96. ウイルスや不正アクセス等の被害状況 図表 96は 昨年 1 年間に自宅のパソコンでコンピュータウイルスや不正アクセスなどの障害や被害にあったかどうかを尋ねた結果を日米韓で比較したものである コンピュータウイルスを発見した人の割合とコンピュータウイルスに感染した人の割合は いずれも韓国が一番高

Similar documents
中小企業向け サイバーセキュリティ対策の極意

目次 1. コンピュータウイルス届出状況 ウイルス届出件数 不正プログラム検出数 ウイルス検出数 検出ウイルスの種類 ウイルス届出者 ウイルスおよび不正プログラムの検出

問 3 全員の方にお伺いします 日頃 サイバー犯罪 ( インターネットを利用した犯罪等 ) の被害に遭いそうで 不安に感じることがありますか この中から1つだけお答えください よくある % たまにある % ほとんどない % 全くない 全

フィッシング対策協議会(じ)

情報セキュリティ 10 大脅威 大脅威とは? 2006 年より IPA が毎年発行している資料 10 大脅威選考会 の投票により 情報システムを取巻く脅威を順位付けして解説 Copyright 2017 独立行政法人情報処理推進機構 2

マルウェアレポート 2018年1月度版

目次 1. コンピュータウイルス届出状況 ウイルス届出件数 不正プログラム検出数 ウイルス検出数 検出ウイルスの種類 ウイルス届出者 ウイルスおよび不正プログラムの検出

ウイルス 不正アクセスの被害状況と対策の動向 ~IPA への届出を踏まえて ~ 2014 年 5 月独立行政法人情報処理推進機構技術本部セキュリティセンター 岡野裕樹 Copyright 2013 独立行政法人情報処理推進機構

個人情報を盗み出す感染したウイルスにより コンピュータ上に保存されている情報 ( データ ) が勝手に送信されたり キーボード入力を盗み見されたりすること等をいいます 最近のネットバンキングの不正送金もこのカテゴリーに含まれます これ以外にも 以下のような被害を受ける可能性があります 盗まれたクレジ

1.indd

困ったときにお読みください

マルウェアレポート 2017年12月度版

Technical Report 年 8 月 31 日 株式会社セキュアソフト 注意喚起 : バンキングトロージャンに感染させるマルウェア付きメール拡散について 1. 概要最近インターネットバンキングなど金融機関関連情報の窃取を目的としたマルウェア付きメールが 日本国内で多数配

感染条件感染経路タイプウイルス概要 Authplay.dll (aka AuthPlayLib.bundle) を利用する Adobe Reader 9.x ~ より前のバージョンと 10.x から 上記動作環境に一致した環境下で当該 PDF タイプウイルスを実行することで

第 号 2013 年 6 月 4 日独立行政法人情報処理推進機構 今月の呼びかけ ウェブサイトが改ざんされないように対策を! ~ サーバーやパソコンのみならず システム全体での対策が必要です ~ IPA セキュリティセンターではコンピュータウイルスや不正アクセスに関する届出を受け

セキュリティソフトウェアをご使用の前に

セキュリティソフトウェアをご使用の前に

CloudEdgeあんしんプラス月次レポート解説書(1_0版) _docx

感染条件感染経路タイプウイルス概要 前のバージョン Adobe Reader and Acrobat より前のバージョン Adobe Reader and Acrobat before より前のバージョン Adobe Flash Player before

2. 留意事項セキュリティ対策を行う場合 次のことに留意してください 不正侵入対策の設定を行う場合 お使いのソフトウェアによっては今までのように正常に動作しなくなる可能性があります 正常に動作しない場合は 必要に応じて例外処理の追加を行ってください ここで行うセキュリティ対策は 通信内容の安全性を高

Microsoft Word - Gmail-mailsoft設定2016_ docx

<4D F736F F F696E74202D2091E63389F15F8FEE95F1835A834C A CC B5A8F FD E835A835890A78CE C CC835A834C A A2E >

マルウェアレポート 2017年9月度版

ネットワーク機器の利用における セキュリティ対策 独立行政法人情報処理推進機構技術本部セキュリティセンター大道晶平

インシデントハンドリング業務報告書

はじめに (1) フィッシング詐欺 ( フィッシング攻撃 ) とは フィッシング詐欺とは インターネットバンキング ショッピングサイト等の利用者のアカウント情報 (ID パスワード等 ) や クレジットカードの情報等を騙し取る攻撃です 典型的な手口としては 攻撃者が本物のウェブサイトと似た偽のウェブ

