材料と方法 堆肥原料として生ゴミ区乾燥生乾燥生牛ふん区搾乳牛ふん ( 水分ゴミ少区ゴミ多区 85%) 生ゴミ( 水 生ゴミ分 82%) 乾燥生ゴ現48 乾55 物物ミ ( 水分 10%) も 49 割割75 34 乾燥生ゴミ 83 みがら ( 水分 10%) 合2

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23 Ⅴ-1-(1)(2)有機物利用の基礎と種類

注 ) 材料の種類 名称及び使用量 については 硝酸化成抑制材 効果発現促進材 摂取防止材 組成均一化促進材又は着色材を使用した場合のみ記載が必要になり 他の材料については記載する必要はありません また 配合に当たって原料として使用した肥料に使用された組成均一化促進材又は着色材についても記載を省略す

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目 的 大豆は他作物と比較して カドミウムを吸収しやすい作物であることから 米のカドミウム濃度が相対的に高いと判断される地域では 大豆のカドミウム濃度も高くなることが予想されます 現在 大豆中のカドミウムに関する食品衛生法の規格基準は設定されていませんが 食品を経由したカドミウムの摂取量を可能な限り


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Taro-23 Ⅴ-1-(1)(2)有機物利

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ⅱ 調査地点調査地点は 事業実施区域の敷地境界 2 地点とし 調査時において 風上 風下となる地点とした 調査地点を図 7.4-1に示す ⅲ 調査方法調査方法を表 7.4-3に示す 表 悪臭の調査方法 調査項目 悪臭の状況 気象の状況 調査方法 臭気指数 : 三点比較式臭袋法試料採取時の

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別添 4 レファレンスアプローチと部門別アプローチの比較とエネルギー収支 A4.2. CO 2 排出量の差異について 1990~2012 年度における CO 2 排出量の差異の変動幅は -1.92%(2002 年度 )~1.96%(2008 年度 ) となっている なお エネルギーとして利用された廃

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2. 乳酸菌製剤 :Lactobacillus Delbrueckii, 通称名 : アンティムッファ株の特徴 抗カビ活性 (Anti Muffa) を有し 且つ単独で用いてもプロバイオティクス活性に優れる新 規な乳酸菌を提供することで 乳酸菌名 : ラクトバチルス デルブリッキー ( Lactob

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がんを見つけて破壊するナノ粒子を開発 ~ 試薬を混合するだけでナノ粒子の中空化とハイブリッド化を同時に達成 ~ 名古屋大学未来材料 システム研究所 ( 所長 : 興戸正純 ) の林幸壱朗 ( はやしこういちろう ) 助教 丸橋卓磨 ( まるはしたくま ) 大学院生 余語利信 ( よごとしのぶ ) 教

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ト ( 酢酸 ) を用いた ( 図 1) 各試薬がすでに調合されており操作性が良い また この分析方法は有害な試薬は使用しないため食品工場などでの採用が多く ISO などの国際機関も公定法として採用している F-キット ( 酢酸 ) での測定は 図 1の試薬類と試料を 1cm 角石英セル に添加し

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

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目次 1. 総合評価 1 2. 湿度に対する安定性 2 3. 温度に対する安定性 4 4. 光に対する安定性 6 5. 分割時の安定性 9 6. 粉砕時の安定性 12 総合評価分類 分類 分類基準全ての試験項目で変化を認めないいずれかの試験項目で 規格内 の変化を認めるいずれかの試験項目で 規格外

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目次 1. 総合評価 1 2. 湿度に対する安定性 2 3. 温度に対する安定性 4 4. 光に対する安定性 6 5. 分割時の安定性 ( 湿度 ) 8 6. 分割時の安定性 ( 光 ) 粉砕時の安定性 12 総合評価分類 分類 分類基準全ての試験項目で変化を認めないいずれかの試験項目で

