利益アップを実現する 介護保険外サービスの活用 保険でカバーできないニーズに応える 介護保険外サービス は 利用者の自立を支える大事な取り組みであると同時に 利益アップにつながるビジネスチャンスでもある 豊富な現場経験をもとに 介護事業 介護コンサルティングを行う株式会社ねこの手代表取締役の伊藤氏に 通所サービスでも可能な介護保険外サービスの実施ノウハウをお教えいただく 伊藤亜記 1. 介護保険外サービスは 実際のニーズから生まれたサービス 私が介護保険外サービス事業を展開するようになった訳 散歩の付き添いなど 介護保険では実施できないことも可能となる介護保険外サービスは実際のニーズから生まれた 44 デイの経営と運営 Vol.8
自立支援のための介護保険外サービス 2. 介護保険外サービスにはどのようなものがあるか? 株式会社ねこの手における介護保険外サービスとは? 表 1 株式会社ねこの手におけるサービスの各種類 1 食事介助 2 入浴介助 3 排せつ介助 4 清拭 5 体位変換 6 移乗 移動介助 7 外出介助 8 通院介助 9 入院中のお世話 10 見守り 11 買い物代行 12 調理 13 掃除 14 洗濯 15ベッドメイク 16 衣類の整理 補修 17 庭掃除 配膳 食事姿勢の確保 摂食介助 水分補給など 手浴 足浴などの部分浴 全身浴の介助 浴室への移動 洗髪 洗体 使用物品の片付けなど トイレへの移動 おむつ交換 後始末 失禁への対応など 清潔保持のための身体拭き 陰部洗浄など 床ずれ防止 安楽な姿勢の確保など 車イスへの移乗の介助 補装具などの確認 地域行事 冠婚葬祭 理美容院 ショッピング 観劇 散歩などの目的地までの移動 通院やお見舞いのための病院までの移動介助 院内介助 ( 常時付き添い 利用者受診中の院内での待機 診察券出し 薬の受取り ) など ご家族に代わっての付き添い 食事介助 買い出し 着替えの手配など 見守り 話し相手など 食料品や衣類などの日用品などの買い物 献立作成や一般的な調理 配下膳など 居室内やトイレ 卓上などの清掃 ゴミ出し 後片付けなど 洗濯機または手洗いによる洗濯 洗濯物の乾燥 取り入れ 収納など シーツ交換 布団カバーの交換 布団干しなど 衣類の入れ替え ボタン付け 破れの補修など 落ち葉拾い 草むしりなど 料金は 介護給付費単位数等サービスコード表 の訪問介護の単価に 10 倍を掛けた金額 + 消費税を含めた金額としている Vol.8 デイの経営と運営 45
表 2 訪問介護で実施 給付請求をしてはいけないサービスの一覧 1 居宅サービス計画書 ( ケアプラン ) 訪問介護計画書に記載されていないサービス 2 過剰な生活援助 (1 日 2 回または週 3 回以上の生活援助 ) 3 同居家族がいる利用者への生活援助 4 見守りのみのサービス 5 緊急性のないサービス時間の延長 6 本来予定されていたサービス内容を実施できない場合 ( この場合はサービス中止 独自の判断で代替サービスを実施してはいけない ) 7 病院内での介助 8 公園 図書館 行楽地への外出介助 9 利用者のご自宅に一度も立ち寄らないサービス ( 病院から別の病院への通院介助など ) 10 散歩 11 利用者以外の方へのサービス 12 日常生活の支援に該当しないサービス ( 車の洗車 ペットの世話 窓ガラス拭き 大掃除など ) 13 訓練 ( リハビリ ) 医療行為 表 3 訪問介護サービス の定義 国民は 常に健康の保持増進に努めるとともに 自らが介護の必要な状態になった場合においても 自立した生活ができるように進んで適切な各種のサービスを利用することにより 自分が持っている能力の維持向上に努力することが大切です ( 介護保険法第 4 条関連 ) 利用者のニーズを満たすためには 自助 本人や家族の助けあいで行うこと 共助 地域の助け合いで行うこと ( 地域住民の活動 配食サービス 社会福祉協議会の活動等 ) 公助 介護保険サービス 保健福祉サービスなど