2. 工事請負契約標準見積書の活用は 建設業における技能労働者の処遇改善に対する取り組みである 建設業 非建設業の区分でみるように 建設業種区分に含まれない場合は 売買契約での取引で行うことになる 2.1. 改正建設業法に基づく行動指針 (1) 家具を受注する場合家具製作費 + 施工工事費となる 2

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1 標準見積書とは 1-1 目的は 法定福利費 の原資確保 社会保険未加入の対策を進めるためには法定福利費の原資確保が重要である しかし従来は見積時から法定福利費が明確になっておらず その扱いが分かりにくい状況となっていた 今後は工事費総額ではなく その中に含まれる法定福利費を明示して必要な原資を確

1 標準見積書とは 1-1 目的は 法定福利費 の原資確保 社会保険未加入の対策を進めるためには法定福利費の原資確保が重要である しかし従来は見積時から法定福利費が明確になっておらず その扱いが分かりにくい状況となっていた 今後は工事費総額ではなく その中に含まれる法定福利費を明示して必要な原資を確

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(2) 法定福利費の基本的な算出方法 法定福利費 = 労務費総額 法定保険料率 法定福利費は 通常 年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算します しかし 各工事の見積りでは 労働者の年間賃金を把握することは不可能です そのため 見積額に計上した 労務費 を賃金とみなして それに各保険の保険料率

工事費構成内訳書の提出について ~ 法定福利費の明示が必要になります ~ 平成 29 年 12 月 6 日 中日本高速道路株式会社

法定福利費の明示について 1 社会保険等未加入対策 建設業者の社会保険等未加入対策として 社会保険等への加入を一層推進していくためには 必要な法定福利費が契約段階でも確保されていることが重要です 建設工事における元請 下請間では 各専門工事業団体が法定福利費を内訳明示した 標準見積書 を作成しており

資料6 標準見積書の活用グラフ道塗連全体

(2) 法定福利費の算出方法 1 法定福利費 = 労務費総額 社会保険料率法定福利費は 通常 年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算します しかし 各工事の見積りでは 労働者の年間賃金を把握することは不可能です そのため 見積額に計上した 労務費 を賃金とみなして それに各保険の保険料を乗じて

株式会社殿 住所 株式会社 見積金額 L ( 消費税込 ) ( 内訳 ) 項目数量歩掛単価金額 工事材料費 A 労務費 B 経費 ( を除く ) D=A+B +C 事業主負担額対象金額金額雇用保険料 B 1.050% p E B p 消費税等合計 御見積書 ( 例 ) 料率 健康保険料 ( 1 )

株式会社殿 住所 株式会社 見積金額 L ( 消費税込 ) ( 内訳 ) 項目数量歩掛単価金額 工事材料費 A 労務費 B 経費 ( を除く ) D=A+B +C 事業主負担額対象金額金額雇用保険料 B 1.050% p E B p 消費税等合計 御見積書 ( 例 ) 料率 健康保険料 ( 1 )

PowerPoint プレゼンテーション

標準見積書に計上する 法定福利費 の算出は次の2つの方法とし 手順は以下の通り 1 施工見積の取付費総額から労務費を算出し それに法定福利費の保険料率を乗じる 2 これまでの施工実績をもとに施工従事者に支払った正味労務費から各商品の単位当りの法定福利費をあらかじめ算出した上で 法定福利費を簡便に算出

れている者 個人事業所で5 人以上の作業員が記載された作業員名簿において 健康保険欄に 国民健康保険 と記載され 又は ( 及び ) 年金保険欄に 国民年金 と記載されている作業員がある場合には 作業員名簿を作成した下請企業に対し 作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること なお 法人や 5 人

動の徹底に関する決議 を行い 会員企業に適正価格での受注の徹底を要請したとこ ろである 今後の取り組み事項その 1 日建連は主な民間発注者団体に対し 法定福利費を適正に考慮した金額により見積及び契約締結を行うよう要請を行う予定であり 要請次第 会員企業に当該要請を踏まえた対応の周知を行う (2) 見

