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Transcription:

資料 -3 木酢液の論点整理 < これまでの合同会合の審議における論点 > 木酢液には 高濃度のホルムアルデヒドが含まれる可能性がある ( 実際に 3,ppm のホルムアルデヒドが検出されたサンプルがあった ) ホルムアルデヒドを含む物質の安全性については慎重に審議するべきであり ホルムアルデヒド低減化のための木酢液の製造方法等を検討する必要がある 今回関係団体からホルムアルデヒドを低減化するための木酢液の製造方法が提案されているが 仮にこの方法が了承された場合に これまでの合同会合で提出した木酢液の薬効 安全性に係るデータ ( 今回関係団体から提案された製造方法が確立される以前の製品であるため 殺虫消毒や防腐処理がされた木質原料を使用している可能性がありうる ) が評価に活用できるかどうか確認が必要 < 論点の検討に資する試験結果 > ホルムアルデヒド低減化のための木酢液の製造方法等今回 関係団体から提案があったホルムアルデヒド低減化のための製造方法は以下のとおり 特定防除資材として指定される木酢液 竹酢液とは 住宅 家具等の廃材でなく 殺虫消毒や防腐処理されていない木質原料を炭化し 排煙口の温度が 8 以上 15 未満で排出される排煙を冷却し 得られた液体を 9 日以上静置した後 上層の軽質油と下層の沈降タールを除去した中層部分の精製した液体とする ( 第 6 回合同会合提出資料から新たにアンダーライン部分を追加 ) 上記製造方法に基づき製造された木酢液 61 サンプル ( 木竹酢液認証協議 会の認証を受けた業者が製造した市販品 ) のホルムアルデヒド含有量 ( 詳 細は別紙 1Table 別紙 ) 種類 木酢液 蒸留木酢液竹酢液 蒸留竹酢液全データ データ数 3 6 15 1 61 平均 7.5ppm 13.3ppm 6.ppm 19.1ppm 55.9ppm 標準偏差 11. 66.5 135. 13.3 116.7 変動係数 1% 31% 5% 56% 6% 最大値 6.ppm 78.ppm 51.5ppm 76.ppm 6.ppm 最小値 17.ppm 116.8ppm 79.6ppm 89.1ppm 79.6ppm

木酢液の分布 蒸留木酢液の分布 1 1 1 3 8 6 1 1 3 7 未満 1 3 7 未満 竹酢液の分布 蒸留竹酢液の分布 7 6 5 3 3 1 1 1 3 7 未満 1 3 7 未満 3 全データの分布 5 15 1 5 1 3 7 未満

< 木酢液サンプルから 3,ppm のホルムアルデヒドが検出された ( 第 6 回合同会合提出資料 ) 理由の考察 > ( 木竹酢液認証協議会からのメモ : 平成 年 3 月報告 ) 木酢液及び竹酢液に含まれるホルムアルデヒドにつきましては 色々分析がなされておりますが 第 回木質炭化学会における森林総合研究所の大平先生の市販品の分析データ ( 講演要旨集 P9~3 別紙 1) によりますと 最高値が 6ppm となっております 通常の製品の場合 どんなに高くとも 1,ppm は超えないと考えられます 今回の 3,ppm 含まれる製品 ( 樹種 : ベイツガ ( 国内では生産されていない ) スギ ヒノキ ) は明らかに異常であり その原因は用いた原料にあると思われ 恐らく接着剤を含有する建築廃材か ホルムアルデヒド等により燻蒸処理された木材を使用したものと思われます 建築 土木関係や家具 建具等の幅広い用途に利用されている合板には合板用接着剤が使用されている 合板用接着剤にはユリア メラミン フェノール樹脂などの合成樹脂が用いられているが それらの接着剤にはホルムアルデヒドが含まれる ( 別紙 3) そのため 建築廃材を原料に用いて木酢液を製造した場合 高濃度のホルムアルデヒドが検出される可能性がある 参考 < 食品中のホルムアルデヒドについて > ホルムアルデヒドは一部の食品等には 天然成分として含まれることが知られている ( 別紙 5 6)

