日本家政学会誌 Vol. ₆₅ No. ₁₂ 688~698(₂₀₁₄) Vol. No. ノート 日本人の嗜好に合う納豆ソルギトックの製造条件最適化及び品質特性 藤澤貴久子 ₁*, 飯田文子 ₂ ₁, 朱那美 Process Optimization and Quality Characteristics of Sulgidduk with Natto Powder Added to Suit Japanese Taste Kikuko FUJISAWA ₁ *, Fumiko IIDA ₂ and Nami JOO ₁ This study determined the optimal the mixing ratio of rice flour and natto powder by using response surface methodology (RSM). The physicochemical, mechanical, and sensory properties of the resulting sulgidduk models were measured. Significant differences were found in these models for the moisture before steaming, sugar content, color L, color a, color b, chewiness and cohesiveness as calculated by Design Expert ₈. Sensory evaluation also showed significant differences in the models for the color, taste, moistness, texture and overall quality rating. The optimum formulation calculated by numerical, graphical and point prediction methods was ₂₀₉.₉₃ g of non-glutinous rice flour, ₉₀.₀₇ g of glutinous rice flour, and ₅.₁₈ g of natto powder. The optimized sulgidduk with added natto powder was compared with the control sulgidduk sample. Measurement of the antioxidative characteristics showed significant differences in the total phenol content and DPPH free radical scavenging activity. Key words: natto 納豆,sulgidduk ソルギトック,South Korea 韓国,response surface methodology(rsm) 応答曲面法,optimization 最適化 1. 緒言 ₂₀₀₃ 年に放送されたドラマから発生した韓流ブームによりドラマ, 料理, ファッションなどの韓国文化に興味を持ち, 積極的に韓国を訪問する日本人の数が増えている ₁). キムチ, プルコギなどは日本人を始めとし外国人にもよく知られ輸出もされているが, このような韓国料理は一部に過ぎない ₂). 韓国では₂₀₀₈ 年から韓国料理世界化政策に力を入れ,₂₀₁₇ 年までに韓国料理が世界五大料理に選定されることを目標とし広報活動などを行っている. 韓国料理は健康食として取り上げられるようになり, また OECD 加盟国の中で韓国が肥満率が一番低いことから WHO が栄養バランスの優れた食事として韓国料理に注目するなど一定の成果をあげている ₃)₄). しかし, 世界で有名な₁₂カ国の料理の味, 価格, サービスなどの競争力を比較した結果, 韓国料理は ₇ 位 ₅) であり世界化 にはまだ遠いのが実情である. 韓国料理が世界各国に根付くためには, その国の環境や嗜好に合わせる現地化が必要であると言われており ₆)₇), 韓国料理世界化政策の一つにもされている. 本研究では韓国料理世界化戦略の一つである現地化に重点を置き Lee の研究 ₈), 日本人が好きな韓国料理のアンケート結果 ₉) を基に, 外国人にもある程度認知されている韓国料理の中で欧米その他アジアに比べ日本人が比較的好む餅を取り上げた. 韓国の餅は多種多様でトッポッキはその一種を用いた料理であるが, 日本人がトッポッキより好むと言う結果が出た ₈) 韓国伝統食としての餅をテーマとした. 韓国において餅は長い歴史を持ち, 各種祭礼, 儀式, 通過儀礼, 名節などの行事に欠かすことの出来ない生活に密着した伝統食である. その種類は二百余と言われ, もち米を蒸し, 臼と杵で搗いたような粘る日本の餅とは異なり, 主にうるち米粉で作られる. その製造方法は蒸 所属機関名 : 1 淑明女子大学食品栄養学科, 2 日本女子大学家政学部 1 Department of Food and Nutrition, Sookmyung Women s University, Seoul, Korea, 140-742, 2 Faculty of Human Sciences and Design, Japan Women s University, Tokyo, 112-8681 原稿受付 : 平成 25 年 5 月 29 日原稿受理 : 平成 26 年 9 月 5 日 * To whom correspondence should be addressed E-mail:ki2430@hotmail.com ₂₈ (688) Copyright 2014 The Japan Society of Home Economics
