特別調整交付金のうち 非自発的失業財政負担増特別交付金 ( 以下 失業特別交付 金 という ) は 国民健康保険の調整交付金の交付額の算定に関する省令 ( 昭和 38 年 厚生省令第 10 号 ) 第 6 条第 12 号に規定する その他特別な事情がある場合に別に定める 額 とされているものであり

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二重床下地 という 参考図参照) として施工する方法がある 二重床下地は 支持脚の高さを一定程度容易に調整することができること また コンクリートスラブと床パネルとの間には給排水管等を配置できる空間があることから 施工が比較的容易なものとなっている 2 本院の検査結果 ( 検査の観点 着眼点 対象及

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第6 北海道国民健康保険調整交付金

に 市町村において 資格取得時の納付督励 年金制度に関する広報業務等を実施しているものである (2) 協力 連携交付金の概要ア協力 連携交付金に係る交付金のうち 協力 連携事務に係る交付金 ( 以下 協力 連携交付金 という ) の交付額は 交付要綱によれば 市町村が協力 連携を行う場合に各市町村に

(案)

老人医療給付費等の国庫負担(補助)について

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議案第49号-医療福祉費支給に関する条例の一部改正【確定】

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老発第    第 号

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別紙様式 3( 付表 1) 平成 年度介護職員処遇改善加算実績報告書積算資料 薄い黄色のセルに必要事項を入力してください 1. 加算受給額 ( 現行の加算 Ⅰと 現行の加算 Ⅱの比較額について ) 別紙様式 3の56を記載する場合のみ記載 別紙様式 3の34により報告した場合は記載不要です 単位 :

格の継続について日雇労働被保険者の住所地等を管轄する公共職業安定所 ( 以下 安定所 という ) 又は日雇労働被保険者が雇用されている事業所 ( 以下 日雇適用事業所 という ) の所在地を管轄する安定所の長の認可を受けた場合には 引き続き日雇労働被保険者となることができるとされている ( 以下 こ

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(頭紙)公布通知

平成21年度地域医療再生臨時特例交付金交付要綱

平成 24 年度国民健康保険税税率改定案 1 医療保険分 ( 基礎課税額 ) 現行 改定 増減 伸率 所得割額 4.30 % 4.63 % % 資産割額 % 9.80 % % 税率等 均等割額 17,100 円 18,000 円 900 円 5.3%

1 1 A % % 税負 300 担額

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資料2-1(国保条例)

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

の両方を提出する必要がある 問 3 還付額は 領収証に記載されている金額を還付するのか それともレセプト情報から自己負担分を計算するのか 領収証により保険診療に係る一部負担金の額を確認して還付する 問 4 領収証の紛失 または医療機関等の全壊等により 対象の被保険者が負担した一部負担金の額の確認が取

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介護職員処遇改善加算実績報告チェックリスト 提出前に 次の書類が揃っているか最終の確認をお願いします このチェックリストは 提出する実績報告書類に同封してください チェック 介護職員処遇改善実績報告書 ( 別紙様式 3) 事業所一覧表 ( 別紙様式 3 添付書類 1) 必要に応じて 別紙様式 3 添

01 鑑文

国民健康保険、後期高齢者医療及び介護保険に係る保険料の還付の促進及び還付加算金の取扱いの改善(あっせん)

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事務連絡(平成30年大阪府北部を震源とする地震)

によれば 旧耐震基準に基づき建設されている建物のうち 大規模な地震が発生した 場合にその利用を確保することが公益上必要な建物の所有者は 当該建物について 耐震診断を行い その結果を都道府県知事等へ報告しなければならないとされており 耐震性の向上を図る必要があると認められるときは 耐震改修を行うよう努

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国民健康保険料の減額・減免等

⑵ 外来年間合算の支給額計算の基礎となる合算対象額は 基準日において 同一保険者の同一世帯に属しているか否かにより判断されます ( 例 ) 下記の事例の場合 基準日において 甲と乙が同一世帯であれば 3 と 4 は合算できるが 甲と乙が別世帯であれば 3 と 4 は合算できない 基準日保険者である