人類の誕生と進化

PowerPoint プレゼンテーション

(3) ボット対策のしおり あなたのパソコンは ボットに感染していませんか 独立行政法人 情報処理推進機構 セキュリティセンター 0

別紙 学園ネットワークセキュリティ強化対策の実施について ( 詳細 ) 利用者各位 総合情報センター 学園ネットワークセキュリティ強化対策の実施について ( 詳細 ) 本年度末のリプレースで通信制御装置 ( ファイアウォール :FW) を導入いたします これに伴い 学園ネットワークセキュリティの強化

安全な Web サイトの作り方 7 版 と Android アプリの脆弱性対策 独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) 技術本部セキュリティセンター Copyright 2015 独立行政法人情報処理推進機構

新製品 パソコンソフト セキュリティ対策ソフト NewsRelease 報道関係者各位 2004 年 8 月 26 日 ソースネクスト株式会社 二重の安心を提供する新発想のセキュリティ対策ソフト セキュリティアドバイザー 年 9 月 17 日 ( 金 ) 発売 ソースネクスト株式

表紙(A4)

マルウェアレポート 2017年10月度版

安全なウェブサイトの作り方 7 版 の内容と資料活用例 2

Microsoft Word - sp224_2d.doc

マルウェアレポート 2018年2月度版

Microsoft PowerPoint - OP25全ソフト設定_suruga0106.ppt

Microsoft Word - gred_security_report_vol17.final

情報セキュリティ 10 大脅威 大脅威とは? 2006 年より IPA が毎年発行している資料 10 大脅威選考会 の投票により 情報システムを取巻く脅威を順位付けして解説 Copyright 2018 独立行政法人情報処理推進機構 2

OSI(Open Systems Interconnection)参照モデル

中小企業向け サイバーセキュリティ対策の極意

l_ism.ppt

2 章必要なものを用意する パソコン (PC) 推奨環境以下の Windows パソコンのみでのご利用となり スマートフォンやタブレットは推奨環境対象外です なお 携帯電話からはご利用いただけません 最新の利用環境および留意事項につきましては 当金庫までお問い合わせください ( 平成 28 年 1

1 罠のリンクが含まれるメールによる感染まず 利用者に対して 文中に罠のリンクが含まれるメール ( 罠のメール ) が届きます そのリンク先は 一見 PDF ファイル 2 や動画ファイルに見えるよう細工されています ( 図 1-2) また メールの送信元のメールアドレスは 利用者の知人のものである可

Microsoft PowerPoint - 情報倫理_ITC2017.pptx

f-secure 2006 インストールガイド

第 号 2014 年 4 月 1 日独立行政法人情報処理推進機構 今月の呼びかけ あなたのパソコンは 4 月 9 日以降 大丈夫? ~ 使用中パソコンの判別方法 乗り換えプランを紹介 ~ マイクロソフト社 Windows XP と Office 2003 のサポートが 2014

v6

月次報告書 (2009 年 1 月分 ) フィッシング情報届出状況 2009 年 2 月 20 日

SHODANを悪用した攻撃に備えて-制御システム編-

 

Microsoft Word - gred_report_vol25_110830_final.docx

Mozilla Thunderbird アカウント設定手順 株式会社アマダアイリンクサービス

<4D F736F F D20835B837E90B682CC FE382CC AC28BAB82CC89FC E937894C5816A>

14山崎・原.indd

Logstorage for VISUACT 標的型サイバー攻撃 対策レポートテンプレート

f-secure 2006 インストールガイド

Q3. 本人 家族があったことがあるトラブル 件数が記入されていないものはすべて1 件です ( 以降の項目も同じ ) Q3-1 無料だと思って利用していたのに 知らないうちに有料になっていて 高額の請求が来た などの事例について その他の記入 50 歳未満 震災時の災害情報サイトで いつの間にか有料

