治療 : 神経根症状であれば数週 数ヶ月の保存加療で多くは対応可能ですが 疼痛が強く麻痺などの合併がある場合や保存加療に特に抵抗性のあるものに関しては手術を行います 特に 巧緻運動障害 ( 箸 書字 ボタン掛けが困難 ) 歩行障害がある場合は手術を考慮します 頚椎症性脊髄症病態 : 脊髄が圧迫され脊

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平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 -

の投薬 トリガーポイント注射 温熱療法などが行われてきましたが 最近では消炎鎮痛剤の投与頻度は減り これに変わってオピオイド系の薬の投与が保険で適応となりました さらに 様々な新薬が開発されています このオピオイド系の薬 ( トラマドール ブプレノルフィンの 1 週間持続貼付剤 デュロキセチンなど

痛が増悪することがあります この原因は 多くの場合 仕事のやりがいや緊張感がなくなり 気持ちの張りが衰えると同時に足腰の筋力が急激に弱るためと考えられます できれば仕事以外に 普段から気の合う仲間と適度な運動やスポーツを楽しむ時間を作り ストレスを発散し 気持ちを萎えさせず 足腰の力を衰えさせないよ

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頸椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)

背骨の病気

河内総合病院 脳神経外科 脊髄脊椎外科

手足のしびれ 脱力感 手指の使いにくさ ( ボタンがかけにくい 字を書きにくいなど : 巧緻運動障害という ) 歩きにくさが典型例での症状となる 進行例では四肢麻痺がより重症化し 膀胱障害 ( おしっこができらない 回数が多い 残尿感 失禁 ) や便秘が出現する 2) 臨床症状は 脊髄への圧迫の程度

01

採択演題一覧

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第 46 回日本脊椎脊髄病学会学術集会採択演題一覧 個別発表時間目安にて時間の重複がない事を確認しております 複数演題が採用された方の中には 発表セッションの時間帯が重なっている場合もございますので ご了承願います 登録番号 演題番号 セッション名 セッションテーマ 日付 セッション時間 個別発表時

側弯症(そくわんしょう)治療を受けられる患者様へ

もくじ 腰痛 1 腰の背骨 ( 腰椎 ) の仕組み 2 脊柱管には脊髄から伸びる馬尾が入っています腰部脊柱管狭窄症 3 脊柱管が狭窄すると 4 間欠跛行が特徴 6 治療の基本は保存療法 8 薬物療法 9 ブロック療法理学療法手術療法 10 よい治療をうけるために先生に伝えておきたいこと日常生活の中で

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5 月 22 日 2 手関節の疾患と外傷 GIO: 手関節の疾患と外傷について学ぶ SBO: 1. 手関節の診察法を説明できる 手関節の機能解剖を説明できる 前腕遠位部骨折について説明できる 4. 手根管症候群について説明できる 5 月 29 日 2 肘関節の疾患と外傷 GIO: 肘関節の構成と外側

をより改善し また 1 日 3.2km以上の歩行で死亡率は半減したとの報告もあり 毎日の歩行が勧められます 下肢救済から歩行救済のための治療に変えていくには 一般市民の方々が 閉塞性動脈硬化症に関する知識を習得し 毎日歩行するなどの生活習慣に対する意識を変え 下肢症状があれば早期に専門機関病院へ受診


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対象 :7 例 ( 性 6 例 女性 1 例 ) 年齢 : 平均 47.1 歳 (30~76 歳 ) 受傷機転 運転中の交通外傷 4 例 不自然な格好で転倒 2 例 車に轢かれた 1 例 全例後方脱臼 : 可及的早期に整復

P25-2 ポスター 25 手術合併症 4 月 14 日 ( 木 ) 17:00 17:25 2 ポスター会場脊椎周術期患者における医療事故予防に向けて - 全職種インシデントレポートの検討 P55-3 ポスター 55 LIF4 4 月 15 日 ( 金 ) 15

リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

(2) をより改善し また 1 日 3.2km以上の歩行で死亡率は半減したとの報告もあり 毎日の歩行が勧められます 下肢救済から歩行救済のための治療に変えていくには 一般市民の方々が 閉塞性動脈硬化症に関する知識を習得し 毎日歩行するなどの生活習慣に対する意識を変え 下肢症状があれば早期に専門機関病

腰部脊柱管狭窄症について 整形外科医長平澤洋一郎 ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう今回は 腰痛や下肢痛を引き起こす 代表的な病気で腰部脊柱管狭窄症について述べさせて いただきたいと思います ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう腰部脊柱管狭窄症とは? せきちゅうかん脊柱管 ( 神経の入っている管

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脳卒中に関する留意事項 以下は 脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあ たって ガイドラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 脳卒中に関する基礎情報 (1) 脳卒中の発症状況と回復状況脳卒中とは脳の血管に障害がおきることで生じる疾患

1 正常な腰 ( 腰椎 ) のしくみはどうなっていますか? せぼねせきちゅう 背骨 は身体を支える軸として大事な器管ですが, これを脊柱 ついこつと呼びます ( 図 1) 脊柱は椎骨と呼ばれる骨が一個ずつつながって ついたいと できています 椎骨の前方にあり, 大きな部分を占めるのが椎体 図 1 人

Case  A 50 Year Old Man with Back Pain,Fatigue,Weight Loss,and Knee Sweling

院 長 に 就 任 して 三 河 義 弘 2 No.20


博士の学位論文審査結果の要旨 申請者氏名河野心範 横浜市立大学大学院医学研究科運動器病態学 審査員 主査 横浜市立大学大学院医学研究科教授 中村健 副査 横浜市立大学大学院医学研究科教授船越健悟 副査横浜市立大学大学院医学研究科准教授三上太郎

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平成 29 年 8 月 31 日 ( 木 ) 発売の週刊文春 (9 月 7 日号 ) 誌上において当院人工関節セン ターの活動内容が取り上げられることになりました 人工関節センターの概要をご案内させて頂きます はじめに近年の高齢化社会の到来により また人工関節自体の耐久性 精度が向上した事により本邦


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9 MoM THA 後に発生した pseudotumor の 2 例 谷口祥一 村田英明 渡邊裕規 第 63 回東海関節外科研究会 2014/4/5 愛知 10 椎手術症例における uroflowmetry による膀胱機能の検討 近藤幹大 村田英明 第 122 回中部日本整形外科災害外科学会 201

(地Ⅲ  )


せき時 痛みやしびれは, 咳やくしゃみで強くなります 2. 痛みやしびれに伴い, 足の感覚が鈍くなったり, 足の力が弱く なり, 歩く時などに不都合を感じる時 げきつう 3. 足の激痛や強いしびれに伴い, 尿が出づらくなった時 ぼうこう特に,3. の場合には, 膀胱へつながる神経障害の可能性があり

TAVIを受ける 患者さんへ

患者さんへ

3009 及び 肩関節炎 肩の M0001,M0011,M0021,M0081,M0091,M0101, 障害 ( その他 ) M0111,M0121,M0131,M0141,M0151,M0161, 3010 M0162,M0181,M0201,M0202,M0211,M0212,

教授任用申請書

脊椎損傷の急性期治療

4.Spondylolitic( 脊椎分離 ):10 歳から 20 歳台で起こり脊椎すべりを合併する 5.Post-traumatic( 外傷後 ) 6.Miscellaneous( その他 ) Corticosteroid excess(cushing s syndrome) Paget s di

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273 肋骨異常を伴う先天性側弯症

本文/開催および演題募集のお知らせ

背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

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2 早期社会復帰のための 脊椎内視鏡手術 MED と PED 整形外科医長 山屋 誠司 専門領域 脊椎外科 脊椎内視鏡手術 専門医 認定医 日本整形外科学会整形外科専門医 日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医 日本整形外科認定 脊椎内視鏡下手術技術認定医 など 国内で腰椎椎間板ヘルニアに対して

