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テレビ学習メモ 簿記 第 15 回 取引の記帳 まだある勘定科目 その他の債権 債務 講師 粕谷和生 これまでに学んだ債権を表す勘定科目には受取手形や売掛金などがあり 債務を表す勘定科目には支払手形や買掛金などがありました そのほかにも債権 債務を表す勘定科目は多数あります 債権と債務は その正体が

第4期電子公告(東京)

営業報告書

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第1章 簿記の一巡

第137回日商簿記3級 第1問 仕訳問題類題 問題・解答・解説セット

第 138 回日商簿記 3 級解答解説 第 1 問 実教出版株式会社 仕 訳 借 方 科 目 金 額 貸 方 科 目 金 額 1 売買目的有価証券 1,970,000 未 払 金 1,970,000 2 備品減価償却累計額 70,000 備 品 150,000 現 金 20,000 固定資産売却損

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第4期 決算報告書

精算表 精算表とは 決算日に 総勘定元帳から各勘定の残高を集計した上で それらに修正すべき処理 ( 決算整理仕訳 ) の内 容を記入し 確定した各勘定の金額を貸借対照表と損益計算書の欄に移していく一覧表です 期末商品棚卸高 20 円 現金 繰越商品 資本金 2

第 9 章純資産の会計 問題 43 問題 43 資本剰余金の振替え 借方科目金額貸方科目金額 次の独立した取引の仕訳を示しなさい ⑴ 資本準備金 2,000,000 円とその他資本剰余金 800,000 円を資本金とすることを株主総会で決議し その効力が生じた ⑵ 資本金 500,000 円を資本準

連結の補足 連結の 3 年目のタイムテーブル B/S 項目 5つ 68,000 20%=13,600 のれん 8,960 土地 10,000 繰延税金負債( 固定 ) 0 利益剰余金期首残高 1+2, ,120 P/L 項目 3 つ 少数株主損益 4 1,000 のれん償却額 5 1,1

第10期

貸借対照表 平成 28 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 資産の部 負債の部 流動資産 (63,628,517) 流動負債 (72,772,267) 現金及び預金 33,016,731 買掛金 379,893 売掛金 426,495 未払金 38,59

Microsoft Word 【公表】HP_T-BS・PL-H30年度

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貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

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・資本金…資本金勘定から求める \3,800,000-(\150,000+\150,000+\300,000)=\3,2

第148回日商簿記2級 第1問 仕訳問題類題 問題・解答・解説セット

計 算 書 類

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

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計算書類等

第 145 回日商簿記 3 級解答解説実教出版株式会社 第 145 回簿記検定試験問題解答 解説 第 1 問 解答 仕 借方科目金額貸方科目金額 訳 1 2 旅費交通費 60,000 普通預金 80,000 資本金 20,000 他店商品券 10,000 売上 12,000 商品券 2,000 3

リリース

( 資産の部 ) ( 負債の部 ) Ⅰ 特定資産の部 1. 流動負債 366,211,036 1 年内返済予定 1. 流動資産 580,621,275 特定社債 302,000,000 信託預金 580,621,275 事業未払金 2,363, 固定資産 6,029,788,716 未払

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野村アセットマネジメント株式会社 平成30年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

連結会計入門 ( 第 6 版 ) 練習問題解答 解説 練習問題 1 解答 解説 (129 頁 ) ( 解説 ) S 社株式の取得に係るP 社の個別上の処理は次のとおりである 第 1 回取得 ( 平成 1 年 3 月 31 日 ) ( 借 )S 社株式 48,000 ( 貸 ) 現預金 48,000

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PowerPoint プレゼンテーション

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株 主 各 位                          平成19年6月1日

答 第 1 問 (20 点 ) 仕訳 1 組につき 4 点 仕 訳 借方科目金額貸方科目金額 1 仕 入 130,000 受 取 手 形 当 座 預 金 100,000 30,000 2 買掛金 500,000 売掛金当座預金 100, ,000 3 有価証券 490,000 現金 49

