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法律学入門12

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特集 今こそ,取調べの可視化 (取調べ全過程の録画)の実現を(LIBRA2011年03月号)

日弁連総第 110 号 2016 年 ( 平成 28 年 )3 月 31 日 徳島刑務所長竹中晃平殿 日本弁護士連合会 会長村越 進 警告書 当連合会は,X 氏申立てに係る人権救済申立事件 (2014 年度第 6 号 ) につき, 貴所に対し, 以下のとおり警告する 第 1 警告の趣旨再審請求弁護人

平成 20 年 1 月 警察庁 警察捜査における取調べ適正化指針 我が国の刑事手続において 被疑者の取調べは 事案の真相解明に極めて重要 まな役割を果たしていることは 論を俟たないところである しかしながら 昨今 その在り方が問われる深刻な無罪判決等が相次ぎ 取調べを始めとする警察捜査 における問題

現状では法制度を工夫しても 違憲の疑いが強い

市民ロースクール

(b) 救済措置を求める者の権利が権限のある司法上 行政上若しくは立法上の機関又は国の法制で定める他の権限のある機関によって決定されることを確保すること及び司法上の救済措置の可能性を発展させること (c) 救済措置が与えられる場合に権限のある機関によって執行されることを確保すること 第三条 この規約

電子ジャーナル2017指導案

2020 年を目標とする法 司法支援改革プロジェクト (PHAP LUAT2020) 公安省 最高人民検察院 - 最高人民裁判所 国防省 番号 : 03/2018/TTLT-BCA- VKSNDTC-TANDTC-BQP ベトナム社会主義共和国独立 自由 幸福

(2) 電子計算機処理の制限に係る規定ア電子計算機処理に係る個人情報の提供の制限の改正 ( 条例第 10 条第 2 項関係 ) 電子計算機処理に係る個人情報を国等に提供しようとする際の千葉市情報公開 個人情報保護審議会 ( 以下 審議会 といいます ) への諮問を不要とし 審議会には事後に報告するも

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目 次 第 1 はじめに 2 1 ガイドライン策定の目的 2 2 ガイドラインの対象となる防犯カメラ 2 3 防犯カメラで撮影された個人の画像の性格 2 第 2 防犯カメラの設置及び運用に当たって配慮すべき事項 3 1 設置目的の設定と目的外利用の禁止 3 2 設置場所 撮影範囲 照明設備 3 3

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上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

景品の換金行為と「三店方式」について

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いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

CrimeInfo 論文& エッセイ集 4

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1 ガイドライン策定の目的防犯カメラについては テレビや新聞で報道されているように 犯罪の解決や犯罪の抑止につながることなど その効果は社会的に認められており さまざまな施設に防犯カメラが設置されております しかし その効果が認知される一方で 防犯カメラにより個人のプライバシーなどの人権が侵害される


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第 10 回児童虐待対応における司法関与及び特別養子縁組制度の利用促進の在り方に関する検討会 平成 29 年 1 月 16 日 参考資料 2 児童虐待対応における司法関与の在り方について ( これまでの議論の整理 ) 1. はじめに 平成 28 年 3 月 10 日に取りまとめられた 新たな子ども家

日本政府が一九七九年に批准した国際人権 自由権 規約七条には 何人も 拷問又は残虐な 非人道的な若しくは品位を傷つける取り扱い若しくは刑罰を受けない 一〇条一項には 自由を奪われたすべての者は 人道的にかつ人間の固有の尊厳を尊重して 取り扱われる とそれぞれ規定されている また 一七条では私生活への

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

資料2  ネット上の違法・有害情報に対する総務省の取組【総務省】

第 1 ガイドライン策定の目的及び対象 1 ガイドライン策定の目的美濃加茂市では犯罪のない安全で安心できる住みよい地域社会を実現するため 平成 21 年 10 月に 美濃加茂市防犯活動推進条例 を施行するとともに 同条例に基づく防犯計画を策定し 市民 事業者及び市が一体となって 犯罪のないまちづくり

