが 地理的条件等によっては海洋法条約の規定に従い延長することができる 人類共同の財産であり沿岸国の主権 主権的権利は及ばない 120 土屋大洋 ; 海底ケーブルの国際政治学 149

158 図 3-9 各種海域の概念図 出所 外務省 図 3-10 日本の領海 排他的経済水域等の範囲 出所 海上保安庁 150

159 なお国際海底ケーブルに関しては国際ケーブル保護委員会がイギリスに設置されており 海底ケーブルに関する各種情報提供や各種相談の受付を行っている (1958 年設立 ) 60 ヶ国 135 社が会員として参加している 日本からは海洋研究開発機構 東京大学地震研究所 KDDI 国際ケーブル シップ株式会社 NTT コミュニケーションズ ソフトバンクテレコムが参加している 電力会社の参加は Tennet Offshore GmbH Vattenfall Europe Windkraft GmbH TenneT TSO B.V. Statnett SF 等と送電会社が中心となっている (2) 通信の場合我が国の電気通信事業での海底ケーブル敷設については 電気通信事業法でケーブル敷設のための届出手続 保護区域 ケーブル敷設 修理船の周囲での航行禁止などについて規定している 電気通信事業法における規定内容は 以下の通りである 本法律に基づき指定された保護区域内での船舶の活動は制限を受け 海底ケーブルの保護を行うことができる ( 公用水面の使用 ) 第百四十条認定電気通信事業者は 公共の用に供する水面 ( 以下 水面 という ) に認定電気通信事業の用に供する水底線路 ( 以下 水底線路 という ) を敷設しようとするときは あらかじめ 次の事項を総務大臣及び関係都道府県知事 ( 漁業法 ( 昭和二十四年法律第二百六十七号 ) 第百三十六条の規定により農林水産大臣が自ら都道府県知事の権限を行う漁場たる水面については 農林水産大臣を含む 次項において同じ ) に届け出なければならない 一水底線路の位置及び次条第一項の申請をしようとする区域二工事の開始及び完了の時期三工事の概要 2 関係都道府県知事は 前項の規定による届出があつた場合において 漁業権 ( 漁業法による漁業権をいう 以下同じ ) に関する利害関係人若しくは同項第一号の区域において次条第四項の政令で定める漁業を現に適法に行つている者の意見により 又は漁業に対する影響を勘案して 前項の届出に係る事項を変更する必要があると認めるときは 他の関係都道府県知事がある場合にあつては必要な協議を行つた上 届出があつた日から三十日以内に その旨を総務大臣及び当該認定電気通信事業者に通知することができる 3 漁業法第十一条第六項の規定は 前項の規定による通知について準用する この場合において 同条第六項中 都道府県知事 とあるのは 電気通信事業法第百四十条第一項の規定による届出を受けた関係都道府県知事 と読み替えるものとする 4 認定電気通信事業者は 第二項の規定による通知を受けた場合には 当該事項を変更しなければならない ただし 当該事項の変更がその業務の遂行上著しい支障がある場合において その変更を要しない旨の総務大臣の認可を受けたときは その事項については この限りでない ( 水底線路の保護 ) 第百四十一条総務大臣は 認定電気通信事業者の申請があつた場合において 前条に定める敷設の手続を経た水底線路を保護するため必要があるときは その水底線路から千メートル ( 河川法 ( 昭和三十九年法律第百六十七号 ) が適用され 又は準用される河川 ( 以下 河川 という ) につい 151

160 ては 五十メートル ) 以内の区域を保護区域として指定することができる 2 前項の規定による指定は 告示によつて行う 3 認定電気通信事業者は 第一項の規定による保護区域の指定があつたときは 総務省令で定めるところにより これを示す陸標を設置し かつ その陸標の位置を公告しなければならない 4 何人も 第一項の保護区域内において 船舶をびよう泊させ 底びき網を用いる漁業その他の政令で定める漁業を行い 若しくは土砂を掘採し 又は前項の陸標に舟若しくはいかだをつないではならない ただし 河川管理者が河川工事を行う場合 海岸法 ( 昭和三十一年法律第百一号 ) 第二条第三項に規定する海岸管理者 ( 以下この条において 海岸管理者 という ) が同法第二条第一項に規定する海岸保全施設 ( 以下この項において 海岸保全施設 という ) に関する工事を施行する場合又は同法第六条第一項の規定により主務大臣が海岸保全施設に関する工事を施行する場合においてやむを得ない事情があるとき その他政令で定める場合は この限りでない 5 都道府県知事 ( 漁業法第百三十六条の規定により農林水産大臣が自ら都道府県知事の権限を行う場合は 農林水産大臣 第七項において同じ ) は 認定電気通信事業者の申請があつた場合において 水底線路を保護する必要があると認めるときは 第一項の保護区域内の水面に設定されている漁業権を取り消し 変更し 又はその行使の停止を命ずることができる 6 漁業法第十一条第六項の規定は 前項の規定による漁業権の取消し若しくは変更又はその行使の停止について準用する この場合において 同条第六項中 都道府県知事 とあるのは 電気通信事業法第百四十一条第五項の規定による申請を受けた都道府県知事 と読み替えるものとする 7 都道府県知事は 第一項の保護区域内の水面における漁業権の設定については 水底線路の保護に必要な配慮をしなければならない 8 海岸管理者は 第一項の保護区域の水面における施設若しくは工作物の設置又は行為の許可については 水底線路の保護に必要な配慮をしなければならない 第百四十二条認定電気通信事業者は 前条第五項の規定による漁業権の取消し 変更又はその行使の停止によつて生じた損失を当該漁業権者に対し補償しなければならない 2 漁業法第三十九条第七項から第十二項までの規定は 前項の規定による損失の補償について準用する この場合において 同条第十項及び第十一項中 都道府県 とあるのは 認定電気通信事業者 と読み替えるものとする 第百四十三条船舶は 認定電気通信事業者の水底線路の敷設若しくは修理に従事している船舶であつて その旨を示す標識を掲げているものから千メートル以内で総務省令で定める範囲内 ( 河川については 五十メートル以内 ) 又は施設若しくは修理中の水底線路の位置を示す浮標であつて その旨の標識を掲げてあるものから四百メートル以内で総務省令で定める範囲内 ( 河川については 三十メートル以内 ) の水面を航行してはならない 但し 海洋政策研究財団によると本規定は領海を対象としていると考えられることから 排他的経済 水域内での敷設において 船舶の利用に同種の制限を課すことができるかは不明確としている 152