第21期(2019年3月期) 決算公告

野村アセットマネジメント株式会社 2019年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

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企業結合ステップ2に関連するJICPA実務指針等の改正について⑦・連結税効果実務指針(その2)

第28期貸借対照表

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東京電力エナジーパートナー

計算書類 貸 損 借益 対計 照算 表書 株主資本等変動計算書 個 別 注 記 表 自 : 年 4 月 1 日 至 : 年 3 月 3 1 日 株式会社ウイン インターナショナル

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平成 30 年 7 月 8 日 ( 日 ) 施行 第 191 回全経簿記能力検定試験 1 級商業簿記 会計学解説 第 1 問 1. 企業会計原則第二損益計算書原則一 2. 企業会計原則第二損益計算書原則一 A 3. 企業会計原則第二損益計算書原則一 B 4. 企業会計原則第三貸借対照表原則一 5.

第 3 期決算公告 (2018 年 6 月 29 日開示 ) 東京都江東区木場一丁目 5 番 65 号 りそなアセットマネジメント株式会社 代表取締役西岡明彦 貸借対照表 (2018 年 3 月 31 日現在 ) 科目金額科目金額 ( 単位 : 円 ) 資産の部 流動資産 負債の部 流動負債 預金

第 76 期 計算書類 自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 大泉物流株式会社

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第69回取締役会議案書

Ⅱ. 資金の範囲 (1) 内訳 Ⅰ. 総論の表のとおりです 資 金 現 金 現金同等物 手許現金 要求払預金 しかし これはあくまで会計基準 財務諸表規則等に記載されているものであるため 問題文で別途指示があった場合はそれに従ってください 何も書かれていなければ この表に従って範囲を分けてください

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

第 151 回日商簿記 2 級解答解説 第 1 問 実教出版株式会社 解答 仕 訳 借方科目金額貸方科目金額 現 金 8,500,000 車両減価償却累計額 760,000 1 商 品 6,100,000 本 店 17,640,000 車 両 3,800,000 2 その他有価証券 2,000,00

平成28年度 第144回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

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計算書類 第 60 期 自至 平成 29 年 7 月 1 日平成 30 年 6 月 30 日 協和医科器械株式会社

第 36 期決算公告 浜松市中区常盤町 静岡エフエム放送株式会社代表取締役社長上野豊 貸借対照表 ( 平成 30 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 資産の部 負債の部 Ⅰ. 流 動 資 産 909,595 Ⅰ. 流 動 負 債 208,875 現金及び預金 508,

問題 12 取替法 次の取引の仕訳を示しなさい ⑴ 取替資産である鉄道のレールの一部を新品に取替えた 代金 480,000 円は月末に支払う ⑵ 円で20 個を取替えた 代金は小切手を振出して支払った ⑴ ⑵ 問題 12 問題 13 設備投資

連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

2018年12月期.xls

財務諸表 金融商品取引法第 193 条の 2 第 1 項の規定に基づき 当社の貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書及び附属明細表については 有限責任あずさ監査法人の監査証明を受けております 貸借対照表 科目 ( 資産の部 ) 流動資産 平成 27 年度末平成 28 年 3 月 31 日現在

第 14 期 ( 平成 30 年 3 月期 ) 決算公告 平成 30 年 6 月 21 日 東京都港区白金一丁目 17 番 3 号 NBF プラチナタワー サクサ株式会社 代表取締役社長 磯野文久

前期に販売した商品を当期に修理する場合 前期末に設定した商品保証引当金を取り崩 す つまり借方に商品保証引当金を 50,000 計上する 差額の 30,000 は商品保証費とする (3) 資本金 資本準備金の問題当座預金に払い込まれた金額は次のように計算される 2,000 株 4,000 = 8,0

科目印収納科目一覧

第 32 期 計算書類 自 至 2018 年 4 月 1 日 2019 年 3 月 31 日 株式会社 NHK グローバルメディアサービス

2018 年度 (2019 年 3 月 31 日現在 ) 貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 科 目 金額 科 目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 現金及び預貯金 1,197,998 保険契約準備金 908,017 預貯金 1,197,998 支払備金 2,473 有価証券 447,49