を適切に組み合わせることが大切であり 公助の一つである介護保険サービスだけで全てのニーズを充足するものではありません 介護保険サービスは 利用者の自立を社会全体で支えるため 市民が納める保険料と公費で負担され 介護を必要とする人に給付されます そのため 介護保険サービスについては 自助 共助の検証をおこなった上で 利用者の日常生活を維持する上で必要最低限なサービスであり その位置づけについては 第三者にも明確に説明できるものでなければなりません 自助 共助 公助を適格に組み合わせるには 本人の心身の状態 同居家族等の状況 環境等の利用者が置かれている状況等を個別に検証し それぞれの範囲を定める必要があります また 介護保険サービスは 要介護者 ( 要支援者 ) の意志及び人格を尊重しつつ 健康の維持や増進に役立つものでなければならず サービス提供事業所については 利用者に対して最も適切なサービスを提供する義務があります ( 宇治市介護保険課 " 訪問介護サービス提供の考え方 " より引用 ) 46 デイの経営と運営 Vol.8
行政の許可があれば実施可能なサービスおよびその条件 (1) 事前に行政の許可を得ていること (2) 許可を得た証拠があること 1 確認した日付 2 確認内容 3 担当者の部署名と名前 4 判断事項 (3) 居宅サービス計画書 ( ケアプラン ) と 訪問介護計画書に位置付けてあること 各地域の介護事業所と組んで介護保険外サービスを提供 3. 介護保険外サービスを行うにあたって 利益アップのチャンスは通所介護事業所にもある Vol.8 デイの経営と運営 47
事故や失敗を招かないための体制づくりが不可欠 万が一 に備えて保険加入と丁寧な介護記録を 保険外サービスを行う上での諸注意 1 労働基準法を順守 サービス提供時間 対象者 サービス内容を吟味する 2 介護付有料老人ホームやグループホームの入居者に 通所介護事業所において 保険外サービスを提供する場合は 1 定員に達していないこと 2 入居先から介護保険外サービス使用料が支払われること が条件となる 3 介護保険外サービス中の賠償事故に対応できる保険に加入しておくこと 4 万が一の事態に対応するため 介護記録の記載はおろそかにしないこと 5 料金設定は 介護保険に準じた介護保険利用料の10 割をいただいた方がよい おはよう 21 2012 年 10 月号増刊 赤ペン添削でレベルアップ! 介護記録の書き方講座 ( 中央法規出版 ) 2012 年 9 月 15 日発売定価 1250 円 ( 本体 1190 円 + 税 ) 介護現場において 記録 は重要な役割を果たすが 多くの介護職が苦手としています そんな苦手を克服するために 本増刊号は実際の介護記録を添削し 書き方を解説 記録を書く意味 知っておきたい書き方のルール 介護記録を添削する 実地指導の事前対策と記録の整備のポイント を学べます 48 デイの経営と運営 Vol.8
第 6 条 ( 契約の解約 ) 1. 乙は, 甲に対して, 契約終了希望日の 1 カ月前までに書面で通知することにより, 本契約を解約することができます ただし, 利用者の病変, 急な入院など, やむを得ない事情がある場合は, 契約終了希望日の 1 カ月前以内の通知でも, 本契約を解約することができるものとします 2. 甲は, やむを得ない事情がある場合, 乙に対して契約終了日の 1 カ月前までに文書で通知することにより, 本契約を解約することができます 3. 乙は, 甲が次の各号の一にでも該当した場合は, 甲に対して書面で通知することにより, 直ちにこの契約を解除することができます 1 甲または甲の担当者が正当な理由なくサービスを提供しない場合 2 甲または甲の担当者が守秘義務に違反した場合 3 甲または甲の担当者が被介護者, 乙またはその家族に対して社会通念を逸脱する行為を行った場合 4 甲が破産した場合 4. 