す, 搗く, 焼く, 茹でるの ₄ 種類に分けられ, ソルギトックは蒸して作る餅の基本であり米粉に水, 砂糖, 蜂蜜などを加えふるいにかけ, 型に入れてから蒸した餅である ₁₀)₁₁). 本研究では本来うるち米粉を蒸して作るソルギトックにもち米粉を加え, もち米で作った粘りのある餅を食べてきた日本人の嗜好に合わせた粘りのあるソルギトックを製造した. さらに日本人は健康機能性が添加された食品を好むとされており ₁₂), 日本の伝統食でありイソフラボンやスーパーオキシドジスムターゼの抗酸化作用 ₁₃) など, 健康効果を期待し摂取する人も多い食品である納豆 ₁₄) を粉末化した納豆粉末を加え韓国伝統食のソルギトックの日本現地化を目指した. 日本人の嗜好に合う納豆粉末添加ソルギトック ( 以下, 納豆ソルギトック ) の製造最適条件を求めるため, うるち米粉ともち米粉の配合比率, 納豆粉末添加量が異なる納豆ソルギトックを製造し, その品質特性を測定した. 応答曲面法により納豆ソルギトックの製造最適条件を算出し, 最適製造条件で製造した納豆ソルギトックは日本人が好むとされる健康機能性を持っているのか抗酸化能を測定し日本での開発可能性を検討した. 2. 実験方法 (1) 実験材料納豆ソルギトックの製造にはうるち米 (₂₀₁₁ 年韓国 忠清北道忠州市産추청 ( チュチョン )), もち米 (₂₀₁₁ 年韓国 忠清南道唐津市産혼합 ( ホンハプ )), 納豆粉末 ( まるも ( 株 )), からし ( エスビー食品 ( 株 ) 本生和からし ), 上白糖 (CJ 第一製糖 ( 株 )), 食塩 ( 大象 ( 株 )) を用いた. 米は水で洗い, うるち米は ₇ 時間以上, もち米は ₄ 時間以上室温で浸漬し粉砕機 (Mirae Co.) で挽いたものを利用した. 数の変化による値の変化の傾向を ₂ 次的に,₃D プロットでは視覚的に立体として表した. モデルの選択は Design Expert ₈ によって行われ, 独立変数であるもち米粉配合比率 (A) と納豆粉末添加量 (B) が従属変数である実験項目に対しそれぞれ独立的に作用し ₁ 次式で表現できる Linear モデル, 独立変数が相互作用し ₂ 次式で表現できる Quadratic モデルが選定された 納豆ソルギトック製造時に加える水の量については予備実験を通し試料の水分を₄₁% に決定した. 本実験に用いた米粉の水分はうるち米粉 ₃₃.₂₇%, もち米粉 ₄₀.₂₃% であり₁₀ 個の実験点による試料の米粉配合比率と各米粉の水分含有量を勘案し ₅₅~₆₅ g の範囲で設定した. 各材料の配合比率を Table ₁ に示す. (3) 納豆ソルギトックの製造うるち米粉ともち米粉を混ぜた米粉に納豆粉末, 塩, からしと水を加え₂₀₀メッシュのふるいにかけ砂糖を加え, シリコンパッドを敷いた蒸し器に置いたステンレス製の型 ( 縦 ₁₈ cm 横 ₁₈ cm 高さ ₄ cm) に入れ表面を平らにし,₃ cm ₃ cm の大きさに切れ目を入れた. 蓋をし₁₀ 分間蒸し型を外し, 更に ₅ 分間蒸してから火を止めた. ₅ 分間蒸らした後蒸し器から取り出し, 室温で ₁ 時間放置したものを試料とした. (4) 納豆ソルギトックの品質特性分析 1) 水分各試料の水分はハロゲン水分計 (MB₄₅, Ohaus Co.) を利用し, 試料 ₁.₀ g をアルミ製受け皿に広げ Standard profile で₁₆₀,₃₀ 分間に設定し測定した. 測定は ₃ 回行い平均値を求めた. 2) 糖度各試料の糖度は試料 ₅.₀ g に₁₀ 倍の蒸留水を加え攪拌, (2) 実験デザイン納豆ソルギトックの実験計画, データ分析には Design Expert ₈(Stat-Ease Inc.) を使用し, 応答曲面法 (response surface methodology) の中心複合計画 (central composite design) により実験計画を実施した. 納豆ソルギトックの主材料である米粉全量におけるもち米粉の配合比率, 副材料である納豆粉末の添加量を独立変数とし, 予備実験を通して各材料の最小 最大値を設定した. 実験点間のモデル設定及び適合性の欠如を検討するため ₂ 個の反復点を含む₁₀ 個の実験点が設定範囲内で計画された. 計画された₁₀ 個の実験点で行った各実験の結果は Design Expert ₈ で解析した. 各実験項目が独立変数の変化によってどのような傾向を示すのかをモデルと回帰式より判断し,perturbation プロットで独立変 Table 1. Experimental design for sulgidduk added with natto powder by response surface methodology (g) Sample No. Nonglutinous rice flour Factor Glutinous rice flour Natto powder Japanese mustard Salt Sugar Water ₁ ₁₈₀ ₁₂₀ ₁.₅ ₅₅ ₂ ₁₈₀ ₁₂₀ ₁₃.₅ ₅₅ ₃ ₂₇₀ ₃₀ ₁.₅ ₆₅ ₄ ₂₇₀ ₃₀ ₁₃.₅ ₆₅ ₅ ₂₂₅ ₇₅ ₁.₅ ₆₀ ₁₅ ₃ ₄₀ ₆ ₂₂₅ ₇₅ ₁₃.₅ ₆₀ ₇ ₁₈₀ ₁₂₀ ₇.₅ ₅₅ ₈ ₂₇₀ ₃₀ ₇.₅ ₆₅ ₉ ₂₂₅ ₇₅ ₇.₅ ₆₀ ₁₀ ₂₂₅ ₇₅ ₇.₅ ₆₀ (689) ₂₉
Vol. No. 放置した後, 上澄み液を ₀ ~₅₃% のポケット糖度計 (PAL-₁,( 株 ) アタゴ ) により測定した. 測定は ₃ 回行い平均値を求めた. 3) 色度各試料の色度は色彩色差計 (CR-₃₀₀, ミノルタ ( 株 )) を用い L 値,a 値,b 値を測定した. 測定時に使用した白色校正板の値は L 値 ₉₇.₂₆,a 値 -₀.₀₇,b 値 +₁.₈₆であった. 測定は ₃ 回行い平均値を求めた. 4) テクスチャー各試料のテクスチャー特性はテクスチャーアナライザー (TA. XT Express, Stable Micro Systems Ltd.) により測定した. テクスチャープロファイル分析法 (TPA) に基づいて硬さ, 付着性, 弾力性, 咀嚼性, ガム性, 凝集性を測定した. 測定条件は pre-test speed ₂.₀ mm/s, test speed ₁.₀ mm/s,post-test speed ₁.₀ mm/s,distance ₅.₀ mm,time ₃.₀ s,trigger force ₅.₀ g であり, 直径 ₃₅ mm 円筒プローブを用いて測定した. 測定は ₃ 回行い平均値を求めた. (5) 官能評価納豆ソルギトックの官能評価は日本女子大学食物学科 ₂ 年次に在学する₃₄ 名をパネルに選定し実施した. 