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貸借対照表 (2018 年 3 月 31 日現在 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) Ⅰ. 流動資産 8,741,419 千円 Ⅰ. 流動負債 4,074,330 千円 現 金 預 金 5,219,065 未 払 金 892,347 受 取 手 形 3,670 短

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平成22年5月17日

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

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貸借対照表 ( 平成 30 年 12 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 資 産 の 部 負 債 の 部 流 動 資 産 7,957,826 流 動 負 債 5,082,777 現 金 及 び 預 金 2,678,514 支 払 手 形 1,757,477

貸借対照表 ( 平成 29 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 百万円 ) 科目金額科目金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,003 流動負債 679 現金及び預金 1,567 買掛金 333 受取手形 121 リース債務 2 売掛金 967 未払金 192 商品及び製品

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

第142回日商簿記3級 第1問 仕訳問題類題 問題・解答・解説セット

損益計算書 科目 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで 金額 ( 単位 : 百万円 ) 売上高 2,792 売上原価 2,219 売上総利益 572 販売費及び一般管理費 371 営業利益 201 営業外収益受取利息及び配当金 481 その他 営業外費用

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

[ テキストを入力 ] 貸借対照表 ( 平成 28 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 ( 資 産 の 部 ) ( 負 債 の 部 ) 流 動 資 産 54,445,301 流 動 負 債 49,249,578 現 金 及 び 預 金 3,101,2

新規文書1

目次 第 8 章 商品売買 第 1 節 三分割法 8-2 第 2 節 付随費用 8-4 第 3 節 返品と値引き 8-8 第 4 節 仕入帳と売上帳 8-11 第 5 節 売掛金元帳と買掛金元帳 8-13 第 6 節 人名勘定 8-19 第 7 節 商品有高帳 8-21 第 8 節 分記法 8-33

[2] のれんの発生原因 企業 ( または事業 ) を合併 買収する場合のは 買収される企業 ( または買収される事業 ) のおよびを 時価で評価することが前提となります またやに計上されていない特許権などの法律上の権利や顧客口座などの無形についても その金額が合理的に算定できる場合は 当該無形に配

科目 期別 損益計算書 平成 29 年 3 月期自平成 28 年 4 月 1 日至平成 29 年 3 月 31 日 平成 30 年 3 月期自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ( 単位 : 百万円 ) 営業収益 35,918 39,599 収入保証料 35,765 3

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第 2 期 ( 平成 29 年度 ) 計算書類 自 : 平成 29 年 1 月 1 日 至 : 平成 29 年 12 月 31 日 楽天 Edy 株式会社

第 146 回日商簿記 3 級解答解説実教出版株式会社 第 146 回簿記検定試験問題解答 解説 第 1 問 解答 仕 借方科目金額貸方科目金額 訳 1 2 仕 入 502,000 受 取 手 形 500,000 現 金 2,000 備品減価償却累計額 300,000 備 品 400,000 未 収

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NPO法人会計基準の改正に関するポイント解説

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第11期決算公告

会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(計算書類及び連結計算書類)新旧対照表

株主資本等変動計算書 ( 自平成 27 年 4 月 1 日至平成 28 年 3 月 31 日 ) 株主資本 評価換算差額等 ( 単位 : 千円 ) 資本剰余金 利益剰余金 資本金 資本準備金 その他資本剰余金 合計 利益準備金 その他利益剰余金繰越利益剰余金 合計 株主資本合計 その他有価証券評価差

第54期決算公告

Transcription:

第 3 章個別論点 P09 4. 債権 債務 近年の実務取引を試験問題に反映させるために 平成 28 年度から次の2 項目が日商 2 級の試験範囲に 加えられました (1) クレジット売掛金 クレジットカード払いで商品を販売した場合 売上代金は 商品購入者からではなく クレジット会社から受け取ることになります その際 販売代金の3~5% の手数料を控除した金額がクレジット会社から振り込まれることになります 当社の店舗 クレジット会社 10,000 円の販売報告 10,000 円の購入報告 商品購入者の銀行口座 9,500 円の支払い 10,000 円の支払い当店 : 1 商品 10,000 円を販売した なお クレジットカード払いによる販売で カード会社への手数料は5% である クレジット決済の場合は 顧客に対する売掛金ではなく カード会社への売掛金となります 当店 : 2 クレジット会社から手数料 5% を差し引いた残額が当座預金口座に振り込まれた (2) 電子記録債権電子記録債権は 中小企業等事業者の資金調達の円滑化等を図ることを目的に 電子記録債権法 (2008 年 12 月施行 ) により創設された 新しい類型の金銭債権です 電子記録債権は 電子債権記録機関の記録原簿への電子記録をその発生 譲渡等の要件としています 電子記録された債権は 手形と同様に他に譲渡することができます 1 A 商店に対する売掛金 10,000 円につき 電子債権記録機関に電子債権の記録を行った 2 電子債権のうち 6,000 円を仕入債務の支払いに充てた 3 電子債権のうち 4,000 円の支払期日が到来し 普通預金口座に振り込まれた 4 買掛金 8,000 円につき 電子債権記録機関に電子債権の記録が行われた旨の通知を受けた - 39 -

第 3 章個別論点 P10 5. 企業結合企業結合とは 別々の企業が1つの会計単位に統合することをいいます 2 級では 他の企業と統合する際に その企業の株主からお金で買い取るケース ( 事業譲受 ) と自社の株式を交付するケース ( 吸収合併 ) を学習します 5-1 事業譲受 事業譲受の仕訳 実質的な時価 800 万円の企業を 900 万円で買収した場合 ( 借 ) 諸資産 880 万円 ( 貸 ) 諸負債 80 万円のれん 100 万円当座預金 900 万円事業譲受では 企業の所有者 ( 株主 ) から企業をお金で買い取ります 実質的な時価である 800 万円よりも 100 万円も高い金額で買収したのは この被買収企業の価値は 時価を 100 万円超えている と判断されたためです 被買収企業には 資産の処分時価では測ることのできないブランド力 優良顧客 あるいは質の高い従業員といったものがあり これらに資産価値を認めたため 100 万円も余分に支払ったわけです これは 被買収企業には 実体のある資産の他にも 超過収益力 という資産があり この 超過収益力 の取得原価が 100 万円だったことを意味します 会計では この100 万円を のれん という勘定科目で資産計上します ( 注 1) のれんは 20 年以内に規則的に償却 ( 直接法 ) します ( 注 2) のれんは借方に資産計上される場合がほとんどですが 貸方に計上される場合は 負ののれん発生益 として特別利益に計上します 設例 5 事業譲受 次の資料に基づいて 企業買収に関する仕訳を行いなさい 1. 当期首において 次のような財政状態にあるC 社を現金 10,000,000 円で買収した 貸借対照表 商 品 2,000,000 買掛金 800,000 土 地 7,500,000 資本金 5,000,000 繰越利益 3,700,000 9,500,000 9,500,000 2. 商品 土地 買掛金の時価はそれぞれ 900,000 円 9,500,000 円 800,000 円であった 3. のれんは 計上事業年度の翌年から5 年で均等償却する 事業譲受の仕訳の最大のポイントは 諸資産及び諸負債について 時価 を利用して評価することです 従って 与えられる簿価ベースの資料は利用しません また のれんは 計上事業年度の翌年から とありますので 当期に償却する必要はありません のれんを償却させる問題では 必ず指示が与えられるので それに従うようにして下さい 事業譲受の仕訳 実質的な時価 960 万円の企業を 1,000 万円で買収した場合 ( 借方 ) ( 貸方 ) 本問では 合併資産の時価は純額で 960 万円 (= 商品 90 万円 + 土地 950 万円 - 買掛金 80 万円 ) です これを 1,000 万円で買収しました つまり 時価よりも 40 万円高い値段で購入したことになり この部分が のれん になります - 40 -