目次 フィッシング対策協議会について フィッシングの動向 フィッシング事例 地方銀行 LINE 大学 フィッシング対策 まとめ 2

マルウェアレポート 2018年3月度版

図 2: パスワードリスト攻撃の概要 インターネットサービスの安全な利用は 利用者が適切にパスワードを管理することを前提に成り立っており 利用者はパスワードを使い回さず 適切に管理する責任があります 以下はパスワードリスト攻撃を受けたことを 2013 年 4 月以降に発表した企業のうち 試行件数 と

スライド 1

f-secure 2006 インストールガイド

メールソフトの設定 設定に必要な情報について... P2 迷惑メール対策 OP25B について... P3 Outlook 2016 の設定... P5 Outlook 2013 の設定... P8 Windows 10 メールアプリの設定... P11 Mail 10.0 の設定... P15 i

/ 11

シニアネット福山 ICT 講演会 インターネット安心 安全講座 ~ シニアの安心 便利なネット活用 ~ 2015 年 12 月 4 日 シニアネットひろしま理事長福田卓夫

マルウェアレポート 2018年4月度版

脆弱性を狙った脅威の分析と対策について Vol 年 7 月 21 日独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンター (IPA/ISEC) 独立行政法人情報処理推進機構 ( 略称 IPA 理事長 : 西垣浩司 ) は 2008 年度におけ る脆弱性を狙った脅威の一例を分析し 対策をまと

利用者各位 2011 年 9 月 1 日 伊勢原情報システム部伊勢原情報システム課 学園ネットワークセキュリティ強化対策の実施について ( 詳細 ) 昨年度末のシステムリプレースで通信制御装置 ( ファイアウォール :FW) を導入いたしました これに伴い 学園ネットワークセキュリティの強化対策を実

迷惑メール対策 こんなメールに注意 勝手に送られてくる広告宣伝メール メールを受信することに同意していないのに 勝手に送りつけられてくる出会い系 アダルト系サイトや物品販売などの広告宣伝メール 不当 架空請求メール 利用していないサイトの情報料等の名目でお金をだましとろうと 不当 架空請求を 行う詐

マカフィー R セキュリティサービス (Mac 版 ) インストール 基本操作 アンインストールマニュアル McAfee と McAfee のロゴは 米国およびその他の国における McAfee LLC の商標です 中部ケーブルネットワーク株式会社 第 1.5 版 2018/11/5

Microsoft Word - 【確認】アンケート結果HP.docx

2.5 月のアクセスの状況 28 年 5 月のアクセス状況は 4 月と比べて若干減少しました これは主に Windows Messenger サービスを悪用してポップアップメッセージを送信するアクセスである 126/udp 127/udp および 128/udp などへのアクセスが減少したためです


QMR 会社支給・貸与PC利用管理規程180501

別 紙 平成 25 年上半期のサイバー攻撃情勢について 1 概況警察では サイバーインテリジェンス情報共有ネットワーク *1 を通じ 標的型メール攻撃等のサイバー攻撃事案に係る情報を集約するとともに 事業者等による情報システムの防護に資する分析結果等の情報を共有している 警察は 平成 25 年上半期

福岡大学ネットワーク認証・検疫システム実施マニュアル

1. 標的型サイバー攻撃への取り組み 2. 標的型攻撃メールの見分け方 3. 添付ファイルの見分け方 4. 標的型攻撃メールを見つけたら Copyright 2015 独立行政法人情報処理推進機構 1

マイナンバー対策マニュアル(技術的安全管理措置)

Google グループ を使ったメール内容の公開例 : メール内容の公開範囲の初期設定は当初 [ 全てのユーザー ] に設定されており それを 気にとめず にそのまま利用していたため メールは Google グループを使用しているユーザーなら誰でも閲覧できる状態になっていました リスク : 表 の

アダルトサイトの相談が年間で10万件を突破!