働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

一般社団法人送電線建設技術研究会関西支部社会保険等の加入促進計画 1. はじめに 平成 27 年 4 月 24 日制定 建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険等 という ) の 1 法定福利費を適正に負担しない企業が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというと

なお 事業所の形態によって企業単位及び労働者単位で加入すべき保険の種類が異なる このため 事業所形態に応じて社会保険料の事業主負担分の内訳明示額の対象が以下のようになるので 留意されたい 1 法人事業所 労災保険全ての警備員に係る労災保険料 雇用保険常用警備員の雇用保険料事業主負担額 健康保険料健康

法定福利費を別枠計上する 標準見積書 の作成手順について 目次 1. はじめに 1 2. 基本的な考え方 1 (1) 見積条件 1 (2) 積算構成項目 1 (3) 個人事業主及び一人親方の場合 1 (4) 保険適用について 2 3. 法定福利費の算出方法 2 (1) 見積書に明示する法定福利費事業

A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

社会保険等加入及び法定福利費を内訳明示した見積書に関する実態調査について 1. 調査の目的 これまでに実施してきた各施策に関する各建設企業における取組状況および施策の現場への浸透状況等を総合的に把握し 社会保険等未加入対策の目標達成を見据えた加入徹底方策を検討することを目的とする 2. 調査の概要

Q&A 集 Q1 社会保険等とは何か A1 社会保険等とは 健康保険 ( 協会けんぽ 健康保険組合等 ) 厚生年金保険 及び雇用保険をいいます Q2 国民健康保険組合に加入しているが 社会保険等未加入建設業者となるのか A2 法人や常時 5 人以上の従業員を使用する国民健康保険組合に加入している建設

p10 建設産業における社会保険加入の徹底について(提言)

1 医療保険 年金保険についての確認書類 弊社が施工する建設現場に入場する協力業者および作業員の方には 作業所長の指示により 見積書提出時 新規入場時 安全書類提出時に 医療保険 年金保険の加入状況を確認する書 類 ( 下記 A~E いずれか一点 ) を提出または呈示していただきます A. 直近の保

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建設業における社会保険未加入対策の概要 参考 1 背景 ( 建設業における課題 ) 社会保険未加入企業が多く存在し いざというときの公的保障が確保されず 若年入職者減少の一因となっている 適正に保険に加入し 法定福利費を負担している事業者が競争上不利になる 中央建設業審議会提言 ( 平成 24 年

1 これまでの社会保険加入状況 2 社会保険の加入及び賃金の状況等に 関する調査結果 3 入札契約適正化法に基づく実施状況 調査結果 4 建設業許可業者の加入率 ( 推計値 ) 1

Microsoft Word - QandA-tyougai

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2 低入札対策の拡充

34(30) 等級の 報酬月額 欄は 厚生年金保険の場合 605,000 円以上 と読み替えて下さい 4. 平成 27 年度における協会けんぽの任意継続被保険者の標準報酬月額の上限は 280,000 円です 5. 健康保険組合に加入する方の健康保険料額については 加入する健康保険組合へお問い合わせ下

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貴社についてご記入下さい 貴社の概要について 会社名会社の形態 ( は一つ ) 1 法 2 個 本社所在地 [ ] 都道府県 建設業許可 ( は一つ ) 複数の許可をお持ちの場合 年間完成工事高が一番多いものを一つ回答して下さい 主な許可業種 ( はいくつでも ) 従業者数 ( は一つ ) 期間の定

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基本問題小委員会における提言 ( 平成 26 年 1 月 ) 社会保険等未加入対策関係 1. これまでの中央建設業審議会 社会資本整備審議会基本問題小委員会における提言 1 行政 元請企業による加入指導 法定福利費確保に向けた取組等の総合的な対策を推進すべき 2 平成 29 年度を目途に 事業者単位

国土入企第 5 4 号 平成 31 年 2 月 22 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局長 技能労働者への適切な賃金水準の確保について 技能労働者の確保 育成のためには 適切な賃金水準の確保等による処遇改善が極めて重要です 国土交通省においては これまでの 6 度にわたる公共工事設計労

