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抗体医薬の開発および 特許出願に際して留意すべき事項 特許業務法人原謙三国際特許事務所 弁理士松村一城 1

講義概要 1. 基本特許 ( 上流特許 ) との関係において留意すべき事項 2. 特許出願において留意すべき事項 2

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.1 抗体作製技術に関する基本特許 1キメラ抗体 Genentech / Cabilly 特許 2ヒト化抗体 MRC / Winter 特許 PDL / Queen 特許 3ヒト抗体ライブラリー CAT / Griffiths 特許 Dyax / Lanner 特許 4ヒト抗体マウス Abgenix / Kucherlapati 特許 Medarex / Lonberg 特許キリンビール特許 3

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.1 抗体作製技術に関する基本特許 特許 2912618 号 ( MRC / Winter 特許 ) 請求項 1 1 番目の抗体由来の IG 軽鎖もしくは IG 重鎖の可変領域における 3 つの相補性決定領域 (CDR) の全てと 該 1 番目の抗体ではない抗体のフレームワーク領域とを含む改変抗体結合部位であって 該 1 番目の抗体の抗原結合特性が該 CDR によって当該改変抗体結合部位に付与されている改変抗体結合部位 4

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.2 研究開発段階 出願段階 特許取得後 1 研究開発段階で留意すべき事項リサーチツールとしての基本特許の使用 侵害となる場合とならない場合 2 出願段階 特許取得後に留意すべき事項自己の特許発明が 他人の特許発明の利用発明となるか否か 5

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.2 1 リサーチツールとしての利用 特許権の効力が及ばない範囲試験または研究のためにする特許発明の実施 ( 特許法 69 条 1 項 ) 1 特許性調査 2 機能性調査 3 改良 発展のための試験 6

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.2 1 リサーチツールとしての利用 ( 例 ) 研究開発段階で 抗体の製造方法 ( 特許 ) を使用 (A) 上記方法自体を研究対象とする試験 (ex. 上記方法自体を改良するために使用 ) 非侵害 (B) 上記方法を研究手段とする使用 正当権原がなければ侵害 7

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.2 1 リサーチツールとしての利用 特許発明を研究手段とする使用 ライセンス料の支払要 ( 事例 1) 特許発明 : 抗原抗体医薬の研究開発において 当初抗体を作製する段階で一度だけ利用されるリサーチツール ライセンスなし 一回だけ侵害することになる ( 対応 ) 抗原の特許権者に必ずライセンスを受ける < 事例 1,2 の出典 : 特許発明の円滑な利用のための方策に関する調査研究報告書 ;( 財 ) 知的財産研究所 > 8

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.2 1 リサーチツールとしての利用 ( 事例 2) 特許発明 : 抗体作製用 TG マウス 抗体医薬スクリーニングのため 当初抗体を作製する段階でのみ TG マウス利用 作製された抗体の工業的生産には不使用 ライセンスの対価 TG マウスの利用料 +TG マウスを利用して作製された抗体の売上に基づくライセンス料含有 ( 対応 ) 市場性が高そうな抗体医薬の開発 TG マウスを利用 ( 早期開発 ) 市場性がそれほど高くなさそうな抗体医薬の開発 自前の技術で抗体作製 9

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.2 1 リサーチツールとしての利用 リサーチツールの円滑利用のためのガイドライン OECD ガイドライン一つの特許の対価の高額化を抑制すべく リーチスルー型ロイヤリティ 高額の前払い一時金は好ましくないと提言 日本製薬工業会ガイドライン医薬研究開発過程におけるスクリーニング目的の使用には 使用者は速やかにライセンスを求め 権利者は合理的な条件で非独占的に広くライセンスすべき 10

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.2 2 利用発明 基本特許自体の改良 発展を目的とする試験 非侵害 特許取得可能 利用発明 ライセンス料要 ( 例 ) 基本特許 : ヒト化抗体作製技術 ( MRC / Winter 特許 ) 請求項 1 1 番目の抗体由来のIG 軽鎖もしくはIG 重鎖の可変領域における3つの相補性決定領域 (CDR) の全てと 該 1 番目の抗体ではない抗体のフレームワーク領域とを含む改変抗体結合部位であって 該 1 番目の抗体の抗原結合特性が該 CDRによって当該改変抗体結合部位に付与されている改変抗体結合部位 11

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.2 2 利用発明 利用発明 他人の先行特許発明を含む発明 請求項 1 ヒト TF に対するマウスモノクローナル抗体の V 領域相補性決定領域 (CDR) 及びヒト抗体 V 領域フレームワーク領域 (FR) を含んで成るヒト型化 V 領域において 前記 CDR が 次のアミノ酸配列 12

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.3 対応策 1 他社との提携 買収 ( 出典 ; 特許庁平成 15 年特許出願動向調査報告書 ) 13

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.3 対応策 2 独自技術で勝負 < 例 >; ( 株 ) イーベック マウスを用いず完全ヒト抗体作製 ( 改変 EB ウィルス使用 ) 海外特許不使用 副作用排除 コスト安 マウスを免疫して得られた抗体より 50~100 倍高活性 14

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.3 対応策 ベーリンガーインゲルハイムとの大型契約 (2008/9/29) 売上高約 1 兆 8000 億円 (2007 年 ) 完全ヒト抗体のプログラムの一つにつき 独占的ライセンス 前払い金 88 億円 開発ステージに応じたマイルストーン 販売実績に応じたロイヤリティ 15