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手順 5.0g( 乾燥重量 ) のイシクラゲをシャーレに入れ毎日 30ml の純水を与え, 人工気象器に2 週間入れたのち乾燥重量を計測する またもう一つ同じ量のイシクラゲのシャーレを用意し, 窒素系肥料であるハイポネックス (2000 倍に希釈したものを使用 ) を純水の代わりに与え, その乾燥重

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2 地温 : 15~25 の温度帯に緩効性効果が一番高い 30 を超えると ウレアーゼ抑制材の分解が加速する上 微生物の繁殖も速くなり 微生物の活性を抑える効果が低くなる 3 土壌 ph: 弱酸性土壌 (ph5.5) からアルカリ性土壌 (ph8.0) まで土壌 ph が高いほど緩効性効果も高くなる

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20 石川県農業総合研究センター研究報告第 28 号 (2008) Ⅰ はじめに家畜ふん尿処理施設では 収集 運搬された家畜ふん尿は固液分離機に搬入され 固形分は堆肥化処理後 農耕地へ還元利用されている 液状分は好気発酵処理 さらに生物処理等の工程の順に適切な浄化処理が行われ その後 放流されている

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Title 東南アジア熱帯林における土壌酸性の変動とその規定要因 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 山下, 尚之 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL

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( 続紙 1 ) 京都大学博士 ( 農学 ) 氏名根田遼太 Spatial structures of nitrous oxide fluxes from soil and its determining factors in Acacia mangium plantation 論文題目 (Acac

国土技術政策総合研究所 研究資料

Transcription:

乳牛ふん堆肥と生ゴミの混合堆肥化特性 Composting Property of Dairy Cattle Waste and Garbage Mixture 小柳渉 森山則男 Wataru OYANAGI and Norio Moriyama 要約乳牛ふん堆肥を高温化するためと 生ゴミによる生育障害 窒素飢餓を回避するために 乳牛ふんと生ゴミの混合堆肥化について検討した 1 乳牛ふんに生ゴミを混合して堆肥化すると 乳牛ふんのみの場合より発酵温度が高く推移した 2 生ゴミ由来の強い悪臭が発生した 3 エネルギーの指標となる BOD 値は生ゴミ混合により高まった 4 乾燥生ゴミの多量添加により製品堆肥がより黒色化した 5 乾燥生ゴミ施用は生育障害と窒素飢餓を起こすが 生ゴミ牛ふん混合堆肥は障害や窒素飢餓を起こさなかった 以上より 乳牛ふんと生ゴミの混合堆肥化は 悪臭発生に留意する必要があるものの 双方の欠点を解消できると考えられた はじめに有機性廃棄物の有効な処理利用法を策定することは 現在重要な課題である 有機性廃棄物の中でも 家畜ふん尿と生ゴミは全国的に発生量が多く 1) それぞれ 9400 万 t 2000 万 tと2 位 3 位を占めている 家畜ふん尿の処理利用法は堆肥化処理 農地還元が主流である しかし 乳牛ふんは 堆肥化開始時の易分解性有機物が少なく ( 小柳ら未発表 ) 水分が高いため 特に寒冷地の冬期間において発酵温度が上がりにくいという欠点がある 家畜ふんの堆肥化の目的は 腐熟させ作物に対する安全性を確保するとともに 発酵熱により大腸菌や雑草の種子などを死滅させ衛生的安全性を確保することなので 発酵温度の低下はこれら衛生的安全性の欠如を生じる 一方 生ゴミは消却規制に伴い農地還元が進められつつあるが 易分解性有機物が非常に多いため 2) 生もしくは乾燥物を施用すると作物の生育障害や窒素飢餓を起こす危険性がある 堆肥化すればこれらの問題は解決すると考えられるが 新たに堆肥化施設を整備することが必要である そこで 易分解性有機物が少ない乳牛ふんと易分解性有機物が多い生ゴミを混合することにより 互いの欠点を補い合えないかと考え 両者の混合堆肥化試験を行い その堆肥化特性について検討した

