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再造林 育林の低コスト化に関する指針 育林の低コスト化に関する指針平成 27 年 3 月高知県林業振興 環境部 1 指針の目的平成 24 年 9 月に策定した 皆伐と更新の指針 では 伐採時期を迎えた人工林を皆伐した後 再造林の適地と判断される伐採跡地では 森林資源の持続的な利用を図るうえでも再造林

り植栽後の成長が悪くなる現象が見られました コンテナ苗では各キャビティの側面に根巻きを防ぐためのリブという突起やスリットという切れ目が縦方向に入っています また キャビティの底には穴が開いていて 底に達した根が空気に触れ成長が止まり 根が過度に伸長しない構造になっています コンテナ苗はキャビティ内で

機械化林業平成 29 年 6 月号掲載 大型機械による地拵の効果について 下刈の省力化による低コスト造林の可能性を探るー 北海道森林管理局森林技術 支援センター山嵜孝一 1. はじめに北海道の林床を特徴づけるササ類は 旺盛な繁殖力と強い適応性を持っています そのため 人工造林の主要樹種であるトドマツ

森林資源の循環利用に向けた再造林の推進伐採と造林の一貫作業システムは 伐採に使用した高性能林業機械を用いて残された末木枝条を整理して地拵えを行ったり 搬出に使用したフォワーダを用いて苗木を運搬して 植栽を行う方法です 従来の人力による方法に比べ 林業機械を活用することにより伐採から地拵え 植栽までの

平成 30 年度 森林整備事業 ( 造林 ) 標準単価 京都府農林水産部林務課

立木販売のご案内 ~ 多くの森林が主伐期を迎える中で立木販売を進めています ~ 四国森林管理局

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Taro-H27 課題2 繰上完了報告(任意様式)

Taro-H28 地域別変更計画(一斉変更)_281115

種類諸元等特大ドローン( 特注品 ) 部品を海外から取り寄せて組立 諸元 : 大きさ約 250cm 重さ 30.0kg 用途 : 20kg 程度の資材運搬 ( 裸苗 240 本 コンテナ苗 80 本程度 ) 駆動時間 : 約 15 分程度大型ドローン( 市販製品 ) 空撮用に一眼レフをカスタマイズし

目 次 平成 27 年度九州森林管理局重点取組事項 1 公益重視の管理経営の一層の推進 1 森林資源の循環利用による多面的機能の維持増進 ページ 1 2 国民生活の安全 安心の確保に向けた取組 (1) 民国連携した治山事業 (2) 海岸防災林の整備に向けた検討 (3) 木材の利用推進及び生物多様性保

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平成 28 年度 森林整備事業 ( 造林 ) 標準単価 京都府農林水産部林務課

森林整備事業では 国土の保全 水源の涵養 自然環境の保全 林産物の供給の森林の有する多面的機能の維持 増進を目的に 対象森林に応じた 以下の2つの方針に基づき 造林や間伐の森林整備への支援を行っています 条件不利地や気象害の被害森林では 森林所有者との協定に基づき市町村が行う森林整備を支援 森林の多

植栽については ヘクタール当たりの植栽本数を標準的な 本から 本や 本に減らす低密度植栽が各地で試行されている 低密度植栽は 苗木や植栽の費用の削減だけでなく 下刈の省力化や保育間伐の省略等 全般的な費用の縮減につながることが見込まれるが 植栽木の生存率や成長 材質への影響等の実績をみながら 取組を

1. 労務単価 平成 30 年度 2 省協定単価 普通作業員 20,100 円 特殊作業員 22,300 円 特殊運転手 22,800 円 軽作業員 13,900 円 交通誘導警備員 11,300 円 2. 間接費間接費のうち現場監督費については 事業の実行に直接必要な作業が現場労働者により実施され

Microsoft PowerPoint - 06+H29住懇資料_宮城北部署(提出)修正(局)再修正+(2)

