(3) 設備復旧対策事例 ~ 基地局及びエントランス回線通信事業者各社で取り組んだ主な基地局あるいはネットワーク設備復旧対策としては 光ファイバー 衛星回線 無線 ( マイクロ ) 回線の活用による伝送路の復旧や 山頂などへの大ゾーン方式 ( 複数の基地局によるサービスエリアを1つの大きなゾーンとし

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その一方で 防災行政無線の聞き取り状況の調 査では 図 3に示すように20% の人が放送内容を聞き取れなかったと答えており 今後の改善 もしくは代替え手段の充実の必要性を示唆している なお 情報の入手先としてテレビの割合が低いのは地震による停電 ( 岩手県 宮城県では95% 以上が停電 ) が原因と

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東日本大震災における情報通信の状況平成 23 年版情報通信白書 3 通信等の状況 第 1 節 図表 1-1 携帯電話ネットワークの被災箇所 総務省資料により作成 通信事業者各社は 移動電源車百数十台 車載型携帯電話基地局 40 台以上を被災地に配備する等 サービスの迅速な復旧に取り組むとともに 復旧

震災からの教訓とICTの役第部 ICT が導く震災復興 日本再生の道筋 第 4 節 東日本大震災の教訓を踏まえた ICT 災害対策の強化 1 政府全体の動き 章3 大1 第(1) 内閣府における対応 震災を受け 中央防災会議では 地震津波対策の全般的見直しとして 平成 23 年 4 月 27 日に

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<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

平成 30 年度事業報告 一般財団法人自治体衛星通信機構 当機構は 地方公共団体等において通信衛星を共同利用するための設備を設置し 運用することによって 防災情報及び行政情報の伝送を行うネットワークの整備促進を図り もって地域社会における情報通信の高度化及び地域の振興に寄与することを目的として平成

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資料 3 災害時の燃料供給の更なる強靭化 に向けた課題について 平成 30 年 11 月 15 日資源エネルギー庁資源 燃料部

宮城県総合防災情報システム(MIDORI)

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2 本紙について 本紙は 通信回線の管理者等が脆弱性評価を行うにあたって 有用と考えられるポイントを 電気通信事業者の視点で取りまとめた参考資料である 大規模災害等が発生し 電気通信ネットワークがケーブル切断等により途絶した場合 電気通信事業者は電気通信事業法第 8 条の重要通信の規定に照らし 重要

東日本大震災における通信の被災 輻輳状況 固定通信 移動通信 被災状況 被災状況 合計約 190 万回線の通信回線が被災 現在は 99% 以上復旧 NTT KDDI ソフトバンクテレコムは 一部エリアを除き 復旧済 < 最大被災回線数 > < 最大停止基地局数 >

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地局装置を介して位置情報管理サーバに伝えられ 位置情報として地図上に表示することができます 利用イメージを図 2 に示します 図 2 業務用無線システムの利用イメージ 3. 中継無線システムの開発 (1) 開発の背景中継伝送路を救済する既存の災害対策用無線システムでは 156 Mbit/s または

地震被害予測システムにより建物被災度を予測 また 携帯電話と地図を利用した 被害情報集約システム では GPS 機能と地理情報システムとの連係により 現在位置周辺にある同社施工済物件を検索し 物件や周辺の被害状況を文字 静止画 動画を添付して報告することができる これら被害情報を地理情報システムに集

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お知らせ 平成 2 6 年 5 月 1 3 日 N T T 東日本長野支店 N T T ドコモ長野支店 NTTファシリティーズ長野支店 NTT グループ合同通信復旧訓練の実施について NTT 東日本長野支店 ( 所在地長野市新田町 支店長侭田達男 ) NTTドコモ長野支店 ( 所在地長

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目次 1. 重要通信の定義 2. オペレーションセンター 3. 災害発生時にネットワークが受ける影響 4. 災害発生時の通信トラヒック 5. 重要通信確保の仕組み ( 緊急通報 -1) 6. ( 緊急通報 -2) 7. ( 優先電話 -1) 8. ( 優先電話 -2) 9. ネットワークの信頼性確保