懸念事項

Ⅰ 概要について 一次下請契約者を社会保険等加入業者に限定します 平成 29 年 4 月 1 日以降に契約締結した工事において 受注者は 原則として社会保険等未加入業者を下請契約 ( 受注者が直接契約締結するものに限る 以下 一次下請契約 という ) の相手方としないこととします 追加 建設工事契約

平成20年度

Microsoft Word - 01社会保険等加入対策に係る事務処理要領

様式 3 社会保険等一括管理届 ( 一括適用 継続事業一括 ) 11 ページ 本社や支社等ごとに適用されている適用事業所について 本社で人事 給与等が集中的に管理されており 事業主が同一である等 一定の基準を満たすときは 本社において支社等を含めた一つの適用事業所とされる場合があります ( 健康保険

下請契約からの社会保険等未加入建設業者の排除等に係る Q&A Q1 社会保険等とはなんですか A1: 雇用保険 健康保険 厚生年金保険の 3 保険のことをいいます Q2 社会保険等に未加入 というのはどういう場合か A2: 社会保険等に未加入 とは 社会保険等の適用を受ける事業所でありながら 各保険

202000歩掛関係(151001) END.xls

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ただし 受注者が下請業者と直接契約を締結 ( 以下 一次下請契約 という ) した請負代金の総額が3,000 万円 ( 建築一式工事の場合は4,500 万円 ) 以上の場合は 次のとおり取り扱うものとする ア主管部長 ( 岐阜市契約規則 ( 昭和 39 年規則第 7 号 ) 第 4 条に規定する部長

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ア事業担当課長 ( 岐阜市上下水道事業部契約規程 ( 昭和 41 年水道部管理規程第 3 号 ) 第 4 条に規定する部長 ) は 工事請負契約約款第 7 条の2 第 2 項の規定に基づき 受注者に対して 期限を定め 当該下請契約を締結した具体的な理由を載した書面を求めるものとする ( 様式 1)

Microsoft Word - 別紙4.doc

Microsoft Word - 別紙4.doc

役務契約における労働社会保険諸法令遵守状況確認実施方針

Ⅱ 取組み強化のためのアンケート調査等の実施 (1) 建設技能労働者の賃金水準の実態調査国土交通省から依頼を受けて都道府県建設業協会 ( 被災 3 県及びその周辺の7 県を除く ) に対し調査を四半期ごとに実施 (2) 適切な賃金水準の確保等の取組み状況のアンケート調査国は 平成 25 年度公共工事

スライド 1

プレゼンテーションタイトル

○1_(公表用)労務単価

特別の事情 が認められる場合( 2) 特殊な技術 機器又は設備等 ( 以下 特殊技術等 という ) を必要とする工事で 特殊技術等を有する者と下請契約を締結しなければ契約の目的を達することができないことや その下請業者でなければ目的を達することが困難となることが明らかな場合 特別の事情 に該当しない

社会保険等未加入に対する取組 平成 29 年度を目途に 企業単位では加入義務のある建設業許可業者の加入率 100% となるよう社会保険等未加入企業に対する加入指導を強化します 実施項目経営事項審査の厳格化 平成 24 年 7 月より実施 建設業担当部局による立入検査 実施内容 経営事項審査において

適正化法に係る書類 ( 様式目次 ) 下記書類は( 甲 ) 第 23 号に添付の上提出のこと 名 称 様 式 備 考 頁 請負工事において 元 施工体制台帳 請が下請契約を締結し工事適正化推進要領様式第 1 号た場合に提出する 110 再下請負通知書工事適正化推進要領様式第 2 号 112 施工体系

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Microsoft Word - ④別紙4.doc

なお 受注者から指定した期日までに保険加入を確認できる書類が提出されない場合は 埼玉県流域下水道事業建設工事標準請負契約約款第 7 条の3 第 1 項の規定に違反することとなる旨を併せて通知します 3 発注者が 理由書 ( 一次 ) によっても当該特別の事情を有すると認めないと判断した場合は 受注者

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Microsoft Word - 修正2_建設業における社会保険未加入対策について