The Status of Sign Languages

1. 口座管理機関 ( 証券会社 ) の意見概要 A 案 ( 部会資料 23: 配当金参考案ベース ) と B 案 ( 部会資料 23: 共通番号参考案ベース ) のいずれが望ましいか 口座管理機 関 ( 証券会社 ) で構成される日証協の WG で意見照会したところ 次頁のとおり各観点において様々

過去の暴力団の典型的な活動は 伝統的な資金源とされる覚醒剤の密売 みかじめ料の徴収などでしたが 平成 4 年の暴力団対策法の施行後の取り締まりの強化により 暴力団の資金活動は巧妙化していきました 暴力団自らは表に出ることなく 企業活動を仮装するなどして資金活動を行っており 暴力団関係企業と知らずに取

中で 否認に転じて 無罪を主張した しかし 菅家氏の無罪主張は認められず 1993 年 7 月 7 日に宇都宮地裁 ( 久保真人裁判長 ) で無期懲役判決 1996 年 5 月 9 日に東京高裁 ( 高木俊夫裁判長 ) で控訴棄却 2000 年 7 月 17 日に最高裁第二小法廷 ( 亀山継夫裁判長

H 刑事施設が受刑者の弁護士との信書について検査したことにつき勧告

第 2 勧告の理由 1 申立人の性自認及び身体的状況申立人は, 小学校の高学年のころから, 自分は女であるという意識を持ち, 中学卒業後は女性としてスナックで手伝いをし,18 歳のころからは, クラブでホステスとして働くようになった そして,18 歳から19 歳ころまでの間に, 豊胸手術, ホルモン

大阪京橋法律事務所 報酬基準

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

目次 第 1 はじめに 4 第 2 裁判員制度の目的 5 第 3 対象事件の拡大と選択権 6 第 4 捜査のあり方 と 審理のあり方 の組み合わせが引き起こす問題 7 1 証拠の厳選 により 捜査の不可視化 が起こる 2 捜査のあり方の改革を ⑴ 捜査全過程の記録化 ⑵ 被疑者取り調べの全過程の録音

国会への法案提出を目指すこととする としている 同方針をもとにパーソナルデータに関する検討会が立ち上げられ, 平成 26 年 (2014 年 )6 月 9 日付けで パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱 ( 事務局案 ) が示されたところである しかしながら, その結論によっては, 個人に関

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総合法律支援論叢 ( 第 8 号 ) 法務大臣からの諮問によって2011 年 6 月に始まった法制審議会新時代の刑事司法特別部会は 3 年間を超える議論の結果 2014 年 7 月に答申の案となる要綱をとりまとめた 同年 9 月に法制審議会は その要綱をそのまま法務大臣への答申とすることを決めた 政

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個人情報の取り扱いに関する規程

警察署長又は本部捜査担当課長は 犯罪の検挙状況 被害者等からの相談 関係機関からの通報等により再被害防止対象者に指定する必要がある被害者等を認めるときは 再被害防止対象者指定等上申書 ( 様式第 1 号 ) により警察本部長に再被害防止対象者の指定を上申するものとする この場合において 警察署長は

新旧対照表

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三衆議院議員稲葉誠一君提出再審三事件に関する質問に対する答弁書一について捜査当局においては 今後とも 捜査技術の一層の向上を図るとともに 自白の信用性に関し裏付け捜査を徹底する等十全な捜査の実施に努めるべきものと考える 二について再審三事件の判決においては いずれも被告人の自白の信用性に関する指摘が

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比較法雑誌第 50 巻第 ₃ 号 (2016) 構築するため, 取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査 公判の在り方の見直しや, 被疑者の取調べ状況を録音 録画の方法により記録する制度の導入など, 刑事の実体法及び手続法の整備の在り方 について意見を求めるものであった ⅱ) 我が国には, いわゆる司

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市町村合併の推進状況について

高齢者の場合には自分から積極的に相談に行くケースは少なく 表面化率は一層低いと考えなければならないこと したがって PIO-NETデータはきわめて重要なデータとして尊重すべきものであるとの意見があったことを追加頂きたい 2 理由などこの点については 調査会でも意見が出されています また 国民生活セン

