1 はじめに富山県では 平成 6 年度全国高等学校総合体育大会および平成 12 年 2000 年とやま国体に向けて 選手の競技力向上 体力増強を目的とした対策が行われ 各大会では大きな成果を上げてきた そして現在 2020 年の東京オリンピックも見据え 本県競技力の更なる向上を目指し 監督 コーチ

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Ⅱ. 各大会の実施競技 1. 第 70 回大会 ( 平成 27 年 )~ 第 73 回大会 ( 平成 30 年 ) 第 1 期実施競技選定 (1) 選定基準 1) 正式競技の基礎的条件国体における 正式競技 については 次の 1~3 の事項すべてを満たしていることとし 本項目を満たしていない競技は

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10/15 男子 10/16 女子 11/5 男子 11/6 女子 *: 位決定戦は行わない 選手に21 点を付与 国内シニア大会参加の場合 ポイントの2 倍をカデランキングポイントとする シニア 大会 日程 1 位 2 位 位 4 位 5-8 位 9-16 位 17-2 位 7/2 女子 1 東京

5. 選考方法 カデ男子フルーレ 男子フルーレ : 以下の )~) 合計ポイントの上位 名 + 強化部推薦者 名を 07 年世界カデ選手権に派遣する ) 国内 ( 下記 5) のうち 上位 ) 国際 ( 下記 ) のうち 上位 ) ジュニア国際 シニアワールドカップ 合宿及ひ 派遣日程については 変

104 (3) 全中学校において アクティブスクール を展開 全中学校を アクティブスクール として位置付け 自校の目標 ( 値 ) や取組内容を定めた 体力向上推進計画 を作成し 取組を強力に推進している (4) スーパーアクティブスクール や アクティブライフ研究実践校 による取組中学校 47

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機械工学電気電子工学 サッカー ( 男 ) バレーボール レスリング 陸上競技 卓球 野球 ( 男 ) における実績 適性 活動意欲 の諸項目の記載事項に問題がなく の学習の記録における 9 教科の評定合計及び面接の結果が一定水準に達している者を対象に の諸活動の記録及び実技検査の結果に優れた者を合

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23 県立米沢工業高等学校 ( 全日制 ) 工業科 ( 機械科 生産デザイン科 電気情報科 建築科 環境工学科 ) 当該類 ( 学科 ) を志望する動機及び目的意識が明確 適切であり ものづくり や創意工夫することに強い興味 関心を持ち 将来の工業界を担うことが期 A 25 : B 25 : C 3

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1 単位対象学年 組 区分 1 年 必修 奥村秀章 黒尾卓宏 晝間久美 保健体育 保健 我が国の健康水準 健康であるための成立要因や条件について理解させ 飲酒や喫煙等の生活習慣について考える 薬物乱用 感染症 エイズの予防対策の重要性について認識させる ストレス社会への対処の仕方や身

Transcription:

競技力向上に向けた取り組みと課題 - 他団体との連携の現状 - 富山県立上市高等学校 鎌森公士

1 はじめに富山県では 平成 6 年度全国高等学校総合体育大会および平成 12 年 2000 年とやま国体に向けて 選手の競技力向上 体力増強を目的とした対策が行われ 各大会では大きな成果を上げてきた そして現在 2020 年の東京オリンピックも見据え 本県競技力の更なる向上を目指し 監督 コーチ スポーツドクター トレーナー等の連携のもとスポーツ医 科学サポートを積極的に展開し 全国や世界の檜舞台で活躍できるアスリート育成に取り組んでいる 現在 富山県と公益財団法人富山県体育協会 ( 以下 富山県体育協会 と略す ) を中心に 発掘 ( 見つける ) 育成( 育てる ) 強化( 活かす ) のテーマに一貫指導体制のもと 以下の事業が実施されている 1 競技スポーツ振興事業 ( 回数及び人数については 平成 27 年度実績 ) 小中学生を対象に スポーツ教室 記録会及び練習会を実施し 競技スポーツ対する興味 関心を高めることにより 競技スポーツ人口の拡大を図る 記録練習会 33 競技 70 回 13,200 名 教室 20 競技 25 回 8,283 名 2 未来のアスリート発掘事業スポーツ能力に優れた児童を見出し 将来のスポーツ界を担う人材育成をサポート ( 小学 5 6 年生 ) 3 元気とやまスポーツ道場将来の活躍が期待される中学 高校の有望な逸材に対して 県内の拠点スポーツ施設で 長期的な展望のもとに育成強化を図る 4 中学 高校運動部スーパーコーチ派遣事業全国優勝等の指導経験のある指導者を中学 高校へ派遣し 顧問の指導力及び部活動運営を支援 ( バレーボール 柔道 ボート ホッケー 陸上競技 スキー :23 校 930 回派遣 ) 5TOYAMA アスリートマルチサポート事業選手の発育 発達段階に応じた医科学的サポートを実施 カテゴリー毎にサポート選手として指定 (17 競技 20 種目 : 計 796 名 ) し メディカルチェック ( 問診 血液検査 スポーツ診断 ) や体力測定 トレーニング指導 食事調査 スポーツメンタルサポート 大会や合宿への専門トレーナーの派遣 富山県体育協会の小中高校生に対する強化事業 (H27 年実績 ) 小 5 小 6 中学高校一般 競技スポーツ振興事業 アスリート発掘事業 元気とやまスポーツ道場 スーパーコーチ派遣事業 TOYAMA アスリートマルチサポート事業 強化指定事業 それぞれの活動の中で特に 未来のアスリート発掘事業 元気とやまスポーツ道場 TOYAMA アスリートマルチサポート事業 の内容と成果をふまえながら長期的な展望のもとに高校側と富山県 富山県体育協会 各競技団体 ジュニアとの関わり方や課題について調査 研究し 今後の高校生の競技力の向上につながる取り組みについて検討していきたい 44

