初等中等教育向け GIS 研修プログラム (3) 演習 GIS 活用演習ティーチングノート ArcGIS 活用による操作演習 教材作成演習
(3) 演習 GIS 活用演習 ティーチングノート 1) 研修テーマ ArcGIS 活用による操作演習 教材作成演習 2) 研修目標 ArcGIS の基本的な機能やレイヤー構造等を理解した上で 統計データの加工 画像ファイルの GIS 化 ( ジオリファレンス ) DEM データ等の Google Earth TM への重ね合わせ等の手順を学ぶ 3) 教育手法テキスト ( 配布資料 必要に応じてパワーポイント等により投影 ) に沿って 講師の指導に従い 受講者がパソコンで GIS を操作しながら学ぶ体験型の演習 4) 講師の要件使用する ArcGIS の機能や特徴 操作方法等を習得し 初等中等教育現場で想定される GIS の活用目的 方法等に沿って必要な操作方法をわかりやすく解説 教示できること 5) 講座の構成本研修プログラムは GIS ソフトの操作演習と教材作成演習の1 及び2から構成されていますが ArcGIS を活用するこの講座では 演習目的別に設定した4つのテーマ毎のパートから構成されています 全体で概ね 2 時間 45 分 ~3 時間程度で実施することを想定しています ArcGIS を活用するために欠かせない操作手順を学ぶ最初の段階であることから 受講者の理解度に応じて柔軟な時間配分で進めてください Ⅰ. ArcGIS の紹介 10~15 分 Ⅱ. データを ArcGIS で利用するために加工する 45~50 分 Ⅲ. ジオリファレンス ( 画像ファイルの GIS 化 ) 25~30 分 Ⅳ.DEM データを使う 35~40 分 Ⅴ. ポイントデータをマップ化する 45~50 分 演習内容と時間の設定取り組むテーマや内容を演習時間に応じて絞り込み選択してください 上記の構成であれば それぞれのテーマ毎に日程を分けて実施することが可能です 1 回の研修時間内に取り組めない内容は 受講者が自習も可能なようポイントだけ解説し 次回の研修で扱うといった工夫が望まれます 1
6) 実施手順 事前準備 1 ArcGIS のセットアップ 事前に演習で講師が使用するパソコンに共用フォルダを設定し GIS ソフト ArcGIS をインストールしておきます 講師が使用するパソコンに設定した共用フォルダから 演習で受講者が使用するパソコンの C ドライブに ArcGIS をインストールします パソコンの OS( オペレーション システム ) の種類に応じてセットアップのプログラム ファイル名が異なるため注意します 2データのセットアップ 事前準備として パソコンに設定した共用フォルダに背景地図データ 主題データを保存しておきます 操作演習の開始にあたって 受講者がデータを使用できるよう この共用フォルダ内のデータを各受講者のマイドキュメントにコピーします 演習において受講者に指示して各自のパソコンを操作 準備する手順については 教室のスクリーンや黒板などに表示できるようにしておくと受講者にとってわかりやすいと思われます 3 資料 機材の準備 テキスト( 配布用 投影用 ) パソコン( 講師用 受講者用 ) 講師が説明用に投影するスクリーンまたはモニター及びプロジェクター等 演習で作成したデータの保存用記録媒体( 受講者の持ち帰り用 ) 研修を円滑に進めるため 事前に使用する機材の動作確認を行うことが重要です 2
研修実施 Ⅰ. ArcGIS の紹介 ポイント 演習では ArcMap など ArcGIS を構成するいくつかのソフトを使用します ArcGIS が名前の異なる複数の種類のソフトで構成されていることを受講者が認識した上で演習を進めるよう配慮します 説明手順テキストⅠ 1)~3): ArcGIS について ArcGIS を使用するにあたって ソフトの構成 ArcMap を起動するための基本操作 ArcMap の画面構成等について説明します Ⅱ. データを ArcGIS で利用するために加工するポイント ArcGIS で統計データを利用するための基本的な手順として 統計データの入手から 統計データを ArcGIS で利用できる形式で保存するまでの手順と ArcGIS で地図データを表示するための手順を知ることが必要です 入手したデータから ArcGIS で塗り分け地図を作成し ファイル形式(KMZ) に変換して Google Earth TM 上に重ね合わせ表示する手法は 様々な場面で幅広く応用できるため 習得することが望まれます 説明手順テキストⅡ(1): データの入手 GIS で利用できるデータ 地図で見る統計 ( 統計 GIS) が公開されている Web サイト 政府統計の総合窓口 (e-stat) から使用する統計データ及び境界データをダウンロードして入手する手順を画面の表示に沿って説明します 演習で想定している主題図に必要な市区町村のデータを選択します 市区町村毎の塗り分け図作成のため ここでは統計データと市区町村の境界データの2 種類をダウンロードすることを説明します テキストⅡ(2): データを ArcGIS で利用するために加工する 上記(1) でダウンロードしたデータは圧縮された状態であることからファイルを解凍し さらに 統計データはテキスト文書形式のデータでそのままでは ArcGIS では利用できないため テキストファイルに加工して利用できるようにする手順を説明します カンマやタブなどの区切り文字によってフィールドごとに区切られたデータ になっていること を押さえておく必要があります 3