試料の大きさは ₃ cm ₃ cm ₃ cm に統一し, 乱数表により ₅ 桁の数字で表示した. 試料は Design Expert ₈ により算出された順番に沿って ₅ 個ずつに分け, その際 ₂ 個の反復点の試料を ₁ 個ずつ含むように調整し提供した. 色, 香り, 甘さ, 味, しっとり感, 食感 ( 咀嚼感 ), 全体的な評価について好ましくないを ₁ 点, 好ましいを ₇ 点とし ₁ ~ ₇ 点の範囲で, 最初の ₅ 個の試料を評価した後続けて次の ₅ 個を評価してもらった. (6) 最適化分析納豆ソルギトックの製造最適条件は Design Expert ₈ の数値最適化 (numerical optimization), グラフ最適化 (graphical optimization) により独立変数であるもち米粉の配合比率と納豆粉末の添加量を選定し, 選定された量における応答予測 (point prediction) を通し最高の望ましさ (desirability) を示す最適ポイントを算出した. (7) 最適条件で製造された納豆ソルギトックの抗酸化能最適条件で製造された納豆ソルギトックの抗酸化能分析は総ポリフェノール含有量,DPPH ラジカル消去活性を納豆粉末を添加しないコントロールとの比較により行った. 総ポリフェノロール含有量は Folin & Ciocalteu's phenol reagent(sigma-aldrich Co.) を用いて測定した. 試料 ₅.₀ g に₇₀% エタノール ₅₀ ml を加え攪拌した後, シェイキングインキュベーター (SI-₉₀₀R, JEIO TECH Co.) で₂₄,₁₀₀ rpm の条件で₂₄ 時間攪拌抽出, ろ過し試料液とした. 試験管に蒸留水 ₀.₅ ml, 試料液 ₁₂₅ μl, Folin & Ciocalteu's phenol reagent ₁₂₅ μl を加え攪拌し, ₆ 分後 ₇ % 炭酸ナトリウム溶液 ₁,₂₅₀ μl を加え蒸留水 ₁ ml で希釈した. 室温暗所で₉₀ 分間放置した後, 分光光度計 (V-₅₃₀, 日本分光 ( 株 )) で ₇₅₀ nm の吸光度を測定した. ポリフェノール含有量は没食子酸水溶液による検量線を作成し, 没食子酸相当量 (mg GAE/g) で算出した. DPPH ラジカル消去活性は Blois ₁₅) の方法を応用し, ポリフェノール含有量測定時に使用した試料液を用い測定した. 試料液 ₉₉₀ μl に DPPH 溶液 (₁.₅ ₁₀ -₄ mm) ₃₃₀ μl を加えたものをサンプル, 試料液 ₉₉₀ μl にエタノール ₃₃₀ μl を加えたものをブランク, エタノール ₉₉₀ μl に DPPH 溶液 ₃₃₀ μl を加えたものをコントロールとし, 各々 ₃₀ 分間室温暗所で放置した後, 分光光度計で ₅₁₇ nm の吸光度を測定し以下の計算式により DPPH ラジカル消去能を求めた. DPPH ラジカル消去能 (%)= Abssample Absblank 1 100 Abs control 総ポリフェノール含有量,DPPH ラジカル消去活性は コントロールと最適化条件で製造した試料各 ₃ 回ずつ測定し平均値を求めた. 3. 実験結果及び考察 (1) 納豆ソルギトックの品質特性分析 1) 水分納豆ソルギトック試料 ₁₀ 個の水分測定結果を Table ₂ に示した.Design Expert ₈ により選定されたモデルの有意 Table 2. Physicochemical properties of sulgidduk added with natto powder Mean ± S.D. (n=₃) Sample No. Moisture before steaming (%) Responses Moisture after Sugar content steaming (%) (Birx%) ₁ ₃₉.₁±₁.₄ ₄₁.₄±₀.₉ ₁₆.₃±₂.₁ ₂ ₃₈.₉±₀.₅ ₄₀.₈±₀.₅ ₁₆.₂±₁.₀ ₃ ₃₈.₆±₀.₅ ₄₁.₈±₀.₉ ₁₁.₀±₁.₇ ₄ ₃₈.₄±₀.₄ ₄₁.₆±₀.₈ ₁₂.₀±₁.₇ ₅ ₃₉.₁±₁.₃ ₄₀.₉±₀.₈ ₁₄.₃±₁.₅ ₆ ₃₈.₉±₀.₂ ₄₁.₆±₂.₀ ₁₅.₆±₁.₂ ₇ ₃₉.₂±₀.₇ ₄₀.₆±₀.₉ ₁₈.₁±₂.₇ ₈ ₃₈.₅±₁.₃ ₄₁.₄±₀.₆ ₁₁.₇±₀.₆ ₉ ₃₈.₃±₁.₅ ₄₁.₅±₀.₈ ₁₅.₄±₀.₆ ₁₀ ₃₉.₆±₀.₉ ₄₁.₅±₁.₄ ₁₃.₇±₀.₆ ₃₀ (690)
性を F 検定により検証した結果と独立変数が水分に与える影響を示す重回帰式を Table ₃ に示した. 納豆ソルギトックの蒸す前の水分には独立変数である米粉におけるもち米粉配合比率 (A) と納豆粉末添加量 (B) がそれぞれ独立的に作用する linear モデルが選定され, 有意性が認められた. 重回帰式を見ると蒸す前の水分に与える影響はもち米粉配合比率 (A) が納豆粉末添加量 (B) より大きく,Fig. ₁ の perturbation プロットと₃D プロットからもち米粉配合比率 (A) が大きくなるにつれ, 蒸す前の水分も増加することが分かった. 蒸した後のソルギトックにおける水分は₄₁% になるよう水の添加量を調節したため有意性は認められなかった. 2) 糖度納豆ソルギトック試料 ₁₀ 個の糖度を Table ₂ に示した. 糖度には linear モデルが選定され, 有意性が認められた (Table ₃).Fig. ₁ の perturbation プロットと₃D プロットを見ると, もち米粉の配合比率が上がるにつれ糖度も高い値を示す傾向にあった. 糊化過程においてでん粉は還元されるが, もち米はうるち米の ₂ 倍以上の遊離糖に還元されるため ₁₆), もち米粉の配合比率が上がるにつれ糖度が高くなったと思われる. 3) 色度納豆ソルギトック試料 ₁₀ 個の色度を Table ₄ に示した. L 値と b 値にはもち米粉配合比率 (A) と納豆粉末添加量 (B) が相互作用する quadratic モデルが,a 値には linear Table 3. Analysis of the predicted model equation for physicochemical properties of sulgidduk added with natto powder Response Model Mean ± S.D. R-squared ₁) F-value Prob>F ₂) Multiple regression equation ₃) Moisture before steaming Linear ₃₈.