利用することをいう (4) 林業事業者森林において森林施業 ( 伐採, 植栽, 保育その他の森林における施業をいう 第 12 条において同じ ) を行う者をいう (5) 木材産業事業者木材の加工又は流通に関する事業を行う者をいう (6) 建築関係事業者建築物の設計又は施工に関する事業を行う者をいう

(1) 森林の状況 森林蓄積の推移蓄積1 森林の現状と課題 我が国は世界有数の森林国 森林面積は国土面積の 3 分の 2 にあたる約 2,500 万 ha( 人工林は約 1,000 万 ha) 森林資源は人工林を中心に蓄積が毎年約 7 千万 m³ 増加し 現在は約 52 億 m³ 人工林の半数が一般


条件不利地や気象害の被害森林では 我が国の人工林が利用期を迎える中 森林施業の集約化や路網整備を通じて施業の 低コスト化を図りつつ 森林所有者による適切な森林整備を進めることにより 森林の 有する多面的機能の発揮を図りつつ 林業の成長産業化を実現していくことが重要です 一方 奥地の条件不利地や 気象

はじめに本テキストは平成 27 年度文部科学省 成長分野等における中核的人材養成などの戦略的推進事業 で北海道大学が受託した 北海道に即した中核的林業技術者養成プログラムの開発事業 の一環として作成したものです 北海道林業を成長産業化するために 総合的な森林づくりのビジョンを描く森林総合監理士 (

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平成 25 年度宮城県伐採跡地再造林プロジェクトチーム 宮城県伐採跡地再造林プロジェクトチームメンバー 所属名 氏名 所属名 氏名 林業振興課 小野泰道 北部地方振興事務所栗原地域事務所田中一登 森林整備課 源後睦美 東部地方振興事務所 工藤卓 大河原地方振興事務所 齋藤和彦 東部地方振興事務所登米

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森林法等の一部を改正する法律案の概要 国内の森林資源が本格的な利用期を迎えている中 住宅用など従来需要に加えて CLT( 直交集成板 ) や木質バイオマスなど国産材の需要の創出と拡大が進展 木材自給率は H14 年の19% を底に上昇傾向で推移し H26 年は31% まで回復 一方 木材価格の低迷

緑の雇用 事業を開始するまでは 林業の新規就業者数は年平均約 2 千人程度でしたが 事業 を開始した以後は約 3 千 4 百人に増加し 平成 22 年度には 4,013 人となっています ( 図 ) 2

第 198 号 平成 28 年 1 月号 北海道水産林務部 森林施業プランナーと連携した普及指導活動の展開 総括普及指導員兼主幹菅崎治宏 平成 21 年 12 月に策定された 森林 林業再生プラン では 10 年後の国内の木材自給率を50 % 以上に向上させることを政策目標としました 北海道の木材自

モバイルマッパー 6 の測位方法は 各頂点において GPS が安定するまで 30 秒待ち そ の後 30 秒間データの記録を行うという操作説明書で推奨されている方法で行いました ガ ーミン GPS についても GPS が安定するまで 30 秒待ち測点を行いました 面積測量結果は以下の表のとおりです

CSRコミュニケーションブック

強度に優れた カラマツ 北海道の木 エゾマツ 99%を供給 トドマツ 北限のスギ 道南スギ 北海道の林業 2018 木材供給基地としての 持続的発展に向けて 北海道遺産 森林鉄道蒸気機関車 雨宮21号 <遠軽町> 北海道遺産 根釧台地の格子状防風林<中標津町など> 林業遺産 蒸気機関車 雨宮21号

様式 2 作成年度 平成 28 年度 森林整備加速化 林業再生基金変更事業計画書 区分 : 強い林業 木材産業構築緊急対策 区分 : 林業成長産業化総合対策 福井県

平成20年度

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造林面積の推移造林面積子播種苗本数播種量 はじめに ヒバは正式な名前がヒノキアスナロというヒノキ科の樹木です 近年, 複層林施業が推進されるようになって, 道南地方では耐陰性の高いヒバの樹下植栽が盛んになってきました また, 道南の郷土樹種としてヒバが注目されるようになったことから裸地植栽も増加傾向