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3. 保険加入義務のあるのある営業所 ( 適用事業所 ) について社会保険法人の事業所 ( 営業所 ) 及び個人経営で常時 5 人以上の労働者を使用する事業所 ( 営業所 ) が適用事業所に該当します 雇用保険については 労働者を 1 人でも雇用する事業所 ( 営業所 ) が適用事業所に該当します

財営第   号

別記様式 2 地方整備局長 知事 支社支社長 印 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第 11 条 社会保険等未加入 業者 の通知について 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 ( 以下 法 という ) 第 11 条に基づき 弊社の発注工事において社会保険等未加入業者の存在が

Microsoft PowerPoint 記者発表資料別添(セット)

( 別紙 ) 施工体制台帳に係る書類の提出に関する実施要領 1 目的公共の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 ( 平成 12 年法律第 127 号 ) 及び建設業法 ( 昭和 24 年法律第 100 号 ) に基づく適正な施工体制の確保等を図るため 発注者から直接建設を請け負った建設業者は 施工

社会保険等の未加入対策 ( 建設業 ) に関する FAQ 平成 31 年度以後 Q1 発注者として 社会保険等の未加入対策に取り組んでいるのはなぜか A1 社会保険等に加入し 法定福利費を適正に負担する建設業者を確実に契約の相手方とすること等を通じて 技能労働者の処遇の向上を図り 建設業の持続的な発

Q4 建設業の許可を有しない下請負人 ( 下請業者 ) も対象になるのか A4 本対策は 建設業許可を有する者のうち 社会保険等の加入義務を履行していない者を取組みの対象としています 建設業の許可を有しない者との一次下請契約の締結を禁止していません ( 交通誘導員等の警備業のみを行う者も対象外 )

2 出勤簿 賃金個人台帳 は各人の賃金月額から 健康保険 年金保険 雇用保険についての法定福利費や 国保 国民年金に対する事業主の任意による上乗せ負担分を算出し 事業主負担分と本人負担分を経理した上で 実際の支給額を算出できるようにしました また 出勤簿と一体とし 簡易に法定帳簿の備付ができるように

補助事業等の実施に要する人件費の算定等の適正化について 平成 22 年 9 月 27 日 22 経第 960 号大臣官房経理課長から大臣官房総務課長 大臣官房政策課長 大臣官房厚生課長 大臣官房地方課長 大臣官房環境バイオ マス政策課長 大臣官房国際部長 大臣官房統計部長 各局 ( 庁 ) 長 沖縄

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建設業における社会保険未加入対策 ( 今までの主な取組 ) 中央建設業審議会 建設産業における社会保険加入の徹底について ( 提言 ) ( 平成 24 年 3 月 ) 関係者を挙げて社会保険未加入問題への対策を進めることで 技能労働者の処遇の向上 建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保 法定福利費

(2) 共通費 第 3 編共通費 2 第 1 章共通事項 1 共通費算定に関する数値の取り扱い (1) 率による算定共通費基準の率により算定した金額は 一円未満切捨てとする (2) 積み上げによる算定積み上げによる算定は第 4 編 1に準ずる (3) 一般管理費等イ. 算出された金額の範囲内で 原則


平成23年度第1回人材確保・育成部会

(案)

特別の事情 が認められる場合 ( 2) 特殊な技術 機器又は設備等 ( 以下 特殊技術等 という ) を必要とする工事で 特殊技術等を有する者と下請契約を締結しなければ契約の目的を達することができないことや その下請業者でなければ目的を達することが困難となることが明らかな場合 特別の事情 に該当しな

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所において施工する場合 2 施工にあたり相互に調整を要する工事で かつ 工事現場の相互の間隔が 10km 程度の近接した場所において同一の建設業者が施工する場合 ( 別添 建設工事における現場代理人の常駐義務の緩和に係る取扱いについて に示す 参考 第 2 第 1 項第 3 号に定める該当工事 参照