₈±₀.₂ ₀.₆₃₉ ₆.₁₉ ₀.₀₂₈* +₃₈.₇₆+₀.₃₀A-₀.₀₉₅B Moisture after steaming Linear ₄₁.₃±₀.₃ ₀.₄₇₃ ₃.₁₄ ₀.₁₀₆ +₄₁.₃₁-₀.₃₃A-₀.₀₁₃B Sugar content Linear ₁₄.₆±₀.₉ ₀.₉₀₆ ₃₃.₈ <₀.₀₀₁*** +₁₄.₆+₂.₉A-₀.₅₂B ₁) ₀ R ₂ ₁, close to ₁ indicates the regression line fits the model. ₂) *p<₀.₀₅, ***p<₀.₀₀₁ ₃) A: Glutinous rice flour, B: Natto powder 40.0 39.5 39.0 38.5 38.0 20 18 16 14 12 10 8 40.0 20 18 39.5 16 39.0 14 12 38.5 38.0 10 8 102 111120 93 84 66 75 48 57 1.5 30 39 (30~120) 102 111120 93 84 66 75 57 48 1.5 30 39 (30~120) Fig. 1. Perturbation and 3D plot for the effect of glutinous rice flour (A)and natto powder (B)on physicochemical properties of sulgidduk added with natto powder (691) ₃₁
Vol. No. モデルが適用され,L 値と b 値でそれぞれ R ₂ =₀.₉₇₁, ₀.₉₉₅で比較的高いモデル適合性が見られた (Table ₅). L 値,a 値,b 値全てにおいてモデルの意有性が認められ, 重回帰式からもち米粉配合比率 (A) より納豆粉末添加量 (B) が影響を与えることがわかった.Fig. ₂ の perturbation プロットと₃D プロットを見ると納豆粉末の添加量が増えるにつれ L 値は減少し,a 値,b 値は大きく増加した. L 値の結果は副材料である納豆粉末の添加量が増えるにつれ納豆ソルギトックの色が暗くなることを示し, 唐辛子 コチュジャンを添加したソルギトックの研究でも副材料の添加量が増えるに従い L 値が減少する傾向が見られた ₁₇).a 値,b 値は納豆粉末添加量の増加に従い大きく増加したが, これは納豆粉末自体の色による影響だと推察され, 韓国の納豆とも言われるチョングクチャン粉末を添加したソルギトックの研究, チョングクチャン粉末を添加したクッキーの品質特性でもチョングクチャン 粉末の添加量が増えるにつれ a 値と b 値が増加する同様の傾向が見られた ₁₈)₁₉). 4) テクスチャー納豆ソルギトック試料 ₁₀ 個のテクスチャー測定結果を Table ₄ に示した. 咀嚼性と凝集性においてモデルの有意性が認められた (Table ₅). 咀嚼性には quadratic モデルが, 凝集性には linear モデルが適用され, 特に咀嚼性では R ₂ =₀.₉₄₆で比較的高いモデル適合性が見られた. Fig. ₂ で咀嚼性はもち米粉配合比率 (A) が上がるにつれ増加した後減少し, 納豆粉末添加量 (B) の増加に伴い緩やかに減少した後増加した. 咀嚼性の回帰式を見ると米粉配合比率 (A) が納豆粉末添加量 (B) より影響を与えていることが分かった. 咀嚼性は一般的に硬さ, 弾力性, 凝集性と関係があるが, 本実験では硬さとの相関が大きく, また硬さにおいても米粉配合比率 (A) が上がるにつれ増加した後減少しておりこのような結果になったのではないかと推察される. 凝集性はもち米粉配 Table 4. Mechanical properties of sulgidduk added with natto powder Mean ± S.D. (n=₃) Sample No. Color ₁) L a b Hardness (g) Adhesiveness (g.s) Texture Springiness Chewiness Gumminess Cohesiveness ₁ ₇₆.₉₁±₀.₆₈ -₂.₀₆±₀.₁₄ ₁₄.₂₈±₁.₁₁ ₄₆₅.₇₀±₆₇.₈₆ -₁₆₈.₇₄±₁₃.₁₇ ₀.₉₁±₀.₀₃ ₃₁₈.₆₂±₄₂.₅₀ ₃₄₉.₅₇±₄₅.₉₁ ₀.₇₅±₀.₀₁ ₂ ₆₆.₁₆±₂.₈₅ ₁.₆₄±₀.₂₅ ₂₀.₁₃±₀.₈₈ ₄₉₁.₄₄±₉₈.₉₇ -₈₅.₉₆±₅₃.₃₁ ₀.₇₅±₀.₀₂ ₂₆₁.₅₄±₄₃.₂₈ ₃₄₉.₆₉±₆₀.₁₀ ₀.₇₁±₀.₀₃ ₃ ₈₂.₄₈±₁.₀₉ -₁.₄₁±₀.₁₁ ₁₄.₆₆±₁.₃₃ ₃₃₀.₇₇±₇₇.₀₇ -₅₀.₀₀±₃₁.₁₀ ₀.₉₄±₀.₀₃ ₂₅₃.₂₅±₆₈.₀₈ ₂₆₉.₃₃±₆₇.₃₈ ₀.₈₁±₀.₀₂ ₄ ₇₆.₈₇±₂.₁₅ ₁.₆₀±₀.₃₁ ₁₉.₈₅±₁.₃₀ ₄₂₃.₈₅±₉₆.₂₇ -₂₈.₅₂±₁₅.₈₉ ₀.₉₁±₀.₀₅ ₃₁₄.₅₃±₇₄.₇₇ ₃₄₅.₉₄±₇₅.₃₆ ₀.₈₂±₀.₀₂ ₅ ₇₈.₁₇±₂.₀₆ -₁.₄₆±₀.₂₃ ₁₄.₇₆±₁.₃₉ ₄₈₆.₆₀±₅₁.₆₂ -₄₁.₅₇±₁₄.₃₇ ₀.₉₉±₀.₀₁ ₄₀₈.₂₅±₄₃.₂₈ ₄₁₂.₅₃±₄₅.₀₀ ₀.₈₅±₀.₀₁ ₆ ₇₂.₃₈±₀.₆₁ ₂.₄₁±₀.₁₉ ₂₀.₅₅±₀.₆₉ ₄₄₇.₆₃±₇₇.₈₃ -₃₁.₈₄±₁₈.₂₆ ₀.₉₉±₀.₀₃ ₃₆₉.₄₅±₅₇.₇₀ ₃₇₄.₈₄±₆₆.₃₂ ₀.₈₄±₀.₀₂ ₇ ₇₀.₄₁±₂.₈₉ ₁.₅₈±₀.₃₁ ₁₇.₉₅±₀.₅₆ ₄₈₀.₅₀±₆₁.₁₉ -₁₄₇.₈₂±₁₃.₀₄ ₀.₈₁±₀.₀₈ ₂₉₁.₂₆±₅₅.₉₉ ₃₅₆.₁₅±₄₄.₅₉ ₀.₇₄±₀.₀₂ ₈ ₇₅.₂₉±₁.₀₀ ₁.₀₅±₀.₁₅ ₁₈.₂₅±₀.₆₆ ₃₃₃.₅₂±₅₀.₂₃ -₆₆.₀₀±₁₄.₈₀ ₀.₉₄±₀.₀₁ ₂₆₂.₅₀±₃₆.