参加者のみなさまへ 受付にてお名前 ご所属先を芳名帳にご記入のうえ 参加費 ( 医師 :2,000 円 コメディカル :1,000 円 ) をお支払いください 日整会教育研修単位をご希望の方は 1,000 円をお支払いください 日本 MISt 研究会の入会も受け付けております 入会ご希望の方は 所定

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

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2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

尿失禁とはご自分の意思に反して 尿が漏れてしまう症状のことです 尿漏れは目に見えない症状で生命に関わりが少ないこと 何よりも羞恥心があり受診されないケースもあります 当院では排泄ケアに関する専門の看護師もいます お困りの方はお1 人で悩まず 是非ご相談ください 名鉄病院皮膚排泄ケア認定看護師 いちか

1 週間の徹底的安静療法で治癒した難治性神経痛の 6 症例 <はじめに> 脊柱管狭窄症による慢性難治性神経痛の症例に対し治療目的で徹底的な絶対安静を指導する医師はまずないだろう 今回 硬膜外ブロックなどの注射治療を何度も試みるも症状がいっこうに改善しなかった 6 症例に自宅での徹底的な絶対安静を 1

10. 尾立征一 四方實彦 関賢二 布施謙三 真鍋克次郎 椎間ケージと頸椎プレートの併用による多椎間頸椎前方除圧固定術 ( ハイブリッド前方固定 ) 第 112 回中部整形外科災害外科学術集会 京都 11. Seiichi Odate, Jitsuhiko Shikata,

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はじめに 前立腺癌に対する永久留置法による小線源療法は一口で言うと 弱い放射線を出す小さな線源を前立腺内に埋め込み 前立腺内部から癌の治療を行うものです ただし すべての前立腺癌に適応できるものではありません この説明書は小線源療法についての概説です よくお読みになった上で ご不明の点があれば担当医

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

Vol 夏号 最先端の腹腔鏡下鼠径 ヘルニア修復術を導入 認定資格 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会指導医 専門医 消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 外科医長 渡邉 卓哉 東海中央病院では 3月から腹腔鏡下鼠径ヘルニ ア修復術を導入し この手術方法を

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

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がん登録実務について

日本腰痛会誌 11 巻 1 号 2005 年 9 月 65 いる 1998 年の調査では全世界に9 万名のカイロプラクターがいるといわれるが 2005 年現在でも日本にはまだ約 400 名弱しかいない したがって 三浦レポートの調査の時点では その数は100 名にも満たず 実害例はすべて正規の教育を

14:30-15:10 主題 PED MED 適応拡大 座長 : 古閑比佐志 頚椎変性疾患に対するFull-endoscopic cervical foraminotomyの術後成績と近未来展望 日本鋼管病院脊椎外科センター大森一生 経皮的内視鏡による腰椎 / 頚椎の

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330 先天性気管狭窄症 / 先天性声門下狭窄症 概要 1. 概要気道は上気道 ( 鼻咽頭腔から喉頭 ) と下気道 ( 気管 気管支 ) に大別される 指定難病の対象となるものは声門下腔や気管に先天的な狭窄や閉塞症状を来す疾患で その中でも先天性気管狭窄症や先天性声門下狭窄症が代表的な疾病である 多

L5 ヘルニア 馬尾神経 L5 神経 S1 S1 神経 症例 3 75 歳女性 元気であったが 2 日前から腰部正中に痛みが出現する 痛みは持続的で次第に強くなってくる 痛みは時々腰部に沿って帯状に広がり 腹部周囲にまで広がる 発熱や体重減少はない 既往歴として 18 年前に転倒して橈骨骨折 15