平成 30 年 3 月 22 日 民間発注企業の長殿 国土交通省土地 建設産業局長 建設業の働き方改革の推進について 政府の 働き方改革実行計画 ( 平成 29 年 3 月 28 日働き方改革実現会議決定 ) においては 労働基準法の改正の方向性として 労使協定を結ぶ場合においても上回ることのできな

老高発 0713 第 1 号 平成 30 年 7 月 13 日 各都道府県介護保険主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省老健局高齢者支援課長 ( 公印省略 ) 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について の一部改正について 今般 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について (

様式 1 号 ( 外構部の木質化対策支援事業助成金交付規程第 6 関係 ) 全国木材協同組合連合会会長松原正和殿 外構実証事業申請書 下記のとおり外構実証事業に申請します (1) 申請者情報会社住所 事業担当者連絡先 建設業を生業とすることの証明 ( 右のいずれかについて )( 注 ) 会社名代表者

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< 派遣 > 直接雇用者の健保等級適用者以外の算出方法を適用します ただし 年俸 月給 日給 時給の記載はそれぞれの単位の契約額と読み替えます 人件費単価一覧表 ( 専従者用 ) 人件費単価 YES NO チャート ( 専従月額単価用 ) (P.4) を参考にしてください < 直接雇用

スライド 1

建設業における社会保険未加入問題への行政の取り組み

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これまで建設業界では 厳しい状況の中で企業経営を成り立たせるため 従来からの直庸など雇用関係が不明確な労働慣行 重層化した下請構造の中で 技能労働者の非社員化 非常勤化 月給制から日給月給制への転換などを進めてきました その結果 本来固定費であるはずの労務費が変動費化し 賃金が低下するとともに 法令

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1. 休日 適正工期の確保について 働き方改革関連法がいよいよ今年 4 月に施行します そんな中で建設業界でも 大手ゼネコンで組織する日本建設業連合会 ( 日建連 ) が 2019 年度末までに 4 週 6 閉所以上を実現することを中間目標とし 2021 年度末までにすべての事業所で週休二日 ( 土

報酬改定(処遇改善加算・処遇改善特別加算)

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留意事項 ( 1) 賃金アップの方法 欄には 賃金の算定方法を下記から選択し記載してください 賃金アップが 毎月決まって支払われる賃金 の場合は 1 賃金アップが 毎月決まって支払われる賃金 + 臨時に支払われる賃金 の場合は 2 賃金アップの方法 欄において 1の 毎月決まって支払われる賃金 を選

Transcription:

法定福利費の標準見積書及び算出方法の解説 一般社団法人日本家具保証協会 1. 標準見積書 (1) 概要建設業は 建設投資の急激かつ大幅な減少に伴い 価格競争の激化や請負市場の不確実等から 本来負担すべき雇用 医療 年金保険の法定福利費の適正な負担を無視し 薄利 低価格で請負う企業や事業者がいる それは 技能労働者の離職 雇用不安定及び若年入職者の減少の要因にもなっている 社会保険加入を着実に進めるために 社会保険加入の前提となる法定福利費の原資の確保が必要であり 発注者から下請企業まで適正に支払われるよう 社会保険加入の着実なる実行 法定福利費の標準見積書の活用 の取り組みを関係者の協力を得て推進する (2) 法定福利費の原資確保社会保険未加入を適正化対策を推進するためには 法定福利費の原資確保が必要である これまで 見積段階から法定福利費が明確でなく 各自の判断 元請けの都合によるなど不統一な状態であった そのため 工事総額ではなく 当法人が工事に含まれる法定福利費を明示し 必要な原資を確保し 社会保険加入を進めるものとする (3) 法定福利費の算出根拠を明確にする専門工事事業団体の 標準見積書 法定福利費の算出根拠が各社間で異なることは比較が難しくする 国土交通省は 専門工事業団体に対し 算出根拠を明確にした団体会員各社が活用できる標準見積書の作成を 総合工事業団体に対しては 専門工事業団体が作成した標準見積書の運用の働きかけをしている (4) 家具工事の請負契約における標準見積書の作成家具工事請負契約において 元請けより法定福利費を明示した標準見積書での提出を求められる場合が予想できるため 国土交通書が提示した下記のガイドに準拠した 材工一式表示の標準見積書 ( 別紙 1) と 材工別表示の標準見積書( 別紙 2) を作成する 1 標準見積書に法定福利費の内訳明示 ( 事業主負担 ) 2 算定に当り用いる保険料率の統一 3 計算手順の明確化 ( 演算関係を示す形での提示 ) 4 歩掛等の根拠の明確化 5 法定福利費の算出方法の統一 6 見積金額を調整するときの法定福利費の取扱い 7 法定福利費内訳明示額にかかる消費税の取扱い 8 適用除外である者の取扱い 1

