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染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

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もくじ はじめに 11 産科の救急 12 ❶ 切迫流産 12 ❷ 異所性妊娠 13 ❸ 切迫早産 15 ❹ 常位胎盤早期剥離 16 ❺ 前置胎盤 17 婦人科の救急 19 ❶ 卵巣機能不全 11 ❷ 卵巣腫瘍 茎捻転 11 ❸ 卵巣出血 13 ❹ 卵巣腫瘍の破裂 ( チョコレート嚢胞破裂 ) 13 ❺ 附属器炎 骨盤腹膜炎 14 ❻ 外陰潰瘍 ヘルペス外陰炎 14 ❼ 月経随伴性気胸 ( 異所性内膜症 ) 15 ❽ 成熟奇形腫 16 ❾ 外陰部血腫 17 おわりに 21

はじめに 救急処置が必要な産婦人科の病気の主な症状は 出血と下腹部痛があげられます ここでは まず産科について 続いて婦人科の救急医療を必要とする病気について述べることとします 産科については 妊娠初期は別として 妊娠もわかっており かかりつけ医があると思いますので まず そちらで相談することが重要です 婦人科については 症状の原因疾患でのかかりつけ医がないことも想定されますので 症状の程度によっては 救急外来に受診することになるかもしれません 皆様方に突然の症状が現れたときに この小冊子が何らのお役に立てればと思います 平成 29 年 9 月 9 日 広島市民病院婦人科主任部長野間純 1

性器出血 下腹部痛妊娠中に性器出血 下腹部痛を認める場合は救急疾患の可能性があります 下記の場合に見られます ❶ ❷ [ 妊娠初期 ] 切迫流産 異所性妊娠 [ 妊娠中期 後期 ] 切迫早産 ❸ 常位胎盤早期剥離 ❹ 前置胎盤 ❺ ❶ 切迫流産 妊娠 22 週 ( 赤ちゃんがお母さんのお腹の外では生きていけない週数 ) より前に妊娠が終わることを 流産 といいます しかし 胎児が子宮内に残っており 流産の一歩手前である状態を 切迫流産 といい 妊娠継続の可能性があります 妊娠 12 週までの切迫流産に有効な薬剤はないと考えられており 経過観察で対処することとなります 子宮の中に血腫 ( 血 2

液のかたまり ) がある場合には 安静が効果的とする研究報告もあります 少量の性器出血や軽度の下腹部痛は 正常妊娠でも起こることがありますし 切迫流産の場合でも対処法はなく安静 経過観察となりますので すぐに救急外来を受診する必要はありません しかし 安静にて症状が改善せず増悪する場合には 異所性妊娠の可能性もありますので 受診してください ❷ 異所性妊娠 赤ちゃんが正常に発育できる子宮内腔以外の場所 ( 卵管や卵巣など ) に妊卵が着床したもので 全妊娠の1-2% にみられます 異所性妊娠の98% が卵管妊娠で そのほとんどが卵管膨大部妊娠です その場合 卵管流産または卵管破裂を起こして お腹の中に出血します 性器出血があるまでほとんど症状はありませんが 性器出血とともに強い下腹部痛を認め 貧血 出血性ショックを引き起こします その他に頻度は少ないですが 図 1に示すような部位に 異所性妊娠が起こる可能性があり 部位により症状が少し変わります 市販薬で妊娠反応陽性となった妊娠 5-6 週以降で 超音波検査にて子宮内腔に胎嚢を認めない場合は 異所性妊娠の危険性があるため慎重な管理が必要となります 3

治療は 原則的には手術療法 ( 腹腔鏡手術 開腹手術 ) で すが 全身状態や着床部位などによっては 薬物療法 (MTX による ) や経過観察を行うこともあります 図 1 4