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別紙 警察庁丙刑企発第 98 号 警察庁丙捜一発第 63 号 警察庁丙生企発第 136 号 警察庁丙生経発第 14 号 警察庁丙交企発第 131 号 警察庁丙交指発第 34 号 消安全第 号 平成 24 年 11 月 16 日 警察庁刑事局長舟本馨 警察庁生活安全局長岩瀬充明 警察庁交通

1 はじめに 本市では 平成 17 年に 鹿児島市安心安全まちづくり条例 を定め 地域の安全は地域で守る を基本理念に 市と市民 事業者等が連携 協働し 安心して安全に暮らせるまちづくりを進めてきました これまでに防犯パトロール隊や青色防犯パトロール車による防犯活動をはじめ 安心安全ネットワーク会議

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再審弁護と日本国憲法 弁護士鴨志田祐美 1 はじめに 私は鹿児島県弁護士会に所属する弁護士である 地域に密着した 町医者 的活動とともに 鹿児島県で起きた冤罪事件 大崎事件 の再審弁護団で事務局長を務めている その 実務家である私が 鹿児島大学で 憲法 の特別講義を行わせていただいた 特別講義のお話

施設管理 一般的な施設管理 設置している機器の動作状況の確認 福祉施設等における利用者の入退所の確認などのために常時監視しているが 事件 事故発生時に警察に提供するため映像を行政文書として記録する場合を除き 映像を行政文書とすることはないため 個人情報の収集には該当しない 防災 河川や海岸の状況の画

平成 27 年度 特定行政書士法定研修 考査問題 解答と解説 本解答と解説は 正式に公表されたものではなく 作成者が独自に作成したものであり 内容の信頼性については保証しない 以下の事項に全て該当 遵守する場合にのみ 利用を許可する 東京都行政書士会葛飾支部会員であること 営利目的でないこと 内容を

平成 28 年 ( ワ ) 第 2407 号自衛隊南スーダン PKO 派遣差止等請求事件 原告平和子 被告国 文書提出命令申立書 2019( 平成 31) 年 1 月 10 日 札幌地方裁判所民事第 1 部合議係 B 御中 申立人 ( 原告 ) 訴訟代理人 弁護士佐藤博文 外 申立人 ( 原告 )

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

アラブ首長国連邦 (UAE) の労働法 - 雇用契約の法的強制力 ほか 2012 年 6 月 独立行政法人日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) Copyright 2012 JETRO & Herbert Smith Freehills LLP. All rights reserved. 禁無断転載

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

2 3

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

TPT859057

原議保存期間 5 年 ( 平成 27 年 12 月 31 日まで ) 各都道府県警察の長 殿 警察庁丙刑企発第 43 号 ( 参考送付先 ) 平成 22 年 2 月 25 日 各附属機関の長 警察庁刑事局長 各地方機関の長庁内各局部課長 美容外科手術を行っている医師の団体に属する会員等からの指名手配

人権救済申立事件について(勧告)

( ただし, 子の監護に要する費用の分担の処分の審判事件を含む ) について, 扶養義務者 ( 申立人となる場合を除く ) の住所地は, その手続保障の観点から, 管轄原因とすることが相当であると解されるが, どのように考えるべきか ( なお, 子の監護に要する費用の分担の処分の審判事件については,

【通知】海外療養費・出産育児一時金の支給の適正化に向けた対策等について

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

記 1. 調査結果で判明した不十分な SR に基づき販売されている商品 企業名を明らかにすべきです消費者庁 報告書 は 届出 SR の報告内容が不十分で ガイドラインに準拠していない報告内容である商品が多数販売されていることを明らかにしました 制度の根幹を揺るがす事態であることを受け止め 消費者被害

資料4_1いじめ防止対策推進法(概要)

第 1 はじめに 1 ガイドライン策定の目的安全で安心なまちづくりを進める上で 近年 防犯カメラの設置は広く有用であると認められており 市内においても防犯カメラの設置が進んでいます しかし その一方で 知らないうちに自分の姿が撮影され 目的外に利用されること等に不安を感じる市民の方もいます そこで