Thunderbird Portable 24.x 利用マニュアル 2014 年 4 月 1 日 沖縄県立総合教育センター IT 教育班

PowerPoint プレゼンテーション

製品概要

はじめに ウイルスに感染させるための罠が仕掛けられた悪意のある文書ファイルは これまでにも Office の脆弱性の悪用や マクロ機能を悪用する手口のものがありました 昨今 それらとは異なる新たな攻撃手口を使ったものが出てきています 本資料は 新たな攻撃手口について紹介し 注意点を説明するものです

不正送金対策 フィッシング対策ソフト PhishWall( フィッシュウォール ) プレミアム のご案内 広島県信用組合では インターネットバンキングを安心してご利用いただくため 不正送金 フィッシング対策ソフト PhishWall( フィッシュウォール ) プレミアム を導入しました 無料でご利用

共通フィルタの条件を設定する 迷惑メール検知 (SpamAssassin) の設定 迷惑メール検知 (SpamAssassin) とは.

目次 1. はじめに - ログインとトップ画面の見方 各種の設定について ログインしましょう トップ画面の見方について ユーザー情報を設定しましょう パスワードを変更しましょう 電子会議室のメール配信設定をしま

1. POP3S および SMTP 認証 1 メールアイコン ( ) をクリックしてメールを起動します 2 一度もメールアカウントを作成したことがない場合は 3 へ進んでください メールアカウントの追加を行う場合は メール メニューから アカウントを追 加 をクリックします 3 メールアカウントのプ

Mac OS X 10.7(Lion) 有線接続用

Microsoft Word Webmail

報通信の現況 コンテンツ市場の動向 マルチユース市場の内訳をみると 映像系コンテンツ 1 兆 4,243 億円の主な内訳は 地上テレビ番組が 5,074 億円 映画ソフトが 4,884 億円 衛星 CATV 番組が 3,530 億円となっている 音声系コンテンツの内訳は 音楽ソフトであり 1,353

スライド 1

1. ボットとは ボットとは コンピュータウイルスの一種で コンピュータに感染し そのコンピュータを ネットワーク ( インターネット ) を通じて外部から操ることを目的として作成されたプログラムです 感染すると 外部からの指示を待ち 与えられた指示に従って内蔵された処理 ( 後述 ) を実行します

システム利用前の準備作業2.1 準備作業の流れ 準備作業の流れは 以下のとおりです 2必要なものを用意する 2.2 パソコンインターネット接続回線 E メールアドレス 2.2-(1) 2.2-(2) 2.2-(3) 当金庫からの送付物 2.2-(4) パソコンの設定をする 2.3 Cookie の設

Outlook Express Q. メールが HTML 形式で送信されてしまうのですが Q. 複数で共有しているパソコンで他人にメールが読まれるのはイヤなのですが Q. 覚えのないアドレスから Returned mail と書かれた英文メールが届きます Q. Outlook Express - メ

1 ワンタイムパスワードの説明... 2 (1) ワンタイムパスワードのサービス概要... 2 (2) 個人インターネットバンキングとワンタイムパスワード... 2 (3) ワンタイムパスワード生成機 ( トークン ) について... 2 (4) ソフトウェアトークンの特徴 導入までの

1. Android.Bmaster 一般向け情報 1.1 Android.Bmaster の流行情報 Android.Bmaster はアンドロイドの管理アプリケーションに悪性なコードを追加した形で配布されている 見た目は正常なアプリケーションのように動作する アプリケーションは中国語で表記されて

VPNマニュアル

Transcription:

