梢の発生が期待できるよう9月には必ず仕上げ摘果を徹底し 適正葉果比に仕上げましょう 着果量が中庸以上の樹では早生温州では9月中 普通温州では10 月上旬までに行いましょう(表2) ⑴着果過多樹着果量が多く肥大が悪い樹は 商品性の低い小玉果や傷果 病害虫被害果を中心に早急に

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隔年結果

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2 カンキツの摘果 夏秋梢伸長抑制剤 1. 使用薬剤 ターム水溶剤 ( 1-ナフタレン酢酸ナトリウム 22%) 2. 対象品種 カンキツ 3. 対象樹 樹勢の安定した樹 ( 健全樹 ) 対象品種 使用時期 使用目的 使用方法 一次生理落果発生期 立木全面散布 摘果 温州ミカン ( 満開 10~ 20

カンキツ栽培の問題点と技術的対策 新崎正雄 比嘉淳 ( 沖縄県農試名護支場 ) MasaoArasakiandAtsushiHiga:Problemofthecitruscultivationandtechnicalcountermeasure. I カンキツの生産状況本県におけるカンキツ類の生産量

から1月下旬から2月上旬です 収穫が遅くなると陽光面が回青して淡黄色くなることから遅れないようにします 収穫後は4%程度の予措をした後 中晩柑の貯蔵管理をします 3 土壌管理1月から2月は土壌改良を実施する時期です 土壌条件が悪く夏季に強い乾燥をうけると虎班症の発生原因とな

強い乾燥をうけるとこはん症の発生原因となりますので例年こはん症が発生する園では土壌改良をします ⑴土壌pHの改良土壌の最適pHは5.5~6.5です 苦土石灰施用後数年経過すると酸性になりますので何年も施用していない園では本年は施用しましょう 葉の縁がチョコレート色の斑点が発

Ⅲ-2-(1)施設野菜

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試験中 試験中 試験中 12 月下旬 試験中 試験中 試験中 12 月下旬 試験中 試験中 試験中 1 月中旬 試験中 試験中 試験終了 12 月中旬 試験中 試験中 試験中 1 月上旬 試験中 試験中 試験中 1

カンキツの土づくりと樹勢回復対策 近年高品質果実生産のために カンキツ類のマルチ栽培や完熟栽培など樹体にストレスをかける栽培法が多くなっています それにより樹体への負担が大きく 樹勢が低下している園地が増えています カンキツ類を生産するうえで樹が適正な状態であることが 収量の安定とともに高品質生産の

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1 著者が長い間研究してきた核果類(モモ スモモ オウトウ)のうち スモモとオウトウは結実が不安定で いかに安定して結実させるかが大きな課題になっている これに対し モモの結実確保は比較的容易だが 食味のばらつき を指摘されることが多い 品質の揃った果実を安定してとる モモではこれが課題であり 実現

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H25 農作物技術情報第5号 果樹(H )


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果樹の生育概況



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Microsoft Word - ビワ、~1

p1_10月月報用グラフ

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Microsoft Word - cap4-2013chugoku-hirosima

Ⅰ 収穫量及び作柄概況 - 7 -

スライド 1


281003(最終)台風18号対策.doc

今後の管理のポイント [懸案事項] ①早期作型における2番花 房の花芽分化遅延 ②炭そ病とハダニ類の発生 拡大 [対策] ①寒冷紗を被覆して 花芽分化を誘導する 2番花房 の花芽分化を確認して被覆を除去する 被覆期間の目安 9月25 10月20日 ②定期的に薬剤による防除を行う 特に葉かぎ後の 葉か



2 ( 178 9)

ジベレリン協和液剤 ( 第 6006 号 ) 2/ 年 6 月 13 日付け 25 不知火 はるみ 3 回以内 水腐れ軽減 0.5 ~1ppm 500L/10a 着色終期但し 収穫 7 日前まで 果実 ぽんかん 水腐れ軽減 0.5ppm 500L/10a 着色始期 ~4 分

281


作業別の留意事項 ここに紹介します留意事項は りんごを栽培する際に特に留意すべき内容を列記したものです また 栽培方法によっては該当しない内容も含まれます 実際の栽培にあたっては 地域の普及指導センターや JA 等に問い合わせいただき 園地条件や品種に適した施肥設計 栽培方法等に基づき栽培してくださ