₁₄ ₂₇₈.₀₆±₃₉.₀₇ ₀.₈₄±₀.₀₁ ₉ ₇₂.₇₈±₃.₄₆ ₀.₇₂±₀.₀₅ ₁₈.₉₃±₀.₃₉ ₅₈₉.₂₀±₁₀₆.₅₈ -₆₄.₄₃±₃₇.₂₇ ₀.₈₀±₀.₀₄ ₃₇₂.₃₁±₆₇.₅₈ ₄₆₃.₈₅±₇₀.₃₁ ₀.₇₉±₀.₀₃ ₁₀ ₇₂.₄₅±₃.₈₄ ₀.₈₀±₀.₂₄ ₁₉.₂₀±₁.₃₇ ₅₄₅.₄₁±₁₂₆.₂₀ -₇₀.₈₁±₃₃.₉₀ ₀.₈₂±₀.₀₂ ₃₄₃.₉₈±₇₅.₀₈ ₄₁₈.₅₄±₉₄.₉₅ ₀.₇₇±₀.₀₂ ₁) L (White+₁₀₀ ₀ black), a (red+₆₀ -₆₀ green), b (yellow+₆₀ -₆₀ blue) Table 5. Analysis of the predicted model equation for mechanical properties of sulgidduk added with natto powder Response Model Mean ± S.D. R-squared ₁) F-value Prob>F ₂) Multiple regression equation ₃) L Quadratic ₇₄.₃₉±₁.₁₇ ₀.₉₇₁ ₂₆.₃₇ ₀.₀₀₄** +₇₂.₅₉-₃.₅₃A-₃.₆₉B-₁.₂₈AB+₀.₂₉A ₂ +₂.₇₁B ₂ a Linear ₀.₄₉±₀.₆₇ ₀.₈₅₆ ₂₀.₇₃ ₀.₀₀₁** +₀.₄₉-₀.₀₁₃A+₁.₇₆B b Quadratic ₁₇.₈₆±₀.₂₅ ₀.₉₉₅ ₁₆₇.₁₇ <₀.₀₀₁*** +₁₈.₉₁-₀.₀₆₇A+₂.₈₀B+₀.₁₆AB-₀.₆₆A ₂ -₁.₁₀B ₂ Hardness Quadratic ₄₅₉.₄₆±₅₇.₆₀ ₀.₇₈₀ ₂.₈₃ ₀.₁₆₅ +₅₃₂.₆₉+₅₈.₂₃A+₁₃.₃₀B-₁₆.₈₅AB-₉₁.₀₇A ₂ -₃₀.₉₇B ₂ Adhesiveness Linear -₈₅.₅₆±₄₄.₂₂ ₀.₄₉₂ ₃.₃₉ ₀.₀₉₃ -₈₅.₅₆-₄₃.₀₀A+₁₉.₀₀B Springiness Linear ₀.₈₉±₀.₀₈ ₀.₃₅₇ ₁.₉₄ ₀.₂₁₃ +₀.₈₉-₀.₀₅₃A-₀.₀₃₂B Chewiness Quadratic ₃₁₉.₅₇±₁₈.₅₁ ₀.₉₄₆ ₁₄.₁₂ ₀.₀₁₂* +₃₆₄.₀₃+₆.₈₆A-₅.₇₇B-₂₉.₅₉AB-₉₃.₀₄A ₂ +₁₈.₉₃B ₂ Gumminess Quadratic ₃₆₁.₈₅±₃₆.₆₈ ₀.₈₃₅ ₄.₀₄ ₀.₁₀₁ +₄₂₄.₃₃+₂₇.₀₁A+₆.₅₁B-₁₉.₁₂AB-₉₀.₃₅A ₂ -₁₃.₇₇B ₂ Cohesiveness Linear ₀.₇₉±₀.₀₄ ₀.₅₉₈ ₅.₂₁ ₀.₀₄₁* +₀.₇₉-₀.₀₄₅A-(₆.₆₆₇ ₁₀ -₃ )B ₁) ₀ R ₂ ₁, close to ₁ indicates the regression line fits the model. ₂) *p<₀.₀₅, **p<₀.₀₁, ***p<₀.₀₀₁ ₃) A: Glutinous rice flour, B: Natto powder ₃₂ (692)
85 80 75 70 65 60 3 2 1 0-1 -2 22 20 18 1 16 0 14 12 85 80 75 70 65 60 3 2 1 0-1 -2-3 22 20 18 16 14 12 111120 8493102 48576675 1.5 3039 (30~120) 120 84 93102111 48576675 39 1.5 30 (30~120) 111 120 48 1.5 30 39 57 66 75 8493102 (30~120) 450 z 400 z 350 z 300 z 250 0.86 0.84 0.82 0.80 0.78 0.76 0.74 0.72 0.70 450 400 350 300 250 0.86 0.84 0.82 0.80 0.78 0.76 0.74 0.72 0.70 120 1.5 48 30 39 57 6675 84 93102111 (30~120) 1.5 48 30 39 57 66 75 8493 102 111120 (30~120) Fig. 2. Perturbation and 3D plot for the effect of glutinous rice flour (A)and natto powder (B)on mechanical properties of sulgidduk added with natto powder 合比率 (A) が上がるにつれ低下した. (2) 官能評価 ₇ 点評価法による官能評価の結果を Table ₆ に示した. 色, 味, しっとり感, 食感 ( 咀嚼感 ), 全体的な評価の ₅ 項目でモデルの有意性が認められた. これら ₅ 項目には quadratic モデルが適用され, 色を除く ₄ 項目で比較的高 いモデル適合性が見られた (Table ₇). 色についてはもち米粉配合比率 (A) が上がるにつれ評価は上がった後下がり, 納豆粉末添加量 (B) の増加に従って下がり, 納豆ソルギトックは納豆粉末添加量が増え褐色を帯びるにつれ好ましくないとされた. 味についてはもち米粉配合比率 (A) が上がるにつれ評価は上がった後若干下がり, もち米の配合が多い方が好まれる傾向にあることがわ (693) ₃₃