2. 工事請負契約標準見積書の活用は 建設業における技能労働者の処遇改善に対する取り組みである 建設業 非建設業の区分でみるように 建設業種区分に含まれない場合は 売買契約での取引で行うことになる 2.1. 改正建設業法に基づく行動指針 (1) 家具を受注する場合家具製作費 + 施工工事費となる 2.2. 標準見積書の適用範囲 (1) 建設業種区分に含まれる受注工事請負契約を行う場合は 標準見積書の対象になる 建設業法遵守項目 1 一括下請け禁止 ( 法第 22 条 ) 流通経由の取引ができない 2 工事請負契約書の締結 ( 法第 18 条 ) 指定書式 13 項目 3 施工台帳の作成 下請業者の管理 4 主任技術者の配置 ( 法第 26 条 ) 専任が必要 5 営業に関する書類の保存 ( 法第 40 条 ) 指定書類の 10 年間保存 (2) 建設業種区分に含まれない受注工事とは別の作業は 商品に付随する作業として 売買契約事項 として扱う 3. 事業主負担の法定福利費の算出方法 (1) 法定福利費とは法定福利費は 法律で定められている 福利厚生費用 である 具体的には 雇用保険 健康保険 介護保険 厚生年金保険 児童手当拠出金の社会保険料のことである それぞれ 事業主負担と個人負担の比率が定められている 標準見積書に明示するのは 事業主が負担する法定福利費である 標準見積書を活用する目的は 法定福利費を算出するための 保険料率 と 算定対象 について算出根拠を明確にし 各社間の統一を図ることである (2) 法定福利費の算出方法法定福利費の基本的な算出方法は 労務費総額に法定保険料率を乗じることで算出するが 労務費総額の把握が困難なため 国土交通書の説明資料に基づき下記の簡便法で算出する 法定福利費の算定方法 1 工事費 工事費当たりの平均的な法定福利費の割合 = 工事費 工事費当りの労務費率 事業主負担の社会保険料率 社会保険加入率 ( イ ) 基本的方法各業種の実情に応じ 一定の方法により当該工事に係る労務費の総額を算出し それに法定福利費の保険料率を乗じる 2

法定福利費 = 労務費総額 法定保険料率 ( ロ ) 例外的方法工事費に含まれる平均的な法定福利費の割合や工事の数量当りの平均的な法定福利費を予め算出した上で 個別工事毎の法定福利費を簡便に算出する 法定福利費 = 工事費 工事費当りの平均的な法定福利費の割合又は法定福利費 = 工事費 数量当りの平均的な法定福利費 ( ハ ) 年度毎の単価 平均値等を用いる際のポイント 1 活用した出典根拠を明確にする 2 当該割合又は数量当りの法定福利費を一定の幅を持たせた参考指標として示す 3 個別に見積書を提出する際の下請企業は その内容の合理的な説明が求められる 4 実態を反映していないことが明らかな方法は 社会通念上認められない ( 2013 年国土交通書土地建設産業局建設市場整備課 標準見積書の活用等に向けた説明会資料より ) 法定福利費の算定方法 2 法定福利費 = 見積金額 ( 契約金 ) 労務費割合 法定福利費率 ( 事業主負担合計 15.192%) ( イ ) 見積金額 ( 契約金 ) % 労務費 ( 施工費 ) ( ロ ) 実態に近いシミュレーションを行い標準労務費率を晴漪邸する 第一次 第二次請負業者家具メーカーは 11 13% 程度 ) ( ハ ) 会員企業は それぞれ実態に合わせて労務費比率を設定する (3) 工事費当りの労務費率工事費は 労務費 ( 賃金 ) と必要経費の合計であるが 法定福利費の対象は 労務費 ( 賃金 ) のみである 工事費労務費 ( 賃金 ) 基本給 ( 月給 日給等 ) 諸手当 ( 家族手当 住宅手当 残業手当 通勤手当 資格手当 休業手当等 ) 賞与 報酬 ( 賞与 期末手当 勤勉手当等 ) 必要経費任意 恩恵的な費用 ( 退職金 結婚祝金 災害見舞金等 ) 労働の対価でない手当 ( 解雇予告手当 旅費 出張日当等 ) 福利厚生的な費用 ( 住宅手当 健康診断費用等 ) 業務活動的な費用 ( 作業衣費用等 ) その他の費用 ( 教育訓練費 求人募集費用等 ) 労務費率の算出は 以下に算出する 但し 事業所所在地 ( 都道府県 ) 毎の保険料率及 び労務単価での算出は各社に委ねるものとする (4) 事業主負担の社会保険料率 ( 保険料率表 ) 3