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整理番号 10 便益集計表 ( 森林整備事業 ) 事業名 : 森林居住環境整備事業 都道府県名 : 奈良県 地域 ( 地区 ) 名 : 上北山村地区 ( 単位 : 千円 ) 大区分 中区分 評価額 備考 木材生産等便益 森林整備経費縮減等便益 災害等軽減便益 木材生産等経費縮減便益木材利用増進便益木

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第 1. 基本的事項 1. 都道府県の森林整備及び林業 木材産業の現状と課題 1 森林整備の現状と課題本県の人工林面積の主な樹種別の構成割合は スギ 71% アテ 12% マツ 9% である 齢級構成は 10~11 齢級をピークとした偏った構成となっており 保育や間伐を必要とする 9 齢級以下のもの

試験中 試験中 試験中 12 月下旬 試験中 試験中 試験中 12 月下旬 試験中 試験中 試験中 1 月中旬 試験中 試験中 試験終了 12 月中旬 試験中 試験中 試験中 1 月上旬 試験中 試験中 試験中 1

皆伐と更新に関する指針(案)

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(2)里山の整備

Ⅰ 策定又は変更の対象となる森林計画区 東北森林管理局管内は 17 森林計画区に区分されており 5 年ごとに新たな計画を策定しています 平成 28 年度は 3 森林計画区で平成 29 年 4 月 1 日から 5 年間の計画策定 14 森林計画区で保護林再編等に伴う計画変更を行います 津軽森林計画区


木材産業等高度化推進資金とは 木材産業等高度化推進資金 ( 以下 推進資金 と呼びます ) は 木材の生産及び流通を円滑にすることや効率的 安定的な林業経営を育成することを目的に 運転資金を低利で融資する制度資金です ご利用には 合理化計画や林業経営改善計画を作成し都道府県知事の認定を受けることが必

森林吸収源対策について

萩地域森林計画書

平成 30 年度九州森林管理局重点 7 項目 1 確実な再造林の実施に向けた造林コストの低減 2 生産性の向上による担い手の育成 3 深刻化するシカ被害への対応 4 優れた自然環境を有する森林の保全 5 森林総合監理士の活動等を通じた市町村林務行政の支援 6 森林景観を活かした観光資源の創出 7 被

補助林道開設事業 108,737 効率的な林業経営の展開や森林の適正な維持管 理を図るための林道の開設や改良を行う 1 事業主体 市町 2 事業実施箇所 新規 (4) 継続(3) 3 事業内容 林道の開設 改良 橋梁点検 診断 路線名 市町名 事業内容 負担区分 大奴田 岩国市 林道開設 L=100

00表紙目次はじめに

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平成 21 年度から あいち森と緑づくり税 を活用し 森林 里山林 都市の緑の整備 保全等に取り組んできた結果 第 4 章に示したとおり 一定の成果を上げることができました しかしながら 本県の森と緑を健全な状態で将来に引き継ぐためには 依然としてさまざまな課題があります 次ページ以降に 森と緑づく

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クロイワザサの植栽マニュアル ( 暫定版 ) 平成 27 年 3 月 西表森林生態系保全センター

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第 3 章林業編 Ⅰ 基本的な考え方 1 目指す姿県産材 40 万 m 3 が, 社会において有効な資源として継続的に利活用されるとともに, 林業の利益率を改善することで, 産業として自立できる林業経営の確立を目指します 2 目指す姿の実現に向けた取組の方向性 県内に存する民有林のスギ ヒノキ人工林

平成31年度予算概算決定額 森林整備事業 治山事業 林野公共事業 (平成30年度1次補正予算額5,199百万円 182, ,049 百万円 平成30年度第2次補正予算額 32,528百万円) 臨時 特別の措置 として31年度概算決定額44,128百万円を別途措置 対策のポイント 林業の成