腹腔鏡補助下膀胱全摘除術の説明と同意 (2) 回腸導管小腸 ( 回腸 ) の一部を 導管として使う方法です 腸の蠕動運動を利用して尿を体外へ出します 尿はストーマから流れているため パウチという尿を溜める装具を皮膚に張りつけておく必要があります 手術手技が比較的簡単であることと合併症が少

原因は不明ですが 女性に多く 手首の骨折後や重労働を行う人に多く見られます 治療は安静や飲み薬で経過を見ますが しびれが良くならない場合 当科では 小さな傷で神 経の圧迫をとる手術を行っており 傷は 3 ヶ月ぐらい経過するとほとんど目立ちません 手術 時間は約 30 分程度ですが 抜糸するのに約 1

腹腔鏡下前立腺全摘除術について

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プログラム 2日目

OLIF Hybrid PF 2012 OLIF 1, 2 OLIF OLIF OLIF Open Hybrid Rigidity, Single stage Two-stage MIS 1, 2 MIS Sagittal Adjusting Screw SAS + LONGITUDE II Dir

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

腰痛多発業種における 作業姿勢特性調査 独立行政法人労働者健康福祉機構所長酒井國男 大阪産業保健推進センター 相談員久保田昌詞 特別相談員浅田史成 大阪労災病院勤労者予防医療センター所 長大橋誠 関東労災病院リハビリテーション科 技師長田上光男 日本産業衛生学会産業医部会 部会長岡田章

スライド 1

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健康た?よりNo106_健康た?より

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

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脊柱模型・椎骨模型・骨盤模型


Transcription:

脊椎外来の診療について 当院では 頚部痛 肩こり 手のしびれ 腰痛や下肢痛 しびれなどでお困りの方 それらの症状を他院で治療しているが良くならない方など 紹介状をお持ちでなくても診察させて頂きます ただし 初診の患者様は御予約が出来ないため 診察までお待ちしていただく可能性がある事はご了承ください 御希望の方は 毎週火 木曜日の午前中に受診をお願いいたします 脊椎初診外来 : 中島医師 ( 火曜日 ) 大川医師 ( 木曜日 ) 脊椎予約外来 : 大川医師 ( 木曜日 金曜日 ) 脊椎由来の神経痛やしびれに対して 内服治療やブロック治療などの保存療法を十分に行っても症状が改善しない方に 手術治療を検討しております 取り扱い疾患 頚椎椎間板ヘルニア / 頚椎症性脊髄症 / 変形性頚椎症 / 後縦靭帯骨化症 黄色靭帯骨化症胸髄症 胸椎椎間板ヘルニア腰椎椎間板ヘルニア / 腰部脊柱管狭窄症 / 腰椎分離症 すべり症 / 変形性腰椎症骨粗鬆症性椎体骨折成人脊柱変形 ( 変性後側弯症など ) 特発性側弯症脊椎外傷転移性脊椎腫瘍感染性脊椎炎 ( 化膿性脊椎炎 結核性脊椎炎 ) 代表的疾患 頚椎椎間板ヘルニア病態 : 椎間板の髄核が脊柱管内に突出もしくは脱出し 神経を刺激する事で痛みやしびれなどの症状が出現します 症状 : 首が動かせなくなるような痛みの症状が多いですが 他にも肩 肩甲骨 上腕への痛み 痺れ 脱力感が生じます 症状がひどくなると 歩行障害や膀胱直腸障害 ( 頻尿 排尿遅延 尿勢低下 排便困難など ) が出現します