Ⅵ. インターネットに関する課題 95. コンピュータウイルスに関する動向 図表 95-1は コンピュータウイルス被害に関する届出を集計して公表している情報セキュリティベンダー大手 2 社 ( トレンドマイクロ株式会社と株式会社シマンテック ) のデータをグラフにしたものである これによれば 2004 年のウイルス届出件数は121,404 件であり 2001 年の43,384 件から約 3 倍に増加していることがわかる 2004 年に流行した主なコンピュータウイルスは W32/Netsky( ネットスカイ ) W32/Bagle ( バグル ) W32/Mydoom( マイドゥーム ) W32/Sasser( サッサー ) などである 流行しているコンピュータウイルスは メールの添付ファイルとして拡散するものがほとんどであるが その多くがメールの発信者のメールアドレスを偽装しているために感染源となっているコンピュータの特定が難しく また 感染時に別のプログラムを起動したり エラーメッセージを表示したりするために そのコンピュータの利用者もウイルスの感染に気付かないこともあって コンピュータウイルスの流行がなかなか終息しない状況になっている また 最近のコンピュータウイルスは 決められた日時に特定のサイトに対して DoS (Denial of Service) 攻撃 ( サービス妨害攻撃 ) を行うものもある 図表 95-1. コンピュータウイルス届出件数の推移 件 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 ウイルス名 W32/Netsky ( ネットスカイ ) W32/Bagle ( バグル ) W32/Mydoom ( マイドゥーム ) W32/Sasser ( サッサー ) 43,384 25,644 74,978 68,624 52,172 47,607 17,740 22,806 21,017 121,404 65,531 55,873 2001 2002 2003 2004 図表 95-2. 平成 16 年に流行した主なコンピュータウイルス トレンドマイクロシマンテック ( 出典 ) トレンドマイクロ社資料及びシマンテック社資料 概要自身の複製をメールの添付ファイルとして拡散する活動を行う 感染すると 自分自身を Windows ディレクトリにコピーする さらに レジストリを変更することによって Windows の起動時に必ずウイルスが実行されるように設定する また メールの添付ファイルを開いたとき 偽のエラーメッセージを表示し 感染したことに気付かせないようにしている 自身の複製をメールの添付ファイルとして拡散する活動を行う 感染すると 自分自身を Windows の system ディレクトリにコピーし レジストリを変更することによって Windows の起動時に必ずウイルスが実行されるように設定する また メールの添付ファイルを開いたときに 電卓を起動させて 感染したことに気付かせないようにしている 自身の複製をメールの添付ファイルとして拡散する活動を行い KaZaa(P2Pソフト ) を介しても感染を拡げる 感染すると Windows の system ディレクトリにコピーする さらに レジストリファイルを変更することによって Windows の起動時に必ずウイルスが実行されるように設定する また 特定のWebサイトに対してDoS 攻撃 ( サービス妨害攻撃 ) を行う Windows の脆弱性 [MS04-011] が存在するパソコンに感染する インターネットに接続されたパソコンをターゲットに ポート 445 を通じて侵入し ワーム本体をコピーして実行することで感染します 感染すると レジストリを変更され Windows の起動時に必ずワームが実行されるようになる また 感染対象のコンピュータを任意に検索し 感染拡大を試みる 95 ( 出典 ) 独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) 資料

96. ウイルスや不正アクセス等の被害状況 図表 96は 昨年 1 年間に自宅のパソコンでコンピュータウイルスや不正アクセスなどの障害や被害にあったかどうかを尋ねた結果を日米韓で比較したものである コンピュータウイルスを発見した人の割合とコンピュータウイルスに感染した人の割合は いずれも韓国が一番高く 米国 日本の順となっている 特に コンピュータウイルスに感染した人の割合は 日本 (20.3%) と比べ 韓国 (44.8%) と米国 (35.8%) はそれぞれ2 倍以上 約 1.5 倍と多くなっている 迷惑メールの受信は 米国がもっとも多く 日本と韓国は同程度である また 最近話題になっているフィッシング詐欺メールを受信については 米国では4 割弱の人が受信したことがあると答えているが 日本と韓国では1 割前後と少ない 逆に 日本と韓国では1 割以上の人が個人情報の不正利用 漏洩を経験しているのに対して 米国のインターネット利用者で個人情報の不正利用 漏洩を経験した人は 5% 以下であり 電子掲示板 (BBS) 上での誹謗中傷については 米国では 1.1% と極めて低いのに対して 日本では 3.3% 韓国では 6.3% と高くなっている ハードウェア ソフトウェアの故障については 韓国 米国 日本の順に高いが その割合は 25% ~ 30% とそれほど違いはない ネットワーク回線の不通は 日韓が3 割前後 米国が2 割強と米国がやや低い結果となっている 図表 96. ウイルスや不正アクセス等の被害状況 昨年 1 年間 ( 平成 16 年 1 月 ~12 月 ) に 自宅のパソコンで以下のような障害や被害にあいましたか ( いくつでも ) 0 20 40 60 80 100% コンピュータウイルスを発見コンピュータウイルスに感染迷惑メールの受信フィッシング詐欺メールの受信不正アクセスの被害個人情報の不正利用 漏洩電子掲示板 (BBS) 上での誹謗 中傷ハードウェア ソフトウェアの故障ネットワーク回線の不通サービスやハードウェアの使用方法がわからないことその他トラブルに遭遇したことはない 43.1 48.5 20.3 35.8 44.8 9.7 36.7 11.6 5.2 4.8 10.5 11.9 4.6 11.9 3.3 1.1 6.3 25.3 27.7 29.2 27.8 23.4 31.1 10.6 7.0 11.9 0.4 1.8 0.4 13.5 9.8 10.3 57.5 72.4 72.0 84.5 日本米国韓国 96

