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日本企業の 8 大テーマ 1. 知的創造時代 技術 デザイン ビジネスモデル 2. 三位一体の組織化 事業部門と研究 開発部門と知財部門との三位一体化 3. 高価値化権利 発明 デザインの本質と権利化 4. プロパテント時代 強力な権利 ライセンス 損害額 5. 企業価値 無形資産と企業価値 知財の活用とビジネス 6. 危機管理対策 知的財産権と危機管理 営業秘密の管理 技術 企業組織 発明等の価値化と法的価値 法律 経済 ( 市場 ) 管理 7. グローバル化 BRICS 等新興国の台頭と知財のグローバル化対策 8. 知的人財育成化 知的人財 ( 知識 知恵 ) 知的人財教育システム 国際 人財 1

産業財産権Fujimoto & Partners 知的財産権の種類 権利の種類保護法保護の対象権利期間 権利権 ( 発明 ) 特許権 自然法則を利用した 新規制のある 産業上有用な発明 出願日から 20 年 実用新案権 ( 考案 ) 実用新案法 物品の形状 構造 組み合わせに関する考案 ( 小発明 ) 出願日から 10 年 意匠権 ( 意匠 ) 意匠法 独創的で美的な外観を有する物品の形状 模様 色彩のデザイン 登録日から 20 年 商標権 ( 商標 ) 商標法 商品 役務に使用する文字 図形 記号等のマーク 登録日から 10 年更新可 著作権 著作権法 独創性のある文芸 美術 音楽 ソフトウェアなどの精神的作品 著作者の死亡から 50 年 回路配置権 半導体集積回路の回路配置に関する法 半導体集積回路の回路素子や導線の配置パターン 登録日から 10 年 植物新品権 種苗法 農産物 林産物 水産物の生産のために栽培される植物の新品種 登録日から 10 年 トレードシークレット ( 営業秘密 ) 民法 刑法 企業のノウハウや顧客リストの盗用等の不正行為を禁止 商号 商法 商人が取引上自己を表示するために用いる名称 不正競争防止法関連 不正競争防止法 著名な未登録商標 商号の紛らわしい使用や 不適切な地理的表示等を禁止 2

企業経営戦略と知財戦略のあり方 1. 企業リーダーの意識改革 2. 企業規模に対応した知財組織 (1) 中堅 中小企業 (2) 知財の中小企業 3. 企業の業態に対応した知財組織と戦略 (1) メーカー (2) 小売業者 (3) 商社 ( 一部メーカー ) 4. 企業全員の知財知識とマインド (1) 全社員 (2) 研究 開発部門 (3) 営業部門 (4) 部 課長 (5) 役員 3

5. 知財部員 ( 担当者 ) の役割と使命 (1) アイデア等の発掘 ( リエゾン活動 ) 現場のアイデア (2) 商品開発及び販売開始前の事前調査の重要性 (3) 競合他社の動向調査等 社内の情報発信基地 (4) アイデアの高価値化権利の獲得 (5) 外部の弁理士 ( 特許事務所 ) 調査会社の有効活用 (6) 紛争発生と社内の意思統一化 (7) 侵害成否の判断と弁理士鑑定 (8) 海外戦略 6. 企業ビジネスに役立つ知財戦略 4

開発型企業の知的創造と新技術 新製品開発のあり方 1. 自社の優位性技術の開発 ( 選択と集中によるオンリーワン技術 ) 2. サイテーションマップの活用事例 資料 1 3. 技術動向分析と特許情報の活用事例 資料 2 4. 競合他社の技術動向分析と特許情報の活用 資料 3 5. 市場ニーズの調査 分析と技術開発 事業( 営業 ) 部 開発部 知財部の三位一体化 6. 中 長期テーマと特許情報基盤の整備 (IPDL) 5

発明と出願戦略 ( 量から質への転換 コストバランス ) 1. 先行技術調査の強化 ( 有効な権利の獲得 ) 2. 企業ビジネスに貢献する出願戦略 3. 高価値化権利 ( 強い特許 ) の獲得 4. 選択と集中化 ( 特許網の構築 ) 5. 発明 ( 技術 ) の評価 ( 技術的評価 法的評価 市場評価 ) 6. 海外出願戦略 (PCT マドプロ) と出願国の特定 6

貴社の技術は特許で保護されていますか? 1. 技術の本質を見極める 2. 従来技術 ( 最近似技術 ) の特定 簡易調査の重要性 3. 従来技術の問題点 4. 発明の本質 ( 発明の課題 課題達成の手段 実施形態 ) 5. 特許の保護範囲は特許請求の範囲 ( クレーム ) で決まる 6. 海外での技術の模倣と特許化対策 7

事例研究 ( 特許 実用新案 ) おにぎり包装事件と技術の本質及び特許の保護範囲 東京地裁平成 5 年 ( ワ ) 第 2389 号実用新案権侵害訴訟事件 資料 4-1 東京高裁平成 5 年 ( ネ ) 第 5264 号控訴事件 資料 4-2 8