Vol. No. Table 6. Sensory evaluation of sulgidduk added with natto powder Mean ± S.D. (n=₃₄) Sample No. Responses Color Flavor Sweetness Taste Moistness Texture Overall quality ₁ ₄.₆₂±₁.₃₃ ₄.₅₃±₁.₀₅ ₄.₇₆±₁.₀₅ ₅.₀₆±₁.₃₂ ₄.₈₈±₁.₀₇ ₄.₈₅±₁.₀₂ ₄.₈₂±₁.₂₂ ₂ ₄.₀₉±₁.₄₄ ₄.₁₅±₁.₆₀ ₄.₄₇±₁.₁₆ ₄.₆₂±₁.₄₁ ₄.₃₈±₁.₁₃ ₄.₈₂±₁.₁₁ ₄.₂₄±₁.₄₄ ₃ ₄.₉₁±₁.₄₈ ₄.₂₄±₁.₄₈ ₄.₁₅±₁.₃₁ ₄.₂₁±₁.₃₂ ₃.₉₇±₁.₆₂ ₄.₀₀±₁.₃₃ ₃.₉₁±₁.₄₄ ₄ ₄.₃₂±₁.₃₂ ₄.₄₇±₁.₄₆ ₄.₃₈±₁.₂₆ ₄.₀₉±₁.₅₄ ₃.₀₆±₁.₄₃ ₃.₂₆±₁.₄₈ ₃.₂₆±₁.₅₂ ₅ ₅.₀₆±₁.₃₉ ₄.₆₈±₁.₂₂ ₄.₈₅±₁.₁₆ ₄.₇₆±₀.₉₆ ₄.₅₉±₁.₁₃ ₄.₄₇±₁.₀₈ ₄.₅₆±₁.₂₃ ₆ ₄.₆₂±₁.₅₂ ₄.₀₃±₁.₄₉ ₄.₆₅±₁.₂₃ ₄.₇₉±₁.₂₅ ₄.₅₉±₁.₀₆ ₄.₅₉±₁.₁₀ ₄.₅₉±₁.₁₈ ₇ ₄.₅₉±₁.₃₃ ₄.₂₁±₁.₄₇ ₄.₈₂±₁.₁₇ ₄.₈₈±₁.₃₉ ₅.₁₂±₁.₀₇ ₄.₉₇±₁.₃₄ ₄.₇₄±₁.₂₄ ₈ ₄.₈₂±₁.₄₀ ₄.₂₁±₁.₃₉ ₃.₉₄±₁.₁₀ ₄.₃₂±₁.₂₂ ₃.₈₅±₁.₀₅ ₃.₈₅±₁.₃₃ ₄.₀₉±₁.₁₄ ₉ ₄.₉₄±₁.₄₃ ₄.₇₆±₁.₃₉ ₅.₂₆±₀.₈₆ ₅.₀₉±₁.₂₉ ₅.₃₅±₁.₁₂ ₅.₂₄±₀.₉₆ ₅.₃₂±₁.₂₂ ₁₀ ₄.₆₅±₁.₂₅ ₄.₇₁±₁.₁₇ ₄.₄₇±₀.₉₉ ₄.₈₂±₀.₉₄ ₄.₇₄±₁.₀₅ ₄.₈₅±₀.₉₃ ₄.₈₂±₁.₀₃ Table 7. Analysis of the predicted model equation for sensory evaluation of sulgidduk added with natto powder Response Model Mean ± S.D. R-squared ₁) F-value Prob>F ₂) Multiple regression equation ₃) Color Quadratic ₄.₆₆±₀.₁₅ ₀.₈₈₇ ₆.₃₁ ₀.₀₄₉* +₄.₈₇-₀.₁₃A-₀.₂₆B+₀.₀₁₅AB-₀.₂₄A ₂ -₀.₁₁B ₂ Flavor Quadratic ₄.₄₀±₀.₂₅ ₀.₅₉₄ ₁.₁₇ ₀.₄₅₃ +₄.₅₉-(₅.₀₀₀ ₁₀ -₃ )A-₀.₁₃B-₀.₁₅AB-₀.₂₄A ₂ -₀.₀₇₈B ₂ Sweetness Quadratic ₄.₅₇±₀.₃₃ ₀.₆₆₄ ₁.₅₈ ₀.₃₃₉ +₄.₈₇+₀.₂₆A-₀.₀₄₃B-₀.₁₃AB-₀.₃₉A ₂ -₀.₀₁₅B ₂ Taste Quadratic ₄.₆₆±₀.₁₄ ₀.₉₂₉ ₁₀.₄₈ ₀.₀₂₁* +₄.₉₃+₀.₃₂A-₀.₀₈₈B-₀.₀₈₀AB-₀.₃₁A ₂ -₀.₁₄B ₂ Moistness Quadratic ₄.₄₅±₀.₃₀ ₀.₉₁₁ ₈.₁₈ ₀.₀₃₂* +₅.₀₂+₀.₅₇A-₀.₂₄B+₀.₁₀AB-₀.₅₅A ₂ -₀.₄₈B ₂ Texture Quadratic ₄.₄₉±₀.₂₄ ₀.₉₃₁ ₁₀.₈₇ ₀.₀₁₉* +₄.₉₅+₀.₅₉A-₀.₁₁B+₀.₁₈AB-₀.₄₄A ₂ -₀.₃₂B ₂ Overall quality Quadratic ₄.₄₄±₀.₂₆ ₀.₉₁₀ ₈.₀₇ ₀.₀₃₃* +₅.₀₄-₀.₄₂A-₀.₂₁B+₀.₀₁₇AB-₀.₅₉A ₂ -₀.₄₀B ₂ ₁) ₀ R ₂ ₁, close to ₁ indicates the regression line fits the model. ₂) *p<₀.₀₅ ₃) A: Glutinous rice flour, B: Natto powder かった. また, 納豆粉末添加量 (B) が増えるにつれ緩やかに上昇したが一定量を超えてからは下降した. しっとり感と食感 ( 咀嚼感 ) に対する好み, 全体的な評価はもち米粉配合比率 (A) と納豆粉末添加量 (B) が増加するにつれ評価は上がったが一定量を超えてから下がった (Fig. ₃). この ₃ 項目に対する評価で点数が一番高かったのはもち米粉及び納豆粉末の添加量中間点であった. 官能評価項目間の相関を Table ₈ に示した. 全体的な評価には味が相関係数 ₀.₉₆₂, 有意水準 ₀.₁% で最も高い正の相関があった. 続いてしっとり感, 食感 ( 咀嚼感 ) が₀.₉₄₉,₀.₉₁₅で高い正の相関があり, 納豆ソルギトックの全体的な評価には味, しっとり感, 食感が影響することがわかった. また, 全体的な評価に影響を与えた味にはしっとり感と食感がそれぞれ₀.₉₃₅,₀.₉₁₅の高い正の相関があり, 甘さは相関係数 ₀.₈₀₀であった. しっとり感には食感が₀.₉₄₅で高い正の相関を見せ, 甘さが相関係数 ₀.₆₉₀であった. 食感には甘さが相関係数 ₀.₇₀₆で正の相関があった. (3) 最適化分析以上の結果を用い製造条件最適化を行った. 独立変数である米粉配合比率と納豆粉末添加量は範囲内に設定し, 官能評価において有意な結果を表した色, 味, しっとり感, 食感 ( 咀嚼感 ), 全体的な評価を最大 (maximum) に設定し数値最適化, グラフ最適化, 応答予測を通して得た製造最適条件はうるち米粉 ₂₀₉.₉₃ g, もち米粉 ₉₀.₀₇ g, 納豆粉末 ₅.₁₈ g であった (Fig. ₄). 加える水の量は ₅₈.₃₃ g とした. 尚,Fig. ₄ の Overlay plot はもち米粉配合比率 (A) と納豆粉末添加量 (B) の最適条件とその製造最適条件における予測値を表わしている. 応答曲面法は求めたい最適条件を算出するための実験計画が示され, その計画通り実験を行うことにより実験を行なわなかった実験点での測定値を予測し連続的なデータを得られ, そこから最適条件を算出することが出来る. 本実験においても上述の様に日本人が好む米粉の配合比率と納豆粉末添加量の最適条件を同時に求めることが出来た. ただし, 実験計画を立てるためには独立変数の範囲を実験者が決定しなければならず, この範囲を ₃₄ (694)