97. ウイルスや不正アクセスに対する対策の実施状況 図表 97 は コンピュータウイルス対策や不正アクセス対策の状況について尋ねた結果を 日米韓で比較したものである アンチウイルスソフトの利用やプロバイダーのアンチウイルスサービスの利用については 米国がもっとも高い 日本と韓国を比べると 日本ではプロバイダーのアンチウイルスサービスの利用者が多いのに大して 韓国ではアンチウイルスソフトの利用者が多い 情報セキュリティ対策として OS ブラウザのアップデートをしている人は 日本がもっとも多く 米国 韓国の順になっている これはメールソフトのアップデートや変更という対策でも同じである 日米では 添付ファイルやHTMLメールを不用意に開かない 知らない人からのメールを不用意に開かないという対策が6 割前後の利用者に普及しているのに対して 韓国では3 4 割と少ない また米国では パスワードを定期的に変更している利用者が 22.4% アカウントごとにパスワードを使い分けしている利用者が 25.6% いるが 日韓ではこうした対策をとっているインターネット利用者は 7~8% しかいない 全体として やはり米国のインターネット利用者は 日韓のインターネット利用者に比べて対策を実施している割合が高く セキュリティに対する意識が高いことがうかがわれる 図表 97. ウイルスや不正アクセスに対する対策の実施状況 あなたはどのようなコンピュータウイルス対策や不正アクセス対策を行っていますか ( いくつでも ) 0 20 40 60 80 100% アンチウイルスソフト ( ワクチンソフト ) を利用プロバイダーのアンチウイルスサービスを利用 OS ブラウザのアップデートメールソフトのアップデートや変更ファイル等のバックアップ添付ファイルやHTMLメールを不用意に開かない知らない人からのメールを不用意に開かないファイアウォールの使用アカウントごとにパスワードを使い分けパスワードを定期的に変更ウイルス情報など情報収集その他何も行っていない 26.0 38.2 11.5 40.9 27.5 15.5 24.6 16.5 11.2 24.5 33.1 18.3 31.3 37.9 32.8 23.9 8.8 25.6 7.4 7.6 22.4 7.3 17.8 22.6 16.8 0.8 1.9 0.1 7.0 4.7 9.3 63.1 73.5 57.4 67.0 57.3 63.5 50.5 85.6 日本 米国韓国 97

98. わが国におけるウイルス被害状況 図表 98-1 は コンピュータウイルスによる被害総額を試算した結果である パソコンからインターネットを利用している人の数 ( 6437 万人 ) に出現率 ( 被害修復のために金額を支払った人の比率 8.92% ) を乗じ さらに被害修復に要した額の平均値 ( 16, 265 円 ) を乗じた この結果 わが国におけるコンピュータウイルスによる被害総額は 約 930 億円と推計される なお この被害総額は 家庭においてインターネット接続して利用しているパソコンの被害であるので 職場におけるコンピュータウイルスによる被害は含まれていない 図表 98-2 は コンピュータウイルス対策をしている場合とそうでない場合のコンピュータウイルス感染率を比較したものである ここでは アンチウイルスソフトを利用している プロバイダのウイルス対策サービスを利用している OS ブラウザのアップデートをしている メールソフトのアップデートや変更をしている 添付ファイルやHTMLメールを不用意に開かない 知らない人からのメールを不用意に開かない のいずれかを実施している人を対策をしている人 どの対策もとっていない人を未実施の人と定義している この結果 ウイルスを発見した人のうち 感染してしまった人の割合は 対策実施済みの人は4 割弱であるが 対策をとっていない人は6 割であり 対策をすればウイルスを受け取っても感染する率が低くなることが検証できた 図表 98-1. ウィルスの被害額の推計 図表 98-2. 対策別の被害状況 ウィルス被害額 = (PC ネット利用者 出現率 ) 被害修復に要した額の平均値 ウィルス対策未実施 0% 20% 40% 60% 80% 100% 61.5% 38.5% 出現率 ( 被害修復のために金額を支払った人の比率 ) 被害修復に要した額の平均値 PC ネット利用者 被害額総額 8.92% 16,265.15 円 6437 万人 933.81 億円 ウィルス対策実施済み 41.5% 発見して感染した 発見したが感染しなかった 58.5% ウィルス対策実施済み = 以下のいずれかの対策を実施している人 アンチウイルスソフトの利用 プロバイダのウィルス対策サービスの利用 メールソフトやブラウザのアップデート 変更 添付ファイルなどを不用意に開かない 知らない人からのメールを不用意に開かない 98