2 主な強化事業について (1) 富山県高等学校体育連盟主催の強化事業 ( 平成 28~30 年度 ) 1 重点強化配分 2 指導者研修 3 ポイント制配分 過去 3 年間の全国高等学校体育大会における競技実績をポイント換算して行う ポイントのない競技についても3 年間の内に一度は強化費を配分する 強化区分はポイントにより A B C D の4ランクに分ける 4 特別配分選抜大会等競技実績及び今後の全国高校総体等で活躍が期待される競技に 5 種別を上限に上記強化費配分に加えて特別配分を行う 配分は 競技専門部からの申請に基づき強化推進委員会で決定する 5 指導者招聘優秀指導者を招聘し 指導者講習会の開催や強化練習会等で選手の直接指導を行う事業に配分を行う ( 全競技専門部からの申請に基づいて配分する ) (2) 富山県体育協会主催の強化事業ア. 未来のアスリート発掘事業 ( 平成 17 年度から実施 ) スポーツ能力に優れた児童を見出し 競技団体 学校 家庭と連携を図りながら 将来のスポーツ界を担う人材の育成をサポート事業として これまでに1833 人の応募があり 661 人が 未来のアスリート に認定された 事業目的 将来 全国 世界の檜舞台で活躍できる選手の育成に資する 本県のスポーツリーダーとして活躍できる人材の育成に資する ジュニア層のスポーツへの興味 関心を高め スポーツ人口の拡大を図る 有望な人材を早期に指定することにより児童と保護者及び指導者等の意識の高揚を図る 事業概要 ( 指定選手選抜の流れ ) 5 年生の年末に 受付 1 次選考 ( 書類審査 ) 2 次選考 ( 測定会 ) でメンバー約 60 名を決定 5 年生の 1 月から4 回 6 年生で12 回のプログラムを月 1 回程度実施 ( 事業内容 ) 身体能力育成プログラム コーディネーショントレーニング コンディショニング 知的能力育成プログラム メンタルトレーニング スポーツ栄養 スポーツ障害と予防 ( 事業修了高校生の活躍 ) 平成 28 年度全国高校総体出場選手中 未来のアスリート 修了者 20 名陸上競技 :7 名 水泳 水球 :2 名 卓球 :1 名 バドミントン :1 名 柔道 :1 名 レスリング :1 名 ホッケー :4 名 空手道 :1 名 カヌー :2 名 45