治療 : 神経根症状であれば数週 数ヶ月の保存加療で多くは対応可能ですが 疼痛が強く麻痺などの合併がある場合や保存加療に特に抵抗性のあるものに関しては手術を行います 特に 巧緻運動障害 ( 箸 書字 ボタン掛けが困難 ) 歩行障害がある場合は手術を考慮します 頚椎症性脊髄症病態 : 脊髄が圧迫され脊髄症症候の発現した状態を頚椎症性脊髄症といいます 原因は様々で 骨棘 膨隆した椎間板 肥厚した黄色靭帯などにより神経が圧迫される場合や もともと椎弓根が短く 脊柱管容積や椎間孔が小さい事により症状が出現する場合があります 症状 : 頚部運動制限 後頚部痛 肩こりなどの局所症状を経て 巧緻運動障害 ( 箸 書字 ボタン掛けが困難 ) 歩行障害 膀胱直腸障害 ( 頻尿 排尿遅延 尿勢低下 排便困難など ) が出現します 症状は緩徐に進行する事が多いです 治療 : 軽症例にはまず保存療法を試みます 装具療法は軽症例に対して短期的には有効です 一般的に巧緻運動障害や歩行障害が出現すれば手術適応となります 頚椎後縦靭帯骨化症病態 : 脊柱管内に生じる靭帯骨化症のため 脊髄症を発症してくる疾患です 東南アジアに多く ( 欧米の 10 倍 ) 厚生省が特定疾患に指定しております 申請を行う事により医療費の減免が可能です 症状 : 頚髄症の症状と同様です 頚部運動制限 後頚部痛 肩こりなどの局所症状を経て 巧緻運動障害 ( 箸 書字 ボタン掛けが困難 ) 歩行障害 膀胱直腸障害 ( 頻尿 排尿遅延 尿勢低下 排便困難など ) が出現します 外傷を契機に急性増悪することもあり注意を要します 治療 : 症状がごく軽度な場合 しびれや疼痛に対して薬物療法を行います 脊髄症を発症した場合 保存療法が有効との報告はなく手術療法となります 手術療法は 骨化の大きさや形態 頚椎のアライメント ( 頚椎の並び ) により 術式を選択いたします 腰椎分離症 すべり症病態 : 腰椎分離症 : 成長期のスポーツ選手にみられる腰痛の原因として腰椎分離症があります 発生原因は 疲労骨折であると考えられています 不十分は治療を行うと慢性腰痛や分離すべり症へと移行する可能性があります 腰椎すべり症 : 椎体の並びがずれてしまう病気です 分離症から移行するものや椎間板の変性によってすべり症になるものまでいくつか原因はあります

症状 : 腰痛が主訴になることが多いです 進行すると下肢痛が出現します 治療 : 分離症 : まずは安静です コルセット着用にてスポーツは休んでいただきます 早期発見が早期スポーツ復帰へ繋がりますので 早期に受診をしてください 十分な保存加療をおこなっても治療に抵抗して腰痛が残る場合は 手術を考慮いたします 腰椎椎間板ヘルニア病態 : 変性により破綻した椎間板の髄核が脊柱管内に突出もしくは脱出し 神経を刺激する事で腰の痛みや下肢の痛み しびれなどの症状が出現します 症状 : 突出したヘルニア塊により神経根や馬尾神経が圧迫されることで 下肢痛 しびれ 腰痛などを呈する 治療 : 腰椎椎間板ヘルニアの 8 割程度の症例では自然経過もしくは保存療法で症状改善いたします 当院では 内服加療の他に 外来で出来る仙骨硬膜外ブロックや 1 泊 2 日で行う神経根ブロックを積極的に行っております 保存加療に抵抗して強い痛みが持続する場合や再発を繰り返し日常生活 就労に支障をきたす症例には手術の適応となります また 高度な下肢麻痺や膀胱直腸障害を呈する場合には緊急手術の適応になります 当院では 内視鏡下椎間板摘出術を行っております 内視鏡下手術は 患者さんの身体への負担が少ない低侵襲の脊椎手術です 従来法と比較し 身体へのダメージが少ないため 入院期間も短く 早期社会復帰可能となります 腰部脊柱管狭窄症病態 : 近年 増加傾向にあります 脊柱管を取り囲む椎体や椎弓の変性や靭帯の肥厚 椎間板の変性による膨隆 突出により脊柱管が狭くなったために 馬尾神経や神経根を圧迫し腰痛や下肢のしびれ 痛みなどが引き起こされます 症状 : 殿部から下肢の痛みやしびれがあり 立位や歩行の持続によって出現あるいは増悪し 前屈や座位保持で軽快する事が多いです ( 間欠性跛行 ) 足先が持ち上がらない 階段でつまずく スリッパが脱げやすいなど足に力が入りにくかったりする事もあります 症状がひどくなると 膀胱直腸障害や下肢麻痺などを呈してきます 治療 : 第一選択では内服加療 リハビリなどの保存療法が推奨されています 保存加療抵抗性のものについては手術療法を考慮いたします また 高度な下肢麻痺や膀胱直腸障害が出現した場合は緊急手術の適応になります