第 3 章個別論点 P11 5-2 吸収合併 先程学習した事業譲受では 他の企業の株主から企業をお金で買い取りました これに対し お金ではなく 被買収企業の株主に株式を発行するのが 吸収合併 です 事業譲受との相違は お金ではなく 株式を発行するという点だけです 設例 6 吸収合併 1 次の資料に基づいて 吸収合併に関する仕訳を行いなさい 1. 当期首において 次のような財政状態にあるC 社を吸収合併し 1 株あたり 50,000 円の株 式 200 株を交付した なお 1 株につき 30,000 円を資本金とし 残額は資本準備金とする 貸借対照表 商 品 2,000,000 買掛金 800,000 土 地 7,500,000 資本金 5,000,000 繰越利益 3,700,000 9,500,000 9,500,000 2. 商品 土地 買掛金の時価はそれぞれ 900,000 円 9,500,000 円 800,000 円であった 吸収合併の仕訳 実質的な時価 960 万円の企業を 1,000 万円で吸収合併した場合 ( 借方 ) ( 貸方 ) 設例 7 吸収合併 2 次の資料に基づいて 当期の費用計上額を計算しなさい 1. 前期末において 次のような財政状態にあるC 社を吸収合併し 1 株あたり50,000 円の株式 200 株を交付した なお 1 株につき30,000 円を資本金とし 残額は資本準備金とする 貸借対照表 ( 単位 : 千円 ) 商 品 2,000 買掛金 800 建 物 9,500 資本金 5,000 2,000 7,500 繰越利益 3,700 9,500 9,500 2. 商品 建物 買掛金の時価はそれぞれ 900,000 円 9,500,000 円 800,000 円であった 3. 建物については 合併前と同様に耐用年数 10 年 残存価額ゼロ 定額法で減価償却する 4. のれんは 計上事業年度の翌年から 5 年で均等償却する のれん は 設例 6と同じく 400,000 円です 当期の費用 = のれん償却額 400,000 円 5 年 + 減価償却費 9,500,000 円 10 年 = 1,030,000 円 - 41 -

第 3 章個別論点 P12 6. 無形固定資産 無形固定資産とは 長期にわたり企業の収益獲得に貢献する資産のうち 具体的な物財として の実体をもたない資産をいいます 無形固定資産には 次のようなものがあります 項 目 意 義 具 体 例 償却期間 特 許 権 新規 あるいは進歩性のある発明を独占的に実施できる権利 8 年 実用新案権 物品の形状 構造 組み合わせに係る考案を独占的に使用する権利 5 年 商 標 権 商標 (ex. レクサスの文字 ) を独占的に使用する権利 10 年 借 地 権 建物の所有を目的とする地上権又は土地賃借権 償却しない の れ ん 企業の持っている超過収益力に対して支出した額 20 年以内 償却期間を暗記する必要はありません 設例 8 無形固定資産 ~ 商標権 次の資料に基づいて 商標権の取得時 及び償却時の仕訳を示しなさい 1. FIN 株式会社は 自社のロゴの作成 商標登録に関する一切の業務をC 社に依頼した C 社より商標の登録が完了したとの連絡を受け C 社からの請求額 600,000 円について小切手を振出して支払った 2. 決算整理において 商標権を 10 年で償却 ( 定額法 ) することにした 商標権の取得日は 3 年 4 月 1 日 決算日は 3 年 12 月 31 日である 商標権取得時の仕訳 1. ( 借方 ) ( 貸方 ) 商標権償却時の仕訳 2. ( 借方 ) ( 貸方 ) 9 ヶ月取得原価 600,000 円 = 45,000 円 12 ヶ月 10 年 - 42 -