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スライド 1

勧誘行為を効果的に抑止するため, 罰則や必要な行政処分を設けるとともに, 規制に反してなされた勧誘行為により締結された契約につき消費者が無効ないし解除 ( または取消 ) を主張できる旨の規定を設けること 第 2 意見の理由 1 不招請勧誘の規制の必要性契約締結の勧誘を要請していないにもかかわらず行

ANNUAL REPORT

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

13 条,14 条 1 項に違反するものとはいえない このように解すべきことは, 当裁判所の判例 ( 最高裁昭和 28 年 ( オ ) 第 389 号同 30 年 7 月 20 日大法廷判決 民集 9 巻 9 号 1122 頁, 最高裁昭和 37 年 ( オ ) 第 1472 号同 39 年 5 月

2006 年度 民事執行 保全法講義 第 4 回 関西大学法学部教授栗田隆

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

対応について, 警察署や検察庁では, どのような配慮や対応を行っているのか, 紹介していただきたい ( 委員 ) 各警察署 (39 署 ) に, 被害者支援要員 (3000 人 ) を指定し, 夜間であっても対応できる態勢を整えている また, 捜査や裁判がどのように行われるのか等を記載した冊子を準備

11総法不審第120号

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登録商標 は著作権が侵害された旨の宣言 侵害製品販売に対する終局的差止め命令 並びに 損害賠償 但し 以下の点に注意が必要 : 裁判所において 損害裁定の指針が確 されておらず 裁判官が思い付きで判決を下すことが時折みられる 損害賠償 裁定の強制が困難であり 被告が失踪するか がないと申し てること

(b) 2010 年 12 月の第 3 次男女共同参画基本計画の承認 ; (c) 2010 年 7 月の入国者収容所等視察委員会の新設 ; (d) 2009 年 12 月の人身取引対策行動計画 2009 の策定 ; (e) 2008 年 1 月の警察捜査における取調べ適正化指針の取りまとめ C. 主

適用時期 5. 本実務対応報告は 公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用する ただし 平成 28 年 4 月 1 日以後最初に終了する事業年度が本実務対応報告の公表日前に終了している場合には 当該事業年度に本実務対応報告を適用することができる 議決 6. 本実務対応報告は 第 338 回企業会計

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Ⅱ 防犯カメラの設置及び運用に当たって配慮すべき事項 1 設置目的の設定及び目的外利用の禁止 設置者は 防犯カメラの設置目的 ( 犯罪の防止等 ) を明確に定め その設置目的を逸脱した利用を行わないようにします 2 撮影範囲及び設置場所等 防犯カメラで撮影された画像は その取扱いによってはプライバシ


異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

検察審査会制度の運用改善及び制度改革を求める意見書

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取調べ録音 録画の法制化と全事件 全過程の取調べ可視化実現を求める決議 2014 年 9 月 法制審議会は 法務大臣に対し 同審議会新時代の刑事司法制度特別部会 ( 以下 特別部会 という ) が 3 年余の議論を経て取りまとめた要綱に基づき 裁判員裁判対象事件及び検察官独自捜査事件において 身体を拘束した被疑者に対する検察官 警察官の取調べ全過程の録音 録画制度を導入すべきと答申した 公判で被告人供述調書の任意性が争われた場合の取調べ状況録音 録画媒体の証拠取調べ請求義務とともに 2015 年通常国会で法制化される見込みである 当連合会は 全事件 全過程の取調べ可視化を実現する端緒として 特別部会の要綱に則った取調べ録音 録画制度の速やかな法制化と着実な実施を求める さらに 法制化を足掛かりとして 対象事件であるか否かを問わず 取調べ録音 録画を求める弁護実践を強力に推し進め 全事件の取調べ可視化を実現すべく尽力する決意を改めて明らかにする 我が国の刑事裁判における事実認定は長らく 密室で作成された被疑者の自白調書に過度に依存してきた しかも 捜査段階の供述の任意性 信用性を客観的に検証し得る資料を持たなかったことにより 公判で自白の虚偽性を見抜くことができず 多くの冤罪を生んできた 2014 年 3 月 再審開始決定とともに死刑の執行及び拘置が停止され 48 年間の身体拘束から解放された袴田事件でも 拷問等の違法 不当な取調べにより 多数の虚偽自白調書が作成されていた 近年でも 志布志事件 足利事件 郵便不正事件 PC 遠隔操作誤認逮捕事件等 違法 不当な取調べによる虚偽自白と これに基づく冤罪は 枚挙に暇がない 密室取調べで自白を迫る捜査構造を抜本的に改めない限り 虚偽自白と冤罪の根絶は不可能である 当連合会は 虚偽自白に基づく冤罪を根絶するため 国及び捜査機関に対し 被疑者取調べの可視化を強く求めてきた 裁判所 裁判官に対し 取調べ状況を客観的に検証し得ない密室取調べによってつくられた虚偽自白を 証拠から排除するよう求めてきた 今まさに 冤罪の温床であった密室取調べを打ち破り 自白の任意性を客観的に検証し得る録音 録画を 捜査機関の法的義務として確立させる絶好の機会が訪れた この機を逃さず 法制化を着実に実現しなければならない さらに 法制化された取調べ録音 録画制度を新たなスタートラインとして あらゆる事件の取調べ録音 録画を求める弁護実践をより強力に推し進めることが 近い将来の全事件の取調べ可視化を実現する最良の方策である 1