❸ 切迫早産 妊娠 22 週以降で妊娠 37 週より前の出産を 早産 といい 早産の一歩手前である状態を 切迫早産 といいます 子宮収縮が頻回に起こり 子宮の出口が開いてしまって赤ちゃんが出てきそうな状態や 赤ちゃんを包む膜が破れて羊水が漏れている状態 ( 破水 ) のことです 治療としては 子宮口が開かないように子宮収縮抑制剤を投与します また切迫早産の原因となる腟内の細菌感染を除去するため抗生剤投与することもあります また 子宮収縮が軽くて子宮口があまり開いていない場合には外来通院による治療が可能ですが 症状が増悪した場合には入院管理にて治療を行います 妊娠 32 週より前に破水した場合には 赤ちゃんが自分で呼吸ができる状態になるまで抗生剤を投与して細菌感染を抑えます 妊娠 34 週以降であれば 赤ちゃんは自分で呼吸できる可能性が高いので 感染する前に出産し 生まれた後に治療室で赤ちゃんの治療を行います なお 子宮口が開きやすい体質 ( 頸管無力症 ) の場合には 状況により子宮の出口を縛る手術 ( 子宮頸管縫縮術 ) を行うことがあります 5

❹ 常位胎盤早期剥離 赤ちゃんがまだ子宮内にいるうちに 胎盤が子宮から剥がれてしまう状態です お母さん 赤ちゃんともに生命が危険な状態に陥るため 緊急性の高い病態です 原因としては 妊娠高血圧症候群 子宮内感染 外傷 ( 交通事故 ) などが挙げられます はっきりとした症状がないことも多いのですが 性器出血 強い下腹部痛 胎動減少を認めた場合には救急外来を受診していただき 超音波検査 胎児心拍陣痛図 血液検査等にて詳しく調べる必要があります 治療としては 常位胎盤早期剥離と診断された場合には早期に赤ちゃんを娩出する必要があるため 緊急帝王切開術を行います なお 大量出血による播種性血管内凝固症候群 (DIC) に陥った場合には さらに出血が止まらなくなるため 速やかに DIC に対する薬物療法 輸血を開始します 6

❺ 前置胎盤 前置胎盤は 妊娠中期から後期に出血を起こす代表的な異常で 子宮の出口 ( 内子宮口 ) の全部または一部を胎盤がおおう状態 ( 図 2) を指します 全分娩の 0.5% にみられ 帝王切開分娩となります 出血が多量になれば 緊急帝王切開になりますが 妊娠週数や出血の程度によっては 保存的に経過を見てから 帝王切開となることもあります 図 2 7

破水感破水した場合 子宮内に細菌などの感染が起こる恐れや 臍帯脱出 ( へその緒が子宮外に脱出する ) などの恐れがあります 妊娠週数が早い場合は特に慎重な管理が必要となります また 尿漏れと破水はよく似た症状です どちらかわからない場合もかかりつけ医を受診しましょう 高血圧 浮腫高血圧 頭痛 むくみ ( 浮腫 ) 急激な体重増加などを認める場合 妊娠高血圧腎症の可能性があります 母児生命を危うくする重篤な合併症が併発しやすく 原則入院管理が必要です 重症化した場合は早期に分娩させる必要があり 慎重な管理が必要です 胎動減少胎動 ( 赤ちゃんの動き ) が弱まった場合 胎児機能不全 ( 元気でない状態 ) や胎児発育不全 ( 赤ちゃんが小さい ) 子宮内胎児死亡などの可能性があります 受診して 児の wellbeing の評価 ( 赤ちゃんが元気かどうかの評価 ) を行った方がよい場合もあります 8

出 血 卵巣機能不全 ❶ 子宮筋腫 ( 分娩筋腫など ) 痛 み ⑴ 腹痛 ❷ ❸ 卵巣腫瘍 茎捻転 卵巣出血 卵巣腫瘍の破裂 ( チョコレート嚢胞破裂 ) ❹ ❺ 附属器炎 骨盤腹膜炎 子宮筋腫の変性 ⑵ 外陰部痛 ❻ 外陰潰瘍 ヘルペス外陰炎 ( 特発性外陰潰瘍 ベーチェット 外陰ヘルペス ) ⑶ 頭痛 月経前症候群 更年期障害 発 熱 骨盤腹膜炎 卵巣卵管炎 9