中核給油所 小口燃料配送拠点における災害対応ガイドライン 都道府県石油組合用 資源エネルギー庁石油流通課 平成 25 年 6 月

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1 検査の背景 我が国の防災の基本法として災害対策基本法 ( 昭和 36 年法律第 223 号 ) が制定されている 同法によれば 内閣府に中央防災会議を置くとされ 同会議は 災害予防 災害応急対策及び災害復旧の基本となる防災基本計画の作成 その実施の推進 防災に関する重要事項の審議をそれぞれ行うな

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平成 28 年熊本地震における対応 平成 28 年熊本地震 ( 前震 :4/14 本震 :4/16) において 電力 ガス等の分野で供給支障等の被害が発生 関係事業者が広域的な資機材 人員の融通を実施するなど 迅速な復旧に努めた結果 当初の想定よりも 早期の復旧が実現 また 復旧見通しを早い段階で提

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1. 課題認識 (1/2) 超高齢化社会に突入 (= 災害弱者の増加 ) した現在 超広域災害である南海トラフ巨大地震に備え ICT を利活用した より具体的な災害医療 救護体制を構築し 災害医療 救護の高度化を図ることが急務ではないか 南海トラフ巨大地震の被害予測南海トラフ巨大地震は 東日本大震災

2010年2月3日

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

U2. 北朝鮮のミサイルについて Q3. 北朝鮮によるミサイル発射の現状はどうなっているのか 北朝鮮は 過去に例を見ない頻度でミサイルを発射しており 平成 28 年 8 月以降 ミサイルが日本の排他的経済水域 (EEZ) 内に落下する事例も起こっています Q4. ミサイルは 発射から何分位で日本に飛

( 参考資料 ) 緊急速報メールを活用した 洪水情報のプッシュ型配信 国土交通省四国地方整備局松山河川国道事務所平成 29 年 3 月

各省庁等における業務継続計画に係る取組状況調査 調査の目的 各省庁等における現在の業務継続計画に係る取組状況を把握し 東日本大震災等を受けた 今後の業務継続計画の改善策を検討するための資料とする 調査の対象 中央省庁業務継続連絡調整会議構成機関 オブザーバー機関 29 機関 構成員 :23 機関内閣

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

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防災業務計画 株式会社ローソン

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

Q4. ミサイルは発射から何分位で日本に飛んでくるのでしょうか A4. 北朝鮮から弾道ミサイルが発射され 日本に飛来する場合 極めて短時間で日本に飛来することが予想されます 例えば 本年 2 月 7 日に北朝鮮西岸の東倉里 ( トンチャンリ ) 付近から発射された弾道ミサイルは 約 10 分後に 発

はじめに 日本は地震大国であり 津波大国でもある 2011 年 3 月に起きた東日本大震災では 津波に より亡くなられた方が 9 割以上を占めています そのため... 東日本大震災での主な死因 その他 9% 溺死 91% 14,308 人 日本全国で地震による津波に備えて津波避難 施設が導入されてい

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資料 2-1 VHF 帯での利用を計画する 具体的システムの提案について 平成 30 年 12 月 21 日 ( 株 )NTT ドコモ 2018 NTT DOCOMO, INC. All Rights Reserved.

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5 安全 減災措置 建物建物は地震対策はなされていますか? 耐震補強 耐震 制震 免震設備状況 ( リスト ) 耐震 安全性診断 ( 発災前 ) 耐震 安全性診断を受けていますか? 施行証明書 実施状況 ( リスト ) 応急危険度判定 ( 発災後 ) 転倒 転落の防止措置 6 本部への被害状況の報告

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東日本大震災を踏まえた今後の災害対策の取り組みについて

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その時点で改めて ミサイルが落下する可能性がある旨を伝達し 直ちに避難することを呼びかけます Q4. ミサイルが落下する可能性がある との情報伝達があった場合は どうすれば良いのでしょうか A4. 屋外にいる場合 近くの建物 ( できれば頑丈な建物 ) の中又は地下に避難してください 近くに適当な建

実証実験の結果 空中線能率が 38.5% と高能率が得られたことから 低出力でも新潟市全域をサービスエリアとすることが確認できた クレーン車到着から 1 時間で放送を開始することが可能 クレーン車は 被災している地域に最も近く 移動ルートの道路状況に問題ない企業から借りることを想定している クレーン

