南早来変電所大型蓄電システム実証事業

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今年度の算定項目 P2 今年度の算定項目は以下のとおり (1)2016 年度の需要実績等に基づく接続可能量 (2017 年度算定値 ) 風力の接続可能量 (2017 年度算定値 ) 太陽光の接続可能量 (2017 年度算定値 ) (2)2014 年度 ~2016 年度の需要実績等に基づく指定ルール事

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目次 1 本ルールを適用する業務範囲 目的 基本方針 準拠法令等 法令等 大規模地震対策特別措置法 電力広域的運営推進機関送配電等業務指針 法令等に基づいて作成する社内文書

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プレゼンテーションタイトル

技術レポート 石巻市水産物地方卸売市場のエネルギー統合管理 PCSは蓄電池盤の放電電力を直流から交流に変換し 負荷 設備へ給電する 反対に 蓄電池盤に充電するときは 交 流から直流に変換する 4 自動制御設備 いわゆる中央監視設備であり 場内の電力利用状況を把 握している EMSは自動制御設備から電

表紙用


Transcription:

南早来変電所大型蓄電システム実証事業について 2 0 1 6 年 7 月北海道電力株式会社住友電気工業株式会社 1

1. 事業概要 経済産業省の 大型蓄電システム緊急実証事業 に応募し 採択されました 住友電気工業 ( 株 ) と当社が共同で 275kV 基幹系統の南早来変電所にレドックスフロー電池 (15MW 4 時間容量 ) を設置 再生可能エネルギーの出力変動に対する調整力としての性能実証および最適な制御技術を開発します 風力発電出力 太陽光発電出力 中央給電指令所 ( 蓄電池制御システムを設置 ) 制御指令 放電 蓄電池の充放電により周波数の変動を抑制 周波数 大型蓄電池 充電 ( レドックスフロー電池 ) 2

2. 系統用蓄電池の選定 項目系統用蓄電池の要件レドックスフロー電池の特徴 容量 出力 充電量管理 大出力 大容量 用途に応じた出力 容量の設計 急峻な出力応答が必要 安定した出力確保のために正確な充電量管理が必要 出力設計 (kw) 容量設計 (kwh) が独立して可能であり 設計の自由度が高い 大容量化が容易 応答速度が速い 短時間の過負荷運転が可能 運転状態であっても充電残量をリアルタイムに測定可能 安全性 高い安全性 電解液は丌燃であり安全 風力発電出力安定化蓄電池 大規模蓄電池としての実績 2000 年 NEDO 事業 蓄電池併設風力発電導入可能性調査 2003 年 NEDO 事業 風力発電電力系統安定化等技術開発 2012 年住友電工社内設備 大規模蓄発電システム 系統用蓄電池の要件を満足 風力 太陽光の安定化制御実績 大規模蓄電池の実績 短周期 長周期変動抑制短周期変動抑制短周期 長周期変動抑制 1MWh (170kW x 6h) 6MWh (4MW x 1.5h) 5MWh (1MW x 5h) 3 レドックスフロー電池を本事業に適用

3. レドックスフロー電池の原理と構成 (1) レドックスフロー電池の概要 レドックスフロー電池は 正負極の電解液にバナジウムイオン水溶液を用いた電解液還流型の電力貯蔵用蓄電池です 下図に示すように電池反応を行うセルスタック 電解液を貯蔵する正負極のタンク さらに電解液をタンクからセルへと循環するためのポンプ 配管等から構成されています 電池設置後は 各種性能 ( 容量 効率 保守性等 ) の評価を行います 正極電解液フロー 負極電解液フロー 電力系統 熱交換器 ( 冷却 ) AC DC 電解液タンク ポンプ セルスタック PCS 4

3. レドックスフロー電池の原理と構成 (2) 動作原理 正負極とも バナジウムイオンの価数変化により 充放電を行います 電解液 : 硫酸バナジウム水溶液 H + V 2+ V 3+ V 4+ V 5+ 負極電解液 正極電解液 充電正極反応 2VOSO 4 + 2H 2 O (VO 2 ) 2 SO 4 + H 2 SO 4 + 2H + + 2e - (4 価 ) 負極反応 V 2 (SO 4 ) 3 + 2e - +2H + 2VSO 4 + H 2 SO 4 放電 充電 5 放電 (5 価 ) (3 価 ) (2 価 )

3. レドックスフロー電池の原理と構成 (3) セルスタックの構成 電池反応を行う流通型電解セルを複数積層したものを セルスタックと称しています < 流通型電解セル> フレーム電極隔膜電極双極板 セルスタック構成例 < セルスタック > 通電端子 エンドプレート 6

3. レドックスフロー電池の原理と構成 (4) 電池システムの構成 電池盤 2 面 (1 面あたりセルスタック 4 台内蔵 ) 熱交換器盤 2 面 電解液タンク 2 基 ポンプ 2 台 および配管により 電池の最小単位 ( モジュール ) を構成します 5 組のモジュールと交直変換装置 (PCS) により 出力制御の最小単位 ( バンク ) を構成し 電池システムは 13 バンク (65 モジュール ) から構成します < モジュール > < 電池システム > 66kV 6.9kV 南早来変電所 66kV 母線へ 変圧器 PCS モジュール1 モジュール2 モジュール3 モジュール4 モジュール5 7 バンク 1 バンク 2 バンク 13

