2016. 9 10 11 カンキツ本年の生育概況本年産は 温州みかん 中晩柑ともに豊作傾向であり 5月の高温で一次生理落果が多くなりましたが 二次生理落果は少なく推移し 生理落果終了後も着果量の多い豊作傾向となりました 果実品質は 開花が早かったこと 6月に記録的な降雨があったことで肥大が旺盛となりましたが 7月以降は降雨の少ない乾燥状態が継続しており 肥大が鈍っている傾向です 病害虫の発生状況は 特にダニ類の発生が多い傾向で 日ヤケ果も見られはじめています 8月20 日時点での府中果樹研究所の調査データでは 極早生温州 早生温州 普通温州ともに糖度は平年より高く 肥大は極早生温州 早生温州で平年より小さく 普通温州で平年より大きい傾向となっています 中晩柑は 果実肥大が平年より大きくなっています(表1) 潅水について7月からの高温乾燥の影響で 平年より糖度が高く推移していますが 長期的に乾燥しているため巻葉や旧葉の落葉が見受けられている園地も多くなっています 温州みかんは品質向上の面から夏秋季の乾燥は好ましいですが 激しい乾燥が長期に及ぶと 果実の肥大 減酸が抑制され キク症状等が助長され さらには果実の落果 樹体の枯死に至ることもあります 朝でも巻葉が直らないような過度の乾燥状態になった場合は直ちに潅水を実施しましょう 健全な樹体で9月上旬までに乾燥処理ができた場合は 9月中に積極的な潅水を実施し 果実肥大 減酸を促しましょう(図1) 中晩柑類は大玉果生産のため着果量を見直すとともに肥大期では7~10 日毎に20 ~30 mmを潅水します 特に 不知火 はるみ等は夏秋季の乾燥により酸高果になりやすいので潅水を優先させましょう 1 温州みかんの摘果まずは温州みかんの園地確認を 本年産は豊作傾向であり 樹冠上部摘果や枝別部分摘果などの実施によって隔年結果是正対策を行ってきたと思います 早生以降の品種について 次年産の着花を確保するために 園地の着果状況を確認し 摘果不足とならないよう適正着果を心掛け 安定生産へ誘導させましょう 夏季が乾燥傾向であったため 摘果が十分に実施できていない園地は小玉 酸高傾向となり 隔年結果の原因となります 仕上げ摘果豊作樹では 仕上げ摘果が次年産の着花確保の最後のチャンスです 次年産での安定した着花と適度な新1 水分ストレスが弱の状態 2 水分ストレスが中の状態 ( 朝 巻葉が戻れば適度の乾燥状態 ) 3 水分ストレスが強の状態 ( 過乾燥状態 潅水必要 ) 図 1 水分ストレスによる葉の状況 ( 温州みかん ) 表 1 府中果樹研究所における果実品質の推移 (8/20 時点 ) 区分本年値 (H28) 平年値品種果径 (mm) 糖度 (Brix% ) クエン酸 (%) 果径 (mm) 糖度 (Brix% ) クエン酸 (%) 極早生温州 ( 日南 1 号 ) 44.2 11.6 2.22 48.6 9.2 2.84 早生温州 ( 興津早生 ) 42.2 11.2 2.75 47.4 8.6 3.19 普通温州 ( 青島温州 ) 50.0 11.4 3.81 46.6 9.7 3.57 中晩柑 ( 不知火 ) 59.0 54.4
2016. 9 10 12 梢の発生が期待できるよう9月には必ず仕上げ摘果を徹底し 適正葉果比に仕上げましょう 着果量が中庸以上の樹では早生温州では9月中 普通温州では10 月上旬までに行いましょう(表2) ⑴着果過多樹着果量が多く肥大が悪い樹は 商品性の低い小玉果や傷果 病害虫被害果を中心に早急に摘果をして果実肥大を促します ⑵着果量が中庸以上の樹8月下旬~9月に 見残し果の摘果と 大玉果 小玉果 傷果等を除いて 着果枝で適正葉果比になるよう摘果します 上向きの大玉の有葉果を摘果すると 果梗枝から新梢が発生し 樹勢が強くなり残った果実の品質が悪くなるため はさみで果梗枝から剪除するか 樹上選果で対応します また 樹冠上部摘果を実施している場合は 下垂枝上の小玉果 キズ果 着色の薄い内なり果などを重点的に見直し摘果を行います いずれも 商品性の高い中玉果を生産できるよう 肥大曲線を参考に果実肥大の状況も確認しましょう(図2 3) ⑶着果量の少ない樹不作樹ではなく 着果の少ない樹は 肌が粗く果梗の太い果実が着果している場合が多いです 着果の少ない果実の品質を高めるために 数個着果している単位でねん枝をして 枝を弱らせます その後 10 月中旬頃から樹上選果を兼ねて大玉果 腰高果 キズ果等を摘果します ⑷不作樹不作樹は秋芽の発生による過肥大や着色の遅れ 糖度不足による品質の低下を防ぐために 摘果時期を遅らせて9月以降の仕上げ摘果を行うか 10 月中旬に大玉果を中心に樹上選別とします ⑸後期重点摘果前号でも触れましたが 後期重点摘果は着果負担がかかることで 葉の光合成が活発になり その後 果汁に光合成生産物が多く蓄積し始める時期に摘果を徹底することで残した果実に多く分配し 品質を向上させる技術です 果皮に光沢が見られる9月中旬頃に実施し 最終葉果比(約25 枚)になるよう商品性の低い果実を中心に徹底的に摘果を行います しかし この技術は仕上げ摘果の適期が短いため実施面積にも限りがあります 着果量を多く残しているため 仕上げ摘果が遅れると小玉となるうえ 隔年結果が助長される場合があります 摘果後 落果果実が大きく派手になりますが 必ず摘果を行いましょう 2 中晩柑の仕上げ摘果中晩柑は 大玉で品質の高い果実に仕上がるよう 着果量の見直しを行い 小玉果やキズ果等を摘果し 適正葉果比を目標に仕上げを行います(表3 4) また 枝数が多く 枝混みにより日照不足となり 着色不良となりやすい場合は枝抜きをするなど果実に日光が当たりやすい環境づくりを行いましょう 3 品質向上対策⑴マルチ栽培マルチ栽培は糖度の上昇や着色促進に効果があります タイベックマルチのような透湿マルチの場合は 図 2 早生温州の時期別果実横径の目安図 3 普通温州の時期別果実横径の目安 表 2 適正葉果比の目安品種極早生温州早生 中生温州普通温州葉果比約 20 枚約 25 枚約 25 枚 新梢発生の少ない樹は 30 枚程度
2016. 9 10 13 土壌に多少の湿り気があっても被覆できますが 透湿マルチでない場合は 土壌が乾燥してから被覆する必要があるため 土壌の状態を確認しましょう 降雨時の排水には十分注意しなければなりませんが 過度の乾燥にならないように巻葉が発生する前に潅水を行いましょう(図1) 特に小原紅早生は 外観に見合う果実品質に仕上げるため 極端にクエン酸が高くない限りは マルチ栽培により余分な降雨を遮断し 品質向上を図り 収益性の高い果実生産を徹底しましょう 収穫時の糖度計示度を高めるためには 糖度が最も上昇する時期(9月上旬まで 10 月~収穫まで)には樹体にストレスを与え 収穫時のクエン酸濃度を高くしないためには 増糖がゆるやかになり 減酸が最も進む時期(9月中)には積極的に潅水し ストレスを与えないことが重要です(図4) ⑵浮皮軽減対策 熟期促進秋の天候によっては浮皮の発生が毎年懸念されます そのため 着色期までにカルシウム剤(カルタス500倍など)を20 日間隔で3回程度(7月~9月)散布を行います 長期貯蔵を行う普通温州では 浮皮軽減のためジベレリンとジャスモメート液剤を使用基準に従い混合して散布しましょう ただし 散布時期や濃度によって着色遅延 緑斑を生じることがありますので 注意しましょう(表5) また 新葉が発生した樹勢の良い樹で 蛍尻期にフィガロン乳剤(3000倍)を15 日間隔で2回散布も効果的で糖度の上昇や着色促進も期待できます ただし 根の活動を阻害するため 樹勢の弱い樹での使用は控えましょう 表 3 中晩柑の時期別果実横径の目安 (L 玉 : mm ) 品種 9 月 10 月 1 日 10 日 20 日 1 日 10 日 20 日いよかん 56 60 64 67 71 74 ネーブル 58 62 65 68 70 71 はっさく 63 67 71 74 77 80 あまなつ 64 68 72 76 80 83 スイートスプリング 45 49 53 56 59 62 不知火 49 53 57 61 65 69 表 4 適正葉果比の目安品種名仕上げ摘果時期平均葉果比いよかん 8 月下旬 ~9 月上旬 100~120 枚に 1 果ネーブル 80~100 枚に 1 果はっさく 80~100 枚に 1 果あまなつ 90~120 枚に 1 果清見 せとか 100~120 枚に 1 果スイートスプリング 100 枚に 1 果不知火 100~120 枚に 1 果図 4 増糖と減酸の模式図 ( 早生温州 ) (%)