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起案

社団法人全国国民健康保険組合協会高額医療費共同事業実施規程

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4月20日(水)衆・厚労委 古屋範子議員の議事録(抜粋)

事務連絡平成 23 年 6 月 1 日 都道府県民生主管部 ( 局 ) 国民健康保険主管課 ( 部 ) 都道府県総務主管部 ( 局 ) 市区町村主管課 御中 厚生労働省保険局国民健康保険課総務省自治税務局市町村税課 東日本大震災により被災した被保険者に係る国民健康保険料 ( 税 ) の減免に対する財

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自分にあった健康保険を見つけよう! それぞれの健康保険の特徴を踏まえ 自分にあった健康保険を選ぶようにしましょう! 今までの収入 扶養家族の有無によって どの健康保険に加入するとメリットがあるか 参考にしてください 健康保険の被保険者資格を喪失 再就職しない 再就職する 就職先の健康保険に加入できな

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番号制度の実施に伴う社会保障関係システムの改修について 国 都道府県 市町村 市町村 医療保険者等 システム名 社会保険オンラインシステム 労災行政情報管理システム ハローワークシステム 障害者福祉システム 児童福祉システム 生活保護システム 国民年金システム 国民健康保険システム 後期高齢者医療シ


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< 現行 > 対象者医療区分 Ⅰ(Ⅱ Ⅲ 以外の者 ) 1 * 医療の必要性の低い者医療区分 Ⅱ Ⅲ 1 2 * 医療の必要性の高い者 ( 指定難病患者を除く ) 3 指定難病患者 2 生活療養標準負担額のうちにかかる部分 1 日につき32 1 日につき 1 日につき < 見直し後 > 対象者医療区

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図表 1 個人保険の新規契約 保有契約 ( 万件 % 億円) 新規契約 保有契約 件数 金額 ( 契約高 ) 件数 金額 ( 契約高 ) 前年度比 前年度比 前年度比 前年度比 平成 25 年度 1, , , ,575,

(組合)事務連絡案(国内在住者扶養認定QA)

に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者とする 3 病院等に入院等したことにより 本市の区域内に住所を変更したと認められる第 1 項各号に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者としない 4 第 1 項及び第 2 項の規定にかかわらず 次の各号のいずれかに該当する者は

152 号 ) (6) 保険医療機関等健康保険法第 63 条第 3 項第 1 号に規定する保険医療機関若しくは保険薬局又は同法第 88 条第 1 項に規定する指定訪問看護事業者 ( 平 6 条例 30 平 8 条例 29 平 9 条例 16 平 10 条例 2 平 11 条例 15 平 14 条例

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第 3 条条例第 3 条第 2 項第 2 号の所得割の額 ( 以下 所得割の額 という ) の算定は 次の各号に掲げる場合に応じ 当該各号に定める方法により行うものとする (1) 地方税法第 314 条の7 並びに附則第 5 条の4 第 6 項及び第 5 条の4の2 第 6 項の規定による控除をされ

(協会)300829事務連絡(国内在住者扶養認定QA)

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Ⅱ. 赤字の解消計画 Ⅱ (1) 赤字解消のための基本方針 Ⅱ (2) 赤字解消のための具体的取組 国保は構造的な問題を抱えており 被保険者の保険料負担軽減のために法定外繰入金を繰入れているといった状況は 全国的な状況であることから 国は全国で約 3,400 億円の公費を拡充し 国保の財政基盤の強化

別添 保発 0204 第 2 号 平成 28 年 2 月 4 日 都道府県知事殿 厚生労働省保険局長 公印省略 健康保険法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について ( 通知 ) 持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律 ( 平成 27 年法律第 31 号 以下