4. 蓄電池制御システムの開発 本事業では 風力や太陽光発電の出力状況を把揜し かつ電力系統の周波数維持を担ってきた火力や水力発電などの既存電源と協調して蓄電池の制御を行う 蓄電池制御システムを開発します 各制御手法について 様々な条件下で試験し その結果を踏まえ 適宜制御システムの改良を行います 短周期変動抑制制御 制御手法 風力 太陽光発電の変動補償制御 < 制御 1> ガバナフリー相当制御 < 制御 2> 負荷周波数制御 (LFC) < 制御 3> 長周期変動抑制制御 < 制御 4> 下げ代丌足対策運転 < 制御 5> 概要 複数の風力 太陽光の発電出力データを収集し それらの合計出力の短周期変動分を補償する制御 蓄電池側で周波数を検出し 周波数偏差に応じて制御 ( 自律制御 ) 周波数偏差に応じて 系統全体の出力調整量を決定し 各水力発電所 蓄電池に配分する制御 風力 太陽光発電の出力予測に基づき これらの発電による長周期出力変動を緩和する制御 風力 太陽光発電の出力予測と需給計画に基づき 余剰電力の発生を回避するよう運転を計画 8

5. 蓄電池建屋概観イメージ 1 階に電解液タンク PCS 2 階にセルスタック 熱交換器を設置 ( 設置面積 : 約 5,000m 2 ~ おおよそ小中学校の体育館の 4 倍程度に相当 ) セルスタック 熱交換器 約 35m 約 20m 約 120m 電解液タンク PCS 9

6. スケジュール 実証期間は 2013~2018 年度の 6 年間を計画しています 2015 年 12 月に設置工事が完了 その後 3 年間程度実証試験を実施します 実施内容 設置工事期間 実証試験期間 2013 2014 2015 2016 2017 2018 住友電気工業 北海道電力 蓄電池設計 製造 蓄電池建屋設計 建設 蓄電池設備設置 調整試験 蓄電池性能評価 保守 蓄電池制御システムの開発 風力 太陽光発電出力予測システムの開発 実証 分析 評価 蓄電池制御システム 風力 太陽光電出力予測システム改良 10

8. 参考 ( 各制御手法 ) < 制御 1> 風力 太陽光発電の変動補償制御 複数サイトの風力 太陽光の発電出力データを収集し それらの合計出力の短周期変動分を補償する系統用蓄電池の制御方法 風力出力 中給システム ( 実証用中央制御装置 ) 補償後合成出力 放電 制御指令 風力出力 太陽光出力 充電 系統用蓄電池 対象発電所出力の短周期変動を検出し それを打ち消すよう蓄電池に指令 太陽光出力 中給システム : 中央給電指令所自動給電システム 本事業では 風力 太陽光発電ともに出力 2,000kW 以上の特別高圧連系の発電所が制御対象 11

8. 参考 ( 各制御手法 ) < 制御 2> ガバナフリー相当制御 系統用蓄電池を周波数調整用電源とみなし 蓄電池側で周波数を検出し 周波数偏差に応じて蓄電池を制御する方法 周波数検出 充放電制御 ( 自律制御 ) 周波数 系統用蓄電池 周波数を検出し 基準周波数からの偏差に応じて基準周波数に引き戻すように蓄電池を制御 ( 自律制御 ) 12

8. 参考 ( 各制御手法 ) < 制御 3> 負荷周波数制御 (LFC) 系統用蓄電池を周波数調整用電源とみなし 負荷周波数制御対象の水力発電所と同じように扱い 中給システムで周波数を検出し 周波数偏差に応じて必要な出力調整量を決定し 各水力発電所 系統用蓄電池に配分する制御方法 中給システム ( 実証用中央制御装置 ) 周波数検出 制御指令 ( 水力 ) 発電 水力発電所 周波数 制御指令 放電 系統用蓄電池 充電 中央給電指令所で周波数変動抑制に必要な出力調整量と各水力発電所と系統用蓄電池への最適な配分量を計算して指令 13

8. 参考 ( 各制御手法 ) < 制御 4> 長周期変動抑制制御 風力 太陽光発電の出力予測に基づき これらの発電による長周期出力変動が緩和するよう蓄電池の充放電を制御する方法 気象予測 風力 太陽光発電出力予測システム 風力 太陽光発電出力予測に基づき 長周期変動を抑制する目標値を決定し 蓄電池に充放電指令 風力 太陽光発電予測 風力 太陽光発電実績 出力 予測値 ( 青 ) 出力充電 実績値 ( 点線 ) 充電 充電 目標値 ( 赤 ) 放電 目標値 ( 赤 ) 放電 系統用蓄電池 本事業では 風力 太陽光発電ともに出力 2,000kW 以上の特別高圧連系の発電所が制御対象 14

8. 参考 ( 各制御手法 ) < 制御 5> 下げ代丌足対策運転 風力 太陽光発電の出力予測と需給計画に基づき 余剰電力発生を予測し 充電に必要な空き容量の確保や 放電計画を策定 気象予測 風力 太陽光発電出力予測システム 総需要 火力発電 + 水力発電 ( 需給調整運転 ) 蓄電池充電 蓄電池放電 蓄電池充電 太陽光発電 風力発電 火力発電 ( 最低出力 ) 需給バランス 風力 太陽光 供給力余剰 風況 揚水 水力発電 ( 流込式 ) 原子力発電 火力 最低 需要 天候 その他 水力 揚水の活用 原子力 発電 揚水 負荷 火力の下げ代丌足 系統用蓄電池 風力 太陽光発電出力予測に基づき 余剰電力発生を予測して充放電計画を策定 本事業では 風力 太陽光発電ともに出力 2,000kW 以上の特別高圧連系の発電所が制御対象 15

8. 参考 ( 制御手法の組み合わせ ) 蓄電池容量を有効活用する目的で 複数の制御手法を組み合わせることができるようシステムを設計 例として 下図のように短周期変動抑制制御と長周期変動抑制制御を組み合わせた制御などが可能 短周期変動抑制の制御指令 短周期 長周期変動抑制を合成した制御指令 長周期変動抑制の制御指令 16