デザイン重視型企業とデザインの模倣防止対策 1. デザインの概念と意匠法上の意匠 2. 意匠の保護戦略 (1) 全体意匠 (2) 部分意匠 (3) 関連意匠 (4) 画像意匠 9

部分意匠制度 物品の形状を保護する場合 全体の形状を保護する全体意匠に対して 部分的に形状を保護する制度 ( 意匠法第 2 条第 1 項 ) 特許 : 上位概念 下位概念 / 意匠 : 部分意匠 全体意匠 意匠に係る物品 : イヤホン 全体意匠登録第 1262418 号 部分意匠登録第 1262417 号 コップ A コップ B コップ C 関連意匠制度のメリットとデメリット メリット 類似範囲の把握が可能 デメリット コストが嵩む 非類似と判断されると権利範囲が狭いことを開示することになる 10

画像デザイン 登録第 1207282 号 携帯用無線電話機 意匠審査基準より 11

事例研究 ( 意匠 ) ノンスリップ用ブロックの意匠保護戦略 12

ブランドの保護と不正登録防止対策 ( ブランド戦略 ) 1. 商標とは (1) ブランド ある商品を他の商品と区別するために用いられる概念 企業が自社の製品等を競争相手の製品等と識別化するためのネーム ロゴ マーク シンボル パッケージ デザインなどの標章 消費者において商品対して出来上がるイメージの総体 すなわち顧客のアタマのなかに拡がる世界観そのもの (2) 商標 ブランドのうち 文字や図形を用いて表現されるもの 文字 図形 記号 立体的形状やこれらを組み合わせたものなどのタイプがある 13

2. 商標権とは 商標権とは 指定商品 ( 指定役務 ) について登録商標を独占排他的に使用できる権利 (1) 他人によるその類似範囲の使用を排除することが可能 ( 差し止め 損害賠償請求等 ) (2) 商標登録を受けないまま自己が商標を使用している場合 他社の商標権の侵害にあたる可能性あり リスク管理上 事前の商標調査が必須 (3) ブランド戦略 1 商標の選定 2 商品区分 ( 指定商品の役務 ) の決定 14

知的財産とその活用事例 1. 知的財産の活用目的 (1) 事業の独占化 (2) 技術 デザインの独占化 (3) 自社製品の保護化 (4) 競合他社の進出防止化 (5) 先願権の確保化 (6) 武器化戦略 (7) 収益確保化 ( ライセンス ) 2. 知的財産の活用事例 (1)A 社のケース ( 水道管の継手メーカー ) (2)B 社のケース ( 包装パックのメーカー ) (3)C 社のケース ( アパレルメーカー ) (4)D 社のケース ( 商社のメーカー化 ) 15

最近の知財紛争とその発生要因 1. 企業のプロパテント化戦略 2. 損害額の増額化 3. 量から質への権利化 4. 競合他社との競争激化 5. 安易な模倣と安易な侵害判断 6. 不正競争防止法違反事件の多発化 7. 海外 特に中国での知財紛争の多発化 16

特許監視体制の見直しと強化策 1. 事業計画と競合他社動向の特許監視体制強化 (1) 競合他社の技術動向を知る (2) 競合他社の特許動向を知る (3) 障害特許の早期発見 2. 重要事業分野とその周辺特許の監視強化 (1) 重要事業分野の社内の周知化 (2) 重要事業分野の特許監視 (3) 重要事業と関連分野の監視 (4) 特許には幅があり その幅の中に障害特許が潜在する 1 件の特許が数十件の特許を生む ( 分割特許 ) Copyright 2010Fujimoto&Partners 2012 All All Rights Rights Reserved. 17

知的財産と企業の危機管理対策 1. 産業財産権 ( 特許 実用新案 意匠 商標 ) の侵害 (1) 他人の権利侵害と侵害による企業リスク ( 法的 経済的 社会的リスク ) (2) 製造 販売 販売の申し出 ( ネット掲載等 ) 等の中止 (3) 損害金の支払い ( 限界利益を基準値とする ) (4) 金型の廃棄 2. 侵害予防対策 ( 社内に危機管理を周知化させる ) (1) 障害特許等の事前調査の社内周知化 ( 開発時 販売前 ) 毎月の継続調査化 (2) 障害特許の事前調査 ( 侵害特許の早期発見 ) (3) 障害特許と自社技術 ( 製品 ) との侵害成否判断 判断主体 ( 弁理士 ) (4) 設計変更 ( 安易 ) と侵害成否判断 (5) 無効資料調査 ( 内外国調査網 ) 18

3. 営業秘密 ( ノウハウ ) の保護と漏洩防止対策 (1)1 有用性 2 非公開 3 管理性 (2) ノウハウと特許出願 (3) 営業秘密管理委員会 4. 職務発明と補償金請求訴訟事件の多発化と企業対策 5. 不正競争防止法と製品開発 (1) 不正競争防止法第 2 条 1 項 1 号又は 2 号 ( 周知又は著名な商品等表示 ) (2) 不正競争防止法第 2 条 1 項 3 号 ( 商品形態の模倣 ) たまごっち事件 6. 税関対策と企業リスク対策 (1) 発光ダイオード事件 (2) 液晶テレビ事件 19