参考 木酢液の過去の検討内容について 1 3,ppm のホルムアルデヒドが検出されたサンプルについて ( 論点 ) 3,ppm のホルムアルデヒドが検出された木酢液サンプルを用いた変異原性試験で 陽性反応が確認された ホルムアルデヒドについては IARC ( 国際ガン研究機関 The International Agency for Research on Cancer) の評価で グループ 1 * に位置づけられており ホルムアルデヒドを含む物質の安全性については慎重に審議するべき ( 第 6 回合同会合 ) との指摘を受けたため マウスを用いた小核試験を実施したが ( 結果 : 陰性 ) 被検物質である木酢液が上述の変異原性試験で用いられたものと品質が異なる ( ホルムアルデヒド濃度 65ppm) ことから 変異原性試験が陽性である資材の安全性を確認するには不十分である そのため ホルムアルデヒド低減化のための木酢液の製造方法等を検討する必要がある ( 第 1 回合同会合 ) *IARC では ヒトに対する発がん性を以下の5つのグループに分類しているグループ1: ヒトに対して発がん性がある ( コールタール アルコール飲料など ) グループA: ヒトに対して恐らく発がん性がある ( クレオソートなど ) グループB: ヒトに対して発がん性がある可能性がある ( わらび クロロホルムなど ) グループ3: ヒトに対する発がん性については分類できない ( カフェイン お茶など ) グループ: ヒトに対して恐らく発がん性がない ( カプロラクタム ( ナイロンの原料 )) ( 対応 ) 本合同会合で検討 薬効について ( 次回以降検討 ) ( 論点 ) 薬効については 実際に農家が現場で使用している状況に応じたより多くのデータを示すべき ( 対応 ) 木酢液の原材料 製造方法等の条件を明確化した上で 実態を確認することとする

木酢液等の安全性試験の実施状況 参 考 サンプルの種類 試験の種類 樹種 ホルムアルデヒド濃度 急性経口毒性試験 変異原性試験 9 日反復経口投与毒性試験 水産動植物に対する安全性試験 クヌギ木酢液 ( 排煙口温度指定 ) 68ppm 平成 15 年実施 (Ames 試験 ) 平成 15 年実施 平成 16 年度実施 平成 16 年度実施 スギ木酢液 ( 排煙口温度指定 ) 9ppm 平成 15 年実施 (Ames 試験 ) 平成 15 年実施 平成 16 年度実施 平成 16 年度実施 ヘ イツカ スキ ヒノキ木酢液 ( 排煙口温度指定 ) 3ppm - (Ames 試験 ) 平成 15 年実施 - - ヘ イツカ スキ ヒノキ木酢液 ( 排煙口温度指定 ) 65ppm - ( 小核試験 ) 平成 18 年実施 - - 竹酢液 ( 排煙口温度指定 ) 68ppm - - - 平成 16 年度実施 上記のサンプルは 今回関係団体から提案された製造方法が確立される以前の製品であるため 殺虫消毒や防腐処理がされた木質原料を使用している可能性がありうる 今回関係団体から提案された方法に基づき製造された木酢液サンプルの安全性試験は実施していない

別紙 ( 別紙 1 P3 Table の補足 ) 市販木酢液 竹酢液中から検出されたホルムアルデヒド濃度の分布 種類 木酢液 蒸留木酢液竹酢液 蒸留竹酢液全データ データ数 3 6 15 1 61 平均 7.5ppm 13.3ppm 6.ppm 19.1ppm 55.9ppm 標準偏差 11. 66.5 135. 13.3 116.7 変動係数 1% 31% 5% 56% 6% 最大値 6.ppm 78.ppm 51.5ppm 76.ppm 6.ppm 最小値 17.ppm 116.8ppm 79.6ppm 89.1ppm 79.6ppm 3 全データの分布 5 15 1 5 1 3 7 未満 木酢液の分布 1 1 1 8 6 1 3 7 未満