材料と方法 堆肥原料として生ゴミ区乾燥生乾燥生牛ふん区搾乳牛ふん ( 水分ゴミ少区ゴミ多区 85%) 生ゴミ( 水 15 11 10 14 35 28 生ゴミ分 82%) 乾燥生ゴ現48 乾55 物物ミ ( 水分 10%) も 49 割割75 34 乾燥生ゴミ 83 みがら ( 水分 10%) 合26 合45 86 を用いた 生ゴミは 45 牛ふん 36 38 26 20 日本電器工業会で 15 6 策定した標準生ゴ初期もみがら 72% 70% 62% 73% ミを改変して作成水分図 1 混合割合および初期水分した 組成は重量比で キャベツ :30 ジャガイモ:5 タマネギ:10 ダイコン:5 リンゴ:8 ミカン:8 豚肉 :3 イワシ:8 鶏卵殻:2 ごはん:15 茶殻:6 である この生ゴミを生ゴミ処理機 (National MS-N34) で処理して乾燥生ゴミを作製した 試験区は 牛ふんと生ゴミともみがらを混合した生ゴミ区 牛ふんと乾燥生ゴミともみがらを混合した乾燥生ゴミ少区と乾燥生ゴミ多区を設定した 対照区として牛ふんともみがらを混合した牛ふん区を設けた 生ゴミ区 乾燥生ゴミ少区 牛ふん区は初期水分が 72% 前後となるように各原料の混合割合を設定した ( 図 1) 乾燥生ゴミ多区は牛ふんと乾燥生ゴミの乾物比率が同程度になるように混合割合を設定した 一部サンプリングして BOD( 生物化学的酸素要求量 ) を測定した これらの混合物を小型堆肥化実験装置 かぐやひめ を用いて 35 日間堆肥化した 通気量は 0.3 リットル / 分 (1.2m 3 /hr m 3 ) とし 7 日毎に切り返しを行った 経時的に発酵温度と臭気 ( 官能評価 ) を調査した 混合物と製品堆肥については 風乾粉砕し分析に供した 堆肥の明度 (L* 値 ) は色彩色差計 ( ミノルタ CR-300) で測定した 植物障害検定はサンプル 1:20 の割合で土壌と混合し セルポット内で 25 6 日間コマツナ ( 夏楽天 ) を栽培し 生育を評価した 窒素無機化量は 0.4:20 の割合で黒ボク土壌と混合し 30 28 日間インキュベートし 無機態窒素を測定し 土壌のみの無機態窒素量との差し引きから算出した

結果と考察 図 2に発酵温度 80 生ゴミ区 乾燥生ゴミ区で悪臭発生 の変化を示した 生 生ゴミ区 ゴミを混合した生ゴミ区 乾燥生ゴミ少区 乾燥生ゴミ多区は 牛ふん区に比べ 高い温度で推移した 最高温度は 生ゴミ区 :72 乾燥生ゴミ少区 : 70 60 50 40 30 20 乾燥生ゴミ少区乾燥生ゴミ多区牛ふん区 73 乾燥生ゴミ 10 0 5 10 15 20 25 30 35 40 多区 :72 牛ふ 堆肥化期間 ( 日 ) ん区 :50 0~14 図 2 生ゴミ混合堆肥の発酵温度の推移 日間の平均温度はそれぞれ 36 37 48 32 であった このように乳牛ふんに生ゴ ミまたは乾燥生ゴミ混合することにより明らかに発酵温度が上昇した また 乾物比で生 ゴミ混合量が最も多かった乾燥生ゴミ多区が最も発熱量が多かった 表 1に堆肥化開始時 と終了時の BOD 値を 表 1 成分変化 示した 堆肥化開始時 水分 % BOD mg/gdm L * 値 ( 明度 ) 開始時終了時開始時終了時開始時終了時 生ゴミ混合区 72 72 161 30 49 48 の BOD 値は生ゴミを乾燥生ゴミ少区 70 72 138 27 49 45 混合した区は 牛ふん 乾燥生ゴミ多区 62 64 230 53 45 41 区に比べ非常に高く 牛ふん区 73 75 45 21 50 47 発熱量の増加は易分解性有機物の増加によるものと考えられた 内田ら 3) も同様に肉牛ふ んに生ゴミを混合することにより高温発酵することを示している 家畜ふんの堆肥化の最 大の目的は病原菌 寄生虫卵 雑草種子を死滅させることであり そのためには高温で発 4) 酵することが必要である 目安としては 60 数日間とされている 今回 牛ふん区で はこのレベルに達していなかったので衛生的安全性に問題があるといえる 実際の乳牛ふ んの堆肥化では スケールの違いなどにより今回の結果とは一致しないとは考えられるが いずれにせよ乳牛ふんはエネルギー ( 易分解性有機物 ) が少ないので 高温化しにくく 堆肥の衛生的安全性に問題がある可能性がある しかし 生ゴミを添加することにより明 らかに発酵温度が上昇することから 生ゴミ混合は衛生的安全性の確保に効果があると言 える