PowerPoint プレゼンテーション

H23 農作物技術情報 第5号 果樹(H )

バンカーシート 利用マニュアル 2017年版(第一版)


2

⑴ ⑵ ⑶


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平成の主な気象災害

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果樹の生育概況

平成19年度事業計画書

Microsoft Word 予報第9号

スプレーストック採花時期 採花物調査の結果を表 2 に示した スプレーストックは主軸だけでなく 主軸の下部から発生する側枝も採花できるため 主軸と側枝を分けて調査を行った 主軸と側枝では 側枝の方が先に採花が始まった 側枝について 1 区は春彼岸前に採花が終了した 3 区 4 区は春彼岸の期間中に採

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大型の捕虫網 ( 径 42cm) を使用し 1 地区 5 地点の払い落し法により調査する 越冬後の5~6 月の指標植物としては結実しているクワ サクラ ヒイラギ及び開花中のミカン 新梢伸長中のキリが適しており また 新成虫が出現する7 月以降の好適な指標植物として結実したスギ ヒノキ サワラ ヒイラ

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本日のお話 つなぐことの意味 技術の効果 ( 第一期実用技術開発事業 ) 現地実証と産地への実用化 適用樹種拡大研究への発展 更なる共同研究 実用化に向けて


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付図・表

新梢では窒素や燐酸より吸収割合が約 2 分の1にまで低下している カルシウム : 窒素, 燐酸, カリとは異なり葉が52% で最も多く, ついで果実の22% で, 他の部位は著しく少ない マグネシウム : カルシウムと同様に葉が最も多く, ついで果実, 根の順で, 他の成分に比べて根の吸収割合が高い

26愛媛の普及原稿 軽 Ⅱ

H26 中予地方局産業振興課普及だより 新技術情報 -1 いちご新品種 紅い雫 ( あかいしずく ) 1. 紅い雫 の来歴県農林水産研究所が育成したいちご新品種 紅い雫 は あまおとめ ( 母親 ) 紅ほっぺ ( 父親 ) の交配により誕生し 平成 26 年 6 月 25 日に品種登録出願されました

果樹の生育概況

11 表 1 平成 5 野菜の 1a 当たり収量 及び ( 全国 ) 計 1 a 当たり収量 対前比 1 a 当たり収量 ( 参考 ) 対平均収量比 481,1 1,551, 11,451, 99 nc nc 根 菜 類 169,5 5,144, 4,6, 98 nc nc

03クリの低樹高仕立て.indd

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Transcription:

2016. 9 10 11 カンキツ本年の生育概況本年産は 温州みかん 中晩柑ともに豊作傾向であり 5月の高温で一次生理落果が多くなりましたが 二次生理落果は少なく推移し 生理落果終了後も着果量の多い豊作傾向となりました 果実品質は 開花が早かったこと 6月に記録的な降雨があったことで肥大が旺盛となりましたが 7月以降は降雨の少ない乾燥状態が継続しており 肥大が鈍っている傾向です 病害虫の発生状況は 特にダニ類の発生が多い傾向で 日ヤケ果も見られはじめています 8月20 日時点での府中果樹研究所の調査データでは 極早生温州 早生温州 普通温州ともに糖度は平年より高く 肥大は極早生温州 早生温州で平年より小さく 普通温州で平年より大きい傾向となっています 中晩柑は 果実肥大が平年より大きくなっています(表1) 潅水について7月からの高温乾燥の影響で 平年より糖度が高く推移していますが 長期的に乾燥しているため巻葉や旧葉の落葉が見受けられている園地も多くなっています 温州みかんは品質向上の面から夏秋季の乾燥は好ましいですが 激しい乾燥が長期に及ぶと 果実の肥大 減酸が抑制され キク症状等が助長され さらには果実の落果 樹体の枯死に至ることもあります 朝でも巻葉が直らないような過度の乾燥状態になった場合は直ちに潅水を実施しましょう 健全な樹体で9月上旬までに乾燥処理ができた場合は 9月中に積極的な潅水を実施し 果実肥大 減酸を促しましょう(図1) 中晩柑類は大玉果生産のため着果量を見直すとともに肥大期では7~10 日毎に20 ~30 mmを潅水します 特に 不知火 はるみ等は夏秋季の乾燥により酸高果になりやすいので潅水を優先させましょう 1 温州みかんの摘果まずは温州みかんの園地確認を 本年産は豊作傾向であり 樹冠上部摘果や枝別部分摘果などの実施によって隔年結果是正対策を行ってきたと思います 早生以降の品種について 次年産の着花を確保するために 園地の着果状況を確認し 摘果不足とならないよう適正着果を心掛け 安定生産へ誘導させましょう 夏季が乾燥傾向であったため 摘果が十分に実施できていない園地は小玉 酸高傾向となり 隔年結果の原因となります 仕上げ摘果豊作樹では 仕上げ摘果が次年産の着花確保の最後のチャンスです 次年産での安定した着花と適度な新1 水分ストレスが弱の状態 2 水分ストレスが中の状態 ( 朝 巻葉が戻れば適度の乾燥状態 ) 3 水分ストレスが強の状態 ( 過乾燥状態 潅水必要 ) 図 1 水分ストレスによる葉の状況 ( 温州みかん ) 表 1 府中果樹研究所における果実品質の推移 (8/20 時点 ) 区分本年値 (H28) 平年値品種果径 (mm) 糖度 (Brix% ) クエン酸 (%) 果径 (mm) 糖度 (Brix% ) クエン酸 (%) 極早生温州 ( 日南 1 号 ) 44.2 11.6 2.22 48.6 9.2 2.84 早生温州 ( 興津早生 ) 42.2 11.2 2.75 47.4 8.6 3.19 普通温州 ( 青島温州 ) 50.0 11.4 3.81 46.6 9.7 3.57 中晩柑 ( 不知火 ) 59.0 54.4

2016. 9 10 12 梢の発生が期待できるよう9月には必ず仕上げ摘果を徹底し 適正葉果比に仕上げましょう 着果量が中庸以上の樹では早生温州では9月中 普通温州では10 月上旬までに行いましょう(表2) ⑴着果過多樹着果量が多く肥大が悪い樹は 商品性の低い小玉果や傷果 病害虫被害果を中心に早急に摘果をして果実肥大を促します ⑵着果量が中庸以上の樹8月下旬~9月に 見残し果の摘果と 大玉果 小玉果 傷果等を除いて 着果枝で適正葉果比になるよう摘果します 上向きの大玉の有葉果を摘果すると 果梗枝から新梢が発生し 樹勢が強くなり残った果実の品質が悪くなるため はさみで果梗枝から剪除するか 樹上選果で対応します また 樹冠上部摘果を実施している場合は 下垂枝上の小玉果 キズ果 着色の薄い内なり果などを重点的に見直し摘果を行います いずれも 商品性の高い中玉果を生産できるよう 肥大曲線を参考に果実肥大の状況も確認しましょう(図2 3) ⑶着果量の少ない樹不作樹ではなく 着果の少ない樹は 肌が粗く果梗の太い果実が着果している場合が多いです 着果の少ない果実の品質を高めるために 数個着果している単位でねん枝をして 枝を弱らせます その後 10 月中旬頃から樹上選果を兼ねて大玉果 腰高果 キズ果等を摘果します ⑷不作樹不作樹は秋芽の発生による過肥大や着色の遅れ 糖度不足による品質の低下を防ぐために 摘果時期を遅らせて9月以降の仕上げ摘果を行うか 10 月中旬に大玉果を中心に樹上選別とします ⑸後期重点摘果前号でも触れましたが 後期重点摘果は着果負担がかかることで 葉の光合成が活発になり その後 果汁に光合成生産物が多く蓄積し始める時期に摘果を徹底することで残した果実に多く分配し 品質を向上させる技術です 果皮に光沢が見られる9月中旬頃に実施し 最終葉果比(約25 枚)になるよう商品性の低い果実を中心に徹底的に摘果を行います しかし この技術は仕上げ摘果の適期が短いため実施面積にも限りがあります 着果量を多く残しているため 仕上げ摘果が遅れると小玉となるうえ 隔年結果が助長される場合があります 摘果後 落果果実が大きく派手になりますが 必ず摘果を行いましょう 2 中晩柑の仕上げ摘果中晩柑は 大玉で品質の高い果実に仕上がるよう 着果量の見直しを行い 小玉果やキズ果等を摘果し 適正葉果比を目標に仕上げを行います(表3 4) また 枝数が多く 枝混みにより日照不足となり 着色不良となりやすい場合は枝抜きをするなど果実に日光が当たりやすい環境づくりを行いましょう 3 品質向上対策⑴マルチ栽培マルチ栽培は糖度の上昇や着色促進に効果があります タイベックマルチのような透湿マルチの場合は 図 2 早生温州の時期別果実横径の目安図 3 普通温州の時期別果実横径の目安 表 2 適正葉果比の目安品種極早生温州早生 中生温州普通温州葉果比約 20 枚約 25 枚約 25 枚 新梢発生の少ない樹は 30 枚程度