○国民健康保険税について

平成 30 年 4 月からの制度改正で 市区町村は都道府県と一緒に 国民健康保険を運営していきます Q なぜ制度改正をするの? 国保は会社勤めの方々が加入している保険と比べて 1 国保加入者の平均年齢が高い また 医療費も高額になりやすい 2 国保加入者は非正規労働者や定年退職者が多く 保険税の負担

後期高齢者支援金等賦課額 ( 後期高齢者支援金等分 ) 所得割一般被保険者に係る後期高齢者支援金等賦課総額の 100 分の50に相当する額を基礎控除後の総所得金額等の総額で除して得た数 ( 小数点以下第 4 位未満の端数は 切り上げ ) 被保険者均等割 世帯別平等割 賦課限度額 一般被保険者に係る後

平成28年版高齢社会白書(概要版)

国 都道府県による財政リスクの軽減 運営については 保険料徴収は市町村が行い 財政運営は都道府県単位で全市町村が加入する広域連合が行う 広域連合の財政リスクの軽減については 国 都道府県が共同して責任を果たす仕組みとする 2 年単位の財政運営 負担 負担 高額医療費に係る公費負担 給付増リスク 後期

( 以下 対象者 という ) が健康保険法第 106 条の規定に基づく出産育児一時金の支給を受ける旨の意思表示をしたときは 健康保険の保険者が当該対象者に対して出産育児一時金の支給を行うものである また 健康保険の保険者は この法律の規定の趣旨を踏まえ 被保険者がその意思に基づき 保険給付を受けるこ

標準例6

老発第    第 号

2 3

スライド 1

Transcription:

改善の処置を要求したものの全文 国民健康保険の財政調整交付金 ( 非自発的失業財政負担増特別交付金 ) の算定について ( 平成 25 年 10 月 10 日付け厚生労働大臣宛て ) 標記について 会計検査院法第 36 条の規定により 下記のとおり改善の処置を要求する 記 1 財政調整交付金の概要等 (1) 財政調整交付金の概要国民健康保険は 市町村 ( 特別区 一部事務組合及び広域連合を含む 以下同じ ) 等が保険者となって 被用者保険の被保険者及びその被扶養者等を除き 当該市町村の区域内に住所を有する者等を被保険者として その疾病 負傷 出産又は死亡に関して 療養の給付 出産育児一時金の支給 葬祭費の支給等を行う保険である 国民健康保険については各種の国庫助成が行われており その一つとして 市町村が行う国民健康保険について財政調整交付金が交付されている 財政調整交付金は 市町村間で医療費の水準や住民の所得水準の差異により生じている国民健康保険の財政力の不均衡を調整するため 国民健康保険法 ( 昭和 33 年法律第 192 号 ) 第 72 条の規定に基づいて交付するもので 普通調整交付金と特別調整交付金がある 普通調整交付金は 被保険者の所得等から一定の基準により算定される収入額が 医療費 老人保健医療費拠出金等から一定の基準により算定される支出額に満たない市町村に対して その不足を公平に補うことを目途として交付するものである また 特別調整交付金は 市町村について 災害等による保険料減免等の特別の事情がある場合に その事情を考慮して交付するものである そして 各市町村に交付する両者を合わせた総額は 同法によって 被保険者に係る療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る被保険者の一部負担金に相当する額を控除した額等に基づき一定の方法によって算定した額の100 分の9に相当する額等の合算額となっている 財政調整交付金の交付手続については 1 交付を受けようとする市町村は都道府県に交付申請書及び事業実績報告書を提出して 2これを受理した都道府県は その内容を添付書類により また 必要に応じて現地調査を行うことにより審査した上でこれを貴省に提出して 3 貴省はこれに基づき交付決定及び交付額の確定を行うこととなっている (2) 失業特別交付金の概要 - 1 -