法定福利費の内訳を説明すると 労務費に対する社会保険料の料率うち 健康保険 厚 生年金は 毎年料率が変更される 健康保険料率は 全国健康保険協会都道府県支部 ( 加 入所在 ) で算出 介護保険料は 設定料率 1.55% の内 40 64 歳までの加入割合 52.3% を 乗じて その折半を事業主と個人が負担する 種 類 保険料率 事業主負担 の考え方 事業主負担社会保険料率 個人負担保険料率 雇用保険 1 1.650% 一定割合 1.050% 0.600% 健康保険 ( 東京都の場合 ) 9.970% 50% 4.985% 4.985% 介護保険 0.904% 50% 0.452% 0.452% 健康保険計 2 10.874% 5.437% 5.437% 厚生年金保険 18.300% 50% 9.150% 9.150% 児童手当拠出金 0.150% 100% 0.150% 0.000% 厚生年金保険料計 3 17.270% 9.300% 9.150% 合計 ( 1 + 2 + 3 ) 29.794% 15.787% 15.187% 各社会保険の料率と事業主負担率は下記機関の資料に基づく 雇用保険 : 厚生労働省 建設業に関わる雇用保険料率 但し 事業主負担と個人負担の保険料率は異なる 健康保険 : 全国健康保険協会 保険料率 但し 都道府県により異なる 事業主負担率は 50% 介護保険 : 全国健康保険協会 保険料率 但し 介護保険第 2 号被保険者 (40 歳以上 65 歳未満 ) が対象である 事業主負担率は 50% 厚生年金保険 : 日本年金機構 保険料率 但し 事業主負担率は 50% 児童手当拠出金 : 日本年金機構 保険料率 但し 事業主負担率は 100% (5) 社会保険料率 当該工事に従事する直接作業員 ( 主任技術者を含む ) が対象であるが 事業所携帯や就 労携帯似よって各社会保険の加入義務が違う 下表は 事業形態 就労形態別に各保険の 加入義務を示している 但し は 加入義務があるもの は適用外のものである 法人 個人事業主 常用 4 人以下常用 5 人以上 就労形態 雇用保険 健康保険 介護保険 厚生年金保険 児童手当拠出金 常用労働者 短時間労働者 役員等 常用労働者 常用労働者 短時間労働者 一人親方 4