障害者 ( 児 ) 防災アンケートの主旨 アンケートの概要 Ⅰ 避難に関すること Ⅱ 情報伝達に関すること Ⅲ 避難所及びその環境に関すること Ⅳ 日頃の備えに関すること 障害者 ( 児 ) 防災アンケート < 配布用 >

ことを呼びかけます Q4. ミサイルが落下する可能性がある との情報伝達があった場合は どうすれば良いのでしょうか A4. 屋外にいる場合 近くの建物 ( できれば頑丈な建物 ) の中又は地下に避難してください 近くに適当な建物等がない場合は 物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守ってください 屋内にい

L アラート ( 災害情報共有システム ) の概要 1 情報発信 情報伝達 地域住民 市町村 災害時の避難勧告 指示 お知らせ等 収集 フォーマット変換 配信 テレビ事業者 システム接続 ケーブル地上波 デジタル TV データ放送など ( テキストで表示 ) 情報閲覧 入力 防災情報 お知らせ等 都

九州における 道の駅 に関する調査 - 災害時の避難者への対応を中心としてー ( 計画概要 ) 調査の背景等 道の駅 は 平成 16 年 10 月の新潟県中越地震 23 年 3 月の東日本大震災において 被災者の避難場所 被災情報等の発信や被災地救援のための様々な支援の拠点として活用されたことなどか

目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

資料 31-2 固定電話網の移 概要と 今後の通信ネットワークについて 平成 28 年 日本電信電話株式会社東日本電信電話株式会社 本電信電話株式会社

質問1

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(2) 日本の領土 領海の上空を通過した場合 旧 1 ミサイル発射情報 避難の呼びかけ 新 ミサイル発射情報 ミサイル発射情報 先程 北朝鮮からミサイルが発射された模様です 続報が入り次第お知らせします ミサイル発射 ミサイル発射 北朝鮮からミサイルが発射された模様です 頑丈な建物や地下に避難して下

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別添 表 1 供給力確保に向けた緊急設置電源 ( その 1) 設置場所 定格出力 2 発電開始 2 運転開始 公表日 3 姉崎火力発電所 約 0.6 万 kw (0.14 万 kw 4 台 ) 平成 23 年 4 月 24 日平成 23 年 4 月 27 日 平成 23 年 4 月 15 日 袖ケ浦

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公衆電話 : 通常時とほとんど変 わりなく使用できる 接続業者の設備が複雑かつ大規模であり 大規模災害時の復旧に時間がかかると言われている 万が一の場合に備えて 自宅の電話と携帯以外の連絡手段を家族で共有しておくなどの方法を考えれば IP 電話に切り替えるデメリットはかなり少なくできる 色々なご家庭

2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

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本日ご紹介する内容 1 1 災害による通信ネットワーク被害の実例 東日本大震災 熊本地震による通信ネットワーク被害 2 動 やスマートフォン等を利 した災害時におけるアドホック通信ネットワークの構築 活用 コネクテッドカー スマートフォンの普及 災害時におけるアドホック通信ネットワークの構築 活用イ

北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合における全国瞬時警報システム (J アラート ) による情報伝達に関する Q&A Q1. 北朝鮮の弾道ミサイル発射の現状はどうなっているのでしょうか A1. 北朝鮮は過去に例を見ない頻度で弾道ミサイルを発射し 平成 28 年 8 月以降

(2) 地震発生時の状況地震発生時の運転状況ですが 現在 20 清掃工場で40 炉が稼動していますが 地震発生当日は32 炉が稼動しており 8 炉は定期補修や中間点検のため停止していました 地震後は設備的な故障で停止したのが2 炉ありまして 32 炉稼動していたうち2 炉が停止したというのが地震発生

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デジタルシステムの国内標準仕様 ( 案 ) の概要 国内標準仕様準拠により 実現する機能 1. 災害情報等の一斉配信サービスへの対応 2. スマートフォン連携による個人属性に応じた情報提供 3. 上での多言語による情報提供の方法 国内標準仕様概要 1. 災害情報等の一斉配信サービスへの対応 端末側に