テキストⅡ(3): データを使う 上記(1)~(2) でダウンロード 加工 保存したデータを ArcMap で塗り分け図に表示するための手順に取り組みます 保存したデータを ArcMap で地図にするために 図形データ ( 市区町村の地図データ ) へ属性テーブル ( 市区町村別の統計データ表 ) を結合する手順が重要なポイントであることを押さえます 次いで 活用のバリエーション( 例 ) として 作成した教材のデータを Google Earth TM に重ね合わせる手順を画面の表示に沿って説明します 上記で作成したデータのレイヤーを Google Earth TM で表示できるよう KML ファイルに変換する必要があることが重要なポイントであることを押さえます 重ね合わせたときに背景地図になる Google Earth TM が見えるよう 上に重ねたレイヤーの透過度を変更 ( 調整 ) できることを紹介すると 見やすい画像作成に役立ちます Ⅲ. ジオリファレンス ( 画像ファイルの GIS 化 ) ポイント ジオリファレンスとは 地図の画像ファイルを GIS で読み込み表示するために 画像に必要な座標値を与える作業です 背景地図の上に画像の地図を重ねて表示するときに頻繁に用いる活用方法であることから 着実な理解を図ることが必要です 説明手順テキストⅢ(1): ジオリファレンスを行う画像ファイルと GIS データの準備 ArcMap でジオリファレンスを行うため 参考とする道路や河川などのデータを ArcMap 上に準備する手順を説明します データは ArcMap で認識できるシェープファイル形式に変換する必要があることを押さえます ArcMap の画面に沿って 使用するデータを追加する手順を説明します テキストⅢ(2): ジオリファレンスの作業 具体的なジオリファレンスの作業について 画面に沿って手順を説明します ジオリファレンスした画像は 1 つの画像ファイルではなく 新たに生成された座標情報などを持つ複数のファイルで構成されるため データの移動や名前の変更の際には それらをまとめて扱う必要があることを押さえます テキストⅢ(3): ジオリファレンスした画像を Google Earth TM で表示する方法 ArcMap でジオリファレンスを行った画像を Google Earth TM の上に重ねて表示する手順を画面に沿って説明します ArcMap のレイヤから Google Earth TM へ載せるため 画像データを Google Earth TM で読める KML 形式に変換する際 ファイルの保存場所と名前を指定する手順など 初心者にはややわかりにくいと思われるポイントを押さえる必要があります 4
Ⅳ.DEM データを使う ポイント DEM(Digital Elevation Model) とは 地表面を規則的に等間隔に分割したエリアの代表点の属性値として その場所の標高値を与えたデータで 点データの集合です 地形の特徴等を表現 読み取るときに必要となる標高データの利用手順の習得を図ります 説明手順テキストⅣ(1): 国土地理院のサイトから基盤地図情報をダウンロードする 国土地理院の Web サイトから 基盤地図情報 の 数値標高モデル を利用できることと そのダウンロードの手順を説明します 表示されるファイルリストから必要な範囲のデータを選択し ダウンロードする手順を説明します ダウンロードしたファイルを保存すべき場所を明確に認識することが必要である点を強調しましょう テキストⅣ(2): コンバートソフトを使い GIS 用にシェープファイルへ変換する ダウンロードした JPGIS 形式の 基盤地図情報 ( 数値標高モデル ) を GIS で利用することができるよう コンバートソフト FGDV を用いて シェープファイルへ変換する手順を説明します テキストⅣ(3):ArcGIS で標高データを作成し Google Earth TM に表示する 上記でシェープファイル形式へ変換した 基盤地図情報( 数値標高モデル ) を ArcGIS で読み込み 標高データを作成する手順を説明します ArcMap で表示( 描画 ) する色やクラスなどの編集ができることを説明します 表示されたマップを Google Earth TM で表示するため レイヤのファイル形式を KML へ変換し Google Earth TM で高さを表現できる立体表示するまでの手順を説明します Ⅴ. ポイントデータをマップ化するポイント 様々なテーマで主題図を作成する際に 建物など位置を示す点の情報を持ったデータを地図上に表現するため 住所のデータから経緯度の座標データに変換する手順を説明します GIS ソフト以外の 賢早くん AG2KML といったフリーソフトを利用するところが重要です 同時に タウンページ のデータのように 便利に利用できる既存のデータを使うことで GIS を活用した教材の準備 作成作業を効率的にできることを学びます 5
説明手順テキストⅤ(1): フリーソフト 賢早くん を使って住所データを作成する Web 上で公開されている i タウンページ の住所データを簡単に一括収集できるフリーソフト 賢早くん を使って 住所データを作成する手順を説明します 賢早くん のサポートページから[Excel 版 ] をダウンロード ファイルを解凍 保存の手順で住所データを Excel で利用できるようにします テキストⅤ(2): 検索した銭湯の住所をアドレスマッチング ( 住所を経緯度に変換 ) する AG2KML(AGtoKML) を利用して 上記(1) で検索した住所のデータを経緯度に変換するアドレスマッチングを行う手順を説明します AG2KML(AGtoKML) は 住所のデータを基に Google Earth TM でプレイスマーク ( Google Earth TM 上に登録したい地点の目印) を一括作成するためのツールです テキストⅤ(3): ArcMap で座標をポイントデータとして表示し さらに Google Earth TM に表示する 上記(2) でアドレスマッチングを行った座標のデータを レイヤとしてシェープファイルに変換し ArcMap でポイントデータとして表示するための手順を説明します 次いで Google Earth TM で表示するため レイヤのファイル形式を KML へ変換し Google Earth TM にエクスポートする手順を説明します (Google, Google Earth, Google マップは Google, Inc. の商標または登録商標です ) 6