はじめに 長野県林業総合センターは 本県の森林 林業の試験研究及び林業の担い手養成機関として昭和 36 年に林業指導所として始まり 森林 林業に対する社会的な要請が多様化したことに対処するため昭和 63 年には機能を拡充強化し 林業総合センターに改組され今日に至っております この間 林業生産技術の改


欄の記載方法について 原則として 都道府県毎の天然更新完了基準に定められた更新調査 ( 標準地調査 ) の結果を元に造林本数欄に更新本数を記載する ただし 調査せずとも天然更新完了基準を明らかに満たしていると判断できる場合 ( 例えば 小面積の伐採等 ) には 造林地の写真その他の更新状況のわかる資

平成24年度補正 林野庁補助事業  先進的林業機械緊急実証・普及事業 取組の概要

3) エクセルとの連動機能 1Excel との互換性の確保 2インポート エクスポート機能の向上 台帳データを Excel 上で編集のうえ システムに反映させる 4)GPS データとの連動機能 1GPS で取得した座標データ (WayPoint CSV 形式 ) を位置図

(資料3) 奄美大島・徳之島におけるスギ人工林の広葉樹林復元の検討

コンテナ育苗技術の向上に向けて 始めに平成 24 年度から 愛媛県の委託事業により コンテナ苗木の育苗技術の取得に努めてきた 初年度はスギ ヒノキの実生苗木をコンテナに移植する方法で育苗した 本年度は スギ ヒノキ及び抵抗性クロマツの実生苗木を移植により育苗することに加え コンテナへの播種によりスギ

備えあれば 憂いなし 国立研究開発法人森林総合研究所監事鈴木直子 森林は社会的資本である と聞いたことがあります 資源が少ない日本では林業 ( 森林資源 ) 木材産業を営むことで生活 経済発展を遂げてきました 現在でもそうです 資源として守り 育ててきました 皆様ご承知のように林業は一代限りではなく

Chapter 3 3 章森林経営信託制度と木造化 木質化 ~ 岐阜県御嵩町の取り組み ~ P 岐阜県御嵩町における森林経営信託方式の紹介 P 森林経営信託方式と木造化 木質化 030

新間伐システム作業マニュアル(徳島県)/表紙

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1 森林の多面的機能 かんよう 森林は 国土の保全 地球温暖化の防止 水源の涵養 生物多様性の保全 木材等の生産など 多面的 な機能を発揮 これらの多面的機能は 森林が適正に整備 保全されることにより発揮 国民の森林に期待する働きは 災害防止 温暖化防止などが上位 森林の多面的機能 国民の森林に期待

域1 2= 鬼怒川流1 日光森林管理署の管内概要 日光森林管理署は 栃木県内の日光市 宇都宮市 足利市 佐野市 鹿沼市及び益子町の 6 市町に所在する国有林 8 万 5 千ヘクタールを管理しています 鬼怒川 渡良瀬川等の上流部の森林で首都圏の水がめとなっていること 奥日光や鬼怒

森林総合研究所東北支所年報no.51

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Microsoft PowerPoint - 【260620】水源林造成事業等成果選集

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項目別目次 森林被害編 1 森林において土砂崩れが発生してお困りの方 1 2 所有林の立木が被災されている方へ 2 3 保安林内の木が倒れてお困りの方へ 3 林道 作業道被害編 4 林道が崩壊等により通行ができない方へ 4 5 所有林の作業道が被災されている方へ 5 施設被害編 6 木材加工流通施設

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与党の平成 29 年度税制改正大綱 ( 平成 28 年 12 月 8 日 ) に記載された事項 森林吸収源対策の財源確保に係る森林環境税 ( 仮称 ) の創設について 第一 平成 29 年度税制改正の基本的考え方 6 森林吸収源対策 2020 年度及び2020 年以降の温室効果ガス削減目標の達成に向

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オーストリア林業から学ぶ 長野県林業大学校 いとう 2 学年伊藤 ひらさわ平沢 ほりべ堀部 けいすけ圭介 きみひこ公彦 たいせい 泰正 要旨私たち長野県林業大学校では 昨年の 7 月にオーストリアで 8 日間 森林 林業の研修を行なって来ました オーストリアは日本よりも狭い国土面積 低い森林率であり