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3.[ トップ画面 ] データ放送連携トップ画面 トップ画面には ゆめネットデータ放送と連携した情報が表示されます " メニュー部分を左右に移動させると様々な情報メニューが表示されます " 情報メニューをタップすると内容が表示されます " データ放送以外の情報は 下部のタブメニューをタップすると他の

くばる 災害情報の配信技術の研究開発 新たなメディア利用や外国人 障がい者への災害情報配信技術の開発 つなぐ 災害現場における迅速な通信機能回復のための技術の高度化と社会展開 (1) 新たなメディア (V-Low 放送 ) による情報配信 (NTT データ ) (2) 障がい者 外国人等にも判読可能

続報を伝達しますので 引き続き屋内に避難していて下さい 弾道ミサイルが日本の上空を通過した場合には 他に追尾しているミサイルやミサイルから分離した落下物が我が国の領土 領海に落下する可能性が無いことを確認した後 弾道ミサイルが通過した旨の情報をお知らせします ((2)2) 引き続き屋内に避難する必要

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第 5 部 南海トラフ地震防災対策推進計画

(溶け込み)大阪事務所BCP【実施要領】

著者ショウラジブ Brett Peary 出田愛 竹内裕希子 : 京都大学総務省

平成23年東北地方太平洋沖地震の概要について

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各企業等の取組事例のご紹介(事務局によるヒアリング概要)

. ポイント 火山活動の変化を的確に検知し 迅速に登山者等に伝達できる 観測体制強化 関係機関への情報伝達迅速化 屋外放送 携帯端末 パトロールから伝達等 予測不能な突発的噴火の際 避難できる施設が整備されている 噴石等に耐えられる堅牢施設 避難すべき施設を登山者が認知等 噴火警報発表時 噴火時に登

Transcription:

第 2 章携帯電話サービスの災害対策の現状 2.1 東日本大震災における携帯電話サービスの復旧対策 (1) 東日本大震災において発生した通信インフラへの影響と復旧今回の震災による最大約 2 万 9 千局の携帯電話等基地局の機能停止に対し 通信事業者各社は 衛星エントランス搭載移動基地局車 40 台以上 移動電源車百数十台を被災地に配備し それぞれの応急対策を実施した また エントランス回線を別ルートの回線に迂回させるとともに 一部回線はマイクロ回線や衛星回線を活用するなど 携帯電話サービスの迅速な復旧に取り組んだ こうした対応の結果 一部のエリアを除き ( イー アクセスはすべてのエリア ) 平成 23 年 4 月末までにほぼ復旧している (2) 設備復旧対策事例 ~ 電源今回の震災では 道路の途絶や交通規制等により 輸送手段 ルートが確保できず 資材 燃料の輸送及び人員の派遣が困難となり 迅速な応急復旧作業に支障が生じた 中でも 停電が長時間 広範囲に及んだことから 被災を免れた基地局も バッテリーや自家用発電機燃料の枯渇により電力供給が停止し 結果として携帯電話サービス停止原因のうち約 8 割が停電によるものであった ( イー アクセスにおける停電が原因の割合は関東地方で93% 東北地方で52%) 通信事業者で取り組んだ電源確保事例は図表 2-1-1のとおり 図表 2-1-1 電源及び燃料の確保 出典 :K DD I 株式会社資料 5

(3) 設備復旧対策事例 ~ 基地局及びエントランス回線通信事業者各社で取り組んだ主な基地局あるいはネットワーク設備復旧対策としては 光ファイバー 衛星回線 無線 ( マイクロ ) 回線の活用による伝送路の復旧や 山頂などへの大ゾーン方式 ( 複数の基地局によるサービスエリアを1つの大きなゾーンとしてカバーする方式 ) の導入などが挙げられる 主な設備復旧対策イメージは 図表 2-1-2~ 図表 2-1-5のとおり 図表 2-1-2 主な設備復旧対策 ( 光 応急光による設備復旧 ) 図表 2-1-3 主な設備復旧対策 ( 衛星回線による設備復旧 ) 6