イ. 元気とやまスポーツ道場 ( 平成 18 年度から実施 ) 事業目的 将来活躍が期待される中学校や高等学校の逸材に対して 各競技の強化拠点施設で長期的な展望のもとに継続的に育成 強化を図る 事業内容 (1) 選抜中体連 高体連及び地域スポーツクラブ等 各種団体の指導者と幅広く情報交換し 強化指定選手として活躍が期待される候補生を発掘選抜する 対象 : 中学校 1 年生 ~ 高校 2 年生で各学年 10 名程度 合計 20~50 名程度を選抜 (2) スポーツ道場の内容 各競技の強化拠点施設において 県内トップクラスの指導者(2~3 名 ) による強化練習会 合宿及び遠征を年間 30 回程度開催する 全国的に有名な指導者による公開練習会や講演会を年 2 回程度実施 (3) 実施競技団体ボート ソフトボール バレーボール スキー 陸上競技他 全 18 競技で実施 ウ.TOYAMA アスリートマルチサポート事業 ( 平成 26 年度から実施 ) TOYAMA アスリートマルチサポート事業 として 富山県体育協会の強化事業として実施することとなった 競技指導者と指導現場に関わっているドクター トレーナー 富山県体育協会スタッフで現場での成果や課題 様々なスポーツ医 科学情報を共有するためにアスリート マルチサポート スタッフミーティングを行っている より充実したサポート体制を構築するため スポーツ医 科学トレーニングの面からも一貫したサポート体制をすすめている 事業目的 2020 年東京オリンピックを見据え 富山県競技力の一層の向上を目指し 各種強化事業と併せ 監督 コーチ スポーツドクターなどの連携のもとスポーツ医 科学サポートを積極的に展開し 全国や世界の檜舞台で活躍できるアスリートの育成に取り組むとともに県内施設を活用したトレーニングの一貫指導体制の構築も目指す ( 指定選手選抜の流れ ) 4 月上旬に募集し 5 月上旬に決定 対象者: 国体正式競技の強化指定選手 未来のアスリート修了生のうち 県内 2か所の県営体育館で 年 1 回の体力測定とそれに基づいたトレーニング指導を継続的に受けられる者から TOYAMA アスリートマルチサポート委員会で決定 ( 平成 28 年度サポート選手数 ) 成年:76 名 高校 :446 名 中学 :285 名 小学生 :2 名 総勢 809 名 事業内容 スポーツ医 科学サポート( メディカルチェック 体力測定 トレーニング指導 栄養研修会 メンタルトレーニング研修会 ) サポートスタッフ 中央講師の大会 強化合宿への派遣 帯同 46

3 他団体との連携について高等学校体育連盟と富山県体育協会や各競技団体 中学校体育連盟との連携の状況について 各競技の専門委員長にアンケート調査を行った アンケート内容と結果については以下のとおりである (1) 調査期間 :2016 年 8 月 20 日 ~2016 年 9 月 30 日 (2) 調査対象 : 富山県高体連競技専門委員長 (34 競技 ) 回収率 (94%) (3) 調査方法 : 質問紙法による (4) 調査内容 1 未来のアスリート発掘事業 の認知度 2 元気とやまスポーツ道場 の認知度 3 元気とやまスポーツ道場 での高体連専門部の関わりについて 4 高体連専門部と他団体との連携について (5) 調査結果 1 未来のアスリート発掘事業 の認知度( 図 1) 小学校 5 年生対象に全小学校から一般公募や各競技団体からの推薦もあり広く告知されているため ほとんどの競技で認知されていることが分かった 2 元気とやまスポーツ道場 の認知度( 図 2) 中学 高校生対象の 元気とやまスポーツ道場 については 県体育協会から各競技団体に告知し 希望競技団体からの申請のため 34 競技のうち 約半分の18 競技しか実施されていない そのこともあり 認知度は 未来のアスリート発掘事業 よりも低いことが分かった 3 元気とやまスポーツ道場 での高体連専門部の関わり ( 図 3) この事業に関してはほとんどの競技が競技団体主催のため 関わっている専門部は少数であった 具体的な活動としては中学生との合同練習や練習試合 高校の指導者による中学生への講習会 高校から競技を始める選手への基本指導などであった 図 1 未来のアスリート発掘事業 認知度 6% 12% 知っている知らない 82% 無回答図 2 元気とやまスポーツ道場 認知度 6% 知っている 26% 知らない 68% 無回答図 3 元気とやまスポーツ道場 との関わり 6% 4 高体連専門部と他団体との連携について ( 図 4) ~( 図 8) 中学校体育連盟と連携している専門部は40% であった ( 図 4) そのうち ブロック大会出場者や県選抜選手の強化として中 高合同の強化練習会が7 9% U-16 等の一貫指導活動に関わっている専門部は14% であった ( 図 5) 71% 20% 3% 関わっている 以前関わっていた 関わっていない 無回答 47

図 4 中学校体育連盟との連携 図 5 中学校体育連盟との連携内容 15% 18% 連携あり 合同練習 32% 53% 連携なし 無回答 17% 65% U16 その他 図 6 競技団体との連携 図 7 競技団体との連携内容 15% 14% 23% 62% 連携あり 連携なし 無回答 19% 67% 強化事業 講習会 その他 また競技団体との連携については 34 競技中 62% が連携をしており 主な連携内容として強化事業が67% 講習会が19% 大会運営でのサポートが14% であった ( 図 6 図 7) 地域と連携して活動している専門部は34 競技中 21% であった 主な連携内容として 地域開催の大会やイベントにボランティア役員として参加 ( ハンドボール ボート ライフル射撃 ) や地域の協会が主催する強化事業に参加 ( アーチェリー 相撲 ) 地域の専用施設を利用 ( ホッケー ) などであった ( 図 8) 図 8 地域との連携 21% 38% 連携あり連携なし無回答 41% 4 成果と課題 (1) 他団体との連携高体連専門部へのアンケート結果を分析すると 他団体との連携の強さや関わりの多さが成績に反映していると思われる その典型的な例がハンドボールやホッケーで これらの競技は地域スポーツとして古くから根付いており 中体連 県協会 地域が連携しながら普及 強化活動を行っていることが安定した競技成績につながっていると考えた また バレーボールでも同様の動きがあり 特に中体連や県協会と連携を図りながら継続的に強化事業を行った結果 今年度富山市で開催された全国中学校選手権大会で地元の中学校がベスト8 入賞や高校でも昨年度の選抜大会で男子が5 位入賞するなど その成果が現れてきた こうした成功例を参考に高体連専門部が他団体との連携をより強固にし 継続的な指導体制が構築されれば さらなる競技力の向上に繋がると考えた 48