嘔 吐 腸閉塞 ( 婦人科悪性腫瘍 ) 化学療法後 放射線治療後 呼吸困難 月経随伴性気胸 ❼ ( 異所性内膜症 ) 意識障害 成熟奇形腫 ❽ ( 抗 NMDA 受容体抗体脳炎 ) 外 傷 外陰部血腫 ❾ 膣壁裂傷 10

❶~❾ について解説します ❶ 卵巣機能不全 卵巣機能不全とは ホルモンの分泌異常により月経不順となった状態ですが 不正出血 過長月経を伴うときの診断には 器質的な疾患の除外が必要です 通常 ホルモン剤の投与で改善しますが 大量出血 重度の貧血がある場合は入院加療となることもあります ホルモン的な治療で効果がない場合 妊娠の希望がなければ MEA( 子宮内膜焼灼術 ) や子宮全摘も考慮されます ❷ 卵巣腫瘍 茎捻転 卵巣には 他の臓器に比べて多くの種類の腫瘍ができます 卵巣腫瘍は 液体貯留した腫瘍 ( のう胞性腫瘍 ) と固形の腫瘍 ( 充実性腫瘍 ) に分類されます のう胞性腫瘍は 卵巣腫瘍の85% を占めており 良性腫瘍が多くを占めます 充実性腫瘍は 15% を占めており そのうち70% は悪性と言われています また腫瘍が大きくなっても 捻じれたりしなければ症状がないこともあります 腫瘍が捻じれる ( 捻転 ) ことによ 11

り 激しい下腹部痛 嘔気 嘔吐が起こり 鎮痛剤も無効な場合があります 卵巣腫瘍の捻転と診断されると 通常は緊急手術が必要となります 一般には 捻転した卵巣腫瘍は正常卵巣を含めて切除します ただ 妊娠の希望がある場合や 未婚の方の場合は 卵巣の状態により捻転した卵巣腫瘍のみ切除し 正常卵巣部分を残せるケースもあります チョコレート嚢胞などは癒着していることが多く サイズにかかわらず 捻転することはありません しかし チョコレート嚢胞は破裂する可能性があります 12

❸ 卵巣出血 排卵期に起こる卵胞出血と黄体期に起こる黄体出血の2 種類の卵巣出血があります 大量の腹腔内出血を引き起こすのは 黄体期の卵巣出血です 性交渉も出血の誘因の1 つと考えられています 突然の下腹部痛と腹腔内出血により貧血となります 卵巣出血と診断されても かならずしも手術による止血が必要ではありません 大量の腹腔内出血があっても 自然止血することも多いので 安静 輸液などで経過観察が可能なこともあります 出血量 全身状態 他の出血の可能性など総合的な判断により 手術となることもあります ❹ 卵巣腫瘍の破裂 ( チョコレート嚢胞破裂 ) 卵巣腫瘍が自然に破れることがときにあり ひどい下腹部痛を引き起こします 卵巣子宮内膜症性嚢胞 ( チョコレート状の古い月経血が溜まった嚢腫であり 内容液の性状からチョコレート嚢胞と呼ばれます ) が破裂すると 腹腔内に内容液が漏れて強い痛みを起こします 痛みが強いので緊急手術となります 13

❺ 附属器炎 骨盤腹膜炎 附属器炎 ( 卵管炎 卵巣炎 ) さらに炎症が骨盤腹膜に広がったものを骨盤腹膜炎と呼びます 淋菌やその他の細菌 クラミジアなどが原因となって 卵巣卵管炎や骨盤腹膜炎が起こります 糖尿病合併や子宮内避妊器具 (IUD) を長期間装着している場合は 子宮の感染を起こしやすいので注意を要します 発熱や下腹部痛 膿性帯下などがあり 抗生物質で治療しますが 子宮や卵管に膿が溜まった場合は 排膿のための手術が必要になることがあります ❻ 外陰潰瘍 ヘルペス外陰炎 陰部ヘルペスは 単純ヘルペスのⅡ 型の感染によるものでしたが 性行動の変化により単純ヘルペスⅠ 型による感染も増えています 初発型 再発型がありますが 救急で問題となるのは初発型です 文字通り初発時には 発熱 多発外陰潰瘍 そけいリンパ節が腫大します また 痛みのため排尿障害 (Elsberg 症候群 ) 歩行障害が起こったり 髄膜刺激症状を伴う場合は 入院加療が必要になります 再発型の場合 14