最近の日本の特許権侵害訴訟の動向 1. 裁判所の特許無効判断 日本国特許法第 104 条の 3 の規定 2. 特許権侵害訴訟における特許権者の勝訴率 3. 裁判所の無効判断と特許庁の無効審決 ( ダブルトラック ) 4. 知的財産高等裁判所 20

特許権侵害訴訟の判決の動向 特許権侵害事件の地裁判決の動向 キルビー判決 120 100 80 60 40 20 0 74 59 15 102 41 81 90 37 53 104 条の 3 創設 65 70 63 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 21 44 14 56 18 45 40 7 33 無効の抗弁なし無効の抗弁あり 無効の抗弁の増加 2001 年以降の訴訟における 無効の抗弁あり の割合は 約 7~8 割 その抗弁の半分は認容されている ( 権利無効 ) 特許権侵害訴訟 ( 地裁 ) における特許無効の抗弁の有無 250 200 109 権利者敗訴 150 88 62 22 63 66 84 100 19 13 67 10 12 11 50 61 80 71 5 55 58 52 35 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 判決数 74 判決数 102 判決数 90 判決数 65 判決数 70 判決数 63 判決数 40 和解 権利者勝訴 権利者敗訴率の増加 権利者敗訴の判決は 全判決の約 8 割 ( 和解を含めると全体の約 4 割 ) 権利者敗訴判決の約 35% は 権利無効 が理由 注 :2000 年については 4 月 ~12 月のデータ21

権利者敗訴案件の要因分析 合計 35% について 権利無効 の判断 13% 54 件 22% 88 件 261 件 65% 非侵害権利無効による両方 2000 年 4 月 ~2006 年 12 月までに判決の出された総計 403 件の権利者敗訴案件 ( 一部敗訴案件を含む ) についての調査 : 特許庁 22

侵害警告された場合の対策 1. 権利の特定 ( 特 実 意 商 不競法 著作権 ) 出願書類 ( 包袋 ) の入手と禁反言 2. 侵害品の特定と侵害品の売上等事業状況の確認企業に与える影響度 3. 侵害成否の判断弁理士の鑑定 ( セカンドオピニオン ) 4. 先使用権の確認開発から事業化までの経緯と証拠の調査 確認 検討 5. 無効性について調査 検討 (1) 調査 (2) 調査資料と無効性の判断 6. 対策 (1) 設計変更 ( 侵害回避策 ) (2) 交渉 ( ライセンス等 ) (3) 製造 販売時の中止 ( 在庫処分 ) (4) 和解と和解金 23

企業のグローバル化と知財戦略 1. 製造行為と侵害成否 2. 各国によって侵害成否の判断が異なる 3. 中国における知財紛争と中国事情 4. 企業のグローバル化と事業活動の明確化 5. 海外での権利化対策 24

企業のグローバル化と中国等新興国への進出 1. 国際的な知的財産の保護体系 (1) 属地主義と各国の権利 (2) 手続き上の国際化ルール 1PCT 特許出願 2パリルート特許出願 3EPC 特許出願 4マドリッド協定によるマドプロ商標出願 2. 企業のグローバル化の態様 (1) 中国等新興国での生産拠点 (2) 新興国への技術ライセンス ( 技術供与 ) (3) 新興国内企業との合併 M&A 化 (4) 新興国市場への販売進出 ( 市場の拡大化 ) 3. 現在の日外 外日出願状況 25

4. 中国等における日本企業の海外リスク態様 (1) 自社の企業名称 社章 欧文字の先登録 ( 無断登録 不正登録 ) 1 自社のブランドが中国で勝手に商標登録された事例多発 2 生産 輸出行為と商標権侵害 3 商標権者への対策 ( 異議申立 無効審判 買取交渉 ) (2) 技術提携と中国企業による実用新案権獲得事例 (3) デザインの模倣事例 (4) ネット上の模倣事例 (S 社のケース ) 26

5. 中国等における日本企業の海外リスク回避対策 (1) 商標の事前調査の徹底化 (2) 特許 実用新案 意匠の事前調査の徹底化 (3) 自社ブランドの事前の商標登録 (4) 自社技術の特許化 (5) 自社製品のデザインの意匠登録化 (6) 相手方企業との契約締結化 (7) 相手方企業の事前信用調査 ( 予信 ) 27

6. 今後の日本企業の新興国への企業戦略 (1) 新興国への市場進出とブランド及び特許 デザイン対策 (2) 新興国への技術供与と相手方企業の信頼性調査 (3) 技術供与と契約上の問題点 (4) 新興国企業との技術提携又は技術指導 (5) 新興国での法律を知る 28

7. 今後の日本の中堅 中小企業への期待 (1) オンリーワンの技術 デザイン ビジネスモデルの開発と事業化 (2) 新興国への進出と技術供与並びに法的保護 (3) 危機管理対策とそのリスクマインド (4) 経営者の知的財産に関する意識改革 (5) 全社員の提案 創造制度の導入と評価 (6) 全社員 特に技術 開発者と営業マンの知財教育 29