99. 迷惑メールの受信 図表 99 は 自宅のパソコンと携帯通信機器で迷惑メールを平均して1 日に何通受け取っているかを尋ねた結果を日米韓で比較したものである パソコンの迷惑メールについては 米国がもっとも多く 次が韓国 日本という順という結果になった たとえば 1 日に受け取る迷惑メールの数が11 通以上である利用者の割合は 米国では約 5 割であるのに対して 韓国では約 3 割 日本では約 15% である また 迷惑メールを受け取ったことがないと答えた人の割合も 日本では 13.4% であるのに対して 韓国では 5.4% であり 米国は 2.4% となっている 一方 携帯通信機器の迷惑メールについては 韓国 日本 米国の順になっている 1 日に2 通以上の迷惑メールを受け取っている利用者の割合は 韓国では約 45% であるが 日本では約 25% 米国ではわずか 4% となっている 米国の比率が低いのは 米国における携帯通信機器の電子メール利用率が日韓に比べてかなり低いことが理由であると考えられる 図表 99. 迷惑メールの受信 あなたは自宅のパソコンと携帯通信機器で迷惑メールを 1 日平均してどのくらい受け取りますか パソコン 携帯通信機器 100% 80% 60% 40% 20% 0% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 15.4 8.9 26.1 36.2 13.4 日本 27.4 47.9 18.1 3.2 5.1 3.4 1.7 49.8 18.9 23.7 米国 91.8 1.8 2.4 4.2 0.5 29.4 24.3 30.5 10.5 韓国 21.0 33.8 35.8 4.6 5.4 4.8 受け取ったことがない 1 日 1 通以下 2~5 通 6~10 通 11 通以上 99

100. 迷惑メール対策の実施状況 図表 100は 迷惑メール対策の実施状況について尋ねた結果について 日米韓比較を行ったものである まず なんらかの対策を実施している人の割合 (100 % から 何も行っていない と答えた人の割合を引いたもの ) を見ると パソコンについては 日本が 63.2 % 米国が 77.6 % 韓国が 74.1 % であり 携帯通信機器については日本が62.4 % 米国が 7.6 % 韓国が 25.2 % である 日本ではパソコンと携帯通信機器の差はあまりないが 米韓 ( 特に米国 ) では携帯通信機器における迷惑メール対策を実施している人の割合が小さくなっている これは前頁の迷惑メールの受信状況からわかるように 迷惑メールが少ないためだと考えられる パソコンにおける迷惑メール対策方法については 端末側で迷惑メール対策ツールやメール指定拒否機能等を利用する方法 プロバイダーの迷惑メールを遮断するサービスを利用する方法 メールソフトの振り分け ( フィルタリング ) 機能を活用する方法が一般的である 携帯通信機器における迷惑メール対策方法については パソコンであげた方法に加えて メールアドレスを複雑にするという方法の利用者が多い 特に 日本では 36.5 % の携帯通信機器利用者がメールアドレスを複雑にするという迷惑メール対策を行っている 図表 100. 迷惑メール対策の実施状況 具体的にどのような迷惑メール対策を行っていますか ( いくつでも ) 100% 80 パソコン 60 40 20 0 携帯通信機器 0 20 40 60 80 100% 31.3 39.4 42.3 11.7 4.9 10.0 12.9 メールアドレスを複雑にしている 端末側で迷惑メール対策ツールやメール指定拒否機能等を利用 端末側で未承認広告拒否機能を利用 2.0 2.5 2.9 11.7 17.9 36.5 24.6 日本米国韓国 21.7 43.7 25.4 25.2 32.4 29.7 36.8 22.4 25.9 1.9 2.6 4.2 1.2 3.8 4.0 プロバイダーの迷惑メールを遮断するサービスを利用メールソフトの振り分け ( フィルタリング ) 機能を利用 メールアドレスを一定期間で変更 その他 何も行っていない 4.7 2.8 7.1 5.0 2.1 3.4 5.3 0.8 1.4 1.2 0.6 4.5 37.6 74.8 92.4 100