Transcription:

コンテナ苗を使った植林作業の効率化 北海道森林管理局森林整備第一課井貝紀幸森林総合研究所北海道支所産学官連携推進調整監佐々木尚三

人工林の造成 保育には 植栽から 50 年生までに平均で約 233 万円 /haの費用を要するが この約 6 割に当たる約 150 万円 /ha 余りが植栽後 10 年間に費やされており さらにその7 割が労賃となっている このように 主伐時の収入がその後の再造林経費に費やされる状態となっている このようなことから 林業の採算性の向林業の採算性の向上には 造林 保育に要する費用を縮減することが重要 図人工林の造成に要する費用 地拵え 植付 下刈 齢級 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ Ⅹ 費用 ( 万円 /ha) 126 30 20 14 13 7 5 8 5 5 資料 : 農林水産省 平成 20 年度林業経営統計調査報告 この部分をもっとコスト削減できないか!! 1 コンテナ苗の実用化の推進 2 誘導伐の積極的導入 ( 誘導伐とコンテナ苗植付の一括発注の拡大 )

コンテナ苗とは コンテナ苗 容器育苗した根鉢付き苗 ( 基本 孔隙の多い有機培地を使う ) 容器から取り外しても 根鉢の形状が維持される 特徴 一般に軽量 小型 植栽時に乾燥等にさらされにくく 根が傷まない

ポット苗との違い ポット苗 特に底面での根巻きが起きる ポット苗 コンテナ苗 リブ : 側根を下方に導く 開放底面 : 根の先端で空気根切り コンテナ苗 リブにより根巻きが生じない

コンテナの種類 リブ型 国産マルチキャビティコンテナ サイドスリット型 セル容量 300cc 150cc M スターコンテナ 宮崎県林業技術センター開発 セル側面 底面 スウェーデン BCC 社製 150cc 波形シート 波形がリブの役割に ( 公立林業試験研究機関成果選集 No8, 2011)

コンテナ苗のメリット コンテナ苗の特徴 形状が均一でで 一般に軽量 小型 植栽時に乾燥等にさらされにくく 根が傷まない 優れている点 植え穴が小さく 植付け作業が効率的 活着率や初期成長に優れる 植栽可能時期が長い

( スギの研究成果より ) 植付けコスト 植付け費低 苗代金は高い 苗価格 130 円で植付けコストはバランス 再造林コストの比較 一貫システムで地拵コスト削減可能 全体として低コスト化 樹種 作業方法 気象など諸条件による変動が大きい 植付付けコスト ( 万円 / ha) コスト ( 千円 / ha) 100 50 0 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 0 コンテナ苗による低コスト化の可能性 0 50 100 150 200 苗木価格 ( 円 / 本 ) 図苗木価格と植付けコスト 従来型施業 下刈り 苗木代 裸苗コンテナ苗大苗 植付け 地拵 低コスト施業 低コスト施業 ( コンテナ苗 ) ( 大苗 ) 北方樹種技術の確立が必要図再造林コストの比較 ( 低コスト再造林の実用化に向けた研究成果集森林総研九州支所, 2013)