蒸留木酢液の分布 3 1 1 3 7 未満 竹酢液の分布 7 6 5 3 1 1 3 7 未満 蒸留竹酢液の分布 3 1 1 3 7 未満

市販木酢液 竹酢液中から検出された 及び炭化した原料の樹種 No 木酢液 ( 樹種 ) No 蒸留木酢液 ( 樹種 ) No 竹酢液 ( 樹種 ) 1 7. ( コナラ ミズナラ ) 1 77.9( アカガシ ) 1.( 孟宗竹 ) 37.( アカガシ ) 16.( コナラ ミズナラ ) 9.( 孟宗竹 ) 3 6.3( コナラ ミズナラ ) 3 19.3( コナラ ミズナラ ) 3 88.( 孟宗竹 ) 59.6( コナラ ミズナラ ) 78.( コナラ ミズナラ ) 111.( 孟宗竹 ) 5 311.3( コナラ ミズナラ ) 5 5.( コナラ ミズナラ ) 5 51.5( 孟宗竹 ) 6 1.9( コナラ ミズナラ ) 6 116.8( コナラ クヌギ ) 6 7.( 孟宗竹 ) 7.9( コナラ ミズナラ ) 7 6.3( 孟宗竹 ) 8 71.9( コナラ ミズナラ ) 8 169.( 孟宗竹 ) 9 133.( コナラ ミズナラ ) 9 5.( 孟宗竹 ) 1 379.( アカガシ コナラ ) 1 79.6( 孟宗竹 ) 11 37.3( コナラ ミズナラ ) 11 313.7( 孟宗竹 ) 1 3.3( コナラ クヌギ ) 1 17.8( 孟宗竹 ) 13 38.3( コナラ クヌギ ) 13 153.1( 孟宗竹 ) 1 388.6( ウバメカシ ) 1 59.1( 孟宗竹 ) 15 178.1( コナラ ヒバ ) 15 117.( 孟宗竹 ) 16 1.6( コナラ ミズナラ ) 17 36.9( コナラ ミズナラ ) 18 8.3( コナラ ミズナラ ) No 蒸留竹酢液 ( 樹種 ) 19 11.9( コナラ クヌギ ) 1 95.( 孟宗竹 ) 13.1( コナラ クヌギ ) 195.7( 孟宗竹 ) 1 17.( コナラ ミズナラ ) 3 15.6( 孟宗竹 ) 179.5( コナラ クヌギ ) 76.( 孟宗竹 ) 3 7.1( コナラ ミズナラ ) 5 1.( 孟宗竹 ) 5.9( ウバメカシ ) 6 36.1( 孟宗竹 ) 5 73.9( アカガシ ) 7 5.( 孟宗竹 ) 6 17.3( コナラ クヌギ ) 8 11.( 孟宗竹 ) 7 61.7( アカガシ ) 9.( 孟宗竹 ) 8 6.( ヒノキ ) 1 89.1( 孟宗竹 ) 9 5.6( コナラ ミズナラ ) 3 31.9( ヒノキ コナラ )

木竹酢液中のホルムアルデヒド濃度の分析について 1. 分析方法アルデヒド類の分析については,- ジニトロフェニルヒドラジン誘導体により発色させ 液体クロマトグラフィーと UV 検出器で測定する方法が知られている 木竹酢液中のホルムアルデヒドについても その方法を用いて分析を行った 検液に,- ジニトロフェニルヒドラジンを添加し発色させ 液体クロマトグラフィーを用いて分析した 検出器は UV 検出器を用い 測定波長 36nm で測定した. 添加回収試験分析の妥当性を検討するため 添加回収試験を行った 木酢液中のホルムアルデヒド濃度が 5ppm になるよう調整した検液に,- ジニトロフェニルヒドラジンを添加し発色させ 液体クロマトグラフィーを用いて分析した 検出器は UV 検出器を用い 測定波長 36nm で測定した 添加回収率 1 13 9% 1 9% 3 1 89% 5 9% 5 5 9% 平均 7. 9% 変動係数.1