101. スパイウェアに対する認識と対応 図表 101 は スパイウェアに対する認識と対応について尋ねた結果を日米韓で比較したものである まず スパイウェアの認知度についてみると 日本では約半数が スパイウェアがどのようなものか知らない と答えているが 米国で 10.4 % 韓国では 35.4% であり 日本がもっともスパイウェアに対する認知度が低いことがわかる 次に ソフトウェアやツールなどを利用してスパイウェアをチェックしている人の割合をみると 日本は 26.9 % であるのに対して 米国では 67.0% 韓国では 40.0 % である これを スパイウェアを知っている人 ( スパイウェアがどのようなものかを知らない と その他 を除いた人 ) に限定すると スパイウェアをチェックしている人の割合は 日本が 51.6 % 米国が88.3 % 韓国が 64.2 % となる また スパイウェアを知っている人のうちでスパイウェアは心配だがチェックはしていないという人の割合は 日本が約 38 % 米国が約 8% 韓国が約 24 % であり スパイウェアを知っている人のうちで自分は大丈夫だと思っている人の割合は 日本が約 10 % 米国が約 16 % 韓国が約 13 % である この結果からみると 日本は米国や韓国に比べて スパイウェアに対する認知度が低いだけでなく スパイウェアがどんなものかを知っているインターネット利用者でも スパイウェアを心配しつつチェックをしていない人が多いことがわかる 図表 101. スパイウェアに対する認識と対応 スパイウェアについて あなたが当てはまるものを選んでください 日本 0% 20% 40% 60% 80% 100% 26.9 19.7 48.0 0.3 5.0 ソフトウェアやツールなどを使ってスパイウェアをチェックしている スパイウェアは心配だが チェックはしていない 米国 67.0 7.1 14.2 10.4 1.4 スパイウェアについて知っているが 自分は大丈夫だと思っている ( 心配していない ) スパイウェアがどのようなものか知らない 韓国 40.0 15.6 8.6 35.4 0.4 その他 101

102. 個人情報の流出事故に関する記事件数の推移 図表 102は 個人情報の流出事件に関する新聞記事の件数の推移を表したものである データは日経テレコンを利用して グラフの注に記したように 朝日新聞 産経新聞 毎日新聞 読売新聞 日本経済新聞を対象として キーワード検索を行った 使用したキーワードは ( インターネット ORホームページORメール )AND( 流出 OR 漏洩 OR 漏えいOR 誤配信 )AND( 個人情報 ) である 2001 年は118 件であるが 2002 年は249 件 2003 年は252 件と増加し 2004 年はさらに510 件と前年の 2 倍以上に増加している これは 個人情報の流出や不正利用などの事件が増えていることを示すものである 図表 102. 個人情報の流出事故に関する記事件数の推移 ( 新聞 5 紙の報道件数 ) 600 件 510 400 249 252 200 118 0 平成 13(2001) 14(2002) 15(2003) 16(2004) ( 注 ) 朝日新聞 産経新聞 毎日新聞 読売新聞 日本経済新聞の計 5 紙のデータベースにおいて キーワードを設定の上 検索を行った 使用したキーワードは ( インターネット OR ホームページ OR メール )AND( 流出 OR 漏洩 OR 漏えい OR 誤配信 )AND( 個人情報 ) 102