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2016. 9 10 15 では副梢の花房を20 ~30 %程度多く残しましょう 中心枝の花房を多く残したほうが収穫期は早くなりますが 寒害を受けやすくなるため 寒害を受けたことがある園地では 注意が必要です(図6) 3 摘らい摘らいには 1摘房と同様に来年の結果枝を確保することにより隔年結果を防止する2開花期間が長くなることにより 寒害からの回避を図る3養分競合を防止し 肥大を促進するといった目的があります 開花前に花数を制限すると 結実を促して果実肥大を助けるとともに 開花期間が延長されることで寒害対策に効果的です 摘らいの時期は 花梗枝が伸長し 花房の側軸がはっきり分離する10 月上中旬が適期です 摘らいが遅れると開花期間が短くなり 逆に寒害を受けやすくなりますので注意しましょう また がんしゅ病対策として はさみで丁寧に実施します(図7) 4 病害虫防除たてぼや症(ビワサビダニ)対策の防除として 11 月中にサンマイト水和剤(3000倍)を散布します 本年の6~7月における降水量や日照時間については 降水量が6月期348.5ミリ(平年比232% 前年比250%) 7月期60 ミリ(平年比41 % 前年比28 %)でありました 日照時間が6月期136.3時間(平年比104% 前年比82 %) 7月期233.4時間(平年比120% 前年比150%)でありました 6月においては 露地品目を中心として 病気が多発し 7月においては 露地品目 施設品目ともに潅水管理に苦労したかと思われます 梅雨明けについては 7月18 日(平年並 前年より6日早い)の梅雨明けとなりました 梅雨明け後は 高温 乾燥傾向で推移しています 台風対策本年について 現状では台風の被害がありませんが 今後台風シーズンを迎えるにあたって台風前後の対策として以下のような対策をしましょう 台風通過前1カキやキウイフルーツ等で成熟期に達している果実は事前に収穫する 2強風に対して防風ネットやハウスの補強を事前に行う また 棚栽培では直管へ誘引することにより枝や棚の揺れの軽減を図る 3集中豪雨の場合でも速やかに排水できるように排水路の点検 整備を行う 停滞水に弱い核果類やキウイフルーツでは特に注意しましょう 図 7 ビワの摘らい方法 図 6 ビワの摘房
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の 指 示 に 従 っ て く だ さ い 収 穫 時 期 月 上 旬 か ら で す 9 月 下 旬 に は 新梢管理 夏 枝 秋 枝 と い っ た 二 次 伸 長 し た 徒長的新梢を放置しておくと結果部 は 除 袋 し て 軟 腐 病 の 防 除 を し て お き の 日 照 が 悪 く な り 果 実 肥 大 や 芽 の 充 実 を 妨 げ る ほ か 風 通 し も 悪 く な ます 本年については 軟腐病の発生 が予想されますので防除の徹底をお 析の結果をもとに各集荷場の指示に 枝管理 台風対策にも繋がります る よ う に し ま す 支 柱 を す る こ と で て ひ も で 釣 り 上 げ 健 全 な 生 育 と な き て い る 場 合 に は 竹 な ど 支 柱 を し 果実の重みで亜主枝などが垂れて ブドウ 収穫 ⑴ 収穫後の枝管理 施設栽培の園地では8月に収穫が 終わり 夏秋梢が伸びます 放置する ことにより結果母枝の充実が悪く な り 来 年 春 の 発 芽 不 揃 い や 花 穂 の 質が悪くなることから緑化していな い副梢は発生の都度随時かぎ取りま す カキ 見直し摘果 写真2 日焼けの酷いものや大きい傷は摘 果します また 果実が接している場 合にはカイガラムシがついたりしま すので摘果します カキ摘果 写真2 果をもとに収穫します 従って等級区分のための果実分析結 枝を基部から除去します 枝 が 密 生 し て い る 場 合 に は 徒 長 り 病害虫発生の原因となります 月上旬です 特 願いします 香緑 ヘイワードの収穫 時期は 月下旬 11 選品を設定している産地では果実分 10 香川県農業協同組合 弦打支店 仕事について 金融と女性部を担当して います お客様になんでも相談し ていただける職員を目指し 笑顔で丁寧な接客を心がけ ています 将来の夢 いつか寝台列車に乗って 旅行がしてみたいです 趣味 旅行に行くことです 現在は 友人とディズ ニーランドと温泉への旅行 を計画しています 宮西 智子さん くだものについて 季節の果物を朝食で食べ るようにしています 特にみかん ナシ ブドウ が 好 き な た め こ れ か ら の 季節がとても楽しみです 18 9 10 2016. 10