特別調整交付金のうち 非自発的失業財政負担増特別交付金 ( 以下 失業特別交付 金 という ) は 国民健康保険の調整交付金の交付額の算定に関する省令 ( 昭和 38 年 厚生省令第 10 号 ) 第 6 条第 12 号に規定する その他特別な事情がある場合に別に定める 額 とされているものであり 雇用保険法 ( 昭和 49 年法律第 116 号 ) 第 23 条第 2 項等に 規定する会社の倒産 解雇等の理由により離職したことによって保険料 ( 税 ) が軽減 される世帯に係る一般被保険者 ( 以下 非自発的失業者 といい 退職被保険者及び その被扶養者を除く 以下同じ ) に対する保険料 ( 税 ) 軽減措置による財政負担が多 額になっている市町村に交付するものである そして 算定対象期間である 1 月から 3 月までの間及び 4 月から 12 月までの間において 賦課期日 ( 前者の期間は前年の 後者 の期間は当該年の 4 月 1 日 ) の翌日以降に非自発的失業者となった者の数が 賦課期日 の翌日以降に非自発的失業者ではなくなった者の数を超えている場合に交付すること となっている (3) 失業特別交付金の交付額の算定方法 失業特別交付金を受けようとする市町村は 毎年度 貴省が発出する通知 ( 以下 算定通知 という 平成 23 年度は 平成 23 年度特別調整交付金 ( その他特別の事情 がある場合 ) の交付基準について ( 保国発 1110 第 1 号厚生労働省保険局国民健康保険 課長通知 ) ) 等に基づいて 各月末時点における非自発的失業者数から賦課期日時点 の非自発的失業者数 ( 以下 基準失業者数 という ) を控除した人数 ( 以下 増加非 自発的失業者数 という ) の総数に 当該市町村の賦課期日現在における一般被保険 者に係る一人当たりの年間平均保険料 ( 税 ) から賦課期日現在における非自発的失業 による保険料 ( 税 ) 軽減世帯に係る軽減後の一人当たりの年間平均保険料 ( 税 ) を控 除した額 ( 以下 一人当たりの年間平均保険料 ( 税 ) 軽減額 という ) を乗じて得た 額の 1/12 の額 ( 以下 保険料 ( 税 ) 軽減額 という ) を当該市町村の財政負担増相当 額として算出し その額を調整基準額として 同額を交付額として交付申請書及び事 業実績報告書を作成している ( 次式参照 ) 交付額 ( 調整基準額 )= 増加非自発的失業者数 ( 各月末時点における非自発的失業者数 - 基準失業者数 ) の総数 一人当たりの年間平均保険料 ( 税 ) 軽減額 1/12 そして 前記のとおり 貴省は 各市町村から都道府県を経由して提出された交付 申請書及び事業実績報告書に基づいて交付決定及び交付額の確定を行うこととなって いる - 2 -