印のある保険は 建設国民保険組合に加入し 健康保険の除外認定 を請けている場合は適用を除外する また 介護保険の対象者は 40 歳以上 65 歳以下である 種類社会保険加入率 雇用保険 100% 健康保険 100% 介護保険 53% 厚生年金保険 100% 児童手当拠出金 100% 見積段階で従事者の保険適用要否が未確定のため加入率を 100% として計上する 但し 介護保険は適用年齢条件を考慮する 但し 上記加入率は 当法人大手企業の調査会議で確認したもの (6) 法定福利費の算出式算出式は 以下の通りである 法定福利費 = 工事費 工事費当りの労務費率 (71%) A A 表事業書負担社社会保険加入率会保険料率 (7) 消費税の取扱い 法定福利費は 工事費の一部を厚生するものであることから, 消費税の課税対象よなる 工事費に含めて取り扱う (8) 算出根拠の見直し 算出根拠となる数値は 毎年度変動する可能性があるため 最新の数値を確認する 4. 対象 (1) 工事請負契約 る 雇用保険 1.050% 100% 健康保険 4.985% 100% 介護保険 0.452% 53% 厚生年金保険 9.150% 100% 児童手当拠出金 0.150% 100% 標準見積書の活用は 建設業における技能者の労働に関する処遇改善に対するものであ (2) 作業区分 15.787%( 加入率折込み ) 家具工事 ( 家具類の据付き等 ) に関する作業区分は 別途ガイドラインで明確にする 5

参考資料 標準見積書の作成について 標準見積書を活用して 法定福利費を内訳明示した見積書を作成するに当り 自社 の工事経験及び実績等に基づき適切に設定する ( 注 1) 一般的な請負高事業の構成 元請段階 一次下請段階 純工事費 直接工事費 ( 下請経費含む ) ( 直接仮設費 ) 工 工事原価 事 共通仮設費 工 価 ( 総合仮設費 ) 事 格 現場経費 費 元請の一般管理費 利益 消費税相当額 家具工事 材料費副資材部品費加工費 ( 工場生産 ) 労務費現場管理費請負諸経費別途加算工事費 工場生産 材料選別切断加工切削加工穿孔加工縁貼加工面取加工接合圧着本体仮組修正調整表面加工研摩加工解体包装 識別保管出荷運搬 6

( 注 2) 労務費及び法定福利費の算出例労務費の算出例工種数量 ( 台 ) 工賃単価金額作業台 : 各種加工 組立接合 据付戸棚 : 各種加工 組立接合 連結 据付造作家具 : 各種加工 組立接合 造付 労務費計 工賃単価は 公共工事設計労務単価 ( 東京都 /2015 年 4 月から適用 ) 法定福利費の算出例 項 目 摘 要 金 額 健康保険 4.985% 介護保険 0.405% 厚生年金 8.7105 児童手当拠出金 0.150% 雇用保険 1.050% 事業主負担分法定福利費計 各保険料率の根拠 1. 健康保険料率 :9.97%( けんぽ ) を事業主 被保険者で折半 2. 介護保険料率 :1.55%( けんぽで介護保険第 2 号被保険者 ) を事業主 被保険者で折半 対象が 40 才以上 64 才以下の割合 52.3% を乗じた比率 介護保険料率の算式 =1.55%/2 52.3%=0.405%( 小数点第 3 位未満四捨五入 ) 3. 厚生年金保険料 :17.120% を事業主 被保険者で折半 4. 児童手当拠出金 :0.15% を全額事業主負担 5. 雇用保険料 : 建設の事業に係る保険料率 7

別紙 1: 材工一式書式 平成年月日 御見積書 御中 株式会社 住所 TEL&FAX 担当 下記のとおり御見積申し上げます 見積金額法定福利費 消費税 合計金額 見積内訳 現場名 現場場所工事名恋路期間支払条件 製品名品番数量単位単価 ( 円 ) 金額 ( 円 ) 備考 法定福利費の内訳 計 名称種類保険料率加入率金額 ( 円 ) 備考事業主負担額雇用保険健康保険介護保険厚生年金保険児童手当拠出金計 8

別紙 2 材工別書式 平成年月日 御見積書 御中 株式会社 住所 TEL&FAX 担当 下記のとおり御見積申し上げます 見積内訳 見積金額法定福利費消費税合計金額 現場名 現場場所工事名恋路期間支払条件 製品名 品番 数量 単位 単価 ( 円 ) 金額 ( 円 ) 備考 材料費 工事費 小計 法定福利費の内訳 計 小計 名称種類保険料率加入率金額 ( 円 ) 備考事業主負担額雇用保険健康保険介護保険厚生年金保険児童手当拠出金計 9