5.2 4.8 4.6 4.4 4.2 5.2 4.8 4.6 4.4 4.2 5.2 4.8 4.6 4.4 4.2 5.2 4.8 4.6 4.4 4.2 102 111 120 66 48 57 758493 1.5 30 39 (30~120) 102 111 120 102 111120 7.0 66 48 57 758493 66 1.5 30 39 48 57 758493 (30~120) 1.5 30 39 (30~120) 120 84 93102111 48576675 30 39 1.5 (30~120) 120 84 93102111 48 576675 1.5 30 39 (30~120) Fig. 3. Perturbation and 3D plot for the effect of glutinous rice flour (A)and natto powder (B)on sensory properties of sulgidduk added with natto powder 予備実験を通して慎重に決めることが重要である. (4) 最適条件で製造した納豆ソルギトックの抗酸化能最適条件で製造した納豆ソルギトックと納豆粉末を添加しないコントロールの総ポリフェノール含有量, DPPH ラジカル消去活性を Table ₉ に示した. 総ポリ フェノール含有量,DPPH ラジカル消去活性共に最適条件で製造した納豆ソルギトックが有意に多かった. この結果は Shin et al. ₂₀) のコントロールソルギトックの DPPH ラジカル消去活性が₅₅.₃₆% であった研究結果と類似し, 黒にんにく抽出物を ₁₅% 添加したソルギトックの ₇₂.₁₆% より高く, また抗酸化能が高いと知られているブルーベ (695) ₃₅
Vol. No. Table 8. Correlation coefficients between sensory characteristics of sulgidduk which added with natto powder Color Flavor Sweetness Taste Moistness Texture Flavor ₀.₄₁₇ Sweetness ₀.₁₈₃ ₀.₃₆₃ Taste ₀.₂₄₂ ₀.₃₅₅ ₀.₈₀₀** Moistness ₀.₂₆₈ ₀.₁₇₇ ₀.₆₉₀* ₀.₉₃₅*** Texture ₀.₀₅₈ ₀.₁₃₂ ₀.₇₀₆* ₀.₉₁₅*** ₀.₉₄₅*** Overall qulity ₀.₄₀₀ ₀.₃₇₆ ₀.₇₃₀* ₀.₉₆₂*** ₀.₉₄₉*** ₀₉₁₅*** *p<₀.₀₅, **p<₀.₀₁, ***p<₀.₀₀₁ 1.000 0.800 0.600 0.400 0.200 0.000 Table 9. Total phenolic content and DPPH free radical scavenging activity of the control sample and optimized sample of sulgidduk added with natto powder Mean ± S.D. (n=₃) Control Smaple ₁) Optimized Sample ₂) t-value ₃) Total phenol (mg GAE/g) ₁.₃₂±₀.₆₄ ₆.₄₀±₀.₃₈ ₁₁.₈₇*** DPPH free radical scavenging activity (%) ₄) ₅₁.₅₉±₃.₁₆ ₈₀.₄₉±₃.₆₉ ₁₀.₃₀ ** -1.500 1.500 ₁) Sulgidduk with no addition of natto powder ₂) Sulgidduk with addition of natto powder ₃) **p<₀.₀₁, ***p<₀.₀₀₁ 1.000 ₄) Concentration of sample solution: ₁₀₀ mg/ml 0.800 0.600 0.400 0.200 リーの₆₇.₆₃% ₂₁) よりも高かった. 本研究に使用した納豆粉末の DPPH ラジカル消去活性は₉₀.₃₆% と高い抗酸 0.000 化能を見せたが, それを使用し製造した納豆ソルギトッ 1.5 102 111120 93 75 84 66 4857 39 30 (30~120) クもまた高い抗酸化能を見せ, 加熱による損失は無かったと思われる. 総ポリフェノール含有量と DPPH ラジカル消去能抗酸化能の間には相関関係があり, その数値が高いほど抗酸化能も高い ₂₂)~₂₄). 上記結果より, 納豆粉末 添加ソルギトックには高い抗酸化能があり, 本研究の目的である日本人が好む健康機能性を持った食品になると 判断できる. 4. 要約 1.5 30 39 48 57 66 75 84 93 102 111 120 Fig. 4. Pertubation and 3D and overlay plot for the effect of glutinous rice flour (A)and natto powder (B)on desirability of sulgidduk added with natto powder 本研究では韓国料理世界化戦略の一つである現地化をベースに韓国伝統食であるソルギトックの日本への定着を目標とし, 日本人の嗜好に合わせたソルギトックの開発を検討した. 米粉のうるち米粉ともち米粉の配合比率, 納豆粉末添加量が異なる₁₀ 個の試料を製造し, 品質特性の測定, 官能評価を行い製造最適条件を求めた. 実験計画, 結果分析, 最適条件の算出には応答曲面法を用い, ソフトは Design expert ₈ 使用した. (₁) 米粉配合比率と納豆粉末添加量が異なる納豆ソルギトックの水分と糖度を測定した結果, 蒸す直前の状 ₃₆ (696)
態における水分 (p<₀.₀₅) と糖度 (p<₀.₀₀₁) で, 選定されたモデルの有意性が認められた. 蒸す前の水分はもち米粉の比率が高くなるほど高い数値を示した. 糖度はもち米粉の比率が増加するに従い上昇した. (₂) 米粉配合比率と納豆粉末添加量が異なる納豆ソルギトックの色度を測定した結果,L 値 (p<₀.₀₁),a 値 (p<₀.₀₁),b 値 (p<₀.₀₀₁) 全ての項目で, 選定されたモデルの有意性が認められた.L 値は納豆粉末の添加量増加につれ減少したが,a 値と b 値は増加した. (₃) 米粉配合比率と納豆粉末添加量が異なる納豆ソルギトックのテクスチャーを測定した結果, 咀嚼性と凝集性が p<₀.₀₅でモデルの有意性が認められた. 咀嚼性はもち米粉の比率が高くなるにつれ増加した後減少し, 納豆粉末添加量の増加に伴い緩やかに減少した後増加した. 凝集性はもち米粉の比率が増加するに従い減少した. (₄) 米粉配合比率と納豆粉末添加量が異なる納豆ソルギトックの官能評価を ₇ 点評価法で行った結果, 色, 味, しっとり感, 食感 ( 咀嚼感 ), 全体的な評価でモデルの有意性が認められた (p<₀.