2 本院の検査結果 ( 検査の観点 着眼点 対象及び方法 ) 本院は 有効性等の観点から 失業特別交付金の調整基準額の算定方法が市町村の財 政負担増の実態を反映した適切なものとなっているかなどに着眼して検査した ( 注 1) 検査に当たっては 25 都道府県の702 市区町村等に対して23 年度に交付された失業特 別交付金計 28 億 6419 万余円を対象として 貴省及び 266 市区町村において会計実地検査を 行うとともに 残りの 436 市区町村等については 都道府県を通じ 交付申請書 事業実 績報告書等の関係書類の提出を受けて その内容を確認するなどの方法により検査を行 った ( 注 1) 25 都道府県東京都 北海道 大阪府 青森 秋田 栃木 群馬 神奈川 富山 石川 山梨 岐阜 愛知 三重 兵庫 和歌山 鳥取 広島 山口 愛媛 福岡 佐賀 熊本 大分 沖縄各県 ( 検査の結果 ) 検査したところ 次のような事態が見受けられた 貴省は 前記のとおり 算定通知等において 調整基準額の算定方法を定めているが 失業特別交付金の申請書の様式については次のように定めている ( 注 2) 国民健康保険料 ( 税 ) には 医療費等に係るもの及び後期高齢者支援金等に係るもの ( 注 3) ( 以下 これらを合わせて 医療等分 という ) と介護納付金に係るもの ( 以下 介 護分 という ) があり 医療等分は全ての被保険者が対象となるが 介護分は 40 歳以上 65 歳未満の被保険者のみが対象となっている このように 対象となる被保険者の範囲 が異なることから 一人当たりの年間平均保険料 ( 税 ) 軽減後の一人当たりの年間平均 保険料 ( 税 ) 基準失業者数等については 医療等分と介護分をそれぞれ記載することと している 一方 毎月末時点の増加非自発的失業者数については 市町村の事務負担が 大きいことなどを理由として 医療等分と介護分のそれぞれについて把握することとは なっておらず 結果として 医療等分と同様 全ての被保険者を対象としている ( 注 2) 後期高齢者支援金等高齢者の医療の確保に関する法律 ( 昭和 57 年法律第 80 号 ) の規定に基づき 各医療保険者が社会保険診療報酬支払基金に納付する支援金等 ( 注 3) 介護納付金介護保険法 ( 平成 9 年法律第 123 号 ) の規定に基づき 各医療保険者が社会保険診療報酬支払基金に納付する納付金 このため 調整基準額は 医療等分に係る一人当たりの年間平均保険料 ( 税 ) 軽減額 と介護分に係る一人当たりの年間平均保険料 ( 税 ) 軽減額をそれぞれ算出して その合 計額に 増加非自発的失業者数の総数を乗じて得た額に 1/12 を乗じて算定することとな - 3 -

図 1 っている ( 図 1 参照 ) 現行の算定方法 医療等分に係る一人当たりの年間平 医療等分に係る軽減後の一人当た 医療等分に係る一人当たりの年間平均保 均保険料 ( 税 ) - りの年間平均保険料 ( 税 ) = 険料 ( 税 ) 軽減額 介護分に係る一人当たりの年間平均 介護分に係る軽減後の一人当たり 介護分に係る一人当たりの年間平均保険 保険料 ( 税 ) - の年間平均保険料 ( 税 ) = 料 ( 税 ) 軽減額 医療等分に係る一人 介護分に係る一人当 ( 全ての被保険者を対 当たりの年間平均保 + たりの年間平均保険 象としている ) 増加非 1/12= 調整基準額 険料 ( 税 ) 軽減額 料 ( 税 ) 軽減額 自発的失業者数の総数 上記の算定方法によると 介護分に係る保険料 ( 税 ) 軽減額は 増加非自発的失業者数の総数を介護分に係る一人当たりの年間平均保険料 ( 税 ) 軽減額に乗ずることによって算定されることになる しかし 前記のとおり 介護分に係る増加非自発的失業者数については 対象となる被保険者の年齢が40 歳以上 65 歳未満に限定されていることから 全ての被保険者を対象としている増加非自発的失業者数以下となる このため ほとんどの市町村において 介護分に係る保険料 ( 税 ) 軽減額が過大に算定され その結果 失業特別交付金が実際の介護分に係る増加非自発的失業者数の総数に基づき算定した場合の財政負担増相当額に比べて多額に交付されていた 一方 各市町村における賦課期日時点での非自発的失業者数 すなわち基準失業者数については 全ての被保険者を対象としている基準失業者数に加えて介護分に係る基準失業者数も既に把握されており この人数比は賦課期日以降においても大きく変化することは少ないと考えられる そこで 各市町村について 22 23 両年度の全ての被保険者を対象としている基準失業者数と介護分に係る基準失業者数との人数比をみたところ 大きな差は見受けられない状況となっていた したがって 基準失業者数の人数比に基づいて 全ての被保険者を対象としている増加非自発的失業者数から介護分に係る増加非自発的失業者数を推計することとすれば 市町村に新たに大きな事務負担を生ずることなく 現行の算定方法に比べて 財政負担増の実態をより適切に反映した介護分に係る保険料 ( 税 ) 軽減額を算定できることになり ひいては財政負担増に見合ったより適切な調整基準額が算定できることになると認められる ( 図 2 参照 ) - 4 -