23 年 10 月に森林総合研究所北海道支所と北海道森林管理局は コンテナ苗を使用した低コスト造林作業の普及 定着等に関する協定 を締結 相互協力してコンテナ苗の作業功程や苗木の成長等のデータを収集 分析しながらコンテナ苗に関する情報提供や実証調査の成果の公表 育種苗の拡大 プロジェクトチーム創設による技術の確立に向けた 取り組みへの助言等を行い コンテナ苗の実用化を推進してます コンテナ苗植付実施署数 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 ( 予定 ) 植付実施署数 3 署 8 署 24 署 ( 全署 ) コンテナ苗植付本数 3,175 本 10,800 本 32,115 本 誘導伐との一括 発注実施署数 ( 内数 ) 1 署 5 署 一括発注 とは 伐採と植付を同時に発注したもの コンテナ苗とは空気に触れると成長を停止する根の特性を利用し 宙に浮かせて苗を生育することにより 鉢底の根まわりを防いで苗の根を充実させた苗 運搬貯蔵が容易で 活着率が良く 植付の適期が広がる 初期成長が早いなどのメリットがあります 低コスト造林推進プロジェクトチーム 第 1 回目会議 平成 25 年 3 月に 低コスト造林推進プロジェクトチーム を編成 関係機関と情報交換しながら 以下について検討し 活動成果や事例等をまとめたデータ集を作成し 低コスト化の検証と技術の確立を行っていきます 検討事項 コンテナ苗の適切な苗木サイズや植付時期の検討 コンテナ苗の運搬や植付器具等の道具の検討 低コスト化の検証等 現地検討会の開催 関係機関との意見交換 育種苗の拡大

積極的に誘導伐を導入して成熟したトドマツ等人工林の世代交代を図ることと 積極的に誘導伐を導入して成熟したトド ツ等人 林の世代交代を図る とと し その実施にあたっては 誘導伐とコンテナ苗植付の一括発注 を拡大する とともに コスト分析を実施します 誘導伐とは 長期にわたって森林状態を維持し 森 林のもつ公益的機能を高度に発揮さ せるため 徐々に更新 人工植栽 を図 ることにより常時複層林 3段林等 を 育成するための伐採方法 帯状又は群 状 伐採 コンテナ苗植付の一括発注とは 一般的な発注による作業 伐採 搬出後 機械は他の現場へ移動 地拵え 植栽作業は人力に頼らざるを えない 植栽は翌年度の春 又は秋 に行われる 一括発注による作業 伐採 搬出中に機械を活用して地拵え を完了 地拵えの終わった箇所から植栽を実施 伐ったら直ぐ植える 誘導伐後 グラップルとフォワーダにより木材を 搬出 その後地拵え終了箇所から順次 フォワー 搬 そ 後 拵 終 箇所 順次 ォ ダー等によりコンテナ苗を運搬 コンテナ苗の運搬後 直ぐにコンテナ苗の植付作 業を実施

森林技術 支援センターのコンテナ苗植栽試験 (23~25 年度 : 上川北部署 2200 林班か小班 : 士別市 ) 北海道森林管理局森林技術 支援センターでは 森林総研と協力し平成 23 年度から北海道の林業主要樹種であるトドマツ アカエゾマツ カラマツ グイマツのコンテナ苗を利用して 現行の植栽方法 ( クワを使用した裸苗の普通植え ) とスペード クワ等の植栽器具を使用したコンテナ苗植栽とでの それぞれの植付功程 活着状況 成長状況について比較検討することを目的とした試験を行っています 現地ではプランティングチューブによる植え付けが最も早く 労働過重も少ない結果となりました また 根が崩れないよう買い物かごを使用しました 平成 23 年 10 月に裸苗とコンテナ苗を植栽し 植え付け功程調査を実施しました 1 植え付け使用器具 2 3 4 1ディプル 2クワ 3スペード 4プランティングチューブ コンテナ苗 ( アカエゾマツ ) コンテナ苗の根鉢 植え付け時のコンテナ苗運搬は買い物カゴを利用 クワでのコンテナ苗植え付けスペードでの植え付けディプルでの植え付けプランティングチューブ