図表 2-1-4 主な設備復旧対策 ( 無線 ( マイクロ ) 伝送路による設備復旧 ) 図表 2-1-5 主な設備復旧対策 ( 大ゾーン化による設備復旧 ) 注釈 : エヌ ティ ティ ドコモ ( 以下 ドコモ ) では 災害時における通信確保のために 通常の基地局とは別に大都市部を中心に 大ゾーン方式 による基地局を都道府県ごとに 2 か所以上 計 104 か所設置 これにより人口の約 35% をカバー 出典 : 株式会社エヌ ティ ティ ドコモ資料 7

以下 主な設備復旧対策として 実際に通信事業者で取り組んだ基地局復旧対策事例 は 図表 2-1-6~ 図表 2-1-8 のとおり 図表 2-1-6 基地局の復旧活動事例 ( 移動基地局車 ) 図表 2-1-7 基地局の復旧活動事例 ( 移動基地局車補完 : 衛星フェムトセル ) 8

図表 2-1-8 基地局の復旧活動事例 ( 可搬型衛星基地局キット ) 出典 :KD DI 株式会社資料 一方 衛星回線は 一部の局は停電に見舞われたものの 自家発電機によりサービスを維持するとともに バックアップ局へ一部機能を切替えるなどの対応を行った 今回の震災では 衛星通信の特徴である 耐災害性 機動性 が高く評価され 多くの需要があったことから 次のような取り組みが行われた 通信事業者や中央省庁 地方自治体等に衛星トランスポンダの追加緊急割当て 可搬局設備の貸し出し 災害対策本部 医療機関及び避難所への衛星インターネットの提供 通信事業者で取り組んだ主な衛星回線の復旧活動事例は 図表 2-1-9のとおり 今回の震災では道路網が寸断されるなど 輸送手段に大きな支障が生じたことから 衛星電話及び衛星インターネット設備は 重要拠点に事前に配備しておくなど 平常時からの備えが重要である 図表 2-1-9 衛星回線の復旧活動事例 出典 : スカパー JSAT 株式会社資料 9

2.2 東日本大震災以後の新たな災害対策の取組み 2.2.1 災害時において携帯電話に求められている役割 総務省では 東日本大震災における被災者の情報行動やICTの活用状況について 平成 24 年 3 月に 災害時における情報通信の在り方に関する調査結果 を取りまとめている 調査結果によれば 発災直後の安否確認は 家族 親戚を中心に携帯電話 携帯メールの利用が多いものの 実際には 発災直後に使用不能となった場合が多く 携帯メールの場合 遅れて届いたり 滞っていた大量のメールをまとめて受信する状態が発生した 平成 24 年版情報通信白書においても 発災時 避難時においてほとんどの人が携帯電話端末を持って避難していたが 長時間使用不能となったことの影響が大きく 常に身につけている携帯電話端末に緊急時の情報が伝達できるよう 機能向上の必要性も指摘されている このように 最も身近な情報通信手段である携帯電話の重要性が改めて認識されているとともに 携帯電話ネットワークの耐災害性の強化と 携帯電話端末の機能強化の両面が求められている 2.2.2 新たな災害対策の取組み (1) 基地局対策災害発生時における重要拠点の通信確保及び被災地の早期復旧のため 基地局に関する以下の取り組みが強化されている 基地局電源( 発動発電機 バッテリー容量 移動電源車の配備等 ) の強化 基地局の大ゾーン化 衛星エントランス搭載移動基地局車や可搬型衛星基地局キット等の増強 無線エントランス用設備の配備 ア基地局電源の強化通信事業者各社では サービス停止原因のうち 約 8 割が停電であったことを踏まえ 発動発電機の増強 バッテリー長時間化 移動電源車の配備 自然エネルギーの活用等を進めている 具体的な取り組みは以下のとおり 発動発電機の増強 バッテリーの大容量化都道府県庁や市町村役場等の重要拠点の通信を確保するため 発動発電機の設置による基地局の無停電化を図るとともに 24 時間以上稼働可能なバッテリー等の配備が進められている ( 図表 2-2-1 及び図表 2-2-2 参照 ) 10