当院では 手術希望もしくは CT MRI 施行しさらに病態精査が必要と判断した場合 術前精査の目的で 1 泊 2 日の脊髄造形検査を行っております 脊椎骨折 ( 圧迫骨折 ) 病態 : 圧迫骨折とは 外傷椎体の衰弱が引き起こす骨折です 加齢による骨粗鬆症などで骨密度が減少し 骨同士がぶつかり合うことで椎体が潰れてしますことが原因です 主に尻もちをつくことによって受傷することが多いですが 中には身に覚えのない内に引き起こすこともあります いわゆる いつの間にか骨折 です 症状 : 腰痛による体動困難が主な症状ですが 椎体の折れ方によっては神経を刺激したりする可能性があります ひどい場合だと 下肢麻痺や膀胱直腸障害などの症状が出ることもあります 治療 : 保存療法が第一選択です コルセット作成をして早期に離床をしていきます 次の骨折を防ぐために当院では積極的に骨粗鬆症の治療も行っております また 十分な保存加療を行った後に痛みが残る場合に手術を勧めております 脊柱変形 ( 変性側弯症 後弯症 ) 病態 : 加齢により腰椎や椎間板が劣化することにより 徐々に弾力性が失われていきます 椎体の縁が変形してきて 椎体間の隙間が狭くなることで脊柱に不安定性がでてきて徐々に脊椎がゆがんでいきます 症状 : 腰痛や姿勢が歪むことによる歩行の不安定性が出てきます さらに腰が曲がっていくと逆流性食道炎 ( 胸焼や呑酸など ) や食欲不振などの症状も出てきます 治療 : 腰痛 下肢痛に対しては 内服加療や各種ブロック注射などを行います 背骨が曲がって日常生活が困難である方には 手術療法をお勧めしております 特発性側弯症側弯症は前から見て脊椎が 10 度以上曲がる状態です 原因はいろいろとありますが 多くはその原因が明らかでない特発性側弯症といわれるものです その他 神経や筋肉の病気 外傷 腫瘍などが原因となることもあります また 側弯症の多くは 成長期の子供に発症しますが 自覚症状が乏しいため 初めは本人も周りの人達も気づかないことが多く見受けられます 治療 : 骨年齢と曲がる角度により治療方針が変わります 軽症の場合は定期的な経過観察 中等度になるとコルセット装具療法 重症例では慈恵医大本院脊椎脊髄センターと連携して脊椎矯正固定手術を行っております