特別部会は 要綱の附帯事項において 適正な手続の下で供述証拠が収集されるべきこと 公判審理充実化の観点から 捜査段階の被疑者供述が適正な取調べによって収集された任意性 信用性を有するものであることが明らかになる制度とする必要があることを明言した そのうえで 今般提言した録音 録画制度の対象外事件であっても 可能な限り幅広い範囲で取調べの録音 録画が行われ その記録媒体により供述の任意性 信用性が明らかにされることを 強く期待する と述べている 当連合会は 特別部会の負託に応え 今回の録音 録画制度の導入を足掛かりとして 全事件の取調べ可視化に制度を拡大させるべく 全力を尽くす責務を負っているのである よって 当連合会は 1 国に対し 法制審議会の答申を最大限に尊重し 取調べ録音 録画制度の法制化を迅速かつ着実に実行すること 2 検事総長 警察庁長官 警視総監及び各道府県警察本部長に対し 制度対象事件に限らず 全事件で被疑者取調べ全過程の録音 録画を実施すること 3 各裁判官に対し 捜査段階の供述の任意性 信用性を検証する手段として 取調べ全過程の可視化が必須であるとの認識に基づき 適切な訴訟指揮を行うとともに 供述の任意性 信用性を厳格に判断することを求める さらに 当連合会は 被疑者 被告人の権利及び利益を守るため あらゆる事件において取調べ可視化を求める弁護実践を推進することにより 全事件 全過程可視化の実現に全力を挙げて取り組む決意を 改めて表明する 以上のとおり決議する 2014 年 ( 平成 26 年 )11 月 28 日 近畿弁護士会連合会 2

提案理由 1 虚偽自白による冤罪の続発 2014 年 3 月 27 日 静岡地方裁判所は 4 人を殺害したとして死刑判決を受け 48 年間にわたって拘束されてきた元プロボクサー袴田巌氏に対し 再審開始を決定し 刑及び拘置の執行を停止して身体拘束を解いた 同決定は 捜査機関が証拠を捏造した疑いにまで言及し 当時の捜査を厳しく批判した 再審開始の決め手は 遺留品とされた着衣のDNA 鑑定結果であったが この事件では 捜査段階で作成された多数の自白調書について 拷問や 被疑者の人権を無視した長時間の過酷な取調べなど 極めて違法かつ不当な取調べの影響によるものであったことが明らかとなっている 2010 年には 虚偽公文書作成 行使罪に問われた厚生労働省局長 ( 当時 ) の無罪が確定する郵便不正事件が起きた 大阪地方検察庁特別捜査部の検察官が 局長の部下であった者らから 強引な取調べによって 局長を共犯者と名指しする虚偽供述をさせていたことが判明し 供述の任意性 信用性が否定されたことが 無罪確定の決め手であった 同事件は 検察官の証拠捏造が発覚する異例の事態に発展し 今般の取調べ録音 録画制度導入のきっかけとなった さらに 2012 年には インターネットの掲示板に襲撃 殺害予告等を書き込んだとして 無実の者 4 人が逮捕されるというパソコン遠隔操作誤認逮捕事件が発生した 逮捕された者のうち 少なくとも 2 人は 全く関与していないにもかかわらず 密室取調べにおいて 虚偽の自白調書を作成されていたのである これらの冤罪事件の続発は 宇和島事件 富山 氷見事件 志布志事件 北方事件 足利事件 布川事件等 違法 不当な取調べによって作り上げられた虚偽自白に基づく多数の冤罪事件が 2000 年代に次々と発覚したにもかかわらず 捜査機関において 自白調書に過度に依存する捜査姿勢に対する反省が全くなかったことを意味する 虚偽自白の根絶は 捜査機関の自主的な取り組みによっては到底実現し得ないことが 改めて明らかとなったものといわざるを得ない 我が国の捜査機関が行う被疑者取調べの構造的問題として捉え 抜本的な改革を行わない限り 虚偽自白に基づく冤罪の根絶は不可能である その最も適切な方策は 虚偽自白を誘引する違法 不当な取調べの温床である密室取調べを打ち破り 取調べの全過程を検証可能とする録音 録画制度の導入である 2 被疑者取調べの可視化は国際的潮流である過去には 世界の多くの国で 密室での取調べがなされていた しかし 冤罪事件や取調室の中 3