森林技術 支援センターのコンテナ苗植栽試験 (23~25 年度 : 上川北部署 2200 林班か小班 : 士別市 ) 活着状況において植栽翌年である昨年の春には トドマツコンテナ苗が裸苗に比べて開芽が早い状況があり コンテナ苗の活着性が良いことの顕れが見られたものと考えます また また 9 月のコンテナ苗木の成長状況については カラマツとグイマツコンテナ苗で良好な成長が見られました 植栽翌年春の開芽状況 平成 24 年 6 月 11 日 ~13 日調査 植栽翌年の 9 月のコンテナ苗木の成長状況 裸苗の新芽は開きかけであるのに対して コンテナ苗は新芽の成長がすでに始まっている 裸苗の新芽は開きかけ コンテナ苗は新芽が成長を始めている トドマツ裸苗 コンテナ苗の成長状況 トドマツ 約 120% アカエゾマツ約 120% カラマツ 約 200% グイマツ 約 150% カラマツでは最大で 300% を超える成長が見られます 昨年 6 月中旬のカラマツ トドマツコンテナ苗トドマツコンテナ苗昨年 9 月上旬のグイマツ昨年 6 月中旬のグイマツ 昨年 9 月上旬のカラマツ各樹種とも裸苗に比べてコンテナ苗の成長が良い状況が見られるので今後も調査し検証していく考えです

植栽 1 年目の状況 植栽 1 年目の成長比較 (4 樹種 ) ( 単位 :cm) 植栽 1 年目の成長比較 100.0 初期平均苗長 90.00 植栽 1 年目平均苗長 80.0 成長量 成長量 250% 200% 70.0 60.0 150% 50.0 40.0 100% 30.0 20.00 50% 10.0 0.0 裸苗コンテナ苗裸苗コンテナ苗裸苗コンテナ苗裸苗コンテナ苗 トドマツアカエゾマツカラマツグイマツ 0%

平成 23~24 年度植付箇所の植付功程調査結果 ( 単位 : 人工 /1,000 本 ) 石狩空知胆振東部留萌南部上川北部宗谷 上川南部上川南部技術センター網走中部十勝西部平均 1 2 林地傾斜緩緩緩中中中緩中中中中 条件植生クマイサ サクマイサ サ雑草チシマサ サクマイサ サチシマサ サチシマサ サチシマサ サチシマサ サ雑草クマイサ サ 普通苗 2.49 3.08 2.34 3.54 3.15 3.47 3.31 3.72 3.33 2.98 3.52 3.18 コンテナ苗 1.88 2.84 1.57 2.88 2.52 2.03 2.32 2.71 1.88 1.74 2.47 2.26 胆振東部署 上川南部署 1 技術センターは平成 23 年度実績 その他は平成 24 年度実績 今後は 林地条件の差及び植付器具ごとの差について解析する予定である 植付 :h23 年 10~11 月残存率 成長率調査結果伐採と植付の一括発注のコスト比較 調査 :h24 年 10 月 樹種 苗木の種類 平均平均残存率成長率 アカエゾマツ コンテナ苗 100% 114% 普通苗 97% 112% グイマツ コンテナ苗 90% 169% 普通苗 88% 173% トドマツ コンテナ苗 94% 115% 普通苗 94% 109% カラマツ コンテナ苗 91% 216% 普通苗 47% 135% コンテナ苗平均 94% 154% 普通苗平均 平成 23 年度植付 2 署の実績 82% 132% 植栽 1 年後の調査では コンテナ苗の方が 残存率 成長率ともに普通苗を上回る結果となった 特にカラマツではその傾向が顕著である 宗谷署で誘導伐 植付の一括発注を実施 ( 単位 : 千円 /ha) 地拵 コンテナ苗 ( 伐採 植付一括発注 ) 普通苗 ( 伐採 植付別発注 ) 一括発注の契約額に基づく試算 植付 ( うち苗木代 ) 計 比 125 569(411) 694 83% 213 623(314) 836 100% 平成 25 年度は 誘導伐実施箇所にコンテナ苗を優先的に配分し 当該箇所については原則として伐採と植付を一括発注し さらにデータの集積を行う予定である

コンテナ苗による低コスト化の方向性 苗木コスト 資材コスト低減 直接播種 育苗期間短縮 育苗の機械化 地拵 植付けコスト 一括発注による地拵の効率化 苗木の運搬 土質を選ばない植付け器具 全機械化 下刈りコスト 育種苗 大苗植栽 初期成長 伐採コスト 機械伐採を想定した植栽間隔