2016. 9 10 13 土壌に多少の湿り気があっても被覆できますが 透湿マルチでない場合は 土壌が乾燥してから被覆する必要があるため 土壌の状態を確認しましょう 降雨時の排水には十分注意しなければなりませんが 過度の乾燥にならないように巻葉が発生する前に潅水を行いましょう(図1) 特に小原紅早生は 外観に見合う果実品質に仕上げるため 極端にクエン酸が高くない限りは マルチ栽培により余分な降雨を遮断し 品質向上を図り 収益性の高い果実生産を徹底しましょう 収穫時の糖度計示度を高めるためには 糖度が最も上昇する時期(9月上旬まで 10 月~収穫まで)には樹体にストレスを与え 収穫時のクエン酸濃度を高くしないためには 増糖がゆるやかになり 減酸が最も進む時期(9月中)には積極的に潅水し ストレスを与えないことが重要です(図4) ⑵浮皮軽減対策 熟期促進秋の天候によっては浮皮の発生が毎年懸念されます そのため 着色期までにカルシウム剤(カルタス500倍など)を20 日間隔で3回程度(7月~9月)散布を行います 長期貯蔵を行う普通温州では 浮皮軽減のためジベレリンとジャスモメート液剤を使用基準に従い混合して散布しましょう ただし 散布時期や濃度によって着色遅延 緑斑を生じることがありますので 注意しましょう(表5) また 新葉が発生した樹勢の良い樹で 蛍尻期にフィガロン乳剤(3000倍)を15 日間隔で2回散布も効果的で糖度の上昇や着色促進も期待できます ただし 根の活動を阻害するため 樹勢の弱い樹での使用は控えましょう 表 3 中晩柑の時期別果実横径の目安 (L 玉 : mm ) 品種 9 月 10 月 1 日 10 日 20 日 1 日 10 日 20 日いよかん 56 60 64 67 71 74 ネーブル 58 62 65 68 70 71 はっさく 63 67 71 74 77 80 あまなつ 64 68 72 76 80 83 スイートスプリング 45 49 53 56 59 62 不知火 49 53 57 61 65 69 表 4 適正葉果比の目安品種名仕上げ摘果時期平均葉果比いよかん 8 月下旬 ~9 月上旬 100~120 枚に 1 果ネーブル 80~100 枚に 1 果はっさく 80~100 枚に 1 果あまなつ 90~120 枚に 1 果清見 せとか 100~120 枚に 1 果スイートスプリング 100 枚に 1 果不知火 100~120 枚に 1 果図 4 増糖と減酸の模式図 ( 早生温州 ) (%)