₀₅). 色を除き, もち米粉の配合比率と納豆粉末添加量が増加するにつれて評価も上がった後ある点を境に下がる傾向を見せた. 色においては納豆粉末添加量が増えるにつれ評価は下がった. (₅) 数値最適化, グラフ最適化, 応答予測による納豆ソルギトックの製造最適条件はうるち米粉 ₂₀₉.₉₃ g, もち米粉 ₉₀.₀₇ g, 納豆粉末 ₅.₁₈ g であった. (₆) 最適条件で製造した納豆ソルギトックとコントロールの抗酸化能を測定した結果, 総ポリフェノール含有量は p<₀.₀₀₁,dpph 自由ラジカル消去能は p< ₀.₀₁で有意であった. 最適条件で製造した納豆ソルギトックの総ポリフェノール含有量は ₆.₄₀ mg GAE/g,DPPH 自由ラジカル消去能は₈₀.₄₉% であり, どちらもコントロールより高い値を示した. 以上の結果より最適条件で製造された納豆ソルギトックは機能性を持った食品を好むとされる日本での開発余地があり, 韓国料理の世界化政策の一つである現地化を通じ韓国と日本の伝統食の融合を象徴する食べ物になると思われる. 引用文献 ₁)Lee, J.E. A Study on the change of Koreans' perception of Japanese-Focused on the analysis of the effects of Korean Wave. Kwangwoon University, ₂₀₀₆, Master's thesis ₂)Choi, S.K. A study of the perceptions and prferences of foreign residents in the republic of Korea to Korean traditional rice cakes. Sookmyung Women's University, ₂₀₀₄, Master's thesis ₃) Korean Food Foundation. http://www.hansik.org/en/ index.do,( 入手日 :₂₀₁₃. ₁. ₁₂) ₄) 小林哲, クォン タビン, ホン チョンファ. 食文化のグローバル戦略 大韓民国 韓食世界化推進プロジェクト を事例として. 経営研究.₂₀₁₁, 61(₄), ₂₃-₄₈ ₅) 농림수산식품부. 한식, 세계유명₁₂개국음식중 ₇ 번째 - 한식경쟁력평가및개선방향도출을위한한식세계화지수개발.₂₀₁₂ ₆)Kim, B.S. A Study on the relationship between the localization strategy and service performance for the globalization of traditional food: focused on the moderating effect of country characteristic. Kyonggi University, ₂₀₁₀, Doctor's thesis ₇)Song, C.Z. Some Thoughts on the globalization of Korean food: Globalization from Below, Innovation and Democratization of Food Industry. KCA Journal. ₂₀₁₂, 10(₃), ₂₈-₃₅ ₈)Lee, J.Y. Preference and perception of Korean foods of foreign consumers by nationality. Korean J. Food Culture. ₂₀₁₀, 25, ₉-₁₆ ₉) 韓国料理で最も好きなのは何?.Innolife.net. http:// travel₂.innolife.net/list.php?ac_id=₄₂ &ai_id=₅₅₀₅,( 入手日 :₂₀₁₃. ₁. ₁₂) ₁₀) 渡部忠世, 深澤小百合. もち ( 糯 餅 ). 東京. 法政大学出版局,₁₉₉₈, ₁₇₃-₃₀₀ ₁₁) 윤숙자. 떡이있는풍경. 서울. 도서출판질시루, ₂₀₀₂, ₁₀-₁₅ ₁₂) Yoon, S.J. International strategy of rice cake and Korean traditional cookie. Food Industry and Nutrition. ₂₀₀₆, 11(₂), ₂₅-₂₈ ₁₃) 谷田貝智恵子, 須見洋行. 納豆の機能性について. 食生活.₂₀₀₇, 101(₆), ₂₆ ₁₄) 全国納豆協同組合連合会. 納豆に関する調査 調査結果報告書.₂₀₁₁ ₁₅)Blois, M.S. Antioxidant determinations by the use of a stable free radical. Nature. ₁₉₅₈, 181, ₁₁₉₉-₁₂₀₀ ₁₆)Park, Y.M.; Kim, S.J.; Hwang, I.S.; Cho, K.H.; Jung, S.T. Physicochemical and sensory properties of jinyang-ju prepared with glutinous rice and nonglutinous rice. Korean J. Food Culture. ₂₀₀₅, 20, ₃₄₆-₃₅₁ ₁₇)Kim, S.H. Quality characteristics of sulgidduk added with red pepper powder red pepper seed powder kochujang. Myongji University, ₂₀₀₉,Master's thesis ₁₈)Park, K.S. The Quality characteristics of sulgidduk added with cheongkukjang powder. The Korean Journal of Culinary Research. ₂₀₁₀, 16(₃), ₂₅₀-₂₅₈ (697) ₃₇
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