抗原 抗体発明 1. 抗体自体の発明 超可変領域 可変領域 定常領域 抗体 抗原性が非公知の物質 B に対する抗体 A を取得 抗体の構成を変えた ( 組換え 変異 ) 独自のハイブリドーマに作らせた 抗体の発明 16

抗原 抗体発明 2. 用途の発明 超可変領域 可変領域 定常領域 抗体 抗原 B が疾患 X の原因になることが分かった 疾患 X の治療に抗原 B に対する抗体 A が使用できた 用途の発明 17

1. 基本特許との関係で留意すべき事項 1.3 対応策 顕著な効果を持つ新規抗体の発明 抗体の新規用途発明 基本特許を有する企業等との相互ライセンス 役割分担 18

2. 特許出願に際し留意すべき事項 2.1 特許取得のために必要な要件 1. 新規性 1 化合物として新しい 2 用途が新しい 2. 進歩性 1 想到非容易 : 従来技術から容易に想到し得ない取得困難 2 顕著な効果 : 従来技術から予測できない効果 3. サポート要件明細書によって裏付けられているか 19

2. 特許出願に際し留意すべき事項 2.2 進歩性 想到非容易について 特許 4134166 請求項 1 ヒト免疫グロブリン VH 鎖の CDR1 CDR2 および CDR3 が それぞれ配列番号 4 5 および 6 に示されるアミノ酸配列からなり かつ ヒト免疫グロブリン VL 鎖の CDR1 CDR2 および CDR3 が それぞれ配列番号 10 11 および 12 に示されるアミノ酸配列からなることを特徴とするヒト抗体 20

2. 特許出願に際し留意すべき事項 2.2 進歩性 拒絶理由引用文献に 1IL-18 阻害剤が記載され 2 具体例として マウス由来の IL-18 抗体が記載され 3 好ましい IL-18 抗体は完全にヒト由来のものである旨 及び 4 ヒトの抗体を産生する技術について記載されている 文献 1 の記載に基づき ヒト抗ヒト IL-18 抗体やその断片を製造し その配列を決定することは 容易になし得たことである 21

2. 特許出願に際し留意すべき事項 2.2 進歩性 拒絶理由に対する対応 1 想到非容易引用文献の抗体作製法 :Tg 動物本願の抗体作製法 : ファージディスプレイ 動物を免疫して作製した抗ヒト IL-18 抗体には ヒト IL-18 と動物の IL-18 とで酷似した部分を抗原決定領域とした抗体は含まれないため 本願抗体は 引例に基づいて取得することは困難である旨を主張 進歩性肯定 22

2. 特許出願に際し留意すべき事項 2.2 進歩性 想到非容易主張のために有用な記載 着目点の新しさ ( 例 ) 1 抗原 A が従来抗原性を有するものとして知られていなかった 2 従来とはエピトープが違う 3 抗原性があることは公知であるが 従来のスクリーニング方法では抗体が得られなかった 23

2. 特許出願に際し留意すべき事項 2.2 進歩性 効果 審査基準第 VII 部第 2 章 1.3.3 抗原 A が公知であり 抗原 A が免疫原性を有することが明らかな場合には 抗原 A に対するモノクローナル抗体 の発明は進歩性を有しない ただし 他の特性等によりさらに特定された発明であって その発明が当業者が予測できない有利な効果を奏する場合には 進歩性を有する 仮に構成想到非容易が認められなくても 予測できない有利な効果を奏する抗体であれば進歩性が認められる 24

2. 特許出願に際し留意すべき事項 2.3 サポート要件 サポート要件 請求項に記載された発明は 明細書によって十分に裏付けられていなければならない ( 例 ) 特許 4134166 の 請求項 4 : CDR 配列の改変体 配列番号 3~7 および 9~11 のいずれかに示されるアミノ酸配列において 1 またはそれ以上のアミノ酸が置換 欠失 挿入 および / または付加され かつ ヒトインターロイキン -18 に結合することを特徴とするヒト抗体 IL-18 結合能が失われると判断 拒絶 25

2. 特許出願に際し留意すべき事項 2.3 サポート要件 ( 例 ) モノクローナル抗体 にヒト化抗体が含まれるか? US 特許訴訟 原告の特許発明 : ヒト HER2 抗原に結合するモノクローナル抗体 明細書 : マウス抗体の開示のみ ヒト化抗体については定義のみ記載 実施例なし 被告 : ヒト化抗 HER2 モノクローナル抗体 (HERCEPTIN) を販売 ヒト化抗体は実施可能に記載されていないため非侵害 26

2. 特許出願に際し留意すべき事項 2.4 サポート要件 請求項をできるだけ減縮せずにサポート要件を満たすためには できるだけ多くの実施例を記載 請求項の範囲が広い場合 範囲内でできるだけ多くの抗体が効果を奏することを示すデータを記載する 27

まとめ 1 基本特許との関係で留意すべき事項 (Ⅰ) 研究手段としての基本特許の利用 (Ⅱ) 利用発明 (Ⅲ) 独自技術の開発 他社との提携 2 特許出願に際し留意すべき事項 (Ⅰ) 進歩性主張のため 想到非容易であることに関する根拠 顕著な効果を意識 (Ⅱ) できるだけ多くの実施例を記載し 請求項にかかる発明を幅広くサポート 28

ご清聴ありがとうございました 29