官能検査ではあるが堆肥化時の発生臭気を調査した結果 図 2に示すように生ゴミ区 乾燥生ゴミ少区 乾燥生ゴミ多区の最初の 10 日間に強い悪臭が発生した 臭気の質としてはタマネギ臭 ( メチルメルカプタン?) とミカン皮臭が強く感じた これに対して牛ふん区は弱いアンモニア臭のみであった 内田らは肉牛ふんと生ゴミとの混合堆肥化において 嫌気発酵しやすいためアンモニア トリメチルアミン メチルメルカプタンが発生しやすいことを示している 概して悪臭物質は嫌気状態で多く発生するが 今回は切り返し時の観察からすべて好気発酵と判断した 通乾燥生ゴミ乾燥生ゴミ多区常の牛ふんのみの堆肥化では好気状態を土のみ単独製品堆肥保てば 悪臭はほぼアンモニア臭のみになるが 生ゴミを混合すると好気発酵であるにもかかわらず 強い悪臭が発生することから 実際の生ゴミとの混合堆肥化においては脱臭槽等の悪臭対策が必要と考えられた 表 1に堆肥の L* 値 ( 明度 ) を示した 乾燥生ゴミ多区は他区に比べ開始時 製品堆肥いずれも明度が低く より黒色化することが示された 生ゴミ混合量 ( 乾物 ) が最も多い乾燥生ゴミ多区の製品堆肥について 植物生育障害検定と窒素無図 3 植物生育障害検定機化量を調査し 乾燥生ゴミと比較した 図 3に植物生育障害検定結果を示した 表 2 窒素放出 吸収量 (mg/g DM) 乾燥生ゴミはコマツナに対して明らかな障害を起こしたが 製品混合堆肥は生育乾燥生ゴミ多区乾燥生ゴミ製品堆肥が対照区と同程度であり 障害はないと -2.0 1.5 判断した また 乾燥生ゴミは土壌中での分解の際 窒素放出量がマイナス ( 表 2) すなわち窒素飢餓を示したが 製品混合堆肥は窒素を放出しており 有機質資材の性質として正常であった これは生ゴミ単独施用では生育障害 窒素飢餓を生ずる恐れがあるが 家畜ふんとの混合堆肥化によりこれらの欠点が解消されたことを示す 文献 1) 生物系廃棄物リサイクル研究会 : 生物系廃棄物のリサイクルの現状と課題 (1999) 2) 小柳渉 山口武則 磯部武志 内山知二 生雲晴久 : 家畜ふん堆肥および生ゴミ処理物中の易分解性有機物, 土肥要旨集,48,132(2002) 3) 内田啓一 白石誠 脇本進行 古川陽一 奥田宏健 : 牛ふんと生ゴミの混合堆肥化に

おける高温発酵と悪臭低減効果, 岡山総畜セ研報,14,83~88(2003) 4) 中央畜産会 : 堆肥化施設設計マニュアル,p.15, 中央畜産会, 東京 (2000)