での人権侵害事例により 密室取調べの抱える本質的かつ致命的な欠陥が明らかになるにつれて 多くの国が密室取調べを廃止し 取調べ状況の録音 録画に踏み切った 1980 年代半ばにイギリスで開始されたのをはじめとして 欧米の先進国において 取調べの録音 録画 ( 可視化 ) が実現している 近隣アジア諸国地域においても 香港 台湾では取調べ全過程の録音 録画が導入されている 韓国でも 取調べへの弁護人立会の法制化とともに 検察官取調べを録音 録画する制度が導入された 国際人権 ( 自由権 ) 規約委員会は 1998 年 11 月 日本政府に対して 警察の留置場すなわち代用監獄における被疑者の取調べが厳格に監視され また 電気的な方法により記録されること すなわち取調べの録音 録画を強く勧告した 国際法曹協会 (IBA) は 2003 年 12 月 警察および検察庁の行う取調べ全過程を録画または録音する電磁記録制度を導入するという日弁連の提案を支持する 旨提言し 国連拷問禁止委員会も 2007 年 5 月 日本政府に対し 締約国は 警察ないし代用監獄における被拘禁者の取調べが 全取調べの電子的記録及びビデオ録画 取調べ中の弁護人へのアクセス及び弁護人の取調べ立会いといった方法により体系的に監視され かつ 記録は刑事裁判において利用可能となることを確実にすべきである との勧告を行った 取調べ全過程の録音 録画は 国際的潮流である 被疑者取調べの可視化は 憲法 刑事訴訟法や国際人権法の観点から 被疑者の権利として保障されなければならない 3 特別部会取りまとめに基づく法制化は全事件可視化の嚆矢である郵便不正事件に端を発した検察改革の流れを受け 国は 2011 年 6 月 法制審議会に新時代の刑事司法制度特別部会を設置し 時代に即した刑事司法の在り方 とりわけ 被疑者取調べにおける録音 録画の制度化に関する具体的検討を諮問した 同部会には 郵便不正事件で無罪が確定した厚生労働省事務次官や 痴漢冤罪事件を題材に我が国の刑事司法制度の問題を鋭く抉った映画 それでもボクはやってない の監督らも加わり 3 年余りにわたって精力的な議論を展開した その結果 今般の要綱を提言し 法制審議会の答申に至った 今回 被疑者取調べ録音 録画制度の対象とされた事件は 我が国における公判請求事件の 2~3% に過ぎない これまで当連合会及び日本弁護士連合会が強く実現を求めてきた全事件 全過程の取調べ可視化には及ばないものである しかしながら 現段階では対象事件が限られているとはいえ 取調べ全過程の録音 録画 すなわち 取調べの可視化を 法に基づく制度として確立する意義は極めて大きい 特別部会が取りまとめた要綱を着実に制度化することにより 私たちは 将来の全事件 全過程の可視化を実現する 4