図 2 本院の算定方法 全ての被保険者を対象 介護分に係る基準失業者数 介護分に係る増加非自発 としている増加非自発 全ての被保険者を対象としてい = 的失業者数の総数 的失業者数の総数 る基準失業者数 医療等分に係る一人 医療等分に係る 介護分に係る一人当 介護分に係る増 当たりの年間平均保 増加非自発的失 + たりの年間平均保険 加非自発的失業 1/12 = 調整基準額 険料 ( 税 ) 軽減額 業者数の総数 料 ( 税 ) 軽減額 者数の総数 そこで 仮に 上記の方法によって調整基準額を算定すると 23 年度に25 都道府県の 702 市区町村等に交付される失業特別交付金相当額は計 25 億 8454 万余円となり 前記の交付額計 28 億 6419 万余円から2 億 7965 万円減少することとなった そして この減少した交付金相当額を 貴省において 財政調整交付金の財源として 一層有効に活用することができたと認められる 上記の事態について事例を示すと 次のとおりである < 事例 > 横浜市は 平成 23 年度の失業特別交付金の交付申請に当たって 算定対象期間である23 年 1 月から3 月までの間及び同年 4 月から12 月までの間の医療等分及び介護分の一人当たりの年間平均保険料軽減額について 前者の期間は医療等分 55,947 円 介護分 14,534 円 計 70, 481 円 後者の期間は医療等分 62,964 円 介護分 18,507 円 計 81,471 円として 計の金額に それぞれ各期間の増加非自発的失業者数の総数 10,732 人及び11,473 人を乗ずるなどして調整基準額を1 億 4092 万余円と算定し 同額の失業特別交付金の交付を受けていた しかし 両期間の介護分に係る一人当たりの年間平均保険料軽減額 14,534 円及び18,507 円にそれぞれ乗ずる介護分に係る増加非自発的失業者数の総数を 全ての被保険者を対象とした基準失業者数に対する介護分に係る基準失業者数の割合 (23 年 1 月から3 月までの間は22 年度の賦課期日である22 年 4 月 1 日時点の割合 1,965/4,154 4 月から12 月までの間は23 年度の賦課期日である23 年 4 月 1 日時点の割合 3,428/7,340) により5,077 人及び5,359 人と推計し これに基づいて調整基準額を算定すると1 億 2464 万余円となり 同額の失業特別交付金相当額 1 億 2464 万余円は 当初の交付額から1627 万余円減少することとなった ( 改善を必要とする事態 ) 以上のとおり 失業特別交付金に係る調整基準額の算定方法が適切でなく 失業特別交付金が非自発的失業者に係る財政負担増の実態を十分に反映せずに交付されることになっている事態は 非自発的失業者に対する保険料 ( 税 ) 軽減措置による財政負担が多額になっている市町村に交付するという失業特別交付金の交付目的に鑑みると適切ではなく 改善を図る要があると認められる ( 発生原因 ) このような事態が生じているのは 貴省において 失業特別交付金に係る調整基準額の算定方法について 市町村の事務負担等を考慮した上で定めているものの 財政負担 - 5 -

増の実態をより適切に反映したものにするための検討が十分でないことなどによると認められる 3 本院が要求する改善の処置国民健康保険は 我が国の社会保障制度の中核を成す医療保険制度の一つであることから 財政調整交付金の交付に当たっては 各市町村の財政負担の実態等をできるだけ反映して より適切かつ有効に配分することなどが求められている ついては 貴省において 失業特別交付金について 調整基準額の算定における介護分に係る増加非自発的失業者数の総数が実態をより適切に反映したものとなるよう算定通知等の内容を見直し 都道府県を通じて 市町村に対してその周知徹底を図ることなどにより 財政調整交付金の有効活用を図るよう改善の処置を要求する - 6 -