当院では 毎月第 2 土曜日午前中に側弯外来をしております 側弯外来受診の際は 電話でご予約をお取りになり受診をお願いいたします 学会等で休診や日程変更になる場合もございますので お手数ですが事前にお電話でご確認ください 当院で行う代表的な脊椎手術 当院では 椎弓形成術 椎弓切除術 髄核摘出術 後方固定術などを行っております また MISt(Minimally Invasive spine Stabilization/ 最小侵襲脊椎安定術 ) も取り入れております MISt とは 脊椎不安定性や脊椎変形によるインバランスの病態に対して より低侵襲に固定術や制動術を達成することで脊椎の安定化を図るという新たな概念のもとに生まれた手技の総称です 対応できる疾患も腰椎変性すべり症 腰椎分離症 変性後側弯症 転移性脊椎腫瘍 感染性脊椎炎 脊椎骨折 透析性脊椎症など 多岐にわたります 本術式の利点は出血量や手術侵襲を低減でることであり 後早期の離床や術後疼痛も軽度となります 椎弓形成術頚椎性脊髄症に対する代表的な術式です 椎弓に切れ込みを入れて開き 間に金属製のプレートを挿入して脊柱管を広げ 脊髄の圧迫を取り除きます 椎弓を開く方法として 椎弓の正中で開く縦割式と 椎弓の片側に切れ込みを入れてドアのように開く片開き法があります 当院では 片開き法を行っております 椎弓切除術 ( 神経除圧術 ) 腰部脊柱管狭窄症に対する代表的な術式です 腰部の皮膚を約 5cm ほど縦に切開して神経圧迫の原因となっている 椎間関節内側や黄色靭帯 椎弓の一部を切除します 切除範囲によって 椎弓切除術 内側椎間関節切除術 開窓術などと呼ばれる事もあります 当院は東京慈恵会医科大学附属病院本院脊椎 脊髄センターと密な連携をとっております 当院で対応困難な症例は 紹介させて頂きます

最小侵襲腰椎後方椎体間固定術 (MIS-TLIF) 不安定性のある腰部脊柱管狭窄症に適応されます 対側の筋肉を温存しながら 片側より直接神経の圧迫を解除し 変性した椎間板を取り除いて自家骨とケージを挿入します その後 経皮的椎弓根スクリュー (PPS) とロッドを経皮的に挿入し インプラントを体内で組み立てます 大きく展開する従来法より 身体へのダメージや手術時間 出血量が少なくて済むのが特徴で 早期リハビリテーションや入院期間の短縮が可能となります

BKP(Balloon Kyphoplasty: 経皮的椎体形成術 ) 圧迫骨折は保存的に治療することが多いですが 痛みが続く場合などに適応されます 約 5mm の傷 2 つから細い針を骨折した椎体に挿入し 風船を膨らませた後 セメントを注入して骨折部の安定化を図ります ほぼ出血の無い低侵襲な手術であり さらに即時的に効果が得られることが特徴です 本術式は専門のトレーニングを受けた医師が行う手術など 一定の基準を満たす医療機関で受けることができます また 骨粗鬆症に伴う椎体骨折以外に 転移性脊椎腫瘍による椎体骨折も適応となります 最小侵襲後方多椎間固定術 (MIS-long fixation) 経皮的椎弓根スクリューを使用した MIS-long fixation の利点は 最小限の展開で胸椎から骨盤に至る広範囲に インプラントを設置できることです 従って 転移性脊椎腫瘍や感染性脊椎炎 ( 化膿性脊椎炎 / 結核性脊椎炎 ) 骨脆弱性を伴わない椎体破裂骨折などが良い適応となります 更には 経皮的椎弓根スクリューシステムと PLIF/TILF や Lateral Access Surgery (XLIF /OLIF lateral corpectomy) などの椎体間固定と組み合わせることにより 変性すべり症や中等度の変性側弯症および後弯症にも応用が可能となります

担当医師 大川杏里 ( オオカワアンリ ) 日本整形外科学会整形外科専門医厚労省臨床研修指導医関東整形災害外科学会 日本脊椎脊髄病学会 日本側弯症学会 日本成人脊柱変形学会 中島由晴 ( ナカジマヨシハル ) 日本整形外科学会専門医日本脊椎脊髄病学会 日本低侵襲脊椎外科学会 日本最小侵襲整形外科学会 日本 MISt 研究会 日本 PED 研究会