(2) 富山県体育協会との連携 未来のアスリート発掘事業 をはじめ 富山県体育協会が中心となって行われている強化事業での成果にも注目していきたい 未来のアスリート発掘事業 は2015 年度で丸 10 年が経った 富山県体育協会が実施した1~3 期生 ( 大学 3 年生 ~ 大学 1 年生 ) へのアンケート結果 ( 回答率 91%) によると 活動内容について 88% の修了生がその後の活動に役立ったと答えており 全国大会出場歴が39%( うち全国優勝者 8 名 ) 主将経験者が54% と現在も活躍していることが分かった さらに今後の進路については 指導者を考えている選手が20% いることから 発掘 ~ 育成 ~ 強化 だけでなく 次世代への繋がり や 後継者育成 につながるとして 大いに期待される また 近年の高校生の全国大会入賞者 ( 夏季大会のみ ) 数をみると 平成 27 年度では12 競技 18 種目 ( 延べ人数 74 人 ) 平成 28 年度では12 競技 33 種目 ( 延べ人数 102 人 ) うち全国優勝が3 競技と年々成績アップしている その要因として高体連の強化事業による遠征や指導者研修といった技術 戦術面のサポートだけでなく TOYAMA アスリートマルチサポート事業 でトレーナーによる怪我の防止や体力増強といった体力面のサポートを受けることができるようになり 多方面からのサポートを受けたことやスタッフの役割の細分化により コーチが戦術等に専念できるようになったことがその成果につながったと考えられる 開始間もない TOYAMA アスリートマルチサポート事業 が今後の競技力向上に繋げるために 富山県体育協会と連携を進めながらより積極的に活用していくことが重要であると考える (3) 今後の課題調査 分析する中で現在の強化事業における課題点もいくつか見られた 未来のアスリート発掘事業 で成績上位の優秀な児童が中学校に指導者がいなかったために その後 本県代表選手にすらなれなかった事例や選手が県外に流出した事例もあった この背景には 未来のアスリート発掘事業 の事業名に関する認知度はあるものの 実際に参加した児童の情報が 中学校や高校の指導者に共有されていないことが挙げられる また前述のアンケートにあるように 中 高校生対象の 元気とやまスポーツ道場 や TOYAMA アスリートマルチサポート事業 の諸活動が行われていることを知らない指導者も多いことから 諸活動に関する情報や事業に関わった選手の情報をより共有することが挙げられる また TOYAMA アスリートマルチサポート事業 では 約 800 人の選手がサポートを受けているものの トレーナーの数が不足し 新規参入できない現状もある このような中学校以降の育成 強化にむけた環境整備の必要性が今後の課題であると考えられる こうした課題の解決にむけ まずは 元気とやまスポーツ道場 や TOYAMA アスリートマルチサポート事業 の認知度や活用率 事業への関与の割合を上げることが先決であると考える 認知度や活用率が上がることで活動内容や指導者の充実につながり 指導者や活動場所がない修了生に対しての手立てにつながる また発掘された小学生を県体育協会と各競技団体が協力して個々の選手の適性を見極め 高校の指導者をはじめとした協会の指導者が早い段階から指導に関わることでより才能を生かす形につながるのではないかと考える 2016 年リオデジャネイロオリンピックでは 富山県出身である女子柔道の田知本選手や女子レスリングの登坂選手が金メダルを獲得した この2 種目は富山県のお家芸であり 昔から地域が競技の普及や強化に密着に関わっていた また 明誠高校出身でバスケットボールの大会で活躍し 現在アメリカの大学から NBA を目指している八村塁選手も富山県出身で 未来のアスリート事業 の修了者でもある 八村選手は小学校時代にどの競技にも所属していなかったが この事業で才能を見出され その素質を中学校の指導者の目に留まったことからその後の活躍につながった このような 富山県の伝統 と 新たな試み の融合が今後の競技力向上につながると考える そうした取り組みを進める上で高体連専門部の果たす役割はますます重要となってくる 49