第 3 章個別論点 P13 7. 税金 株式会社が納付する主な税金は 法人税 住民税 事業税 及び消費税です このうち 法人税 住民税 及び事業税は まとめて 法人税等 とします いずれの税金も税額の計算を要求されることはなく 税額は資料に与えられるので どのようなタイミングで どのような内容の仕訳を行うのかを学習していきます 7-1 法人税等 法人税 住民税 及び事業税 ( 以下 法人税等 ) は 会社の所得 ( 利益 ) に課せられる税金です 当期の所得に課せられる法人税等について 時系列に従って仕訳の内容を学習します 当会計年度 4/1 2 ケ月 9/30 2 ケ月 3/31 2 ケ月 5/31 株主総会 1 前期分確定申告 2 中間納付 3 決算で法人税等を未払計上 4 当期分確定申告 未払 当ヨ 仮払 当ヨ 法人税等 仮払法人税等 6,000 未払 当ヨ 法人税等 7,000 法人税等 6,000 15,000 未払法人税等 9,000 法人税等 9,000 1 2 前期分の確定申告を行い 未払法人税等 7,000 円を小切手を振り出して支払った 前期末の貸借対照表の負債の部に未払法人税等が 7,000 円計上されている場合に これを当期の 5/31までに納付することになります 当期の中間申告を行い 法人税等 6,000 円を小切手を振り出して支払った 法人税等は2 回に分けて納税することになっています 当期の所得がまだ確定していませんので この段階では仮払処理しておきます いくら納税するかというと たとえば 前期の年税額が 12,000 円であったとすると その半分の 6,000 円を仮払いしておくことになります 3 決算において法人税等 15,000 円が確定した 法人税との計算は 株主総会で 確定した決算 に基づいて行われます たとえば 株主総会で確定した決算から当期の所得が 50,000 円と計算されたとします 税率が 30% だとすると 法人税等の年税額は 50,000 円 30%= 15,000 円になります このうち 6,000 円は中間納付してありますから 当年度末に未納付額として未払計上すべき金額は 9,000 円と計算されます 会社の別表 4 会社の所得別表 1 年税額 税引後利益で調整 50,000 円で計算 15,000 円 6,000 円は納税済み 9,000 円を未払計上 4 法人税等の確定申告を行い 未払分 9,000 円を小切手を振り出して支払った 法人税等は 決算日より 2 ヶ月以内に確定申告し 納税することになっています - 43 -

第 3 章個別論点 P14 7-2 消費税 消費税は 最終消費者が全額を負担し 事業者が納税するという仕組みを取っています 消費税も法人税と同様に 納税者が自ら申告して納税する 申告納税方式をとっていて 中間納付の制度もありますが 2 級では消費税の中間納付は問われないようです 消費税の仕組み ( 消費税率 10% の場合 ) 原始産業 A 社が敷地内に自生している薬草を製薬会社 B 社に 110 円で販売した場合 A 社は10 円の消費税を預ってこれを納付します B 社は薬草を原料として薬を生産し これを小売業 C 社に 880 円で販売しています この場合 B 社は 預かった消費税 80 円 から 支払った消費税 10 円 を控除した70 円を納付します 次に C 社は 880 円で仕入れた薬を最終消費者に1,100 円で販売し 最終消費者から100 円の消費税を預かります そして C 社は 預かった消費税 100 円 から 支払った消費税 80 円 を控除した 20 円を納付します 原料 100 円薬 800 円薬 1,000 円原始産業製薬会社小売業最終 A 社 B 社 C 社消費者 110 円 880 円 1,100 円 預かった消費税 円 円 円 円 支払った消費税 円 円 円 円 納付する消費税 円 円 円 円 負担した消費税 円 円 円 円 A 社 B 社 C 社はそれぞれ 預かった消費税 を源泉として消費税を納付しているため 懐は痛みません 結局 各事業者が納付した 10 円 +70 円 +20 円 = 100 円の消費税は その全額を最終消費者が負担したことになります 製薬会社 B 社の消費税に関する仕訳は以下の様になります 税込経理税抜経理 1 原料の仕入仕入 110 / 買掛金 110 2 製品の販売売掛金 880 / 売上 880 3 決算時租税公課 70 / 未払消費税 70 仕 入 100 買掛金 110 仮払消費税 10 売掛金 880 売 上 800 仮受消費税 80 仮受消費税 80 仮払消費税 10 未払消費税 70 4 納付時未払消費税 70 / 現金 70 未払消費税 70 / 現金 70 この場合 どちらの経理方式でも 会社の損益や納税額は同じになります - 44 -