は 症状が初発に比べて軽度であることが多く 外来での治療となります 治療としては 抗ウィルス剤内服 外用 ときに点滴が行われます ベーチェット病や特発性外陰潰瘍などとの鑑別が必要です ❼ 月経随伴性気胸 ( 異所性内膜症 ) 子宮内膜症は 子宮 卵巣卵管 骨盤内に発症することが多く その他に頻度は少ないのですが 全身の臓器 組織に起こりえます 胸腔内子宮内膜症は 全身臓器の内膜症の 2% を占めていますが 肺子宮内膜症は 月経周期と連動して起こる血痰 喀血などを生じ 胸膜内膜症では 気胸 ( 月経随伴性気胸 ) を合併します 組織検査の結果による診断が望ましいのですが 組織の採取が難しいことが多く 月経に連動することで臨床的に診断されます 治療的にはホルモン療法 ( 偽閉経療法 黄体ホルモン療法 ) がありますが 保存的療法が無効のときは 手術療法が必要になります 妊娠を希望している場合は ホルモン療法で排卵が抑制されるため適応になりません 15

❽ 成熟奇形腫 卵巣腫瘍の30 ~ 40% を占める一般的な卵巣腫瘍です 脂肪 髪の毛 歯 脳組織などが含まれているのが特徴の腫瘍です 非常にまれですが 成熟奇形腫が意識障害の原因となることが知られています 成熟奇形腫と関係が深い脳炎 ( 抗 NMDA 受容体脳炎 ) の存在が知られてきており 意識障害 不随運動などの症状により 神経内科などから紹介となることが多いようです 必ずしも成熟奇形腫と合併していないこともありますが 合併している場合は 一般に手術となり 脳炎の症状の改善も期待できます また 通常の卵巣嚢腫と同様に 捻転を起こせば腹痛の原因となります 他の特徴としては 成熟奇形腫に含まれる内容液は化学性腹膜炎を引き起こすことが知られており その癒着が高度であれば腸閉塞を起こすこともあります 内容液を漏らさないように注意をして手術を行う必要があります 16

❾ 外陰部血腫 小児が鉄棒などの遊具で遊んでいるときによく起こる事故です 足を滑らせてに 鉄棒などに股間をぶつけて 外陰部に血種 ( 内出血 ) を生じる疾患です 血種が大きく痛みがあり 歩行が難しいようなときは 入院の上 切開して血種除去が必要になります 膣壁裂傷性交時に膣壁裂傷を起こすことがあります 性交時に出血することもあり 性交後に出血が始まることもあります 少量の出血であれば経過観察が可能ですが 出血が多量にあるようなら受診が必要です その場合 裂傷部位の縫合 止血が必要となります 外来での処置が難しければ 入院して麻酔下に縫合を行います 17

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おわりに 平成 8 年より国の支援のもとに周産期センターの整備がなされ 妊娠 分娩の管理は日々進歩していますが それでも妊娠 分娩中の異常により 母児の生命が危機に陥ることもまれなことではありません 妊娠中は規則正しい生活を心がけ 妊婦検診を受けることが必要です それでも異常を感じたときは 受診をする必要があります クリニックや医院での治療の範囲を超えると考えられれば 周産期センターへ紹介 さらに緊急性があれば母体搬送となります 救急を必要とする婦人科の病気のほとんどは 強い痛みや不正出血がみられます とくに経験のないほどの痛みや月経以上の出血が持続する場合は 受診が必要となります 卵巣嚢腫 子宮筋腫などの有無やそれまでの経過がわかれば 救急外来での診断 処置においてとても参考になり 迅速な対応が可能です その意味でも かかりつけの産婦人科での少なくとも年 1 回の検診をおすすめします 平成 29 年 9 月 9 日 広島市民病院婦人科主任部長野間純 21