ための足場 よって立つ基盤を得ることができるからである 導入される見込みの取調べ録音 録画制度を積極的に活用し 対象事件における取調べ可視化の厳格な実施によって制度の実効性を確保するとともに 公判でも 任意性に疑いがあるにもかかわらず 取調べ状況の録音 録画がなされていない捜査段階の供述の証拠排除を徹底する弁護実践を積み重ねて 取調べ録音 録画の標準化 ひいては 録音 録画義務化対象の全事件への拡大の嚆矢とすることができるのである 先に指摘したとおり もはや捜査機関の裁量や自主的な運用に委ねていては 密室取調べにおける虚偽自白 さらには 虚偽自白に基づく冤罪の発生を防ぎ得ない 自白獲得に依存した捜査構造を抜本的に改めるためには 今 ここで たとえ一部の事件であっても 全過程の録音 録画の法制化 義務化を獲得することが必要不可欠である そのうえで 取調べ可視化及び取調べ状況録音 録画媒体による任意性立証の実績を着実に積み重ねることによって 例外のない全事件 全過程可視化を実現する緒とすることが 求められているのである 4 全事件 全過程の録音 録画実現を目指す弁護実践を推進する必要性法制審議会答申に結実した特別部会の要綱に基づく取調べ録音 録画の制度化が実現してもなお 被疑者が拒否するなど記録が困難な状況にある場合や 暴力団員の関与する犯罪に係る場合など 録音 録画義務を免除する規定が設けられるとすれば 捜査機関の運用次第では 可視化の制度が形骸化する懸念を払拭し得ない また 検察庁独自の運用による取調べ録音 録画制度の拡充も 検察官の裁量に委ねられる部分が多い 最高検察庁は 2014 年 10 月 これまで取調べ状況録音 録画の試行対象としてきた裁判員裁判対象事件 ( 弁論の併合により裁判員裁判で審理される見込みの非対象事件を含む ) 知的障がいを有する被疑者で言語によるコミュニケーションの能力に問題がある者又は取調官に対する迎合性や被誘導性が高いと認められる者に係る事件 精神の障がい等により責任能力の減退 喪失が疑われる被疑者に係る事件 独自捜査事件であって検察官が被疑者を逮捕した事件の 4 類型について 身体を拘束された被疑者に対する検察官による取調べ全過程の録音 録画の本格的な実施を始めた 併せて 上記類型に該当する事件以外にも 被疑者供述が立証上重要な事件 あるいは 取調べ状況をめぐって争いが生じ得る事件の被疑者取調べや 被害者 参考人の取調べを録音 録画の試行対象とした これらの取調べ録音 録画の本格実施ないし試行を 実際にどの程度まで行うのかについては 個々の検察官の裁量に委ねられる部分も大きく 実効性がどれだけ確保されるかについては なお予断を許さない 5

特別部会は 今般の要綱に先立って基本構想を取りまとめていた そのなかで 刑事司法における事案の解明が不可欠であるとしても そのための供述証拠の収集が適正な手続の下で行われるべきことは言うまでもない 公判審理の充実化を図る観点からも 公判廷に顕出される被疑者の捜査段階での供述が 適正な取調べを通じて収集された任意性 信用性のあるものであることが明らかになるような制度とする必要がある と指摘した そして 特別部会は 今般の要綱のなかに 義務化の対象とされていない取調べであっても 基本構想における上記認識を実現する観点から 実務上の運用において 可能な限り幅広い範囲で録音 録画がなされ かつ その記録媒体によって供述の任意性 信用性が明らかにされていくことを強く期待する との附帯事項を明記した 私たち弁護実践に関わる弁護士は 録音 録画の対象とすべき取調べを さらに拡充する必要性を明確に指摘した特別部会の負託に応えなければならない 捜査機関の恣意的運用による可視化の形骸化を防ぎ 録音 録画制度の実効性を高めつつ 取調べ録音 録画のさらなる拡充を実現するため 先に指摘した弁護実践を 不断の努力で積み重ねなければならない 以上の理由により 標記の決議を提案するものである 以上 6