甲は, 乙が次の各号の一にでも該当した場合は, 乙に対して書面で通知することにより, 直ちにこの契約を解除することができます 1 サービス利用料金の支払いが 2 カ月以上遅延し, 料金を支払うよう催告したにもかかわらず 2 週間以内に支払われない場合 2 被介護者, 乙または乙の家族等の関係者が甲または甲の担当者に対して本契約を継続し難い背信行為を行った場合 5. 被介護者が死亡した場合は, 本契約は自動的に終了します 第 7 条 ( 秘密の保持 ) 甲および甲の担当者は, サービスを提供する上で知り得た被介護者, 乙および乙の家族に関する秘密を正当な理由なく第三者に漏らしません この守秘義務は, 本契約終了後および担当者の退職後も同様とします 第 8 条 ( 連帯保証人 ) 連帯保証人は, この契約に基づいて乙が甲に対して負う債務について, 乙に連帯して保証し, 支払いの責を負います 第 9 条 ( 特約事項その 1) 1. 乙は, この契約の終了後 180 日が過ぎるまでは, 甲の担当者を個人的に雇用してサービスの提供を受けることはできません 2. 乙が前項に違反したため, 甲に代替要員の募集, 研修または訓練等の費用が生じた場合は, 乙は甲に費用相当額の損害金を支払わなければなりません 第 10 条 ( 特約事項その 2) 1. 甲の担当者の故意または過失によって被介護者, 乙またはその家族に損害が生じた時は, 甲はそれらの者に対し, その損害賠償の義務を負います 2. 前項の定めに従い甲が損害賠償の義務を負担する範囲は, この契約に基づき甲が乙より請負ったものに限り, かつ, サービス提供時間内で甲の担当者が行う行為に限ります 3. サービス提供を原因としない被介護者の急激な体調の変化等, 不測の事態に起因して事故が発生した場合は, 甲は責任を免れるものとし, 甲の指示 依頼に反して乙等の行った行為, または, これらの者の故意または過失による不実の告知に起因して事故が発生した場合も同様とします 4. 甲が乙にサービス担当者を派遣する予定の日時に, 諸事情によりサービス担当者を派遣できなかった時は, 甲は乙と相談の上, 代替の日時にサービス担当者を派遣します また, 左記の場合においても, サービス担当者不在時の事故に対しては, 甲は乙に対して責任を負わないものとします 5. 上記に定めるもののほか, 地震または洪水などの天災, 公権力の行使等その他不可抗力により事故が発生した場合, およびサービス実施が不可能になった場合には, 甲は責任を免れます 第 11 条 ( 専属的合意管轄 ) この契約に関して, 甲と乙の間にもし紛争が生じた時は, 被介護者の住所地を管轄する裁判所を第一審管轄裁判所とすることをあらかじめ合意します 第 12 柔 ( 信義則 ) 1. 甲および乙は, 信義誠実を持ってこの契約を履行するものとします 2. この契約に定められていない事項やその解釈について疑義が生じた事項については, 甲と乙は, お互いの信頼と正義に則って誠実に協議し, 解決するものとします 訪問介護サービス自費契約書 ( 株式会社ねこの手 ) 株式会社ねこの手 ( 以下, 甲 ) と ( 以下, 乙 ) とは, 甲が, 在宅療養者, 高齢者または身体障害者である被介護 者に対して行う介護保険適用外の訪問介護サービス ( 以下, サービス ) について, 次のとおり契約します 第 1 条 ( 目的 ) 甲は, 被介護者に対し, より快適な環境をつくり出すため, 思いやり ふれあい 話し合いを大切に, 被介護者の安全 安楽 自立とその家族のサポートのためにサービスを提供し, 乙は甲に対し, そのサービスの対価として利用料金を支払うものとします 第 2 条 ( サービスの施行 ) 1. 甲は, 被介護者に対して提供するサービスは, 別紙説明書 に記載する内容とします 2. 甲は,2 カ月に 1 回以上, 甲のコーディネーターを訪問させて, 被介護者の生活状況を把握します そして, それまでのサービスプランを変更, 場合によっては中止をする必要があると判断した時は, もう一度甲と乙で話し合い, 決定するものとします 3. 