161 第 4 章今後の課題 今回の調査を通じて得られた知見を基にすると わが国が今後国際連系線構築を検討するにあたって 解決すべき課題は 以下の通りに整理することができる 第 1 節国際紛争の解決方法国際連系線を構築する場合には 国際的枠組みの中で紛争を予防 解決する枠組みが必要となる 国際連系線は国内の連系線と異なり 紛争が生じた場合には紛争を解決する枠組みが予め用意されておらず 別途関係国で紛争を処理するための取り決めが必要になる 特にアジア地域では緩やかなエネルギー協力の枠組みが重層的に行われているのみで 国際連系線を構築してもその利用で紛争が生じても EU や NAFTA で行われているような紛争解決方法が用意されていない 図 4-1 アジア地域でのエネルギー協力の枠組み モンゴル 中国 上海協力機構 カザフスタン キルギス タジキスタン ウズベキスタ ロシア 戦略的パートナーシップ ( 注 ) エネルギー協力は未着手 大図們江イニシアチブ 北朝鮮 韓国 APEC オーストラリア, ブルネイ, カナダ, チリ, 中国香港, インドネシア, マレーシア, メキシコ, ニュージーランド, パプアニューギニア, ペルー, フィリピン, ロシア, シンガポール, チャイニーズ タイペイ, タイ, アメリカ, ベトナム 戦略的パートナーシップ 台湾 日本 ( 注 ) オブザーバーとして APEC に参加 このため 日本が国際連系線を進める場合には 紛争の予防 解決の観点から強力な枠組みが必要である 二国間で枠組みを構築するか 関係国を包含した広域的なエネルギー協力の枠組みを構築するか 政治的な判断が必要である 当事国間で 紛争解決メカニズムを盛り込んだ強力なエネルギー協力枠組みの構築が困難な場合には 紛争の深刻化を防ぐ観点から 第三国を利用した調停 仲介等の枠組みに予め合意しておくことが必要である 第 2 節複数国からの安定した供給力の確保今回調査した範囲では アジア地域での国際連系線を介して電気の取引を行うための安定した供給力は ロシアの水力発電ないし火力発電しか見当たらない その他ではゴビ砂漠での再生可能エネルギー発電開発の構想もあるが 送電線利用率の低さから送電費用が増加する懸念がある ロシアとの間で紛争が生じて国際連系線を介した電力輸入ができなくなるという安定供給上のリスクを回避するためには 代替供給力を国内に用意する必要があり 国際連系線構築の意義を減じてしまう このため長期的な安定供給の確保の観点からは ロシア以外での安定した供給力が必要ではないか 153

162 第 3 節電気事業法の改正日本が国際連系線を構築する場合 周囲を海に囲まれているため 海底ケーブルを敷設する必要がある 漁業権との関係では 海底ケーブルの敷設により一部海底線路を占有することになるが 通常は埋設されるため 漁業への影響は限定的である 漁業に影響を与える例としては 作業期間中に保護区域を設定することに伴う漁業制限や機器の破損に伴う補償が考えられる イギリス=オランダ間高圧直流送電線 BritNed の敷設にあたっては 商業漁業の対象地域を横断することになるため 禁止ゾーンの設定を極小化する配慮をした結果 漁業者への補償は生じていないことが分かった その一方で CIGRE の 2009 年の調査によると 1990 年から 2005 年に報告された海底ケーブルの故障原因のうち 漁業が 52% アンカー 18% 地震 3% 浚渫 掘削 1% ケーブル船の活動 1% 等となっており むしろ漁業からの海底ケーブルの保護が課題と見なされている 以上より 日本が国際連系線を敷設するにあたっては 安定供給の確保の観点からも 海底ケーブルを保護する枠組みが必要である 図 4-2 海底ケーブル破損のリスク 先行的に国際間で海底ケーブルを多く敷設してうる電気通信事業では る海底ケーブルの規制は電気通信事業法を通じて行われている 海底ケーブル保護のための保護区域の設定も同法に基づき行われる 船舶の活動により海底ケーブルが破損した場合の罰則も同法に基づく 国際連系線を敷設するにあたっては 連系国との関係で海底ケーブルの敷設 利用の保護の責任が生じるため 電気事業法でも同様の規定を設ける必要があるのではないか 第 4 節国内系統の増強いずれ計画もわが国との国際連系線の陸揚げポイントは北海道又は九州と想定されており 本州の大消費地への送電能力確保のため 国内系統の増強が必要となると考えられる 現在 わが国の連系線費用負担の考え方は 原因者負担に基づいている 特定の事業者が国際連系線を介して電気の売買を行う場合には 当該事業者に国内系統の増強費用の負担を求めることになり 卸電力取引所を活用する等の事業者が不特定となる場合には 何らかの考え方で費用負担方法を決める必要があり 現実的に費用負担が可能な方法が無いか 十分な検討が必要である 154

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