2016. 9 10 14

2016. 9 10 15 では副梢の花房を20 ~30 %程度多く残しましょう 中心枝の花房を多く残したほうが収穫期は早くなりますが 寒害を受けやすくなるため 寒害を受けたことがある園地では 注意が必要です(図6) 3 摘らい摘らいには 1摘房と同様に来年の結果枝を確保することにより隔年結果を防止する2開花期間が長くなることにより 寒害からの回避を図る3養分競合を防止し 肥大を促進するといった目的があります 開花前に花数を制限すると 結実を促して果実肥大を助けるとともに 開花期間が延長されることで寒害対策に効果的です 摘らいの時期は 花梗枝が伸長し 花房の側軸がはっきり分離する10 月上中旬が適期です 摘らいが遅れると開花期間が短くなり 逆に寒害を受けやすくなりますので注意しましょう また がんしゅ病対策として はさみで丁寧に実施します(図7) 4 病害虫防除たてぼや症(ビワサビダニ)対策の防除として 11 月中にサンマイト水和剤(3000倍)を散布します 本年の6~7月における降水量や日照時間については 降水量が6月期348.5ミリ(平年比232% 前年比250%) 7月期60 ミリ(平年比41 % 前年比28 %)でありました 日照時間が6月期136.3時間(平年比104% 前年比82 %) 7月期233.4時間(平年比120% 前年比150%)でありました 6月においては 露地品目を中心として 病気が多発し 7月においては 露地品目 施設品目ともに潅水管理に苦労したかと思われます 梅雨明けについては 7月18 日(平年並 前年より6日早い)の梅雨明けとなりました 梅雨明け後は 高温 乾燥傾向で推移しています 台風対策本年について 現状では台風の被害がありませんが 今後台風シーズンを迎えるにあたって台風前後の対策として以下のような対策をしましょう 台風通過前1カキやキウイフルーツ等で成熟期に達している果実は事前に収穫する 2強風に対して防風ネットやハウスの補強を事前に行う また 棚栽培では直管へ誘引することにより枝や棚の揺れの軽減を図る 3集中豪雨の場合でも速やかに排水できるように排水路の点検 整備を行う 停滞水に弱い核果類やキウイフルーツでは特に注意しましょう 図 7 ビワの摘らい方法 図 6 ビワの摘房

16 2016. 9 1016

2016. 9 10 17

の 指 示 に 従 っ て く だ さ い 収 穫 時 期 月 上 旬 か ら で す 9 月 下 旬 に は 新梢管理 夏 枝 秋 枝 と い っ た 二 次 伸 長 し た 徒長的新梢を放置しておくと結果部 は 除 袋 し て 軟 腐 病 の 防 除 を し て お き の 日 照 が 悪 く な り 果 実 肥 大 や 芽 の 充 実 を 妨 げ る ほ か 風 通 し も 悪 く な ます 本年については 軟腐病の発生 が予想されますので防除の徹底をお 析の結果をもとに各集荷場の指示に 枝管理 台風対策にも繋がります る よ う に し ま す 支 柱 を す る こ と で て ひ も で 釣 り 上 げ 健 全 な 生 育 と な き て い る 場 合 に は 竹 な ど 支 柱 を し 果実の重みで亜主枝などが垂れて ブドウ 収穫 ⑴ 収穫後の枝管理 施設栽培の園地では8月に収穫が 終わり 夏秋梢が伸びます 放置する ことにより結果母枝の充実が悪く な り 来 年 春 の 発 芽 不 揃 い や 花 穂 の 質が悪くなることから緑化していな い副梢は発生の都度随時かぎ取りま す カキ 見直し摘果 写真2 日焼けの酷いものや大きい傷は摘 果します また 果実が接している場 合にはカイガラムシがついたりしま すので摘果します カキ摘果 写真2 果をもとに収穫します 従って等級区分のための果実分析結 枝を基部から除去します 枝 が 密 生 し て い る 場 合 に は 徒 長 り 病害虫発生の原因となります 月上旬です 特 願いします 香緑 ヘイワードの収穫 時期は 月下旬 11 選品を設定している産地では果実分 10 香川県農業協同組合 弦打支店 仕事について 金融と女性部を担当して います お客様になんでも相談し ていただける職員を目指し 笑顔で丁寧な接客を心がけ ています 将来の夢 いつか寝台列車に乗って 旅行がしてみたいです 趣味 旅行に行くことです 現在は 友人とディズ ニーランドと温泉への旅行 を計画しています 宮西 智子さん くだものについて 季節の果物を朝食で食べ るようにしています 特にみかん ナシ ブドウ が 好 き な た め こ れ か ら の 季節がとても楽しみです 18 9 10 2016. 10