図表 2-2-1 基地局電源の強化事例 1 出典 : 株式会社エヌ ティ ティ ドコモ資料 図表 2-2-2 基地局電源の強化事例 2 出典 : ソフトバンクモバイル株式会社資料 移動電源車の配備基地局の停電対策として上記の発動発電機の増強 バッテリーの大容量化の他に重要拠点の通信を確保するため 移動電源車の配備が進められている 総務省においても 中国総合通信局をはじめ 全国に3 台の中型移動電源車 7 台の小型移動電源車を配備し 災害発生時に電気通信 放送設備の電力供給が途絶 11

し 情報伝達に係る重要な情報通信ネットワークの維持に支障が生じた場合におい て 移動電源車を貸与できるよう体制を整備している ( 図表 2-2-3 参照 ) 図表 2-2-3 移動電源車の導入事例 出典 : 総務省中国総合通信局 イ基地局の大ゾーン化携帯電話基地局の設置について 震災後 災害時における通信確保のため 全国の主要都市に 通常の基地局とは別に大ゾーン基地局の設置が進められている ( 図表 2-2-4 参照 ) 図表 2-2-4 基地局の大ゾーン化事例 半径約 7Km をカバー 一般の基地局カバー範囲は半径数 100m~ 数 km 出典 : 株式会社エヌ ティ ティ ドコモ資料 12

ウ衛星エントランス搭載移動基地局車や可搬型衛星基地局キット等の増強通信事業者各社は 基地局と同様の機能を搭載した自動車及び運搬可能な設備について これまで以上に増強を図っている ( 図表 2-2-5 参照 ) なお エントランス回線 ( 交換機と基地局との間を結ぶ回線 ) は 主に衛星回線を利用しており 被災地における携帯電話サービスの早期復旧が可能である 図表 2-2-5 移動基地局車や可搬型衛星基地局キット等の増強事例 出典 :KD DI 株式会社資料 出典 : ソフトバンクモバイル株式会社資料 13

エ無線エントランス用設備の配備 移動基地局のエントランス回線としては 衛星回線に加えて 非常用の回線として 無線 ( マイクロ ) エントランス回線の配備が図られている ( 図表 2-2-6 参照 ) 図表 2-2-6 衛星及び無線 ( マイクロ ) エントランス用設備の増強 配備 衛星エントランス回線の活用 充実 マイクロエントランス回線の活用 車載型移動基地局 マイクロ ( 無線 ) エントランス 非常時に設置 移動基地局によるエリア化可搬型移動基地局 出典 : 株式会社エヌ ティ ティ ドコモ資料 (2) ネットワーク対策携帯電話基地局の通信ネットワークについては 携帯電話サービスの早期復旧の観点から その信頼性向上に向けて 様々な対策に取り組んでいる 具体的には 交換局等の耐震性の強化 中継交換機の分散設置や中継ケーブルの多ルート化による冗長性の確保のほか 重点拠点には蓄電池及び発動発電機を設置し 無停電化を図るなどの対策を図っている ( 図表 2-2-7 参照 ) 図表 2-2-7 ネットワークの信頼性向上 出典 :KD DI 株式会社資料 14

(3) その他の対策その他無線設備の対策では 前述の陸上における無線設備等の増強に加え 停電の場合における基地局の安定した運用のための自然エネルギー ( 太陽光など ) を利用した電源設備の導入に向けた検証のほか 災害時を想定した訓練の実施など 様々な対策が講じられてきているところである また 陸上のみならず 上空における実験 ( 図表 2-2-8 参照 ) なども行われており 加えて 今回の調査検討においては 即時性 機動性に優れた移動基地局等の更なる配備の観点から 海上からの携帯電話サービス提供の可能性について検討を行ったものである なお 無線設備等の対策以外にも 緊急速報メール ( 気象庁が配信する緊急地震速報や津波警報 国や地方公共団体が配信する災害 避難情報などを 対象となるエリアにいるユーザーに対して一斉配信機能 ) サービスが導入され 順次 機能の充実 エリアの拡大が行われるなど 携帯電話端末の機能強化が図られてきている 図表 2-2-8 係留気球による携帯電話臨時無線中継システムの開発実験 出典 : ソフトバンクモバイル株式会社資料 15