前頂の話し合いで必要がある時は, 乙は甲の依頼によって被介護者の主治医の指導 助言を得て, 甲にこれを報告します 4. 乙は, 被介護者についての医師の指導助言を緊急に得る必要があり, かつ, 乙またはその家族が直接連絡を取ることができない事情のある時は, 甲に対し, 直接被介護者の主治医または乙の承認する医療機関に連絡を委任します 5. 第 3 項または第 4 項の連絡の結果, 主治医から甲のコーディネーターに対し格別の指示がある時は, 甲はこれに従うことがあります 6. 甲は, サービスに関して, 必要な教育 ( 守秘義務についての教育を含む ) や訓練を受けた従業員 ( 以下, 担当者 ) にサービスを担当させます ただし, 甲は, その都合によりこの担当者を変更することができるものとします 7. 乙は, 担当者に対し, 直接の指示 命令や担当者の自宅への電話連絡を行うことはできません しかし乙は, 担当者との意思の疎通を欠く場合, その他不都合のある時は, 担当者の変更を甲に申し入れることができます この場合, 甲は誠意を持って話し合い, 解決を図ります 8. 乙は, サービスに必要な消耗品, 備品および電話などの設備を担当者が使用することを承諾すると共に, それら消耗品等の調達は, 乙またはその家族が実施するものとします 9. 甲は, サービスの提供について, 関係法規に適合の上, これら法令を遵守し, 万全を期して実施します 乙およびその家族も甲のサービス提供に関して協力していきます 第 3 条 ( サービス料 ) 1. 乙は, 甲に対し, この契約締結後のサービスの対価として,1 時間 円の利用料金を支払います ( 別途消費税課税 ) なお, 交通費は, 甲の事務所からサービス提供場所までの往復実費をいただきます 2. サービス料の請求および支払いについてトラブルを防止するため, 甲と乙は次のとおり取り決めます 1 乙またはその家族は, 担当者が業務に従事するごとに, 担当者が発行するサービス内容等を記載した所定の書面に確認の署名または押印を行います 2 乙がサービスを受ける時間の変更または中止 ( キャンセル ) を希望する時は, その 24 時間以上前に, 甲に連絡することとします 乙がこれを怠り, 担当者が被介護者を訪問した時は, やむを得ない場合を除き, 甲は乙に対しサービス予定時間の利用料金に相当するキャンセル料を請求することができます 3 この契約による甲のサービスは, 公的介護保険の適用外であるため, 料金全額を乙に自己負担いただきます 4 甲のサービスについて, 甲は毎月, 月末を締め日とした当月の利用料金の合計額を記載した請求書を発行します 乙は, 発行された請求書により, 甲に対し, 翌月 25 日までに甲の指定する下記口座に振込み送金する方法, または現金払いの方法のどちらかを選択して支払うものとします 銀行支店普通預金口座口座番号 : 口座名義 : 株式会社ねこの手 振込手数料は, 乙の負担となります 第 4 条 ( サービス期間 ) この契約の存続期間は, この契約を締結した日から, 平成年月日までとします ただし, 期間満了の 1 カ月前までに, 乙から甲に対し, 書面による契約終了の申し出がない限り, この契約は同一条件でさらに 1 年間更新されるものとします それ以降, 期間満了の都度, この例により更新されます 第 5 条 ( 料金の変更 ) 1. 甲は乙に対して,1 カ月前までに書面で通知することにより料金の変更 ( 増額または減額 ) を申し入れることができます 2. 乙が料金の変更を承諾する場合, 新たな料金体系に基づく契約書を取り交わし, サービス利用料金の変更を確認することとします 3. 乙は, 料金の変更を承諾しない場合, 甲に対し書面で通知することにより, 本契約を解約することができます Vol.8 デイの経営と運営 49